マスク画像を抽出する方法及びプログラム並びにボクセルデータを構築する方法及びプログラム
【課題】手作業や特別な撮影環境を用いることなく、比較的単純な処理により精度の高いマスク画像を抽出する。
【解決手段】複数の被写体画像と複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出し、複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、3次元ボクセルデータを構築し、3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、再度3次元ボクセルデータを構築し、この3次元ボクセルデータから、複数のマスク画像を抽出する。
【解決手段】複数の被写体画像と複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出し、複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、3次元ボクセルデータを構築し、3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、再度3次元ボクセルデータを構築し、この3次元ボクセルデータから、複数のマスク画像を抽出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク画像を抽出する方法及びプログラム、並びにボクセルデータを構築する方法及びプログラムに関する。より詳細には、被写体を撮影した画像と背景のみを撮影した画像からマスク画像を抽出するマッティング方法及びプログラム、並びに上記で抽出された複数枚のマスク画像から視体積交差法を適用しボクセルデータを構築するモデリングの方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を撮影した画像から被写体の存在を表すマスク画像を抽出するマッティング(matting)と複数枚のマスク画像に視体積交差法を適用し3次元ボクセルデータを構築するモデリング(modeling)は、別々に行われていた。このため、高精度なボクセルデータを構築するためには、まず高精度なマスク画像を抽出しなければならず、ブルーバックなどの特別な環境が必要であった。特許文献1及び非特許文献1では、背景差分に工夫をこらし、ボクセルデータの色情報を用いてマスク画像の欠損を埋めるマスク画像精度向上の方法を開示している。
【特許文献1】特開2007−17364号公報
【非特許文献1】豊浦正広他 ランダムパターン背景を用いた視体積交差法のためのシルエット修復手法 2005 年 電子情報通信学会総合大会 D−12−133
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の方法では、精度の高いボクセルデータを構築するためには、初めに十分精度の高いマスク画像が必要であった。そのため、手作業や、ブルーバックなどの特別な撮影環境を用いて、複雑な計算処理を行い、精度の高いマスク画像を抽出しなければならないという課題があった。
【0004】
従って、本発明は、手作業や特別な撮影環境を用いることなく、比較的単純な処理により精度の高いマスク画像を抽出する方法及びプログラム、並びに上記マスク画像からボクセルデータを構築する方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するため本発明による複数のマスク画像を抽出する方法は、被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、被写体の存在を表す複数のマスク画像を抽出する方法であって、前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出ステップと、前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築ステップと、前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築ステップと、前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出ステップとを含む。
【0006】
また、前記複数の第2のマスク画像を、前記第1の構築ステップにおける複数の第1のマスク画像とすることで、前記第1の構築ステップから前記第2の抽出ステップまでを所定の回数繰り返すことも好ましい。
【0007】
また、前記第2の構築ステップは、前記第1の3次元ボクセルデータの複数の第1のスライス画像を、x軸、y軸及びz軸方向から獲得するサブステップと、前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理の結果に基づき第2の3次元ボクセルデータを構築するサブステップとを含むことも好ましい。
【0008】
また、前記第2の3次元ボクセルデータを構築するサブステップは、前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理により白色になった画素を求め、該画素に対応する前記第1の3次元ボクセルデータの3次元座標を埋めることで、第2の3次元ボクセルデータを構築するステップであることも好ましい。
【0009】
また、前記第2の抽出ステップは、前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理により白色になった画素を求め、該画素をマスク画像に射影変換し、複数の第3のマスク画像を抽出するサブステップと、前記第2の3次元ボクセルデータの複数の第2のスライス画像を、y軸方向から獲得するサブステップと、前記複数の第2のスライス画像の白色である画素を求め、該画素をマスク画像に射影変換し、複数の第4のマスク画像を抽出するサブステップと、前記複数の第4のマスク画像にフィルタ処理を施し、フィルタ処理された複数の第4のマスク画像と前記複数の第3のマスク画像の両画像共に白色である画素を白色とし、それ以外の画素を黒色とすることで、複数の第2のマスク画像を抽出するサブステップとを含むことも好ましい。
【0010】
また、前記第2の抽出ステップ後に、前記複数の第2のマスク画像にフィルタ処理を施すステップをさらに含むことも好ましい。
【0011】
上記目的を実現するため本発明による複数のマスク画像を抽出するプログラムは、被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、被写体の存在を表す複数のマスク画像を抽出するためのコンピュータを、前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出手段と、前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築手段と、前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築手段と、前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出手段ととして機能させる。
