説明

マイクロ波付着による金属酸化物コーティド有機材料の製造方法

有機基材及び周期表の3〜15族から選択する金属の一種以上の酸化物からなる少なくとも1つの誘電体層を含む有機材料を製造する方法であって、下記の工程:(a)有機基材をフッ素スカベンジャーの水溶液中に懸濁させ;(b)所望の金属酸化物コーティングの前駆材料であるフッ素含有金属複合体の一種以上の水溶液を加え;及び(c)該懸濁液にマイクロ波放射を施して該有機材料に金属酸化物を付着させる、を含み、工程(b)及び(c)を、場合により異なるフッ素含有金属複合体を用いて繰り返して1つ以上の金属酸化物層を生成することができる有機材料を製造する方法。場合により、基材を溶媒で溶解して平面平行構造を有する遊離の金属酸化物又は混合金属酸化物を生じることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素スカベンジャーの水溶液からの金属酸化物又は混合金属酸化物の有機基材へのマイクロ波付着を使用する方法に関する。場合により、基材を溶媒で溶解して平平面平行構造を有する遊離の金属酸化物又は混合金属酸化物を生じることができる。
【0002】
金属酸化物層を対応する塩(すなわち、硫酸塩又塩化物)の液相分解(加水分解)により付着させることを伴う方法は、それら自体知られており、かつ半透明の、非反射性のマイカコアー材料を有する光輝、又は真珠泊顔料を形成するのに使用されてきた。しかし、例えばUS−B−3,087,827やUS−B−5,733,371に記載されるそのような方法は、そのようなプロセスによって要求される高い酸性(pHが4よりも低い)の水溶液中で反射性の金属コアーによってエフェクト顔料を形成するのに適すると考えられていなかった。US−B−6,369,147は、所定の金属コアーを選定しそして場合によりそれらを一層耐食性にさせるような方法でそれらを処理することによって前記の問題を解決するプロセスについて開示している。
【0003】
ガラスやLEDデバイス用に使用される酸化インジウムスズコーテッドガラス板に金属酸化物を付着させるためのマイクロ波エネルギーの使用は、知られておりかつE.Vigil,L.Saadoun,Thin Solid Films 2000,365,pp12-18及びE.Vigil,L.Saadoun,J.Materials Science Letters 1999,18 pp1067-1069のような多数の雑誌論文に開示されている。良好な密着が、酸化インジウムスズコーテッドガラス板上だけで得られ、著者等は、このことが、酸化インジウムスズコーティングのなんらかの電子供与能力によるものであるということを提案した(Vigil,E.; Ayllon,J.A.; Peiro A.M.; Rodriguez-Clemente,R.; Domenech,X.; Peral.J.Langmuir 2001,17,891を参照)。
【0004】
マイクロ波照射による金属酸化物粒子の大量沈殿は、良く知られている。マイクロ波付着を用いた大量沈殿酸化物の例については、(1)Lerner,E.; Sarig,S.; Azoury R.,Journal of Materials Science; Materials in Medicine 1991,2,138 (2)Daichuan,D.; Pinjie,H.; Shushan,D.Materials Research Bulletin,1995,30,537(3) Leonelli,C.等、Microwaves; Theory and Applications in Materials Processing 2001,111,321,(4)Girnus,I.等、Zeolites 1995,15,33,(5)Rodriguez-Clements R.等、Journal of Crystal Growth 1996,169,339及び(6)Daichuan,D.; Pinjie,H.; Shushan,D.Materials Research Bulletin,1995,30,531を参照。
【0005】
驚くべきことに、出願人等は、本発明のマイクロ波付着プロセスの使用が、コアー上に均一な厚さの金属酸化物の均一な、半透明の又は透明の薄いフィルムを付着させ、該厚さは、有機基材材料対金属酸化物(金属酸化物前駆体材料の質量)の質量比に基づいて調節することができ、金属酸化物を沈殿させないで所望の作用に応じて種々の厚さの金属酸化物の薄いフィルムの調製を可能にする、プロセスを可能にすることを見出した。金属酸化物層を液相付着で作製し、そして従来の加熱を加える際に、エネルギーは、表面から無機のバルク混合物に、終局的に基材材料に伝達される。マイクロ波処理により、エネルギーは、バルク混合物に比べて基材によるマイクロエネルギーの吸収度が一層良好であることにより、基材材料上に集中される。このことは、基材を反応中心にさせることになり、反応を基材の表面において一層高い確率で起こすことを可能とする。表面における反応は、コーティング層の一層良好な密着及びバルク沈殿の相当な低減を生じる。良好な表面密着、コーティングの厚さ又は組成を変えるための反応条件の容易な調整、並びにバルク媒体中への最少の付着は、本発明の有意な利点である。
【0006】
よって、発明の目的は、本明細書中以降に規定する通りの有機基材に金属酸化物層のマイクロ波付着を使用する方法を提供するにある。コーテッド有機材料は、光学的ゴニオクロマチック(goniochromatic)効果を示すことができる。さもなくば、有機材料を溶解して光学的ゴニオクロマチック効果を示す遊離の金属酸化物又は混合金属酸化物を生じることができる。
【0007】
本発明は、フッ素スカベンジャーの水溶液から有機基材への金属酸化物のマイクロ波付着を使用して金属酸化物コーテッド有機材料を調製し、及び該有機基材を適した溶媒で溶解することにより有機基材を除くことによって金属酸化物を調製する方法を提供する。
【0008】
有機基材及び周期表の3〜15族からなる群より選択する金属の一種以上の酸化物からなる少なくとも1つの誘電体層を含む有機材料を製造する本発明の方法は、下記の工程:
(a)有機基材をフッ素スカベンジャーの水溶液中に懸濁させ;
(b)所望の金属酸化物コーティングの前駆材料であるフッ素含有金属複合体の一種以上の水溶液を加え;及び
(c)該懸濁液にマイクロ波放射を施して該有機材料に金属酸化物を付着させる
を含み、ここで、工程(b)及び(c)を、場合により異なるフッ素含有金属複合体を用いて繰り返して1つ以上の金属酸化物層を生成することができる。
【0009】
これらの層は、それらの屈折率が異なるために、光学的ゴニオクロマチック性を変えても、或は所定の形態学の形成を触媒する又は光活性を抑制するようなその他の性質を変えてもよい。
【0010】
フッ素含有金属複合体を、フッ素スカベンジャーの溶液中の有機基材の懸濁液に連続して加えるのが好ましい。
【0011】
有機基材は、加工温度において変形又は分解することのない任意の高分子又はその他の有機材料にすることができる。
【0012】
