説明

マイクロニードル・アレイ・パッチ包装容器

【課題】マイクロニードル・アレイのパッチを製造した後使用するまでの間、密封条件下でマイクロニードル・アレイ・パッチの性能を損なわないように衛生的に保ち、かつ輸送過程における破損を防止する医薬品の包装形態を取った、取り扱いの容易なマイクロニードル・アレイ・パッチ用包装容器。
【解決手段】マイクロニードル12・アレイ・パッチ11包装容器は、PTP包装容器とPTP包装容器内でマイクロニードル・アレイ・パッチ周辺部と接触する球面に加工した円盤を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本考案はマイクロニードル・アレイ・パッチの包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
経皮的に投与を行っても吸収率が極めて低い薬物の吸収率を改善する製剤技術としてマイクロニードルが研究されている。マイクロニードルは、皮膚に刺しても痛みを感じないほどに微細化された針である。マイクロニードルの材質としては、従来の注射針と同じ金属の他、シリカ等が用いられている(特許文献1〜52)。
【0003】
これらのマイクロニードル・アレイは、注射針と同様の中空構造を有し、薬液を注入するタイプであったり、ポリ乳酸などの生分解性高分子製のマイクロニードル・アレイであったりする。さらに、生体内溶解性を有する物質を基剤とする自己溶解型のマイクロニードルも開発されている。すなわち、基剤に目的物質を保持させておき、皮膚に挿入された後、基剤が溶解することにより、目的物質を皮内に投与することができる。例えば、麦芽糖からなる基剤を有する自己溶解型のマイクロニードルが開示されている(特許文献1〜3、40〜43)。マイクロニードルを介して薬物を注入する装置、器具、あるいはマイクロニードルの素材、形状、製法などに関する特許も多数公知である(特許文献4、特許文献7乃至50)。
【0004】
本発明者は上記麦芽糖を基剤とするマイクロニードルの欠点を克服したマイクロニードルとして、水溶性の洩糸性高分子を基剤とするマイクロニードルを特許出願した(特許文献5)。当該発明は、遺伝子組み換え蛋白薬、ワクチン、遺伝子DNAなどの高分子薬、水溶性の難・低経皮吸収薬物など皮膚透過性が低いために従来の経皮投与では十分な効果が期待できない薬物の皮膚透過性を高めたものである。
【0005】
ここで、水溶性の難・低経皮吸収薬物とは、経皮吸収時の吸収率が数%あるいは数%以下という値を示す薬物をいう。より具体的には、アミノグリコシド系抗生物質、バンコマイシンなどのペプチド系抗生物質、ビタミンCなどである。
【0006】
さらに本発明者は水溶性の洩糸性高分子物質であるコンドロイチン硫酸、デキストラン、ヒアルロン酸などを基剤とするマイクロニードル・アレイの工業的製造法を発明して特許出願を行った(特許文献6)。さらに多層マイクロニードルを考案した(特許文献51)。
【0007】
また、本発明者は、ワクチン抗原などの高分子、インスリンなどのペプチド・蛋白薬を目的物質とし、コンドロイチン硫酸、デキストラン、ヒアルロン酸、などを基剤に用いて、長さ約500μm、底部直径約300μmのマイクロニードルを例えば1平方センチメートルのパッチ上に10行10列で100本構築したマイクロニードル・アレイを製造する方法を発明した(特許文献52)。さらにマイクロニードル・アレイの基盤を発明した(特許文献53)。また、マイクロニードル・アレイ・パッチの化粧品用収納ケースに関する実用新案も出されている。(非特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−238347号公報
【特許文献2】特開2005−154321号公報
【特許文献3】特開2005−152180号公報
【特許文献4】特表2006−500973号広報
【特許文献5】国際公開2006/080508号パンフレット
【特許文献6】特願2007−150574号公報
【特許文献7】特表2006−513811号公報(WO2005/044364号)
【特許文献8】特表2006−502831号公報(WO2004/035105号)
【特許文献9】特表2005−533625号公報(WO2004/009172号)
【特許文献10】特表2005−514179号公報(WO2003/059431号)
【特許文献11】特表2005−503194号公報(WO2002/100474号)
【特許文献12】特表2005−501615号公報(WO2003/020359号)
【特許文献13】特表2004−532698号公報(WO2002/100476号)
