マイクロ波エネルギーを用いた組織の非侵襲的処置のためのシステム、装置、方法、および手順
システムは、制御式エネルギー源、複数回使用アプリケータ、およびアプリケータにより担持された単回使用アプリケータ−組織界面を用いて、非侵襲的方式で、エネルギーを標的組織領域に印加する。システムは、治療効果を提供する規定の外傷パターンを形成するために、例えば、脇の下(腋窩)の汗腺の機能を抑制または中断するために、制御様式でエネルギーを生成および印加することができる。一実施形態において、外傷は、腋窩に形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第61/208,315号(2009年2月23日出願、名称「Systems, Apparatus, Methods And Procedures For The Noninvasive Treatment Of Tissue Using Microwave Energy」)の利益を主張する。該仮出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本願は、また、PCT国際出願PCT/US2008/013650号(2008年12月12日出願、名称「Systems, Apparatus, Methods And Procedures For The Noninvasive Treatment Of Tissue Using Microwave Energy」)の利益を主張する。該出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
本願は、また、米国仮特許出願第61/196,948号(2008年10月22日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue, Such As Sweat Glands」)の利益を主張する。該仮出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0004】
本願は、また、PCT国際出願PCT/US2009/002403号(2009年4月17日出願、名称「Systems, Apparatus, Methods and Procedures for the Noninvasive Treatment of Tissue Using Microwave Energy」)の利益を主張する。
【0005】
本願は、また、同時係属の米国仮特許出願第_______号(2009年10月16日出願、名称「Systems, Apparatus, Methods and Procedures for the Noninvasive Treatment of Tissue Using Microwave Energy」)の利益を主張する。
【0006】
本願は、また、同時係属の米国特許出願第12/107,025号(2008年4月21日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue,」)の一部継続出願であり、該出願は、米国仮特許出願第60/912,899号(2007年4月19日出願、名称「Methods And Apparatus For Reducing Sweat Production」)、米国仮特許出願第61/013,274号(2007年12月12日出願、名称「Methods, Devices And Systems For Non−invasive Delivery Of Microwave Therapy;」)、および米国仮特許出願第61/045,937号(2008年4月17日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue.」)の各々の利益を主張する。これら優先権出願の全ては、それらの全体が参照により援用される。
【0007】
同時係属の米国特許出願第12/107,025号は、また、PCT国際出願PCT/US08/60935号(2008年4月18日出願、名称「Methods And Apparatus For Sweat Production」)、PCT国際出願PCT/US08/60929号(2008年4月18日出願、名称「Methods, Devices And Systems For Non−invasive Delivery Of Microwave Therapy」)、PCT国際出願PCT/US08/60940号(2008年4月18日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue」)、およびPCT国際出願PCT/US08/60922号(2008年4月18日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue」)の各々に基づく優先権を主張する。
【0008】
上記優先権出願の全ては、それらの全体が参照により援用される。
【0009】
(技術分野)
本出願は、マイクロ波エネルギー含むエネルギーの非侵襲的送達のための方法、装置、およびシステムに関する。具体的には、本出願は、種々の治療結果および/または美的結果を達成するために、例えば、マイクロ波エネルギー等のエネルギーを、個体の表皮組織、真皮組織、および皮下組織に非侵襲的に送達するための方法、装置、およびシステムに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
エネルギーに基づく療法を全身の組織に適用して、多数の治療結果および/または美的結果を達成することが可能であることが知られている。これらのエネルギーに基づく治療の有効性の改善と、副作用または不快感を最小限に抑えた向上した治療結果の提供とが依然として継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
システムおよび方法は、制御式エネルギー源、アプリケータ、およびアプリケータにより担持されたアプリケータ−組織界面を用いて、非侵襲的方式で、エネルギーを標的組織領域に印加する。システムおよび方法は、治療効果を提供する規定の外傷パターンを形成するために、例えば、脇の下(腋窩)の汗腺の機能を抑制または中断するために、制御様式でエネルギーを生成および印加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、コンソール、アプリケータ、およびアプリケータ−組織界面を備える、所望の治療結果および/または美的結果を達成するために、非侵襲的方式で、エネルギー形態を生体組織に印加するためのシステムの斜視図である。
【図2】図2から4は、図1に示すコンソールの側面および後面斜視図である。
【図3】図2から4は、図1に示すコンソールの側面および後面斜視図である。
【図4】図2から4は、図1に示すコンソールの側面および後面斜視図である。
【図5】図5および図6は、図1に示すアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の斜視図であり、図5は、使用するためにアプリケータに接合されたアプリケータ−組織界面を示し、図6は、使用前または使用後にアプリケータから取り外されたアプリケータ−組織界面を示す。
【図6】図5および図6は、図1に示すアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の斜視図であり、図5は、使用するためにアプリケータに接合されたアプリケータ−組織界面を示し、図6は、使用前または使用後にアプリケータから取り外されたアプリケータ−組織界面を示す。
【図7】図7は、図5および図6に示すアプリケータの分解斜視図である。
【図8】図8は、図7に示すアプリケータの組み立て内部図である。
【図9】図9は、図7に示すアプリケータに搭載して担持された導波管アンテナアレイ、導波管クレードル、および冷却板の分解斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す導波管アンテナアレイ、導波管クレードル、および冷却板の組み立て斜視図である。
【図11】図11は、図10に示す導波管アンテナアレイ、導波管クレードル、および冷却板の部分切り欠き底面図である。
【図12A】図12Aは、図6に示すアプリケータ−組織界面の分解斜視図である。
【図12B】図12Bは、図12Aに示すアプリケータ−組織界面の組み立て側断面斜視図である。
【図13】図13は、使用するためのアプリケータの導波管アンテナアレイ、導波管クレードル、および冷却板に取り付けられたアプリケータ−組織界面の組み立て底面斜視図である。
【図14】図14Aおよび14Bは、チャンバ内に引き込まれた皮膚上に「ヒッキーパターン」を押し付け得る、その内部に沿った内部パターンを有する、アプリケータ−組織界面の上面および底面平面図である。
【図15】図15は、図1に示すシステムの概略図である。
【図16A】図16Aおよび16Bは、図1に示すように、アプリケータをコンソールに連結する特殊用途ケーブル組立体の一方の端部におけるカスタム設計された多機能プラグの図である。
【図16B】図16Aおよび16Bは、図1に示すように、アプリケータをコンソールに連結する特殊用途ケーブル組立体の一方の端部におけるカスタム設計された多機能プラグの図である。
【図16C】図16Cおよび16Dは、図1に示すように、アプリケータ−組織界面をコンソールに連結する真空トラップの図である。
【図16D】図16Cおよび16Dは、図1に示すように、アプリケータ−組織界面をコンソールに連結する真空トラップの図である。
【図17】図17および18は、図1に示すアプリケータに搭載して担持され得る順電力検出器および逆電力検出器の回路の略図である。
【図18】図17および18は、図1に示すアプリケータに搭載して担持され得る順電力検出器および逆電力検出器の回路の略図である。
【図19−1】図19Aは、アプリケータに搭載して担持されたLEDインジケータ板およびその機能性の斜視図である。
【図19−2】図19B、C、DおよびEは、図19Aに示すLEDインジケータ板を、アプリケータを保持する介護者に提示することができるLEDディスプレイの例証図である。
【図20】図20は、ヒトの皮膚の簡略化された解剖学的側断面図である。
【図21A】図21Aは、組織取得チャンバへの真空の印加前の、ヒトの皮膚と接触して配置されたアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の部分略側断面図である。
【図21B】図21Bは、治療のために皮膚をチャンバ内に引き込むための組織取得チャンバへの真空の印加後の、ヒトの皮膚と接触して配置されたアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の部分略側断面図である。
【図22A】図22Aは、治療のために皮膚をチャンバ内に引き込むための組織取得チャンバへの真空の印加後、および単一の導波管アンテナを通したエネルギーの印加後の、ヒトの皮膚と接触して配置されたアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の部分略側断面図である。
【図22B】図22Bは、図22Aに示すような単一の導波管アンテナを通したエネルギーの印加後に形成された外傷の略図である。
【図23A】図23Aは、治療のために皮膚をチャンバ内に引き込むための組織取得チャンバへの真空の印加後、および位相駆動モードで隣接する導波管アンテナを通したエネルギーの印加後の、ヒトの皮膚と接触して配置されたアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の部分略側断面図である。
【図23B】図23Bは、図22Aに示すような単一および隣接する導波管アンテナを通したエネルギーの連続的印加後に形成された外傷パターンの略図である。
【図24】図24Aおよび24Bは、本発明に従う方法および手順において使用するための代表的な処置テンプレートの図である。
【図25】図25は、使用説明書とともに、キットにおける図1に示すアプリケータおよびアプリケータ−組織界面のパッケージの斜視図である。
【図26】図26は、代表的グラフィカルユーザインターフェースの画面を示す、図1に示すディスプレイ画面の斜視図である。
【図27】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む
【図28】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む。
【図29】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む。
【図30】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む。
【図31】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む。
【図32】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図33】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図34】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図35】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図36】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図37】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図38】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図39】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図40】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図41】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図42】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図43】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図44】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図45】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図46】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図47】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図48】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図49】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図50】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図51】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図52】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図53】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図54】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図55】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図56】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図57】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図58】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図59】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、所望の治療結果および/または美的結果を達成するために、非侵襲的方式で、エネルギー形態を身体組織に印加するための種々のシステムおよび方法を開示する。説明するように、システムおよび方法は、例えば、皮膚状態、美的状態、腺状構造、血管構造、または毛包を処置するために、個体の表皮組織、真皮組織、および皮下組織を処置するのに特に適切である。このため、システムおよび方法は、このような文脈、具体的には、多汗症または過度の発汗を処置するために汗腺に対する電磁マイクロ波エネルギーの適用の文脈において説明される。
【0014】
なお、開示されたシステムおよび方法が、体内の他の場所の他の状態を処置するために、非侵襲的方式で、マイクロ波または他のエネルギー形態を印加する際の使用に適用可能であることが理解されたい。さらに、本明細書に含まれる本開示は、当業者が本発明を実施することを可能にするように詳述され、かつ的確であるが、開示された物理的実施形態は、本発明の技術的特徴を強調する代表的実施形態を例示するように意図される。本発明の技術的特徴は、他の具体的な構造において具現化され得る。好適な実施形態について説明しているが、詳細は、請求項において規定される本発明の技術的特徴から逸脱することなく変更され得る。
【0015】
(I.システム概要)
図1は、本発明の特徴を具現化する、非侵襲的方式でエネルギーを標的組織領域に印加するためのシステム10を示す。図1に示すように、システム10は、3つの主要構成要素を含む。これらは、システムコンソール12と、システムアプリケータ14と、システムアプリケータ14により担持されたアプリケータ−組織界面16とである。
【0016】
図1に示す例証的実施形態では、後にさらに詳述するように、システム10は、具体的には、所定の外傷パターン(例えば、図23B参照)を形成するように個体の脇の下(腋窩)にエネルギーを生成および印加するような大きさを有し、かつ構成される。外傷パターンは、例えば、脇の下の汗腺の機能を抑制または中断する役割を果たす。この例証的な配置では、システム10およびその使用方法は、例えば、腋窩多汗症または脇の下の発汗/臭気を処置する役割を果たすことができる。
【0017】
(A.システムコンソール)
例証的実施形態では、システムコンソール12は、反復再使用が可能である耐久品であり得る。図1から図4が示すように、システムコンソール12は、小型で、運搬用の車輪付きであり、かつ処置を受ける個体に並んで配置可能であるキャビネットまたは筺体を備える。コンソール内に収容された構成要素は、特定の処置機能に対応する。AC電源ケーブル18は、システムコンソール12内の構成要素を、標準的なAC電源差し込み口(図4参照)に連結する。システムコンソール12内の電力供給部(図15参照)は、システムコンソール12内に収容された構成要素への配電のために、電力を12VのDC電力に変換する。
【0018】
図示する実施形態では、特定のシステム機能には、エネルギー生成機能、組織取得機能、外傷作成機能、外傷制御機能が含まれる。
【0019】
(B.システムアプリケータ)
また、システムアプリケータ14も、反復再使用が可能である耐久品であり得る。システムアプリケータ14は、使用中に、介護者の手で便利に取り扱いおよび操作されるような大きさを有し、かつ構成され得る(図1参照)。図2および図3が示すように、システムアプリケータ14は、システムコンソール12上のホルスタ20に便利に置かれ得る。
【0020】
図1および図5から図8に示すように、システムアプリケータ14は、例えば、成形プラスチック材料から作製されたピストルグリップ型筺体を備える。筺体内に担持されるものは、導波管アンテナアレイ22(図7から図11参照)である。図示する実施形態では、導波管アンテナアレイ22は、4つの導波管アンテナ24を備える。アンテナ24の数が、処置対象に従って変動してもよいことを理解されたい。
【0021】
使用中、導波管アンテナアレイ22は、エネルギー生成機能により提供されたエネルギーを放射する。
【0022】
また、アプリケータ14における構成要素は、システムコンソール12内に収容された構成要素と連携して作用して、外傷生成機能および外傷制御機能を実行する。より具体的には、後にさらに詳述するように、コンソール12内で制御される外傷生成機能は、アプリケータ14におけるマイクロ波スイッチ26(図7参照)を動作させて、標的組織領域において所望の外傷パターンを形成するように(図23Bに示すように)、アプリケータ14におけるアンテナ24によるエネルギーの放射を同期させる。さらに、これも後にさらに詳述するように、コンソール12内で制御される外傷制御機能は、標的組織領域と熱伝導接触する、アプリケータ14における冷却版28(図7参照)に循環される冷却剤を提供する。冷却板28の温度状態は、標的組織領域における外傷の拡大を制御する。
【0023】
例えば、親指で作動され得る、システムアプリケータ14上の「トリガ」スイッチ30(図7参照)によって、処置の開始および終了に対する直接的な制御、オーバーライド、およびシステムコンソール12の主制御器の包括的制御が介護者に与えられる。代替として、または組み合わせて、同じ目的のために足踏みペダル制御スイッチ32を設けてもよい(図1参照)。特殊用途ケーブル組立体34(図1および図16A/B参照)は、システムアプリケータ14に収容された構成要素を、システムコンソール12内に収容された構成要素に連結する。特殊用途ケーブル組立体34は、システムコンソール12上の専用接続部38に連結する特注設計の多機能プラグ36を含む。
【0024】
(C.アプリケータ−組織界面)
アプリケータ−組織界面16は、単回使用の使い捨て品であり得る。より具体的には、図6、図12A/B、および図13に示すように、界面16は、使用中に、システムアプリケータ14に一時的に連結され(例えば、ラッチ機構40によって)、次いで、図6に示すように、使用後に、処分するために取り外されるような大きさを有し、かつ構成され得る。本配置では、アプリケータ−組織界面16は、使用の発生後、システムアプリケータ14から取り外され、廃棄され、次の使用の発生前に、別の未使用のアプリケータ−組織界面16に取り換えられることができる。
【0025】
使用中(例えば、図21Aおよび図21B参照)、アプリケータ−組織界面16は、標的組織領域に接触し、導波管アンテナアレイ22により放射されたエネルギーを組織に通過させる。また、アプリケータ−組織界面16における構成要素も、システムコンソール12内に収容された構成要素と連携して作用して、組織取得機能を実行する。このために、アプリケータ−組織界面16は、組織取得チャンバ42を含み、組織取得チャンバ42内に、真皮および角皮下層を上昇させるように組織が引き込まれ、エネルギーが導波管アンテナアレイ22から印加される際に、冷却板28と熱伝導接触する標的組織領域を局所的に集中させ、および安定化させる。図示する実施形態では、組織取得機能は、組織取得チャンバ42に対する真空の印加を含む。このために、真空供給導管44が、アプリケータ−組織界面16に収容された構成要素を、システムコンソール12内に収容された構成要素に連結する。真空供給導管44は、システムコンソール12上の専用接続部48内に差し込まれる。
【0026】
組織取得機能によって制御される場合、アプリケータ−組織界面16による真空の印加によって、処置する組織を取得する際に、均一性および一貫性が提供される。これによって、所定の介護者によるアプリケータの操作の違いおよび/または処置を受ける組織形態の違いに起因して発生し得る処置の変動性が低下する。
【0027】
また、アプリケータ−組織界面16は、多機能生体障壁50(図12A参照)も含む。後にさらに詳述するように、多機能生体障壁50は、標的組織領域に存在し得る生理的液体(例えば、血液および汗)との接触およびそれによる汚染から、アプリケータ14およびコンソール12における動作構成要素を隔離する。多機能生体障壁50は、処置を受ける組織領域の生理的状態から、システム10の耐久性電気的および機械的構成要素(例えば、アプリケータ14およびコンソール12)を実質的に隔離し、その反対も同様である。
【0028】
(II.システムの機能)
説明するように、システムコンソール12に搭載して収容された主制御器58(図15参照)は、システム10による特定のエネルギー生成機能、組織取得機能、外傷作成機能、および外傷制御機能の実行全体を監視、制御、および調整する。搭載主制御器58は、出力、ならびにシステムアプリケータおよびアプリケータ14内の導波管アンテナ24への波形の印加の順序を包括的に設定および制御する役割を果たす。また、搭載主制御器58は、動作状態を監視し、既定のエラーまたは境界外の状態の発生時にアラームを開始する。
【0029】
アプリケータ14内に収容されたアプリケータ制御盤60(例えば、図7および図15参照)は、主制御器58と通信し、アプリケータ14により実行されるエネルギー生成機能、外傷作成機能、および外傷制御機能に対応するように、主制御器58によって制御される。
【0030】
また、主制御器58は、グラフィカルユーザインターフェース62(例えば、図26参照)も実装し得る。グラフィカルユーザインターフェース62は、システムコンソール12上で間接接合するディスプレイ画面64上に生成され得る(図1および図3に図示するように)。グラフィカルユーザインターフェース62は、状況および動作情報を介護者に伝達し、介護者が、制御入力を提供することを可能にする。ディスプレイ画面64上のグラフィカルユーザインターフェース62は、制御およびアラーム状態を介護者に通信し、介護者からのタッチスクリーンインタラクションおよび入力を可能にする。代表的なグラフィカルユーザインターフェース62のさらなる詳細については後述する(具体的には、図27から図59に示される)。
【0031】
次に、エネルギー生成機能、組織取得機能、外傷作成機能、および外傷制御機能、ならびにこれらの機能を実行するコンソール12、アプリケータ14、およびアプリケータ−組織界面16上の主要な連携構成要素について、個々により詳細に論じる。
【0032】
(A.エネルギー生成機能)
システムコンソール12に搭載して担持された構成要素(図15参照)は、標的組織領域における所望の治療目的を達成するように選択されたエネルギー波形を生成する。これらの構成要素は、マイクロ波生成器66(Broadband Wireless、Model Number BW−5800−125−HS)を含む。システムコンソール12に搭載の主制御器58は、所定のシステムの治療目的に従って、マイクロ波生成器66の出力を設定および/または変動する事前にプログラミングされたルールまたは論理を含む。
【0033】
多汗症を処置する治療目的の場合、主制御器58の制御下にあるマイクロ波生成器66は、処置時に、約5.8GHzを中心とする周波数で、5.775GHzから5.825GHzのISMバンドにあるマイクロ波信号を生成し得る。当然ながら、他の波形またはこの波形の変動を、波形生成機能による生成のために選択することができる。特殊用途ケーブル組立体34におけるマイクロ波ケーブル68は、マイクロ波信号をシステムアプリケータ14に連結する。
【0034】
主制御器58は、マイクロ波信号の出力を、約40ワットから約100ワットの間に設定し得、この場合、出力は、50オームの負荷で測定される。別の例として、主制御器58は、50オームの負荷に測定される約55ワットに出力を設定し得る。出力は、目的周波数においてシステムアプリケータ14の適切な出力を提供するために、システムアプリケータ14、特殊用途ケーブル組立体34、およびアプリケータ−組織界面16のインピーダンスに一致され得る。
【0035】
システムアプリケータ14は、導波管アンテナアレイ22(図9および図10参照)を担持する。また、アプリケータは、特殊用途ケーブル組立体34のマイクロ波ケーブル68に連結されたマイクロ波スイッチ26(図7および図8参照)を担持する。スイッチ26からの供給コネクタ70は、導波管アンテナアレイ22の4つの導波管アンテナ24に連結する(図8参照)。
【0036】
システムコンソール12に搭載の主制御器58は、既定のパターンでマイクロ波信号を導波管アンテナ24に分配するために、事前にプログラミングされたルールまたは論理を含む。アプリケータメインボード60上の事前にプログラミングされたルールまたは論理は、制御信号パターンを、アプリケータ14におけるマイクロ波スイッチ26に通信される切り替え信号に変換する。それに応答して、アンテナ24は、既定のパターン(外傷生成機能によって制御される)で、アプリケータ−組織界面16を通してマイクロ波信号を放射して、標的組織領域に既定の外傷パターンを形成する(例えば、図23Bに図示するように)。
【0037】
導波管アンテナアレイ22の組立体は、変動することができる。代表的な図示する実施形態(特に、図9および図10参照)では、導波管アンテナ24のアレイは、アンテナクレードル72および導波管組立体74によって、システムアプリケータ14内に支持される。アンテナクレードル72上に支持された冷却板28は、アプリケータ−組織界面16に対向する。後にさらに詳述するように、冷却板28は、例えば、印加されたマイクロ波エネルギーによって外傷が形成される際に皮膚表面に外傷が拡大することを防止することによって、外傷形成を制御する役割を果たし得る、主制御器58により制御された冷却システムの1つの構成要素である。
