説明

マスク支持体、マスクアセンブリ、及びマスク支持体とマスクを含むアセンブリ

マスク支持体10はフレーム要素20と弾性要素30を含んでいる。弾性要素30はフレーム要素20に固定されている。弾性要素30は全体的に可撓性のある材料で形成されている部材である。それは、アーム部37の自由端からおよそ90°の角度で伸びる第1締結突起38を有するレバーあるいはアーム部37を含んでいる。マスクアセンブリ40は薄層マスク41と、例えば薄い金属ホイルで製造されたものと、接続要素42を含んでいる。接続要素42は弾性要素30の締結突起38と締結するための締結部43を含んでいる。マスク41は、マスク支持体10から楽に取り外されるのみならず、マスク支持体10に取り付け/延伸させてもよい。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、マスクを支持し、特にOLEDコーティング装置内で使用される薄層マスクを支持し、フレーム要素と弾性要素を含むマスク支持体に関するものである。更に、本発明は、マスクを支持し、特にOLEDコーティング装置内で使用される、薄層マスクを支持し、複数の弾性要素を含むマスク支持体に関するものであり、前記複数の弾性要素のうちの第1弾性要素と第2弾性要素の両方が、レバーあるいはアーム部と、前記第1弾性要素と前記第2弾性要素にそれぞれ配置された第1締結手段を含み、前記第1締結手段は前記マスクを運ぶための前記マスクアセンブリに備えられた対応する第2締結手段と締結し、前記弾性要素は前記マスクを前記フレームに固定し、前記フレーム要素内に支持される前記マスクを延伸させるために構成される。更に、本発明は、マスクをマスク支持体に取り付けるために提供されるマスクアセンブリに関するものであり、前記マスク支持体は少なくともマスクと、前記マスクを前記マスク支持体に取り付けるための前記手段に前記マスクを接続するための接続手段とを含んでいる。更に、本発明は前記マスク支持体と前記マスクアセンブリを含むアセンブリに関するものである。
【従来技術】
【0002】
OLED装置、例えばOLEDディスプレーの製造において、基板上にパターニングされた構造をもつコーティングを生成するためにシャドーマスクが利用される。通常、このマスクは薄い金属シートでできたマスクホイルである。信頼性の高いマスクホイルの支持と調節を提供するために、マスクホイルはフレーム要素に固定した状態で、例えば半田づけによって接続される。代わりの方法として、マスクはフレーム要素に取り外し可能な状態で、例えばねじ止めによって固定されてもよい。
【0003】
OLEDプロセスにおいてシャドーマスクの生産と利用は、相当なコストの原因となっていることが知られている。マスクホイルがマスクフレームに固定した状態で接続されるとき、各々のパターン用と連続生産用に必要とされるマスクの数が膨大になる。更に、そこに半田づけされているマスクホイルを有するマスクフレームの再利用は、マスクホイルの交換がマスクフレームから材料を取り除く必要があるという事実のために制限される。マスクホイルの再利用はまず不可能である。
【0004】
一方、フレームにねじ止め接続によって固定されたマスクホイルの交換は、とても手が込んでおり、時間が掛かる。
【0005】
EP1437926A1号は、固定式マスククランプと可動式マスククランプによって固定された金属マスクを開示している。固定式マスククランプはベースプレートに固定され、可動式マスククランプはボルトによってスライダーに固定されている。マスクの延伸のために、コイルばねがベースプレートとスライダーの間に配置されている。
【0006】
US5,534,969号は、フレームと、弾性ばねによって延伸されたマスクを引くプルバーとを有するマスク支持体を開示している。プルバーはそこに取り付けられているフック部材を有しており、それはマスク中に備えられたそれぞれのスロットと締結する。
【発明の目的】
【0007】
OLED装置の生産用に、特に光学装置とディスプレーの生産用に使用されるマスクの取り扱いと交換が容易な改良されたマスクアセンブリを提供することが本発明の目的であり、マスクアセンブリはある特定のマスクに対して必要とされる引張り力を提供するために調整してもよい。
【技術的解決】
【0008】
この目的は、請求項1又は5に係るマスク支持体、請求項11又は25に係るマスクアセンブリ、請求項28に係るアセンブリ、及び請求項30に係る方法を提供することによって解決される。
【0009】
マスクを支持する、特にOLEDコーティング装置において利用される薄層マスクを支持するためのマスク支持体は、フレーム要素と弾性要素を含んでおり、前記弾性要素は前記マスクを前記フレーム要素に取り付け、前記フレーム要素内で支持される前記マスクを引張るための手段を含んでいる。
【0010】
本発明の一態様によると、前記弾性要素は、前記フレーム要素に回転可能に取り付けられたレバーあるいはアーム部と、前記弾性要素を前記フレーム要素に取り付けるための取り付け端部と、前記レバー部と前記取り付け端部の間に配置されている曲部を含んでいる。
