マイクロ波処理可能で食品接触適合性の使い捨て容器
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願は、1996年10月18日出願の米国特許出願08/733463号の一部継続出願に基くものである。本発明はカップ、トレー、スフレ皿、蓋、プレート、ボールなどの1以上の微小粒(micronodular)面を有する使い捨てで食品接触適合性を有しマイクロ波処理可能な容器、ならびに食品の製造、保管、搬送および給仕に有用な関連する製造品に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の使い捨てマイクロ波処理可能容器およびプレートは、(a)そのプレートもしくは容器の食品接触側の微小粒面と(b)約121℃以上の融点を示すものであって、その容器またはプレートは、少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を示すものである。上記の性質全てを有するマイクロ波処理可能な使い捨ての容器およびプレートは先行技術では知られていない。本特許出願の譲受人に譲渡された米国特許5377860号には、二重板食品容器が開示されている。しかしながらポリオレフィン/雲母の組成が示唆も開示もされておらず、その容器は本願に開示の容器の熱的性質や微小粒面を持たないことから、その容器の組成および性質は本発明のものとは異なる。欧州特許出願0544429A1号で開示されている容器は、熱的性質を満足することができて、本発明の容器の望ましい微小粒表面を有する容器を示唆も開示もしていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記容器およびプレートは簡便性および低コストが非常に重要であるが、そうではあっても、プレート、容器などの外観および触感上の特性は消費者の嗜好には重要な点である。マイクロ波調理または食品加熱用のこれら使い捨て製造品目の好適性は、今日の市場において重要な位置を占めている。商業および小売市場のいずれも、見た目の好ましい、マイクロ波処理が可能な、使い捨ての、堅くて強靱な容器、プレートまたはカップならびに関連製造品を必要としている。本発明は、そのニーズを経済的に満足することを目的とするものである。
【0004】1. プロピレンホモポリマーと板状(層状)無機材料の混合物からなり、且つ該板状(層状)無機材料が20〜40重量%である押出シートであって、12121℃以上の軟化点を示し、少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、好ましくは鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を持つ押出シートを熱成形によって作られた、マイクロ波処理可能で食品接触適合性の、使い捨てで、剛性で強靱であるカップ、ボール、トレー、プレート、スフレ皿などの皿またはバケツの形態から選ばれた容器。
2. プロピレンホモポリマーが60〜80重量%の量で存在する1記載の容器。
3. 無機材料が雲母を含むものである1または2記載の容器。
4. 前記混合物がプロピレンホモポリマーと無機材料の間の付着を促進するためのカップリング剤を含有する1ないし3のいずれかに記載の容器。
5. カップリング剤が0.5〜3重量%の量で存在する4記載の容器。
6. さらに、少なくとも一方の側、好ましくは使用時に食品と接触しない側に微小粒表面を示す1ないし5のいずれかに記載の無機材料が20〜40重量%の量で存在する1ないし5のいずれかに記載の容器。
7. 一方の側にマットがある請求項1ないし6のいずれかに記載の容器。
8. さらに、59kg/279m2連以上、431kg/279m2連以下の坪量を示す請求項1ないし7のいずれかに記載の押出シートを用いて得られた容器。
9.
(a)底部、(b)該底部(a)に連結し、該底部に形成された内側方向に次第に細くなる円錐台形の底部封止領域を有する上方に広がる周囲壁、(c)前記の上方に広がる周囲壁(b)に連結し、切下げのある二次封止用隆起を有する、下方および外側に向かって広がる縁を有してなる底部分(I)と、(d)頂部、(e)該頂部に連結し、下方に広がる周囲壁、(f)円錐台形蓋封止領域が形成され、該円錐台形蓋封止領域が円錐台形底部封止領域と篏合可能である、上方に広がる壁、(g)前記二次封止隆起と篏合可能な二次封止溝を有する、下方に広がる壁(h)前記二次封止溝と前記円錐台形蓋封止領域の間にあり、円錐台形底部封止領域を円錐台形蓋部封止領域に密着係合させながら同時に、二次封止隆起を二次封止溝に係合させるための、弾性の蓋再調整手段を有してなる一体成形蓋部(II)とを有する1ないし8の何れかに記載の容器。
10.
(a)プロピレンホモポリマーおよび板状無機材料の押出成形可能な混合物を成形する段階、(b)押出成形によって、高温で前記混合物をシートに変える段階、(c)シートを回収する段階を有してなる1の容器に用いるシートの製造方法。
11. 押出混合物を、マット仕上げ部を有するロール周囲の少なくとも一部に通過させ、その際に、該ロールに接触する該押出混合物の表面がマット状表面を有するような条件で通過を行う10記載の方法。
12. 前記条件に、押出速度、マットロールを含めたロールスタックの大きさ、温度および形状の制御によって、ロールと接触する押出混合物の表面にマット状構造を与えることが含まれる11記載の方法。
13. 押出混合物を、マット仕上げ部を有するロール周囲の少なくとも一部に通過させ、その際に、該ロールに接触しない該押出混合物の表面が粗い粒状構造を有するような条件で通過を行う10ないし12のいずれかに記載の方法。
14. 前記条件に、マットロールに接触しない押出混合物の表面を少なくとも部分的に固化させることが含まれる13記載の方法。
15. 前記混合物が、請求項1ないし7のいずれかに定義の材料を含む10ないし14のいずれかに記載の方法。
16.
(a)10ないし15のいずれかに記載の方法で得られたシートを熱成形する段階、ならびに(b)容器を回収する段階を有してなる1記載の容器の製造方法。
17. 型表面と接触しない容器の微小粒表面を形成するよう制御した型で、前記の容器を熱成形する16記載の方法。
18. 容器が1に定義の形態のものである15ないし17のいずれかに記載の方法。
19. 10ないし18のいずれかの方法によって製造される製品。
20. プロピレンホモポリマーと板状(層状)無機材料の混合物からなり、且つ該板状(層状)無機材料が20〜40重量%である押出シートであって、121℃以上の軟化点を示し少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、好ましくは鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を持つ押出シートを熱成形によって作られた、マイクロ波処理可能で食品接触適合性の、使い捨てで、剛性で強靱な蓋。
21.
(a)プロピレンホモポリマーおよび板状無機材料の押出成形可能な混合物を成形する段階、(b)押出成形によって、高温で前記混合物をシートに変える段階、(c)シートを回収する段階を有してなる20の蓋に用いるシートの製造方法。
22.
(a)21に記載の方法で得られたシートを熱成形する段階、ならびに(b)蓋を回収する段階を有してなる21記載の蓋の製造方法。
23. 21または22記載の方法によって製造される製品。
【0005】
【発明の実施の形態】マイクロ波処理可能な使い捨てで剛性の強靱な食品接触適合性の容器およびプレートを製造した。これらの使い捨てのマイクロ波処理可能な製造品は、(a)食品と接触することになる側に微小粒面と、(b)121℃以上、好ましくは121℃〜166℃の融点を示すものである。これらのマイクロ波処理可能な食品接触適合性の容器およびプレートは少なくとも104℃まで寸法安定性であり、油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸刃状ポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強靱性を有するものである。使い捨ての昼食用プレート(22.2cm)および夕食用プレート(26.0〜27.9cm)の形態でのこれらの容器は、約59kg/279m2連の坪量で、少なくとも200g/1.27cmのSSI剛性を示す。約200の坪量ではSSI剛性は約300g/1.27cmであり、約360の坪量では、SSI剛性は約700g/1.27cmである。本発明の容器およびプレートは、食品の調理および解凍の過程で、ポークビーンズ、シロップをかけたホットケーキ、ペパローニピザおよびブロッコリーとチーズなどの通常の食品をマイクロ波処理する場合の電子レンジの過酷な条件に耐えることができる製品に対する長い間の要求に答えるものである。ポリオレフィンを雲母と組み合わせる場合、これらの容器およびプレートは一方の側または両方の側、通常は食品と接触するようになる側に微小粒面を示す。 実施例9および表13に示したように、競合する市販のポリスチレン型プレートは、食品接触時に電子レンジで生じる高温に耐えることができず、上記の食品が乗っている場合は、大幅に歪むか変形する。油脂含有量が高い食品を用いた場合における通常のマイクロ波処理条件下では、先行技術のプレートは変形して流動する傾向があり、プレートの一部がマイクロ波オーブンの内部に付着するようになる。使い捨てのプレートおよび容器の場合、外観および感触は重要な属性である。ポリプロピレンまたはポリプロピレン−ポリエチレンの共重合体もしくは混合物と雲母を組み合わせて使用する本発明のプレートおよび容器の微小粒表面は、その製品に好ましい外観を与え、見た目を磁器または陶器のようにする傾向がある。本発明の容器およびプレートの別の重要な性質は、それの切断耐性である。これらの剛性製造品は、鋸状ポリスチレン食器による切断に耐えるだけの強靱性を有するものである。ただし、カップおよび蓋の場合、これは通常は必要ない。通常の用途では、それらは通常の金属食器による切断に対して耐性でもある。
【0006】以下に記載の詳細な説明および添付の図面により、本発明をさらに十分に理解することができる。ただし、これらは例示のみを目的とするものであって、本発明を限定するものではない。図1は、シート押出工程の模式的フローチャートである。図2は、微小粒表面を有するプレートおよび容器の製造のための熱成形工程の模式的フローチャートである。図3は、本発明のプレートの剛性と先行技術の市販製品とを、現在の原料コストの観点で比較するグラフである。図4は、本発明のプレートの熱耐性を先行技術の市販製品と比較する棒グラフである。図5は、本発明のプレートの一部破断面を含む斜視図である。図6は、図5に示したプレートの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図(4倍)である。図7は、図5に示したプレートの半径方向の断面図である。図8は、本発明に従って成形されたプレートの中心線から始まる図5に示したプレートの模式的側面図である。図9は、本発明の他の例のプレートの一部破断図を含む斜視図である。図10は、図9に示したプレートの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図(4倍)である。図11は、図9に示したプレートの半径方向断面図である。図12は、中心線から始まる図9に示したプレートの模式的側面図である。図13は、本発明に含まれるトレーの一部破断面を含む斜視図である。図14は、図13に示したトレーの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図(2倍)である。図15R>5は、図13に示したトレーの半径方向断面図である。図16は、中心線から始まる図13に示したトレーの模式的側面図である。図17は、本発明に含まれるボールの一部破断面を加えた斜視図である。図18は、図17に示したボールの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図(2倍)である。図19は、図17に示したボールの半径方向断面図である。図20は、中心線から始まる図17に示したボールの模式的側面図である。図2121は、本発明に含まれる持ち帰り食品用容器を示す斜視図である。図22は、本発明のプレート(上の写真)およびシート(下の写真)の走査型電子顕微鏡写真であって、該プレートの微小粒食品接触表面を示しているが、混合物のない押出シートにはそれがないことを示す図である。図23は、雲母レベルに対して光沢をプロットしたグラフである。図24は、雲母レベルに対してプレートの剛性をプロットしたグラフである。図25は、マット処理表面(A)と非マット処理表面(B)を示す本発明のシートの走査型電子顕微鏡写真である。図26は、両側とも非常に光沢がある本発明のシートの走査型電子顕微鏡写真である。
【0007】プレート、ボール、カップ、トレー、バケツ、スフレ皿および蓋などの見た目が好ましくマイクロ波処理可能な使い捨ての剛性・強靱な容器は、アイソタクチックなポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレン共重合体、またはアイソタクチックなポリプロピレンおよびポリプロピレン−ポリエチレン共重合体の混合物を雲母などの板状無機物の混合物と組み合わせたものを有してなる。好ましくは、カップリング剤と顔料を使用する。優れた熱的、機械的その他の物理的性質を有し、さらには微小粒表面を示す好適な容器、ボール、トレーおよびプレートを成形するには、雲母とともにカップリング剤を使用しなければならない。カップリング剤の機能は、ポリプロピレン部分の雲母への付着を促進することである。カップリング剤がないと、雲母のポリマー基材への付着が不十分であるために、容器、ボール、トレーおよびプレートを熱成形するためのシートとして形成することができなくなる場合がある。無水マレイン酸およびアクリル酸変性ポリプロピレンが好適なカップリング剤である。
【0008】本発明の容器、ボール、トレーおよびプレートは好ましくは、図1に示したように押し出したシートから、それを次に図2に示したように熱成形して得る。有利には、そのシートは混合ポリマー/雲母混合物を利用して押出工程によって成形する。最終押出工程により、シートに優れた熱的特性および切断耐性を与える。一般に、射出成型品は微小粒表面を示さないかあるいは磁器や陶器のような外観を与えない平滑なプラスチック様品であることから、射出成形はその性質上、自己製造の(self-texturized)微小粒の容器、ボール、トレーおよびプレートの製造には適さない。
【0009】見た目が好ましい使い捨てのマイクロ波処理可能な容器、トレー、ボールおよびプレートは、(a)1以上の微小粒表面を持ち、その表面は通常はプレートまたは容器の食品接触側にあり、しかも(b)121℃以上の融点を有する。さらに、その容器またはプレートは、少なくとも104℃温度で寸法安定性であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸状ポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強靱性を有する。雲母を充填したポリプロピレンプレートも、厚さの変動係数が約5%未満であることを特徴とする厚さの均一性を示す。
【0010】雲母とは、層状ケイ酸塩に分類される化学種の天然の不活性無機物、具体的にはアルミニウムイオンが部分的に鉄およびマグネシウムによって置換されていても良く、化学的に結合している水の一部がフッ素によって置換されていても良いアルミノケイ酸カリウムについての一般名である。
【0011】雲母は容易に劈開を起こして、1/2μm程度の厚さを持ち、アスペクト比が300と高い、薄くて、比較的一定の、可撓性であるが強靱なシート(葉状のフレーク)を与える。雲母は他の無機充填材(炭酸カルシウム、珪灰石、ガラス)よりはるかに柔らかいが、タルクよりわずかに硬い程度である。雲母は、他の一般的な無機充填材と比較して、滑りやすい感触を与え、しかも摩耗性が低い。
【0012】好ましくは、雲母フレークは、アスペクト比が30〜300、好適には80〜120であって、粒度が50〜500μmのものとする。
【0013】40重量%雲母での強化効果は、30重量%ガラス繊維での効果と同等である。しかしながら、ガラス(各種長さ)および珪灰石(針状構造)などの硬い無機繊維充填材は、摩耗性などの重大な欠点を持ち、従来の融解工程時に破壊劣化を起こしやすい。他の繊維(有機)充填材は、木材および植物に由来するものであり、有機充填材は処理時に分解する傾向を持ち、しかも水分に対して感受性であることから、本発明の容器の製造に使用するには適さない。本発明の方法では、雲母の量は約20〜35重量%とするのが好ましい。
【0014】低コストであることに主要な関心が注がれる使い捨てプラスチック食品給仕品では、炭酸カルシウムおよびクレーなどの増量剤が使用されている。すなわち、これらの充填材は、強化を目的としてではなく、コスト節減を目的として選択されるのが普通である。例えば、炭酸カルシウムは、アスペクト比が小さくしかも非常に不規則な粒子構造のために、中等度に低い強化(カップリングした場合ですら)を与える安価で、硬い、研磨性の充填材である。プラスチック製使い捨て食品給仕品についてマイクロ波処理が可能であることが望ましい場合、あまり完全な解決法ではないが、比較的高価な高温ポリスチレンに基づく材料(例:未充填PPOおよびSMAエンジニアリング樹脂)が用いられている。この場合、PPOとはポリフェニレンオキサイドを指し、SMAとはスチレン−無水マレイン酸共重合体を指す。
【0015】本発明の雲母充填ポリプロピレン製の容器、ボール、トレーおよびプレートは、先行技術の種類の容器、ボール、トレーおよびプレートの欠点を克服しており、それら先行技術のものよりかなり優れている。
【0016】板状無機物を充填したポリプロピレンは、雲母粉末および他の添加物(カップリング剤、カラーコンセントレート、顔料、酸化防止剤、潤滑剤、核化剤、帯電防止剤など)とともに、ペレットもしくはフレークの形態でポリプロピレンを前混合することで調合する。この混合物を、二段スクリュー式混合押出装置の送り部分の添加箇所に送り込む。別法として、容量測定式および/または重量測定式の(すなわち、重量損失型)送り装置の組み合わせたものを用いて、これら成分を別個に、同一添加箇所または異なる添加箇所に送ることが有利である。
【0017】白色着色の場合、白色度および不透明度の組み合わせ、ならびに加工時および最終使用時の安定性から、酸化チタンが好ましい。適宜に表面処理を行って、濡れ性、分散性、基材樹脂との適合性をさらに高めることができ、その場合、酸化チタンの形態をルチルもしくはアナターゼ型とすることができる。代替の白色顔料として、焼成クレーまたは焼成クレーと酸化チタンの混合物からなるものを用いることができる。黒色着色の場合、黒色度および分散性などの望ましい特性の組み合わせにより、カーボンブラックが好ましく、分散性については、粒径および表面化学を選択することで注意深く制御することができる。カーボンブラックは、天然ガスの不完全燃焼(チャンネルブラック)または液体炭化水素の耐熱室での還元(ファーネスブラック)によって得られる微細な非晶質炭素である。
【0018】二段スクリュー式押出機は十分な混合動作を行って、充填材のポリマー基材中への湿展および分散を効果的に行うものである。二段スクリュー式押出機は、共回転型または反転型のものがあり、各型とも、送り、混和および溶融調量ゾーンに適した各種スクリューフライト要素が装着されている。排出ゾーンは通常、排出される溶融材料束が循環水浴中で反応停止され、ナイフによる切断でペレットとなるストランドダイスからなる。
【0019】ロウ、フッ素化ポリマーおよび他の特殊潤滑剤などの低分子量添加物を加工助剤として用いて、溶融粘度を低下させ、スループットを高めることが好ましい。他の添加物には、核化剤および帯電防止剤などがあり得る。酸化防止剤を少量、通常は1重量%未満で加えて、押出工程時および成形工程時におけるポリプロピレンの剪断および熱分解を低下させ、最終品使用前および使用時のシートの化学的安定性を高めることができる。好適な酸化防止剤は、フェノール化合物および亜リン酸化合物ならびにそれらの混合物の群から選択するのが有利である。これらはチバガイギー社およびゼネラル・エレクトリック社が製造している。
【0020】シラン類(アジド官能性またはアミドスチリル官能性)、有機官能性シリコーン化合物、シランを含有するおよび含有しない塩素化炭化水素、単量体のin situでの重合または変性ポリオレフィンなどのカップリング剤が使用される場合が多い。ある種の用途では、雲母粒子表面をカップリング剤で処理することができる。ポリマー性のカップリング剤または適合剤(compatibilizer)の場合には特に、そのような薬剤は調剤段階時に直接加えるのが簡便である。取り扱いの容易さおよび有毒な残留モノマーおよび溶媒の回避のためには、ポリマー性適合剤が好ましい。特に、無水マレイン酸またはアクリル酸変性ポリプロピレンをカップリング剤として用いることができる。これらは、ポリプロピレンと雲母充填材との間の結合を促進し、充填材の脆化効果を低減する上で役立ち、さらには板状無機物充填シートおよびそれから製造される容器について、環境条件での強靱性および寸法安定性を高めるものである。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの使用が好ましく、無水マレイン酸の量は0.5〜5.0モルパーセントとする。カップリング剤の使用は、板状無機充填材と基材樹脂界面の間の良好な界面結合を促進して、容器およびプレートの固体状態での良好な機械的性質を与えるものである。カップリング剤はさらに、溶融強度を高めて、板状雲母充填材の特徴を強化するものである。雲母混合物を充填材として用いた場合には、「粒子間連結性」または物理的架橋が提供されることから、その混合物を充填材として用いた場合に、シートの溶融強度はさらに向上する。
【0021】SSI剛性は、テスター(Single Service Institute Plate Rigidity Tester;製造元:Single Service Institute, 1025 Connecticut Ave.NW, WashingtonD.C.)を用いて測定する。この試験は、製品を幾何中心で支持しながら、それらの製品の縁部を1.27cm曲げるのに要する力を測定することで、使い捨ての紙およびプラスチック製のプレート、ボール、皿およびトレーの剛性(すなわち、屈曲および曲げに対する耐性)を測定するためのものである。具体的には、プレート試料の片側をバネ付きクランプによって固定し、中心支点を支持する。クランプ固定した側とは反対側の縁部またはフランジ側を、ロードセルを取り付けたモーター式カム装置によって1.27cm曲げ、力(グラム数)を記録する。SSI剛性は、1.27cm曲げ当たりのグラム数として表す。SSI値が高いほど剛性の大きい製品であることを示していることから、その値は高い方が望ましい。測定は全て室温で行い、機械方向および機械横断方向についての幾何平均を報告する。図3に示したように、本発明のフォート・ジェームス(Fort James)の容器およびプレート(名称J)は、ソロカップ社(Solo Cup Company)製造の市販のプレート(名称S)より高いSSI剛性を持ち、しかもコストはそれと同等もしくはそれより低い。
【0022】ポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレンの共重合体もしくは混合物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるポリオレフィンの多層または単層の雲母充填シートの製造には、プラスチック鋳造シート押出装置が好適である。
【0023】コーティング剤の使用は、板状無機物充填材と基材樹脂界面との間の良好な界面結合を促進して、容器およびプレートの良好な固体状態機械特性を与える。約79kg/279m2連以上の坪量を有する22.2cm皿の形での容器は、250g/1.27cm以上のSSI剛性を有する。約127kg/279m2連の坪量を有する26.0cmプレートの場合、SSI剛性は約400g/1.27cm以上である。本発明のプレートでは、坪量は微小粒面から測定する。約59の坪量では、SSI剛性は約200g/1.27cmであり、約163の坪量では、SSI剛性は約700g/1.27cmである。カップリング剤は、板状無機充填材の溶融強度向上効果を高めるものでもある。雲母を充填材として用いた場合には、高アスペクト比フレークの形態での無機物の幾何形状が「粒子間連結性」または物理的架橋を提供する上で役立つことから、雲母を充填材として用いた場合に、シートの溶融強度はさらに向上する
