説明

マスタ端末装置及びバックアップ端末装置及びデータ格納システム及びデータ格納システムのデータ格納方法

【課題】ネットワークを介して接続された複数のユーザPCによりバックアップシステムを構築し、低コストで可用性の高いバックアップシステムを提供する。
【解決手段】ユーザPC100の稼働状況テーブル151を記憶する稼働情報記憶部150と、稼働状況テーブル151を自己以外のユーザPC100に送信するデータ格納要求送信部112と稼働状況テーブル151を受信したユーザPC100から自己の稼働状況と送信元のユーザPC100の稼働状況との類似の度合いを示す類似度を受信する類似度受信部113と、類似度に基づいてユーザPC100の有するバックアップ用の格納対象データ141を格納するデータ格納端末装置を自己以外のユーザPC100選択するデータ格納端末選択部114と、選択されたデータ格納端末装置に対して、格納対象データ141を含むデータ格納指示を送信するデータ格納指示送信部115とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データの格納を指示するマスタ端末装置とデータを格納するバックアップ端末装置とを含む複数のユーザ端末装置がネットワークを介して接続されたデータ格納システム、及びデータ格納システムのデータ格納方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、業務のほとんどはPC(パーソナルコンピュータ、パソコン)で実施されており、電子データがなくなると影響が大きい。通常、バックアップの方法として、共有のサーバに電子データを置き、システム管理部門がバックアップを実施する方法がある。この方法では、高価なサーバが必要であり、費用(HW、管理の人件費)がかかる。
【0003】
一方、PCのハードディスクは大容量化しており、動画などの電子データを扱わない限り、ディスク容量が余っている事が多い。そこで、組織内に存在する多数のPCの余っているディスクにバックアップをとるという技術がある(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−102842号公報
【特許文献2】特開2003−248607号公報
【特許文献3】特開2008−191898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術では、全体を管理する「バックアップ管理サーバ」が存在することを前提として、電子データの格納領域としてPCを用いるシステムがあるが、小規模の「ユーザPC」しか存在しない事務所では適用が難しいという課題がある。
【0006】
また、すべての「ユーザPC」に「バックアップ管理サーバ」の機能を持たせることで、「バックアップ管理サーバ」を物理的にはなくすことは可能だが、「バックアップ管理サーバ」の機能を有するPCが故障してデータが消滅した場合に、「バックアップ管理サーバ」に格納されていたリストアに必要なデータも消滅し、結果としてリストアができなくなるという課題がある。通常、「サーバ」は「PC」より可用性が高く、バックアップ等もきちんと取られており、障害発生時も容易に復旧できるような運用がされているため、サーバの機能をただ単に「PC」に入れても、想定された機能が実現できないという課題もある。
【0007】
また、従来技術では、「ユーザPC」が「バックアップ監視サーバ」に自データのバックアップを依頼し、「バックアップ監視サーバ」が、その時点で電源が入っている「ユーザPC」に対してのみ問い合わせを行い、「バックアップ監視サーバ」がファイルサイズと空きスペースとに基づいて利用するPCを選定するものがある。しかし、この場合もサーバが必要であり、小規模の「ユーザPC」しか存在しない事務所では適用が難しいという課題がある。
【0008】
また、従来技術では、バックアップを実行したいユーザPCが、他のユーザPCにディスク容量を問い合わせ、他のユーザPCのディスク容量に基づきバックアップを実行するという技術がある。しかし、バックアップ可能なユーザPCをディスク容量のみで選択するのでは、バックアップ先のユーザPCの稼働状態等を考慮することができないので、使用頻度の低いPCにバックアップ先が集中する等、可用性が低くなるという課題がある。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ネットワークを介して接続された複数のユーザPCによりバックアップシステムを構築し、低コストで可用性の高いバックアップシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るマスタ端末装置は、複数のバックアップ端末装置とネットワークを介して接続されるマスタ端末装置において、
前記マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を記憶するマスタ端末稼働情報記憶部と、