【0038】
図示する実施形態(図9参照)では、導波管組立体は、導波管アンテナ24間に配置されたスペーサ76(例えば、銅またはアルミニウムシム等の金属材料であり得る)を含む。スペーサ76の厚さは、例えば、隣接する導波管アンテナ24が、出力を放射するようにコマンドを受ける際に印加された出力分配パターンの形状を操作するように選択される(後にさらに詳述するように、位相起動モードと呼ばれる)。図9に示すように、導波管アンテナアレイ22における導波管アンテナ24の高さは、供給コネクタ70へのアクセスを容易にするように交互に配置される。各導波管アンテナ24は、誘電中心領域を金属材料、例えば、銅またはニッケルでコーティングすることによって製造され得る。金属材料の厚さは、最小でも、目的周波数、例えば、5.8GHzにおいて印加されたマイクロ波エネルギーの皮膚深さに対応し得る。典型的には、厚さは、有意に大きく、例えば、0.00025インチ以上である。
【0039】
図示する実施形態(図9参照)では、各導波管アンテナ24は、少なくとも1つの散乱要素78を含み得、散乱要素78は、アンテナアパーチャと呼ぶこともできる、導波管アンテナ24の下側の組織対向表面から突出する。散乱要素78は、外傷のサイズおよび形状を最適化するような大きさを有し、かつ構成される。図示する実施形態では、各散乱要素78は、それぞれの導波管アンテナアパーチャの略中心から組織に向かって突出する。さらに、代替実施形態では、散乱要素78は、導波管アンテナアパーチャ上の中心に位置する必要はない。散乱要素78は、アパーチャから約1mm突出し得る。
【0040】
図示する実施形態(図9参照)では、中間散乱要素80が、導波管アンテナ24間に配置され得る。中間散乱要素80は、例えば、組織における比吸収率(SAR)パターンを改善することによって、導波管アンテナ24間の皮膚に発生する外傷のサイズおよび形状を最適化するような大きさを有し、かつ構成され得る。中間散乱要素80の材料、サイズ、および構成を変更することによって、導波管アンテナ24により組織に作成される外傷は、治療目的に応じて、より大きくかつより発散されるか、または(逆に)より狭く作製されることができる。例えば、中間散乱要素80の誘電率の増加によって、導波管アンテナ24間の皮膚に作成される外傷のサイズは減少し得、その反対も同様である。
【0041】
中間散乱要素80は、例えば、アルミナから、または約96%アルミナである材料から製造され得る。代替として、中間散乱要素80は、例えば、シリコーンまたは射出成形シリコーンから製造され得る。中間散乱要素80は、散乱要素78とほぼ同一の誘電率、例えば、約10の誘電率、より好ましくは、約3の誘電率を有する材料から製造され得る。
【0042】
中間散乱要素80は、導波管アンテナ24のアパーチャ間の分離距離より若干広い距離を超えない幅を有するようにサイズを有し得、放射されたエネルギーを実質的に干渉しないようにする。中間散乱要素80は、放射されたマイクロ波場を修正および/または広げるような大きさを有し、かつ構成され得る。
【0043】
代表的実施形態では、中間散乱要素80は、散乱要素78の長さよりも短い最適長さ、例えば、約7mmの長さ、より好ましくは6.3mmの長さを有し得る。
【0044】
(1.組織取得機能)
システムコンソール12上に担持された構成要素(図15参照)は、真空供給導管44によってアプリケータ−組織界面16に連通される陰圧を生成する。後にさらに詳述するように(概して、図12Bに図示するように)、アプリケータ−組織界面16は、ポート82を有する形成型組織取得チャンバ42を含み、ポート82を通して、陰圧が真空供給導管44によって向けられ、図21Bが示すように、組織を取得チャンバ42内に引き込む。取得チャンバ42における組織に印加された陰圧は、マイクロ波エネルギーが印加されている間、組織を局所的に集中し、および安定化する。
【0045】
組織取得機能は、種々の方式で組織取得チャンバ42と連携して達成されることができる。図示する実施形態(図15参照)では、組織取得機能は、一方向逆止め弁86およびアキュムレータ(貯蔵器)88を介してソレノイド真空弁90に連結されたモータ駆動式真空ポンプ84を含む。真空ポンプ84とアキュムレータ88との間の逆止め弁86によって、追加の真空を必要としない場合に、真空ポンプ84を閉めることが可能になる。アキュムレータ(貯蔵器)88は、大容量の真空を提供するために、例えば、少なくとも30立方インチの体積を収容し得る。
【0046】
真空ポンプ84は、例えば、ブラシレスDCモータ(Air Squared Model No. V11H12N2.5)を有するスクロール真空ポンプを備え得る。ソレノイド真空弁90は、例えば、3方向で、通常閉鎖され、大気に排出されるソレノイド弁(Model LW53KK8DGBG12/DC、Peter Paul Electronics, Co.)を備え得る。真空ポンプ84は、適切な組織取得のために、例えば、マイナス20インチからマイナス22インチHgの真空レベルを維持する。
【0047】
図15が示すように、モータ駆動式真空ポンプ84は、システムコンソール12内の電力供給部および電力プリント配線板(PCB)を通して電力を受信し得る。また、ソレノイド真空弁90は、システムコンソール12に搭載の主制御器58に連結され、かつそれにより制御され、その動作が、マイクロ波エネルギーの生成および印加、ならびにシステム10の他の機能について、主制御器58によって調整されることができるようになる。
【0048】
モータ駆動式真空ポンプ84は、陰圧を生成する。ソレノイド真空弁90は、真空供給導管44と連通する。主制御器58によって開放されると、ソレノイド真空弁90は、真空ポンプ84によって生成された陰圧を、アプリケータ−組織界面16の組織取得チャンバ42に伝達する。ソレノイド真空弁90を閉鎖することによって、アプリケータ−組織界面16への陰圧の供給が中断される。
【0049】
次に、図12Aおよび図12Bを参照すると、アプリケータ−組織界面16は、医療グレード硬質または半硬質プラスチック材料、例えば、ポリカーボネートから形成された本体92を備え得る。本体92は、例えば、ボウル形状に成形することによって形成され得る。ラッチ組立体40は、システムアプリケータ14上の嵌合取り付け部材94(例えば、図5参照)に連結するように、本体92上に一体的に形成されることができ、使用時に、アプリケータ−組織界面16をシステムアプリケータ14に締結し、使用後に、界面をシステムアプリケータ14から外すようにする(図5および図6に図示するように)。
【0050】
ボウル状本体92(図12Bに最も良く示される)内において、導波管ホルダガスケット96が、ボウルに形成された外周フランジ98上に着座される。導波管ホルダガスケット96は、界面本体92がシステムアプリケータ14に締結される場合に(図13参照)、導波管組立体の裏面上の冷却板28の外周に対して、液密で圧密のシールを形成するような大きさを有し、かつ構成される。
【0051】
ボウル状本体92(図12Aおよび図12B参照)内において、導波管ホルダガスケット96の下および内側の空間は、組織界面表面100である。図示する実施形態(図12Aに最も良く示される)では、組織界面表面100は、上側および下側の重ね合わせ接着パネル104を有するフレーム102を備える。第1の生体障壁構成要素52は、上側接着パネル上に装着され、下側接着パネルは、導波管ホルダガスケット96が外周を囲むボウルにおける界面表面支持に接着する。
【0052】
使用中、処置を受ける組織は、冷却板28の少なくとも一部分と熱的接触する第1の生体障壁構成要素52と接触する。第1の生体障壁構成要素52は、アプリケータ−組織界面16の多機能生体障壁50の一部分を形成する。第1の生体障壁構成要素52は、エネルギーが導波管アンテナアレイ22から印加される際に組織取得チャンバ42内で取得された組織が接触する、実際の組織表面界面を備える。第1の生体障壁52は、異なるが、重複する物理的基準に基づいて選択される材料を備える。
【0053】
第1の生体障壁構成要素52の選択基準の1つとして、組織取得チャンバ42に存在し得る血液および/または汗等の、気体および液体の両方に対して実質的に不透過性であることが挙げられる。組織取得機能が真空を印加して、組織取得チャンバ42内の組織を第1の生体障壁構成要素52と接触させるように引き込むため、第1の生体障壁構成要素52は、標的組織領域における生理的液体との接触およびそれによる汚染から、アプリケータ14における構成要素を隔離する。
【0054】
第1の生体障壁構成要素52の重複選択基準として、その厚さを考慮して、材料が、必要な低マイクロ波伝導率を有し、材料が、導波管アンテナアレイ22により放射されたマイクロ波エネルギーを、組織取得チャンバ42内に取得された標的組織領域に、最小エネルギー吸収で、効率的に通過させるようにすることが挙げられる。本特徴は、0.1以下、より望ましくは約0.0004の損失正接tanδ、として表現されることができる。
【0055】
損失正接tanδは、伝導率σと類似するが、以下のように、材料の誘電率も考慮する。
tanδ=σ/ωε
式中、ωは周波数であり、
εは、誘電率である。
【0056】
例えば、5.8Ghzでは、0.1以下に同等であるtanδに対応する、第1の生体障壁構成要素52としての使用に適切な伝導率σの範囲は、σ=0.0から0.2ジーメンス/メートルであり得る。
【0057】
第1の生体障壁構成要素52の別の重複選択基準として、その厚さを考慮して、材料が、必要高熱伝導率を有し、組織取得チャンバ42内に取得する標的組織領域と、冷却板28との間の熱伝導を発生させることを効率的に可能にすることが挙げられる。例えば、選択される材料は、メートル・ケルビン当たり少なくとも0.1ワット(0.1W/mK)、望ましくは0.1W/mKから0.6W/mK、最も望ましくは0.25W/mKから0.45W/mKの熱伝導率を有するべきである。
【0058】
第1の生体障壁構成要素52の別の重複選択基準として、その厚さを考慮して、材料が、必要高熱伝達係数を有することが挙げられる。熱伝達係数は、材料の熱伝導率を材料の厚さで割ることによって表現されることができる。例えば、熱伝導率が0.1で厚さが0.0005インチの第1の生体障壁構成要素52では、熱伝達係数は、約7874W/m2Kであり得る。
【0059】
第1の生体障壁構成要素52の他の重複選択基準として、材料が、冷却板28の表面に一致するように十分可撓性であるとともに、また、真空圧または組織との接触に起因する引き裂きに抵抗するように十分強力であることが挙げられる。
【0060】
この点に関し、第1の生体障壁構成要素52は、非多孔質膜、例えば、ポリエチレンフィルム、ナイロン、または他の適切な材料であり得る。第1の生体障壁構成要素52は、皮膚とのコンプライアントな接触のために、望ましくは、可撓性および軟性である。第1の生体障壁構成要素52は、例えば、Fisher Scientificから入手可能であるポリエチレンフィルムまたは(代替として)マイラーフィルムを備えることができる。生体障壁構成要素52は、厚さが、例えば、約0.0005インチであることができる。
【0061】
また、アプリケータ−組織界面本体92は、アプリケータ−組織界面表面の外周の周囲の本体から増加する直径を有する下方に垂れるスカート106(図12A/Bおよび図13参照)も含む。下方に垂れるスカート106は、アプリケータ−組織界面16の第1の生体障壁構成要素52に至る(図13参照)略じょうご状の開放内部面積またはチャンバを画定する。このチャンバは、前述の組織取得チャンバ42を画定する。スカート106は、コンプライアントな医療グレードプラスチック材料(例えば、ウレタン、またはシリコーン、または天然もしくは合成ゴム、またはエラストマ材料等の熱可塑性エラストマ(TPE))を備え得、外部皮膚表面に対して不自由なく存在するような大きさを有し、かつ構成され得る。組織表面に対して圧迫するように十分な圧力で押圧すると(図21A参照)、スカート106の外周は、組織取得チャンバ42の周囲に略液密で圧密のシールを形成する。
【0062】
スカート106は、後により詳細に説明するように、界面の操作中に、介護者に参照位置決め点を提供するように、スカート106の各側面上に配置された整合部材108(図5参照)を含み得る。スカート106のじょうご状の輪郭は、システムアプリケータ14に取り付けられたアプリケータ−組織界面16を介護者が操作する間に、整合部材108の直接視認を介護者に与えるスカート角度を提供し得る。
【0063】
図12Aが示すように、システムコンソール12の組織取得機能(図15も参照)と連通する真空供給導管44は、アプリケータ−組織界面16の本体上に形成されたポートに連結される。ポートは、アプリケータ−組織界面表面に隣接する組織取得チャンバ42と連通する、本体に形成された真空チャネル110(図12Aおよび図12B参照)と連通する。真空チャネル110は、アプリケータ−組織界面表面において、またはその付近で、組織取得チャネルを円周方向に取り囲み得る。真空チャネル110は、アプリケータ−組織界面表面に隣接する組織取得チャンバ42に均一に陰圧を伝達するように、真空チャネルに沿って形成された離間アパーチャまたはポート82を含み得る(図12B参照)(例えば、4つのポートであって、アプリケータ−組織界面表面の各側面に隣接して1つ)。ポート82は、皮膚をチャンバ内に吸引し、冷却板28と熱伝導接触する第1の生体障壁構成要素52に対して皮膚を配置する(図21Bに示すように)。
【0064】
組織界面表面100/52のフレーム102およびパネル104は、組み立て時に、組織取得チャンバ42と連通する真空バランス経路を形成するように位置合わせする形成型アパーチャ112(図12A参照)を含み得る。チャンバ42に印加された陰圧は、界面表面100/52の両側の圧力を均一にするように、真空バランス経路112を通して界面表面100/52の反対側に伝達される。
【0065】
アプリケータ−組織界面16の多機能生体障壁50の第2の生体障壁構成要素54は、望ましくは、真空バランス経路112を占有する。真空バランス経路112における第2の生体障壁構成要素54(「真空バランス生体障壁構成要素」とも呼ばれることができる)は、液体に対して実質的に不浸透性であるが、気体に対してはそうではない材料を備える。真空バランス生体障壁構成要素54は、組織取得チャンバ42に存在し得る血液および/または汗等の生理的液体が、真空バランス経路112を通してアプリケータ14の内部に運ばれることを防止する。第2の生体障壁構成要素54の候補材料は、取得チャンバ42からシステムアプリケータ14に生体液体を通過させることなく、システムアプリケータ側および表面の界面側上の真空圧力を実質的に均一にするように、気体を通過させるに十分な孔(例えば、0.45μm)を含み得る。第2の生体障壁構成要素54は、例えば、PTFE(テフロン(登録商標))材料から作製された疎水性膜を備え得る。第2の生体障壁構成要素54は、厚さが、例えば、約0.005インチであることができる。
【0066】
真空チャネルに沿って形成された離間アパーチャまたはポート82は、チャンバ42内に引き込まれた皮膚上に「ヒッキーパターン」を押し付けることができる、その内部に沿った内部パターン114を含み得る(図14Aおよび図14B参照)。外傷に伴う「ヒッキーパターン」の存在によって、標的組織領域において連続する外傷を正確に配置するように、システムアプリケータ14の連続的な配置について介護者を導くことに役立つことができる。また、「ヒッキーパターン」における不一致は、パターンにおける間隙および逸したスポットを戻すまたは充填する必要性を標示するために、外傷パターンにおける間隙または誤って配置された外傷について介護者に警告し得る。内部パターン114は、表面接触を断ち、かつ皮膚が真空アパーチャまたはポートを塞ぐことを防止するのに役立ち得る切り欠きを画定する。
【0067】
代表的実施形態では、組織取得チャンバ42は、約1.54インチx約0.7インチの寸法を有し、約0.177インチ(4.5mm)の深さを有する(スカートを含まない)。スカート106を含むと、組織取得チャンバ42の深さは、コンプライアントなスカート106が真空の印加により組織に対して圧迫される程度に応じて、約6.5mmから11mmの間であることができる。本発明のある実施形態によると、組織取得チャンバ42の4つの角は、0.1875インチの半径を有し得る。
【0068】
本配置では、組織界面表面100/52の反対側上の導波管アンテナアレイ22は、4つのアンテナ24を含み、約1.34インチx約0.628インチの寸法を有する。導波管アンテナアレイ22および組織取得チャンバ42の寸法は、望ましくは、導波管アンテナアレイ22の縁で形成する漂遊磁界を最小化するとともに、組織界面表面の有効冷却面積を最適化するように最適化される。組織取得チャンバ42は、望ましくは、冷却またはエネルギー伝達に悪影響を及ぼさずに、組織取得を容易にするように最適化される。
【0069】
真空供給導管44は、処置過程中に漏れる液体(例えば、汗または血液)を収集し得る。このため、アプリケータ−組織界面16の多機能生体障壁50の第3の生体障壁構成要素56は、真空供給導管44と並んでアプリケータ−組織界面16の上流に配置される(図15参照、また、概して図1にも示される)。第3の生体障壁構成要素56は、液体に対して実質的に不浸透性であるが、気体に対してはそうではないように選択される。第3の生体障壁構成要素56は、システムコンソール12から液体を避けるために、例えば、疎水性フィルタ(例えば、Milliporeから入手可能である0.45μmの疎水性PTFEから作製されたMillex FHフィルタ)を備えることができる。疎水性フィルタは、例えば、約10ポンド/平方インチで約13.4立方フィート/分の気流に対応することによって、さらに特徴付けられることができる。
【0070】
第3の生体障壁構成要素56は、代替として、図16Cおよび図16Dに示すように、インライン真空トラップを備えることができる。真空トラップは、真空入口ポート118(真空供給導管44が連通する)および真空出口ポート120(コンソール12上の接続部48内に差し込む)を画定する形成された筺体116を含み得る。筺体116は、内部チャンバ122を画定し、そこで、入口ポート118と出口ポート120との間の真空流が、アプリケータ−組織界面16からシステムコンソール12に横断しなければならない。筺体116の外部上の中心隆起124は、例えば、真空供給コネクタ118を嵌合コンソール真空供給レセプタクル48内に差し込みおよびそれから取り外しする間に、介護者が真空トラップを保持および操作するための把持表面を提供し得る。
【0071】
チャンバ122は、入口ポート118と連通する入口側128、および出口ポート120と連通する出口側130に、内壁126によって区切られる。内壁130における1つ以上のアパーチャ132は、チャンバ122の入口側128と出口側130との間の流動連通の経路を画定する。
【0072】
バッフル板134は、チャンバ122の入口側128と外側130との間の内壁16を通るアパーチャ132を通る真空流を妨げる。真空流は、チャンバ122を通過するために、バッフル板134の周囲で向きを変えなければならない。環状バッフル136の列が、チャンバ122の入口側128の周囲に円周方向にさらに配置される。バッフル板134および環状バッフル136は、蛇行性経路の列を形成し、その列を通して、チャンバを通過する真空流は、進まなければならない。真空流中の空気は、方向を容易に変更して、蛇行性経路を進む。真空流により運ばれた生理的液体は、進まないが、代わりに、チャンバ122を通して蛇行性経路の隅および割れ目に重力により捕捉される。これによって、真空トラップは、生理的液体が、出口ポート120からコンソール12内に通過することを防止する。
【0073】
(2.外傷作成機能)
後にさらに詳述するように、導波管アンテナ24を通して、組織取得チャンバ42内に取得された組織に印加されるマイクロ波信号は、概して図23Bに示すように、標的組織領域において外傷を作成する。多汗症の処置の際、外傷は、皮膚の真皮下層および/または真皮/角皮下層に形成され得る。システムコンソール12に搭載して担持された構成要素は、アプリケータ14に搭載して担持されたマイクロ波スイッチ26を制御して、図23Bが図示するように、選択されたパターンで外傷を形成するように、規定の方式で導波管アンテナ24によるマイクロ波信号の印加を順序付ける。パターンは、システム10の治療目的の達成をもたらすように選択される。
【0074】
((iv)外傷制御機能)
システムコンソール12に搭載して担持された構成要素(図15参照)は、概して図10および図11に示すように、システムアプリケータ14に担持された導波管アンテナアレイ22と組織冷却板28との間の冷却剤経路を通して、冷却液を生成および循環させる。組織冷却板28は、真皮/角皮下層に形成される外傷が表皮側に拡大することを防止することによって、アプリケータ−組織界面16に係合された皮膚(図21B参照)の熱損傷を防止する。
【0075】
冷却液には、例えば、水、脱イオン水、または他の適切な流体が含まれ得る。
【0076】
外傷制御機能は、種々の方式で達成されることができる。図示する実施形態(図15参照)では、外傷制御機能は、ペルチェ効果熱電冷却器(TEC)138を含む。図15が示すように、TEC138は、システムコンソール12に搭載して担持された電力供給部および電力プリント配線板を通して電力を受信し、TEC138を含む構成要素により生成された熱をコンソール12から伝達するためにコンソール12内で気体を循環させる吸入ファンおよび冷却ファン140も同様である。TEC138は、コンソール12に搭載の貯蔵器142において冷却剤を冷却する。送水ポンプ144(これも、電力配線を介して電力を引き込む)は、冷却された冷却剤を貯蔵器142から伝達する。冷却された冷却剤は、導波管アンテナクレードル72内、およびシステムアプリケータ14に担持された導波管アンテナアレイ22と組織冷却板28との間の冷却剤経路148(図10および図11参照)を通して冷却剤供給線146によって循環される。冷却剤は、冷却剤戻し線150によって貯蔵器142に戻される。冷却剤供給線146および冷却剤戻し線150は、アプリケータ14への特殊用途ケーブル組立体34を通って延在する(図16Aおよび図16B参照)。冷却液殺菌灯152(例えば、253.7nm)は、流体線を詰まらせ、アプリケータ12における冷却剤の流動を減少させ得る冷却剤中の微生物汚染物質の増殖を防止するために設けられ得る。冷却液殺菌灯152は、定期的に、例えば、各電源オンサイクルまたは各冷却剤補充の後のある時間(例えば、10分)の間、作動され得る。
【0077】
図15が示すように、TEC138は、主制御器58に連結され、かつそれによって制御され得、その動作(組織取得機能の構成要素の動作等)が、マイクロ波エネルギーの生成および印加について、主制御器58によって調整されることができるようになる。
【0078】
図示する実施形態では、冷却板28は、散乱要素78(図10および図11参照)の端子面に対して存在するが、代替実施形態では、散乱要素の端子面は、冷却板28と接触しないように離間されることができる。導波管アンテナアレイ22の冷却経路は、冷却板28と各導波管アンテナ24との間の空間に形成され、その中に散乱要素78が突出する。冷却剤は、これらの経路148を通して循環され、各導波管アンテナ24を個々に、および冷却板28を全体的に冷却する。
【0079】
これらの経路148からの冷却剤の流量は、例えば、約425ミリリットル/分+/−45ミリリットル/分であることができる。望ましくは、経路148は、各導波管アンテナ24に沿った冷却剤の流量が、実質的に同一であるような大きさを有し、かつ構成される。冷却剤の温度は、例えば、摂氏約8度から摂氏約22度の間、好ましくは摂氏約15度であることができる。
【0080】
散乱要素78は、冷却剤経路148の少なくとも一部分内に延出し得る。冷却経路148が、経路148中の気泡の生成および/または増大を減少させるために、図9、図10、および図11に示すように、平滑化または円形化または成形されることが望ましい。散乱要素78は、例えば、「切り子面のある」またはテーパ状の端部を有して、卵形またはレーストラックまたは楕円六角形の形状で形成され得る(図9から図11参照)。親水性コーティングを冷却経路148の一部または全部に使用して、例えば、泡の形成を減少させてもよい。
【0081】
また、導波管アンテナアレイ22に関連付けられた中間散乱要素80も、アンテナアパーチャ間の冷却剤経路148に配置され得る。本配置では、中間散乱要素80は、冷却板28における均一な冷却を容易にするように配置され得るが、その主要な機能が、例えば、位相駆動モードにおける外傷サイズおよび形状に影響を及ぼすことであることに留意されたい。中間散乱要素80は、導波管アンテナ24のアパーチャ間の分離距離より若干広い距離を超えない幅を有するようにサイズを有し得、放射されたエネルギーを実質的に干渉しないようにする。冷却剤経路148内に延出する中間散乱要素80は、同様に、経路中の泡の生成および/または増大を防止するために、図9、図10、および図11に示すように、平滑化または円形化または成形される。中間散乱要素80は、例えば、「切り子面のある」またはテーパ状の端部を有して、卵形またはレーストラックまたは楕円六角形の形状で形成され得る(図9から図11参照)が、冷却剤経路148を移動する際にマイクロ波場を修正および/または広げるような大きさを有し、かつ構成されることを前提とする。本配置では、中間散乱要素80(および散乱要素78)は、望ましくは、冷却剤への暴露時に錆びないまたは劣化しない材料から作製される。
【0082】
同様に、冷却板28は、レーザー切断され得(例えば、約0.020インチの厚さを有する)、湾曲状の角を有する。
【0083】
熱電対154が、冷却経路148と反対の冷却板28の表面上に配置され得(図10および図11参照)、概して、導波管アンテナ24のアパーチャと、およびそれらの間に整合される。熱電対154は、必要に応じて、冷却板28上に印刷(スパッタ)されることができる。熱電対154は、例えば、銅およびニッケルの変動合金組成、例えば、60%銅/40%ニッケル等の例えばコンスタンタンでマスクおよびスパッタされ、次いで、銅および銅−ニッケル構成要素が熱電対として役割を果たす接点を形成するように、銅で再マスクおよびスパッタされた複数のT型熱電対(例えば、7個)を備えることができる。また、1つ以上の熱電対154を供給線および戻し線に配置してもよい。熱電対154は、アプリケータメインボード60に連結され、アプリケータメインボード60は、特殊用途ケーブル組立体34を通して、システムコンソール12に搭載の主制御器58に、検知した温度状態を通信する。検知された温度状態は、波形生成機能の一部として、主制御器58に存在する事前にプログラミングされた論理に従って処理され、冷却板28に沿って検知された温度状態に基づいて、導波管アンテナ24に供給される電力を調整するために使用され得る。
【0084】
(III.システム制御器)
(A.システムコンソールに搭載のもの)
(主制御器)
主制御器58(図15参照)は、システムコンソール12における制御プリント配線板上に存在する。主制御器58は、電力供給部から12Vの電力を受信する。主制御器58は、システムコンソール12により担持された構成要素ならびにアプリケータにより担持された構成要素と通信する。
【0085】
特殊用途ケーブル組立体38(図1および図16A/B参照)は、主制御器58とアプリケータ14との間の多目的リンクを確立する。特殊用途ケーブル組立体(図16Aおよび図16B参照)を通り延在するのは、主制御器58により制御された生成器からアプリケータ上のマイクロ波スイッチ26にマイクロ波信号を伝達するためのマイクロ波エネルギーケーブル68と、アプリケータにおける導波管アンテナアレイ22および冷却板28の冷却剤経路148を通る循環のために、冷却剤貯蔵器142を出入りして冷却剤を伝達するための冷却剤供給導管146および冷却剤戻し導管150と、規定の通信プロトコルに従って、主制御器58とアプリケータ主制御盤60との間の通信リンクを確立するコネクタ156(例えば、CMX Systems、San Jose、Californiaから入手可能であるCMX−RTXTM RTOS(埋め込み型リアルタイムオペレーティングシステム)Product Lineである。単一の特殊用途ケーブル組立体34を通る複数の電気導管および流体導管の束は、システム10の形式および機能を合理化し、システム10の設定を簡略化するとともに、また、電気波形生成、冷却剤循環、および通信リンク提供の観点から、システム10自体の多様な機能に効率的に対応する役割を果たす。多特殊用途ケーブル組立体34は、より良好な到達範囲およびシステムコンソール12からの遠隔操作の容易性のために、ケーブルを伸ばすこと(例えば、8フィートまで)を容易にする。
【0086】
図15に示すように、主制御器58と、コンソール12中またはコンソール12上に存在する構成要素との間の通信は、(i)生成器がマイクロ波エネルギーを標的組織領域に印加する際に標示する、コンソール12上の色付き(青色)LED、(ii)足踏みスイッチ32、(iii)グラフィカルユーザインターフェース画面、および(iv)可聴アラームまたは状況音を生成するスピーカを含むことができる。また、主制御器58との通信は、(v)後述するように、使用前にアプリケータ−組織界面12を識別するために、アプリケータ−組織界面16またはそのパッケージにより担持された受動的RFIDタグ158(図25参照)からの信号伝送を引き起こす無線周波数識別(RFID)読み取り器であってもよい。また、RFID読み取り器は、例えば、所定のアプリケータ−組織界面16の再使用を防止するために、必要に応じて、読み取り後に、RFIDタグ158により搬送される情報を削除するように機能することができ(代替として、バーコード情報に基づく読み取りおよび識別機能を使用してもよい)、(vi)アプリケータがホルスタ20上に存在する場合に標示するホルスタ20上のセンサ160であってもよい。