本発明において用いるのに適した有機基材は、下記を含み、これらに限定しない:ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エポキシ樹脂、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、ポリオレフィンマトリックス、等。
【0013】
有機材料をエフェクト顔料のコアーとして採用するならば、それは、平面平行(板様)構造(フレーク)を有する。フレークは、厚さ20〜2000nm、特に20〜800nmを有する。現時点で、フレークの直径は、好適な範囲約1〜60μmにあり、一層好適な範囲約5〜40μmを有するのが好適である。これより、本発明のフレークのアスペクト比は、好適な範囲約2.5〜625にあり、一層好適な範囲約50〜250を有する。
【0014】
有機基材をフッ素スカベンジャーの水溶液中に攪拌又はその他の形態の攪拌によって懸濁させるのが普通である。有機基材が分散性でない、例えばシート又は不織布である場合には、それをフッ素スカベンジャーの溶液又は攪拌懸濁液中に入れ、多量のフッ素含有金属複合体の溶液を加えながら、マイクロ波放射してもよい。
【0015】
フッ素スカベンジャーは、水溶液中のフッ素イオンを捕捉することができる任意の化合物が好ましく、例えばホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、例えばホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ素無水物又は一酸化ホウ素であり、ホウ酸が特に好ましい。発明の一実施態様では、ホウ酸を用いる。ホウ酸溶液の濃度は、少なくとも金属酸化物コーティングを有機材料上に付着させる間にフッ素イオンを捕捉するのに要するものである。一実施態様では、ホウ酸は、水で洗浄することによって除去し得るので、過剰のホウ酸を用いる。典型的には、ホウ酸は、水溶液の合計量に基づいて、約0.01〜1.5Mの範囲、好ましくは約0.08〜0.8Mの範囲で用いる。ホウ酸溶液の温度は、圧力をかけないで、循環媒体の凝固点と沸点との間である。方法は、約15℃〜約95℃の間の温度で簡便に実施することができる。背圧調節器を取り付けた容器を用いて、反応容器内部の圧力を適当に設定する時に、温度をまた循環媒体の沸点よりも高く設定することもできる。
【0016】
本発明の方法では、周期表の3〜15族の元素の酸化物を有機基材上に、所望の金属酸化物の前駆材料であるフッ素含有金属複合体の溶液を加えそしてマイクロ波エネルギーを加えることによって付着させる。水溶液は、有機材料への付着による以外に金属酸化物の沈殿を制限するために、水溶液を懸濁された有機基材に連続して加えるのが普通である。基材材料及び次の金属酸化物の層を塗被するのに適した金属酸化物は、当分野において良く知られており、TiO、ZrO、CoO、SiO、SnO、GeO、ZnO、Al、V、Fe、Cr、PbTiOもしくはCuO又はこれらの混合物を含む。特に好ましいのは、二酸化チタンである。所望の金属酸化物を形成する前駆材料溶液は、下記の材料の内の一種又は組合せの水溶液であるのが好ましい:
(a)可溶性のフッ化金属塩、
(b)可溶性のフッ化金属複合体、或は
(c)該塩又は複合体を形成する任意の混合物。
【0017】
例は、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;フッ化アンモニウム及び塩化チタン又は塩化チタン、フッ化アンモニウム及びフッ化水素から調製する複合体;塩化鉄(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウムの混合物;ペンタフルオロケイ酸アンモニウム;ヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウム;ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;塩化鉄(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウムの混合物;塩化アルミニウム(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウムの混合物;ヘキサフルオロゲルマニウム酸アンモニウム;並びにフッ化インジウム(III)三水和物とヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウムとの組合せを含む。最後の例では、それは、一種よりも多い元素−インジウム/スズ酸化物フィルムを含む金属酸化物フィルムを形成する。フッ素含有金属複合体の濃度は、方法にとって臨界的なものではなく、取り扱うのが容易なものによって決定づけられる、と言うのは、混合物を、所望の厚さが得られるまで、照射することができるからである。これより、濃度は、約0.01M〜飽和溶液までの範囲にすることができる。発明の一実施態様では、水溶液の合計量に基づいて、約0.2M〜約0.4Mの範囲を用いる。
【0018】
混合干渉/吸収効果を有機材料に生じるために、誘電体の金属酸化物層は、5〜12族の元素の着色(選択吸収性、灰色又は黒色でない)酸化物又は着色混合酸化物であるのが好ましい。最も好適な金属酸化物層は、Feを含む。
【0019】
着色金属酸化物層及び/又は着色金属酸化物フレークは、金属酸化物の付着を有機顔料の存在において実施する時に、製造することができる。適した有機顔料は、例えばW.Herbst and K.Hunger,VCH Verlagsgesellscaft mbH,Weinheim/New York,第2完全改訂版、1995に記載されており、例えばアゾ、アゾメチン、メチン、アントラキノン、フタロシアニン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イミノイソインドリン、ジオキサジン、イミノイソインドリノン、キナクリドン、フラバントロン、インダントロン、アントラピリミジン及びキノフタロン顔料、又はこれらの混合物もしくは固溶体;特にアゾ、ジオキサジン、ペリレン、ジケトピロロピロール、キナクリドン、フタロシアニン、インダントロンもしくはイミノイソインドリノン顔料、又はこれらの混合物もしくは固溶体からなる群より選択する。
【0020】
