マイクロニードルデバイスおよびマイクロニードル送達装置
【課題】切頭錐体形状を有するマイクロニードル(30)を備えたマイクロニードルデバイス(10)の提供。
【解決手段】マイクロニードルデバイスのマイクロニードルは、制御されたアスペクト比を有してもよい。送達部位での痛みの感覚を制限しつつ、角質層の穿孔を高める速度でマイクロニードルを送達するよう構成された駆動部を含むマイクロニードル送達装置が開示されている。
【解決手段】マイクロニードルデバイスのマイクロニードルは、制御されたアスペクト比を有してもよい。送達部位での痛みの感覚を制限しつつ、角質層の穿孔を高める速度でマイクロニードルを送達するよう構成された駆動部を含むマイクロニードル送達装置が開示されている。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
認可済みの化学的強化剤を用いても、皮膚を通して運ばれる薬効を示す分子は少ない。皮膚を通して分子が運ばれるのを妨げる主なものは、角質層(皮膚の最外層)である。
【0002】
マイクロニードルまたはマイクロピンと呼ばれることのある比較的小さな構造のアレイを含むデバイスを、治療薬およびその他物質を皮膚またはその他表面を通して送達するのに用いることが開示されている。デバイスは、一般的に、角質層を貫通するべく皮膚に押し付けられて、治療剤およびその他物質がその層を通過して、下にある組織へと入る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクロニードルデバイスに関連した問題としては、角質層を有効に貫通する能力が挙げられる。その能力は、角質層の下にある神経を刺激するのを避けるためにマイクロニードル構造の高さを制限しようとすると、損なわれる可能性がある。構造の高さが制限される結果、治療剤を患者に有効に送達するのに十分な場所で角質層を信頼性よく貫通するのが難しくなる。
【0004】
公知のマイクロニードルデバイスに関連する他の問題は、マイクロニードル構造そのものの構造上の完全性である。強固でない構造だと、角質層へ進んだときに、破損またはその他破壊される恐れがある。その結果、構造の一部が皮膚に埋め込まれて残ってしまう。これらの構造は、一般的に、生物学的に不活性な材料で製造されているが、構造の一部が使用後に皮膚に残らない方が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マイクロニードルデバイス、マイクロニードル送達デバイスおよびマイクロニードルデバイスの使用方法を提供するものである。マイクロニードルデバイス、マイクロニードル送達装置、およびマイクロニードルの使用方法は全て併せて用いてもよいし、所望であれば、別個に用いてもよい。
【0006】
本発明によるマイクロニードルデバイスには、基材から突出しているマイクロニードルが含まれ、マイクロニードルは角質層を有効に穿孔しつつも、先端破損を好ましく減じる切頭錐体形状を有している。本発明によるマイクロニードルデバイスのマイクロニードルはまた、角質層の有効な穿孔を促進するために、制御されたアスペクト比を有していてもよい。
【0007】
本発明によるマイクロニードル送達装置は、送達部位での痛みの感覚を制限しつつ、角質層の穿孔を高める速度でマイクロニードルを送達するよう設計された駆動部を含んでいる。これらの目標を達成するために、送達装置は制限された質量の成分を用いて、マイクロニードル送達の送達中に神経を刺激する装置の傾向を減じている。送達装置は、マイクロニードルを皮膚に運ぶように構成したり、既に皮膚と接触配置されたマイクロニードルデバイスの裏面を打つ質量を持つように構成したりしてもよい。さらに、送達装置は、マイクロニードルデバイスが皮膚を移動する際に皮膚の緊縮性を改善するために、マイクロニードルデバイス周囲の皮膚に押し付けられる圧力カラーを有しているのが好ましい。
【0008】
一態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面から突出している少なくとも1つのマイクロニードルとを含み、少なくとも1つのマイクロニードルは基材の第1の主面近傍に基部を含み、少なくとも1つのマイクロニードルは、切頭錐体形状を有するように、基部から、基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されており、基部と位置合せした平面で測定された平坦先端の表面積が、20平方マイクロメートル以上かつ250平方マイクロメートル以下である、マイクロニードルデバイスを提供する。
【0009】
他の態様において、本発明には、本発明のマイクロニードルデバイスを用いて患者の皮膚に接触させて、マイクロニードルデバイスを皮膚に押し付けることが含まれる。
【0010】
他の態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面から突出している複数のマイクロニードルとを含み、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは基材の第1の主面近傍に基部を含み、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは1種またはそれ以上のポリマーで形成されており、切頭錐体形状を有するように、基部から、基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されており、基部と位置合せした平面で測定された平坦先端の表面積が、20平方マイクロメートル以上かつ100平方マイクロメートル以下であり、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの基部の基部面積が900平方マイクロメートル以上であり、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルが第1の主面および最大基部寸法を超える高さを有しており、高さと最大基部寸法比はアスペクト比を定義しており、アスペクト比が3:1以上である、マイクロニードルデバイスを提供する。
【0011】
他の態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面から突出している少なくとも1つのマイクロニードルとを含み、少なくとも1つのマイクロニードルは基材の第1の主面近傍に基部を含み、少なくとも1つのマイクロニードルは基部から、基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されていて、少なくとも1つのマイクロニードルは基部から先端まで測定した際に第1の主面を超える高さ(h)を有する切頭錐体形状を有しており、基部と位置合せされ、基部から0.98hの距離に位置する平面で測定した際の少なくとも1つのマイクロニードルの断面積が20平方マイクロメートル以上かつ少なくとも1つのマイクロニードルの基部面積より少ない、マイクロニードルデバイスを提供する。
【0012】
他の態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面から突出している複数のマイクロニードルとを含み、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは基材の第1の主面近傍に基部を含み、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは1種またはそれ以上のポリマーで形成されており、切頭錐体形状を有するように、基部から、基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されており、基部と位置合せされ、基部から0.98hの距離に位置する平面で測定した際の複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの断面積が20平方マイクロメートル以上かつ複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの基部面積の25%以下であり、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの基部の基部面積が900平方マイクロメートル以上であり、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルが最大基部寸法を有しており、高さと最大基部寸法比はアスペクト比を定義しており、アスペクト比が3:1以上である、マイクロニードルデバイスを提供する。
【0013】
他の態様において、本発明は、マイクロニードルデバイスを皮膚の送達部位近傍に配置し、皮膚に対する面を有するピストンを加速する方法であって、マイクロニードルアレイは表面から突出している複数のマイクロニードルを含み、ピストンは、加速中、1秒当たり4メートル以上の最低速度と、1秒当たり10メートル以下の最大速度を有する、マイクロニードルデバイスを送達する方法を提供する。
【0014】
他の態様において、本発明は、マイクロニードルデバイスを皮膚の送達部位近傍に配置し、マイクロニードルデバイスに対する面を有するピストンを加速する方法であって、マイクロニードルアレイは表面から突出している複数のマイクロニードルを含み、ピストンの面がマイクロニードルデバイスと接触しているとき、ピストンは、1秒当たり4メートル以上の最低速度と、1秒当たり10メートル以下の最大速度を有する、マイクロニードルデバイスを送達する方法を提供する。
【0015】
他の態様において、本発明は、表面から突出している複数のマイクロニードルデバイスを備え、ピストンの面に取り付けられたマイクロニードルデバイスと、ピストンに操作可能に接続された駆動部とを含むマイクロニードル送達装置を提供し、駆動部を用いてピストンと送達部位に向かって取り付けられているマイクロニードルデバイスとを加速する方法であって、マイクロニードルデバイスが送達部位と接触しているとき、ピストンは、1秒当たり4メートル以上の最低速度と、1秒当たり10メートル以下の最大速度を有する、マイクロニードルデバイスを送達する方法を提供する。
【0016】
他の態様において、本発明は、筐体と、筐体内に配置されたピストンと、ピストンに操作可能に接続された駆動部と、ピストンが加速される送達部位の皮膚に印をつける手段とを含み、駆動部が蓄積されたエネルギーを有し、蓄積されたエネルギーの放出の結果、ピストンが送達部位に向かって加速される、マイクロニードル送達装置を提供する。
【0017】
他の態様において、本発明は、筐体と、筐体内に配置されたピストンと、ピストンに操作可能に接続された駆動部とを含み、駆動部が蓄積されたエネルギーを有し、蓄積されたエネルギーの放出の結果、ピストンの面が送達部位に達したときに、ピストンが送達部位に向かって1秒当たり4メートル以上の最低速度および1秒当たり10メートル以下の最大速度で加速される、マイクロニードル送達装置を提供する。
【0018】
他の態様において、本発明は、筐体と、筐体内に配置されたピストンと、ピストンに操作可能に接続された駆動部と、筐体の外部の圧力カラーとを含み、駆動部が蓄積されたエネルギーを有し、蓄積されたエネルギーの放出の結果、ピストンが送達部位に向かって加速される、マイクロニードル送達装置を提供する。
【0019】
本発明のこれらおよびその他の特徴および利点を、本発明の様々な例証の実施形態により以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるマイクロニードルデバイスの一部の拡大平面図である。
【図2】図1の線2−2に沿った図1のマイクロニードルデバイスの1つのマイクロニードルの断面図である。
【図3】本発明によるマイクロニードルデバイスの他のマイクロニードルの平面図である。
【図4】図3の線4−4に沿った断面図である。
【図5】本発明によるマイクロニードル送達装置のブロック図である。
【図6】本発明によるマイクロニードル送達装置の速度(縦軸)対変位(横軸)のグラフである。
【図7】本発明によるマイクロニードル送達装置の斜視図である。
【図8】図7のマイクロニードル送達装置を閉めた位置の断面図である。
【図9】図8のマイクロニードル送達装置を緩めた位置の断面図である。
【図10】図8のマイクロニードル送達装置の発射位置の断面図である。
【図11】本発明による他のマイクロニードル送達装置の斜視図である。
【図12】装置の外側筐体内の構成要素を示した図11のマイクロニードル送達装置の透明画像である。
【図13】スプリングの充填中、装置の内側を露出するために筐体を除去した図11のマイクロニードル送達装置の図である。
【図14】スプリングを完全に充填した図13のマイクロニードル送達装置の図である。