【特許文献14】特表2004−507371号公報(WO2002/017985号)
【特許文献15】特表2004−504120号公報(WO2002/007813号)
【特許文献16】特表2002−526273号公報(WO00/16833号)
【特許文献17】特開2008−46507号公報
【特許文献18】特開2008−29710号公報
【特許文献19】特開2008−29559号公報
【特許文献20】特開2008−6178号公報
【特許文献21】特開2007−130030号公報
【特許文献22】特開2006−335754号公報
【特許文献23】特開2005−246595号公報
【特許文献24】特表2007−523771号公報(WO2005/082596号)
【特許文献25】特表2007−511318号公報(WO2005/049107号)
【特許文献26】WO2007/030477号公報
【特許文献27】WO2004/000389号公報
【特許文献28】WO2007/091608号公報
【特許文献29】WO2007/116959号公報
【特許文献30】特開2008−011959号公報
【特許文献31】特開2008−074763号公報
【特許文献32】特開2008−125864号公報
【特許文献33】特開2008−237675号公報
【特許文献34】特開2008−296037号公報
【特許文献35】特開2009−061212号公報
【特許文献36】特開2009−072270号公報
【特許文献37】特開2009−078074号公報
【特許文献38】特表2009−501066号公報(WO2008/010681号)
【特許文献39】特表2009−502261号公報(WO2007/012144号)
【特許文献40】特開2009−254756号公報
【特許文献41】特開2009−273872号公報
【特許文献42】特開2009−201956号公報
【特許文献43】特開2009−273772号公報
【特許文献44】特開2009−233170号公報
【特許文献45】特開2009−241357号公報
【特許文献46】特開2009−241358号公報
【特許文献47】特開2009−254876号公報
【特許文献48】特表2009−507573号公報(WO2007/030477号)
【特許文献49】特表2009−533197号公報(WO2008/004781号)
【特許文献50】特表2009−540984号公報(WO2007/147671号)
【特許文献51】WO2009/066763号
【特許文献52】特開2009−195583号公報
【特許文献53】特願2010―031317号
【非特許文献1】登録実用新案第3152532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
医薬品用マイクロニードル・アレイのパッチを製造した後使用するまでの間、密封条件下でマイクロニードル・アレイの性能を損なわないように衛生的に保ち、かつ輸送過程における破損を防止する医薬品の包装形態を取った、取り扱いの容易なマイクロニードル・アレイ・パッチの包装容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
マイクロニードル・アレイ・パッチ包装容器は、PTP包装容器とPTP包装容器内でマイクロニードル・アレイ・パッチ周辺部と接触する球面に加工した円盤を有することを特徴とする。円盤の硬度により、パッチ上に形成したマイクロニードル部分を破損することなくマイクロニードル・アレイ・パッチを取り出すことが可能となる。医薬品用PTP包装を応用するので、製造後使用するまでの間、マイクロニードル・アレイ・パッチの性能を損なわないように衛生的に保ちかつ輸送過程における破損を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本包装容器を用いれば、マイクロニードル・アレイ・パッチを密封条件下で保存でき、輸送過程における破損を防止し、使用時にはマイクロニードルを破損することなく容器から容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1のマイクロニードル・アレイ・パッチ包装容器の断面図の例を示す図
【0013】
【図2】実施例2のマイクロニードル・アレイ・パッチ包装容器の断面図の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に実施例をあげて具体的な実施形態を説明する。もちろん、本考案は以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
(実施例1)
