マスカラ等の塗布具
【課題】 マスカラブラシにおいて、ブラシ毛が設けられた塗布部をブラシ軸を回転させることなく塗布部の外周面に付着したマスカラ墨を睫に塗布できる塗布具を提供する。
【解決手段】 マスカラ等のブラシにおいて、ブラシ毛を円又は楕円等の輪状に作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の平面曲線または空間曲線の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして、ブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を3次元の空間曲線形状としたマスカラ等のブラシ。
【解決手段】 マスカラ等のブラシにおいて、ブラシ毛を円又は楕円等の輪状に作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の平面曲線または空間曲線の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして、ブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を3次元の空間曲線形状としたマスカラ等のブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスカラブラシ等の塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマスカラブラシにおいて、ブラシ毛にマスカラ墨を多く付着させる方法として、ブラシ毛を凹凸に加工したもの(例えば、特許文献1参照。)とか、ブラシ毛が植毛されているブラシ軸を円弧状にしたもの(例えば、特許文献2参照。)などがある。
【特許文献1】特開2002−129477号公報
【特許文献2】実開昭58−88912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マスカラブラシにおいて、ブラシ毛に付着するマスカラ墨の量を多くして、睫に多くのマスカラ墨を優しく撫でるように塗布し、輪状のブラシ毛の外側で睫の上のマスカラ墨に圧力をかけて、マスカラ墨を睫に押さえ付けて接着し、現在マスカラ市場トレンドのボリューム、ロングおよびカールを簡単にして、マスカラ墨を睫に塗布できるようにする。
【0004】
マスカラブラシは、マスカラ墨を睫に塗布することと、墨を塗布した睫の形を整える役割が要求される。ブラシ毛としては、絵筆や毛筆に使用されるような柔らかな毛では、ブラシへのマスカラ墨の付着は良いが睫への転写性が悪く、また、睫の形を整える性能に欠けるという問題を有している。
そのため、現在市販されているマスカラブラシの多くは、ブラシ軸を中心にして放射状に直線状の硬いブラシ毛を植毛したタイプのものである。このタイプのブラシは、ブラシ軸からブラシ毛の先端に向って、ブラシ毛とブラシ毛の間隔が開いた形となっており、タワシやビンの内側を洗浄するブラシと同様に、マスカラ墨などの液体の保持性が悪く、更にはブラシの使用方法によってブラシ毛の先端が一度睫に付けたマスカラ墨を引っ掻き、睫でマスカラ墨がダマになりやすいなどの問題を生じていた。
【0005】
市販のマスカラブラシにはブラシ毛を植設した塗布部を真っ直ぐな棒状(直線状)としたものもあるが、目を開いた状態では睫は上瞼に円弧状に付いているため、ブラシが直線状では均一に塗布できない。そのため、睫の形状に合わせて塗布部を円弧状としたものなどが提案されているが、睫は瞼に沿った形状のほかに睫毛はその先端が上方にカールするなど人の好みによって種々の形が採られている。
上記のことから、塗布部が単に平面的な円弧状のブラシでは均一な塗布が難しいため、立体形状の睫に容易に塗布できる塗布具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のとおり、マスカラブラシの塗布部に付着させたマスカラ墨を睫に付着させるには、塗布部の外周面に付着した墨を塗布部を回転させて睫に転写させるのがより効率的である。本発明は、マスカラ墨の付着・転写性がよく、かつ、容易に塗付部を回転塗付できるマスカラ等の塗布具、より具体的にはブラシを提供せんとするものである。
本発明のマスカラ等の塗布具は、塗布部を3次元の空間曲線状にしたことを特徴とするものである。
3次元の空間曲線状とは、好ましくは、塗布部の形状が塗布部の長さ方向に対して、緩やかな螺旋形状、より好ましくは半螺旋形状のものである。
【0007】
本発明はまた、マスカラのブラシ毛において、ブラシ毛を円又は楕円等の輪状に作り、このブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の平面曲線又は空間曲線の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして、ブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を3次元の空間曲線状にしてブラシ毛の塗布部を空間曲線状にしたマスカラ等のブラシに関するものである。