【図15】図13のマイクロニードル送達装置を緩めた位置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、様々な目的に有用なマイクロニードルデバイスを提供する。例えば、マイクロニードルデバイスを用いて、患者の皮膚の送達部位で角質層を貫通することができる。例えば、マイクロニードルデバイスを用いて、様々な経皮送達において、皮膚を通して薬剤(薬理学剤を含む)を送達してもよい。マイクロニードルデバイスを経皮薬剤送達の準備のために角質層を貫通するのに用いる場合には、マイクロニードルの高さは、角質層を通過するのに十分なものとするのが好ましい。しかしながら、マイクロニードルの高さは、送達部位で挿入するときに著しい痛みを生じるほど大きくないことが好ましい。
【0022】
ある実施形態において、マイクロニードルデバイスは、薬剤投与中適所に配置されて、薬剤がマイクロニードル中またはその周囲を移動して、角質層中の貫通部位を通過する。あるいは、マイクロニードルデバイスは、角質層を貫通した後皮膚から除去して、薬剤を処置部位(例えば、経皮薬剤送達パッチ、局所ローションの形態等)に適用し、薬剤が貫通した角質層を通過できるようにしてもよい。
【0023】
本発明で用いる「マイクロニードル」(およびその変形例)という用語は、表面より高い高さを有していて、約500マイクロメートル以下突出している構造のことを指す。場合によっては、本発明のマイクロニードルは約250マイクロメートル以下の高さを有している。
【0024】
本明細書に記載した例証のマイクロニードルデバイスには複数のマイクロニードルが含まれているが、本発明のマイクロニードルデバイスは、各基材に1つのみのマイクロニードルが含まれていてもよいものと考えられる。さらに、マイクロニードルデバイスは全て1つの基材のみで示されているが、各デバイスは、複数の基材を含むことができ、各基材はそこから突出している1つ以上のマイクロニードルを含むことができる。
【0025】
ここで図1および図2を参照すると、マイクロニードル基材20の表面22から突出しているマイクロニードル30を備えた1つのマイクロニードルデバイス10の一部が示されている。マイクロニードル30は、任意の所望のパターンで配列したり、表面22に不規則に分配したりしてもよい。
【0026】
マイクロニードル30はそれぞれ、基材表面22に近接した基部34と、基部34から遠位の上部表面32とを有している。マイクロニードル30の一般形状は好ましくはテーパ加工されている。例えば、マイクロニードル30は、基材表面22ではより大きな基部34を有しており、基材表面22から離れて延び、上部表面32に向かってテーパ加工されている。
【0027】
図1および図2のマイクロニードル30は、四方隅部の四角錐であるが、マイクロニードル30は、任意の好適な形状、例えば、三角錐等を有してもよいことが理解されよう。さらに、角錐形状のマイクロニードルは正角錐であってもなくてもよい。マイクロニードル30は完全な角錐でないことにも注意されたい。上部表面32が好ましくは平らな角錐台である。上部表面32は、マイクロニードル30の基部34に平行な面に位置していてもよい(この場合は、マイクロニードル30は角錐の切頭体と認識される)。あるいは、上部表面32は基部34に平行でない面に位置していてもよい。
【0028】
正角錐(角錐の全側部が接触する先端を有する)とは異なり、鈍または平坦上部表面32を備えたマイクロニードル30を与えることによって、正角錐の形態にあるマイクロニードルの構造上の完全性に比して、マイクロニードル30の構造上の完全性が改善される。上述した通り、正角錐の形態にあるマイクロニードルは、マイクロニードルを角質層に挿入している間等、圧力がかかると破損する恐れがある。破損したマイクロニードルは、例えば、角質層中に残骸を残す恐れがある。
【0029】
構造上の完全性の問題は、金属またはシリコンマイクロニードル構造に対し、マイクロニードルがポリマー材料から製造されていると最も顕著である。ポリマー材料を用いてマイクロニードルを形成する場合には、ポリマー材料は、成形性(例えば、射出成形、圧縮成形等)、高い弾性率および高い破断時伸びのうち1つ以上の特性を有しているのが好ましい。
【0030】
ポリマー材料の中でも、マイクロニードルは熱可塑性ポリマー材料から製造されているのが好ましい。本発明のマイクロニードルの好適なポリマー材料としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリフェニル硫化物、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アセタール、アクリル、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられるがこれらに限られるものではない。ポリマーマイクロニードルは、単一ポリマーまたは2種以上のポリマーの混合物/ブレンドから製造してもよい。
【0031】
図1および図2のマイクロニードル30は、平坦な上部表面32を有するように示したが、上部表面32は完全に平らである必要はないものと考えられる。むしろ、上部表面32は、全く平らな表面とは違うものであってもよく、それでも本明細書で用いる「平坦な」という用語の範囲に含まれるものとする。例えば、上部表面32は、平らな表面を丸めたり、ドーム形としたり、その他これとは異なるものとしてもよい。
【0032】
本発明によるマイクロニードルデバイスの切頭錐体形状のマイクロニードルの特徴を表す他のやり方として、基部から選択したセットバック距離でマイクロニードルの断面表面積で表してもよい。図2のマイクロニードル30は、基部34から上部の間で測定された高さhを有するものとして示されている。マイクロニードル30の場合には、上部は上部表面32であり、マイクロニードル30の高さhは中心軸12に沿って測定される。本発明の切頭錐体形状のマイクロニードルの特徴を表すこのやり方だと、マイクロニードル30の断面積は、基部34と位置合せされ、0.98hのセットバック距離、すなわちマイクロニードル30の上部から0.02hに位置する平面14(図2においては端部で示されている)で測定してもよい。平面14が基部34と位置合せされているという記載は、平面が基部に概して平行であることを意味している。ただし、完全に平行な関係からやや外れているのも許される。
【0033】
平面14が中心軸12に沿って配置されているセットバック距離で、マイクロニードル30は、例えば、20平方マイクロメートル以上の好ましい断面積を有している。この範囲のもう一方の限界では、マイクロニードル30は、後述するマイクロニードルの基部面積より少ないセットバック距離で平面14内の断面積を有している。場合によっては、セットバック距離の断面積はマイクロニードルの基部面積の25%未満であるのが好ましい。他の場合には、マイクロニードルは100平方マイクロメートル以下の断面積を有しているのが好ましい。さらに他の場合には、セットバック距離の断面積は50平方マイクロメートル以下であるのが好ましい。
【0034】
上述したセットバック距離でのマイクロニードル30の断面積に関連して、基材20の第1の主面22のマイクロニードル30の基部34が占める面積でも特徴を表すことができる。例えば、基部面積(すなわち、基部34が占める面積)は、900平方マイクロメートル以上、場合によっては1200平方マイクロメートル以上であるのが好ましい。上述した平坦先端のセットバック距離または表面積で断面積と組み合わせると、基部面積は、本発明のマイクロニードルの切頭錐体形状の特徴を表す他の方法として有用である。
【0035】
上述したように、本発明によるマイクロニードルデバイスのマイクロニードルは広い基部から狭い上部表面に向かってテーパ加工されている。図3および図4に、テーパ加工されたマイクロニードルが角錐形態である必要のないことを示すために、マイクロニードルデバイス110の円錐マイクロニードル130を示す。
【0036】
円錐マイクロニードル130には円形基部134が含まれている。ただし、基部のその他の形状、例えば、楕円、卵形、三日月形等も可能である。マイクロニードル130は直円錐として示されているが、本発明の円錐マイクロニードルは直円錐の形態である必要はない。
【0037】
上述した角錐台と同様に、マイクロニードル130もまた、基材120の表面122近傍の基部134の逆の平坦上部表面132が末端となっている円錐台である。上部表面132は、マイクロニードル130の基部134に平行な面に位置していてもよい(この場合は、マイクロニードル130は円錐の切頭体と認識される)。あるいは、上部表面132は基部134に平行でない面に位置していてもよい。
【0038】
正円錐(円錐が基部から離れた点が先端となっている)とは異なり、鈍または平坦上部表面132のマイクロニードル130を与えることによって、正円錐の形態にあるマイクロニードルの構造上の完全性に比して、円錐状マイクロニードル130の構造上の完全性が改善される。上述した通り、正円錐の形態にあるマイクロニードルは、マイクロニードルを角質層に挿入している間等、圧力がかかると破損する恐れがある。破損したマイクロニードルは、例えば、角質層中に残骸を残す恐れがある。
【0039】
図3および図4のマイクロニードル130は、平坦な上部表面132を有するように示したが、上部表面132は完全に平らである必要はないものと考えられる。むしろ、上部表面132は、全く平らな表面とは違うものであってもよく、それでも本明細書で用いる「平坦な」という用語の範囲に含まれるものとする。
【0040】
本発明のマイクロニードルデバイスのマイクロニードルは、数多くの異なるやり方で特徴を表してもよい。一例を挙げると、マイクロニードルの切頭錐体形状に関連した平坦上部の表面積によるものである。平坦上部、すなわち、図1および図2の上部表面32、または図3および図4の上部表面132の表面積は、例えば、100平方マイクロメートル以下の好ましい表面積を有している。他の場合には、上部は50平方マイクロメートル以下の表面積を有しているのが好ましい。さらに他の場合には、上部は30平方マイクロメートル以下の表面積を有しているのが好ましい。
【0041】
切頭錐体形状のマイクロニードルを提供することによって、本発明のマイクロニードルデバイスは、痛みの感覚となる下にある神経組織を刺激することなく、例えば、角質層を有効に貫通する。本明細書で用いる「有効な貫通」とは、大きな上部を備えたマイクロニードルにより角質層を通る開かれた経路によって角質層を通して材料の運搬が向上する経路が与えられることを意味する。さらに、マイクロニードルのテーパ形状によって、テーパのない柱状の形状のマイクロニードルに比べて、角質層の貫通が促進される。
【0042】
本発明のマイクロニードルデバイスのマイクロニードルの特徴を表す他のやり方は、マイクロニードルのアスペクト比に基づくものである。本明細書において「アスペクト比」とは、マイクロニードルの高さ(マイクロニードルの基部を囲む表面より上)対最大基部寸法、すなわち、基部が占める最大直線寸法(マイクロニードルの基部が占める表面の)の比率である。例えば、図1および図2の四角錐形のマイクロニードルの場合には、最大基部寸法はマイクロニードルの対向隅部間で測定する(例えば、図1の線37を参照)。図3および図4にあるような円形基部134を備えた円錐マイクロニードルの場合には、最大基部寸法は、基部134の直径となる。本発明に関して、マイクロニードルのアスペクト比は2:1以上、場合によっては3:1以上であるのが好ましい。
【0043】
さらに、図示した実施形態のマイクロニードルおよび基材表面は比較的平滑な表面として示してあるが、マイクロニードルデバイスの様々な特徴部分としては、平滑でない表面を有する場合もあり、例えば、表面は、表面を覆う流体の流れを促すために粗面化、構造化等されている。
【0044】
マイクロニードルは、基材と一体製造されるのが好ましい。すなわち、様々な特徴部分は、ワンピースの、完全な一体単位として形成されるのが好ましい。あるいは、マイクロニードルは基材とは別個に提供されてもよい。
【0045】
マイクロニードル基材は、様々な材料から製造してよい。材料の選択は、材料が所望のパターンを正確に再生できる能力、マイクロニードルに形成したときの材料の強度および靭性、材料の、例えば、ヒトまたは動物の皮膚との適合性、マイクロニードルデバイスと接触することが予測される任意の流体との材料の適合性等をはじめとする様々な因子に基づくものである。
【0046】
構造上の完全性(すなわち、切頭錐体形状)を高めるモルホロジーを備えたマイクロニードルを含めることに加えて、マイクロニードル送達装置と組み合わせたマイクロニードルアレイを提供するのが好ましく、マイクロニードル送達装置は、マイクロニードルデバイスのマイクロニードルにより角質層が有効に貫通できるようなやり方でマイクロニードルアレイを皮膚の送達部位に送達することができる。
【0047】
本発明の方法によるマイクロニードルデバイスの送達には、所望の速度までマイクロニードルデバイスそのものを加速することが含まれる。あるいは、本方法には、マイクロニードルデバイスを当接する所望の速度までピストンを加速することが含まれる(既に皮膚に配置されている場合)。
【0048】
角質層を貫通するために、所望の速度までマイクロニードルデバイスに当接するのに用いられるマイクロニードルデバイスそのものまたはピストンの加速に加えて、送達部位内の皮膚の緊縮性を増大するために、送達部位周囲の皮膚と接触させて圧力カラーを任意で与えるのも有用である。
