説明

マクラ

【課題】調湿性を向上させると共に、高さが経時的に大きく変化することなく、かつ、清涼感の高いマクラを提供する。
【解決手段】マクラの上下が第1および第2袋空間S1,S2に区画され、前記第1袋空間S1には炭の破砕物11が充填され、前記第2袋空間S2には球状のシリカゲル21が充填され、前記炭の平均粒径Caが3.0〜20mmに設定され、前記シリカゲルの平均粒径Saが3.0〜10mmに設定され、前記炭の破砕物11と球状のシリカゲル21の嵩比が3:7〜7:3に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマクラに関する。
【背景技術】
【0002】
就寝時に使用者の首筋や頭部に発汗がある場合に、むれ等の不快感を防止するためのマクラが提案されている(たとえば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−98870号(フロントページ)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1には、粒状のシリカゲルをマクラ内に内蔵し、該シリカゲルに汗等を吸湿させることで調湿性の向上を図っている。シリカゲルは、通常のマクラに使用されているカポック(パンヤ)や羽毛などに比べ吸湿量が著しく大きいので、むれ等の不快感を防止することができる。
【0004】
しかし、シリカゲルは吸湿により膨張してマクラの嵩が大きくなり、該マクラを長期間に渡って使用しているとマクラの高さが徐々に高くなるという不具合が生じる。
また、シリカゲルによる吸湿効果はSiO2がH2O と化学結合する化学反応によるものなので、吸湿に時間がかかり急速な吸湿による清涼感が得られにくい。また、効果の持続性はあるが、悪臭を急激に除去することもできない。
しかも、球状のシリカゲルはシリカゲル同士の摩擦抵抗が小さすぎて、就寝中にマクラが頭からズレるという不具合もある。
【0005】
したがって、本発明の目的は吸湿性を向上させると共に、高さが経時的に大きく変化したり、マクラがズレたりすることのないマクラを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のマクラは、マクラの上下が第1および第2袋空間S1,S2に区画され、前記第1袋空間S1には炭の破砕物11が充填され、前記第2袋空間S2には球状のシリカゲル21が充填され、前記炭の平均粒径Caが3.0〜20mmに設定され、前記シリカゲルの平均粒径Saが3.0〜10mmに設定され、前記炭の破砕物11と球状のシリカゲル21の嵩比が3:7〜7:3に設定されている。
【発明の効果】
【0007】
ここで、シリカゲルの成分は、化学式SiO2・nH2Oで示され、シリカ(二酸化ケイ素)SiO2に水H2O を多量(n)に結合させることができる。但し、シリカゲルの水分の結合は化学反応であるので炭に比べ吸湿に時間がかかる。
一方、炭は、木材を炭化させたものであるので、無数の微細な孔を有する。そのため、該微細な孔に水分が吸着されることにより迅速な吸湿効果を得ることができる。また、炭は、汗に含まれるアンモニアなどの不快な成分や、体臭などの不快な有機成分の吸着効果も高いので、大きな清涼感が得られる。但し、炭による吸湿効果は、前記微小な孔に吸着されることによるものであり、化学反応ではないので、前記シリカゲルに比べ多量の水分を吸着するのが難しい。
【0008】
したがって、本発明によれば、炭の破砕物が充填された第1袋空間を上にした場合、すなわち、前記第1袋空間を就寝者に当たる側にした場合には、炭による急速な吸湿および吸着効果により、爽快感が得られる。
一方、球状のシリカゲルが充填された第2袋空間を上にした場合には、シリカゲルによる大きな吸湿効果が発揮され、多量の発汗などが生じた場合であってもむれ感などの不快感を少なくすることができる。
また、頭が球状のシリカゲルに接しているので、頭部には滑らかな刺激となり、一方、マクラの下面は炭を介して布団に接するので、マクラの位置が就寝中にズレるおそれもない。
したがって、好みや体調に応じて、頭部に接する側(上側)を炭またはシリカゲルのいずれかに選択することが可能である。
【0009】
また、シリカゲルが充填された第2袋空間の側を上にして頭部に当てると、粒状のシリカゲルが頭部に沿って該第2袋内を移動し、頭部にスムースに沿う感じを得られる。一方、炭が充填された第1袋空間の側を上にして頭部に当てると、炭粒のゴツゴツした感じが得られる。
