説明

マイクロ流路型センサチップ、および測定装置

【課題】使用保証期限、使用保証期間、および管理方法に基づいて、より信頼性の高い測定値を取得する。
【解決手段】検体を含む被検液が注入されるマイクロオーダーの流路4・5を少なくとも1つ以上備え、検体と特異的に反応する認識材料を流路4・5に有するマイクロ流路型センサチップ1であって、自身を装着した測定装置20がマイクロ流路型センサチップ1の使用可否を判定するための情報である、マイクロ流路型センサチップ1の製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報と、マイクロ流路型センサチップ1の使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報と、使用保証期限と使用保証期間との関係に基づいて、マイクロ流路型センサチップ1の使用可否を測定装置20が判定する管理方法を示す情報とが記録された記録部13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境中の微粒子量、花粉量等の物理量や血液、唾液等の中に含まれる血糖、アディポサイトカインなどメタボリックに関連する物理量、各種マーカータンパク質などの物理量を計測するマイクロ流路型のセンサチップ、及びそのセンサチップを装着する測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療、生化学、あるいはアレルゲン等の分野において、従来から、分析・計測方法として免疫分析法が知られている。しかしながら、免疫分析法は、分析に一日以上の時間を要する、操作が煩雑である、といった問題が指摘されている。
【0003】
それに対して、近年、ガラス基板上にマイクロオーダーの流路が形成されたマイクロ流路型センサチップを免疫分析に応用する試みが提案されている。このセンサチップは、免疫反応を担う抗原または抗体が、予めプラスチックあるいはガラス等からなる微粒子の表面に形成され、マイクロ空間において免疫反応が起こることで反応時間を短縮させるというものである。その分析方法としては、熱レンズ顕微鏡を用いた分析方法、電極パターンを用いた電気化学反応を利用して検出する方法などが提案されている。
【0004】
ここで、図29、図30により、従来のマイクロ流路型センサチップ、及び該マイクロ流路型センサチップを用いた分析方法を説明する。図29は、従来のマイクロ流路型センサチップ100の上面図を示す。図30は、図29のXY断面におけるマイクロ流路型センサチップ100の断面図を示す。
【0005】
図30に示すように、マイクロ流路型センサチップ100は、ガラスまたはプラスチックからなる基板101とシリコン基板102とが、その主面を貼り合わせてなる。基板101の表面には、バッファー液などの溶液が流れる流路103・104と、流路103と流路104との間に、流路103から後述の微粒子105が流出することを防止する堰止部106とが形成されている。なお、流路103および流路104は、堰止部106の上方で連通しており、溶液は流路103から流路104へ流れる。
【0006】
シリコン基板102には、溶液類が注入される注入孔107と、その溶液類が排出される排出孔108とが形成されている。また、注入された基質材料が酵素によって電気的活性物質に変化し、その電気的活性物質を酸化還元電流として検出する電極109がシリコン基板102に形成されており、その電極109は、シリコン基板102に形成された端子部110と電気的に接続している。なお、電極109は、注入孔107を上流側、排出孔108を下流側とした場合、微粒子105の下流側に設けられている。そして、基板101とシリコン基板102とが貼り合わされた状態において、注入孔107は流路103と、排出孔108は流路104とそれぞれ連通し、電極109は、流路104の内部に配置されるようにシリコン基板102に取り付けられている。なお、図29の破線部は測定部111を示しており、上記の各構成要素が測定部111に含まれる構成となっている。
【0007】
上記構成において、マイクロ流路型センサチップ100を用いた分析方法を説明する。
【0008】
基板101とシリコン基板102とが貼り合わされた状態において、検体と特異的に反応する抗体が固定化されたプラスチックまたはガラスからなる微粒子105が、外部ポンプ等によって、バッファー液に分散されて注入孔107からマイクロ流路型センサチップ100の内部に注入される。上述したように、注入孔107は流路103と連通し、排出孔108は流路104と連通している。従って、微粒子105は、堰止部106で堰き止められるまで流路104から流路104へと流される。なお、注入孔107と排出孔108とは、流路103・104を介して連通しているため、注入孔107から注入されたバッファー液等の溶液類は、排出孔108から排出される。
【0009】
次に、外部ポンプ等によって、検体を含む被検液が注入孔107から注入される。そして、その検体と、該検体と特異的に反応する抗体が固定化された微粒子105とを反応させて、該検体を微粒子105の表面に捕捉させる。続いて、バッファー液を注入孔107から注入して、注入孔107から排出孔108までを洗浄する。洗浄後、酵素を標識として付けた抗体を含む溶液が注入孔107から注入され、固定化抗体−検体−酵素付抗体からなる複合体が微粒子105の表面に形成される。その後、バッファー液が注入孔107から注入され、バッファー液によって過剰な酵素付抗体が洗浄される。洗浄後、酵素により電気的活性物質に変化する基質材料が注入孔107から注入される。そして、酵素によって変化した電気的活性物質が酸化還元電流として電極109で検出され、その電流値に基づいて、マイクロ流路型センサチップ100が装着された測定装置によって電気的活性物質の量が測定される。このような方法によって、微量の検体の濃度が検出、測定される。
【0010】
なお、マイクロ流路型センサチップ100では、グリシン等の再生溶液によって、微粒子105の表面に形成された固定化抗体−検体−酵素付抗体からなる複合体から検体−酵素付抗体を除去することができ、それによってチップが再利用される。このようにして、マイクロ流路型センサチップ100は、繰り返し再生することで連続して使用される。
【0011】
図31は、従来のマイクロ流路型センサチップ120を示す。マイクロ流路型センサチップ120には、図29の破線部によって示される測定部113が複数形成されている。つまり、測定部113を複数備え、それらを順次使用することにより、1つのセンサチップを1回使用しただけで使い捨てるのではなく、複数回使用する方法も提案されている。
【特許文献1】特開2002−156358号公報(平成14年5月31日公開)
【特許文献2】特開2006−275724号公報(平成18年10月12日公開)
【特許文献3】特開平7−209242号公報(平成7年8月11日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、従来のマイクロ流路型センサチップ、及び該マイクロ流路型センサチップを用いた従来の分析方法には、次のような問題があった。つまり、使用期限のある抗体と検体とを特異的に反応させるため、センサチップに表示された使用保証期限を目安にして管理する必要があったが、その管理が十分ではなかった。より具体的には、該マイクロ流路型センサチップを測定装置に装着して連続使用する場合には、該センサチップが測定装置の内部に装着されたままの状態であるため、使用保証期限を確認することができなかった。その結果、使用保証期限を過ぎたセンサチップを使用してしまい、測定データの信頼性に欠けていた。
【0013】
また、従来の使い捨て型のセンサチップでは、年月で表示された使用保証期限が、その保存方法とともにチップパッケージ等に印刷されていた。しかしながら、センサチップが測定装置に装着されて長期間使用される場合にはパッケージを捨ててしまうなど、ユーザは、センサチップの使用保証期限に対する認識が甘くなりがちであった。その結果、使用保証期限を過ぎたセンサチップを使用してしまい、測定値の信頼性が欠如する結果を招いていた。この問題は、センサチップの使用頻度が少なく、使用保証期限に対する認識が甘いユーザには特に顕著であった。
【0014】
さらに、センサチップを測定装置に装着して連続使用する場合、上述した使用保証期限とは別に、使用保証期間によって管理することが好ましい場合がある。使用保証期間には、主に測定部に使用される材料の繰り返し使用可能な期間に基づいて決まる使用保証期間1と、初回の使用開始時点からの経過時間によって決まる使用保証期間2とがある。いずれの使用保証期間で管理するかは、測定方法、測定対象、あるいはセンサチップの使用材料等の種々の条件から決まる。この点、センサチップのユーザは、自身が行う分析が、どちらの使用保証期間で管理することが好ましいかを常に認識しておく必要があり、使用保証期間に対する認識が甘いユーザは、使用保証期間を過ぎたセンサチップを使用してしまい、測定値の信頼性が低くなるという問題があった。
【0015】
上記の問題に対して、特許文献1〜3には、バイオセンサの記録部に保存有効期限が記録され、その保存有効期限が外部の通知装置本体に表示される構成、あるいは音声スピーカーによって有効期限情報が使用者に知らされる構成が開示されている。
【0016】
しかしながら、特許文献1〜3には、使用保証期間に対する管理方法が開示されていない。敢えて言えば、特許文献3には、具体的構成は記載されていないものの、測定時間の積算値がデータ記憶メモリ内の管理データと照合されバイオセンサの使用寿命が使用者に知らされる、との記載は存在する。つまり、使用保証期間1による管理方法についての記載は存在する。しかしながら、使用保証期間2に基づいてセンサチップを管理する方法は開示も示唆もされていない。従って、2つの使用保証期間に基づいてセンサチップが管理されていないため、特許文献3に記載のバイオセンサでは、測定値の信頼性を十分に高めることができない。
【0017】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用保証期限、使用保証期間、および管理方法に基づいて、より信頼性の高い測定値が取得できるマイクロ流路型センサチップ、及びそのセンサチップが装着される測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係るマイクロ流路型センサチップは、前記課題を解決するために、検体を含む被検液が注入されるマイクロオーダーの流路を少なくとも1つ以上備え、前記検体と特異的に反応する認識材料を前記流路に有するマイクロ流路型センサチップであって、前記マイクロ流路型センサチップを装着した測定装置が該マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、前記マイクロ流路型センサチップの製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報と、前記マイクロ流路型センサチップの使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報と、前記使用保証期限と前記使用保証期間との関係に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を前記測定装置が判定する管理方法を示す情報とが記録された記録部を備えることを特徴としている。
【0019】
前記の構成によれば、本発明に係るマイクロ流路型センサチップは、自身を装着した測定装置が自身の使用可否を判定するための情報である、使用保証期限を特定するための情報と、使用保証期間を特定するための情報と、管理方法を示す情報とを記録部に記録している。従って、管理方法に応じて、使用保証期限と使用保証期間との関係から、自身を装着した測定装置が自身の使用可否を適切に判定することができる。このような構成とすることにより、より信頼性の高い測定値を取得することができる。
【0020】
本発明に係るマイクロ流路型センサチップは、着色用液を収容している第1液溜部と、前記第1液溜部から漏出した前記着色用液を収容する第2液溜部と、前記第1液溜部と前記第2液溜部との間を連通する通液路と、前記第1液溜部から前記第2液溜部への前記着色用液の漏出を制御するための漏出制御手段とを備えることが好ましい。
【0021】
本発明に係るマイクロ流路型センサチップは、前記漏出制御手段は、前記使用保証期限を特定するための情報、又は前記使用保証期間を特定するための情報に基づいて前記測定装置から出力される制御信号に従って、前記通液路を通って前記第1液溜部から前記第2液溜部へ前記着色用液を漏出させることが好ましい。
【0022】
センサチップは、外部から入力される制御信号に従って、通液路を通って第1液溜部から第2液溜部へ着色用液を漏出させる漏出制御手段を備える構成である。これにより、使用保証期限を特定するための情報、又は使用保証期間を特定するための情報に基づく制御信号を漏出制御手段に入力させて、そのタイミングで、着色用液が、通液路を通って第1液溜部から第2液溜部へ漏出する。これにより、第2液溜部に着色用液が流れたことを外観で確認することができ、使用保証期限又は使用保証期間が過ぎたこと、あるいは使用保証期限又は使用保証期間が間もなく来ることを確認することができる。そして、ユーザは、自分が使用するセンサチップをより適切に管理することができ、その結果、より信頼性の高い測定値を取得することができる。
【0023】
本発明に係るマイクロ流路型センサチップは、前記使用保証期間が、自身の累積使用時間によって規定され、前記管理方法を示す情報には、累積使用時間を記録する処理が登録されていることが好ましい。
【0024】
センサチップの使用を開始した場合、例えば、材料の劣化が温度に依存し、一度使用を中断して低温に保存すれば劣化が止まるが、再び使用温度に戻すと劣化が始まるケースがある。このような場合に、前記使用保証期間を、前記認識材料の累積使用時間によって規定することにより、認識材料の管理、つまり、センサチップの管理をより適切に行うことができ、より信頼性の高い測定値を取得することができる。
【0025】
本発明に係るマイクロ流路型センサチップは、前記使用保証期間は、自身の初回使用時からの経過時間によって規定され、前記管理方法を示す情報には、前記初回使用時を記録する処理が登録されていることが好ましい。
【0026】
前記認識材料の材料劣化が、実際に使用した期間ではなく、主に使用温度での材料の保存寿命で支配されるケースがある。このような場合に、前記使用保証期間を、自身の初回使用時からの経過時間によって規定することにより、認識材料の管理、つまり、センサチップの管理をより適切に行うことができ、より信頼性の高い測定値を取得することができる。
【0027】
本発明に係る測定装置は、前記課題を解決するために、検体を含む被検液が注入されるマイクロオーダーの流路を少なくとも1つ以上備え、前記検体と特異的に反応する認識材料を前記流路に有するマイクロ流路型センサチップを装着して、前記検体の濃度を測定するための測定装置であって、前記マイクロ流路型センサチップは、前記測定装置が該マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、前記マイクロ流路型センサチップの製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報と、前記マイクロ流路型センサチップの使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報と、前記使用保証期限と前記使用保証期間との関係に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を前記測定装置が判定するための管理方法を示す情報とが記録された記録部を備えており、前記記録部から、前記使用保証期限を特定するための情報、前記使用保証期間を特定するための情報、及び前記管理方法を示す情報を読み出す読出手段と、前記読出手段が読み出した、前記使用保証期限および前記使用保証期間に基づいて、前記読出手段が読み出した前記管理方法を示す情報に従って、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0028】
前記の構成によれば、本発明に係る測定装置は、その制御部が、センサチップの使用可否を判定するための情報である、使用保証期限を特定するための情報と、使用保証期間を特定するための情報と、管理方法を示す情報とを前記マイクロ流路型センサチップから取得し、取得した前記管理方法に従って、使用保証期限と使用保証期間との関係から、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定する。このようにして、より信頼性の高い測定値を取得する測定装置を実現することができる。
【0029】