【0087】
ホルスタ20(図2参照)に関し、ホルスタ20は、システム上の2つの固定位置においてアプリケータを格納するために機能し、2つの固定位置は、1)アプリケータにより担持されたアプリケータ−組織界面16が、ホルスタ20により担持された電力吸収器168側に向き、主制御器58が「試験」モードを実行して、電力吸収器168により電力が安全に含まれる場合の電力供給、水温度センサ応答、アンテナ切り替えを検証することができる場合の、「内側」対向位置と、2)アプリケータ−組織界面16の取り付け点への容易なアクセスのために電力吸収器168から離隔する「外側」対向位置とである。アプリケータ14がホルスタ20にある場合、「内側対向」位置情報は、望ましくは、「試験モード」中に供給された任意の電力が、電力吸収器168によって安全に含まれることを検証する。「内側」対向位置は、アプリケータ14およびアプリケータ−組織界面16が「内側」に対向している場合、およびその場合のみに、ホルスタ20上の磁気センサ160と、磁気センサ160と位置合わせされたアプリケータにより担持された磁石162によって検知される。「外側対向」位置は、必ずしも検知される必要はない。
【0088】
また、検知される動作状態も、主制御器58に通信される。検知される状態には、(i)マイクロ波生成器66により検出される検知順電力信号、(ii)主制御器58により直接検出される検知逆電力、(iii)真空ソレノイド弁90の上流および下流の両方で検知され得る、真空供給線44における検知陰圧レベル、(iv)冷却剤供給線146における検知冷却剤流、(v)冷却剤貯蔵器142における冷却剤レベル、および(vi)熱電冷却器(TEC138)の検知温度が含まれ得る。また、他の検知される動作状態も、アプリケータメインボード60によって、主制御器58に通信され得、例えば、(i)アプリケータ14上で検出される検知順電力信号および逆電力信号、(ii)マイクロ波スイッチ状況状態、および(iii)アプリケータにおける冷却板28および冷却剤供給線146上に存在する熱電対154により受信される信号からメインアプリケータボードにより処理される検知温度状態が挙げられる。
【0089】
また、主制御器58は、エネルギー生成信号をマイクロ波生成器66に通信し、動作信号をソレノイド真空弁90に通信する。主制御器58上の事前にプログラミングされたルールまたは論理は、主制御器58に通信された検知情報を処理して、境界外状態が存在する場合に、コマンド信号およびアラームを生成する。処理された情報に基づいて、主制御器58は、例えば、TEC138を所望の温度に維持するようにファン速度を上昇または低下させるか、冷却剤流を上昇または低下させるか、または電力レベルを変更し得る。
【0090】
代表的実施形態では、主制御器58は、望ましくは、アプリケータ14との通信および制御に対応することができる。主制御器58は、望ましくは、アプリケータ温度、アンテナ電力、アプリケータ上の「トリガ」スイッチの状況に関する情報を、アプリケータから受信する。主制御器58は、望ましくは、どのアンテナが有効であるべきかを記述する情報を、アプリケータ14に送信する。主制御器58は、望ましくは、該当する場合、アプリケータLEDを制御するコマンドを、アプリケータ14に送信する。通信は、望ましくは、アプリケータにおいて検出された故障状態を含む。主制御器58は、望ましくは、アプリケータ上に標示された以下のシステム状況:準備完了、処置、冷却、および故障に対応することができる。
【0091】
主制御器58は、望ましくは、故障または予想外/許容外の挙動を検出し、患者に対する損傷のリスク、および、可能である場合に、機器への損傷を最小限に抑えるように反応する役割を果たす。
【0092】
例えば、真空の規定の増分損失(例えば、5インチHgを超える真空)は、エネルギー送達サイクルを即座に中断し得る。増分損失が、規定時間未満(例えば、2秒未満)の間持続する場合、エネルギー送達は、真空レベルが規定のレベルに戻ると再開し得る。増分損失が、規定の間隔より長い間持続する場合、主制御器58は、治療サイクルを中止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせ得る。
【0093】
例えば、アプリケータまたは生成器への通信の損失によって、主制御器58は、アプリケータ通信の損失中にエネルギー送達を終了させ、かつ増幅器通信の損失中に増幅器(ミュート対応)を無効にすることによって、治療サイクルを中止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせることによって、安全状況に入る。
【0094】
例えば、アプリケータ冷却板28における温度監視を使用して、処置状態を検出し得る。例えば、温度が、エネルギー送達の最初の2秒間内で既定量(例えば、40°C)を上回る場合、主制御器58は、治療サイクルを停止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせ得る。温度が、エネルギー送達の最初の2秒後に既定量を上回る場合、主制御器58は、そのアンテナへのエネルギー送達を即座に終了させ、治療順序における次のアンテナへのエネルギー送達を開始し得る。
【0095】
例えば、真空ポンプ駆動は、監視され、許容境界を含む公称駆動レベルと比較されて、標的組織が適切に取得されていない場合、または組織取得の損失中に発生し得る過剰真空漏出が、ユーザインターフェースを通して介護者に適切に報告されることを確かにし得る。真空ポンプ駆動変動が、治療サイクル中に過剰である場合、主制御器58は、治療サイクルを停止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせ得る。
【0096】
例えば、生成器内および主制御器58上の電力供給電圧の内部電圧監視を使用して、治療サイクルを停止し、システムを冷却後段階に入らせ得る故障状態が存在するかを判断し得る。
【0097】
例えば、マイクロ波電力は、治療サイクルのエネルギー送達段階および非エネルギー送達段階中に、コンソールおよびアプリケータにおいて連続的に監視され得る。エネルギー送達中、マイクロ波電力は、特定範囲内にあることが必要とされ得、治療の非エネルギー送達中、マイクロ波電力は、特定の閾値未満であるべきである。故障状態が存在する場合、主制御器58は、治療サイクルを停止し、システムを冷却後段階に入らせ得る。治療の非エネルギー送達段階中に故障状態が存在する場合、生成器は、無効に成り得る(ミュート対応)。
【0098】
例えば、重要な構成要素の内部温度が、過剰な熱的状態を検出するために監視され得る。
【0099】
例えば、治療サイクル中に熱電冷却器のエラー、温度エラー、流量エラー、または水レベルエラーが存在する場合、主制御器58は、治療サイクルを停止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせ得る。
【0100】
主制御器58は、システムが実行する各処置サイクルに関連付けられたデータを格納する能力を提供し得る。本データは、システムへの電力が排除されるか、または止められる場合に削除されないメモリに格納され得る。データログに含まれた情報は、グラフィカルユーザインターフェース62上のサービスモード画面を通してアクセス可能になり得る。主制御器58は、アプリケータ配置毎の以下の情報の一部または全部を、システムメモリのフォルダにおける処置データログに格納し得る。(i)日時、(ii)平均順電力、(iii)最大逆電力(主制御器58からおよび/または後述するように、各アプリケータから)、(iv)アプリケータ冷却板28上に位置する温度センサの各々の温度上昇(差分)、(v)最大冷却剤温度、および/または(vii)故障事象および関連のエラーコード。
【0101】
(B.アプリケータに搭載のもの)
図7および図8に最も良く示されるように、アプリケータにおけるマイクロ波スイッチ26は、マイクロ波エネルギー供給リードに連結される入力部を有する。マイクロ波スイッチ26は、例えば、Relcom Technologies, Inc., Part No. RMT−SR019により製造されたスイッチを備えることができる。個々の供給コネクタケーブル70は、スイッチ26の出力部から個々の検出器基板170に通じ、検出器基板170は、マイクロ波信号を導波管アンテナ24に通過させるために方向性結合器(図17参照)を含み、また、信号を、順電力および逆電力検出回路に連結する。
【0102】
システムコンソール12に搭載の主制御器58は、導波管アンテナ24を通してマイクロ波信号を印加するための所望のスイッチパターンを確立する、埋め込み型の事前にプログラミングされたルールを含む。主制御器58からの信号は、アプリケータメインボードによってスイッチ信号に伝達され、次いで、スイッチ信号は、これらのパターンを実行するようにスイッチの動作を制御する。
【0103】
(1.局所的順電力および逆電力検出)
直近に述べたように、マイクロ波信号が特殊用途ケーブル組立体を通してシステムアプリケータ14に伝送される際に、順電力信号および逆電力信号が、主制御器58によって検出される。コンソール12に局所的であるこれらの順電力信号および逆電力信号は、電力制御目的のために、主制御器58に通信される。
【0104】
加えて、システムアプリケータ14は、アプリケータに局所的な順電力および逆電力を検出するための、追加の搭載検出器基板回路を担持し得る(図17および図18参照)。アプリケータ14に局所的であるこれらの順電力信号および逆電力信号は、電力設定が既定の境界内にあるというさらなる確認として処理するために、アプリケータメインボード60によって、コンソール12に搭載の主制御器68に通信される。
【0105】
図7に示すように、検出器基板回路は、4つの検出器基板170を備え、所定の検出器が単一の導波管アンテナ24に電気的に連結され、単一の導波管アンテナ24の専用になる。各検出器基板170の電気的構成は、次に説明するように、本質的に同一である。
【0106】
((a)方向性結合器)
図17は、各検出器基板上にトレースされた回路を示す。回路は、直通線および連結線(概して、前述されている)を有する方向性結合器(図18にも示す)を含む。直通線は、システムアプリケータメインボード60により個々の導波管アンテナ24に切り替えられる際に、マイクロ波信号を受信する入力部と、受信したマイクロ波信号をそれぞれの導波管アンテナ24に伝達する出力部とを有する。図18において最も良く示すように、連結線は、固定距離の間、直通線に近接して及び、直通線を通して移動するエネルギーのサンプルを、連結線に伝達することを可能にする。連結線は、方向性であり、これは、連結線の一方のポート上の順電力および他方のポート上の反射電力をサンプリングすることを意味する。連結区分の長さ、直通線と連結線との間の距離、効率的に電力を伝達するための同軸給電の最適化、装着、および結合器のポートが終端される方式は、順ポートおよび反射ポートにおいてサンプリングされる電力量および2つのポートの間の隔離を決定する。
【0107】
図示する実施形態(図18参照)では、方向性結合器回路は、非対称ストリップ線路伝送線(中心導体が、上側および下側接地板から等距離にないストリップ線路)を使用して実装される。エネルギーは、ストリップ線路の中心導体に近い接地板を通して、入力ポートの中に、そして出力ポートの外へ供給される。順方向および逆方向サンプリングポートは、非対称ストリップ線路からマイクロストリップ線路への移行を含む。これにより、検出器回路の個別の構成要素の容易な配置および組み立てが可能になる。
【0108】
((b)減衰器およびDC阻止回路)
順方向および逆方向サンプリング電力ポートは、図17に示すように、マイクロ波エネルギーをマイクロ波減衰器およびDC阻止回路に供給する。マイクロ波減衰器回路は、マイクロ波電力の量を、電力検出器の最適なレベル範囲に調整する役割を果たす。また、回路は、低周波数信号が、電力検出器または信号調整回路から高出力マイクロ波経路に移動することができないように、DC阻止も含む。
【0109】
((c)電力検出器)
回路(図17参照)は、逆電力検出器および順電力検出器を含む。電力検出器は、高周波数マイクロ波信号を、低周波数ACまたはDC信号に変換する。変換された低周波数信号は、入力高周波数信号の強度に直接的に比例するか、またはそれを標示する強度を有する。検出器は、例えば、ADL−5510 Detector IC(Analog Devicesから入手可能)、または別の能動的/受動的検出機器を備えることができる。
【0110】
((d)信号調整回路)
回路(図17参照)は、順電力および逆電力検出器毎に信号調整回路を含む。信号調節回路は、3つの主要な機能を実行する。信号調節回路は、鮮明な(雑音の無い)供給電圧を電力検出器および任意の他の能動的構成要素に提供する。信号調節回路は、検出器回路における不要な内部雑音または外部雑音をフィルタリングで除く。最後に、信号調節回路は、電力検出器の低周波数出力の低域フィルタとしての役割を果たす。これにより、アプリケータメインボード上の後続のデジタル化およびコンソール12に搭載の主制御器58への返送のための、電力出力器から発生する(すなわち、パルス幅変調マイクロ波信号の結果)、DC信号に対する任意の低周波数AC信号を減少させる。
【0111】
(2.温度検知)
また、冷却経路に沿った、および組織冷却板28における熱電対154からの温度状態測定も、特殊用途ケーブル組立体34を通して、接続リンク156を介して、システムアプリケータメインボードによって、システムコンソール12の主制御器58に通信される。この閉ループフィードバックに基づいて、主制御器58に存在する論理は、エネルギー生成機能の一部として電力を制御し得る。
【0112】
(3.LEDインジケータ板)
図示する実施形態(図7および図19A/B/C/D参照)では、LEDインジケータ板172は、スイッチ30に隣接して筺体上で介護者に可視的な表示範囲上に配置される適切な数のLEDおよび/または光パイプ174を含む。
【0113】
代表的実施形態では、15個のLEDおよび7個の光パイプが存在する。システムアプリケータメインボード60は、検知された状況および動作情報を、主制御器58からLEDインジケータ板172に通信する。次いで、LEDインジケータ板172は、色および/もしくは光パターンならびに/または背面照明色およびパターンの表示の観点から、事前にプログラミングされたルールに従って、LEDおよび/または光パイプ174に動作をコマンドして、これらの状況および動作状態を介護者に視覚的に通信する。
【0114】
所望の動作状態および境界外状態の存在は、異なる背面照明色によって視覚的に表現されることができ、同様に処置サイクルの状況も表現されることができる。LEDインジケータ板により視覚的に通信される情報の性質および内容は、個々のシステム10の必要性に応じて幅広く変動および調整されることができる。
【0115】
例えば、動作の状況を標示するLEDは、背面照明されることができ(図19B参照)、例えば、緑色の背面照明は、システムの準備完了状態を標示し、青色の背面照明は、エネルギーを組織に印加中である場合を標示し、赤色の背面照明は、故障またはエラー状態を標示し得る。LEDは、処置の状況を標示するために、順番に照らされてもよく、例えば、単一のLEDは、処置の開始を標示し(図19C参照)、全てが照らされるLEDは、処置の終了を標示し(図19E参照)、中間の数のLEDは、処置が進むにつれて照らされる(図19D参照)。
【0116】
(C.結論)
代表的実施形態では、システムアプリケータメインボード60の決定機能は、広範であり得、または意図的に限定され得る。図示する実施形態では、システムアプリケータメインボード60上に存在する事前にプログラミングされたルールは、マイクロ波スイッチ26およびLED174を切り替え得る。システムアプリケータメインボード60は、検出されたエラー、システムアプリケータ14上の電力スイッチの状況、ならびにLEDおよびマイクロ波スイッチ26の位置、検知された温度状態、測定された順電力および逆電力を、主制御器58に通信し得る。システムコンソール12に搭載の主制御器58は、これらのデータに基づいて、全ての他の制御決定を行い得る。
【0117】
(III.システムの使用)
(A.皮膚の解剖学的構造)
図20は、ヒトの皮膚(身体の最大器官)およびその構造について理想化および簡略化された解剖学的略図を示す。図20は、理想化および簡略化された形式を示し、身体の層状の配置が被覆し、毛および腺が皮膚および皮下組織内に埋め込まれている。
【0118】
皮膚は、表皮(表面細胞層)および真皮(深部結合組織層)から成る。真皮の下の皮下組織(角皮下層)は、緩くて脂肪の多い結合組織から構成される。角皮下層は、真皮と下層の深部筋膜との間に位置する毛包、汗腺、血管、リンパ管、および皮神経を含有する。
【0119】
図20における理想化および簡略化された形式において示すように、真皮と角皮下層との間の界面は、典型的には、非線形かつ非連続的であり、不規則な界面を含み、また、組織界面を横断および中断する多くの組織構造または組織構造群も含み得る。
【0120】
深部筋膜は、筋肉等の深部構造を覆う角皮下層の下の高密度の組織的な結合組織である。
【0121】
深部真皮および角皮下層は、その関連する平滑立毛筋(鳥肌を引き起こすように接触する)および皮脂腺(立毛筋の収縮による圧縮時に、皮膚表面にその油性分泌物を出す)を含む、毛包を含み得る。
【0122】
また、深部真皮および角皮下層は、多数の汗腺も含み得る。アポクリン汗腺は、悪臭を生成し得る複合分泌物を産生し、脇の下および性器部等の身体の特定範囲に多数存在する。また、エクリン汗腺も、概して、角皮下層全体において分布され、掌、足の裏、および腋窩に多数存在する。
【0123】
汗腺は、体温を調整するために、感情的な刺激を含む刺激に反応して汗を産生する。一部の人々は、運動する場合に、温かい温度においてより発汗するか、または、緊張、怒り、羞恥、または不安にさせる状況に反応して発汗する。
【0124】
(B.システムを用いた皮膚へのマイクロ波エネルギーの印加)
使用中、システム10は、例えば、多汗症を処置するために、マイクロ波エネルギーを皮膚に印加し得る。使用のために設定するために(図1が概して示すように)、未使用のアプリケータ−組織界面16が、システムアプリケータ14に接合される。真空供給導管44は、システムアプリケータ14のピストルグリップにおける凹部に担持され、システムコンソール12上の真空接続ポート48に連結するために特殊用途ケーブル組立体34に沿って伸びることができる。同様に、特殊用途ケーブル組立体34は、システムコンソール12上の特殊用途コネクタ38に連結され、システムアプリケータ14をシステムコンソール12に連結する。システムコンソール12の主要電力スイッチは、電源を入れられ、システムコンソール12の主制御器58は、起動および初期化ルーチンを実行する。介護者は、指示された電力および真空状態を設定する。主制御器58は、システムアプリケータ14を通した冷却剤の持続的な循環を開始する。
【0125】
処置を受ける組織領域を識別した後、介護者は、標的組織領域における皮膚に対して界面本体のコンプライアントなスカート106を配置する(図21Aに示すように)。コンプライアントなスカート106の縁は、皮膚に対してシールを形成する。介護者は、筺体上の外部電力スイッチを作動させる。システムコンソール12は、真空供給導管44を通してチャンバ42内に陰圧を供給する。チャンバ42中の陰圧は、冷却板28の少なくとも一部分と熱的接触するアプリケータ−組織界面表面100/52と接触する組織をチャンバ42内に引き込む(すなわち、組織を上昇させる)役割を果たす(図21Bに示すように)。組織取得チャンバ42内の真空は、真皮および角皮下層を上昇させ、真皮および角皮下層を筋肉から分離する。組織取得チャンバ42内の真空は、チャンバ42内の組織領域を局所的に集中し、および安定化させる。真皮および角皮下層を筋肉から分離することによって、組織取得チャンバ42内の真空は、筋肉に到達する電磁エネルギーを限定または排除することによって、筋肉を保護する役割を果たす。真空は、所望の真空状態および/または組織温度状態が達成されるまで印加される。代替として、規定の時間間隔に対して遅延時間が発生し得る。
【0126】
所望の真空および/または温度状態が検知されると(または、依存するのであれば、規定の遅延後)、システムコンソール12は、マイクロ波信号をシステムアプリケータ14に供給する。システムコンソール12により生成されたマイクロ波信号は、既定の方式で、組織領域に印加される。その電磁放射は、例えば、5GHzから6.5GHzの間の周波数で、または約5.8GHzのそのような範囲内の周波数で、20Wから60Wの間、望ましくは、25Wから45Wの間、より望ましくは、32Wから38Wの間、最も望ましくは35Wの個々のアンテナに入る電力で放射され得る。生成器から離れて電力が測定される場合、上述の電力の大きさが、ケーブルを通した電力損失および生成器とアンテナとの間の他の電力損失に起因して大きくなることを理解されたい。比較的短いケーブルでは、生成器で測定された55Wの電力は、アンテナにおいて所望の電力領域を産生する可能性が高い。より長いケーブルでは、生成器において測定された電力は、アンテナにおける所望の電力領域を達成するために増加しなければならない(例えば、最大65W)。
【0127】
マイクロ波電力は、個々のアンテナに連続して印加され得、例えば、進行的に、アンテナA、次いでアンテナB、次いでアンテナC、および次いでアンテナD、またはアンテナA、次いでアンテナC、次いでアンテナB、および次いでアンテナDに印加され得る。マイクロ波は、各アンテナにおいて、規定の時間増分で印加され得、例えば、アンテナA(3秒)、アンテナC(3秒)、アンテナB(3秒)、およびアンテナD(3秒)、その後、時間(例えば、20秒)に基づく冷却後間隔、次いで、その後に真空圧の放出である。
【0128】
マイクロ波電力は、後により詳細に説明するように、位相駆動モードにおいては、個々のアンテナへの印加と、対のアンテナ間での分割との両方が交互になされ得る。順序は、例えば、アンテナA(2.5秒)、次いでアンテナA−B(2.5秒)、次いでアンテナB(2.5秒)、次いでアンテナB−C(2.5秒)等、その後、時間(例えば、20秒)に基づく冷却後間隔、次いで、その後に真空圧の放出を含むことができる。
【0129】
(C.外傷パターンの作成)
システムコンソール12に搭載して担持された構成要素(図15参照)は、導波管アンテナ24を通して、組織取得チャンバ42内に取得された組織にマイクロ波信号を印加して、外傷作成機能を実行する。
【0130】
マイクロ波信号は、例えば、各導波管アンテナによって、連続して印加され得る。代替として、マイクロ波信号は、単一の導波管アンテナ(A)によって連続して、次いで、マイクロ波電力が隣接するアンテナ24に同相で印加される状態で(すなわち、印加されるエネルギーが、標的領域において各アンテナから放射されたエネルギー間に建設的な波干渉をもたらすように)、単一の導波管アンテナおよび次の隣接する導波管アンテナ(AB)によって同時に、次いで、次の隣接する導波管アンテナ(B)によって単独で、次いで、マイクロ波電力が隣接するアンテナ24に同相で印加される状態で(すなわち、印加されるエネルギーが、標的領域において各アンテナから放射されたエネルギー間に建設的な波干渉をもたらすように)導波管アンテナ(B)およびその次の隣接するアンテナ(C)(すなわち、BC)によって等、全ての導波管アンテナ24が関与するまで、C−CD−Dで連続して印加され得る(簡単に言うと、位相駆動モードと呼ばれる)。
【0131】
対のアンテナが、同時にエネルギーを放射するように切り替えられる場合、電場干渉パターンが、2つの現象、つまり(i)表皮/真皮を通して伝播する前進波と、真皮/角皮下層境界から反射される後進波との間の「定在波」相互作用、ならびに(ii)各アンテナにより放射された信号間の「位相」相互作用に起因して作成される。
【0132】
まず、相互作用は、2つのアンテナにより放射されたエネルギーが表皮/真皮を通して伝播し、次いで、真皮/角皮下層界面から真皮に戻って反射する際に発生する。定在波パターンは、順方向および逆方向信号が、主に組織面に垂直な方向に変動する(すなわち、組織における深さとともに変動する)干渉パターンを生成する場合に作成される。放射された信号の波長(および対応して周波数)が、定在波パターンが建設的および相殺的である領域を決定する。「最適な定在波干渉パターン」は、建設的干渉が深部真皮領域で発生し、より浅い真皮および表皮領域において最小化されるように、周波数(例えば、5.8GHz)を選択することによって作成される。
【0133】
次に、相互作用は、各アンテナにより放射されたエネルギーが相互に干渉する場合に発生する。アンテナ干渉パターンは、各アンテナから放射されたエネルギーの位相における差が、個々に放射された信号が建設的に加える、および相殺的に加える領域を決定する場合に作成される。位相による干渉パターンの変動は、主に組織面に平行である方向に発生する。「最適なアンテナ干渉パターン」は、建設的干渉が2つのアンテナ間の領域に発生し、かつ相殺的干渉が各個々のアンテナの下の領域に発生するように、2つのアンテナ間の位相関係を選択することによって作成される。アンテナから放射された信号間の0度の位相差(すなわち、「同相」)は、「最適なアンテナ干渉パターン」を達成するために最適な位相関係である。
【0134】
この位相関係を達成するために、位相平衡相互接続ケーブルが、同一の供給方向を有するアンテナ(例えば、アンテナAおよびB)を接続するために利用され得る。同様に、180度の位相差を有する相互接続ケーブルは、反対の供給方向を有するアンテナ(例えば、アンテナBおよびC)を接続するために利用されるべきである。
【0135】
位相駆動モードでは、2つのアンテナがエネルギーを同時に放射する場合、エネルギーは、同一の周波数を有し、アンテナは、同相で駆動される。生成器からマイクロ波スイッチに提供される電力は、供給される電力の半分を各々が放射するように、2つのアンテナ間で分割される。組織における全体の干渉パターンは、定在波干渉パターンとアンテナ干渉パターンとの両方の観点から最適である。これは、2つの干渉現象が主に独立しているために発生し、定在波干渉は垂直方向に発生し、アンテナ干渉は平行方向に発生する。結果として、2つのアンテナ間の深部真皮領域において建設的であり、かつ浅部真皮/表皮領域において、および個々のアンテナの下の領域において相殺的である全体の干渉パターンが、達成される。
【0136】
所定の周波数および電力レベルで個々の導波管アンテナにより印加される場合(図22A参照)、ピーク組織効果の第1の領域は、概して、導波管アンテナの散乱要素78の下および深部真皮(真皮と角皮下層との間の界面の上)において開始する。これは、建設的干渉が発生する領域の深部真皮における最大電力吸収を作成する「最適な定在波パターン」の結果である。
【0137】
同一の周波数および同相で、およびアンテナ24間で同等に分割される生成器からの全電力で、2つの隣接する導波管アンテナ24を通して同時に印加された場合(図23A参照)、ピーク組織効果の第1の領域は、概して、真皮と角皮下層との間の界面の上の、導波管アンテナ24の散乱要素78の間で開始する。これは、定在波干渉パターンとアンテナ干渉パターンとの両方の所望の同時効果を構成する。定在波干渉パターンは、同一の周波数のエネルギーが個々の導波管アンテナによって印加される場合のように、概して、真皮と角皮下層との間の界面の上で、ピーク組織温度の領域において開始する。アンテナ干渉パターンは、概して、同一組織面内におけるピーク組織効果の第一の領域のその領域であるが、導波管アンテナ24の散乱要素78間、およびエネルギーが個々の導波管アンテナによって印加される場合と概して同一の電力レベル(半分に分割され、各アンテナ24に供給され、組織において再結合される電力)で開始する。
【0138】
ピーク組織効果は、例えば、ピーク比吸収率(SAR)の観点から表現されることができ、ピーク比吸収率(SAR)は、エネルギーが組織により吸収される比率の大きさである(ワット/キログラムの単位で組織の質量当たりで吸収された電力の観点から)。代替として、ピーク組織効果は、例えば、ピーク電力損失密度またはピーク組織温度として表現されることができる。(図24Aおよび図25Aが示すように)、ピーク組織効果の第1の領域は、界面が真皮においてマイクロ波信号を課す定在波効果に起因して、概して、真皮と角皮下層との間の界面の上の真皮において開始する。界面は、導波管アンテナにより放射された電磁波を反射し、界面の上で建設的波干渉を引き起こして、ピーク組織効果を開始する。
【0139】
図22Aおよび図23Aが示すように、組織効果の連続的な第2、第3、および第4の領域は、第1の領域から増加する半径方向距離において、組織効果の大きさの減少を伴う伝導/対流加熱効果に起因して、第1の領域から拡張するように観測される。減少する組織効果のこれらの「波状」領域は、表皮に向かって広がり、一部には、図22Aおよび図23Aが示すように、角皮下層内へ界面より下に広がり得る。
【0140】
組織効果は、真皮内の第1の組織領域において局所的外傷を作成する役割を果たす(図22Bおよび図23B参照)。真皮における局所的な加熱効果は、伝導/対流加熱効果をもたらすことによって、真皮および/または角皮下層における構造、例えば、処置を受ける個人の皮膚における汗腺を損傷または破壊することができる。
【0141】