【0049】
本発明によるマイクロニードルデバイスが角質層を貫通した後、マイクロニードルを角質層に押し付けるために用いられるマイクロニードルデバイスおよびマイクロニードル送達装置を、送達部位から除去して、例えば、経皮薬剤送達デバイスを送達部位に適用できるようにするのが好ましい。あるいは、角質層を通過するのが望ましい材料を、例えば、塗布等のその他の任意の好適なやり方で送達部位に適用してもよい。
【0050】
図5は、本発明によるマイクロニードル送達装置の一例のブロック図である。装置40には、駆動部50、ピストン60、任意の圧力カラー70および任意のマイクロニードルデバイス80が含まれる。
【0051】
駆動部50は、本明細書に記載した所望の速度に達するのに十分な加速を与えることのできる任意の機構により提供される。例えば、駆動部50は、機械式スプリング(例えば、コイルスプリング、リーフスプリング等)、圧縮弾性部材(例えば、ゴム等)、圧縮流体(例えば、空気、液体等)、圧電構造、電磁構造、ハンマーデバイス等の形態であってもよい。駆動部50の正確な形状には関らず、ピストン60および(任意の)取り付けられたマイクロニードルデバイス80の塊を加速するのに十分なエネルギーを蓄積できるものでなければならない。
【0052】
装置40において、圧力カラー70を任意で用いると送達部位での皮膚の緊縮性が改善される。圧力カラーの例については、ニードル送達装置の2つの例証の実施形態に関して後述してある。
【0053】
マイクロニードルデバイス80は、装置40の一部である。場合によっては、マイクロニードルデバイス80は送達部位内の皮膚に別個に配置してもよいからである。当接する前にマイクロニードルデバイス80を皮膚に配置しておくシステムまたは方法においては、マイクロニードルデバイス80を当接する前にピストン60を所望の速度まで加速しておくのが好ましい。しかしながら、図示した装置においては、マイクロニードルデバイス80はピストン60が加速される前にピストン60に取り付けられている。その結果、ピストン60とマイクロニードルデバイス80の両方が一緒に加速される。
【0054】
上述した通り、マイクロニードルデバイス送達方法には、マイクロニードルを皮膚の角質層へ有効に押し付ける所望の速度に到達させることが含まれる。しかしながら、痛みの感覚となる下にある神経組織の刺激を和らげる、または防ぐために、所望の速度は制御されるのが好ましい。本発明に関して、ピストンにより得られる最大速度は、好ましくは1秒当たり20メートル(m/s)以下、場合によっては15m/s以下、さらに場合により10m/s以下である。場合によっては、最大速度は8m/s以下であるのがより好ましい。所望の速度範囲の下端では、ピストンにより得られる所望の最低速度は2m/s以上、場合によっては4m/s以上、さらには6m/s以上がより好ましい。
【0055】
図6によれば、本発明の方法の他の潜在的な利点は、十分な変位距離にわたって所望の速度が維持されて、角質層を有効に穿孔することである。図6に示されるように、約8m/sの最大速度が広い変位距離にわたって維持される。
【0056】
図6に関して説明できるその他の特徴としては、ピストン(および取り付けられたマイクロニードルデバイス)は、送達部位から十分に離れた距離で配置されて、当接がなされる前に所望の最大速度に到達させることができるということである。その当接は、ピストンと、皮膚に既に接触しているマイクロニードルデバイス、またはマイクロニードルデバイスと皮膚(マイクロニードルデバイスがピストンに取り付けられている場合)によるものである。例えば、図6に関して、その距離は約7ミリメートル以上である。
【0057】
図6に関して述べた本発明によるマイクロニードル送達装置の他の潜在的な特徴としては、マイクロニードルデバイスが角質層を有効に貫通するのに必要な最低速度またはこれを超える速度でピストンが動く距離である。最低速度またはそれを超える速度でピストンが動く距離は、送達部位での皮膚表面の位置の変位を吸収するのに十分なものであることが好ましい。マイクロ送達装置に対する皮膚表面の位置は、様々な因子によってやや異なる。例えば、皮膚表面の位置は、装置を皮膚の送達部位に対して押し付けるのに用いる力の大きさ、送達部位での皮膚の緊縮性(すなわち、手の皮膚は、腹部の皮膚より張っている)に基づいて異なる。その結果、例えば、手や腹部に用いるときは、皮膚は装置に対して異なる位置に配置される。
【0058】
皮膚の位置が変わるため、マイクロニードル送達装置に対して皮膚位置の変化を吸収するのに十分な距離にわたってピストンが所望の最低速度またはそれを超える速度で動くように装置は設計されているのが好ましい。例えば、マイクロニードル送達装置のピストンは、1センチメートル以上の距離にわたって最低速度またはそれを超える速度で動くのが好ましい。ある実施形態においては、ピストンは5ミリメートル以上の距離にわたって最低速度またはそれを超える速度で動けば十分である。
【0059】
所望の速度に達するのに必要な力は、ピストン60の質量(および取り付けられた任意のマイクロニードルデバイス80)に基づいて異なる。その質量もまた、送達部位の下にある神経組織が刺激されて痛みの感覚となる可能性を減じるために、制御または選択可能である。例えば、ピストンの質量は4グラム以下が好ましく、2グラム以下がより好ましい。
【0060】
これらの質量もまた、角質層を穿孔するのに用いるマイクロニードルデバイスのサイズに影響される可能性がある。例えば、上述した質量は、4平方センチメートル以下、より好ましくは約2平方センチメートル以下の皮膚の表面積を占めるマイクロニードルデバイスで潜在的に有利に用いられる。力が送達部位で広い表面積にわたって効率的に分配されるため、高速送達装置では大きなマイクロニードルデバイスを用いてもよい。
【0061】
様々な装置を用いて本発明によるマイクロニードルデバイスを送達してよい。一例として、マイクロニードル送達装置140を図7〜図10に示す。装置140は、表面162が下部筐体144の開口部142に向かっている、ピストン160を加速する駆動部としてコイル圧縮スプリング150を用いたプランジャ型デバイスの形態にある。開口部142は、一般的に、皮膚の送達部位の上に配置される。
【0062】
図8を参照すると、装置140には、上部に引っ張られる、すなわち、開口部142から離れて、プランジャ160を開口部142から離れるように引っ張り、スプリング150を圧縮する、上部筐体146が含まれている。図8に示された最上位置のときは、ピストン160のロックレバー164は、下部筐体144のショルダ143と係合していて、プランジャ160を図8に示す位置に保持している。
【0063】
図9になると、上部筐体146が開口部142に向かって下方へ動き、上部筐体146の解放位置147によってロックレバー164がショルダ143から解放される。ロックレバー164が解放されると、図10に示すように、スプリング150がピストン160を開口部142に向かって押し付けられる。
【0064】
マイクロニードル送達装置140に関連して示されている他の特徴部分は、開口部142を囲む圧力カラー170である。圧力カラー170は、装置140の使用中、送達部位周囲の皮膚と接触配置されているのが好ましい。圧力カラーを皮膚に押し付けることによって、送達部位内の皮膚の緊縮性が増し、角質層を穿孔するのに有利な結果が得られる。
【0065】
図示した圧力カラー170は円形であり、送達部位周囲で切れ目なく接触しているが、本発明のマイクロニードル送達装置に関連して用いる圧力カラーは様々な形状および構成で提供できるものと考えられる。例えば、圧力カラーは途切れていてもよい、すなわち、送達部位周囲にギャップを有していてもよい。
【0066】
図8および図9に見られるその他の特徴としては、装置140は、開口部142から十分な距離にピストン表面162を配置して、ピストンの所望の最大速度がピストンが開口部142に達するときに得られるよう設計されているのが好ましいことである。
【0067】
他の例示のマイクロニードル送達装置240を図11〜図15に示す。装置240は、ピストン260の加速を行うのにリーフスプリング250を用いている。リーフスプリング250は、ロータ252により撓む。ロータ252がリーフスプリング250と接触する撓みの最初の段階は図13に示してある。ロータ252がピン253を通して延在する軸周囲を回転すると、リーフスプリング250は図14に示す位置まで撓む。その位置でロータ252は定位置にロックされるのが好ましい。ピン253はノブ251に接続されており、図13および図14に示すように、ノブ251を回転すると、ピン253およびロータ252が回転する。
【0068】
アクチュエータボタン254を図15に示すように内側に押して、ロータ252からリーフスプリング250が解放されて、リーフスプリング250がプランジャ260を駆動して、その表面262が筐体244内の開口部242に向く。
【0069】
筐体244において、上述した通り、圧力カラー270を用いると送達部位での皮膚の緊縮性が改善される。図13〜図15に示すように、圧力カラー270は、実際は平面であるのが好ましい。
【0070】
本明細書に記載した例証のマイクロニードル送達装置は、最初の使用後に廃棄される、1回の使用のために設計されている。この代わりに、装置を異なるマイクロニードルデバイスで繰り返し用いるように設計してもよい。
【0071】
マイクロニードル送達装置に関して与えられるその他の特徴は、インクのようなマーキング組成物により患者の送達部位に印を付けられることである。マーキングは、マイクロニードルデバイスのマイクロニードルが貫通した角質層の場所を示すのに有用である。マイクロニードル送達装置240においては、マーキングは、例えば、マーキング組成物を圧力カラー270の表面272に与えることによりなされる。その他のマーキング技術を、圧力カラー270の表面272のマーキング組成物の代わりに用いてもよい。マーキング組成物を送達するその他の手段、例えば、1つ以上のスプレーデバイスを用いて、送達部位の位置を示すようなやり方でマーキング組成物を送達してもよい。マーキングのその他の潜在的な手段はマイクロ送達装置と一体化されていないマーキングデバイス(例えば、ペン、インクスタンプ等)であってもよく、マイクロニードル送達装置を用いてマイクロニードルデバイスを送達する前に送達部位の位置をマークしてもよい。本明細書に記載したマイクロニードルデバイスおよびマイクロニードル送達装置の送達は、図1〜4に関して上述した切頭錐体形状のマイクロニードルを含むマイクロニードルデバイスと共に用いることに必ずしも限定されないものと考えられる。
【0072】
本発明のマイクロニードルデバイスは、様々な目的に用いることができる。例えば、マイクロニードルを用いて、様々な経皮送達において、皮膚を通して薬剤またはその他薬理学剤を送達できる。経皮薬剤送達に用いるときは、マイクロニードルデバイスは、適所に配置されて、薬剤送達を促してもよいし、皮膚への薬剤の適用の前に除去してもよい。
【0073】
一態様において、マイクロニードルデバイスは、皮膚に適用された後、前処置工程として除去される。その後、薬剤は、マイクロニードルデバイスで処置された皮膚表面に適用される。薬剤は、任意の簡便なやり方で適用してよく、ビヒクルの種類および適用期間は、所望の特定の治療成果に応じて異なる。1回の適用において、薬剤は、処置された皮膚表面に綿棒でつける溶液の形態であってもよいし、処置した皮膚表面に擦りこむ軟膏であってもよい。あるいは、薬剤は、長い時間にわたって皮膚と接触したままとなるような形態で表面に適用してもよい。長い接触は、経皮パッチまたは皮膚に固定されたリザーバチャンバの形態で薬剤を適用することによりなされる。場合によっては、薬剤は、溶液、軟膏または接着マトリックスのような送達ビヒクルとして処方してもよい。
【0074】
本発明のマイクロニードルデバイスは、数多くの薬剤および治療項目に有用である。一態様において、分子量の大きな薬剤を経皮送達することができる。分子量が大きくなると、自力での経皮送達が減少することが一般に認められている。本発明のマイクロニードルデバイスは、受動経皮送達による送達が通常困難または不可能な大きな分子の送達に有用である。かかる大きな分子としては、タンパク質、ペプチド、ヘパリンのような多糖類、およびセフトリアキソンのような抗生物質が例示される。
【0075】
他の態様において、本発明のマイクロニードルデバイスは、受動経皮送達による送達が通常困難または不可能な小さな分子の経皮送達を促進または可能とするのに有用である。かかる分子としては、塩形態、ビスホスフェート、好ましくは、アレンドロン酸またはパメドロン酸ナトリウムのようなイオン分子、および受動経皮送達に伝導性のない物理化学的特性を備えた分子が例示される。
【0076】
他の態様において、本発明のマイクロニードルデバイスは、ニトログリセリンやエストラジオールのような受動経皮送達により送達される分子の経皮送達を促進したり、変更したりするのに有用である。かかる場合は、マイクロニードルデバイスを用いると、自力の受動送達に比べて、送達開始がより迅速になり、又はフラックスが増大する。
