説明

マスタード調味料の製造方法

【課題】マスタードシード由来の本来的な色調等が損なわれることなく、また好ましくない苦味等が副生することもなく、マスタードシードから新たな好ましい風味を引き出した高品質のマスタード調味料を得ることができるマスタード調味料の製造方法を提供する。
【解決手段】マスタードシードを粒状のまま、食用酢を用いて調製した水性液に浸漬し、酢酸換算の酸度3.0〜5.5質量%及び温度20〜40℃の条件下で1〜5日間熟成した後、砕粒処理した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマスタード調味料の製造方法に関し、更に詳しくはマスタードシード由来の本来的な色調等が損なわれることなく、また好ましくない苦味等が副生することもなく、マスタードシードから新たな好ましい風味を引き出したマスタード調味料を得ることができるマスタード調味料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マスタード調味料の製造方法として、マスタードシードを水又は熱水中に浸漬することにより、本来的な風味の変動を抑える方法(例えば特許文献1及び2参照)、マスタードシードの粉砕物をビネガーや食塩を含む調味液に浸し、40〜55℃で所定時間保持することにより、辛味を実質的になくし、本来的な風味を残す方法(例えば特許文献3及び4参照)、マスタードシードの粉砕物に水を加えて辛味成分を生じさせた後、抽出処理することにより、辛味成分の一部又は全部を除去する方法(例えば特許文献5参照)等が知られている。
【0003】
しかし、前記のような従来法には、概して辛味を低減しつつ、マスタードシード由来の本来的な風味を残すだけであるため、またなかにはマスタードシード由来の本来的な色調等が損なわれたり、更には好ましくない苦味等が副生するため、好ましい外観、色調及び風味を有する高品質のマスタード調味料を得る上で不充分という問題がある。
【特許文献1】特開昭57−141272号公報
【特許文献2】特開昭58−60970号公報
【特許文献3】特開昭63−116665号公報
【特許文献4】特開昭63−116666号公報
【特許文献5】特開2001−103921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、好ましい外観、色調及び風味を有する高品質のマスタード調味料を得ることができる方法を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、マスタードシードに破砕、粉砕、磨砕等の砕粒処理を行なうことなく、マスタードシードを粒状のまま、食用酢を用いて調製した水性液に浸漬し、所定の酸度及び温度の条件下で所定日数熟成した後、砕粒処理すると、マスタードシード由来の本来的な色調等が損なわれることなく、また好ましくない苦味等が副生することもなく、マスタードシードから新たな好ましい風味を引き出すことができ、これらにより結果として好ましい外観、色調及び風味を有する高品質のマスタード調味料が得られることを見出した。
【0006】
すなわち本発明は、マスタードシードを粒状のまま、食用酢を用いて調製した水性液に浸漬し、酢酸換算の酸度3.0〜5.5質量%及び温度20〜40℃の条件下で1〜5日間熟成した後、砕粒処理することを特徴とするマスタード調味料の製造方法に係る。
【0007】
本発明では、マスタードシードを粒状のままで熟成に供する。マスタードシードとしては、イエローマスタードシード、ブラウンマスタードシード、オリエンタルマスタードシード等を用いることができる。本発明では、かかるマスタードシードに破砕、粉砕、磨砕等の砕粒処理を行なうことなく、粒状のままで熟成に供する。マスタードシードを砕粒処理してから熟成に供すると、色調が悪くなり、苦味が副生する。
【0008】
熟成は、マスタードシードを粒状のまま、食用酢を用いて調製した水性液に浸漬し、酢酸換算の酸度(以下単に酸度という)3.0〜5.5質量%及び温度20〜40℃の条件下で1〜5日間行なう。食用酢としては、醸造酢、蒸留酢、調味酢、合成酢等を用いることができるが、醸造酢が好ましい。かかる食用酢を用いて調製した水性液にマスタードシードを粒状のままで浸漬して熟成する。熟成時の酸度はマスタードシードをも含めた全体において3.0〜5.5質量%とする。酸度が3.0質量%未満であると、熟成効果が充分に得られず、逆に5.5質量%超であると、色調が悪くなり、苦味が副生する。また熟成時の温度は20〜40℃とする。温度が20℃未満であると、熟成効果が充分に得られず、逆に40℃超であると、色調が悪くなり、苦味が副生する。更に熟成日数は1〜5日とする。熟成日数が1日(24時間)未満であると、熟成効果が充分に得られず、逆に5日超であると、色調が悪くなり、苦味が副生する。