前記シリカゲルの平均粒径Saを3.0〜10mmに設定することで、マクラが頭部にスムースに沿う感じが向上する。一方、炭の平均粒径Caを3.0〜20mmに設定することにより、炭の角が過度に頭部に食い込むことによる不快感を防止することができる。
【0010】
特に、使用により経時的に炭の破砕物の角が取れて嵩が減少する一方、吸湿されたシリカゲルが膨張して嵩が増加し、マクラ全体の嵩の変化が小さくなる。そのため、マクラの高さが経時的に大きく変化するのを防止することができる。前記炭の破砕物と球状のシリカゲルの嵩比を3:7〜7:3に設定することにより、マクラの高さの経時的変化を少なくすることができる。
なお、「嵩比」とは、袋に詰めた状態の嵩の比率のことをいう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明において、前記第1袋空間を形成する不織布からなる第1袋体と、前記第2袋空間を形成する不織布からなる第2袋体と、前記第1袋体と第2袋体とを互いに面接合する面ファスナとを備えていてもよい。
本態様によれば、第2袋体に対して、第1袋体のみを交換することができる。前述したように、炭はシリカゲルに比べ多量の水分を吸着するには不向きであり、所定量の水分を吸着すると急速に吸湿効果が失われる。また、水分以外の他の物質の吸着にも限りがある。そこで、前記第1袋体を新たな第1袋体に交換することにより、炭による急速な吸湿作用や清涼感を維持することができる。
また、シリカゲルは、水分の結合が生じると嵩高が大きくなる。一方、炭はシリカゲルに比べ水分の吸収量が小さいので、交換するのが好ましい。そこで、嵩高が大きくなったシリカゲルの充填された第1袋体に応じて、小さな嵩高の新たな第1袋体を用意し、当該第1袋体と第2袋体とを互いに接合することにより、マクラの高さを一定に保つことができる。
なお、シリカゲルの方が炭よりも寿命が長いので、雄面ファスナを第2袋に設けておくのが好ましい。
【0012】
かかる態様において、前記第1および第2袋体の互いに接面される接合面が平面状に形成され、かつ、互いに接合されない非接合面が前記接合面よりも表面積が大きく膨らんだ形状に予め賦形されているのが好ましい。
本態様によれば、第1および第2袋体の互いに接面される接合面が、それぞれ平面状に形成されているので、該第1および第2袋体を互いに沿うように接合し易い。
また、前記非接合面が前記接合面よりも表面積が大きく膨らんだ形状に予め賦形されているので型崩れしにくい。
【0013】
かかる態様において、前記第1袋体と第2袋体との間には小袋が設けられ、該小袋には安眠成分を含有する物質が充填され、前記小袋が前記第1袋体および第2袋体とは別体に形成されていてもよい。
前記「安眠成分」とは、睡眠を促す効果や睡眠の質を改善する効果のある成分を有する物質のことをいい、該「安眠成分」としては、たとえば、カモミール、テアニン、グリシンないしトリプトファンなどの何れか1つまたは複数を組み合わせて用いることができる。
本態様によれば、前記安眠成分が炭に一旦吸着され、経時的に当該安眠成分が徐々に揮発することにより、長期間に渡って安眠成分の効果を発揮し得る。なお、安眠成分の揮発による効果を十分に得る為に、炭の破砕物が充填された第1袋体側が就寝者の頭部に当たるように当該第1袋体が上になるように用いるのが好ましい。
また、異なる安眠成分が充填された小袋を複数種類用意することで、好みや体調に応じて、前記小袋を自由に選択して用いることができる。
【0014】
本発明において、前記第1袋空間と第2袋空間とに区画し、不織布からなる中間材と、前記中間材との間で前記第1袋空間を形成し、不織布からなる第1表面材と、前記中間材との間で前記第2袋空間を形成し、不織布からなる第2表面材とを備えていてもよい。
本態様によれば、第1袋体と第2袋体とを形成することなく、中間材を用いて1つの袋体を第1袋空間と第2袋空間とに区画することにより、低コストでマクラを製造することができる。
【0015】
かかる態様において、前記中間材は平面状に形成され、かつ、前記第1および第2表面材は前記中間材よりも表面積が大きく膨らんだ形状に予め賦形されているのが好ましい。
【0016】
かかる態様において、前記炭の破砕物の層と前記球状のシリカゲルの層との間に、小袋が配置され、該小袋に安眠成分を含有する物質が充填されていてもよい。