【0077】
他の態様において、本発明のマイクロニードルデバイスは、皮膚治療における皮膚への分子の送達の促進や、ワクチン助剤の免疫応答を促進するのに有用である。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明の理解を補助するためのものであり、これに限定されるものではない。
【0079】
実施例1
米国特許公開第2003/045837号、表題「マイクロニードルアレイおよびその製造方法(MICRONEEDLE ARRAYS AND METHODS OF MANUFACTURING THE SAME)」(2001年9月5日出願)に記載された概略の方法を用いてマイクロニードルアレイを作成した。2層のポリイミド(カプトン(KAPTON)H、デラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont,Wilmington,Delaware))を併せてラミネートして、厚さ250μmの鋳造基材を形成した。鋳造基材をレーザーアブレートして、後述するマイクロニードルの形状でキャビティを備えた構造化表面を形成した。構造化表面を、銀の蒸気コーテイングによりシード層で処理した後、ニッケルで電鋳して、金属マイクロニードルアレイを形成した。ニッケルバックプレートの厚さは約230μmであった。アレイを鋳型から外し、使用前、保管した。
【0080】
マイクロニードルアレイは、基部は楕円形状で、表面積約20μm2の平坦先端までテーパ加工されていた。基部の長軸の長さは約100μm、基部の短軸の長さは約65μmであった。基部の面積は約5105μm2であった。マイクロニードルのアスペクト比は約3:1であった。マイクロニードルの高さは250μmであった。基部と位置合せされ、基部から0.98hの距離に位置する表面の断面積は約34μmであった。アレイの表面積は1cm2であり、マイクロニードルの先端から先端までの距離は400μmであった。マイクロニードルは、シャフトの片側に沿って基部から延び、ニードルの先端の前で終わっているチャネルを有していた。
【0081】
密閉され、温度制御された箱の中で単独のスターラーに配置するために5cm2のフランツ(Franz)セルに合わせるサイズに切断する前に、ヒトの皮膚(human cadaver skin)を約1時間、0.025Mのリン酸緩衝液溶液(PBS)に浸した。浸透実験中温度は32℃に維持した。レシーバセル溶液は0.025M PBSであった。マイクロニードル適用前後にインピーダンス測定を行った。10,000Ω・cm2未満の固有抵抗の皮膚試料は廃棄した。
【0082】
マイクロニードルを図7〜10に示す全体設計のインパクタのピストンに取り付け、ヒトの皮膚に適用した。ピストン速度は8m/秒であり、ピストン質量は7gmであった。ニードルを除去し、0.068gm/mLのアレンドロン酸ナトリウム(カナダ、オンタリオ州、リッチモンドヒルのオンビオ社(Onbio Inc, Richmond Hill, Ontario, Canada))の水溶液をフランツ(Franz)セルのドナー側に適用した。
【0083】
試験中、セルは全て32℃に保った。2時間〜168時間経ってから、試料のアレンドロネート濃度をHPLCにより分析した。5回繰り返した。累加平均フラックスを表1に記してある。未処理のヒトの皮膚に適用したアレンドロネート溶液からなる対照試料も試験した。
【0084】
【表1】
【0085】
実施例2
実施例1の方法に従って、0.0135gmのニトログリセリン(ミネソタ州メープルウッド(Maplewood、Minnesota)の3M)を含有するミニトラン(MINITRAN)経皮パッチを実施例1のマイクロニードルで処理したヒトの皮膚に適用した。ヒトの皮膚を0.025Mのリン酸緩衝液塩水(PBS)に浸した。用いたレセプタ溶液もPBSであった。5回繰り返した。累加平均フラックスを表2に記してある。未処理のヒトの皮膚に適用した経皮パッチからなる対照試料も試験した。
【0086】
【表2】
【0087】
実施例3
実施例2の方法に従って、0.174gm/mLのセフトリアキソンナトリウム(ニュージャージー州ロッシェラブのロセフィン(ROCEPHIN,Roche Labs,New Jersey))の水溶液を実施例1のマイクロニードルで処理したヒトの皮膚に適用した。溶液適用後2時間で累加平均フラックスを求めた。この後、赤みの増加によって示されるように、ドナー溶液は分解し始めたため、この時点でのサンプリングはもう行わなかった。処理済皮膚に適用された溶液の2時間での累加平均フラックスは46.6μg/cm2であった。未処理の皮膚に適用された溶液の2時間での累加平均フラックスは0μg/cm2であった。
【0088】
実施例4
実施例1の方法に従って、マイクロニードルアレイを作成した。マイクロニードルアレイは円錐形で、表面積約20μm2の平坦先端までテーパ加工されていた。基部の直径は約42μmであった。基部の面積は約1,385μm2であった。マイクロニードルのアスペクト比は約3:1であった。マイクロニードルの高さは125μmであった。基部と位置合せされ、基部から0.98hの距離に位置する平面の断面積は約26μmであった。アレイの表面積は1cm2であり、マイクロニードルの先端から先端までの距離は300μmであった。
【0089】
実施例2の方法に従って、0.100gm/mLのラブノックス(ミネソタ州セントポールのムードライアポテカリーショップ(Moudry Apothecary Shop,St.Paul,Minnesota))の水溶液をヒトの皮膚に適用した。5回繰り返した。累加平均フラックスを表3に記してある。未処理のヒトの皮膚に適用したラブノックス溶液からなる対照試料も試験した。
【0090】
【表3】
【0091】
実施例5
実施例4の方法に従って、0.100gm/mLのフルオレシンイソチオシアネート(FITC)−デキストラン(ミズーリ州セントルイスのシグマケミ社(Sigma Chem Co.,St.Louis,MO))の水溶液を実施例4のマイクロニードルで処理したヒトの皮膚に適用した。溶液適用後2時間で累加平均フラックスを求めた。3回繰り返した。累加平均フラックスを表4に記してある。未処理のヒトの皮膚に適用したFITC−デキストラン溶液からなる対照試料も試験した。
【0092】
【表4】
【0093】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものと理解されるものとする。
【背景技術】
【0001】
認可済みの化学的強化剤を用いても、皮膚を通して運ばれる薬効を示す分子は少ない。皮膚を通して分子が運ばれるのを妨げる主なものは、角質層(皮膚の最外層)である。
【0002】
マイクロニードルまたはマイクロピンと呼ばれることのある比較的小さな構造のアレイを含むデバイスを、治療薬およびその他物質を皮膚またはその他表面を通して送達するのに用いることが開示されている。デバイスは、一般的に、角質層を貫通するべく皮膚に押し付けられて、治療剤およびその他物質がその層を通過して、下にある組織へと入る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクロニードルデバイスに関連した問題としては、角質層を有効に貫通する能力が挙げられる。その能力は、角質層の下にある神経を刺激するのを避けるためにマイクロニードル構造の高さを制限しようとすると、損なわれる可能性がある。構造の高さが制限される結果、治療剤を患者に有効に送達するのに十分な場所で角質層を信頼性よく貫通するのが難しくなる。
【0004】
公知のマイクロニードルデバイスに関連する他の問題は、マイクロニードル構造そのものの構造上の完全性である。強固でない構造だと、角質層へ進んだときに、破損またはその他破壊される恐れがある。その結果、構造の一部が皮膚に埋め込まれて残ってしまう。これらの構造は、一般的に、生物学的に不活性な材料で製造されているが、構造の一部が使用後に皮膚に残らない方が好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、マイクロニードルデバイス、マイクロニードル送達デバイスおよびマイクロニードルデバイスの使用方法を提供するものである。マイクロニードルデバイス、マイクロニードル送達装置、およびマイクロニードルの使用方法は全て併せて用いてもよいし、所望であれば、別個に用いてもよい。
【0006】
本発明によるマイクロニードルデバイスには、基材から突出しているマイクロニードルが含まれ、マイクロニードルは角質層を有効に穿孔しつつも、先端破損を好ましく減じる切頭錐体形状を有している。本発明によるマイクロニードルデバイスのマイクロニードルはまた、角質層の有効な穿孔を促進するために、制御されたアスペクト比を有していてもよい。
【0007】
本発明によるマイクロニードル送達装置は、送達部位での痛みの感覚を制限しつつ、角質層の穿孔を高める速度でマイクロニードルを送達するよう設計された駆動部を含んでいる。これらの目標を達成するために、送達装置は制限された質量の成分を用いて、マイクロニードル送達の送達中に神経を刺激する装置の傾向を減じている。送達装置は、マイクロニードルを皮膚に運ぶように構成したり、既に皮膚と接触配置されたマイクロニードルデバイスの裏面を打つ質量を持つように構成したりしてもよい。さらに、送達装置は、マイクロニードルデバイスが皮膚を移動する際に皮膚の緊縮性を改善するために、マイクロニードルデバイス周囲の皮膚に押し付けられる圧力カラーを有しているのが好ましい。
【0008】
一態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面から突出している少なくとも1つのマイクロニードルとを含み、少なくとも1つのマイクロニードルは基材の第1の主面近傍に基部を含み、少なくとも1つのマイクロニードルは、切頭錐体形状を有するように、基部から、基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されており、基部と位置合せした平面で測定された平坦先端の表面積が、20平方マイクロメートル以上かつ250平方マイクロメートル以下である、マイクロニードルデバイスを提供する。
【0009】
他の態様において、本発明には、本発明のマイクロニードルデバイスを用いて患者の皮膚に接触させて、マイクロニードルデバイスを皮膚に押し付けることが含まれる。
【0010】
他の態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面から突出している複数のマイクロニードルとを含み、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは基材の第1の主面近傍に基部を含み、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは1種またはそれ以上のポリマーで形成されており、切頭錐体形状を有するように、基部から、基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されており、基部と位置合せした平面で測定された平坦先端の表面積が、20平方マイクロメートル以上かつ100平方マイクロメートル以下であり、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの基部の基部面積が900平方マイクロメートル以上であり、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルが第1の主面および最大基部寸法を超える高さを有しており、高さと最大基部寸法比はアスペクト比を定義しており、アスペクト比が3:1以上である、マイクロニードルデバイスを提供する。
【0011】
他の態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面から突出している少なくとも1つのマイクロニードルとを含み、少なくとも1つのマイクロニードルは基材の第1の主面近傍に基部を含み、少なくとも1つのマイクロニードルは基部から、基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されていて、少なくとも1つのマイクロニードルは基部から先端まで測定した際に第1の主面を超える高さ(h)を有する切頭錐体形状を有しており、基部と位置合せされ、基部から0.98hの距離に位置する平面で測定した際の少なくとも1つのマイクロニードルの断面積が20平方マイクロメートル以上かつ少なくとも1つのマイクロニードルの基部面積より少ない、マイクロニードルデバイスを提供する。
【0012】