本発明において有用な有名な顔料は、Color Indexに記載されているそれらの顔料であり、C.I.Pigment Red 202、C.I.Pigment Red 122、C.I.Pigment Red 179、C.I.Pigment Red 170、C.I.Pigment Red 144、C.I.Pigment Red 177、C.I.Pigment Red 254、C.I.Pigment Red 255、C.I.Pigment Red 264、C.I.Pigment Brown 23、C.I.Pigment Yellow 109、C.I.Pigment Yellow 110、C.I.Pigment Yellow 147、C.I.Pigment Yellow 191.1、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 83、C.I.Pigment Yellow 13、C.I.Pigment Orange 61、C.I.Pigment Orange 71、C.I.Pigment Orange 73、C.I.Pigment Orange 48、C.I.Pigment Orange 49、C.I.Pigment Blue 15、C.I.Pigment Blue 60、C.I.Pigment Violet 23、C.I.Pigment Violet 37、C.I.Pigment Violet 19、C.I.Pigment Green 7、及びC.I.Pigment Green 36、又はこれらの混合物もしくは固溶体からなる群を含む。
【0021】
別の好適な顔料は、下記の縮合生成物である:
【0022】
【化1】

【0023】
式中、R101及びR102は、独立に水素又はC〜C18アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−アミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル又はオクタデシルである。R101及びR102は、メチルであるのが好ましい。縮合生成物は、下記の式のものである:
【0024】
【化2】

【0025】
純干渉効果を有機材料に生じるためには、金属酸化物層は、3又は4族の元素の実質的に無色の酸化物であるのが好ましい。
【0026】
金属酸化物コーティングの厚さは、コーテッド有機材料又は有機材料を除いた後の遊離の金属酸化物から光学的ゴニオクロマチック効果を生じるものである。フィルム厚さは、有機材料基材及び所望する光学的ゴニオクロマチック効果に応じて変わることになる。層の厚さは、それ自体臨界的なものでなく、通常1〜500nm、好ましくは10〜300nmの範囲になる。発明の一実施態様では、金属酸化物層は、物理的な厚さ少なくとも約150nm、最も好ましくは約50〜400nmを有する。異なる厚さの異なる酸化物は、異なる色を発生する。
【0027】
有機材料を適した溶剤で除くことによって平面平行構造を有する金属酸化物を製造するために、金属酸化物層は、3〜12族の元素の酸化物又は混合酸化物であるのが好ましい。最も好適な金属酸化物層は、Fe、SiO、又はTiOを含む。該好適な実施態様では、有機基材は、PMMAの板又は板様PMMAであり、工程(b)のフッ素含有金属複合体は、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、フルオロケイ酸アンモニウム塩、又は塩化鉄(III)/フッ化アンモニウムであり、及び方法は、更に(d’) PMMAを有機液体、例えばトルエン、又はアセトンに溶解することを含み、それによりTiO、SiO、又はFeフレークを生成する。
【0028】
工程(d’)で得られたTiO、SiO、又はFeフレークを加工してエフェクト顔料にすることができ、従ってフッ素スカベンジャーの水溶液中に懸濁させることができ;それに、(f)所望の金属酸化物コーティングの前駆材料であるフッ素含有金属複合体の一種以上の水溶液を加える。
そして、(g)該懸濁液にマイクロ波放射を施して該有機材料に金属酸化物を付着させる。
【0029】
特に好適な実施態様では、工程(b)及び(f)における金属酸化物は、酸化鉄でありかつフッ素含有金属複合体を、塩化鉄(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウム混合物からなる群より選択し、工程(d)における金属酸化物は、二酸化チタンでありかつフッ素含有金属複合体を、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、フッ化アンモニウム及び塩化チタン又は塩化チタン、フッ化アンモニウム及びフッ化水素から調製する複合体からなる群より選択する。
【0030】
上述した金属酸化物の異なる層を含むエフェクト顔料は、またPMMAの板又は板様PMMA上に金属酸化物をマイクロ波付着させ、次いでPMMAを有機液体、例えばトルエン、又はアセトンに溶解することによって製造することができる。
【0031】
該方法では、金属酸化物コーティングを有機材料の表面上に供する。金属酸化物コーティングを有機材料から分離して複数の金属酸化物フレークを生成する。フレークのサイズは、特定の用途について調節する。有機材料からのフレークの分離は、金属酸化物コーテッド有機材料を液体中に浸漬し、有機材料を溶解することによって達成することができる。別法として、有機材料の表面に剥離層、例えば溶媒ベースの樹脂溶液のようなものを塗被した後に、それに金属酸化物をマイクロ波付着によって塗被することができる。この場合に、フレークを有機材料から、剥離層を溶解することによって分離する。
【0032】
本発明の好適な実施態様では、有機材料キャリヤー、例えばポリスチレン、ポリオレフィン、又はその他の一般的な材料の両側面に、溶媒ベースの樹脂溶液、例えばアクリル樹脂、セルロース系、ビニル樹脂等を、コーティング又は印刷技術(好ましくは、グラビア又はフレキソ)によって塗被する。次いで、乾燥されたコーテッドウエブのシートの両側面に、一種以上の金属酸化物をマイクロ波付着によって塗被する。コーティングを、アセトンのような溶媒中でキャリヤーから剥ぎ取る。剥ぎ取り作業は、連続層を破壊してスラリー中に含有される粒子にする。次いで、スラリーに音波処理及び遠心処理を施して溶媒及び溶解されたコーティングを除き、濃厚な金属酸化物フレークのケークが残る。次いで、ケークを適したビヒクル中に落とし、更に均質化、例えば激しい攪拌、又は超音波処理によって大きさを調整してインキ、ペイント、及びコーティングにおいて使用するための制御されたサイズのフレークにする。この方法によって製造した酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化インジウムスズ、酸化チタン、及び酸化鉄フレークのような金属酸化物フレークは、粒子サイズ約1〜100ミクロン及び厚さ約10〜500nmを特徴とする。フレークは、平滑な鏡様表面及び高いアスペクト比を有する。
【0033】
任意の入手可能なマイクロ波源を使用することができる。その上に、マイクロ波源が調節可能であるならば、マイクロ波の周波数を、金属酸化物の表面への付着を促進するように合わせることができる。現時点で好適なマイクロ波オーブンは、実験室修正Panasonic NN−S542であり、作動周波数2,450MHz及び出力1,300Wを有する。
【0034】
一旦、フッ素含有金属複合体の添加を完了しかつ所望の金属酸化物厚さを達成したら、懸濁液をろ過し及び脱イオン水で洗浄し、乾燥させ、場合により有機材料の分解温度よりも低い温度で約15〜30分間、最も好ましくは非酸化性雰囲気下で焼成することができる。
【0035】