【0011】
マスクを取り付けるための手段は、第1締結手段を含んでいてもよく、これは前記マスクを運ぶための前記マスクアセンブリに備えられた対応する第2締結手段に締結するために弾性要素に配置されている。
【0012】
特に、第1締結手段は、レバーあるいはアーム部からある角度で伸びる突起を含んでいる。
【0013】
特に、この締結手段はフレーム要素に回転可能に取り付けられている。この締結手段はフレーム要素に少なくとも1つの回転軸周りに回転あるいは旋回するように回転可能に配置されている。特に、この締結手段は1よりも多い軸周りに回転できるように、及び/又は、並進運動できるように配置されていてもよい。これは弾性要素の構成による。
【0014】
本発明の別の態様によると、前記マスクを取り付けるための手段は、前記弾性要素に配置された第1締結手段を含んでおり、これは前記マスクを運ぶための前記マスクアセンブリに備えられた対応する第2締結手段に締結し、前記第1締結手段は1よりも多い回転軸の周りに回転できるように、及び/又は前記フレーム要素に対して並進運動できるように構成されている。
【0015】
マスクを支持する、特にOLEDコーティング装置において利用される薄層マスクを支持するためのマスク支持体は、フレーム要素と複数の弾性要素を含んでいる。複数の弾性要素のうち第1弾性要素と第2弾性要素の両方が、第1弾性要素と第2弾性要素にそれぞれ配置された第1締結手段を含み、これはマスクを運ぶためのマスクアセンブリに備えられた対応する第2締結手段に締結し、弾性要素はマスクをフレーム要素に固定し、前記マスク(41)の端部を前記フレーム要素から押し離すことによってフレーム要素内で支持されるマスクを延伸させるために構成される。第1弾性要素と第2弾性要素はフレーム要素の実質的なストレートエッジに沿って互いに隣接して配置されている。
【0016】
マスクのフレーム要素への取り付けは、ピンやばねなどの弾性要素によって行われ、これによってマスクホイルに備わる対応する接続手段(例えば、クランプ)に締結される。弾性要素は引張り装置でもあり、張力が加えられるとマスクの接続手段と締結し、弾性要素を圧縮するとマスクから解放される。
【0017】
マスクのフレーム要素への取り付け(固定)手段は、マスクをフレーム要素に支持すると同時にマスクを延伸させる。ゆえに、マスクがマスク取り付け手段へ固定されるとすぐに、同時にマスクは延伸される。更に、マスクのマスク支持体への取り付け・取り外しは、張力を解放しマスクをマスク支持体から取り外すのみならず固定と延伸が1ステップで実行されるという事実のため、非常に容易である。
【0018】
本発明は特にOLEDディスプレーの生産に対して便利である。本発明によって、長方形フレーム要素のそれぞれの側部に弾性要素を備えることによってマスクは安定した位置に配置され延伸され得る。本発明によって、構造をもつマスクホイルの取り扱いと交換を簡単に行うことができるので、生産プロセス内で必要とされるマスクとマスクフレームの数を減らすことができる。更に、マスクの取り外しが緩やかな手順で行われ、マスクとマスクフレームの再利用を可能にするという事実によって、マスクフレームのライフサイクルが延びる。
【0019】
従来のプロセスでマスクを生産する場合、金属ホイルは処理のために、例えばマスク上のある特定の構造を提供するためにクランプ固定具に位置決めされる。クランプ固定具は特にマスクを処理するために提供され、本発明における発明のマスク支持体は、マスクをコーティングプロセスで使用するためのみならず、マスクを生産するために使用してもよい。従って、特にマスクの生産後にクランプ固定具からマスクを取り外し、マスクをコーティングプロセスのために別のフレームへ取り付けるプロセスステップ数を減らすことができる。
【0020】
本発明によると、複数の弾性要素が(通常は長方形の)フレーム要素のそれぞれの側部で使用されてもよい。少なくとも第1と第2弾性要素がフレーム要素の側部に備わっている。従って、フレーム要素の側部に沿って配置された弾性要素の性質を変化させることによって、フレーム要素の側部に沿った弾性要素の特性を変化させるのが容易である。弾性要素の性質を変えることによって張力が変わるので、マスクを平面にしわにならないように配置する点で様々なマスクレイアウトの形状と位置を最適化することができる。
【0021】
マスクをフレーム要素へ取り付けるには、複数の弾性要素、例えばピンあるいはばねによって行われ、マスクホイルに備えられた対応する接続手段(例えば、クランプ)に締結する。クランプはマスク平面と湾曲側の間に鋭角を形成するようにマスクアセンブリの端部を曲げることによって提供されてもよい。弾性要素は、張力が掛けられたときにマスクの接続手段と締結し、弾性要素を圧縮したときにマスクから解放される引張り装置でもある。
【0022】