本発明に係る測定装置は、前記課題を解決するために、検体を含む被検液が注入されるマイクロオーダーの流路を少なくとも1つ以上備え、前記検体と特異的に反応する認識材料を前記流路に有するマイクロ流路型センサチップを装着して、前記検体の濃度を測定するための測定装置であって、前記マイクロ流路型センサチップは、前記測定装置が該マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、前記マイクロ流路型センサチップの製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報と、前記マイクロ流路型センサチップの使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報と、前記使用保証期限と前記使用保証期間との関係に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を前記測定装置が判定するための管理方法を示す情報とが記録された記録部と、着色用液を収容している第1液溜部と、前記第1液溜部から漏出した前記着色用液を収容する第2液溜部と、前記第1液溜部と前記第2液溜部との間を連通する通液路と、前記第1液溜部から前記第2液溜部への前記着色用液の漏出を制御するための漏出制御手段とを備えており、前記マイクロ流路型センサチップより読み出した、前記使用保証期限を特定するための情報、又は前記使用保証期間を特定するための情報に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの前記漏出制御手段に対して、前記通液路を通って前記第1液溜部から前記第2液溜部へ前記着色用液を漏出させるための制御信号を出力する制御手段を備えることを特徴としている。
【0030】
前記構成を備えることにより、前記制御部は、前記マイクロ流路型センサチップの前記使用保証期限あるいは前記使用保証期間に関連付けて、該マイクロ流路型センサチップの漏出制御手段に制御信号を出力することができる。その結果、着色の有無を確認することで、前記マイクロ流路型センサチップが、前記使用保証期限あるいは前記使用保証期間を過ぎているか否かを判定することができる。あるいは、前記使用保証期限あるいは前記使用保証期間となる前の所定の時間(例えば前日など)を、前記マイクロ流路型センサチップの外観から判定することができる。
【0031】
本発明に係る測定装置は、前記使用保証期間が、前記マイクロ流路型センサチップの累積使用時間によって規定されることが好ましい。
【0032】
本発明に係る測定装置は、前記使用保証期間が、前記マイクロ流路型センサチップの初回使用時からの経過時間によって規定されることが好ましい。
【0033】
本発明に係る測定装置は、前記マイクロ流路型センサチップの装着時に前記使用保証期間を加えて算出される使用終了期限および前記使用保証期限の何れか早い方のタイミングで、測定が終了することが好ましい。
【0034】
本発明に係る測定装置は、前記マイクロ流路型センサチップの装着時に、累積使用期間が前記使用保証期間を過ぎている場合、測定を行わないことが好ましい。
【0035】
本発明に係る測定装置は、前記使用保証期間から累積使用期間を引いた期間を前記マイクロ流路型センサチップの装着時に加えて算出される使用終了期限および前記使用保証期限の何れか早い方のタイミングで、測定が終了することが好ましい。
【0036】
本発明に係る測定装置は、前記マイクロ流路型センサチップの装着時が前記使用保証期間を過ぎている場合、測定を行わないことが好ましい。
【0037】
本発明に係る測定装置は、前記マイクロ流路型センサチップの装着時を前記使用保証期間から引いて算出される使用終了期限および前記使用保証期限の何れか早い方のタイミングで、測定が終了することが好ましい。
【0038】
前記構成を備えることにより、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、使用保証期限を特定するための情報と、使用保証期間を特定するための情報と、管理方法を示す情報とに基づいて、測定装置が前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を適切に判定することができる。このような構成とすることにより、より信頼性の高い測定値を取得することができる。
【0039】
本発明に係る測定装置は、前記課題を解決するために、自身を個別に特定可能に付与された識別情報が記録されたマイクロ流路型センサチップを装着して、検体の濃度を測定するための測定装置であって、前記マイクロ流路型センサチップから前記識別情報を読み出す読出手段と、前記マイクロ流路型センサチップを装着した前記測定装置が該マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、前記マイクロ流路型センサチップの製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報、前記マイクロ流路型センサチップの使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報、および、前記使用保証期限と前記使用保証期間との関係に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための管理方法を示す情報を、前記識別情報に対応付けて記憶している記憶装置から、前記読出手段が読み出した前記識別情報に対応付けられた使用保証期限を特定するための情報、使用保証期間を特定するための情報、および管理方法を示す情報を抽出し、前記管理方法に従って、前記使用保証期限および前記使用保証期間に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0040】
また、本発明に係るマイクロ流路型センサチップは、前記課題を解決するために、測定装置が読み取り可能に、自身を個別に特定可能に付与された識別情報を記録している記録部を有することを特徴としている。
【0041】
前記の構成によれば、本発明に係る測定装置は、マイクロ流路型センサチップからその識別情報を取得すると共に、記憶装置から、その識別情報に対応付けられた使用保証期限、使用保証期間、および管理方法を含む管理情報を取得することができる。そして、該管理情報に含まれる前記管理方法に従って、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定することができる。このような構成を備えることにより、前記マイクロ流路型センサチップは、識別情報のみを記録しておけばよく、使用保証期限、使用保証期間、および管理方法を含む管理情報を記憶しておく必要がなくなる。従って、前記マイクロ流路型センサチップは、自身の記録部の記録容量を小さくすることができ、またセンサチップの小型化も実現することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明に係るマイクロ流路型センサチップは、以上のように、自身が装着される測定装置によって、使用保証期限と使用保証期間との関係に基づいて、自身の管理方法に従って使用可否が判定されるため、使用保証期限および使用保証期間が適切に管理され、その結果、信頼性の高い測定値を取得することができる。
【0043】
本発明に係る測定装置は、以上のように、マイクロ流路型センサチップの記録部に記録された使用保証期限、使用保証期間、及びマイクロ流路型センサチップの管理方法に従って、マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定することができる。その結果、マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定することができ、信頼性の高い測定値を取得することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本実施の形態では、より信頼性の高い測定値を得るために、マイクロ流路型センサチップを、使用保証期限と使用保証期間との関係に基づいて、その管理方法に従って使用可否を判定している。ここで、使用保証期限は、以下のように定義される。つまり、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップは、検体(ターゲット)と特異的に反応する抗原または抗体等の認識材料、あるいは、認識材料以外であっても、血液を扱う場合などには凝固防止材料、又は酵素材料等の様々な材料を使用する。そして、それらの材料には各々異なる寿命が存在する。そこで、すべての材料の寿命のうち、センサチップの製造時を起算基準として最も早い寿命となる時点を使用保証期限とする。例えば「製造日から5年間使用可能」というように、認識材料等の材料の寿命に基づく、各マイクロ流路型センサチップに固有の期限といえる。なお、使用する材料は、上記材料に限られるものではなく、当然のことながらセンサチップによって使用される材料は異なる。
【0045】
一方、使用保証期間には、センサチップの累積使用時間に基づいて規定される使用保証期間1と、センサチップの初回使用時からの経過時間によって規定される使用保証期間2とがある。例えば、使用保証期間1は、累積の測定時間が計5日以内なら使用を継続できる、というものである。また、使用保証期間2は、例えば、初回使用時から1ヶ月以内なら使用を継続できる、というものである。
【0046】
以下、使用保証期限と使用保証期間1とでセンサチップを管理する方法を管理方法1とし、使用保証期限と使用保証期間2とでセンサチップを管理する方法を管理方法2としたうえで、それぞれの管理方法について詳述する。なお、説明の流れとしては、まず管理方法1、2に係るマイクロ流路型センサチップ、および該センサチップを装着する、検体の濃度を測定するための測定装置の構成を説明する。続いて、それらを用いた検体の分析方法を述べる。その後、各管理方法において、使用保証期限と使用保証期間とに基づいて行われる管理方法を説明し、そのうえで、使用保証期限あるいは使用保証期間を過ぎたセンサチップの使用可否が自動判定(判別)される方法について説明する。
〔実施の形態1〕
本実施の形態では、使用保証期限と使用保証期間1とでセンサチップを管理する管理方法1について説明する。なお、センサチップを1度取り出して、再度使用する場合も本実施の形態に含まれる。管理方法1では、以下の情報をセンサチップの記録部に記録するだけで、後述する全てのケースにおいて、使用保証期限、あるいは使用保証期間1を過ぎたセンサチップが自動的に判別される。そして、その情報とは、使用するセンサチップの使用保証期限・使用保証期間(あるいは、製品番号、製造日時等によって規定される、使用保証期限・使用保証期間を特定するための情報)、管理方法1(あるいは、管理番号「1」等によって示される、管理方法1によって管理されるという情報)、及びセンサチップが初回に使用された期間D2(あるいは、それまでに使用された累積使用期間D2)、である。これらの情報を上記記録部に記録するだけで、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎたセンサチップが自動的に判別される。以下、説明する。
(管理方法1について)
まず、管理方法1について説明する。管理方法1が好ましいケースとしては、センサチップの使用を開始した場合、使用環境に依存して使用材料の劣化が生じる場合が挙げられる。一例として、材料の劣化が温度に依存しており、一度使用を中断して低温に保存すれば劣化が止まるが、再び使用温度に戻すと劣化が始まるような場合がある。また、検体が花粉などの環境物質であり、例えば花粉に含まれるアレルゲンなどの環境測定に用いる用途では、センサチップに設けたアレルゲン認識材料を1回測定するごとに再生して、繰り返し用いるような用途が考えられる。このような場合には、実際に何回繰り返して使用したかという、実際に使用した期間で管理したほうが好ましい。
(本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ、及び測定装置の構成)
以下、図1〜3により、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ、及びそのセンサチップが装着される測定装置について説明する。図1は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1を示す。図2は、図1のXY断面におけるマイクロ流路型センサチップ1の断面図を示す。
【0047】
図2に示すように、マイクロ流路型センサチップ1は、ガラスまたはプラスチックからなる基板2とシリコン基板3とが、その主面を貼り合わせて形成されている。基板2の表面には、バッファー液などの溶液が流れる流路4・5と、流路4と流路5との間に、流路4から微粒子6が流出することを防止する堰止部7とが形成されている。なお、流路4と流路5は、堰止部7の上方で連通しており、溶液は流路4から流路5へ流れる。なお、流路4・5の幅は、数μm〜数百μmのマイクロオーダーに形成されている。
【0048】
シリコン基板3には、溶液類が注入される注入孔8と、その溶液類が排出される排出孔9とが形成されている。また、シリコン基板3には、酵素により変化する電気的活性物質の量を検出するための電極10が形成され、その電極10は、シリコン基板3に形成された端子部11と電気的に接続している。そして、基板2とシリコン基板3とが貼り合わされた状態において、注入孔8は流路4と、排出孔9は流路5とそれぞれ連通し、電極10は、流路5の内部に位置決めされるようにシリコン基板3に取り付けられている。なお、図1の破線部は測定部12を示しており、上記の各構成要素が測定部12には含まれる構成となっている。
【0049】
マイクロ流路型センサチップ1は、上記の構成に加え、さらに情報の記録・読み出しを行う記録部13を備える。記録部13は、特に限定されるわけではないが、本実施の形態においては、シリコン基板3と対向する基板2の主面とは反対側の主面であって、一方の角部に設けられている。記録部13は、情報の記録、読み出しに用いられるRFIDチップ、あるいはバーコード記録等でよく、記録部13に記録された情報の読み出し、あるいは記録部13への情報の記録は、後述する測定装置の記録・読出手段を介して行われる。
【0050】
記録部13への記録情報は、少なくとも、使用保証期限と、使用保証期間と、管理方法が管理方法1であるという情報とが予め記録されている。ここで、使用保証期限とは、例えば年月日により記録され、主に測定部に使用される材料、特にターゲットを認識する認識材料の使用可能な期限に基づいて決められている。一例として、測定部に生体由来の抗体材料が使われており、センサチップの保管温度が10度以下の場合を考える。抗体材料の保存期間は約数ヶ月から数年の間であり、通常は1年程度である。従って、使用保証期限は、チップ装着後の測定温度も考慮して、センサチップ製造日に1年以下の期間を加えた年月日で記録される。
【0051】
また、使用保証期間は、主に測定部に使用される材料の繰り返し使用可能な期間に基づいて決められるため、通常は、センサチップ製造日から使用保証期限までの期間よりも短くなる。例えば、測定部に生体由来の抗体材料が使われており、センサチップの使用温度が10度以下の場合では、抗体材料の使用期間は約数ヶ月から数年の間となるが、通常は半年以下の期間となる。
【0052】
次に、マイクロ流路型センサチップ1が装着される測定装置20について、図3を用いて説明する。図3は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1が装着される測定装置20の構成図である。
【0053】
図3に示すように、本実施の形態に係る測定装置20は、装置部21を備え、マイクロ流路型センサチップ1が取外し可能に装着される。装置部21は、図中の破線部で示される計測部22と、マイクロ流路型センサチップ1の記録部13に接続する記録・読出部23と、装置部21および測定装置20の動作を制御するコントローラ(制御部)24と、コントローラ24の指示に基づいて測定結果を表示する表示部25と、マイクロ流路型センサチップ1の注入孔8および排出孔9にそれぞれ接合される接合部26・27と、コントローラ24の指示に基づいてマイクロ流路型センサチップ1を測定装置20の外部に排出するセンサチップ排出部28と、マイクロ流路型センサチップ1の端子部11と電気的に接続する電気的接続部29と、を備える。
【0054】
計測部22は、バッファー液等が貯留される試薬カートリッジ30と、サンプル液が貯留されるサンプル液溜部31と、サンプル液溜部31への液入口となる試料注入口32と、試薬カートリッジ30およびサンプル液溜部31に貯留される種々の液体を外部に排出するポンプ33と、ポンプ33によって試薬カートリッジ30およびサンプル液溜部31から排出された種々の液体が流入して混合される混合部34と、電気的接続部29と接続されて、電極10にて検出された酸化還元電流の電流値から電気的活性物質の量を測定する電気化学的検出部35と、を備える。
【0055】
試薬カートリッジ30は、計測に必要となる、標識付2次抗体溶液と、バッファー液と、基質溶液と、再生溶液と、排液溜とを含む。混合部34は接合部26と接続され、上記の種々の溶液類が、接合部26を介してマイクロ流路型センサチップ1の注入孔8に注入される。試薬カートリッジ30の排液溜は、接合部27と接続され、マイクロ流路型センサチップ1の排出孔9から接合部27を介して排出される排液を貯留する。
【0056】
電気的接続部29は、マイクロ流路型センサチップ1の端子部11と、計測部22の電気化学的検出部35とに電気的に接続されている。上述したように、酵素によって変化した電気的活性物質が酸化還元電流としてマイクロ流路型センサチップ1の電極10で検出され、その電流値が、電気的活性物質の量として電気化学的検出部35によって測定される。そして、その測定値はコントローラに24伝達される。
【0057】
マイクロ流路型センサチップ1の記録部13に記録された情報の読み出し、あるいは記録部13への情報の記録は、コントローラ24の指示に基づき、コントローラ24に接続する記録・読出部23によって行われる。
【0058】
