説明

マグロの飼育、保管または輸送方法、マグロの驚愕行動防止方法およびマグロの食欲増進方法

【課題】マグロの未成魚を長期間に亘って経済的に生存させることができるマグロの飼育、保管または輸送方法、マグロの驚愕行動防止方法およびマグロの食欲増進方法を提供する。
【解決手段】マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽10は、シート材を上方が開放した有底円筒状に張って構成されている。遊泳槽10の上方には、遊泳槽10内を照らすための4つの照明具20が設けられている。照明具20は、広い範囲に均一な照度の光を照射することができる投光器で構成されており、遊泳槽10の水面を略均等な照度で照らすために遊泳槽10の周方向に沿って略均等に配置されている。また、この照明具20は、マグロの未成魚に壁面を認識し易くするために遊泳槽10の内壁に向って光を照射する向きでそれぞれ設置されている。そして、遊泳槽10の水面は、日中は1000lx以上の照度が保たれるとともに、夜間は約10lxの照度が略均一に保たれている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグロの飼育、保管または輸送方法、マグロの驚愕行動防止方法およびマグロの食欲増進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、マグロ資源の保存および消費者へのマグロの安定供給の観点からマグロの養殖が行なわれている。一般に、マグロの養殖は、近海で捕獲した生後約13週目前後(体長が約200〜300mm)の天然幼魚(通称ヨコワ)を海面に設置した生簀内で市場に出荷可能な大きさにまで育てることにより行なわれている。また、近年においては、捕獲した天然幼魚を陸上に設置した生簀内で市場に出荷可能な大きさにまで育てる所謂陸上養殖も試みられている。
【0003】
このようなマグロの養殖においては、生簀内でのマグロの驚愕行動を防止しつつ安定的に摂食させることが極めて重要である。この場合、マグロの驚愕行動とは、マグロが急激な環境変化に驚いて興奮状態となって狂乱的に遊泳するパニック現象であり、マグロの養殖過程において甚大な損失を生じさせるトラブルの一つである。すなわち、生簀内のマグロに驚愕行動が生じると、マグロが生簀内の壁面などの障害物に衝突したり生簀内から飛び出したりしてマグロが傷ついたり死亡したりすることが高頻度で生じる。また、驚愕行動が生じたマグロは、その後数日間は摂食しない傾向にあるため、マグロの健康状態の管理が困難となる。
【0004】
このようなマグロの驚愕行動を防止するため、例えば、下記特許文献1においては、マグロの稚魚または未成魚を150lx(lx:ルクス)以上に保った環境下で飼育等を行なうマグロの稚魚または未成魚の驚愕防止方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4081092号公報
【発明の概要】
【0006】
しかしながら、上記したマグロの稚魚または未成魚の驚愕防止方法においては、150lxの照度環境下においても約1週間で約25%のマグロが死滅するため、マグロを出荷可能な大きさまでの間飼育し続けることが困難と考えられる。一般に、マグロの驚愕行動は、成魚になった後においてもみられるが、生後約5週目から生後約52週目(生後約1年)までの未成魚においては強力な遊泳能力に対する障害物を避ける能力が未熟であるため、結果として死に至る確率が極めて高い。したがって、上記特許文献1に係る驚愕防止方法によっては、生後約52週目までの間に大多数のマグロの稚魚または未成魚が死滅してしまう可能性が高い。また、マグロを出荷可能な大きさまでに育てるには、通常2〜3年の期間が必要となるが、その間150lx以上の照度を常に保つことはマグロ養殖事業における経済効率の観点からも必ずしも好ましいものではない。
【0007】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、マグロの未成魚を長期間に亘って経済的に生存させることができるマグロの飼育、保管または輸送方法、マグロの驚愕行動防止方法およびマグロの食欲増進方法を提供することにある。
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の特徴は、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を、少なくとも10lx以上の照度に保つとともに、同照度が10lx以上かつ1000lx未満の範囲内において前記遊泳槽の水面を略均一な照度に保つことにある。
【0009】
