説明

マスクなしステッカ製造機

転写可能な材料(26)を目標基材(28)に接着する転写装置(10)が開示される。転写装置(10)は、転写基材(22)の供給材料を含む。転写基材(22)は、担持表面(24)と、担持表面(24)上に設けた接着剤タイプの転写可能な材料(26)とを有する。圧力付与装置部材(14)は、剥離特性がある係合表面(30)を有し、転写基材(22)の担持表面(24)に隣接して圧力を付与する関係で配置される。目標基材(28)は、接着剤が目標基材(28)に転写されるように、転写基材(22)と圧力付与装置部材(14)の間を通過することができる。転写装置(10)は、転写可能材料が既に目標基材(28)に転写されている転写基材(22)の使用済み部分を巻き上げる巻き取りロール(16)も含む。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年6月10日出願の「NO-MASK STICKER MAKER」と題した米国非暫定特許出願第(未譲渡)号に対する優先権を主張し、これは2003年6月13日出願の「NO-MASK STICKER MAKER」と題した米国暫定特許出願第60/477,914号に対する優先権を主張し、その内容は参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は接着剤転写装置に関する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第6,422,281号および第5,584,962号は、接着剤を写真、名刺などの広範囲の品物に接着剤を塗布する接着剤転写作業を実行することができる装置の例を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような装置は、この目的には適切であるが、より低価格の構造を有する単純化した装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、転写可能な材料を目標基材に接着させる転写装置を提供する。転写装置は、転写基材の供給源を含む。転写基材は、担持表面と、担持表面上に設けた接着剤タイプの転送可能な材料とを含む。転写装置はさらに、圧力付与装置を含み、これは、転写可能材料の少なくとも一部を転写基材から目標基材へと転写するために、目標基材が圧力付与装置部材と転写基材との間を供給方向に前進できるように、転写基材の担持表面の隣に圧力を付与する関係で配置される。圧力付与装置部材は、転写基材の担持表面とその上の転写可能材料とを係合させる係合表面を含む。係合表面は、転写可能材料がそれに接着するのを基本的に防止する剥離特性を有する。その結果、転写可能材料が目標基質へと転写されている間、目標基材に隣接する余分な転写可能材料が、転写基材に残る。転写装置はさらに、転写可能材料が既に目標基材に転写されている転写基材の使用済み部分を巻き上げる巻き取りロールを含む。
【0006】
本発明の別の態様は、2つの転写可能材料を目標基材にほぼ同時に接着させる転写装置を提供する。この装置は、転写基材の1対の供給材料を含む。各供給材料は、担持表面と、担持表面上に設けた接着剤タイプの転写可能な材料とを含む。転写基材は、目標基材をその間に送り込んで、接着剤タイプの材料を目標基材の対向する側部に転写できるように、相互に押しつけられる。この装置は、転写可能材料が既に目標基材に転写されている転写基材の使用済み部分を巻き上げる巻き取りロールも含む。
【0007】
本発明の以上および他の態様、特徴および利点は、以下の詳細な説明を、本開示の一部であり、本発明の原理を例示により示す添付図面と組み合わせて考察することにより、明白になる。
【0008】
本発明の特徴が図面に図示され、これは元の開示の一部を形成する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1および図2は、本発明の転写装置10の一つの実施形態を示す。転写装置10は、転写可能な材料26を目標基材28に接着するように構成される。目標基材28は、処理にとって望ましい任意のタイプの基材でよく、写真、ラベル原料、値札、雑誌の切り抜き部、名札、小さいアートワークなどを含むが、それに制限されない。転写装置10は、任意の適切なサイズでよい。図1、図3aおよび図3bに示した転写装置10の実施形態は、手持ちサイズであり、片手で把持し、他方の手で操作することができる。転写装置10は、使用前に装置を表面上に設定する必要がある、これより大きいサイズでもよい。
【0010】