【0009】
マスタードシードを粒状のままで前記のような熟成に供すると、マスタードシード由来の本来的な色調等が損なわれることなく、また好ましくない苦味等が副生することもなく、マスタードシードから新たな好ましい風味を引き出すことができ、具体的には例えば旨味成分であるL−グルタミン酸の濃度を高めることができ、これらにより結果として好ましい外観、色調及び風味を有する高品質のマスタード調味料を得ることができる。同様の意味で、より高品質のマスタード調味料を得るためには、熟成時の酸度を3.5〜5.0質量%及び温度を25〜35℃とし、熟成日数を3〜5日とするのが好ましく、熟成時の酸度を3.5〜4.5質量%及び温度を30〜35℃とし、熟成日数を3〜5日とするのがより好ましい。
【0010】
前記したように、マスタードシードの熟成に供する水性液は、食用酢を用いて調製したものであるが、かかる水性液は、更にマスタードシード以外の香辛料類及び酒類から選ばれる一つ又は二つ以上を用いて調製したものとするのが好ましい。マスタードシード以外の香辛料類としては、ナツメグ、クローブ、ジンジャー、オールスパイス、ミント、セロリ、パセリ、キャラウェイ、ウコン、コショウ、オニオン、ガーリック、タラゴン、ディル、シナモン、マジョラム、バジル、フェンネル、バニラ、サンショウ、ホースラディッシュ等を用いることができ、また酒類としては、醸造酒、蒸留酒、合成酒等を用いることができる。水性液の調製に用いる材料にもよるが、本発明において水性液とは、水をベースとする溶液、懸濁液、分散液等を意味する。
【0011】
マスタードシードを粒状のままで前記のような水性液に浸漬して熟成するときの各材料の割合は、マスタードシードの場合、通常は10〜45質量%、好ましくは20〜42質量%、より好ましくは23〜42質量%となるようにする。またマスタードシード以外の香辛料類の場合、通常は0.2〜6質量%、好ましくは0.5〜4質量%、より好ましくは0.5〜3.5質量%となるようにする。更に酒類の場合、エチルアルコール換算のアルコール度(以下単にアルコール度という)で通常は0.3〜8質量%、好ましくは0.3〜5質量%、より好ましくは0.3〜3質量%となるようにする。熟成中は、水性液と共に全体を緩やかに混ぜることもできるが、全体を静置する方が好ましい。
【0012】
本発明では、かくしてマスタードシードを粒状のままで熟成した後、水性液と共に破砕や磨砕等の砕粒処理に供してペースト化する。熟成の前後における任意の段階で、水や各種の調味用材料等を適宜に加えることができるが、食塩を加える場合には、熟成後における砕粒処理前、砕粒処理中及び砕粒処理後のいずれか一つ又は二つ以上の段階で加えるのが好ましい。熟成前や熟成中に食塩を加えると、外観、色調及び風味の劣るものになる。
【発明の効果】
【0013】
既に明らかなように、以上説明した本発明によると、マスタードシード由来の本来的な色調等が損なわれることなく、また好ましくない苦味等が副生することもなく、マスタードシードから新たな好ましい風味を引き出すことができ、これらにより結果として好ましい外観、色調及び風味を有する高品質のマスタード調味料が得られる。
【実施例】
【0014】
試験区分1(イエローマスタードシードを用いた区分)
実施例1
イエローマスタードシードを粒状のままで12.0部(部は質量部、以下同じ)、酸度15%(%は質量%、以下同じ)の醸造酢11.0部、ウコン粉末1.0部及び水17.0部を緩やかに混ぜた後、温度35℃で5日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は4.0%)。熟成後、食塩5.0部及び水54.0部を加え、全体を磨砕機(増幸産業社製の商品名マスコロイダー、以下同じ)に供してペースト化した。
【0015】
実施例2〜13
熟成時における醸造酢の使用量及び水の使用量を変えて酸度を表1記載のように変えると共に温度及び日数も表1記載のように変え、また熟成後の水の添加量を全体が100部となるように変えたこと以外は実施例1と同様にした。但し、実施例8〜13では酸度20%の醸造酢を用いた。
【0016】
実施例14
イエローマスタードシードを粒状のままで13.0部、酸度10%の赤ワインビネガー18.0部、ウコン粉末1.0部、ディル粉末0.5部及び水17.5部を緩やかに混ぜた後、温度33℃で5日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は3.6%)。熟成後、食塩4.0部及び水46.0部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0017】