弾性要素の特性は以下に記載されるような異なる方法によって変えられてもよい。
【0023】
弾性要素はマスクをフレーム要素に取り外し可能に取り付けるために構成されていることが望ましい。
【0024】
特に、第1弾性要素と第2弾性要素の両方は、レバーあるいはアーム部を含んでおり、また第1弾性要素の第1締結手段と第2弾性要素の第1締結手段は、レバーあるいはアーム部からある角度で伸びる突起を含んでいる。
【0025】
第1弾性要素と第2弾性要素の両方は、レバー部と、第1弾性要素と第2弾性要素をそれぞれフレーム要素へ取り付けるための取り付け部との間に配置された曲部を含んでいることが望ましい。曲部を備えることによって、ばね剛性、及び/又は、ばねのたわみ/ばねの全長が、かなり多くの構造空間を必要とすること無しに増加するかもしれない。このように、マスク支持体の高さ、及び/又は、横方向の伸びは、要求されるばね剛性、及び/又は、ばねのたわみから独立している。
【0026】
特に、第1弾性要素と第2弾性要素は異なる構造を有している。構造あるいは幾何形状は、異なる特性、特にマスクアセンブリの側部に沿って異なる張力を発生させるために変えてもよい。
【0027】
本発明の好ましい一実施形態によると、第1弾性要素の曲部と第2弾性要素の曲部は、異なるカーブ数を含んでいる。カーブ数を変える、例えば、取り付け端と第1締結手段の間の弾性要素の長さ方向に沿って曲折数を変えることによって、ばね剛性、及び/又は、ばねのたわみ/ばねの全長を明確に調節することができる。
【0028】
弾性要素は全体的に可撓性のある材料で形成されていてもよい。少なくとも、可撓性要素は可撓性部位を有していてもよい。
【0029】
弾性要素は少なくともフレーム要素の末端に沿って配置されていることが望ましい。特に、フレーム要素の2つの相対する側部はそこに取り付けられる弾性要素を有していてもよい。弾性要素はマスクを反対方向に延伸させるために力を働かせる。
【0030】
第1弾性要素の第1締結手段と第2弾性要素の第1締結手段は、マスクをフレーム要素に固定しマスクを延伸させるために、少なくとも弾性要素が解放状態にある第1位置から弾性要素が圧縮状態にある第2位置までフレーム要素に対して可動であることが望ましい。
【0031】
第1弾性要素の第1締結手段と第2弾性要素の第1締結手段は、フレーム要素に回転可能に配置されている。締結手段は少なくとも1つの回転軸周りに回転あるいは旋回するようにフレーム要素に回転可能に配置されている。特に、締結手段は1よりも多い軸周りに回転できるように、及び/又は、並進運動できるように配置されていてもよい。これは、弾性要素の構成による。
【0032】
弾性要素は全体的に可撓性のある材料で形成されていてもよい。少なくとも、可撓性要素は可撓性部位を有していてもよい。
【0033】
第1弾性要素と第2弾性要素の両方は、少なくともフレーム要素の末端に沿って配置されていることが望ましい。特に、フレーム要素の2つの相対する側部はそこに取り付けられる少なくとも2つの弾性要素を有していてもよい。弾性要素はマスクを反対方向に延伸させるために力を働かせる。
【0034】
第1弾性要素と第2弾性要素はマスクアセンブリに異なる引張り力を働かせるように形成されてもよい。
【0035】
本発明の好ましい一実施形態によると、少なくとも第1弾性要素の一部と第2弾性要素の一部は異なる材料でできている。異なる材料は異なるばね剛性を有しているので、マスクアセンブリの端に沿った張力を変えることができる。
【0036】
本発明の好ましい別の一実施形態によると、少なくとも第1弾性要素の一部と第2弾性要素の一部は異なる厚みを有している。
【0037】
本発明によると、マスクをマスク支持体に取り付けるために備えられた上記のようなマスクアセンブリは、少なくともマスクと接続手段を含んでおり、この接続手段はマスクをフレーム要素に取り付け、フレーム要素内で支持されるマスクを延伸させるための手段にマスクを接続する。接続手段は、少なくともマスク支持体の第1締結手段と相互締結するための第2締結手段を含んでいる。
【0038】
マスクは薄層シャドーマスク、特に金属シートから作られたシャドーマスクであってもよい。薄層マスクは薄い金属マスクシートでできたシャドーマスクであり、コーティング粒子がマスクを通過し、基板上に材料パターンを形成することができるように多数の孔を有している。マスクを使用すると、孔は数回のコーティングサイクルの後に汚れる。本発明は、マスクの取り扱いとマスク支持体からのマスクの交換を容易に行え、マスク支持体へのマスクの素早い取り付けを提供する。
【0039】
本発明の好ましい一実施形態によると、第2締結手段はクランプ、例えばマスクアセンブリあるいはマスクの少なくとも一端部をマスク表面に対して曲げることによって形成されたクランプを含み、それによって第1及び/又は第2弾性要素の第1締結手段の締結に対して鋭角を形成する。
【0040】