前記マスタ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記マスタ端末稼働情報を前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置に送信する稼働情報送信部と、
前記稼働情報送信部により送信された前記マスタ端末稼働情報を受信した前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置から、当該バックアップ端末装置の稼働状況と前記マスタ端末稼働情報が示すマスタ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す選択用類似度を受信する類似度受信部と、
前記類似度受信部により受信した前記選択用類似度に基づいて、マスタ端末装置が保有するバックアップ用の格納対象データを格納するデータ格納端末装置を前記複数のバックアップ端末装置から処理装置を用いて選択するデータ格納端末選択部と、
前記データ格納端末選択部により選択された前記データ格納端末装置に対して、前記格納対象データを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を送信するデータ格納指示送信部とを備えることを特徴とする。
【0011】
前記マスタ端末稼働情報記憶部は、
マスタ端末装置の電源の入切状態が時系列に記録された電源入切情報を、前記マスタ端末稼働情報として記憶することを特徴とする。
【0012】
前記複数のバックアップ端末装置の何れかのバックアップ端末装置が送信したバックアップ端末稼働情報であって、送信元のバックアップ端末装置の稼働状況を示すバックアップ端末稼働情報を受信する稼働情報受信部と、
前記稼働情報受信部により受信した前記バックアップ端末稼働情報と前記マスタ端末稼働情報記憶部に記憶されているマスタ端末稼働情報とに基づいて、前記バックアップ端末稼働情報が示す前記送信元のバックアップ端末装置の稼働状況と前記マスタ端末稼働情報が示すマスタ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す返信用類似度を処理装置により算出する類似度算出部と、
前記類似度算出部により算出された前記返信用類似度を前記送信元のバックアップ端末装置に送信する類似度送信部と
を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係るバックアップ端末装置は、
格納すべき格納対象データを有するマスタ端末装置とネットワークを介して接続されるバックアップ端末装置において、
バックアップ端末装置の稼働状況を示すバックアップ端末稼働情報を記憶するバックアップ端末稼働情報記憶部と、
前記マスタ端末装置から送信される前記マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を受信する端末稼働情報受信部と、
前記端末稼働情報受信部により受信した前記マスタ端末稼働情報と、前記バックアップ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記バックアップ端末稼働情報とに基づいて、前記マスタ端末稼働情報が示す前記マスタ端末装置の稼働状況と、前記バックアップ端末稼働情報が示すバックアップ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す返信用類似度を処理装置により算出する類似度算出部と、
前記類似度算出部により算出された前記返信用類似度を前記マスタ端末装置に送信する類似度送信部と
を備えることを特徴とする。
【0014】
前記端末稼働情報受信部は、
前記マスタ端末装置の電源の入切状態が時系列に記録されたマスタ端末電源入切情報を前記マスタ端末稼働情報として受信し、
前記バックアップ端末稼働情報記憶部は、
バックアップ端末装置の電源の入切状態が時系列に記録されたバックアップ端末電源入切情報を前記バックアップ端末稼働情報として記憶し、
前記類似度算出部は、
前記マスタ端末電源入切情報と前記バックアップ端末電源入切情報とに基づいて、前記返信用類似度を算出することを特徴とする。
【0015】
前記端末稼働情報受信部は、
1日を所定の時間単位で分割した複数の時間帯の各時間帯に、前記マスタ端末装置の電源の入切状態に応じて予め設定されたマスタ端末状態対応値を前記マスタ端末装置の当該時間帯の電源の入切状態に応じて対応付けて記録した前記マスタ端末電源入切情報を受信し、
前記バックアップ端末稼働情報記憶部は、
前記複数の時間帯の各時間帯に、前記バックアップ端末装置の電源の入切状態に応じて予め設定されたバックアップ端末状態対応値を前記バックアップ端末装置の当該時間帯の電源の入切状態に応じて対応付けて記録した前記バックアップ端末電源入切情報を受信し、
前記類似度算出部は、
