説明

マグネット作業機

【課題】マグネット作業機において、マグネット用の制御盤の収納スペースを確保すると共に、該制御盤のメンテナンスを容易に行えるようにする。
【解決手段】制御盤9を、キャブ4の底部と旋回フレーム11との間に形成した箱状のスペースSに収納すると共に、制御盤9が設置された架台プレート15を、旋回フレーム11にスライド機構16を介して支持して、メンテナンス時に旋回フレーム11の外側方に引出すことができるように構成し、さらに、引出された架台プレート15の引出し方向前側を、スペース側面を開閉自在に覆蓋する側面扉34で支持する構成にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業アタッチメントとして電磁石で鉄材等の被吸着物を吸着するマグネットが装着されたマグネット作業機の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベル等の作業機械に、作業アタッチメントとして電磁石で被吸着物を吸着するマグネットを装着して、スクラップや鉄材等の被吸着物の分別や運搬等の作業を行うマグネット作業機とすることがある。このようなマグネット作業機には、電力供給源(バッテリや発電機)からマグネットへの通電を制御する制御盤が搭載されるが、該制御盤は比較的大きくて重いものであるため、特に、小旋回型の油圧ショベル等、スペースに余裕のない作業機械をベースにしてマグネット作業機にする場合には、制御盤の設置スペースを確保することが難しいという問題がある。しかも、上記制御盤は、保守、点検等の一般的なメンテナンスに加え、マグネットのサイズや吸着物の種類等に応じた調整等のメンテナンスも必要であり、このため、オペレータがアクセスし易い場所に設置する必要がある。
そこで、従来、マグネット用の制御盤を、油圧ショベルの上部旋回体の上面部に別途設置したもの(例えば、特許文献1、図1参照。)が知られている。また、マグネット本体に、制御盤を搭載するようにした技術(例えば、特許文献2参照。)も知られている。
一方、油圧ショベルの上部旋回体に、機器・工具類を配置するためのスペースを確保する技術として、キャブの下側に枠体を設け、該枠体を車体に設けた縦支持軸を中心に、左右の少なくとも一方の横方向に回動自在に取付けると共に、その枠体の内部に機器・工具類を配置せしめたもの(例えば、特許文献3参照。)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−230725号公報
【特許文献2】特開平10−218548号公報
【特許文献3】特開平8−260514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のもののように、マグネット用の制御盤を油圧ショベルの上部旋回体の上面部に別途設置すると、オペレータの側方或いは後方の視界の妨げになって、作業性が低下するという問題がある。一方、前記特許文献2のもののように、マグネット本体に制御盤を搭載した場合には、マグネットが大型化してしまう許りか、制御盤が受ける衝撃は少なからず、弾性部材を介して取り付けられていても、制御盤の故障の要因になるという問題が生じる。
そこで、前記特許文献3のもののように、キャブの下側に縦支持軸を中心として回動自在な枠体を設け、該枠体の内部にマグネット用の制御盤を配置することが提唱される。このようにした場合、制御盤のメンテナンスや調整を行うときには、縦支持軸を中心として枠体を横方向に回動せしめることになるが、該横方向に回動せしめた枠体は、縦支持軸による一軸支持の状態であるため、制御盤のように重量の重いものが枠体に配置されていると、安定性に劣る許りか、縦支持軸に無理な負荷が働いて早期に損傷してしまう惧れがあり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、下部走行体に旋回自在に支持される上部旋回体に、運転席を備えたキャブを搭載すると共に、作業アタッチメントとしてマグネットを装着してなるマグネット作業機において、前記キャブを、該キャブの底部と上部旋回体の基台となる旋回フレームとの間に箱状のスペースが形成される状態で旋回フレームに支持せしめ、前記スペースに、前記マグネットへの通電を制御する制御盤を収納すると共に、該制御盤が設置される架台プレートを、旋回フレームにスライド機構を介して支持せしめて、制御盤が前記スペースに収納される収納位置と旋回フレームの外側方に引出される非収納位置とにスライド移動自在に構成する一方、非収納位置の架台プレートの引出し方向前側を支持する支持部材を設けたことを特徴とするマグネット作業機である。