図1に示すように、転写装置10は、供給ロール12、圧力付与装置部材14、および巻き取りロール16を含んでよい。供給ロール12および巻き取りロール16はそれぞれ、各ロールが軸線を中心に回転できるように、共通のハウジング18に結合することができる。ハウジング18は、プラスチックまたは他の適切な材料から製造することができ、これは厚紙および金属を含むが、それに制限されない。
【0011】
供給ロール12は芯20と、芯20の周囲に巻き付ける転写基材22の巻いた供給材料を含む。芯20は、任意の適切な材料を含んでよく、これは厚紙、プラスチックおよび金属を含むが、それに制限されない。転写基材22は担持表面24と、担持表面24上に設けた接着剤タイプの転写可能な材料26とを含む。図1および図2で示した配置構成では、転写基材22の担持表面24および転写可能材料26が半径方向外側に面するように、転写基材22を芯20の周囲に巻き付ける。
【0012】
接着剤タイプの転写可能な材料26は、接着剤で目標基材28に付着する任意のタイプの材料でよい。したがって、「接着剤タイプ」という用語は、転写可能な材料26を接着剤で付着するタイプと定義するのに使用される。概して、転写可能材料26は、連続コーティングまたはパターン・コーティングにて担持表面24上に設ける接着剤である。設ける粘着性の量は、使用する特定の接着剤に応じて異なる。例えば、持続性ステッカが望ましい場合は、転写可能材料26として接着力が比較的大きい接着剤を使用することができる。同様に、再剥離性ステッカが望ましい場合、転写可能材料26として接着力が比較的小さい接着剤を使用することができる。この方法で、特定の用途に合わせて設計された様々な転写可能材料26を提供することができる。また、転写可能材料26は、接着剤を使用して目標基材28に付着させるか、目標基材28に付着する粘着性レベルを有する材料から形成された光沢材、箔商品などの装飾的品目を含む。任意の他の転写可能材料を目標基材28に塗布してよく、本発明は図示の例に制限されない。
【0013】
図示の実施形態では、転写可能材料26は、ステッカ作成用の接着剤であり、転写基材22は、担持表面24と背面との両方に剥離材料を被覆した様々な剥離ライナを含む。背面の剥離材料は、転写基材22が芯20に巻き付けられ、そこから解かれている場合、転写可能材料26が自身に結合するのを防止する。担持表面24上の剥離材料は、圧力を適切に加えると、自身上の転写可能材料26が、担持表面24に結合したままではなく、目標基材に転写できるようにする。したがって、背面の剥離材料は、担持表面24の剥離材料と同じ特性を有するのではなく、通常、担持表面24の剥離材料より接着剤結合への親和力が小さいと想定される。剥離材料は、シリコン、蝋状物質、または所望の剥離特性を提供する他の材料でよい。
【0014】
図1および図2に示すように、圧力付与装置部材14は、転写基材22の担持表面24の隣に圧力を付与する関係で配置される。これによって、目標基材28が、転写可能材料26の少なくとも一部を転写基材22から目標基材28へと転写するために、圧力付与装置部材14と転写基材22との間で送り込み方向に前進することができる。
【0015】
図1および図2に示す配置構成では、供給ロール12および圧力付与装置部材14は、相互に対して相対的に動作可能であり、1つまたは複数のコイルばねのようなバイアス付与構造体36を使用して、これを合わせるようにバイアスを付与する。この方法で、供給ロール12が消耗し、その半径が小さくなるにつれ、転写基材22から目標基材28への材料の効果的転写を保証するように、この2つの間に圧力付与関係を維持することができる。図1に示すように、バイアス付与構造36は、供給ロール12と圧力付与装置部材14との間に結合された1対のコイルばね(一方のみが見える)である。バイアス付与は、供給ロール16を連続的に圧力付与装置部材14と係合させるように、対向する端部の間に接続された1対のコイルばねによって提供することが好ましい。これに関する教示については、米国特許第6,527,028号を参照することができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、圧力付与装置14は、動作して、バイアス付与される構造でよいが、これはそれほど好ましくない。
【0016】
図2に示すように、圧力付与装置部材14は、転写プロセス中に目標基材28を転写基材22の担持表面24と係合させる係合表面30を含む。係合表面30は、転写可能材料26が圧力付与装置部材14に接着するのを基本的に防止する剥離特性を有する。係合表面30は、プラズマ・コーティングするか、低い剥離性のシリコンまたは他の何らかのタイプの非粘着性コーティングまたは材料を含んでよい。係合表面30の剥離特性は、担持表面24の剥離特性より高く、したがって係合表面30に接触する転写可能材料26は、転写表面22上に残る(同様に、係合表面30は、代替例で接着剤結合に対する親和性が低いと言うことができる)。この方法で、転写可能材料26を目標基材28に転写している間、目標基材28に隣接する余分な転写可能材料26は、転写基材22上に残り、圧力付与装置部材14に接着しない。