実施例15
イエローマスタードシードを粒状のままで12.0部、酸度10%のアップルビネガー17.0部、ウコン粉末0.8部、白コショウ粉末0.3部及び水13.4部を緩やかに混ぜた後、温度34℃で3日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は3.9%)。熟成後、食塩4.5部及び水52.0部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0018】
実施例16
イエローマスタードシードを粒状のままで14.0部、酸度10%の白ワインビネガー20.0部、ウコン粉末1.2部、タラゴン粉末0.3部及びアルコール度12%の白ワイン10.0部を緩やかに混ぜた後、温度35℃で4日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は4.4%)。熟成後、食塩4.5部及び水50.0部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0019】
比較例1
イエローマスタードシードの粉砕物12.0部、酸度15%の醸造酢13.4部、ウコン粉末1.0部、食塩5.0部及び水68.6部を緩やかに混ぜた後、温度55℃で1日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は2.0%)。熟成後、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0020】
比較例2及び3
熟成時における醸造酢の使用量及び水の使用量を変えて酸度を表1記載のように変えると共に温度及び日数も表1記載のように変え、また熟成後の水の添加量を全体が100部となるように変えたこと以外は比較例1と同様にした。
【0021】
評価1
試験区分1の各例について、熟成時の酸度(%)、温度(℃)及び日数(日)を表1にまとめて示した。またこれらの各例で製造したマスタード調味料について、色調(L値とb値)及びL−グルタミン酸の濃度(mg/L)を次のように測定し、結果を表1にまとめて示した。更に各実施例のマスタード調味料と比較例1のマスタード調味料とを2点比較して、男性10名及び女性11名で合計21名の評価員による官能評価を行ない、外観、色調及び風味を総合的に評価してどちらが好ましいかを選択させた。結果を表1にまとめて示したが、表1中の人数の欄の数値は各実施例のマスタード調味料を好ましいとして選択した人数を示し、また判定の欄の記号Aは0.1%の危険率で、Bは1%の危険率で、Cは5%の危険率で有意であることを示している。
色調(L値とb値):コニカミノルタホールディングス社製の商品名が色彩色差計CR−200を用いて測定した。
L−グルタミン酸の濃度(mg/L):ヤマサ醤油社製の商品名がヤマサL−グルタミン酸測定キットを用いて測定した。
【0022】
【表1】

【0023】
官能評価は試験区分1の各実施例のマスタード調味料と比較例2のマスタード調味料とを2点比較する場合、また試験区分1の各実施例のマスタード調味料と比較例3のマスタード調味料とを2点比較する場合についても行なったが、結果は表1と殆ど同じであった。比較例1〜3のマスタード調味料は色調が暗く、苦味があり、試験区分1の各実施例のマスタード調味料に比べて明らかに旨味も劣っていた。
【0024】
試験区分2(ブラウンマスタードシードを用いた区分)
実施例17
ブラウンマスタードシードを粒状のままで25.0部、酸度10%の醸造酢30.0部及び水16.5部を緩やかに混ぜた後、温度35℃で5日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は4.2%)。熟成後、食塩4.0部及び水24.5部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0025】
実施例18〜29
熟成時における醸造酢の使用量及び水の使用量を変えて酸度を表2記載のように変えると共に温度及び日数も表2記載のように変え、また熟成後の水の添加量を全体が100部となるように変えたこと以外は実施例17と同様にした。
【0026】
実施例30
