説明

マクロライドの検出のための方法およびシステム

本発明は、マクロライド(例えば、エリスロマイシルアミンおよび関連化合物)を検出するための逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)方法に関する。本発明はまた、マクロライド(例えば、エリスロマイシルアミンおよび関連化合物)を検出するための逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)システムに関する。本発明は、約180nm〜約220nmにおける紫外〜可視範囲において最大吸収を有するマクロライドを検出するための方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互援用)
本願は、2004年5月6日に出願された米国特許出願第60/568,639号(その開示は、本明細書においてその全体が参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、マクロライド(例えば、エリスロマイシルアミンおよび関連化合物)を検出および定量するための分析方法およびシステムに関し、これは、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)および光度測定検出を含む。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
マクロライドとは、種々の細菌感染を処置するために使用される抗生物質ファミリーを表わす。マクロライドは、14個〜16個の原子からなる大環状ラクトン環と、通常は少なくとも1つの糖部分、アミノ糖部分、または関連部分とによって、化学的に特徴付けられる。マクロライドは、細菌の50Sリボソーム上の2つの部位での結合の結果として細菌タンパク質合成を阻害し、転移RNAの解離およびペプチド結合の終結を引き起こすと考えられる。エリスロマイシン(最初のマクロライド抗生物質である)は、1952年に発見され、その後すぐに臨床使用の段階に入った。エリスロマイシンおよびその初期誘導体(例えば、種々の塩およびエステル)は、代表的には、ほとんどのグラム陽性細菌(特に、連鎖球菌)についての静菌活性または殺菌活性と、呼吸病原体に対する良好な活性とによって特徴付けられる。マクロライドは、安全でありかつ多くの呼吸感染について有効であることが示されており、ペニシリンアレルギーを有する患者において有用である。
【0004】
マクロライドは、代表的には、非常に低い波長範囲(例えば、<220nm)における紫外(UV)吸光度を有する。この範囲は、光度測定検出法の限界に近い。エリスロマイシン(下記の構造を参照のこと)についてのUnited States Pharmacopeia National Formulary(USP−NF)のアッセイ方法は、215nmにおけるUV検出を使用する、L21固定相を備えるRP−HPLC(逆相の剛性球状スチレン−ジビニルベンゼンコポリマー、5μm〜10μm粒径)を含む(例えば、20001年1月1日に刊行されたUSP−NFのpp663〜665を参照のこと)。実際、多くの還元型エリスロマイシン誘導体および関連分子(例えば、9−(S)−エリスロマイシルアミン(またはPA2794;下記の構造を参照のこと)は、215nmよりも十分に低いUV最大吸収バンド(UVmax)を有する。例えば、9−(S)−エリスロマイシルアミンについてのUVmaxは、約191nmに存在し、これは、標準的な光度測定検出方法の短波長限界に近い。従って、代替的検出方法(例えば、電気化学的検出)が、魅力的であることが知られている(例えば、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5;および非特許文献6)。しかし、これらの代替方法は、品質管理環境において実行されなければならないアッセイ(例えば、薬物放出研究に関連するアッセイおよび薬物安定性研究に関連するアッセイ)のためには通常は適さない。光度測定検出は、アッセイされる化合物(例えば、活性薬剤成分)を検出および定量する目的のためには、優れた方法のままであり、かつ最も普遍的に受容された方法のままである。
【0005】
【化1】