コントローラ24は、記録・読出部23からマイクロ流路型センサチップ1の記録部13に記録された情報に基づき、マイクロ流路型センサチップ1の使用可否を判定する。また、コントローラ24は、センサチップ排出部28にも接続している。センサチップ排出部28は、コントローラ24の指示に基づき、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎたセンサチップを測定装置20の外部に排出する。
(本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ、及び測定装置を用いた分析方法)
上記構成に基づいて、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1、及びセンサチップ1が装着された測定装置20による分析方法を説明する。
【0059】
マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20に装着された状態において、検体と特異的に反応する抗体が固定化されたプラスチックまたはガラスからなる微粒子6が、ポンプ33によって、バッファー液に分散されて注入孔8からマイクロ流路型センサチップ1の内部に注入される。注入孔8は流路4と連通し、排出孔9は流路5と連通している。従って、微粒子6は、堰止部7で堰き止められるまで流路4から流路5へと流される。なお、注入孔8と排出孔9とは、流路4・5を介して連通しているため、注入孔8から注入されたバッファー液等の溶液類は、排出孔9から排出される。なお、微粒子6は、予めマイクロ流路型センサチップ1に収容されていてもよい。
【0060】
次に、ポンプ33によって、検体を含む被検液(サンプル液)が注入孔8から注入される。検体としては、例えば空気中の花粉を収集し、収集した花粉からアレルゲンタンパク質を抽出してサンプル液とすることができ、該サンプル液は、試料注入口32からサンプル液溜部31に注入される。このサンプル液が、ポンプ33によって、混合部34を介してマイクロ流路型センサチップ1の内部に注入される。
【0061】
そして、その検体と、該検体と特異的に反応する抗体が固定化された微粒子6とを反応させて、該検体を微粒子6の表面に捕捉させる。続いて、バッファー液を注入孔8から注入して、注入孔8から排出孔9までを洗浄する。洗浄後、酵素を標識として付けた抗体を含む液が注入孔8から注入され、固定化抗体−検体−酵素付抗体からなる複合体を微粒子6の表面に形成する。その後、バッファー液が注入孔8から注入され、バッファー液によって過剰な酵素付抗体が洗浄される。洗浄後、酵素により電気的活性物質に変化する基質材料が注入孔8から注入される。そして、酵素によって変化した電気的活性物質の量が電極10に発生する酸化還元電流として検出される。その検出値が、測定装置20の電気化学的検出部35に伝達され、コントローラ24を介して、最終的に表示部25に表示される。コントローラ24では、予めセンサチップに設けた記録部13に記録されており、記録・読み出し手段23を介してコントローラ24に記録されているか、若しくは、インターネットを介して測定装置20のコントローラ記録されている検量線情報、即ち、測定値と検体濃度とを相関づける情報に基づき測定値を検体濃度に変換して、その濃度を表示部25で表示させる。
【0062】
なお、マイクロ流路型センサチップ1では、グリシン等の再生溶液によって、微粒子6の表面に形成された固定化抗体−検体−酵素付抗体からなる複合体から検体−酵素付抗体を除去することができ、それによってチップが再利用される。このようにして、マイクロ流路型センサチップ1は、繰り返し再生することで連続して使用される。
【0063】
なお、上記説明では、検体と特異的に反応する抗体が微粒子6の表面に固定化されたものとして説明した。しかしながら、抗体は、流路4・5の表面に固定化されていてもよく、又は電極10の表面に固定化されていてもよい。
【0064】
以上がマイクロ流路型センサチップ1、及び測定装置20を用いて行われる分析方法である。このように、バッファー等の各種溶液は、ポンプ33の動作によって、試薬カートリッジ30およびサンプル液溜部31と、マイクロ流路型センサチップ1との間を通液される。
【0065】
このようにして、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1、及び測定装置20を用いることにより、サンプル液内のタンパク質等の濃度が測定され、かつ測定を繰り返し行うことができる。そして、再使用されるセンサチップにおいては、センサチップの内部の抗体材料の繰り返し使用による感度の劣化がセンサチップの使用期間を決める主な要因になるため、ここで説明する管理方法1によるセンサチップの管理が有効となる。
(管理方法1によるセンサチップの使用可否の判定について)
ここまで、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1、及び測定装置20の構成、及びそれらを用いて行う分析方法を説明した。次に、これらのセンサチップ1および測定装置20を用いて、管理方法1において、使用保証期限および使用保証期間に加えて、センサチップが初回に使用される期間D2の情報をセンサチップに記録するだけで、以下に説明する全てのケースにおいて使用できないセンサチップが自動的に判別・判定される動作を説明する。
(装着したセンサチップが1回目の使用である場合)
(ケース1:センサチップ装着時に使用保証期限が切れている場合)
本ケースについて、図3〜図5を用いて説明する。
【0066】
なお、図4は、管理方法1を用いた場合の、各ケースのパターンを説明する図である。図4において、「☆」は、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から自動排出されることを示す。「★」は、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から手動で取り出されることを示す。「D0」は、マイクロ流路型センサチップ1の使用保証期間を示す。「D2」は、マイクロ流路型センサチップ1が最初に使用された期間を示す。
【0067】
図4のケース1は、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20に装着された時点で、センサチップの使用保証期限が切れているケースを示す。図5は、管理方法1における、ケース1の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図5に基づいて説明する。
【0068】
まず、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20に装着される(S1)。そして、マイクロ流路型センサチップ1の記録部13に記録された、マイクロ流路型センサチップ1の使用可否を測定装置20が判定する管理方法を示す情報が、測定装置20の記録・読出部23によって読み出される(S2)。次に、マイクロ流路型センサチップ1が、管理方法1によって管理されているか否かが判断される(S3)。本ケースは、「Yes」であるため、次のS4に進む。続いて、マイクロ流路型センサチップ1が最初に使用された使用期間D2が、記録・読出部23によって記録部13から読み出される(S4)。なお、本ケースは、使用期間D2が記録されていない場合に該当するため、このマイクロ流路型センサチップ1は初めて使用されたものであると認識される(S5)。
【0069】
次に、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20に装着された装着日が、測定装置20のコントローラ24の記録部の日付記録領域に記録される(S6)。その後、マイクロ流路型センサチップ1の記録部13に予め記録されている使用保証期限が、測定装置20の記録・読出部23によって読み取られる(S7)。続いて、コントローラ24が、日付記録領域に記録されたマイクロ流路型センサチップ1の装着日と使用保証期限とを比較する(S8)。そして、装着日が使用保証期限を過ぎている場合、つまり使用保証期限が装着日よりも古い場合(S9)、コントローラ24からセンサチップ排出部28に対して、マイクロ流路型センサチップ1を取り外すことを指示する制御信号が送信される(S10)。
【0070】
このように、S1〜S10までの工程により、使用保証期限を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(ケース2:使用保証期限が、装着日と使用保証期間から計算される使用終了期限よりも早い場合)
本ケースについて、図3、図4、図6を用いて説明する。
【0071】
図4に示すように、本ケースは、使用保証期限が、装着日と使用保証期間から計算される使用終了期限よりも早いケースである。図6は、管理方法1における、ケース2の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図6に基づいて説明する。なお、S9まではケース1と同様であるため、その説明を省略する。また、図6に示すように、使用終了期限とは、マイクロ流路型センサチップ1の装着時に使用保証期間を加えて算出される期限のことを表す。
【0072】
図5のS9までフローが進むと、使用保証期限が装着日より古いか否かが判断される。本ケースは、ここで「No」に進む。次に、マイクロ流路型センサチップ1の記録部13から使用保証期限が読み取られ、使用保証期限と装着日との差である期間D1が計算される(S11)。さらに、コントローラ24によって、記録部13から使用保証期間D0が読み出され(S12)、D1とD0とが比較される(S13)。そして、使用保証期限と装着日との差である期間D1が使用保証期間D0よりも短いか否かが判断される(S14)。本ケースでは、ここで「No」に進む。その後、測定装置20のコントローラ24の記録部の日付記録領域に使用保証期限が記録される。
【0073】
なお、図6には図示していないが、S14までのフローが進むと同時に、コントローラ24からの指示に基づいて、測定装置20は、自身が測定可能な状態である旨を表示部25に表示する。表示方法としては、従来の一般的な表示装置で用いられているように、装置ディスプレイ上での測定可能ボタンの点灯などがある。この場合、測定者が測定可能ボタンをONにすることにより、コントローラ24から計測部22への指示に基づき、計測が開始される(S15)。また、測定者による測定開始の判断を必要としない場合、つまり、自動で計測を始める測定装置の場合であれば、上記の測定可能信号がコントローラ24に送信されると同時に、計測部22において計測が開始される(S15)。測定は、上述した方法で行われ、各工程に必要なサンプル液及び試薬は、ポンプ33を用いて、試薬カートリッジ30からマイクロ流路型センサチップ1の内部に供給される。
【0074】
連続測定の場合、測定装置20に設けられている年月日を示す時計により、例えば、日付が変わるタイミングでその時計から送られる年月日情報と、日付記録領域から読み出される使用保証期限とがコントローラ24によって比較され、使用保証期限と同じ年月日でない場合は、そのまま測定が続けられる(S15)。比較を行う時刻は、任意に設定してよい。
【0075】
表示部25における表示ボタンなどからの外部入力、あるいは予め設定されたプログラムによって使用保証期限までに測定が終了する場合(S16)、コントローラ24からマイクロ流路型センサチップ1の記録部13へ、記録・読出部23を介して使用期間D2が記録される(S17)。その後、記録終了信号がコントローラ24に送信され、コントローラ24からセンサチップ排出部28への指示に基づいて、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S18)。
【0076】
使用期間D2の計算方法は、マイクロ流路型センサチップ1を測定装置20に装着してから排出するまでの期間として計算する場合と、実際に使用した時間を積算する場合とがある。どちらを選択するかは、使用したセンサチップで用いる材料や検出方法に依る。従って、例えば、センサチップに予め記録した製造番号等の情報を測定装置が読み取り、ネットワークシステムを介して、センサチップメーカからどちらを選択するのが適切かという情報を測定装置に送信するか、あるいは該情報を測定者が測定装置に直接入力するという方法等により解決することができる。このことは、後ほど詳述する。なお、マイクロ流路型センサチップ1を排出した後は、測定装置20の内部の日付記録領域のデータは削除されることが好ましい。
【0077】
他方、例えば、日付が変わるタイミングで、コントローラ24が、上記時計から送られてくる年月日情報と日付記録領域から読み出される使用保証期限とを比較し、使用保証期限と同じ年月日になった場合(S19)、コントローラ24からセンサチップ排出部28に使用終了信号が送信され、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S20)。
【0078】
このような操作により、マイクロ流路型センサチップ1は、少なくとも使用保証期限までに測定装置20の外部に自動的に排出されるため、使用保証期限を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(ケース3:使用保証期限が、使用保証期間と装着日から計算される使用終了期限よりも遅いセンサチップの場合)
本ケースについて、図3、図4、図7を用いて説明する。
【0079】
図4に示すように、本ケースは、使用保証期限が、装着日と使用保証期間から計算される使用終了期限よりも遅いケースである。図7は、管理方法1における、ケース3の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図7に基づいて説明する。なお、S14まではケース2と同様であるため、その説明を省略する。また、図6に示すように、使用終了期限とは、装着日に使用保証期間を加えて算出される期限のことを表す。
【0080】
図6のS14では、使用保証期限と装着日との差である期間D1が使用保証期間D0よりも長いか否かが判断される。本ケースは、ここで「Yes」に進む。その後、コントローラ24の記録部の日付記録領域に、装着日に使用保証期間を加えた日付が使用終了期限として記録される(S21)。
【0081】
なお、図7には図示していないが、ここまでのフローが進むと同時に、コントローラ24からの指示に基づいて、測定装置20は、自身が測定可能な状態である旨を表示部25に表示する。表示方法としては、従来の一般的な表示装置で用いられているように、装置ディスプレイ上での測定可能ボタンの点灯などがある。この場合、測定者が測定可能ボタンをONにすることにより、コントローラ24から計測部22への指示に基づき、計測が開始される(S22)。また、測定者による測定開始の判断を必要としない場合、つまり、自動で計測を始める測定装置の場合であれば、上記の測定可能信号がコントローラ24に送信されると同時に、計測部22において計測が開始される(S22)。測定は、上述した方法で行われ、各工程に必要なサンプル液及び試薬は、ポンプ33を用いて、試薬カートリッジ30からマイクロ流路型センサチップ1の内部に供給される。
【0082】
連続測定の場合、測定装置20に設けられている年月日を示す時計により、例えば、日付が変わるタイミングでその時計から送られる年月日情報と、日付記録領域から読み出される使用保証期限とがコントローラ24によって比較され、使用保証期限と同じ年月日でない場合は、そのまま測定が続けられる(S22)。比較を行う時刻は、任意に設定してよい。
【0083】
表示部25における表示ボタンなどからの外部入力、あるいは予め設定されたプログラムによって使用保証期限までに測定が終了する場合(S23)、コントローラ24からマイクロ流路型センサチップ1の記録部13へ、記録・読出部23を介して使用期間D2が記録される(S24)。その後、記録終了信号がコントローラ24に送信され、コントローラ24からセンサチップ排出部28への指示に基づいて、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S25)。
【0084】
他方、例えば、日付が変わるタイミングで、コントローラ24が、上記時計から送られてくる年月日情報と日付記録領域から読み出される使用保証期限とを比較し、使用保証期限と同じ年月日になった場合(S26)、コントローラ24からセンサチップ排出部28に使用終了信号が送信され、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S27)。
【0085】
使用期間D2の計算方法は、マイクロ流路型センサチップ1を測定装置20に装着してから排出するまでの期間として計算する場合と、実際に使用した時間を積算する場合とがある。どちらを選択するかは、使用したセンサチップで用いる材料や検出方法に依る。従って、例えば、センサチップに予め記録した製造番号等の情報を測定装置が読み取り、ネットワークシステムを介して、センサチップメーカからどちらを選択するのが適切かという情報を測定装置に送信するか、あるいは該情報を測定者が測定装置に直接入力するという方法等により解決することができる。なお、マイクロ流路型センサチップ1を排出した後は、測定装置20の内部の日付記録領域のデータは削除されることが好ましい。
【0086】
このような操作により、マイクロ流路型センサチップ1は、少なくとも使用保証期間までに測定装置20の外部に自動的に排出されるため、使用保証期間を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(一回使用したセンサチップを再度使用する場合)