散乱要素78および中間散乱要素80は、例えば、ピークSAR、および/またはピーク電力損失密度、および/またはピーク組織温度の観点から、ピーク組織効果の第1の領域を広げおよび平坦化するために使用され得る。これによって、散乱要素78および中間散乱要素80は、局所的効果をさらに制御するように、第1の組織領域に形成された外傷を広げおよび平坦化する役割を果たすことができる。冷却板28により確立された温度状態によって、外傷が表皮に向かって拡大しないようにする。
【0142】
既定のパターンで導波管アンテナ24を切り替えるように主制御器58をプログラミングすることによって、システムコンソール12により生成されたマイクロ波信号は、外傷の複合パターンを形成するように、皮膚に印加されることができる。例えば、図23Bに示すように、外傷は、例えばA−B−C−D等の既定の順番で作成され得、この場合、Aは、導波管アンテナAの真下で開始された外傷を表わし、Bは、導波管アンテナBの真下で開始された外傷を表わし、Cは、導波管アンテナCの真下で開始された外傷を表わし、Dは、導波管アンテナDの真下で開始された外傷を表わす。重複する外傷が、既定の順番、例えば、A−AB−B−BC−C−CD−Dで外傷を作成することによって、外傷A−B−C−D間の組織間隔に形成されることができ、この場合、Aは、導波管アンテナAの真下で開始された外傷を表わし、ABは、導波管アンテナAと導波管アンテナBとの間の交差の下で開始された外傷を表わし、Bは、導波管アンテナBの真下で開始された外傷を表わし、BCは、導波管アンテナBと導波管アンテナCとの間の交差の下で開始された外傷を表わし、Cは、導波管アンテナCの真下で開始された外傷を表わし、CDは、導波管アンテナCと導波管アンテナDとの間の交差の下で開始された外傷を表わし、Dは、導波管アンテナDの真下で開始された外傷を表わす。外傷ABは、導波管アンテナAおよび導波管アンテナBを、同相で、かつ各アンテナからの平衡出力で、同時に駆動することによって、導波管アンテナAと導波管アンテナBとの間で作成され得る。外傷BCは、導波管アンテナBおよび導波管アンテナCを、同相で、かつ各導波管アンテナからの平衡出力で、同時に駆動することによって、導波管アンテナBと導波管アンテナCとの間で作成され得る。外傷CDは、導波管アンテナCおよび導波管アンテナDを、同相で、かつ各導波管アンテナからの平衡出力で、同時に駆動することによって、導波管アンテナCと導波管アンテナDとの間で作成され得る。
【0143】
アンテナ毎またはアンテナ24の対毎に同一の電力および時間増分で、電力を均一に印加することができる(位相駆動モード)ことを理解されたい。また、異なるアンテナ24またはアンテナ24対の間で電力を異なって印加することもできる。異なるアンテナ24またはアンテナ24対について電力を変化させることができ、および/または異なるアンテナ24またはアンテナ24対について時間を変動させることができる。したがって、所定の組織領域に送達されるエネルギー(エネルギーは電力と時間の積である)を、処置を受ける組織領域によって変動させることができる。
【0144】
(1.処置テンプレート)
システム10は、システムアプリケータ14のガイダンスおよび配置情報をマトリクス形式で提供するために、処置テンプレート176(図23Aおよび図23B参照)をさらに含み得る。処置テンプレート176は、処置の標的とされる腋窩(脇の下)組織領域全体を覆うような大きさを有し、かつ構成される。テンプレート176は、各脇の下に適用される一時的な刺青を備えることができる(左側に図24Aに示すように、右側に図24Bに示すように)。代替として、テンプレート176は、組織領域に対するスタンピングによって適用されたパターンを備えることができる。テンプレート176は、皮膚表面上に配置され、かつステンシルを通してマーカーペンにより適用されるオーバーレイステンシルを備えることができる。テンプレート176は、組織領域に適用されるオーバーレイメッシュステッカーを備えることができる。
【0145】
テンプレート176の群(図25参照)を、個体の異なる解剖学的構造に対応するように、異なるサイズおよび列で提供することができる。
【0146】
テンプレート176は、麻酔の注入のための腋窩において適切な点を識別するために、規定の麻酔注射部位(小さい直通穴)と、テンプレート176の使用中に介護者に参照位置決め点を提供するために、コンプライアントなスカート106上の整合部材108とともに使用されるための、x−yマトリクス軸におけるデバイス整合点(1Aから10Aおよび1Bから10B、および腋窩のサイズに応じてそれ以上)とを含み得る。
【0147】
(IV.使用説明書)
図25が示すように、システム10のシステムアプリケータ14および/またはアプリケータ−組織界面16を、滅菌キット180における使用のために提供することができる。図示する実施形態では、各キット180は、例えば、打ち抜きカードボード、プラスチックシート、または熱形成されたプラスチック材料から作製された内部トレイ182を含む。システムアプリケータ14およびアプリケータ−組織界面16は、それぞれのトレイ182によって担持される。また、いずれのキット180も、トレイ中に、または別々にパッケージされて、処置テンプレートまたはテンプレート群176を含むことができる。
【0148】
各トレイ182は、外部環境との接触からトレイを周辺封止するために、引きはがすオーバーラップを含み得る。システムアプリケータ14および/またはアプリケータ−組織界面16を担持する各キット182は、従来のエチレンオキシド(ETO)滅菌技法によって滅菌され得る。図示する実施形態では、システムアプリケータ14および/またはアプリケータ−組織界面16の一方または両方のパッケージは、コンソール12上の無線周波数識別(RFID)ソース(図15に示す)と相互作用する受動的RFIDタグ158を担持することができる。
【0149】
図示する実施形態では、1つまたは両方のキット180はまた、好ましくは、所望の手順を実行するために、システムコンソール12とともに、システムアプリケータ14およびアプリケータ−組織界面16を使用するための指示書または説明書も含む。例示的指示書について後述する。指示書または説明書184は、当然ながら、所望の手順の詳細に従って変動することができる。さらに、指示書または説明書184は、キットにおいて物理的に存在する必要はない。指示書または説明書184は、別々の説明マニュアル、またはビデオもしくは音声テープ、または電子的形態で具現化されることができる。また、説明書または指示書は、後に示すように、グラフィカルユーザインターフェース内に組み込まれることもできる。
【0150】
代表的な説明書184は、例えば、多汗症を処置するために、マイクロ波エネルギーを皮膚に印加するように、システムアプリケータ14およびシステムコンソール12と連携してアプリケータ−組織界面16を使用することを指示する。また、これらの説明書184は、次に説明するように、グラフィカルユーザインターフェース62上にも反映されることができる。
【0151】
(V.グラフィカルユーザインターフェース)
システムコンソール12の主制御器58は、図11に概して示すように、ディスプレイ画面64上にグラフィカルユーザインターフェース62を実装するために回路を含むことができる。グラフィカルユーザインターフェース62は、制御およびアラーム状態を介護者に提供し、介護者から主制御器58へのタッチスクリーンインタラクションおよび入力を可能にすることができる。
【0152】
グラフィカルユーザインターフェース62の代表的な画面を図26に示す。代表的なグラフィカルユーザインターフェース62の論理およびフローについて、図32から図59における代表的なグラフィカルスクリーンプロンプトを参照して、図37から図31に概略的に示す。
【0153】
図27が示すように、グラフィカルユーザインターフェース62の論理およびフローは、コンソールへの電力がオンになった後に起動ルーチンで開始する。主制御器58は、特殊用途ケーブルが差し込まれているか(図32のプロンプト参照)を決定し、次いで、自己試験ルーチン(図33参照)に進む。アプリケータが、ホルスタ20上で「内側」に対向していない場合、介護者は、アプリケータを正しく配置するように命令される(図34参照)。ようこそ画面は、エラーが検出されないことを確認する(図35確認)。
【0154】
図28が示すように、グラフィカルユーザインターフェース62の論理およびフローは、次に、アプリケータ上にアプリケータ−組織界面を配置することを命令する(図36参照)。介護者は、パッケージ上のRFIDタグ158(図25)を走査するように命令される。アプリケータ−組織界面16が使用するために認可されることが走査により確認される場合(図37参照)、介護者は、アプリケータ−組織界面16がホルスタ20上に「内側」に対向して取り付けられた状態で(図38参照)(アプリケータ−組織界面がホルスタ20上の吸収器に対向する状態で)アプリケータ14を適切に配置するように命令される。
【0155】
RFID通信に関し、主制御器58は、望ましくは、適切なアプリケータ−組織界面がシステム10とともに使用中であることを検出するため、および、例えば、アプリケータ−組織界面16が使い捨ての単回使用構成要素であると意図される場合に再使用を検出するために、RFID読み取り器を調整する。主制御器58は、望ましくは、アプリケータ−組織界面パッケージに取り付けられた安全かつ暗号化されたRFIDタグ(図25が示すように)を読み取る能力を含み、これは、単一処置セッション(完全処置または修復のいずれか)のための許可を含み、認可された処置セッションの開始日時とともに「使用済み」とマークされる。主制御器58は、ガイドされた処置セッションを、処置セッションの中断または電力損失で完全に完了していない直近の配置に戻すため、または「修復」処置の暴露カウントを戻すのに十分な情報を保持し得る。例えば、使い捨てであると意図されるアプリケータ−組織界面の4時間の有効期限よりも長くなった場合、処置セッションの再開は、「未使用」使い捨てRFIDタグが読み取られ、「使用済み」とマークされるまで許可されない。主制御器58は、「使い捨て履歴」表示を含み得、これは、最低でも直近200回の使い捨てについて、使い捨てが「使用済み」とマークされた日時を列挙する。「使用済み」使い捨てRFIDタグが読み取られると、タグが使用済みとマークされた日時が表示される。
【0156】
次いで、介護者は、通常処置または修復のモードを選択するように命令される(図39参照)。介護者の選択は、自明の直感的アイコンによりマークされたタッチスクリーン入力によって通信される。通常モードの前に修復モードが選択される場合(標的組織領域に適用される前処置が無かったことを意味する)、介護者は、修復モードで処置を進めるように命令される(図58参照)。本事例における修復モードによって、介護者は、治療のためにアンテナ24の選択を直接制御することが可能になる。
【0157】
通常モードが選択される(図29参照)場合、介護者は、処置ルーチンを通してガイドされる。準備中、介護者は、処置を受ける個体の身長および体重を入力し(図40参照)、テンプレート176(転写)を適用し(図41参照)、推奨総量および推奨個体分割量で麻酔の適用を計画し(図42参照)、左の脇の下を最初に処置し、右の脇の下を次に処置すること、またはその反対を選択する(図43および図44参照)ように命令される。次いで、介護者は、麻酔(テンプレートによりガイドされる)を、選択された第1の側(図45では、右側が最初)に適用し、次いで、麻酔を、選択された第2の側(図46では、左側)に適用するように命令される。次いで、介護者は、選択された右側に最初に処置を開始するように命令される(図47参照)。
【0158】
図30が示すように、介護者は、テンプレートによりガイドされた、処置ルーチンを通して命令される(図48、図49、図50、図51、および図52参照)。テンプレートによりガイドされることによって、介護者は、主制御器58の制御下で導波管アンテナアレイ22を作動させるために、セクション(1から12)および領域(AおよびB)によって各セクション内で系統的に進める。上述のような位相駆動順序は、領域/セクション毎に外傷パターンを定めるために、セクション毎の各領域で繰り返される。
【0159】
一方の側で処置ルーチンが完了すると、介護者は、次の側に進むか、または同一側を修復することを望むかを問われる。修復中、介護者は、外傷形成の不一致または間隙を補正するために戻ることができる。その側で修復が完了すると(選択される場合)、介護者は、次の側に切り替えるようにプロンプトされる(図53参照、ここで左側が選択される)。
【0160】
次いで、介護者は、第1の選択された側に関連して前述したように、第2の選択された側の処置モード、つまり通常または修復を選択するように命令される(図53参照)。通常モードの前に修復モードが選択される場合(その選択された側に、標的組織領域に適用される前処置が無かったことを意味する)、介護者は、修復モードで処置を進めるように命令される(図58参照)。本事例における修復モードによって、介護者は、その選択された側において、治療のためにアンテナ24の選択を直接制御することが可能になる。
【0161】
通常モードが第2の側について選択される場合(図53が示すように)、介護者は、テンプレートによりガイドされた、処置ルーチンを通して命令される(図54および図55参照)。テンプレートによりガイドされることによって、介護者は、主制御器58の制御下で導波管アンテナアレイ22を作動させるために、セクション(1から12)および領域(AおよびB)によって各セクション内で、第2の選択された側の処置を系統的に進める。上述のような位相駆動順序は、領域/セクション毎に外傷パターンを定めるために、セクション毎の各領域で繰り返される。
【0162】
第2の側で処置ルーチンが完了すると、介護者は、セッションを終了するか、または今完了したばかりの側を修復することを望むかを問われる(図56参照)。修復中(図58参照)、介護者は、外傷形成の不一致または間隙を補正するために戻ることができる。その側で修復が完了すると(選択される場合)、または介護者がセッションの終了を選択した場合、介護者は、組織−アプリケータ界面をアプリケータから取り外し(図57参照)、その後続の使用のためにアプリケータを洗浄するようにプロンプトされる。次の側に切り替える(図53参照。左側が選択される)。
【0163】
また、グラフィカルユーザインターフェース62は、ギアメニュも有効にし得る(図31参照)。ギアメニュ(図59に示す)によって、介護者は、例えば、プロンプト音量、画面明るさおよびコントラスト等のグラフィカルユーザインターフェース62の動作状態、ならびに冷却剤パージ、電源オフ、手順のキャンセル、または電力レベルの変更等のコンソールおよび/またはアプリケータの一定の機能動作を選択することが可能になる。また、グラフィカルユーザインターフェース62は、例えば、設備故障、早期終了、または低冷却剤レベル等のエラー状態(図31参照)のグラフィカル表示も有効にし得る。
【0164】
代表的なグラフィカルユーザインターフェース62の形式、適合、および機能に関するさらなる詳細について、図27から図59に示す。
【0165】
本発明のある実施形態によると、エネルギーを標的組織領域に印加するシステムは、アプリケータおよび組織−アプリケータ界面を含む。アプリケータは、少なくとも1つのエネルギーエミッタを担持するアプリケータ内部を含む。本発明のある実施形態によると、組織−アプリケータ界面は、エネルギーエミッタと動作的に関連して使用するためにアプリケータに取り付けられるような、および使用後、アプリケータから取り外されるような大きさを有し、かつ構成される。本発明のある実施形態によると、組織−アプリケータ界面は、組織−アプリケータ界面がアプリケータに取り付けられる場合に、アプリケータ内部を、標的組織領域における生理的液体から隔離する生体障壁システムを備える。本発明のある実施形態によると、生体障壁システムは、実質的な干渉および電力損失を含まずに、エネルギーエミッタから標的組織領域にエネルギーを通過させる規定の伝導率を有する第1の生体障壁構成要素を含む。
【0166】
本発明のある実施形態によると、規定の伝導率は、0.1以下の損失正接tanδを含み、この場合、tanδ=σ/ωεであり、式中、σは、第1の生体障壁構成要素の伝導率であり、ωは、エネルギーエミッタから放出されたエネルギーの周波数であり、εは、第1の生体障壁構成要素の誘電率である。
【0167】
本発明のある実施形態によると、組織−アプリケータ界面は、外部ソースにより生成され、かつ組織取得チャンバ内に伝達された陰圧に応答してエネルギーを印加するための、標的組織領域における組織を取得する組織取得チャンバを含む。
【0168】
本発明のある実施形態によると、生体障壁システムは、第1の生体障壁構成要素から分離する第2の生体障壁構成要素を含む。本発明のある実施形態によると、第2の生体障壁は、組織−アプリケータ界面がアプリケータに取り付けられる場合に、組織取得チャンバとアプリケータ内部との間の陰圧のバランスを取るために、気体に対して実質的に透過性である。本発明のある実施形態によると、第2の生体障壁構成要素はまた、標的組織領域における生理的液体との接触からアプリケータ内部を隔離するために液体に対して実質的に不透過性であり、一方で、陰圧のバランスを取る。
【0169】
本発明のある実施形態によると、第1の生体障壁構成要素は、気体に対して実質的に不透過性である。
【0170】
本発明のある実施形態によると、生体障壁システムは、第1および第2の生体障壁構成要素とは別の第3の生体障壁構成要素を含む。本発明のある実施形態によると、第3の生体障壁構成要素は、ソースから組織取得チャンバ内へ陰圧を伝達するために、気体に対して実質的に透過性である。本発明のある実施形態によると、第3の生体障壁構成要素はまた、標的組織領域における生理的液体との接触からソースを隔離するために、液体に対して実質的に不透過性である。
【0171】
本発明のある実施形態によると、アプリケータは、組織−アプリケータ界面がアプリケータに取り付けられる場合に、第1の生体障壁構成要素と熱伝導接触するような大きさを有し、かつ構成される冷却板を含む。本発明のある実施形態によると、第1の生体障壁構成要素は、実質的な干渉を含まずに、冷却板と標的組織領域との間で熱伝導が発生可能になるように、規定の熱伝導率を有する。
【0172】
本発明のある実施形態によると、第1の生体障壁構成要素の規定の熱伝導率は、メートル・ケルビン当たり少なくとも0.1ワット(0.1W/mK)である。
【0173】
本発明のある実施形態によると、アプリケータは、反復使用のためにサイズを有し、かつ構成され、アプリケータは、単回使用の後に使い捨てするためにサイズを有し、かつ構成される。
【0174】
本発明のある実施形態によると、エネルギーエミッタは、マイクロ波エネルギーを放出するような大きさを有し、かつ構成される。
【0175】
本発明のある実施形態によると、腋窩を処置するためにシステムを使用するための説明書が含まれる。
【0176】
本発明のある実施形態によると、エネルギーを標的組織領域に印加するシステムは、アプリケータおよびコンソールを含む。本発明のある実施形態によると、アプリケータは、少なくとも1つのエネルギーエミッタおよび冷却板を担持する。アプリケータは、エネルギーエミッタと通信するアプリケータ制御器と、冷却板に連結されたセンサとを含む。本発明のある実施形態によると、コンソールは、規定のエネルギー形態を生成する生成器と、冷却剤を冷却する冷却器とを含む。本発明のある実施形態によると、コンソールは、標的組織領域において外傷を形成するためにエネルギーをエネルギーエミッタに伝送するように生成器に連結されたエネルギー生成機能と、外傷形成を制御するために冷却剤を冷却板に循環させるための冷却器に連結された外傷制御機能とを含む主制御器を含む。本発明のある実施形態によると、特殊用途ケーブルシステムは、アプリケータをコンソールに連結する。本発明のある実施形態によると、特殊用途ケーブルシステムは、エネルギーを生成器からエネルギーエミッタに伝達するケーブルと、冷却剤を冷却板に循環させるケーブルとは別の供給導管および戻し導管と、主制御器とアプリケータ制御器との間の通信リンクを確立する、ケーブルならびに供給導管および戻し導管とは別の通信チャネルとを含む。
【0177】
本発明のある実施形態によると、特殊用途ケーブルシステムは、アプリケータに固定された遠端と、嵌合特殊用途接続部への解除可能な接続のための大きさを有し、かつ構成されるコネクタを備える近端とを含む。本発明のある実施形態によると、嵌合特殊用途接続部は、コンソール上に存在する。
【0178】
本発明のある実施形態によると、規定のエネルギー形態は、マイクロ波エネルギーを含む。
【0179】
本発明のある実施形態によると、規定のエネルギー形態は、約5.8GHzを中心とする周波数で、5.775GHzから5.825GHzのISMバンドにあるマイクロ波信号を含む。
【0180】
本発明のある実施形態によると、腋窩を処置するためにシステムを使用するための説明書が含まれる。
【0181】
本発明のある実施形態によると、エネルギーを標的組織領域に適用する方法は、標的組織領域において外傷を形成するように動作するシステムを提供する。
【0182】
本発明のある実施形態によると、方法は、システムを動作するための説明書を提供する。
【0183】
本発明のある実施形態によると、外傷は、腋窩に形成される。
【0184】
本発明のある実施形態によると、外傷は、多汗症を処置する。
【0185】
本発明の種々の特徴は、以下の請求項に記載される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第61/208,315号(2009年2月23日出願、名称「Systems, Apparatus, Methods And Procedures For The Noninvasive Treatment Of Tissue Using Microwave Energy」)の利益を主張する。該仮出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本願は、また、PCT国際出願PCT/US2008/013650号(2008年12月12日出願、名称「Systems, Apparatus, Methods And Procedures For The Noninvasive Treatment Of Tissue Using Microwave Energy」)の利益を主張する。該出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0003】
本願は、また、米国仮特許出願第61/196,948号(2008年10月22日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue, Such As Sweat Glands」)の利益を主張する。該仮出願は、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0004】
本願は、また、PCT国際出願PCT/US2009/002403号(2009年4月17日出願、名称「Systems, Apparatus, Methods and Procedures for the Noninvasive Treatment of Tissue Using Microwave Energy」)の利益を主張する。
【0005】
本願は、また、同時係属の米国仮特許出願第_______号(2009年10月16日出願、名称「Systems, Apparatus, Methods and Procedures for the Noninvasive Treatment of Tissue Using Microwave Energy」)の利益を主張する。
【0006】
本願は、また、同時係属の米国特許出願第12/107,025号(2008年4月21日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue,」)の一部継続出願であり、該出願は、米国仮特許出願第60/912,899号(2007年4月19日出願、名称「Methods And Apparatus For Reducing Sweat Production」)、米国仮特許出願第61/013,274号(2007年12月12日出願、名称「Methods, Devices And Systems For Non−invasive Delivery Of Microwave Therapy;」)、および米国仮特許出願第61/045,937号(2008年4月17日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue.」)の各々の利益を主張する。これら優先権出願の全ては、それらの全体が参照により援用される。
【0007】
同時係属の米国特許出願第12/107,025号は、また、PCT国際出願PCT/US08/60935号(2008年4月18日出願、名称「Methods And Apparatus For Sweat Production」)、PCT国際出願PCT/US08/60929号(2008年4月18日出願、名称「Methods, Devices And Systems For Non−invasive Delivery Of Microwave Therapy」)、PCT国際出願PCT/US08/60940号(2008年4月18日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue」)、およびPCT国際出願PCT/US08/60922号(2008年4月18日出願、名称「Systems And Methods For Creating An Effect Using Microwave Energy To Specified Tissue」)の各々に基づく優先権を主張する。
【0008】
上記優先権出願の全ては、それらの全体が参照により援用される。
【0009】
(技術分野)
本出願は、マイクロ波エネルギー含むエネルギーの非侵襲的送達のための方法、装置、およびシステムに関する。具体的には、本出願は、種々の治療結果および/または美的結果を達成するために、例えば、マイクロ波エネルギー等のエネルギーを、個体の表皮組織、真皮組織、および皮下組織に非侵襲的に送達するための方法、装置、およびシステムに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
エネルギーに基づく療法を全身の組織に適用して、多数の治療結果および/または美的結果を達成することが可能であることが知られている。これらのエネルギーに基づく治療の有効性の改善と、副作用または不快感を最小限に抑えた向上した治療結果の提供とが依然として継続的に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
システムおよび方法は、制御式エネルギー源、アプリケータ、およびアプリケータにより担持されたアプリケータ−組織界面を用いて、非侵襲的方式で、エネルギーを標的組織領域に印加する。システムおよび方法は、治療効果を提供する規定の外傷パターンを形成するために、例えば、脇の下(腋窩)の汗腺の機能を抑制または中断するために、制御様式でエネルギーを生成および印加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、コンソール、アプリケータ、およびアプリケータ−組織界面を備える、所望の治療結果および/または美的結果を達成するために、非侵襲的方式で、エネルギー形態を生体組織に印加するためのシステムの斜視図である。
【図2】図2から4は、図1に示すコンソールの側面および後面斜視図である。
【図3】図2から4は、図1に示すコンソールの側面および後面斜視図である。
【図4】図2から4は、図1に示すコンソールの側面および後面斜視図である。
【図5】図5および図6は、図1に示すアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の斜視図であり、図5は、使用するためにアプリケータに接合されたアプリケータ−組織界面を示し、図6は、使用前または使用後にアプリケータから取り外されたアプリケータ−組織界面を示す。
【図6】図5および図6は、図1に示すアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の斜視図であり、図5は、使用するためにアプリケータに接合されたアプリケータ−組織界面を示し、図6は、使用前または使用後にアプリケータから取り外されたアプリケータ−組織界面を示す。
【図7】図7は、図5および図6に示すアプリケータの分解斜視図である。
【図8】図8は、図7に示すアプリケータの組み立て内部図である。
【図9】図9は、図7に示すアプリケータに搭載して担持された導波管アンテナアレイ、導波管クレードル、および冷却板の分解斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す導波管アンテナアレイ、導波管クレードル、および冷却板の組み立て斜視図である。
【図11】図11は、図10に示す導波管アンテナアレイ、導波管クレードル、および冷却板の部分切り欠き底面図である。
【図12A】図12Aは、図6に示すアプリケータ−組織界面の分解斜視図である。
【図12B】図12Bは、図12Aに示すアプリケータ−組織界面の組み立て側断面斜視図である。
【図13】図13は、使用するためのアプリケータの導波管アンテナアレイ、導波管クレードル、および冷却板に取り付けられたアプリケータ−組織界面の組み立て底面斜視図である。
【図14】図14Aおよび14Bは、チャンバ内に引き込まれた皮膚上に「ヒッキーパターン」を押し付け得る、その内部に沿った内部パターンを有する、アプリケータ−組織界面の上面および底面平面図である。
【図15】図15は、図1に示すシステムの概略図である。