前記複数の時間帯の各時間帯毎に、前記マスタ端末電源入切情報に記録されている当該時間帯の前記マスタ端末状態対応値と前記バックアップ端末電源入切情報に記録されている当該時間帯の前記バックアップ端末状態対応値とを乗算して得られた各乗算結果値を加算した値を前記返信用類似度とすることを特徴とする。
【0016】
前記バックアップ端末装置は、さらに、
前記マスタ端末装置から前記マスタ端末装置を識別するためのマスタ端末識別情報と前記格納対象データとを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を受信するデータ格納指示受信部と、
前記データ格納指示受信部により受信された前記データ格納指示情報に基づいて、前記マスタ端末識別情報と前記格納対象データとを対応付けて記憶装置に格納する格納対象データ格納部と
を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係るデータ格納システムは、
記憶装置を備える複数のバックアップ端末装置とマスタ端末装置とがネットワークを介して接続されるデータ格納システムにおいて、
前記マスタ端末装置は、
マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を記憶するマスタ端末稼働情報記憶部と、
前記マスタ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記マスタ端末稼働情報を前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置に送信する端末稼働情報送信部とを備え、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置は、
バックアップ端末装置の稼働状況を示すバックアップ端末稼働情報を記憶するバックアップ端末稼働情報記憶部と、
前記端末稼働情報送信部により送信された前記マスタ端末稼働情報を受信する端末稼働情報受信部と、
前記端末稼働情報受信部により受信された前記マスタ端末稼働情報と、前記バックアップ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記バックアップ端末稼働情報とに基づいて、前記マスタ端末装置の稼働状況とバックアップ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す類似度を処理装置により算出する類似度算出部と、
前記類似度算出部により算出された前記類似度を前記マスタ端末装置に送信する類似度送信部とを備え、
前記マスタ端末は、さらに、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置から送信された前記類似度を受信する類似度受信部と、
前記類似度受信部により受信した前記類似度に基づいてマスタ端末装置の保有するバックアップ用の格納対象データを格納するデータ格納端末装置を前記複数のバックアップ端末装置から処理装置を用いて選択するデータ格納端末選択部と、
前記データ格納端末選択部により選択された前記データ格納端末装置に対して前記格納対象データを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を送信するデータ格納指示送信部とを備え、
前記複数のバックアップ端末の各バックアップ端末は、さらに、
前記データ格納指示送信部により送信された前記データ格納指示情報を受信するデータ格納指示受信部と、
前記データ格納指示受信部により受信された前記データ格納指示情報に含まれる前記格納対象データを記憶装置に格納する格納対象データ格納部と
を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係るデータ格納システムのデータ格納方法は、
記憶装置を備える複数のバックアップ端末装置とマスタ端末装置とがネットワークを介して接続されるデータ格納システムのデータ格納方法において、
前記マスタ端末装置が、マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置に送信する端末稼働情報送信ステップと、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置が、前記端末稼働情報送信ステップにより送信された前記マスタ端末稼働情報を受信する端末稼働情報受信ステップと、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置が、前記端末稼働情報受信ステップにより受信された前記マスタ端末稼働情報と、バックアップ端末装置の稼働状況を示すバックアップ端末稼働情報とに基づいて、前記マスタ端末装置の稼働状況とバックアップ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す類似度を処理装置により算出する類似度算出ステップと、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置が、前記類似度算出ステップにより算出された前記類似度を前記マスタ端末装置に送信する類似度送信部と、