請求項2の発明は、請求項1において、支持部材は、非収納位置の制御盤が引出される側のスペース側面を覆蓋する開閉自在な扉体であると共に、該扉体は、下端部が旋回フレームに蝶番を介して揺動自在に支持され、スペース側面を開く開姿勢で旋回フレームの外側方に突出して、非収納位置の架台プレートを下側から支持する一方、該扉体を開姿勢に保持する保持手段を設けたことを特徴とするマグネット作業機である。
請求項3の発明は、請求項1または2において、スライド機構は、架台プレート側に固定されるスライド部材と、旋回フレーム側に固定され、前記スライド部材に係合して該スライド部材をスライド移動自在にガイドするガイド部材とを用いて構成されると共に、架台プレートが収納位置に位置している状態で、前記スライド部材とガイド部材とを、旋回フレームの下方から挿入される締結部材で締結する構成にしたことを特徴とするマグネット作業機である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、キャブの底部と旋回フレームとの間に形成されたスペースに、マグネットへの通電を制御する制御盤を収納することができると共に、該制御盤のメンテナンスや交換を行なうような場合には、制御盤が設置された架台プレートを非収納位置にスライド移動させることにより、制御盤が旋回フレームの外側方に引出されることになって、メンテナンスや交換等の作業を容易に行なえることになる。しかも、非収納位置の架台プレートは、引出し方向後側がスライド機構を介して旋回フレームに支持される一方、引出し方向前側は支持部材によって支持されることになるから、重量の重い制御盤であっても安定した状態で確実に支持されることになり、而して、メンテナンスや交換等の作業を行い易く、作業性の向上に大きく貢献できる許りか、架台プレートが非収納位置のときにスライド機構に無理な負荷がかかってしまうような不具合を回避できる。
請求項2の発明とすることにより、制御盤が引出される側のスペース側面を開閉自在に覆蓋する扉体によって、非収納位置の架台プレートの引出し方向前側を支持できることになり、而して、非収納位置の架台プレートを支持するための支持部材を別途設ける必要がなく、部材の兼用化が図れると共に、開姿勢の扉体は架台プレートを下側から支持することになるから、架台プレートに設置された制御盤のメンテナンス作業の邪魔になる惧れもない。
請求項3の発明とすることにより、スライド部材とガイド部材とを締結部材で締結することによって、走行中やマグネットによる作業中に、架台プレートがガタついてしまう惧れがないと共に、締結部材の締結及び取外しを、旋回フレームの下側から容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】マグネット作業機の側面図である。
【図2】マグネット作業機の正面図である。
【図3】制御盤の収納状態を示す正面図(前面扉は省略)である。
【図4】制御盤の収納状態を示す斜視図(側面扉及び前面扉は省略)である。
【図5】図4のX矢視図である。
【図6】図4のY矢視図である。
【図7】架台プレートが収納位置のときの要部斜視図である。
【図8】架台プレートが非収納位置のときの要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は油圧ショベルをベースとするマグネット作業機であって、該マグネット作業機1は、クローラ式の下部走行体2、該下部走行体2に旋回自在に支持される上部旋回体3、該上部旋回体3に搭載されるキャブ4、基端部が上部旋回体3に上下動自在に支持されるブーム5、該ブーム5の先端部に前後揺動自在に支持されるアーム6、該アーム6の先端部に作業アタッチメントとして装着されるマグネット7等から構成されている。
【0009】
前記マグネット7は、上部旋回体3に搭載される発電機8を電力供給源として励磁する電磁石を用いて形成されているが、該発電機8からマグネット7への通電は、マグネット駆動回路や該マグネット駆動回路に制御信号を出力する制御部等が組込まれた制御盤9によって制御されるようになっている。尚、本実施の形態では、油圧モータ(図示せず)の回転駆動で発電する発電機8をマグネット7の電力供給源にしているが、これに限定されることなく、上部旋回体3に搭載されるバッテリ(図示せず)をマグネット7の電力供給源にすることもできる。この場合には、制御盤9はバッテリからマグネット7への通電を制御することになる。