次に説明する種々のケースは、一度測定に用いたマイクロ流路型センサチップ1を測定装置20に再度装着した場合に、使用保証期限および使用保証期間に加えて、マイクロ流路型センサチップ1が初回に使用された期間D2の情報をチップに記録するだけで、使用保証期限を過ぎるか、使用保証期間を超えているような信頼性の低いマイクロ流路型センサチップ1を自動的に測定装置20から排出する構成を示す。この構成により、信頼性の低い測定を回避することができる。
(ケース4:再装着時に使用保証期限が切れているセンサチップの場合)
本ケースについて、図3、図4、図8を用いて説明する。
【0087】
図4に示すように、本ケースは、マイクロ流路型センサチップ1の測定装置20への再装着時に使用保証期限が切れているケースである。図8は、管理方法1における、ケース4の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図8に基づいて説明する。なお、S5まではケース1(図5)と同様であるため、その説明を省略する。
【0088】
図5のS4では、マイクロ流路型センサチップ1が初回に使用された使用期間D2を読み取る動作が行われる。本ケースでは、一度使用したマイクロ流路型センサチップ1が測定装置20に再装着されているため、使用期間D2が測定装置20の記録部の日付記録領域に記録されていると判断される(S5)。従って、S5において、「Yes」に進む。なお、マイクロ流路型センサチップ1の再装着日は、測定装置20の記録部の日付記録領域に記録される。
【0089】
次に、マイクロ流路型センサチップ1に予め記録されている使用保証期限(年月日で記録)が読み取られ(S30)、測定装置20のコントローラ24において、日付記録領域に記録したマイクロ流路型センサチップ1の再装着日と、使用保証期限とが比較される(S31)。そして、使用保証期限が再装着日付より古いか否かが判断される(S32)。本ケースでは、ここで「Yes」に進む。その後、コントローラ24からセンサチップ排出部28に対して、マイクロ流路型センサチップ1を取り外すことを指示する信号が送信され、その結果、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S33)。
【0090】
このように、上記フローにより、再装着時に使用保証期限が切れている場合においても、使用保証期限を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(ケース5:再装着時に使用保証期間が切れているセンサチップの場合)
本ケースについて、図3、図4、図9を用いて説明する。
【0091】
図4に示すように、本ケースは、マイクロ流路型センサチップ1の測定装置20への再装着時に使用保証期間が切れているケースである。図9は、管理方法1における、ケース5の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図9に基づいて説明する。なお、S32までは図8のケース4と同様であるため、その説明を省略する。
【0092】
S32では、使用保証期限が再装着日付より古いか否かが判断される。本ケースでは、ここで「No」に進む。次に、日付記録領域から読み出された初回使用期間D2と使用保証期間D0が読み取られ(S35)、初回使用期間D2と使用保証期間D0との大小が比較される(S36)。ここで、D2≧D0と判断された場合には、コントローラ24からセンサチップ排出部28に対して、マイクロ流路型センサチップ1を取り外すことを指示する信号が送信され、その結果、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S37)。
【0093】
このように、マイクロ流路型センサチップ1の測定装置20への再装着時に使用保証期間が切れている場合においても、使用保証期間を過ぎたセンサチップを誤使用することにより信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(ケース6:再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間から初回使用期間を引いた使用終了期限よりも早いセンサチップの場合)
本ケースについて、図3、図4、図10を用いて説明する。
【0094】
図4に示すように、本ケースは、マイクロ流路型センサチップ1の測定装置20への再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間から初回使用期間を引いた使用終了期限よりも早いセンサチップの場合である。図10は、管理方法1における、ケース6の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図10に基づいて説明する。ここで、図4において、T1は、再装着日から使用保証期限までの期間を示し、D0−D2は、使用保証期間から初回使用期間を除算した期間を示す。なお、S36までは図9のケース5と同様であるため、その説明を省略する。
【0095】
S36では、使用期間D2と使用保証期間D0との大小が比較される。本ケースでは、D2<D0と判断されるため、ここで「No」に進む。次に、マイクロ流路型センサチップ1の記録部13から使用保証期間D0が読み取られ、コントローラ24において、日付記録領域に記録された初回に使用された期間D2との差であるD0−D2、つまりT1が計算される(S40)。そして、T1とD0−D2との大小が比較される(S41)。
【0096】
本ケースでは、再装着日から使用保証期限までの期間T1が残りの使用期間D0−D2よりも小さいため、ここで「Yes」に進む。そして、コントローラ24から測定可能信号が送信されるとともに、測定装置20のコントローラ24の記録部の日付記録領域に使用保証期限が記録される(S42)。
【0097】
なお、図10には図示していないが、S42までのフローが進むと同時に、コントローラ24からの指示に基づいて、測定装置20は、自身が測定可能な状態である旨を表示部25に表示する。表示方法としては、従来の一般的な表示装置で用いられているように、装置ディスプレイ上での測定可能ボタンの点灯などがある。この場合、測定者が測定可能ボタンをONにすることにより、コントローラ24から計測部22への指示に基づき、計測が開始される(S43)。また、測定者による測定開始の判断を必要としない場合、つまり、自動で計測を始める測定装置の場合であれば、上記の測定可能信号がコントローラ24に送信されると同時に、計測部22において計測が開始される(S43)。測定は、上述した方法で行われ、各工程に必要なサンプル液及び試薬は、ポンプ33を用いて、試薬カートリッジ30からマイクロ流路型センサチップ1の内部に供給される。
【0098】
連続測定の場合、測定装置20に設けられている年月日を示す時計により、例えば、日付が変わるタイミングでその時計から送られる年月日情報と、日付記録領域から読み出される使用保証期限とがコントローラ24によって比較され、使用保証期限と同じ年月日でない場合は、そのまま測定が続けられる。比較を行う時刻は、任意に設定してよい。
【0099】
表示部25における表示ボタンなどからの外部入力、あるいは予め設定されたプログラムによって使用保証期限までに測定が終了する場合(S44)、コントローラ24からマイクロ流路型センサチップ1の記録部13へ、記録・読出部23を介して、初回使用時および今回の使用時における累積使用期間D2が記録される(S45)。その後、記録終了信号がコントローラ24に送信され、コントローラ24からセンサチップ排出部28への指示に基づいて、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S46)。
【0100】
使用期間D2の計算方法は、マイクロ流路型センサチップ1を測定装置20に装着してから排出するまでの期間として計算する場合と、実際に使用した時間を積算する場合とがある。どちらを選択するかは、使用したセンサチップで用いる材料や検出方法に依る。従って、例えば、センサチップに予め記録した製造番号等の情報を測定装置が読み取り、ネットワークシステムを介して、センサチップメーカからどちらを選択するのが適切かという情報を測定装置に送信するか、あるいは該情報を測定者が測定装置に直接入力するという方法等により解決することができる。なお、マイクロ流路型センサチップ1を排出した後は、測定装置20の内部の日付記録領域のデータは削除されることが好ましい。
【0101】
他方、別の比較方法として、日付記録領域に使用保証期限と再装着日との差T1を記録し、そのT1を、測定日と再装着日との間の期間であるT2と比較してもよい。この場合、T2<T1であれば測定が続けられ、T2≧T1であれば測定が終了し(S47)、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S48)。なお、比較を行う時刻は、任意に設定してかまわない。
【0102】
あるいは、さらに別の方法として、日付が変わるタイミングで、測定装置20に設けられている年月日を示す時計から送られる年月日情報と日付記録領域から読み出される使用保証期限とをコントローラ24で比較し、使用保証期限と同じ年月日になった場合、若しくは上記の比較方法で、T2=T1となった場合(S47)、コントローラ24からセンサチップ排出部28に使用終了信号が送信され、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S48)。
【0103】
このような操作により、マイクロ流路型センサチップ1の測定装置20への再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間から初回使用期間を引いた使用終了期限よりも早い場合にも、使用保証期限を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(ケース7:再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間から初回使用期間を引いた使用終了期限よりも遅いセンサチップ場合)
本ケースについて、図3、図4、図11を用いて説明する。
【0104】
図4に示すように、本ケースは、マイクロ流路型センサチップ1の測定装置20への再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間から初回使用期間を引いた使用終了期限よりも遅いケースである。図11は、管理方法1における、ケース7の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図11に基づいて説明する。なお、図4におけるT1、D0−D2は、ケース6で説明したものと同じである。また、S41までは図10のケース6と同様であるため、その説明を省略する。
【0105】
S41では、使用保証期限と再装着日との差であるT1とD0−D2との大小が比較される(S41)。本ケースでは、ここで「No」に進む。そして、コントローラ24から測定可能信号が送信されるとともに、測定装置20のコントローラ24の記録部の日付記録領域に、再装着日付にD0−D2を加えた使用終了期限が記録される(S50)。
【0106】
なお、図11には図示していないが、S50までのフローが進むと同時に、コントローラ24からの指示に基づいて、測定装置20は、自身が測定可能な状態である旨を表示部25に表示する。表示方法としては、従来の一般的な表示装置で用いられているように、装置ディスプレイ上での測定可能ボタンの点灯などがある。この場合、測定者が測定可能ボタンをONにすることにより、コントローラ24から計測部22への指示に基づき、計測が開始される(S51)。また、測定者による測定開始の判断を必要としない場合、つまり、自動で計測を始める測定装置の場合であれば、上記の測定可能信号がコントローラ24に送信されると同時に、計測部22において計測が開始される(S51)。測定は、上述した方法で行われ、各工程に必要なサンプル液及び試薬は、ポンプ33を用いて、試薬カートリッジ30からマイクロ流路型センサチップ1の内部に供給される。
【0107】
連続測定の場合、日付記録領域から読み出される使用終了期限D0−D2と、測定日と再装着日との期間T2とが比較され、T2<D0−D2であれば計測が続けられる(S51)。比較を行う時刻は、任意に設定してかまわない。
【0108】
なお、使用期間D2の計算方法は、マイクロ流路型センサチップ1を測定装置20に装着してから排出するまでの期間として計算する場合と、実際に使用した時間を積算する場合とがある。どちらを選択するかは、使用したセンサチップで用いる材料や検出方法に依る。従って、例えば、センサチップに予め記録した製造番号等の情報を測定装置が読み取り、ネットワークシステムを介して、センサチップメーカからどちらを選択するのが適切かという情報を測定装置に送信するか、あるいは該情報を測定者が測定装置に直接入力するという方法等により解決することができる。なお、マイクロ流路型センサチップ1を排出した後は、測定装置20の内部の日付記録領域のデータは削除されることが好ましい。
【0109】
表示部25における表示ボタンなどからの外部入力、あるいは予め設定されたプログラムによって使用保証期限までに測定が終了する場合(S52)、コントローラ24からマイクロ流路型センサチップ1の記録部13へ、記録・読出部23を介して、初回使用時および今回の使用時における累積の使用期間D2が記録される(S53)。その後、記録終了信号がコントローラ24に送信され、コントローラ24からセンサチップ排出部28への指示に基づいて、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S54)。
【0110】
他方、例えば、日付が変わるタイミングで、日付記録領域から読み出される使用終了期限D0−D2と、測定日と再装着日との期間T2とを比較し、T2=D0−D2となった場合(S55)、コントローラ24からセンサチップ排出部28に使用終了信号が送信され、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S56)。
【0111】
あるいは、さらに別の方法として、日付が変わるタイミングで、測定装置20に設けられている年月日を示す時計から送られる年月日情報と日付記録領域から読み出される使用保証期限とをコントローラ24で比較し、使用保証期限と同じ年月日になった場合、若しくは上記の比較方法で、T2=T1となった場合(S55)、コントローラ24からセンサチップ排出部28に使用終了信号が送信され、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20から排出される(S56)。
【0112】
このような操作により、マイクロ流路型センサチップ1の測定装置20への再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間から初回使用期間を引いた使用終了期限よりも遅い場合にも、使用保証期限を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(2回以上再利用する場合)
ここでは、すでに1回使用したセンサチップを再度利用するケースを例に説明した。しかしながら、例えば、使用する材料が人工抗体材料などであれば、繰り返し使用期間も長くなり、2回以上使用する場合がある。その場合は、1回使用したときにセンサチップに記録する使用期間D2を、2回目の使用を終了したときに1回目の使用期間と2回目の使用期間とを加算した値に置き換えて記録することにより、上述した工程と同様の工程によって自動判別することが可能となる。このように、使用期間D2の計算方法は、当該チップを測定装置に装着してから排出するまでの期間として計算する場合と、実際に使用した時間を積算する場合があるが、どちらを選択するかは適宜決めればよい。
【0113】
このように、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1は、取り外し可能に測定装置20に装着され、上記種々のケースで説明したように、使用保証期限、あるいは使用保証期間を確実に管理し、誤使用により信頼性の低いデータを取得することを回避することができる。
【0114】
ここで、さらに、本実施の形態の範囲に含まれる、ネットワークに接続可能なインターフェースを設けた測定装置について説明する。図12〜14は、マイクロ流路型センサチップ1と測定装置20との関係を簡略化して説明する図である。図12は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1の簡略図である。図13は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1が測定装置20に装着された様子を示す斜視図である。図14は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ1が、ネットワークに接続可能なインターフェースを備える測定装置20に装着された様子を示す斜視図である。
【0115】
図12に示すように、マイクロ流路型センサチップ1は、少なくとも検体の測定を行う測定領域12bと、測定装置20との間でのデータの読み出し、記録を可能にするRFIDなどの記録読み出し可能な手段である記録部を設けた記録領域13bと、を有する。また、マイクロ流路型センサチップ1は、マイクロ流路型センサチップ1が測定装置20に装着、あるいは取り外しされる際に、必要に応じて指でつかんだり治工具で挟んだりするハンドリング領域40を備える。なお、これらの配置構成は任意に決めてよい。
【0116】
ここで、マイクロ流路型センサチップ1の記録領域13bに保存されるデータ、あるいはマイクロ流路型センサチップ1と測定装置20との間で記録、読み出しが行われるデータは、少なくとも2種類存在する。1つは、製造時に記録されるようなセンサチップ特有のデータであり、例えば、上記の使用保証期限、使用保証期間、製造番号、管理方法を示すデータ等の管理情報である。他方のデータとしては、使用状況を反映する使用状況データであり、例えば、管理方法1におけるマイクロ流路型センサチップ1の初回の使用期間、管理方法2におけるマイクロ流路型センサチップ1の初回の装着日付のようなデータである。
【0117】
そして、ここまでの説明においては、マイクロ流路型センサチップ1の記録領域13bに上記管理情報を記録させ、センサチップ自身に自らの特性、素性を持たせる(記憶させる)構成について説明してきた。しかしながら、次のような構成も、本実施の形態の範囲に含まれる。
【0118】
マイクロ流路型センサチップ1の種類が限定され、その種類が確定すると、そのセンサチップに係る使用保証期限、あるいは使用保証期間が確定し、管理方法が規定される。このような場合に、自身を個別に特定可能に付与されたマイクロ流路型センサチップ1の識別情報、及びこれら使用保証期限、使用保証期間、管理方法などの管理情報に対応するマトリックス表が測定装置20に記録されているケースを考える。この場合、マイクロ流路型センサチップ1の記録領域13bに当該識別情報が記録されていれば、マイクロ流路型センサチップ1の識別情報が測定装置20に読み取られ、自動的にマイクロ流路型センサチップ1の使用保証期限、使用保証期間、管理方法などの管理情報が測定装置20の内部の上記マトリックスから読み出され、そのデータ、情報に従ってセンサチップの管理が行われる。本実施の形態に係る測定装置は、スタンドアローンで動作し持ち運びに適しているため、測定装置に上記マトリックス表を記憶させておけば、ネットワークが整備されていない環境においても測定装置を使用できるというメリットがある。図13は、このようなケースに対応する図である。
【0119】
一方、ネットワーク環境が整備されている場合には、図14に示すように、ネットワークに接続可能なインターフェース41を測定装置20に設ける構成が可能である。この構成によると、測定装置20の内部に上記マトリックス表を記憶させておく必要がなく、測定装置20がマイクロ流路型センサチップ1の記録領域13bから識別情報を読み取り、その情報をもとにネットワークを介して、センサチップメーカのホームページ等からセンサチップの使用保証期限、使用保証期間などの管理情報を入手することが可能であり、また、その入手したデータによって使用するセンサチップの管理を確実に行える。
【0120】
上記効果に加え、ネットワークに接続可能なインターフェース41を備える測定装置20によって得られる他の効果を、以下説明する。
【0121】
マイクロ流路型センサチップ1において使用される認識材料等の材料特性が変化すると、測定値に大きな影響を与えることになる。そこで、実際の使用に際しては、測定装置20が、必要に応じて、マイクロ流路型センサチップ1の記録領域13bに記録されるセンサチップ製品番号を読み取ったうえで、センサチップメーカのホームページ等にアクセスする構成が考えられる。つまり、測定装置20が、販売会社またはサービス会社のホームページとを電子回線で接続することにより、測定開始から判断される測定日において取得した測定値に対する補正値を受信することが可能となる。そして、測定装置20のコントローラ24において、その補正値に基づいて測定値(実測値)を補正することにより、測定値の測定精度を向上させるという方法が可能となる。使用保証期限に関しても、ネットワーク回線を介して測定環境に応じた補正を行い、補正後の使用保証期限を再びセンサチップに記録することにより、より信頼性の高い測定値を取得しうる。
【0122】
ネットワーク回線を利用する上記の方法では、センサチップに保存される管理情報としては、少なくとも識別情報があればよく、他の管理情報は装置に予め又はネットワークを介して取得される。この構成を備えることにより、センサチップに保存されるデータ量が少なくすることができ、センサチップの記録部に用いるRFID等の記録、読み出し手段が小さくでき、その結果、センサチップの小型化にも寄与する。
【0123】
また、初回使用時に識別情報が記録されたセンサチップを、ネットワークに接続された測定装置、あるいはマトリックス表を有する測定装置に装着することにより、そのセンサチップの使用保証期限、使用保証期間などの管理情報を入手して、その情報をセンサチップに記録する構成も可能である。本実施の形態に係る測定装置に上記構成を適用することにより、入手可能な情報の幅をより広くすることができ、それによってセンサチップの使用範囲が広くなるという効果を奏する。
【0124】
そして、本実施の形態では、上述したように、管理方法に関する情報を測定装置によってセンサチップから読み取ることにより、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎて材料の信頼性が低くなったセンサチップを自動的に排出することができる。その結果、従来に比べて、より信頼性の高い測定値を取得することができる。
【0125】
また、上述したように、センサチップを再使用するような場合には、初回の使用が終わってセンサチップを取り出す際に、測定装置によって初回使用期間D2がセンサチップの記録部に記録される。従って、再びセンサチップを測定装置に装着した際に、測定装置が記録部から初回使用期間D2を読み出すことにより、材料の信頼性が低くなったセンサチップを自動的に排出する操作を行うことも可能となる。その結果、従来に比べて、より信頼性の高い測定値を取得することができる。
【0126】
このように、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ、及び測定装置を用いて、上述した種々のケースにおいて、上記の各操作を行うことにより、材料の劣化によって信頼性の低くなった材料のセンサチップを用いることによる、誤った測定を引き起こすことがなくなるという効果が得られる。
〔実施の形態2〕
本実施の形態では、使用保証期限と使用保証期間2とでセンサチップを管理する管理方法1について説明する。なお、センサチップを1度取り出して、再度使用する場合も本実施の形態に含まれる。管理方法2では、以下の情報をセンサチップの記録部に記録するだけで、後述する全てのケースにおいて、使用保証期限、あるいは使用保証期間2を過ぎたセンサチップが自動的に判別される。そして、その情報とは、使用するセンサチップの使用保証期限・使用保証期間(あるいは、製品番号、製造日時等によって規定される、使用保証期限・使用保証期間を特定するための情報)、管理方法2(あるいは、管理番号「2」等によって示される、管理方法2によって管理されるという情報)、及びセンサチップが初回に装着された日時(あるいは日付)の情報、である。これらの情報を上記記録部に記録するだけで、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎたセンサチップが自動的に判別される。以下、説明する。
(管理方法2について)
まず、管理方法2について説明する。管理方法2が好ましいケースとしては、センサチップの構成が、例えば多数の測定部を有し、検体に対する認識材料が個々の測定部に設けられており、1回の測定に1つの測定部が使用され、複数の測定に際して測定部が順番に使用されるケースが挙げられる。この場合の材料劣化は、実際に使用した期間ではなく、主に使用温度での材料の保存寿命で支配されるため、初回の使用開始からの期間で管理したほうが好ましい。
(本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ、及び測定装置の構成)
以下、図15、図16により、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ、及びそのセンサチップが装着される測定装置について説明する。図15は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ50を示す。なお、図1、図3を参照して前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。また、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ、及び測定装置を用いた分析方法は、管理方法1において説明した方法と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0127】
図15と図1とを比較して分かるように、マイクロ流路型センサチップ50とマイクロ流路型センサチップ1との構成上の差異は、前者には測定部が複数個存在し、後者には測定部が1つのみ存在するという点のみである。これは、管理方法2の性質に起因するものであり、上述したように、管理方法2では、検体に対する認識材料が個々の測定部に設けられており、1回の測定に1つの測定部が使用され、複数の測定に際して測定部が順番に使用されるような場合に使用されるためである。
【0128】
なお、マイクロ流路型センサチップ50の記録部13には、少なくとも、使用保証期限と、使用保証期間と、管理方法が管理方法2であるという情報とが予め記録されている。
【0129】
次に、マイクロ流路型センサチップ50が装着される測定装置60について、図16を用いて説明する。図16は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ50が装着される測定装置60の構成図である。測定装置60は、マイクロ流路型センサチップ50が装着されるため、全ての測定部12の注入孔8の数と同数の接合部26、及び全ての測定部12の排出孔9の数と同数の接合部27を有する。従って、混合部34から各接合部26への通液、および各接合部27から試薬カートリッジ30の排液溜への通液が、いずれも可能なように通液路が設けられている。
【0130】
次に、管理方法2が適用されるケースを説明する。説明の便宜のため、図16に示す測定装置60がタンパク質測定装置であるとする。タンパク質測定装置では、例えば、人体から採取した血液から血球を遠心分離して、血清だけを取り出し、その中に含まれるアディポネクチン等のメタボリックシンドロームに関連するタンパク質の量をマイクロ流路型センサチップ50を用いて測定する。マイクロ流路型センサチップ50は多数の測定部12を有するため、それらを用いて測定を繰り返し行うことができる。そして、測定部12に設けられた抗体材料などの寿命は主に測定環境での劣化速度に依存するため、マイクロ流路型センサチップ50がタンパク質測定装置に最初に装着された初回装着日を使用保証期間の起算日とする管理方法2の構成が有効となる。
(管理方法2によるセンサチップの使用可否の判定について)
ここまで、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ、及び測定装置の構成、及びそれらを用いて行う分析方法を説明した。次に、これらのセンサチップおよび測定装置を用いて、管理方法2において、使用保証期限と使用保証期間に加えて、初回にセンサチップが測定装置に装着された日付の情報をセンサチップに記録するだけで、以下に説明する全てのケースにおいて使用できないセンサチップが自動的に判別・判定される動作を説明する。
(装着したセンサチップが1回目の使用である場合)
まず最初に、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60に一度も装着されていない場合を考える。これは、管理方法1について説明した、図4のケース1〜3に該当する。ここで、図4のケース1は、使用保証期限が切れているセンサチップのケースである。ケース2は、使用保証期限が、装着日と使用保証期間から計算される使用終了期限よりも早いセンサチップのケースである。ケース3は、使用保証期限が、使用保証期間と装着日から計算される使用終了期限よりも遅いセンサチップのケースである。
【0131】
管理方法2において、これらのケースに該当する場合には、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60に初めて使用されたことを確認したうえで、測定装置60のコントローラ24の記録部の日付記録領域にその装着日が記録される。また、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60から排出されるときには、装着日の情報が、マイクロ流路型センサチップ50の記録部13に記録される。それ以外は、管理方法1と同じ操作が行われる。つまり、マイクロ流路型センサチップ50は、それまでに一度も使用されていなかったため、装着日を基準とした使用保証期限と使用保証期間との関係に基づいて、測定装置60から排出される。その詳細は管理方法1において説明しているため、ここでの説明は省略する。
(一回使用したセンサチップを再度使用する場合)
次に説明する種々のケースは、一度測定に用いたマイクロ流路型センサチップ50を測定装置60に再度装着した場合に、使用保証期限および使用保証期間に加えて、初回に装着した日付の情報をチップに記録するだけで、使用保証期限を過ぎるか、あるいは使用保証期間を超えているような信頼性の低いマイクロ流路型センサチップ50を自動的に測定装置60から排出する構成である。この構成により、信頼性の低い測定を回避することができる。
(ケース8:再装着時に、使用保証期限が切れているセンサチップの場合)
本ケースについて、図16〜図18を用いて説明する。
【0132】
ここで、図17は、管理方法2を用いた場合の、各ケースのパターンを説明する図である。図17に示すように、ケース8は、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60に再装着された時に、すでに使用保証期限が切れているケースである。図18は、管理方法2における、ケース8の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図18に基づいて説明する。なお、図5のS3までは操作が同じため、その説明を省略する。
【0133】
S3では、マイクロ流路型センサチップ50が、管理方法1によって管理されているか否かが判断される。本ケースでは、管理方法2によって管理されているため、ここで「No」に進む。続いて、マイクロ流路型センサチップ50が初回に装着された日付を読み取る動作が行われ(S60)、初回の装着日付が記録されているか否かが判断される(S61)。そして、S61において、装着日付が記録されていないと判断された場合には、マイクロ流路型センサチップ50は、それまでに一度も使用されていないことを意味するため、装着日を基準とした使用保証期限と使用保証期間との関係により、管理方法1と同様の操作によって測定装置60の外部に排出されることになる。一方、S61において、初回の装着日付が記録されていると判断された場合には、その装着日付の情報が、測定装置60の記録部の日付記録領域に記録される(S63)。
【0134】
なお、図示していないが、マイクロ流路型センサチップ50が再装着された日付が、測定装置60の記録部の日付記録領域に記録されると共に、初回に装着した日付と再装着日までの使用保管期間D3が、測定装置60の記録部の日付記録領域に記録される。
【0135】
次に、マイクロ流路型センサチップ50に予め記録されている使用保証期限が読み取られる(S64)。そして、測定装置60のコントローラ24によって、日付記録領域に記録されたマイクロ流路型センサチップ50の再装着日と使用保証期限との比較が行われる(S65)。続いて、使用保証期限が再装着日付より古いか否かが判断される(S66)。つまり、再装着日が使用保証期限を過ぎているか否かが判断され、装着日が使用保証期限を過ぎていると判断された場合には、コントローラ24からセンサチップ排出部28に対して、マイクロ流路型センサチップ50を取り外すことを指示する信号が送信される(S67)。
【0136】
このように、S60〜S67までの工程により、使用保証期限を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(ケース9:再装着時に、使用保証期間が切れているセンサチップの場合)
本ケースについて、図16、図17、図19を用いて説明する。
【0137】
図17に示すように、ケース9は、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60に再装着された時に、すでに使用保証期間が切れているケースである。図19は、管理方法2における、ケース9の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図19に基づいて説明する。なお、図18のS66までは操作が同じため、その説明を省略する。
【0138】
S66では、使用保証期限が再装着日付より古いか否かが判断される。本ケースでは、ここで「No」に進む。次に、測定装置60のコントローラ24によって、マイクロ流路型センサチップ50の記録部13に記録された最初の装着日付が読み取られる(S70)。続いて、最初に装着した日付と再装着日までの使用保管期間D3が計算される(S71)。その後、D3と使用保証期間D0とが比較される(S72)。本ケースでは、使用保管期間D3が使用保証期間D0と同じか大きい場合(D3≧D0)に該当するため(S73)、ここで「Yes」に進む。そして、コントローラ24からセンサチップ排出部28に対して、マイクロ流路型センサチップ50を取り外すことを指示する信号が送信される(S74)。