【0012】
上記目的を実現するため本発明による3次元ボクセルデータを構築する方法は、被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、3次元ボクセルデータを構築する方法であって、前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出ステップと、前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築ステップと、前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築ステップと、前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出ステップと、前記複数の第2のマスク画像から視体積交差法により、第3の3次元ボクセルデータを構築する第3の構築ステップとを含む。
【0013】
上記目的を実現するため本発明による3次元ボクセルデータを構築することを特徴とするプログラムは、被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、3次元ボクセルデータを構築するためのコンピュータを、前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出手段と、前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築手段と、前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築手段と、前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出手段と、前記複数の第2のマスク画像から視体積交差法により、第3の3次元ボクセルデータを構築する第3の構築手段として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマスク画像を抽出する方法及びプログラムは、ボクセルデータの情報をマスク画像に反映させることで、マスク画像とボクセルデータの精度向上を補間的に行う。初めに高精度なマスク画像を必要とせず、さらに複雑な計算処理を行わずに高精度のマスク画像を抽出でき、この高精度のマスク画像から高精度のボクセルデータを構築できる。さらに、本発明は、特別な撮影環境に依らず、一般的な映像に対して適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明によるマスク画像の抽出とボクセルデータの構築方法を示すフローチャートである。以下、本フローチャートに基づいて説明する。
【0016】
ステップ1:円周配置の複数枚の被写体画像と背景画像を取得する。キャリブレーション済みのカメラを複数台円周上に配置して、該複数台のカメラで被写体と背景を含む被写体画像と背景のみを含む背景画像とを撮影し、複数の異なった方向から撮影した被写体画像と背景画像を取得する。例えば、カメラが30台配置された場合、被写体画像画像及び背景画像はそれぞれ30枚取得される。
【0017】
ステップ2:上記の被写体画像画像と、背景画像とから、背景差分を行うことにより、複数枚のマスク画像を抽出する。本マスク画像は、従来技術の単純な背景差分により抽出されるため、精度は高くない。マスク画像はカメラの台数分抽出される。例えば、カメラが30台配置された場合、30枚のマスク画像が抽出される。
【0018】
ステップ3:複数枚のマスク画像に、視体積交差法を適用することにより、3次元ボクセルデータを構築する。ボクセルデータの精度は、マスク画像の精度に依存するため、ステップ2で抽出されたマスク画像を用いる場合、構築されたボクセルデータの精度は高くない。
【0019】
ステップ4:上記で獲得されたボクセルデータをスライス画像として獲得する。3次元ボクセルデータをある方向からのスライス画像の集まりと考えて、ボクセルデータをスライス画像としてx軸、y軸及びz軸方向から獲得する。スライス画像は各軸とも座標範囲の枚数分を獲得する。例えば、ボクセルデータのy軸座標範囲が−256〜255であった場合は、512枚のスライス画像を獲得する。なお、y軸は鉛直方向であり、x軸及びz軸は、それぞれ水平方向である。
【0020】
ステップ5:穴を埋めたボクセルデータを構築する。ステップ4のスライス画像は精度が高くないボクセルデータから獲得されている場合があるため、黒色である箇所が白色となり穴が空いている欠損や、逆に白色の部分に黒色が表れるノイズが含まれていることもある。そのため、各方向(x軸、y軸、z軸)から獲得されたスライス画像に対してフィルタ処理を施す。例えば、ガウスフィルタを適用し欠損を充填することで穴の部分を埋め、メディアンフィルタを適用し不要なノイズを除去する。このようにして、フィルタ済スライス画像を得る。次に、フィルタ済スライス画像とフィルタされる前のスライス画像とを比較し、新たに白色となった画素(つまり、フィルタ処理により穴が埋められた画素)を求め、本画素に対応するボクセルデータの3次元座標を埋める。例えば、x軸の座標x1で獲得されたスライス画像において、白色となった画素が、y座標y1、z座標z1であった場合、ボクセルデータの3次元座標(x1、y1、z1)を埋める。以上の処理を全スライス画像に行い、穴を埋めたボクセルデータを獲得する。
【0021】
ステップ6:複数枚の穴を埋めたマスク画像を抽出する。ステップ5での3次元座標を各マスク画像に射影変換し、各マスク画像における対応画素を白色にする。つまり、スライス画像の3次元座標を射影変換して、各マスク画像を撮影した位置から見た画像を作成し、該画像においてステップ5の3次元座標に対応する画素を白色にする。これにより、穴が埋められたマスク画像が抽出される。
【0022】
ステップ7:上記ステップ5で獲得されたボクセルデータをy軸方向からスライス画像として獲得する。スライス画像はステップ4と同じく座標範囲の枚数分を獲得する。
【0023】
ステップ8:不要部を除去した複数枚のマスク画像を抽出する。ステップ7で獲得されたy軸方向からのスライス画像の白色画素に対応する3次元座標をマスク画像に射影変換し、各マスク画像における対応画素を白色にする。これにより得られたマスク画像にフィルタ処理を施す。ここで得られたマスク画像とステップ6で抽出されたマスク画像とを比較して、両画像ともに白色である場合のみ白色とし、それ以外の場合は該当箇所を黒色にする。以上の処理を全マスク画像に行い、不要部を除去したマスク画像を抽出する。
【0024】
ステップ9:複数枚の穴を埋めたマスク画像を抽出する。上記で得られたマスク画像にフィルタ処理を施すことによりさらに穴を埋める。このように、穴を埋め(ステップ6)、不要な部分を削除し(ステップ8)、穴を埋める(ステップ9)処理を施すことで、より高精度なマスク画像が抽出される。
【0025】
