説明

マグネット式吸音材及び吸音材固定方法

【課題】吸音材の固定において、接着剤レスを可能として、接着剤の乾燥を待つ時間を不要とする。また、吸音材をパッケージへ取り付ける際の作業性効率を向上させ、工程短縮を図る。
【解決手段】吸音材1の両側に吸音材1を挟みこむようにマグネットシート2、3を配置し、磁気の力により吸音材の固定を行う。また、パッケージのパネルなどの被装着物4に対する吸音材1取付時にも被装着物4側に配置されているマグネットシート2の磁気の力により可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、騒音対策の一つとして防音壁の表面やエンジン発電装置のパッケージ内部等に取付けられる吸音材及び吸音材の固定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、エンジン発電装置は隣接住居への影響が考慮されているため、騒音対策は重要な課題となっている。そこで吸音材をパッケージ内部に取付け、エンジンなどの音源から発生した音を吸音することによって騒音低減を図っている。従来の吸音材の固定方法はパッケージ(パネル)へ直接接着剤を塗布して固定したり、実開昭61ー155896号公報(特許文献1)のようにマグネットシートに吸音材を接着剤等で貼付け、パッケージへ固定している。
また、特開平11ー338477号公報(特許文献2)にも吸音材を吸盤又は磁石で装着対象物に取り付ける技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61ー155896号公報(第1図)
【特許文献2】特開平11ー338477号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吸音材固定方法は、吸音材に接着剤を塗りパッケージに貼付ける方法、およびマグネットシートに吸音材を接着剤等で貼付けて、パッケージへ固定する方法がある。
従来の固定方法は、いずれも接着剤等を使用しているため、接着剤の乾燥待ち時間等の無駄時間が発生し、またパッケージへの吸音材固定時に、貼付該当箇所付近の接着剤乾燥待ちにより作業性効率が悪化するという問題があった。
なお、上記特許文献2では、接着剤無しでの吸音材固定について触れているが、吸音材の外側から磁石にて固定しているので、磁力が弱くなってしまい、確実な固定が難しくなっている。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、接着剤を使用せずに、かつ確実に吸音材を取り付けることを目的とする。接着剤レスとして接着剤の乾燥時間を不要とし、工程短縮を図る。また、パッケージへの固定時に外段取りで吸音材とマグネットの固定を行えるようにし、接着剤の乾燥を待つ時間が不要となり、作業性改善を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る吸音材は、複数のマグネットシートで吸音材の両側を挟みこみ、接着剤を使用せずに吸音材をパッケージのパネルなどの被装着物に固定するようにしたものである。
また、吸音材の両側を複数のマグネットシートで挟みこみ、両マグネットシートの磁気の力のみにより吸音材を接着剤を使用せずに固定するようにした吸音材固定方法である。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、吸音材とマグネットシートとの間に接着剤を使用することなく吸音材とマグネットシート間の固定を行うことができる。また、パッケージのパネルなどの被装着物への固定の際にも、被装着物側のマグネットシートと磁気の力によって固定を可能とするため、接着剤が不要となる。
このため、パッケージに吸音材を固定する際、接着剤の乾燥を待つ時間の節約が図れ、外段取りで吸音材とマグネットの固定が行えるため、作業性効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1の構成を示す概略図である。
【図2】この発明の実施の形態2の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1の構成を示す概略図である。
以下、この発明の実施の形態1を図1に基づいて説明する。図において、1はシート状吸音材であり、パッケージのパネルなどの被装着物4に固定される対象である。シート状吸音材1は、被装着物4側に配置されるマグネットシート2と、吸音材1の外側に配置されるマグネットシート3とで挟みこまれており、2つのマグネットシート2、3の磁気の力により吸音材1は固定され、かつ、被装着物側に配置されるマグネットシート2と被装着物4との間の磁力により、吸音材1はパッケージのパネルなどの被装着物4に固定される。なお、パッケージのパネルなどの被装着物4は、鉄板のようにマグネットシートが吸着する材料で構成されている。
このように、実施の形態1のマグネット式吸音材は、磁気のみの力によりパッケージのパネルなどの被装着物4への固定を可能としている。
【0010】
次に吸音材固定方法および効果について説明する。
吸音材1を被装着物側に配置されるマグネットシート2と外側に配置されるマグネットシート3で挟み込み、磁気の力により吸音材1を固定しているため、吸音材1、マグネットシート2、マグネットシート3は一体で移動可能となる。さらに、パッケージのパネルなどの被装着物4へは被装着物4側に配置されるマグネットシート2と被装着物4間の磁気の力により固定が可能となる。
【0011】
以上のように、吸音材1の外側(反パッケージ側)にもマグネットシート3を取り付けることにより、吸音材1とマグネットシートと2、3の間に接着剤を使用することなく吸音材1の固定が可能となる。このように、接着剤レスであるため、接着剤の乾燥時間が不要となり、また、パッケージのパネルなどの被装着物4に吸音材1を固定する際、外段取りで吸音材1とマグネット2、3の固定が行えるため、作業性が向上する。
なお、パッケージのパネルなどの被装着物4に吸音材1を固定後に取り外しを行っても、パッケージに接着剤の跡が残ることもなく、また吸音材1への損傷も起こらないため、パッケージおよび吸音材1の品質を維持でき、エンジン発電装置等の機器としての品質を向上させた装置を得ることができる。
【0012】
実施の形態2.
図2は、この発明の実施の形態2の構成を示す概略図である。
以下、この発明の実施の形態2を図2に基づいて説明する。図1と構成が違うのは、吸音材1の外側に配置するマグネットシート3の形状が違う点である。図1に示す実施の形態1では、被装着物4側に配置されるマグネットシート2と、吸音材1の外側に配置されるマグネットシート3との大きさは、同じにしているが、実施の形態2においては、吸音材1の外側に配置するマグネットシート3の形状を、吸音材1、被装着物4側に配置されるマグネットシート2より小さくして、大きさを変えている。磁力の強力なマグネットシートを使用すれば、このような構成を得ることも可能である。
また、場合によっては、被装着物4側に配置されるマグネットシート2と、吸音材1の外側に配置するマグネットシート3の大きさを逆にする構成も可能である。
このような実施の形態2においても、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0013】
1 吸音材、 2 被装着物4側に配置されるマグネットシート、 3 吸音材の外側に配置されるマグネットシート、 4 パッケージのパネルなどの被装着物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被装着物に取り付けられ騒音を吸音する吸音材、上記吸音材の被装着物側に配置されるマグネットシート、上記吸音材の外側に配置されるマグネットシートからなり、上記両マグネットシートにより上記吸音材を挟みこみ、磁気の力により吸音材を固定するようにしたマグネット式吸音材。
【請求項2】
上記両マグネットシートの大きさは、上記吸音材と同じ大きさであることを特徴とする請求項1記載のマグネット式吸音材。
【請求項3】
上記マグネットシートの一方又は両方の大きさは、上記吸音材と違う大きさであることを特徴とする請求項1記載のマグネット式吸音材。
【請求項4】
吸音材の両側を複数のマグネットシートで挟みこみ、これらマグネットシートの磁気の力により上記吸音材を被装着物に固定するようにした吸音材の固定方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−226228(P2012−226228A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95629(P2011−95629)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】