【0139】
このように、S70〜S74までの工程により、使用保証期間を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(ケース10:再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間と装着日から計算される使用終了期限よりも早いセンサチップ場合)
本ケースについて、図16、図17、図20を用いて説明する。
【0140】
図17に示すように、本ケースは、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60に再装着された時に、使用保証期限が、使用保証期間と装着日から計算される使用終了期限よりも早いケースである。図20は、管理方法2における、ケース10の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図20に基づいて説明する。なお、図19のS72までは操作が同じため、その説明を省略する。また、使用終了期限とは、使用保証期間からマイクロ流路型センサチップ50が測定装置60に装着された装着日を引いて算出される期限のことを表す。
【0141】
S72では、測定装置60のコントローラ24によって、最初に装着した日付と再装着日までの使用保管期間D3と使用保証期間D0とが比較される。そして、本ケースでは、S73において、「No」に進む。そして、再装着日付と使用保証期限から、残りの日数であるT1が計算される(S80)。次に、そのT1と、先の操作で読み取られたD0およびD3に基づいて、その差(D0−D3)が計算され、T1とD0−D3とが比較される(S81)。続いて、本ケースでは、再装着日から使用保証期限までの期間T1が残りの使用期間D0−D3よりも小さい場合に該当するため、S82において「Yes」に進む。このとき、コントローラ24の記録部の日付記録領域に使用保証期限が記録される(S83)。
【0142】
なお、図20には図示していないが、S83までのフローが進むと同時に、コントローラ24からの指示に基づいて、測定装置60は、自身が測定可能な状態である旨を表示部25に表示する。表示方法としては、従来の一般的な表示装置で用いられているように、装置ディスプレイ上での測定可能ボタンの点灯などがある。この場合、測定者が測定可能ボタンをONにすることにより、コントローラ24から計測部22への指示に基づき、計測が開始される(S84)。また、測定者による測定開始の判断を必要としない場合、つまり、自動で計測を始める測定装置の場合であれば、上記の測定可能信号がコントローラ24に送信されると同時に、計測部22において計測が開始される(S84)。計測は、ケース2の場合と同様に行われる。
【0143】
複数の測定部12を用いて所定の間隔をあけて測定する場合、測定装置60に設けられている年月日を示す時計により、例えば、日付が変わるタイミングでその時計から送られる年月日情報と、日付記録領域から読み出される使用保証期限とがコントローラ24によって比較され、使用保証期限と同じ年月日でない場合は、そのまま測定が続けられる(S84)。比較を行う時刻は、任意に設定してよい。
【0144】
表示部25における表示ボタンなどからの外部入力、あるいは予め設定されたプログラムによって使用保証期限までに測定が終了する場合(S85)、記録終了信号がコントローラ24に送信され、コントローラ24からセンサチップ排出部28への指示に基づいて、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60から排出される(S86)。なお、マイクロ流路型センサチップ50を排出した後は、測定装置60の内部の日付記録領域のデータは削除されることが好ましい。
【0145】
また、別の比較方法として、日付記録領域に記録された使用保証期限T1と、測定日と再装着日との間の期間T2を計算して、T2とT1を比較しても良い。この場合、比較を行う時刻は、任意に設定してかまわない。T2<T1であれば測定が続けられる。
【0146】
あるいは、さらに別の方法として、日付が変わるタイミングで、測定装置60に設けられている年月日を示す時計から送られる年月日情報と日付記録領域から読み出される使用保証期限T1とをコントローラ24で比較し、使用保証期限T1と同じ年月日になった場合、若しくは上記の比較方法で、T2=T1となった場合(S87)、コントローラ24からセンサチップ排出部28に使用終了信号が送信され、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60から排出される(S88)。
【0147】
このような操作により、マイクロ流路型センサチップ50の測定装置60への再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間と装着日から計算される使用終了期限よりも早い場合にも、使用保証期限を越えたセンサチップの誤使用により信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(ケース11:再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間と装着日から計算される使用終了期限よりも遅いセンサチップ場合)
本ケースについて、図16、図17、図21を用いて説明する。
【0148】
図17に示すように、ケース11は、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60に再装着された時に、使用保証期限が、使用保証期間と装着日から計算される使用終了期限よりも遅いケースである。図21は、管理方法2における、ケース11の動作を説明するための図であり、本ケースの動作を図21に基づいて説明する。なお、図20のS82までは操作が同じため、その説明を省略する。
【0149】
ケース11では、図20のS82において、再装着日から使用保証期限までの期間T1が残りの使用期間D0−D3よりも大きい場合に該当するため、S82において「No」に進む。そして、測定装置60のコントローラ24によって、再装着日付に使用可能期間D0−D3を加えて使用終了期限が算出される(S90)。そして、使用終了期限は、コントローラ24の記録部の日付記録領域第4領域に記録される。
【0150】
なお、図21には図示していないが、S90までのフローが進むと同時に、コントローラ24からの指示に基づいて、測定装置60は、自身が測定可能な状態である旨を表示部25に表示する。表示方法としては、従来の一般的な表示装置で用いられているように、装置ディスプレイ上での測定可能ボタンの点灯などがある。この場合、測定者が測定可能ボタンをONにすることにより、コントローラ24から計測部22への指示に基づき、計測が開始される(S91)。また、測定者による測定開始の判断を必要としない場合、つまり、自動で計測を始める測定装置の場合であれば、上記の測定可能信号がコントローラ24に送信されると同時に、計測部22において計測が開始される(S91)。計測は、ケース2の場合と同様に行われる。
【0151】
複数の測定部12を用いて所定の間隔をあけて測定する場合、測定装置60に設けられている年月日を示す時計により、例えば、日付が変わるタイミングでその時計から送られる年月日情報と、日付記録領域から読み出される使用保証期限とがコントローラ24によって比較され、使用保証期限と同じ年月日でない場合は、そのまま測定が続けられる(S84)。比較を行う時刻は、任意に設定してよい。
【0152】
表示部25における表示ボタンなどからの外部入力、あるいは予め設定されたプログラムによって使用保証期限までに測定が終了する場合(S92)、記録終了信号がコントローラ24に送信され、コントローラ24からセンサチップ排出部28への指示に基づいて、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60から排出される(S93)。なお、マイクロ流路型センサチップ50を排出した後は、測定装置60の内部の日付記録領域のデータは削除されることが好ましい。
【0153】
また、別の比較方法として、日付記録領域に使用可能期間D0−D3を記録し、測定日と再装着日との期間T2を計算して、T2とD0−D3を比較しても良い。この場合、T2<D0−D3であれば測定が続けられる。比較を行う時刻は、任意に設定してかまわない。
【0154】
あるいは、さらに別の方法として、日付が変わるタイミングで、測定装置60に設けられている年月日を示す時計から送られる年月日情報と日付記録領域から読み出される使用保証期限とをコントローラ24で比較し、使用保証期限と同じ年月日になった場合、若しくは上記の比較方法で、T2=D0−D3となった場合(S94)、コントローラ24からセンサチップ排出部28に使用終了信号が送信され、マイクロ流路型センサチップ50が測定装置60から排出される(S95)。
【0155】
このような操作により、マイクロ流路型センサチップ50の測定装置60への再装着時に、使用保証期限が、使用保証期間と装着日から計算される使用終了期限よりも遅い場合にも、使用保証期間を過ぎたセンサチップを誤使用することによって信頼性の低いデータが測定されることを回避できる。
(2回以上再利用する場合)
ここまでの説明では、すでに1回使用されたマイクロ流路型センサチップ50が再度利用されるケースを考えた。しかしながら、本実施の形態に係る管理方法2に好適なマイクロ流路型センサチップ50は、商品形態としては、例えばアディポネクチン測定用のセンサチップ、レプチン測定用のセンサチップ、あるいは血糖測定用のセンサチップが該当する。それらセンサチップは、各々、例えば1回だけの使用に用いる測定部を複数設けた構成である。使い方としては、アディポネクチンを測定したい日にはアディポネクチン用センサチップを測定装置に装着して測定し、一定の間隔をあけた別の日には血糖値を測定するために血糖値用センサチップを測定装置に装着して測定する。さらにまた、一定の間隔をあけて、一度使ったアディポネクチン用センサチップを測定装置に再装着して測定するという使い方も考えられる。
【0156】
このように、不定期的に数回同じセンサチップを使用する使用方法も考えられる。そして、とくに使用者が専門家ではなく一般ユーザーの場合には、一回用いたセンサチップが常温保管される可能性が高い。従って、このような場合には、初回使用までの保証期限である使用保証期限において冷蔵保存でセンサチップを管理するよりは、使用保証期間で管理する方が適切である。
【0157】
本実施の形態において、センサチップを2回以上用いる場合は、初回に測定装置に装着した日付がセンサチップに記録されるため、N回目の使用時には、N回目の装着日付と初回の装着日付とから計算される使用保管期間D3によって、上述した2回目の装着時と同様の操作で管理すればよい。
【0158】
また、本実施の形態においても、測定装置60は、ネットワークに接続可能なインターフェースを備える構成であってもよい。その構成および効果は、図14を参照して説明したものと同一である。実施の形態1に記載したその他の構成、効果についても、当然に本実施の形態に適用することが可能である。
【0159】
以上、本実施の形態1、2において、管理方法1、2を説明してきた。そして、すでに述べたように、管理方法1に係る初回使用期間(複数回の場合は更新した累計使用期間)、あるいは管理方法2に係る初回装着日などの使用状況データは、センサチップの記録部に記録されている。
【0160】
あるいは、上記使用状況データは、センサチップの識別情報と関連付けられた形で測定装置に記録されてもよい。センサチップが測定装置に装着されると、センサチップに記録された識別情報が読み出され、測定装置が備えるマトリックス表に存在する、当該識別情報と関連付けされた使用状況データ、あるいは特性データ等が読み出される。この構成によると、最低限の記録情報として、センサチップ側には識別情報のみが記録されておればよい。その場合、センサチップに設けられる記録部は読み出し専用になり、その記録部としては、RFIDチップ以外にもバーコードなどが選択でき、採用できる手段の幅が広くなるという効果を奏する。
【0161】
なお、この構成によると、常に同じ測定装置を使用する、という制限が生じうる。しかしながら、本実施の形態に係る別の構成によると、測定装置にはインターネットと接続可能なインターフェースが備えられている。この場合、使用状況データは、センサチップの識別情報と関連付けられた形で、インターネットを介して取得できる。そして、その識別情報は、例えば、別の記録装置に保存される。従って、この場合も、最低限の記録情報として、センサチップ側には識別情報のみが記録されておればよい。そして、センサチップに設けられる記録部は読み出し専用になり、その記録部としては、RFIDチップ以外にもバーコードなどが選択でき、採用できる手段の幅が広くなるという効果を奏する。つまり、測定装置は、インターネットと接続できるインターフェースがある装置であれば良く、本実施の形態に係るセンサチップを使用できる測定装置として、選択の幅が広がるというメリットがある。
【0162】
ここまで、マトリックス表、あるいはインターネットとの接続インターフェースを設けた測定装置の構成を説明したが、これらの役割を有するのであれば、測定装置としてパソコンを利用できることは言うまでもない。
〔実施の形態3〕
上述した2つの実施の形態では、信頼性の高い測定値を得るために、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎたセンサチップが判別され、測定装置の外部に自動排出されるという構成を示した。それに対して、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップは、自動排出される上記構成を備えると共に、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎた場合に、センサチップの特定領域が着色されるという着色手段を備える。または、使用保証期限、あるいは使用保証期間が到達する前に、センサチップの特定領域を着色するという構成を備える。以下、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ70について、図22、図23を用いて説明する。
【0163】
図22は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ70の概略図である。マイクロ流路型センサチップ70は、検体の測定を行う測定領域12bと、測定装置との間でのデータの読み出し、記録を可能にするRFIDなどの記録読み出し可能な手段である記録部を設けた測定領域12bと、着色手段83と、を有する。なお、マイクロ流路型センサチップ70は、上述したマイクロ流路型センサチップ1、あるいはマイクロ流路型センサチップ50を基にしてなるものであってよい。
【0164】
着色手段83には、着色液を溜めるための着色用液溜71と、後述する着色用液拡散体を含む拡散体保管領域(漏出部)72と、着色液が流れる通液路73と、外部との接続端子74と、接続端子74と後述する電極(漏出制御手段)78・79との間の配線75と、が含まれる。図22では、着色用液溜71および拡散体保管領域72は、矩形状のマイクロ流路型センサチップ70の1つの辺に平行に配置され、通液路73は、着色用液溜71および拡散体保管領域72に対して垂直に、両者の間に2つ配置されている。
【0165】
ここで、マイクロ流路型センサチップ70の断面図によって、その構成をより具体的に説明する。図23は、図22のXY断面におけるマイクロ流路型センサチップ70の一部断面図を示す。図23が示すように、マイクロ流路型センサチップ70は、上側基板76と下側基板77とが貼り合わされてなる。
【0166】
上側基板76の主面であって、下側基板77と貼り合わされる側の主面には、着色用液溜71と拡散体保管領域72とがそれぞれ溝状に形成されている。そして、着色用液溜71および拡散体保管領域72は、溝状の通液路73によって連通している。なお、拡散体保管領域72には着色用液拡散体80が含まれる。着色用液拡散体80は、液体を染み込ませて着色するものであれば、ろ紙、繊維などが利用できる。着色用液拡散体80は、白色又は無色が好ましいが、着色の前後で色が判別できるのであれば、着色用液拡散体80は白色又は無色に限定されない。
【0167】
下側基板77には、電極78・79が設けられている。電極78は、上側基板76と下側基板77とが貼り合わされた状態において、後述する着色用液と接するように、着色用液溜71の内部に位置するように下側基板77の上面に位置決めされている。電極79は、上側基板76と下側基板77とが貼り合わされた状態において、通液路73の内部に位置するように下側基板77の上面に位置決めされている。また、図22に示すように、電極78・79は、配線75を介して接続端子74と電気的に接続される。このように、下側基板77の上面に形成された電極78・79は、着色用液溜71、拡散体保管領域72、及び通液路73を設けた上側基板76に挟まれた構成となっている。なお、図22では通液路73が2つ存在するが、いずれの通液路73においても、電極78・79は上述した位置に配置されているものとする。なお、電極78・79が配設される位置は、必ずしも上述した位置に限定されず、後述する着色動作が機能するのであれば、例えば電極78・79が、ともに着色用液溜71の内部に位置するように下側基板77の上面に位置決めされていてもよい。