ステップ10:マスク画像の精度が十分であった場合、本マスク画像から視体積交差法を用いることにより、高精度なボクセルデータが構築される。マスク画像の精度が十分でなかった場合、ステップ9で得られたマスク画像をステップ3の入力とすることにより、ステップ3からステップ9を繰り返し、マスク画像とボクセルデータの精度を漸次更新していく。
【0026】
一般に、視体積交差法を用いる場合、マスク画像における影や背景の不要部分は、ボクセルデータの生成にあまり影響を与えないが、人物マスク内の穴・欠損は、ボクセルデータの生成に大きな影響を与えるため、人物マスク内の穴・欠損を埋める必要がある。
【0027】
また、ボクセルデータのスライス画像において人物が存在している画素(すなわち黒色でなく白色の画素)は、各マスク画像の該当画素においても必ず白色となるが、対象物体が存在していない画素(黒色の画素)は、各マスク画像において必ずしも黒色とは限らない。
【0028】
よって、スライス画像における白色の画素が重要であり、スライス画像の精度の向上は、徐々に欠損・穴を埋めていくことになる。上記のステップ3からステップ9を繰り返すことで、スライス画像の精度が向上し、ボクセルモデルの欠損が徐々に埋まっていく。
【0029】
次に、マスク画像の精度が向上していくことを実際の画像により示す。図2は、カメラ画像から得られたマスク画像の一例である。図2は、ステップ2で単純な背景差分により生成されたマスク画像であり、見て分かる通り、精度は高くない。
【0030】
図3は、図2のマスク画像から構築されたボクセルデータの一例を示す。ボクセルデータは3次元であるため、水平方向(x軸方向)から見た画像(a)と、鉛直方向(y軸方向)から見た画像(b)と、水平方向(z軸方向)から見た画像(c)を示す。なお、図3bは、図3a,cに比べて50%縮小されている。本ボクセルデータは、精度が高くない図2のマスク画像から構築されたため、精度が高くない。本来白色であるはずのところが黒色で埋まっていなかったり、本来黒色のところが白色であったりする。
【0031】
図4は、図3のボクセルデータの穴を埋めたボクセルデータの一例を示す。図3のボクセルデータをステップ5により穴を埋めた後のボクセルデータである。本図もx軸方向から見た画像(a)、y軸方向から見た画像(b)、z軸方向から見た画像(c)を示し、画像(b)は50%縮小されている。図3と図4を比較すると、例えば、x軸方向の左から2番目の人物において穴が埋まっていることが分かる。
【0032】
図5は、図2のマスク画像の穴を埋めたマスク画像を示す。図5はステップ5及びステップ6の処理が施されたマスク画像であり、図5と図2を比較すると人物の部分において穴が埋まっている。つまり、黒色のところが白色になっていることが分かる。
【0033】
図6は、図5のマスク画像から不要部を除去したマスク画像を示す。図6はステップ8の処理が施されたマスク画像であり、図6と図5を比較すると不要な部分が除去されていることが分かる。なお、図6のマスク画像は、ステップ7のy軸方向から抽出されたスライス画像と図5のマスク画像の両方とも白い部分を抽出しているため、背景部分が除去されている。
【0034】
図7は、図6のマスク画像にフィルタ処理を施したマスク画像を示す。図7はステップ9の処理が施されたマスク画像であり、図7と図6を比較するとフィルタ処理により、さらに穴埋めがなされていることが分かる。
【0035】
なお、図2、図5、図6及び図7のマスク画像は、複数枚のマスク画像の1枚であり、実際にはカメラ台数分のマスク画像の処理が行われることになる。
【0036】
図2のマスク画像と図7のマスク画像を比較すると、本発明のステップ3からステップ9を1回実行することにより、マスク画像の精度が大幅に向上することが分かる。
【0037】
本発明のステップ3からステップ9は、複数回実行して、さらにマスク画像の精度を高めることができる。図8は、本発明のステップ3からステップ9を3回実行することにより抽出されたマスク画像を示し、図9は、本発明のステップ3からステップ9を5回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。図10は、本発明のステップ3からステップ9を7回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。図11は、本発明のステップ3からステップ9を9回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。図7、図8、図9、図10、図11のマスク画像を比較すると、マスク画像の精度が漸次向上していくことが見て取れる。例えば、矢印1で指摘される箇所は、本来白色であるはずの人物内の箇所である。図7と図8を比較すると、穴が小さくなっていることが分かり、図9、図10、図11では穴が完全にふさがっていることが分かる。また、矢印2で指摘される箇所は、本来黒色であるはずの背景の箇所である。図7、図8、図9を比較すると、白色の箇所が小さくなっていることが分かり、図10、図11では白色の箇所が完全になくなっていることが分かる。
【0038】
最後に、上記の図7、図8、図9、図10、図11のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。それぞれ、図12は、図7のマスク画像から構築されたボクセルデータを示し、図13は、図8のマスク画像から構築されたボクセルデータを示し、図14は、図9のマスク画像から構築されたボクセルデータを示し、図15は、図10のマスク画像から構築されたボクセルデータを示し、図16は、図11のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。各図は、x軸方向から見た画像(a)、y軸方向から見た画像(b)、z軸方向から見た画像(c)を示し、画像(b)は50%縮小されている。それぞれ、マスク画像の精度向上と共にボクセルデータの精度の向上していることが分かる。例えば、x軸方向の左から2番目の人物において、図12、図13、図14と進むにつれて、次第に穴が小さくなっていき、図15、図16では穴が完全に埋まっていることが分かる。また、右から2番目の人物の足下の(背景であり黒色であるべき)白色の部分が、図12、図13、図14、図15と進むにつれて、小さくなっていき、図16で完全になくなっていることが分かる。このように精度の向上したマスク画像から精度の向上したボクセルデータが構築されることが分かる。
【0039】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるマスク画像の抽出とボクセルデータの構築方法を示すフローチャートである。
【図2】カメラ画像から得られたマスク画像の一例である。
【図3】図2のマスク画像から構築されたボクセルデータの一例を示す。
【図4】図3のボクセルデータの穴を埋めたボクセルデータの一例を示す。
【図5】図2のマスク画像の穴を埋めたマスク画像を示す。
【図6】図5のマスク画像から不要部を除去したマスク画像を示す。
【図7】図6のマスク画像にフィルタ処理を施したマスク画像を示す。