【0017】
係合表面30に剥離特性を提供する材料は、非常に耐久性が高く、容易に摩耗しない。これにより、圧力付与装置部材14の交換および/または係合表面30の再コーティングの必要性がなくなる。また、他の配置構成を使用して、十分な剥離特性を提供してもよい。例えば、コーティングは、係合表面30の小さい孔を介して容器から係合表面30に送出することができる。分配は毛管作用による。また、コーティングは、付与装置部材14が回転するにつれ、刷毛塗りまたは他の方法で係合表面30に塗布することができる。
【0018】
圧力付与装置部材14は、回転式ニップ・ローラであるか、所望の結果を達成する任意の設計でよい。別の実施形態では、圧力付与装置部材14は、図3aおよび図3bに示すハウジングのような装置32の1つの部分に配置することができ、供給ロール12および巻き取りロール16は、供給ロール12および巻き取りロール16を収容し、供給ロール12が消耗した場合に交換できるように取り外し可能である着脱式カートリッジ34のような装置の別の部分に配置してもよい。
【0019】
図2に示すように、巻き取りロール16は、転写可能材料26が既に目標基材28へと転写されている転写基材22の使用済み部分を巻き上げる。上記で検討したように、転写基材22が目標基材28と接触した後、目標基材28に接触した転写可能材料26のみが、転写基材22から除去される。したがって、転写基材22は、巻き取りロール16に巻き付いた時に、多少の転写可能材料26を含んでいる。
【0020】
転写装置10は、アクチュエータ38も含み、これも図2に図示され、使用済み転写基材22を巻き上げるために巻き取りロール16の回転に影響を及ぼすように、少なくとも巻き取りロール16に動作可能な状態で接続される。巻き取りロール16を回転することにより、供給ロール12は、転写基材22が2つのロールに結合する限り、必然的に回転する。アクチュエータ38は、クランク・ハンドル、ノブ、電気モータ、または当該技術分野で知られている任意のタイプのアクチュエータでよい。
【0021】
代替物として、巻き取りロール16は、一方端に、供給ロール12の一方端にある歯車と動作可能な状態で接続された歯車を含むことができ、したがって一方のロールが回転すると、他方のロールが回転する。歯車比は、ロールが回転すると、供給ロール12が転写基材22を配量するや否や巻き取りロール16が使用済み転写基材22を受け取るように、ロールの相対的サイズによって決定することができる。この方法で、供給ロール12または巻き取りロール16、あるいは両方が、アクチュエータ38に動作可能な状態で接続することができる。
【0022】
選択肢として、アクチュエータ38は、アクチュエータ38が回転するにつれて圧力付与装置部材14が回転するように、図3aおよび図3bに示すように圧力付与装置部材14に動作可能な状態で接続してよいことも想定される。圧力付与装置部材14が、供給ロール12と圧力を付与する関係にあるので、圧力付与装置部材14が回転すると、供給ロール12が回転する。上述したように、供給ロール12は、同時に回転するように、巻き取りロール16と連動する。
【0023】
図4は、図3aおよび図3bに示した実施形態の内部代替構成を概略的に示し、これは図2の配置構成の代替構成である。図4に示すように、転写装置10はさらに、圧力付与関係が生じるように、第1圧力付与装置部材14に隣接して配置された第2圧力付与装置部材40を含んでよい。第2圧力付与装置部材40は、回転可能なニップ・ロータであるか、固定した構造でよいことが想定される。供給ロール12は、圧力付与関係を生成するために使用されているのではないので、転写基材22は、担持表面24および転写可能材料26が半径方向外側に面する状態で巻き付ける必要がなく、転写可能材料26が半径方向内側に面した状態で、従来通りの方法で巻き付けることができる。
【0024】
図2に戻ると、動作時に、目標基材28は転写基材22と圧力付与装置部材14との間に配置される。巻き取りロール16の回転は、目標基材28が転送装置10を通して進行するにつれ、転送基材22が前進するように、アクチュエータ38の回転によって開始される。転送可能材料26は目標基材28に転写されるが、圧力付与装置部材14の係合表面30の非粘着性特性のせいで、余分な転送可能材料26が転写基材22上に残る。転写基材22は、転写されなかった接着剤とともに巻き取りロール16に巻き付けられる。図3a、図3bおよび図4に図示された転写装置は、同様の方法で動作する。