【0024】図1には、単層雲母充填ポリプロピレンシートの製造方法を示してある。ポリプロピレン、雲母および他の添加物のすでに調合およびペレット化された混合物は、ホッパー(10)によって重力送りされて、単一スクリュー式押出機システムの送り領域に入る。一次押出機(11)は、直径5.08cmで長さ/直径の比が24/1であるスクリューを有する。適宜に、適当な溶融配管および多岐管配置を有する合同送りブロックに連結された1以上の追加の単一スクリュー式押出機(12、13、14)を使用することで、多層同時押出シートを製造することができる。幅78.7cmの可撓性リップ平判ダイス(15)を用いる。
【0025】本発明のシート(16)は、それぞれ温度制御されたロールを有する3ロール磨き/ケーシングユニット(17)、2個ゴム式シート引き込みユニット(18)および二連タレットすなわち二連シャフト巻き取り機(この場合、単シャフト巻き取り機ロール(19)のみを使用することができる)を有してなるシート取り出し部に入る(すなわち、溶融材料がダイスを出た後)。3つの取り出しユニットを機械的につなぎ合わせ、共通軌道に置いたところ、それらは、ごく近いダイスリップから約91cmの距離まで自動的に動かすことができる。押出工程中、ダイス出口と鋳造ユニットとの間の距離は5.08cmに維持した。シート鋳造ユニットを有するこれら3個のクロムロールは個々に、統合オイル循環ポンプおよび熱交換器によって温度制御されており、ニップ間隙は調節可能である。鋳造ロールと引き込みロールとの間の速度差は、引き込みロールの速度が鋳造ロール速度の約10%以内となるようにする。実現可能なライン速度は約30.5〜318.3cm/分であり、厚さ0.051cmのレベルのシートの場合、ライン速度は約152.5〜183cm/分である。シートはロール(19)に巻き取られる。表1には、雲母充填ポリプロピレンと未充填のポリプロピレン対照のシート押出に使用したシート処理条件を示してある。これらのシートは好ましくは、約91〜431kg/279m2連、好ましくは約91〜181kg/279m2連の坪量を有する。
【0026】熱成形は、柔軟な材料の圧縮またはスキーズによる最終形状への成形である。最も簡単なやり方での熱成形は、型上に軟化させたシートをかける方法である。より進んだ方法での熱成形は、正確に温度制御したシートを自動および高速で油圧駆動式の成形ステーションに載置するものであり、その場合、成形品の形状は、型とそれに続く縁取りおよび再粉砕向け回収によって決まる。
【0027】従来の熱成形以外の成形方法も、本発明に記載の品目の製造に好適である。それには、押出シートの最終溶融温度以下の温度までの予備軟化、シートからの平坦部分の切り取り(すなわち、ブランク)、重力もしくは機械的手段によるブランクの適合する型への移動(その場合、ブランクは熱および圧力によって前記品目に成形される)などがある。ブランクを切り出したシートは、再粉砕品として回収され、再利用可能である。従来のボール紙圧縮装置および相当する成形手段に対して適宜に変更を加えて、本発明の品目を製造する。
【0028】好適な成形および熱成形工程、あるいは図2R>2に好ましい熱成形工程で使用される押出シートは、厚さ約0.025〜0.20cm、好適には0.025〜0.13cmである。プレートの場合、好ましい厚さは約0.04〜0.06cmである。押出シート中の好適な雲母充填材負荷レベルは、10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは20〜35重量%の範囲である。雲母フレークのアスペクト比は、30〜300、より好ましくは15〜250の範囲であり、粒度は10〜500μmの範囲である。押出シートあるいはそれから成形された容器および/または蓋に基本樹脂として含有されるポリオレフィンは、ポリプロピレン、好適にはアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレンの共重合体、ポリプロピレンとポリエチレンの混合物あるいはそれらの混合物を有してなる。ポリオレフィンは、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.2〜2.0のメルトフローを有する。共重合体および/または混合物を用いる場合、エチレンの共重合体あるいはポリプロピレンとポリエチレンの混合物は、混合物中の総共重合体に対して重合エチレンを好ましくは10モル%以下、好適には1〜10モル%、望ましくは2〜5モル%含有する。好ましい種類の雲母は白雲母であり、市販されている最も一般的なものである。適宜に、金雲母、黒雲母およびふっ素金雲母などの他の一般性の低い種類の雲母を用いる。鉱脈に固有の同形置換により、これら4つの一般的種類のものについては無限数の組成があるが、特定の等級の選択は、粒子のアスペクト比、粒度、価格および入手しやすさによって決まる。
【0029】メルトフローレート(MFR)または溶融指数は、溶融ポリマーの流動特性を求める上で一般的かつ簡単な方法である。樹脂を円筒状空間に入れ、溶融させる。温度平衡に達した後、荷重をかけてプランジャーを鉛直方向に押し下げて、樹脂を狭いオリフィスから押し出す。ポリプロピレンについての通常の試験温度は230℃であり、負荷は2.16Kgである。押出材料は回収・秤量し、特定重量を押し出すのに要した時間を記録する。MFRを10分間当たりのグラム数として記録するが、それは10分間にわたって押し出された材料の重量である。MFRはポリマー粘度およびポリマー分子量のいずれとも反比例する。
【0030】押出シートは、カップリング剤、好ましくは変性ポリプロピレンを含有し、好適な変性剤は、無水マレイン酸またはアクリル酸変性ポリプロピレンである。無水マレイン酸またはアクリル酸変性ポリプロピレンは、全シート組成の約0.5〜3重量%で含有される。
【0031】好適には押出シートには、見た目を良くするために着色剤を含有させ、好ましくは酸化チタン、カーボンブラックおよび他の不透明化剤を、総組成に基づいて0.5〜8重量%、好ましくは2.5〜6.5重量%の範囲で含有させる。押出シートには、潤滑剤および酸化防止剤などの他の添加物を少量含有させる。これらの製造品は、顔料または染料によって着色するのが好適である。顔料とは、樹脂媒体中に分散させた不溶性の有機もしくは無機微粒子であって、不透明性もしくは半透明性を向上させるものと定義される。通常の顔料には、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄および混合金属酸化物などがある。染料は有機物であって、プラスチックに可溶であり、単独または顔料と併用して、顔料に基づく色を明るくする。そのような着色剤はいずれも、各種形態で使用することができ、それには乾燥色剤、従来の色剤濃縮物、液体色剤および前着色樹脂などがある。
【0032】雲母充填ポリプロピレンシートは好ましくは、本願に開示の成形方法または熱成形方法を用いて、プレート、ボール、カップ、トレー、バケツ、スフレ皿および容器に成形する。好ましい方法においては、これらの製造品および容器は、コメット・スターレット・サーモフォーマー・ユニット(Comet Starlett Thermoformer Unit)を用いて製造する。この機械は、熱軟化熱可塑性材料から製品を真空成形することができ、図2に模式的に図示してある。寸法44.5×41.7cmを有するシート部分(23)を、2つの互いに反対の側でクランプ止めして、上部ヒーター(20)および下部ヒーター(21)を取り付けたオーブン(22)中に挿入し、そこではヒーター入力設定は20〜30%としており、保持時間は60〜80秒のレベルとした。これらの条件下に、デジタル熱電対によって記録されたオーブンの空気温度は105℃〜107℃であり、付着した指示熱電対によって記録されたシート表面温度は約166℃〜171℃であった。好適には、シートの熱軟化は127℃以上、例えば166℃以上、好適には127℃〜154℃、好ましくは132℃〜143℃の温度で行う。
【0033】クランプ止めした熱軟化シート(23)がオーブン(22)を出ると、方法(A)または(B)によって真空成形することができる。これらの方法はいずれも、エポキシ熱硬化性材料から製作された1個の型のみを使用する。方法(A)は雄型(24)を用いて、減圧孔が型基底部と容器の周辺側(すなわち、フランジ領域)にあって、減圧によってシートを吸引して型に一致させるものである。方法(B)の配置は、減圧方向が方法(A)と逆であり、やはり減圧穴が基底部周囲と周辺に配置してある。方法(B)の場合、雌型(25)を使用し、シートの空気側が食品接触側に相当することから、この配置が好ましい。食品接触側は熱処理によって有利なきめ出し効果が与えられ、その場合樹脂は表面に近い雲母粒子の周囲および外側を流れて、その無機物がより露出した形になって、微小粒表面が生じて、それが光沢の低下および表面の粗さ上昇として現れる。微小粒表面によって容器には、磁器または陶器のような外観が与えられる。この特徴は、図22によって良く理解できる。この図において、プレートの微小粒構造が白黒の走査型電子顕微鏡写真で明瞭に示されているが、無添加の押出シートではそのような微小粒表面は示されていない。この顕微鏡写真は、プレート底部から切り取った10×15mm片から得たものである。シート試料を対象表面を上にして試料スタブに乗せ、金/パラジウムで被覆した。スタブを走査型電子顕微鏡(JEOL840型)に入れた。試料の電子顕微鏡写真は倍率75倍、傾斜30°、作業距離39mm、電圧3kVで撮った。
【0034】好適には、マイクロ波処理可能な食品接触適合性の使い捨てで、剛性および強靱な、雲母充填ポリオレフィン製の容器、プレート、バケツなど(ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレンの共重合体または混合物から選択される)を成形する方法は、(a)ポリオレフィン樹脂および雲母の押出可能混合物を形成する段階;
(b)前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出可能混合物を高温、好適には193℃〜249℃で押し出す段階;
(c)得られたポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物を複数ロールスタック(そのロールスタックの1以上のロールが、マット仕上げ部を有する)に通す段階;
(d)前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物を、少なくとも部分的に、マット仕上げ部を有する前記ロール周囲に通す段階;
(e)前記押出工程の速度、前記ロールスタックの大きさ、温度および形状を制御することで、前記マットロールと接触しない前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物表面に粗粒構造を持たせる段階;
(f)前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物を熱成形し、約121℃以上の融点を示す微小粒表面および粗面を有する容器、プレート、バケツなどを取り出す段階(これらの容器、プレート、バケツなどは、約105℃までの温度で寸法安定性であり、油脂、糖および水に対して耐性であって、鋸状容器による切断に対して耐えるだけの強靱性を有する)を有してなる。
【0035】有利には、前記マットロールに接触しない前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物表面の粗粒構造は、ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物を曲線状通路に横断させ、少なくとも部分的に前記マットロールに接触しない前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物表面を、前記マットロールに接触する表面と比較して張力が加わった状態としながら固化させることで形成する。
【0036】好ましくは、雲母充填ポリプロピレン製の容器、プレート、バケツ、トレー、ボールなどを成形する方法は、(a)ポリプロピレン樹脂および雲母の押出可能混合物を形成する段階;
(b)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出可能混合物を高温で押し出す段階;
(c)得られたポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を複数ロールスタック(そのロールスタックの1以上のロールが、マット仕上げ部を有する)に通す段階;
(d)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を、少なくとも部分的に、マット仕上げ部を有する前記ロール周囲に通す段階;
(e)前記押出工程の速度、前記ロールスタックの大きさ、温度および形状を制御することで、前記マットロールと接触する前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物表面にマット構造を持たせる段階;
(f)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を熱成形し、121℃250°F以上の融点を示す微小粒表面および粗面を有する容器、プレート、バケツなどを取り出す段階(これらの容器、プレート、バケツなどは、約104℃での温度で寸法安定性であり、油脂、糖および水に対して耐性であって、鋸状容器による切断に対して耐えるだけの強靱性を有する)を有してなる。
【0037】微小粒容器およびプレートを熱成形するのに好適な雲母充填ポリプロピレンシートの形成方法は、(a)ポリプロピレン樹脂および雲母の押出可能混合物を形成する段階;
(b)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出可能混合物を高温で押し出す段階;
(c)得られたポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を複数ロールスタック(そのロールスタックの1以上のロールが、マット仕上げ部を有する)に通す段階;
(d)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を、少なくとも部分的に、マット仕上げ部を有する前記ロール周囲に通す段階;
(e)前記押出工程の速度、前記ロールスタックの大きさ、温度および形状を制御することで、前記マットロールと接触しない前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物表面に粗構造を持たせ;
(f)マットロールと接触する表面にはマット表面を形成する段階(g)前記ポリプロピレン部分および雲母部分を有してなるマット表面と粗表面を有するシートを取り出す段階を有してなるものである。この方法では、ポリプロピレンを部分的にポリプロピレン−ポリエチレンの共重合体もしくは混合物に置き換えることができる。通常、共重合体の含有量は、シートの総ポリオレフィン含有量の10モル%未満とする。
【0038】有利には、他の熱成形配置が好適であり、従来のシートおよびウェブ送り熱成形を行う商業的生産操作では好ましい場合がある。別の配置としては、ドレープ、減圧、加圧、自由なブロー成形、マッチドダイ、波状ドレープ、真空スナップバック、波状減圧、プラグアシスト(plug assist)減圧、プラグアシスト加圧、プラグアシスト減圧を伴う加圧逆抜き取り、プラグアシストを伴う逆抜き取り、加圧バブル浸漬、捕捉シート、スリップ、隔膜、対シートカットシート、対シートロール送り成形またはこれらの好適な組み合わせなどがある。詳細については、スローンの著作(J.L.Throne, Themoforming;Coulthardから1987年に出版)に記載されている。この著作の21〜29頁が本明細書に引例として加える。好適な代替配置にはピロー形成法もあり、その方法では、2枚の熱軟化シート間に陽空気圧を発生させて、それらを膨らませることでクランプ止めした雄型/雌型システムに押し当て、中空物を形成する。金属型は微細から粗いものに至るパターンでエッチングすることで、自然なまたは穀粒のようなきめのある外観を模倣して製造する。好適に成形された物は、抜き型によってインラインでトリミングされ、材料はその性質上熱可塑性であることから、適宜に再粉砕品を再利用する。生産性向上のための他の配置としては、複数ダイスによる複数の同時成形によってスループットを高め、屑を低減するものなどがある。
【0039】本発明のシートは好適には、円形形状を有するプレートまたはボールに成形される。これらの製造品は、トレーにおけるように角部を有する正方形または矩形形状とすることもできる。さらに、区画されたトレーおよびプレートならびに長円形皿等、三角形、多面体、ポリヘキサル(polyhexal)などの別の形状が考えられる。考えられるそれぞれの実施態様において、角部は全て丸みを帯びているかまたは曲線形状であり、本発明の好ましい実施態様は図5〜21に図示してある。
【0040】図5〜21に図示したものは本発明を説明するためのものであって、これらの図が本発明を限定するものではないこと、ならびに本発明の主要な特徴および基本概念を変えることなく当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき点である。本発明の1実施態様において、プレートは図5〜8に示し、本発明の譲受人に対して譲渡された本願に引例として添付の米国特許5326020号に記載されているディキシー(DIXIE;登録商標)スーパーストロング(Superstrong)の側面を有するものである。これらの容器にはさらに、本発明の容器の性質を高める上で好適な隆起、浮き彫り細工および型押しのパターンなどの他の特徴を持たせることができる。
【0041】以下の説明において、寸法はそれぞれ、所定の直径D(図6および7に図示した本発明による場合、約8.75インチ)との関係での値を指している。しかしながら、容器の特定の直径は必須の限定ではなく、本明細書では例として挙げてあるに過ぎない。重要なのは、枠形状の各種部分間の関係である。
【0042】図5〜8に図示の実施態様による平面状の内側領域(61)は半径X1を持ち、それは約0.3D〜0.4D、好ましくは0.348Dに等しい。平面状内側領域(61)の外周に隣接しているのは、側壁部分(60)であって、それには約0.05D〜0.06D、好ましくは0.0572Dに等しい曲率半径を有する環状領域(63)があり、その曲面の中心点は平面内側領域(61)から距離Y1の位置にある。環状領域(63)の角度(70)は約40°〜約70°、好ましくは約60°〜65°、あるいは約62°である。環状領域(63)の周辺に隣接しているのは、第1の円錐領域(64)であり、鉛直方向に関して角度A1で上方に傾斜しており、その角度は約20°〜約35°、好ましくは約25°〜30°、あるいは約27.5°である。さらに、円錐台領域(64)の長さは約0.015Dより長く、好ましくは約0.025D〜0.05D、より好ましくは約0.036Dである。さらに、第1の円錐台領域(64)に隣接して、アーチ形の環状領域(65)があり、その曲率半径は0.015D〜0.03D、好ましくは約0.024Dであって、その中心点は平面内側領域(61)からY2の距離にある。アーチ形環状領域(65)の角度は(71)は、約61°〜約82°、好ましくは66°〜77°の範囲を取り得るか、あるいは約73°である。アーチ形環状領域(65)の遠位部分であるアーチ形環状領域(65)の第2部分(67)の配置は、その第2部分(67)でのアーチ形環状領域(65)の曲面に対する接線が約0°〜12°の角度で下方および外方向に傾斜しているようなものとなっている。
【0043】環状領域(63)およびアーチ形環状領域(65)の組み合わせは、上述に記載の形で、アーチ形環状領域(65)の第2部分(67)を配置するようなものとしなければならない。すなわち、環状領域(63)の角度(70)と、アーチ形環状領域(65)の角度(64)とそれらの間にある第1の円錐台領域(64)との組み合わせで、アーチ形環状領域(65)の第2部分(67)の位置が決まり、それは、アーチ形環状領域(65)の第2部分(67)の遠位末端から実質的に接線方向に広がる第2の円錐台領域(68)が約0°〜12°の角度で外方向および下方に広がるような形になっている。第2の円錐台領域(68)の長さは約0.03D〜約0.05D、好ましくは0.04Dである。第2の円錐台領域(68)はアーチ形環状領域(65)の第2部分(67)から実質的に接線方向に延びていることから、第2の円錐台領域(68)は角度A3で外方向および下方に延び、その角度は平面内側領域(61)によって形成される水平面に関して約0°〜12°の範囲である。
【0044】第2の円錐台領域(68)の外周には、第2の円錐台領域(68)から外方向および下方に広がる別の円錐台領域の形態の縁部(69)が隣接している。縁部(69)の長さは、0.005D以上、好ましくは約0.010Dである。さらに、縁部(69)は、鉛直方向から45°以下、好ましくは鉛直面に関して約15°〜30°の角度A2で延びている。
【0045】第2の円錐台領域(68)および縁部(69)の間の移行部分には、移行領域(72)がある。移行領域(72)は曲率半径R3を持ち、その半径は約0.008D〜0.01Dの範囲、好ましくは約0.0092Dであり、その中心点は平面内側領域(61)から距離Y3にある。さらに、移行領域(72)は約48°〜70°の角度A4を有する。図9〜12に開示のプレートは、全体を本明細書に引例として加える米国特許5088040号に開示のプレートの寸法を有する。これらの容器は、本発明の容器の性質を高める上で好適な隆起、浮彫り細工および型押しなどの他の特徴を有することができる。
【0046】図13〜16に図示したものは本発明を例示するものであって、それらの図は本発明を限定するためのものではなく、本発明の主要な特徴および基本概念に変更を加えることなく、当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき点である。本発明の1実施態様において、トレーは図13〜16に示し、本発明の譲受人に対して譲渡された本願に引例として加える米国特許5326020号に記載されているディキシー(登録商標)スーパーストロングの側面を有するものである。これらのトレーにはさらに、本発明のトレーの性質を高める上で好適な隆起、浮き彫り細工および型押しのパターンなどの他の特徴を持たせることができる。代表的なトレーを図13〜16に図示してある。以下の説明において、寸法はそれぞれ、長さD1または幅D2についてのものであり、図13〜16に図示した本発明による場合、それぞれ約27.6cmおよび20.3cmである。しかしながら、これら容器の特定の長さおよび幅は必須の限定ではなく、本明細書では例として挙げてあるに過ぎない。重要なのは、枠形状の各種部分間の関係である。図13および14に図示の実施態様による平面状の内側領域(101)は長さX1を持ち、それは約0.3D1〜0.4D1および0.3D2〜0.4D2、好ましくは0.354D1および0.342D2に等しい。平面状内側領域(101)の外周に隣接しているのは、側壁部分(100)であって、それには約0.02D1〜0.03D1および0.025D2〜0.035D2、好ましくは0.023D1および0.031D2に等しい曲率半径を有する環状領域(103)があり、その曲面の中心点は平面内側領域(101)から距離Y1の位置にある。環状領域(103)の角度(110)は約40°〜約80°、好ましくは約65°〜75°、あるいは約69°である。環状領域(103)の周辺に隣接しているのは、第1の円錐領域(104)であり、鉛直方向に関して角度A1で上方に傾斜しており、その角度は約10°〜約50°、好ましくは約15°〜25°、あるいは約21°である。さらに、円錐台領域(104)の長さは約0.05D1および0.055D2より長く、好ましくは約0.1D1〜0.2D1および0.15D2〜0.25D2、より好ましくは約0.15D1および0.19D2である。さらに、第1の円錐台領域(104)に隣接して、アーチ形の環状領域(105)があり、その曲率半径は0.005D1〜0.007D1および0.007D2〜0.009D2、好ましくは約0.006D1および0.008D2であって、その中心点は平面内側領域(101)からY2の距離にある。アーチ形環状領域(105)の角度(111)は、約40°〜約92°、好ましくは65°〜87°の範囲を取り得る。アーチ形環状領域(105)の遠位部分であるアーチ形環状領域(105)の第2部分(107)の配置は、その第2部分(107)でのアーチ形環状領域(105)の曲面に対する接線が約0°〜12°の角度で下方および外方向に傾斜しているようなものとなっている。