他の態様において、本発明は、第1の主面を備えた基材と、基材の第1の主面から突出している複数のマイクロニードルとを含み、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは基材の第1の主面近傍に基部を含み、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルは1種またはそれ以上のポリマーで形成されており、切頭錐体形状を有するように、基部から、基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されており、基部と位置合せされ、基部から0.98hの距離に位置する平面で測定した際の複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの断面積が20平方マイクロメートル以上かつ複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの基部面積の25%以下であり、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルの基部の基部面積が900平方マイクロメートル以上であり、複数のマイクロニードルの各マイクロニードルが最大基部寸法を有しており、高さと最大基部寸法比はアスペクト比を定義しており、アスペクト比が3:1以上である、マイクロニードルデバイスを提供する。
【0013】
他の態様において、本発明は、マイクロニードルデバイスを皮膚の送達部位近傍に配置し、皮膚に対する面を有するピストンを加速する方法であって、マイクロニードルアレイは表面から突出している複数のマイクロニードルを含み、ピストンは、加速中、1秒当たり4メートル以上の最低速度と、1秒当たり10メートル以下の最大速度を有する、マイクロニードルデバイスを送達する方法を提供する。
【0014】
他の態様において、本発明は、マイクロニードルデバイスを皮膚の送達部位近傍に配置し、マイクロニードルデバイスに対する面を有するピストンを加速する方法であって、マイクロニードルアレイは表面から突出している複数のマイクロニードルを含み、ピストンの面がマイクロニードルデバイスと接触しているとき、ピストンは、1秒当たり4メートル以上の最低速度と、1秒当たり10メートル以下の最大速度を有する、マイクロニードルデバイスを送達する方法を提供する。
【0015】
他の態様において、本発明は、表面から突出している複数のマイクロニードルデバイスを備え、ピストンの面に取り付けられたマイクロニードルデバイスと、ピストンに操作可能に接続された駆動部とを含むマイクロニードル送達装置を提供し、駆動部を用いてピストンと送達部位に向かって取り付けられているマイクロニードルデバイスとを加速する方法であって、マイクロニードルデバイスが送達部位と接触しているとき、ピストンは、1秒当たり4メートル以上の最低速度と、1秒当たり10メートル以下の最大速度を有する、マイクロニードルデバイスを送達する方法を提供する。
【0016】
他の態様において、本発明は、筐体と、筐体内に配置されたピストンと、ピストンに操作可能に接続された駆動部と、ピストンが加速される送達部位の皮膚に印をつける手段とを含み、駆動部が蓄積されたエネルギーを有し、蓄積されたエネルギーの放出の結果、ピストンが送達部位に向かって加速される、マイクロニードル送達装置を提供する。
【0017】
他の態様において、本発明は、筐体と、筐体内に配置されたピストンと、ピストンに操作可能に接続された駆動部とを含み、駆動部が蓄積されたエネルギーを有し、蓄積されたエネルギーの放出の結果、ピストンの面が送達部位に達したときに、ピストンが送達部位に向かって1秒当たり4メートル以上の最低速度および1秒当たり10メートル以下の最大速度で加速される、マイクロニードル送達装置を提供する。
【0018】
他の態様において、本発明は、筐体と、筐体内に配置されたピストンと、ピストンに操作可能に接続された駆動部と、筐体の外部の圧力カラーとを含み、駆動部が蓄積されたエネルギーを有し、蓄積されたエネルギーの放出の結果、ピストンが送達部位に向かって加速される、マイクロニードル送達装置を提供する。
【0019】
本発明のこれらおよびその他の特徴および利点を、本発明の様々な例証の実施形態により以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明によるマイクロニードルデバイスの一部の拡大平面図である。
【図2】図1の線2−2に沿った図1のマイクロニードルデバイスの1つのマイクロニードルの断面図である。
【図3】本発明によるマイクロニードルデバイスの他のマイクロニードルの平面図である。
【図4】図3の線4−4に沿った断面図である。
【図5】本発明によるマイクロニードル送達装置のブロック図である。
【図6】本発明によるマイクロニードル送達装置の速度(縦軸)対変位(横軸)のグラフである。
【図7】本発明によるマイクロニードル送達装置の斜視図である。
【図8】図7のマイクロニードル送達装置を閉めた位置の断面図である。
【図9】図8のマイクロニードル送達装置を緩めた位置の断面図である。
【図10】図8のマイクロニードル送達装置の発射位置の断面図である。
【図11】本発明による他のマイクロニードル送達装置の斜視図である。
【図12】装置の外側筐体内の構成要素を示した図11のマイクロニードル送達装置の透明画像である。
【図13】スプリングの充填中、装置の内側を露出するために筐体を除去した図11のマイクロニードル送達装置の図である。
【図14】スプリングを完全に充填した図13のマイクロニードル送達装置の図である。
【図15】図13のマイクロニードル送達装置を緩めた位置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、様々な目的に有用なマイクロニードルデバイスを提供する。例えば、マイクロニードルデバイスを用いて、患者の皮膚の送達部位で角質層を貫通することができる。例えば、マイクロニードルデバイスを用いて、様々な経皮送達において、皮膚を通して薬剤(薬理学剤を含む)を送達してもよい。マイクロニードルデバイスを経皮薬剤送達の準備のために角質層を貫通するのに用いる場合には、マイクロニードルの高さは、角質層を通過するのに十分なものとするのが好ましい。しかしながら、マイクロニードルの高さは、送達部位で挿入するときに著しい痛みを生じるほど大きくないことが好ましい。
【0022】
ある実施形態において、マイクロニードルデバイスは、薬剤投与中適所に配置されて、薬剤がマイクロニードル中またはその周囲を移動して、角質層中の貫通部位を通過する。あるいは、マイクロニードルデバイスは、角質層を貫通した後皮膚から除去して、薬剤を処置部位(例えば、経皮薬剤送達パッチ、局所ローションの形態等)に適用し、薬剤が貫通した角質層を通過できるようにしてもよい。
【0023】
本発明で用いる「マイクロニードル」(およびその変形例)という用語は、表面より高い高さを有していて、約500マイクロメートル以下突出している構造のことを指す。場合によっては、本発明のマイクロニードルは約250マイクロメートル以下の高さを有している。
【0024】
本明細書に記載した例証のマイクロニードルデバイスには複数のマイクロニードルが含まれているが、本発明のマイクロニードルデバイスは、各基材に1つのみのマイクロニードルが含まれていてもよいものと考えられる。さらに、マイクロニードルデバイスは全て1つの基材のみで示されているが、各デバイスは、複数の基材を含むことができ、各基材はそこから突出している1つ以上のマイクロニードルを含むことができる。
【0025】
ここで図1および図2を参照すると、マイクロニードル基材20の表面22から突出しているマイクロニードル30を備えた1つのマイクロニードルデバイス10の一部が示されている。マイクロニードル30は、任意の所望のパターンで配列したり、表面22に不規則に分配したりしてもよい。
【0026】
マイクロニードル30はそれぞれ、基材表面22に近接した基部34と、基部34から遠位の上部表面32とを有している。マイクロニードル30の一般形状は好ましくはテーパ加工されている。例えば、マイクロニードル30は、基材表面22ではより大きな基部34を有しており、基材表面22から離れて延び、上部表面32に向かってテーパ加工されている。
【0027】
図1および図2のマイクロニードル30は、四方隅部の四角錐であるが、マイクロニードル30は、任意の好適な形状、例えば、三角錐等を有してもよいことが理解されよう。さらに、角錐形状のマイクロニードルは正角錐であってもなくてもよい。マイクロニードル30は完全な角錐でないことにも注意されたい。上部表面32が好ましくは平らな角錐台である。上部表面32は、マイクロニードル30の基部34に平行な面に位置していてもよい(この場合は、マイクロニードル30は角錐の切頭体と認識される)。あるいは、上部表面32は基部34に平行でない面に位置していてもよい。
【0028】
正角錐(角錐の全側部が接触する先端を有する)とは異なり、鈍または平坦上部表面32を備えたマイクロニードル30を与えることによって、正角錐の形態にあるマイクロニードルの構造上の完全性に比して、マイクロニードル30の構造上の完全性が改善される。上述した通り、正角錐の形態にあるマイクロニードルは、マイクロニードルを角質層に挿入している間等、圧力がかかると破損する恐れがある。破損したマイクロニードルは、例えば、角質層中に残骸を残す恐れがある。
【0029】
構造上の完全性の問題は、金属またはシリコンマイクロニードル構造に対し、マイクロニードルがポリマー材料から製造されていると最も顕著である。ポリマー材料を用いてマイクロニードルを形成する場合には、ポリマー材料は、成形性(例えば、射出成形、圧縮成形等)、高い弾性率および高い破断時伸びのうち1つ以上の特性を有しているのが好ましい。
【0030】
ポリマー材料の中でも、マイクロニードルは熱可塑性ポリマー材料から製造されているのが好ましい。本発明のマイクロニードルの好適なポリマー材料としては、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、ポリフェニル硫化物、ポリカーボネート、ポリプロピレン、アセタール、アクリル、ポリエーテルイミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられるがこれらに限られるものではない。ポリマーマイクロニードルは、単一ポリマーまたは2種以上のポリマーの混合物/ブレンドから製造してもよい。
【0031】
図1および図2のマイクロニードル30は、平坦な上部表面32を有するように示したが、上部表面32は完全に平らである必要はないものと考えられる。むしろ、上部表面32は、全く平らな表面とは違うものであってもよく、それでも本明細書で用いる「平坦な」という用語の範囲に含まれるものとする。例えば、上部表面32は、平らな表面を丸めたり、ドーム形としたり、その他これとは異なるものとしてもよい。
【0032】
本発明によるマイクロニードルデバイスの切頭錐体形状のマイクロニードルの特徴を表す他のやり方として、基部から選択したセットバック距離でマイクロニードルの断面表面積で表してもよい。図2のマイクロニードル30は、基部34から上部の間で測定された高さhを有するものとして示されている。マイクロニードル30の場合には、上部は上部表面32であり、マイクロニードル30の高さhは中心軸12に沿って測定される。本発明の切頭錐体形状のマイクロニードルの特徴を表すこのやり方だと、マイクロニードル30の断面積は、基部34と位置合せされ、0.98hのセットバック距離、すなわちマイクロニードル30の上部から0.02hに位置する平面14(図2においては端部で示されている)で測定してもよい。平面14が基部34と位置合せされているという記載は、平面が基部に概して平行であることを意味している。ただし、完全に平行な関係からやや外れているのも許される。
【0033】
平面14が中心軸12に沿って配置されているセットバック距離で、マイクロニードル30は、例えば、20平方マイクロメートル以上の好ましい断面積を有している。この範囲のもう一方の限界では、マイクロニードル30は、後述するマイクロニードルの基部面積より少ないセットバック距離で平面14内の断面積を有している。場合によっては、セットバック距離の断面積はマイクロニードルの基部面積の25%未満であるのが好ましい。他の場合には、マイクロニードルは100平方マイクロメートル以下の断面積を有しているのが好ましい。さらに他の場合には、セットバック距離の断面積は50平方マイクロメートル以下であるのが好ましい。
【0034】
上述したセットバック距離でのマイクロニードル30の断面積に関連して、基材20の第1の主面22のマイクロニードル30の基部34が占める面積でも特徴を表すことができる。例えば、基部面積(すなわち、基部34が占める面積)は、900平方マイクロメートル以上、場合によっては1200平方マイクロメートル以上であるのが好ましい。上述した平坦先端のセットバック距離または表面積で断面積と組み合わせると、基部面積は、本発明のマイクロニードルの切頭錐体形状の特徴を表す他の方法として有用である。
【0035】
上述したように、本発明によるマイクロニードルデバイスのマイクロニードルは広い基部から狭い上部表面に向かってテーパ加工されている。図3および図4に、テーパ加工されたマイクロニードルが角錐形態である必要のないことを示すために、マイクロニードルデバイス110の円錐マイクロニードル130を示す。