【図16A】図16Aおよび16Bは、図1に示すように、アプリケータをコンソールに連結する特殊用途ケーブル組立体の一方の端部におけるカスタム設計された多機能プラグの図である。
【図16B】図16Aおよび16Bは、図1に示すように、アプリケータをコンソールに連結する特殊用途ケーブル組立体の一方の端部におけるカスタム設計された多機能プラグの図である。
【図16C】図16Cおよび16Dは、図1に示すように、アプリケータ−組織界面をコンソールに連結する真空トラップの図である。
【図16D】図16Cおよび16Dは、図1に示すように、アプリケータ−組織界面をコンソールに連結する真空トラップの図である。
【図17】図17および18は、図1に示すアプリケータに搭載して担持され得る順電力検出器および逆電力検出器の回路の略図である。
【図18】図17および18は、図1に示すアプリケータに搭載して担持され得る順電力検出器および逆電力検出器の回路の略図である。
【図19−1】図19Aは、アプリケータに搭載して担持されたLEDインジケータ板およびその機能性の斜視図である。
【図19−2】図19B、C、DおよびEは、図19Aに示すLEDインジケータ板を、アプリケータを保持する介護者に提示することができるLEDディスプレイの例証図である。
【図20】図20は、ヒトの皮膚の簡略化された解剖学的側断面図である。
【図21A】図21Aは、組織取得チャンバへの真空の印加前の、ヒトの皮膚と接触して配置されたアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の部分略側断面図である。
【図21B】図21Bは、治療のために皮膚をチャンバ内に引き込むための組織取得チャンバへの真空の印加後の、ヒトの皮膚と接触して配置されたアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の部分略側断面図である。
【図22A】図22Aは、治療のために皮膚をチャンバ内に引き込むための組織取得チャンバへの真空の印加後、および単一の導波管アンテナを通したエネルギーの印加後の、ヒトの皮膚と接触して配置されたアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の部分略側断面図である。
【図22B】図22Bは、図22Aに示すような単一の導波管アンテナを通したエネルギーの印加後に形成された外傷の略図である。
【図23A】図23Aは、治療のために皮膚をチャンバ内に引き込むための組織取得チャンバへの真空の印加後、および位相駆動モードで隣接する導波管アンテナを通したエネルギーの印加後の、ヒトの皮膚と接触して配置されたアプリケータおよびアプリケータ−組織界面の部分略側断面図である。
【図23B】図23Bは、図22Aに示すような単一および隣接する導波管アンテナを通したエネルギーの連続的印加後に形成された外傷パターンの略図である。
【図24】図24Aおよび24Bは、本発明に従う方法および手順において使用するための代表的な処置テンプレートの図である。
【図25】図25は、使用説明書とともに、キットにおける図1に示すアプリケータおよびアプリケータ−組織界面のパッケージの斜視図である。
【図26】図26は、代表的グラフィカルユーザインターフェースの画面を示す、図1に示すディスプレイ画面の斜視図である。
【図27】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む
【図28】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む。
【図29】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む。
【図30】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む。
【図31】図27から31は、代表的なグラフィカルユーザインターフェースの論理および制御構成要素の略図であり、代表的なグラフィカルスクリーンショットを相互参照して、システムの構成要素を使用するための段階的命令を含む。
【図32】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図33】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図34】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図35】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図36】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図37】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図38】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図39】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図40】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図41】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図42】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図43】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図44】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図45】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図46】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図47】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図48】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図49】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図50】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図51】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図52】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図53】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図54】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図55】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図56】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図57】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図58】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【図59】図32から59は、図27から31に示す論理に従って実行された代表的なグラフィカルユーザインターフェースのスクリーンショットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書は、所望の治療結果および/または美的結果を達成するために、非侵襲的方式で、エネルギー形態を身体組織に印加するための種々のシステムおよび方法を開示する。説明するように、システムおよび方法は、例えば、皮膚状態、美的状態、腺状構造、血管構造、または毛包を処置するために、個体の表皮組織、真皮組織、および皮下組織を処置するのに特に適切である。このため、システムおよび方法は、このような文脈、具体的には、多汗症または過度の発汗を処置するために汗腺に対する電磁マイクロ波エネルギーの適用の文脈において説明される。
【0014】
なお、開示されたシステムおよび方法が、体内の他の場所の他の状態を処置するために、非侵襲的方式で、マイクロ波または他のエネルギー形態を印加する際の使用に適用可能であることが理解されたい。さらに、本明細書に含まれる本開示は、当業者が本発明を実施することを可能にするように詳述され、かつ的確であるが、開示された物理的実施形態は、本発明の技術的特徴を強調する代表的実施形態を例示するように意図される。本発明の技術的特徴は、他の具体的な構造において具現化され得る。好適な実施形態について説明しているが、詳細は、請求項において規定される本発明の技術的特徴から逸脱することなく変更され得る。
【0015】
(I.システム概要)
図1は、本発明の特徴を具現化する、非侵襲的方式でエネルギーを標的組織領域に印加するためのシステム10を示す。図1に示すように、システム10は、3つの主要構成要素を含む。これらは、システムコンソール12と、システムアプリケータ14と、システムアプリケータ14により担持されたアプリケータ−組織界面16とである。
【0016】
図1に示す例証的実施形態では、後にさらに詳述するように、システム10は、具体的には、所定の外傷パターン(例えば、図23B参照)を形成するように個体の脇の下(腋窩)にエネルギーを生成および印加するような大きさを有し、かつ構成される。外傷パターンは、例えば、脇の下の汗腺の機能を抑制または中断する役割を果たす。この例証的な配置では、システム10およびその使用方法は、例えば、腋窩多汗症または脇の下の発汗/臭気を処置する役割を果たすことができる。
【0017】
(A.システムコンソール)
例証的実施形態では、システムコンソール12は、反復再使用が可能である耐久品であり得る。図1から図4が示すように、システムコンソール12は、小型で、運搬用の車輪付きであり、かつ処置を受ける個体に並んで配置可能であるキャビネットまたは筺体を備える。コンソール内に収容された構成要素は、特定の処置機能に対応する。AC電源ケーブル18は、システムコンソール12内の構成要素を、標準的なAC電源差し込み口(図4参照)に連結する。システムコンソール12内の電力供給部(図15参照)は、システムコンソール12内に収容された構成要素への配電のために、電力を12VのDC電力に変換する。
【0018】
図示する実施形態では、特定のシステム機能には、エネルギー生成機能、組織取得機能、外傷作成機能、外傷制御機能が含まれる。
【0019】
(B.システムアプリケータ)
また、システムアプリケータ14も、反復再使用が可能である耐久品であり得る。システムアプリケータ14は、使用中に、介護者の手で便利に取り扱いおよび操作されるような大きさを有し、かつ構成され得る(図1参照)。図2および図3が示すように、システムアプリケータ14は、システムコンソール12上のホルスタ20に便利に置かれ得る。
【0020】
図1および図5から図8に示すように、システムアプリケータ14は、例えば、成形プラスチック材料から作製されたピストルグリップ型筺体を備える。筺体内に担持されるものは、導波管アンテナアレイ22(図7から図11参照)である。図示する実施形態では、導波管アンテナアレイ22は、4つの導波管アンテナ24を備える。アンテナ24の数が、処置対象に従って変動してもよいことを理解されたい。
【0021】
使用中、導波管アンテナアレイ22は、エネルギー生成機能により提供されたエネルギーを放射する。
【0022】
また、アプリケータ14における構成要素は、システムコンソール12内に収容された構成要素と連携して作用して、外傷生成機能および外傷制御機能を実行する。より具体的には、後にさらに詳述するように、コンソール12内で制御される外傷生成機能は、アプリケータ14におけるマイクロ波スイッチ26(図7参照)を動作させて、標的組織領域において所望の外傷パターンを形成するように(図23Bに示すように)、アプリケータ14におけるアンテナ24によるエネルギーの放射を同期させる。さらに、これも後にさらに詳述するように、コンソール12内で制御される外傷制御機能は、標的組織領域と熱伝導接触する、アプリケータ14における冷却版28(図7参照)に循環される冷却剤を提供する。冷却板28の温度状態は、標的組織領域における外傷の拡大を制御する。
【0023】
例えば、親指で作動され得る、システムアプリケータ14上の「トリガ」スイッチ30(図7参照)によって、処置の開始および終了に対する直接的な制御、オーバーライド、およびシステムコンソール12の主制御器の包括的制御が介護者に与えられる。代替として、または組み合わせて、同じ目的のために足踏みペダル制御スイッチ32を設けてもよい(図1参照)。特殊用途ケーブル組立体34(図1および図16A/B参照)は、システムアプリケータ14に収容された構成要素を、システムコンソール12内に収容された構成要素に連結する。特殊用途ケーブル組立体34は、システムコンソール12上の専用接続部38に連結する特注設計の多機能プラグ36を含む。
【0024】
(C.アプリケータ−組織界面)
アプリケータ−組織界面16は、単回使用の使い捨て品であり得る。より具体的には、図6、図12A/B、および図13に示すように、界面16は、使用中に、システムアプリケータ14に一時的に連結され(例えば、ラッチ機構40によって)、次いで、図6に示すように、使用後に、処分するために取り外されるような大きさを有し、かつ構成され得る。本配置では、アプリケータ−組織界面16は、使用の発生後、システムアプリケータ14から取り外され、廃棄され、次の使用の発生前に、別の未使用のアプリケータ−組織界面16に取り換えられることができる。
【0025】
使用中(例えば、図21Aおよび図21B参照)、アプリケータ−組織界面16は、標的組織領域に接触し、導波管アンテナアレイ22により放射されたエネルギーを組織に通過させる。また、アプリケータ−組織界面16における構成要素も、システムコンソール12内に収容された構成要素と連携して作用して、組織取得機能を実行する。このために、アプリケータ−組織界面16は、組織取得チャンバ42を含み、組織取得チャンバ42内に、真皮および角皮下層を上昇させるように組織が引き込まれ、エネルギーが導波管アンテナアレイ22から印加される際に、冷却板28と熱伝導接触する標的組織領域を局所的に集中させ、および安定化させる。図示する実施形態では、組織取得機能は、組織取得チャンバ42に対する真空の印加を含む。このために、真空供給導管44が、アプリケータ−組織界面16に収容された構成要素を、システムコンソール12内に収容された構成要素に連結する。真空供給導管44は、システムコンソール12上の専用接続部48内に差し込まれる。
【0026】
組織取得機能によって制御される場合、アプリケータ−組織界面16による真空の印加によって、処置する組織を取得する際に、均一性および一貫性が提供される。これによって、所定の介護者によるアプリケータの操作の違いおよび/または処置を受ける組織形態の違いに起因して発生し得る処置の変動性が低下する。
【0027】
また、アプリケータ−組織界面16は、多機能生体障壁50(図12A参照)も含む。後にさらに詳述するように、多機能生体障壁50は、標的組織領域に存在し得る生理的液体(例えば、血液および汗)との接触およびそれによる汚染から、アプリケータ14およびコンソール12における動作構成要素を隔離する。多機能生体障壁50は、処置を受ける組織領域の生理的状態から、システム10の耐久性電気的および機械的構成要素(例えば、アプリケータ14およびコンソール12)を実質的に隔離し、その反対も同様である。
【0028】
(II.システムの機能)
説明するように、システムコンソール12に搭載して収容された主制御器58(図15参照)は、システム10による特定のエネルギー生成機能、組織取得機能、外傷作成機能、および外傷制御機能の実行全体を監視、制御、および調整する。搭載主制御器58は、出力、ならびにシステムアプリケータおよびアプリケータ14内の導波管アンテナ24への波形の印加の順序を包括的に設定および制御する役割を果たす。また、搭載主制御器58は、動作状態を監視し、既定のエラーまたは境界外の状態の発生時にアラームを開始する。
【0029】
アプリケータ14内に収容されたアプリケータ制御盤60(例えば、図7および図15参照)は、主制御器58と通信し、アプリケータ14により実行されるエネルギー生成機能、外傷作成機能、および外傷制御機能に対応するように、主制御器58によって制御される。
【0030】
また、主制御器58は、グラフィカルユーザインターフェース62(例えば、図26参照)も実装し得る。グラフィカルユーザインターフェース62は、システムコンソール12上で間接接合するディスプレイ画面64上に生成され得る(図1および図3に図示するように)。グラフィカルユーザインターフェース62は、状況および動作情報を介護者に伝達し、介護者が、制御入力を提供することを可能にする。ディスプレイ画面64上のグラフィカルユーザインターフェース62は、制御およびアラーム状態を介護者に通信し、介護者からのタッチスクリーンインタラクションおよび入力を可能にする。代表的なグラフィカルユーザインターフェース62のさらなる詳細については後述する(具体的には、図27から図59に示される)。
【0031】
次に、エネルギー生成機能、組織取得機能、外傷作成機能、および外傷制御機能、ならびにこれらの機能を実行するコンソール12、アプリケータ14、およびアプリケータ−組織界面16上の主要な連携構成要素について、個々により詳細に論じる。
【0032】
(A.エネルギー生成機能)
システムコンソール12に搭載して担持された構成要素(図15参照)は、標的組織領域における所望の治療目的を達成するように選択されたエネルギー波形を生成する。これらの構成要素は、マイクロ波生成器66(Broadband Wireless、Model Number BW−5800−125−HS)を含む。システムコンソール12に搭載の主制御器58は、所定のシステムの治療目的に従って、マイクロ波生成器66の出力を設定および/または変動する事前にプログラミングされたルールまたは論理を含む。
【0033】
多汗症を処置する治療目的の場合、主制御器58の制御下にあるマイクロ波生成器66は、処置時に、約5.8GHzを中心とする周波数で、5.775GHzから5.825GHzのISMバンドにあるマイクロ波信号を生成し得る。当然ながら、他の波形またはこの波形の変動を、波形生成機能による生成のために選択することができる。特殊用途ケーブル組立体34におけるマイクロ波ケーブル68は、マイクロ波信号をシステムアプリケータ14に連結する。
【0034】
主制御器58は、マイクロ波信号の出力を、約40ワットから約100ワットの間に設定し得、この場合、出力は、50オームの負荷で測定される。別の例として、主制御器58は、50オームの負荷に測定される約55ワットに出力を設定し得る。出力は、目的周波数においてシステムアプリケータ14の適切な出力を提供するために、システムアプリケータ14、特殊用途ケーブル組立体34、およびアプリケータ−組織界面16のインピーダンスに一致され得る。
【0035】
システムアプリケータ14は、導波管アンテナアレイ22(図9および図10参照)を担持する。また、アプリケータは、特殊用途ケーブル組立体34のマイクロ波ケーブル68に連結されたマイクロ波スイッチ26(図7および図8参照)を担持する。スイッチ26からの供給コネクタ70は、導波管アンテナアレイ22の4つの導波管アンテナ24に連結する(図8参照)。
【0036】
システムコンソール12に搭載の主制御器58は、既定のパターンでマイクロ波信号を導波管アンテナ24に分配するために、事前にプログラミングされたルールまたは論理を含む。アプリケータメインボード60上の事前にプログラミングされたルールまたは論理は、制御信号パターンを、アプリケータ14におけるマイクロ波スイッチ26に通信される切り替え信号に変換する。それに応答して、アンテナ24は、既定のパターン(外傷生成機能によって制御される)で、アプリケータ−組織界面16を通してマイクロ波信号を放射して、標的組織領域に既定の外傷パターンを形成する(例えば、図23Bに図示するように)。
【0037】
導波管アンテナアレイ22の組立体は、変動することができる。代表的な図示する実施形態(特に、図9および図10参照)では、導波管アンテナ24のアレイは、アンテナクレードル72および導波管組立体74によって、システムアプリケータ14内に支持される。アンテナクレードル72上に支持された冷却板28は、アプリケータ−組織界面16に対向する。後にさらに詳述するように、冷却板28は、例えば、印加されたマイクロ波エネルギーによって外傷が形成される際に皮膚表面に外傷が拡大することを防止することによって、外傷形成を制御する役割を果たし得る、主制御器58により制御された冷却システムの1つの構成要素である。
【0038】
図示する実施形態(図9参照)では、導波管組立体は、導波管アンテナ24間に配置されたスペーサ76(例えば、銅またはアルミニウムシム等の金属材料であり得る)を含む。スペーサ76の厚さは、例えば、隣接する導波管アンテナ24が、出力を放射するようにコマンドを受ける際に印加された出力分配パターンの形状を操作するように選択される(後にさらに詳述するように、位相起動モードと呼ばれる)。図9に示すように、導波管アンテナアレイ22における導波管アンテナ24の高さは、供給コネクタ70へのアクセスを容易にするように交互に配置される。各導波管アンテナ24は、誘電中心領域を金属材料、例えば、銅またはニッケルでコーティングすることによって製造され得る。金属材料の厚さは、最小でも、目的周波数、例えば、5.8GHzにおいて印加されたマイクロ波エネルギーの皮膚深さに対応し得る。典型的には、厚さは、有意に大きく、例えば、0.00025インチ以上である。
【0039】
図示する実施形態(図9参照)では、各導波管アンテナ24は、少なくとも1つの散乱要素78を含み得、散乱要素78は、アンテナアパーチャと呼ぶこともできる、導波管アンテナ24の下側の組織対向表面から突出する。散乱要素78は、外傷のサイズおよび形状を最適化するような大きさを有し、かつ構成される。図示する実施形態では、各散乱要素78は、それぞれの導波管アンテナアパーチャの略中心から組織に向かって突出する。さらに、代替実施形態では、散乱要素78は、導波管アンテナアパーチャ上の中心に位置する必要はない。散乱要素78は、アパーチャから約1mm突出し得る。
【0040】
図示する実施形態(図9参照)では、中間散乱要素80が、導波管アンテナ24間に配置され得る。中間散乱要素80は、例えば、組織における比吸収率(SAR)パターンを改善することによって、導波管アンテナ24間の皮膚に発生する外傷のサイズおよび形状を最適化するような大きさを有し、かつ構成され得る。中間散乱要素80の材料、サイズ、および構成を変更することによって、導波管アンテナ24により組織に作成される外傷は、治療目的に応じて、より大きくかつより発散されるか、または(逆に)より狭く作製されることができる。例えば、中間散乱要素80の誘電率の増加によって、導波管アンテナ24間の皮膚に作成される外傷のサイズは減少し得、その反対も同様である。
【0041】
中間散乱要素80は、例えば、アルミナから、または約96%アルミナである材料から製造され得る。代替として、中間散乱要素80は、例えば、シリコーンまたは射出成形シリコーンから製造され得る。中間散乱要素80は、散乱要素78とほぼ同一の誘電率、例えば、約10の誘電率、より好ましくは、約3の誘電率を有する材料から製造され得る。
【0042】
中間散乱要素80は、導波管アンテナ24のアパーチャ間の分離距離より若干広い距離を超えない幅を有するようにサイズを有し得、放射されたエネルギーを実質的に干渉しないようにする。中間散乱要素80は、放射されたマイクロ波場を修正および/または広げるような大きさを有し、かつ構成され得る。
【0043】
代表的実施形態では、中間散乱要素80は、散乱要素78の長さよりも短い最適長さ、例えば、約7mmの長さ、より好ましくは6.3mmの長さを有し得る。
【0044】
(1.組織取得機能)
システムコンソール12上に担持された構成要素(図15参照)は、真空供給導管44によってアプリケータ−組織界面16に連通される陰圧を生成する。後にさらに詳述するように(概して、図12Bに図示するように)、アプリケータ−組織界面16は、ポート82を有する形成型組織取得チャンバ42を含み、ポート82を通して、陰圧が真空供給導管44によって向けられ、図21Bが示すように、組織を取得チャンバ42内に引き込む。取得チャンバ42における組織に印加された陰圧は、マイクロ波エネルギーが印加されている間、組織を局所的に集中し、および安定化する。
【0045】
組織取得機能は、種々の方式で組織取得チャンバ42と連携して達成されることができる。図示する実施形態(図15参照)では、組織取得機能は、一方向逆止め弁86およびアキュムレータ(貯蔵器)88を介してソレノイド真空弁90に連結されたモータ駆動式真空ポンプ84を含む。真空ポンプ84とアキュムレータ88との間の逆止め弁86によって、追加の真空を必要としない場合に、真空ポンプ84を閉めることが可能になる。アキュムレータ(貯蔵器)88は、大容量の真空を提供するために、例えば、少なくとも30立方インチの体積を収容し得る。
【0046】
真空ポンプ84は、例えば、ブラシレスDCモータ(Air Squared Model No. V11H12N2.5)を有するスクロール真空ポンプを備え得る。ソレノイド真空弁90は、例えば、3方向で、通常閉鎖され、大気に排出されるソレノイド弁(Model LW53KK8DGBG12/DC、Peter Paul Electronics, Co.)を備え得る。真空ポンプ84は、適切な組織取得のために、例えば、マイナス20インチからマイナス22インチHgの真空レベルを維持する。
【0047】
図15が示すように、モータ駆動式真空ポンプ84は、システムコンソール12内の電力供給部および電力プリント配線板(PCB)を通して電力を受信し得る。また、ソレノイド真空弁90は、システムコンソール12に搭載の主制御器58に連結され、かつそれにより制御され、その動作が、マイクロ波エネルギーの生成および印加、ならびにシステム10の他の機能について、主制御器58によって調整されることができるようになる。
【0048】
モータ駆動式真空ポンプ84は、陰圧を生成する。ソレノイド真空弁90は、真空供給導管44と連通する。主制御器58によって開放されると、ソレノイド真空弁90は、真空ポンプ84によって生成された陰圧を、アプリケータ−組織界面16の組織取得チャンバ42に伝達する。ソレノイド真空弁90を閉鎖することによって、アプリケータ−組織界面16への陰圧の供給が中断される。
【0049】
次に、図12Aおよび図12Bを参照すると、アプリケータ−組織界面16は、医療グレード硬質または半硬質プラスチック材料、例えば、ポリカーボネートから形成された本体92を備え得る。本体92は、例えば、ボウル形状に成形することによって形成され得る。ラッチ組立体40は、システムアプリケータ14上の嵌合取り付け部材94(例えば、図5参照)に連結するように、本体92上に一体的に形成されることができ、使用時に、アプリケータ−組織界面16をシステムアプリケータ14に締結し、使用後に、界面をシステムアプリケータ14から外すようにする(図5および図6に図示するように)。
【0050】
ボウル状本体92(図12Bに最も良く示される)内において、導波管ホルダガスケット96が、ボウルに形成された外周フランジ98上に着座される。導波管ホルダガスケット96は、界面本体92がシステムアプリケータ14に締結される場合に(図13参照)、導波管組立体の裏面上の冷却板28の外周に対して、液密で圧密のシールを形成するような大きさを有し、かつ構成される。
【0051】
ボウル状本体92(図12Aおよび図12B参照)内において、導波管ホルダガスケット96の下および内側の空間は、組織界面表面100である。図示する実施形態(図12Aに最も良く示される)では、組織界面表面100は、上側および下側の重ね合わせ接着パネル104を有するフレーム102を備える。第1の生体障壁構成要素52は、上側接着パネル上に装着され、下側接着パネルは、導波管ホルダガスケット96が外周を囲むボウルにおける界面表面支持に接着する。
【0052】
使用中、処置を受ける組織は、冷却板28の少なくとも一部分と熱的接触する第1の生体障壁構成要素52と接触する。第1の生体障壁構成要素52は、アプリケータ−組織界面16の多機能生体障壁50の一部分を形成する。第1の生体障壁構成要素52は、エネルギーが導波管アンテナアレイ22から印加される際に組織取得チャンバ42内で取得された組織が接触する、実際の組織表面界面を備える。第1の生体障壁52は、異なるが、重複する物理的基準に基づいて選択される材料を備える。
【0053】
第1の生体障壁構成要素52の選択基準の1つとして、組織取得チャンバ42に存在し得る血液および/または汗等の、気体および液体の両方に対して実質的に不透過性であることが挙げられる。組織取得機能が真空を印加して、組織取得チャンバ42内の組織を第1の生体障壁構成要素52と接触させるように引き込むため、第1の生体障壁構成要素52は、標的組織領域における生理的液体との接触およびそれによる汚染から、アプリケータ14における構成要素を隔離する。
【0054】