コーティングプロセスの後に、有機基材を溶媒により溶媒の沸点に等しい又は沸点よりも低い温度で溶解させることができる。適した溶媒は、アセトン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、塩化メチレン、クロロホルム、ジエチルエーテル、等の内の一種又は混合物を含む。
【0036】
故に、本発明の好適な実施態様では、有機基材は、PMMAの板又は板様PMMAであり、工程(b)のフッ素含有金属複合体がヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、フルオロケイ酸アンモニウム塩、又は塩化鉄(III)/フッ化アンモニウムであり、本発明の方法は、更に(d’) PMMAを有機液体、例えばトルエン、又はアセトンに溶解することを含み、それによりTiO、SiO、又はFeフレークを製造する。
【0037】
場合により、金属酸化物コーテッド基材又は平面平行構造金属酸化物に、例えばTiO、Fe、CoO、CoTiO、Cr、FeTiO、SiO又はSiO式(式中、xは、1よりも小さく、好ましくは約0.2である)の亜酸化ケイ素で形成される更なる金属酸化物層を付与することができる。SiO層は、既知の方法、例えばSiHを流動床反応装置中でコーテッドコアーの存在において熱分解させることによって形成させてもよい。
【0038】
発明の方法は、平面平行構造(フレーク)を有する金属酸化物、すなわち3〜12族の元素の酸化物又は混合酸化物を製造するために特に適している。金属酸化物フレーク、特にFe、SiO及びTiOフレークは、エフェクト顔料用基材として用いることができる。
【0039】
よって、本発明の好適な実施態様では、(e’)工程(d’)で得られたTiO、SiO、又はFeフレークをフッ素スカベンジャーの水溶液中に懸濁させ;
(f’)所望の金属酸化物コーティングの前駆材料であるフッ素含有金属複合体の一種以上の水溶液を加え;及び
(g’)該懸濁液にマイクロ波放射を施して該有機材料に金属酸化物を付着させる。
【0040】
干渉顔料の更なる層をマイクロ波付着によって付着させるのが好ましいが、また層の一部をCVD(化学蒸着)又は湿式化学コーティングによって適用することもできる。
【0041】
エフェクト顔料は、金属性もしくは非金属性、無機の小板形の粒子又は顔料(特に金属エフェクト顔料又は干渉顔料)、すなわち色を適用媒体に付与する他に、更なる性質、例えば色の角度依存性(フロップ)、艶(表面光沢ではない)又はきめを付与する顔料である。金属エフェクト顔料上に、実質的に配向された反射が、方向的に配向された顔料粒子において起きる。干渉顔料の場合、色付与効果は、薄い極めて反射性の層における光の干渉の現象による。
【0042】
金属酸化物フレークの製造を、酸化鉄フレーク、特にFeフレークに基づいて一層詳細に例示するが、それに限定するものではない。該フレークは、例えば核剤として、又はエフェクト顔料用基材として使用することができる。
【0043】
該実施態様では、酸化鉄コーティングを有機材料の表面上に供する。有機材料からの酸化鉄フレークの分離は、金属酸化物コーテッド有機材料を液体中に浸漬し、有機材料を溶解することによって達成することができる。
【0044】
詳細には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)フレークは、トルオール/アセトン中のポリメチルメタクリレートの溶液を、一端をシールさせたガラスチューブに加え、チューブを20トル真空に接続し、それを水平に回転させ、それによりPMMAのコーティングが内壁上に形成し、PMMAを脱イオン水ですすぎ落としそしてろ過によってPMMAフレークを収集することによって製造することができる。
【0045】
次いで、PMMAフレークに、FeCl・4NHF及びホウ酸を使用してマイクロ波付着によって酸化鉄を塗被することができる。得られた酸化鉄コーテッドPMMAフレークをろ過によって収集し及び真空オーブン中で乾燥させる。PMMAをトルエンに加熱することによって溶解し、沈降、ろ過、洗浄及び乾燥した後に、酸化鉄フレークが得られ、これは、エフェクト顔料を製造するために使用することができる。
【0046】
多数のコーテッド酸化鉄小板に基づくゴニオクロマチック光輝顔料は、下記:
A)屈折率n£1.8を有する無色のコーティング、及び
B)屈折率n£2.0を有する無色のコーティング
を含む層パケットを少なくとも1つ含む。
【0047】
酸化鉄小板のサイズは、それ自体臨界的なものでなく、意図する特定の用途に適合させることができる。通常、小板は、平均の最大直径約1〜50μm、好ましくは5〜20μmを有する。小板の厚さは、10〜500nmの範囲内であるのが普通である。
【0048】
無色の低屈折性コーティング(A)は、屈折率n£1.8、好ましくはn£1.6を有する。そのような材料の例を下記に挙げる。特に適した材料は、例えば酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物及びこれらの混合物のような金属酸化物及び金属酸化物水和物を含み、酸化ケイ素(水和物)が好ましい。
【0049】
コーティング(A)の幾何学的な層厚さは、50〜800nmの範囲内であるのが普通であり、100〜600nmの範囲内であるのが好ましい。層(A)は、本質的に顔料の干渉色を決めるので、それは、たった1つだけの(A)+(B)層パケットを有し、特に顕著な色役割を示し、故にまた好適である光輝顔料について最小の層厚さ約200nmを有する。複数(例えば2、3又は4)の(A)+(B)層パケットが存在するならば、(A)の層厚さは、50〜200nmの範囲内であるのが好ましい。
【0050】
無色の高屈折性コーティング(B)は、屈折率n32.0、特にn32.4を有する。そのような材料の例を下記に挙げる。特に適した層材料(B)は、硫化亜鉛のような硫化金属ばかりでなく、特に金属酸化物及び金属酸化物水和物、例えば二酸化チタン、二酸化チタン水和物、酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム水和物、二酸化スズ、酸化スズ水和物、酸化亜鉛、酸化亜鉛水和物及びこれらの混合物を含み、二酸化チタン、酸化チタン水和物及び約5重量%までの他の金属酸化物、特に二酸化スズとのそれらの混合物が好ましい。
【0051】
コーティング(B)は、コーティング(A)に比べて層厚さが薄い。コーティング(B)の好適な幾何学的な層厚さは、約5〜50nm、特に10〜40nmの範囲である。
【0052】
コーティング(B)は、本発明に従えば好適であり、本質的に二酸化チタンからなる。
【0053】
該実施態様では、干渉顔料のすべての層をマイクロ波付着によって付着させるのが好ましいが、また層の一部をCVD(化学蒸着)により又は湿式化学コーティングによって適用することもできる。
【0054】
発明は、更にこれらの光輝顔料の製造並びにコーティング、インキ(印刷インキを含む)、プラスチックス、ガラス、セラミック生成物及び装飾的化粧品を着色するためのそれらの使用に関する。
【0055】