【0036】
円錐マイクロニードル130には円形基部134が含まれている。ただし、基部のその他の形状、例えば、楕円、卵形、三日月形等も可能である。マイクロニードル130は直円錐として示されているが、本発明の円錐マイクロニードルは直円錐の形態である必要はない。
【0037】
上述した角錐台と同様に、マイクロニードル130もまた、基材120の表面122近傍の基部134の逆の平坦上部表面132が末端となっている円錐台である。上部表面132は、マイクロニードル130の基部134に平行な面に位置していてもよい(この場合は、マイクロニードル130は円錐の切頭体と認識される)。あるいは、上部表面132は基部134に平行でない面に位置していてもよい。
【0038】
正円錐(円錐が基部から離れた点が先端となっている)とは異なり、鈍または平坦上部表面132のマイクロニードル130を与えることによって、正円錐の形態にあるマイクロニードルの構造上の完全性に比して、円錐状マイクロニードル130の構造上の完全性が改善される。上述した通り、正円錐の形態にあるマイクロニードルは、マイクロニードルを角質層に挿入している間等、圧力がかかると破損する恐れがある。破損したマイクロニードルは、例えば、角質層中に残骸を残す恐れがある。
【0039】
図3および図4のマイクロニードル130は、平坦な上部表面132を有するように示したが、上部表面132は完全に平らである必要はないものと考えられる。むしろ、上部表面132は、全く平らな表面とは違うものであってもよく、それでも本明細書で用いる「平坦な」という用語の範囲に含まれるものとする。
【0040】
本発明のマイクロニードルデバイスのマイクロニードルは、数多くの異なるやり方で特徴を表してもよい。一例を挙げると、マイクロニードルの切頭錐体形状に関連した平坦上部の表面積によるものである。平坦上部、すなわち、図1および図2の上部表面32、または図3および図4の上部表面132の表面積は、例えば、100平方マイクロメートル以下の好ましい表面積を有している。他の場合には、上部は50平方マイクロメートル以下の表面積を有しているのが好ましい。さらに他の場合には、上部は30平方マイクロメートル以下の表面積を有しているのが好ましい。
【0041】
切頭錐体形状のマイクロニードルを提供することによって、本発明のマイクロニードルデバイスは、痛みの感覚となる下にある神経組織を刺激することなく、例えば、角質層を有効に貫通する。本明細書で用いる「有効な貫通」とは、大きな上部を備えたマイクロニードルにより角質層を通る開かれた経路によって角質層を通して材料の運搬が向上する経路が与えられることを意味する。さらに、マイクロニードルのテーパ形状によって、テーパのない柱状の形状のマイクロニードルに比べて、角質層の貫通が促進される。
【0042】
本発明のマイクロニードルデバイスのマイクロニードルの特徴を表す他のやり方は、マイクロニードルのアスペクト比に基づくものである。本明細書において「アスペクト比」とは、マイクロニードルの高さ(マイクロニードルの基部を囲む表面より上)対最大基部寸法、すなわち、基部が占める最大直線寸法(マイクロニードルの基部が占める表面の)の比率である。例えば、図1および図2の四角錐形のマイクロニードルの場合には、最大基部寸法はマイクロニードルの対向隅部間で測定する(例えば、図1の線37を参照)。図3および図4にあるような円形基部134を備えた円錐マイクロニードルの場合には、最大基部寸法は、基部134の直径となる。本発明に関して、マイクロニードルのアスペクト比は2:1以上、場合によっては3:1以上であるのが好ましい。
【0043】
さらに、図示した実施形態のマイクロニードルおよび基材表面は比較的平滑な表面として示してあるが、マイクロニードルデバイスの様々な特徴部分としては、平滑でない表面を有する場合もあり、例えば、表面は、表面を覆う流体の流れを促すために粗面化、構造化等されている。
【0044】
マイクロニードルは、基材と一体製造されるのが好ましい。すなわち、様々な特徴部分は、ワンピースの、完全な一体単位として形成されるのが好ましい。あるいは、マイクロニードルは基材とは別個に提供されてもよい。
【0045】
マイクロニードル基材は、様々な材料から製造してよい。材料の選択は、材料が所望のパターンを正確に再生できる能力、マイクロニードルに形成したときの材料の強度および靭性、材料の、例えば、ヒトまたは動物の皮膚との適合性、マイクロニードルデバイスと接触することが予測される任意の流体との材料の適合性等をはじめとする様々な因子に基づくものである。
【0046】
構造上の完全性(すなわち、切頭錐体形状)を高めるモルホロジーを備えたマイクロニードルを含めることに加えて、マイクロニードル送達装置と組み合わせたマイクロニードルアレイを提供するのが好ましく、マイクロニードル送達装置は、マイクロニードルデバイスのマイクロニードルにより角質層が有効に貫通できるようなやり方でマイクロニードルアレイを皮膚の送達部位に送達することができる。
【0047】
本発明の方法によるマイクロニードルデバイスの送達には、所望の速度までマイクロニードルデバイスそのものを加速することが含まれる。あるいは、本方法には、マイクロニードルデバイスを当接する所望の速度までピストンを加速することが含まれる(既に皮膚に配置されている場合)。
【0048】
角質層を貫通するために、所望の速度までマイクロニードルデバイスに当接するのに用いられるマイクロニードルデバイスそのものまたはピストンの加速に加えて、送達部位内の皮膚の緊縮性を増大するために、送達部位周囲の皮膚と接触させて圧力カラーを任意で与えるのも有用である。
【0049】
本発明によるマイクロニードルデバイスが角質層を貫通した後、マイクロニードルを角質層に押し付けるために用いられるマイクロニードルデバイスおよびマイクロニードル送達装置を、送達部位から除去して、例えば、経皮薬剤送達デバイスを送達部位に適用できるようにするのが好ましい。あるいは、角質層を通過するのが望ましい材料を、例えば、塗布等のその他の任意の好適なやり方で送達部位に適用してもよい。
【0050】
図5は、本発明によるマイクロニードル送達装置の一例のブロック図である。装置40には、駆動部50、ピストン60、任意の圧力カラー70および任意のマイクロニードルデバイス80が含まれる。
【0051】
駆動部50は、本明細書に記載した所望の速度に達するのに十分な加速を与えることのできる任意の機構により提供される。例えば、駆動部50は、機械式スプリング(例えば、コイルスプリング、リーフスプリング等)、圧縮弾性部材(例えば、ゴム等)、圧縮流体(例えば、空気、液体等)、圧電構造、電磁構造、ハンマーデバイス等の形態であってもよい。駆動部50の正確な形状には関らず、ピストン60および(任意の)取り付けられたマイクロニードルデバイス80の塊を加速するのに十分なエネルギーを蓄積できるものでなければならない。
【0052】
装置40において、圧力カラー70を任意で用いると送達部位での皮膚の緊縮性が改善される。圧力カラーの例については、ニードル送達装置の2つの例証の実施形態に関して後述してある。
【0053】
マイクロニードルデバイス80は、装置40の一部である。場合によっては、マイクロニードルデバイス80は送達部位内の皮膚に別個に配置してもよいからである。当接する前にマイクロニードルデバイス80を皮膚に配置しておくシステムまたは方法においては、マイクロニードルデバイス80を当接する前にピストン60を所望の速度まで加速しておくのが好ましい。しかしながら、図示した装置においては、マイクロニードルデバイス80はピストン60が加速される前にピストン60に取り付けられている。その結果、ピストン60とマイクロニードルデバイス80の両方が一緒に加速される。
【0054】
上述した通り、マイクロニードルデバイス送達方法には、マイクロニードルを皮膚の角質層へ有効に押し付ける所望の速度に到達させることが含まれる。しかしながら、痛みの感覚となる下にある神経組織の刺激を和らげる、または防ぐために、所望の速度は制御されるのが好ましい。本発明に関して、ピストンにより得られる最大速度は、好ましくは1秒当たり20メートル(m/s)以下、場合によっては15m/s以下、さらに場合により10m/s以下である。場合によっては、最大速度は8m/s以下であるのがより好ましい。所望の速度範囲の下端では、ピストンにより得られる所望の最低速度は2m/s以上、場合によっては4m/s以上、さらには6m/s以上がより好ましい。
【0055】
図6によれば、本発明の方法の他の潜在的な利点は、十分な変位距離にわたって所望の速度が維持されて、角質層を有効に穿孔することである。図6に示されるように、約8m/sの最大速度が広い変位距離にわたって維持される。
【0056】
図6に関して説明できるその他の特徴としては、ピストン(および取り付けられたマイクロニードルデバイス)は、送達部位から十分に離れた距離で配置されて、当接がなされる前に所望の最大速度に到達させることができるということである。その当接は、ピストンと、皮膚に既に接触しているマイクロニードルデバイス、またはマイクロニードルデバイスと皮膚(マイクロニードルデバイスがピストンに取り付けられている場合)によるものである。例えば、図6に関して、その距離は約7ミリメートル以上である。
【0057】
図6に関して述べた本発明によるマイクロニードル送達装置の他の潜在的な特徴としては、マイクロニードルデバイスが角質層を有効に貫通するのに必要な最低速度またはこれを超える速度でピストンが動く距離である。最低速度またはそれを超える速度でピストンが動く距離は、送達部位での皮膚表面の位置の変位を吸収するのに十分なものであることが好ましい。マイクロ送達装置に対する皮膚表面の位置は、様々な因子によってやや異なる。例えば、皮膚表面の位置は、装置を皮膚の送達部位に対して押し付けるのに用いる力の大きさ、送達部位での皮膚の緊縮性(すなわち、手の皮膚は、腹部の皮膚より張っている)に基づいて異なる。その結果、例えば、手や腹部に用いるときは、皮膚は装置に対して異なる位置に配置される。
【0058】
皮膚の位置が変わるため、マイクロニードル送達装置に対して皮膚位置の変化を吸収するのに十分な距離にわたってピストンが所望の最低速度またはそれを超える速度で動くように装置は設計されているのが好ましい。例えば、マイクロニードル送達装置のピストンは、1センチメートル以上の距離にわたって最低速度またはそれを超える速度で動くのが好ましい。ある実施形態においては、ピストンは5ミリメートル以上の距離にわたって最低速度またはそれを超える速度で動けば十分である。
【0059】
所望の速度に達するのに必要な力は、ピストン60の質量(および取り付けられた任意のマイクロニードルデバイス80)に基づいて異なる。その質量もまた、送達部位の下にある神経組織が刺激されて痛みの感覚となる可能性を減じるために、制御または選択可能である。例えば、ピストンの質量は4グラム以下が好ましく、2グラム以下がより好ましい。
【0060】
これらの質量もまた、角質層を穿孔するのに用いるマイクロニードルデバイスのサイズに影響される可能性がある。例えば、上述した質量は、4平方センチメートル以下、より好ましくは約2平方センチメートル以下の皮膚の表面積を占めるマイクロニードルデバイスで潜在的に有利に用いられる。力が送達部位で広い表面積にわたって効率的に分配されるため、高速送達装置では大きなマイクロニードルデバイスを用いてもよい。
【0061】
様々な装置を用いて本発明によるマイクロニードルデバイスを送達してよい。一例として、マイクロニードル送達装置140を図7〜図10に示す。装置140は、表面162が下部筐体144の開口部142に向かっている、ピストン160を加速する駆動部としてコイル圧縮スプリング150を用いたプランジャ型デバイスの形態にある。開口部142は、一般的に、皮膚の送達部位の上に配置される。
【0062】
図8を参照すると、装置140には、上部に引っ張られる、すなわち、開口部142から離れて、プランジャ160を開口部142から離れるように引っ張り、スプリング150を圧縮する、上部筐体146が含まれている。図8に示された最上位置のときは、ピストン160のロックレバー164は、下部筐体144のショルダ143と係合していて、プランジャ160を図8に示す位置に保持している。
【0063】
図9になると、上部筐体146が開口部142に向かって下方へ動き、上部筐体146の解放位置147によってロックレバー164がショルダ143から解放される。ロックレバー164が解放されると、図10に示すように、スプリング150がピストン160を開口部142に向かって押し付けられる。
【0064】
マイクロニードル送達装置140に関連して示されている他の特徴部分は、開口部142を囲む圧力カラー170である。圧力カラー170は、装置140の使用中、送達部位周囲の皮膚と接触配置されているのが好ましい。圧力カラーを皮膚に押し付けることによって、送達部位内の皮膚の緊縮性が増し、角質層を穿孔するのに有利な結果が得られる。
【0065】