【0047】環状領域(103)およびアーチ形環状領域(105)の組み合わせは、上述に記載の形で、アーチ形環状領域(105)の第2部分(107)を配置するようなものとしなければならない。すなわち、環状領域(103)の角度(111)と、アーチ形環状領域(105)の角度(111)とそれらの間にある第1の円錐台領域(124)との組み合わせで、アーチ形環状領域(105)の第2部分(107)の位置が決まり、それは、アーチ形環状領域(105)の第2部分(107)の遠位末端から実質的に接線方向に広がる第2の円錐台領域(108)が約0°〜12°の角度で外方向および下方に広がるような形になっている。第2の円錐台領域(108)の長さは約0.045D1〜約0.055D1および0.030D2〜約0.040D2、好ましくは0.052D1および0.034D2である。第2の円錐台領域(108)はアーチ形環状領域(105)の第2部分(107)から実質的に接線方向に延びていることから、第2の円錐台領域(108)は角度A3で外方向および下方に延び、その角度は平面内側領域(161)によって形成される水平面に関して約0°〜12°の範囲である。
【0048】第2の円錐台領域(104)の外周には、第2の円錐台領域(108)から外方向および下方に広がるさらに別の円錐台領域の形態の縁部(109)が隣接している。縁部(109)の長さは、0.006D1および0.009D2以上、好ましくは約0.010D1および0.013D2である。さらに、縁部(109)は、鉛直方向から45°以下、好ましくは鉛直面に関して約10°〜30°、より好ましくは約20°の角度A2で延びている。
【0049】第2の円錐台領域(108)および縁部(109)の間の移行部分には、移行領域(112)がある。移行領域(112)は曲率半径R3を持ち、その半径は約0.005D1〜0.007D1および0.007D2〜0.009D2の範囲、好ましくは約0.006D1および0.008D2であり、その中心点は平面内側領域(21)から距離Y3にある。さらに、移行領域(112)は約48°〜80°の角度A4を有する。
【0050】図17〜20に図示したものは本発明を説明するためのものであって、これらの図が本発明を限定するものではないこと、ならびに本発明の主要な特徴および基本概念を変えることなく当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき点である。本発明の1実施態様において、ボールを図17〜20に図示してある。これらの容器にはさらに、本発明の容器の性質を高める上で好適な隆起、浮き彫り細工および型押しのパターンなどの他の特徴を持たせることができる。以下の説明において、寸法はそれぞれ、所定の直径D(図17〜20に図示した本発明による場合、約19.1cm)との関係での値を指している。しかしながら、容器の特定の直径は必須の限定ではなく、本明細書では例として挙げてあるに過ぎない。重要なのは、枠形状の各種部分間の関係である。図17〜20に図示の実施態様による平面状の内側領域(131)は半径X1を持ち、それは約0.2D〜0.3D、好ましくは0.25Dに等しい。平面状内側領域(131)の外周に隣接しているのは、側壁部分(130)であって、それには約0.05D〜0.15D、好ましくは0.11Dに等しい曲率半径を有する環状領域(133)があり、その曲面の中心点は平面内側領域(131)から距離Y1の位置にある。環状領域(133)の角度(141)は約45°〜約75°、好ましくは約60°〜70°、あるいは約65°である。環状領域(133)の周辺に隣接しているのは、第1の円錐領域(134)であり、鉛直方向に関して角度A1で上方に傾斜しており、その角度は約15°〜約45°、好ましくは約20°〜30°、あるいは約25°である。さらに、円錐台領域(134)の長さは約0.1Dより長く、好ましくは約0.17D〜0.19D、より好ましくは約0.18Dである。さらに、第1の円錐台領域(134)に隣接して、アーチ形の環状領域(135)があり、その曲率半径は0.015D〜0.030D、好ましくは約0.023Dであって、その中心点は平面内側領域(131)からY2の距離にある。アーチ形環状領域(135)の角度は(142)は、約45°〜約87°、好ましくは60°〜77°の範囲を取り得る。アーチ形環状領域(135)の遠位部分であるアーチ形環状領域(135)の第2部分(137)の配置は、その第2部分(137)でのアーチ形環状領域(135)の曲面に対する接線が約0°〜12°の角度で下方および外方向に傾斜しているようなものとなっている。
【0051】環状領域(133)およびアーチ形環状領域(135)の組み合わせは、上述に記載の形で、アーチ形環状領域(131)の第2部分(137)を配置するようなものとしなければならない。すなわち、環状領域(133)の角度(130)と、アーチ形環状領域(135)の角度(131)とそれらの間にある第1の円錐台領域(134)との組み合わせで、アーチ形環状領域(135)の第2部分(137)の位置が決まり、それは、アーチ形環状領域(135)の第2部分(137)の遠位末端から実質的に接線方向に広がる第2の円錐台領域(138)が約0°〜12°の角度で外方向および下方に広がるような形になっている。第2の円錐台領域(138)の長さは約0.02D〜約0.04D、好ましくは0.03Dである。第2の円錐台領域(138)はアーチ形環状領域(135)の第2部分(137)から実質的に接線方向に延びていることから、第2の円錐台領域(138)は角度A3で外方向および下方に延び、その角度は平面内側領域(131)によって形成される水平面に関して約0°〜12°の範囲である。
【0052】第2の円錐台領域(134)の外周には、第2の円錐台領域(138)から外方向および下方に広がる別の円錐台領域の形態の縁部(139)が隣接している。縁部(139)の長さは、0.01D以上、好ましくは約0.017Dである。さらに、縁部(139)は、鉛直方向から45°以下、好ましくは鉛直面に関して約10°〜30°、より好ましくは約25°の角度A2で延びている。
【0053】第2の円錐台領域(138)および縁部(139)の間の移行部分には、移行領域(143)がある。移行領域(143)は曲率半径R3を持ち、その半径は約0.007D〜0.012Dの範囲、好ましくは約0.009Dであり、その中心点は平面内側領域(131)から距離Y3にある。さらに、移行領域(142)は約48°〜80°の角度A4を有する。
【0054】図21に図示したものは本発明を説明するためのものであって、この図が本発明を限定するものではないこと、ならびに本発明の主要な特徴および基本概念を変えることなく当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき点である。本発明の容器は、持ち帰り用容器として成形することができ、代表的な実施態様としてここでは、本明細書に引例として加える米国特許5377860に記載のような形態の蓋部および底部を図示してある図21に関して説明を行う。図21に記載の容器は長方形であるが、容器に入れる内容物に応じて円形、楕円形、実質的に矩形または正方形とすることができる。この容器(30)は底部(31)と蓋部(32)から形成されている。蓋部(32)には、放射方向に延びた開口タブ(33)があって、それが底部(31)の放射方向に延びる開口タブ(34)と連動して、消費者が封止容器を容易に開けることができるようになっている。容器(30)の底部(31)にはほぼ平面の底(35)とほぼ鉛直方向に広がる周辺側壁(36)とがある。直立した側壁(36)と一体となってつながって密閉縁(37)があり、それは蓋部(32)の共同する密閉縁(38)の中にはめ込まれる。
【0055】蓋部(32)には、ほぼ平面状の頂部(39)と頂部(39)の周囲に広がる縁部(40)がある。縁部(40)は、蓋(32)の拡張容量部(41)の強度を高めるためのものである。縁部(40)はさらに、蓋を台として使用する場合に、蓋上に底部(31)を乗せる上で役立つものでもある。
【0056】拡張容量部分(41)は、縁部(40)の周囲にあってそこから下方に広がっている拡張壁(42)によって形成されている。拡張壁(42)は、蓋(32)の頂部(39)に対してほぼ平行である水平方向の蓋補強リング(43)と一体で形成されている。蓋強化リング(43)の外周はさらに、密閉縁(38)と一体で形成されている。さらに、同様に頂部(39)に対してほぼ平行に延びる第2の水平蓋強化リング(44)が、密閉縁(38)から放射方向で外方向に延びている。
【0057】同様に、底部(31)には、密閉縁(37)と容器(30)全体の構造的完全性を支持および維持するために、密閉縁(37)の周囲から延びる水平方向蓋強化部材(45)がある。強化リング(45)に加えて、積層および堆積した場合に過度の相互貫通によって堆積ユニットが押しつぶされた状態となるのを防止するため、周辺側壁(36)の上側部分周囲に階段部(46)を設けることができる。さらに、側壁(36)の上側部分に、戻り止め(48)と協動する複数の切下げ(47)があり、図21にはそのうちの1個のみが、縁(38)と蓋強化リング(43)の間の一体連結部に図示してある。切り下げ(47)と篏合された場合に戻り止めは、容器が実際に密封されたことを音で示す。さらに、切り下げ(49)を縁(38)の外側部分に形成された戻り止め(50)を受けるための縁(37)の外周に設けて、やはり容器が密閉されたことを音で示すようにすることができる。図21に図示した容器は、縁(47)および(38)のそれぞれの外側部分および内側部分の両方に形成された戻り止めおよび切り下げを示しているが、縁の一方のみに個々の戻り止めおよび切り下げを設けるか、あるいは縁のいずれの側にも戻り止めと切り下げを設けないようにすることが望ましい場合がある。
【0058】パ−カー粗度(Parker Roughness)法により、メスマー・パーカー印刷サーフ粗度(Messmer Parker Print Surf Roughness)を用いて、粗度の測定を行った。操作手順の詳細は、フイゲン社(Huygen Corporation)配布のメスマー・インストルーメンツ社(Messmer Instruments Ltd.)の装置(ME-90型)用ユーザーマニュアルに記載されている。平坦な試料を圧力1MPa下に、柔らかい裏張りによって、狭い環状面に対してクランプ止めし、試料と環状部との間の間隙の空気流の抵抗を測定する。空気流は、間隙幅の3乗に比例し、粗度はμm単位での平均間隙立方根として表現される。パーカー粗度値が高いほど、表面粗さの程度が高いことを示している。光沢は、「75度または60度での光沢単位」として表現される。光沢の測定は、以下のTAPPI標準法T−480−OM92に従って行った。
【0059】TAPPI法T524OM−94を用いて、ハンター(Hunter)色のL、aおよびbパラメータを測定した。記号L、aおよびbは、以下の色値を表す。すなわちLは、黒についてはゼロであって完全な白色では100へと上昇する明度を指し、aは、プラスの場合は赤、マイナスの場合は緑、ゼロの場合は灰色を指し、bは、プラスの場合は黄色であり、マイナスの場合は青であり、ゼロでは灰色を指す。
【0060】白色度指数は、刊行物("Measurement and Control of the Optical Properties of Paper", Technidyne Corporation, New Albany, Indiana)に記載の手順により測定した。
【0061】本発明によれば、本発明のプレートでは、フランジでの厚さ変動係数が5未満、好ましくは3未満であり、側壁での厚さ変動係数が7未満、好ましくは5未満であることが望ましい。さらに本発明のプレートは、坪量77.1kg/279m2連で、250g/1.27cmのSSIプレート剛性値を有することが望ましい。本発明のプレートは、パーカー粗度が10μm以上であり、食品と接触する側で光沢表面が30光沢単位以下であることが、さらに望ましい。
【0062】
【実施例】以下の実施例は本発明を説明するものである。これらの実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の主要特徴および基本的概念に変更を加えることなく当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき重要な点である。
【0063】実施例1表1に記載の条件で、図1に示したように、雲母充填ポリプロピレンシート(0.051cm)および未充填ポリプロピレンシート(0.056cm)を押し出した。これらの押出工程条件については必要に応じて変更を加えて、許容できる品質のシートを製造することができる。具体的には、バレル領域1、2および3についての操作可能温度範囲はそれぞれ、約177〜218℃、204〜232℃および232〜260℃である。アダプタ、送りブロックおよびダイスの温度はいずれも、約232〜260℃の範囲とすることができる。押出機駆動電流、押出機速度、溶融圧、ダイス圧、チルロール温度およびライン速度についての値の範囲はそれぞれ、約12〜20アンペア、60〜100RPM、10.3〜17.2MPa、3.1〜4.5MPa、44〜60℃および3〜8FPMである。シートには次に真空熱成形を行って、図5〜21に示したようなプレートおよび他の容器ならびに蓋とした。表2および3にはそれぞれ、図2R>2の条件(B)を用いて真空成形し、寸法26cmまたは22.2cmのプレートの側壁、底部およびフランジ(縁部)の領域についての剛性値および厚さデータを示してある。各表には、各試料についての個々の剛性値を示してある。さらに、統計データのまとめの値とともに、各試料について、側壁、底部およびフランジの領域における厚さ均一性を報告してある。具体的には、表2および3中の各プレート試料の厚さを、側壁、底部およびフランジ領域から成る3つの対象領域のそれぞれについて、ファウラーゲージを用いて10回測定し、各プレート試料についての平均値を相当する標準偏差とともに報告してある(すなわち、個々のプレートの統計データ)。表2の3個のプレートの場合、厚さの統計データの概要(特性の平均の列に表示)を、30回の測定値を平均して得た値に基づいて求めた。その場合、対象の3領域のそれぞれについて標準偏差を報告してある。表3の5個のプレートの場合、厚さの統計データのまとめの値は50回の測定値を平均して得られた値に基づいて計算したものであり、やはり対象の3領域のそれぞれについて標準偏差を報告してある。従って、特性平均の列に掲載した表2および3の厚さデータは、個々のプレートの統計データではなく、全体の統計データに関係するものである。厚さ均一性パラメータは、厚さの標準偏差を平均厚さで割って計算される変動係数(COV)からなるものであり、その比に100を掛けてあり、上記の全体平均および関連する標準偏差を用いている。COV値が小さいということは、未充填ポリプロピレンプレートと比較して、雲母充填ポリプロピレンプレートにおける厚さ均一性が改善されていることを示していることから、その値が小さい方が望ましい。表2および3から、雲母により、ポリプロピレンのCOVが側壁では9.9から4.3に、フランジ領域では9.6から2.0に低下していることが明らかである。従って、側壁での厚さ均一性には2倍超の向上があり、フランジにおける厚さ均一性には4倍を超える向上があった。厚さ均一性の向上は、食品輸送およびマイクロ波調理操作時のプレートの寸法安定性を高める上で必須である。雲母充填ポリプロピレンプレートの場合とは非常に対照的に、未充填ポリプロピレンプレートは、縁部領域の区切りが不明瞭であること、および非常に粗い表面であるシャークスキンから明らかなように、低い品質を示していた。これらのデータから、厚さ均一性の向上および熱成形性の向上(いずれも、未充填ポリプロピレンと比較して溶融強度が高くなっているためである)によって明らかなように、雲母がポリプロピレンの欠点を大きく改善するものであることがわかる。雲母は非常に一定した高アスペクト比の形態を持ち、「粒子間連結性」または「物理的架橋」を生じると考えることができることから、溶融強度を高める上で好ましい強化無機充填材である。雲母の大幅な強化効果はまた、SSIプレート剛性値が坪量約158kg/279m2連のPP/雲母では671g/1.27cmであるのに対して、坪量約127kg/279m2連である未充填PPでは342g/1.27cmであることからも明らかである。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
実施例2実施例1に記載の方法に従って製造した押出雲母充填ポリプロピレンについて、表面光沢および粗度に関する特性決定を行った。表4には、押出雲母充填ポリプロピレンシートでの75°光沢およびパーカー粗度(空気流法)データと、同じシート製剤を用いて図2の条件(B)に従って製造した真空成形10.25インチプレートの食品接触(空気)側についての同一特性を示してある。固有の熱的誘導微小粒表面は、図22の2つの顕微鏡写真で示したように、光沢の大幅な低下および粗度の大幅な上昇を特徴とするものであり、それによって、見かけの好ましい、磁器または陶器のような外観が得られる。パーカー粗度法については、本明細書中、実施例の欄以前の箇所で説明してある。
【0067】
【表4】
表4に示したように、無添加押出シートと比較して、粗度の上昇および光沢の低下から明らかなように、食品接触側は粗くなっている。容器およびプレートに磁器のような見た目を与える微小粒表面を形成するには、粗い外観が望ましい。
実施例3雲母充填ポリプロピレンシートは良好に真空成形されて、0.34kgの楕円形マイクロ波処理用容器となり、その場合に底部は図2の方法(B)を用いて製造し、蓋部は図2の方法(A)を用いて製造した。それとは対照的に、未充填ポリプロピレンシートを形成することを試みたが、奏功しなかった。
【0068】実施例4シートロール(幅44.5cm)を実施例1および図1に記載の方法に従って、3つの厚さで押し出した。表5には、PP/40%雲母材料と工程条件をまとめてある。表6には、PP/40%雲母シートの特性をまとめてある。
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
実施例5実施例4に記載のシート規格からのプレートを、1−アップ(1-up)水冷雌型を用いて製造し(圧縮ボックス/減圧の組立装置にて)、次に一致するパンチによるトリミングを行った。型温度は21℃であり、22.9cm、25.4cmおよび27.9cmプレート試験でのシート温度はそれぞれ、149℃、154℃および146℃であった。22.9cmおよび25.4cmのプレートは、20サイクル/分で製造し、27.9cmプレートのバルクは25サイクル/分で製造した。
【0071】市販機械でのオーブン温度制御は、適当にゾーン形成した頂部のガラスヒータおよび底部のカルロッド(calrod)ヒータによって良好であった。通常、温度が高いほど微小粒性が高くなる代わりにシートの型だれおよびしわが顕著になるという犠牲を伴うが、低温では型だれが低減する傾向がある代わりに磁器のような外観が弱くなるという犠牲が伴う。
【0072】頂部オーブン温度を1.7〜2.8℃だけ上昇させ、相当する量だけ底部温度を下げることで、最も良好な結果(「型だれ」やしわのない、すなわち、微小粒マットの食品接触表面)が得られた。このオーブン温度を選択的に制御できることで実際に、PP/雲母シートの好ましい工程温度ウィンドウの決定が容易になった。 表7に、図9〜12に示した形状を有し、22.9cm、25.4cmおよび27.9cmの直径を有するプレートの物性を示してある。
【0073】
【表7】
実施例6実施例1と図1および2に示した方法に従って、シートおよびプレートを製造した。表8に、シート押出および成形の条件を示してある。表9および10には、調製組成に関するデータを示してある。表9および10には、プレートの物理試験結果を示してある。図23および24にはそれぞれ、雲母濃度(雲母/TiO2比は一定で)に対して光沢およびプレート剛性をプロットしたグラフを示してある。
【0074】
【表8】
【0075】
【表9】
【0076】
【表10】
実施例7表11には、いくつかの雲母充填ポリプロピレン処方の商業的シート押出試験で用いたシート工程条件を示してある。これらのシートは、約91〜410kg/279m2連、好ましくは約91〜181kg/m2連の坪量を有することが好ましい。これらの雲母充填ポリプロピレンシートには、25〜35重量%の範囲で雲母を含有させた。
【0077】雲母とポリプロピレン混合物の押出は6”の商業押出機ラインで行った。押出機は多目的スクリューを有するイーガン(Egan)24/1 L/Dであった。ダイスは、52”コートハンガー型のものであった(Extrusion Die Inc.)。スタックコンディショニングロールは、上のものは研磨クロム、中間のものはマット(40RA表面)および下のものは研磨クロムとした。押出条件は表11に示してある。マットチルロールは、シートの熱成形時における微小粒表面の形成に役立ち、図26に図示した先行技術の非マット状の平滑シートとは対照的に、成形温度ウィンドウの幅に有利な向上があった。
【0078】
【表11】
表11に示した条件で製造したシートをマット仕上げした。表11の工程によって製造したシートの顕微鏡写真を、実施例1と同様の条件下に製造したものと対比して、図25および26の顕微鏡写真に示してある。
【0079】
【表12】
(A)上部マット側を有するマット押出シート(B)押出シート(A)−マット側とは反対の下側(C、D、E、F)プレート−(A)の上マット側に相当する食品接触側(G)非マット押出シート−上側(マットロールなし)
(H)非マット押出シート−下側(マットロールなし)
非マット押出シートの場合には通常、プレート光沢とプレート粗度は逆比例する関係にある(例:一般に得られている先行技術のデータで明らかになっているように、高光沢は低粗度に相当し、その逆も言える。)。その場合、所望の微小粒感を得るには、ある温度範囲内とする(約146℃〜152℃)。その範囲を超えると、成形工程には型だれによる制限が生じ、その範囲より低いと高光沢・低粗度によってわかるように、得られる微小粒特性が不十分なものとなる。 押出工程のチルロールスタックでのマットロールの使用により、商業的に魅力的な熱形成工程温度範囲が有効に広がる(約129℃〜152℃)。具体的には、表面微小粒性が許容できるプレートを比較的低温で成形することができ、それによって、プレートの粗度低下がシート表面(A)を用いた場合にプレート光沢に予想外の低下が生じることで補償される。この約5.5℃〜約22℃のプレート成形温度ウィンドウにおける有利な増加は、押出シートに対してマット表面仕上げを加えることで生じる。
【0080】熱成形は、積層可能品の最終形状への圧縮またはスキージングである。最も簡単な形態では熱成形は、型取りした型に軟化させたシートを掛けるものである。より最新の形態では、熱成形は、正確に制御された温度のシートを自動的に高速で、油圧式の成形ステーション中に位置決めするものである。
【0081】好適な成形・熱成形工程または図2に示したような好ましい熱成形工程で使用される押出シートの厚さは、約0.025〜0.20cm、好適には0.025〜0.076cm、好ましくは0.04〜0.06cmである。押出シートにおける好適な雲母充填材負荷レベルは、25〜30重量%の範囲であり、その場合、雲母フレークのアスペクト比は30〜300、より好ましくは80〜120の範囲であり、粒度は約50〜500μmの範囲である。
【0082】マットロールを用いてシートの片側をマット仕上げすることで、約129℃〜152℃という比較的広い温度ウィンドウで商業的熱成形が好適に行われたが、マット仕上げを行わない場合には、同じ商業的装置を用いた熱成形は約146℃〜152℃の温度で行った。