ブラウンマスタードシードを粒状のままで26.0部、酸度10%の赤ワインビネガー24.0部、白コショウ粉末0.5部、アルコール度12%の白ワイン8.0部及び水5.0部を緩やかに混ぜた後、温度30℃で5日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は3.8%)。熟成後、食塩4.0部及び水32.5部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0027】
実施例31
ブラウンマスタードシードを粒状のままで26.0部、酸度10%のアップルビネガー27.0部、アルコール度38%のブランデー2.0部及び水11.0部を緩やかに混ぜた後、温度32℃で4日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は4.1%)。熟成後、食塩4.0部及び水30.0部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0028】
実施例32
ブラウンマスタードシードを粒状のままで26.0部、酸度10%の米酢29.0部、アルコール度5%のビール5.0部及び水9.0部を緩やかに混ぜた後、温度35℃で3日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は4.2%)。熟成後、食塩4.0部及び水27.0部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0029】
比較例4
ブラウンマスタードシードの粉砕物25.0部、酸度15%の醸造酢13.5部、食塩4.0部及び水57.5部を緩やかに混ぜた後、温度55℃で7日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は2.0%)。熟成後、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0030】
比較例5及び6
熟成時における醸造酢の使用量及び水の使用量を変えて酸度を表2記載のように変えると共に温度及び日数も表2記載のように変えたこと以外は比較例4と同様にした。
【0031】
評価2
試験区分2の各例について、熟成時の酸度(%)、温度(℃)及び日数(日)を表2にまとめて示した。またこれらの各例で製造したマスタード調味料について、色調(L値とb値)及びL−グルタミン酸の濃度(mg/L)を試験区分1と同様に測定すると共に、アリルイソチオシアネート(表2中ではAITC)の濃度(%)を次のように測定し、結果を表2にまとめて示した。更に各実施例のマスタード調味料と比較例4のマスタード調味料とを2点比較して、男性10名及び女性11名で合計21名の評価員による官能評価を行ない、外観、色調及び風味を総合的に評価してどちらが好ましいかを選択させ、表1と同様に結果を表2にまとめて示した。
アリルイソチオシアネート(AITC)の濃度(%):製造したマスタード調味料からアリルイソチオシアネートを水蒸気蒸留し、これをアリルチオウレアとした後、分光光度計に供して、237nmでの吸光度を測定する常法により測定した。
【0032】
【表2】

【0033】
官能評価は試験区分2の各実施例のマスタード調味料と比較例5のマスタード調味料とを2点比較する場合、また試験区分2の各実施例のマスタード調味料と比較例6のマスタード調味料とを2点比較する場合についても行なったが、結果は表2と殆ど同じであった。比較例4〜6のマスタード調味料は色調が暗く、苦味があり、試験区分2の各実施例のマスタード調味料に比べて明らかに旨味も劣っていた。
【0034】
試験区分3(オリエンタルマスタードシードを用いた区分)
実施例33
オリエンタルマスタードシードを粒状のままで25.0部、酸度10%の醸造酢30.0部及び水16.5部を緩やかに混ぜた後、温度35℃で5日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は4.2%)。熟成後、食塩4.0部及び水24.5部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0035】
実施例34〜45
熟成時における醸造酢の使用量及び水の使用量を変えて酸度を表3記載のように変えると共に温度及び日数も表3記載のように変え、また熟成後の水の添加量を全体が100部となるように変えたこと以外は実施例33と同様にした。
【0036】
実施例46