【0168】
そして、上側基板76と下側基板77とが貼り合わされた状態において、着色用液溜71の上方であって、上側基板76に形成された貫通孔(図示せず)を通じて、着色用液溜71の内部に着色用液が注入される。図23の斜線部は着色用液を示す。着色用液は、着色用液溜71の内部に注入されると共に、通液路73に配置されている電極79の末端部と接触した状態に保たれている。なお、着色用液は、自身の界面張力によって、拡散体保管領域72の方に漏出することなく、通液路73に配置された電極79と接触する位置に留め置かれている。
【0169】
なお、着色用液は、液体状の着色物であれば、その種類が特に制限されることはない。また、通液路73は、着色用液が着色用液溜71から拡散体保管領域72および着色用液拡散体80に向かってスムーズに移るため、幅0.1mm以下の毛細管にすることが好ましい。
【0170】
次に、マイクロ流路型センサチップ70を装着する測定装置65について、図24を用いて説明する。なお、図3、図22を参照して前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
【0171】
図24は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ70が装着される測定装置65の構成図である。測定装置65は、コントローラ24からの指示に基づいて、接続端子74を介して電極78・79に電圧を印加するバルブ駆動部(制御手段)66を備える。つまり、コントローラ24は、マイクロ流路型センサチップ70が使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎるタイミングでバルブ駆動部66に制御信号を送り、バルブ駆動部66は、その制御信号に基づいて接続端子74を介して電極78・79に電圧を印加する。なお、コントローラ24とバルブ駆動部66との電気的接続は、直接接続しても、あるいはセンサチップ排出部28を介して接続してもよい。
【0172】
上記構成において、着色用液溜71の内部に注入された着色用液が、通液路73を通って拡散体保管領域72に通液される動作を説明する。なお、この動作は、液体(液滴)に電圧を印加すると、液滴の表面に働く界面張力が低下する、言い換えると、液滴を載置する基板が濡れやすくなり液滴の移動が円滑になる、という原理に基づくものである。これは、例えば特開2006−220606、特開2005−199231に開示される技術を本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ70に応用するものである。
【0173】
本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ70では、管理方法1、2の何れによって管理されているかに係らず、センサチップが使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎて自動排出される時に、センサチップが装着された測定装置のコントローラから出力される制御信号に基づき、マイクロ流路型センサチップ70の接続端子74を介して、バルブ駆動部66が電極78・79に対して電圧を印加する。それにより、電極78と電極79との間に電位差が生じる。このとき、電極78・79には着色用液が接触しているため、電極78と電極79との間の電位差によって着色用液の界面張力が低下する。その結果、着色用液の表面に働く界面張力が低下し、着色用液が拡散体保管領域72の方へと流れていく。そして、拡散体保管領域72の内部に移動した着色用液は、着色用液拡散体80に染み込んでいく。このような原理によって、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎたマイクロ流路型センサチップ70は、その着色用液拡散体80が容易に着色される。つまり、本実施の形態に係る着色手段は、測定装置のコントローラから出力される制御信号に基づいて作動する構成であり、その制御信号は、センサチップの使用保証期限、あるいは使用保証期間に関連付けられている構成である。
【0174】
すなわち、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ70は、着色用液を収容している着色用液溜71と、着色用液溜71から漏出した着色用液を収容する拡散体保管領域72と、着色用液溜71と拡散体保管領域72との間を連通する通液路73と、着色用液溜71に収容されている着色用液に電圧を印加するための電極78・79とを有し、通液路73は、電極78・79により着色用液溜71に収容されている着色用液に電圧が印加されていない状態では、着色用液が界面張力によって通液路73から漏出せず、電極78・79により着色用液溜71に収容されている着色用液に電圧が印加された状態では、着色用液の界面張力が低下して通液路73を通って着色用液溜71から拡散体保管領域72へ着色用液が漏出する形状である。
【0175】
そして、電極78・79によって着色液に電圧が印加された状態では、着色用液の界面張力が低下して着色用液溜71から通液路73を介して拡散体保管領域72に着色用液が漏出する。つまり、使用保証期限あるいは使用保証期間に関連付けて電極78・79に電圧を印加すると、着色用液が拡散体保管領域72に漏出する。従って、着色状況から、マイクロ流路型センサチップ70が使用保証期限あるいは使用保証期間を過ぎているか否かが判断できる。あるいは、例えば使用保証期限の前日となった時に、電極78・79に電圧を印加する構成も可能である。その場合にも、着色の有無を確認することで、使用保証期限を過ぎているか否かが判断できる。
【0176】
マイクロ流路型センサチップ70の上記動作によって得られる効果を説明する。上述したように、マイクロ流路型センサチップ70は、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎて使用できなくなり自動排出される時に、着色用液拡散体80が着色用液によって着色される。従って、センサチップの排出後において、使用可能なセンサチップと使用不可のセンサチップとを容易に選別することができ、次回の測定時において、その着色状況を確認することにより、測定装置にセンサチップを装着する前の段階でその誤使用を回避できる。また、本実施の形態では、使用保証期限および使用保証期間の両方によりセンサチップを管理することができ、どのような管理方法においても、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップを活用することができる。
【0177】
あるいは、次のような使用方法も考えられる。つまり、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎてから電極78・79に電圧を印加するのではなく、例えば使用保証期限の前日となった時に、電極78・79に電圧を印加してもよい。このような構成とすることにより、例えば着色用液拡散体80が着色されていることを測定時点で確認したときには、センサチップが翌日に使用保証期限を迎えることを確認しうる。それにより、使用保証期限直前の古いセンサチップを新しいセンサチップに交換する契機を得ることができる。その結果、新しいセンサチップを使用することにより、より測定精度の高いデータを取得することが可能となる。
【0178】
このように、使用保証期限、あるいは使用保証期間が過ぎる前の時点であっても、使用保証期限、あるいは使用保証期間までどの程度の時間が残されているのかを着色部によって確認することができ、センサチップの使用可否の管理をより確実に行える。
【0179】
あるいは、次のような構成であってもよい。図25は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ82の概略図を示す。マイクロ流路型センサチップ82は、検体の測定を行う測定領域12bと、記録領域13bと、4つの着色部83a・83b・83c・83dとを有する。なお、着色部83a・83b・83c・83dは、マイクロ流路型センサチップ70において説明した着色部83と同様の構成要素を含み、図25に示すように、矩形状のマイクロ流路型センサチップ82の1つの辺に沿って2組ずつ、対向する2辺に沿って計4つ配置されている。
【0180】
上記構成において、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ82では、着色部83a・83bは使用保証期間に関連付けされ、着色部83c・83dは関連付けされている。そして、管理方法1、2によらず、例えばセンサチップを2回以上使用する場合に、使用保証期間が半分を過ぎれば、その時点で着色部83aが作動し、その拡散体保管領域72が着色される。使用保証期限が半分を過ぎれば、その時点で着色部83cが作動し、その拡散体保管領域72が着色される。そして、使用保証期間が過ぎれば、その時点で着色部83bが作動し、その拡散体保管領域72が着色される。使用保証期限が過ぎれば、その時点で着色部83dが作動し、その拡散体保管領域72が着色される。
【0181】
このように、さらに他の実施形態も実現することができる。この場合、使用状況を常に把握できるアルゴリズムを用いており、着色部の数を増やすほど、より細やかにセンサチップの使用状況を一見して分かるように変更することができる。
【0182】
あるいは、次のような構成であってもよい。図26は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ90の概略図を示す。図27は、図26のXY断面におけるマイクロ流路型センサチップ90の断面図を示す。マイクロ流路型センサチップ90は、図22によって示したマイクロ流路型センサチップ70に加え、さらに次の構成を備える。
【0183】
図27に示すように、マイクロ流路型センサチップ90は、上側基板76の内部に貫通孔91を有する。貫通孔91は、溝状の拡散体保管領域72の上方に形成され、下側基板77と対向する側とは反対側の主面であって、上側基板76のもう一方の主面に至るまで貫通している。そして、貫通孔91の内部には、着色用液拡散体92が含まれる。そして、着色用液拡散体92は、一方の端部が着色用液拡散体80と接触すると共に、他の端部が着色用液拡散体93と接触している。その着色用液拡散体93は、上側基板76の上記もう一方の主面に、ほぼ全面に亘って載置されている。なお、着色用液拡散体93は、液漏れがないように、フィルム94によって覆われている。つまり、フィルム94は、フィルム94と上側基板76との間に着色用液拡散体93を挟持している。
【0184】
図26に示すように、着色用液溜71と拡散体保管領域72とは、その長さがほぼ同一に保たれている。また、着色用液溜71と拡散体保管領域72との間には、通液路73がほぼ均等な間隔を保って3つ設けられている。それに伴い、接続端子74と図示しない電極78・79を接続する配線75が3組設けられている。
【0185】
マイクロ流路型センサチップ90は、前記構成を備えることにより、着色用液溜71の内部の着色用液が、3つの通液路73を通って、効率よく拡散体保管領域72に移動する。そして、拡散体保管領域72に移動した着色用液は、拡散体保管領域72に接触する着色用液拡散体92を介して、着色用液拡散体93まで移動する。そして、着色用液拡散体93は上側基板76の上面にほぼ全面に亘って載置されているため、着色用液は上側基板76の全面に亘って着色用液拡散体93を着色する外観を呈する。つまり、視覚的には、マイクロ流路型センサチップ90の全体が着色された様相を呈する。
【0186】
あるいは、次のような構成であってもよい。図28は、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ99を示す。本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップ99は、図26の破線部によって示される着色部83eをさらに3つ有する点で、マイクロ流路型センサチップ90と異なる。
【0187】
マイクロ流路型センサチップ99は、上記構成を備えることにより、4つの着色用液溜71から着色用液拡散体93に着色用液が移動するため、センサチップがより濃く着色された状態を作り出すことができる。この結果、着色状況の確認に基づくセンサチップの管理がより安全側に移行する。
【0188】
このように、本実施の形態におけるマイクロ流路型センサチップは、種々の構成によって実現することができる。そして、管理方法1、2の何れを選択しているかに係わらず、使用保証期限あるいは使用保証期間を過ぎたセンサチップが使用不可能になって測定装置の外部に自動排出される際に、測定装置のコントローラからの指示に基づいて、その排出前にセンサチップの外部接続端子を介してセンサチップの電極に電圧が印加される。その結果、上記動作により、センサチップの内部に設けられた着色用液拡散体が着色されて、センサチップの一部またはほぼ全域が着色された外観を呈することになる。従って、センサチップの排出後に、使用可能なセンサチップと使用不可のセンサチップが容易に選別でき、センサチップの誤使用を回避できるという効果を奏する。
【0189】
あるいは、使用保証期限あるいは使用保証期間を過ぎる前の時点においても、着色用液拡散体を所定の時間に合わせて適宜着色することができる。これにより、ユーザは、センサチップが使用保証期限あるいは使用保証期間の所定時間前にあることを確認し、より細やかなセンサチップの管理を行うことができる。そして、本実施の形態においては、使用保証期限および使用保証期間の両方によりセンサチップを管理することができ、管理方法1、2のいずれかに係らず、より広い範囲のセンサチップに対してその誤使用を効果的に防ぐことができる。
【0190】
なお、電極に電圧を印加して着色用液の流れを制御するという上記構成は、着色部の一例であって、他の構成による着色部を採用することも当然に可能である。例えば、熱を加えて通液路73を膨張・収縮させて、その動作により着色用液の流れを制御する構成も可能である。また、通液路73の開閉をエアにより操作し、着色用液の流れを制御することもできる。バルブの上下方向(あるいは左右方向)の開閉操作によって通液路73を開閉し、それにより着色用液の流れを制御することもできる。このように、着色部としては種々の構成を本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップに応用することができる。これらの構成は、例えば、特開2006−300145、特開2007−108087、特開2004−33919、特開2005−308200、特開2004−205372等に記載のバルブを参照して、本実施の形態に係るセンサチップに応用可能である。
【0191】
このように、本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップは、種々の着色部を採用することができ、各々がバルブとして機能することにより、通液路73の内部の着色用液の流れを制御することができる。その結果、マイクロ流路型センサチップ70によって得られる効果と同様の効果、つまり、使用保証期限、あるいは使用保証期間を過ぎて使用できなくなり自動排出された後において、使用可能なセンサチップと使用不可のセンサチップとを容易に選別することができ、次回の測定時において、その着色状況を確認することにより、測定装置にセンサチップを装着する前の段階でその誤使用を回避できるという効果が得られる。
【0192】
あるいは、使用保証期限、使用保証期間が過ぎる前の時点であっても、使用保証期限、あるいは使用保証期間までどの程度の時間が残されているのかを着色部によって確認することができ、センサチップの使用可否の管理をより確実に行うことができるという効果が得られる。
【0193】
また、本実施の形態に係る、図1〜3、図15、図16、図24に記載のマイクロ流路型センサチップ又は測定装置は、上記構成に限定されるものでなく、例えば、反応に必要な溶液、バッファー液、排液溜、ポンプ、バルブ等がすべてセンサチップ上に形成され、測定装置側には、電気化学的検出部、コントローラ、表示部、チップ排出部、バルブ駆動部等が設けられ、センサチップと測定装置とが、電気的接続のみにより接続している構成であってもよい。あるいは、溶液類についても、上記各図に記載の溶液類がすべて必要なわけではなく、例えば、バッファー液のみが設けられた構成であってもよい。また、血液等を扱う場合には、採血部あるいは血液中の血球を分離する前処理部などが同一センサチップに設けられた構成であってもよい。つまり、マイクロ流路型センサチップ又は測定装置には、本発明を実施しうる最小限の構成が少なくとも備えられていればよい。
(その他の構成)
以上のように、本実施の形態は、センサチップの信頼性を管理する方法が、少なくとも、当該センサチップを識別できる情報、使用保証期限、使用保証期間を含む管理情報と、少なくとも、実際に当該センサチップを装置に装着して使用する時間を含む使用状況データにより管理する構成であってもよい。
【0194】
また、センサチップの信頼性を管理する方法が、少なくとも、当該センサチップを識別できる情報、使用保証期限、使用保証期間を含む管理情報と、少なくとも、実際に当該センサチップを装置に装着した時から測定時までの時間を含む使用状況データにより管理する構成であってもよい。
【0195】
また、管理情報が、少なくとも使用保証期限、使用保証期間、管理方法を選択する情報を含む構成であってもよい。
【0196】