更に本発明は、輪状のブラシ毛の2以上を対ないしは組として輪面を対向させてブラシ軸上に配置してマスカラ墨等の液体のブラシへの保持量を改善したブラシである。
【発明の効果】
【0008】
本発明はマスカラブラシ等の塗付具の塗付部の形状を三次元の空間曲線状にしたのでブラシの外周面に沿って付着したマスカラ墨を容易に睫に転写・塗布でき、かつ、ブラシ毛を特殊な形状及び配置のものとすることによって簡単に大量のマスカラ墨を睫に塗布することができる。
ブラシ毛を円又は楕円等の輪状のものとしたとき、ブラシ毛の輪が睫にあたるため従来の針状のブラシ毛のようにブラシ毛の先端で睫を強く擦ることがなく、輪状のブラシ毛の外側で睫の上のマスカラ墨に圧力をかけて、マスカラ墨を睫に押さえ付けて接着し、大量のマスカラ墨を睫に塗ることができる。マスカラ墨を睫に載せやすくしたことで、現在マスカラの市場トレンドのボリューム、ロングおよびカールを簡単にして、マスカラ墨を睫に塗布できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の塗布具は、基本的に、適当な長さを有する塗布部とこれを支持する塗布棒(柄又は把手)とからなり、より具体的には、塗布棒の長手方向の端にブラシ軸の外周面にブラシ毛が植毛されるか又は塗布部材が装着された塗布部とからなっている。
塗布部は、ブラシ軸にはブラシ毛を設けたもののほかに、塗布部材としてスポンジ状のゴム又はプラスチック、不織布、綿塊などの繊維の塊で作られたもの、及びこれらの類似品などで構成しても良い。
ブラシ軸は、プラスチックや金属の細い棒や線(ワイヤー)で構成されるが、ブラシ軸を三次元の曲線状に加工することや、ブラシ毛を挟んで捻ることでブラシ毛を固定することから、好ましくは針金などの金属線が用いられる。これらの軸部材は特に限定されないが、ステンレススチール線の場合、0.05〜2mm程度、好ましくは0.3〜1mm程度の太さのものを2〜4本撚りあわせてブラシ毛を軸とすると良い。
【0010】
本発明における塗付部の三次元の空間曲線状の形状は、具体的には、塗布部の長さ方向に延びる螺旋形状で、その形状は塗布部の全長で螺旋が一回転(塗布部の先端側から見たとき円形に見える)となるようにしても良く、好ましくは塗布部の全長で螺旋が半回転(半円)ないし2/3回転となる程度である。螺旋形状は塗布部の全長に亘って同じ曲率とする。螺旋構造は右巻き、左巻き(時計廻り)のいずれでも良く、使用者の右利き、左利きに応じて選択して使用される。
塗布部の長さは特に限定されないが、マスカラブラシの場合には、15〜40mm程度、好ましくは15〜35mm、より好ましくは15〜30mm程度とすると良く、螺旋の径としては、ブラシ軸の中心点が描く螺旋形状の径として、2〜10mm程度、好ましくは4〜8mm、より好ましくは6〜8mm程度とすると良い。
塗布部を支持する塗布棒はこの種のブラシで通常用いられているものが使用される。
【0011】
塗布部に設けるブラシ毛としては、従来知られている直線状のブラシ毛のほかに輪状のブラシ毛を用いる。
輪状のブラシ毛を用いたブラシとしては下記のものがある。
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にして、ブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【0012】
円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【0013】
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【0014】
円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【0015】
上記において、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにするとは、ブラシ軸の長手方向に対して平行(0°)から直角(90°)の方向となることを示す。
輪状のブラシ毛のブラシ軸への植毛方法については種々の方法があるが、一例としてはステンレス線等の軸部材に予め輪状に作成したブラシ毛を適当な間隔で所要数配列し、このようにした軸部材を2〜3本撚りあわせることによって作成しても良い。
輪状のブラシ毛は、弾力性又は保形性のあるプラスチック繊維、合成繊維、金属線を輪状にブラシ軸に植毛するか、プラスチックフィルムや金属箔から輪状に作成したものを用いても良い。ブラシ毛の長さ、輪状のブラシ毛の輪の軸からの高さ等は、通常マスカラブラシで用いられて範囲で用いることができ、2〜10mmの範囲で選択使用される。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
実施例1