前記マスタ端末が、前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置から送信された前記類似度を受信する類似度受信ステップと、
前記マスタ端末が、前記類似度受信ステップにより受信した前記類似度に基づいてマスタ端末装置の保有するバックアップ用の格納対象データを格納するデータ格納端末装置を前記複数のバックアップ端末装置から処理装置を用いて選択するデータ格納端末選択ステップと、
前記マスタ端末が、前記データ格納端末選択ステップにより選択された前記データ格納端末装置に対して前記格納対象データを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を送信するデータ格納指示送信ステップと、
前記複数のバックアップ端末の各バックアップ端末が、前記データ格納指示送信ステップにより送信された前記データ格納指示情報を受信するデータ格納指示受信ステップと、
前記複数のバックアップ端末の各バックアップ端末が、前記データ格納指示受信ステップにより受信された前記データ格納指示情報に含まれる前記格納対象データを記憶装置に格納する格納対象データ格納ステップと
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るマスタ端末装置は、複数のバックアップ端末装置とネットワークを介して接続されるマスタ端末装置において、前記マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を記憶するマスタ端末稼働情報記憶部と、前記マスタ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記マスタ端末稼働情報を前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置に送信する稼働情報送信部と、前記稼働情報送信部により送信された前記マスタ端末稼働情報を受信した前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置から、当該バックアップ端末装置の稼働状況と前記マスタ端末稼働情報が示す前記マスタ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す選択用類似度を受信する類似度受信部と、前記類似度受信部により受信した前記選択用類似度に基づいて、マスタ端末装置が保有するバックアップ用の格納対象データを格納するデータ格納端末装置を前記複数のバックアップ端末装置から処理装置を用いて選択するデータ格納端末選択部と、前記データ格納端末選択部により選択された前記データ格納端末装置に対して、前記格納対象データを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を送信するデータ格納指示送信部とを備えているので、稼働状況の類似するバックアップ端末装置をデータ格納端末装置として選択することができるので、可用性の高いバックアップ方式を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施の形態1に係るバックアップシステム800の全体構成及びユーザPC100の機能ブロックを示す図である。
【図2】実施の形態1に係るバックアップシステム800のデータ格納処理の流れを示すシーケンス図である。
【図3】実施の形態1に係るユーザPC100の外観の一例を示す図である。
【図4】実施の形態1に係るユーザPC100のハードウェア資源の一例を示す図である。
【図5】実施の形態1に係るバックアップシステム800の稼働情報生成記憶処理の動作フローを示す図である。
【図6】実施の形態1に係るバックアップシステム800の稼働情報生成記憶処理により生成された稼働状況テーブル151の一例を示す図である。
【図7】実施の形態1に係るバックアップシステム800のユーザPC100a(マスタ端末装置)のデータ格納要求送信処理の動作フローを示す図である。
【図8】実施の形態1に係るバックアップシステム800のユーザPC100b,100c,・・・,100n(バックアップ端末装置)のデータ格納要求受信処理の動作フローを示す図である。
【図9】実施の形態1に係るバックアップシステム800の類似度1221の算出方法を示す図である。
【図10】実施の形態1に係るバックアップシステム800のユーザPC100a(マスタ端末装置)のデータ格納指示送信処理の動作フローを示す図である。
【図11】実施の形態1に係るバックアップシステム800のユーザPC100b(バックアップ端末装置)のデータ格納指示送信処理の動作フローを示す図である。