オリエンタルマスタードシードを粒状のままで26.0部、酸度10%の赤ワインビネガー24.0部、白コショウ粉末0.5部、アルコール度12%の白ワイン8.0部及び水5.0部を緩やかに混ぜた後、温度30℃で5日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は3.8%)。熟成後、食塩4.0部及び水32.5部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0037】
実施例47
オリエンタルマスタードシードを粒状のままで26.0部、酸度10%のアップルビネガー27.0部、アルコール度38%のブランデー2.0部及び水11.0部を緩やかに混ぜた後、温度32℃で4日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は4.1%)。熟成後、食塩4.0部及び水30.0部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0038】
実施例48
オリエンタルマスタードシードを粒状のままで26.0部、酸度10%の米酢29.0部、アルコール度5%のビール5.0部及び水9.0部を緩やかに混ぜた後、温度35℃で3日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は4.2%)。熟成後、食塩4.0部及び水27.0部を加え、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0039】
比較例7
オリエンタルマスタードシードの粉砕物25.0部、酸度15%の醸造酢13.5部、食塩4.0部及び水57.5部を緩やかに混ぜた後、温度55℃で7日間静置することにより熟成した(熟成時の酸度は2.0%)。熟成後、全体を磨砕機に供してペースト化した。
【0040】
比較例8及び9
熟成時における醸造酢の使用量及び水の使用量を変えて酸度を表3記載のように変えると共に温度及び日数も表3記載のように変えたこと以外は比較例7と同様にした。
【0041】
評価3
試験区分3の各例について、熟成時の酸度(%)、温度(℃)及び日数(日)を表3にまとめて示した。またこれらの各例で製造したマスタード調味料について、色調(L値とb値)及びL−グルタミン酸の濃度(mg/L)を試験区分1と同様に測定すると共に、アリルイソチオシアネート(表3中ではAITC)の濃度(%)を試験区分2と同様に測定し、結果を表3にまとめて示した。更に各実施例のマスタード調味料と比較例7のマスタード調味料とを2点比較して、男性10名及び女性11名で合計21名の評価員による官能評価を行ない、外観、色調及び風味を総合的に評価してどちらが好ましいかを選択させ、表1と同様に結果を表3にまとめて示した。
















【0042】
【表3】

【0043】
官能評価は試験区分3の各実施例のマスタード調味料と比較例8のマスタード調味料とを2点比較する場合、また試験区分3の各実施例のマスタード調味料と比較例9のマスタード調味料とを2点比較する場合についても行なったが、結果は表3と殆ど同じであった。比較例7〜9のマスタード調味料は色調が暗く、苦味があり、試験区分5の各実施例のマスタード調味料に比べて明らかに旨味も劣っていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスタードシードを粒状のまま、食用酢を用いて調製した水性液に浸漬し、酢酸換算の酸度3.0〜5.5質量%及び温度20〜40℃の条件下で1〜5日間熟成した後、砕粒処理することを特徴とするマスタード調味料の製造方法。
【請求項2】
酸度3.5〜5.0質量%及び温度25〜35℃の条件下で3〜5日間熟成する請求項1記載のマスタード調味料の製造方法。
【請求項3】
酸度3.5〜4.5質量%及び温度30〜35℃の条件下で3〜5日間熟成する請求項1記載のマスタード調味料の製造方法。
【請求項4】
水性液が更にマスタード以外の香辛料類及び酒類から選ばれる一つ又は二つ以上を用いて調製したものである請求項1〜3のいずれか一つの項記載のマスタード調味料の製造方法。
【請求項5】
熟成後において、砕粒処理前、砕粒処理中及び砕粒処理後のいずれか一つ又は二つ以上の段階で少なくとも食塩を加える請求項1〜4のいずれか一つの項記載のマスタード調味料の製造方法。

【公開番号】特開2007−236288(P2007−236288A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63463(P2006−63463)
【出願日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(595075894)株式会社美ノ久 (2)
【Fターム(参考)】