また、測定装置とインターネットとに接続された記録装置に、センサチップを識別する情報と使用保証期限、使用保証期間、管理方法を選択する情報からなる管理情報とを関係づけたマトリックスを記録する構成であってもよい。
【0197】
また、センサチップを測定装置に装着し、センサチップを排出するまでの工程において、当該センサチップが以前に装着されたことがあるか、初めての装着かが判断される工程を含んでもよい。
【0198】
また、センサチップが測定装置に初めて装着された場合、使用不能なセンサチップを排出するまでの工程において、装着工程の後に、使用保証期限と装着日との比較、及び何れが新しいかを判断する工程と、装着日から使用保証期限までの時間と使用保証期間とを比較し、どちらが長いかを判断する工程、をこの順序で含んでもよい。
【0199】
また、センサチップが測定装置に初めて装着された場合、まだ使用可能なセンサチップを排出するときに、装着時から排出時までの時間をセンサチップ、測定装置装置、または測定装置とインターネットとに接続された記録装置に記録する構成でもよい。
【0200】
また、センサチップが測定装置に初めて装着された場合、まだ使用可能なセンサチップを排出するときに、装着時刻または装着日をセンサチップ、測定装置、または測定装置とインターネットとに接続された記録装置に記録する構成でもよい。
【0201】
また、2回以上装着したセンサチップが測定装置に装着された場合、センサチップを測定装置して、排出するまでの工程において、使用保証期限と装着日との比較、及びどちらが新しいかを判断する工程を含んでもよい。
【0202】
また、センサチップを測定装置に装着した時から使用保証期限までの時間と、使用保証期間と装着までに実際に当該センサチップを測定装置に装着して使用した時間との差を比較して、どちらが長いかを判断する工程を含んでもよい。
【0203】
また、まだ使用可能なセンサチップを排出するときに、装着前の使用期間のデータに、今回の使用時間を加えたデータを新たに使用期間として、測定装置または測定装置とインターネットとに接続された記録装置に更新記録する構成でもよい。
【0204】
また、センサチップを測定装置に装着する工程から排出する工程までにおいて、センサチップと測定装置、あるいは、測定装置とインターネットを介して接続されている記録装置から管理方法を呼出す工程と、センサチップが以前に使用されたかどうかを判断する工程、をこの順序か又は逆の順序で含んでもよい。
【0205】
また、センサチップが以前に使用されたかどうかを判断する方法が、使用期間又は装着日など使用状況データの記録があるかどうかで判断する構成でもよい。
【0206】
また、測定装置に装着したセンサチップの管理方法に関する情報をセンサチップに記録されている識別情報から判断する構成でもよい。
【0207】
また、酵素材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルカリホスファターゼ、西洋わさびペルオキシダーゼ等を用いることができる。また、基質材料も特に限定されないが、例えば、アルカリホスファターゼ用基質としては、p−アミノフェニルリン酸やp−アミノナフチルリン酸を、西洋わさびペルオキシダーゼ用基質としては、o−フェニレンジアミンを使用することができる。このように、使用する酵素材料、基質は、適宜選択することができる。
【0208】
このように、本実施の形態によると、信頼性の高い測定を行うことのできるセンサチップ、測定装置、センサチップの管理方法を提供することができる。また、本実施の形態は、タンパク質の反応、検出だけでなく、多種の検体の反応及び検出に応用ができるため、産業上の意義は極めて大きい。
【産業上の利用可能性】
【0209】
本発明は、環境中の微粒子量、花粉量等の物理量や血液、唾液等の中に含まれる血糖、アディポサイトカインなどメタボリックに関連する物理量、各種マーカータンパク質などの物理量を計測するマイクロ流路型のセンサチップ、及びそのセンサチップを装着する測定装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップを示す。
【図2】図1のXY断面におけるマイクロ流路型センサチップの断面図を示す。
【図3】本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップが装着される測定装置の構成図である。
【図4】管理方法1を用いた場合の、各ケースのパターンを説明する図である。
【図5】管理方法1における、ケース1の動作を説明するための図である。
【図6】管理方法1における、ケース2の動作を説明するための図である。
【図7】管理方法1における、ケース3の動作を説明するための図である。
【図8】管理方法1における、ケース4の動作を説明するための図である。
【図9】管理方法1における、ケース5の動作を説明するための図である。
【図10】管理方法1における、ケース6の動作を説明するための図である。
【図11】管理方法1における、ケース7の動作を説明するための図である。
【図12】本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップの簡略図である。
【図13】本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップが測定装置に装着された様子を示す斜視図である。
【図14】本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップが、ネットワークに接続可能なインターフェースを備える測定装置に装着された様子を示す斜視図である。
【図15】本実施の形態に係る他のマイクロ流路型センサチップを示す。
【図16】本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップが装着される、他の測定装置の構成図である。
【図17】管理方法2を用いた場合の、各ケースのパターンを説明する図である。
【図18】管理方法2における、ケース8の動作を説明するための図である。
【図19】管理方法2における、ケース9の動作を説明するための図である。
【図20】管理方法2における、ケース10の動作を説明するための図である。
【図21】管理方法2における、ケース11の動作を説明するための図である。
【図22】本実施の形態に係る、さらに他のマイクロ流路型センサチップの概略図である。
【図23】図22のXY断面におけるマイクロ流路型センサチップの一部断面図を示す。
【図24】本実施の形態に係るマイクロ流路型センサチップが装着される測定装置の構成図である。
【図25】本実施の形態に係る、さらに他のマイクロ流路型センサチップの概略図である。
【図26】本実施の形態に係る、さらに他のマイクロ流路型センサチップの概略図である。
【図27】図26のXY断面におけるマイクロ流路型センサチップの一部断面図を示す。
【図28】本実施の形態に係る、さらに他のマイクロ流路型センサチップの概略図である。
【図29】従来のマイクロ流路型センサチップの上面図を示す。
【図30】図29のXY断面におけるマイクロ流路型センサチップの断面図を示す。
【図31】従来のマイクロ流路型センサチップを示す。
【符号の説明】
【0211】
1、50、70、82、90、99 マイクロ流路型センサチップ
2 基板
3 シリコン基板
4、5 流路
6 微粒子
7 堰止部
8 注入孔
9 排出孔
10 電極
11 端子部
12 測定部
12b 測定領域
13 記録部
13b 記録領域
20、60、65 測定装置
21 装置部
22 計測部
23 記録・読出部
24 コントローラ
25 表示部
26、27 接合部
28 センサチップ排出部
29 電気的接続部
30 試薬カートリッジ
31 サンプル液溜部
32 試料注入口
33 ポンプ
34 混合部
35 電気化学的検出部
40 ハンドリング領域
41 インターフェース
66 バルブ駆動部(制御手段)
71 着色用液溜
72 拡散体保管領域
73 通液路
74 接続端子
75 配線
76 上側基板
77 下側基板
78、79 電極(漏出制御手段)
80、92、93 着色用液拡散体
83、83a、83b、83c、83d、83e 着色部
91 貫通孔
94 フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を含む被検液が注入されるマイクロオーダーの流路を少なくとも1つ以上備え、前記検体と特異的に反応する認識材料を前記流路に有するマイクロ流路型センサチップであって、
前記マイクロ流路型センサチップを装着した測定装置が該マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、前記マイクロ流路型センサチップの製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報と、前記マイクロ流路型センサチップの使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報と、前記使用保証期限と前記使用保証期間との関係に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を前記測定装置が判定する管理方法を示す情報とが記録された記録部を備えることを特徴とするマイクロ流路型センサチップ。
【請求項2】
着色用液を収容している第1液溜部と、前記第1液溜部から漏出した前記着色用液を収容する第2液溜部と、前記第1液溜部と前記第2液溜部との間を連通する通液路と、前記第1液溜部から前記第2液溜部への前記着色用液の漏出を制御するための漏出制御手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ流路型センサチップ。
【請求項3】
前記漏出制御手段は、前記使用保証期限を特定するための情報、又は前記使用保証期間を特定するための情報に基づいて前記測定装置から出力される制御信号に従って、前記通液路を通って前記第1液溜部から前記第2液溜部へ前記着色用液を漏出させることを特徴とする請求項2に記載のマイクロ流路型センサチップ。
【請求項4】
前記使用保証期間は、自身の累積使用時間によって規定され、
前記管理方法を示す情報には、累積使用時間を記録する処理が登録されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のマイクロ流路型センサチップ。
【請求項5】
前記使用保証期間は、自身の初回使用時からの経過時間によって規定され、
前記管理方法を示す情報には、前記初回使用時を記録する処理が登録されていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のマイクロ流路型センサチップ。
【請求項6】
検体を含む被検液が注入されるマイクロオーダーの流路を少なくとも1つ以上備え、前記検体と特異的に反応する認識材料を前記流路に有するマイクロ流路型センサチップを装着して、前記検体の濃度を測定するための測定装置であって、
前記マイクロ流路型センサチップは、前記測定装置が該マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、前記マイクロ流路型センサチップの製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報と、前記マイクロ流路型センサチップの使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報と、前記使用保証期限と前記使用保証期間との関係に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を前記測定装置が判定するための管理方法を示す情報とが記録された記録部を備えており、
前記記録部から、前記使用保証期限を特定するための情報、前記使用保証期間を特定するための情報、及び前記管理方法を示す情報を読み出す読出手段と、
前記読出手段が読み出した、前記使用保証期限および前記使用保証期間に基づいて、前記読出手段が読み出した前記管理方法を示す情報に従って、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定する制御手段と、を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項7】
検体を含む被検液が注入されるマイクロオーダーの流路を少なくとも1つ以上備え、前記検体と特異的に反応する認識材料を前記流路に有するマイクロ流路型センサチップを装着して、前記検体の濃度を測定するための測定装置であって、
前記マイクロ流路型センサチップは、
前記測定装置が該マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、前記マイクロ流路型センサチップの製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報と、前記マイクロ流路型センサチップの使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報と、前記使用保証期限と前記使用保証期間との関係に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を前記測定装置が判定するための管理方法を示す情報とが記録された記録部と、
着色用液を収容している第1液溜部と、前記第1液溜部から漏出した前記着色用液を収容する第2液溜部と、前記第1液溜部と前記第2液溜部との間を連通する通液路と、前記第1液溜部から前記第2液溜部への前記着色用液の漏出を制御するための漏出制御手段とを備えており、
前記マイクロ流路型センサチップより読み出した、前記使用保証期限を特定するための情報、又は前記使用保証期間を特定するための情報に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの前記漏出制御手段に対して、前記通液路を通って前記第1液溜部から前記第2液溜部へ前記着色用液を漏出させるための制御信号を出力する制御手段を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項8】
前記使用保証期間は、前記マイクロ流路型センサチップの累積使用時間によって規定されることを特徴とする請求項6又は7に記載の測定装置。
【請求項9】
前記使用保証期間は、前記マイクロ流路型センサチップの初回使用時からの経過時間によって規定されることを特徴とする請求項6又は7に記載の測定装置。
【請求項10】
前記マイクロ流路型センサチップの装着時に前記使用保証期間を加えて算出される使用終了期限および前記使用保証期限の何れか早い方のタイミングで、測定が終了することを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項11】
前記マイクロ流路型センサチップの装着時に、累積使用期間が前記使用保証期間を過ぎている場合、測定を行わないことを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項12】
前記使用保証期間から累積使用期間を引いた期間を前記マイクロ流路型センサチップの装着時に加えて算出される使用終了期限および前記使用保証期限の何れか早い方のタイミングで、測定が終了することを特徴とする請求項8に記載の測定装置。
【請求項13】
前記マイクロ流路型センサチップの装着時が前記使用保証期間を過ぎている場合、測定を行わないことを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
【請求項14】
前記マイクロ流路型センサチップの装着時を前記使用保証期間から引いて算出される使用終了期限および前記使用保証期限の何れか早い方のタイミングで、測定が終了することを特徴とする請求項9に記載の測定装置。
【請求項15】
自身を個別に特定可能に付与された識別情報が記録されたマイクロ流路型センサチップを装着して、検体の濃度を測定するための測定装置であって、
前記マイクロ流路型センサチップから前記識別情報を読み出す読出手段と、
前記マイクロ流路型センサチップを装着した前記測定装置が該マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための情報である、前記マイクロ流路型センサチップの製造時からの経過時間により決まる使用保証期限を特定するための情報、前記マイクロ流路型センサチップの使用時間により決まる使用保証期間を特定するための情報、および、前記使用保証期限と前記使用保証期間との関係に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定するための管理方法を示す情報を、前記識別情報に対応付けて記憶している記憶装置から、前記読出手段が読み出した前記識別情報に対応付けられた使用保証期限を特定するための情報、使用保証期間を特定するための情報、および管理方法を示す情報を抽出し、前記管理方法に従って、前記使用保証期限および前記使用保証期間に基づいて、前記マイクロ流路型センサチップの使用可否を判定する制御手段と、を備えることを特徴とする測定装置。
【請求項16】
請求項15に記載の測定装置が読み取り可能に、自身を個別に特定可能に付与された識別情報を記録している記録部を有することを特徴とするマイクロ流路型センサチップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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