【図12】実施の形態2に係るバックアップシステム800のデータ復元処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0022】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るバックアップシステム800(データ格納システムの一例)の全体構成及びユーザPC100(マスタ端末装置、バックアップ端末装置の一例)の機能ブロックを示す図である。図2は、実施の形態1に係るバックアップシステム800のデータ格納処理の概要を示すシーケンス図である。図1及び図2を用いて、本実施の形態に係るバックアップシステム800(データ格納システム)の全体構成及びユーザPC100(マスタ端末装置、バックアップ端末装置)の機能ブロック及びデータ格納処理の概要について説明する。
【0023】
本実施の形態に係るバックアップシステム800(データ格納システム)は、複数のユーザPC100a,100b,100c,100d,・・・,100n(クライアントPC、ユーザ端末装置ともいう)がLAN200(ローカル・エリア・ネットワーク)を介して互いに接続されている。ユーザPC100と記載した場合には、複数のユーザPC100a,100b,100c,100d,・・・,100nのすべて、あるいは複数のユーザPC100a,100b,100c,100d,・・・,100nの一部、あるいは複数のユーザPC100a,100b,100c,100d,・・・,100nの各々を意味する場合があるものとする。
【0024】
バックアップシステム800は、例えば、複数のユーザPC100のうちの1つであるユーザPC100aが、記憶装置に備えるバックアップ対象データ(格納対象データ141)のバックアップを実行する場合、自ユーザPC100a以外のユーザPC100の記憶装置に格納対象データ141を格納することでバックアップを実行するシステムである。このとき、ネットワークに接続された複数のユーザPC100のディスク容量や稼働状況等を管理するバックアップ管理サーバ等は存在しなくてもよい。
【0025】
本実施の形態に係るバックアップシステム800では、複数のユーザPC100a,100b,100c,100d,・・・,100nのうち、ユーザPC100aが格納対象データ141のバックアップを実行するマスタ端末装置であるとする。また、ユーザPC100a以外のユーザPC100b,100c,100d,・・・,100nをバックアップ端末装置とする。
【0026】
本実施の形態に係るバックアップシステム800では、複数のユーザPC100の各々は、マスタ端末装置としての機能とバックアップ端末装置としての機能とを併せ持つ端末であるものとする。本実施の形態では、ユーザPC100aがマスタ端末装置で、ユーザPC100a以外の他のユーザPC100はバックアップ端末装置であるとして説明するが、マスタ端末装置はユーザPC100bでもユーザPC100cでもその他のユーザPC100でもよく、ユーザPC100aもバックアップ端末装置としての機能を有するものとする。
【0027】
以下では、説明の簡単のために、マスタ端末装置がユーザPC100aであるものとし、バックアップ端末装置がユーザPC100bであるものとして説明する。ユーザPC100a以外のユーザPCの備えるマスタ端末装置の機能もユーザPC100aのマスタ端末装置の機能と同様であり、ユーザPC100b以外のユーザPCの備えるバックアップ端末装置の機能もユーザPC100bのバックアップ端末装置の機能と同様である。
【0028】
ユーザPC100は、稼働情報生成部101、データ格納処理部110、データ格納要求受信処理部120、データ格納指示受信処理部130、格納対象データ記憶部140、稼働情報記憶部150、データ格納装置160を備える。
【0029】
稼働情報生成部101は、ユーザPC100の稼働状況を示す稼働情報を生成する。ユーザPC100の稼働状況とは、例えば、ユーザPC100の1日の電源の入切状況、ユーザPC100の1日の負荷状況、ユーザPC100のディスクの空き容量の状況等である。稼働情報生成部101は、稼働情報として、例えば、ユーザPC100の1日の電源の入切状態を1時間単位で時系列に記録した稼働状況テーブル151(端末稼働情報、マスタ端末稼働情報、バックアップ端末稼働情報の一例)を生成する。ここで、ユーザPC100aの備える稼働情報生成部101や稼働状況テーブル151を稼働情報生成部101a、稼働状況テーブル151aと記載する場合もあるものとする。また、他の構成要件についても同様に、構成要件の符号に添え字(a,b,c,d,・・・,n等)が付与されている場合は、構成要件の符号に付与された添え字(a,b,c,d,・・・,n等)により当該構成要件が対応するユーザPC100を示すものとする。
【0030】