本態様において、前記小袋は、中間材で区画された第1袋空間側に配置するのが好ましい。前記安眠成分が炭に一旦吸着され、経時的に当該安眠成分が徐々に揮発することにより、長期間に渡って安眠成分の効果が得られるからである。
【0017】
本発明において、マクラの上下が第1、第2および第3袋空間に区画され、前記第1および第3袋空間には炭の破砕物が充填され、前記第2袋空間には球状のシリカゲルが充填され、前記炭の平均粒径が3.0〜20mmに設定され、前記シリカゲルの平均粒径が3.0〜10mmに設定され、前記第1および第3袋空間の炭の破砕物と第2袋空間の球状のシリカゲルの嵩比が3:7〜7:3に設定され、前記第2袋空間が前記第1袋空間と第3袋空間との間に位置されていてもよい。
ここで、炭は清涼感があり吸湿が早い、一方、シリカゲルは吸湿に時間が掛かるが吸湿性は大きい。そのため、本態様によれば、シリカゲルの充填された第2袋空間が、炭の破砕物の充填された第1袋空間と第3空間との間に位置しているので、清涼感と同時に大きな吸湿効果を得ることができる。
【0018】
本発明において、前記炭の破砕物の平均粒径Caが5.0〜8.0mmに設定され、かつ、当該平均粒径Caに対し、当該炭の破砕物のうちの90重量%の破砕物の粒径Cが(Ca−2)〜(Ca+2)mmの範囲に設定されているのが好ましい。
炭の破砕物の粒径のバラツキが大きいと、使用する度に該炭の破砕物同士の隙間に該炭の破砕物が入り込んだり、炭の破砕物間に大きな隙間が生じたりしてマクラの高さを一定に保つことが難しいが、本態様では炭の破砕物の粒径のバラツキが小さく設定されているのでマクラの高さを一定に保持することができる。
また、炭の破砕物が頭部に過度に食い込むのを防止し得る。
【0019】
本発明において、前記シリカゲルの平均粒径が3.0〜7.0mmに設定されているのが好ましい。
本態様によれば、シリカゲルの平均粒径を3.0〜7.0mmに設定することで、球状のシリカゲルが前記袋空間内をスムースに移動し、マクラが頭部に沿う感じを向上させることができる。
【0020】
本発明において、前記不織布同士はその周縁において互いに溶着されてシールされているのが好ましい。
本態様によれば、不織布同士を縫製や接着する場合に比べ、不織布同士を互いに溶着することにより安価かつ簡便に前記袋体を作成することができる。
【実施例1】
【0021】
以下、本発明の実施例を図面にしたがって説明する。
なお、以下の説明で用いる図面では、理解を容易にするために、炭の破砕物11およびシリカゲル21を拡大して図示している。
【0022】
図1A〜図1Cは実施例1を示す。
図1Aに示すように、本実施例1のマクラは、不織布からなる第1および第2表面材1,2および中間材3を備えている。前記第1および第2表面材1,2はマクラの表面を構成しており、前記中間材3は平面状に形成されていると共に、第1および第2表面材1,2は前記中間材3よりも表面積が大きく膨らんだ形状に予め賦形されている。
【0023】
前記第1および第2表面材1,2および中間材3は、その周縁1e,2e,3eにおいて互いに溶着されることによりシールされている。そのため、第1表面材1と中間材3との間には第1袋空間S1が形成され、第2表面材2と中間材3との間には第2袋空間S2が形成されている。したがって、マクラの上下は密閉された第1および第2袋空間S1,S2に区画されている。
【0024】
炭の破砕物11:
前記第1袋空間S1には炭の破砕物11が充填されている。炭の破砕物11としては、たとえば、廃材を用いて作成した木炭を破砕したものや、竹炭を破砕したものなどを用いることができる。
前記炭の破砕物11の平均粒径Caとしては、3.0〜20mmに設定するのが好ましく、より好ましくは5.0〜8.0mmに設定する。また、当該炭の破砕物11の平均粒径Caに対し、該炭の破砕物11のうちの90重量%の破砕物の粒径Cは、(Ca−2)〜(Ca+2)mmの範囲に設定されている。
【0025】
シリカゲル21:
前記第2袋空間S2には球状のシリカゲル21が充填されている。前記シリカゲル21の平均粒径Saとしては、3.0〜10mmに設定するのが好ましく、より好ましくは3.0〜7.0mmに設定する。
【0026】
嵩比:
前記炭の破砕物11と球状のシリカゲル21との嵩比は、3:7〜7:3に設定されている。すなわち、第1袋空間S1に充填された炭の破砕物11の嵩と第2袋空間S2に充填されたシリカゲル21の嵩との比率が3:7〜7:3に設定されている。
【0027】
長期間に渡り本実施例1のマクラを使用していると、図1Bに示すように、シリカゲル21に水分が結合することにより該シリカゲル21の粒径が大きくなり第1袋空間S1の嵩が増加する。同時に、炭の破砕物11の角が取れて第2袋空間S2の嵩が減少する。
そのため、第1袋空間S1の高さh1が使用前の第1袋空間S1の高さh1(図1A)に比べ高くなると共に、第2袋空間S2の高さh2が使用前の第2袋空間S2の高さ(図1A)に比べ低くなる。したがって、図1Aに示す使用前のマクラの高さHと、図1Bに示す長期間に渡って使用したマクラの高さHとの差が小さくなり、該マクラの使用感に大きな変化が生じない。
【0028】
なお、図1Aおよび図1Bでは、球状のシリカゲル21が充填された第2袋空間S2を頭部に当たる上側に使用した場合について図示したが、好みに応じて、図1Cに示すように、炭の破砕物11が充填された第1袋空間S1を頭部に当たる上側になるように使用してもよい。
【実施例2】
【0029】
図2は実施例2を示す。
図2に示すように、本実施例2のマクラは、中間材3の第1袋空間S1側の面の概ね中央に小袋4が配置されている。前記小袋4は中間材3に接着されていてもよい。
小袋4内には、睡眠を促す効果や睡眠の質を改善する効果のある安眠成分を有する物質が充填されている。前記安眠成分としては、種々の物質を採用することができるが、たとえば、カモミール、テアニン、グリシンないしトリプトファンなどの何れか1つまたは複数を組み合わせて用いることができる。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【実施例3】
【0030】
図3および図4は実施例3を示す。
図3Aに示すように、本実施例3のマクラは、第1袋空間S1を形成する不織布からなる第1袋体10と、第2袋空間S2を形成する不織布からなる第2袋体20とを備えている。図3Bおよび図3Cに示すように、第1袋体10と第2袋体20とは、互いに接合される。
【0031】
第1袋体10:
図3Aに示す第1袋体10は、第1表面材1および第1中間材31を備えている。第1表面材1および第1中間材31は、その各周縁1e,31eにおいてそれぞれ互いに溶着されることによりシールされている。そのため、第1表面材1と第1中間材31との間には第1袋空間S1が形成されており、該第1袋空間S1内には炭の破砕物11が充填されている。
【0032】
第2袋体20:
前記第2袋体20は、第2表面材2および第2中間材32を備えている。第2表面材2および第2中間材32は、その各周縁2e,32eにおいて互いに溶着されることによりシールされている。そのため、第2表面材2と第2中間材32との間には第2袋空間S2が形成されており、該第2袋空間S2内には球状のシリカゲル21が充填されている。
前記炭の破砕物11および球状のシリカゲル21は、前述した実施例1と同様であり、その説明を省略する。
【0033】
前記第2中間材32の周縁32eには、不織布からなる前記第1中間材31の周縁31eに係合する雄面ファスナ5が設けられている。
前記第1中間材31および第2中間材32は、第1袋体10および第2袋体20が互いに接合される接合面を構成しており、該第1中間材31および第2中間材32は平面状に形成されている。一方、互いに接合されない非接合面を構成する第1表面材1および第2表面材2は、前記接合面よりも表面積が大きく膨らんだ形状に予め賦形されている。
【0034】
したがって、図3Bに示すように、前記雄面ファスナ5が不織布で構成された第1中間材31の周縁31eに係合させることで、第1袋体10と第2袋体20とが接合されたマクラを得ることができる。なお、体調や好みに応じて、図3Bに示すように、第1袋体10が就寝者の頭に当たるように使用してもよいし、図3Cに示すように、第2袋体20が就寝者の頭に当たるように使用してもよい。
なお、第1中間材31の周縁31eに前記雄面ファスナ5に係合する雌面ファスナを設けてもよいし、第2中間材32の周縁32e以外の前記接合面に面ファスナを設けてもよい。
【0035】
嵩高の調整:
ここで、図4Aに示す第1袋体10および第2袋体20からなるマクラを使用していると、図4Bおよび図4Cに示すように、第2袋体20内のシリカゲル21が吸湿により膨張し、第2袋体20が嵩高になって該第2袋体20の高さh1が大きくなる。
一方、第1袋体10内の炭の破砕物11は、吸湿可能な水分量がシリカゲル21に比べて遙に少なく、かつ、その他の物質の吸着量にも限度があるので、第2袋体20から第1袋体10を取り外し、新たな炭の破砕物11が充填された第1袋体10を第2袋体20に接合するのが好ましい。
【0036】
そこで、第1袋体10の高さh2を小さくした第1袋体10を複数種類予め用意し、嵩高になった第2袋体20に新たな第1袋体10を接合することで、前記マクラの高さHの変化を少なくする。
たとえば、図4Bおよび図4Cに示すように、高さh2を適度に低くした第1袋体10を用意し、4ヵ月ごとに交換することで、マクラの高さHの変化を少なくすると共に、炭による吸湿効果および清涼感を1年間持続させることができる。
【0037】
また、種々の高さの第1袋体10を予め用意し、当該第1袋体10を第2袋体20に組み合わせて接合することで、好みの高さのマクラを得ることができる。したがって、多数の種類のマクラを生産する必要がなくなり大幅なコストダウンを図り得る。
【実施例4】
【0038】
図5は実施例4を示す。
図5Aおよび図5Bに示すように、本実施例4では、第1および第2袋体10,20との間に小袋4が設けられている。
図5Aに示すように、第1中間材31には、小袋4がマクラ内で移動するのを防止するための凹部31aが賦形されている。
小袋4内には、前述した実施例2で説明した睡眠を促す効果や睡眠の質を改善する効果のある安眠成分を有する物質が充填されている。
その他の構成は、実施例3と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その詳しい説明および図示を省略する。
【0039】
図5Bに示すように、凹部31a内に小袋4を嵌入させると共に、第1袋体10と第2袋体20とを雄面ファスナ5で接合する。
【0040】
なお、異なる安眠成分を有する物質が充填された小袋4を複数種類容易することで、体調や好みに応じて小袋4を入れ換えることができる。
また、前述した実施例2では、異なる安眠成分を有する物質が充填された小袋4を入れ換えることが実質的に不可能であるので、異なる安眠成分を有する物質が充填された小袋4ごとにマクラを生産する必要がある。また、販売店においても、安眠成分ごとにマクラを在庫する必要がある。これに対し、本実施例4では、小袋4を簡単に入れ換えることができるので、複数種類のマクラを生産する必要がないから、製造コストを大幅に低減させることができる。また、販売店における在庫量も大幅に低減させるることができる。
【0041】
さらに、凹部31aは必ずしも設ける必要はなく、第1中間材31と第2中間材32との間に小袋4を挟み込むように第1袋体10と第2袋体20とを接合してもよい。小袋4がマクラ内を不用意に移動しないように、かかる場合には、小袋4の上面および/または下面に雄面ファスナを設けて、第1中間材31および/または第2中間材32に接合させてもよい。
【実施例5】
【0042】
図6に示すように、マクラの上下は、第1表面材6、第1中間材7、第2中間材8および第2表面材9によって、第1、第2および第3袋空間S11,S12,S13に区画されている。
前記第1表面材6、第1中間材7、第2中間材8および第2表面材9は、その各周縁6e,7e,8e,9eにおいてそれぞれ互いに溶着されることによりシールされている。かかるシールにより、第1表面材6、第1中間材7、第2中間材8および第2表面材9によって、第1、第2および第3袋空間S11,S12,S13に区画されている。
前記第1および第3袋空間S11,S13には炭の破砕物11が充填されており、前記第2袋空間S12には球状のシリカゲル21が充填されている。
その他の構成は、実施例1と同様であり、同一部分または相当部分に同一符号を付して、その説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明はマクラに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例1にかかるマクラを示す概略断面図である。
【図2】本発明の実施例2にかかるマクラを示す概略断面図である。
【図3】本発明の実施例3にかかるマクラを示す概略断面図である。
【図4】同マクラの使用方法を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施例4にかかるマクラを示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施例5にかかるマクラを示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1:第1表面材
2:第2表面材
3:中間材
4:小袋
5:雄面ファスナ
10:第1袋体
11:炭の破砕物
20:第2袋体
21:シリカゲル
S1:第1袋空間
S2:第2袋空間
S3:第3袋空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マクラの上下が第1および第2袋空間に区画され、
前記第1袋空間には炭の破砕物が充填され、前記第2袋空間には球状のシリカゲルが充填され、
前記炭の平均粒径Caが3.0〜20mmに設定され、
前記シリカゲルの平均粒径Saが3.0〜10mmに設定され、
前記炭の破砕物と球状のシリカゲルの嵩比が3:7〜7:3に設定されているマクラ。
【請求項2】
請求項1において、前記第1袋空間を形成する不織布からなる第1袋体と、
前記第2袋空間を形成する不織布からなる第2袋体と、
前記第1袋体と第2袋体とを互いに面接合する面ファスナとを備えたマクラ。
【請求項3】
請求項2において、前記第1および第2袋体の互いに接面される接合面が平面状に形成され、かつ、互いに接合されないマクラの上面および下面を形成する非接合面が前記接合面よりも表面積が大きく膨らんだ形状に予め賦形されているマクラ。
【請求項4】
請求項2もしくは3において、前記第1袋体と第2袋体との間には小袋が設けられ、該小袋には安眠成分を含有する物質が充填され、前記小袋が前記第1袋体および第2袋体とは別体に形成されているマクラ。
【請求項5】
請求項1において、前記第1袋空間と第2袋空間とに区画し、不織布からなる中間材と、
前記中間材との間で前記第1袋空間を形成し、不織布からなる第1表面材と、
前記中間材との間で前記第2袋空間を形成し、不織布からなる第2表面材とを備えたマクラ。
【請求項6】
請求項5において、前記中間材は平面状に形成され、かつ、前記第1および第2表面材は前記中間材よりも表面積が大きく膨らんだ形状に予め賦形されているマクラ。
【請求項7】
請求項5もしくは6において、前記炭の破砕物の層と前記球状のシリカゲルの層との間に、小袋が配置され、該小袋に安眠成分を含有する物質が充填されているマクラ。
【請求項8】
マクラの上下が第1、第2および第3袋空間に区画され、
前記第1および第3袋空間には炭の破砕物が充填され、前記第2袋空間には球状のシリカゲルが充填され、
前記炭の平均粒径が3.0〜20mmに設定され、
前記シリカゲルの平均粒径が3.0〜10mmに設定され、
前記第1および第3袋空間の炭の破砕物と第2袋空間の球状のシリカゲルの嵩比が3:7〜7:3に設定され、
前記第2袋空間が前記第1袋空間と第3袋空間との間に位置するマクラ。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項において、前記炭の破砕物の平均粒径Caが5.0〜8.0mmに設定され、かつ、当該平均粒径Caに対し、当該炭の破砕物のうちの90重量%の破砕物の粒径Cが(Ca−2)〜(Ca+2)mmの範囲に設定されているマクラ。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、前記シリカゲルの平均粒径が3.0〜7.0mmに設定されているマクラ。
【請求項11】
請求項2〜10のいずれか1項において、前記不織布同士はその周縁において互いに溶着されてシールされているマクラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−51422(P2010−51422A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−217584(P2008−217584)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【特許番号】特許第4230532号(P4230532)
【特許公報発行日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(300046452)
【Fターム(参考)】