第1の生体障壁構成要素52の重複選択基準として、その厚さを考慮して、材料が、必要な低マイクロ波伝導率を有し、材料が、導波管アンテナアレイ22により放射されたマイクロ波エネルギーを、組織取得チャンバ42内に取得された標的組織領域に、最小エネルギー吸収で、効率的に通過させるようにすることが挙げられる。本特徴は、0.1以下、より望ましくは約0.0004の損失正接tanδ、として表現されることができる。
【0055】
損失正接tanδは、伝導率σと類似するが、以下のように、材料の誘電率も考慮する。
tanδ=σ/ωε
式中、ωは周波数であり、
εは、誘電率である。
【0056】
例えば、5.8Ghzでは、0.1以下に同等であるtanδに対応する、第1の生体障壁構成要素52としての使用に適切な伝導率σの範囲は、σ=0.0から0.2ジーメンス/メートルであり得る。
【0057】
第1の生体障壁構成要素52の別の重複選択基準として、その厚さを考慮して、材料が、必要高熱伝導率を有し、組織取得チャンバ42内に取得する標的組織領域と、冷却板28との間の熱伝導を発生させることを効率的に可能にすることが挙げられる。例えば、選択される材料は、メートル・ケルビン当たり少なくとも0.1ワット(0.1W/mK)、望ましくは0.1W/mKから0.6W/mK、最も望ましくは0.25W/mKから0.45W/mKの熱伝導率を有するべきである。
【0058】
第1の生体障壁構成要素52の別の重複選択基準として、その厚さを考慮して、材料が、必要高熱伝達係数を有することが挙げられる。熱伝達係数は、材料の熱伝導率を材料の厚さで割ることによって表現されることができる。例えば、熱伝導率が0.1で厚さが0.0005インチの第1の生体障壁構成要素52では、熱伝達係数は、約7874W/m2Kであり得る。
【0059】
第1の生体障壁構成要素52の他の重複選択基準として、材料が、冷却板28の表面に一致するように十分可撓性であるとともに、また、真空圧または組織との接触に起因する引き裂きに抵抗するように十分強力であることが挙げられる。
【0060】
この点に関し、第1の生体障壁構成要素52は、非多孔質膜、例えば、ポリエチレンフィルム、ナイロン、または他の適切な材料であり得る。第1の生体障壁構成要素52は、皮膚とのコンプライアントな接触のために、望ましくは、可撓性および軟性である。第1の生体障壁構成要素52は、例えば、Fisher Scientificから入手可能であるポリエチレンフィルムまたは(代替として)マイラーフィルムを備えることができる。生体障壁構成要素52は、厚さが、例えば、約0.0005インチであることができる。
【0061】
また、アプリケータ−組織界面本体92は、アプリケータ−組織界面表面の外周の周囲の本体から増加する直径を有する下方に垂れるスカート106(図12A/Bおよび図13参照)も含む。下方に垂れるスカート106は、アプリケータ−組織界面16の第1の生体障壁構成要素52に至る(図13参照)略じょうご状の開放内部面積またはチャンバを画定する。このチャンバは、前述の組織取得チャンバ42を画定する。スカート106は、コンプライアントな医療グレードプラスチック材料(例えば、ウレタン、またはシリコーン、または天然もしくは合成ゴム、またはエラストマ材料等の熱可塑性エラストマ(TPE))を備え得、外部皮膚表面に対して不自由なく存在するような大きさを有し、かつ構成され得る。組織表面に対して圧迫するように十分な圧力で押圧すると(図21A参照)、スカート106の外周は、組織取得チャンバ42の周囲に略液密で圧密のシールを形成する。
【0062】
スカート106は、後により詳細に説明するように、界面の操作中に、介護者に参照位置決め点を提供するように、スカート106の各側面上に配置された整合部材108(図5参照)を含み得る。スカート106のじょうご状の輪郭は、システムアプリケータ14に取り付けられたアプリケータ−組織界面16を介護者が操作する間に、整合部材108の直接視認を介護者に与えるスカート角度を提供し得る。
【0063】
図12Aが示すように、システムコンソール12の組織取得機能(図15も参照)と連通する真空供給導管44は、アプリケータ−組織界面16の本体上に形成されたポートに連結される。ポートは、アプリケータ−組織界面表面に隣接する組織取得チャンバ42と連通する、本体に形成された真空チャネル110(図12Aおよび図12B参照)と連通する。真空チャネル110は、アプリケータ−組織界面表面において、またはその付近で、組織取得チャネルを円周方向に取り囲み得る。真空チャネル110は、アプリケータ−組織界面表面に隣接する組織取得チャンバ42に均一に陰圧を伝達するように、真空チャネルに沿って形成された離間アパーチャまたはポート82を含み得る(図12B参照)(例えば、4つのポートであって、アプリケータ−組織界面表面の各側面に隣接して1つ)。ポート82は、皮膚をチャンバ内に吸引し、冷却板28と熱伝導接触する第1の生体障壁構成要素52に対して皮膚を配置する(図21Bに示すように)。
【0064】
組織界面表面100/52のフレーム102およびパネル104は、組み立て時に、組織取得チャンバ42と連通する真空バランス経路を形成するように位置合わせする形成型アパーチャ112(図12A参照)を含み得る。チャンバ42に印加された陰圧は、界面表面100/52の両側の圧力を均一にするように、真空バランス経路112を通して界面表面100/52の反対側に伝達される。
【0065】
アプリケータ−組織界面16の多機能生体障壁50の第2の生体障壁構成要素54は、望ましくは、真空バランス経路112を占有する。真空バランス経路112における第2の生体障壁構成要素54(「真空バランス生体障壁構成要素」とも呼ばれることができる)は、液体に対して実質的に不浸透性であるが、気体に対してはそうではない材料を備える。真空バランス生体障壁構成要素54は、組織取得チャンバ42に存在し得る血液および/または汗等の生理的液体が、真空バランス経路112を通してアプリケータ14の内部に運ばれることを防止する。第2の生体障壁構成要素54の候補材料は、取得チャンバ42からシステムアプリケータ14に生体液体を通過させることなく、システムアプリケータ側および表面の界面側上の真空圧力を実質的に均一にするように、気体を通過させるに十分な孔(例えば、0.45μm)を含み得る。第2の生体障壁構成要素54は、例えば、PTFE(テフロン(登録商標))材料から作製された疎水性膜を備え得る。第2の生体障壁構成要素54は、厚さが、例えば、約0.005インチであることができる。
【0066】
真空チャネルに沿って形成された離間アパーチャまたはポート82は、チャンバ42内に引き込まれた皮膚上に「ヒッキーパターン」を押し付けることができる、その内部に沿った内部パターン114を含み得る(図14Aおよび図14B参照)。外傷に伴う「ヒッキーパターン」の存在によって、標的組織領域において連続する外傷を正確に配置するように、システムアプリケータ14の連続的な配置について介護者を導くことに役立つことができる。また、「ヒッキーパターン」における不一致は、パターンにおける間隙および逸したスポットを戻すまたは充填する必要性を標示するために、外傷パターンにおける間隙または誤って配置された外傷について介護者に警告し得る。内部パターン114は、表面接触を断ち、かつ皮膚が真空アパーチャまたはポートを塞ぐことを防止するのに役立ち得る切り欠きを画定する。
【0067】
代表的実施形態では、組織取得チャンバ42は、約1.54インチx約0.7インチの寸法を有し、約0.177インチ(4.5mm)の深さを有する(スカートを含まない)。スカート106を含むと、組織取得チャンバ42の深さは、コンプライアントなスカート106が真空の印加により組織に対して圧迫される程度に応じて、約6.5mmから11mmの間であることができる。本発明のある実施形態によると、組織取得チャンバ42の4つの角は、0.1875インチの半径を有し得る。
【0068】
本配置では、組織界面表面100/52の反対側上の導波管アンテナアレイ22は、4つのアンテナ24を含み、約1.34インチx約0.628インチの寸法を有する。導波管アンテナアレイ22および組織取得チャンバ42の寸法は、望ましくは、導波管アンテナアレイ22の縁で形成する漂遊磁界を最小化するとともに、組織界面表面の有効冷却面積を最適化するように最適化される。組織取得チャンバ42は、望ましくは、冷却またはエネルギー伝達に悪影響を及ぼさずに、組織取得を容易にするように最適化される。
【0069】
真空供給導管44は、処置過程中に漏れる液体(例えば、汗または血液)を収集し得る。このため、アプリケータ−組織界面16の多機能生体障壁50の第3の生体障壁構成要素56は、真空供給導管44と並んでアプリケータ−組織界面16の上流に配置される(図15参照、また、概して図1にも示される)。第3の生体障壁構成要素56は、液体に対して実質的に不浸透性であるが、気体に対してはそうではないように選択される。第3の生体障壁構成要素56は、システムコンソール12から液体を避けるために、例えば、疎水性フィルタ(例えば、Milliporeから入手可能である0.45μmの疎水性PTFEから作製されたMillex FHフィルタ)を備えることができる。疎水性フィルタは、例えば、約10ポンド/平方インチで約13.4立方フィート/分の気流に対応することによって、さらに特徴付けられることができる。
【0070】
第3の生体障壁構成要素56は、代替として、図16Cおよび図16Dに示すように、インライン真空トラップを備えることができる。真空トラップは、真空入口ポート118(真空供給導管44が連通する)および真空出口ポート120(コンソール12上の接続部48内に差し込む)を画定する形成された筺体116を含み得る。筺体116は、内部チャンバ122を画定し、そこで、入口ポート118と出口ポート120との間の真空流が、アプリケータ−組織界面16からシステムコンソール12に横断しなければならない。筺体116の外部上の中心隆起124は、例えば、真空供給コネクタ118を嵌合コンソール真空供給レセプタクル48内に差し込みおよびそれから取り外しする間に、介護者が真空トラップを保持および操作するための把持表面を提供し得る。
【0071】
チャンバ122は、入口ポート118と連通する入口側128、および出口ポート120と連通する出口側130に、内壁126によって区切られる。内壁130における1つ以上のアパーチャ132は、チャンバ122の入口側128と出口側130との間の流動連通の経路を画定する。
【0072】
バッフル板134は、チャンバ122の入口側128と外側130との間の内壁16を通るアパーチャ132を通る真空流を妨げる。真空流は、チャンバ122を通過するために、バッフル板134の周囲で向きを変えなければならない。環状バッフル136の列が、チャンバ122の入口側128の周囲に円周方向にさらに配置される。バッフル板134および環状バッフル136は、蛇行性経路の列を形成し、その列を通して、チャンバを通過する真空流は、進まなければならない。真空流中の空気は、方向を容易に変更して、蛇行性経路を進む。真空流により運ばれた生理的液体は、進まないが、代わりに、チャンバ122を通して蛇行性経路の隅および割れ目に重力により捕捉される。これによって、真空トラップは、生理的液体が、出口ポート120からコンソール12内に通過することを防止する。
【0073】
(2.外傷作成機能)
後にさらに詳述するように、導波管アンテナ24を通して、組織取得チャンバ42内に取得された組織に印加されるマイクロ波信号は、概して図23Bに示すように、標的組織領域において外傷を作成する。多汗症の処置の際、外傷は、皮膚の真皮下層および/または真皮/角皮下層に形成され得る。システムコンソール12に搭載して担持された構成要素は、アプリケータ14に搭載して担持されたマイクロ波スイッチ26を制御して、図23Bが図示するように、選択されたパターンで外傷を形成するように、規定の方式で導波管アンテナ24によるマイクロ波信号の印加を順序付ける。パターンは、システム10の治療目的の達成をもたらすように選択される。
【0074】
((iv)外傷制御機能)
システムコンソール12に搭載して担持された構成要素(図15参照)は、概して図10および図11に示すように、システムアプリケータ14に担持された導波管アンテナアレイ22と組織冷却板28との間の冷却剤経路を通して、冷却液を生成および循環させる。組織冷却板28は、真皮/角皮下層に形成される外傷が表皮側に拡大することを防止することによって、アプリケータ−組織界面16に係合された皮膚(図21B参照)の熱損傷を防止する。
【0075】
冷却液には、例えば、水、脱イオン水、または他の適切な流体が含まれ得る。
【0076】
外傷制御機能は、種々の方式で達成されることができる。図示する実施形態(図15参照)では、外傷制御機能は、ペルチェ効果熱電冷却器(TEC)138を含む。図15が示すように、TEC138は、システムコンソール12に搭載して担持された電力供給部および電力プリント配線板を通して電力を受信し、TEC138を含む構成要素により生成された熱をコンソール12から伝達するためにコンソール12内で気体を循環させる吸入ファンおよび冷却ファン140も同様である。TEC138は、コンソール12に搭載の貯蔵器142において冷却剤を冷却する。送水ポンプ144(これも、電力配線を介して電力を引き込む)は、冷却された冷却剤を貯蔵器142から伝達する。冷却された冷却剤は、導波管アンテナクレードル72内、およびシステムアプリケータ14に担持された導波管アンテナアレイ22と組織冷却板28との間の冷却剤経路148(図10および図11参照)を通して冷却剤供給線146によって循環される。冷却剤は、冷却剤戻し線150によって貯蔵器142に戻される。冷却剤供給線146および冷却剤戻し線150は、アプリケータ14への特殊用途ケーブル組立体34を通って延在する(図16Aおよび図16B参照)。冷却液殺菌灯152(例えば、253.7nm)は、流体線を詰まらせ、アプリケータ12における冷却剤の流動を減少させ得る冷却剤中の微生物汚染物質の増殖を防止するために設けられ得る。冷却液殺菌灯152は、定期的に、例えば、各電源オンサイクルまたは各冷却剤補充の後のある時間(例えば、10分)の間、作動され得る。
【0077】
図15が示すように、TEC138は、主制御器58に連結され、かつそれによって制御され得、その動作(組織取得機能の構成要素の動作等)が、マイクロ波エネルギーの生成および印加について、主制御器58によって調整されることができるようになる。
【0078】
図示する実施形態では、冷却板28は、散乱要素78(図10および図11参照)の端子面に対して存在するが、代替実施形態では、散乱要素の端子面は、冷却板28と接触しないように離間されることができる。導波管アンテナアレイ22の冷却経路は、冷却板28と各導波管アンテナ24との間の空間に形成され、その中に散乱要素78が突出する。冷却剤は、これらの経路148を通して循環され、各導波管アンテナ24を個々に、および冷却板28を全体的に冷却する。
【0079】
これらの経路148からの冷却剤の流量は、例えば、約425ミリリットル/分+/−45ミリリットル/分であることができる。望ましくは、経路148は、各導波管アンテナ24に沿った冷却剤の流量が、実質的に同一であるような大きさを有し、かつ構成される。冷却剤の温度は、例えば、摂氏約8度から摂氏約22度の間、好ましくは摂氏約15度であることができる。
【0080】
散乱要素78は、冷却剤経路148の少なくとも一部分内に延出し得る。冷却経路148が、経路148中の気泡の生成および/または増大を減少させるために、図9、図10、および図11に示すように、平滑化または円形化または成形されることが望ましい。散乱要素78は、例えば、「切り子面のある」またはテーパ状の端部を有して、卵形またはレーストラックまたは楕円六角形の形状で形成され得る(図9から図11参照)。親水性コーティングを冷却経路148の一部または全部に使用して、例えば、泡の形成を減少させてもよい。
【0081】
また、導波管アンテナアレイ22に関連付けられた中間散乱要素80も、アンテナアパーチャ間の冷却剤経路148に配置され得る。本配置では、中間散乱要素80は、冷却板28における均一な冷却を容易にするように配置され得るが、その主要な機能が、例えば、位相駆動モードにおける外傷サイズおよび形状に影響を及ぼすことであることに留意されたい。中間散乱要素80は、導波管アンテナ24のアパーチャ間の分離距離より若干広い距離を超えない幅を有するようにサイズを有し得、放射されたエネルギーを実質的に干渉しないようにする。冷却剤経路148内に延出する中間散乱要素80は、同様に、経路中の泡の生成および/または増大を防止するために、図9、図10、および図11に示すように、平滑化または円形化または成形される。中間散乱要素80は、例えば、「切り子面のある」またはテーパ状の端部を有して、卵形またはレーストラックまたは楕円六角形の形状で形成され得る(図9から図11参照)が、冷却剤経路148を移動する際にマイクロ波場を修正および/または広げるような大きさを有し、かつ構成されることを前提とする。本配置では、中間散乱要素80(および散乱要素78)は、望ましくは、冷却剤への暴露時に錆びないまたは劣化しない材料から作製される。
【0082】
同様に、冷却板28は、レーザー切断され得(例えば、約0.020インチの厚さを有する)、湾曲状の角を有する。
【0083】
熱電対154が、冷却経路148と反対の冷却板28の表面上に配置され得(図10および図11参照)、概して、導波管アンテナ24のアパーチャと、およびそれらの間に整合される。熱電対154は、必要に応じて、冷却板28上に印刷(スパッタ)されることができる。熱電対154は、例えば、銅およびニッケルの変動合金組成、例えば、60%銅/40%ニッケル等の例えばコンスタンタンでマスクおよびスパッタされ、次いで、銅および銅−ニッケル構成要素が熱電対として役割を果たす接点を形成するように、銅で再マスクおよびスパッタされた複数のT型熱電対(例えば、7個)を備えることができる。また、1つ以上の熱電対154を供給線および戻し線に配置してもよい。熱電対154は、アプリケータメインボード60に連結され、アプリケータメインボード60は、特殊用途ケーブル組立体34を通して、システムコンソール12に搭載の主制御器58に、検知した温度状態を通信する。検知された温度状態は、波形生成機能の一部として、主制御器58に存在する事前にプログラミングされた論理に従って処理され、冷却板28に沿って検知された温度状態に基づいて、導波管アンテナ24に供給される電力を調整するために使用され得る。
【0084】
(III.システム制御器)
(A.システムコンソールに搭載のもの)
(主制御器)
主制御器58(図15参照)は、システムコンソール12における制御プリント配線板上に存在する。主制御器58は、電力供給部から12Vの電力を受信する。主制御器58は、システムコンソール12により担持された構成要素ならびにアプリケータにより担持された構成要素と通信する。
【0085】
特殊用途ケーブル組立体38(図1および図16A/B参照)は、主制御器58とアプリケータ14との間の多目的リンクを確立する。特殊用途ケーブル組立体(図16Aおよび図16B参照)を通り延在するのは、主制御器58により制御された生成器からアプリケータ上のマイクロ波スイッチ26にマイクロ波信号を伝達するためのマイクロ波エネルギーケーブル68と、アプリケータにおける導波管アンテナアレイ22および冷却板28の冷却剤経路148を通る循環のために、冷却剤貯蔵器142を出入りして冷却剤を伝達するための冷却剤供給導管146および冷却剤戻し導管150と、規定の通信プロトコルに従って、主制御器58とアプリケータ主制御盤60との間の通信リンクを確立するコネクタ156(例えば、CMX Systems、San Jose、Californiaから入手可能であるCMX−RTXTM RTOS(埋め込み型リアルタイムオペレーティングシステム)Product Lineである。単一の特殊用途ケーブル組立体34を通る複数の電気導管および流体導管の束は、システム10の形式および機能を合理化し、システム10の設定を簡略化するとともに、また、電気波形生成、冷却剤循環、および通信リンク提供の観点から、システム10自体の多様な機能に効率的に対応する役割を果たす。多特殊用途ケーブル組立体34は、より良好な到達範囲およびシステムコンソール12からの遠隔操作の容易性のために、ケーブルを伸ばすこと(例えば、8フィートまで)を容易にする。
【0086】
図15に示すように、主制御器58と、コンソール12中またはコンソール12上に存在する構成要素との間の通信は、(i)生成器がマイクロ波エネルギーを標的組織領域に印加する際に標示する、コンソール12上の色付き(青色)LED、(ii)足踏みスイッチ32、(iii)グラフィカルユーザインターフェース画面、および(iv)可聴アラームまたは状況音を生成するスピーカを含むことができる。また、主制御器58との通信は、(v)後述するように、使用前にアプリケータ−組織界面12を識別するために、アプリケータ−組織界面16またはそのパッケージにより担持された受動的RFIDタグ158(図25参照)からの信号伝送を引き起こす無線周波数識別(RFID)読み取り器であってもよい。また、RFID読み取り器は、例えば、所定のアプリケータ−組織界面16の再使用を防止するために、必要に応じて、読み取り後に、RFIDタグ158により搬送される情報を削除するように機能することができ(代替として、バーコード情報に基づく読み取りおよび識別機能を使用してもよい)、(vi)アプリケータがホルスタ20上に存在する場合に標示するホルスタ20上のセンサ160であってもよい。
【0087】
ホルスタ20(図2参照)に関し、ホルスタ20は、システム上の2つの固定位置においてアプリケータを格納するために機能し、2つの固定位置は、1)アプリケータにより担持されたアプリケータ−組織界面16が、ホルスタ20により担持された電力吸収器168側に向き、主制御器58が「試験」モードを実行して、電力吸収器168により電力が安全に含まれる場合の電力供給、水温度センサ応答、アンテナ切り替えを検証することができる場合の、「内側」対向位置と、2)アプリケータ−組織界面16の取り付け点への容易なアクセスのために電力吸収器168から離隔する「外側」対向位置とである。アプリケータ14がホルスタ20にある場合、「内側対向」位置情報は、望ましくは、「試験モード」中に供給された任意の電力が、電力吸収器168によって安全に含まれることを検証する。「内側」対向位置は、アプリケータ14およびアプリケータ−組織界面16が「内側」に対向している場合、およびその場合のみに、ホルスタ20上の磁気センサ160と、磁気センサ160と位置合わせされたアプリケータにより担持された磁石162によって検知される。「外側対向」位置は、必ずしも検知される必要はない。
【0088】
また、検知される動作状態も、主制御器58に通信される。検知される状態には、(i)マイクロ波生成器66により検出される検知順電力信号、(ii)主制御器58により直接検出される検知逆電力、(iii)真空ソレノイド弁90の上流および下流の両方で検知され得る、真空供給線44における検知陰圧レベル、(iv)冷却剤供給線146における検知冷却剤流、(v)冷却剤貯蔵器142における冷却剤レベル、および(vi)熱電冷却器(TEC138)の検知温度が含まれ得る。また、他の検知される動作状態も、アプリケータメインボード60によって、主制御器58に通信され得、例えば、(i)アプリケータ14上で検出される検知順電力信号および逆電力信号、(ii)マイクロ波スイッチ状況状態、および(iii)アプリケータにおける冷却板28および冷却剤供給線146上に存在する熱電対154により受信される信号からメインアプリケータボードにより処理される検知温度状態が挙げられる。
【0089】
また、主制御器58は、エネルギー生成信号をマイクロ波生成器66に通信し、動作信号をソレノイド真空弁90に通信する。主制御器58上の事前にプログラミングされたルールまたは論理は、主制御器58に通信された検知情報を処理して、境界外状態が存在する場合に、コマンド信号およびアラームを生成する。処理された情報に基づいて、主制御器58は、例えば、TEC138を所望の温度に維持するようにファン速度を上昇または低下させるか、冷却剤流を上昇または低下させるか、または電力レベルを変更し得る。
【0090】
代表的実施形態では、主制御器58は、望ましくは、アプリケータ14との通信および制御に対応することができる。主制御器58は、望ましくは、アプリケータ温度、アンテナ電力、アプリケータ上の「トリガ」スイッチの状況に関する情報を、アプリケータから受信する。主制御器58は、望ましくは、どのアンテナが有効であるべきかを記述する情報を、アプリケータ14に送信する。主制御器58は、望ましくは、該当する場合、アプリケータLEDを制御するコマンドを、アプリケータ14に送信する。通信は、望ましくは、アプリケータにおいて検出された故障状態を含む。主制御器58は、望ましくは、アプリケータ上に標示された以下のシステム状況:準備完了、処置、冷却、および故障に対応することができる。
【0091】
主制御器58は、望ましくは、故障または予想外/許容外の挙動を検出し、患者に対する損傷のリスク、および、可能である場合に、機器への損傷を最小限に抑えるように反応する役割を果たす。
【0092】
例えば、真空の規定の増分損失(例えば、5インチHgを超える真空)は、エネルギー送達サイクルを即座に中断し得る。増分損失が、規定時間未満(例えば、2秒未満)の間持続する場合、エネルギー送達は、真空レベルが規定のレベルに戻ると再開し得る。増分損失が、規定の間隔より長い間持続する場合、主制御器58は、治療サイクルを中止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせ得る。
【0093】
例えば、アプリケータまたは生成器への通信の損失によって、主制御器58は、アプリケータ通信の損失中にエネルギー送達を終了させ、かつ増幅器通信の損失中に増幅器(ミュート対応)を無効にすることによって、治療サイクルを中止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせることによって、安全状況に入る。
【0094】
例えば、アプリケータ冷却板28における温度監視を使用して、処置状態を検出し得る。例えば、温度が、エネルギー送達の最初の2秒間内で既定量(例えば、40°C)を上回る場合、主制御器58は、治療サイクルを停止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせ得る。温度が、エネルギー送達の最初の2秒後に既定量を上回る場合、主制御器58は、そのアンテナへのエネルギー送達を即座に終了させ、治療順序における次のアンテナへのエネルギー送達を開始し得る。
【0095】
例えば、真空ポンプ駆動は、監視され、許容境界を含む公称駆動レベルと比較されて、標的組織が適切に取得されていない場合、または組織取得の損失中に発生し得る過剰真空漏出が、ユーザインターフェースを通して介護者に適切に報告されることを確かにし得る。真空ポンプ駆動変動が、治療サイクル中に過剰である場合、主制御器58は、治療サイクルを停止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせ得る。
【0096】
例えば、生成器内および主制御器58上の電力供給電圧の内部電圧監視を使用して、治療サイクルを停止し、システムを冷却後段階に入らせ得る故障状態が存在するかを判断し得る。
【0097】
例えば、マイクロ波電力は、治療サイクルのエネルギー送達段階および非エネルギー送達段階中に、コンソールおよびアプリケータにおいて連続的に監視され得る。エネルギー送達中、マイクロ波電力は、特定範囲内にあることが必要とされ得、治療の非エネルギー送達中、マイクロ波電力は、特定の閾値未満であるべきである。故障状態が存在する場合、主制御器58は、治療サイクルを停止し、システムを冷却後段階に入らせ得る。治療の非エネルギー送達段階中に故障状態が存在する場合、生成器は、無効に成り得る(ミュート対応)。
【0098】
例えば、重要な構成要素の内部温度が、過剰な熱的状態を検出するために監視され得る。
【0099】
例えば、治療サイクル中に熱電冷却器のエラー、温度エラー、流量エラー、または水レベルエラーが存在する場合、主制御器58は、治療サイクルを停止し、治療サイクルを冷却後段階に入らせ得る。
【0100】
主制御器58は、システムが実行する各処置サイクルに関連付けられたデータを格納する能力を提供し得る。本データは、システムへの電力が排除されるか、または止められる場合に削除されないメモリに格納され得る。データログに含まれた情報は、グラフィカルユーザインターフェース62上のサービスモード画面を通してアクセス可能になり得る。主制御器58は、アプリケータ配置毎の以下の情報の一部または全部を、システムメモリのフォルダにおける処置データログに格納し得る。(i)日時、(ii)平均順電力、(iii)最大逆電力(主制御器58からおよび/または後述するように、各アプリケータから)、(iv)アプリケータ冷却板28上に位置する温度センサの各々の温度上昇(差分)、(v)最大冷却剤温度、および/または(vii)故障事象および関連のエラーコード。
【0101】
(B.アプリケータに搭載のもの)
図7および図8に最も良く示されるように、アプリケータにおけるマイクロ波スイッチ26は、マイクロ波エネルギー供給リードに連結される入力部を有する。マイクロ波スイッチ26は、例えば、Relcom Technologies, Inc., Part No. RMT−SR019により製造されたスイッチを備えることができる。個々の供給コネクタケーブル70は、スイッチ26の出力部から個々の検出器基板170に通じ、検出器基板170は、マイクロ波信号を導波管アンテナ24に通過させるために方向性結合器(図17参照)を含み、また、信号を、順電力および逆電力検出回路に連結する。
【0102】