【0010】
一方、前記キャブ4は、オペレータが座する運転席や、操作レバーや操作ペダル、操作スイッチ等の各種操作具(何れも図示せず)を備えたものであるが、該キャブ4は、上部旋回体3の基台である旋回フレーム11に、箱状に枠組形成されたベース台(キャブライザ)12を介して嵩上げした状態で支持されている。これにより、キャブ4の底部と旋回フレーム11との間に、箱状のスペースSが形成されると共に、該スペースSには、前記マグネット7への通電を制御する制御盤9が収納されている。尚、図中、12aはベース台12を形成するフレーム(以下、ベース台フレーム12aと称する)である。また、本実施の形態では、制御盤9はスペースSの前半部に収納され、スペースSの後半部には前記発電機8が収納されている。
【0011】
ここで、前記制御盤9は、該制御盤9の下面に固着された取付フレーム13が防振材14を介して架台プレート15に取付けられることによって、防振された状態で架台プレート15上に設置されているが、該架台プレート15は、後述するスライド機構16を介して旋回フレーム11に支持されていて、制御盤9が前記スペースSに収納される収納位置と、旋回フレーム11の外側方(本実施の形態では左側方)に引出される非収納位置とにスライド移動自在に構成されている。尚、17は防振材14を架台プレート15に固定するボルトである。
【0012】
前記スライド機構16は、架台プレート15側に固定されるスライドフレーム18及びスライドプレート19(スライドフレーム18及びスライドプレート19は、本発明のスライド部材に相当する)と、旋回フレーム11側に固定され、前記スライドフレーム18及びスライドプレート19に係合して該スライドフレーム18及びスライドプレート19をスライド移動自在にガイドするガイド部材26とを用いて構成されている。
【0013】
つまり、前記架台プレート15の下面部には、U字形状のスライドフレーム18が溶接により固着されていると共に、該スライドフレーム18には、スライドフレーム18の外側方に突出する一対のスライドプレート19が溶接により固着されている。また、架台プレート15の上面部には、該架台プレート15をスライド移動させるときにオペレータが把持する把手20が取り付けられている。
【0014】
一方、21は旋回フレーム11にボルト22により固定されるベースプレートであって、該ベースプレート21の上面部には、前記スライドフレーム18がスライド移動自在に載置される摺動面ブロック23が配置されている。該摺動面ブロック23は、ナイロン樹脂等の低摩擦材を用いて形成されている。尚、24は前記摺動面ブロック23とベースプレート21との間に介装されるスペーサ、25は摺動面ブロック23及びスペーサ24をベースプレート21に固定するボルトである。
【0015】
さらに、ベースプレート21の上面部には、摺動面ブロック23の両側方に、前記スライドフレーム18及びスライドプレート19に係合して該スライドフレーム18及びスライドプレート19をスライド移動自在にガイドするガイド部材26が配置されている。該ガイド部材26は、上辺部26aと縦辺部26bとを有した逆L字形状をしており、その上辺部26aは、スライドフレーム18の両側に位置して、該スライドフレーム18の横方向(スライド移動方向に対して横方向)の振れを規制すると共に、スライドプレート19の上側に位置して、該スライドプレート19の上方への振れを規制するようになっており、これにより、架台プレート15を、横方向及び上方への振れのない状態でスライド移動させることができるようになっている。尚、27は前記ガイド部材26とベースプレート21との間に介装されるスペーサ、28はガイド部材26及びスペーサ27をベースプレート21に固定するボルトである。さらに、29はベースプレート21の下面部に溶接により固着されたU字形状の補強用フレームである。また、本実施の形態では、ガイド部材26は、スライド移動方向の前側と後側とに分割して設けられており、これにより軽量化が図られているが、この様に分割されたものでなくても良く、また、ガイド部材26とスペーサ27とが一体形成されたものであっても良い。
【0016】