【0025】
供給ロール12および巻き取りロール16を、図3aおよび図3bで示すようにカートリッジ34上に設けた場合、転写基材22が消耗すると、つまり供給ロール12が空になり、巻き取りロール16がいっぱいになると、カートリッジ34を取り外して廃棄するか、再利用することができる。さらに操作するために、転写基材22の新しい供給ロール12を有する新しいカートリッジを、転写装置10に挿入することができる。言うまでもなく、転写可能材料の変更が望ましい場合は、いつでも交換を実行することができる。
【0026】
図5に示すように、別の実施形態では、転写装置500が1対のカートリッジ502を含んでよい(明快にするために、転写装置500のハウジングは図示されていない)。この方法で、目標基材504の両側を処理することができる。例えば、1つのカートリッジは、上記で検討したように転写可能な材料として自身上に配置された感圧性接着剤を有する転写基材を含む。第2カートリッジは、目標基材に接着するために、追加の接着剤または別の接着剤タイプの転写可能な材料、例えば装飾用材料、自身上に接着剤がある光沢材または色紙片を含んでよい。第2カートリッジが追加の接着剤を含む場合は、両面テープとして使用することができる両面ステッカを作成することができる。
【0027】
図6に示すように、各カートリッジは供給ロール506、巻き取りロール508および圧力付与装置部材510を含んでよい。転写装置500はさらに、2つの追加の圧力付与装置部材512を含み、これはハウジングに装着され、これに対して、圧力付与装置部材510が図4に示した配置構成と同様の圧力を付与する関係で係合する。
【0028】
図7は、転写装置700が箱状または他の形状のハウジング702を含む本発明の別の実施形態を示す。この実施形態では、圧力付与装置部材704とアクチュエータ706とが、回転自在にハウジング702に結合する。図7aに示した単一カートリッジ710、または図7bに示した二重カートリッジ720などの着脱式カートリッジを、ハウジング702に挿入することができる。
【0029】
単一カートリッジ710は供給ロール712、巻き取りロール714および転写基材716を含む。二重カートリッジ720は1対の供給ロール722、724、1対の巻き取りロール726、728および2つの別個の転写基材730、732を含む。上述したように、転写基材730、732は、所望の用途に応じて同じタイプであるか、異なるタイプでよい。
【0030】
図7に示すように、転写装置700は、単一カートリッジ710を使用する場合に、圧力付与装置部材704に供給ロール712などの供給ロールに向かうバイアスを付与するバイアス付与機構708も含むことができる。これはさらに、図7aおよび図7bに図示されている。二重カートリッジを使用する場合は、バイアス付与機構708を使用して、圧力付与装置部材704に供給ロール722の一方に向かうバイアスを付与し、その供給ロール722は、第2供給ロール724に圧力を付与するように動作する。この配置構成により、転写基材730、732に適切な圧力が付与され、目標基材750に接触することが保証される。
【0031】
図8aおよび図8bは、それぞれ単一カートリッジ810および二重カートリッジ820の別の実施形態を示す。この実施形態では、単一カートリッジ810は1対の側壁812、814、供給ロール816、巻き取りロール、および供給ロール816および巻き取りロールの両方に結合された転写基材818を含む。供給ロール816および巻き取りロールは、1対の側壁812、814の間に配置され、それに回転自在に結合される。同様に、二重カートリッジ820は、1対の側壁822、824、1対の供給ロール826、828、1対の巻き取りロール830、および2つの別個の転写基材832、834を含む。供給ロール826、828および巻き取りロール830は、1対の側壁812、814の間に配置され、それに回転自在に結合される。供給ロール826の一方は、各供給ロール826、828にどの程度の転写基材822、824が残っていても、供給ロール826、828の間に適切な圧力を加えることができるように動作可能でよい。
【0032】
図9は、本発明の転写装置910の別の実施形態を示す。転写装置910は、芯920を含む供給ロール912、および芯920に巻き付けた転写基材922の巻いた供給材料を含む。転写基材922は、接着剤タイプの転写可能材料926を設けた担持表面924を有する。転写基材922は、担持表面924と転写可能材料が半径方向外側に面するように、供給ロール912に巻き付けられる。