図1において、図1(B)に示すような平面曲線の円の輪状のブラシ毛Aを耐熱性のあるプラスチックで作り、熱可塑性プラスチックで細い棒状のブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Aの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して90°になるようにしてブラシ毛Aをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作成した(図1(A))。このようにして作成した塗布部を加熱してブラシ軸を三次元の曲線状に加工し、塗布棒(柄)を付けてマスカラ等のブラシとした。
【0017】
実施例2
図2において、ポリアミド系の合成高分子化合物でブラシ毛Bを作り、空間曲線の円の輪状のブラシ毛Bを作り、合成樹脂でブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Bの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して直角にして(ブラシ毛Bの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して90°になるようにして)、ブラシ毛Bをブラシ軸Pに植毛した塗布部を作成した。得られた塗布部を実施例1と同様に加工してマスカラ等のブラシを得た。
【0018】
実施例3
図3において、平面曲線の楕円の輪状のブラシ毛Cを作り、高分子化合物でブラシ毛Cを作り、高分子化合物でブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Cの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して45°になるようにして、ブラシ毛Cをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作った。以下実施例1と同様にしてマスカラ等のブラシを得た。
【0019】
実施例4
図4において、平面曲線の円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛Dを作り、第一のブラシ毛Dの内側に平面曲線の円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛Eを作り、合成ゴムで第一のブラシ毛Dおよび第二のブラシ毛Eを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとを同一平面に組み合わせ、合成ゴムでブラシ軸Pを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して80°になるようにして、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作成した。本例の場合、ブラシ軸Pとして金属線を用い三次元の曲線状に加工し、塗布棒(柄)を付けて本発明のマスカラ等のブラシとした。
【0020】
実施例5
図5において、空間曲線の円又は楕円等の輪状のブラシ毛Fを作り、ステンレス針金でブラシ毛Fを作り、ステンレス針金でブラシ軸Pを作り、輪状のブラシ毛Fの一部を変形してブラシ毛Fの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して85°になるようにして、ブラシ毛Fをブラシ軸Pに植毛した。以下、実施例4と同様にしてマスカラ等のブラシを得た。
【0021】
実施例6
図6において、平面曲線の円又は楕円等の輪状のブラシ毛Fを作り、ナイロンでブラシ毛Fを作り、プラスチックでブラシ軸Pを作り、輪状のブラシ毛Fの一部を変形して、ブラシ毛Fの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して85°になるようにして、ブラシ毛Fをブラシ軸Pに植毛し、ナイロンで真っ直ぐなブラシ毛Gを作り、複数の真っ直ぐなブラシ毛Gをブラシ軸Pに植毛して塗布部を作成した。この塗布部を実施例1と同様に処理してマスカラ等のブラシを得た。
【0022】
実施例7
図7において、平面曲線の円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛Dを作り、第一のブラシ毛Dの内側に平面曲線の円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛Eを作り、金属線で第一のブラシ毛Dおよび第二のブラシ毛Eを作り、金属線でブラシ軸Pを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとを同一平面に組み合わせ、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して80°になるようにして、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとをブラシ軸Pに植毛し、金属線で真っ直ぐなブラシ毛Hを作り、複数の真っ直ぐなブラシ毛Hをブラシ軸Pに植毛して塗布部を作った。以下、実施例4と同様にしてマスカラ等のブラシとした。
【0023】
実施例8
図8(A)及び図9(A)は本発明の実施例のブラシの側面図で、図8(B)及び図9(B)は前記(A)のブラシの塗布棒Kをその長手軸を中心に90°回転させた(図中の矢印方向に回転させた)ブラシの側面図を示す。図8はブラシ軸Pが塗布棒Kに付いた状態を示し、図9はブラシ軸Pにブラシ毛Jが植毛されたブラシの形状を示す。
図10は塗布部の螺旋形状を説明するための模式図である。中心線Yに対して塗布部Tが螺旋形状となっている状態を示す。螺旋の曲率は塗布部の全長において均等とし、途中で他と異なる曲率にはならないものとする。図中、Kは塗布棒、K1は図示しないブラシケースのキャップを兼ねた把手を示す。
【0024】
本発明のブラシは、図11に示すようにブラシ毛Aが適当な面積を有する円形ないし楕円形の輪状であるので、この輪の部分にマスカラ墨M等の液体が保持されるほか、この輪状のブラシ毛Aを適当な間隔で向き合わせることで、図12に示すように輪状のブラシ毛とAブラシ毛Aの間にもマスカラ墨Mを保持させることができる。図12には2つのブラシ毛Aと3つのブラシ毛Aがブラシ軸P上の同じ箇所から角度を変えて植設されている例を示すが、この例に限らず対となったブラシ毛の間にマスカラ墨が保持できる程度の間隔でブラシ軸上にブラシ毛を設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明はブラシの塗布部の形状を三次元の空間曲線状、すなわち特定の螺旋形状としたので、従来のマスカラブラシの如く塗布部に付着したマスカラ墨を睫に塗布するのに塗布棒を指先で転がして塗布部を回転させるような煩雑な同さは必要がなく、単に塗布棒を持つ手の手首を動かすだけで塗布部の全周面に付着するマスカラ墨を睫に塗布することができ、睫の形状の調整も容易に行うことができる。
本発明は更に、ブラシ毛を2次元の平面曲線または3次元の空間曲線の輪状とし、ブラシ毛の植毛状態を特殊な配置とすることによって、ブラシのマスカラ墨の保持性(保液性)も良く、一度の塗布で所望の量のマスカラ墨を転写できるほか、睫に当るのはブラシ毛の輪の部分であるため睫を損なうこともなく、マスカラ墨の睫への載りが数段と良くなり、現在マスカラの市場トレンドのボリューム、ロングおよびカールが数段と良くなるなど多くの利点を有する。
本発明はマスカラブラシを主体に説明したが、マスカラブラシに限定されることなく種々の用途のブラシに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例のマスカラ等のブラシの模式図である。
【図2】実施例のブラシ毛の輪の形状を示す正面図である。
【図3】他の実施例のブラシ毛の輪の形状を示す正面図である。
【図4】ブラシ毛を2重にしたときの輪の形状を示す正面図である。
【図5】別の実施例のブラシ毛の輪の形状を示す正面図である。
【図6】輪状のブラシ毛と直線状のブラシ毛を用いた例を示す正面図である。
【図7】2個の輪状のブラシ毛と直線状のブラシ毛を用いた例を示す正面図である。
【図8】ブラシ軸の形状を示す模式図である。
【図9】ブラシの塗布部の形状を示す模式図である。
【図10】ブラシの塗布部の形状を示す斜視図である。
【図11】輪状のブラシ毛にマスカラ墨が保持される状態を示す模式図である。
【図12】本発明のブラシ毛にマスカラ墨が保持される他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0027】
A,B,C,D,E,F:輪状のブラシ毛
G,H:真っ直ぐなブラシ毛
P:マスカラのブラシ軸
J:ブラシ毛の塗布部
K:塗布棒
M:マスカラ墨
【技術分野】
【0001】
本発明はマスカラブラシ等の塗布具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のマスカラブラシにおいて、ブラシ毛にマスカラ墨を多く付着させる方法として、ブラシ毛を凹凸に加工したもの(例えば、特許文献1参照。)とか、ブラシ毛が植毛されているブラシ軸を円弧状にしたもの(例えば、特許文献2参照。)などがある。
【特許文献1】特開2002−129477号公報
【特許文献2】実開昭58−88912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マスカラブラシにおいて、ブラシ毛に付着するマスカラ墨の量を多くして、睫に多くのマスカラ墨を優しく撫でるように塗布し、輪状のブラシ毛の外側で睫の上のマスカラ墨に圧力をかけて、マスカラ墨を睫に押さえ付けて接着し、現在マスカラ市場トレンドのボリューム、ロングおよびカールを簡単にして、マスカラ墨を睫に塗布できるようにする。
【0004】
マスカラブラシは、マスカラ墨を睫に塗布することと、墨を塗布した睫の形を整える役割が要求される。ブラシ毛としては、絵筆や毛筆に使用されるような柔らかな毛では、ブラシへのマスカラ墨の付着は良いが睫への転写性が悪く、また、睫の形を整える性能に欠けるという問題を有している。
そのため、現在市販されているマスカラブラシの多くは、ブラシ軸を中心にして放射状に直線状の硬いブラシ毛を植毛したタイプのものである。このタイプのブラシは、ブラシ軸からブラシ毛の先端に向って、ブラシ毛とブラシ毛の間隔が開いた形となっており、タワシやビンの内側を洗浄するブラシと同様に、マスカラ墨などの液体の保持性が悪く、更にはブラシの使用方法によってブラシ毛の先端が一度睫に付けたマスカラ墨を引っ掻き、睫でマスカラ墨がダマになりやすいなどの問題を生じていた。
【0005】
市販のマスカラブラシにはブラシ毛を植設した塗布部を真っ直ぐな棒状(直線状)としたものもあるが、目を開いた状態では睫は上瞼に円弧状に付いているため、ブラシが直線状では均一に塗布できない。そのため、睫の形状に合わせて塗布部を円弧状としたものなどが提案されているが、睫は瞼に沿った形状のほかに睫毛はその先端が上方にカールするなど人の好みによって種々の形が採られている。
上記のことから、塗布部が単に平面的な円弧状のブラシでは均一な塗布が難しいため、立体形状の睫に容易に塗布できる塗布具が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のとおり、マスカラブラシの塗布部に付着させたマスカラ墨を睫に付着させるには、塗布部の外周面に付着した墨を塗布部を回転させて睫に転写させるのがより効率的である。本発明は、マスカラ墨の付着・転写性がよく、かつ、容易に塗付部を回転塗付できるマスカラ等の塗布具、より具体的にはブラシを提供せんとするものである。
本発明のマスカラ等の塗布具は、塗布部を3次元の空間曲線状にしたことを特徴とするものである。
3次元の空間曲線状とは、好ましくは、塗布部の形状が塗布部の長さ方向に対して、緩やかな螺旋形状、より好ましくは半螺旋形状のものである。
【0007】
本発明はまた、マスカラのブラシ毛において、ブラシ毛を円又は楕円等の輪状に作り、このブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の平面曲線又は空間曲線の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして、ブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を3次元の空間曲線状にしてブラシ毛の塗布部を空間曲線状にしたマスカラ等のブラシに関するものである。
更に本発明は、輪状のブラシ毛の2以上を対ないしは組として輪面を対向させてブラシ軸上に配置してマスカラ墨等の液体のブラシへの保持量を改善したブラシである。
【発明の効果】
【0008】
本発明はマスカラブラシ等の塗付具の塗付部の形状を三次元の空間曲線状にしたのでブラシの外周面に沿って付着したマスカラ墨を容易に睫に転写・塗布でき、かつ、ブラシ毛を特殊な形状及び配置のものとすることによって簡単に大量のマスカラ墨を睫に塗布することができる。
ブラシ毛を円又は楕円等の輪状のものとしたとき、ブラシ毛の輪が睫にあたるため従来の針状のブラシ毛のようにブラシ毛の先端で睫を強く擦ることがなく、輪状のブラシ毛の外側で睫の上のマスカラ墨に圧力をかけて、マスカラ墨を睫に押さえ付けて接着し、大量のマスカラ墨を睫に塗ることができる。マスカラ墨を睫に載せやすくしたことで、現在マスカラの市場トレンドのボリューム、ロングおよびカールを簡単にして、マスカラ墨を睫に塗布できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の塗布具は、基本的に、適当な長さを有する塗布部とこれを支持する塗布棒(柄又は把手)とからなり、より具体的には、塗布棒の長手方向の端にブラシ軸の外周面にブラシ毛が植毛されるか又は塗布部材が装着された塗布部とからなっている。
塗布部は、ブラシ軸にはブラシ毛を設けたもののほかに、塗布部材としてスポンジ状のゴム又はプラスチック、不織布、綿塊などの繊維の塊で作られたもの、及びこれらの類似品などで構成しても良い。
ブラシ軸は、プラスチックや金属の細い棒や線(ワイヤー)で構成されるが、ブラシ軸を三次元の曲線状に加工することや、ブラシ毛を挟んで捻ることでブラシ毛を固定することから、好ましくは針金などの金属線が用いられる。これらの軸部材は特に限定されないが、ステンレススチール線の場合、0.05〜2mm程度、好ましくは0.3〜1mm程度の太さのものを2〜4本撚りあわせてブラシ毛を軸とすると良い。
【0010】
本発明における塗付部の三次元の空間曲線状の形状は、具体的には、塗布部の長さ方向に延びる螺旋形状で、その形状は塗布部の全長で螺旋が一回転(塗布部の先端側から見たとき円形に見える)となるようにしても良く、好ましくは塗布部の全長で螺旋が半回転(半円)ないし2/3回転となる程度である。螺旋形状は塗布部の全長に亘って同じ曲率とする。螺旋構造は右巻き、左巻き(時計廻り)のいずれでも良く、使用者の右利き、左利きに応じて選択して使用される。
塗布部の長さは特に限定されないが、マスカラブラシの場合には、15〜40mm程度、好ましくは15〜35mm、より好ましくは15〜30mm程度とすると良く、螺旋の径としては、ブラシ軸の中心点が描く螺旋形状の径として、2〜10mm程度、好ましくは4〜8mm、より好ましくは6〜8mm程度とすると良い。
塗布部を支持する塗布棒はこの種のブラシで通常用いられているものが使用される。
【0011】