マイクロニードル・アレイ・パッチ包装容器において内腔の直径は21mm、高さは10mmで、その中に外径20mmの円盤で、その中心の直径16mmの部分に多数のマイクロニードルが配置されたマイクロニードル・アレイ・パッチ1個と球面を持つ円盤を包装する。このマイクロニードル・アレイ・パッチの包装容器の断面図を図1に示す。PTP包装容器の内側のアルミニウム箔にマイクロニードル・アレイ・パッチの裏面が接し、マイクロニードル・アレイ・パッチの表面のマイクロニードル部分以外に円盤の断端が接する。包装容器内に包装された円盤とマイクロニードル・アレイ・パッチはそのまま無菌状態で包装され、出荷される。
【0016】
(実施例2)
マイクロニードル・アレイ・パッチ包装容器において内腔の直径は21mm、高さは10mmで、その中に外径20mmの円盤で、その中心の直径16mmの部分に多数のマイクロニードルが配置されたマイクロニードル・アレイ・パッチ1個と球面を持つ円盤を包装する。円盤はマイクロニードル・アレイ・パッチの周辺部に施した段差部分にフィットすることによりマイクロニードル・アレイ・パッチの蓋となる。このマイクロニードル・アレイ・パッチの包装容器の断面図を図2に示す。PTP包装容器の内側のアルミニウム箔にマイクロニードル・アレイ・パッチの裏面が接する。包装容器内に包装された円盤とマイクロニードル・アレイ・パッチはそのまま無菌状態で包装され、出荷される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
製造したマイクロニードル・アレイ・パッチ製剤を医薬品用の包装形態をとって、輸送過程において壊れることなくまた衛生的に密封状態で患者に届けるとともに、使用時にマイクロニードルを損なうことなく容易に取り出すことのできる医薬品製剤用の包装容器が求められている。
【0018】
本発明によりマイクロニードル・アレイ・パッチを輸送過程で壊れることなく、衛生的に密封状態で患者に届けるとともに、使用時にマイクロニードルを損なうことなく容易に取り出すことのできる医薬品製剤用の包装容器を提供することができる。
【符号の説明】
【0019】
11 パッチ
12 マイクロニードル
13 円盤
14 PTP包装用フィルム
15 PTP包装用アルミ箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロニードル・アレイ・パッチとパッチ上に形成されたマイクロニードルを保護するための円盤を包装するPTP包装容器。
【請求項2】
請求項1の円盤において、球面を持ち、その断端がマイクロニードル・アレイ・パッチのマイクロニードル部分以外に接触する円盤。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の円盤において、ポリプロピレン、ポリエチレン又はポリ塩化ビニルからなり、円盤中心部の厚みは2から1mm、円盤周辺部の厚みは1mmで球面の上方よりマイクロニードル・アレイ・パッチを押し出す力により変形、破損しない円盤。
【請求項4】
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の円盤において、円盤がマイクロニードル・アレイ・パッチの周辺分に施した段差にフィットして蓋の役割を有する円盤。
【請求項5】
請求項1のPTP包装容器において、その内部は外部から遮断されており、湿度の変動や異物の侵入がないことを特徴とし、ポリプロピレン、環状ポリオレフィンまたはポリ塩化ビニルとアルミニウム箔よりなるPTP包装容器。
【請求項6】
マイクロニードル・アレイ・パッチ用PTP包装容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−189093(P2011−189093A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−65831(P2010−65831)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願変更の表示】意願2010−1648(D2010−1648)の変更
【原出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)本発明は独立行政法人科学技術振興機構が(株)バイオセレンタックに委託した平成20年度独創的シーズ展開事業 革新的ベンチャー活用開発一般プログラムに係る「2層マイクロニードル製造装置」の成果によるものであり、産業技術力強化法第19条の適用を受けるものである。
【出願人】(502414389)株式会社バイオセレンタック (24)
【Fターム(参考)】