【0033】
前述した実施形態と同様に、接着剤タイプの転写可能材料926は、接着剤によって目標基材928に付着する任意のタイプの材料でよい。通常、転写可能材料926は、連続コーティングまたはパターン・コーティングで担持表面924に設けた感圧性接着剤である。設ける粘着性の量は、使用する特定の接着剤に応じて異なる。例えば、持続性ステッカが望ましい場合は、転写可能材料926として接着力が比較的大きい接着剤を使用することができる。同様に、再剥離性ステッカが望ましい場合、転写可能材料926として接着力が比較的小さい接着剤を使用することができる。この方法で、特定の用途に合わせて設計された様々な転写可能材料926を提供することができる。また、転写可能材料926は、接着剤を使用して目標基材928に付着させるか、目標基材928に付着する粘着性レベルを有する材料から形成された光沢材、箔商品などの装飾的品目を含む。任意の他の転写可能材料を目標基材928に塗布してよく、本発明は図示の例に制限されない。
【0034】
図示の実施形態では、転写可能材料926は、ステッカ作成用の接着剤であり、転写基材922は、担持表面924と背面との両方に剥離材料を被覆した様々な剥離ライナを含む。背面の剥離材料は、転写基材922が芯920に巻き付けられ、そこから解かれている場合、転写可能材料926が自身に結合するのを防止する。担持表面924上の剥離材料は、圧力を適切に加えると、自身上の転写可能材料926が担持表面924に結合したままではなく、目標基材928に転写できるようにする。したがって、背面の剥離材料は、担持表面924の剥離材料と同じ特性を有するのではなく、通常、担持表面924の剥離材料より接着剤結合への親和力が小さいと想定される。剥離材料は、シリコン、蝋状物質、または所望の剥離特性を提供する他の材料でよい。
【0035】
この装置910は第1圧力付与装置部材914も含み、これは、目標基材928が第1圧力付与装置部材914と転写基材922の間で送り込み方向FDに前進できるよう、転写基材922の担持表面に隣接して圧力を付与する関係で配置される。この配置構成によって、転写基材922も転写可能材料926の少なくとも一部を転写基材922から目標基材928に転写することができる。第1圧力付与装置部材914は、転写プロセス中に目標基材928を転写基材922の担持表面924と係合させる係合表面930を含むことが好ましい。係合表面930は、転写可能材料926が圧力付与装置部材914に接着するのを基本的に防止する剥離特性を有する。係合表面930は、プラズマ・コーティングするか、低い剥離性のシリコンまたは他の何らかのタイプの非粘着性コーティングまたは材料を含んでよい。係合表面930の剥離特性は、担持表面924の剥離特性より高く、したがって係合表面930に接触する転写可能材料926は、転写表面922上に残る。この方法で、転写可能材料926を目標基材928に転写している間、目標基材928に隣接する余分な転写可能材料926は、転写基材922上に残り、第1圧力付与装置部材914に接着しない。第1圧力付与装置部材914は回転式ニップ・ローラであるか、所望の結果を達成する任意の設計でよい。
【0036】
図示のように、転写装置910は第1圧力付与装置部材914の隣に配置された第2圧力付与装置部材940も含んでよい。第2圧力付与装置部材940も回転式ニップ・ローラでよい。第1および第2圧力付与装置914、940には、既知の方法で相互に向かってバイアスを付与することが好ましく、したがって転写基材922は、圧力を付与する関係を生じるように、第1圧力付与装置部材941と第2圧力付与装置部材940との間に延在する。
【0037】
図9に示す実施形態では、第1および第2圧力付与装置部材914、940の下流に剥離プレート950を設ける。剥離プレート950は、転写可能材料926を受け取った目標基材928を転写基材922から分離できるように配置される。剥離プレート950は、転写基材922を送り込み方向FDとは異なる方向に再配向することによって、目標基材928を転写基材922から層間剥離によって分離を促進するように構成され、配置される。剥離プレート950は、転写基材922からの目標基材928の分離を促進できるほど十分に剛性であれば、任意の適切な材料から構築することができる。例えば、剥離プレート950は、金属または硬質プラスチック材料であるか、剛性の厚板で作成してもよい。
【0038】