このように構成した請求項1に係る本発明の特徴によれば、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を少なくとも10lx以上の照度に保ちつつ、同照度が10lx以上かつ1000lx未満の範囲内においては同水面を略均一な照度に保っている。これにより、本発明者らによる実験および飼育観察によれば、マグロの未成魚は光が全く存在しない0lxに近い暗環境下においては挙動が不安定となって生簀内の障害物に衝突することがある一方、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面付近で約10lx程度の照度を略均一で保った環境下においては比較的安定した様子で遊泳することを確認した。このことから、マグロの未成魚は、必要最小限の視界が確保されていれば、視界内の明るさの程度よりも同視界内の暗部の存在に不安感が増長されると考えられる。
【0010】
したがって、マグロの未成魚を飼育、保管または輸送する際においては、マグロの未成魚が遊泳する領域内おいて自己の周囲の様子が視認できないまたは視認し難い領域となる暗部が生じない環境を整えることが必要である。この場合、マグロの未成魚が遊泳する領域内に暗部が存在していた場合であっても、その暗部内の様子がマグロの未成魚が視認できる場合、換言すれば、マグロの未成魚が暗部内の様子が視認できる程度に暗部の周囲が明るい場合にはマグロの未成魚に不安感を与えることが少ないと考えられる。そして、このような環境を整えることによって、マグロの未成魚の警戒心を緩和することができ、結果として食欲増進および驚愕行動の抑制に繋がると考えられる。この場合、本発明者らの実験によれば、生後約41週目において約55%の生残率を確認している。また、この場合、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面の照度は10lx以上あればよいため、照度維持のための経済的負担も少なくなり極めて経済的である。これらの結果、マグロの未成魚を長期間に亘って経済的に生存させることができる。
【0011】
なお、本願におけるマグロの未成魚とは、生後約13週目前後(体長(尾叉長)が約200mm以上)以降であって生殖能力を備えるまでの間のマグロの幼魚または若魚を想定している。しかし、自然の海で捕獲したマグロの天然幼魚の正確なふ化した日は実際には不明である。したがって、「生後約13週目前後」とは、捕獲した天然幼魚の体長、体重またはマグロの捕獲日と一般的に知られているマグロの産卵期とから推定したものである。
【0012】
また、請求項2に係る本発明の他の特徴は、前記マグロの飼育、保管または輸送方法において、マグロの未成魚の給餌時における照度を、少なくとも100lx以上に保つことにある。
【0013】
このように構成した請求項2に係る本発明の他の特徴によれば、マグロの未成魚に対する給餌時に、遊泳槽の水面を少なくとも100lx以上の照度に保っている。これにより、本発明者らの実験によれば、100lx未満の低照度環境下に比べてマグロの未成魚の摂食量が増加することを確認した。すなわち、マグロの未成魚の摂食量を増加させることにより、結果として、マグロの未成魚を早期に成長させることができるとともに長期間に亘って生存させることができると考えられる。
【0014】
また、請求項3に係る本発明の他の特徴は、前記マグロの飼育、保管または輸送方法において、日中における照度を50lx以上に保つとともに、夜間における照度を50lx未満に保つことにある。
【0015】
このように構成した請求項3に係る本発明の他の特徴によれば、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を、日中における照度を50lx以上に保つとともに、夜間における照度を50lx未満に保っている。これにより、本発明者らの実験によれば、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を24時間一定照度に保つ環境下に比べてマグロの未成魚の摂食量を増加させることができることを確認した。したがって、マグロの未成魚の摂食量を増加させることにより、結果として、マグロの未成魚を早期に成長させることができるとともに長期間に亘って生存させることができると考えられる。
【0016】
この場合、請求項4に係る本発明に示すように、前記した昼夜における照度変化を生後約29週目以降のマグロの未成魚に対して行なうとよい。これにより、本発明者らの実験によれば、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を24時間一定照度に保つ環境下に比べてマグロの未成魚の摂食量を増加させることができ、結果として、マグロの未成魚を早期に成長させることができるとともに長期間に亘って生存させることができると考えられる。
【0017】
また、請求項5に係る本発明の他の特徴は、前記マグロの飼育、保管または輸送方法において、例えば、遊泳槽の水面における照度を保つために照明器具を用い、照明器具は、遊泳槽における壁面を照らすとよい。
【0018】
このように構成した請求項5に係る本発明の他の特徴によれば、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を照らす照明器具によって遊泳槽の壁面を照らしている。このため、遊泳槽内を遊泳するマグロの未成魚は、遊泳槽内の壁面を認識し易くなり同壁面を避けながら遊泳することができる。これにより、マグロの未成魚が驚愕行動に陥った場合を含めてマグロの未成魚の壁面への衝突を抑制することができ、結果として、マグロの未成魚を長期間に亘って生存させることができる。
【0019】
また、本発明は、マグロの飼育、保管または輸送方法として実施できるばかりでなく、マグロの驚愕行動防止方法およびマグロの食欲増進方法の発明としてもそれぞれ実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(A),(B)は本発明の一実施形態に係るマグロの飼育に用いるマグロの遊泳槽および照明具の構成を模式的に示す図であって、(A)は遊泳槽と4つの照明具との位置関係を示した平面図であり、(B)は遊泳槽と1つの照明具との位置関係を示した側面断面図である。
【図2】飼育実験に用いたマグロの遊泳槽および照明具の構成を模式的に示す平面図である。
【図3】明環境条件と暗環境条件とにおける飼育週数に対する生残率の推移を示した飼育実験結果グラフである。
【図4】明環境条件と暗環境条件とにおける飼育週数に対する平均摂食量の関係を示した飼育実験結果グラフである。
【図5】飼育実験に用いたマグロの他の遊泳槽および照明具の構成を模式的に示す平面図である。
【図6】略均一な照度環境条件における飼育週数に対する生残率の推移を示した飼育実験結果グラフである。
【図7】略均一な照度環境条件における飼育週数に対する平均摂食量の関係を示した飼育実験結果グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るマグロの飼育、保管または輸送方法、マグロの驚愕行動防止方法およびマグロの食欲増進方法の一実施形態について図面を参照しながら説明する。図1(A),(B)は、本発明に係るマグロの飼育に用いるマグロの遊泳槽10および照明具20の構成を模式的に示す図であって、(A)は遊泳槽10と4つの照明具20との位置関係を示した平面図であり、(B)は遊泳槽10と1つの照明具20との位置関係を示した側面断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。
【0022】
遊泳槽10は、マグロを飼育するための水槽であり、シート材を上方が開放した有底円筒状に張って構成されている。本実施形態においては、遊泳槽10は、直径が5m、深さが1.5mに形成されているとともに、遊泳槽10内に約1mの深さで飼育水が満たされている。この遊泳槽10の中央部には円筒状の取水管11が起立した状態で設けられている。取水管11は、遊泳槽10内の飼育水を取水して遊泳槽10内の水位を一定に保つとともに取水した飼育水を図示しない排水口および図示しない濾過設備にそれぞれ導くための管体である。濾過設備(図示せず)は、遊泳槽10内の飼育水を殺菌濾過することにより浄化して再び遊泳槽10に帰還させるための装置である。したがって、遊泳槽10内におけるマグロが遊泳可能な領域は、遊泳槽10の内壁と取水管11との間のリング状の空間部分となる。
【0023】
遊泳槽10の上方には、図示しない支持部材を介して4つの照明具20が設けられている。照明具20は、遊泳槽10内を照らすための照明器具であり、広い範囲に均一な照度の光を照射することができる投光器で構成されている。この照明具20は、遊泳槽10の水面を略均等な照度で照らすために遊泳槽10の周方向に沿って略均等に配置されている。具体的には、各照明具20がそれぞれ前方(投光方向)に配置される照明具20の直下および後方を照射範囲に含めつつ遊泳槽10の内壁に向って光を照射する向きでそれぞれ設置されている。なお、図1(B)においては、遊泳槽10の壁面に対する照明具20の向きの理解を容易にするため、敢えて照明具20を1つのみ示すとともに、照明具20から照射される照射光を破線で示している。
【0024】
この場合、「略均一な照度」とは、人間の目視によって暗部が確認できない程度の均一さであって、敢えて明部と暗部との照度差を数値化するとすれば明部に対する暗部の照度差が約−15%以内と考えられる。これらの照明具20は、図示しない照度制御装置にそれぞれ接続されている。照度制御装置は、作業者による設定値に応じて照明具20の照度を0lx(lx:ルクス)〜500lxまでの範囲で連続的に変化させることができる制御装置である。
【0025】
また、この遊泳槽10には、遊泳槽10内に新規の飼育水を導く導水管(図示せず)、遊泳槽10内の飼育水に酸素を供給するためのエアレーション設備(図示せず)および飼育水を循環させるためのポンプなどの魚類を飼育するために一般的に必要な他の設備を備えている。しかし、これらの各設備については、本発明に直接関わらないため、その説明は省略する。そして、このように構成された遊泳槽10および照明具20は、夜間における外部からの入射光(主として人為的な光)を遮断するとともに日中における自然光を採り入れることができる図示しない建屋内に設置されている。すなわち、本実施形態におけるマグロの飼育は、陸上に設置した遊泳槽10内で行なわれる。この場合、遊泳槽10を収容する建屋は、遊泳槽10に対して直射日光や直射日光に基づく影を遊泳槽10に当てない構造となっている。
【0026】
次に、このように構成された遊泳槽10および照明具20を用いてマグロの未成魚を飼育する方法について説明する。まず、マグロの未成魚を飼育する飼育者は、遊泳槽10内にマグロの未成魚を投入する前に、遊泳槽10の水面における照度環境を整える。この場合、本実施形態においては、日中における遊泳槽10の水面の照度を自然光および照明具20によって所定の照度に維持するとともに、夜間における遊泳槽10の水面の照度を照明具20によって所定の照度に維持する。具体的には、飼育者は、遊泳槽10を収容する建屋内に自然光を採り入れるとともに、図示しない前記照度制御装置を操作することにより照明具20を点灯させる。この場合、飼育者は、照明具20による遊泳槽10の水面付近における照度を約10lxに設定する。
【0027】
次に、飼育者は、マグロの未成魚を用意する。この場合、マグロの未成魚とは、生後約13週目前後(体長(尾叉長)が約200mm以上)以降であって生殖能力を備えるまでの間のマグロの幼魚または若魚である。具体的には、飼育者は、近海で捕獲した生後約13週目前後の天然幼魚(通称ヨコワ)を遊泳槽10内に放す。この場合、飼育者は、海で捕獲したマグロの未成魚を一旦海面に設置した生簀で暫く飼育した後に遊泳槽10に移すようにするとよい。これにより、マグロの未成魚に与えるストレスを分散してその後の生残率の低下を抑制することができる。なお、天然幼魚は、産卵日やふ化した日が正確には不明である。したがって、「生後約13週目前後」とは、前記したように、捕獲した天然幼魚の体長、体重またはマグロの捕獲日と一般的に知られているマグロの産卵期とから推定したものである。
【0028】
遊泳槽10内でのマグロの未成魚の飼育においては、日中における遊泳槽10の水面の照度は建屋内に入る自然光によって1000lx以上の略均一な照度に保たれる。これにより、遊泳槽10内のマグロの未成魚は、驚愕行動に陥らない安定した状態で遊泳槽10内を遊泳するとともに、遊泳槽10内に投入される餌を早期に認識して摂食することができる。また、この場合、遊泳槽10の水面に何らかの物体の影、例えば照明具20の影によって暗部が生じた場合であっても、同暗部の周囲に1000lx以上の照度の明部が存在しているため、マグロの未成魚の視界が十分確保されて同マグロの未成魚が驚愕行動に陥る危険性は低い。
【0029】
一方、夜間においては、建屋内には自然光が入らないとともに外光が遮断された状態であるため、遊泳槽10の水面は照明具20のみによって約10lxの照度環境が保たれる。この場合、遊泳槽10の水面は、4つの照明具20および同4つの照明具20の配置により全面において略均一な照度となっている。これにより、遊泳槽10内のマグロの未成魚は、驚愕行動に陥らない安定した状態で遊泳槽10内を遊泳することができる。なお、この場合、遊泳槽10内に餌を投入した場合、マグロの未成魚が餌を認識することができれば摂食することもあるが、日中に比べて運動量が少なくなるとともに餌の存在が認識し難くなるため摂食量は少なくなる。
【0030】
また、照明具20は、遊泳槽20の壁面を照らすように配置されている。このため、遊泳槽10内のマグロの未成魚は、遊泳槽10内の壁面を認識し易くなり同壁面を避けながら遊泳することができる。これにより、マグロの未成魚が驚愕行動に陥った場合を含めてマグロの未成魚の壁面への衝突を抑制することができる。
【0031】
また、夜明け時および夕暮れ時においては、遊泳槽10の水面は自然光により略均一な照度で徐々に明るくまたは暗く変化する。具体的には、夜明け時においては、照明具20によって約10lxの照度に保たれた遊泳槽10の水面が夜明けとともに建屋に入る自然光によって次第に照度が上昇する。また、夕暮れ時においては、日没とともに自然光が徐々に減少するため遊泳槽10の水面の照度は徐々に低下した後、照明具20によって約10lxの照度に保たれる。すなわち、夜明け時および夕暮れ時において遊泳槽10の水面の照度は急激に変化しない。これにより、夜明け時および夕暮れ時において、照度環境の急変によるマグロの未成魚の驚愕行動を防止できる。そして、飼育者は、このような照度環境の下でマグロの未成魚を少なくとも生後約52週(生後約1年)の間飼育する。
【0032】
(実験内容と実験結果)
次に、本発明者らが行なった実験とその実験結果について説明する。本発明者らは、遊泳槽10の水面における照度の均一さがマグロの未成魚の生残率に与える影響を明らかにするため、遊泳槽10の水面における照度にムラが存在する遊泳槽10と遊泳槽10の水面における照度を略均一とした遊泳槽10とにおいてそれぞれ生残率の推移を調べた。
【0033】
具体的には、本発明者らは、遊泳槽10の水面における照度にムラが存在する遊泳槽10として、図2に示すように、遊泳槽10の上方において2つの投光器からなる照明具20を遊泳槽10の中心部を挟んで対向配置した遊泳槽を2つ用意した。この場合、2つの遊泳槽10は、外光が一切入らない完全に遮光された建屋内にそれぞれ設置した。また、2つの照明具20は、それぞれ配置された周辺の水面を照らす向きでそれぞれ設けられている。これにより、各遊泳槽10の水面には、2つの照明具20をそれぞれ中心として明部Lが形成されるとともに、これら2つの照明具20の間の中間部を中心として暗部Dが形成される。なお、この場合、遊泳槽10の水面における明部Lと暗部Dとは明確な境界を持って形成されるものではなく、2つの照明具20からの距離に応じて照度が漸次的に変化しながら形成されるものである。
【0034】
また、2つの遊泳槽10は、水面における照度がそれぞれ異なる照度に設定されている。具体的には、一方の遊泳槽10は、照明具20の直下の明部Lにて約100lxの照度が設定された明環境条件である。この場合、明環境条件である遊泳槽10における2つの照明具20間の中間部に形成された暗部Dでの照度は約60lxとなる。一方、他方の遊泳槽10は、照明具20の直下の明部Lにて約30lxの照度が設定された暗環境条件である。この場合、暗環境条件である遊泳槽10における2つの照明具20間の中間部に形成された暗部Dでの照度は約10lxとなる。そして、これら2つの遊泳槽10における各照度は、24時間それぞれ一定の照度に保たれる。
【0035】
本発明者らは、以上の照度環境条件にてマグロの未成魚(生後約13週目前後)を遊泳槽10に投入後23週間に亘って飼育した。この飼育実験の結果、図3に示すように、明環境条件の遊泳槽10で飼育したマグロの未成魚の生残率(丸印で示す)と暗環境条件の遊泳槽10で飼育したマグロの未成魚の生残率(バツ印で示す)とは共に約20%であり略同じ生残率となった。すなわち、遊泳槽10の水面において照度差(ムラ)を設けることにより約10ヶ月間で約8割のマグロの未成魚が死滅することになる。また、本発明者らには、本飼育実験において、遊泳槽10内を遊泳するマグロの未成魚が暗部を避けるように遊泳することを確認した。なお、図3においては、各遊泳槽10にマグロの未成魚を投入した日から1週間経過した後の生残率を調べた。これは、マグロの未成魚を移送した後約1週間は、環境変化によるストレスによって照度環境とは無関係に死亡する個体が生じることによる。
【0036】
また、本飼育実験にて2つの遊泳槽10内でそれぞれ飼育した各マグロの未成魚の1個体が1日に摂食した餌の1週間ごとの平均量を図4に示す。図4に示される飼育実験結果によれば、明らかに明環境条件で飼育したマグロの未成魚の摂食量が暗環境条件で飼育したマグロの未成魚の摂食量よりも多い。これは、遊泳槽10内の照度が高い場合には、マグロの未成魚が遊泳槽10内に投入された餌の存在を容易に認識できるためと考えられる。したがって、マグロの未成魚に対して給餌を行う際には、遊泳槽10内の照度を高く設定、具体的には遊泳槽10の水面にて約100lx以上の照度を確保すると良いと考えられる。
【0037】
これに対し、本発明者らは、遊泳槽10の水面における照度を略均一とした遊泳槽10として、4つの投光器からなる照明具20を遊泳槽10の周方向に沿って均等配置した2つの遊泳槽10(図1参照)と、図5に示すように、8つの蛍光灯からなる照明具20を遊泳槽10の周方向に沿って均等配置した1つの遊泳槽10とをそれぞれ用意した。この場合、3つの遊泳槽10は、前記と同様に、外光が一切入らない完全に遮光された建屋内にそれぞれ設置している。
【0038】
また、8つの蛍光灯で構成された照明具20は、鉛直下向きで遊泳槽10の水面を照らす向きでそれぞれ設けられている。これにより、各遊泳槽10の水面は、略均一な照度で照らされる。本実験においては、遊泳槽10の水面を略均一な約400lxの照度で照らす。この場合、「略均一な照度」とは、前記したように、人間の目視によって暗部が確認できない程度の均一さであって、敢えて明部と暗部との照度差を数値化するとすれば明部に対する暗部の照度差が約−15%以内と考えられる。
【0039】
また、3つの遊泳槽10のうち、4つの投光器からなる照明具20を備えた2つの遊泳槽10の一方の遊泳槽10および8つの蛍光灯からなる照明具20を備えた遊泳槽10は、24時間それぞれ一定の照度に設定されている。一方、3つの遊泳槽10のうち、4つの投光器からなる照明具20を備えた2つの遊泳槽10の他方の遊泳槽10は、日中は約400lxの照度で遊泳槽10の水面を照らすとともに、夜間は約10lxの照度で遊泳槽10の水面を照らすように設定されている。この場合、本実験においての「日中」とは、午前7時〜午後8時までの13時間であり、「夜間」とは午後9時〜翌朝午前6時までの9時間である。そして、午前6時〜午前7時までの1時間は、遊泳槽10の水面の照度を約10lxから約400lxに1時間を掛けて徐々に増加させるように設定されている。一方、午後8時〜午後9時までの1時間は、遊泳槽10の水面の照度を約400lxから約10lxに1時間を掛けて徐々に減少させるように設定されている。これらの照度制御は、上記実施形態における照度制御装置により毎日自動的に行なわれる。
【0040】
本発明者らは、以上の照度環境条件にてマグロの未成魚(生後約13週目前後)を各遊泳槽10に投入後28週間に亘って飼育した。この飼育実験の結果、図6に示すように、蛍光灯による24時間約400lxの照度で照らした遊泳槽10(四角印で示す)のマグロの未成魚の生残率が最も高く約55%であった。次いで、投光器による照度を昼夜において変化させた遊泳槽10(丸印で示す)のマグロの未成魚の生残率が約50%であり、投光器による24時間約400lxの照度で照らした遊泳槽10(三角印で示す)のマグロの未成魚の生残率が約45%であった。すなわち、いずれの遊泳槽10においても、前記照度にムラが存在する遊泳槽10で飼育したマグロの未成魚の生残率よりも2倍以上高い生残率となった。
【0041】
このことから、マグロの未成魚は、遊泳槽10の水面の照度を略均一に保つことで生残率を向上させることができると考えられる。この場合、本発明者らによる観察によれば、遊泳槽10の照度環境を0lxに近づけるとマグロの未成魚の遊泳状態が極めて不安定になる。これは、マグロの未成魚が自己の周辺状況を視覚で把握できなくなるためと考えられる。したがって、本発明者らの飼育観察よれば、遊泳槽10内においてマグロの未成魚が自己の周辺状況が視覚で把握できる程度の照度、敢えて照度を数値化するとすれば少なくとも約10lx以上の照度を保つことにより比較的安定した状態でマグロの未成魚を飼育することができると考えられる。
【0042】
また、本飼育実験にて2つの遊泳槽10内でそれぞれ飼育した各マグロの未成魚の1個体が1日に摂食した餌の1週間ごとの平均量を図7に示す。図7に示される実験結果によれば、飼育週第1週目(生後約14週目)〜飼育週第15週目(生後約28週目)までの間においては、飼育週第10週目の除いた総ての週で蛍光灯による24時間約400lxの照度で照らした遊泳槽10のマグロの未成魚の摂食量が最も多い。また、飼育週第16週目(生後約29週目)〜飼育週第28週目(生後約41週目)までの間においては、総ての週で投光器による照度を昼夜において変化させた遊泳槽10の摂食量が最も多い。
【0043】
このように生後約14週目〜生後約28週目までの間において蛍光灯による24時間約400lxの照度で照らした遊泳槽10で飼育したマグロの未成魚の摂食量が最も多くなる原因は正確には不明であるが、蛍光灯による光の波長の種類や蛍光灯による照度の均一さがマグロの未成魚の嗜好により近かったのではないかと考えられる。そして、この結果、マグロの未成魚の運動量の増加による消費エネルギの増大と、遊泳槽10内に投入される餌の認識のし易さとにより摂食量が増大したと考えられる。このため、生後約14週目前後〜生後約28週目前後までのマグロの未成魚の飼育においては、照明具20として蛍光灯を用いること、または照明具20といて投光器を用いる場合には設置数を増やして遊泳槽10の水面の照度をより均一に保つことでマグロの未成魚の摂食量を増加させることができ、結果としてマグロの未成魚の生残率を向上させることができると考えられる。
【0044】
一方、生後約29週目〜生後約41週目までの間において投光器による照度を昼夜において変化させた遊泳槽10で飼育したマグロの未成魚の摂食量が最も多くなる原因は正確には不明であるが、遊泳槽10内における飼育においても自然界と同様の昼夜の照度変化を与えることがマグロの未成魚の嗜好により近かったのではないかと考えられる。そして、この結果、マグロの未成魚の運動量の増加による消費エネルギの増大と、遊泳槽10内に投入される餌の認識のし易さとにより摂食量が増大したと考えられる。このため、生後約29週目前後以降のマグロの未成魚の飼育においては、日中に高照度とするとともに夜間に低照度とする照度変化を与えることによりマグロの未成魚の摂食量を増加させることができ、結果としてマグロの未成魚の生残率を向上させることができると考えられる。なお、この場合、日中を低照度とするとともに夜間を高照度とする照度変化であってもよいと考えられるが、エネルギ効率の観点にからこのような昼夜逆転の照度変化を敢えて採用する意義は小さいと考える。
【0045】
上記作動説明および実験結果からも理解できるように、上記実施形態によれば、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を日中は1000lx以上の照度を保つとともに、夜間は約10lxの照度を略均一に保っている。これにより、本発明者らによる実験および飼育観察によれば、マグロの未成魚は光が全く存在しない0lxに近い暗環境下においては挙動が不安定となって生簀内の障害物に衝突することがある一方、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面付近で約10lx程度の照度を略均一で保った環境下においては比較的安定した様子で遊泳することを確認した。このことから、マグロの未成魚は、必要最小限の視界が確保されていれば、視界内の明るさの程度よりも同視界内の暗部の存在に不安感が増長されると考えられる。
【0046】
したがって、マグロの未成魚を飼育、保管または輸送する際においては、マグロの未成魚が遊泳する領域内おいて自己の周囲の様子が視認できないまたは視認し難い領域となる暗部が生じない環境を整えることが必要である。この場合、マグロの未成魚が遊泳する領域内に暗部が存在していた場合であっても、その暗部内の様子がマグロの未成魚が視認できる場合、換言すれば、マグロの未成魚が暗部内の様子が視認できる程度に暗部の周囲が明るい場合、具体的には1000lx以上の照度環境下ではマグロの未成魚に不安感を与えることが少ないと考えられる。そして、このような環境を整えることによって、マグロの未成魚の警戒心を緩和することができ、結果として食欲増進および驚愕行動の抑制に繋がると考えられる。この場合、本発明者らの実験によれば、上記したように生後約41週目において約55%の生残率を確認している。また、この場合、マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面の照度は10lxであるため、照度維持のための経済的負担も少なくなり極めて経済的である。これらの結果、マグロの未成魚を長期間に亘って経済的に生存させることができる。
【0047】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0048】
例えば、上記実施形態においては、照明具20を24時間約10lxの照度で点灯し続ける構成とした。しかし、上記実施形態においては、日中は建屋外部からの自然光によって遊泳槽10の水面を1000lx以上の照度に保っている。このため、日中においては照明具20を使用せず消灯しておいてもよい。これによれば、日中における照明具20の点灯コストを削減することができマグロの未成魚の飼育コストを低減することができる。なお、夜間にのみ照明具20を使用する場合には、照明具20の消灯および点灯によってマグロの未成魚が驚かないように何ならかの手当て、例えば、前記したように徐々に照度を変化させたり、十分に照度が高いときに照明具20を消灯および点灯したりするなどの工夫が必要である。
【0049】
また、例えば、上記実施形態においては、夜間における遊泳槽10の水面の照度を10lxに設定した。しかし、遊泳槽10の水面の照度は、マグロの未成魚が自己の周辺状況が視覚で把握できる程度の照度以上の照度であれば、上記実施形態に限定されるものではない。すなわち、10lx以上の照度でマグロの未成魚を飼育してもよいことは当然である。この場合、1000lx未満の照度でマグロの未成魚の飼育を行なう場合には、遊泳槽10の水面の照度を略均一に保つ必要がある。
【0050】
この場合、本発明者らによる上記実験および観察によれば、日中における遊泳槽10の水面の照度を50lx以上に保つとともに、夜間における前記照度を50lx未満に保つことが好適と考えられる。これは、日中の照度を50lx以上、より好ましくは100lx以上に保つことにより、マグロの未成魚の運動量の増加による消費エネルギの増大と、遊泳槽10内に投入される餌の認識のし易さとにより摂食量の増大が期待できるとともに、夜間における照度を50lx未満に保つことにより照明具20の点灯コストを抑えることができる。また、この場合、上記実験結果に示したように、生後約29週目前後以降のマグロの未成魚の飼育においては、日中に高照度とするとともに夜間に低照度とする照度変化を与えることによりマグロの未成魚の摂食量を増加させることができ、結果としてマグロの未成魚の生残率を向上させることができると考えられる。
【0051】
また、例えば、上記実施形態においては、照明具20によって遊泳槽10の壁面を照らすように構成した。しかし、遊泳槽10の壁面へのマグロの未成魚の衝突の心配がない場合には、必ずしも、照明具20によって遊泳槽10の壁面を照らす必要はない。
【0052】
また、例えば、上記実施形態においては、遊泳槽10を自然光を採り入れ可能な建屋内に設置した。しかし、遊泳槽10は、外部からの光を完全に遮断した建屋内に設置することもできる。この場合、遊泳槽10の水面の照度は、照明具20によって24時間行なうことになる。この場合、照明具20による照度管理においては、24時間一定の照度を保つようにしてもよいし、前記実験内容に示すように昼夜において照度を変化させるようにしてもよい。また、さらに、マグロの未成魚への給餌時にのみ照度を上げて(例えば100lx以上)、それ以外の時間を約10lx程度の照度とするようにしてもよいと考えられる。この場合、照度を上げる際、および照度を下げる際にはマグロの未成魚を驚かさないようにする手当て、例えば、前記したように徐々に照度を変化させるようにすることが必要となる。これによれば、照明具20の点灯コストを削減することができマグロの未成魚の飼育コストを低減することができる。また、遊泳槽10を網で構成された生簀として海面に設置することができる。この場合、生簀の周りに照明具20に相当する照明器具を配置して夜間における均一な照度を保つようにする。
【0053】
また、例えば、上記実施形態においては、4つの投光器により照明部具20を構成した。しかし、照明具20を構成する照明器具やその数は、遊泳槽10の水面を略均一な照度に維持できるものであれば、当然、上記実施形態に限定されるものではい。例えば、蛍光灯やLEDなどによって照明器具を構成してもよい。この場合、前記実験結果でも示したように、生後約14週目前後〜生後約28週目前後までのマグロの未成魚の飼育においては、照明具20として蛍光灯を用いることが好適と考えられる。また、照明具20の設置数も4つ以上配置するようにしてもよいし、略均一な照度が確保できるのであれば3つ以下であってもよい。なお、照明具20は、必ずしも人工的な機械装置でなくてもよく、上記実施形態のように自然光を用いて遊泳槽10の水面の照度を保つようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態においては、本発明をマグロの未成魚の飼育に適用した例について説明した。しかし、本発明は、マグロの未成魚の保管や輸送時に適用きるものである。また、マグロの未成魚の飼育、保管および輸送時において、同マグロの未成魚の驚愕行動防止方法およびマグロの食欲増進方法としても実施できるものである。これらによっても、上記実施形態と同様の効果が期待できる。
【0055】
また、上記実施形態においては、マグロの未成魚としてクロマグロ(本マグロともいう)を対象とした。しかし、他の種類のマグロ、例えば、キハダマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロなどのマグロ類に属する魚種に広く適用できるものと考える。
【符号の説明】
【0056】
L…明部、D…暗部、10…遊泳槽、11…取水管、20…照明具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を、少なくとも10lx以上の照度に保つとともに、同照度が10lx以上かつ1000lx未満の範囲内において前記遊泳槽の水面を略均一な照度に保つことを特徴とするマグロの飼育、保管または輸送方法。
【請求項2】
請求項1に記載したマグロの飼育、保管または輸送方法において、
前記マグロの未成魚の給餌時における前記照度を、少なくとも100lx以上に保つことを特徴とするマグロの飼育、保管または輸送方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載したマグロの飼育、保管または輸送方法において、
日中における前記照度を50lx以上に保つとともに、夜間における前記照度を50lx未満に保つことを特徴とするマグロの飼育、保管または輸送方法。
【請求項4】
請求項3に記載したマグロの飼育、保管または輸送方法において、
前記マグロの未成魚は、生後約29週目以降であることを特徴とするマグロの飼育、保管または輸送方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載したマグロの飼育、保管または輸送方法において、
前記遊泳槽の水面における前記照度を保つために照明器具を用い、
前記照明器具は、前記遊泳槽における壁面を照らすことを特徴とするマグロの飼育、保管または輸送方法。
【請求項6】
マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を、少なくとも10lx以上の照度に保つとともに、同照度が10lx以上かつ1000lx未満の範囲内において前記遊泳領域上の水面を略均一な照度に保つことを特徴とするマグロの驚愕行動防止方法。
【請求項7】
マグロの未成魚が遊泳する遊泳槽の水面を、少なくとも10lx以上の照度に保つとともに、同照度が10lx以上かつ1000lx未満の範囲内において前記遊泳領域上の水面を略均一な照度に保つことを特徴とするマグロの食欲増進方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−19485(P2011−19485A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169590(P2009−169590)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(306036266)WHA株式会社 (5)
【出願人】(000125369)学校法人東海大学 (352)
【Fターム(参考)】