類似の様式で、酸化亜鉛(ZnO、UV屈折媒体、酸スカベンジャー、蛍光増白剤)フレーク、酸化モリブデン(MoO、煙抑制剤、難燃剤)フレーク、酸化アンチモン(Sb、煙抑制剤、難燃剤)フレーク、酸化スズ(SnO)でドープされた酸化インジウム(In)フレーク、酸化チタン及び酸化ケイ素フレークを得ることができる。酸化スズでドープされた酸化インジウムフレーク、代表的にはIn90重量%及びSnO10重量%は、例えば静電気防止剤として使用することができる。
【0056】
酸化ケイ素フレークは、例えばコーティング及びプラスチックスの耐引掻性を改善するために、プラスチックス用粘着防止剤として、プラスチックスの機械的強化材用に及び気体遮蔽性を改善するために使用することができる。SiOフレークに、ドネイテッド材料、例えばWO02/31060の例5に記載されているような、例えばスズ−ドネイテッド酸化インジウムのような材料を入れるならば、高いIR吸光度を有するSiOフレークを得ることができる。SiOフレークに、SnO、Sb/SnO、In又はIn/SnOを入れるならば、高いIR反射能を有するSiOフレークを得ることができる(US−B−4,548,836を参照)。
【0057】
着色SiOフレークは、酸化ケイ素の付着を有機顔料の存在において実施すれば、製造することができる。適した有機顔料は、上記した。本発明の特に好適な実施態様では、顔料は、下記の縮合生成物である:
【0058】
【化4】

【0059】
式中、R101及びR102は、独立に水素又はC〜C18アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−アミル、tert−アミル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル又はオクタデシルである。R101及びR102は、メチルであるのが好ましい。縮合生成物は、下記の式のものである:
【0060】
【化2】

【0061】
ジアルキルアミノベンズアルデヒドとバルビツール酸との縮合生成物は、温室を覆う熱可塑性ポリマーフィルム中に組み込む場合に、温室内の植物成長を増進させる。縮合生成物の組込みは、ポリマーフィルムの耐用年数を相当に引き延ばすことができる。
【0062】
SiOフレークは、長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm及び厚さ10〜500nm、並びに長さ対厚さの比少なくとも2:1、2つの実質的に平行な面であって、それらの間の間隔は、コアーの最も短い軸であるものを有するのが普通であり、エフェクト顔料を製造するために使用することができる。
【0063】
SiOフレークに基づいた好適な干渉顔料は、(a)高屈折率の金属酸化物、例えばFe、又はTiO及び、(b)低屈折率の金属酸化物、例えばSiO、ここで、屈折率の差は、少なくとも0.1である:TiO(基材:酸化ケイ素;層:TiO)、(SnO)TiO、Fe、Sn(Sb)O、Fe・TiO(基材:酸化ケイ素;層:FeとTiOとの混合層)、TiO/Fe(基材:酸化ケイ素;第一層:TiO;第二層:Fe)。層厚さは、1〜1000nmの範囲が普通であり、1〜300nmの範囲が好ましい。
【0064】
別の特に好適な実施態様は、高及び低屈折率の少なくとも3つの交互層、例えばTiO/SiO/TiO、(SnO)TiO/SiO/TiO、TiO/SiO/TiO/SiO/TiO又はTiO/SiO/Feを含有する干渉顔料に関する。
【0065】
層構造は、下記の通りであるのが好ましい:
(A)屈折率n>1.65を有するコーティング、
(B)屈折率n£1.65を有するコーティング、
(C)屈折率n>1.65を有するコーティング、及び
(D)場合により、外部保護層。
【0066】
「高」屈折率、すなわち約1.65よりも大きい、好ましくは約2.0よりも大きい、最も好ましくは約2.2よりも大きい屈折率を有する誘電体材料の例は、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、二酸化チタン(TiO)、炭素、酸化インジウム(In)、酸化インジウムスズ(ITO)、過酸化タンタリウム(Ta)、酸化クロム(Cr)、酸化セリウム(CeO)、酸化イットリウム(Y)、酸化ユーロピウム(Eu)、酸化鉄、例えば鉄(II)/鉄(III)酸化物(Fe)、及び酸化鉄(III)(Fe)、窒化ハフニウム(HfN)、炭化ハフニウム(HfC)、酸化ハフニウム(HfO)、酸化ランタン(La)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ネオジム(Nd)、酸化プラセオジム(Pr11)、酸化サマリウム(Sm)、酸化アンチモン(Sb)、一酸化ケイ素(SiO)、三酸化セレン(Se)、酸化スズ(SnO)、三酸化タングステン(WO)又はこれらの組合せ。誘電体材料は、金属酸化物であるのが好ましい。金属酸化物は、吸収特性を有する又は有しない、単一の酸化物又は酸化物の混合物、例えばTiO、ZrO、Fe、Fe、Cr、又はZnOであるのが可能であり、TiOが特に好適である。
【0067】
使用することができる適した低屈折率誘電体材料の例は、下記を含み、それらに限定しない:二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、及びフッ化金属、例えばフッ化フッ化マグネシウム(MgF)、アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化ナトリウムアルミニウム(例えば、NaAlF又はNaAl14)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)、これらの組合せ、又は屈折率約1.65以下のその他の任意の低屈折率材料。例えば、有機モノマー及びポリマーを低屈折率材料として利用することができ、有機モノマー及びポリマーは、ジエン又はアルケン、例えばアクリレート(例えばメタクリレート)、ペルフルオロアルケンのポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(TEFLON)、フッ化エチレンプロピレン(FEP)のポリマー、パリレン、p−キシレン、これらの組合せ、等を含む。加えて、前述の材料は、蒸発された、凝縮された及び架橋された透明なアクリレート層を含み、これらは、米国特許第5,877,895号に記載されている方法によって付着させることができ、同米国特許の開示を本明細書中に援用する。
【0068】
ベース基材上の高い及び低い屈折率の個々の層の厚さは、顔料の光学的性質のために必須である。個々の層、特に金属酸化物層の厚さは、使用の分野に依存し、通常10〜1000nm、好ましくは15〜800nm、特に20〜600nmである。
【0069】
(A)層の厚さは、10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。(B)層の厚さは、10〜1000nm、好ましくは20〜800nm、特に30〜600nmである。(C)層の厚さは、10〜550nm、好ましくは15〜400nm、特に20〜350nmである。
【0070】
(A)層について特に適した材料は、金属酸化物、又は金属酸化物混合物、例えばTiO、Fe、Sn(Sb)O、SnO、亜酸化チタン(酸化状態2〜<4を有する還元されたチタン種)、及びまたこれらの化合物と互いとの又は他の金属酸化物との混合物又は混合相である。
【0071】
(B)層について特に適した材料は、金属酸化物又は対応する酸化物水和物、例えばSiOである。
【0072】
(C)層について特に適した材料は、無色の又は着色された金属酸化物、例えばTiO、Fe、Sn(Sb)O、SnO、亜酸化チタン(酸化状態2〜<4を有する還元されたチタン種)、及びまたこれらの化合物と互いとの又は他の金属酸化物との混合物又は混合相である。TiO層は、加えて吸収性材料、例えば炭素、選択的に吸収性の着色剤、選択的に吸収性の金属カチオンを含有することができ、吸収性材料で被覆することができ、一部還元することができる。
【0073】
吸収性又は非吸収性材料の中間層は、(A)、(B)、(C)及び(D)層の間に存在することができる。中間層の厚さは、1〜50nm、好ましくは1〜40nm、特に1〜30nmである。
【0074】
この実施態様では、好適な干渉顔料は、下記の層構造を有する:
【表1】

【0075】
該実施態様では、干渉顔料のすべての層をマイクロ波付着によって付着させるのが好ましいが、また層の一部をCVD(化学蒸着)又は湿式化学コーティングによって適用することもできる;
【表2】

【0076】
金属酸化物層は、金属カルボニル(例えば、鉄ペンタカルボニル、クロムヘキサカルボニル;EP−A−45 851)の酸化性気相分解により、金属アルコラート(例えば、チタン及びジルコニウムテトラ−n−及び−イソ−プロパノラート;DE−A−41 40 900)又はハロゲン化金属(例えば四塩化チタン;EP−A−338 428)の加水分解気相分解により、オルガニルスズ化合物(特に、アルキルスズ化合物、例えばテトラブチルスズ及びテトラメチルスズ;DE−A−44 03 678)の酸化性分解により或はEP−A−668 329に記載されているオルガニルケイ素化合物(特に、ジ−tert−ブトキシアセトキシシラン)の気相加水分解によって適用することができ、コーティング作業を流動床反応装置において実施することが可能である(EP−A−045 851及びEP−A−106 235)。金属ジルコニウム、チタン、鉄及び亜鉛の酸化物、それらの金属の酸化物水和物、チタン酸鉄、亜酸化チタン又はこれらの混合物の層は、湿式化学法による沈降によって適用することができ、適する場合には、金属酸化物を還元させることが可能である。湿式化学コーティングの場合には、真珠箔顔料を製造するために開発された湿式化学コーティング法を用いてよい:これらは、例えば、下記に記載されている:DE−A−14 67 468、DE−A−19 59 988、DE−A−20 09 566、DE−A−22 14 545、DE−A−22 15 191、DE−A−22 44 298、DE−A−23 13 331、DE−A−25 22 572、DE−A−31 37 808、DE−A−31 37 809、DE−A−31 51 353、DE−A−31 51 354、DE−A−31 51 355、DE−A−32 11 602及びDE−A−32 35 017、DE 195 99 88、EP−A−892832、EP−A−753545、EP−A−121330、WO93/08237、WO98/53001、WO98/12266、WO98/38254、WO99/20695、WO00/42111及びWO03/6558。
【0077】
高屈折率の金属酸化物は、TiO及び/又は酸化鉄が好ましく、そして低屈折率の金属酸化物は、SiOが好ましい。TiOの層は、ルチル又はアナスターゼ変種にすることができ、ここで、ルチル変種が好ましい。TiO層は、また、既知の手段、例えばEP−A−735,114、DE−A−3433657、DE−A−4125134、EP−A−332071、EP−A−707,050又はWO93/19131に記載されているような、アンモニア、水素、炭化水素蒸気又はこれらの混合物、或は金属粉末によって還元することもできる。
【0078】
更なる好適な実施態様では、本発明は、二酸化チタンフレーク並びに小板様二酸化チタンに基づくエフェクト顔料に関する。これらの二酸化チタン小板は、厚さ10〜500nm、好ましくは40〜150nmを有する。2つの他の寸法の程度は、2〜200nm、特に5〜50nmである。二酸化チタンフレークは、機械的補強のために、耐引掻性及び気体遮断性を改良するために使用することができ、ルチル変種では、例えばUV反射板として使用することができる。アナスターゼ変種の光活性二酸化チタンフレーク(ラジカル発生剤)は、例えば生分解性の添加剤として及び重合調節剤として使用することができる。小板様二酸化チタンに基づくエフェクト顔料は、多層構造を有し、小板形状の二酸化チタンのコアー上に、別の金属酸化物又は金属酸化物水和物の層が続く。二酸化チタンに適用する他の金属酸化物又は金属酸化物水和物の例は、Fe、Fe、FeOOH、Cr、CuO、Ce、Al、SiO、BiVO、NiTiO、CoTiO及びアンチモン−ドープト、フッ素−ドープト又はインジウム−ドープト酸化スズである。新規な顔料の特定の実施態様では、別の金属酸化物又は金属酸化物水和物の第一層上に、追加して更なる金属酸化物又は金属酸化物水和物の第二層が存在する。この更なる金属酸化物又は金属酸化物水和物は、酸化アルミニウム又は酸化アルミニウム水和物、二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素水和物、Fe、Fe、FeOOH、ZrO、Cr並びにアンチモン−ドープト、フッ素−ドープト又はインジウム−ドープト酸化スズである。
【0079】
チタン小板に適用する別の金属酸化物の層は、厚さ5〜300nm、好ましくは5〜150nmを有する。
【0080】
二酸化チタン小板のコーティングは、間を乾燥させた後に、金属酸化物又は金属酸化物水和物により、例えば流動床反応装置において気相コーティングによって実施することができ、例えば従来の湿式化学法、又はマイクロ波付着により、EP−A−045851及びEP−A−106235に提案されている真珠箔顔料を調製するプロセスを使用することが可能である。
【0081】
すべての金属酸化物層を、マイクロ波放射を使用して付着させるのが好適であるが、金属酸化物の一部を従来の湿式化学法によって付着させることができる:
【0082】
赤鉄鉱(Fe)を塗被する時は、出発原料は、例えばUS−B−3,987,828及びUS−B−3,087,829に記載されているような、鉄(III)塩か、又はUS−B−3,874,890に記載されているような、鉄(II)塩のいずれかにすることができ、初めに形成した水酸化鉄(II)のコーティングを酸化して酸化鉄(III)水和物にする。鉄(III)塩を出発原料として使用するのが好ましい。
【0083】
磁鉄鉱(Fe)によるコーティングは、鉄(II)塩溶液、例えば硫酸鉄(II)を硝酸カリウムの存在においてpH8.0で加水分解することによって実施する。特別の沈降例は、DE−A−659843に記載されている。
【0084】
酸化鉄層を二酸化チタン小板に一層良好に密着させるためには、酸化スズ層を初めに適用するのが好都合である。
【0085】
二酸化チタン小板に付着させるのが好ましい別の金属酸化物は、酸化クロムである。付着は、熱加水分解によって容易に行うことができ、熱加水分解は、ヘキサミンクロム(III)誘導体の水溶液からアンモニアを揮発して、又はホウ砂で緩衝したクロム塩溶液を熱加水分解することによって起きる。酸化クロムによるコーティングは、US−B−3,987,828及びUS−B−3,087,829に記載されている。
【0086】
顔料は、すべての場合にいて、焼成するしなければならないというわけではない。所定の用途について、温度110℃で乾燥するのが十分である。顔料を焼成するならば、温度400〜1000℃を設定し、好適な範囲は、400〜700℃である。
【0087】
加えて、顔料に、後コーティング又は後処理を施すことが可能である。後コーティング又は後処理は、顔料の光安定性、耐候性及び化学安定性を更に増大させ又は顔料の取り扱い、特に顔料を異なる媒体中に組み込むことを容易にする。適した後コーティング技術の例は、例えばDE−C22 15 191、DE−A−31 51 354、DE−A−32 35 017又はDE−A−33 34 598に記載されている。新規な顔料の性質が、これらの追加の処置無しで、すでに非常に良好であることにより、これらの随意の追加して適用する材料は、総括顔料のほんの約0〜5重量%、特に約0〜3重量%を構成するにすぎない。
【0088】
本発明に従って形成したエフェクト顔料に、更に、任意の従来知られている方法を使用して後処理(表面改良)を施して顔料の耐候性、分散性及び/又は水安定性を改良してよい。本発明のコーテッド有機材料は、装飾的品質を要求する用途、例えばサングラス、化粧品(リップスティック、ほお紅、ファウンデーション、ネイルワニス及びヘアーシャンプー)、スクリーン印刷による織物装飾、インキ、ペイント及びプラスチックスにおいて使用するために適している。
【0089】
下記の例は、単に例示のためであり、本発明の範囲をいささかも制限するものと解釈すべきでない。
【実施例】
【0090】
例1
1.5cm×1.5cmポリカーボネートシートの片をエタノール及び脱イオン水でそれぞれすすぎ洗いする。次いで、それを11mlホウ酸水溶液(0.2M、2.2mモル)中に浸漬する。初めに、ヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウム溶液(0.1M、0.1mモル)を加え、マイクロ波オーブン中での反応をパワーレベル1で1分間実施する。混合物を30分間静置して冷却させる。第二に、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム溶液(0.1M、0.1mモル)を加え、マイクロ波処理(パワーレベル1で1分間)を10分間隔で5回繰り返す。ポリカーボネートシートを反応混合物から取り出しそして水及びエタノールですすぎ洗いする。
【0091】
例2
a)ポリメチルメタクリレート(1.2重量%)の2mlトルエン溶液及びアセトン2mlを、一端をシールさせたガラス管に加える。管は、直径6.0cm及び長さ28.0cmを有する。管を20トル真空に接続しそしてそれを30分間水平に回転させることによって、PMMAのコーティングが内壁上に形成する。脱イオン水10mlを使用してPMMAをすすぎ洗いして落とす。PMMAのフレークがろ過によって収集される。
【0092】
b)例2a)の方法で作製したポリメチルメタクリレートフレーク0.1gに、脱イオン水50mlを加える。混合物を20分間音波処理し、Teflonビーカーに移す。攪拌した混合物に、FeCl・4NHFの0.4M水溶液10ml及び0.8Mホウ酸10mlを同時に0.2ml/分で加える。生成した青銅色懸濁液を更に2時間攪拌し、次いでマイクロ波照射で10分間処理する。粉末0.4gがろ過によって収集され、真空オーブン中で12時間乾燥させる。
【0093】
例3
例2a)からの生成物0.3gをトルエン10ml中に浸漬し、60℃に5分間加熱する。得られたFeフレークを3時間沈降させ、次いでろ過し、アセトンですすぎ洗いする。Feフレークは、赤/黄色みがかった色を示す。
【0094】
例4
例2a)の方法で作製したポリメチルメタクリレートフレーク0.1gに、脱イオン水50mlを加える。混合物を20分間音波処理し、Teflonビーカーに移す。攪拌した混合物に、FeCl・4NHFの0.4M水溶液5ml及び0.8Mホウ酸水溶液5mlを同時に0.2ml/分で加える。マイクロ波照射で、温度を50℃に上昇させて30分間保つ。次いで、0.4Mヘキサフルオロチタン酸アンモニウム5ml及び0.8Mホウ酸水溶液5mlを同時に0.4ml/分で加える。更に30分マイクロ波照射した後に、反応混合物を冷却させて室温にする。FeCl・4NHFの0.4M水溶液5ml及び0.8Mホウ酸水溶液5mlによる酸化鉄のコーティングプロセスを繰り返す。粉末0.5gがろ過によって収集され、真空オーブン中で12時間乾燥させる。
【0095】
例5
例4からのフレーク0.4gをトルエン10ml中に浸漬し、60℃に5分間加熱する。得られたTiO/Fe/TiOフレークを3時間沈降させ、次いでろ過し、アセトンですすぎ洗いする。TiO/Fe/TiOフレークは、緑/黄色みがかった色を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機基材及び周期表の3〜15族からなる群より選択する金属の一種以上の酸化物からなる少なくとも1つの誘電体層を含む有機材料を製造する方法であって、下記の工程:
(a)有機基材をフッ素スカベンジャーの水溶液中に懸濁させ;
(b)所望の金属酸化物コーティングの前駆材料であるフッ素含有金属複合体の一種以上の水溶液を加え;及び
(c)該懸濁液にマイクロ波放射を施して該有機材料に金属酸化物を付着させる
を含み、工程(b)及び(c)を、場合により異なるフッ素含有金属複合体を用いて繰り返して1つ以上の金属酸化物層を又は厚さ方向に二種の異なる金属酸化物の濃度の勾配を生成することができる有機材料を製造する方法。
【請求項2】
フッ素スカベンジャーを、ホウ酸、アルカリ金属ホウ酸塩、特にホウ酸ナトリウム、ホウ酸アンモニウム、ホウ素無水物及び一酸化ホウ素からなる群より選択する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
フッ素含有金属複合体を、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム;ヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウム;ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム;塩化鉄(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウムの混合物;塩化アルミニウム(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウム混の合物;ヘキサフルオロゲルマニウム酸アンモニウム;フッ化インジウム(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウムの混合物;並びにフッ化インジウム(III)三水和物とヘキサフルオロ第二スズ酸アンモニウムとの組合せからなる群より選択する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
反応媒体の凝固点と沸点との間、特に約15℃〜約95℃の間の温度で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
金属酸化物が二酸化チタンであり、フッ素含有金属複合体を、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、フッ化アンモニウム及び塩化チタン又は塩化チタン、フッ化アンモニウム及びフッ化水素から調製する複合体からなる群より選択し、或は金属酸化物が酸化鉄であり、フッ素含有金属複合体を、塩化鉄(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウム混合物からなる群より選択する、請求項1記載の方法。
【請求項6】
金属酸化物が二酸化ケイ素であり、フッ素含有金属複合体がヘキサフルオロケイ酸アンモニウム又はペンタフルオロケイ酸アンモニウムである、請求項1記載の方法。
【請求項7】
有機基材を、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、エポキシ樹脂、ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン)、ポリオレフィンマトリックスからなる群より選択する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
更に、下記の工程:
(d)工程(b)における酸化物コーティングと異なる所望の金属酸化物コーティングの前駆材料であるフッ素含有金属複合体の一種以上の水溶液を加え;及び
(e)該懸濁液にマイクロ波放射を施してコーテッド有機基材に金属酸化物を付着させる
を含む請求項1記載の方法。
【請求項9】
有機基材がポリカーボネートであり、フッ素含有金属複合体がヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、又はフルオロケイ酸アンモニウム塩である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
有機基材がポリカーボネートであり、工程(b)のフッ素含有金属複合体がヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、工程(d)のフッ素含有金属複合体がフルオロケイ酸アンモニウム塩である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
有機基材がPMMAの板又は板様PMMAであり、工程(b)のフッ素含有金属複合体がヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、フルオロケイ酸アンモニウム塩、又は塩化鉄(III)/フッ化アンモニウムであり、更に(d’) PMMAを有機液体、例えばトルエン、又はアセトンに溶解することを含み、それによりTiO、SiO、又はFeフレークを製造する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
(e’)工程(d’)で得られたTiO、SiO、又はFeフレークをフッ素スカベンジャーの水溶液中に懸濁させ;
(f’)所望の金属酸化物コーティングの前駆材料であるフッ素含有金属複合体の一種以上の水溶液を加え;及び
(g’)該懸濁液にマイクロ波放射を施して該有機材料に金属酸化物を付着させる、請求項11記載の方法。
【請求項13】
更に、下記の工程:
(f)工程(d)における酸化物コーティングと異なる所望の金属酸化物コーティングの前駆材料であるフッ素含有金属複合体の一種以上の水溶液を加え;及び
(g)該懸濁液にマイクロ波放射を施してコーテッド有機基材に金属酸化物を付着させる
を含む請求項8記載の方法。
【請求項14】
工程(b)及び(f)における金属酸化物が酸化鉄でありかつフッ素含有金属複合体を、塩化鉄(III)、フッ化水素酸及びフッ化アンモニウム混合物からなる群より選択し、工程(d)における金属酸化物が二酸化チタンでありかつフッ素含有金属複合体を、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、フッ化アンモニウム及び塩化チタン又は塩化チタン、フッ化アンモニウム及びフッ化水素から調製する複合体からなる群より選択する、請求項13記載の方法。
【請求項15】
(e’)工程(d’)で得られた金属酸化物フレークが二酸化チタンフレークであり、第一金属酸化物層を、Fe、Fe、FeOOH、Cr、CuO、Ce、Al、SiO、BiVO、NiTiO、CoTiO及びアンチモン−ドープト、フッ素−ドープト又はインジウム−ドープト酸化スズ酸化鉄から選択し、場合により存在する第二金属酸化物層を、酸化アルミニウム又は酸化アルミニウム水和物、二酸化ケイ素又は二酸化ケイ素水和物、Fe、Fe、FeOOH、TiO、ZrO、Cr並びにアンチモン−ドープト、フッ素−ドープト又はインジウム−ドープト酸化スズから選択し;或は(e’)工程(d’)で得られた金属酸化物フレークが二酸化鉄フレークであり、第一金属酸化物層が、屈折率n£1.8を有する無色のコーティング、例えば酸化ケイ素、酸化ケイ素水和物、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物及びこれらの混合物であり、場合により存在する第二金属酸化物層が、屈折率n32.0を有する無色のコーティング、例えば二酸化チタン、酸化チタン水和物、二酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム水和物、二酸化スズ、酸化スズ水和物、酸化亜鉛、酸化亜鉛水和物及びこれらの混合物である、請求項12記載の方法。

【公表番号】特表2006−527649(P2006−527649A)
【公表日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516134(P2006−516134)
【出願日】平成16年6月7日(2004.6.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/051040
【国際公開番号】WO2004/111298
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】