ユーザPC100は後述するように記憶装置を備える。稼働情報記憶部150は、稼働情報生成部101により生成された稼働状況テーブル151を記憶装置により記憶する。稼働情報記憶部150は、マスタ端末稼働情報記憶部、バックアップ端末稼働情報記憶部の一例である。
【0031】
格納対象データ記憶部140は、バックアップ用の電子データである格納対象データ141(バックアップ対象データ)を記憶装置により記憶する。
【0032】
データ格納処理部110は、データ格納要求送信部112、類似度受信部113、データ格納端末選択部114、データ格納指示送信部115を備える。
【0033】
データ格納要求送信部112は、稼働情報記憶部150に記憶されている稼働状況テーブル151を、自己のユーザPC100(100a)以外のユーザPC100(100b,100c,100d,・・・,100n)にブロードキャスト送信する。つまり、ユーザPC100a(マスタ端末装置)は、格納対象データ141のバックアップを実行する場合に、データ格納要求送信部112により自ユーザPC100(100a)(マスタ端末装置)の稼働状況テーブル151を含むデータ格納要求1121(データ格納要求情報)(図2参照)を生成し、他のユーザPC100(100b,100c,100d,・・・,100n)(バックアップ端末装置)に送信する。データ格納要求送信部112は、稼働情報送信部の一例である。
【0034】
類似度受信部113は、自ユーザPC100(100a)(マスタ端末装置)のデータ格納要求送信部112により送信されたデータ格納要求1121を受信した他のユーザPC100(100b,100c,100d,・・・,100n)(バックアップ端末装置)の各々から、そのユーザPC100の稼働状況とデータ格納要求1121に含まれる稼働状況テーブル151の示すユーザPC100(100a)の稼働状況との類似の度合いを示す類似度1221(1221b,1221c,1221d,・・・,1221n)(選択用類似度の一例)を受信する(図2参照)。
【0035】
データ格納端末選択部114は、類似度受信部113により受信した類似度1221に基づいて、自ユーザPC100(100a)が保有するバックアップ用の格納対象データ141を格納するデータ格納端末装置300を複数のバックアップ端末装置(ユーザPC100b,100c,100d,・・・,100n)から処理装置を用いて選択する。
【0036】
データ格納指示送信部115は、データ格納端末選択部114により選択されたデータ格納端末装置300に対して、格納対象データ141を含むとともに格納対象データ141の格納を指示するデータ格納指示1122を送信する。データ格納指示送信部115が送信するデータ格納指示1122には、自ユーザPC100(100a)を識別するための端末識別情報1123(マスタ端末識別情報)と格納対象データ141(141a)と格納対象データ141(141a)の格納を指示する情報とが含まれる。
【0037】
端末識別情報1123には、例えば、ユーザPC100の識別情報(IPアドレス、マシン名など)、アカウント情報、パスワード情報等が含まれる。端末識別情報1123には、格納対象データ141(141a)の格納方式に関する情報(データ格納方式情報)も含む。
【0038】
例えば、図2に示すように、ユーザPC100aのデータ格納端末選択部114は、データ格納端末装置300としてユーザPC100bとユーザPC100dとを選択したとする。この場合には、ユーザPC100aのデータ格納指示送信部115は、ユーザPC100bとユーザPC100dとにデータ格納指示1122を送信する。
【0039】
上記の場合、マスタ端末装置であるユーザPC100aは、同一の格納対象データ141aをユーザPC100bとユーザPC100dとの2カ所に格納するように指示してもよい。あるいは、マスタ端末装置であるユーザPC100aは、格納対象データ141aを2つに分割して、データ格納指示1122を生成し、ユーザPC100bとユーザPC100dとの2カ所に分割して格納対象データ141(141a)を格納してもよい。
【0040】
データ格納要求受信処理部120は、データ格納要求受信部121、類似度算出部122、類似度送信部123を備える。
【0041】
データ格納要求受信部121は、自ユーザPC100以外の複数のユーザPC100の何れかのユーザPC100が送信したデータ格納要求1121であって、送信元のユーザPC100の稼働状況を示す稼働状況テーブル151(稼働情報)を含むデータ格納要求1121を受信する。
【0042】
例えば、ユーザPC100aのデータ格納要求受信部121は、自ユーザPC以外のユーザPC100bからユーザPC100bの稼働状況テーブル151を含むデータ格納要求1121を受信する。あるいは、ユーザPC100bのデータ格納要求受信部121は、自ユーザPC以外のユーザPC100aからユーザPC100aの稼働状況テーブル151を含むデータ格納要求1121を受信する。データ格納要求受信部121は、稼働情報受信部の一例である。データ格納要求1121には、送信元のユーザPC100を識別する端末識別情報1123も含まれるものとする。