【図8】本発明のステップ3からステップ9を3回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。
【図9】本発明のステップ3からステップ9を5回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。
【図10】本発明のステップ3からステップ9を7回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。
【図11】本発明のステップ3からステップ9を9回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。
【図12】図7のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【図13】図8のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【図14】図9のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【図15】図10のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【図16】図11のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、マスク画像を抽出する方法及びプログラム、並びにボクセルデータを構築する方法及びプログラムに関する。より詳細には、被写体を撮影した画像と背景のみを撮影した画像からマスク画像を抽出するマッティング方法及びプログラム、並びに上記で抽出された複数枚のマスク画像から視体積交差法を適用しボクセルデータを構築するモデリングの方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被写体を撮影した画像から被写体の存在を表すマスク画像を抽出するマッティング(matting)と複数枚のマスク画像に視体積交差法を適用し3次元ボクセルデータを構築するモデリング(modeling)は、別々に行われていた。このため、高精度なボクセルデータを構築するためには、まず高精度なマスク画像を抽出しなければならず、ブルーバックなどの特別な環境が必要であった。特許文献1及び非特許文献1では、背景差分に工夫をこらし、ボクセルデータの色情報を用いてマスク画像の欠損を埋めるマスク画像精度向上の方法を開示している。
【特許文献1】特開2007−17364号公報
【非特許文献1】豊浦正広他 ランダムパターン背景を用いた視体積交差法のためのシルエット修復手法 2005 年 電子情報通信学会総合大会 D−12−133
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の方法では、精度の高いボクセルデータを構築するためには、初めに十分精度の高いマスク画像が必要であった。そのため、手作業や、ブルーバックなどの特別な撮影環境を用いて、複雑な計算処理を行い、精度の高いマスク画像を抽出しなければならないという課題があった。
【0004】
従って、本発明は、手作業や特別な撮影環境を用いることなく、比較的単純な処理により精度の高いマスク画像を抽出する方法及びプログラム、並びに上記マスク画像からボクセルデータを構築する方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現するため本発明による複数のマスク画像を抽出する方法は、被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、被写体の存在を表す複数のマスク画像を抽出する方法であって、前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出ステップと、前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築ステップと、前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築ステップと、前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出ステップとを含む。
【0006】
また、前記複数の第2のマスク画像を、前記第1の構築ステップにおける複数の第1のマスク画像とすることで、前記第1の構築ステップから前記第2の抽出ステップまでを所定の回数繰り返すことも好ましい。
【0007】
また、前記第2の構築ステップは、前記第1の3次元ボクセルデータの複数の第1のスライス画像を、x軸、y軸及びz軸方向から獲得するサブステップと、前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理の結果に基づき第2の3次元ボクセルデータを構築するサブステップとを含むことも好ましい。
【0008】
また、前記第2の3次元ボクセルデータを構築するサブステップは、前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理により白色になった画素を求め、該画素に対応する前記第1の3次元ボクセルデータの3次元座標を埋めることで、第2の3次元ボクセルデータを構築するステップであることも好ましい。
【0009】
また、前記第2の抽出ステップは、前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理により白色になった画素を求め、該画素をマスク画像に射影変換し、複数の第3のマスク画像を抽出するサブステップと、前記第2の3次元ボクセルデータの複数の第2のスライス画像を、y軸方向から獲得するサブステップと、前記複数の第2のスライス画像の白色である画素を求め、該画素をマスク画像に射影変換し、複数の第4のマスク画像を抽出するサブステップと、前記複数の第4のマスク画像にフィルタ処理を施し、フィルタ処理された複数の第4のマスク画像と前記複数の第3のマスク画像の両画像共に白色である画素を白色とし、それ以外の画素を黒色とすることで、複数の第2のマスク画像を抽出するサブステップとを含むことも好ましい。
【0010】
また、前記第2の抽出ステップ後に、前記複数の第2のマスク画像にフィルタ処理を施すステップをさらに含むことも好ましい。
【0011】
上記目的を実現するため本発明による複数のマスク画像を抽出するプログラムは、被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、被写体の存在を表す複数のマスク画像を抽出するためのコンピュータを、前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出手段と、前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築手段と、前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築手段と、前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出手段ととして機能させる。