そして、架台プレート15は、該架台プレート15の下面部に固着されたスライドフレーム18が、ベースプレート21の上面部に配置された摺動面ブロック23上にスライド移動自在に載置され、且つ、スライドフレーム18及び該スライドフレーム18に固着されたスライドプレート19が、摺動面ブロック23の両側方に配置されたガイド部材26にスライド移動自在にガイドされることによって、制御盤9が前記スペースSに収納される収納位置と、旋回フレーム11の外側方(本実施の形態では左側方)に引出される非収納位置とにスライド移動できるようになっている。
【0017】
さらに、前記架台プレート15の下面部には、ストッパ30が下方に向けて突設される一方、ベースプレート21の上面部には、上方に向けて突出するストッパ受体31がボルト32止めされている。そして、制御盤9を非収納位置まで引出したときに、前記ストッパ30がストッパ受体31に当接することによって、架台プレート15のこれ以上の外側方へのスライド移動が規制されるようになっている。ここで、本実施の形態では、前記ストッパ30がストッパ受体31に当接したときの位置を非収納位置としているが、該非収納位置の架台プレート15の引出し方向後側は、スライドフレーム18が摺動面ブロック23上に載置され、且つ、スライドフレーム18及びスライドプレート19がガイド部材26に係合していることによって、ベースプレート21を介して旋回フレーム11に支持された状態になっている。
【0018】
また、33は制御盤9が収納位置のときに前記スライドプレート19とガイド部材26とを締結する締結ボルト(本発明の締結部材に相当する)であって、該締結ボルト33は、旋回フレーム11の下方側から挿入され、ベースプレート21に穿設された挿通孔21aを通って、スライドプレート19とガイド部材26とを締結するように構成されている。そして、該スライドプレート19とガイド部材26とを締結ボルト33で締結することによって、制御盤9が収納位置に位置しているときのスライド移動を規制できるようになっている。
【0019】
一方、前記制御盤9が収納されるスペースSの左側面(非収納位置の制御盤9が引出される側のスペース側面)は、開閉自在な側面扉(本発明の支持部材及び扉体に相当する)34によって覆蓋されている。該側面扉34は、下端部が旋回フレーム11に蝶番35を介して揺動自在に支持されていて、スペースSの左側面を覆蓋する閉姿勢と、旋回フレーム11の外側方(左側方)に略水平状に突出する開姿勢とに揺動変姿自在に構成されている。さらに、36は側面扉34を開姿勢に保持するための保持ステー(本発明の保持手段に相当する)であって、該保持ステー36は、基端側がベース台フレーム12aに回動自在に軸支され、また、先端側に形成されたフック36aが側面扉34に設けられたブラケット37に係脱自在に係止されるように構成されている。そして、該保持ステー36によって開姿勢に保持された扉体34の上面に、前記非収納位置の架台プレート15に固設されたスライドプレート19の下面が当接し、これにより非収納位置の架台プレート15は、引出し方向前側が側面扉34によって下側から支持された状態になり、而して、非収納位置の架台プレート15の引出し方向前側を側面扉34によって安定支持できるようになっている。尚、閉姿勢の側面扉34の上端部は、ボルト38によってベース台フレーム12aに止着されるようになっている。
【0020】
そして、制御盤9のメンテナンスを行う場合等には、まず、前記側面扉34の上端部を止着しているボルト38を外して、側面扉34を開き、さらに、保持ステー36の先端部のフック36aを側面扉34のブラケット37に係止して、側面扉34を開姿勢に保持する。次いで、スライドプレート19とガイド部材26とを締結している締結ボルト33を旋回フレーム11の下方側から外して、架台プレート15のスライド移動が許容される状態にする。しかる後、把手20を把持して架台プレート15を引出すと、架台プレート15がスライド移動して非収納位置になるが、該非収納位置の架台プレート15は、引出し方向後側がスライド機構16を介して旋回フレーム11に支持され、また、引出し方向前側が開姿勢の側面扉34によって支持された安定支持状態になっており、而して、該架台プレート15に設置された制御盤9のメンテナンスを、安定した状態で行えるようになっている。
【0021】