また、本発明の目的は、上記のようなマスク支持体と上記のようなマスクアセンブリを含むアセンブリによって達成される。
【0041】
特に、マスク支持体の弾性要素の圧縮によって働くフレキシブルな力によって、マスクはマスク支持体に(取り外し可能に)取り付けられており、弾性要素の第1締結手段はマスクアセンブリの第2締結手段と締結しており、それによってマスク支持体に取り付けられたマスクを支持し延伸させている。
【0042】
本発明に係るマスクアセンブリを本発明に係るマスク支持体に接続する方法は、2以上の下記のステップの組み合わせを含む:a)引張り装置内のフレーム要素と弾性要素を含むマスク支持体を挿入する;b)マスクと、マスク支持体の上部の接続手段とを含むマスクアセンブリを配置する;そしてc)引張り装置の始動により弾性要素を圧縮する。その後、ステップd)によれば、マスクアセンブリの接続手段は、引張り装置の始動によって弾性要素を解放するとすぐに、マスク支持体の弾性要素を締結する。弾性要素を解放するとき、それらはマスクアセンブリの接続手段と締結して動き、このようにしてマスクホイルをフレーム要素と接続する。同時に、弾性要素の弾性力は張力をもった状態にマスクホイルを維持する。
【0043】
本方法は更にステップe)マスクアセンブリとマスク支持体を含むアセンブリを引張り装置から取り外す、を含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の更なる構成と特徴が、添付図面を参照するとともに以下に記載される好ましい実施形態の説明から明白となる。各図は以下のものを示している。
【0045】
【図1】本発明に係るマスク支持体の一部とマスク支持体から取り外されたマスクを示す図である。
【図2】本発明に係るマスク支持体とそこに取り付けられたマスクを示す図である。
【図3】本発明に係るマスク支持体の一実施形態の斜視図である。
【図4】本発明に係るマスク支持体の一実施形態の上面図である。
【実施形態の詳細な説明】
【0046】
図1はフレーム要素20と弾性要素30を含むマスク支持体10の一部を示している。弾性要素30はフレーム要素20に固定されている。
【0047】
フレーム要素20は第1フレーム部21と第2フレーム部22を含んでおり、長方形あるいは正方形の形状を有していてもよい。
【0048】
弾性要素30は全体的に可撓性のある材料で形成された部品である。それはフレーム要素20の末端に沿ってフレーム要素20の第1フレーム部21と第2フレーム部22の間に備わる凹部23の中へ伸びる取り付け端部31を含んでいる。取り付け端部31は第1フレーム部21と第2フレーム部22の間にクランプされている。1つあるいは複数の弾性要素30がフレーム要素20の末端に沿って配置されてもよく、それによって弾性要素がマスク支持体10に取り付けられたマスクを固定して各々の方向に延伸させることができる。
【0049】
更に、弾性要素30は取り付け端部31に接続される曲部32を含んでいる。曲部32は、およそ90°の第1湾曲33と、およそ180°の第2湾曲34と、およそ180°の第3湾曲35と、90°と180°の間の角度をもつ第4湾曲を含んでいる。
【0050】
レバーあるいはアーム部37は曲部32に接続されている。レバーあるいはアーム部37はフレーム要素20から離れて外側へ伸びている。それはアーム部37と第1締結突起38の間の締結凹部39を形成するために、アーム部37の自由端からおよそ90°の角度で伸びている第1締結突起38を含んでいる。凹部39はアーム部37に対してフレーム要素20と反対側に配置されている。
【0051】
少なくとも弾性要素30の一部、特に曲部32は、アーム部37と第1締結部38がフレーム要素20と取り付け端部31に対して旋回できるように可撓性のある、及び/又は、弾性をもつ材料でできている。アーム部37は、少なくとも1軸の周りに、特に複数の旋回軸の周りに、旋回してもよい。曲部32が多くの湾曲33、34、35、36を含んでいるという事実のために、アーム部37は、例えば湾曲の頂点の軸周りに旋回してもよい。更に、アーム部37は並進運動を、例えば曲部32を矢印xで示される方向に圧縮あるいは延伸させることによって実行してもよい。
【0052】
図1に示される実施形態において、弾性要素30はアンロードの状態にある。この状態において、アーム部37はフレーム要素20に対して決められた角度で延伸する。矢印Cによって示される方向に圧縮するとき、弾性要素30はばねあるいはピンのように振る舞い、矢印Fに示されるように反力を発生する。
【0053】
図1に示されるように、マスクアセンブリ40は、薄層マスク41、例えば薄い金属ホイルから製造されるものと、接続要素42を含んでいる。接続要素42は、弾性要素30の締結突起38で締結する締結部43を含んでいる。図1において、マスク40はマスク支持体10と弾性要素30との締結が外れている。マスク40はマスク支持体10から解放されている。このようにマスク40と弾性要素30は互いに取り外される。
【0054】
接続要素42は、曲げられたタブとマスク41の表面との間に鋭角を形成するようにマスク41の端部を曲げることによって取って代えてもよい。曲げられたタブとマスク41の表面との間に画定される凹部は接続要素42の締結部43に対応する。マスク41の端のタブを曲げることの利点は、締結部43が完全に揃うことである。第1に、タブをマスク41の端に対して平行あるいは直角に曲げるのは極めて簡単である。第2に、マスク41の端に沿って各々曲げられたタブ部の長さは、例えばレーザを利用して、曲げられたタブ部の間に間隙を形成することによって調整してもよい。
【0055】
図1に示される実施形態において、弾性要素30は互いに隣接して配置された複数の別々の弾性要素30a、30b、30c、30d、...を含んでいてもよい。弾性要素30a、30b、30c、30d、...の間には仕切り、例えば小さな間隙がある。このように弾性要素30a、30b、30c、30d、...は、独立して延伸あるいはロードしてもよい。
【0056】
更に、弾性要素30a、30b、30c、30d、...は、異なる構造を有していてもよい。構造あるいは幾何形状は、異なる性質、特にマスクアセンブリ42の側部に沿って異なる張力を発生させるために変えられてもよい。弾性要素30a、30b、30c、30d、...の各々は、全体的に可撓性のある材料で形成されていてもよい。例えば、弾性要素30a、30b、30c、30d、...あるいは弾性要素30a、30b、30c、30d、...のいくつかは、マスクアセンブリ42に対して異なる引張り力を働かせるように形成されてもよい。更に、弾性要素30a、30b、30c、30d、...あるいは弾性要素30a、30b、30c、30d、...のいくつかは、異なる材料でできていてもよく、あるいは異なる厚みをもっていてもよい。従って、ばね剛性やマスクアセンブリ42の端に沿った張力が変えられてもよい。
【0057】
図2は、図1のマスク支持体10を、マスク支持体10に取り付けられたマスクアセンブリ40とともに示している。この状態において、接続要素42の締結部43は、アーム部37の締結突起38と締結している。締結部43の自由端は、弾性要素30の締結凹部39の中へ伸びている。
【0058】
このように薄層マスク41はマスク支持体10に固定され、マスクアセンブリ40をマスク支持体10に固定するために圧縮された弾性要素30によって発生する力Fによって延伸される。マスクアセンブリ40をマスク支持体10に取り付けるとき、アーム部37がマスクアセンブリ40の接続要素42をマスク支持体10の弾性要素30に接続されるために圧縮しなければならないことは明白である。レバーあるいはアーム部37は、マスク41がフレーム要素20の上の平面内において延伸されている状態を保つために、フレーム要素20によって画定されたレベルの上を伸びる。
【0059】
このように、マスクアセンブリ40は弾性要素30に取り付けられると同時に延伸される。マスクアセンブリ40をマスク支持体10から解放するとき、接続要素42を弾性要素30から取り外し、マスクアセンブリ40をマスク支持体10から取り除くことができるように、アーム部37を圧縮し旋回させるために、力C(Fよりも大きい)がアーム部37に適用されなければならない。
【0060】
マスクアセンブリ40をマスク支持体10から取り外すのみならず、マスク41を取り付け/延伸させるのは、極めて簡単で楽にできることは明白である。
【0061】
1つあるいは複数の湾曲33、34、35をもつ曲部を備えることによって、単に弾性要素30の幾何形状を決定することによってばね剛性を広範囲に制御してもよい。更に、弾性要素30のたわみあるいは伸びE,E’(図1及び2参照)は極めて小さく、ばね剛性はマスク41を延伸させるために十分である。マスク41を延伸するとき、弾性要素30はマスクアセンブリ40に引張牽引力の代わりに圧縮せん断力を働かせる。マスクアセンブリ40の各々の端部42は、マスクを把持し延伸させるために各々の弾性要素によってフレーム要素20から離れる方向に押される。このように、本発明のマスク支持体10を備えるために必要とされる構造空間は小さい。特に、構造の高さHは制限され、フレーム要素20の縦と横の伸びはマスクアセンブリ40の縦と横の伸びに対応する。このようにマスク支持体10は極めて小型である。
【0062】
図3は本発明に係るマスク支持体10の実施形態の一部を示しており、フレーム要素20と、複数の弾性要素30a、30b、30c、30d、30e、30f、30g、30hを含んでいる。弾性要素30a、30b、30c、30d、30eはフレーム要素20の第1端24に沿って隣り合って配置されている。弾性要素30f、30g、30hは、フレーム要素20の第2端25に沿って隣り合って配置されている。弾性要素30は各々の端24、25に沿って互いに隣接して配置されており、隣接する弾性要素30の間には間隙30’が配置されている。
【0063】
弾性要素30a、...、30hの構成は、図1及び2に示されているものと同じである。弾性要素30a、...、30hは曲部32を含んでいるという事実のため、弾性要素30a、...、30hの高さHは実質的にフレーム要素20の高さに制限される。
【0064】
弾性要素30a、...、30hの構成は同じであってもあるいは異なっていてもよく、すなわち1つあるいは複数の弾性要素30の構成が他の弾性要素30の構成と異なっていてもよい。例えば、少なくとも2つの弾性要素30における、曲部32において形成されるカーブ数、幾何形状、材料、厚み、あるいは幅Bが異なっていてもよい。これらのパラメータを制御することによって、特定の弾性要素30が特定の性質、例えばレバー部37の並進あるいは回転力に対応する特定のばね力をもつために形成されてもよい。フレーム要素20の端部に沿って異なる弾性要素30を備えることによって、マスク41はマスクアセンブリ40の端42に沿って異なる位置で多少延伸されてもよい。このように、引張力は各々特定のマスク設計に対して適応されてもよい。
【0065】
図4はマスクアセンブリ40の平面図を示しており、マスクアセンブリ40はマスク41と、複数の弾性要素30a、30b、30c、...によって働く弾性力によってフレーム要素20に把持される接続要素42を含んでいる。弾性要素30a、30b、30c、...は、フレーム要素20の端部24に沿って隣り合って配置されている。
【0066】
フレーム要素20の縦と横の伸びは実質的にマスクアセンブリ40の縦と横の伸びに対応していることは図4から明白である。これは弾性要素30a、30b、30c、...がマスク41の端42をフレーム要素20から離れるように押すせん断力を提供しているという事実のためであり、つまり、フレーム要素20の伸びはマスクアセンブリ40の表面に一致しているかもしくは幾分小さい。また弾性要素30とフレーム要素20の高さHは制限されているので、マスク支持体10の構造はとても小型である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスク(41)を支持し、特にOLEDコーティング装置内で使用される薄層マスク(41)を支持し、フレーム要素(20)と弾性要素(30)を含むマスク支持体(10)であって、
前記弾性要素(30)は前記マスク(41)を前記フレーム要素(20)に取り付け、前記フレーム要素(20)内で支持される前記マスク(41)を延伸させるための手段を含んでおり、
前記弾性要素(30)は、前記フレーム要素(20)に回転可能に取り付けられたレバーあるいはアーム部(37)と、前記弾性要素(30)を前記フレーム要素(20)へ取り付ける取り付け端部(31)と、前記レバー部(37)と前記取り付け端部(31)の間に配置された曲部(32)を含んでいることを特徴とするマスク支持体(10)。
【請求項2】
前記マスク(41)を取り付けるための前記手段は、前記弾性要素(30)に配置された第1締結手段(38)を含み、前記第1締結手段(38)は前記マスク(41)を運ぶための前記マスクアセンブリ(40)に備えられた対応する第2締結手段(43)に締結することを特徴とする請求項1記載のマスク支持体。
【請求項3】
前記第1締結手段(38)は前記レバーあるいはアーム部(37)からある角度で伸びる突起を含んでいることを特徴とする請求項2記載のマスク支持体(10)。
【請求項4】
前記締結手段(38)は前記フレーム要素(20)に回転可能に配置されていることを特徴とする請求項2又は3記載のマスク支持体(10)。
【請求項5】
マスク(41)を支持し、特にOLEDコーティング装置内で使用される薄層マスク(41)を支持し、フレーム要素(20)と弾性要素(30)を含むマスク支持体(10)であって、
前記弾性要素(30)は前記マスク(41)を前記フレーム要素(20)に取り付け、前記フレーム要素(20)内で支持される前記マスク(41)を延伸させるための手段を含んでおり、
前記マスク(41)を取り付けるための前記手段は、前記弾性要素(30)に配置された第1締結手段(38)を含み、これは前記マスク(41)を運ぶ前記マスクアセンブリ(40)に備えられた対応する第2締結手段(43)に締結するためのものであり、
前記第1締結手段(38)は1よりも多い回転軸周りに回転できるように、及び/又は、前記フレーム要素(20)に対して並進運動できるように取り付けられていることを特徴とするマスク支持体(10)。
【請求項6】
前記弾性要素(30)はレバーあるいはアーム部(37)を含み、前記第1締結手段(38)は前記レバーあるいはアーム部(37)からある角度で伸びる突起を含んでいることを特徴とする請求項5記載のマスク支持体(10)。
【請求項7】
前記マスク(41)を取り付けるための前記手段は、前記マスク(41)を前記フレーム要素(20)に取り外し可能に取り付けるために備えられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のマスク支持体。
【請求項8】
前記第1締結手段(38)は、前記マスク(41)を前記フレーム要素(20)に固定し前記マスク(41)を延伸させるために、少なくとも前記弾性要素(30)が解放状態にある第1位置から前記弾性要素が圧縮状態にある第2位置まで前記フレーム要素(20)に対して可動であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項記載のマスク支持体。
【請求項9】
前記弾性要素(30)は、全体的に可撓性のある材料で形成されていることを特徴とする前記の請求項のいずれか1項記載のマスク支持体(10)。
【請求項10】
前記弾性要素(30)は、前記フレーム要素(20)の少なくとも末端に沿って配置されていることを特徴とする前記の請求項のいずれか1項記載のマスク支持体(10)。
【請求項11】
前記の請求項1〜10のいずれか1項記載のマスク支持体(10)にマスク(41)を取り付けるために設けられたマスクアセンブリ(40)であって、
前記マスクアセンブリ(40)は、少なくともマスク(41)と接続手段(42)を含んでおり、前記接続手段(42)は前記マスク(41)を前記フレーム要素(20)に取り付け、前記フレーム要素(20)内で支持される前記マスク(41)を延伸させるための前記手段に前記マスク(41)を接続することを特徴とするマスクアセンブリ(40)。
【請求項12】
マスク(41)を支持し、特にOLEDコーティング装置内で使用される薄層マスク(41)を支持し、フレーム要素(20)と複数の弾性要素(30a、30b、30c、30d、...)を含むマスク支持体(10)であって、
前記複数の弾性要素(30a、30b、30c、30d、...)のうちの第1弾性要素(30a)と第2弾性要素(30b)の両方が、前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)にそれぞれ配置された第1締結手段(38)を含み、これは前記マスク(41)を運ぶための前記マスクアセンブリ(40)に備えられた対応する第2締結手段(43)に締結するためのものであり、
前記弾性要素(30a、30b、30c、30d、...)は前記マスク(41)を前記フレーム要素(20)に固定し、前記マスク(41)の端部を前記フレーム要素から離れるように押すことによって前記フレーム要素(20)内に支持される前記マスク(41)を延伸させるために形成され、
前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)は前記フレーム要素(20)の実質的なストレートエッジに沿って互いに隣接して配置されることを特徴とするマスク支持体(10)。
【請求項13】
前記弾性要素(30a、30b、30c、30d、...)は、前記マスク(41)を前記フレーム要素(20)に取り外し可能に取り付けるために形成されていることを特徴とする請求項12記載のマスク支持体。
【請求項14】
前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)の両方が、レバーあるいはアーム部(37)を含み、前記第1弾性要素(30a)の前記第1締結手段(38)と前記第2弾性要素(30b)の前記第1締結手段(38)が前記レバーあるいはアーム部(37)からある角度で伸びる突起を含んでいることを特徴とする請求項12又は13記載のマスク支持体。
【請求項15】
前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)の両方が、前記レバー部(37)と取り付け部(31)の間に配置された曲部(32)を含み、前記取り付け部(31)は前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)をそれぞれ前記フレーム要素(20)に取り付けることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項記載のマスク支持体。
【請求項16】
前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)は異なる構造を有していることを特徴とする請求項15記載のマスク支持体(10)。
【請求項17】
前記第1弾性要素(30a)の前記曲部(32)と前記第2弾性要素(30b)の前記曲部(32)は異なるカーブ数を含んでいることを特徴とする請求項16記載のマスク支持体(10)。
【請求項18】
前記第1弾性要素(30a)の前記第1締結手段(38)と前記第2弾性要素(30b)の前記第1締結手段(38)は、前記マスク(41)を前記フレーム要素(20)に固定し前記マスク(41)を延伸させるために、少なくとも各々の前記弾性要素(30)が解放状態にある第1位置から前記弾性要素(30)が圧縮状態にある第2位置まで前記フレーム要素(20)に対して可動であることを特徴とする請求項12〜17のいずれか1項記載のマスク支持体。