【0012】
上記目的を実現するため本発明による3次元ボクセルデータを構築する方法は、被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、3次元ボクセルデータを構築する方法であって、前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出ステップと、前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築ステップと、前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築ステップと、前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出ステップと、前記複数の第2のマスク画像から視体積交差法により、第3の3次元ボクセルデータを構築する第3の構築ステップとを含む。
【0013】
上記目的を実現するため本発明による3次元ボクセルデータを構築することを特徴とするプログラムは、被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、3次元ボクセルデータを構築するためのコンピュータを、前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出手段と、前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築手段と、前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築手段と、前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出手段と、前記複数の第2のマスク画像から視体積交差法により、第3の3次元ボクセルデータを構築する第3の構築手段として機能させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマスク画像を抽出する方法及びプログラムは、ボクセルデータの情報をマスク画像に反映させることで、マスク画像とボクセルデータの精度向上を補間的に行う。初めに高精度なマスク画像を必要とせず、さらに複雑な計算処理を行わずに高精度のマスク画像を抽出でき、この高精度のマスク画像から高精度のボクセルデータを構築できる。さらに、本発明は、特別な撮影環境に依らず、一般的な映像に対して適用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の実施形態について、以下では図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明によるマスク画像の抽出とボクセルデータの構築方法を示すフローチャートである。以下、本フローチャートに基づいて説明する。
【0016】
ステップ1:円周配置の複数枚の被写体画像と背景画像を取得する。キャリブレーション済みのカメラを複数台円周上に配置して、該複数台のカメラで被写体と背景を含む被写体画像と背景のみを含む背景画像とを撮影し、複数の異なった方向から撮影した被写体画像と背景画像を取得する。例えば、カメラが30台配置された場合、被写体画像画像及び背景画像はそれぞれ30枚取得される。
【0017】
ステップ2:上記の被写体画像画像と、背景画像とから、背景差分を行うことにより、複数枚のマスク画像を抽出する。本マスク画像は、従来技術の単純な背景差分により抽出されるため、精度は高くない。マスク画像はカメラの台数分抽出される。例えば、カメラが30台配置された場合、30枚のマスク画像が抽出される。
【0018】
ステップ3:複数枚のマスク画像に、視体積交差法を適用することにより、3次元ボクセルデータを構築する。ボクセルデータの精度は、マスク画像の精度に依存するため、ステップ2で抽出されたマスク画像を用いる場合、構築されたボクセルデータの精度は高くない。
【0019】
ステップ4:上記で獲得されたボクセルデータをスライス画像として獲得する。3次元ボクセルデータをある方向からのスライス画像の集まりと考えて、ボクセルデータをスライス画像としてx軸、y軸及びz軸方向から獲得する。スライス画像は各軸とも座標範囲の枚数分を獲得する。例えば、ボクセルデータのy軸座標範囲が−256〜255であった場合は、512枚のスライス画像を獲得する。なお、y軸は鉛直方向であり、x軸及びz軸は、それぞれ水平方向である。
【0020】
ステップ5:穴を埋めたボクセルデータを構築する。ステップ4のスライス画像は精度が高くないボクセルデータから獲得されている場合があるため、黒色である箇所が白色となり穴が空いている欠損や、逆に白色の部分に黒色が表れるノイズが含まれていることもある。そのため、各方向(x軸、y軸、z軸)から獲得されたスライス画像に対してフィルタ処理を施す。例えば、ガウスフィルタを適用し欠損を充填することで穴の部分を埋め、メディアンフィルタを適用し不要なノイズを除去する。このようにして、フィルタ済スライス画像を得る。次に、フィルタ済スライス画像とフィルタされる前のスライス画像とを比較し、新たに白色となった画素(つまり、フィルタ処理により穴が埋められた画素)を求め、本画素に対応するボクセルデータの3次元座標を埋める。例えば、x軸の座標x1で獲得されたスライス画像において、白色となった画素が、y座標y1、z座標z1であった場合、ボクセルデータの3次元座標(x1、y1、z1)を埋める。以上の処理を全スライス画像に行い、穴を埋めたボクセルデータを獲得する。
【0021】
ステップ6:複数枚の穴を埋めたマスク画像を抽出する。ステップ5での3次元座標を各マスク画像に射影変換し、各マスク画像における対応画素を白色にする。つまり、スライス画像の3次元座標を射影変換して、各マスク画像を撮影した位置から見た画像を作成し、該画像においてステップ5の3次元座標に対応する画素を白色にする。これにより、穴が埋められたマスク画像が抽出される。
【0022】
ステップ7:上記ステップ5で獲得されたボクセルデータをy軸方向からスライス画像として獲得する。スライス画像はステップ4と同じく座標範囲の枚数分を獲得する。
【0023】
ステップ8:不要部を除去した複数枚のマスク画像を抽出する。ステップ7で獲得されたy軸方向からのスライス画像の白色画素に対応する3次元座標をマスク画像に射影変換し、各マスク画像における対応画素を白色にする。これにより得られたマスク画像にフィルタ処理を施す。ここで得られたマスク画像とステップ6で抽出されたマスク画像とを比較して、両画像ともに白色である場合のみ白色とし、それ以外の場合は該当箇所を黒色にする。以上の処理を全マスク画像に行い、不要部を除去したマスク画像を抽出する。
【0024】
ステップ9:複数枚の穴を埋めたマスク画像を抽出する。上記で得られたマスク画像にフィルタ処理を施すことによりさらに穴を埋める。このように、穴を埋め(ステップ6)、不要な部分を削除し(ステップ8)、穴を埋める(ステップ9)処理を施すことで、より高精度なマスク画像が抽出される。
【0025】
ステップ10:マスク画像の精度が十分であった場合、本マスク画像から視体積交差法を用いることにより、高精度なボクセルデータが構築される。マスク画像の精度が十分でなかった場合、ステップ9で得られたマスク画像をステップ3の入力とすることにより、ステップ3からステップ9を繰り返し、マスク画像とボクセルデータの精度を漸次更新していく。
【0026】
一般に、視体積交差法を用いる場合、マスク画像における影や背景の不要部分は、ボクセルデータの生成にあまり影響を与えないが、人物マスク内の穴・欠損は、ボクセルデータの生成に大きな影響を与えるため、人物マスク内の穴・欠損を埋める必要がある。
【0027】
また、ボクセルデータのスライス画像において人物が存在している画素(すなわち黒色でなく白色の画素)は、各マスク画像の該当画素においても必ず白色となるが、対象物体が存在していない画素(黒色の画素)は、各マスク画像において必ずしも黒色とは限らない。
【0028】
よって、スライス画像における白色の画素が重要であり、スライス画像の精度の向上は、徐々に欠損・穴を埋めていくことになる。上記のステップ3からステップ9を繰り返すことで、スライス画像の精度が向上し、ボクセルモデルの欠損が徐々に埋まっていく。
【0029】
次に、マスク画像の精度が向上していくことを実際の画像により示す。図2は、カメラ画像から得られたマスク画像の一例である。図2は、ステップ2で単純な背景差分により生成されたマスク画像であり、見て分かる通り、精度は高くない。
【0030】
図3は、図2のマスク画像から構築されたボクセルデータの一例を示す。ボクセルデータは3次元であるため、水平方向(x軸方向)から見た画像(a)と、鉛直方向(y軸方向)から見た画像(b)と、水平方向(z軸方向)から見た画像(c)を示す。なお、図3bは、図3a,cに比べて50%縮小されている。本ボクセルデータは、精度が高くない図2のマスク画像から構築されたため、精度が高くない。本来白色であるはずのところが黒色で埋まっていなかったり、本来黒色のところが白色であったりする。
【0031】
図4は、図3のボクセルデータの穴を埋めたボクセルデータの一例を示す。図3のボクセルデータをステップ5により穴を埋めた後のボクセルデータである。本図もx軸方向から見た画像(a)、y軸方向から見た画像(b)、z軸方向から見た画像(c)を示し、画像(b)は50%縮小されている。図3と図4を比較すると、例えば、x軸方向の左から2番目の人物において穴が埋まっていることが分かる。
【0032】
図5は、図2のマスク画像の穴を埋めたマスク画像を示す。図5はステップ5及びステップ6の処理が施されたマスク画像であり、図5と図2を比較すると人物の部分において穴が埋まっている。つまり、黒色のところが白色になっていることが分かる。
【0033】
図6は、図5のマスク画像から不要部を除去したマスク画像を示す。図6はステップ8の処理が施されたマスク画像であり、図6と図5を比較すると不要な部分が除去されていることが分かる。なお、図6のマスク画像は、ステップ7のy軸方向から抽出されたスライス画像と図5のマスク画像の両方とも白い部分を抽出しているため、背景部分が除去されている。
【0034】
図7は、図6のマスク画像にフィルタ処理を施したマスク画像を示す。図7はステップ9の処理が施されたマスク画像であり、図7と図6を比較するとフィルタ処理により、さらに穴埋めがなされていることが分かる。
【0035】
なお、図2、図5、図6及び図7のマスク画像は、複数枚のマスク画像の1枚であり、実際にはカメラ台数分のマスク画像の処理が行われることになる。
【0036】
図2のマスク画像と図7のマスク画像を比較すると、本発明のステップ3からステップ9を1回実行することにより、マスク画像の精度が大幅に向上することが分かる。
【0037】
本発明のステップ3からステップ9は、複数回実行して、さらにマスク画像の精度を高めることができる。図8は、本発明のステップ3からステップ9を3回実行することにより抽出されたマスク画像を示し、図9は、本発明のステップ3からステップ9を5回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。図10は、本発明のステップ3からステップ9を7回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。図11は、本発明のステップ3からステップ9を9回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。図7、図8、図9、図10、図11のマスク画像を比較すると、マスク画像の精度が漸次向上していくことが見て取れる。例えば、矢印1で指摘される箇所は、本来白色であるはずの人物内の箇所である。図7と図8を比較すると、穴が小さくなっていることが分かり、図9、図10、図11では穴が完全にふさがっていることが分かる。また、矢印2で指摘される箇所は、本来黒色であるはずの背景の箇所である。図7、図8、図9を比較すると、白色の箇所が小さくなっていることが分かり、図10、図11では白色の箇所が完全になくなっていることが分かる。
【0038】
最後に、上記の図7、図8、図9、図10、図11のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。それぞれ、図12は、図7のマスク画像から構築されたボクセルデータを示し、図13は、図8のマスク画像から構築されたボクセルデータを示し、図14は、図9のマスク画像から構築されたボクセルデータを示し、図15は、図10のマスク画像から構築されたボクセルデータを示し、図16は、図11のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。各図は、x軸方向から見た画像(a)、y軸方向から見た画像(b)、z軸方向から見た画像(c)を示し、画像(b)は50%縮小されている。それぞれ、マスク画像の精度向上と共にボクセルデータの精度の向上していることが分かる。例えば、x軸方向の左から2番目の人物において、図12、図13、図14と進むにつれて、次第に穴が小さくなっていき、図15、図16では穴が完全に埋まっていることが分かる。また、右から2番目の人物の足下の(背景であり黒色であるべき)白色の部分が、図12、図13、図14、図15と進むにつれて、小さくなっていき、図16で完全になくなっていることが分かる。このように精度の向上したマスク画像から精度の向上したボクセルデータが構築されることが分かる。
【0039】
また、以上述べた実施形態は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明によるマスク画像の抽出とボクセルデータの構築方法を示すフローチャートである。
【図2】カメラ画像から得られたマスク画像の一例である。
【図3】図2のマスク画像から構築されたボクセルデータの一例を示す。
【図4】図3のボクセルデータの穴を埋めたボクセルデータの一例を示す。
【図5】図2のマスク画像の穴を埋めたマスク画像を示す。
【図6】図5のマスク画像から不要部を除去したマスク画像を示す。
【図7】図6のマスク画像にフィルタ処理を施したマスク画像を示す。
【図8】本発明のステップ3からステップ9を3回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。
【図9】本発明のステップ3からステップ9を5回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。
【図10】本発明のステップ3からステップ9を7回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。
【図11】本発明のステップ3からステップ9を9回実行することにより抽出されたマスク画像を示す。
【図12】図7のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【図13】図8のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【図14】図9のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【図15】図10のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【図16】図11のマスク画像から構築されたボクセルデータを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、被写体の存在を表す複数のマスク画像を抽出する方法であって、
前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出ステップと、
前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築ステップと、
前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築ステップと、
前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出ステップと、
を含むことを特徴とする複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項2】
前記複数の第2のマスク画像を、前記第1の構築ステップにおける複数の第1のマスク画像とすることで、前記第1の構築ステップから前記第2の抽出ステップまでを所定の回数繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項3】
前記第2の構築ステップは、
前記第1の3次元ボクセルデータの複数の第1のスライス画像を、x軸、y軸及びz軸方向から獲得するサブステップと、
前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理の結果に基づき第2の3次元ボクセルデータを構築するサブステップと、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項4】
前記第2の3次元ボクセルデータを構築するサブステップは、
前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理により白色になった画素を求め、該画素に対応する前記第1の3次元ボクセルデータの3次元座標を埋めることで、第2の3次元ボクセルデータを構築するステップであることを特徴とする請求項3に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項5】
前記第2の抽出ステップは、
前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理により白色になった画素を求め、該画素をマスク画像に射影変換し、複数の第3のマスク画像を抽出するサブステップと、
前記第2の3次元ボクセルデータの複数の第2のスライス画像を、y軸方向から獲得するサブステップと、
前記複数の第2のスライス画像の白色である画素を求め、該画素をマスク画像に射影変換し、複数の第4のマスク画像を抽出するサブステップと、
前記複数の第4のマスク画像にフィルタ処理を施し、フィルタ処理された複数の第4のマスク画像と前記複数の第3のマスク画像の両画像共に白色である画素を白色とし、それ以外の画素を黒色とすることで、複数の第2のマスク画像を抽出するサブステップと、
を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項6】
前記第2の抽出ステップ後に、前記複数の第2のマスク画像にフィルタ処理を施すステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項7】
被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、被写体の存在を表す複数のマスク画像を抽出するためのコンピュータを、
前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出手段と、
前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築手段と、
前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築手段と、
前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出手段と、
として機能させ、複数のマスク画像を抽出することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、3次元ボクセルデータを構築する方法であって、
前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出ステップと、
前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築ステップと、
前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築ステップと、
前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出ステップと、
前記複数の第2のマスク画像から視体積交差法により、第3の3次元ボクセルデータを構築する第3の構築ステップと、
を含むことを特徴とする3次元ボクセルデータを構築する方法。
【請求項9】
被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、3次元ボクセルデータを構築するためのコンピュータを、
前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出手段と、
前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築手段と、
前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築手段と、
前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出手段と、
前記複数の第2のマスク画像から視体積交差法により、第3の3次元ボクセルデータを構築する第3の構築手段と、
として機能させ、3次元ボクセルデータを構築することを特徴とするプログラム。
【請求項1】
被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、被写体の存在を表す複数のマスク画像を抽出する方法であって、
前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出ステップと、
前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築ステップと、
前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築ステップと、
前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出ステップと、
を含むことを特徴とする複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項2】
前記複数の第2のマスク画像を、前記第1の構築ステップにおける複数の第1のマスク画像とすることで、前記第1の構築ステップから前記第2の抽出ステップまでを所定の回数繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項3】
前記第2の構築ステップは、
前記第1の3次元ボクセルデータの複数の第1のスライス画像を、x軸、y軸及びz軸方向から獲得するサブステップと、
前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理の結果に基づき第2の3次元ボクセルデータを構築するサブステップと、
を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項4】
前記第2の3次元ボクセルデータを構築するサブステップは、
前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理により白色になった画素を求め、該画素に対応する前記第1の3次元ボクセルデータの3次元座標を埋めることで、第2の3次元ボクセルデータを構築するステップであることを特徴とする請求項3に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項5】
前記第2の抽出ステップは、
前記複数の第1のスライス画像にフィルタ処理を施し、該フィルタ処理により白色になった画素を求め、該画素をマスク画像に射影変換し、複数の第3のマスク画像を抽出するサブステップと、
前記第2の3次元ボクセルデータの複数の第2のスライス画像を、y軸方向から獲得するサブステップと、
前記複数の第2のスライス画像の白色である画素を求め、該画素をマスク画像に射影変換し、複数の第4のマスク画像を抽出するサブステップと、
前記複数の第4のマスク画像にフィルタ処理を施し、フィルタ処理された複数の第4のマスク画像と前記複数の第3のマスク画像の両画像共に白色である画素を白色とし、それ以外の画素を黒色とすることで、複数の第2のマスク画像を抽出するサブステップと、
を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項6】
前記第2の抽出ステップ後に、前記複数の第2のマスク画像にフィルタ処理を施すステップをさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の複数のマスク画像を抽出する方法。
【請求項7】
被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、被写体の存在を表す複数のマスク画像を抽出するためのコンピュータを、
前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出手段と、
前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築手段と、
前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築手段と、
前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出手段と、
として機能させ、複数のマスク画像を抽出することを特徴とするプログラム。
【請求項8】
被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、3次元ボクセルデータを構築する方法であって、
前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出ステップと、
前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築ステップと、
前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築ステップと、
前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出ステップと、
前記複数の第2のマスク画像から視体積交差法により、第3の3次元ボクセルデータを構築する第3の構築ステップと、
を含むことを特徴とする3次元ボクセルデータを構築する方法。
【請求項9】
被写体と背景を撮影した複数の被写体画像と背景のみを撮影した複数の背景画像とから、3次元ボクセルデータを構築するためのコンピュータを、
前記複数の被写体画像と前記複数の背景画像とから背景差分により、複数の第1のマスク画像を抽出する第1の抽出手段と、
前記複数の第1のマスク画像から視体積交差法により、第1の3次元ボクセルデータを構築する第1の構築手段と、
前記第1の3次元ボクセルデータに対して、欠損を充填する及び/又はノイズを除去する加工を施し、第2の3次元ボクセルデータを構築する第2の構築手段と、
前記第2の3次元ボクセルデータから、複数の第2のマスク画像を抽出する第2の抽出手段と、
前記複数の第2のマスク画像から視体積交差法により、第3の3次元ボクセルデータを構築する第3の構築手段と、
として機能させ、3次元ボクセルデータを構築することを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−152771(P2010−152771A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331762(P2008−331762)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】
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