転写可能材料926が既に目標基材928に転写されている転写基材922の使用済み部分942を巻き上げる巻き取りロール926も設けられている。巻き取りロール916は、転写基材922の使用済み部分942が、巻き取りロール916に巻き付けられる前に巻き取り方向TDに走行できるように、剥離プレート950に対して巻き取り方向TDに配置される。巻き取り方向TDは、送り込み方向FDと異なり、したがって2つの方向TD、FDの間に角度αが画定される。図示のように、角度αは90°と180°の間である。転写基材922の使用済み部分942を送り込み方向FDとは異なる方向に再配向することにより、目標基材928は、目標基材928の方が剛性であるので、転写基材922から延在し、層間剥離することによって分離がさらに容易になる。当業者には理解されるように、剥離プレート950および巻き取りロール916の異なる構成および配置が可能であり、本発明は図9に示した配置構成に制限されない。例えば、図10に示すように、剥離プレート950は、圧力付与装置部材914に圧力を付与する関係であり、目標基材928と転写基材922が圧力付与装置部材914剥離プレート950の間を通過するように配置することができる。
【0039】
転写装置910はアクチュエータ938も含むことができ、これも図9に図示され、使用済み転写基材922を巻き上げるために巻き取りロール916の回転に影響を及ぼすように、少なくとも巻き取りロール916に動作可能な状態で接続される。巻き取りロール916を回転することにより、供給ロール912は、転写基材922が2つのロール916、912に結合する限り、必然的に回転する。アクチュエータ938は、クランク・ハンドル、ノブ、電気モータ、または当技術分野で知られている任意のタイプのアクチュエータでよい。
【0040】
本発明の好ましい実施形態について図示し、説明してきたが、これはいかなる意味でも制限的ではない。反対に、本発明は、請求の範囲の精神および範囲に入る全ての変形および改造を含むものとする。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ハウジングの一部を除去した本発明の転写装置の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1の実施形態の内部構成要素の略図である。
【図3a】本発明の転写装置の別の実施形態の図である。
【図3b】図3aと同じ実施形態であるが、転写装置のカートリッジを除去した状態の図である。
【図4】図3aおよび図3bの実施形態の内部構成要素の略図である。
【図5】ハウジングを除去した本発明の転写装置の別の実施形態の斜視図である。
【図6】追加の構造を除去した図5の転写装置の側面図である。
【図7】本発明の転写装置の別の実施形態の斜視図である。
【図7a】図7の転写装置で使用することができる単一カートリッジの側面図である。
【図7b】図7の転写装置で使用することができる二重カートリッジの側面図である。
【図8a】単一カートリッジの別の実施形態の斜視図である。
【図8b】二重カートリッジの別の実施形態の斜視図である。
【図9】本発明の転写装置の別の実施形態の略図である。
【図10】本発明の転写装置の別の実施形態の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写可能な材料を目標基材に接着する転写装置であって、
転写基材の供給材料にして、該転写基材が、担持表面および該担持表面上に設けた接着剤タイプの転写可能な材料を有する供給材料、
転写材料の少なくとも一部を転写基材から目標基材へと転写するために、目標基材が送り込み方向で自身と転写基材との間を前進できるように、転写基材の担持表面に隣接して、圧力を付与する関係で配置された圧力付与装置部材にして、
転写基材の担持表面と自身上の転写可能材料とを係合する係合表面を有し、該係合表面が、転写可能材料が自身に接着するのを基本的に防止する剥離特性を有し、転写可能材料が目標基材へと転写されるにつれ、目標基材に隣接する余分な転写可能材料が転写基材上に残るようにした圧力付与装置部材、および、
転写可能材料が既に目標基材に転写されている転写基材の使用済み部分を巻き上げる巻き取りロール、を有する転写装置。
【請求項2】
前記転写基材の供給材料がロールに巻き付けられる、請求項1に記載の転写装置。
【請求項3】
前記圧力付与装置部材が回転式ニップ・ローラである、請求項2に記載の転写装置。
【請求項4】
担持表面と転写可能材料が半径方向外側に面するように、前記転写基材が巻き付けられ、供給ロールおよび圧力付与装置部材が、相互に対して相対的に動作可能であり、
