説明

マイクロチップ電気泳動装置

【課題】マイクロチップ上の検出位置の割り出しを迅速にかつ容易に行なうことができるようにする。
【解決手段】移動ステージ2の上面のマイクロチップ設置部18のX方向における側方に、マイクロチップ付勢機構12とX方向位置規定部14がマイクロチップ設置部18を挟んで互いに対向して設けられている。マイクロチップ付勢機構12は、弾性部材によってX方向へ伸縮する押圧部材12aを備えている。押圧部材12aはマイクロチップ設置部18に設置されたマイクロチップデバイス3をX方向位置規定部14側へ押し付けるようになっている。X方向位置規定部14はマイクロチップ4の基準側面4fを当接させるX方向基準面を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロチップを用いて電気泳動分析を行なうためのマイクロチップ電気泳動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、オンキャピラリ検出(又はオンカラム検出とも呼ばれる)と言われる検出方法は、試料成分を分離させるカラム中で試料成分を検出する方法である。液体クロマトグラフィーなど、分離カラムと検出カラムが離れている方法では、分離カラム、検出セル間で試料バンドの拡散が生じるが、オンキャピラリ検出は分離カラム中で試料成分を検出するので、試料バンドの拡散を防ぐのに有効である。
【0003】
オンキャピラリ検出の一例として、マイクロマシニング技術により透明マイクロチップに溝を形成し、その溝を透明部材で覆うことにより分離流路を形成した部材を用いる検出方法がある。マイクロチップ電気泳動はその代表的な例である。マイクロチップ電気泳動で用いる電気泳動部材(マイクロチップという)では、平面基板に自由に流路をデザインでき、検出窓を形成する必要もないという利点がある。
【0004】
ところで、マイクロチップを頻繁に交換して使用するような場合に、マイクロチップを設置する位置が所定の位置から僅かでもずれると、光学的検出手段によるマイクロチップ上の検出位置がずれてしまい、分析結果の再現性が悪化するという問題がある。しかし、マイクロチップを常にまったく同じ位置で配置することは容易ではない。
【0005】
そこで、光学的検出機構によって検出するためのマイクロチップ上の位置(検出位置)をマイクロチップを交換した後に容易に割り出すために、マイクロチップの平面内に位置割り出し用の溝又はピンホールを形成しておき、マイクロチップを設置した移動ステージを水平面内で移動させながら光検出手段を用いてその溝又はピンホールを検出し、その位置を基準としてマイクロチップ上の検出位置を割り出す方法が提案されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−65795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した検出位置の割り出し方法は、マイクロチップを水平面内方向において分離流路に垂直な方向と分離流路に平行な方向の2方向に順に移動させて光検出手段による走査を実行する必要があった。そのため、マイクロチップを設置した移動ステージをそれらの2方向へ独立して移動させる機構も必要であった。
【0008】
そこで、本発明は、マイクロチップ上の検出位置の割り出しを迅速にかつ容易に行なうことができるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るマイクロチップ電気泳動装置では、内部に分離流路が形成された矩形の板状部材からなるマイクロチップを含み、該マイクロチップの一表面(以下、上面)に分離流路の両端に達する穴を有し、板状部材の一側面を基準側面として分離流路がその基準側面に対し垂直に形成されているマイクロチップデバイスを用いる。マイクロチップデバイスを設置するためのマイクロチップ設置部は、マイクロチップデバイスを分離流路が水平面内の一方向であるX方向に平行に配置された状態で設置するようになっている。マイクロチップ設置部は水平面内のX方向に垂直なY方向に移動可能な移動ステージの上面に設けられている。
【0010】
X方向位置規定部、マイクロチップ付勢機構、光学的検出手段及び検出位置割り出し手段も備えている。X方向位置規定部は移動ステージ上面のマイクロチップ設置部のX方向側の側方に配置され、マイクロチップ設置部に設置されたマイクロチップデバイスの基準側面に当接するX方向基準面を有し、そのX方向基準面にマイクロチップの基準側面を当接させることにより測定時におけるマイクロチップのX方向における検出位置を規定する。マイクロチップ付勢機構は移動ステージ上面のマイクロチップ設置部を挟んでX方向位置規定部とは反対側の位置に配置され、マイクロチップ設置部に設置されたマイクロチップデバイスをX方向位置規定部側へ押し付ける。光学的検出手段はマイクロチップ設置部に設置されたマイクロチップデバイスに対して光学的検出を行なう。検出位置割り出し手段は移動ステージをY方向へ移動させたときの光学的検出手段で得られる検出信号に基づいて分離流路の位置を検出することにより、マイクロチップデバイスのY方向における検出位置を割り出す。
【0011】
上記マイクロチップデバイスは一表面とは反対側の表面の分離流路に平行な一対の縁にその表面から垂直に突出したガイド部を備え、マイクロチップ設置部は、設置されたマイクロチップデバイスのガイド部と係合するようにX方向に配置されたガイド係合部を備え、ガイド部がガイド係合部と係合することによりマイクロチップデバイスの水平面内における回転動作を規制する構造をとなっていることが好ましい。そうすれば、マイクロチップ付勢部がマイクロチップデバイスをX方向位置規定部側へ押し付けたときにマイクロチップが回転することを防止し、マイクロチップの基準側面をX方向基準面に確実に当接させることができる。
【0012】
さらに、上記マイクロチップデバイスは、マイクロチップとマイクロチップがX方向基準面に直接的に接し得るように該マイクロチップを上面側から保持するフレームとで構成され、フレームの端部がマイクロチップの下面から突出してガイド部を構成するものであることが好ましい。そうすれば、マイクロチップ自体をガイド部を備えた複雑な構造体にする必要がなく、また、マイクロチップデバイスの交換において、使用後のマイクロチップデバイスのフレームを取り外し、新たなマイクロチップにそのフレームを装着して新たなマイクロチップデバイスとすることも可能となり、マイクロチップデバイスにかかるコストの低減を図ることができる。また、フレームはマイクロチップがX方向位置規定部のX方向基準面に直接的に接し得るように該マイクロチップを上面側から保持するようになっているため、マイクロチップ付勢機構によってマイクロチップデバイスがX方向位置規定部側へ押し付けられることによってマイクロチップがX方向基準面に直接密接する位置に配置される。
【0013】
上記マイクロチップは一表面の穴の上部の位置に液を貯留するためのリザーバとなる中空の円筒部材を備えていてもよい。
この場合、円筒部材はマイクロチップの一表面に接着剤などによって固着されていてもよいし、マイクロチップに対して着脱可能となっていてもよい。円筒部材をマイクロチップに対して着脱可能にする場合には、円筒部材を例えばPDMS(ポリジメチルシロキサン)によって構成し、マイクロチップの一表面に押し付けて密着させるなどして、リザーバからの液漏れを防止する。
【0014】
上記フレームはマイクロチップに対して着脱可能となっていることが好ましい。フレーム部分は液に接触しないため、マイクロチップの交換時にマイクロチップと円筒部材だけを備えたパーツと交換することができ、フレームの使い回しが可能となる。
【0015】
マイクロチップ設置部の一例は、移動ステージ上面に設けられた凸状平面によって構成され、凸状平面はガイド部の内側に嵌め込まれる幅をもち、凸状平面のX方向に平行な側面がガイド係合部を構成しているものである。これにより、マイクロチップ設置部の構造を簡単にすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマイクロチップ電気泳動装置では、マイクロチップ付勢機構によってマイクロチップデバイスがX方向位置規定部側へ押し付けられ、マイクロチップの基準側面がX方向基準面に当接することでマイクロチップのX方向における位置が規定される。したがって、移動ステージをX方向へ移動させて光学的検出機構に対する相対的なマイクロチップデバイスの位置を微調整する必要がなくなり、移動ステージをX方向で移動させる機構も不要となる。そして、マイクロチップデバイスの検出位置に割り出し動作をY方向についてのみ行なうだけでよいため、検出位置の割り出し動作に要する時間が短縮され、分析のスループットが向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マイクロチップ電気泳動装置の一実施例のマイクロチップ設置部周辺の構造を示す斜視図である。
【図2】同実施例においてマイクロチップデバイスを分解した状態で示す斜視図である。
【図3】同実施例の全体的な構成を概略的に示すブロック図である。
【図4】同実施例の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
マイクロチップ電気泳動装置の一実施例について図1及び図2を用いて説明する。
このマイクロチップ電気泳動装置に設置されるマイクロチップデバイス3は、内部にその長手方向に沿う方向へ延びた分離流路4aを備えた板状部材からなるマイクロチップ4にフレーム6が装着されて構成される。マイクロチップ4の一表面には分離流路4aの両端に通じる穴4b及び4cが設けられている。マイクロチップ4の穴4b及び4cが設けられている表面が上面であり、その反対側表面が下面である。マイクロチップ4の分離流路4aに垂直な側面4fの一方を基準側面とする。また、図に示されているように、マイクロチップ4の上面を水平面としたときの分離流路4aに平行な方向をX方向、水平面内においてX方向に垂直な方向をY方向とする。
【0019】
マイクロチップ4は上面に設けられた穴4bに相当する位置に位置するリザーバ装着部材8を取り付けるためのリザーバ取り付け部4dを備え、穴4cに相当する位置に位置するリザーバ装着部材10を取り付けるためのリザーバ取り付け部4eを備えている。リザーバ装着部材8,10はそれぞれ板状部材の上面側へ突起した中空円筒形状の貫通孔からなるリザーバ8a,10aを備えたものである。マイクロチップ4のリザーバ取り付け部4d,4eにリザーバ装着部材8,10が接着により固着され、穴4b上の位置にリザーバ8aが、穴4c上の位置にリザーバ10aがそれぞれ設けられる。
【0020】
フレーム6は、リザーバ装着部材10が固着されたマイクロチップ4に対して上面側から嵌め込むことによって装着するものであり、X方向及びY方向の長さ寸法がマイクロチップ4と同程度に形成されている。フレーム6の側壁6cの高さ寸法はマイクロチップ4の厚み寸法よりも大きくなっており、マイクロチップ4に装着されたときに側壁6cの下端部がマイクロチップ4の下面よりも下方へ突出する。これにより、マイクロチップデバイス3は下面の周縁部から下方へ突出したガイド部を有する。
【0021】
フレーム6はマイクロチップ4の基準側面4fに対応する側面の下端中央部に切り込み6dが設けられている。この切り込み6dは後述するマイクロチップ設置部18の高さよりも大きくマイクロチップ4の基準側面4fの一部を露出させる寸法で設けられている。
【0022】
マイクロチップデバイス3を設置するためのマイクロチップ設置部18は移動ステージ2の上面に凸平面として設けられている。マイクロチップ設置部18のX方向及びY方向の寸法はそれぞれマイクロチップ4と同程度又はそれよりも少し小さい寸法で形成されており、マイクロチップ設置部18の側面18aがマイクロチップデバイス3の下面のガイド部と係合するガイド係合部を構成する。マイクロチップデバイス3をマイクロチップ設置部18上に設置すると、マイクロチップデバイス3の下面のガイド部6cの内側にマイクロチップ設置部18が嵌め込まれ、マイクチップデバイス3の平面内方向の回転が規制される。
【0023】
移動ステージ2の上面のマイクロチップ設置部18のX方向における側方に、マイクロチップ付勢機構12とX方向位置規定部14がマイクロチップ設置部18を挟んで互いに対向して設けられている。マイクロチップ付勢機構12は、バネなどの弾性部材によってX方向へ伸縮する押圧部材12aを備えている。押圧部材12aはマイクロチップ設置部18に設置されたマイクロチップデバイス3の一部、例えばリザーバ8aに接触してマイクロチップデバイス3をX方向位置規定部14側へ押し付けるようになっている。
【0024】
X方向位置規定部14はマイクロチップ4の基準側面4fを当接させるX方向基準面を備えている。マイクロチップデバイス3はフレーム6の切り込み6dが設けられた側面がX方向位置規定部14と対向するようにマイクロチップ設置部18に設置される。X方向位置規定部14はマイクロチップデバイス3のフレーム6の切り込み6dを通過できる寸法で設けられており、マイクロチップ付勢部12によってマイクロチップデバイス3がX方向位置規定部14側へ押し付けられたときに、X方向位置規定部14のX方向基準面がフレーム6の切り込み6dを介してマイクロチップ4の基準側面4fと当接するようになっている。マイクロチップ4の基準側面4fがX方向位置規定部14のX方向基準面に当接することで、マイクロチップ4のX方向おける配置位置は常にX方向位置規定部14を基準とした一定位置となる。したがって、このマイクロチップ電気泳動装置では、マイクロチップデバイス3を設置した後でステージ2をX方向へ微調整する必要がない。
【0025】
移動ステージ2の所定の位置には、マイクロチップデバイス3に対する光学的検出を可能にするための貫通孔からなる検出窓19が設けられている。移動ステージ2の検出窓19の下方に光学的検出手段16が設けられている。光学的検出手段16は、測定光を発する光源16a、光検出器16b及びダイクロックミラー16cを備えている。光源16aは測定光をダイクロックミラー16cに向けて発射するように配置されている。ダイクロックミラー16cは光源16aからの光を検出窓19に導き、検出窓19側からの光を透過させる。光検出器16bはダイクロックミラー16cの下方に配置され、ダイクロックミラー16cを透過した光を検出する。
【0026】
なお、リザーバ装着部材8,10は例えばPDMSなど密着性のある材質で構成し、マイクロチップ4に押し付けて密着させるようにすることで、マイクロチップ4に対して着脱可能にすることもできる。この場合、マイクロチップ付勢機構12の押圧部材12aがリザーバ8aをX方向へ押すようにするとリザーバ装着部材8がマイクロチップ4から剥離するため、押圧部材12aはフレーム6の側面を押すようにする。
【0027】
次に、図3を用いて同実施例の制御系統について説明する。
このマイクロチップ電気泳動装置は、光学的検出手段16の他に、移動ステージ駆動機構20、液処理機構22、電圧印加機構24、制御部26及び演算処理部28を備えている。移動ステージ駆動機構20は移動ステージ2をY方向へ駆動する機構である。液処理機構22は、マイクロチップ設置部18に設置されたマイクロチップデバイス3の分離流路4aへの分離媒体の注入、リザーバ8a,10aへのバッファ液や試料の注入を行なう機構である。電圧印加機構24はマイクロチップ設置部18に設置されたマイクロチップデバイス3の分離流路4aの両端間に所定の電圧を印加する機構である。光学的検出手段16、移動ステージ駆動機構20、液処理機構22及び電圧印加機構24の動作は制御部26により制御される。制御部26は、演算処理部28からの指令に基づいて光学的検出手段16、移動ステージ駆動機構20、液処理機構22及び電圧印加機構24に対し制御信号を送信する。
【0028】
演算処理部28は、予め分析者が設定した分析条件やシーケンスに基づき、光学的検出手段16、移動ステージ駆動機構20、液処理機構22及び電圧印加機構24を制御部26を介して制御する。光学的検出手段16で得られた検出信号は制御部26を介して演算処理部28に取り込まれる。演算処理部28は光検出手段16から取り込んだ信号に基づいて種々の処理を行なう。演算処理部28は、例えばパーソナルコンピュータのCPU(中央演算処理装置)により実現される。
【0029】
また、演算処理部28は、光検出手段16により正確な分析が行なわれるためのマイクロチップデバイス3の正しい位置(検出位置)を割り出す検出位置割り出し動作を行なうように構成された検出位置割り出し手段30と、検出位置割り出し動作によって割り出された検出位置を記憶する検出位置記憶部32を備えている。検出位置割り出し手段30は、マイクロチップデバイス3がマイクロチップ設置部18に設置された後、サンプルの電気泳動を行なう前に、移動ステージ2をY方向に移動させたときの光検出手段16からの検出信号の変化に基づいて、マイクロチップデバイス3の検出位置を割り出すように構成されている。
【0030】
次に、同実施例の動作について図1、図2、図3及び図4を用いて説明する。
まず、マイクロチップ4にリザーバ装着部材8,10とともにフレーム6を装着してマイクロチップデバイス3を構成し、そのマイクロチップデバイス3をマイクロチップ設置部18に設置する。マイクロチップ設置部18に設置されたマイクロチップデバイス3はマイクロチップ付勢機構12によってX方向位置規定部14側へ押し付けられ、X方向においてマイクロチップ4は所定の位置に設置される。
【0031】
次に、移動テーブル2をY方向へ移動させながら光学的検出手段16による光学的検出を行なうことにより、マイクロチップデバイス3をY方向へスキャンする。演算処理部28は、光学的検出手段16で得られる検出信号のピーク波形に基づいてマイクロチップ4の分離流路4aの位置を割り出す。分離流路4aを検出したマイクロチップ4の位置がY方向におけるマイクロチップデバイス3の検出位置であり、演算処理部28はその検出位置を検出位置記憶部32に記憶する。演算処理部28は、検出位置記憶部32に記憶した検出位置情報に基づいて制御部26を介して移動ステージ2を移動させる。
【0032】
上記の動作によりマイクロチップ4が所定の検出位置に配置された後、サンプルの電気泳動分析を行なう。電気泳動分析を終了した後、マイクロチップデバイス3を交換して新たな電気泳動分析を行なう場合には、新たなマイクロチップデバイス3をマイクロチップ設置部18に設置して、上述したY方向におけるマイクロチップデバイス3の検出位置の割り出し動作を行なう。
【0033】
以上のように、このマイクロチップ電気泳動装置では、マイクロチップデバイス3をマイクロチップ設置部18に設置するだけで、マイクロチップ4のX方向における位置は自動的に規定されるので、移動ステージ駆動機構20として移動ステージ2をX方向へ移動させる機構は不要であり、Y方向へ移動させる機構のみでよい。
【0034】
また、マイクロチップ4にフレーム6を装着して構成したマイクロチップデバイス3が、下面に突出したガイド部6cを備えていることにより、ガイド部6cがマイクロチップ設置部18の側面18aと係合してマイクロチップ4の回転を防ぎ、マイクロチップ4の基準側面4fとX方向位置規定部14のX方向基準面とが確実に当接する。
【0035】
なお、マイクロチップ4自体を下面の縁が突起した形状にして下面にガイド部を備えたマイクロチップデバイスを構成してもよいが、マイクロチップ4を単純な板状の形状とし、フレーム6を装着してガイド部6cを設けることで、コストを低減することができる。
【0036】
なお、この実施例では、フレーム6とリザーバ8a,10aとが別体として形成されているが、フレーム6とリザーバ8a,10aとが一体として形成されていてもよい。フレーム6とリザーバ8a,10aとが別体として形成されていることにより、フレーム6は直接的にサンプルや分離媒体などの液に触れなくなり、新たな試料を分析する際にもフレーム6の使い回しが可能である。
【符号の説明】
【0037】
2 移動ステージ
3 マイクロチップデバイス
4 マイクロチップ
4a 分離流路
4d,4e リザーバ取り付け部
4f 基準側面
6 フレーム
6c フレーム側壁(ガイド部)
8,10 リザーバ装着部材
8a,10a リザーバ
12 マイクロチップ付勢機構
14 X方向位置規定部
16 光学的検出手段
18 マイクロチップ設置部
19 検出窓
20 移動ステージ駆動機構