塗布部に設けるブラシ毛としては、従来知られている直線状のブラシ毛のほかに輪状のブラシ毛を用いる。
輪状のブラシ毛を用いたブラシとしては下記のものがある。
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にして、ブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【0012】
円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【0013】
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【0014】
円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【0015】
上記において、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにするとは、ブラシ軸の長手方向に対して平行(0°)から直角(90°)の方向となることを示す。
輪状のブラシ毛のブラシ軸への植毛方法については種々の方法があるが、一例としてはステンレス線等の軸部材に予め輪状に作成したブラシ毛を適当な間隔で所要数配列し、このようにした軸部材を2〜3本撚りあわせることによって作成しても良い。
輪状のブラシ毛は、弾力性又は保形性のあるプラスチック繊維、合成繊維、金属線を輪状にブラシ軸に植毛するか、プラスチックフィルムや金属箔から輪状に作成したものを用いても良い。ブラシ毛の長さ、輪状のブラシ毛の輪の軸からの高さ等は、通常マスカラブラシで用いられて範囲で用いることができ、2〜10mmの範囲で選択使用される。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
実施例1
図1において、図1(B)に示すような平面曲線の円の輪状のブラシ毛Aを耐熱性のあるプラスチックで作り、熱可塑性プラスチックで細い棒状のブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Aの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して90°になるようにしてブラシ毛Aをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作成した(図1(A))。このようにして作成した塗布部を加熱してブラシ軸を三次元の曲線状に加工し、塗布棒(柄)を付けてマスカラ等のブラシとした。
【0017】
実施例2
図2において、ポリアミド系の合成高分子化合物でブラシ毛Bを作り、空間曲線の円の輪状のブラシ毛Bを作り、合成樹脂でブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Bの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して直角にして(ブラシ毛Bの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して90°になるようにして)、ブラシ毛Bをブラシ軸Pに植毛した塗布部を作成した。得られた塗布部を実施例1と同様に加工してマスカラ等のブラシを得た。
【0018】
実施例3
図3において、平面曲線の楕円の輪状のブラシ毛Cを作り、高分子化合物でブラシ毛Cを作り、高分子化合物でブラシ軸Pを作り、ブラシ毛Cの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して45°になるようにして、ブラシ毛Cをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作った。以下実施例1と同様にしてマスカラ等のブラシを得た。
【0019】
実施例4
図4において、平面曲線の円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛Dを作り、第一のブラシ毛Dの内側に平面曲線の円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛Eを作り、合成ゴムで第一のブラシ毛Dおよび第二のブラシ毛Eを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとを同一平面に組み合わせ、合成ゴムでブラシ軸Pを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して80°になるようにして、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとをブラシ軸Pに植毛してブラシの塗布部を作成した。本例の場合、ブラシ軸Pとして金属線を用い三次元の曲線状に加工し、塗布棒(柄)を付けて本発明のマスカラ等のブラシとした。
【0020】
実施例5
図5において、空間曲線の円又は楕円等の輪状のブラシ毛Fを作り、ステンレス針金でブラシ毛Fを作り、ステンレス針金でブラシ軸Pを作り、輪状のブラシ毛Fの一部を変形してブラシ毛Fの空間曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して85°になるようにして、ブラシ毛Fをブラシ軸Pに植毛した。以下、実施例4と同様にしてマスカラ等のブラシを得た。
【0021】
実施例6
図6において、平面曲線の円又は楕円等の輪状のブラシ毛Fを作り、ナイロンでブラシ毛Fを作り、プラスチックでブラシ軸Pを作り、輪状のブラシ毛Fの一部を変形して、ブラシ毛Fの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して85°になるようにして、ブラシ毛Fをブラシ軸Pに植毛し、ナイロンで真っ直ぐなブラシ毛Gを作り、複数の真っ直ぐなブラシ毛Gをブラシ軸Pに植毛して塗布部を作成した。この塗布部を実施例1と同様に処理してマスカラ等のブラシを得た。
【0022】
実施例7
図7において、平面曲線の円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛Dを作り、第一のブラシ毛Dの内側に平面曲線の円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛Eを作り、金属線で第一のブラシ毛Dおよび第二のブラシ毛Eを作り、金属線でブラシ軸Pを作り、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとを同一平面に組み合わせ、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとの平面曲線の面がブラシ軸Pの長手方向に対して80°になるようにして、第一のブラシ毛Dと第二のブラシ毛Eとをブラシ軸Pに植毛し、金属線で真っ直ぐなブラシ毛Hを作り、複数の真っ直ぐなブラシ毛Hをブラシ軸Pに植毛して塗布部を作った。以下、実施例4と同様にしてマスカラ等のブラシとした。
【0023】
実施例8
図8(A)及び図9(A)は本発明の実施例のブラシの側面図で、図8(B)及び図9(B)は前記(A)のブラシの塗布棒Kをその長手軸を中心に90°回転させた(図中の矢印方向に回転させた)ブラシの側面図を示す。図8はブラシ軸Pが塗布棒Kに付いた状態を示し、図9はブラシ軸Pにブラシ毛Jが植毛されたブラシの形状を示す。
図10は塗布部の螺旋形状を説明するための模式図である。中心線Yに対して塗布部Tが螺旋形状となっている状態を示す。螺旋の曲率は塗布部の全長において均等とし、途中で他と異なる曲率にはならないものとする。図中、Kは塗布棒、K1は図示しないブラシケースのキャップを兼ねた把手を示す。
【0024】
本発明のブラシは、図11に示すようにブラシ毛Aが適当な面積を有する円形ないし楕円形の輪状であるので、この輪の部分にマスカラ墨M等の液体が保持されるほか、この輪状のブラシ毛Aを適当な間隔で向き合わせることで、図12に示すように輪状のブラシ毛とAブラシ毛Aの間にもマスカラ墨Mを保持させることができる。図12には2つのブラシ毛Aと3つのブラシ毛Aがブラシ軸P上の同じ箇所から角度を変えて植設されている例を示すが、この例に限らず対となったブラシ毛の間にマスカラ墨が保持できる程度の間隔でブラシ軸上にブラシ毛を設けても良い。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明はブラシの塗布部の形状を三次元の空間曲線状、すなわち特定の螺旋形状としたので、従来のマスカラブラシの如く塗布部に付着したマスカラ墨を睫に塗布するのに塗布棒を指先で転がして塗布部を回転させるような煩雑な同さは必要がなく、単に塗布棒を持つ手の手首を動かすだけで塗布部の全周面に付着するマスカラ墨を睫に塗布することができ、睫の形状の調整も容易に行うことができる。
本発明は更に、ブラシ毛を2次元の平面曲線または3次元の空間曲線の輪状とし、ブラシ毛の植毛状態を特殊な配置とすることによって、ブラシのマスカラ墨の保持性(保液性)も良く、一度の塗布で所望の量のマスカラ墨を転写できるほか、睫に当るのはブラシ毛の輪の部分であるため睫を損なうこともなく、マスカラ墨の睫への載りが数段と良くなり、現在マスカラの市場トレンドのボリューム、ロングおよびカールが数段と良くなるなど多くの利点を有する。
本発明はマスカラブラシを主体に説明したが、マスカラブラシに限定されることなく種々の用途のブラシに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例のマスカラ等のブラシの模式図である。
【図2】実施例のブラシ毛の輪の形状を示す正面図である。
【図3】他の実施例のブラシ毛の輪の形状を示す正面図である。
【図4】ブラシ毛を2重にしたときの輪の形状を示す正面図である。
【図5】別の実施例のブラシ毛の輪の形状を示す正面図である。
【図6】輪状のブラシ毛と直線状のブラシ毛を用いた例を示す正面図である。
【図7】2個の輪状のブラシ毛と直線状のブラシ毛を用いた例を示す正面図である。
【図8】ブラシ軸の形状を示す模式図である。
【図9】ブラシの塗布部の形状を示す模式図である。
【図10】ブラシの塗布部の形状を示す斜視図である。