一方、制御盤9をスペースSに収納する場合には、把手20を把持して架台プレート15を押込み、収納位置になるまでスライド移動させる。次いで、締結ボルト33を旋回フレーム11の下側から挿入して、スライドプレート19とガイド部材26とを締結する。これにより、架台プレート15のスライド移動が規制されて、収納位置に固定される。しかる後、保持ステー36のフック36aをブラケット37から外して、側面扉34を閉じ、その上端部をボルト38によりベース台フレーム12aに止着する。これにより、制御盤9はガタツキのない状態でスペースSに収納されるようになっている。
【0022】
尚、図中、39は側面扉34の外側面部に止着された昇降ステップであって、キャブ4に昇降するオペレータが該昇降ステップ39に足を掛けることができるようになっている。また、前記スペースSの前側面は、開閉自在な前側扉40によって覆蓋されており、該前側扉40を開くことによって、日常的な点検等の簡単なメンテナンスを行うことができるようになっている。さらに、図示しないが、スペースSの右側面は通気孔を有したカバーによって覆蓋され、また、スペースSの後側面は、上部旋回体3に設けられるエンジンルームとの間を隔てる隔壁(図示せず)によって覆蓋されている。
【0023】
叙述の如く構成された本形態において、キャブ4は、上部旋回体3の基台である旋回フレーム11に、ベース台12を介して嵩上げされた状態で支持されており、これにより、キャブ4の底部と旋回フレーム11との間に箱状のスペースSが形成されると共に、該スペースSには、マグネット7への通電を制御する制御盤9が収納されることになる。さらに、該制御盤9が設置される架台プレート15は、旋回フレーム11にスライド機構16を介して支持されていて、制御盤9が前記スペースSに収納される収納位置と旋回フレーム11の外側方(本実施の形態では左側方)に引出される非収納位置とにスライド移動自在に構成されていると共に、非収納位置の架台プレート15の引出し方向前側は、前述したように、制御盤9が引出される側のスペース側面(本実施の形態では左側面)を覆蓋する開閉自在な側面扉34によって支持されることになる。
【0024】
この結果、例えば小旋回型の油圧ショベル等、スペースに余裕のない作業機械をベースにしてマグネット作業機1にするような場合であっても、キャブ4の底部と旋回フレーム11との間に形成されたスペースSに、マグネット7への通電を制御する制御盤9を収納することができると共に、該制御盤9のメンテナンスや交換を行なうような場合には、制御盤9が設置された架台プレート15を非収納位置にスライド移動させることにより、制御盤9が旋回フレーム11の外側方に引出されることになって、メンテナンスや交換等の作業を容易に行なえることになる。因みに、キャブ4は、前記スペースSの分だけ上方に嵩上げされているため、その分オペレータの目線が高くなり、マグネット7を用いて被吸着物の分別や運搬作業を行なう場合に良好な視界を確保できるという利点もある。
【0025】
しかも、前記非収納位置の架台プレート15は、引出し方向後側がスライド機構16を介して旋回フレーム11に支持される一方、引出し方向前側は側面扉34によって支持されることになるから、重量の重い制御盤9であっても安定した状態で確実に支持されることになり、而して、メンテナンスや交換等の作業を行い易く、作業性の向上に大きく貢献できる許りか、架台プレート15が非収納位置のときにスライド機構16に無理な負荷がかかってしまうような不具合を回避できる。
【0026】
さらにこのものにおいて、架台プレート15の引出し方向前側を支持する側面扉34は、制御盤9が引出される側のスペース側面(本実施の形態では、スペースSの左側面)を開閉自在に覆蓋すると共に、下端部が旋回フレーム11に蝶番35を介して揺動自在に支持されていて、スペース側面を開く開姿勢で旋回フレームの外側方に突出して、非収納位置の架台プレート15を下側から支持する一方、開姿勢の側面扉34は、保持ステー36によって開姿勢に保持されることになる。
【0027】
この結果、制御盤9が引出される側のスペース側面を開閉自在に覆蓋する側面扉34によって、非収納位置の架台プレート15の引出し方向前側を支持できることになり、而して、非収納位置の架台プレート15を支持するための支持部材を別途設ける必要がなく、部材の兼用化が図れる。しかも、開姿勢の側面扉34は架台プレート15を下側から支持することになるから、架台プレート15上に設置された制御盤9のメンテナンス作業の邪魔になる惧れもない。
【0028】