【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
光度測定検出は、HPLC分析と組み合わせた場合に、他の検出方法を超える多数の明らかな利点を有するので、UV検出方法を使用して低波長吸収分子(例えば、マクロライド抗生物質)を検出および定量するために適切に設計されたアッセイについて、現在必要性が存在する。本明細書中に記載される方法およびシステムは、この必要性および他の必要性を満たすのを助ける。
【非特許文献1】Whitakerら、J.Liq.Chromatogr.(1988)、11(14)、3011〜20
【非特許文献2】Pappa−Louisiら、J.Chromatogr.,B:Biomed.Sci.Appl.(2001),755(1−2),57〜64
【非特許文献3】Keesら、J.Chromatogr.,A(1998),812(1+2),287〜293
【非特許文献4】Hedenmoら、J.Chromatogr.,A(1995),692(1+2),161〜6
【非特許文献5】Daszkowskiら、J.Liq.Chromatogr.Relat.Technol.(1999),22(5),641〜657
【非特許文献6】Duboisら、J.Chromatogr.,B:Biomed.Sci.Appl.(2001),753(2),189〜202
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本発明は、約180nm〜約220nmにおいて紫外〜可視範囲における最大吸収を有するマクロライドを検出するための方法であって、上記方法は、
a)上記マクロライドを含むサンプルを、約180nm〜約220nmの間の検出波長を有する紫外線(UV)検出器を備える逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムに対して適用する工程;
b)上記サンプルを、イオン対試薬を含む移動相を用いて溶離させる工程;および
c)カラム流出物を、上記UV検出器を用いてモニターして、上記検出波長における吸収ピークまたは透過ピークを検出する工程であって、上記ピークは、上記マクロライドに対応する、工程;
を包含する、方法。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記マクロライドは、約180nm〜約200nmにおいて紫外〜可視範囲における最大吸収を有する。さらなる実施形態において、上記マクロライドは、9−(S)−エリスロマイシルアミンである。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記検出波長は、約190nm〜約210nm、約197nm〜約205nm、または約200nmである。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記イオン対試薬は、C〜C12アルキルスルホン酸塩(例えば、1−オクタンスルホン酸ナトリウム)を含む。さらなる実施形態において、上記移動相におけるイオン対試薬の濃度は、約10mM〜約30mMである。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記移動相は、緩衝液(例えば、硫酸緩衝液またはリン酸緩衝液)をさらに含む。さらなる実施形態において、上記移動相は、pH約1〜pH約4(例えば、pH約3)を有する。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記移動相は、上記マクロライドの溶離の時間経過の間に可変量の水、有機溶媒、および緩衝液を含む。さらなる実施形態において、上記移動相は、溶離の時間経過の間に、上記検出波長において実質的に一定の吸光度を維持する。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記移動相は、約205nmより上では無視できる吸光度しか有さない。さらなる実施形態において、上記移動相は、200nmにおいて約0.5未満の吸光度を有する。なおさらなる実施形態において、上記移動相は、200nmにおいて約0.1未満の吸光度を有する。
【0014】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、
上記マクロライドに対応するピークの面積を標準物と比較することによって上記マクロライドを定量する工程;
をさらに包含する。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、
上記UV検出器を用いてカラム流出物をモニターして上記検出波長における1つ以上のさらなる吸収ピークまたは透過ピークを検出することによって、上記サンプル中に存在する不純物を検出する工程であって、上記1つ以上のさらなるピークは、上記マクロライドについてのピーク面積のうちの約0.05%よりも大きなピーク面積を有し、かつ上記1つ以上のさらなるピークは、1つ以上の不純物に対応する、工程;
をさらに包含する。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明は、
サンプルの純度を決定するための方法をさらに提供し、この決定は、
i)上記UV検出器を用いてカラム流出物をモニターして上記検出波長における1つ以上のさらなる吸収ピークまたは透過ピークを検出する工程であって、上記1つ以上のさらなるピークは1つ以上の不純物に対応する、工程;および
ii)上記検出器によって検出されたピークの特徴を測定して、上記サンプル中の不純物含有量を算出する工程;
による。
【0017】
本発明は、9−(S)−エリスロマイシルアミンを検出するための方法をさらに提供する。上記方法は、
a)上記9−(S)−エリスロマイシルアミンを含むサンプルを、約200nmの検出波長を有する紫外線(UV)検出器を備えるC18逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムに対して適用する工程;
b)上記サンプルを、水とアセトニトリルと1−オクタンスルホン酸ナトリウムと硫酸緩衝液とを含む移動相を用いて溶離させる工程;および
c)上記UV検出器を用いてカラム流出物をモニターして、上記検出波長における吸収ピークまたは透過ピークを検出する工程であって、上記ピークは、上記9−(S)−エリスロマイシルアミンに対応する、工程;
を包含する。
【0018】
本発明は、マクロライドを検出するためのシステムをさらに提供する。上記システムは、
a)逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラム;および
b)紫外線(UV)検出器;
を備え、上記逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムは、
i)逆相固体支持体を含む固定相;および
ii)移動相;
を含み、上記移動相は、
1)イオン対試薬;
2)緩衝液;
3)水;および
4)アセトニトリル;
を含み、上記移動相は、200nmにおいて約0.5未満の吸光度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
(詳細な説明)
本発明は、とりわけ、UV領域において主要な分光光度的吸収を有するマクロライドおよび/または関連分子を検出および定量するための方法およびシステムを提供する。いくつかの実施形態において、上記方法は、逆粗高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムにおいて、上記のマクロライドまたは関連化合物を含むサンプルを流す工程を包含する。上記サンプルは、低UV吸収移動相を用いて溶離されて、短波長における上記マクロライドおよび/またはあらゆる分離された不純物の検出が可能になる。上記移動相はまた、その逆相カラムにおいて、しばしば極性であるマクロライドを保持することを改善するために、イオン対試薬を含み得る。
【0020】
本発明に従うマクロライドは、公知の抗生物質マクロライドまたは他のマクロライド、およびそれらの誘導体のうちのいずれかを含む。代表的なマクロライドは、12員、14員、または16員の、大環状ラクトンコア構造によって特徴付けられる。マクロライドは、当該分野において広範に公知であり、例えば、Macrolide Antibiotics,Satoshi Omura編,Academic Press,Inc.,Orlando,Florida,1984(これは、その全体が本明細書中で参考として援用される)において十分に記載されている。いくつかの実施形態において、上記マクロライドは、比較的少ない紫外〜可視(UV−VIS)吸収プロフィールを有し、例えば、約180nm〜約220nm、約180nm〜約200nm、または約180nm〜約195nmの波長にて、UV−VIS範囲(約100nm〜約900nm)における最大吸収を示す。さらなる実施形態において、上記マクロライドは、約188nm、約189nm、約190nm、約191nm、約192nm、約193nm、約194nm、約195nm、約196nm、約197nm、約198nm、約199nm、約200nm、約201nm、約202nm、約203nm、約204nm、または約205nmの波長にて、UV−VIS範囲における最大吸収を有する。
【0021】
本明細書中に記載される方法およびシステムによる検出のために適切なマクロライドは、容易にプロトン化または脱プロトン化されてイオン対試薬と対を形成可能な荷電マクロライドを形成し得る、少なくとも1つの部分をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記マクロライドは、中性の塩基性部分を含み得、対応する遊離部分(Hが上記マクロライド分子の残りの代わりをする)は、約10未満、約8未満、約5未満、または約4未満のpKを有する。いくつかの例示的な中性の塩基性部分としては、NH、アルキルアミン(例えば、NHMe、NHEtなど)、ジアルキルアミン(例えば、NMe、NEtなど)、環状アミン(例えば、ピペリジニル、モルホリノなど)などが挙げられる。
【0022】
本明細書において提供される方法およびシステムによって検出され得る代表的なマクロライドとしては、例えば、9−(S)−エリスロマイシルアミン、9−(R)−エリスロマイシルアミン、エリスロマイシン、エリスロマイシンヒドラゾン、エリスロマイシン、9−イミノエリスロマイシン、エリスロマイシンオキシム、エリスロマイシンB、エリスロマイシンヒドラゾンB、9−イミノエリスロマイシンB、エリスロマイシルアミンB、エリスロマイシンヒドラゾンアセトン付加物、9−ヒドロキシイミノエリスロマイシン、エリスロマイシルアミンヒドロキシド、9−ヒドロキシイミノエリスロマイシンB、エリスロマイシルアミンBヒドロキシド、エリスロマイシルアミンC、エリスロマイシルアミンD、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、トロレアンドマイシン、それらの誘導体などが挙げられる。
【0023】
さらなる適切なマクロライドは、1つ以下のsp混成炭素原子もしくはsp2混成炭素原子またはsp混成窒素原子もしくはsp2混成窒素原子を含む。そのように特徴付けられるマクロライドの例としては、エリスロマイシルアミン、エリスロマイシルアミンB、エリスロマイシルアミンヒドロキシド、エリスロマイシルアミンBヒドロキシド、エリスロマイシルアミンC、エリスロマイシルアミンCヒドロキシド、エリスロマイシルアミンD、エリスロマイシルアミンDヒドロキシドなどが挙げられる。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記マクロライドは、9−(S)−エリスロマイシルアミンである。
【0025】
本発明に従う移動相は、望ましいマクロライドを効果的に溶離する液体成分の任意の組み合わせであり得、この移動相は、潜在的不純物からの上記マクロライドの分離を可能にし、そして上記検出波長における上記マクロライドの光度測定検出を可能にする。いくつかの実施形態において、上記移動相は、約205nmよりも上では(例えば、1cm経路長にわたって分光光度計で測定した場合に)無視できる吸光度しか有さない。「無視できる」によって、約0.02以下の吸光度が意味される。さらなる実施形態において、上記移動相は、上記検出波長において、約0.5未満、約0.3未満、または約0.1未満の(例えば、1cm経路長にわたって分光光度計で測定した場合の)吸光度を有する。
【0026】
上記移動相は、水、有機溶媒、またはそれらの混合物を含み得る。水と混和可能であり上記検出波長における上記マクロライドの検出を妨害しない、任意の適切な有機溶媒が、使用され得る。いくつかの実施形態において、上記有機溶媒は、アセトニトリルである。上記移動相は、0%(v/v)〜100%(v/v)の水、および0%〜100%(v/v)有機溶媒を含み得る。いくつかの実施形態において、上記移動相は、約5%(v/v)〜約75%(v/v)、約10%(v/v)〜約60%(v/v)、または約20%(v/v)〜約50%(v/v)の有機溶媒を含む。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記移動相は、望ましいpHにて上記溶液を安定化させるための緩衝液をさらに含む。上記検出波長における上記マクロライドの検出を妨害しない任意の緩衝液が、使用され得る。いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、リン酸緩衝液または硫酸緩衝液である。さらなる実施形態において、上記緩衝液は、硫酸緩衝液である。緩衝液濃度は、例えば、約0.1mM〜約100mMであり得る。いくつかの実施形態において、緩衝液濃度は、約1mM〜約500mM、約5mM〜約100mM、または約10mM〜約30mMである。
【0028】
上記移動相は、上記マクロライドが本発明の方法およびシステムによって検出され得るのに十分に安定である、任意のpHを有し得る。いくつかの実施形態において、上記pHは、約1〜約4である。さらなる実施形態において、上記pHは、約3である。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記移動相は、イオン対試薬(例えば、逆相カラムにおける上記マクロライドの保持を助長する塩)を含む。上記移動相溶液中で適度に安定であり、上記マクロライドの荷電形態(例えば、プロトン化形態または脱プロトン化形態)とイオン対を形成可能であり、かつ上記マクロライドの溶離も検出も妨害しない、任意のイオン対試薬が適切である。種々の適切なイオン対試薬が、市販されており、それらのイオン対試薬を使用するHPLC技術は、当該分野で周知である。いくつかの例示的なイオン対試薬としては、アルキルスルホン酸塩(例えば、(C〜C12アルキル)スルホン酸塩(1−オクタンスルホン酸ナトリウムが挙げられる))が挙げられる。上記移動相におけるイオン対試薬の濃度は、約0.1mM〜〜約100mMであり得る。いくつかのさらなる実施形態において、イオン対濃度は、約1mM〜約500mM、約5mM〜約100mM、または約10mM〜約30mMである。いくつかの実施形態において、上記イオン対濃度は、約12mM〜約15mMである。
【0030】
上記移動相は、イソクラティック溶離物として、または勾配溶離物として、HPLCカラムを通され得る。勾配移動相が適用される実施形態において、上記移動相は、2種以上の異なる溶離剤溶液の混合物から構成され得る。これらの溶離剤の比率は、その溶離の時間経過の間に変化する。例えば、上記移動相は、溶離の間に可変量の水、有機溶媒、緩衝液、およびイオン対試薬を含み得る。成分量の変化は、その勾配移動相が溶離過程の間に上記検出波長において実質的に一定の吸光度を維持するように調節され得る。成分量の変化はまた、ピークの形状、溶離時間、不純物からのマクロライドの分離、および他のパラメーターを最適化するように調節され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、上記移動相の組成は、2種の溶離剤溶液のうちの1種または混合物(各々が、種々の量の水、有機溶媒、緩衝液、およびイオン対試薬を含む)を用いて溶離することによって変化される。いくつかの実施形態において、第一溶離剤溶液は、約10%(v/v)〜約30%(v/v)の有機溶媒、約70%(v/v)〜約90%(v/v)の水、約10mM〜約20mMのイオン対試薬、および約10mM〜約15mMの緩衝液を含み、第二溶離剤溶液は、約40%(v/v)〜約60%(v/v)の有機溶媒、約40%(v/v)〜約60%(v/v)の水、約8mM〜約15mMのイオン対試薬、および約8mM〜約12mMの緩衝液を含む。さらなる実施形態において、第一溶離剤溶液は、約20%(v/v)の有機溶媒、約80%(v/v)の水、約15mMのイオン対試薬、および約13mMの緩衝液を含み、第二溶離剤溶液は、約50%(v/v)の有機溶媒、約50%(v/v)の水、約12mMのイオン対試薬、および約10.5mMの緩衝液を含む。溶離の間の任意の点において、上記移動相は、100%の上記の2種の溶離剤溶液のうちの1種またはその2種の混合物から構成され得る。
【0032】
上記固定相は、上記移動相と組み合わせると上記マクロライドの検出および潜在的不純物からのそのマクロライドの分離を可能にする、任意の逆相固体支持媒体から構成され得る。いくつかの実施形態において、上記固定相は、C8マトリックス〜C18マトリックスを含む。さらなる実施形態において、上記固定相は、C18マトリックスである。
【0033】
上記サンプルは、上記カラム中に導入するための希釈サンプルを形成するように希釈され得る。上記希釈サンプルは、約1mg/mL〜約10mg/mLのマクロライド濃度を有し得る。サンプル希釈剤は、Bis−Tris(例えば、約20mM〜約100mM,約30mM〜約70mM、または約50mMのBis−Tris)によって緩衝化されかつpH約6〜pH約8またはpH約7を有する、水から構成され得る。
【0034】
上記カラムからの流出液をモニターするUV検出器は、液体サンプルを通るUV波長の吸収または透過を検出可能な任意の分光光度計を備え得る。上記検出器は、溶離期間の間は一定であり得る検出波長に対して調整され得る。いくつかの実施形態において、流出物は、約190nm〜約210nm、約197nm〜約205nm、または約200nmの波長にてモニターされる。いくつかの実施形態において、上記検出波長は、約200nmである。
【0035】
本発明の方法およびシステムに従う上記マクロライドの溶離は、種々の温度および圧力(周囲温度および雰囲気圧が挙げられる)の下で実行され得る。いくつかの実施形態において、溶離は、約10℃〜約45℃、約10℃〜約30℃、約15℃〜約25℃、または約20℃という一定温度にて実行される。温度は、例えば、上記カラムに冷却装置を取り付けることによって、室温より下で維持され得る。溶離はまた、大気または不活性雰囲気の下で実行され得る。
【0036】
上記マクロライドの検出は、上記マクロライドに対応するピークを含むと考えられるクロマトグラムを、上記マクロライドの既知サンプルについてのピークを示す同じ条件下で実行されたクロマトグラムと比較することによって、確認され得る。例えば、参照ピークから約0.2分以内に出現するサンプルピークは、「確認された」ものとみなされ得る。サンプル中のマクロライドの量はまた、そのマクロライドに対応するピークの面積を、既知量のそのマクロライドを含む参照サンプル(標準物)について得られたクロマトグラムにおけるピーク面積と比較することによって、定量され得る。
【0037】
本発明は、マクロライドを含むサンプルの純度を決定するための方法をさらに提供する。この決定は、本明細書中に記載される検出方法に従ってそのマクロライドを検出する工程;および上記UV検出器を用いてカラム流出物をモニターして、上記検出波長における1つ以上のさらなる吸収ピークまたは透過ピークを検出する工程;による。このさらなるピークは、そのサンプル中に存在する、検出されるマクロライド以外の化合物(例えば、不純物(例えば、他のマクロライド))に対応する。いくつかの実施形態において、不純物に対応するピークは、検出されるマクロライドについてのピーク面積のうちの約0.05%よりも大きなピーク面積を有するものとして認識され得る。さらに、サンプル純度は、ピーク特徴(例えば、ピークの高さおよび/またはピーク面積が挙げられる)を測定することによって、評価され得る。例えば、純度は、検出される各不純物について、総ピーク面積(例えば、「マクロライドのピーク面積」+「不純物のピーク面積」)の割合を決定することによって、評価され得る。
【0038】
また、本発明によって包含されるのは、上記の成分のアセンブリを含むシステムである。例えば、本発明のシステムは、a)逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラム;およびb)紫外線(UV)検出器;を備え得る。この逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムは、i)逆相固体支持体マトリックスを含む固定相と;ii)上記の移動相;とを含む。
【0039】
本発明に従うHPLCアッセイを実行して最適化するためのさらなるパラメーターは、文献(例えば、Snyderら、Practical HPLC Method Develoment,第2版,Wiley,New York,1997)(この開示は、その全体が参考として本明細書中で援用される)において示されるように、十分に当業者の知識の範囲内にある。
【0040】
本発明は、具体的な実施例によって、より詳細に記載される。以下の実施例は、例示目的のために提供される。以下の実施例は、本発明をいかなる方法でも限定することを意図するものではない。当業者は、基本的に同じ結果をもたらすように変更または改変され得る種々の重要ではないパラメーターを、容易に認識する。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
(エリスロマイシルアミンの検出および純度決定のためのHPLCアッセイ)
(一般的説明)
試験サンプルを、50mM Bis−Tris緩衝液中に9−(S)−エリスロマイシルアミン(Alembic Ltc(India)によって製造された)を溶解することによって、HPLC分析のために調製した。Bis−Trisを使用して、9−(S)−エリスロマイシルアミンのサンプル中において一般的に見出される不純物を安定化させた。逆相カラムにおけるこのサンプル溶液のHPLC分析を、移動相において1−オクタンスルホン酸ナトリウムをイオン対試薬として使用することによって、達成した。成分を、200nmにおけるUV吸収によって検出した。そのサンプルにおける9−(S)−エリスロマイシルアミンの存在が、参照標準物のクロマトグラムにおいて観察される主要ピークから±0.2分以内に、そのサンプルのクロマトグラムにおいてピークが観察される場合に、確認された。9−(S)−エリスロマイシルアミンが存在しないことが、参照標準物のクロマトグラムにおいて観察される主要ピークから±0.2分以内に、そのサンプルのクロマトグラムにおいてピークが観察されない場合に、確認された。上記サンプルのクロマトグラム中の9−(S)−エリスロマイシルアミンのピーク面積を、9−(S)−エリスロマイシルアミン参照溶液のクロマトグラムからの9−(S)−エリスロマイシルアミンのピーク面積と比較して、その9−(S)−エリスロマイシルアミンのアッセイ値(重量/重量)%を決定した。不純物を、このクロマトグラムにおける保持時間および総面積%によって記録した。
【0042】
(器具)
製造業者の指示に従って操作した以下の器具を、HPLCクロマトグラムを得るために使用した。同等の性能を有する器具が、代わりになり得る。
【0043】
真空デガッサー(degasser):Waters 2690
ポンプ:Waters 2690
インジェクター:Waters 2690
・ニードル洗浄物として、アセトニトリルと水との50:50(体積比)混合物
・100μLインジェクションループ
プレカラム:ODSカートリッジを備えるPhanomenex Security Guard(P/N AJO−4287)
カラム:Phenomenex Column,C18(2),150nm×4.6mm,5μm(P/N 00F−4252−E0)
・カラムを、そのカラムの標識において指示されるとおりに溶離剤フローの方向に設置し、20±1℃にて維持されたJones Chromatographyカラム冷却装置/加熱装置中に配置した。
・カラムを、使用中でない場合には、70:30(v/v)アセトニトリル:水中にて保存した
検出器:Waters 2487 Dual Wavelength Detector
・波長=200nm
カラム冷却装置:Jones Chromatographyモデル7955
・温度を20±1℃に設定した
データシステム:Perkin−Elmer Nelson Turbochromデータシステム(バージョン6.2.1)。
【0044】
(試験サンプルおよび参照溶液の調製)
試験サンプルおよび参照溶液は、36時間よりも長くは保存しなかった。
【0045】
試験サンプル:9−(S)−エリスロマイシルアミンAPI(活性薬剤成分)試験サンプル溶液を、60±6mgの試験サンプルを二連で25mLメスフラスコ中に秤量することによって調製した。重量は、最も近い0.01mg単位まで記録した。20mLのサンプル希釈剤B(下記を参照のこと)を、各フラスコに添加した。上記サンプルを、完全に溶解するまで超音波処理した。氷をこの超音波処理浴に添加して、その温度を15℃未満に維持した。この溶液を、サンプル希釈剤B(下記を参照のこと)の添加によって25mLの容積にした。
【0046】
参照標準物溶液:9−(S)−エリスロマイシルアミン参照標準物を、60±6mgの9−(S)−エリスロマイシルアミン参照標準物を二連で25mLメスフラスコ中に秤量することによって調製した。重量は、最も近い0.01mg単位まで記録した。20mLのサンプル希釈剤B(下記を参照のこと)を、各フラスコに添加した。上記サンプルを、完全に溶解するまで超音波処理した。氷をこの超音波処理浴に添加して、その温度を15℃未満に維持した。この溶液を、サンプル希釈剤B(下記を参照のこと)の添加によって25mLの容積にした。一方のフラスコを#1と呼び、もう一方のフラスコを#2と呼んだ。
【0047】
感度標準物溶液:この感度標準物溶液は、100.0μLの上記の参照標準物溶液#1を100mLメスフラスコ中にピペッティングしてサンプル希釈剤Aで体積調整することによって調製した。
【0048】
(作業溶液)
(サンプル希釈剤A)
50mM Bis−Tris(Sigma)
pH7.4
(サンプル希釈剤B)
50mM Bis−Tris(Sigma)
pH7.0
(溶離剤A)
20%アセトニトリル(HPLCグレード,Fisher)
15mM 1−オクタンスルホン酸ナトリウム(Fluka)
13mM NaSO(Sigma)
pH3.1
(溶離剤B)
50%アセトニトリル(HPLCグレード、Fisher)
12mM 1−オクタンスルホン酸ナトリウム(Fluka)
10.5mM NaSO(Sigma)
pH3.1。
【0049】
(HPLC分析)
サンプル分析は、以下のパラメーターの下で実行した:
流量:1.0mL/分
注入容積:20μL
ランタイム(run time):40分
波長:200nm。
【0050】
このデータシステムは、40分間の収集時間で1ポイント/秒を収集するように設定した。
【0051】
ブランク、参照標準物、および試験サンプルを、下記の表Iに従う順序で注入した。
【0052】
(表I)
【0053】
【表1】


勾配移動相を、下記の表IIに従って各ラン(run)のために適用した。
【0054】
(表II)
【0055】
【表2】

(サンプル中の9−(S)−エリスロマイシルアミンの存在確認)
9−(S)−エリスロマイシルアミンの存在を、クロマトグラムの主要ピークが参照標準物溶液のクロマトグラム中の主要ピークから0.2分以内に存在することの決定によって、確認した。
【0056】
(不純物含有量の算出)
二連の調製物のクロマトグラムを、試験し、ピーク面積を、積分して平均した。不純物含有量(純度)を、以下のようにして算出した:
不純物含有量=(A×100)/(Σ[A]+A
この式において、Aは、不純物ピークの面積である;
は、9−(S)−エリスロマイシルアミンピークの面積である;そして
Σ[A]は、0.05%よりも大きなすべての不純物ピークの面積の合計である。
【0057】
(実施例2)
(9−(S)−エリスロマイシルアミンのHPLC分析についてのピーク面積%に対する検出波長の変化の影響)
表IIIa〜表IIIcは、9−(S)−エリスロマイシルアミンサンプルについて、197nm、200nm、および203nmというUV検出波長におけるHPLCデータを比較する。これらのアッセイは、種々の検出波長(表IIIaおよび表IIIc)以外は、実施例1の手順に従って実行した。0.94および1.24という相対保持時間が、二重ピークを有するものとして観察された。9−(S)−エリスロマイシルアミンの相対保持時間(Rel.R.T.)を、1.00に設定した。
【0058】
(表IIIa)
(検出波長197nmにおける相対保持時間によるピーク面積%)
【0059】
【表3−1】

(表IIIb)
検出波長200nmにおける相対保持時間によるピーク面積%)
【0060】
【表3−2】

(表IIIc)
検出波長203nmにおける相対保持時間によるピーク面積%)
【0061】
【表3−3】

相対保持時間0.94および1.24である不純物ピークの面積%は、いくらかの波長依存性を示した。しかし、この検出波長の変化は、ほとんどの不純物の評価に対してほとんど影響を有さなかった。
【0062】
(実施例3)
(9−(S)−エリスロマイシルアミンのHPLC分析についてのピーク面積%に対するイオン対試薬濃度の影響)
表IVa〜表IVeは、15mM/12mM、14mM/11mM、16mM/13mM、16mM/11mM、14mM/13mM(溶離剤A/溶離剤B)の1−オクタンスルホン酸ナトリウム濃度におけるHPLCデータを比較する。これらのアッセイは、種々のイオン対試薬濃度以外は、実施例1の手順に従って実行した。9−(S)−エリスロマイシルアミンの相対保持時間(Rel.R.T.)を、1.00に設定した。記号「dp」とは、二重ピークの観察を指し、「sh」とは、ショルダーの観察を指す。
【0063】
(表IVa)
(15mM/12mMというイオン対濃度における相対保持時間によるピーク面積%)
【0064】
【表4−1】

(表IVb)
(14mM/11mMというイオン対濃度における相対保持時間によるピーク面積%)
【0065】
【表4−2】

(表IVc)
(16mM/13mMというイオン対濃度における相対保持時間によるピーク面積%)
【0066】
【表4−3】

(表IVd)
(16mM/11mMというイオン対濃度における相対保持時間によるピーク面積%)
【0067】
【表4−4】

(表IVe)
(14mM/13mMというイオン対濃度における相対保持時間によるピーク面積%)
【0068】
【表4−5】

一般的に、保持時間は、そのラン(run)の間の平均イオン対試薬濃度が増加または減少した場合には、増加または減少した。イオン対試薬濃度を増減の両方の方向で変化させると、ベースラインの上向き傾斜または下向き傾斜を引き起こした。移動相濃度が16mM/13mMという組み合わせである場合、最も遅く溶離する不純物ピークの保持時間は、非常に大きく広がったので、信頼できるようには検出できなかった。他の点では、相対保持時間およびピーク面積は、試験したすべての条件下で一貫していた。いくつかの場合において、移動相組成が変化するにつれ、部分的に融合したピークが分離または合体するのが観察された。
【0069】
(実施例4)
(エリスロマイシルアミンのHPLC分析についてのピーク面積%に対するpHの影響)
表Va〜表Vcは、pH2.9、pH3.1、およびpH3.3におけるHPLCデータを比較する。これらのアッセイは、種々のpH以外は実施例1の手順に従って実行した。9−(S)−エリスロマイシルアミンの相対保持時間(Rel.R.T.)を、1.00に設定した。記号「dp」とは、二重ピークの観察を指し、「sh」とは、ショルダー部の観察を指す。ピーク面積に対するpHの影響は、観察されなかった。
【0070】
(表Va)
(pH2.9における相対保持時間によるピーク面積%)
【0071】
【表5−1】

(表Vb)
(pH3.1における相対保持時間によるピーク面積%)
【0072】
【表5−2】

(表Vc)
(pH3.3における相対保持時間によるピーク面積%)
【0073】
【表5−3】

(実施例5)
9−(S)−エリスロマイシルアミンのHPLC分析についてのピーク面積%に対するカラム温度の影響)
9−(S)−エリスロマイシルアミンの試験アッセイを、種々のカラム温度(18℃、20℃、および22℃)以外は実施例1の手順に従って実行した。この温度範囲の間では、ピーク面積について顕著な温度の影響は観察されなかった。しかし、カラム温度を低下させると、ピークの分離が良くなり、9−(S)−エリスロマイシルアミンピークが狭くなった。
【0074】
(実施例6)
9−(S)−エリスロマイシルアミンのHPLC分析についてのピーク面積%に対する溶液濃度の影響)
9−(S)−エリスロマイシルアミンの試験アッセイを、種々のサンプル9−(S)−エリスロマイシルアミン濃度(0.9mg/mL、1.2mg/mL、および1.4mg/mL)以外は実施例1の手順に従って実行した。この範囲の間では、サンプル濃度は、9−(S)−エリスロマイシルアミンの定量的評価に対して顕著な効果は有さなかった。
【0075】
明確にするために別の実施形態に関して記載されている本発明の特定の特徴はまた、1つの実施形態において組み合わせても提供され得ることが、認識される。逆に、短くするために1つの実施形態に関して記載されている本発明の種々の特徴はまた、別個にも、または適切な任意の部分的組み合わせの状態でも提供され得る。
【0076】
本発明の種々の改変形が、本明細書中に記載されるものに加えて、上記の説明から当業者にとって明らかである。そのような改変形はまた、添付される特許請求の範囲の範囲内にあることが意図される。本願において引用される各参考文献は、その全体が参考として本明細書中で援用される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】図1は、実施例1において記載される条件下で実行された、9−(S)−エリスロマイシルアミンのRP−HPLCアッセイのついての例示的クロマトグラムを示す。
【図2】図2は、本発明に従う9−(S)−エリスロマイシルアミンのRP−HPLCアッセイに対する、移動相中のイオン対試薬(1−オクタンスルホン酸ナトリウム)の濃度の影響を示す。そのクロマトグラムの中央部分は、例えば、主要成分のピーク分離に対するアッセイ条件の影響を示すことが示されている。
【図3】図3は、本発明に従う9−(S)−エリスロマイシルアミンのRP−HPLCアッセイに対する、移動相のpHの影響を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約180nm〜約220nmにおいて紫外〜可視範囲における最大吸収を有するマクロライドを検出するための方法であって、該方法は、
a)該マクロライドを含むサンプルを、約180nm〜約220nmの間の検出波長を有する紫外線(UV)検出器を備える逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムに対して適用する工程;
b)該サンプルを、イオン対試薬を含む移動相を用いて溶離させる工程;および
c)カラム流出物を、該UV検出器を用いてモニターして、該検出波長における吸収ピークまたは透過ピークを検出する工程であって、該ピークは、該マクロライドに対応する、工程;
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記マクロライドは、約180nm〜約200nmにおいて紫外〜可視範囲における最大吸収を有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記マクロライドは、9−(S)−エリスロマイシルアミンである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記検出波長は、約190nm〜約210nmである、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、前記検出波長は、約197nm〜約205nmである、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、前記イオン対試薬は、(C〜C12アルキル)スルホン酸塩を含む、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記イオン対試薬は、1−オクタンスルホン酸ナトリウムを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、前記移動相は、緩衝液をさらに含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、前記緩衝液は、リン酸緩衝液または硫酸緩衝液である、方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法であって、前記移動相は、pH約1〜pH約4を有する、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、前記移動相は、前記マクロライドの溶離の時間経過の間に前記UV検出器の検出波長において実質的に一定の吸光度を維持する、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記移動相は、約205nmより上では無視できる吸光度しか有さない、方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、該方法は、
前記ピークの面積を標準物と比較することによって前記マクロライドを定量する工程;
をさらに包含する、方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、該方法は、
カラム流出物を前記UV検出器を用いてモニターして前記検出波長における1つ以上のさらなる吸収ピークまたは透過ピークを検出することによって、前記サンプル中に存在する不純物を検出する工程であって、該1つ以上のさらなるピークは、前記マクロライドについてのピーク面積のうちの約0.05%よりも大きなピーク面積を有し、かつ該1つ以上のさらなるピークは、1つ以上の不純物に対応する、工程;
をさらに包含する、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、該方法は、
前記サンプルの純度を、
i)前記UV検出器を用いてカラム流出物をモニターして前記検出波長における1つ以上のさらなる吸収ピークまたは透過ピークを検出する工程であって、該1つ以上のさらなるピークは1つ以上の不純物に対応する、工程;および
ii)該検出器によって検出されたピークの特徴を測定して前記サンプル中の不純物含有量を算出する工程;
によって決定する工程;
をさらに包含する、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、前記特徴は、ピーク面積またはピークの高さである、方法。
【請求項17】
請求項15に記載の方法であって、前記測定する工程は、
i)検出された各々の不純物および前記マクロライドについてのピーク面積を決定する工程;および
ii)該マクロライドに起因する総ピーク面積の割合を算出する工程;
によって実行される、方法。
【請求項18】
請求項15に記載の方法であって、前記1つ以上のさらなる吸収ピークまたは透過ピークの各々は、前記マクロライドについてのピーク面積のうちの約0.05%よりも大きなピーク面積を有する、方法。
【請求項19】
9−(S)−エリスロマイシルアミンを検出するための方法であって、該方法は、
a)該9−(S)−エリスロマイシルアミンを含むサンプルを、約200nmの検出波長を有する紫外線(UV)検出器を備えるC18逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムに対して適用する工程;
b)該サンプルを、水とアセトニトリルと1−オクタンスルホン酸ナトリウムと硫酸緩衝液とを含む移動相を用いて溶離させる工程;および
c)該UV検出器を用いてカラム流出物をモニターして該検出波長における吸収ピークまたは透過ピークを検出する工程であって、該ピークは、該9−(S)−エリスロマイシルアミンに対応する、工程;
を包含する、方法。
【請求項20】
マクロライドを検出するためのシステムであって、該システムは、
a)逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラム;および
b)紫外線(UV)検出器;
を備え、該逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)カラムは、
i)逆相固体支持体を含む固定相;および
ii)移動相;
を含み、該移動相は、
1)イオン対試薬;
2)緩衝液;
3)水;および
4)アセトニトリル;
を含み、該移動相は、200nmにおいて約0.5未満の吸光度を有する、
システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2007−536524(P2007−536524A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511643(P2007−511643)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/015884
【国際公開番号】WO2005/108977
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(591076811)カイロン コーポレイション (265)