【図11】輪状のブラシ毛にマスカラ墨が保持される状態を示す模式図である。
【図12】本発明のブラシ毛にマスカラ墨が保持される他の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0027】
A,B,C,D,E,F:輪状のブラシ毛
G,H:真っ直ぐなブラシ毛
P:マスカラのブラシ軸
J:ブラシ毛の塗布部
K:塗布棒
M:マスカラ墨
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布部を3次元の空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等の塗布具。
【請求項2】
ブラシ毛を植毛したブラシ軸を3次元の空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項3】
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にして、ブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項4】
円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項5】
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項6】
円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項7】
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を適当な間隔を設けてブラシ毛の輪面を対向させてブラシ軸上に設け輪面と輪面の間にマスカラ墨等の液体を保持できるようにしたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項記載のマスカラ等のブラシ。
【請求項1】
塗布部を3次元の空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等の塗布具。
【請求項2】
ブラシ毛を植毛したブラシ軸を3次元の空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項3】
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にして、ブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項4】
円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項5】
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、ブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにしてブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項6】
円又は楕円等の輪状の第一のブラシ毛を作り、ブラシ毛の円又は楕円等の輪状は2次元の平面曲線または3次元の空間曲線であり、第一のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、第一のブラシ毛の内側に第一のブラシ毛と同様にして円又は楕円等の輪状の第二のブラシ毛を作り、第一のブラシ毛をブラシ軸に植毛した内側に第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、且つ第二のブラシ毛の輪状の面がブラシ軸の長手方向に対して0°から90°になるようにして第二のブラシ毛をブラシ軸に植毛し、複数の真っ直ぐなブラシ毛をブラシ軸に植毛し、ブラシ毛を植毛したブラシ軸を空間曲線状にしてブラシの塗布部を空間曲線状にしたことを特徴とするマスカラ等のブラシ。
【請求項7】
円又は楕円等の輪状のブラシ毛を適当な間隔を設けてブラシ毛の輪面を対向させてブラシ軸上に設け輪面と輪面の間にマスカラ墨等の液体を保持できるようにしたことを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項記載のマスカラ等のブラシ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−102136(P2006−102136A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−292966(P2004−292966)
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(599015641)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月5日(2004.10.5)
【出願人】(599015641)
【Fターム(参考)】
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