また、前記スライド機構16は、架台プレート15に固定されるスライドフレーム18及びスライドプレート19と、ベースプレート21を介して旋回フレーム11に固定され、上記スライドフレーム18及びスライドプレート19に係合して該スライドフレーム18及びスライドプレート19をスライド移動自在にガイドするガイド部材26とを用いて構成されると共に、架台プレート15が収納位置に位置している状態で、上記スライドプレート19とガイド部材26とは、旋回フレーム11の下側から挿入される締結ボルト22によって締結されることになる。而して、走行中やマグネット7による作業中に、架台プレート15がガタついてしまう惧れがないと共に、締結ボルト22の締結及び取外しを、旋回フレーム11の下側から容易に行えることになる。因みに、制御盤9は、前述したように、防振材14を介して防振された状態で架台プレート15に設置されている。
【0029】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、例えば、上記実施の形態では、制御盤が設置される架台プレートを、旋回フレームの左側方に引出す構成になっているが、旋回フレームの前側方に引出す構成にしても良いこの場合には、非収納位置の架台プレートの引出し方向前側を支持する支持部材は、スペースの前側面を開閉自在に覆蓋する扉体を用いて構成することができる。また、上記実施の形態では、スペースの側面を開閉自在に覆蓋する扉体(側面扉)を、非収納位置の架台プレートの引出し方向前側を支持する支持部材として用いており、これにより、前述したように部材の兼用化が図られているが、支持部材としてはこれに限定されることなく、例えば、基端部が旋回フレームに揺動自在に軸支され、先端部が非収納位置の架台プレートに着脱自在に係止されるステーを用いて構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、マグネットが装着された作業機において、マグネットへの通電を行なう制御盤を収納する場合に利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 マグネット作業機
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 キャブ
7 マグネット
9 制御盤
11 旋回フレーム
12 ベース台
15 架台プレート
16 スライド機構
18 スライドフレーム
19 スライドプレート
26 ガイド部材
33 締結ボルト
34 側面扉
35 蝶番
36 保持ステー
S スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体に旋回自在に支持される上部旋回体に、運転席を備えたキャブを搭載すると共に、作業アタッチメントとしてマグネットを装着してなるマグネット作業機において、前記キャブを、該キャブの底部と上部旋回体の基台となる旋回フレームとの間に箱状のスペースが形成される状態で旋回フレームに支持せしめ、前記スペースに、前記マグネットへの通電を制御する制御盤を収納すると共に、該制御盤が設置される架台プレートを、旋回フレームにスライド機構を介して支持せしめて、制御盤が前記スペースに収納される収納位置と旋回フレームの外側方に引出される非収納位置とにスライド移動自在に構成する一方、非収納位置の架台プレートの引出し方向前側を支持する支持部材を設けたことを特徴とするマグネット作業機。
【請求項2】
請求項1において、支持部材は、非収納位置の制御盤が引出される側のスペース側面を覆蓋する開閉自在な扉体であると共に、該扉体は、下端部が旋回フレームに蝶番を介して揺動自在に支持され、スペース側面を開く開姿勢で旋回フレームの外側方に突出して、非収納位置の架台プレートを下側から支持する一方、該扉体を開姿勢に保持する保持手段を設けたことを特徴とするマグネット作業機。
【請求項3】
請求項1または2において、スライド機構は、架台プレート側に固定されるスライド部材と、旋回フレーム側に固定され、前記スライド部材に係合して該スライド部材をスライド移動自在にガイドするガイド部材とを用いて構成されると共に、架台プレートが収納位置に位置している状態で、前記スライド部材とガイド部材とを、旋回フレームの下方から挿入される締結部材で締結する構成にしたことを特徴とするマグネット作業機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate