マグナポルセにおける機能的遺伝子とインパラトランスポゾンとを含む、真菌における突然変異誘発用のポリヌクレオチド
【課題】新規ポリヌクレオチド、および真菌における挿入突然変異誘発および遺伝子標識のためのこれらのポリヌクレオチドを提供する。
【解決手段】特徴づけられたフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)インパラ(Impala)トランスポゾンの、真菌のゲノム内へのランダム挿入による、真菌における突然変異体のコレクションの生成を可能にする効率的突然変異誘発のための新規手段、および、得られた突然変異体。
【解決手段】特徴づけられたフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)インパラ(Impala)トランスポゾンの、真菌のゲノム内へのランダム挿入による、真菌における突然変異体のコレクションの生成を可能にする効率的突然変異誘発のための新規手段、および、得られた突然変異体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ポリヌクレオチド、および真菌における挿入突然変異誘発および遺伝子標識のためのこれらのポリヌクレオチドの用途に関する。本発明はまた、これらの真菌のゲノム内へのフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)由来のインパラ(Impala)トランスポゾンのランダム挿入により得られた真菌突然変異体のコレクションに関する。これらの突然変異体のコレクションは、真菌における遺伝子の機能を研究するための有効な遺伝的手段の1つである。
【背景技術】
【0002】
トランスポゾンは、2つのDNA配列間を移動しうる可動性遺伝子因子として定義されうる。それらは遺伝子(エキソン、イントロン、調節領域)内に挿入されうるため、それらは突然変異の原因となりうる。このため、それらは、ゲノム内に寄生体として存在して該ゲノムの進化に寄与する。トランスポゾンは、それらの増幅様態に応じて2つのグループに分類されている(Finnegan,1989;Capyら,1998)。
【0003】
・クラスI因子(レトロ因子(retroelements))は、逆転写酵素によりDNAに逆転写されるRNA中間体を介して転位する。このクラスは、LTR(長末端反復配列)に隣接していることも隣接していないこともあるレトロトランスポゾンまたはレトロ因子に細分される。該LTRレトロ因子としては、gypsyファミリーの因子、およびcopiaファミリーの因子が挙げられる。それらは、レトロウイルスのgagおよびpol遺伝子に相同でpol遺伝子の種々の機能的ドメインの体制が異なる遺伝子を有する。また、gypsyファミリーは、レトロウイルスにおいてその感染に寄与するenvに相同な遺伝子を有する。非LTRレトロ要素のなかでは、gagおよびpol遺伝子ならびにポリA配列を有するLINEが区別され、また、ポリAテイルも有するがgagおよびpol配列を欠くSINEが区別される。それは、先のLINE因子に由来すると考えられる(Eickbush,1992;OkadaおよびHamada,1997)。
【0004】
・クラスII因子は、トランスポゾンDNA配列の切除および再挿入のメカニズムを介して転位する。その全体的構造は、該因子の転位に必要なトランスポザーゼをコードするオープンリーディングフレームに隣接する2つの逆方向反復配列(ITR)よりなる。これらの因子は、そのトランスポザーゼおよび/またはITRの配列相同性に基づき、まとめていくつかのスーパーファミリーに分類されており、それらには、Tc1/マリナー(mariner)因子のスーパーファミリー(Doakら,1994)、Fot1/Pogo要素のスーパーファミリー(Capyら,1998;SmitおよびRiggs,1996)、hAT因子のスーパーファミリー(Calviら,1991)、P因子のスーパーファミリー(Kidwell,1994)またはCACTA因子のスーパーファミリー(Gierl 1996)が含まれる。
【0005】
真菌トランスポゾンの同定および研究は、特に、挿入突然変異誘発のための手段を開発しようとする場合(Brownら,Curr.Opin.Microbiol.1:390−4,1998)、さらにまた、これらの真菌のゲノムを研究しようとする場合(Dobinsonら,Trends in Microbiology,1:348−3652,1993)に、非常に重要である。
【0006】
したがって、真菌のゲノムにおいてトランスポゾンを同定するためには、種々の方法が実施されている。第1および第2の方法は、既に特徴づけられている因子から導かれた知見を利用するものである。これは、高度に保存されたドメイン(例えば、LTRレトロ因子逆転写酵素のもの)に由来するオリゴヌクレオチドを使用するサザンハイブリダイゼーション実験または増幅において使用する異種プローブの使用を含む。第3の方法は、反復DNA配列を特徴づけることにある。この場合、ゲノムDNAとリボソームプローブとの間のディファレンシャルハイブリダイゼーションが必要である。このようにして、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)ゲノムにおいて、Fot1ファミリーのトランスポゾンが同定されている(Kachrooら,Current Genetics 31:361−369,1997;Farmanら,Mol.Gen.Genetics 251:675−681 1996;Kachrooら,Mol.Gen.Genetics 245:339−348,1994)。最後の方法は、前記の3つの方法とは異なり、機能的および活性な因子の同定を可能にする。これは、トランスポゾン捕捉(transposon trap)である。この方法はマーカー遺伝子の不活性化を用いるものであり、この方法においては、該因子の挿入により生じた突然変異が陽性スクリーニングにより同定されうる。このようにして、am(グルタミン酸デヒドロゲナーゼ)遺伝子は、ニューロスパラ・クラッサ(Neurospora crassa)においてTadレトロ因子(これは、LINE型のものである)を、この遺伝子内へのその再挿入後に特徴づけることを可能にした(KinseyおよびHelber,1989)。また、トランスポゾンを捕捉するために、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)のniaD(硝酸レダクターゼ)遺伝子が使用されている。特に、この遺伝子を不活性化する突然変異はクロラート耐性を付与する。このようにして、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)(Daboussiら,Genetica 93:49−59,1194)およびアスペルギルス(米国特許第5,985,570号)において種々のトランスポゾンが同定されている。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)由来のクラスII因子であるFot1は、niaD遺伝子の不活性化を用いて同定された最初のトランスポゾンであった(Daboussiら,1992)。また、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)におけるniaD遺伝子の使用は、Tc1/マリナー型因子のスーパーファミリーに属するインパラ(Impala)トランスポゾンを捕捉することを可能にした(Linginら,1995)。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)においては、種々のインパラトランスポゾンスーパーファミリーが同定されている(Hun−Vanら,Mol.Gen.Genetics 259:354−362,1998)。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)においては、インパラ因子の転位が研究されている。与えられた遺伝子のイントロンまたはプロモーター内にインパラトランスポゾンが組込まれた場合には、それはついで、この遺伝子の発現を不活性化しうる。一方、インパラトランスポゾンの転位後、該遺伝子は再活性化され、これは、該転位事象の陽性対照を構成する。該転位を同定するためのそのような方法が、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の硝酸レダクターゼ(niaD)遺伝子のプロモーター調節配列内に組込まれたインパラトランスポゾンを含む構築物を使用して、フザリウム(Fusarium)において行われている(Hua−Van,1998)。
【0007】
現在のところ、他の真菌、より詳しくはマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)においてpNi160プラスミドのniaD/インパラ遺伝子構築物(Langinら,1995)を使用してインパラの転位を証明することは、挿入突然変異誘発手段の開発に不適合な非常に低い比率で可能であるにすぎない。これらの観察は、pNi160プラスミドのniaD/インパラ構築物(Langinら,1995)、より詳しくはインパラトランスポゾン自体が、他の真菌、特にエム・グリセア(M.grisea)において機能的でないことを示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,985,570号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Finnegan,Trends Genet.,1989,5,103−107
【非特許文献2】Capyら,Spring−Verlag ed. Landes Biosciences. Heidelberg,1998
【非特許文献3】Eickbush,,New Biol.,1992,4,430−440
【非特許文献4】OkadaおよびHamada,J. Mol. Evol.1997,S52−56
【非特許文献5】Doakら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1994,91,942−946
【非特許文献6】SmitおよびRiggs,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1996,93,1443−1448
【非特許文献7】Calviら,Cell,1991,66,465−47
【非特許文献8】Kidwell,J. Hered.,1994,85,339−346
【非特許文献9】Gierl,Curr Top Microbiol Immunol.,1996,204,145−159
【非特許文献10】Brownら,Curr.Opin.Microbiol.1:390−4,1998
【非特許文献11】Dobinsonら,Trends in Microbiology,1:348−3652,1993
【非特許文献12】Kachrooら,Current Genetics 31:361−369,1997
【非特許文献13】Farmanら,Mol.Gen.Genetics 251:675−681 1996
【非特許文献14】Kachrooら,Mol.Gen.Genetics 245:339−348,1994
【非特許文献15】Kinsey and Helber,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1989,86,1929−1933
【非特許文献16】Daboussiら,Genetica 93:49−59,1194
【非特許文献17】Daboussiら,Mol. Gen. Genet.,1992,232,12−16
【非特許文献18】Langinら,1995
【非特許文献19】Hun−Vanら,Mol.Gen.Genet.,1998,259,354−362
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
真菌ゲノム(より詳しくは病原性糸状菌のゲノム)における挿入突然変異体のコレクションを作製するためのそのような手段は、それらのゲノムの研究およびそれらの遺伝子の機能の研究に今や不可欠である。ヒトまたは動物における真菌性病態の治療用または農業用に使用されうる新規抗真菌化合物を見出すためには、真菌遺伝子の機能の分析が不可欠である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的でありインパラトランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含んでなる新規ポリヌクレオチドに関する。これらのポリヌクレオチドは、挿入突然変異誘発手段の開発に適した転位率で、真菌におけるインパラ因子の転位を示すことを可能にする。したがって、本発明の対象はまた、真菌突然変異体の製造方法であって、そのゲノム内にインパラトランスポゾンを挿入することによる製造方法、および関心のある表現型に関連した真菌遺伝子を同定するための方法である。最後に、本発明は、真菌挿入突然変異体のコレクションおよびその用途に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】pNi160プラスミドのマッピング。
【図2】pNiL160プラスミド(A)およびpAN301プラスミド(B)の、それを構築するために用いたマッピング。
【図3】pNi160およびpCB1179ベクターを使用してBamHI REMIにより得られた同時形質転換体の分子分析。
【図4】nia+復帰突然変異体C14−1およびC14−2の分子分析。 A:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する(レーン1)またはインパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する(レーン2)放射性プローブを使用したC14−1復帰突然変異体の分析。 B:nia+単胞子を単離することにより精製された後のC14−1およびC14−2復帰突然変異体の分析。
【図5】pNiL160ベクターを保持する2つの同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。 A:インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。 B:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。
【図6】非病原性復帰突然変異体Rev77におけるインパラの挿入により遮断されたORFの概要図。
【図7】pCITnプラスミドのマッピング。
【図8】pNiHYG構築物を保持する2つの同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。 A:インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。 B:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。
【図9】pHINプラスミドのマッピング。
【図10】pEO6プラスミドのマッピング。
【図11】pHNiLプラスミドのマッピング。
【図12】pBNiLプラスミドのマッピング。
【図13】pFACImpプラスミドのマッピング。
【図14】該2成分系を用いた形質転換後に得られたD1同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の記載)
ポリヌクレオチド
したがって、本発明は、インパラ(Impala)トランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含んでなり、該マーカー遺伝子が、該マーカー遺伝子のコード配列に機能的に連結された、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe Grisea)において機能的なプロモーター調節配列を転写の方向に含むことを特徴とするポリヌクレオチド、特に、単離または精製されたポリヌクレオチドに関する。
【0014】
本発明のポリヌクレオチドでの真菌の形質転換および該トランスポゾンの切除は、該マーカー遺伝子の発現につながる。したがって、該マーカー遺伝子の発現の検出は、該転位事象のモニターおよび該挿入突然変異体の選択を可能にする。該突然変異体の選択は、第1マーカーとは異なる第2マーカー遺伝子で該トランスポゾンを標識することにより改良されうる。この第2マーカー遺伝子は、該真菌のゲノム内への該トランスポゾンの再挿入のモニターを可能にする。したがって、本発明の対象はまた、インパラトランスポゾンがマーカー遺伝子を含む、前記のポリヌクレオチドである。
【0015】
使用するマーカー遺伝子は、簡便なスクリーニングによる転位事象の選択に適したものである。本発明においては、表現型スクリーニングで真菌内での発現が検出されうる任意のマーカー遺伝子を使用することができる。「マーカー遺伝子」なる語は、異なる起源の遺伝要素を含むキメラ遺伝子をも意味すると理解される。したがって、本発明のマーカー遺伝子は、真菌由来のプロモーター配列と、真菌由来でないマーカー遺伝子のコード配列との両方を有しうる。
【0016】
本発明においては、「マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーター調節配列」なる表現は、あるコード配列に機能的に連結されたポリヌクレオチドのうち、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)における該コード配列の発現を可能にする任意のポリヌクレオチドを意味すると意図される。プロモーター配列がマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるか否かを判定することを可能にする技術は、当業者に公知である。例えば、潜在的プロモーター配列とレポーター遺伝子とを転写の方向に含むポリヌクレオチドでマグナポルセ(Magnaporthe)を形質転換することができる。該ポリヌクレオチドで形質転換された真菌における該レポーター遺伝子の発現のモニターは、このプロモーター配列がマグナポルセ(Magnaporthe)において機能的であるか否かの判定を可能にする。したがって、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)における機能を判定するために、任意のプロモーター配列を試験することができる。該プロモーター調節配列は、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来の遺伝子のプロモーター調節配列であることが可能であり、あるいは別の真菌、さらに詳しくは別の糸状菌に由来することが可能である。マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーター調節配列は、真菌nia(硝酸レダクターゼ)またはgpd遺伝子のプロモーター調節配列よりなることが有利である。好ましくは、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーター調節配列は、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD(Malardierら,1989)またはgpdA遺伝子(Puntら,1990)の、マグナポルセ(Magnaporthe)において機能的なプロモーター調節配列よりなる。マグナポルセ(Magnaporthe)において機能的であるためには、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のプロモーター調節配列は、好ましくは、337bpより長く、0.4kbより長く、0.5kbより長く、0.6kbより長く、0.7kbより長く、0.8kbより長く、0.9kbより長く、より好ましくは、約1kbより長いか又はそれに等しい。本発明の好ましい実施形態においては、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーター調節配列は、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)(Genbank M58291;Johnstoneら,Gene 90:181−192,1990;Puntら,1995)由来のniaDおよびniiA遺伝子の遺伝子間断片に相当する1.3kbのポリヌクレオチドよりなる。それ自体は機能的ではないが、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)のゲノム内のマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)プロモーターの下流へのランダムな組込みにより該マーカー遺伝子の発現を可能にする部分的機能的調節配列は、本発明においては、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的な調節配列ではないと理解される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態においては、該マーカー遺伝子のコード配列は、発現が容易に測定されるレポーター遺伝子、特にGUS(米国特許第5,268,463号、米国特許第5,599,670号)またはGFP(米国特許第5,491,084号、米国特許第5,741,668号)のコード配列、抗生物質または除草剤に対する耐性に関する遺伝子、例えばハイグロマイシン耐性遺伝子(hph:Puntら,1987)、フレオマイシン耐性遺伝子(ble:Drocourt,1990)、除草剤ビアラフォス(bialaphos)耐性遺伝子(Bar:PallおよびBrunelli,1993)またはスルホニル尿素耐性遺伝子(Sweigardら,1997)のコード配列から選ばれる。本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、該マーカー遺伝子は、真菌において機能的である、酵素をコードする遺伝子の配列から選ばれる。好ましくは、該マーカー遺伝子は硝酸レダクターゼ遺伝子である。本発明の断片がnia−真菌内に組込まれた場合、この構築物で形質転換された株は突然変異体表現型を維持する。最少培地(唯一の窒素源としてのNaNO3)上のnia+コロニーの出現は、niaD遺伝子の発現を可能にするインパラトランスポゾンの切除を示す。これらのnia+復帰突然変異体は、nia−コロニーの低く平らな表現型とは異なるそれらの密集性かつ気生性(aerial)の表現型により、この培地上で選択されうる。マーカーとしてのniaD遺伝子の使用は、nia−真菌の使用を要する。nia−真菌の同定方法は当業者によく知られている。特に、Daboussiら(1989)により記載されている方法が挙げられる。
【0018】
本発明のポリヌクレオチドは、インパラトランスポゾン(Langinら,1995;Hua−Vanら,1998)の挿入により不活性化された前記のマーカー遺伝子を含む。該インパラトランスポゾンは、逆方向反復配列(ITR)に隣接した機能的トランスポザーゼをコードするオープンリーディングフレームを含む。それは、TAジヌクレオチドにおいて挿入され、これは重複状態となる。インパラの切除は曖昧なものであり、ごく一般的には、該挿入中に重複したTAジヌクレオチドに加えて、該因子の左または右末端に対応する3ヌクレオチドの足跡(フットプリント)を残す。したがって、切除後に残存フットプリントが該マーカー遺伝子の発現を妨げないよう、該マーカー遺伝子内への該インパラトランスポゾンの挿入点が選択される必要がある。好ましくは、該インパラトランスポゾンは、該プロモーター配列内または該マーカー遺伝子のイントロン内に挿入される。インパラのいくつかのコピーがフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)において同定されており、それらの配列の比較は、種々の長さおよび配列のITRを有する3つのサブファミリーを定めることを可能にした(Hua−Vanら,1998)。好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、インパラ160トランスポゾンを含む。該インパラ160因子は1 280bpを含み、それは、340アミノ酸のトランスポザーゼをコードするオープンリーディングフレームを囲む27bpの2つの逆方向反復配列に隣接する(Langinら,1995;Genbank S75106)。好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のコード配列に機能的に連結された、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子の1.3kbのプロモーターと、該niaD遺伝子のプロモーター内に挿入されたインパラ160トランスポゾンとを含む。本発明の特に有利な実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドはpNiL160プラスミドを含む。これらの構築物を使用して、nia−真菌を形質転換し、インパラ因子の転位から得られた挿入突然変異体を、それらのnia+表現型に関して最少培地上で選択する。もう1つの好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、ハイグロマイシンに耐性に関するhph遺伝子のコード配列に機能的に連結された、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のgpd遺伝子のプロモーターと、該gpd遺伝子のプロモーター内に挿入されたインパラ160トランスポゾンとを含む。これらのポリヌクレオチドを使用して、真菌を形質転換し、該インパラ因子の転位から得られたハイグロマイシン耐性挿入突然変異体を選択する。
【0019】
本発明の構築物および方法においては、任意のインパラトランスポゾンを使用することができる。「インパラトランスポゾン」なる語は修飾インパラトランスポゾンをも意味すると理解される。これらの修飾としては、特に、インパラトランスポゾン内へのマーカー遺伝子またはアクチベーター配列の挿入、または欠損インパラトランスポゾンを得るためのトランスポザーゼの不活性化が挙げられる。これらの修飾トランスポゾンの構築では、当業者によく知られた通常の分子生物学技術を用いる。
【0020】
本発明のポリヌクレオチドは、真菌の挿入突然変異体を得るために優先的に用いられる。遺伝子内へのインパラトランスポゾンの挿入は、一般には、この遺伝子の全体的または部分的不活性化を引き起こす。一方、アクチベーター配列を含むインパラトランスポゾンの使用は、過剰発現突然変異体を得ることを可能にする。したがって、該トランスポゾン修飾では、挿入突然変異誘発の種々の方法を用いることができる(Bancroftら,Mol.Gen.Genet.233:449−461,1992;BancroftおよびDeanら,Mol.Gen.Genet.240:65-67,1993;Longら,PNAS 90:10370−10374,1993)。
【0021】
したがって、本発明はまた、トランスポザーゼの機能に影響を及ぼすことなく転位性因子の2つのITRの間にマーカー遺伝子が挿入されて自律的標識因子を有することが可能となったインパラトランスポゾンを含む前記のポリヌクレオチドに関する。また、本発明の好ましい実施形態において該トランスポゾンを標識するためには、インパラトランスポゾンの切除を観察するために使用することが予想されるすべてのマーカー遺伝子を使用することができる。好ましくは、該マーカー遺伝子は、該トランスポザーゼをコードする配列の下流、かつ、左LTRの上流(NheI部位において)に挿入される。インパラトランスポゾン内へのマーカー遺伝子の挿入は、該挿入突然変異体の、より良好な選択を可能にする。別法として、トランケート化マーカー遺伝子をインパラトランスポゾン内に挿入することができる。プロモーターを欠くマーカー遺伝子の使用は、本発明のポリヌクレオチドをプロモータートラップとして使用することを可能にする。トランケート化プロモーターを含むマーカー遺伝子の使用は、本発明のポリヌクレオチドをアクチベーター配列用のトラップとして使用することを可能にする。
【0022】
最後に、本発明は、欠損インパラトランスポゾン(すなわち、特に、突然変異により、または欠失により、またはマーカー遺伝子の挿入により、またはマーカー遺伝子での置換により、インパラ因子のトランスポザーゼが不活性化されているトランスポゾン)を含む前記のポリヌクレオチドに関する。この欠損インパラ因子の転位は、本発明の挿入突然変異誘発においては、より容易に制御される。トランスポザーゼが不活性化された欠損インパラ因子の構築には、当業者に公知の通常の分子生物学技術(Sambrookら,1989)を用いる。本発明の1つの実施形態においては、インパラ因子のトランスポザーゼをコードするオープンリーディングフレームを、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーターの制御下で発現されるマーカー遺伝子で置換する。該トランスポザーゼのコード配列は、例えば、真菌において機能的である異種プロモーターの制御下で発現される、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ビアラフォス耐性遺伝子またはGFP遺伝子で置換することができる。該欠損インパラトランスポゾンはこれらの挿入配列(ITR)を維持し、したがって、その転位は、例えば複製型プラスミド上に配置されたトランスポザーゼを利用してトランスで活性化されうる。
【0023】
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、ベクター内に挿入される。このベクターは、例えば細菌などの宿主生物を形質転換するために及びこの宿主生物内で本発明のポリヌクレオチドを複製するために使用することができる。好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、真菌を形質転換するためにベクター内に挿入される。これらのベクターは、これらのポリヌクレオチドを複製するために又は該ポリヌクレオチドを真菌のゲノム内に組込むために使用される。ポリヌクレオチドの複製および宿主生物内へのその組込みを可能にするベクターは、当業者によく知られている。
【0024】
挿入突然変異誘発および遺伝的標識
本発明はまた、真菌の挿入突然変異体を製造するための及びこれらの真菌のゲノムを研究するための、前記のポリヌクレオチドの用途に関する。
【0025】
したがって、本発明の対象はまた、真菌の挿入突然変異体の製造方法であって、
・マーカー遺伝子のインパラトランスポゾンの切除および該真菌のゲノム内へのその再挿入を可能にする条件下、インパラトランスポゾンの挿入により不活性化された該マーカー遺伝子を含む本発明のポリヌクレオチドで該真菌を形質転換し、
・該マーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を同定する工程を含んでなる製造方法である。
【0026】
本発明の方法においては、該インパラトランスポゾンを修飾すること、特に、マーカー遺伝子または活性化配列の挿入によりそれを修飾することが可能であると理解される。好ましい実施形態においては、該インパラトランスポゾンは、マーカー遺伝子を含み、それらの2つのマーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を選択する。
【0027】
本発明のポリヌクレオチドで任意の真菌を形質転換して、この真菌の挿入突然変異体を製造することができる。特に、子嚢菌類、担子菌類および卵菌類が挙げられる。好ましくは、本発明は、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボトリチス(Botrytis)、クラドスポリウム(Cladosporium)、クラビセプス(Claviceps)、コレトトリチュム(Colletotrichum)、ウドンコ病菌(Erysiphe)、フザリウム(Fusarium)、コタマカビ(Mycosphaerella)、エキビョウキン(Phytophthora)、シュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella)、ピレノフォラ(Pyrenophora)、リンコスポリウム(Rhynchosporium)、スクレロティニイア(Sclerotinia)、スタゴノスポラ(Stagonospora)、ベンツリア(Venturia)およびウスチラゴ(Ustilago)属の真菌に関する。また、ゲウマンノマイセス(Gaeumannomyces)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、プシニア(Puccinia)およびリゾクトニア(Rhizoctonia)属の真菌が挙げられる。好ましくは、本発明は、マグナポルセ(Magnaporthe)およびペニシリウム(Penicillium)属の真菌に関する。より好ましくは、本発明は、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、ボトリチス・シネレア(Botryis cinerea)、エリシフェ・グラミニス(Erysiphe graminis)、ミコスフェレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)およびスタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)種の真菌に関する。より一層好ましくは、本発明はマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)に関する。
【0028】
真菌を形質転換するための技術は当業者によく知られている。特に、PEGを使用するプロトプラストの形質転換、エレクトロポレーション、アグロバクテリウム(Agrobacterium)での形質転換(De Grootら,Nature Biotechnology 16:839−842,1998)またはパーティクル銃を使用する射撃の方法(Chaureら,Nature Biotechnology 18:205−207,2000)が挙げられる。
【0029】
ついで、インパラ因子の転位から生じた挿入突然変異体を同定または選択するために、マーカー遺伝子の発現に関して形質転換体をスクリーニングする。本発明のポリヌクレオチドのマーカー遺伝子は、表現型スクリーニングにより挿入突然変異体を同定または選択することを可能にする。例えば、このスクリーニングは、抗生物質に対する耐性、化合物に対する耐性、またはレポーター遺伝子の発現レベルの測定によるものでありうる。種々のマーカー遺伝子が、前記において更に詳しく説明されている。nia−真菌におけるマーカー遺伝子としてniaD遺伝子を使用する場合には、唯一の窒素源としてNaNO3を含有する最少培地上で、該挿入突然変異体を、それらの密集性かつ気生性の外観により選択する。
【0030】
このようにして得られた挿入突然変異体を分析するためには、新たな転位を避けるためにトランスポゾンを安定化させるのが有利かもしれない。該転位因子の転位率に近い又はそれ未満の相補点(complement)において該突然変異体を試験する場合には、該トランスポゾンの新たな再挿入のこの制御は無視されうる。該トランスポゾンの切除を制御するために、2成分系を調製することができる(Hun−Van,1998;KempkenおよびKuck,1998)。後者は、トランスポザーゼが特に突然変異により又は欠失により又はマーカー遺伝子での置換により不活性化された欠損インパラ因子の構築を含む。この場合、該欠損インパラトランスポゾンは、発現が厳密に制御されており該インパラ因子の安定化を可能にするトランスポザーゼを用いて可動される。
【0031】
したがって、本発明の対象はまた、真菌の挿入突然変異体の製造方法であって、
・欠損インパラトランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含む本発明のポリヌクレオチドで該真菌を形質転換し、
・該欠損インパラトランスポゾンの切除、該真菌のゲノムにおけるその再挿入およびその安定化を可能にする条件下、発現が制御されたトランスポザーゼを用いて、該欠損インパラトランスポゾンを可動させ、
・該マーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を同定する工程を含んでなる製造方法である。
【0032】
真菌におけるインパラ因子トランスポザーゼ遺伝子などの遺伝子の発現の制御を可能にする方法は、当業者によく知られている。特定の実施形態においては、該真菌を2つのポリヌクレオチドで形質転換する。その第1ポリヌクレオチドは該欠損インパラトランスポゾンを含み、第2ポリヌクレオチドは、インパラ因子トランスポザーゼのコード配列を、それ自身のプロモーターの制御下または異種プロモーターの制御下で含む。該トランスポザーゼのコード配列は、複製型プラスミド上または組込みプラスミド上に配置することができる。該トランスポザーゼの発現を制御するために、後者を、誘導プロモーターの制御下に配置することができる。該トランスポザーゼの発現の誘導は、該欠損インパラ因子の転位および挿入突然変異体の調製を可能にし、ついで、該トランスポザーゼがもはや発現されなくなった際に該トランスポゾンは安定化される。本発明の方法においては、真菌において機能的である任意の誘導プロモーターを使用することができる。特に、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来の硝酸レダクターゼ遺伝子のプロモーターを使用することができる。特に、このプロモーターは、唯一の窒素源としての硝酸塩の存在下の最少培地上でのnia遺伝子の発現を可能にし、一方、この遺伝子の発現は、アンモニウムの存在下では完全に抑制される(LauおよびHammer,1996)。あるいは、該トランスポザーゼを、例えば、選択マーカーを保持する複製型プラスミド(このプラスミドは、選択圧が存在しない場合には維持されない)上に配置する。この場合、該トランスポザーゼは、構成プロモーターまたはそれ自身のプロモーターの制御下で発現されうる。選択圧の存在下、該複製型プラスミドの維持は該トランスポザーゼの発現を可能にし、今度はこれが、インパラ因子の転位および挿入突然変異体の産生を可能にする。複製型プラスミドの維持を可能にする選択圧の不存在下では、該トランスポザーゼは失われ、該トランスポゾンは該突然変異体内で安定化される。そのようなプラスミドの製造に必要な手段は当業者によく知られている。例えば、該トランスポザーゼを、ポドスポラ(Podospora)由来のテロメア末端を含有するpFAC1複製型ベクター(Barreauら,1998)内に配置することができる。
【0033】
挿入突然変異誘発は、関心のある新規遺伝子を同定するための及びそれらの機能を研究するための非常に有効な手段である。好ましい実施形態においては、挿入突然変異体のコレクションを、関心のある表現型に関してスクリーニングする。本発明の挿入突然変異体においては、任意の検出可能な表現型が探索されうる。特に、真菌の生物学、生理学、発生および生化学に関する表現型が挙げられる。好ましくは、病原性真菌の挿入突然変異体が調製され、これらの突然変異体において探索される表現型はこれらの真菌の病原性に関するものである。該表現型スクリーニングは、該真菌の直接的観察、酵素活性の測定、殺真菌剤に対する感受性の測定、または該真菌のビルレンスの研究に基づくものでありうる。関心のある表現型を有する挿入突然変異体を同定したら、インパラトランスポゾンが内部に又は近傍に挿入された遺伝子を単離する。該インパラ因子の挿入によりこのようにして標識された関心のある遺伝子は、当業者によく知られた分子生物学的技術を用いて単離する。用いる技術としては、特に、ポリヌクレオチドの一方の末端の配列のみが既知の場合に該ポリヌクレオチドの増幅を可能にする増幅技術が挙げられる(この場合、該トランスポゾンの配列は該ゲノム内に組込まれる)。これらの技術には、特に、逆PCR(Ochmannら,Genetics,120:621−623,1988;Williams,Biotechniques 7:762−769,1989)、ベクトレットPCR(ArnoldおよびHodgson,PCR Methods Appl.1:39−42,1991)およびパンハンドル(panhandle)PCR(Jones and Winistorfer,PCR Methods Appl.2:197−203,1993)が含まれる。これらの技術は、真菌のゲノム内のインパラトランスポゾンに隣接する配列の増幅、クローニングおよび配列決定を可能にする。ついでこれらの隣接配列を使用して、該トランスポゾンの挿入により不活性化された全遺伝子を単離する。
【0034】
したがって、本発明は、真菌における検出可能な表現型に関連した遺伝子の同定方法であって、
・前記の製造方法の1つに従い、該真菌のゲノム内にインパラトランスポゾンを挿入することにより、挿入突然変異体を製造し、
・この検出可能な表現型を有する少なくとも1つの挿入突然変異体を選択し、
・該インパラトランスポゾンが内部に又は近傍に挿入された遺伝子を単離する工程を含んでなる方法に関する。
【0035】
宿主生物
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドで形質転換された宿主生物に関する。本発明における「宿主生物」なる語は、特に、任意の単細胞生物または多細胞生物(これは下等または高等生物でありうる)を意味し、特に、細菌および真菌から選ばれると意図される。該細菌は大腸菌(Escherichia coli)から選ばれるのが好都合である。好ましい実施形態においては、本発明は、本発明のポリヌクレオチドで形質転換された真菌に関する。好ましくは、該真菌は、子嚢菌類、担子菌類および卵菌類から選ばれる。好ましくは、該真菌は、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボトリチス(Botrytis)、クラドスポリウム(Cladosporium)、クラビセプス(Claviceps)、コレトトリチュム(Colletotrichum)、ウドンコ病菌(Erysiphe)、フザリウム(Fusarium)、コタマカビ(Mycosphaerella)、エキビョウキン(Phytophthora)、シュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella)、ピレノフォラ(Pyrenophora)、リンコスポリウム(Rhynchosporium)、スクレロティニイア(Sclerotinia)、スタゴノスポラ(Stagonospora)、ベンツリア(Venturia)およびウスチラゴ(Ustilago)属の真菌から選ばれる。また、ゲウマンノマイセス(Gaeumannomyces)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、プシニア(Puccinia)およびリゾクトニア(Rhizoctonia)属の真菌が挙げられる。好ましくは、該真菌は、マグナポルセ(Magnaporthe)およびペニシリウム(Penicillium)から選ばれる。より好ましくは、該真菌は、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、ボトリチス・シネレア(Botryis cinerea)、エリシフェ・グラミニス(Erysiphe graminis)、ミコスフェレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ペニシリウム・ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)およびスタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)種から選ばれる。特に有利な態様においては、該宿主生物はマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)である。
【0036】
該ポリヌクレオチドは、該真菌のゲノム内に組込まれたり、あるいは複製型プラスミド上に配置されうる。したがって、本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドがゲノム内に組込まれた真菌に関する。本発明はまた、該インパラトランスポゾンがゲノム内に組込まれたマグナポルセ(Magnaporthe)またはペニシリウム(Penicillium)属の真菌から選ばれる糸状菌の挿入突然変異体に関する。
【0037】
該真菌のゲノム内へのインパラの再挿入は、この真菌の挿入突然変異体のコレクションの生成を可能にする。このようにして得られた突然変異体を、糸状菌のゲノムの研究に使用することができる。
【0038】
後記実施例は、本発明を例示しうるが、本発明の範囲を限定するものではない。これらの後記実施例に記載の方法または操作は、例示として記載されており、同じ結果を得るために利用されうる種々の方法から選ばれる1つの選択肢に相当する。この選択肢は、結果の質に関連したものではなく、そのため、当業者は、同じ結果を得るために任意の適当な方法を用いることができる。DNA断片を操作するための方法のほとんどは、“Current Protocols in Molecular Biology” 第1巻および第2巻,Ausubel F.M.ら又はSambrookら,1989に記載されている。
【0039】
(図面の記載)
図1:pNi160プラスミドのマッピング。
【0040】
図2:pNiL160プラスミド(A)およびpAN301プラスミド(B)の、それを構築するために用いたマッピング。
【0041】
図3:pNi160およびpCB1179ベクターを使用してBamHI REMIにより得られた同時形質転換体の分子分析。該同時形質転換体DNAを抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより該DNA断片が示される。
【0042】
図4:nia+復帰突然変異体C14−1およびC14−2の分子分析。該復帰突然変異体DNAを抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、サザンハイブリダイゼーションにより該DNA断片が示される。
【0043】
A:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する(レーン1)またはインパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する(レーン2)放射性プローブを使用したC14−1復帰突然変異体の分析。
【0044】
B:nia+単胞子を単離することにより精製された後のC14−1およびC14−2復帰突然変異体の分析。C14−1復帰突然変異体(レーン3および4)およびC14−2復帰突然変異体(レーン5および6)のプロフィールをC14nia−同時形質転換体由来のプロフィール(レーン1および2)と比較する。使用したプローブは、インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する。
【0045】
図5:pNiL160ベクターを保持する2つの同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。該同時形質転換体DNAを抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、A:インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、B:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。レーン1:同時形質転換体8のDNA;レーン2〜7:同時形質転換体8の復帰突然変異体のDNA;レーン8:同時形質転換体6のDNA;レーン9〜11:同時形質転換体6の復帰突然変異体のDNA。
【0046】
図6:非病原性復帰突然変異体Rev77におけるインパラの挿入により遮断されたORFの概要図。
【0047】
図7:pCITnプラスミドのマッピング。
【0048】
図8:pNiHYG構築物を保持する2つの同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。3つの別個の復帰突然変異体のDNA(レーン1〜3)を抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、A:インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、B:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。星印の位置は転位性因子の再挿入を示す。
【0049】
図9:pHINプラスミドのマッピング。
【0050】
図10:pEO6プラスミドのマッピング。
【0051】
図11:pHNiLプラスミドのマッピング。
【0052】
図12:pBNiLプラスミドのマッピング。
【0053】
図13:pFACImpプラスミドのマッピング。
【0054】
図14:該2成分系を用いた形質転換後に得られたD1同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。該復帰突然変異体DNA(レーン1〜4)のDNAを抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、hph遺伝子から増幅された断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。
【0055】
(実施例)
【実施例1】
【0056】
実施例I
インパラの自律性コピーでの挿入突然変異誘発
1.入手可能な構築物
pNi160プラスミドは、ATGコドンから10pbの位置に、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のプロモーター領域内に組込まれたインパラ160のコピーを含有する。その構築物は、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の硝酸レダクターゼ遺伝子(Daboussiら,1992)を含有するpAN301プラスミド(Malardierら,1989)で形質転換されたフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のF24株において得られたトランスポゾン捕捉に由来する。niaD遺伝子の自然突然変異の選択は、pAN301の単一のコピーを保持するTR7形質転換体における1.3kbの挿入の特徴づけを可能にする。この挿入は、pAN301の2.7kb EcoRI−EcoRI領域内に存在し、その効果は、4kbのEcoRI断片の生成にある。部分ゲノムライブラリーを構築し、pAN301由来の2.7kb EcoRI断片でスクリーニングした後(Langinら,1995)、この断片をpUC19のEcoRI部位にクローニングした。それと平行して、該niaD遺伝子の下流に位置する7.8kb NdeI断片、そしてまた、該niaD遺伝子のプロモーターの大部分に相当する1kb EcoRI−BamHI断片を欠失させることにより、p11ΔNdeIプラスミドをpAN301から構築した(Langinら,1990)。インパラ160因子および硝酸レダクターゼの2.7kbの断片を含む4kbの断片で、p11ΔNdeI中に存在する2.7kb EcoRI断片を置換することにより、この場合は0.3kb長であるniaD遺伝子のプロモーター領域内に該因子が挿入されたpNi160プラスミドが得られうる(図1)。
【0057】
2.調製した構築物
pNiL160プラスミドは、pAN301中に存在するniaD遺伝子のプロモーターの1kbの断片の付加によりpNi160プラスミドから誘導される。これを行なうために、1.3kbのniaDプロモーターを含有するpAN301プラスミドを、この遺伝子の下流に存在する7.8kbのNdeI断片から欠失させて、中間体プラスミドpAN301ΔNdeIを得た。ついで、その1kbのBamHI−ApaI断片を、該1kbの断片と同じniaD遺伝子部分とインパラ160因子とを含有しpNi160プラスミドに由来する2.3kbのBamHi−ApaI断片で置換した(図2)。
【0058】
3.マグナポルセ・グリセアの形質転換
マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)のG11.174株は、nia−表現型をもたらす硝酸レダクターゼ遺伝子内の点突然変異を有する。この株の製造は、Daboussiら,1989の文献に記載されている。それを、米粉に基づく固形培地上で継代培養し、それにより、該真菌から分生子が収穫されうる。Tanaka(Ouら,1985)の培地Bに基づき調製したTNKYE液体培地は、Sweigardら(1990)およびSweigardら(1992)に記載のプロトコールに従いゲノムDNAを抽出するための又はプロトプラストを得るための菌糸の収穫を可能にしうる。酵母エキスを欠くTNK寒天培地(超高純度アガロース、8g.1−1)(MNO3培地)は、nia+ G11.25株からnia− G11.174株を識別するのを可能にする。前者は、低く平らで糸状の表現型を有するが、後者は密集性かつ気生性である。
【0059】
3.1 pNi160プラスミドでの形質転換
G11.174株のプロトプラストを、pNi160プラスミド(インパラ160を導入するもの)と、ハイグロマイシン耐性を付与するpCB1179プラスミド(Sweigardら,1997)とで同時形質転換した。該形質転換方法はSweigardら,1992に記載されており、4単位のBamHI酵素(REMI:制限酵素媒介組込み;Sweigardら,1998)および1μgの各プラスミドの存在下で行なった。該プロトプラストは、グルコースがスクロース(400μg.1−1)で置換され240μg.1−1の比率のハイグロマイシンで補足されたTNKYE培地上で選択される。該同時形質転換体を選択するために、この抗生物質に耐性なコロニーを、それらのゲノムDNAの抽出後、インパラトランスポゾンに特異的であり573bpの増幅産物を与えるSPE5(5’AGAACACAACCCTGCCACGG3’)およびSPE3(5’TCCGGGCCGTATGCACAGAG3’)プライマーを使用する増幅により分析した。該同時形質転換体DNAをEcoRIで消化し、pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片(2.7kbプローブ)をプローブとして使用するサザンブロット(図3)で分析した(Malardierら,1989)。この研究は、pNi160を介して導入されたアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の実質的にすべてのnia遺伝子に相当する少なくとも1つの4kbバンドを有する35個の形質転換体の選択を可能にした。これらの同時形質転換体を、米粉に基づく固形培地上で10〜14日培養し、該胞子を水中に収穫した。計数後、それらを、ディッシュ当たり胞子105〜106個の比率でMNO3寒天培地上に播いた。nia+復帰形質転換体を選択するためのこの工程を再現する実験を行なった。こうして、本発明者らは、野生型(G11.25)胞子10個をnia− G11.174突然変異体の胞子106と混合し26℃で14日間インキュベートした場合に、該MNO3培地がnia+コロニーの検出を可能にすることを観察した。26℃で1ヵ月培養した後、1個の同時形質転換体(同時形質転換体C14)だけが、気生性表現型を有する2個のコロニー(C14−1およびC14−2)を得ることを可能にした。これらの復帰突然変異体コロニーを回収し、niaD遺伝子のプロモーター内のインパラ160挿入部位を囲むC1(5’CGCTGCGAATTCTTCAGT3’)およびniaX(5’CTAGACTTAGAACCTCGG3’)プライマーを使用するPCRにより分析した。200bpの産物の増幅は、該トランスポゾンの切除が生じた核の存在を示している。均一なコロニーを得るために、C14−1およびC14−2復帰突然変異体の分生子を双眼顕微鏡下で単離し、別々に培養した。インパラのORFに相当するプローブを使用したサザンブロットによるその分析により、それらの2つの復帰突然変異体における該因子の再挿入が示されうる(図4)。pGEM−Tイージーベクター(Promega)内に200bpのPCR産物をクローニングした後、該トランスポゾンの切除により残されたフットプリントを配列決定した。C14−1復帰突然変異体のフットプリントはCTGTAであり、C14−2のフットプリントはCAGTAである。これらのフットプリントは、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)においてインパラが切除された場合にごく一般的に残されるフットプリント(Langinら,1995)と同一である。MNO3寒天培地上での培養においては、これらの復帰突然変異体は、G11.174株とG11.25株との間の中間的な表現型を有し、このことは、pNi160構築物中に存在するniaD遺伝子がG11.174株の突然変異の最適な相補を許容しないことを示唆している。この仮定を試験するために、この株由来のプロトプラストを、pCB1179(3μg)の存在下および1.3kbのプロモーターの制御下でniaD遺伝子を含有するpAN301ΔNdeI(3μg)ベクターまたはpAN301(3μg)ベクターで形質転換した。グルコースがスクロース(400μg.l−1)で置換されハイグロマイシン(240μg.ml−1)で補足されたMNO3培地上で該プロトプラストをプレーティングし、30℃で10日間インキュベートした後、nia+表現型を有するコロニーが出現する。一方、0.3kbのプロモーター断片の制御下(pNi160の場合と同様)でniaD遺伝子を含有するp11ΔNdeIベクターを使用した場合には、相補性は認められなかった。
【0060】
これらの実験は、pNi160中に存在するトランケート化プロモーターがG11.174株の突然変異を相補しえないことを示している。この構築物での2つの復帰突然変異体(C14−1およびC14−2)の選択は、該0.3kb プロモーター断片の固有活性によるものではなく、C14同時形質転換体においては、アクチベーター配列から利益が得られる領域内にniaD遺伝子が挿入されたと考えられるのではないかと説明されうる。このことは、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)のゲノム内のアクチベーター領域を検出するためにp11ΔNdeIを使用しうることを示唆している。
【0061】
3.2 pNiL160(本発明のもの)での形質転換
G11.174株由来のプロトプラストを、40単位のNdeI酵素の存在下、1.3kbの全プロモーターの制御下でniaD遺伝子を含有する新規構築物pNiL160(1μg)およびpCB1179(1μg)で同時形質転換した。該同時形質転換体を、SPE5およびSPE3プライマーを使用する増幅によりスクリーニングし、ついで米培地上に播いて分生子を得た。復帰突然変異体を同定するために、後者をMNO3培地(ディッシュ当たり胞子約105〜106個)上でプレーティングした。19個の同時形質転換体に関して行なった実験は、それらの場合の100%において復帰突然変異体を得ることを可能にした。いくつかは、26℃で10日の培養から生じた。復帰突然変異体の数は、考慮される同時形質転換体に応じて2〜83の様々な数となる。8個の異なる同時形質転換体に属する53個の復帰突然変異体を、インパラの全コード領域に相当するプローブを使用するサザンブロットにより分析した。図5は、9個の無作為に選ばれた復帰突然変異体におけるインパラトランスポゾンの移動度を示す。この実験から得られたエム・グリセア(M.grisea)におけるインパラ再挿入の割合(%)は74%に達する。これらの再挿入体のうち、それらの95%は異なる。より詳しくは、再挿入体のすべてが異なる100%の再挿入を与える同時形質転換体を同定した。
【0062】
これらの結果は、pNiL160構築物が、pNi160とは異なり、該トランスポゾンの新規挿入を有する多数の復帰突然変異体がマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において選択されることを可能にすることを示している。
【実施例2】
【0063】
実施例II
マグナポルセ・グリセアにおける挿入突然変異体の製造
pNLi160プラスミドの単一のコピーを保持する同時形質転換体6(CTRF6)から得られた18個のnia+復帰突然変異体のサザンブロット分析は、それらの100%が、該ゲノム内に再挿入されたインパラを有することを示した。350個のnia+復帰突然変異体のコレクションを得るために、この同時形質転換体を選択した。該同時形質転換体を米培地上で14日間培養する。該胞子を、ペトリ皿当たり3mlの蒸留水中に収穫し、菌糸残渣の除去のために半融ガラス上で濾過して、ディッシュ(12×12cmの形態)当たり胞子106個の比率でNaNO3培地上にプレーティングする。該ディッシュを26℃でインキュベートする。16〜21日後にnia+復帰突然変異体が出現する。それらをNaNO3培地上で継代培養し、14日間培養し、該胞子を寒天−水培地(H20中の2%アガロース)上にプレーティングする。26℃で8時間後、各復帰突然変異体からの1個の胞子を個々にNaNO3培地上で継代培養して、該復帰突然変異体を精製し、そのnia+表現型を確認する。
【実施例3】
【0064】
実施例III
インパラトランスポゾンを保持する挿入突然変異体の特徴づけ
CTRF6から生成した350個の復帰突然変異体の観察は、CTRF6ほどには有意でない成長および該同時形質転換体の灰色とは異なる暗褐色を米培地およびNaNO3培地上で示す復帰突然変異体(Rev2)の検出を可能にした。インパラ挿入に隣接する配列を特徴づけるために、3μgのRev2ゲノムDNAをHindIIIで消化し、逆PCRにより分析した。消化後、該DNAをフェノール/クロロホルム抽出工程に付し、ついで7.5M酢酸アンモニウムで沈殿させる。このようにして得られたペレットを40μlのMilliQ水中に採取する。8μlの消化DNA上で連結を行ない、該DNAを、前記のとおりに、フェノール/クロロホルム抽出に付し、7.5M酢酸アンモニウムで沈殿させる。該DNAを10μl中に採取し、それらのすべてを、インパラトランスポゾンの配列上で選択される及び発散的に位置するImpE5’(5’GGCATTGAAAACGCGGTCCC3’)およびImpE3’(5’CAGCAGCAAAACAGCTGCCC3’)プライマーを使用するPCR工程に使用する。該IPCR産物の配列決定は、オープンリーディングフレーム内の重複したTAジヌクレオチドにおいて該トランスポゾンが挿入されうことを示すことを可能にした。tblastxプログラム(Altschulら,1990)を使用してデータバンクを調べることにより、この突然変異配列とDNA修復に関与するタンパク質ファミリーとの間で、さらに詳しくは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のMLH1タンパク質(Prollaら,1994)に対して、非常に強い相同性が示された。
【0065】
それと平行して、病原性突然変異体に関して探索するために、該コレクションの350個の復帰突然変異体を米葉および大麦葉上で試験した。該復帰突然変異体を米培地上で14日間培養する。生成した胞子を、3mlの水の存在下、菌糸を擦り取ることにより収穫し、ついでThomasセル下で計数する。該胞子懸濁液を105胞子/mlにまで調節し、キネチン(エタノール中の2mg/mlのストック溶液の1ml/l)で補足された寒天培地(1%寒天)上に生存条件中で配置された数片の米(品種Sariceltik)の葉および大麦(品種Express)の葉上に、原綿の芽(cotton wool bud)を使用して塗布する。26℃で4日間インキュベートした後、該徴候を、野生型G11.174株で生じた徴候と比較する。復帰突然変異体77は非病原性であることが判明した。この突然変異体中のインパラ挿入に隣接した配列を、BamHIでの該ゲノムDNAの消化の後、前記の条件下、逆PCRにより回収した。回収された産物は、この場合もまた、オープンリーディングフレーム内に位置する重複したTAジヌクレオチドにおける該トランスポゾンの挿入を証明した。この産物の配列で該データバンクを調べたところ、有意な相同性は示されなかった。この産物を使用して、エム・グリセエア(M.grisea)コスミドライブラリーをプローブした。該増幅産物にハイブリダイズするコスミドをクローニングし、マッピングし、部分的に配列決定した。したがって、考慮するリーディングフレームに応じて2つの潜在的ORF(ORF1およびORF2)内にインパラトランスポゾンは挿入されるらしい(図6)。このコスミドのSalI/NotI断片を、ビアロフォス耐性を付与するBar遺伝子を保持するpCB1531ベクター(pCB1531*ベクター)(Sweigardら,1997)内にサブクローニングした。Rev77プロトプラストを得、3μgのpCB1531*プラスミドまたは対照としての3μgのpCB1531プラスミドで形質転換し、ビアロフォス(30〜40μg.ml−1)で補足されたTNKYEショ糖(400g.1−1)培地上に配置した。該耐性コロニーを、ビアラフォス(30μg.ml−1)で補足されたTNKYEグルコース上で培養し、米培地上で14日間、胞子形成させる。該胞子を収穫し、該懸濁液を胞子105個.ml−1で補正し、ついで、前記のとおりにそれらの病原性に関して試験する。予想どおり、pCB1531を保持する形質転換体は、Rev77と同様に、非病原性のままであり、一方、pCB1531*を保持するコロニーは再び病原性となる。これらの結果は、インパラトランスポゾンが、エム・グリセア(M.grisea)の感染力に関与する遺伝子を標識することを可能にしたことを示している。
【実施例4】
【0066】
実施例IV
gpd遺伝子のプロモーター内へのインパラトランスポゾンの組込み
ハイグロマイシンに対する耐性に関する遺伝子(hph)の発現を制御するプロモーター内へのインパラのクローニングを可能にするプラスミドを構築した。pAN7.1ベクター(Puntら,1987)のBglII−HindIII二重消化は、gpd遺伝子のその137塩基対から欠失したプロモーターおよびTrpC遺伝子のターミネーターおよびhph遺伝子のコード領域をコードする全ORFを含有する3988bp断片の遊離を可能にする。この断片の付着末端を、DNAポリメラーゼの作用により平滑末端内に形質転換した。ついでこの断片を、pBluescript SK−プラスミドに由来し複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を保持する2.5kbのPvuII断片に連結した。それから得られたプラスミドは、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において、ハイグロマイシン耐性形質転換体を得ることを可能にする。pCITn(図7)として公知のこのベクターは、インパラまたは他の任意のトランスポゾンがクローニングされうる、転写+1点の30bp上流に位置する唯一のPvuII部位を有する。
【実施例5】
【0067】
実施例V
自律的および標識コピーでの挿入突然変異誘発
インパラトランスポゾンが再挿入された復帰突然変異体を表現型スクリーニングにより選択するのを可能にする自律的因子を得るために、トランスポザーゼをコードするリーディングフレームの終結コドンの下流の該因子の2つのITRの間にハイグロマイシン耐性遺伝子をクローニングした。これを行なうために、該ハイグロマイシン耐性カセットを、SalI消化によりpCB1004プラスミド(Sweigardら,1997)から回収し、該末端をクレノウでの処理により平滑化した。このカセットを、NheI部位で線状化されクレノウで処理されたpNi160プラスミドに連結する。得られたプラスミドをBamHIおよびApaI酵素で消化する。修飾されたインパラトランスポゾンを含有する2285bpの断片を回収し、これらの同じ酵素で消化されたpAN301ΔNdeIの7397bpの断片に連結する。これは、niaDの転写の方向(pNiHYGプラスミド)または逆方向(pNiGYHプラスミド)に挿入された、ハイグロマイシン耐性カセットで標識されたインパラトランスポゾンが硝酸レダクターゼ開始コドンの8bp上流に挿入された1.3kb長のniaDプロモーターを保持する9682bpのプラスミドを与える。
【0068】
エム・グリセア(M.grisea)のG11.174株由来のプロトプラストを3μgのpNiHYGプラスミドまたは3μgのpNiGYHプラスミドで形質転換した。これらの形質転換体について、既に記載されている条件下でnia+復帰突然変異体の選択を行なった。サザンブロットによる同じ同時形質転換体の3個のnia+復帰突然変異体の分析は、このようにして標識されたインパラトランスポゾンが自律性のままであること、すなわち、それが、niaD遺伝子から独立して存在し該ゲノム内に再挿入されうることを示している(図8)。
【実施例6】
【0069】
実施例VI
インパラの欠損および可動性コピーでの挿入突然変異誘発
2成分突然変異誘発系を利用するためには、該転位性因子がトランスで活性化されうることを示すことが必要である。このためには、まず、該トランスポザーゼを構成的プロモーターの制御下に配置する。ついで、該欠損因子の安定化は、構成的プロモーターまたはそれ自体のプロモーターの制御下でトランスポザーゼを保持する複製型プラスミドまたはトランスポザーゼの発現を制御する誘導プロモーターの使用を要する。硝酸レダクターゼをコードするマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)遺伝子のプロモーターの、誘導プロモーターとしての使用が特に示されているようである。LauおよびHamer(1996)は、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来の硝酸レダクターゼ遺伝子を含有するクローンに相当するプローブを使用するノーザンハイブリダイゼーションにより、それが、唯一の窒素源としての硝酸塩の存在下では発現され、一方、それがグルタミンの存在下では完全に抑制されることを示している。マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来のnia遺伝子のプロモーターの制御下にインパラトランスポザーゼを配置することにより、該酵素が合成され、ついで、該欠損因子が、該復帰突然変異体の選択のための条件下(MNO3培地)で切除され、豊富な培地(アンモニウムまたはグルタミンの存在下)上でそれを培養した場合に該復帰突然変異体が得られたら、その産生が抑制されうるはずである。
【0070】
1.入手可能な構築物
pHINプラスミドはpNi160から誘導される。そのプラスミドにおいては、インパラ因子にコードされたトランスポザーゼが、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のTrpC遺伝子の制御下のハイグロマイシン耐性遺伝子(hph遺伝子)で置換されている。その構築はHua−Van,1998に記載されている。該トランスポゾンのITR中のhph遺伝子の存在は、得られた復帰突然変異体のゲノム内への該欠損因子の組込みを保証しうる。
【0071】
pEO6プラスミドは、NcoI部位を含有するプライマーを使用するPCRにより得られたインパラトランスポザーゼをコードするORFで、β−グルクロニダーゼをコードするORFを置換した後に、pNOM102プラスミドから誘導される。このプラスミドは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の構成的gpdプロモーターおよびTrpCターミネーターの制御下でのトランスポザーゼの発現を可能にする(図10)。
【0072】
2.調製する構築物
pHNiLプラスミドはpHINプラスミドから誘導される。それは、hphで標識された欠損インパラコピーを導入するpHIN由来の2.8kb BamHI−ApaI断片でpAN301ΔNdeIの1kb BamHI−ApaI断片を置換することにより構築した。pNiL160の場合と同様に、硝酸レダクターゼ遺伝子(niaD)は、その1.3kb長のプロモーターの制御下にある(図11)。本発明者らの結果によれば、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)における硝酸レダクターゼ活性を回復させることにより該欠損因子の切除を選択するためにはこのプラスミドを構築することが必要である。
【0073】
また、pBNiLプラスミドは、この場合にはBar遺伝子で標識された欠損因子を含有する。このベクターを構築するためには、niaD遺伝子の配列に隣接するインパラトランスポゾンを含有するpNiL160のBamHI/NcoI断片(2472bp)を、pUC19のBamHI/AflIII断片(2298bp)であって該プラスミドの複製起点とアンピシリン耐性遺伝子とを保持するものに連結する。インパラトランスポザーゼの一部に対応する891bpの XhoI/StyI断片をこのプラスミド上で欠失させる。このようにして線状化された該プラスミドの末端をクレノウで平滑化し、pCB1635プラスミド(Sweigardら,1997)のSalI消化およびクレノウにより得られたビアラフォス耐性遺伝子(Trpcプロモーター::Bar,940bp)に連結する。それから得られたプラスミドをBamHIおよびApaIで消化し、pAN301ΔNdeIプラスミドの7397bpのBamHI/ApaI断片に連結する。これにより、該トランスポゾンが欠損性でありBar遺伝子で標識されておりniaD遺伝子のプロモーター(1.3kb)内に挿入されたpBNiLプラスミドが得られる(図12)。
【0074】
pFACImpプラスミドはインパラトランスポゾンをその右ITR内に保持しており、それはもはや転位できず該トランスポザーゼ源のままである。該因子をEcoRI/NheI二重消化によりpNi160プラスミドから切除し、該末端をクレノウで平滑化し、該断片をpFAC1のBglII部位においてクローニングする(図13)。
【0075】
3.マグナポルセ・グリセアにおけるこれらのプラスミドの用途
マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)G11.174由来のプロトプラストをpHNiLプラスミドで形質転換するか、またはpHNiLおよびpEO6プラスミドで同時形質転換した。該形質転換方法はSweigardら(1992)に記載されており、1μgの各プラスミドで行なった。該プロトプラストを、グルコースがスクロース(400μg.1−1)で置換され240μg.ml−1の比率でハイグロマイシンで補足されたTNKYE培地上で選択する。該pHNiL形質転換体を、該欠損因子中の該耐性マーカーの存在に基づき直接的に選択する。該同時形質転換体を、それらのゲノムDNAの抽出後、IV.3に記載のSPE5プライマーを使用する増幅によりハイグロマイシン耐性コロニーから単離する。12個のハイグロマイシン耐性コロニー上で行なったこの研究は、pEO6を同様に保持する4個のコロニーの単離を可能にした。米粉に基づく固形培地上での胞子形成後、IV.3に記載のとおりにnia+復帰突然変異体を選択するために、これらの同時形質転換体の及びpHNiLを保持する6個の形質転換体の胞子(105〜106個)をMNO3培地上でプレーティングした。pHNiLを保持する6個の形質転換体はいずれも、そのような復帰突然変異体を与えなかった。これは、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)に内因性のインパラの欠損コピーが、トランスポゾンにより可動しえないことを示している。それらの4個のpHNiL/pEO6同時形質転換体のうちの2個が気生性コロニーを与える(同時形質転換体D1およびD9)。D1同時形質転換体由来の6個の復帰突然変異体のゲノムDNAをEcoRIで消化し、hyg1(5’AGCCTGAACTCACCGCGACG3’)およびhyg4(5’CGACCCTGCGCCCAAGCTGC3’)プライマーの使用により得られたhph遺伝子由来の868bpのプローブでハイブリダイズさせた後の該復帰突然変異体のサザン分析は、それらの4個に関する該欠損因子の再挿入の特徴づけを可能にする(図14)。後者のうちの2個の復帰突然変異体は、該因子の2個の挿入を含有する。この分析は、トランスで与えられたインパラトランスポザーゼにより該欠損因子がマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において可動されうることを示しうる。
【0076】
4.他の構築物
第1に、それは、インパラトランスポザーゼが、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)においてクローニングされたnia遺伝子のプロモーターの制御下にあるプラスミド(pNiaI)を構築することを含む。このプラスミドは、pHINLと共に又はそれに由来する他の任意のプラスミド(該欠損因子の挿入により不活性化されたアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaDプロモーターが、該復帰突然変異体の選択に使用するマーカー遺伝子の発現を制御するもの)と共に使用される。該同時形質転換体の選択を促進するために、該因子の欠損コピーを保持するプラスミド中に存在するものとは異なる耐性マーカーをpNiaIに付加すべきである。
【0077】
第2に、該トランスポザーゼは、構成的プロモーターの制御下、より厳密には、gpdA遺伝子のプロモーターの制御下、該欠損因子中またはpHNiLプラスミド中に存在するものとは異なる選択マーカーを保持するpFAC1ベクター中にクローニングすることができる。
【0078】
【表1】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規ポリヌクレオチド、および真菌における挿入突然変異誘発および遺伝子標識のためのこれらのポリヌクレオチドの用途に関する。本発明はまた、これらの真菌のゲノム内へのフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)由来のインパラ(Impala)トランスポゾンのランダム挿入により得られた真菌突然変異体のコレクションに関する。これらの突然変異体のコレクションは、真菌における遺伝子の機能を研究するための有効な遺伝的手段の1つである。
【背景技術】
【0002】
トランスポゾンは、2つのDNA配列間を移動しうる可動性遺伝子因子として定義されうる。それらは遺伝子(エキソン、イントロン、調節領域)内に挿入されうるため、それらは突然変異の原因となりうる。このため、それらは、ゲノム内に寄生体として存在して該ゲノムの進化に寄与する。トランスポゾンは、それらの増幅様態に応じて2つのグループに分類されている(Finnegan,1989;Capyら,1998)。
【0003】
・クラスI因子(レトロ因子(retroelements))は、逆転写酵素によりDNAに逆転写されるRNA中間体を介して転位する。このクラスは、LTR(長末端反復配列)に隣接していることも隣接していないこともあるレトロトランスポゾンまたはレトロ因子に細分される。該LTRレトロ因子としては、gypsyファミリーの因子、およびcopiaファミリーの因子が挙げられる。それらは、レトロウイルスのgagおよびpol遺伝子に相同でpol遺伝子の種々の機能的ドメインの体制が異なる遺伝子を有する。また、gypsyファミリーは、レトロウイルスにおいてその感染に寄与するenvに相同な遺伝子を有する。非LTRレトロ要素のなかでは、gagおよびpol遺伝子ならびにポリA配列を有するLINEが区別され、また、ポリAテイルも有するがgagおよびpol配列を欠くSINEが区別される。それは、先のLINE因子に由来すると考えられる(Eickbush,1992;OkadaおよびHamada,1997)。
【0004】
・クラスII因子は、トランスポゾンDNA配列の切除および再挿入のメカニズムを介して転位する。その全体的構造は、該因子の転位に必要なトランスポザーゼをコードするオープンリーディングフレームに隣接する2つの逆方向反復配列(ITR)よりなる。これらの因子は、そのトランスポザーゼおよび/またはITRの配列相同性に基づき、まとめていくつかのスーパーファミリーに分類されており、それらには、Tc1/マリナー(mariner)因子のスーパーファミリー(Doakら,1994)、Fot1/Pogo要素のスーパーファミリー(Capyら,1998;SmitおよびRiggs,1996)、hAT因子のスーパーファミリー(Calviら,1991)、P因子のスーパーファミリー(Kidwell,1994)またはCACTA因子のスーパーファミリー(Gierl 1996)が含まれる。
【0005】
真菌トランスポゾンの同定および研究は、特に、挿入突然変異誘発のための手段を開発しようとする場合(Brownら,Curr.Opin.Microbiol.1:390−4,1998)、さらにまた、これらの真菌のゲノムを研究しようとする場合(Dobinsonら,Trends in Microbiology,1:348−3652,1993)に、非常に重要である。
【0006】
したがって、真菌のゲノムにおいてトランスポゾンを同定するためには、種々の方法が実施されている。第1および第2の方法は、既に特徴づけられている因子から導かれた知見を利用するものである。これは、高度に保存されたドメイン(例えば、LTRレトロ因子逆転写酵素のもの)に由来するオリゴヌクレオチドを使用するサザンハイブリダイゼーション実験または増幅において使用する異種プローブの使用を含む。第3の方法は、反復DNA配列を特徴づけることにある。この場合、ゲノムDNAとリボソームプローブとの間のディファレンシャルハイブリダイゼーションが必要である。このようにして、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)ゲノムにおいて、Fot1ファミリーのトランスポゾンが同定されている(Kachrooら,Current Genetics 31:361−369,1997;Farmanら,Mol.Gen.Genetics 251:675−681 1996;Kachrooら,Mol.Gen.Genetics 245:339−348,1994)。最後の方法は、前記の3つの方法とは異なり、機能的および活性な因子の同定を可能にする。これは、トランスポゾン捕捉(transposon trap)である。この方法はマーカー遺伝子の不活性化を用いるものであり、この方法においては、該因子の挿入により生じた突然変異が陽性スクリーニングにより同定されうる。このようにして、am(グルタミン酸デヒドロゲナーゼ)遺伝子は、ニューロスパラ・クラッサ(Neurospora crassa)においてTadレトロ因子(これは、LINE型のものである)を、この遺伝子内へのその再挿入後に特徴づけることを可能にした(KinseyおよびHelber,1989)。また、トランスポゾンを捕捉するために、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)のniaD(硝酸レダクターゼ)遺伝子が使用されている。特に、この遺伝子を不活性化する突然変異はクロラート耐性を付与する。このようにして、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)(Daboussiら,Genetica 93:49−59,1194)およびアスペルギルス(米国特許第5,985,570号)において種々のトランスポゾンが同定されている。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)由来のクラスII因子であるFot1は、niaD遺伝子の不活性化を用いて同定された最初のトランスポゾンであった(Daboussiら,1992)。また、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)におけるniaD遺伝子の使用は、Tc1/マリナー型因子のスーパーファミリーに属するインパラ(Impala)トランスポゾンを捕捉することを可能にした(Linginら,1995)。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)においては、種々のインパラトランスポゾンスーパーファミリーが同定されている(Hun−Vanら,Mol.Gen.Genetics 259:354−362,1998)。フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)においては、インパラ因子の転位が研究されている。与えられた遺伝子のイントロンまたはプロモーター内にインパラトランスポゾンが組込まれた場合には、それはついで、この遺伝子の発現を不活性化しうる。一方、インパラトランスポゾンの転位後、該遺伝子は再活性化され、これは、該転位事象の陽性対照を構成する。該転位を同定するためのそのような方法が、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の硝酸レダクターゼ(niaD)遺伝子のプロモーター調節配列内に組込まれたインパラトランスポゾンを含む構築物を使用して、フザリウム(Fusarium)において行われている(Hua−Van,1998)。
【0007】
現在のところ、他の真菌、より詳しくはマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)においてpNi160プラスミドのniaD/インパラ遺伝子構築物(Langinら,1995)を使用してインパラの転位を証明することは、挿入突然変異誘発手段の開発に不適合な非常に低い比率で可能であるにすぎない。これらの観察は、pNi160プラスミドのniaD/インパラ構築物(Langinら,1995)、より詳しくはインパラトランスポゾン自体が、他の真菌、特にエム・グリセア(M.grisea)において機能的でないことを示唆している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,985,570号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Finnegan,Trends Genet.,1989,5,103−107
【非特許文献2】Capyら,Spring−Verlag ed. Landes Biosciences. Heidelberg,1998
【非特許文献3】Eickbush,,New Biol.,1992,4,430−440
【非特許文献4】OkadaおよびHamada,J. Mol. Evol.1997,S52−56
【非特許文献5】Doakら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1994,91,942−946
【非特許文献6】SmitおよびRiggs,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1996,93,1443−1448
【非特許文献7】Calviら,Cell,1991,66,465−47
【非特許文献8】Kidwell,J. Hered.,1994,85,339−346
【非特許文献9】Gierl,Curr Top Microbiol Immunol.,1996,204,145−159
【非特許文献10】Brownら,Curr.Opin.Microbiol.1:390−4,1998
【非特許文献11】Dobinsonら,Trends in Microbiology,1:348−3652,1993
【非特許文献12】Kachrooら,Current Genetics 31:361−369,1997
【非特許文献13】Farmanら,Mol.Gen.Genetics 251:675−681 1996
【非特許文献14】Kachrooら,Mol.Gen.Genetics 245:339−348,1994
【非特許文献15】Kinsey and Helber,Proc. Natl. Acad. Sci. USA,1989,86,1929−1933
【非特許文献16】Daboussiら,Genetica 93:49−59,1194
【非特許文献17】Daboussiら,Mol. Gen. Genet.,1992,232,12−16
【非特許文献18】Langinら,1995
【非特許文献19】Hun−Vanら,Mol.Gen.Genet.,1998,259,354−362
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
真菌ゲノム(より詳しくは病原性糸状菌のゲノム)における挿入突然変異体のコレクションを作製するためのそのような手段は、それらのゲノムの研究およびそれらの遺伝子の機能の研究に今や不可欠である。ヒトまたは動物における真菌性病態の治療用または農業用に使用されうる新規抗真菌化合物を見出すためには、真菌遺伝子の機能の分析が不可欠である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的でありインパラトランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含んでなる新規ポリヌクレオチドに関する。これらのポリヌクレオチドは、挿入突然変異誘発手段の開発に適した転位率で、真菌におけるインパラ因子の転位を示すことを可能にする。したがって、本発明の対象はまた、真菌突然変異体の製造方法であって、そのゲノム内にインパラトランスポゾンを挿入することによる製造方法、および関心のある表現型に関連した真菌遺伝子を同定するための方法である。最後に、本発明は、真菌挿入突然変異体のコレクションおよびその用途に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】pNi160プラスミドのマッピング。
【図2】pNiL160プラスミド(A)およびpAN301プラスミド(B)の、それを構築するために用いたマッピング。
【図3】pNi160およびpCB1179ベクターを使用してBamHI REMIにより得られた同時形質転換体の分子分析。
【図4】nia+復帰突然変異体C14−1およびC14−2の分子分析。 A:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する(レーン1)またはインパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する(レーン2)放射性プローブを使用したC14−1復帰突然変異体の分析。 B:nia+単胞子を単離することにより精製された後のC14−1およびC14−2復帰突然変異体の分析。
【図5】pNiL160ベクターを保持する2つの同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。 A:インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。 B:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。
【図6】非病原性復帰突然変異体Rev77におけるインパラの挿入により遮断されたORFの概要図。
【図7】pCITnプラスミドのマッピング。
【図8】pNiHYG構築物を保持する2つの同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。 A:インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。 B:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。
【図9】pHINプラスミドのマッピング。
【図10】pEO6プラスミドのマッピング。
【図11】pHNiLプラスミドのマッピング。
【図12】pBNiLプラスミドのマッピング。
【図13】pFACImpプラスミドのマッピング。
【図14】該2成分系を用いた形質転換後に得られたD1同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の記載)
ポリヌクレオチド
したがって、本発明は、インパラ(Impala)トランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含んでなり、該マーカー遺伝子が、該マーカー遺伝子のコード配列に機能的に連結された、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe Grisea)において機能的なプロモーター調節配列を転写の方向に含むことを特徴とするポリヌクレオチド、特に、単離または精製されたポリヌクレオチドに関する。
【0014】
本発明のポリヌクレオチドでの真菌の形質転換および該トランスポゾンの切除は、該マーカー遺伝子の発現につながる。したがって、該マーカー遺伝子の発現の検出は、該転位事象のモニターおよび該挿入突然変異体の選択を可能にする。該突然変異体の選択は、第1マーカーとは異なる第2マーカー遺伝子で該トランスポゾンを標識することにより改良されうる。この第2マーカー遺伝子は、該真菌のゲノム内への該トランスポゾンの再挿入のモニターを可能にする。したがって、本発明の対象はまた、インパラトランスポゾンがマーカー遺伝子を含む、前記のポリヌクレオチドである。
【0015】
使用するマーカー遺伝子は、簡便なスクリーニングによる転位事象の選択に適したものである。本発明においては、表現型スクリーニングで真菌内での発現が検出されうる任意のマーカー遺伝子を使用することができる。「マーカー遺伝子」なる語は、異なる起源の遺伝要素を含むキメラ遺伝子をも意味すると理解される。したがって、本発明のマーカー遺伝子は、真菌由来のプロモーター配列と、真菌由来でないマーカー遺伝子のコード配列との両方を有しうる。
【0016】
本発明においては、「マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーター調節配列」なる表現は、あるコード配列に機能的に連結されたポリヌクレオチドのうち、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)における該コード配列の発現を可能にする任意のポリヌクレオチドを意味すると意図される。プロモーター配列がマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるか否かを判定することを可能にする技術は、当業者に公知である。例えば、潜在的プロモーター配列とレポーター遺伝子とを転写の方向に含むポリヌクレオチドでマグナポルセ(Magnaporthe)を形質転換することができる。該ポリヌクレオチドで形質転換された真菌における該レポーター遺伝子の発現のモニターは、このプロモーター配列がマグナポルセ(Magnaporthe)において機能的であるか否かの判定を可能にする。したがって、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)における機能を判定するために、任意のプロモーター配列を試験することができる。該プロモーター調節配列は、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来の遺伝子のプロモーター調節配列であることが可能であり、あるいは別の真菌、さらに詳しくは別の糸状菌に由来することが可能である。マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーター調節配列は、真菌nia(硝酸レダクターゼ)またはgpd遺伝子のプロモーター調節配列よりなることが有利である。好ましくは、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーター調節配列は、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD(Malardierら,1989)またはgpdA遺伝子(Puntら,1990)の、マグナポルセ(Magnaporthe)において機能的なプロモーター調節配列よりなる。マグナポルセ(Magnaporthe)において機能的であるためには、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のプロモーター調節配列は、好ましくは、337bpより長く、0.4kbより長く、0.5kbより長く、0.6kbより長く、0.7kbより長く、0.8kbより長く、0.9kbより長く、より好ましくは、約1kbより長いか又はそれに等しい。本発明の好ましい実施形態においては、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーター調節配列は、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)(Genbank M58291;Johnstoneら,Gene 90:181−192,1990;Puntら,1995)由来のniaDおよびniiA遺伝子の遺伝子間断片に相当する1.3kbのポリヌクレオチドよりなる。それ自体は機能的ではないが、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)のゲノム内のマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)プロモーターの下流へのランダムな組込みにより該マーカー遺伝子の発現を可能にする部分的機能的調節配列は、本発明においては、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的な調節配列ではないと理解される。
【0017】
本発明の好ましい実施形態においては、該マーカー遺伝子のコード配列は、発現が容易に測定されるレポーター遺伝子、特にGUS(米国特許第5,268,463号、米国特許第5,599,670号)またはGFP(米国特許第5,491,084号、米国特許第5,741,668号)のコード配列、抗生物質または除草剤に対する耐性に関する遺伝子、例えばハイグロマイシン耐性遺伝子(hph:Puntら,1987)、フレオマイシン耐性遺伝子(ble:Drocourt,1990)、除草剤ビアラフォス(bialaphos)耐性遺伝子(Bar:PallおよびBrunelli,1993)またはスルホニル尿素耐性遺伝子(Sweigardら,1997)のコード配列から選ばれる。本発明のもう1つの好ましい実施形態においては、該マーカー遺伝子は、真菌において機能的である、酵素をコードする遺伝子の配列から選ばれる。好ましくは、該マーカー遺伝子は硝酸レダクターゼ遺伝子である。本発明の断片がnia−真菌内に組込まれた場合、この構築物で形質転換された株は突然変異体表現型を維持する。最少培地(唯一の窒素源としてのNaNO3)上のnia+コロニーの出現は、niaD遺伝子の発現を可能にするインパラトランスポゾンの切除を示す。これらのnia+復帰突然変異体は、nia−コロニーの低く平らな表現型とは異なるそれらの密集性かつ気生性(aerial)の表現型により、この培地上で選択されうる。マーカーとしてのniaD遺伝子の使用は、nia−真菌の使用を要する。nia−真菌の同定方法は当業者によく知られている。特に、Daboussiら(1989)により記載されている方法が挙げられる。
【0018】
本発明のポリヌクレオチドは、インパラトランスポゾン(Langinら,1995;Hua−Vanら,1998)の挿入により不活性化された前記のマーカー遺伝子を含む。該インパラトランスポゾンは、逆方向反復配列(ITR)に隣接した機能的トランスポザーゼをコードするオープンリーディングフレームを含む。それは、TAジヌクレオチドにおいて挿入され、これは重複状態となる。インパラの切除は曖昧なものであり、ごく一般的には、該挿入中に重複したTAジヌクレオチドに加えて、該因子の左または右末端に対応する3ヌクレオチドの足跡(フットプリント)を残す。したがって、切除後に残存フットプリントが該マーカー遺伝子の発現を妨げないよう、該マーカー遺伝子内への該インパラトランスポゾンの挿入点が選択される必要がある。好ましくは、該インパラトランスポゾンは、該プロモーター配列内または該マーカー遺伝子のイントロン内に挿入される。インパラのいくつかのコピーがフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)において同定されており、それらの配列の比較は、種々の長さおよび配列のITRを有する3つのサブファミリーを定めることを可能にした(Hua−Vanら,1998)。好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、インパラ160トランスポゾンを含む。該インパラ160因子は1 280bpを含み、それは、340アミノ酸のトランスポザーゼをコードするオープンリーディングフレームを囲む27bpの2つの逆方向反復配列に隣接する(Langinら,1995;Genbank S75106)。好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のコード配列に機能的に連結された、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子の1.3kbのプロモーターと、該niaD遺伝子のプロモーター内に挿入されたインパラ160トランスポゾンとを含む。本発明の特に有利な実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドはpNiL160プラスミドを含む。これらの構築物を使用して、nia−真菌を形質転換し、インパラ因子の転位から得られた挿入突然変異体を、それらのnia+表現型に関して最少培地上で選択する。もう1つの好ましい実施形態においては、本発明のポリヌクレオチドは、ハイグロマイシンに耐性に関するhph遺伝子のコード配列に機能的に連結された、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のgpd遺伝子のプロモーターと、該gpd遺伝子のプロモーター内に挿入されたインパラ160トランスポゾンとを含む。これらのポリヌクレオチドを使用して、真菌を形質転換し、該インパラ因子の転位から得られたハイグロマイシン耐性挿入突然変異体を選択する。
【0019】
本発明の構築物および方法においては、任意のインパラトランスポゾンを使用することができる。「インパラトランスポゾン」なる語は修飾インパラトランスポゾンをも意味すると理解される。これらの修飾としては、特に、インパラトランスポゾン内へのマーカー遺伝子またはアクチベーター配列の挿入、または欠損インパラトランスポゾンを得るためのトランスポザーゼの不活性化が挙げられる。これらの修飾トランスポゾンの構築では、当業者によく知られた通常の分子生物学技術を用いる。
【0020】
本発明のポリヌクレオチドは、真菌の挿入突然変異体を得るために優先的に用いられる。遺伝子内へのインパラトランスポゾンの挿入は、一般には、この遺伝子の全体的または部分的不活性化を引き起こす。一方、アクチベーター配列を含むインパラトランスポゾンの使用は、過剰発現突然変異体を得ることを可能にする。したがって、該トランスポゾン修飾では、挿入突然変異誘発の種々の方法を用いることができる(Bancroftら,Mol.Gen.Genet.233:449−461,1992;BancroftおよびDeanら,Mol.Gen.Genet.240:65-67,1993;Longら,PNAS 90:10370−10374,1993)。
【0021】
したがって、本発明はまた、トランスポザーゼの機能に影響を及ぼすことなく転位性因子の2つのITRの間にマーカー遺伝子が挿入されて自律的標識因子を有することが可能となったインパラトランスポゾンを含む前記のポリヌクレオチドに関する。また、本発明の好ましい実施形態において該トランスポゾンを標識するためには、インパラトランスポゾンの切除を観察するために使用することが予想されるすべてのマーカー遺伝子を使用することができる。好ましくは、該マーカー遺伝子は、該トランスポザーゼをコードする配列の下流、かつ、左LTRの上流(NheI部位において)に挿入される。インパラトランスポゾン内へのマーカー遺伝子の挿入は、該挿入突然変異体の、より良好な選択を可能にする。別法として、トランケート化マーカー遺伝子をインパラトランスポゾン内に挿入することができる。プロモーターを欠くマーカー遺伝子の使用は、本発明のポリヌクレオチドをプロモータートラップとして使用することを可能にする。トランケート化プロモーターを含むマーカー遺伝子の使用は、本発明のポリヌクレオチドをアクチベーター配列用のトラップとして使用することを可能にする。
【0022】
最後に、本発明は、欠損インパラトランスポゾン(すなわち、特に、突然変異により、または欠失により、またはマーカー遺伝子の挿入により、またはマーカー遺伝子での置換により、インパラ因子のトランスポザーゼが不活性化されているトランスポゾン)を含む前記のポリヌクレオチドに関する。この欠損インパラ因子の転位は、本発明の挿入突然変異誘発においては、より容易に制御される。トランスポザーゼが不活性化された欠損インパラ因子の構築には、当業者に公知の通常の分子生物学技術(Sambrookら,1989)を用いる。本発明の1つの実施形態においては、インパラ因子のトランスポザーゼをコードするオープンリーディングフレームを、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であるプロモーターの制御下で発現されるマーカー遺伝子で置換する。該トランスポザーゼのコード配列は、例えば、真菌において機能的である異種プロモーターの制御下で発現される、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ビアラフォス耐性遺伝子またはGFP遺伝子で置換することができる。該欠損インパラトランスポゾンはこれらの挿入配列(ITR)を維持し、したがって、その転位は、例えば複製型プラスミド上に配置されたトランスポザーゼを利用してトランスで活性化されうる。
【0023】
本発明のポリヌクレオチドは、好ましくは、ベクター内に挿入される。このベクターは、例えば細菌などの宿主生物を形質転換するために及びこの宿主生物内で本発明のポリヌクレオチドを複製するために使用することができる。好ましくは、本発明のポリヌクレオチドは、真菌を形質転換するためにベクター内に挿入される。これらのベクターは、これらのポリヌクレオチドを複製するために又は該ポリヌクレオチドを真菌のゲノム内に組込むために使用される。ポリヌクレオチドの複製および宿主生物内へのその組込みを可能にするベクターは、当業者によく知られている。
【0024】
挿入突然変異誘発および遺伝的標識
本発明はまた、真菌の挿入突然変異体を製造するための及びこれらの真菌のゲノムを研究するための、前記のポリヌクレオチドの用途に関する。
【0025】
したがって、本発明の対象はまた、真菌の挿入突然変異体の製造方法であって、
・マーカー遺伝子のインパラトランスポゾンの切除および該真菌のゲノム内へのその再挿入を可能にする条件下、インパラトランスポゾンの挿入により不活性化された該マーカー遺伝子を含む本発明のポリヌクレオチドで該真菌を形質転換し、
・該マーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を同定する工程を含んでなる製造方法である。
【0026】
本発明の方法においては、該インパラトランスポゾンを修飾すること、特に、マーカー遺伝子または活性化配列の挿入によりそれを修飾することが可能であると理解される。好ましい実施形態においては、該インパラトランスポゾンは、マーカー遺伝子を含み、それらの2つのマーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を選択する。
【0027】
本発明のポリヌクレオチドで任意の真菌を形質転換して、この真菌の挿入突然変異体を製造することができる。特に、子嚢菌類、担子菌類および卵菌類が挙げられる。好ましくは、本発明は、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボトリチス(Botrytis)、クラドスポリウム(Cladosporium)、クラビセプス(Claviceps)、コレトトリチュム(Colletotrichum)、ウドンコ病菌(Erysiphe)、フザリウム(Fusarium)、コタマカビ(Mycosphaerella)、エキビョウキン(Phytophthora)、シュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella)、ピレノフォラ(Pyrenophora)、リンコスポリウム(Rhynchosporium)、スクレロティニイア(Sclerotinia)、スタゴノスポラ(Stagonospora)、ベンツリア(Venturia)およびウスチラゴ(Ustilago)属の真菌に関する。また、ゲウマンノマイセス(Gaeumannomyces)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、プシニア(Puccinia)およびリゾクトニア(Rhizoctonia)属の真菌が挙げられる。好ましくは、本発明は、マグナポルセ(Magnaporthe)およびペニシリウム(Penicillium)属の真菌に関する。より好ましくは、本発明は、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、ボトリチス・シネレア(Botryis cinerea)、エリシフェ・グラミニス(Erysiphe graminis)、ミコスフェレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)およびスタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)種の真菌に関する。より一層好ましくは、本発明はマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)に関する。
【0028】
真菌を形質転換するための技術は当業者によく知られている。特に、PEGを使用するプロトプラストの形質転換、エレクトロポレーション、アグロバクテリウム(Agrobacterium)での形質転換(De Grootら,Nature Biotechnology 16:839−842,1998)またはパーティクル銃を使用する射撃の方法(Chaureら,Nature Biotechnology 18:205−207,2000)が挙げられる。
【0029】
ついで、インパラ因子の転位から生じた挿入突然変異体を同定または選択するために、マーカー遺伝子の発現に関して形質転換体をスクリーニングする。本発明のポリヌクレオチドのマーカー遺伝子は、表現型スクリーニングにより挿入突然変異体を同定または選択することを可能にする。例えば、このスクリーニングは、抗生物質に対する耐性、化合物に対する耐性、またはレポーター遺伝子の発現レベルの測定によるものでありうる。種々のマーカー遺伝子が、前記において更に詳しく説明されている。nia−真菌におけるマーカー遺伝子としてniaD遺伝子を使用する場合には、唯一の窒素源としてNaNO3を含有する最少培地上で、該挿入突然変異体を、それらの密集性かつ気生性の外観により選択する。
【0030】
このようにして得られた挿入突然変異体を分析するためには、新たな転位を避けるためにトランスポゾンを安定化させるのが有利かもしれない。該転位因子の転位率に近い又はそれ未満の相補点(complement)において該突然変異体を試験する場合には、該トランスポゾンの新たな再挿入のこの制御は無視されうる。該トランスポゾンの切除を制御するために、2成分系を調製することができる(Hun−Van,1998;KempkenおよびKuck,1998)。後者は、トランスポザーゼが特に突然変異により又は欠失により又はマーカー遺伝子での置換により不活性化された欠損インパラ因子の構築を含む。この場合、該欠損インパラトランスポゾンは、発現が厳密に制御されており該インパラ因子の安定化を可能にするトランスポザーゼを用いて可動される。
【0031】
したがって、本発明の対象はまた、真菌の挿入突然変異体の製造方法であって、
・欠損インパラトランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含む本発明のポリヌクレオチドで該真菌を形質転換し、
・該欠損インパラトランスポゾンの切除、該真菌のゲノムにおけるその再挿入およびその安定化を可能にする条件下、発現が制御されたトランスポザーゼを用いて、該欠損インパラトランスポゾンを可動させ、
・該マーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を同定する工程を含んでなる製造方法である。
【0032】
真菌におけるインパラ因子トランスポザーゼ遺伝子などの遺伝子の発現の制御を可能にする方法は、当業者によく知られている。特定の実施形態においては、該真菌を2つのポリヌクレオチドで形質転換する。その第1ポリヌクレオチドは該欠損インパラトランスポゾンを含み、第2ポリヌクレオチドは、インパラ因子トランスポザーゼのコード配列を、それ自身のプロモーターの制御下または異種プロモーターの制御下で含む。該トランスポザーゼのコード配列は、複製型プラスミド上または組込みプラスミド上に配置することができる。該トランスポザーゼの発現を制御するために、後者を、誘導プロモーターの制御下に配置することができる。該トランスポザーゼの発現の誘導は、該欠損インパラ因子の転位および挿入突然変異体の調製を可能にし、ついで、該トランスポザーゼがもはや発現されなくなった際に該トランスポゾンは安定化される。本発明の方法においては、真菌において機能的である任意の誘導プロモーターを使用することができる。特に、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来の硝酸レダクターゼ遺伝子のプロモーターを使用することができる。特に、このプロモーターは、唯一の窒素源としての硝酸塩の存在下の最少培地上でのnia遺伝子の発現を可能にし、一方、この遺伝子の発現は、アンモニウムの存在下では完全に抑制される(LauおよびHammer,1996)。あるいは、該トランスポザーゼを、例えば、選択マーカーを保持する複製型プラスミド(このプラスミドは、選択圧が存在しない場合には維持されない)上に配置する。この場合、該トランスポザーゼは、構成プロモーターまたはそれ自身のプロモーターの制御下で発現されうる。選択圧の存在下、該複製型プラスミドの維持は該トランスポザーゼの発現を可能にし、今度はこれが、インパラ因子の転位および挿入突然変異体の産生を可能にする。複製型プラスミドの維持を可能にする選択圧の不存在下では、該トランスポザーゼは失われ、該トランスポゾンは該突然変異体内で安定化される。そのようなプラスミドの製造に必要な手段は当業者によく知られている。例えば、該トランスポザーゼを、ポドスポラ(Podospora)由来のテロメア末端を含有するpFAC1複製型ベクター(Barreauら,1998)内に配置することができる。
【0033】
挿入突然変異誘発は、関心のある新規遺伝子を同定するための及びそれらの機能を研究するための非常に有効な手段である。好ましい実施形態においては、挿入突然変異体のコレクションを、関心のある表現型に関してスクリーニングする。本発明の挿入突然変異体においては、任意の検出可能な表現型が探索されうる。特に、真菌の生物学、生理学、発生および生化学に関する表現型が挙げられる。好ましくは、病原性真菌の挿入突然変異体が調製され、これらの突然変異体において探索される表現型はこれらの真菌の病原性に関するものである。該表現型スクリーニングは、該真菌の直接的観察、酵素活性の測定、殺真菌剤に対する感受性の測定、または該真菌のビルレンスの研究に基づくものでありうる。関心のある表現型を有する挿入突然変異体を同定したら、インパラトランスポゾンが内部に又は近傍に挿入された遺伝子を単離する。該インパラ因子の挿入によりこのようにして標識された関心のある遺伝子は、当業者によく知られた分子生物学的技術を用いて単離する。用いる技術としては、特に、ポリヌクレオチドの一方の末端の配列のみが既知の場合に該ポリヌクレオチドの増幅を可能にする増幅技術が挙げられる(この場合、該トランスポゾンの配列は該ゲノム内に組込まれる)。これらの技術には、特に、逆PCR(Ochmannら,Genetics,120:621−623,1988;Williams,Biotechniques 7:762−769,1989)、ベクトレットPCR(ArnoldおよびHodgson,PCR Methods Appl.1:39−42,1991)およびパンハンドル(panhandle)PCR(Jones and Winistorfer,PCR Methods Appl.2:197−203,1993)が含まれる。これらの技術は、真菌のゲノム内のインパラトランスポゾンに隣接する配列の増幅、クローニングおよび配列決定を可能にする。ついでこれらの隣接配列を使用して、該トランスポゾンの挿入により不活性化された全遺伝子を単離する。
【0034】
したがって、本発明は、真菌における検出可能な表現型に関連した遺伝子の同定方法であって、
・前記の製造方法の1つに従い、該真菌のゲノム内にインパラトランスポゾンを挿入することにより、挿入突然変異体を製造し、
・この検出可能な表現型を有する少なくとも1つの挿入突然変異体を選択し、
・該インパラトランスポゾンが内部に又は近傍に挿入された遺伝子を単離する工程を含んでなる方法に関する。
【0035】
宿主生物
本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドで形質転換された宿主生物に関する。本発明における「宿主生物」なる語は、特に、任意の単細胞生物または多細胞生物(これは下等または高等生物でありうる)を意味し、特に、細菌および真菌から選ばれると意図される。該細菌は大腸菌(Escherichia coli)から選ばれるのが好都合である。好ましい実施形態においては、本発明は、本発明のポリヌクレオチドで形質転換された真菌に関する。好ましくは、該真菌は、子嚢菌類、担子菌類および卵菌類から選ばれる。好ましくは、該真菌は、アルテルナリア(Alternaria)、アスペルギルス(Aspergillus)、ボトリチス(Botrytis)、クラドスポリウム(Cladosporium)、クラビセプス(Claviceps)、コレトトリチュム(Colletotrichum)、ウドンコ病菌(Erysiphe)、フザリウム(Fusarium)、コタマカビ(Mycosphaerella)、エキビョウキン(Phytophthora)、シュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella)、ピレノフォラ(Pyrenophora)、リンコスポリウム(Rhynchosporium)、スクレロティニイア(Sclerotinia)、スタゴノスポラ(Stagonospora)、ベンツリア(Venturia)およびウスチラゴ(Ustilago)属の真菌から選ばれる。また、ゲウマンノマイセス(Gaeumannomyces)、ヘルミントスポリウム(Helminthosporium)、プシニア(Puccinia)およびリゾクトニア(Rhizoctonia)属の真菌が挙げられる。好ましくは、該真菌は、マグナポルセ(Magnaporthe)およびペニシリウム(Penicillium)から選ばれる。より好ましくは、該真菌は、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、ボトリチス・シネレア(Botryis cinerea)、エリシフェ・グラミニス(Erysiphe graminis)、ミコスフェレラ・グラミニコラ(Mycosphaerella graminicola)、ペニシリウム・ペニシリウム・フニクロサム(Penicillium funiculosum)およびスタゴノスポラ・ノドラム(Stagonospora nodorum)種から選ばれる。特に有利な態様においては、該宿主生物はマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)である。
【0036】
該ポリヌクレオチドは、該真菌のゲノム内に組込まれたり、あるいは複製型プラスミド上に配置されうる。したがって、本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドがゲノム内に組込まれた真菌に関する。本発明はまた、該インパラトランスポゾンがゲノム内に組込まれたマグナポルセ(Magnaporthe)またはペニシリウム(Penicillium)属の真菌から選ばれる糸状菌の挿入突然変異体に関する。
【0037】
該真菌のゲノム内へのインパラの再挿入は、この真菌の挿入突然変異体のコレクションの生成を可能にする。このようにして得られた突然変異体を、糸状菌のゲノムの研究に使用することができる。
【0038】
後記実施例は、本発明を例示しうるが、本発明の範囲を限定するものではない。これらの後記実施例に記載の方法または操作は、例示として記載されており、同じ結果を得るために利用されうる種々の方法から選ばれる1つの選択肢に相当する。この選択肢は、結果の質に関連したものではなく、そのため、当業者は、同じ結果を得るために任意の適当な方法を用いることができる。DNA断片を操作するための方法のほとんどは、“Current Protocols in Molecular Biology” 第1巻および第2巻,Ausubel F.M.ら又はSambrookら,1989に記載されている。
【0039】
(図面の記載)
図1:pNi160プラスミドのマッピング。
【0040】
図2:pNiL160プラスミド(A)およびpAN301プラスミド(B)の、それを構築するために用いたマッピング。
【0041】
図3:pNi160およびpCB1179ベクターを使用してBamHI REMIにより得られた同時形質転換体の分子分析。該同時形質転換体DNAを抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより該DNA断片が示される。
【0042】
図4:nia+復帰突然変異体C14−1およびC14−2の分子分析。該復帰突然変異体DNAを抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、サザンハイブリダイゼーションにより該DNA断片が示される。
【0043】
A:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する(レーン1)またはインパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する(レーン2)放射性プローブを使用したC14−1復帰突然変異体の分析。
【0044】
B:nia+単胞子を単離することにより精製された後のC14−1およびC14−2復帰突然変異体の分析。C14−1復帰突然変異体(レーン3および4)およびC14−2復帰突然変異体(レーン5および6)のプロフィールをC14nia−同時形質転換体由来のプロフィール(レーン1および2)と比較する。使用したプローブは、インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する。
【0045】
図5:pNiL160ベクターを保持する2つの同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。該同時形質転換体DNAを抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、A:インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、B:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。レーン1:同時形質転換体8のDNA;レーン2〜7:同時形質転換体8の復帰突然変異体のDNA;レーン8:同時形質転換体6のDNA;レーン9〜11:同時形質転換体6の復帰突然変異体のDNA。
【0046】
図6:非病原性復帰突然変異体Rev77におけるインパラの挿入により遮断されたORFの概要図。
【0047】
図7:pCITnプラスミドのマッピング。
【0048】
図8:pNiHYG構築物を保持する2つの同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。3つの別個の復帰突然変異体のDNA(レーン1〜3)を抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、A:インパラトランスポザーゼをコードするORFに相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、B:pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。星印の位置は転位性因子の再挿入を示す。
【0049】
図9:pHINプラスミドのマッピング。
【0050】
図10:pEO6プラスミドのマッピング。
【0051】
図11:pHNiLプラスミドのマッピング。
【0052】
図12:pBNiLプラスミドのマッピング。
【0053】
図13:pFACImpプラスミドのマッピング。
【0054】
図14:該2成分系を用いた形質転換後に得られたD1同時形質転換体に由来するnia+復帰突然変異体の分子分析。該復帰突然変異体DNA(レーン1〜4)のDNAを抽出し、EcoRIで消化し、1×TAEバッファー中の1%アガロースゲル上にローディングする(5μg/レーン)。泳動およびポジティブナイロンメンブレン上へのトランスファーの後、hph遺伝子から増幅された断片に相当する放射性プローブに対するサザンハイブリダイゼーションにより、該DNA断片が示される。
【0055】
(実施例)
【実施例1】
【0056】
実施例I
インパラの自律性コピーでの挿入突然変異誘発
1.入手可能な構築物
pNi160プラスミドは、ATGコドンから10pbの位置に、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のプロモーター領域内に組込まれたインパラ160のコピーを含有する。その構築物は、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の硝酸レダクターゼ遺伝子(Daboussiら,1992)を含有するpAN301プラスミド(Malardierら,1989)で形質転換されたフザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)のF24株において得られたトランスポゾン捕捉に由来する。niaD遺伝子の自然突然変異の選択は、pAN301の単一のコピーを保持するTR7形質転換体における1.3kbの挿入の特徴づけを可能にする。この挿入は、pAN301の2.7kb EcoRI−EcoRI領域内に存在し、その効果は、4kbのEcoRI断片の生成にある。部分ゲノムライブラリーを構築し、pAN301由来の2.7kb EcoRI断片でスクリーニングした後(Langinら,1995)、この断片をpUC19のEcoRI部位にクローニングした。それと平行して、該niaD遺伝子の下流に位置する7.8kb NdeI断片、そしてまた、該niaD遺伝子のプロモーターの大部分に相当する1kb EcoRI−BamHI断片を欠失させることにより、p11ΔNdeIプラスミドをpAN301から構築した(Langinら,1990)。インパラ160因子および硝酸レダクターゼの2.7kbの断片を含む4kbの断片で、p11ΔNdeI中に存在する2.7kb EcoRI断片を置換することにより、この場合は0.3kb長であるniaD遺伝子のプロモーター領域内に該因子が挿入されたpNi160プラスミドが得られうる(図1)。
【0057】
2.調製した構築物
pNiL160プラスミドは、pAN301中に存在するniaD遺伝子のプロモーターの1kbの断片の付加によりpNi160プラスミドから誘導される。これを行なうために、1.3kbのniaDプロモーターを含有するpAN301プラスミドを、この遺伝子の下流に存在する7.8kbのNdeI断片から欠失させて、中間体プラスミドpAN301ΔNdeIを得た。ついで、その1kbのBamHI−ApaI断片を、該1kbの断片と同じniaD遺伝子部分とインパラ160因子とを含有しpNi160プラスミドに由来する2.3kbのBamHi−ApaI断片で置換した(図2)。
【0058】
3.マグナポルセ・グリセアの形質転換
マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)のG11.174株は、nia−表現型をもたらす硝酸レダクターゼ遺伝子内の点突然変異を有する。この株の製造は、Daboussiら,1989の文献に記載されている。それを、米粉に基づく固形培地上で継代培養し、それにより、該真菌から分生子が収穫されうる。Tanaka(Ouら,1985)の培地Bに基づき調製したTNKYE液体培地は、Sweigardら(1990)およびSweigardら(1992)に記載のプロトコールに従いゲノムDNAを抽出するための又はプロトプラストを得るための菌糸の収穫を可能にしうる。酵母エキスを欠くTNK寒天培地(超高純度アガロース、8g.1−1)(MNO3培地)は、nia+ G11.25株からnia− G11.174株を識別するのを可能にする。前者は、低く平らで糸状の表現型を有するが、後者は密集性かつ気生性である。
【0059】
3.1 pNi160プラスミドでの形質転換
G11.174株のプロトプラストを、pNi160プラスミド(インパラ160を導入するもの)と、ハイグロマイシン耐性を付与するpCB1179プラスミド(Sweigardら,1997)とで同時形質転換した。該形質転換方法はSweigardら,1992に記載されており、4単位のBamHI酵素(REMI:制限酵素媒介組込み;Sweigardら,1998)および1μgの各プラスミドの存在下で行なった。該プロトプラストは、グルコースがスクロース(400μg.1−1)で置換され240μg.1−1の比率のハイグロマイシンで補足されたTNKYE培地上で選択される。該同時形質転換体を選択するために、この抗生物質に耐性なコロニーを、それらのゲノムDNAの抽出後、インパラトランスポゾンに特異的であり573bpの増幅産物を与えるSPE5(5’AGAACACAACCCTGCCACGG3’)およびSPE3(5’TCCGGGCCGTATGCACAGAG3’)プライマーを使用する増幅により分析した。該同時形質転換体DNAをEcoRIで消化し、pAN301中に存在するniaD遺伝子の2.7kb EcoRI断片(2.7kbプローブ)をプローブとして使用するサザンブロット(図3)で分析した(Malardierら,1989)。この研究は、pNi160を介して導入されたアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の実質的にすべてのnia遺伝子に相当する少なくとも1つの4kbバンドを有する35個の形質転換体の選択を可能にした。これらの同時形質転換体を、米粉に基づく固形培地上で10〜14日培養し、該胞子を水中に収穫した。計数後、それらを、ディッシュ当たり胞子105〜106個の比率でMNO3寒天培地上に播いた。nia+復帰形質転換体を選択するためのこの工程を再現する実験を行なった。こうして、本発明者らは、野生型(G11.25)胞子10個をnia− G11.174突然変異体の胞子106と混合し26℃で14日間インキュベートした場合に、該MNO3培地がnia+コロニーの検出を可能にすることを観察した。26℃で1ヵ月培養した後、1個の同時形質転換体(同時形質転換体C14)だけが、気生性表現型を有する2個のコロニー(C14−1およびC14−2)を得ることを可能にした。これらの復帰突然変異体コロニーを回収し、niaD遺伝子のプロモーター内のインパラ160挿入部位を囲むC1(5’CGCTGCGAATTCTTCAGT3’)およびniaX(5’CTAGACTTAGAACCTCGG3’)プライマーを使用するPCRにより分析した。200bpの産物の増幅は、該トランスポゾンの切除が生じた核の存在を示している。均一なコロニーを得るために、C14−1およびC14−2復帰突然変異体の分生子を双眼顕微鏡下で単離し、別々に培養した。インパラのORFに相当するプローブを使用したサザンブロットによるその分析により、それらの2つの復帰突然変異体における該因子の再挿入が示されうる(図4)。pGEM−Tイージーベクター(Promega)内に200bpのPCR産物をクローニングした後、該トランスポゾンの切除により残されたフットプリントを配列決定した。C14−1復帰突然変異体のフットプリントはCTGTAであり、C14−2のフットプリントはCAGTAである。これらのフットプリントは、フザリウム・オキシスポラム(Fusarium oxysporum)においてインパラが切除された場合にごく一般的に残されるフットプリント(Langinら,1995)と同一である。MNO3寒天培地上での培養においては、これらの復帰突然変異体は、G11.174株とG11.25株との間の中間的な表現型を有し、このことは、pNi160構築物中に存在するniaD遺伝子がG11.174株の突然変異の最適な相補を許容しないことを示唆している。この仮定を試験するために、この株由来のプロトプラストを、pCB1179(3μg)の存在下および1.3kbのプロモーターの制御下でniaD遺伝子を含有するpAN301ΔNdeI(3μg)ベクターまたはpAN301(3μg)ベクターで形質転換した。グルコースがスクロース(400μg.l−1)で置換されハイグロマイシン(240μg.ml−1)で補足されたMNO3培地上で該プロトプラストをプレーティングし、30℃で10日間インキュベートした後、nia+表現型を有するコロニーが出現する。一方、0.3kbのプロモーター断片の制御下(pNi160の場合と同様)でniaD遺伝子を含有するp11ΔNdeIベクターを使用した場合には、相補性は認められなかった。
【0060】
これらの実験は、pNi160中に存在するトランケート化プロモーターがG11.174株の突然変異を相補しえないことを示している。この構築物での2つの復帰突然変異体(C14−1およびC14−2)の選択は、該0.3kb プロモーター断片の固有活性によるものではなく、C14同時形質転換体においては、アクチベーター配列から利益が得られる領域内にniaD遺伝子が挿入されたと考えられるのではないかと説明されうる。このことは、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)のゲノム内のアクチベーター領域を検出するためにp11ΔNdeIを使用しうることを示唆している。
【0061】
3.2 pNiL160(本発明のもの)での形質転換
G11.174株由来のプロトプラストを、40単位のNdeI酵素の存在下、1.3kbの全プロモーターの制御下でniaD遺伝子を含有する新規構築物pNiL160(1μg)およびpCB1179(1μg)で同時形質転換した。該同時形質転換体を、SPE5およびSPE3プライマーを使用する増幅によりスクリーニングし、ついで米培地上に播いて分生子を得た。復帰突然変異体を同定するために、後者をMNO3培地(ディッシュ当たり胞子約105〜106個)上でプレーティングした。19個の同時形質転換体に関して行なった実験は、それらの場合の100%において復帰突然変異体を得ることを可能にした。いくつかは、26℃で10日の培養から生じた。復帰突然変異体の数は、考慮される同時形質転換体に応じて2〜83の様々な数となる。8個の異なる同時形質転換体に属する53個の復帰突然変異体を、インパラの全コード領域に相当するプローブを使用するサザンブロットにより分析した。図5は、9個の無作為に選ばれた復帰突然変異体におけるインパラトランスポゾンの移動度を示す。この実験から得られたエム・グリセア(M.grisea)におけるインパラ再挿入の割合(%)は74%に達する。これらの再挿入体のうち、それらの95%は異なる。より詳しくは、再挿入体のすべてが異なる100%の再挿入を与える同時形質転換体を同定した。
【0062】
これらの結果は、pNiL160構築物が、pNi160とは異なり、該トランスポゾンの新規挿入を有する多数の復帰突然変異体がマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において選択されることを可能にすることを示している。
【実施例2】
【0063】
実施例II
マグナポルセ・グリセアにおける挿入突然変異体の製造
pNLi160プラスミドの単一のコピーを保持する同時形質転換体6(CTRF6)から得られた18個のnia+復帰突然変異体のサザンブロット分析は、それらの100%が、該ゲノム内に再挿入されたインパラを有することを示した。350個のnia+復帰突然変異体のコレクションを得るために、この同時形質転換体を選択した。該同時形質転換体を米培地上で14日間培養する。該胞子を、ペトリ皿当たり3mlの蒸留水中に収穫し、菌糸残渣の除去のために半融ガラス上で濾過して、ディッシュ(12×12cmの形態)当たり胞子106個の比率でNaNO3培地上にプレーティングする。該ディッシュを26℃でインキュベートする。16〜21日後にnia+復帰突然変異体が出現する。それらをNaNO3培地上で継代培養し、14日間培養し、該胞子を寒天−水培地(H20中の2%アガロース)上にプレーティングする。26℃で8時間後、各復帰突然変異体からの1個の胞子を個々にNaNO3培地上で継代培養して、該復帰突然変異体を精製し、そのnia+表現型を確認する。
【実施例3】
【0064】
実施例III
インパラトランスポゾンを保持する挿入突然変異体の特徴づけ
CTRF6から生成した350個の復帰突然変異体の観察は、CTRF6ほどには有意でない成長および該同時形質転換体の灰色とは異なる暗褐色を米培地およびNaNO3培地上で示す復帰突然変異体(Rev2)の検出を可能にした。インパラ挿入に隣接する配列を特徴づけるために、3μgのRev2ゲノムDNAをHindIIIで消化し、逆PCRにより分析した。消化後、該DNAをフェノール/クロロホルム抽出工程に付し、ついで7.5M酢酸アンモニウムで沈殿させる。このようにして得られたペレットを40μlのMilliQ水中に採取する。8μlの消化DNA上で連結を行ない、該DNAを、前記のとおりに、フェノール/クロロホルム抽出に付し、7.5M酢酸アンモニウムで沈殿させる。該DNAを10μl中に採取し、それらのすべてを、インパラトランスポゾンの配列上で選択される及び発散的に位置するImpE5’(5’GGCATTGAAAACGCGGTCCC3’)およびImpE3’(5’CAGCAGCAAAACAGCTGCCC3’)プライマーを使用するPCR工程に使用する。該IPCR産物の配列決定は、オープンリーディングフレーム内の重複したTAジヌクレオチドにおいて該トランスポゾンが挿入されうことを示すことを可能にした。tblastxプログラム(Altschulら,1990)を使用してデータバンクを調べることにより、この突然変異配列とDNA修復に関与するタンパク質ファミリーとの間で、さらに詳しくは、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のMLH1タンパク質(Prollaら,1994)に対して、非常に強い相同性が示された。
【0065】
それと平行して、病原性突然変異体に関して探索するために、該コレクションの350個の復帰突然変異体を米葉および大麦葉上で試験した。該復帰突然変異体を米培地上で14日間培養する。生成した胞子を、3mlの水の存在下、菌糸を擦り取ることにより収穫し、ついでThomasセル下で計数する。該胞子懸濁液を105胞子/mlにまで調節し、キネチン(エタノール中の2mg/mlのストック溶液の1ml/l)で補足された寒天培地(1%寒天)上に生存条件中で配置された数片の米(品種Sariceltik)の葉および大麦(品種Express)の葉上に、原綿の芽(cotton wool bud)を使用して塗布する。26℃で4日間インキュベートした後、該徴候を、野生型G11.174株で生じた徴候と比較する。復帰突然変異体77は非病原性であることが判明した。この突然変異体中のインパラ挿入に隣接した配列を、BamHIでの該ゲノムDNAの消化の後、前記の条件下、逆PCRにより回収した。回収された産物は、この場合もまた、オープンリーディングフレーム内に位置する重複したTAジヌクレオチドにおける該トランスポゾンの挿入を証明した。この産物の配列で該データバンクを調べたところ、有意な相同性は示されなかった。この産物を使用して、エム・グリセエア(M.grisea)コスミドライブラリーをプローブした。該増幅産物にハイブリダイズするコスミドをクローニングし、マッピングし、部分的に配列決定した。したがって、考慮するリーディングフレームに応じて2つの潜在的ORF(ORF1およびORF2)内にインパラトランスポゾンは挿入されるらしい(図6)。このコスミドのSalI/NotI断片を、ビアロフォス耐性を付与するBar遺伝子を保持するpCB1531ベクター(pCB1531*ベクター)(Sweigardら,1997)内にサブクローニングした。Rev77プロトプラストを得、3μgのpCB1531*プラスミドまたは対照としての3μgのpCB1531プラスミドで形質転換し、ビアロフォス(30〜40μg.ml−1)で補足されたTNKYEショ糖(400g.1−1)培地上に配置した。該耐性コロニーを、ビアラフォス(30μg.ml−1)で補足されたTNKYEグルコース上で培養し、米培地上で14日間、胞子形成させる。該胞子を収穫し、該懸濁液を胞子105個.ml−1で補正し、ついで、前記のとおりにそれらの病原性に関して試験する。予想どおり、pCB1531を保持する形質転換体は、Rev77と同様に、非病原性のままであり、一方、pCB1531*を保持するコロニーは再び病原性となる。これらの結果は、インパラトランスポゾンが、エム・グリセア(M.grisea)の感染力に関与する遺伝子を標識することを可能にしたことを示している。
【実施例4】
【0066】
実施例IV
gpd遺伝子のプロモーター内へのインパラトランスポゾンの組込み
ハイグロマイシンに対する耐性に関する遺伝子(hph)の発現を制御するプロモーター内へのインパラのクローニングを可能にするプラスミドを構築した。pAN7.1ベクター(Puntら,1987)のBglII−HindIII二重消化は、gpd遺伝子のその137塩基対から欠失したプロモーターおよびTrpC遺伝子のターミネーターおよびhph遺伝子のコード領域をコードする全ORFを含有する3988bp断片の遊離を可能にする。この断片の付着末端を、DNAポリメラーゼの作用により平滑末端内に形質転換した。ついでこの断片を、pBluescript SK−プラスミドに由来し複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を保持する2.5kbのPvuII断片に連結した。それから得られたプラスミドは、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において、ハイグロマイシン耐性形質転換体を得ることを可能にする。pCITn(図7)として公知のこのベクターは、インパラまたは他の任意のトランスポゾンがクローニングされうる、転写+1点の30bp上流に位置する唯一のPvuII部位を有する。
【実施例5】
【0067】
実施例V
自律的および標識コピーでの挿入突然変異誘発
インパラトランスポゾンが再挿入された復帰突然変異体を表現型スクリーニングにより選択するのを可能にする自律的因子を得るために、トランスポザーゼをコードするリーディングフレームの終結コドンの下流の該因子の2つのITRの間にハイグロマイシン耐性遺伝子をクローニングした。これを行なうために、該ハイグロマイシン耐性カセットを、SalI消化によりpCB1004プラスミド(Sweigardら,1997)から回収し、該末端をクレノウでの処理により平滑化した。このカセットを、NheI部位で線状化されクレノウで処理されたpNi160プラスミドに連結する。得られたプラスミドをBamHIおよびApaI酵素で消化する。修飾されたインパラトランスポゾンを含有する2285bpの断片を回収し、これらの同じ酵素で消化されたpAN301ΔNdeIの7397bpの断片に連結する。これは、niaDの転写の方向(pNiHYGプラスミド)または逆方向(pNiGYHプラスミド)に挿入された、ハイグロマイシン耐性カセットで標識されたインパラトランスポゾンが硝酸レダクターゼ開始コドンの8bp上流に挿入された1.3kb長のniaDプロモーターを保持する9682bpのプラスミドを与える。
【0068】
エム・グリセア(M.grisea)のG11.174株由来のプロトプラストを3μgのpNiHYGプラスミドまたは3μgのpNiGYHプラスミドで形質転換した。これらの形質転換体について、既に記載されている条件下でnia+復帰突然変異体の選択を行なった。サザンブロットによる同じ同時形質転換体の3個のnia+復帰突然変異体の分析は、このようにして標識されたインパラトランスポゾンが自律性のままであること、すなわち、それが、niaD遺伝子から独立して存在し該ゲノム内に再挿入されうることを示している(図8)。
【実施例6】
【0069】
実施例VI
インパラの欠損および可動性コピーでの挿入突然変異誘発
2成分突然変異誘発系を利用するためには、該転位性因子がトランスで活性化されうることを示すことが必要である。このためには、まず、該トランスポザーゼを構成的プロモーターの制御下に配置する。ついで、該欠損因子の安定化は、構成的プロモーターまたはそれ自体のプロモーターの制御下でトランスポザーゼを保持する複製型プラスミドまたはトランスポザーゼの発現を制御する誘導プロモーターの使用を要する。硝酸レダクターゼをコードするマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)遺伝子のプロモーターの、誘導プロモーターとしての使用が特に示されているようである。LauおよびHamer(1996)は、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来の硝酸レダクターゼ遺伝子を含有するクローンに相当するプローブを使用するノーザンハイブリダイゼーションにより、それが、唯一の窒素源としての硝酸塩の存在下では発現され、一方、それがグルタミンの存在下では完全に抑制されることを示している。マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)由来のnia遺伝子のプロモーターの制御下にインパラトランスポザーゼを配置することにより、該酵素が合成され、ついで、該欠損因子が、該復帰突然変異体の選択のための条件下(MNO3培地)で切除され、豊富な培地(アンモニウムまたはグルタミンの存在下)上でそれを培養した場合に該復帰突然変異体が得られたら、その産生が抑制されうるはずである。
【0070】
1.入手可能な構築物
pHINプラスミドはpNi160から誘導される。そのプラスミドにおいては、インパラ因子にコードされたトランスポザーゼが、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のTrpC遺伝子の制御下のハイグロマイシン耐性遺伝子(hph遺伝子)で置換されている。その構築はHua−Van,1998に記載されている。該トランスポゾンのITR中のhph遺伝子の存在は、得られた復帰突然変異体のゲノム内への該欠損因子の組込みを保証しうる。
【0071】
pEO6プラスミドは、NcoI部位を含有するプライマーを使用するPCRにより得られたインパラトランスポザーゼをコードするORFで、β−グルクロニダーゼをコードするORFを置換した後に、pNOM102プラスミドから誘導される。このプラスミドは、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の構成的gpdプロモーターおよびTrpCターミネーターの制御下でのトランスポザーゼの発現を可能にする(図10)。
【0072】
2.調製する構築物
pHNiLプラスミドはpHINプラスミドから誘導される。それは、hphで標識された欠損インパラコピーを導入するpHIN由来の2.8kb BamHI−ApaI断片でpAN301ΔNdeIの1kb BamHI−ApaI断片を置換することにより構築した。pNiL160の場合と同様に、硝酸レダクターゼ遺伝子(niaD)は、その1.3kb長のプロモーターの制御下にある(図11)。本発明者らの結果によれば、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)における硝酸レダクターゼ活性を回復させることにより該欠損因子の切除を選択するためにはこのプラスミドを構築することが必要である。
【0073】
また、pBNiLプラスミドは、この場合にはBar遺伝子で標識された欠損因子を含有する。このベクターを構築するためには、niaD遺伝子の配列に隣接するインパラトランスポゾンを含有するpNiL160のBamHI/NcoI断片(2472bp)を、pUC19のBamHI/AflIII断片(2298bp)であって該プラスミドの複製起点とアンピシリン耐性遺伝子とを保持するものに連結する。インパラトランスポザーゼの一部に対応する891bpの XhoI/StyI断片をこのプラスミド上で欠失させる。このようにして線状化された該プラスミドの末端をクレノウで平滑化し、pCB1635プラスミド(Sweigardら,1997)のSalI消化およびクレノウにより得られたビアラフォス耐性遺伝子(Trpcプロモーター::Bar,940bp)に連結する。それから得られたプラスミドをBamHIおよびApaIで消化し、pAN301ΔNdeIプラスミドの7397bpのBamHI/ApaI断片に連結する。これにより、該トランスポゾンが欠損性でありBar遺伝子で標識されておりniaD遺伝子のプロモーター(1.3kb)内に挿入されたpBNiLプラスミドが得られる(図12)。
【0074】
pFACImpプラスミドはインパラトランスポゾンをその右ITR内に保持しており、それはもはや転位できず該トランスポザーゼ源のままである。該因子をEcoRI/NheI二重消化によりpNi160プラスミドから切除し、該末端をクレノウで平滑化し、該断片をpFAC1のBglII部位においてクローニングする(図13)。
【0075】
3.マグナポルセ・グリセアにおけるこれらのプラスミドの用途
マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)G11.174由来のプロトプラストをpHNiLプラスミドで形質転換するか、またはpHNiLおよびpEO6プラスミドで同時形質転換した。該形質転換方法はSweigardら(1992)に記載されており、1μgの各プラスミドで行なった。該プロトプラストを、グルコースがスクロース(400μg.1−1)で置換され240μg.ml−1の比率でハイグロマイシンで補足されたTNKYE培地上で選択する。該pHNiL形質転換体を、該欠損因子中の該耐性マーカーの存在に基づき直接的に選択する。該同時形質転換体を、それらのゲノムDNAの抽出後、IV.3に記載のSPE5プライマーを使用する増幅によりハイグロマイシン耐性コロニーから単離する。12個のハイグロマイシン耐性コロニー上で行なったこの研究は、pEO6を同様に保持する4個のコロニーの単離を可能にした。米粉に基づく固形培地上での胞子形成後、IV.3に記載のとおりにnia+復帰突然変異体を選択するために、これらの同時形質転換体の及びpHNiLを保持する6個の形質転換体の胞子(105〜106個)をMNO3培地上でプレーティングした。pHNiLを保持する6個の形質転換体はいずれも、そのような復帰突然変異体を与えなかった。これは、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)に内因性のインパラの欠損コピーが、トランスポゾンにより可動しえないことを示している。それらの4個のpHNiL/pEO6同時形質転換体のうちの2個が気生性コロニーを与える(同時形質転換体D1およびD9)。D1同時形質転換体由来の6個の復帰突然変異体のゲノムDNAをEcoRIで消化し、hyg1(5’AGCCTGAACTCACCGCGACG3’)およびhyg4(5’CGACCCTGCGCCCAAGCTGC3’)プライマーの使用により得られたhph遺伝子由来の868bpのプローブでハイブリダイズさせた後の該復帰突然変異体のサザン分析は、それらの4個に関する該欠損因子の再挿入の特徴づけを可能にする(図14)。後者のうちの2個の復帰突然変異体は、該因子の2個の挿入を含有する。この分析は、トランスで与えられたインパラトランスポザーゼにより該欠損因子がマグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において可動されうることを示しうる。
【0076】
4.他の構築物
第1に、それは、インパラトランスポザーゼが、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)においてクローニングされたnia遺伝子のプロモーターの制御下にあるプラスミド(pNiaI)を構築することを含む。このプラスミドは、pHINLと共に又はそれに由来する他の任意のプラスミド(該欠損因子の挿入により不活性化されたアスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaDプロモーターが、該復帰突然変異体の選択に使用するマーカー遺伝子の発現を制御するもの)と共に使用される。該同時形質転換体の選択を促進するために、該因子の欠損コピーを保持するプラスミド中に存在するものとは異なる耐性マーカーをpNiaIに付加すべきである。
【0077】
第2に、該トランスポザーゼは、構成的プロモーターの制御下、より厳密には、gpdA遺伝子のプロモーターの制御下、該欠損因子中またはpHNiLプラスミド中に存在するものとは異なる選択マーカーを保持するpFAC1ベクター中にクローニングすることができる。
【0078】
【表1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インパラ(Impala)トランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含んでなり、該マーカー遺伝子が、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であり該マーカー遺伝子のコード配列に機能的に連結されたプロモーター調節配列を転写の方向に含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項2】
該プロモーター調節配列が、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)または別の真菌、特に糸状菌由来の遺伝子のプロモーター調節配列である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
該プロモーター調節配列が真菌性niaDまたはgpdA遺伝子のプロモーター調節配列よりなる、請求項1および2のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
該プロモーター調節配列が、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的である、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のプロモーター調節配列である、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のプロモーター調節配列が0.4kbを超える長さである、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
マーカー遺伝子のコード配列が、レポーター遺伝子、特にGUSまたはGFPのコード配列、抗生物質または除草剤に対する耐性に関する遺伝子、特にハイグロマイシン耐性遺伝子(hph)、フレオマイシン耐性遺伝子(ble)または除草剤ビアラフォス耐性遺伝子(Bar)、またはスルホニル尿素耐性遺伝子のコード配列から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
該マーカー遺伝子が、真菌において機能的である酵素、特に硝酸レダクターゼ(niaD)またはニトリラーゼをコードする遺伝子から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
該マーカー遺伝子が、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の硝酸レダクターゼ遺伝子である、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
該インパラトランスポゾンが、前記請求項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドのプロモーター調節配列内に組込まれている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
該インパラトランスポゾンがマーカー遺伝子を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
該インパラトランスポゾンが欠損性である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
真菌の挿入突然変異体の製造方法であって、
a)マーカー遺伝子のインパラトランスポゾンの切除および該真菌のゲノム内へのその再挿入を可能にする条件下、インパラトランスポゾンの挿入により不活性化された該マーカー遺伝子を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドで該真菌を形質転換し、
b)該マーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を同定する工程を含んでなる製造方法。
【請求項13】
真菌の挿入突然変異体の製造方法であって、
a)請求項11に記載の欠損インパラトランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含むポリヌクレオチドで該真菌を形質転換し、
b)該欠損インパラトランスポゾンの切除、該真菌のゲノムにおけるその再挿入およびその安定化を可能にする条件下、発現が制御されたトランスポザーゼを用いて、該欠損インパラトランスポゾンを可動させ、
c)該マーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を同定する工程を含んでなる製造方法。
【請求項14】
真菌における検出可能な表現型に関連した遺伝子の同定方法であって、
a)請求項12または13に記載の製造方法の1つに従い、該真菌のゲノム内にインパラトランスポゾンを挿入することにより、挿入突然変異体を製造し、
b)前記の検出可能な表現型を有する少なくとも1つの挿入突然変異体を選択し、
c)該インパラトランスポゾンが内部に又は近傍に挿入された遺伝子を単離する工程を含んでなる方法。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドで形質転換された宿主生物。
【請求項16】
該宿主生物が真菌である、請求項15に記載の宿主生物。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドがゲノム内に組込まれている真菌。
【請求項18】
該マーカー遺伝子が真菌硝酸レダクターゼ遺伝子であり、該真菌がnia−である、請求項17に記載の真菌。
【請求項19】
インパラトランスポゾンがゲノム内に組込まれた、マグナポルセ(Magnaporthe)またはペニシリウム(Penicillium)属の真菌から選ばれる糸状菌の挿入突然変異体。
【請求項1】
インパラ(Impala)トランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含んでなり、該マーカー遺伝子が、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的であり該マーカー遺伝子のコード配列に機能的に連結されたプロモーター調節配列を転写の方向に含むことを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項2】
該プロモーター調節配列が、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)または別の真菌、特に糸状菌由来の遺伝子のプロモーター調節配列である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
【請求項3】
該プロモーター調節配列が真菌性niaDまたはgpdA遺伝子のプロモーター調節配列よりなる、請求項1および2のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項4】
該プロモーター調節配列が、マグナポルセ・グリセア(Magnaporthe grisea)において機能的である、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のプロモーター調節配列である、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
【請求項5】
アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来のniaD遺伝子のプロモーター調節配列が0.4kbを超える長さである、請求項4に記載のポリヌクレオチド。
【請求項6】
マーカー遺伝子のコード配列が、レポーター遺伝子、特にGUSまたはGFPのコード配列、抗生物質または除草剤に対する耐性に関する遺伝子、特にハイグロマイシン耐性遺伝子(hph)、フレオマイシン耐性遺伝子(ble)または除草剤ビアラフォス耐性遺伝子(Bar)、またはスルホニル尿素耐性遺伝子のコード配列から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項7】
該マーカー遺伝子が、真菌において機能的である酵素、特に硝酸レダクターゼ(niaD)またはニトリラーゼをコードする遺伝子から選ばれる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項8】
該マーカー遺伝子が、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)由来の硝酸レダクターゼ遺伝子である、請求項7に記載のポリヌクレオチド。
【請求項9】
該インパラトランスポゾンが、前記請求項のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドのプロモーター調節配列内に組込まれている、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項10】
該インパラトランスポゾンがマーカー遺伝子を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項11】
該インパラトランスポゾンが欠損性である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド。
【請求項12】
真菌の挿入突然変異体の製造方法であって、
a)マーカー遺伝子のインパラトランスポゾンの切除および該真菌のゲノム内へのその再挿入を可能にする条件下、インパラトランスポゾンの挿入により不活性化された該マーカー遺伝子を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドで該真菌を形質転換し、
b)該マーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を同定する工程を含んでなる製造方法。
【請求項13】
真菌の挿入突然変異体の製造方法であって、
a)請求項11に記載の欠損インパラトランスポゾンの挿入により不活性化されたマーカー遺伝子を含むポリヌクレオチドで該真菌を形質転換し、
b)該欠損インパラトランスポゾンの切除、該真菌のゲノムにおけるその再挿入およびその安定化を可能にする条件下、発現が制御されたトランスポザーゼを用いて、該欠損インパラトランスポゾンを可動させ、
c)該マーカー遺伝子を発現する挿入突然変異体を同定する工程を含んでなる製造方法。
【請求項14】
真菌における検出可能な表現型に関連した遺伝子の同定方法であって、
a)請求項12または13に記載の製造方法の1つに従い、該真菌のゲノム内にインパラトランスポゾンを挿入することにより、挿入突然変異体を製造し、
b)前記の検出可能な表現型を有する少なくとも1つの挿入突然変異体を選択し、
c)該インパラトランスポゾンが内部に又は近傍に挿入された遺伝子を単離する工程を含んでなる方法。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドで形質転換された宿主生物。
【請求項16】
該宿主生物が真菌である、請求項15に記載の宿主生物。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドがゲノム内に組込まれている真菌。
【請求項18】
該マーカー遺伝子が真菌硝酸レダクターゼ遺伝子であり、該真菌がnia−である、請求項17に記載の真菌。
【請求項19】
インパラトランスポゾンがゲノム内に組込まれた、マグナポルセ(Magnaporthe)またはペニシリウム(Penicillium)属の真菌から選ばれる糸状菌の挿入突然変異体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−87596(P2011−87596A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288195(P2010−288195)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【分割の表示】特願2000−606761(P2000−606761)の分割
【原出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(510087933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【分割の表示】特願2000−606761(P2000−606761)の分割
【原出願日】平成12年3月22日(2000.3.22)
【出願人】(510087933)
【Fターム(参考)】
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