システムコンソール12に搭載の主制御器58は、導波管アンテナ24を通してマイクロ波信号を印加するための所望のスイッチパターンを確立する、埋め込み型の事前にプログラミングされたルールを含む。主制御器58からの信号は、アプリケータメインボードによってスイッチ信号に伝達され、次いで、スイッチ信号は、これらのパターンを実行するようにスイッチの動作を制御する。
【0103】
(1.局所的順電力および逆電力検出)
直近に述べたように、マイクロ波信号が特殊用途ケーブル組立体を通してシステムアプリケータ14に伝送される際に、順電力信号および逆電力信号が、主制御器58によって検出される。コンソール12に局所的であるこれらの順電力信号および逆電力信号は、電力制御目的のために、主制御器58に通信される。
【0104】
加えて、システムアプリケータ14は、アプリケータに局所的な順電力および逆電力を検出するための、追加の搭載検出器基板回路を担持し得る(図17および図18参照)。アプリケータ14に局所的であるこれらの順電力信号および逆電力信号は、電力設定が既定の境界内にあるというさらなる確認として処理するために、アプリケータメインボード60によって、コンソール12に搭載の主制御器68に通信される。
【0105】
図7に示すように、検出器基板回路は、4つの検出器基板170を備え、所定の検出器が単一の導波管アンテナ24に電気的に連結され、単一の導波管アンテナ24の専用になる。各検出器基板170の電気的構成は、次に説明するように、本質的に同一である。
【0106】
((a)方向性結合器)
図17は、各検出器基板上にトレースされた回路を示す。回路は、直通線および連結線(概して、前述されている)を有する方向性結合器(図18にも示す)を含む。直通線は、システムアプリケータメインボード60により個々の導波管アンテナ24に切り替えられる際に、マイクロ波信号を受信する入力部と、受信したマイクロ波信号をそれぞれの導波管アンテナ24に伝達する出力部とを有する。図18において最も良く示すように、連結線は、固定距離の間、直通線に近接して及び、直通線を通して移動するエネルギーのサンプルを、連結線に伝達することを可能にする。連結線は、方向性であり、これは、連結線の一方のポート上の順電力および他方のポート上の反射電力をサンプリングすることを意味する。連結区分の長さ、直通線と連結線との間の距離、効率的に電力を伝達するための同軸給電の最適化、装着、および結合器のポートが終端される方式は、順ポートおよび反射ポートにおいてサンプリングされる電力量および2つのポートの間の隔離を決定する。
【0107】
図示する実施形態(図18参照)では、方向性結合器回路は、非対称ストリップ線路伝送線(中心導体が、上側および下側接地板から等距離にないストリップ線路)を使用して実装される。エネルギーは、ストリップ線路の中心導体に近い接地板を通して、入力ポートの中に、そして出力ポートの外へ供給される。順方向および逆方向サンプリングポートは、非対称ストリップ線路からマイクロストリップ線路への移行を含む。これにより、検出器回路の個別の構成要素の容易な配置および組み立てが可能になる。
【0108】
((b)減衰器およびDC阻止回路)
順方向および逆方向サンプリング電力ポートは、図17に示すように、マイクロ波エネルギーをマイクロ波減衰器およびDC阻止回路に供給する。マイクロ波減衰器回路は、マイクロ波電力の量を、電力検出器の最適なレベル範囲に調整する役割を果たす。また、回路は、低周波数信号が、電力検出器または信号調整回路から高出力マイクロ波経路に移動することができないように、DC阻止も含む。
【0109】
((c)電力検出器)
回路(図17参照)は、逆電力検出器および順電力検出器を含む。電力検出器は、高周波数マイクロ波信号を、低周波数ACまたはDC信号に変換する。変換された低周波数信号は、入力高周波数信号の強度に直接的に比例するか、またはそれを標示する強度を有する。検出器は、例えば、ADL−5510 Detector IC(Analog Devicesから入手可能)、または別の能動的/受動的検出機器を備えることができる。
【0110】
((d)信号調整回路)
回路(図17参照)は、順電力および逆電力検出器毎に信号調整回路を含む。信号調節回路は、3つの主要な機能を実行する。信号調節回路は、鮮明な(雑音の無い)供給電圧を電力検出器および任意の他の能動的構成要素に提供する。信号調節回路は、検出器回路における不要な内部雑音または外部雑音をフィルタリングで除く。最後に、信号調節回路は、電力検出器の低周波数出力の低域フィルタとしての役割を果たす。これにより、アプリケータメインボード上の後続のデジタル化およびコンソール12に搭載の主制御器58への返送のための、電力出力器から発生する(すなわち、パルス幅変調マイクロ波信号の結果)、DC信号に対する任意の低周波数AC信号を減少させる。
【0111】
(2.温度検知)
また、冷却経路に沿った、および組織冷却板28における熱電対154からの温度状態測定も、特殊用途ケーブル組立体34を通して、接続リンク156を介して、システムアプリケータメインボードによって、システムコンソール12の主制御器58に通信される。この閉ループフィードバックに基づいて、主制御器58に存在する論理は、エネルギー生成機能の一部として電力を制御し得る。
【0112】
(3.LEDインジケータ板)
図示する実施形態(図7および図19A/B/C/D参照)では、LEDインジケータ板172は、スイッチ30に隣接して筺体上で介護者に可視的な表示範囲上に配置される適切な数のLEDおよび/または光パイプ174を含む。
【0113】
代表的実施形態では、15個のLEDおよび7個の光パイプが存在する。システムアプリケータメインボード60は、検知された状況および動作情報を、主制御器58からLEDインジケータ板172に通信する。次いで、LEDインジケータ板172は、色および/もしくは光パターンならびに/または背面照明色およびパターンの表示の観点から、事前にプログラミングされたルールに従って、LEDおよび/または光パイプ174に動作をコマンドして、これらの状況および動作状態を介護者に視覚的に通信する。
【0114】
所望の動作状態および境界外状態の存在は、異なる背面照明色によって視覚的に表現されることができ、同様に処置サイクルの状況も表現されることができる。LEDインジケータ板により視覚的に通信される情報の性質および内容は、個々のシステム10の必要性に応じて幅広く変動および調整されることができる。
【0115】
例えば、動作の状況を標示するLEDは、背面照明されることができ(図19B参照)、例えば、緑色の背面照明は、システムの準備完了状態を標示し、青色の背面照明は、エネルギーを組織に印加中である場合を標示し、赤色の背面照明は、故障またはエラー状態を標示し得る。LEDは、処置の状況を標示するために、順番に照らされてもよく、例えば、単一のLEDは、処置の開始を標示し(図19C参照)、全てが照らされるLEDは、処置の終了を標示し(図19E参照)、中間の数のLEDは、処置が進むにつれて照らされる(図19D参照)。
【0116】
(C.結論)
代表的実施形態では、システムアプリケータメインボード60の決定機能は、広範であり得、または意図的に限定され得る。図示する実施形態では、システムアプリケータメインボード60上に存在する事前にプログラミングされたルールは、マイクロ波スイッチ26およびLED174を切り替え得る。システムアプリケータメインボード60は、検出されたエラー、システムアプリケータ14上の電力スイッチの状況、ならびにLEDおよびマイクロ波スイッチ26の位置、検知された温度状態、測定された順電力および逆電力を、主制御器58に通信し得る。システムコンソール12に搭載の主制御器58は、これらのデータに基づいて、全ての他の制御決定を行い得る。
【0117】
(III.システムの使用)
(A.皮膚の解剖学的構造)
図20は、ヒトの皮膚(身体の最大器官)およびその構造について理想化および簡略化された解剖学的略図を示す。図20は、理想化および簡略化された形式を示し、身体の層状の配置が被覆し、毛および腺が皮膚および皮下組織内に埋め込まれている。
【0118】
皮膚は、表皮(表面細胞層)および真皮(深部結合組織層)から成る。真皮の下の皮下組織(角皮下層)は、緩くて脂肪の多い結合組織から構成される。角皮下層は、真皮と下層の深部筋膜との間に位置する毛包、汗腺、血管、リンパ管、および皮神経を含有する。
【0119】
図20における理想化および簡略化された形式において示すように、真皮と角皮下層との間の界面は、典型的には、非線形かつ非連続的であり、不規則な界面を含み、また、組織界面を横断および中断する多くの組織構造または組織構造群も含み得る。
【0120】
深部筋膜は、筋肉等の深部構造を覆う角皮下層の下の高密度の組織的な結合組織である。
【0121】
深部真皮および角皮下層は、その関連する平滑立毛筋(鳥肌を引き起こすように接触する)および皮脂腺(立毛筋の収縮による圧縮時に、皮膚表面にその油性分泌物を出す)を含む、毛包を含み得る。
【0122】
また、深部真皮および角皮下層は、多数の汗腺も含み得る。アポクリン汗腺は、悪臭を生成し得る複合分泌物を産生し、脇の下および性器部等の身体の特定範囲に多数存在する。また、エクリン汗腺も、概して、角皮下層全体において分布され、掌、足の裏、および腋窩に多数存在する。
【0123】
汗腺は、体温を調整するために、感情的な刺激を含む刺激に反応して汗を産生する。一部の人々は、運動する場合に、温かい温度においてより発汗するか、または、緊張、怒り、羞恥、または不安にさせる状況に反応して発汗する。
【0124】
(B.システムを用いた皮膚へのマイクロ波エネルギーの印加)
使用中、システム10は、例えば、多汗症を処置するために、マイクロ波エネルギーを皮膚に印加し得る。使用のために設定するために(図1が概して示すように)、未使用のアプリケータ−組織界面16が、システムアプリケータ14に接合される。真空供給導管44は、システムアプリケータ14のピストルグリップにおける凹部に担持され、システムコンソール12上の真空接続ポート48に連結するために特殊用途ケーブル組立体34に沿って伸びることができる。同様に、特殊用途ケーブル組立体34は、システムコンソール12上の特殊用途コネクタ38に連結され、システムアプリケータ14をシステムコンソール12に連結する。システムコンソール12の主要電力スイッチは、電源を入れられ、システムコンソール12の主制御器58は、起動および初期化ルーチンを実行する。介護者は、指示された電力および真空状態を設定する。主制御器58は、システムアプリケータ14を通した冷却剤の持続的な循環を開始する。
【0125】
処置を受ける組織領域を識別した後、介護者は、標的組織領域における皮膚に対して界面本体のコンプライアントなスカート106を配置する(図21Aに示すように)。コンプライアントなスカート106の縁は、皮膚に対してシールを形成する。介護者は、筺体上の外部電力スイッチを作動させる。システムコンソール12は、真空供給導管44を通してチャンバ42内に陰圧を供給する。チャンバ42中の陰圧は、冷却板28の少なくとも一部分と熱的接触するアプリケータ−組織界面表面100/52と接触する組織をチャンバ42内に引き込む(すなわち、組織を上昇させる)役割を果たす(図21Bに示すように)。組織取得チャンバ42内の真空は、真皮および角皮下層を上昇させ、真皮および角皮下層を筋肉から分離する。組織取得チャンバ42内の真空は、チャンバ42内の組織領域を局所的に集中し、および安定化させる。真皮および角皮下層を筋肉から分離することによって、組織取得チャンバ42内の真空は、筋肉に到達する電磁エネルギーを限定または排除することによって、筋肉を保護する役割を果たす。真空は、所望の真空状態および/または組織温度状態が達成されるまで印加される。代替として、規定の時間間隔に対して遅延時間が発生し得る。
【0126】
所望の真空および/または温度状態が検知されると(または、依存するのであれば、規定の遅延後)、システムコンソール12は、マイクロ波信号をシステムアプリケータ14に供給する。システムコンソール12により生成されたマイクロ波信号は、既定の方式で、組織領域に印加される。その電磁放射は、例えば、5GHzから6.5GHzの間の周波数で、または約5.8GHzのそのような範囲内の周波数で、20Wから60Wの間、望ましくは、25Wから45Wの間、より望ましくは、32Wから38Wの間、最も望ましくは35Wの個々のアンテナに入る電力で放射され得る。生成器から離れて電力が測定される場合、上述の電力の大きさが、ケーブルを通した電力損失および生成器とアンテナとの間の他の電力損失に起因して大きくなることを理解されたい。比較的短いケーブルでは、生成器で測定された55Wの電力は、アンテナにおいて所望の電力領域を産生する可能性が高い。より長いケーブルでは、生成器において測定された電力は、アンテナにおける所望の電力領域を達成するために増加しなければならない(例えば、最大65W)。
【0127】
マイクロ波電力は、個々のアンテナに連続して印加され得、例えば、進行的に、アンテナA、次いでアンテナB、次いでアンテナC、および次いでアンテナD、またはアンテナA、次いでアンテナC、次いでアンテナB、および次いでアンテナDに印加され得る。マイクロ波は、各アンテナにおいて、規定の時間増分で印加され得、例えば、アンテナA(3秒)、アンテナC(3秒)、アンテナB(3秒)、およびアンテナD(3秒)、その後、時間(例えば、20秒)に基づく冷却後間隔、次いで、その後に真空圧の放出である。
【0128】
マイクロ波電力は、後により詳細に説明するように、位相駆動モードにおいては、個々のアンテナへの印加と、対のアンテナ間での分割との両方が交互になされ得る。順序は、例えば、アンテナA(2.5秒)、次いでアンテナA−B(2.5秒)、次いでアンテナB(2.5秒)、次いでアンテナB−C(2.5秒)等、その後、時間(例えば、20秒)に基づく冷却後間隔、次いで、その後に真空圧の放出を含むことができる。
【0129】
(C.外傷パターンの作成)
システムコンソール12に搭載して担持された構成要素(図15参照)は、導波管アンテナ24を通して、組織取得チャンバ42内に取得された組織にマイクロ波信号を印加して、外傷作成機能を実行する。
【0130】
マイクロ波信号は、例えば、各導波管アンテナによって、連続して印加され得る。代替として、マイクロ波信号は、単一の導波管アンテナ(A)によって連続して、次いで、マイクロ波電力が隣接するアンテナ24に同相で印加される状態で(すなわち、印加されるエネルギーが、標的領域において各アンテナから放射されたエネルギー間に建設的な波干渉をもたらすように)、単一の導波管アンテナおよび次の隣接する導波管アンテナ(AB)によって同時に、次いで、次の隣接する導波管アンテナ(B)によって単独で、次いで、マイクロ波電力が隣接するアンテナ24に同相で印加される状態で(すなわち、印加されるエネルギーが、標的領域において各アンテナから放射されたエネルギー間に建設的な波干渉をもたらすように)導波管アンテナ(B)およびその次の隣接するアンテナ(C)(すなわち、BC)によって等、全ての導波管アンテナ24が関与するまで、C−CD−Dで連続して印加され得る(簡単に言うと、位相駆動モードと呼ばれる)。
【0131】
対のアンテナが、同時にエネルギーを放射するように切り替えられる場合、電場干渉パターンが、2つの現象、つまり(i)表皮/真皮を通して伝播する前進波と、真皮/角皮下層境界から反射される後進波との間の「定在波」相互作用、ならびに(ii)各アンテナにより放射された信号間の「位相」相互作用に起因して作成される。
【0132】
まず、相互作用は、2つのアンテナにより放射されたエネルギーが表皮/真皮を通して伝播し、次いで、真皮/角皮下層界面から真皮に戻って反射する際に発生する。定在波パターンは、順方向および逆方向信号が、主に組織面に垂直な方向に変動する(すなわち、組織における深さとともに変動する)干渉パターンを生成する場合に作成される。放射された信号の波長(および対応して周波数)が、定在波パターンが建設的および相殺的である領域を決定する。「最適な定在波干渉パターン」は、建設的干渉が深部真皮領域で発生し、より浅い真皮および表皮領域において最小化されるように、周波数(例えば、5.8GHz)を選択することによって作成される。
【0133】
次に、相互作用は、各アンテナにより放射されたエネルギーが相互に干渉する場合に発生する。アンテナ干渉パターンは、各アンテナから放射されたエネルギーの位相における差が、個々に放射された信号が建設的に加える、および相殺的に加える領域を決定する場合に作成される。位相による干渉パターンの変動は、主に組織面に平行である方向に発生する。「最適なアンテナ干渉パターン」は、建設的干渉が2つのアンテナ間の領域に発生し、かつ相殺的干渉が各個々のアンテナの下の領域に発生するように、2つのアンテナ間の位相関係を選択することによって作成される。アンテナから放射された信号間の0度の位相差(すなわち、「同相」)は、「最適なアンテナ干渉パターン」を達成するために最適な位相関係である。
【0134】
この位相関係を達成するために、位相平衡相互接続ケーブルが、同一の供給方向を有するアンテナ(例えば、アンテナAおよびB)を接続するために利用され得る。同様に、180度の位相差を有する相互接続ケーブルは、反対の供給方向を有するアンテナ(例えば、アンテナBおよびC)を接続するために利用されるべきである。
【0135】
位相駆動モードでは、2つのアンテナがエネルギーを同時に放射する場合、エネルギーは、同一の周波数を有し、アンテナは、同相で駆動される。生成器からマイクロ波スイッチに提供される電力は、供給される電力の半分を各々が放射するように、2つのアンテナ間で分割される。組織における全体の干渉パターンは、定在波干渉パターンとアンテナ干渉パターンとの両方の観点から最適である。これは、2つの干渉現象が主に独立しているために発生し、定在波干渉は垂直方向に発生し、アンテナ干渉は平行方向に発生する。結果として、2つのアンテナ間の深部真皮領域において建設的であり、かつ浅部真皮/表皮領域において、および個々のアンテナの下の領域において相殺的である全体の干渉パターンが、達成される。
【0136】
所定の周波数および電力レベルで個々の導波管アンテナにより印加される場合(図22A参照)、ピーク組織効果の第1の領域は、概して、導波管アンテナの散乱要素78の下および深部真皮(真皮と角皮下層との間の界面の上)において開始する。これは、建設的干渉が発生する領域の深部真皮における最大電力吸収を作成する「最適な定在波パターン」の結果である。
【0137】
同一の周波数および同相で、およびアンテナ24間で同等に分割される生成器からの全電力で、2つの隣接する導波管アンテナ24を通して同時に印加された場合(図23A参照)、ピーク組織効果の第1の領域は、概して、真皮と角皮下層との間の界面の上の、導波管アンテナ24の散乱要素78の間で開始する。これは、定在波干渉パターンとアンテナ干渉パターンとの両方の所望の同時効果を構成する。定在波干渉パターンは、同一の周波数のエネルギーが個々の導波管アンテナによって印加される場合のように、概して、真皮と角皮下層との間の界面の上で、ピーク組織温度の領域において開始する。アンテナ干渉パターンは、概して、同一組織面内におけるピーク組織効果の第一の領域のその領域であるが、導波管アンテナ24の散乱要素78間、およびエネルギーが個々の導波管アンテナによって印加される場合と概して同一の電力レベル(半分に分割され、各アンテナ24に供給され、組織において再結合される電力)で開始する。
【0138】
ピーク組織効果は、例えば、ピーク比吸収率(SAR)の観点から表現されることができ、ピーク比吸収率(SAR)は、エネルギーが組織により吸収される比率の大きさである(ワット/キログラムの単位で組織の質量当たりで吸収された電力の観点から)。代替として、ピーク組織効果は、例えば、ピーク電力損失密度またはピーク組織温度として表現されることができる。(図24Aおよび図25Aが示すように)、ピーク組織効果の第1の領域は、界面が真皮においてマイクロ波信号を課す定在波効果に起因して、概して、真皮と角皮下層との間の界面の上の真皮において開始する。界面は、導波管アンテナにより放射された電磁波を反射し、界面の上で建設的波干渉を引き起こして、ピーク組織効果を開始する。
【0139】
図22Aおよび図23Aが示すように、組織効果の連続的な第2、第3、および第4の領域は、第1の領域から増加する半径方向距離において、組織効果の大きさの減少を伴う伝導/対流加熱効果に起因して、第1の領域から拡張するように観測される。減少する組織効果のこれらの「波状」領域は、表皮に向かって広がり、一部には、図22Aおよび図23Aが示すように、角皮下層内へ界面より下に広がり得る。
【0140】
組織効果は、真皮内の第1の組織領域において局所的外傷を作成する役割を果たす(図22Bおよび図23B参照)。真皮における局所的な加熱効果は、伝導/対流加熱効果をもたらすことによって、真皮および/または角皮下層における構造、例えば、処置を受ける個人の皮膚における汗腺を損傷または破壊することができる。
【0141】
散乱要素78および中間散乱要素80は、例えば、ピークSAR、および/またはピーク電力損失密度、および/またはピーク組織温度の観点から、ピーク組織効果の第1の領域を広げおよび平坦化するために使用され得る。これによって、散乱要素78および中間散乱要素80は、局所的効果をさらに制御するように、第1の組織領域に形成された外傷を広げおよび平坦化する役割を果たすことができる。冷却板28により確立された温度状態によって、外傷が表皮に向かって拡大しないようにする。
【0142】
既定のパターンで導波管アンテナ24を切り替えるように主制御器58をプログラミングすることによって、システムコンソール12により生成されたマイクロ波信号は、外傷の複合パターンを形成するように、皮膚に印加されることができる。例えば、図23Bに示すように、外傷は、例えばA−B−C−D等の既定の順番で作成され得、この場合、Aは、導波管アンテナAの真下で開始された外傷を表わし、Bは、導波管アンテナBの真下で開始された外傷を表わし、Cは、導波管アンテナCの真下で開始された外傷を表わし、Dは、導波管アンテナDの真下で開始された外傷を表わす。重複する外傷が、既定の順番、例えば、A−AB−B−BC−C−CD−Dで外傷を作成することによって、外傷A−B−C−D間の組織間隔に形成されることができ、この場合、Aは、導波管アンテナAの真下で開始された外傷を表わし、ABは、導波管アンテナAと導波管アンテナBとの間の交差の下で開始された外傷を表わし、Bは、導波管アンテナBの真下で開始された外傷を表わし、BCは、導波管アンテナBと導波管アンテナCとの間の交差の下で開始された外傷を表わし、Cは、導波管アンテナCの真下で開始された外傷を表わし、CDは、導波管アンテナCと導波管アンテナDとの間の交差の下で開始された外傷を表わし、Dは、導波管アンテナDの真下で開始された外傷を表わす。外傷ABは、導波管アンテナAおよび導波管アンテナBを、同相で、かつ各アンテナからの平衡出力で、同時に駆動することによって、導波管アンテナAと導波管アンテナBとの間で作成され得る。外傷BCは、導波管アンテナBおよび導波管アンテナCを、同相で、かつ各導波管アンテナからの平衡出力で、同時に駆動することによって、導波管アンテナBと導波管アンテナCとの間で作成され得る。外傷CDは、導波管アンテナCおよび導波管アンテナDを、同相で、かつ各導波管アンテナからの平衡出力で、同時に駆動することによって、導波管アンテナCと導波管アンテナDとの間で作成され得る。
【0143】
アンテナ毎またはアンテナ24の対毎に同一の電力および時間増分で、電力を均一に印加することができる(位相駆動モード)ことを理解されたい。また、異なるアンテナ24またはアンテナ24対の間で電力を異なって印加することもできる。異なるアンテナ24またはアンテナ24対について電力を変化させることができ、および/または異なるアンテナ24またはアンテナ24対について時間を変動させることができる。したがって、所定の組織領域に送達されるエネルギー(エネルギーは電力と時間の積である)を、処置を受ける組織領域によって変動させることができる。
【0144】
(1.処置テンプレート)
システム10は、システムアプリケータ14のガイダンスおよび配置情報をマトリクス形式で提供するために、処置テンプレート176(図23Aおよび図23B参照)をさらに含み得る。処置テンプレート176は、処置の標的とされる腋窩(脇の下)組織領域全体を覆うような大きさを有し、かつ構成される。テンプレート176は、各脇の下に適用される一時的な刺青を備えることができる(左側に図24Aに示すように、右側に図24Bに示すように)。代替として、テンプレート176は、組織領域に対するスタンピングによって適用されたパターンを備えることができる。テンプレート176は、皮膚表面上に配置され、かつステンシルを通してマーカーペンにより適用されるオーバーレイステンシルを備えることができる。テンプレート176は、組織領域に適用されるオーバーレイメッシュステッカーを備えることができる。
【0145】
テンプレート176の群(図25参照)を、個体の異なる解剖学的構造に対応するように、異なるサイズおよび列で提供することができる。
【0146】
テンプレート176は、麻酔の注入のための腋窩において適切な点を識別するために、規定の麻酔注射部位(小さい直通穴)と、テンプレート176の使用中に介護者に参照位置決め点を提供するために、コンプライアントなスカート106上の整合部材108とともに使用されるための、x−yマトリクス軸におけるデバイス整合点(1Aから10Aおよび1Bから10B、および腋窩のサイズに応じてそれ以上)とを含み得る。
【0147】
(IV.使用説明書)
図25が示すように、システム10のシステムアプリケータ14および/またはアプリケータ−組織界面16を、滅菌キット180における使用のために提供することができる。図示する実施形態では、各キット180は、例えば、打ち抜きカードボード、プラスチックシート、または熱形成されたプラスチック材料から作製された内部トレイ182を含む。システムアプリケータ14およびアプリケータ−組織界面16は、それぞれのトレイ182によって担持される。また、いずれのキット180も、トレイ中に、または別々にパッケージされて、処置テンプレートまたはテンプレート群176を含むことができる。
【0148】
各トレイ182は、外部環境との接触からトレイを周辺封止するために、引きはがすオーバーラップを含み得る。システムアプリケータ14および/またはアプリケータ−組織界面16を担持する各キット182は、従来のエチレンオキシド(ETO)滅菌技法によって滅菌され得る。図示する実施形態では、システムアプリケータ14および/またはアプリケータ−組織界面16の一方または両方のパッケージは、コンソール12上の無線周波数識別(RFID)ソース(図15に示す)と相互作用する受動的RFIDタグ158を担持することができる。
【0149】
図示する実施形態では、1つまたは両方のキット180はまた、好ましくは、所望の手順を実行するために、システムコンソール12とともに、システムアプリケータ14およびアプリケータ−組織界面16を使用するための指示書または説明書も含む。例示的指示書について後述する。指示書または説明書184は、当然ながら、所望の手順の詳細に従って変動することができる。さらに、指示書または説明書184は、キットにおいて物理的に存在する必要はない。指示書または説明書184は、別々の説明マニュアル、またはビデオもしくは音声テープ、または電子的形態で具現化されることができる。また、説明書または指示書は、後に示すように、グラフィカルユーザインターフェース内に組み込まれることもできる。
【0150】
代表的な説明書184は、例えば、多汗症を処置するために、マイクロ波エネルギーを皮膚に印加するように、システムアプリケータ14およびシステムコンソール12と連携してアプリケータ−組織界面16を使用することを指示する。また、これらの説明書184は、次に説明するように、グラフィカルユーザインターフェース62上にも反映されることができる。
【0151】
(V.グラフィカルユーザインターフェース)
システムコンソール12の主制御器58は、図11に概して示すように、ディスプレイ画面64上にグラフィカルユーザインターフェース62を実装するために回路を含むことができる。グラフィカルユーザインターフェース62は、制御およびアラーム状態を介護者に提供し、介護者から主制御器58へのタッチスクリーンインタラクションおよび入力を可能にすることができる。
【0152】
グラフィカルユーザインターフェース62の代表的な画面を図26に示す。代表的なグラフィカルユーザインターフェース62の論理およびフローについて、図32から図59における代表的なグラフィカルスクリーンプロンプトを参照して、図37から図31に概略的に示す。
【0153】
図27が示すように、グラフィカルユーザインターフェース62の論理およびフローは、コンソールへの電力がオンになった後に起動ルーチンで開始する。主制御器58は、特殊用途ケーブルが差し込まれているか(図32のプロンプト参照)を決定し、次いで、自己試験ルーチン(図33参照)に進む。アプリケータが、ホルスタ20上で「内側」に対向していない場合、介護者は、アプリケータを正しく配置するように命令される(図34参照)。ようこそ画面は、エラーが検出されないことを確認する(図35確認)。
【0154】
図28が示すように、グラフィカルユーザインターフェース62の論理およびフローは、次に、アプリケータ上にアプリケータ−組織界面を配置することを命令する(図36参照)。介護者は、パッケージ上のRFIDタグ158(図25)を走査するように命令される。アプリケータ−組織界面16が使用するために認可されることが走査により確認される場合(図37参照)、介護者は、アプリケータ−組織界面16がホルスタ20上に「内側」に対向して取り付けられた状態で(図38参照)(アプリケータ−組織界面がホルスタ20上の吸収器に対向する状態で)アプリケータ14を適切に配置するように命令される。
【0155】
RFID通信に関し、主制御器58は、望ましくは、適切なアプリケータ−組織界面がシステム10とともに使用中であることを検出するため、および、例えば、アプリケータ−組織界面16が使い捨ての単回使用構成要素であると意図される場合に再使用を検出するために、RFID読み取り器を調整する。主制御器58は、望ましくは、アプリケータ−組織界面パッケージに取り付けられた安全かつ暗号化されたRFIDタグ(図25が示すように)を読み取る能力を含み、これは、単一処置セッション(完全処置または修復のいずれか)のための許可を含み、認可された処置セッションの開始日時とともに「使用済み」とマークされる。主制御器58は、ガイドされた処置セッションを、処置セッションの中断または電力損失で完全に完了していない直近の配置に戻すため、または「修復」処置の暴露カウントを戻すのに十分な情報を保持し得る。例えば、使い捨てであると意図されるアプリケータ−組織界面の4時間の有効期限よりも長くなった場合、処置セッションの再開は、「未使用」使い捨てRFIDタグが読み取られ、「使用済み」とマークされるまで許可されない。主制御器58は、「使い捨て履歴」表示を含み得、これは、最低でも直近200回の使い捨てについて、使い捨てが「使用済み」とマークされた日時を列挙する。「使用済み」使い捨てRFIDタグが読み取られると、タグが使用済みとマークされた日時が表示される。
【0156】
次いで、介護者は、通常処置または修復のモードを選択するように命令される(図39参照)。介護者の選択は、自明の直感的アイコンによりマークされたタッチスクリーン入力によって通信される。通常モードの前に修復モードが選択される場合(標的組織領域に適用される前処置が無かったことを意味する)、介護者は、修復モードで処置を進めるように命令される(図58参照)。本事例における修復モードによって、介護者は、治療のためにアンテナ24の選択を直接制御することが可能になる。
【0157】
通常モードが選択される(図29参照)場合、介護者は、処置ルーチンを通してガイドされる。準備中、介護者は、処置を受ける個体の身長および体重を入力し(図40参照)、テンプレート176(転写)を適用し(図41参照)、推奨総量および推奨個体分割量で麻酔の適用を計画し(図42参照)、左の脇の下を最初に処置し、右の脇の下を次に処置すること、またはその反対を選択する(図43および図44参照)ように命令される。次いで、介護者は、麻酔(テンプレートによりガイドされる)を、選択された第1の側(図45では、右側が最初)に適用し、次いで、麻酔を、選択された第2の側(図46では、左側)に適用するように命令される。次いで、介護者は、選択された右側に最初に処置を開始するように命令される(図47参照)。
【0158】
図30が示すように、介護者は、テンプレートによりガイドされた、処置ルーチンを通して命令される(図48、図49、図50、図51、および図52参照)。テンプレートによりガイドされることによって、介護者は、主制御器58の制御下で導波管アンテナアレイ22を作動させるために、セクション(1から12)および領域(AおよびB)によって各セクション内で系統的に進める。上述のような位相駆動順序は、領域/セクション毎に外傷パターンを定めるために、セクション毎の各領域で繰り返される。
【0159】
一方の側で処置ルーチンが完了すると、介護者は、次の側に進むか、または同一側を修復することを望むかを問われる。修復中、介護者は、外傷形成の不一致または間隙を補正するために戻ることができる。その側で修復が完了すると(選択される場合)、介護者は、次の側に切り替えるようにプロンプトされる(図53参照、ここで左側が選択される)。
【0160】
次いで、介護者は、第1の選択された側に関連して前述したように、第2の選択された側の処置モード、つまり通常または修復を選択するように命令される(図53参照)。通常モードの前に修復モードが選択される場合(その選択された側に、標的組織領域に適用される前処置が無かったことを意味する)、介護者は、修復モードで処置を進めるように命令される(図58参照)。本事例における修復モードによって、介護者は、その選択された側において、治療のためにアンテナ24の選択を直接制御することが可能になる。
【0161】
通常モードが第2の側について選択される場合(図53が示すように)、介護者は、テンプレートによりガイドされた、処置ルーチンを通して命令される(図54および図55参照)。テンプレートによりガイドされることによって、介護者は、主制御器58の制御下で導波管アンテナアレイ22を作動させるために、セクション(1から12)および領域(AおよびB)によって各セクション内で、第2の選択された側の処置を系統的に進める。上述のような位相駆動順序は、領域/セクション毎に外傷パターンを定めるために、セクション毎の各領域で繰り返される。
【0162】
第2の側で処置ルーチンが完了すると、介護者は、セッションを終了するか、または今完了したばかりの側を修復することを望むかを問われる(図56参照)。修復中(図58参照)、介護者は、外傷形成の不一致または間隙を補正するために戻ることができる。その側で修復が完了すると(選択される場合)、または介護者がセッションの終了を選択した場合、介護者は、組織−アプリケータ界面をアプリケータから取り外し(図57参照)、その後続の使用のためにアプリケータを洗浄するようにプロンプトされる。次の側に切り替える(図53参照。左側が選択される)。
【0163】
また、グラフィカルユーザインターフェース62は、ギアメニュも有効にし得る(図31参照)。ギアメニュ(図59に示す)によって、介護者は、例えば、プロンプト音量、画面明るさおよびコントラスト等のグラフィカルユーザインターフェース62の動作状態、ならびに冷却剤パージ、電源オフ、手順のキャンセル、または電力レベルの変更等のコンソールおよび/またはアプリケータの一定の機能動作を選択することが可能になる。また、グラフィカルユーザインターフェース62は、例えば、設備故障、早期終了、または低冷却剤レベル等のエラー状態(図31参照)のグラフィカル表示も有効にし得る。
【0164】
代表的なグラフィカルユーザインターフェース62の形式、適合、および機能に関するさらなる詳細について、図27から図59に示す。
【0165】
本発明のある実施形態によると、エネルギーを標的組織領域に印加するシステムは、アプリケータおよび組織−アプリケータ界面を含む。アプリケータは、少なくとも1つのエネルギーエミッタを担持するアプリケータ内部を含む。本発明のある実施形態によると、組織−アプリケータ界面は、エネルギーエミッタと動作的に関連して使用するためにアプリケータに取り付けられるような、および使用後、アプリケータから取り外されるような大きさを有し、かつ構成される。本発明のある実施形態によると、組織−アプリケータ界面は、組織−アプリケータ界面がアプリケータに取り付けられる場合に、アプリケータ内部を、標的組織領域における生理的液体から隔離する生体障壁システムを備える。本発明のある実施形態によると、生体障壁システムは、実質的な干渉および電力損失を含まずに、エネルギーエミッタから標的組織領域にエネルギーを通過させる規定の伝導率を有する第1の生体障壁構成要素を含む。
【0166】
本発明のある実施形態によると、規定の伝導率は、0.1以下の損失正接tanδを含み、この場合、tanδ=σ/ωεであり、式中、σは、第1の生体障壁構成要素の伝導率であり、ωは、エネルギーエミッタから放出されたエネルギーの周波数であり、εは、第1の生体障壁構成要素の誘電率である。
【0167】
本発明のある実施形態によると、組織−アプリケータ界面は、外部ソースにより生成され、かつ組織取得チャンバ内に伝達された陰圧に応答してエネルギーを印加するための、標的組織領域における組織を取得する組織取得チャンバを含む。
【0168】
本発明のある実施形態によると、生体障壁システムは、第1の生体障壁構成要素から分離する第2の生体障壁構成要素を含む。本発明のある実施形態によると、第2の生体障壁は、組織−アプリケータ界面がアプリケータに取り付けられる場合に、組織取得チャンバとアプリケータ内部との間の陰圧のバランスを取るために、気体に対して実質的に透過性である。本発明のある実施形態によると、第2の生体障壁構成要素はまた、標的組織領域における生理的液体との接触からアプリケータ内部を隔離するために液体に対して実質的に不透過性であり、一方で、陰圧のバランスを取る。
【0169】
本発明のある実施形態によると、第1の生体障壁構成要素は、気体に対して実質的に不透過性である。
【0170】
本発明のある実施形態によると、生体障壁システムは、第1および第2の生体障壁構成要素とは別の第3の生体障壁構成要素を含む。本発明のある実施形態によると、第3の生体障壁構成要素は、ソースから組織取得チャンバ内へ陰圧を伝達するために、気体に対して実質的に透過性である。本発明のある実施形態によると、第3の生体障壁構成要素はまた、標的組織領域における生理的液体との接触からソースを隔離するために、液体に対して実質的に不透過性である。
【0171】
本発明のある実施形態によると、アプリケータは、組織−アプリケータ界面がアプリケータに取り付けられる場合に、第1の生体障壁構成要素と熱伝導接触するような大きさを有し、かつ構成される冷却板を含む。本発明のある実施形態によると、第1の生体障壁構成要素は、実質的な干渉を含まずに、冷却板と標的組織領域との間で熱伝導が発生可能になるように、規定の熱伝導率を有する。
【0172】
本発明のある実施形態によると、第1の生体障壁構成要素の規定の熱伝導率は、メートル・ケルビン当たり少なくとも0.1ワット(0.1W/mK)である。
【0173】
本発明のある実施形態によると、アプリケータは、反復使用のためにサイズを有し、かつ構成され、アプリケータは、単回使用の後に使い捨てするためにサイズを有し、かつ構成される。
【0174】
本発明のある実施形態によると、エネルギーエミッタは、マイクロ波エネルギーを放出するような大きさを有し、かつ構成される。
【0175】
本発明のある実施形態によると、腋窩を処置するためにシステムを使用するための説明書が含まれる。
【0176】
本発明のある実施形態によると、エネルギーを標的組織領域に印加するシステムは、アプリケータおよびコンソールを含む。本発明のある実施形態によると、アプリケータは、少なくとも1つのエネルギーエミッタおよび冷却板を担持する。アプリケータは、エネルギーエミッタと通信するアプリケータ制御器と、冷却板に連結されたセンサとを含む。本発明のある実施形態によると、コンソールは、規定のエネルギー形態を生成する生成器と、冷却剤を冷却する冷却器とを含む。本発明のある実施形態によると、コンソールは、標的組織領域において外傷を形成するためにエネルギーをエネルギーエミッタに伝送するように生成器に連結されたエネルギー生成機能と、外傷形成を制御するために冷却剤を冷却板に循環させるための冷却器に連結された外傷制御機能とを含む主制御器を含む。本発明のある実施形態によると、特殊用途ケーブルシステムは、アプリケータをコンソールに連結する。本発明のある実施形態によると、特殊用途ケーブルシステムは、エネルギーを生成器からエネルギーエミッタに伝達するケーブルと、冷却剤を冷却板に循環させるケーブルとは別の供給導管および戻し導管と、主制御器とアプリケータ制御器との間の通信リンクを確立する、ケーブルならびに供給導管および戻し導管とは別の通信チャネルとを含む。
【0177】
本発明のある実施形態によると、特殊用途ケーブルシステムは、アプリケータに固定された遠端と、嵌合特殊用途接続部への解除可能な接続のための大きさを有し、かつ構成されるコネクタを備える近端とを含む。本発明のある実施形態によると、嵌合特殊用途接続部は、コンソール上に存在する。
【0178】
本発明のある実施形態によると、規定のエネルギー形態は、マイクロ波エネルギーを含む。
【0179】
本発明のある実施形態によると、規定のエネルギー形態は、約5.8GHzを中心とする周波数で、5.775GHzから5.825GHzのISMバンドにあるマイクロ波信号を含む。
【0180】
本発明のある実施形態によると、腋窩を処置するためにシステムを使用するための説明書が含まれる。
【0181】
本発明のある実施形態によると、エネルギーを標的組織領域に適用する方法は、標的組織領域において外傷を形成するように動作するシステムを提供する。
【0182】
本発明のある実施形態によると、方法は、システムを動作するための説明書を提供する。
【0183】
本発明のある実施形態によると、外傷は、腋窩に形成される。
【0184】
本発明のある実施形態によると、外傷は、多汗症を処置する。
【0185】
本発明の種々の特徴は、以下の請求項に記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギーを標的組織領域に印加するシステムであって、
少なくとも1つのエネルギーエミッタを担持するアプリケータ内部を含むアプリケータと、
該エネルギーエミッタと動作的に関連して使用するために該アプリケータに取り付けられ、かつ使用後に該アプリケータから取り外されるような大きさと構成を有する組織−アプリケータ界面と
を備え、
該組織−アプリケータ界面は生体障壁システムを備え、該生体障壁システムは、該組織−アプリケータ界面が該アプリケータに取り付けられる場合に、該アプリケータ内部を、該標的組織領域における生理的液体との接触から隔離し、該生体障壁システムは、規定の伝導率を有する第1の生体障壁構成要素を含むことにより、実質的な干渉および電力損失を含むことなく該エネルギーエミッタから該標的組織領域にエネルギーを通過させる、
システム。
【請求項2】
前記規定の伝導率は、0.1以下の損失正接tanδを含み、この場合、tanδ=σ/ωεであり、式中、σは、前記第1の生体障壁構成要素の伝導率であり、ωは、前記エネルギーエミッタから放出されるエネルギーの周波数であり、εは、該第1の生体障壁構成要素の誘電率である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記組織−アプリケータ界面は組織取得チャンバを含み、該組織取得チャンバは、外部ソースにより生成され、かつ該組織取得チャンバ内に伝達される陰圧に応答してエネルギーを印加するために、前記標的組織領域における組織を取得し、
前記生体障壁システムは、前記第1の生体障壁構成要素とは別の第2の生体障壁構成要素を含み、該第2の生体障壁は、該組織−アプリケータ界面が前記アプリケータに取り付けられる場合に、該組織取得チャンバと前記アプリケータ内部との間で陰圧のバランスを取るために、気体に対して実質的に透過性であり、該第2の生体障壁構成要素はまた、該標的組織領域における生理的液体との接触から該アプリケータ内部を隔離するとともに、該陰圧のバランスを取るために、液体に対して実質的に不透過性である、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の生体障壁構成要素は、気体に対して実質的に不透過性である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記生体障壁システムは、前記第1および第2の生体障壁構成要素とは別の第3の生体障壁構成要素を含み、該第3の生体障壁構成要素は、前記ソースから前記組織取得チャンバ内へ陰圧を伝達するために、気体に対して実質的に透過性であり、該第3の生体障壁構成要素はまた、前記標的組織領域における生理的液体との接触から該ソースを隔離するために、液体に対して実質的に不透過性である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記アプリケータは冷却板を含み、該冷却板は、前記組織−アプリケータ界面が該アプリケータに取り付けられる場合に、前記第1の生体障壁構成要素と熱伝導接触するような大きさと構成を有し、
該第1の生体障壁構成要素は、規定の熱伝導率を有することにより、実質的な干渉を含むことなく、該冷却板と前記標的組織領域との間で熱伝導が生じることを可能にする、請求項1〜5請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の生体障壁構成要素の前記規定の熱伝導率は、メートル・ケルビン当たり少なくとも0.1ワット(0.1W/mK)である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記アプリケータは、反復使用のための大きさと構成を有し、
該アプリケータは、単回使用の後に使い捨てするための大きさと構成を有する、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記エネルギーエミッタは、マイクロ波エネルギーを放出するような大きさと構成を有する、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
腋窩を処置するために前記システムを使用するための説明書をさらに含む、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
エネルギーを標的組織領域に印加するシステムであって、
少なくとも1つのエネルギーエミッタおよび冷却板を担持するアプリケータであって、該エネルギーエミッタおよび該冷却板に連結されたセンサと通信するアプリケータ制御器を含むアプリケータと、
規定のエネルギー形態を生成する生成器と、冷却剤を冷却する冷却器とを含むコンソールであって、該コンソールは、該標的組織領域において外傷を形成するためにエネルギーを該エネルギーエミッタに伝送するように該生成器に連結されたエネルギー生成機能と、外傷形成を制御するために冷却剤を該冷却剤板に循環させるための該冷却器に連結された外傷制御機能とを含む、コンソールと、
該アプリケータを該コンソールに連結する特殊用途ケーブルシステムであって、該特殊用途ケーブルシステムは、エネルギーを該生成器から該エネルギーエミッタに伝達するケーブルと、冷却剤を該冷却板に循環させる該ケーブルとは別の供給導管および戻し導管と、該主制御器と該アプリケータ制御器との間の通信リンクを確立する、該ケーブルならびに供給導管および戻し導管とは別の通信チャネルとを含む、特殊用途ケーブルシステムと
を備える、システム。
【請求項12】
前記特殊用途ケーブルシステムは、前記アプリケータに固定された遠端とコネクタを備える近端とを含み、該コネクタは、嵌合特殊用途接続部に対する解除可能な接続のための大きさと構成を有し、
該嵌合特殊用途接続部は、前記コンソール上に存在する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記規定のエネルギー形態は、マイクロ波エネルギーを含む、請求項11または請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記規定のエネルギー形態は、周波数の中心を約5.8GHzとする、5.775GHzから5.825GHzのISMバンドにあるマイクロ波信号を含む、請求項11〜請求項13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
腋窩を処置するために前記システムを使用するための説明書をさらに含む、請求項11〜請求項14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
エネルギーを標的組織領域に印加する方法であって、
請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載のシステムを提供するステップと、
該標的組織領域において外傷を形成するために該システムを動作するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記システムを動作するための説明書を提供するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記外傷は、腋窩に形成される、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記外傷は、多汗症を処置する、請求項16〜請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項1】
エネルギーを標的組織領域に印加するシステムであって、
少なくとも1つのエネルギーエミッタを担持するアプリケータ内部を含むアプリケータと、
該エネルギーエミッタと動作的に関連して使用するために該アプリケータに取り付けられ、かつ使用後に該アプリケータから取り外されるような大きさと構成を有する組織−アプリケータ界面と
を備え、
該組織−アプリケータ界面は生体障壁システムを備え、該生体障壁システムは、該組織−アプリケータ界面が該アプリケータに取り付けられる場合に、該アプリケータ内部を、該標的組織領域における生理的液体との接触から隔離し、該生体障壁システムは、規定の伝導率を有する第1の生体障壁構成要素を含むことにより、実質的な干渉および電力損失を含むことなく該エネルギーエミッタから該標的組織領域にエネルギーを通過させる、
システム。
【請求項2】
前記規定の伝導率は、0.1以下の損失正接tanδを含み、この場合、tanδ=σ/ωεであり、式中、σは、前記第1の生体障壁構成要素の伝導率であり、ωは、前記エネルギーエミッタから放出されるエネルギーの周波数であり、εは、該第1の生体障壁構成要素の誘電率である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記組織−アプリケータ界面は組織取得チャンバを含み、該組織取得チャンバは、外部ソースにより生成され、かつ該組織取得チャンバ内に伝達される陰圧に応答してエネルギーを印加するために、前記標的組織領域における組織を取得し、
前記生体障壁システムは、前記第1の生体障壁構成要素とは別の第2の生体障壁構成要素を含み、該第2の生体障壁は、該組織−アプリケータ界面が前記アプリケータに取り付けられる場合に、該組織取得チャンバと前記アプリケータ内部との間で陰圧のバランスを取るために、気体に対して実質的に透過性であり、該第2の生体障壁構成要素はまた、該標的組織領域における生理的液体との接触から該アプリケータ内部を隔離するとともに、該陰圧のバランスを取るために、液体に対して実質的に不透過性である、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の生体障壁構成要素は、気体に対して実質的に不透過性である、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記生体障壁システムは、前記第1および第2の生体障壁構成要素とは別の第3の生体障壁構成要素を含み、該第3の生体障壁構成要素は、前記ソースから前記組織取得チャンバ内へ陰圧を伝達するために、気体に対して実質的に透過性であり、該第3の生体障壁構成要素はまた、前記標的組織領域における生理的液体との接触から該ソースを隔離するために、液体に対して実質的に不透過性である、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記アプリケータは冷却板を含み、該冷却板は、前記組織−アプリケータ界面が該アプリケータに取り付けられる場合に、前記第1の生体障壁構成要素と熱伝導接触するような大きさと構成を有し、
該第1の生体障壁構成要素は、規定の熱伝導率を有することにより、実質的な干渉を含むことなく、該冷却板と前記標的組織領域との間で熱伝導が生じることを可能にする、請求項1〜5請求項のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の生体障壁構成要素の前記規定の熱伝導率は、メートル・ケルビン当たり少なくとも0.1ワット(0.1W/mK)である、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記アプリケータは、反復使用のための大きさと構成を有し、
該アプリケータは、単回使用の後に使い捨てするための大きさと構成を有する、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記エネルギーエミッタは、マイクロ波エネルギーを放出するような大きさと構成を有する、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
腋窩を処置するために前記システムを使用するための説明書をさらに含む、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
エネルギーを標的組織領域に印加するシステムであって、
少なくとも1つのエネルギーエミッタおよび冷却板を担持するアプリケータであって、該エネルギーエミッタおよび該冷却板に連結されたセンサと通信するアプリケータ制御器を含むアプリケータと、
規定のエネルギー形態を生成する生成器と、冷却剤を冷却する冷却器とを含むコンソールであって、該コンソールは、該標的組織領域において外傷を形成するためにエネルギーを該エネルギーエミッタに伝送するように該生成器に連結されたエネルギー生成機能と、外傷形成を制御するために冷却剤を該冷却剤板に循環させるための該冷却器に連結された外傷制御機能とを含む、コンソールと、
該アプリケータを該コンソールに連結する特殊用途ケーブルシステムであって、該特殊用途ケーブルシステムは、エネルギーを該生成器から該エネルギーエミッタに伝達するケーブルと、冷却剤を該冷却板に循環させる該ケーブルとは別の供給導管および戻し導管と、該主制御器と該アプリケータ制御器との間の通信リンクを確立する、該ケーブルならびに供給導管および戻し導管とは別の通信チャネルとを含む、特殊用途ケーブルシステムと
を備える、システム。
【請求項12】
前記特殊用途ケーブルシステムは、前記アプリケータに固定された遠端とコネクタを備える近端とを含み、該コネクタは、嵌合特殊用途接続部に対する解除可能な接続のための大きさと構成を有し、
該嵌合特殊用途接続部は、前記コンソール上に存在する、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記規定のエネルギー形態は、マイクロ波エネルギーを含む、請求項11または請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記規定のエネルギー形態は、周波数の中心を約5.8GHzとする、5.775GHzから5.825GHzのISMバンドにあるマイクロ波信号を含む、請求項11〜請求項13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
腋窩を処置するために前記システムを使用するための説明書をさらに含む、請求項11〜請求項14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
エネルギーを標的組織領域に印加する方法であって、
請求項1〜請求項15のいずれか一項に記載のシステムを提供するステップと、
該標的組織領域において外傷を形成するために該システムを動作するステップと
を含む、方法。
【請求項17】
前記システムを動作するための説明書を提供するステップをさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記外傷は、腋窩に形成される、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記外傷は、多汗症を処置する、請求項16〜請求項18のいずれか一項に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図19−1】
【図19−2】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図17】
【図19−1】
【図19−2】
【図20】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
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【図34】
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【図38】
【図39】
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【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
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【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【公表番号】特表2012−506293(P2012−506293A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533180(P2011−533180)
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/005772
【国際公開番号】WO2010/047818
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(509287278)ミラマー ラブズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際出願番号】PCT/US2009/005772
【国際公開番号】WO2010/047818
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(509287278)ミラマー ラブズ, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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