22 液処理機構
24 電圧印加機構
26 制御部
28 演算処理部
30 検出位置割り出し手段
32 検出位置記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に分離流路が形成された矩形の板状部材からなるマイクロチップを含み、該マイクロチップの一表面に前記分離流路の両端に達する穴を有するマイクロチップデバイスであって、前記板状部材の一側面を基準側面として前記分離流路が前記基準族面に対し垂直に形成されているマイクロチップデバイスと、
前記マイクロチップデバイスを前記一表面が上を向いた状態でかつ前記分離流路が水平面内の一方向であるX方向に平行に配置された状態で設置するためのマイクロチップ設置部と、
上面に前記マイクロチップ設置部を備えて水平面内において前記X方向に垂直なY方向に移動可能な移動ステージと、
前記移動ステージの上面の前記マイクロチップ設置部のX方向側の側方に配置され、前記マイクロチップ設置部に設置されたマイクロチップデバイスの前記基準側面に当接するX方向基準面を有し、そのX方向基準面に前記マイクロチップの前記基準側面を当接させることにより測定時における前記マイクロチップのX方向における検出位置を規定するX方向位置規定部と、
前記移動ステージ上面の前記マイクロチップ設置部を挟んで前記X方向位置規定部とは反対側の位置に配置され、前記マイクロチップ設置部に設置されたマイクロチップを前記X方向位置規定部側へ押し付けるマイクロチップ付勢機構と、
前記マイクロチップ設置部に設置されたマイクロチップに対して光学的検出を行なう光学的検出手段と、
前記移動ステージをY方向へ移動させたときの前記光学的検出手段で得られる検出信号に基づいて前記分離流路の位置を検出することにより、前記マイクロチップのY方向における検出位置を割り出す検出位置割り出し手段と、を備えたマイクロチップ電気泳動装置。
【請求項2】
前記マイクロチップデバイスは前記一表面とは反対側の表面の前記分離流路に平行な一対の縁にその表面から垂直に突出したガイド部を備え、
前記マイクロチップ設置部は、設置された前記マイクロチップデバイスの前記ガイド部と係合するように前記X方向に配置されたガイド係合部を備え、前記ガイド部が前記ガイド係合部と係合することにより前記マイクロチップデバイスの水平面内における回転動作を規制する構造をとなっている請求項1に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
【請求項3】
前記マイクロチップデバイスは前記基準側面が前記X方向基準面に直接的に接し得るように該マイクロチップを上面側から保持するフレームも含み、前記フレームの端部が前記マイクロチップの前記一表面とは反対側の表面から突出して前記ガイド部を構成する請求項2に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
【請求項4】
前記マイクロチップは前記一表面の前記穴の上部の位置に液を貯留するためのリザーバとなる中空の円筒部材を備えている請求項3に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
【請求項5】
前記フレームは前記マイクロチップに対して着脱可能となっている請求項4に記載のマイクロチップ電気泳動装置。
【請求項6】
前記マイクロチップ設置部は前記移動ステージ上面に設けられた凸状平面によって構成され、前記凸状平面は前記ガイド部の内側に嵌め込まれる幅をもち、前記凸状平面のX方向に平行な側面が前記ガイド係合部を構成している請求項2から5のいずれか一項に記載のマイクロチップ電気泳動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−229932(P2012−229932A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−96902(P2011−96902)
【出願日】平成23年4月25日(2011.4.25)
【出願人】(000001993)株式会社島津製作所 (3,708)