図示した圧力カラー170は円形であり、送達部位周囲で切れ目なく接触しているが、本発明のマイクロニードル送達装置に関連して用いる圧力カラーは様々な形状および構成で提供できるものと考えられる。例えば、圧力カラーは途切れていてもよい、すなわち、送達部位周囲にギャップを有していてもよい。
【0066】
図8および図9に見られるその他の特徴としては、装置140は、開口部142から十分な距離にピストン表面162を配置して、ピストンの所望の最大速度がピストンが開口部142に達するときに得られるよう設計されているのが好ましいことである。
【0067】
他の例示のマイクロニードル送達装置240を図11〜図15に示す。装置240は、ピストン260の加速を行うのにリーフスプリング250を用いている。リーフスプリング250は、ロータ252により撓む。ロータ252がリーフスプリング250と接触する撓みの最初の段階は図13に示してある。ロータ252がピン253を通して延在する軸周囲を回転すると、リーフスプリング250は図14に示す位置まで撓む。その位置でロータ252は定位置にロックされるのが好ましい。ピン253はノブ251に接続されており、図13および図14に示すように、ノブ251を回転すると、ピン253およびロータ252が回転する。
【0068】
アクチュエータボタン254を図15に示すように内側に押して、ロータ252からリーフスプリング250が解放されて、リーフスプリング250がプランジャ260を駆動して、その表面262が筐体244内の開口部242に向く。
【0069】
筐体244において、上述した通り、圧力カラー270を用いると送達部位での皮膚の緊縮性が改善される。図13〜図15に示すように、圧力カラー270は、実際は平面であるのが好ましい。
【0070】
本明細書に記載した例証のマイクロニードル送達装置は、最初の使用後に廃棄される、1回の使用のために設計されている。この代わりに、装置を異なるマイクロニードルデバイスで繰り返し用いるように設計してもよい。
【0071】
マイクロニードル送達装置に関して与えられるその他の特徴は、インクのようなマーキング組成物により患者の送達部位に印を付けられることである。マーキングは、マイクロニードルデバイスのマイクロニードルが貫通した角質層の場所を示すのに有用である。マイクロニードル送達装置240においては、マーキングは、例えば、マーキング組成物を圧力カラー270の表面272に与えることによりなされる。その他のマーキング技術を、圧力カラー270の表面272のマーキング組成物の代わりに用いてもよい。マーキング組成物を送達するその他の手段、例えば、1つ以上のスプレーデバイスを用いて、送達部位の位置を示すようなやり方でマーキング組成物を送達してもよい。マーキングのその他の潜在的な手段はマイクロ送達装置と一体化されていないマーキングデバイス(例えば、ペン、インクスタンプ等)であってもよく、マイクロニードル送達装置を用いてマイクロニードルデバイスを送達する前に送達部位の位置をマークしてもよい。本明細書に記載したマイクロニードルデバイスおよびマイクロニードル送達装置の送達は、図1〜4に関して上述した切頭錐体形状のマイクロニードルを含むマイクロニードルデバイスと共に用いることに必ずしも限定されないものと考えられる。
【0072】
本発明のマイクロニードルデバイスは、様々な目的に用いることができる。例えば、マイクロニードルを用いて、様々な経皮送達において、皮膚を通して薬剤またはその他薬理学剤を送達できる。経皮薬剤送達に用いるときは、マイクロニードルデバイスは、適所に配置されて、薬剤送達を促してもよいし、皮膚への薬剤の適用の前に除去してもよい。
【0073】
一態様において、マイクロニードルデバイスは、皮膚に適用された後、前処置工程として除去される。その後、薬剤は、マイクロニードルデバイスで処置された皮膚表面に適用される。薬剤は、任意の簡便なやり方で適用してよく、ビヒクルの種類および適用期間は、所望の特定の治療成果に応じて異なる。1回の適用において、薬剤は、処置された皮膚表面に綿棒でつける溶液の形態であってもよいし、処置した皮膚表面に擦りこむ軟膏であってもよい。あるいは、薬剤は、長い時間にわたって皮膚と接触したままとなるような形態で表面に適用してもよい。長い接触は、経皮パッチまたは皮膚に固定されたリザーバチャンバの形態で薬剤を適用することによりなされる。場合によっては、薬剤は、溶液、軟膏または接着マトリックスのような送達ビヒクルとして処方してもよい。
【0074】
本発明のマイクロニードルデバイスは、数多くの薬剤および治療項目に有用である。一態様において、分子量の大きな薬剤を経皮送達することができる。分子量が大きくなると、自力での経皮送達が減少することが一般に認められている。本発明のマイクロニードルデバイスは、受動経皮送達による送達が通常困難または不可能な大きな分子の送達に有用である。かかる大きな分子としては、タンパク質、ペプチド、ヘパリンのような多糖類、およびセフトリアキソンのような抗生物質が例示される。
【0075】
他の態様において、本発明のマイクロニードルデバイスは、受動経皮送達による送達が通常困難または不可能な小さな分子の経皮送達を促進または可能とするのに有用である。かかる分子としては、塩形態、ビスホスフェート、好ましくは、アレンドロン酸またはパメドロン酸ナトリウムのようなイオン分子、および受動経皮送達に伝導性のない物理化学的特性を備えた分子が例示される。
【0076】
他の態様において、本発明のマイクロニードルデバイスは、ニトログリセリンやエストラジオールのような受動経皮送達により送達される分子の経皮送達を促進したり、変更したりするのに有用である。かかる場合は、マイクロニードルデバイスを用いると、自力の受動送達に比べて、送達開始がより迅速になり、又はフラックスが増大する。
【0077】
他の態様において、本発明のマイクロニードルデバイスは、皮膚治療における皮膚への分子の送達の促進や、ワクチン助剤の免疫応答を促進するのに有用である。
【実施例】
【0078】
以下の実施例は、本発明の理解を補助するためのものであり、これに限定されるものではない。
【0079】
実施例1
米国特許公開第2003/045837号、表題「マイクロニードルアレイおよびその製造方法(MICRONEEDLE ARRAYS AND METHODS OF MANUFACTURING THE SAME)」(2001年9月5日出願)に記載された概略の方法を用いてマイクロニードルアレイを作成した。2層のポリイミド(カプトン(KAPTON)H、デラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont,Wilmington,Delaware))を併せてラミネートして、厚さ250μmの鋳造基材を形成した。鋳造基材をレーザーアブレートして、後述するマイクロニードルの形状でキャビティを備えた構造化表面を形成した。構造化表面を、銀の蒸気コーテイングによりシード層で処理した後、ニッケルで電鋳して、金属マイクロニードルアレイを形成した。ニッケルバックプレートの厚さは約230μmであった。アレイを鋳型から外し、使用前、保管した。
【0080】
マイクロニードルアレイは、基部は楕円形状で、表面積約20μm2の平坦先端までテーパ加工されていた。基部の長軸の長さは約100μm、基部の短軸の長さは約65μmであった。基部の面積は約5105μm2であった。マイクロニードルのアスペクト比は約3:1であった。マイクロニードルの高さは250μmであった。基部と位置合せされ、基部から0.98hの距離に位置する表面の断面積は約34μmであった。アレイの表面積は1cm2であり、マイクロニードルの先端から先端までの距離は400μmであった。マイクロニードルは、シャフトの片側に沿って基部から延び、ニードルの先端の前で終わっているチャネルを有していた。
【0081】
密閉され、温度制御された箱の中で単独のスターラーに配置するために5cm2のフランツ(Franz)セルに合わせるサイズに切断する前に、ヒトの皮膚(human cadaver skin)を約1時間、0.025Mのリン酸緩衝液溶液(PBS)に浸した。浸透実験中温度は32℃に維持した。レシーバセル溶液は0.025M PBSであった。マイクロニードル適用前後にインピーダンス測定を行った。10,000Ω・cm2未満の固有抵抗の皮膚試料は廃棄した。
【0082】
マイクロニードルを図7〜10に示す全体設計のインパクタのピストンに取り付け、ヒトの皮膚に適用した。ピストン速度は8m/秒であり、ピストン質量は7gmであった。ニードルを除去し、0.068gm/mLのアレンドロン酸ナトリウム(カナダ、オンタリオ州、リッチモンドヒルのオンビオ社(Onbio Inc, Richmond Hill, Ontario, Canada))の水溶液をフランツ(Franz)セルのドナー側に適用した。
【0083】
試験中、セルは全て32℃に保った。2時間〜168時間経ってから、試料のアレンドロネート濃度をHPLCにより分析した。5回繰り返した。累加平均フラックスを表1に記してある。未処理のヒトの皮膚に適用したアレンドロネート溶液からなる対照試料も試験した。
【0084】
【表1】
【0085】
実施例2
実施例1の方法に従って、0.0135gmのニトログリセリン(ミネソタ州メープルウッド(Maplewood、Minnesota)の3M)を含有するミニトラン(MINITRAN)経皮パッチを実施例1のマイクロニードルで処理したヒトの皮膚に適用した。ヒトの皮膚を0.025Mのリン酸緩衝液塩水(PBS)に浸した。用いたレセプタ溶液もPBSであった。5回繰り返した。累加平均フラックスを表2に記してある。未処理のヒトの皮膚に適用した経皮パッチからなる対照試料も試験した。
【0086】
【表2】
【0087】
実施例3
実施例2の方法に従って、0.174gm/mLのセフトリアキソンナトリウム(ニュージャージー州ロッシェラブのロセフィン(ROCEPHIN,Roche Labs,New Jersey))の水溶液を実施例1のマイクロニードルで処理したヒトの皮膚に適用した。溶液適用後2時間で累加平均フラックスを求めた。この後、赤みの増加によって示されるように、ドナー溶液は分解し始めたため、この時点でのサンプリングはもう行わなかった。処理済皮膚に適用された溶液の2時間での累加平均フラックスは46.6μg/cm2であった。未処理の皮膚に適用された溶液の2時間での累加平均フラックスは0μg/cm2であった。
【0088】
実施例4
実施例1の方法に従って、マイクロニードルアレイを作成した。マイクロニードルアレイは円錐形で、表面積約20μm2の平坦先端までテーパ加工されていた。基部の直径は約42μmであった。基部の面積は約1,385μm2であった。マイクロニードルのアスペクト比は約3:1であった。マイクロニードルの高さは125μmであった。基部と位置合せされ、基部から0.98hの距離に位置する平面の断面積は約26μmであった。アレイの表面積は1cm2であり、マイクロニードルの先端から先端までの距離は300μmであった。
【0089】
実施例2の方法に従って、0.100gm/mLのラブノックス(ミネソタ州セントポールのムードライアポテカリーショップ(Moudry Apothecary Shop,St.Paul,Minnesota))の水溶液をヒトの皮膚に適用した。5回繰り返した。累加平均フラックスを表3に記してある。未処理のヒトの皮膚に適用したラブノックス溶液からなる対照試料も試験した。
【0090】
【表3】
【0091】
実施例5
実施例4の方法に従って、0.100gm/mLのフルオレシンイソチオシアネート(FITC)−デキストラン(ミズーリ州セントルイスのシグマケミ社(Sigma Chem Co.,St.Louis,MO))の水溶液を実施例4のマイクロニードルで処理したヒトの皮膚に適用した。溶液適用後2時間で累加平均フラックスを求めた。3回繰り返した。累加平均フラックスを表4に記してある。未処理のヒトの皮膚に適用したFITC−デキストラン溶液からなる対照試料も試験した。
【0092】
【表4】
【0093】
本発明の様々な修正および変更は、本発明の範囲および目的から逸脱することなしに当業者には明白であり、本発明はここに規定した説明のための実施形態に不当に限定されないものと理解されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の主面を含む基材と、
前記基材の前記第1の主面から突出している少なくとも1つのマイクロニードルとを含み、前記少なくとも1つのマイクロニードルは前記基材の前記第1の主面近傍に基部を含み、前記少なくとも1つのマイクロニードルは、切頭錐体形状を有するように、前記基部から、前記基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されており、