【請求項19】
前記第1弾性要素(30a)の前記第1締結手段(38)と前記第2弾性要素(30b)の前記第1締結手段(38)は、前記フレーム要素(20)に回転可能に配置されている、ことを特徴とする請求項12〜18のいずれか1項記載のマスク支持体(10)。
【請求項20】
前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)の両方が、全体的に可撓性のある材料で形成されていることを特徴とする請求項12〜19のいずれか1項記載のマスク支持体(10)。
【請求項21】
前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)の両方が、前記フレーム要素(20)の少なくとも末端に沿って配置されていることを特徴とする請求項12〜20のいずれか1項記載のマスク支持体(10)。
【請求項22】
前記第1弾性要素(30a)と前記第2弾性要素(30b)が、前記マスクアセンブリ(40)に異なる引張り力を働かせるように形成されていることを特徴とする請求項12〜21のいずれか1項記載のマスク支持体(10)。
【請求項23】
少なくとも前記第1弾性要素(30a)の一部と前記第2弾性要素(30b)の一部が異なる材料でできていることを特徴とする請求項12〜22のいずれか1項記載のマスク支持体(10)。
【請求項24】
少なくとも前記第1弾性要素(30a)の一部と前記第2弾性要素(30b)の一部が異なる厚みを有することを特徴とする請求項12〜23のいずれか1項記載のマスク支持体(10)。
【請求項25】
マスク(41)を請求項1〜10又は請求項12〜23のいずれか1項記載のマスク支持体(10)に取り付けるために設けられたマスクアセンブリ(40)であって、
前記接続手段(42)は、少なくとも前記マスク支持体(10)の前記第1締結手段(38)と相互締結するための第2締結手段(43)を含むことを特徴とするマスクアセンブリ(40)。
【請求項26】
前記第2締結手段(43)は、少なくとも前記マスクアセンブリ(40)の端部を前記マスク(41)の表面に対して曲げることによって形成されるクランプを含むことを特徴とする請求項11〜25のいずれか1項記載のマスクアセンブリ。
【請求項27】
前記マスク(41)は薄層シャドーマスク、特に金属シートから作られたシャドーマスクであることを特徴とする請求項11、25、16のいずれか1項記載のマスクアセンブリ。
【請求項28】
請求項1〜10又は121〜24のいずれか1項記載のマスク支持体と、請求項11又は請求項25〜27のいずれか1項記載のマスクアセンブリを含むアセンブリ。
【請求項29】
前記マスク(41)は、前記マスク支持体(10)の前記弾性要素(30a、30b、30c、30d、...)の圧縮によって発生するフレキシブルな力によって前記マスク支持体(10)に取り付けられており、前記弾性要素(30a、30b、30c、30d、...)の前記第1締結手段(38)は前記マスク支持体(10)に取り付けられている前記マスク(41)を支持し延伸させるための前記マスクアセンブリ(40)の前記第2締結手段(42)と締結していることを特徴とする請求項28記載のアセンブリ。
【請求項30】
請求項11又は25〜27のいずれか1項記載のマスクアセンブリを請求項1〜10又は12〜24のいずれか1項記載のマスク支持体に接続する方法であって、
a)引張り装置内の前記フレーム要素と前記弾性要素を含む前記マスク支持体を挿入し、
b)前記マスク支持体の上部に前記マスクと前記接続手段を含む前記マスクアセンブリを配置し、
c)前記引張り装置の作動によって前記弾性要素を圧縮し、
d)前記引張り装置の作動によって前記弾性要素を解放することを含む方法。
【請求項31】
e)前記マスクアセンブリと前記マスク支持体を含む前記アセンブリを前記引張り装置から取り除くことを含むことを特徴とする請求項30記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−516736(P2011−516736A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504330(P2011−504330)
【出願日】平成20年12月1日(2008.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2008/066516
【国際公開番号】WO2009/127272
【国際公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【出願人】(390040660)アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド (1,346)
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】