前記装置がさらに、転写基材の担持表面と圧力付与装置部材の係合表面とが圧迫されて相互に係合し、圧力付与関係を生成するように、供給ロールおよび圧力付与装置部材に対して相互に向かうバイアスを付与するバイアス付与構造を含み、さらに、
供給ロールから転写基材が消耗するにつれ、バイアス付与構造が、供給ロールおよび圧力付与装置部材に相互に向かうバイアスを付与し続け、それによって圧力付与関係を維持する、請求項2に記載の転写装置。
【請求項5】
圧力付与装置部材が回転式ニップ・ローラである、請求項4に記載の転写装置。
【請求項6】
使用済み転写基材を巻き上げる巻き取りロールの回転に影響を与えるために、少なくとも巻き取りロールに動作可能な状態で接続されるアクチュエータをさらに有する、請求項4に記載の転写装置。
【請求項7】
前記圧力付与装置部材が第1圧力付与装置部材であり、前記装置が、前記第1圧力付与装置部材の隣に配置される第2圧力付与装置部材をさらに有し、前記転写基材が圧力付与関係を生成するようにその間に延在する請求項2に記載の転写装置。
【請求項8】
前記第1圧力付与装置部材が回転式ニップ・ローラである、請求項7に記載の転写装置。
【請求項9】
前記第2圧力付与装置部材が回転式ニップ・ローラである、請求項8に記載の転写装置。
【請求項10】
前記第2圧力付与装置部材が回転式ニップ・ローラである、請求項7に記載の転写装置。
【請求項11】
さらに、使用済み転写基材を巻き上げる巻き取りロールの回転に影響を与えるために、少なくとも巻き取りロールに動作可能な状態で接続されるアクチュエータを有する、請求項7に記載の転写装置。
【請求項12】
さらに、転写基材の供給材料と巻き取りロールの間に配置された剥離プレートを有し、該剥離プレートが縁部を提供し、転写基材は、転写基材からの目標基材の層間剥離を容易にするために、縁部上で曲げられる、請求項1に記載の転写装置。
【請求項13】
前記剥離プレートが、送り込み方向で圧力付与装置部材の下流に配置される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記剥離プレートの少なくとも一部が、圧力付与装置部材に圧力を付与する関係で配置されて、転写基材と目標基材が圧力付与装置と剥離プレートの間を通過する、請求項12に記載の装置。
【請求項15】
前記剥離プレートおよび巻き取りロールは、転写基材が送り込み方向に対して90°と180°の間の角度で剥離プレートの縁部へと曲げられるように配置される、請求項12に記載の装置。
【請求項16】
2つの転写可能な材料を目標基材にほぼ同時に接着する転写装置であって、
転写基材の1対の供給材料にして、各々が、担持表面と、担持表面上に設けた接着剤タイプの転写可能な材料とを含む供給材料、
目標基材を間に送り込んで、接着剤タイプの材料を目標基材の対向する側に転写できるように、いっしょに押しつけられる前記転写基材、および、
転写可能材料が既に目標基材に転写されている転写基材の使用済み部分を巻き上げる1対の巻き取りロール、を有する転写装置。
【請求項17】
複数の接着剤タイプの転写可能な材料がほぼ同じである、請求項16に記載の転写装置。
【請求項18】
接着剤タイプの転写可能な材料の少なくとも1つが装飾的材料を含む、請求項16に記載の転写装置。
【請求項19】
装飾的材料が光沢材を含む、請求項18に記載の転写装置。
【請求項20】
装飾的材料が色紙片を含む、請求項18に記載の転写装置。
【請求項21】
前記転写基材がいっしょに押しつけられるように、転写基材の一方に隣接する圧力を付与する関係で圧力付与装置部材をさらに有する、請求項16に記載の転写装置。
【請求項22】
前記転写基材がいっしょに押しつけられるように、前記転写基材の1対の供給材料が、相互に向かってバイアスを付与される、請求項16に記載の転写装置。


【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−528930(P2006−528930A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533718(P2006−533718)
【出願日】平成16年6月14日(2004.6.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/018581
【国際公開番号】WO2004/113215
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(504410170)ザイロン、インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】