【0083】PP/30%雲母およびPP/25%雲母処方を用いた商業的装置での試験から、熱成形温度ウィンドウ範囲が約5.5℃(以前の試験)から約19℃という高い値で拡大している。これは主として、本発明者らが押出工程時にチルロールスタックでマットロールを効果的に使用したためである。これにより、シートの空気側に平滑なマット仕上げを行い(すなわち、プレートの食品接触表面)ながら、成形工程時に、相対的に粗い下側が砂吹きした側の型と接触するようにした。次に、マットシートの使用によって、微小粒性をあまり低下させずに比較的低い温度(型だれ回避には良い)で成形を行うことができた。具体的には、成形ウィンドウは129℃から約149℃〜152℃の範囲であり、工程安定性と製造物の外観/見た目のバランスが最も良いのは、約138℃〜143℃の場合であった。
【0084】実施例8図3には、雲母充填ポリプロピレンプレートと競合するプラスチック製使い捨てプレートについての剛性と現在のプレート材料コストの比較を示してある。「J」とは、本発明の雲母充填ポリプロピレンプレートを指し、「S」とはソロ・カップ社(Solo Cup Company)によって現在製造されているものなどのポリスチレンに基づくプレートを指す。平均プレート厚さを、各プレートの種類および大きさについて示してある。図の左側は22.2cmプレートについてのデータを示してあり、その場合、厚さとコストが大幅に低下していても、Jプレートの剛性はSの約3倍である。図の右側は26cmプレートについてのデータを示してあり、その場合、Jプレートの剛性は同一厚さでSの7倍を超えている。白丸の点は、厚さが薄くなっていることでプレート材料のコストがSと同等である26cmJプレートについて計算した剛性に相当するものである。
【0085】Jの推定厚さXは、X=(19ミル)(2.9セント/3.8セント)として計算される。厚さを小さくした場合の同等コストでの理論的剛性R1は次のように計算される。
【0086】実施例9図4では、平均厚さ0.048cm(J)の雲母充填ポリプロピレン26cmプレート(J)についての耐熱性能を、同じ大きさおよび厚さの(S)ポリプロピレンに基づくプレート(S)と比較している。耐熱性の尺度は、10ラジアン/秒でレオメトリクス・ソリッズ(Rheometrics Solids)分析装置を用いて測定した動的屈曲保存係数E’である。E’値が高いほど、剛性が高く、寸法安定性が向上していることを示している。動的機械スペクトル測定は、温度および負荷頻度(変形時間スケール)に関係するポリマー材料の粘弾性評価に使用される一般的方法である。本発明のSプレート材料およびPP/雲母シートの平坦矩形試料の動的機械特性について、レオメトリック・サイエンティフィック(Rheometric Scientific)が製造し、二重カンチレバー曲げ固定具を搭載したレオメトリクス・ソリッズ分析機RSAII装置を用いて、10ラジアン/秒で屈曲変形を行った。温度走査は、各温度で0.5分間の固定時間を設けて、2℃の温度段階を用いて、0.05%歪みで行った。駆動モータによって負荷歪みとトランスデューサによって測定される反作用アウトプットとの間の時間間隔から、材料の複素係数E*値が得られる。パラメータE*は正式にはE*=E’+iE”と表され、その場合E’は保存係数(純粋に弾性の項)であり、E”は喪失係数(純粋に粘性の項)である。保存係数E’は、歪みと同期の反作用力を歪みで割った値として定義され、周期当たりの保存および回収されたエネルギーの尺度を与えるものである。喪失係数E”は、歪みと90°位相のずれた反作用力を歪みで割った値として定義され、周期当たりの発散されるエネルギーの尺度を与えるものである。喪失係数の保存係数に対する比は一般に減衰(デルタの正接値)として知られる(デルタは、反作用力と歪みの間の位相角度である)。動的保存屈曲係数E’は、耐熱性能の有効な尺度である。環境条件(25℃)では、本発明の雲母充填ポリプロピレンプレートについてのE’はSの場合よりかなり高い。油脂の多い食品のマイクロ波加熱または調理で一般的に生じる苛酷な温度に相当する121℃では、本発明のJプレートの耐熱性はSによって製造されるプレートよりかなり優れている。
【0087】
【数2】R=(KE)TexpN式中、Eはヤング率であり、Kは形状定数であり、Tは厚さである。図3に示したデータから、本発明のJプレートの剛性が、同等または相対的に低い材料コストで、市販のポリスチレンポリマーに基づくプレートより大幅に高いことがわかる。
【0088】実施例9図4では、平均厚さ19ミル(J)の雲母充填ポリプロピレン10.25インチプレート(J)についての耐熱性能を、同じ大きさおよび厚さの(S)ポリプロピレンに基づくプレート(S)と比較している。耐熱性の尺度は、10ラジアン/秒でレオメトリクス・ソリッズ(Rheometrics Solids)分析装置を用いて測定した動的屈曲保存係数E’である。E’値が高いほど、剛性が高く、寸法安定性が向上していることを示している。動的機械スペクトル測定は、温度および負荷頻度(変形時間スケール)に関係するポリマー材料の粘弾性評価に使用される一般的方法である。本発明のSプレート材料およびPP/雲母シートの平坦矩形試料の動的機械特性について、レオメトリック・サイエンティフィック(Rheometric Scientific)が製造し、二重カンチレバー曲げ固定具を搭載したレオメトリクス・ソリッズ分析機RSAII装置を用いて、10ラジアン/秒で屈曲変形を行った。温度走査は、各温度で0.5分間の固定時間を設けて、2℃の温度段階を用いて、0.05%歪みで行った。駆動モータによって負荷歪みとトランスデューサによって測定される反作用アウトプットとの間の時間間隔から、材料の複素係数E*値が得られる。パラメータE*は正式にはE*=E’+iE”と表され、その場合E’は保存係数(純粋に弾性の項)であり、E”は喪失係数(純粋に粘性の項)である。保存係数E’は、歪みと同期の反作用力を歪みで割った値として定義され、周期当たりの保存および回収されたエネルギーの尺度を与えるものである。喪失係数E”は、歪みと90°位相のずれた反作用力を歪みで割った値として定義され、周期当たりの発散されるエネルギーの尺度を与えるものである。喪失係数の保存係数に対する比は一般に減衰(デルタの正接値)として知られる(デルタは、反作用力と歪みの間の位相角度である)。動的保存屈曲係数E’は、耐熱性能の有効な尺度である。環境条件(77°F)では、本発明の雲母充填ポリプロピレンプレートについてのE’はSの場合よりかなり高い。油脂の多い食品のマイクロ波加熱または調理で一般的に生じる苛酷な温度に相当する250°Fでは、本発明のJプレートの耐熱性はSによって製造されるプレートよりかなり優れている。
【0089】E’を特徴とする、Sの販売するプレートと比較して優れた本発明のプレートJの耐熱性は、表13に示したように、その2種類のプレートについての実際のマイクロ波調理試験結果と強い相関を持つ。Sプレートは多くの種類の食品で歪み、寸法安定性を喪失するとともに、若干のシミおよび粘着から明らかなように、食品と接触した場合に望ましくない変化を起こす。他方、本発明のJプレートは、優れた寸法安定性を持つとともに、食品の調理および/または解凍を行う場合に優れた耐熱性を有していることから、優れたプレートである。
【0090】
【表13】
フォート・ジェームス社(J)の本発明のプレート試料とソロ・カップ社(S)製造のプレートについて、各種食品を用いて電子レンジ(三星(Samsung)MW8690型)にて試験を行った。いずれの場合も最大電力設定(10)を用い、調理/加熱の時間および手順は、包装に記載の食品製造業者の説明に従った。ほとんどの被験食品が冷凍のマイクロ波処理可能型のものであり、半解凍状態でプレート上に直接乗せてから調理した。適宜に、調理過程時に、パラフィン紙のゆるいカバーを施した。調理後、プレートを温水で丁寧に洗い、検査した。以下に、試験結果について詳細に述べる。その内容は表13にもまとめてある。
【0091】試験番号1の結果−砂糖を塗ったドーナツJ大きい楕円形の砂糖を塗ったドーナツを本発明のプレートに乗せて60秒間電子レンジで処理した。塗った糖が溶け、発泡して、プレート上に流れた。沸騰する砂糖と油脂の混合物のために、プレートの底部が非常に熱く感じられたが、プレートには歪み、シミおよび浸透は認められなかった。プレートは安全に扱えるだけの低温であった。ドーナツの残留物は容易に洗い落とされ、使用したプレートの外観は良好であった。
Sプレートの底が熱くなり、わずかに変形していたが、浸透はなかった。ただし、砂糖がプレートに付着した。
【0092】試験番号2の結果−チーズソースをかけたブロッコリーJグリーン・ジャイアント(Green Giant)のブロッコリーのチーズソースかけ10オンスを可撓性袋から取り出し、パラフィン紙でゆるく覆って、プレートに乗せて電子レンジ処理した。チーズが溶け、プレート上で発泡していたが、粘着はなかった。プレートの底は暖かかったが、浸透や寸法安定性喪失は認められなかった。洗浄後、シミは認められず、使用したプレートの外観は良好であった。
Sプレートの底が熱くなり、かなり変形していたが、浸透はなかった。
【0093】試験番号3の結果−ペパローニピザJツームストン(Tumbstone)の7オンスのペパローニピザをカバーをかけずにプレートに乗せて、4分間調理した。試験の中間時点あたりでチーズが溶けて、発泡が開始した。溶けたチーズがペパローニから滲み出た高温の液体脂肪と混和して、生地の端部でプレート上にしたたり落ちた。粘着、浸透、シミおよびプレートの寸法安定性喪失は認められず、使用したプレートの外観は良好であった。
Sプレートの底が熱くなり、中等度の変形があったが、浸透はなかった。ペパローニ中の油からの脂こい赤みがかったシミが完全には洗い落とせなかった。
【0094】試験番号4の結果−電子レンジ用子供食ポークリブパティ、バーベキューソース、フライ、蜂蜜トウモロコシパンJ部分的に調理された骨なしポークリブパティ、バーベキューソース、フライおよび蜂蜜トウモロコシパンからなる材料の入ったスワンソン(Swanson)の7.2オンスの電子レンジ用子供食を用いて、迅速な食事準備シミュレーション試験を行った。食品を区画トレーからプレート上に移した。ソースを豚肉の上にスプーンでかけ、パティの端とプレート上にたらした。トウモロコシパン種をスプーンで取り出し、フライの隣のプレート上に置いた。食品はパラフィン紙で緩く覆い、3.5分間調理した。電子レンジ調理後の検査により、トウモロコシパンが十分調理され、プレートに対して粘着や損傷がないことが明らかになった。ソースのかかったフライと豚肉による浸透はなく、プレートの寸法安定性は失われなかった。プレートを洗浄したところ、バーベキューソースによるわずかなシミのあることが認められた。全体的に、使用したプレートの外観は非常に良好であった。
Sプレートの底が主として豚肉のために変形し、バーベキューソースによるかなりのシミがあったが、浸透はなかった。
【0095】試験番号5の結果−トマトソースをかけたポークビーンズJトマトソースをかけたポークビーンズ(8オンスの缶)をプレートに乗せ、パラフィン紙で覆い、2分間加熱して、ほぼ沸騰させた。プレートの底が熱くなったが、縁部は冷えており、触ることができた。プレートの底は熱かったが膨れはなく、熱い食品プレートの縁部を持って扱った時も、寸法安定性の喪失は感じられなかった。浸透、歪みおよびシミは認められなかった。プレートの外観は良好であった。
Sプレートの底が非常に熱くなり、ひどく変形していたが、浸透はなかった。縁部を持って扱った時に、プレートの剛性が低下しているように感じた。
【0096】試験番号6の結果−シロップをかけたホットケーキおよび調理済みベーコンJこの試験では、スワンソンの電子レンジ用ホットケーキ・ベーコン朝食(大きさ4.5オンス)を用いた。この半解凍食は、3個のホットケーキと3個の部分的に調理済みのベーコン片からなるものであった。ホットケーキとベーコンをカートンに入ったトレーから取り出し、プレートに乗せた。ティースプーン5杯分のホットケーキ用シロップをホットケーキの上にかけ、食事を一つにまとめてパラフィン紙で覆い、2分間電子レンジにかけた。プレートの底は熱くなったが、全体的なプレートの性能は良好であり、歪み、浸透、寸法安定性の喪失およびシミはなかった。カリッとなる際にベーコンから熱い油脂分が若干滲み出したが、プレートに損傷は認められなかった。使用したプレートの外観は良好であった。
Sプレートの底は熱くなり、かなり変形したが(特にベーコンが置いてあった場所)、浸透は認められず、縁部を持って取り扱った際にプレートが柔らかいような感触があった。
【0097】試験番号7の結果−バターJバター(ティースプーン5杯分の大きさの塊)をプレートに乗せ、パラフィン紙でゆるく覆い、3分間電子レンジにかけた。バターが完全に溶け、プレートの底全体を覆った。バターは被験プレートの端部の方で沸騰し始めた。プレートの底は非常に熱くなり、若干歪んだが、浸透はなかった。プレートの縁部は触れることができる程度に冷えた感触があって、電子レンジからプレートを安全に取り出すことができた。少量のバターが焦げたが、プレートから簡単に洗い落とすことができた。プレート全体の性能は良好であった。
Sプレートの底が非常に熱くなり、かなり変形したが、浸透は認められず、脂ぎったフィルム状残留物を完全に洗い落とすことはできなかった。プレートは、縁部を持って扱った時に、柔らかく、ゴム状であるように感じられた。
【0098】試験番号8の結果−ベーコンJ生で保存処理したベーコン3片を3枚の紙タオルで包み、5分間調理した。全てのベーコンがカリッとなり、そのうちの20%が焦げた。プレートの底が非常に熱くなったが、縁部領域のほとんどが比較的冷えており、触ることができた。ベーコンから油脂分が滲み出し、タオルに浸透した。その油脂がプレートの底、側部および一部の縁部領域に溜まった。一部の縁部領域にたまった油脂により、プレートの局所的融解が生じたが、穴は生じなかった。プレートの底にたまった熱い油脂によってかなりの歪みが生じたが、浸透はなかった。試験番号8における全体的なプレート性能は、試験番号7の場合より満足度の低いものであった。
S生ベーコンを紙タオルで覆い、Sプレート上で調理したら、底が非常に柔らかくなり、電子レンジ内のガラストレーに付着した。そのような熱油脂条件下では、付着したポリマー領域で局所的融解が生じ、プレートをガラストレーから持ち上げた際に伸び上がった。プレートはひどく歪んだが、穴は形成されず、浸透も認められなかった。生ベーコンの場合を例外として、本発明のJプレートの電子レンジ中での挙動は、各種の水系食品、油脂性/脂肪性食品、砂糖を含む食品の組み合わせで良好であると考えられる。各種類の食品をプレート上で直接調理している際および調理後に、異臭や悪臭は認められなかった。以上のデータから、本発明のプレートが優れた特性を持つものであることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート押出工程の模式的フローチャートである。
【図2】微小粒表面を有するプレートおよび容器の製造のための熱成形工程の模式的フローチャートである。
【図3】本発明のプレートの剛性と先行技術の市販製品とを、現在の原料コストの観点で比較するグラフである。
【図4】本発明のプレートの熱耐性を先行技術の市販製品と比較する棒グラフである。
【図5】本発明の一例のプレートの一部破断図を加えた斜視図である。
【図6】図5に示したプレートの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図である。
【図7】図5に示したプレートの半径方向の断面図である。
【図8】本発明に従って成形されたプレートの中心線から始まる、図5に示したプレートの模式的側面図である。
【図9】本発明の他のプレートの一部破断図を加えた斜視図である。
【図10】図9に示したプレートの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図である。
【図11】図9に示したプレートの半径方向断面図である。
【図12】中心線から始まる図9に示したプレートの模式的側面図である。
【図13】本発明に含まれるトレーの一部破断図を加えた斜視図である。
【図14】図13に示したトレーの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図である。
【図15】図13に示したトレーの半径方向断面図である。
【図16】中心線から始まる図13に示したトレーの模式的側面図である。
【図17】本発明に含まれるボールの一部破断図を加えた斜視図である。
【図18】図17に示したボールの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図である。
【図19】図17に示したボールの半径方向断面図である。
【図20】中心線から始まる図17に示したボールの模式的側面図である。
【図21】本発明に含まれる持ち帰り食品用容器を示す斜視図である。
【図22】本発明のプレート(上の写真)およびシート(下の写真)の表面の図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図23】雲母レベルに対して光沢をプロットしたグラフである。
【図24】雲母レベルに対してプレートの剛性をプロットしたグラフである。
【図25】マット処理表面(A)と非マット処理表面(B)を示す本発明のシートの図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図26】両側とも非常に光沢がある本発明のシートの表面の図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10 ホッパー
11 一次押出機
12、13、14 単一スクリュー式押出機
15 ダイス
16 本発明のシート
17 3ロール磨き/ケーシングユニット
18 引き込みユニット
19 巻き取り機ロール
20 上部ヒーター
21 下部ヒーター
22 オーブン
23 シート(熱で軟化したシート)
24 雄型
25 雌型
【0001】
【発明の属する技術分野】本願は、1996年10月18日出願の米国特許出願08/733463号の一部継続出願に基くものである。本発明はカップ、トレー、スフレ皿、蓋、プレート、ボールなどの1以上の微小粒(micronodular)面を有する使い捨てで食品接触適合性を有しマイクロ波処理可能な容器、ならびに食品の製造、保管、搬送および給仕に有用な関連する製造品に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の使い捨てマイクロ波処理可能容器およびプレートは、(a)そのプレートもしくは容器の食品接触側の微小粒面と(b)約121℃以上の融点を示すものであって、その容器またはプレートは、少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を示すものである。上記の性質全てを有するマイクロ波処理可能な使い捨ての容器およびプレートは先行技術では知られていない。本特許出願の譲受人に譲渡された米国特許5377860号には、二重板食品容器が開示されている。しかしながらポリオレフィン/雲母の組成が示唆も開示もされておらず、その容器は本願に開示の容器の熱的性質や微小粒面を持たないことから、その容器の組成および性質は本発明のものとは異なる。欧州特許出願0544429A1号で開示されている容器は、熱的性質を満足することができて、本発明の容器の望ましい微小粒表面を有する容器を示唆も開示もしていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記容器およびプレートは簡便性および低コストが非常に重要であるが、そうではあっても、プレート、容器などの外観および触感上の特性は消費者の嗜好には重要な点である。マイクロ波調理または食品加熱用のこれら使い捨て製造品目の好適性は、今日の市場において重要な位置を占めている。商業および小売市場のいずれも、見た目の好ましい、マイクロ波処理が可能な、使い捨ての、堅くて強靱な容器、プレートまたはカップならびに関連製造品を必要としている。本発明は、そのニーズを経済的に満足することを目的とするものである。
【0004】1. プロピレンホモポリマーと板状(層状)無機材料の混合物からなり、且つ該板状(層状)無機材料が20〜40重量%である押出シートであって、12121℃以上の軟化点を示し、少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、好ましくは鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を持つ押出シートを熱成形によって作られた、マイクロ波処理可能で食品接触適合性の、使い捨てで、剛性で強靱であるカップ、ボール、トレー、プレート、スフレ皿などの皿またはバケツの形態から選ばれた容器。
2. プロピレンホモポリマーが60〜80重量%の量で存在する1記載の容器。
3. 無機材料が雲母を含むものである1または2記載の容器。
4. 前記混合物がプロピレンホモポリマーと無機材料の間の付着を促進するためのカップリング剤を含有する1ないし3のいずれかに記載の容器。
5. カップリング剤が0.5〜3重量%の量で存在する4記載の容器。
6. さらに、少なくとも一方の側、好ましくは使用時に食品と接触しない側に微小粒表面を示す1ないし5のいずれかに記載の無機材料が20〜40重量%の量で存在する1ないし5のいずれかに記載の容器。
7. 一方の側にマットがある請求項1ないし6のいずれかに記載の容器。
8. さらに、59kg/279m2連以上、431kg/279m2連以下の坪量を示す請求項1ないし7のいずれかに記載の押出シートを用いて得られた容器。
9.
(a)底部、(b)該底部(a)に連結し、該底部に形成された内側方向に次第に細くなる円錐台形の底部封止領域を有する上方に広がる周囲壁、(c)前記の上方に広がる周囲壁(b)に連結し、切下げのある二次封止用隆起を有する、下方および外側に向かって広がる縁を有してなる底部分(I)と、(d)頂部、(e)該頂部に連結し、下方に広がる周囲壁、(f)円錐台形蓋封止領域が形成され、該円錐台形蓋封止領域が円錐台形底部封止領域と篏合可能である、上方に広がる壁、(g)前記二次封止隆起と篏合可能な二次封止溝を有する、下方に広がる壁(h)前記二次封止溝と前記円錐台形蓋封止領域の間にあり、円錐台形底部封止領域を円錐台形蓋部封止領域に密着係合させながら同時に、二次封止隆起を二次封止溝に係合させるための、弾性の蓋再調整手段を有してなる一体成形蓋部(II)とを有する1ないし8の何れかに記載の容器。
10.
(a)プロピレンホモポリマーおよび板状無機材料の押出成形可能な混合物を成形する段階、(b)押出成形によって、高温で前記混合物をシートに変える段階、(c)シートを回収する段階を有してなる1の容器に用いるシートの製造方法。
11. 押出混合物を、マット仕上げ部を有するロール周囲の少なくとも一部に通過させ、その際に、該ロールに接触する該押出混合物の表面がマット状表面を有するような条件で通過を行う10記載の方法。
12. 前記条件に、押出速度、マットロールを含めたロールスタックの大きさ、温度および形状の制御によって、ロールと接触する押出混合物の表面にマット状構造を与えることが含まれる11記載の方法。
13. 押出混合物を、マット仕上げ部を有するロール周囲の少なくとも一部に通過させ、その際に、該ロールに接触しない該押出混合物の表面が粗い粒状構造を有するような条件で通過を行う10ないし12のいずれかに記載の方法。
14. 前記条件に、マットロールに接触しない押出混合物の表面を少なくとも部分的に固化させることが含まれる13記載の方法。
15. 前記混合物が、請求項1ないし7のいずれかに定義の材料を含む10ないし14のいずれかに記載の方法。
16.
(a)10ないし15のいずれかに記載の方法で得られたシートを熱成形する段階、ならびに(b)容器を回収する段階を有してなる1記載の容器の製造方法。
17. 型表面と接触しない容器の微小粒表面を形成するよう制御した型で、前記の容器を熱成形する16記載の方法。
18. 容器が1に定義の形態のものである15ないし17のいずれかに記載の方法。
19. 10ないし18のいずれかの方法によって製造される製品。
20. プロピレンホモポリマーと板状(層状)無機材料の混合物からなり、且つ該板状(層状)無機材料が20〜40重量%である押出シートであって、121℃以上の軟化点を示し少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、好ましくは鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を持つ押出シートを熱成形によって作られた、マイクロ波処理可能で食品接触適合性の、使い捨てで、剛性で強靱な蓋。
21.
(a)プロピレンホモポリマーおよび板状無機材料の押出成形可能な混合物を成形する段階、(b)押出成形によって、高温で前記混合物をシートに変える段階、(c)シートを回収する段階を有してなる20の蓋に用いるシートの製造方法。
22.
(a)21に記載の方法で得られたシートを熱成形する段階、ならびに(b)蓋を回収する段階を有してなる21記載の蓋の製造方法。
23. 21または22記載の方法によって製造される製品。
【0005】
【発明の実施の形態】マイクロ波処理可能な使い捨てで剛性の強靱な食品接触適合性の容器およびプレートを製造した。これらの使い捨てのマイクロ波処理可能な製造品は、(a)食品と接触することになる側に微小粒面と、(b)121℃以上、好ましくは121℃〜166℃の融点を示すものである。これらのマイクロ波処理可能な食品接触適合性の容器およびプレートは少なくとも104℃まで寸法安定性であり、油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸刃状ポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強靱性を有するものである。使い捨ての昼食用プレート(22.2cm)および夕食用プレート(26.0〜27.9cm)の形態でのこれらの容器は、約59kg/279m2連の坪量で、少なくとも200g/1.27cmのSSI剛性を示す。約200の坪量ではSSI剛性は約300g/1.27cmであり、約360の坪量では、SSI剛性は約700g/1.27cmである。本発明の容器およびプレートは、食品の調理および解凍の過程で、ポークビーンズ、シロップをかけたホットケーキ、ペパローニピザおよびブロッコリーとチーズなどの通常の食品をマイクロ波処理する場合の電子レンジの過酷な条件に耐えることができる製品に対する長い間の要求に答えるものである。ポリオレフィンを雲母と組み合わせる場合、これらの容器およびプレートは一方の側または両方の側、通常は食品と接触するようになる側に微小粒面を示す。 実施例9および表13に示したように、競合する市販のポリスチレン型プレートは、食品接触時に電子レンジで生じる高温に耐えることができず、上記の食品が乗っている場合は、大幅に歪むか変形する。油脂含有量が高い食品を用いた場合における通常のマイクロ波処理条件下では、先行技術のプレートは変形して流動する傾向があり、プレートの一部がマイクロ波オーブンの内部に付着するようになる。使い捨てのプレートおよび容器の場合、外観および感触は重要な属性である。ポリプロピレンまたはポリプロピレン−ポリエチレンの共重合体もしくは混合物と雲母を組み合わせて使用する本発明のプレートおよび容器の微小粒表面は、その製品に好ましい外観を与え、見た目を磁器または陶器のようにする傾向がある。本発明の容器およびプレートの別の重要な性質は、それの切断耐性である。これらの剛性製造品は、鋸状ポリスチレン食器による切断に耐えるだけの強靱性を有するものである。ただし、カップおよび蓋の場合、これは通常は必要ない。通常の用途では、それらは通常の金属食器による切断に対して耐性でもある。
【0006】以下に記載の詳細な説明および添付の図面により、本発明をさらに十分に理解することができる。ただし、これらは例示のみを目的とするものであって、本発明を限定するものではない。図1は、シート押出工程の模式的フローチャートである。図2は、微小粒表面を有するプレートおよび容器の製造のための熱成形工程の模式的フローチャートである。図3は、本発明のプレートの剛性と先行技術の市販製品とを、現在の原料コストの観点で比較するグラフである。図4は、本発明のプレートの熱耐性を先行技術の市販製品と比較する棒グラフである。図5は、本発明のプレートの一部破断面を含む斜視図である。図6は、図5に示したプレートの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図(4倍)である。図7は、図5に示したプレートの半径方向の断面図である。図8は、本発明に従って成形されたプレートの中心線から始まる図5に示したプレートの模式的側面図である。図9は、本発明の他の例のプレートの一部破断図を含む斜視図である。図10は、図9に示したプレートの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図(4倍)である。図11は、図9に示したプレートの半径方向断面図である。図12は、中心線から始まる図9に示したプレートの模式的側面図である。図13は、本発明に含まれるトレーの一部破断面を含む斜視図である。図14は、図13に示したトレーの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図(2倍)である。図15R>5は、図13に示したトレーの半径方向断面図である。図16は、中心線から始まる図13に示したトレーの模式的側面図である。図17は、本発明に含まれるボールの一部破断面を加えた斜視図である。図18は、図17に示したボールの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図(2倍)である。図19は、図17に示したボールの半径方向断面図である。図20は、中心線から始まる図17に示したボールの模式的側面図である。図2121は、本発明に含まれる持ち帰り食品用容器を示す斜視図である。図22は、本発明のプレート(上の写真)およびシート(下の写真)の走査型電子顕微鏡写真であって、該プレートの微小粒食品接触表面を示しているが、混合物のない押出シートにはそれがないことを示す図である。図23は、雲母レベルに対して光沢をプロットしたグラフである。図24は、雲母レベルに対してプレートの剛性をプロットしたグラフである。図25は、マット処理表面(A)と非マット処理表面(B)を示す本発明のシートの走査型電子顕微鏡写真である。図26は、両側とも非常に光沢がある本発明のシートの走査型電子顕微鏡写真である。
【0007】プレート、ボール、カップ、トレー、バケツ、スフレ皿および蓋などの見た目が好ましくマイクロ波処理可能な使い捨ての剛性・強靱な容器は、アイソタクチックなポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレン共重合体、またはアイソタクチックなポリプロピレンおよびポリプロピレン−ポリエチレン共重合体の混合物を雲母などの板状無機物の混合物と組み合わせたものを有してなる。好ましくは、カップリング剤と顔料を使用する。優れた熱的、機械的その他の物理的性質を有し、さらには微小粒表面を示す好適な容器、ボール、トレーおよびプレートを成形するには、雲母とともにカップリング剤を使用しなければならない。カップリング剤の機能は、ポリプロピレン部分の雲母への付着を促進することである。カップリング剤がないと、雲母のポリマー基材への付着が不十分であるために、容器、ボール、トレーおよびプレートを熱成形するためのシートとして形成することができなくなる場合がある。無水マレイン酸およびアクリル酸変性ポリプロピレンが好適なカップリング剤である。
【0008】本発明の容器、ボール、トレーおよびプレートは好ましくは、図1に示したように押し出したシートから、それを次に図2に示したように熱成形して得る。有利には、そのシートは混合ポリマー/雲母混合物を利用して押出工程によって成形する。最終押出工程により、シートに優れた熱的特性および切断耐性を与える。一般に、射出成型品は微小粒表面を示さないかあるいは磁器や陶器のような外観を与えない平滑なプラスチック様品であることから、射出成形はその性質上、自己製造の(self-texturized)微小粒の容器、ボール、トレーおよびプレートの製造には適さない。
【0009】見た目が好ましい使い捨てのマイクロ波処理可能な容器、トレー、ボールおよびプレートは、(a)1以上の微小粒表面を持ち、その表面は通常はプレートまたは容器の食品接触側にあり、しかも(b)121℃以上の融点を有する。さらに、その容器またはプレートは、少なくとも104℃温度で寸法安定性であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸状ポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強靱性を有する。雲母を充填したポリプロピレンプレートも、厚さの変動係数が約5%未満であることを特徴とする厚さの均一性を示す。
【0010】雲母とは、層状ケイ酸塩に分類される化学種の天然の不活性無機物、具体的にはアルミニウムイオンが部分的に鉄およびマグネシウムによって置換されていても良く、化学的に結合している水の一部がフッ素によって置換されていても良いアルミノケイ酸カリウムについての一般名である。
【0011】雲母は容易に劈開を起こして、1/2μm程度の厚さを持ち、アスペクト比が300と高い、薄くて、比較的一定の、可撓性であるが強靱なシート(葉状のフレーク)を与える。雲母は他の無機充填材(炭酸カルシウム、珪灰石、ガラス)よりはるかに柔らかいが、タルクよりわずかに硬い程度である。雲母は、他の一般的な無機充填材と比較して、滑りやすい感触を与え、しかも摩耗性が低い。
【0012】好ましくは、雲母フレークは、アスペクト比が30〜300、好適には80〜120であって、粒度が50〜500μmのものとする。
【0013】40重量%雲母での強化効果は、30重量%ガラス繊維での効果と同等である。しかしながら、ガラス(各種長さ)および珪灰石(針状構造)などの硬い無機繊維充填材は、摩耗性などの重大な欠点を持ち、従来の融解工程時に破壊劣化を起こしやすい。他の繊維(有機)充填材は、木材および植物に由来するものであり、有機充填材は処理時に分解する傾向を持ち、しかも水分に対して感受性であることから、本発明の容器の製造に使用するには適さない。本発明の方法では、雲母の量は約20〜35重量%とするのが好ましい。
【0014】低コストであることに主要な関心が注がれる使い捨てプラスチック食品給仕品では、炭酸カルシウムおよびクレーなどの増量剤が使用されている。すなわち、これらの充填材は、強化を目的としてではなく、コスト節減を目的として選択されるのが普通である。例えば、炭酸カルシウムは、アスペクト比が小さくしかも非常に不規則な粒子構造のために、中等度に低い強化(カップリングした場合ですら)を与える安価で、硬い、研磨性の充填材である。プラスチック製使い捨て食品給仕品についてマイクロ波処理が可能であることが望ましい場合、あまり完全な解決法ではないが、比較的高価な高温ポリスチレンに基づく材料(例:未充填PPOおよびSMAエンジニアリング樹脂)が用いられている。この場合、PPOとはポリフェニレンオキサイドを指し、SMAとはスチレン−無水マレイン酸共重合体を指す。
【0015】本発明の雲母充填ポリプロピレン製の容器、ボール、トレーおよびプレートは、先行技術の種類の容器、ボール、トレーおよびプレートの欠点を克服しており、それら先行技術のものよりかなり優れている。
【0016】板状無機物を充填したポリプロピレンは、雲母粉末および他の添加物(カップリング剤、カラーコンセントレート、顔料、酸化防止剤、潤滑剤、核化剤、帯電防止剤など)とともに、ペレットもしくはフレークの形態でポリプロピレンを前混合することで調合する。この混合物を、二段スクリュー式混合押出装置の送り部分の添加箇所に送り込む。別法として、容量測定式および/または重量測定式の(すなわち、重量損失型)送り装置の組み合わせたものを用いて、これら成分を別個に、同一添加箇所または異なる添加箇所に送ることが有利である。
【0017】白色着色の場合、白色度および不透明度の組み合わせ、ならびに加工時および最終使用時の安定性から、酸化チタンが好ましい。適宜に表面処理を行って、濡れ性、分散性、基材樹脂との適合性をさらに高めることができ、その場合、酸化チタンの形態をルチルもしくはアナターゼ型とすることができる。代替の白色顔料として、焼成クレーまたは焼成クレーと酸化チタンの混合物からなるものを用いることができる。黒色着色の場合、黒色度および分散性などの望ましい特性の組み合わせにより、カーボンブラックが好ましく、分散性については、粒径および表面化学を選択することで注意深く制御することができる。カーボンブラックは、天然ガスの不完全燃焼(チャンネルブラック)または液体炭化水素の耐熱室での還元(ファーネスブラック)によって得られる微細な非晶質炭素である。
【0018】二段スクリュー式押出機は十分な混合動作を行って、充填材のポリマー基材中への湿展および分散を効果的に行うものである。二段スクリュー式押出機は、共回転型または反転型のものがあり、各型とも、送り、混和および溶融調量ゾーンに適した各種スクリューフライト要素が装着されている。排出ゾーンは通常、排出される溶融材料束が循環水浴中で反応停止され、ナイフによる切断でペレットとなるストランドダイスからなる。
【0019】ロウ、フッ素化ポリマーおよび他の特殊潤滑剤などの低分子量添加物を加工助剤として用いて、溶融粘度を低下させ、スループットを高めることが好ましい。他の添加物には、核化剤および帯電防止剤などがあり得る。酸化防止剤を少量、通常は1重量%未満で加えて、押出工程時および成形工程時におけるポリプロピレンの剪断および熱分解を低下させ、最終品使用前および使用時のシートの化学的安定性を高めることができる。好適な酸化防止剤は、フェノール化合物および亜リン酸化合物ならびにそれらの混合物の群から選択するのが有利である。これらはチバガイギー社およびゼネラル・エレクトリック社が製造している。
【0020】シラン類(アジド官能性またはアミドスチリル官能性)、有機官能性シリコーン化合物、シランを含有するおよび含有しない塩素化炭化水素、単量体のin situでの重合または変性ポリオレフィンなどのカップリング剤が使用される場合が多い。ある種の用途では、雲母粒子表面をカップリング剤で処理することができる。ポリマー性のカップリング剤または適合剤(compatibilizer)の場合には特に、そのような薬剤は調剤段階時に直接加えるのが簡便である。取り扱いの容易さおよび有毒な残留モノマーおよび溶媒の回避のためには、ポリマー性適合剤が好ましい。特に、無水マレイン酸またはアクリル酸変性ポリプロピレンをカップリング剤として用いることができる。これらは、ポリプロピレンと雲母充填材との間の結合を促進し、充填材の脆化効果を低減する上で役立ち、さらには板状無機物充填シートおよびそれから製造される容器について、環境条件での強靱性および寸法安定性を高めるものである。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの使用が好ましく、無水マレイン酸の量は0.5〜5.0モルパーセントとする。カップリング剤の使用は、板状無機充填材と基材樹脂界面の間の良好な界面結合を促進して、容器およびプレートの固体状態での良好な機械的性質を与えるものである。カップリング剤はさらに、溶融強度を高めて、板状雲母充填材の特徴を強化するものである。雲母混合物を充填材として用いた場合には、「粒子間連結性」または物理的架橋が提供されることから、その混合物を充填材として用いた場合に、シートの溶融強度はさらに向上する。
【0021】SSI剛性は、テスター(Single Service Institute Plate Rigidity Tester;製造元:Single Service Institute, 1025 Connecticut Ave.NW, WashingtonD.C.)を用いて測定する。この試験は、製品を幾何中心で支持しながら、それらの製品の縁部を1.27cm曲げるのに要する力を測定することで、使い捨ての紙およびプラスチック製のプレート、ボール、皿およびトレーの剛性(すなわち、屈曲および曲げに対する耐性)を測定するためのものである。具体的には、プレート試料の片側をバネ付きクランプによって固定し、中心支点を支持する。クランプ固定した側とは反対側の縁部またはフランジ側を、ロードセルを取り付けたモーター式カム装置によって1.27cm曲げ、力(グラム数)を記録する。SSI剛性は、1.27cm曲げ当たりのグラム数として表す。SSI値が高いほど剛性の大きい製品であることを示していることから、その値は高い方が望ましい。測定は全て室温で行い、機械方向および機械横断方向についての幾何平均を報告する。図3に示したように、本発明のフォート・ジェームス(Fort James)の容器およびプレート(名称J)は、ソロカップ社(Solo Cup Company)製造の市販のプレート(名称S)より高いSSI剛性を持ち、しかもコストはそれと同等もしくはそれより低い。
【0022】ポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレンの共重合体もしくは混合物、ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるポリオレフィンの多層または単層の雲母充填シートの製造には、プラスチック鋳造シート押出装置が好適である。
【0023】コーティング剤の使用は、板状無機物充填材と基材樹脂界面との間の良好な界面結合を促進して、容器およびプレートの良好な固体状態機械特性を与える。約79kg/279m2連以上の坪量を有する22.2cm皿の形での容器は、250g/1.27cm以上のSSI剛性を有する。約127kg/279m2連の坪量を有する26.0cmプレートの場合、SSI剛性は約400g/1.27cm以上である。本発明のプレートでは、坪量は微小粒面から測定する。約59の坪量では、SSI剛性は約200g/1.27cmであり、約163の坪量では、SSI剛性は約700g/1.27cmである。カップリング剤は、板状無機充填材の溶融強度向上効果を高めるものでもある。雲母を充填材として用いた場合には、高アスペクト比フレークの形態での無機物の幾何形状が「粒子間連結性」または物理的架橋を提供する上で役立つことから、雲母を充填材として用いた場合に、シートの溶融強度はさらに向上する
【0024】図1には、単層雲母充填ポリプロピレンシートの製造方法を示してある。ポリプロピレン、雲母および他の添加物のすでに調合およびペレット化された混合物は、ホッパー(10)によって重力送りされて、単一スクリュー式押出機システムの送り領域に入る。一次押出機(11)は、直径5.08cmで長さ/直径の比が24/1であるスクリューを有する。適宜に、適当な溶融配管および多岐管配置を有する合同送りブロックに連結された1以上の追加の単一スクリュー式押出機(12、13、14)を使用することで、多層同時押出シートを製造することができる。幅78.7cmの可撓性リップ平判ダイス(15)を用いる。
【0025】本発明のシート(16)は、それぞれ温度制御されたロールを有する3ロール磨き/ケーシングユニット(17)、2個ゴム式シート引き込みユニット(18)および二連タレットすなわち二連シャフト巻き取り機(この場合、単シャフト巻き取り機ロール(19)のみを使用することができる)を有してなるシート取り出し部に入る(すなわち、溶融材料がダイスを出た後)。3つの取り出しユニットを機械的につなぎ合わせ、共通軌道に置いたところ、それらは、ごく近いダイスリップから約91cmの距離まで自動的に動かすことができる。押出工程中、ダイス出口と鋳造ユニットとの間の距離は5.08cmに維持した。シート鋳造ユニットを有するこれら3個のクロムロールは個々に、統合オイル循環ポンプおよび熱交換器によって温度制御されており、ニップ間隙は調節可能である。鋳造ロールと引き込みロールとの間の速度差は、引き込みロールの速度が鋳造ロール速度の約10%以内となるようにする。実現可能なライン速度は約30.5〜318.3cm/分であり、厚さ0.051cmのレベルのシートの場合、ライン速度は約152.5〜183cm/分である。シートはロール(19)に巻き取られる。表1には、雲母充填ポリプロピレンと未充填のポリプロピレン対照のシート押出に使用したシート処理条件を示してある。これらのシートは好ましくは、約91〜431kg/279m2連、好ましくは約91〜181kg/279m2連の坪量を有する。
【0026】熱成形は、柔軟な材料の圧縮またはスキーズによる最終形状への成形である。最も簡単なやり方での熱成形は、型上に軟化させたシートをかける方法である。より進んだ方法での熱成形は、正確に温度制御したシートを自動および高速で油圧駆動式の成形ステーションに載置するものであり、その場合、成形品の形状は、型とそれに続く縁取りおよび再粉砕向け回収によって決まる。
【0027】従来の熱成形以外の成形方法も、本発明に記載の品目の製造に好適である。それには、押出シートの最終溶融温度以下の温度までの予備軟化、シートからの平坦部分の切り取り(すなわち、ブランク)、重力もしくは機械的手段によるブランクの適合する型への移動(その場合、ブランクは熱および圧力によって前記品目に成形される)などがある。ブランクを切り出したシートは、再粉砕品として回収され、再利用可能である。従来のボール紙圧縮装置および相当する成形手段に対して適宜に変更を加えて、本発明の品目を製造する。
【0028】好適な成形および熱成形工程、あるいは図2R>2に好ましい熱成形工程で使用される押出シートは、厚さ約0.025〜0.20cm、好適には0.025〜0.13cmである。プレートの場合、好ましい厚さは約0.04〜0.06cmである。押出シート中の好適な雲母充填材負荷レベルは、10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%、最も好ましくは20〜35重量%の範囲である。雲母フレークのアスペクト比は、30〜300、より好ましくは15〜250の範囲であり、粒度は10〜500μmの範囲である。押出シートあるいはそれから成形された容器および/または蓋に基本樹脂として含有されるポリオレフィンは、ポリプロピレン、好適にはアイソタクチックポリプロピレン、プロピレンとエチレンの共重合体、ポリプロピレンとポリエチレンの混合物あるいはそれらの混合物を有してなる。ポリオレフィンは、好ましくは0.1〜5.0、より好ましくは0.2〜2.0のメルトフローを有する。共重合体および/または混合物を用いる場合、エチレンの共重合体あるいはポリプロピレンとポリエチレンの混合物は、混合物中の総共重合体に対して重合エチレンを好ましくは10モル%以下、好適には1〜10モル%、望ましくは2〜5モル%含有する。好ましい種類の雲母は白雲母であり、市販されている最も一般的なものである。適宜に、金雲母、黒雲母およびふっ素金雲母などの他の一般性の低い種類の雲母を用いる。鉱脈に固有の同形置換により、これら4つの一般的種類のものについては無限数の組成があるが、特定の等級の選択は、粒子のアスペクト比、粒度、価格および入手しやすさによって決まる。
【0029】メルトフローレート(MFR)または溶融指数は、溶融ポリマーの流動特性を求める上で一般的かつ簡単な方法である。樹脂を円筒状空間に入れ、溶融させる。温度平衡に達した後、荷重をかけてプランジャーを鉛直方向に押し下げて、樹脂を狭いオリフィスから押し出す。ポリプロピレンについての通常の試験温度は230℃であり、負荷は2.16Kgである。押出材料は回収・秤量し、特定重量を押し出すのに要した時間を記録する。MFRを10分間当たりのグラム数として記録するが、それは10分間にわたって押し出された材料の重量である。MFRはポリマー粘度およびポリマー分子量のいずれとも反比例する。
【0030】押出シートは、カップリング剤、好ましくは変性ポリプロピレンを含有し、好適な変性剤は、無水マレイン酸またはアクリル酸変性ポリプロピレンである。無水マレイン酸またはアクリル酸変性ポリプロピレンは、全シート組成の約0.5〜3重量%で含有される。
【0031】好適には押出シートには、見た目を良くするために着色剤を含有させ、好ましくは酸化チタン、カーボンブラックおよび他の不透明化剤を、総組成に基づいて0.5〜8重量%、好ましくは2.5〜6.5重量%の範囲で含有させる。押出シートには、潤滑剤および酸化防止剤などの他の添加物を少量含有させる。これらの製造品は、顔料または染料によって着色するのが好適である。顔料とは、樹脂媒体中に分散させた不溶性の有機もしくは無機微粒子であって、不透明性もしくは半透明性を向上させるものと定義される。通常の顔料には、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄および混合金属酸化物などがある。染料は有機物であって、プラスチックに可溶であり、単独または顔料と併用して、顔料に基づく色を明るくする。そのような着色剤はいずれも、各種形態で使用することができ、それには乾燥色剤、従来の色剤濃縮物、液体色剤および前着色樹脂などがある。
【0032】雲母充填ポリプロピレンシートは好ましくは、本願に開示の成形方法または熱成形方法を用いて、プレート、ボール、カップ、トレー、バケツ、スフレ皿および容器に成形する。好ましい方法においては、これらの製造品および容器は、コメット・スターレット・サーモフォーマー・ユニット(Comet Starlett Thermoformer Unit)を用いて製造する。この機械は、熱軟化熱可塑性材料から製品を真空成形することができ、図2に模式的に図示してある。寸法44.5×41.7cmを有するシート部分(23)を、2つの互いに反対の側でクランプ止めして、上部ヒーター(20)および下部ヒーター(21)を取り付けたオーブン(22)中に挿入し、そこではヒーター入力設定は20〜30%としており、保持時間は60〜80秒のレベルとした。これらの条件下に、デジタル熱電対によって記録されたオーブンの空気温度は105℃〜107℃であり、付着した指示熱電対によって記録されたシート表面温度は約166℃〜171℃であった。好適には、シートの熱軟化は127℃以上、例えば166℃以上、好適には127℃〜154℃、好ましくは132℃〜143℃の温度で行う。
【0033】クランプ止めした熱軟化シート(23)がオーブン(22)を出ると、方法(A)または(B)によって真空成形することができる。これらの方法はいずれも、エポキシ熱硬化性材料から製作された1個の型のみを使用する。方法(A)は雄型(24)を用いて、減圧孔が型基底部と容器の周辺側(すなわち、フランジ領域)にあって、減圧によってシートを吸引して型に一致させるものである。方法(B)の配置は、減圧方向が方法(A)と逆であり、やはり減圧穴が基底部周囲と周辺に配置してある。方法(B)の場合、雌型(25)を使用し、シートの空気側が食品接触側に相当することから、この配置が好ましい。食品接触側は熱処理によって有利なきめ出し効果が与えられ、その場合樹脂は表面に近い雲母粒子の周囲および外側を流れて、その無機物がより露出した形になって、微小粒表面が生じて、それが光沢の低下および表面の粗さ上昇として現れる。微小粒表面によって容器には、磁器または陶器のような外観が与えられる。この特徴は、図22によって良く理解できる。この図において、プレートの微小粒構造が白黒の走査型電子顕微鏡写真で明瞭に示されているが、無添加の押出シートではそのような微小粒表面は示されていない。この顕微鏡写真は、プレート底部から切り取った10×15mm片から得たものである。シート試料を対象表面を上にして試料スタブに乗せ、金/パラジウムで被覆した。スタブを走査型電子顕微鏡(JEOL840型)に入れた。試料の電子顕微鏡写真は倍率75倍、傾斜30°、作業距離39mm、電圧3kVで撮った。
【0034】好適には、マイクロ波処理可能な食品接触適合性の使い捨てで、剛性および強靱な、雲母充填ポリオレフィン製の容器、プレート、バケツなど(ポリオレフィンは、ポリプロピレン、ポリプロピレン−ポリエチレンの共重合体または混合物から選択される)を成形する方法は、(a)ポリオレフィン樹脂および雲母の押出可能混合物を形成する段階;
(b)前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出可能混合物を高温、好適には193℃〜249℃で押し出す段階;
(c)得られたポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物を複数ロールスタック(そのロールスタックの1以上のロールが、マット仕上げ部を有する)に通す段階;
(d)前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物を、少なくとも部分的に、マット仕上げ部を有する前記ロール周囲に通す段階;
(e)前記押出工程の速度、前記ロールスタックの大きさ、温度および形状を制御することで、前記マットロールと接触しない前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物表面に粗粒構造を持たせる段階;
(f)前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物を熱成形し、約121℃以上の融点を示す微小粒表面および粗面を有する容器、プレート、バケツなどを取り出す段階(これらの容器、プレート、バケツなどは、約105℃までの温度で寸法安定性であり、油脂、糖および水に対して耐性であって、鋸状容器による切断に対して耐えるだけの強靱性を有する)を有してなる。
【0035】有利には、前記マットロールに接触しない前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物表面の粗粒構造は、ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物を曲線状通路に横断させ、少なくとも部分的に前記マットロールに接触しない前記ポリオレフィン樹脂および雲母の押出混合物表面を、前記マットロールに接触する表面と比較して張力が加わった状態としながら固化させることで形成する。
【0036】好ましくは、雲母充填ポリプロピレン製の容器、プレート、バケツ、トレー、ボールなどを成形する方法は、(a)ポリプロピレン樹脂および雲母の押出可能混合物を形成する段階;
(b)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出可能混合物を高温で押し出す段階;
(c)得られたポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を複数ロールスタック(そのロールスタックの1以上のロールが、マット仕上げ部を有する)に通す段階;
(d)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を、少なくとも部分的に、マット仕上げ部を有する前記ロール周囲に通す段階;
(e)前記押出工程の速度、前記ロールスタックの大きさ、温度および形状を制御することで、前記マットロールと接触する前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物表面にマット構造を持たせる段階;
(f)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を熱成形し、121℃250°F以上の融点を示す微小粒表面および粗面を有する容器、プレート、バケツなどを取り出す段階(これらの容器、プレート、バケツなどは、約104℃での温度で寸法安定性であり、油脂、糖および水に対して耐性であって、鋸状容器による切断に対して耐えるだけの強靱性を有する)を有してなる。
【0037】微小粒容器およびプレートを熱成形するのに好適な雲母充填ポリプロピレンシートの形成方法は、(a)ポリプロピレン樹脂および雲母の押出可能混合物を形成する段階;
(b)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出可能混合物を高温で押し出す段階;
(c)得られたポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を複数ロールスタック(そのロールスタックの1以上のロールが、マット仕上げ部を有する)に通す段階;
(d)前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物を、少なくとも部分的に、マット仕上げ部を有する前記ロール周囲に通す段階;
(e)前記押出工程の速度、前記ロールスタックの大きさ、温度および形状を制御することで、前記マットロールと接触しない前記ポリプロピレン樹脂および雲母の押出混合物表面に粗構造を持たせ;
(f)マットロールと接触する表面にはマット表面を形成する段階(g)前記ポリプロピレン部分および雲母部分を有してなるマット表面と粗表面を有するシートを取り出す段階を有してなるものである。この方法では、ポリプロピレンを部分的にポリプロピレン−ポリエチレンの共重合体もしくは混合物に置き換えることができる。通常、共重合体の含有量は、シートの総ポリオレフィン含有量の10モル%未満とする。
【0038】有利には、他の熱成形配置が好適であり、従来のシートおよびウェブ送り熱成形を行う商業的生産操作では好ましい場合がある。別の配置としては、ドレープ、減圧、加圧、自由なブロー成形、マッチドダイ、波状ドレープ、真空スナップバック、波状減圧、プラグアシスト(plug assist)減圧、プラグアシスト加圧、プラグアシスト減圧を伴う加圧逆抜き取り、プラグアシストを伴う逆抜き取り、加圧バブル浸漬、捕捉シート、スリップ、隔膜、対シートカットシート、対シートロール送り成形またはこれらの好適な組み合わせなどがある。詳細については、スローンの著作(J.L.Throne, Themoforming;Coulthardから1987年に出版)に記載されている。この著作の21〜29頁が本明細書に引例として加える。好適な代替配置にはピロー形成法もあり、その方法では、2枚の熱軟化シート間に陽空気圧を発生させて、それらを膨らませることでクランプ止めした雄型/雌型システムに押し当て、中空物を形成する。金属型は微細から粗いものに至るパターンでエッチングすることで、自然なまたは穀粒のようなきめのある外観を模倣して製造する。好適に成形された物は、抜き型によってインラインでトリミングされ、材料はその性質上熱可塑性であることから、適宜に再粉砕品を再利用する。生産性向上のための他の配置としては、複数ダイスによる複数の同時成形によってスループットを高め、屑を低減するものなどがある。
【0039】本発明のシートは好適には、円形形状を有するプレートまたはボールに成形される。これらの製造品は、トレーにおけるように角部を有する正方形または矩形形状とすることもできる。さらに、区画されたトレーおよびプレートならびに長円形皿等、三角形、多面体、ポリヘキサル(polyhexal)などの別の形状が考えられる。考えられるそれぞれの実施態様において、角部は全て丸みを帯びているかまたは曲線形状であり、本発明の好ましい実施態様は図5〜21に図示してある。
【0040】図5〜21に図示したものは本発明を説明するためのものであって、これらの図が本発明を限定するものではないこと、ならびに本発明の主要な特徴および基本概念を変えることなく当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき点である。本発明の1実施態様において、プレートは図5〜8に示し、本発明の譲受人に対して譲渡された本願に引例として添付の米国特許5326020号に記載されているディキシー(DIXIE;登録商標)スーパーストロング(Superstrong)の側面を有するものである。これらの容器にはさらに、本発明の容器の性質を高める上で好適な隆起、浮き彫り細工および型押しのパターンなどの他の特徴を持たせることができる。
【0041】以下の説明において、寸法はそれぞれ、所定の直径D(図6および7に図示した本発明による場合、約8.75インチ)との関係での値を指している。しかしながら、容器の特定の直径は必須の限定ではなく、本明細書では例として挙げてあるに過ぎない。重要なのは、枠形状の各種部分間の関係である。
【0042】図5〜8に図示の実施態様による平面状の内側領域(61)は半径X1を持ち、それは約0.3D〜0.4D、好ましくは0.348Dに等しい。平面状内側領域(61)の外周に隣接しているのは、側壁部分(60)であって、それには約0.05D〜0.06D、好ましくは0.0572Dに等しい曲率半径を有する環状領域(63)があり、その曲面の中心点は平面内側領域(61)から距離Y1の位置にある。環状領域(63)の角度(70)は約40°〜約70°、好ましくは約60°〜65°、あるいは約62°である。環状領域(63)の周辺に隣接しているのは、第1の円錐領域(64)であり、鉛直方向に関して角度A1で上方に傾斜しており、その角度は約20°〜約35°、好ましくは約25°〜30°、あるいは約27.5°である。さらに、円錐台領域(64)の長さは約0.015Dより長く、好ましくは約0.025D〜0.05D、より好ましくは約0.036Dである。さらに、第1の円錐台領域(64)に隣接して、アーチ形の環状領域(65)があり、その曲率半径は0.015D〜0.03D、好ましくは約0.024Dであって、その中心点は平面内側領域(61)からY2の距離にある。アーチ形環状領域(65)の角度は(71)は、約61°〜約82°、好ましくは66°〜77°の範囲を取り得るか、あるいは約73°である。アーチ形環状領域(65)の遠位部分であるアーチ形環状領域(65)の第2部分(67)の配置は、その第2部分(67)でのアーチ形環状領域(65)の曲面に対する接線が約0°〜12°の角度で下方および外方向に傾斜しているようなものとなっている。
【0043】環状領域(63)およびアーチ形環状領域(65)の組み合わせは、上述に記載の形で、アーチ形環状領域(65)の第2部分(67)を配置するようなものとしなければならない。すなわち、環状領域(63)の角度(70)と、アーチ形環状領域(65)の角度(64)とそれらの間にある第1の円錐台領域(64)との組み合わせで、アーチ形環状領域(65)の第2部分(67)の位置が決まり、それは、アーチ形環状領域(65)の第2部分(67)の遠位末端から実質的に接線方向に広がる第2の円錐台領域(68)が約0°〜12°の角度で外方向および下方に広がるような形になっている。第2の円錐台領域(68)の長さは約0.03D〜約0.05D、好ましくは0.04Dである。第2の円錐台領域(68)はアーチ形環状領域(65)の第2部分(67)から実質的に接線方向に延びていることから、第2の円錐台領域(68)は角度A3で外方向および下方に延び、その角度は平面内側領域(61)によって形成される水平面に関して約0°〜12°の範囲である。
【0044】第2の円錐台領域(68)の外周には、第2の円錐台領域(68)から外方向および下方に広がる別の円錐台領域の形態の縁部(69)が隣接している。縁部(69)の長さは、0.005D以上、好ましくは約0.010Dである。さらに、縁部(69)は、鉛直方向から45°以下、好ましくは鉛直面に関して約15°〜30°の角度A2で延びている。
【0045】第2の円錐台領域(68)および縁部(69)の間の移行部分には、移行領域(72)がある。移行領域(72)は曲率半径R3を持ち、その半径は約0.008D〜0.01Dの範囲、好ましくは約0.0092Dであり、その中心点は平面内側領域(61)から距離Y3にある。さらに、移行領域(72)は約48°〜70°の角度A4を有する。図9〜12に開示のプレートは、全体を本明細書に引例として加える米国特許5088040号に開示のプレートの寸法を有する。これらの容器は、本発明の容器の性質を高める上で好適な隆起、浮彫り細工および型押しなどの他の特徴を有することができる。
【0046】図13〜16に図示したものは本発明を例示するものであって、それらの図は本発明を限定するためのものではなく、本発明の主要な特徴および基本概念に変更を加えることなく、当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき点である。本発明の1実施態様において、トレーは図13〜16に示し、本発明の譲受人に対して譲渡された本願に引例として加える米国特許5326020号に記載されているディキシー(登録商標)スーパーストロングの側面を有するものである。これらのトレーにはさらに、本発明のトレーの性質を高める上で好適な隆起、浮き彫り細工および型押しのパターンなどの他の特徴を持たせることができる。代表的なトレーを図13〜16に図示してある。以下の説明において、寸法はそれぞれ、長さD1または幅D2についてのものであり、図13〜16に図示した本発明による場合、それぞれ約27.6cmおよび20.3cmである。しかしながら、これら容器の特定の長さおよび幅は必須の限定ではなく、本明細書では例として挙げてあるに過ぎない。重要なのは、枠形状の各種部分間の関係である。図13および14に図示の実施態様による平面状の内側領域(101)は長さX1を持ち、それは約0.3D1〜0.4D1および0.3D2〜0.4D2、好ましくは0.354D1および0.342D2に等しい。平面状内側領域(101)の外周に隣接しているのは、側壁部分(100)であって、それには約0.02D1〜0.03D1および0.025D2〜0.035D2、好ましくは0.023D1および0.031D2に等しい曲率半径を有する環状領域(103)があり、その曲面の中心点は平面内側領域(101)から距離Y1の位置にある。環状領域(103)の角度(110)は約40°〜約80°、好ましくは約65°〜75°、あるいは約69°である。環状領域(103)の周辺に隣接しているのは、第1の円錐領域(104)であり、鉛直方向に関して角度A1で上方に傾斜しており、その角度は約10°〜約50°、好ましくは約15°〜25°、あるいは約21°である。さらに、円錐台領域(104)の長さは約0.05D1および0.055D2より長く、好ましくは約0.1D1〜0.2D1および0.15D2〜0.25D2、より好ましくは約0.15D1および0.19D2である。さらに、第1の円錐台領域(104)に隣接して、アーチ形の環状領域(105)があり、その曲率半径は0.005D1〜0.007D1および0.007D2〜0.009D2、好ましくは約0.006D1および0.008D2であって、その中心点は平面内側領域(101)からY2の距離にある。アーチ形環状領域(105)の角度(111)は、約40°〜約92°、好ましくは65°〜87°の範囲を取り得る。アーチ形環状領域(105)の遠位部分であるアーチ形環状領域(105)の第2部分(107)の配置は、その第2部分(107)でのアーチ形環状領域(105)の曲面に対する接線が約0°〜12°の角度で下方および外方向に傾斜しているようなものとなっている。
【0047】環状領域(103)およびアーチ形環状領域(105)の組み合わせは、上述に記載の形で、アーチ形環状領域(105)の第2部分(107)を配置するようなものとしなければならない。すなわち、環状領域(103)の角度(111)と、アーチ形環状領域(105)の角度(111)とそれらの間にある第1の円錐台領域(124)との組み合わせで、アーチ形環状領域(105)の第2部分(107)の位置が決まり、それは、アーチ形環状領域(105)の第2部分(107)の遠位末端から実質的に接線方向に広がる第2の円錐台領域(108)が約0°〜12°の角度で外方向および下方に広がるような形になっている。第2の円錐台領域(108)の長さは約0.045D1〜約0.055D1および0.030D2〜約0.040D2、好ましくは0.052D1および0.034D2である。第2の円錐台領域(108)はアーチ形環状領域(105)の第2部分(107)から実質的に接線方向に延びていることから、第2の円錐台領域(108)は角度A3で外方向および下方に延び、その角度は平面内側領域(161)によって形成される水平面に関して約0°〜12°の範囲である。
【0048】第2の円錐台領域(104)の外周には、第2の円錐台領域(108)から外方向および下方に広がるさらに別の円錐台領域の形態の縁部(109)が隣接している。縁部(109)の長さは、0.006D1および0.009D2以上、好ましくは約0.010D1および0.013D2である。さらに、縁部(109)は、鉛直方向から45°以下、好ましくは鉛直面に関して約10°〜30°、より好ましくは約20°の角度A2で延びている。
【0049】第2の円錐台領域(108)および縁部(109)の間の移行部分には、移行領域(112)がある。移行領域(112)は曲率半径R3を持ち、その半径は約0.005D1〜0.007D1および0.007D2〜0.009D2の範囲、好ましくは約0.006D1および0.008D2であり、その中心点は平面内側領域(21)から距離Y3にある。さらに、移行領域(112)は約48°〜80°の角度A4を有する。
【0050】図17〜20に図示したものは本発明を説明するためのものであって、これらの図が本発明を限定するものではないこと、ならびに本発明の主要な特徴および基本概念を変えることなく当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき点である。本発明の1実施態様において、ボールを図17〜20に図示してある。これらの容器にはさらに、本発明の容器の性質を高める上で好適な隆起、浮き彫り細工および型押しのパターンなどの他の特徴を持たせることができる。以下の説明において、寸法はそれぞれ、所定の直径D(図17〜20に図示した本発明による場合、約19.1cm)との関係での値を指している。しかしながら、容器の特定の直径は必須の限定ではなく、本明細書では例として挙げてあるに過ぎない。重要なのは、枠形状の各種部分間の関係である。図17〜20に図示の実施態様による平面状の内側領域(131)は半径X1を持ち、それは約0.2D〜0.3D、好ましくは0.25Dに等しい。平面状内側領域(131)の外周に隣接しているのは、側壁部分(130)であって、それには約0.05D〜0.15D、好ましくは0.11Dに等しい曲率半径を有する環状領域(133)があり、その曲面の中心点は平面内側領域(131)から距離Y1の位置にある。環状領域(133)の角度(141)は約45°〜約75°、好ましくは約60°〜70°、あるいは約65°である。環状領域(133)の周辺に隣接しているのは、第1の円錐領域(134)であり、鉛直方向に関して角度A1で上方に傾斜しており、その角度は約15°〜約45°、好ましくは約20°〜30°、あるいは約25°である。さらに、円錐台領域(134)の長さは約0.1Dより長く、好ましくは約0.17D〜0.19D、より好ましくは約0.18Dである。さらに、第1の円錐台領域(134)に隣接して、アーチ形の環状領域(135)があり、その曲率半径は0.015D〜0.030D、好ましくは約0.023Dであって、その中心点は平面内側領域(131)からY2の距離にある。アーチ形環状領域(135)の角度は(142)は、約45°〜約87°、好ましくは60°〜77°の範囲を取り得る。アーチ形環状領域(135)の遠位部分であるアーチ形環状領域(135)の第2部分(137)の配置は、その第2部分(137)でのアーチ形環状領域(135)の曲面に対する接線が約0°〜12°の角度で下方および外方向に傾斜しているようなものとなっている。
【0051】環状領域(133)およびアーチ形環状領域(135)の組み合わせは、上述に記載の形で、アーチ形環状領域(131)の第2部分(137)を配置するようなものとしなければならない。すなわち、環状領域(133)の角度(130)と、アーチ形環状領域(135)の角度(131)とそれらの間にある第1の円錐台領域(134)との組み合わせで、アーチ形環状領域(135)の第2部分(137)の位置が決まり、それは、アーチ形環状領域(135)の第2部分(137)の遠位末端から実質的に接線方向に広がる第2の円錐台領域(138)が約0°〜12°の角度で外方向および下方に広がるような形になっている。第2の円錐台領域(138)の長さは約0.02D〜約0.04D、好ましくは0.03Dである。第2の円錐台領域(138)はアーチ形環状領域(135)の第2部分(137)から実質的に接線方向に延びていることから、第2の円錐台領域(138)は角度A3で外方向および下方に延び、その角度は平面内側領域(131)によって形成される水平面に関して約0°〜12°の範囲である。
【0052】第2の円錐台領域(134)の外周には、第2の円錐台領域(138)から外方向および下方に広がる別の円錐台領域の形態の縁部(139)が隣接している。縁部(139)の長さは、0.01D以上、好ましくは約0.017Dである。さらに、縁部(139)は、鉛直方向から45°以下、好ましくは鉛直面に関して約10°〜30°、より好ましくは約25°の角度A2で延びている。
【0053】第2の円錐台領域(138)および縁部(139)の間の移行部分には、移行領域(143)がある。移行領域(143)は曲率半径R3を持ち、その半径は約0.007D〜0.012Dの範囲、好ましくは約0.009Dであり、その中心点は平面内側領域(131)から距離Y3にある。さらに、移行領域(142)は約48°〜80°の角度A4を有する。
【0054】図21に図示したものは本発明を説明するためのものであって、この図が本発明を限定するものではないこと、ならびに本発明の主要な特徴および基本概念を変えることなく当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき点である。本発明の容器は、持ち帰り用容器として成形することができ、代表的な実施態様としてここでは、本明細書に引例として加える米国特許5377860に記載のような形態の蓋部および底部を図示してある図21に関して説明を行う。図21に記載の容器は長方形であるが、容器に入れる内容物に応じて円形、楕円形、実質的に矩形または正方形とすることができる。この容器(30)は底部(31)と蓋部(32)から形成されている。蓋部(32)には、放射方向に延びた開口タブ(33)があって、それが底部(31)の放射方向に延びる開口タブ(34)と連動して、消費者が封止容器を容易に開けることができるようになっている。容器(30)の底部(31)にはほぼ平面の底(35)とほぼ鉛直方向に広がる周辺側壁(36)とがある。直立した側壁(36)と一体となってつながって密閉縁(37)があり、それは蓋部(32)の共同する密閉縁(38)の中にはめ込まれる。
【0055】蓋部(32)には、ほぼ平面状の頂部(39)と頂部(39)の周囲に広がる縁部(40)がある。縁部(40)は、蓋(32)の拡張容量部(41)の強度を高めるためのものである。縁部(40)はさらに、蓋を台として使用する場合に、蓋上に底部(31)を乗せる上で役立つものでもある。
【0056】拡張容量部分(41)は、縁部(40)の周囲にあってそこから下方に広がっている拡張壁(42)によって形成されている。拡張壁(42)は、蓋(32)の頂部(39)に対してほぼ平行である水平方向の蓋補強リング(43)と一体で形成されている。蓋強化リング(43)の外周はさらに、密閉縁(38)と一体で形成されている。さらに、同様に頂部(39)に対してほぼ平行に延びる第2の水平蓋強化リング(44)が、密閉縁(38)から放射方向で外方向に延びている。
【0057】同様に、底部(31)には、密閉縁(37)と容器(30)全体の構造的完全性を支持および維持するために、密閉縁(37)の周囲から延びる水平方向蓋強化部材(45)がある。強化リング(45)に加えて、積層および堆積した場合に過度の相互貫通によって堆積ユニットが押しつぶされた状態となるのを防止するため、周辺側壁(36)の上側部分周囲に階段部(46)を設けることができる。さらに、側壁(36)の上側部分に、戻り止め(48)と協動する複数の切下げ(47)があり、図21にはそのうちの1個のみが、縁(38)と蓋強化リング(43)の間の一体連結部に図示してある。切り下げ(47)と篏合された場合に戻り止めは、容器が実際に密封されたことを音で示す。さらに、切り下げ(49)を縁(38)の外側部分に形成された戻り止め(50)を受けるための縁(37)の外周に設けて、やはり容器が密閉されたことを音で示すようにすることができる。図21に図示した容器は、縁(47)および(38)のそれぞれの外側部分および内側部分の両方に形成された戻り止めおよび切り下げを示しているが、縁の一方のみに個々の戻り止めおよび切り下げを設けるか、あるいは縁のいずれの側にも戻り止めと切り下げを設けないようにすることが望ましい場合がある。
【0058】パ−カー粗度(Parker Roughness)法により、メスマー・パーカー印刷サーフ粗度(Messmer Parker Print Surf Roughness)を用いて、粗度の測定を行った。操作手順の詳細は、フイゲン社(Huygen Corporation)配布のメスマー・インストルーメンツ社(Messmer Instruments Ltd.)の装置(ME-90型)用ユーザーマニュアルに記載されている。平坦な試料を圧力1MPa下に、柔らかい裏張りによって、狭い環状面に対してクランプ止めし、試料と環状部との間の間隙の空気流の抵抗を測定する。空気流は、間隙幅の3乗に比例し、粗度はμm単位での平均間隙立方根として表現される。パーカー粗度値が高いほど、表面粗さの程度が高いことを示している。光沢は、「75度または60度での光沢単位」として表現される。光沢の測定は、以下のTAPPI標準法T−480−OM92に従って行った。
【0059】TAPPI法T524OM−94を用いて、ハンター(Hunter)色のL、aおよびbパラメータを測定した。記号L、aおよびbは、以下の色値を表す。すなわちLは、黒についてはゼロであって完全な白色では100へと上昇する明度を指し、aは、プラスの場合は赤、マイナスの場合は緑、ゼロの場合は灰色を指し、bは、プラスの場合は黄色であり、マイナスの場合は青であり、ゼロでは灰色を指す。
【0060】白色度指数は、刊行物("Measurement and Control of the Optical Properties of Paper", Technidyne Corporation, New Albany, Indiana)に記載の手順により測定した。
【0061】本発明によれば、本発明のプレートでは、フランジでの厚さ変動係数が5未満、好ましくは3未満であり、側壁での厚さ変動係数が7未満、好ましくは5未満であることが望ましい。さらに本発明のプレートは、坪量77.1kg/279m2連で、250g/1.27cmのSSIプレート剛性値を有することが望ましい。本発明のプレートは、パーカー粗度が10μm以上であり、食品と接触する側で光沢表面が30光沢単位以下であることが、さらに望ましい。
【0062】
【実施例】以下の実施例は本発明を説明するものである。これらの実施例は本発明を限定するものではなく、本発明の主要特徴および基本的概念に変更を加えることなく当業者が各種変更を行い得ることは理解しておくべき重要な点である。
【0063】実施例1表1に記載の条件で、図1に示したように、雲母充填ポリプロピレンシート(0.051cm)および未充填ポリプロピレンシート(0.056cm)を押し出した。これらの押出工程条件については必要に応じて変更を加えて、許容できる品質のシートを製造することができる。具体的には、バレル領域1、2および3についての操作可能温度範囲はそれぞれ、約177〜218℃、204〜232℃および232〜260℃である。アダプタ、送りブロックおよびダイスの温度はいずれも、約232〜260℃の範囲とすることができる。押出機駆動電流、押出機速度、溶融圧、ダイス圧、チルロール温度およびライン速度についての値の範囲はそれぞれ、約12〜20アンペア、60〜100RPM、10.3〜17.2MPa、3.1〜4.5MPa、44〜60℃および3〜8FPMである。シートには次に真空熱成形を行って、図5〜21に示したようなプレートおよび他の容器ならびに蓋とした。表2および3にはそれぞれ、図2R>2の条件(B)を用いて真空成形し、寸法26cmまたは22.2cmのプレートの側壁、底部およびフランジ(縁部)の領域についての剛性値および厚さデータを示してある。各表には、各試料についての個々の剛性値を示してある。さらに、統計データのまとめの値とともに、各試料について、側壁、底部およびフランジの領域における厚さ均一性を報告してある。具体的には、表2および3中の各プレート試料の厚さを、側壁、底部およびフランジ領域から成る3つの対象領域のそれぞれについて、ファウラーゲージを用いて10回測定し、各プレート試料についての平均値を相当する標準偏差とともに報告してある(すなわち、個々のプレートの統計データ)。表2の3個のプレートの場合、厚さの統計データの概要(特性の平均の列に表示)を、30回の測定値を平均して得た値に基づいて求めた。その場合、対象の3領域のそれぞれについて標準偏差を報告してある。表3の5個のプレートの場合、厚さの統計データのまとめの値は50回の測定値を平均して得られた値に基づいて計算したものであり、やはり対象の3領域のそれぞれについて標準偏差を報告してある。従って、特性平均の列に掲載した表2および3の厚さデータは、個々のプレートの統計データではなく、全体の統計データに関係するものである。厚さ均一性パラメータは、厚さの標準偏差を平均厚さで割って計算される変動係数(COV)からなるものであり、その比に100を掛けてあり、上記の全体平均および関連する標準偏差を用いている。COV値が小さいということは、未充填ポリプロピレンプレートと比較して、雲母充填ポリプロピレンプレートにおける厚さ均一性が改善されていることを示していることから、その値が小さい方が望ましい。表2および3から、雲母により、ポリプロピレンのCOVが側壁では9.9から4.3に、フランジ領域では9.6から2.0に低下していることが明らかである。従って、側壁での厚さ均一性には2倍超の向上があり、フランジにおける厚さ均一性には4倍を超える向上があった。厚さ均一性の向上は、食品輸送およびマイクロ波調理操作時のプレートの寸法安定性を高める上で必須である。雲母充填ポリプロピレンプレートの場合とは非常に対照的に、未充填ポリプロピレンプレートは、縁部領域の区切りが不明瞭であること、および非常に粗い表面であるシャークスキンから明らかなように、低い品質を示していた。これらのデータから、厚さ均一性の向上および熱成形性の向上(いずれも、未充填ポリプロピレンと比較して溶融強度が高くなっているためである)によって明らかなように、雲母がポリプロピレンの欠点を大きく改善するものであることがわかる。雲母は非常に一定した高アスペクト比の形態を持ち、「粒子間連結性」または「物理的架橋」を生じると考えることができることから、溶融強度を高める上で好ましい強化無機充填材である。雲母の大幅な強化効果はまた、SSIプレート剛性値が坪量約158kg/279m2連のPP/雲母では671g/1.27cmであるのに対して、坪量約127kg/279m2連である未充填PPでは342g/1.27cmであることからも明らかである。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
実施例2実施例1に記載の方法に従って製造した押出雲母充填ポリプロピレンについて、表面光沢および粗度に関する特性決定を行った。表4には、押出雲母充填ポリプロピレンシートでの75°光沢およびパーカー粗度(空気流法)データと、同じシート製剤を用いて図2の条件(B)に従って製造した真空成形10.25インチプレートの食品接触(空気)側についての同一特性を示してある。固有の熱的誘導微小粒表面は、図22の2つの顕微鏡写真で示したように、光沢の大幅な低下および粗度の大幅な上昇を特徴とするものであり、それによって、見かけの好ましい、磁器または陶器のような外観が得られる。パーカー粗度法については、本明細書中、実施例の欄以前の箇所で説明してある。
【0067】
【表4】
表4に示したように、無添加押出シートと比較して、粗度の上昇および光沢の低下から明らかなように、食品接触側は粗くなっている。容器およびプレートに磁器のような見た目を与える微小粒表面を形成するには、粗い外観が望ましい。
実施例3雲母充填ポリプロピレンシートは良好に真空成形されて、0.34kgの楕円形マイクロ波処理用容器となり、その場合に底部は図2の方法(B)を用いて製造し、蓋部は図2の方法(A)を用いて製造した。それとは対照的に、未充填ポリプロピレンシートを形成することを試みたが、奏功しなかった。
【0068】実施例4シートロール(幅44.5cm)を実施例1および図1に記載の方法に従って、3つの厚さで押し出した。表5には、PP/40%雲母材料と工程条件をまとめてある。表6には、PP/40%雲母シートの特性をまとめてある。
【0069】
【表5】
【0070】
【表6】
実施例5実施例4に記載のシート規格からのプレートを、1−アップ(1-up)水冷雌型を用いて製造し(圧縮ボックス/減圧の組立装置にて)、次に一致するパンチによるトリミングを行った。型温度は21℃であり、22.9cm、25.4cmおよび27.9cmプレート試験でのシート温度はそれぞれ、149℃、154℃および146℃であった。22.9cmおよび25.4cmのプレートは、20サイクル/分で製造し、27.9cmプレートのバルクは25サイクル/分で製造した。
【0071】市販機械でのオーブン温度制御は、適当にゾーン形成した頂部のガラスヒータおよび底部のカルロッド(calrod)ヒータによって良好であった。通常、温度が高いほど微小粒性が高くなる代わりにシートの型だれおよびしわが顕著になるという犠牲を伴うが、低温では型だれが低減する傾向がある代わりに磁器のような外観が弱くなるという犠牲が伴う。
【0072】頂部オーブン温度を1.7〜2.8℃だけ上昇させ、相当する量だけ底部温度を下げることで、最も良好な結果(「型だれ」やしわのない、すなわち、微小粒マットの食品接触表面)が得られた。このオーブン温度を選択的に制御できることで実際に、PP/雲母シートの好ましい工程温度ウィンドウの決定が容易になった。 表7に、図9〜12に示した形状を有し、22.9cm、25.4cmおよび27.9cmの直径を有するプレートの物性を示してある。
【0073】
【表7】
実施例6実施例1と図1および2に示した方法に従って、シートおよびプレートを製造した。表8に、シート押出および成形の条件を示してある。表9および10には、調製組成に関するデータを示してある。表9および10には、プレートの物理試験結果を示してある。図23および24にはそれぞれ、雲母濃度(雲母/TiO2比は一定で)に対して光沢およびプレート剛性をプロットしたグラフを示してある。
【0074】
【表8】
【0075】
【表9】
【0076】
【表10】
実施例7表11には、いくつかの雲母充填ポリプロピレン処方の商業的シート押出試験で用いたシート工程条件を示してある。これらのシートは、約91〜410kg/279m2連、好ましくは約91〜181kg/m2連の坪量を有することが好ましい。これらの雲母充填ポリプロピレンシートには、25〜35重量%の範囲で雲母を含有させた。
【0077】雲母とポリプロピレン混合物の押出は6”の商業押出機ラインで行った。押出機は多目的スクリューを有するイーガン(Egan)24/1 L/Dであった。ダイスは、52”コートハンガー型のものであった(Extrusion Die Inc.)。スタックコンディショニングロールは、上のものは研磨クロム、中間のものはマット(40RA表面)および下のものは研磨クロムとした。押出条件は表11に示してある。マットチルロールは、シートの熱成形時における微小粒表面の形成に役立ち、図26に図示した先行技術の非マット状の平滑シートとは対照的に、成形温度ウィンドウの幅に有利な向上があった。
【0078】
【表11】
表11に示した条件で製造したシートをマット仕上げした。表11の工程によって製造したシートの顕微鏡写真を、実施例1と同様の条件下に製造したものと対比して、図25および26の顕微鏡写真に示してある。
【0079】
【表12】
(A)上部マット側を有するマット押出シート(B)押出シート(A)−マット側とは反対の下側(C、D、E、F)プレート−(A)の上マット側に相当する食品接触側(G)非マット押出シート−上側(マットロールなし)
(H)非マット押出シート−下側(マットロールなし)
非マット押出シートの場合には通常、プレート光沢とプレート粗度は逆比例する関係にある(例:一般に得られている先行技術のデータで明らかになっているように、高光沢は低粗度に相当し、その逆も言える。)。その場合、所望の微小粒感を得るには、ある温度範囲内とする(約146℃〜152℃)。その範囲を超えると、成形工程には型だれによる制限が生じ、その範囲より低いと高光沢・低粗度によってわかるように、得られる微小粒特性が不十分なものとなる。 押出工程のチルロールスタックでのマットロールの使用により、商業的に魅力的な熱形成工程温度範囲が有効に広がる(約129℃〜152℃)。具体的には、表面微小粒性が許容できるプレートを比較的低温で成形することができ、それによって、プレートの粗度低下がシート表面(A)を用いた場合にプレート光沢に予想外の低下が生じることで補償される。この約5.5℃〜約22℃のプレート成形温度ウィンドウにおける有利な増加は、押出シートに対してマット表面仕上げを加えることで生じる。
【0080】熱成形は、積層可能品の最終形状への圧縮またはスキージングである。最も簡単な形態では熱成形は、型取りした型に軟化させたシートを掛けるものである。より最新の形態では、熱成形は、正確に制御された温度のシートを自動的に高速で、油圧式の成形ステーション中に位置決めするものである。
【0081】好適な成形・熱成形工程または図2に示したような好ましい熱成形工程で使用される押出シートの厚さは、約0.025〜0.20cm、好適には0.025〜0.076cm、好ましくは0.04〜0.06cmである。押出シートにおける好適な雲母充填材負荷レベルは、25〜30重量%の範囲であり、その場合、雲母フレークのアスペクト比は30〜300、より好ましくは80〜120の範囲であり、粒度は約50〜500μmの範囲である。
【0082】マットロールを用いてシートの片側をマット仕上げすることで、約129℃〜152℃という比較的広い温度ウィンドウで商業的熱成形が好適に行われたが、マット仕上げを行わない場合には、同じ商業的装置を用いた熱成形は約146℃〜152℃の温度で行った。
【0083】PP/30%雲母およびPP/25%雲母処方を用いた商業的装置での試験から、熱成形温度ウィンドウ範囲が約5.5℃(以前の試験)から約19℃という高い値で拡大している。これは主として、本発明者らが押出工程時にチルロールスタックでマットロールを効果的に使用したためである。これにより、シートの空気側に平滑なマット仕上げを行い(すなわち、プレートの食品接触表面)ながら、成形工程時に、相対的に粗い下側が砂吹きした側の型と接触するようにした。次に、マットシートの使用によって、微小粒性をあまり低下させずに比較的低い温度(型だれ回避には良い)で成形を行うことができた。具体的には、成形ウィンドウは129℃から約149℃〜152℃の範囲であり、工程安定性と製造物の外観/見た目のバランスが最も良いのは、約138℃〜143℃の場合であった。
【0084】実施例8図3には、雲母充填ポリプロピレンプレートと競合するプラスチック製使い捨てプレートについての剛性と現在のプレート材料コストの比較を示してある。「J」とは、本発明の雲母充填ポリプロピレンプレートを指し、「S」とはソロ・カップ社(Solo Cup Company)によって現在製造されているものなどのポリスチレンに基づくプレートを指す。平均プレート厚さを、各プレートの種類および大きさについて示してある。図の左側は22.2cmプレートについてのデータを示してあり、その場合、厚さとコストが大幅に低下していても、Jプレートの剛性はSの約3倍である。図の右側は26cmプレートについてのデータを示してあり、その場合、Jプレートの剛性は同一厚さでSの7倍を超えている。白丸の点は、厚さが薄くなっていることでプレート材料のコストがSと同等である26cmJプレートについて計算した剛性に相当するものである。
【0085】Jの推定厚さXは、X=(19ミル)(2.9セント/3.8セント)として計算される。厚さを小さくした場合の同等コストでの理論的剛性R1は次のように計算される。
【0086】実施例9図4では、平均厚さ0.048cm(J)の雲母充填ポリプロピレン26cmプレート(J)についての耐熱性能を、同じ大きさおよび厚さの(S)ポリプロピレンに基づくプレート(S)と比較している。耐熱性の尺度は、10ラジアン/秒でレオメトリクス・ソリッズ(Rheometrics Solids)分析装置を用いて測定した動的屈曲保存係数E’である。E’値が高いほど、剛性が高く、寸法安定性が向上していることを示している。動的機械スペクトル測定は、温度および負荷頻度(変形時間スケール)に関係するポリマー材料の粘弾性評価に使用される一般的方法である。本発明のSプレート材料およびPP/雲母シートの平坦矩形試料の動的機械特性について、レオメトリック・サイエンティフィック(Rheometric Scientific)が製造し、二重カンチレバー曲げ固定具を搭載したレオメトリクス・ソリッズ分析機RSAII装置を用いて、10ラジアン/秒で屈曲変形を行った。温度走査は、各温度で0.5分間の固定時間を設けて、2℃の温度段階を用いて、0.05%歪みで行った。駆動モータによって負荷歪みとトランスデューサによって測定される反作用アウトプットとの間の時間間隔から、材料の複素係数E*値が得られる。パラメータE*は正式にはE*=E’+iE”と表され、その場合E’は保存係数(純粋に弾性の項)であり、E”は喪失係数(純粋に粘性の項)である。保存係数E’は、歪みと同期の反作用力を歪みで割った値として定義され、周期当たりの保存および回収されたエネルギーの尺度を与えるものである。喪失係数E”は、歪みと90°位相のずれた反作用力を歪みで割った値として定義され、周期当たりの発散されるエネルギーの尺度を与えるものである。喪失係数の保存係数に対する比は一般に減衰(デルタの正接値)として知られる(デルタは、反作用力と歪みの間の位相角度である)。動的保存屈曲係数E’は、耐熱性能の有効な尺度である。環境条件(25℃)では、本発明の雲母充填ポリプロピレンプレートについてのE’はSの場合よりかなり高い。油脂の多い食品のマイクロ波加熱または調理で一般的に生じる苛酷な温度に相当する121℃では、本発明のJプレートの耐熱性はSによって製造されるプレートよりかなり優れている。
【0087】
【数2】R=(KE)TexpN式中、Eはヤング率であり、Kは形状定数であり、Tは厚さである。図3に示したデータから、本発明のJプレートの剛性が、同等または相対的に低い材料コストで、市販のポリスチレンポリマーに基づくプレートより大幅に高いことがわかる。
【0088】実施例9図4では、平均厚さ19ミル(J)の雲母充填ポリプロピレン10.25インチプレート(J)についての耐熱性能を、同じ大きさおよび厚さの(S)ポリプロピレンに基づくプレート(S)と比較している。耐熱性の尺度は、10ラジアン/秒でレオメトリクス・ソリッズ(Rheometrics Solids)分析装置を用いて測定した動的屈曲保存係数E’である。E’値が高いほど、剛性が高く、寸法安定性が向上していることを示している。動的機械スペクトル測定は、温度および負荷頻度(変形時間スケール)に関係するポリマー材料の粘弾性評価に使用される一般的方法である。本発明のSプレート材料およびPP/雲母シートの平坦矩形試料の動的機械特性について、レオメトリック・サイエンティフィック(Rheometric Scientific)が製造し、二重カンチレバー曲げ固定具を搭載したレオメトリクス・ソリッズ分析機RSAII装置を用いて、10ラジアン/秒で屈曲変形を行った。温度走査は、各温度で0.5分間の固定時間を設けて、2℃の温度段階を用いて、0.05%歪みで行った。駆動モータによって負荷歪みとトランスデューサによって測定される反作用アウトプットとの間の時間間隔から、材料の複素係数E*値が得られる。パラメータE*は正式にはE*=E’+iE”と表され、その場合E’は保存係数(純粋に弾性の項)であり、E”は喪失係数(純粋に粘性の項)である。保存係数E’は、歪みと同期の反作用力を歪みで割った値として定義され、周期当たりの保存および回収されたエネルギーの尺度を与えるものである。喪失係数E”は、歪みと90°位相のずれた反作用力を歪みで割った値として定義され、周期当たりの発散されるエネルギーの尺度を与えるものである。喪失係数の保存係数に対する比は一般に減衰(デルタの正接値)として知られる(デルタは、反作用力と歪みの間の位相角度である)。動的保存屈曲係数E’は、耐熱性能の有効な尺度である。環境条件(77°F)では、本発明の雲母充填ポリプロピレンプレートについてのE’はSの場合よりかなり高い。油脂の多い食品のマイクロ波加熱または調理で一般的に生じる苛酷な温度に相当する250°Fでは、本発明のJプレートの耐熱性はSによって製造されるプレートよりかなり優れている。
【0089】E’を特徴とする、Sの販売するプレートと比較して優れた本発明のプレートJの耐熱性は、表13に示したように、その2種類のプレートについての実際のマイクロ波調理試験結果と強い相関を持つ。Sプレートは多くの種類の食品で歪み、寸法安定性を喪失するとともに、若干のシミおよび粘着から明らかなように、食品と接触した場合に望ましくない変化を起こす。他方、本発明のJプレートは、優れた寸法安定性を持つとともに、食品の調理および/または解凍を行う場合に優れた耐熱性を有していることから、優れたプレートである。
【0090】
【表13】
フォート・ジェームス社(J)の本発明のプレート試料とソロ・カップ社(S)製造のプレートについて、各種食品を用いて電子レンジ(三星(Samsung)MW8690型)にて試験を行った。いずれの場合も最大電力設定(10)を用い、調理/加熱の時間および手順は、包装に記載の食品製造業者の説明に従った。ほとんどの被験食品が冷凍のマイクロ波処理可能型のものであり、半解凍状態でプレート上に直接乗せてから調理した。適宜に、調理過程時に、パラフィン紙のゆるいカバーを施した。調理後、プレートを温水で丁寧に洗い、検査した。以下に、試験結果について詳細に述べる。その内容は表13にもまとめてある。
【0091】試験番号1の結果−砂糖を塗ったドーナツJ大きい楕円形の砂糖を塗ったドーナツを本発明のプレートに乗せて60秒間電子レンジで処理した。塗った糖が溶け、発泡して、プレート上に流れた。沸騰する砂糖と油脂の混合物のために、プレートの底部が非常に熱く感じられたが、プレートには歪み、シミおよび浸透は認められなかった。プレートは安全に扱えるだけの低温であった。ドーナツの残留物は容易に洗い落とされ、使用したプレートの外観は良好であった。
Sプレートの底が熱くなり、わずかに変形していたが、浸透はなかった。ただし、砂糖がプレートに付着した。
【0092】試験番号2の結果−チーズソースをかけたブロッコリーJグリーン・ジャイアント(Green Giant)のブロッコリーのチーズソースかけ10オンスを可撓性袋から取り出し、パラフィン紙でゆるく覆って、プレートに乗せて電子レンジ処理した。チーズが溶け、プレート上で発泡していたが、粘着はなかった。プレートの底は暖かかったが、浸透や寸法安定性喪失は認められなかった。洗浄後、シミは認められず、使用したプレートの外観は良好であった。
Sプレートの底が熱くなり、かなり変形していたが、浸透はなかった。
【0093】試験番号3の結果−ペパローニピザJツームストン(Tumbstone)の7オンスのペパローニピザをカバーをかけずにプレートに乗せて、4分間調理した。試験の中間時点あたりでチーズが溶けて、発泡が開始した。溶けたチーズがペパローニから滲み出た高温の液体脂肪と混和して、生地の端部でプレート上にしたたり落ちた。粘着、浸透、シミおよびプレートの寸法安定性喪失は認められず、使用したプレートの外観は良好であった。
Sプレートの底が熱くなり、中等度の変形があったが、浸透はなかった。ペパローニ中の油からの脂こい赤みがかったシミが完全には洗い落とせなかった。
【0094】試験番号4の結果−電子レンジ用子供食ポークリブパティ、バーベキューソース、フライ、蜂蜜トウモロコシパンJ部分的に調理された骨なしポークリブパティ、バーベキューソース、フライおよび蜂蜜トウモロコシパンからなる材料の入ったスワンソン(Swanson)の7.2オンスの電子レンジ用子供食を用いて、迅速な食事準備シミュレーション試験を行った。食品を区画トレーからプレート上に移した。ソースを豚肉の上にスプーンでかけ、パティの端とプレート上にたらした。トウモロコシパン種をスプーンで取り出し、フライの隣のプレート上に置いた。食品はパラフィン紙で緩く覆い、3.5分間調理した。電子レンジ調理後の検査により、トウモロコシパンが十分調理され、プレートに対して粘着や損傷がないことが明らかになった。ソースのかかったフライと豚肉による浸透はなく、プレートの寸法安定性は失われなかった。プレートを洗浄したところ、バーベキューソースによるわずかなシミのあることが認められた。全体的に、使用したプレートの外観は非常に良好であった。
Sプレートの底が主として豚肉のために変形し、バーベキューソースによるかなりのシミがあったが、浸透はなかった。
【0095】試験番号5の結果−トマトソースをかけたポークビーンズJトマトソースをかけたポークビーンズ(8オンスの缶)をプレートに乗せ、パラフィン紙で覆い、2分間加熱して、ほぼ沸騰させた。プレートの底が熱くなったが、縁部は冷えており、触ることができた。プレートの底は熱かったが膨れはなく、熱い食品プレートの縁部を持って扱った時も、寸法安定性の喪失は感じられなかった。浸透、歪みおよびシミは認められなかった。プレートの外観は良好であった。
Sプレートの底が非常に熱くなり、ひどく変形していたが、浸透はなかった。縁部を持って扱った時に、プレートの剛性が低下しているように感じた。
【0096】試験番号6の結果−シロップをかけたホットケーキおよび調理済みベーコンJこの試験では、スワンソンの電子レンジ用ホットケーキ・ベーコン朝食(大きさ4.5オンス)を用いた。この半解凍食は、3個のホットケーキと3個の部分的に調理済みのベーコン片からなるものであった。ホットケーキとベーコンをカートンに入ったトレーから取り出し、プレートに乗せた。ティースプーン5杯分のホットケーキ用シロップをホットケーキの上にかけ、食事を一つにまとめてパラフィン紙で覆い、2分間電子レンジにかけた。プレートの底は熱くなったが、全体的なプレートの性能は良好であり、歪み、浸透、寸法安定性の喪失およびシミはなかった。カリッとなる際にベーコンから熱い油脂分が若干滲み出したが、プレートに損傷は認められなかった。使用したプレートの外観は良好であった。
Sプレートの底は熱くなり、かなり変形したが(特にベーコンが置いてあった場所)、浸透は認められず、縁部を持って取り扱った際にプレートが柔らかいような感触があった。
【0097】試験番号7の結果−バターJバター(ティースプーン5杯分の大きさの塊)をプレートに乗せ、パラフィン紙でゆるく覆い、3分間電子レンジにかけた。バターが完全に溶け、プレートの底全体を覆った。バターは被験プレートの端部の方で沸騰し始めた。プレートの底は非常に熱くなり、若干歪んだが、浸透はなかった。プレートの縁部は触れることができる程度に冷えた感触があって、電子レンジからプレートを安全に取り出すことができた。少量のバターが焦げたが、プレートから簡単に洗い落とすことができた。プレート全体の性能は良好であった。
Sプレートの底が非常に熱くなり、かなり変形したが、浸透は認められず、脂ぎったフィルム状残留物を完全に洗い落とすことはできなかった。プレートは、縁部を持って扱った時に、柔らかく、ゴム状であるように感じられた。
【0098】試験番号8の結果−ベーコンJ生で保存処理したベーコン3片を3枚の紙タオルで包み、5分間調理した。全てのベーコンがカリッとなり、そのうちの20%が焦げた。プレートの底が非常に熱くなったが、縁部領域のほとんどが比較的冷えており、触ることができた。ベーコンから油脂分が滲み出し、タオルに浸透した。その油脂がプレートの底、側部および一部の縁部領域に溜まった。一部の縁部領域にたまった油脂により、プレートの局所的融解が生じたが、穴は生じなかった。プレートの底にたまった熱い油脂によってかなりの歪みが生じたが、浸透はなかった。試験番号8における全体的なプレート性能は、試験番号7の場合より満足度の低いものであった。
S生ベーコンを紙タオルで覆い、Sプレート上で調理したら、底が非常に柔らかくなり、電子レンジ内のガラストレーに付着した。そのような熱油脂条件下では、付着したポリマー領域で局所的融解が生じ、プレートをガラストレーから持ち上げた際に伸び上がった。プレートはひどく歪んだが、穴は形成されず、浸透も認められなかった。生ベーコンの場合を例外として、本発明のJプレートの電子レンジ中での挙動は、各種の水系食品、油脂性/脂肪性食品、砂糖を含む食品の組み合わせで良好であると考えられる。各種類の食品をプレート上で直接調理している際および調理後に、異臭や悪臭は認められなかった。以上のデータから、本発明のプレートが優れた特性を持つものであることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】シート押出工程の模式的フローチャートである。
【図2】微小粒表面を有するプレートおよび容器の製造のための熱成形工程の模式的フローチャートである。
【図3】本発明のプレートの剛性と先行技術の市販製品とを、現在の原料コストの観点で比較するグラフである。
【図4】本発明のプレートの熱耐性を先行技術の市販製品と比較する棒グラフである。
【図5】本発明の一例のプレートの一部破断図を加えた斜視図である。
【図6】図5に示したプレートの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図である。
【図7】図5に示したプレートの半径方向の断面図である。
【図8】本発明に従って成形されたプレートの中心線から始まる、図5に示したプレートの模式的側面図である。
【図9】本発明の他のプレートの一部破断図を加えた斜視図である。
【図10】図9に示したプレートの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図である。
【図11】図9に示したプレートの半径方向断面図である。
【図12】中心線から始まる図9に示したプレートの模式的側面図である。
【図13】本発明に含まれるトレーの一部破断図を加えた斜視図である。
【図14】図13に示したトレーの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図である。
【図15】図13に示したトレーの半径方向断面図である。
【図16】中心線から始まる図13に示したトレーの模式的側面図である。
【図17】本発明に含まれるボールの一部破断図を加えた斜視図である。
【図18】図17に示したボールの平面図、A−A断面図および断面図の一部拡大図である。
【図19】図17に示したボールの半径方向断面図である。
【図20】中心線から始まる図17に示したボールの模式的側面図である。
【図21】本発明に含まれる持ち帰り食品用容器を示す斜視図である。
【図22】本発明のプレート(上の写真)およびシート(下の写真)の表面の図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図23】雲母レベルに対して光沢をプロットしたグラフである。
【図24】雲母レベルに対してプレートの剛性をプロットしたグラフである。
【図25】マット処理表面(A)と非マット処理表面(B)を示す本発明のシートの図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図26】両側とも非常に光沢がある本発明のシートの表面の図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【符号の説明】
10 ホッパー
11 一次押出機
12、13、14 単一スクリュー式押出機
15 ダイス
16 本発明のシート
17 3ロール磨き/ケーシングユニット
18 引き込みユニット
19 巻き取り機ロール
20 上部ヒーター
21 下部ヒーター
22 オーブン
23 シート(熱で軟化したシート)
24 雄型
25 雌型
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プロピレンホモポリマーと(層状)無機材料の混合物からなり、且つ該板状(層状)無機材料が20〜40重量%である押出シートであって、121℃以上の軟化点を示し、少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を持つ押出シートを熱成形によって作られた、マイクロ波処理可能で食品接触適合性の、使い捨てで、剛性で強靱であるカップ、ボール、トレー、プレート、スフレ皿などの皿またはバケツの形態から選ばれた容器。
【請求項2】 プロピレンホモポリマーが60〜80重量%の量で存在する請求項1記載の容器。
【請求項3】 無機材料が雲母を含むものである請求項1または2記載の容器。
【請求項4】 前記混合物がプロピレンホモポリマーと無機材料の間の付着を促進するためのカップリング剤を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】 カップリング剤が0.5〜3重量%の量で存在する請求項4記載の容器。
【請求項6】 さらに、少なくとも一方の側、使用時に食品と接触しない側に微小粒表面を示す請求項1ないし5のいずれかに記載の無機材料が20〜40重量%の量で存在する請求項1ないし5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】一方の側にマットがある請求項1ないし6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】 さらに、59kg/279m2連以上、431kg/279m2連以下の坪量を示す請求項1ないし7のいずれかに記載の押出シートを用いて得られた容器。
【請求項9】(a)底部、(b)該底部(a)に連結し、該底部に形成された内側方向に次第に細くなる円錐台形の底部封止領域を有する上方に広がる周囲壁、(c)前記の上方に広がる周囲壁(b)に連結し、切下げのある二次封止用隆起を有する、下方および外側に向かって広がる縁を有してなる底部分(I)と、(d)頂部、(e)該頂部に連結し、下方に広がる周囲壁、(f)円錐台形蓋封止領域が形成され、該円錐台形蓋封止領域が円錐台形底部封止領域と篏合可能である、上方に広がる壁、(g)前記二次封止隆起と篏合可能な二次封止溝を有する、下方に広がる壁(h)前記二次封止溝と前記円錐台形蓋封止領域の間にあり、円錐台形底部封止領域を円錐台形蓋部封止領域に密着係合させながら同時に、二次封止隆起を二次封止溝に係合させるための、弾性の蓋再調整手段を有してなる一体成形蓋部(II)とを有する請求項1ないし8の何れかに記載の容器。
【請求項10】(a)ポロピレンホモポリマーおよび板状無機材料の押出成形可能な混合物を成形する段階、(b)押出成形によって、高温で前記混合物をシートに変える段階、(c)シートを回収する段階を有してなる請求項1の容器に用いるシートの製造方法。
【請求項11】 押出混合物を、マット仕上げ部を有するロール周囲の少なくとも一部に通過させ、その際に、該ロールに接触する該押出混合物の表面がマット状表面を有するような条件で通過を行う請求項10記載の方法。
【請求項12】 前記条件に、押出速度、マットロールを含めたロールスタックの大きさ、温度および形状の制御によって、ロールと接触する押出混合物の表面にマット状構造を与えることが含まれる請求項11記載の方法。
【請求項13】 押出混合物を、マット仕上げ部を有するロール周囲の少なくとも一部に通過させ、その際に、該ロールに接触しない該押出混合物の表面が粗い粒状構造を有するような条件で通過を行う請求項10ないし12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】 前記条件に、マットロールに接触しない押出混合物の表面を少なくとも部分的に固化させることが含まれる請求項13記載の方法。
【請求項15】 前記混合物が、請求項1ないし7のいずれかに定義の材料を含む請求項10ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】(a)請求項10ないし15のいずれかに記載の方法で得られたシートを熱成形する段階、ならびに(b)容器を回収する段階を有してなる、請求項1記載の容器の製造方法。
【請求項17】 型表面と接触しない容器の微小粒表面を形成するよう制御した型で、前記の容器を熱成形する請求項16記載の方法。
【請求項18】 容器が請求項1に定義の形態のものである請求項15ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】 請求項10ないし18のいずれかの方法によって製造される製品。
【請求項20】プロピレンホモポリマーと板状(層状)無機材料の混合物からなり、且つ該板状(層状)無機材料が20〜40重量%である押出シートであって、121℃以上の軟化点を示し、少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を持つ押出シートを熱成形によって作られた、マイクロ波処理可能で食品接触適合性の、使い捨てで、剛性で強靱な蓋。
【請求項21】(a)プロピレンホモポリマーおよび板状無機材料の押出成形可能な混合物を成形する段階、(b)押出成形によって、高温で前記混合物をシートに変える段階、(c)シートを回収する段階を有してなる請求項20の蓋に用いるシートの製造方法。
【請求項22】(a)請求項21に記載の方法で得られたシートを熱成形する段階、ならびに(b)蓋を回収する段階を有してなる、請求項20記載の蓋の製造方法。
【請求項23】 請求項21または22記載の方法によって製造される製品。
【請求項1】 プロピレンホモポリマーと(層状)無機材料の混合物からなり、且つ該板状(層状)無機材料が20〜40重量%である押出シートであって、121℃以上の軟化点を示し、少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を持つ押出シートを熱成形によって作られた、マイクロ波処理可能で食品接触適合性の、使い捨てで、剛性で強靱であるカップ、ボール、トレー、プレート、スフレ皿などの皿またはバケツの形態から選ばれた容器。
【請求項2】 プロピレンホモポリマーが60〜80重量%の量で存在する請求項1記載の容器。
【請求項3】 無機材料が雲母を含むものである請求項1または2記載の容器。
【請求項4】 前記混合物がプロピレンホモポリマーと無機材料の間の付着を促進するためのカップリング剤を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】 カップリング剤が0.5〜3重量%の量で存在する請求項4記載の容器。
【請求項6】 さらに、少なくとも一方の側、使用時に食品と接触しない側に微小粒表面を示す請求項1ないし5のいずれかに記載の無機材料が20〜40重量%の量で存在する請求項1ないし5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】一方の側にマットがある請求項1ないし6のいずれかに記載の容器。
【請求項8】 さらに、59kg/279m2連以上、431kg/279m2連以下の坪量を示す請求項1ないし7のいずれかに記載の押出シートを用いて得られた容器。
【請求項9】(a)底部、(b)該底部(a)に連結し、該底部に形成された内側方向に次第に細くなる円錐台形の底部封止領域を有する上方に広がる周囲壁、(c)前記の上方に広がる周囲壁(b)に連結し、切下げのある二次封止用隆起を有する、下方および外側に向かって広がる縁を有してなる底部分(I)と、(d)頂部、(e)該頂部に連結し、下方に広がる周囲壁、(f)円錐台形蓋封止領域が形成され、該円錐台形蓋封止領域が円錐台形底部封止領域と篏合可能である、上方に広がる壁、(g)前記二次封止隆起と篏合可能な二次封止溝を有する、下方に広がる壁(h)前記二次封止溝と前記円錐台形蓋封止領域の間にあり、円錐台形底部封止領域を円錐台形蓋部封止領域に密着係合させながら同時に、二次封止隆起を二次封止溝に係合させるための、弾性の蓋再調整手段を有してなる一体成形蓋部(II)とを有する請求項1ないし8の何れかに記載の容器。
【請求項10】(a)ポロピレンホモポリマーおよび板状無機材料の押出成形可能な混合物を成形する段階、(b)押出成形によって、高温で前記混合物をシートに変える段階、(c)シートを回収する段階を有してなる請求項1の容器に用いるシートの製造方法。
【請求項11】 押出混合物を、マット仕上げ部を有するロール周囲の少なくとも一部に通過させ、その際に、該ロールに接触する該押出混合物の表面がマット状表面を有するような条件で通過を行う請求項10記載の方法。
【請求項12】 前記条件に、押出速度、マットロールを含めたロールスタックの大きさ、温度および形状の制御によって、ロールと接触する押出混合物の表面にマット状構造を与えることが含まれる請求項11記載の方法。
【請求項13】 押出混合物を、マット仕上げ部を有するロール周囲の少なくとも一部に通過させ、その際に、該ロールに接触しない該押出混合物の表面が粗い粒状構造を有するような条件で通過を行う請求項10ないし12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】 前記条件に、マットロールに接触しない押出混合物の表面を少なくとも部分的に固化させることが含まれる請求項13記載の方法。
【請求項15】 前記混合物が、請求項1ないし7のいずれかに定義の材料を含む請求項10ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】(a)請求項10ないし15のいずれかに記載の方法で得られたシートを熱成形する段階、ならびに(b)容器を回収する段階を有してなる、請求項1記載の容器の製造方法。
【請求項17】 型表面と接触しない容器の微小粒表面を形成するよう制御した型で、前記の容器を熱成形する請求項16記載の方法。
【請求項18】 容器が請求項1に定義の形態のものである請求項15ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】 請求項10ないし18のいずれかの方法によって製造される製品。
【請求項20】プロピレンホモポリマーと板状(層状)無機材料の混合物からなり、且つ該板状(層状)無機材料が20〜40重量%である押出シートであって、121℃以上の軟化点を示し、少なくとも104℃までの温度で寸法安定であって、油脂、糖および水に対して耐性であり、鋸刃状のポリスチレン食器による切断に対して耐えるだけの強度を持つ押出シートを熱成形によって作られた、マイクロ波処理可能で食品接触適合性の、使い捨てで、剛性で強靱な蓋。
【請求項21】(a)プロピレンホモポリマーおよび板状無機材料の押出成形可能な混合物を成形する段階、(b)押出成形によって、高温で前記混合物をシートに変える段階、(c)シートを回収する段階を有してなる請求項20の蓋に用いるシートの製造方法。
【請求項22】(a)請求項21に記載の方法で得られたシートを熱成形する段階、ならびに(b)蓋を回収する段階を有してなる、請求項20記載の蓋の製造方法。
【請求項23】 請求項21または22記載の方法によって製造される製品。
【図11】
【図23】
【図5】
【図1】
【図2】
【図7】
【図8】
【図3】
【図4】
【図12】
【図15】
【図6】
【図9】
【図13】
【図10】
【図14】
【図24】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図25】
【図26】
【図23】
【図5】
【図1】
【図2】
【図7】
【図8】
【図3】
【図4】
【図12】
【図15】
【図6】
【図9】
【図13】
【図10】
【図14】
【図24】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図25】
【図26】
【特許番号】特許第3492896号(P3492896)
【登録日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【発行日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−304954
【出願日】平成9年10月20日(1997.10.20)
【公開番号】特開平10−235707
【公開日】平成10年9月8日(1998.9.8)
【審査請求日】平成10年3月6日(1998.3.6)
【出願人】(597156203)フォート ジェイムズ コーポレイション (2)
【参考文献】
【文献】特開 昭56−139927(JP,A)
【文献】特開 平3−101864(JP,A)
【文献】特開 平6−199334(JP,A)
【文献】特開 昭59−209520(JP,A)
【文献】特公 昭60−47298(JP,B2)
【文献】米国特許5326020(US,A)
【登録日】平成15年11月14日(2003.11.14)
【発行日】平成16年2月3日(2004.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成9年10月20日(1997.10.20)
【公開番号】特開平10−235707
【公開日】平成10年9月8日(1998.9.8)
【審査請求日】平成10年3月6日(1998.3.6)
【出願人】(597156203)フォート ジェイムズ コーポレイション (2)
【参考文献】
【文献】特開 昭56−139927(JP,A)
【文献】特開 平3−101864(JP,A)
【文献】特開 平6−199334(JP,A)
【文献】特開 昭59−209520(JP,A)
【文献】特公 昭60−47298(JP,B2)
【文献】米国特許5326020(US,A)
[ Back to top ]