前記基部と位置合せした平面で測定された前記平坦先端の表面積が、20平方マイクロメートル以上かつ250平方マイクロメートル以下である、マイクロニードルデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのマイクロニードルが、前記基部から前記平坦先端まで測定した際に前記第1の主面を超える高さ(h)を有しており、前記基部と位置合せされ、前記基部から0.98hの距離に位置する平面で測定した際の前記少なくとも1つのマイクロニードルの断面積が20平方マイクロメートル以上かつ前記少なくとも1つのマイクロニードルの基部面積より少ない、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記断面積が前記基部面積の25%以下である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのマイクロニードルが複数のマイクロニードルを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記平坦先端が100平方マイクロメートル以下の表面積を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記平坦先端が50平方マイクロメートル以下の表面積を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマイクロニードルが前記第1の主面および最大基部寸法を超える高さを有しており、前記高さと前記最大基部寸法比はアスペクト比を定義しており、前記アスペクト比が2:1以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマイクロニードルが1種またはそれ以上のポリマーから形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記1〜8のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスを提供することと、
患者の皮膚に前記少なくとも1つのマイクロニードルを接触することと、
前記マイクロニードルデバイスを前記皮膚に押し付けることとを含む、
マイクロニードルデバイスの使用方法。
【請求項10】
マイクロニードルデバイスを皮膚の送達部位近傍に配置し、
前記皮膚に対する面を有するピストンを加速する方法であって、
マイクロニードルアレイは表面から突出している複数のマイクロニードルを含み、
前記ピストンは、前記加速中、1秒当たり4メートル以上の最低速度と、1秒当たり10メートル以下の最大速度を有する、マイクロニードルデバイスを送達する方法。
【請求項11】
前記マイクロニードルデバイスが請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
圧力カラーを前記マイクロニードルデバイス周囲の前記皮膚に押し付けることをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記圧力カラーが、同じく前記ピストンと前記ピストンに操作可能に接続された駆動部とを有する筐体に配置され、前記駆動部が前記ピストンを加速させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記最低速度が6メートル/秒以上である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記最大速度が8メートル/秒以下である、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ピストンが4グラム以下の質量を有している、請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ピストンが2グラム以下の質量を有している、請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記送達部位をマーキング組成物でマーキングすることをさらに含む、請求項10〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロニードルデバイスを有するマイクロニードル送達装置を提供することをさらに含み、前記マイクロニードルデバイスがピストンの面に取り付けられており、駆動部は前記ピストンに操作可能に接続されており、
マイクロニードルデバイスを加速することが、前記駆動部を用いて前記送達部位に向かって前記ピストンおよび前記取り付けられたマイクロニードルデバイスを加速することを含む、請求項10〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記マイクロニードル送達装置が、前記マイクロニードル送達装置の外部に配置される圧力カラーを有し、前記方法が、前記圧力カラーを送達部位周囲の皮膚に接触させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記圧力カラーが前記ピストンと前記駆動部とを含む筐体に配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ピストンおよび前記取り付けられたマイクロニードルデバイスが4グラム以下の合算質量を有している、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ピストンおよび前記取り付けられたマイクロニードルデバイスが2グラム以下の合算質量を有している、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記マイクロニードルデバイスを前記送達部位から除去し、前記送達部位に薬剤を適用することをさらに含む、請求項10〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
第1の主面を含む基材と、
前記基材の前記第1の主面から突出している少なくとも1つのマイクロニードルとを含み、前記少なくとも1つのマイクロニードルは前記基材の前記第1の主面近傍に基部を含み、前記少なくとも1つのマイクロニードルは、切頭錐体形状を有するように、前記基部から、前記基部から遠位の平坦先端までテーパ加工されており、
前記基部と位置合せした平面で測定された前記平坦先端の表面積が、20平方マイクロメートル以上かつ250平方マイクロメートル以下である、マイクロニードルデバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのマイクロニードルが、前記基部から前記平坦先端まで測定した際に前記第1の主面を超える高さ(h)を有しており、前記基部と位置合せされ、前記基部から0.98hの距離に位置する平面で測定した際の前記少なくとも1つのマイクロニードルの断面積が20平方マイクロメートル以上かつ前記少なくとも1つのマイクロニードルの基部面積より少ない、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記断面積が前記基部面積の25%以下である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのマイクロニードルが複数のマイクロニードルを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記平坦先端が100平方マイクロメートル以下の表面積を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記平坦先端が50平方マイクロメートル以下の表面積を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記少なくとも1つのマイクロニードルが前記第1の主面および最大基部寸法を超える高さを有しており、前記高さと前記最大基部寸法比はアスペクト比を定義しており、前記アスペクト比が2:1以上である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つのマイクロニードルが1種またはそれ以上のポリマーから形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項9】
前記1〜8のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスを提供することと、
患者の皮膚に前記少なくとも1つのマイクロニードルを接触することと、
前記マイクロニードルデバイスを前記皮膚に押し付けることとを含む、
マイクロニードルデバイスの使用方法。
【請求項10】
マイクロニードルデバイスを皮膚の送達部位近傍に配置し、
前記皮膚に対する面を有するピストンを加速する方法であって、
マイクロニードルアレイは表面から突出している複数のマイクロニードルを含み、
前記ピストンは、前記加速中、1秒当たり4メートル以上の最低速度と、1秒当たり10メートル以下の最大速度を有する、マイクロニードルデバイスを送達する方法。
【請求項11】
前記マイクロニードルデバイスが請求項1〜8のいずれか一項に記載のマイクロニードルデバイスを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
圧力カラーを前記マイクロニードルデバイス周囲の前記皮膚に押し付けることをさらに含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記圧力カラーが、同じく前記ピストンと前記ピストンに操作可能に接続された駆動部とを有する筐体に配置され、前記駆動部が前記ピストンを加速させる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記最低速度が6メートル/秒以上である、請求項10〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記最大速度が8メートル/秒以下である、請求項10〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ピストンが4グラム以下の質量を有している、請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ピストンが2グラム以下の質量を有している、請求項10〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記送達部位をマーキング組成物でマーキングすることをさらに含む、請求項10〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロニードルデバイスを有するマイクロニードル送達装置を提供することをさらに含み、前記マイクロニードルデバイスがピストンの面に取り付けられており、駆動部は前記ピストンに操作可能に接続されており、
マイクロニードルデバイスを加速することが、前記駆動部を用いて前記送達部位に向かって前記ピストンおよび前記取り付けられたマイクロニードルデバイスを加速することを含む、請求項10〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記マイクロニードル送達装置が、前記マイクロニードル送達装置の外部に配置される圧力カラーを有し、前記方法が、前記圧力カラーを送達部位周囲の皮膚に接触させることをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記圧力カラーが前記ピストンと前記駆動部とを含む筐体に配置される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ピストンおよび前記取り付けられたマイクロニードルデバイスが4グラム以下の合算質量を有している、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記ピストンおよび前記取り付けられたマイクロニードルデバイスが2グラム以下の合算質量を有している、請求項19〜21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記マイクロニードルデバイスを前記送達部位から除去し、前記送達部位に薬剤を適用することをさらに含む、請求項10〜23のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−147807(P2011−147807A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−85135(P2011−85135)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2005−505511(P2005−505511)の分割
【原出願日】平成15年7月10日(2003.7.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−85135(P2011−85135)
【出願日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【分割の表示】特願2005−505511(P2005−505511)の分割
【原出願日】平成15年7月10日(2003.7.10)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】
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