【0043】
図2に示すように、本実施の形態では、ユーザPC100b,100c,100d,・・・,100n(バックアップ端末装置の一例)のデータ格納要求受信部121が、ユーザPC100aからユーザPC100aの稼働状況テーブル151を含むデータ格納要求1121を受信するものとする。以下、バックアップ端末装置の一例として、ユーザPC100bの機能について説明する。他のユーザPCの備えるバックアップ機能も同様の機能である。
【0044】
類似度算出部122は、データ格納要求受信部121により受信したデータ格納要求1121に含まれる稼働状況テーブル151(ユーザPC100aの稼働状況テーブル151aとする)と、稼働情報記憶部150に記憶されている自己の稼働情報である稼働状況テーブル151(ユーザPC100bの稼働状況テーブル151bとする)とに基づいて、稼働状況テーブル141a(マスタ端末稼働情報の一例)が示すユーザPC100a(マスタ端末装置)の稼働状況と、稼働状況テーブル151b(バックアップ端末稼働情報の一例)が示すユーザPC100b(バックアップ端末装置)の稼働状況との類似の度合いを示す類似度1221(返信用類似度の一例)を処理装置により算出する。類似度算出部122による類似度1221の算出方法については後述する。
【0045】
類似度送信部123は、類似度算出部122により算出された類似度1221をマスタ端末装置であるユーザPC100aに送信する。類似度送信部123は、データ格納要求1121に含まれる端末識別情報1123に基づいてマスタ端末装置であるユーザPC100aに類似度1221を返信する。
【0046】
データ格納要求送信部112aは、データ格納要求1121aの中にリプライが必要なスレッショルド1124を設定して、他のユーザPC100(100b,100c,100d,・・・,100n)(バックアップ端末装置)に送信してもよい。スレッショルド1124とは、予めバックアップシステム800として設定された所定の閾値である。
【0047】
例えば、ユーザPC100b(バックアップ端末装置)の類似度送信部123bは、算出した類似度1221bと、受信したデータ格納要求1121aの中に設定されているスレッショルド1124(マスタ端末装置であるユーザPC100aで設定されたスレッショルド1124)とを処理装置により比較して、比較結果に基づいてマスタ端末装置であるユーザPC100aに類似度1221を返信するか否かを処理装置により判定する。
【0048】
データ格納指示受信処理部130は、データ格納指示受信部131、格納対象データ格納部132を備える。
【0049】
例えば、ユーザPC100bのデータ格納指示受信部131bは、マスタ端末装置であるユーザPC100aから、マスタ端末装置を識別するための端末識別情報1123aと格納対象データ141aと格納対象データ141aの格納を指示する情報とを含むデータ格納指示1122aを受信する。
【0050】
ユーザPC100bの格納対象データ格納部132bは、データ格納指示受信部131bにより受信されたデータ格納指示1122aに含まれる端末識別情報1123と格納対象データ141aとを対応付けて記憶装置であるデータ格納装置160bに格納する。
【0051】
図3は、実施の形態1に係るバックアップシステム800の備えるユーザPC100の外観の一例を示す図である。図3において、ユーザPC100は、システムユニット910、CRT(Cathode・Ray・Tube)やLCD(液晶)の表示装置901、キーボード902(Key・Board:K/B)、マウス903、FDD904(Flexible・Disk・Drive)、コンパクトディスク装置905(CDD)、プリンタ装置906、スキャナ装置907などのハードウェア資源を備え、これらはケーブルや信号線で接続されている。システムユニット910は、コンピュータであり、ファクシミリ機932、電話器931とケーブルで接続され、また、ローカルエリアネットワーク942(LAN200)、ゲートウェイ941を介してインターネット940に接続されている。
【0052】
図4は、実施の形態1に係るバックアップシステム800の備えるユーザPC100のハードウェア資源の一例を示す図である。図4において、バックアップシステム800の備えるユーザPC100は、プログラムを実行するCPU911(Central・Processing・Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)を備えている。
【0053】
CPU911は、バス912を介してROM913、RAM914、通信ボード915、表示装置901、キーボード902、マウス903、FDD904、CDD905、プリンタ装置906、スキャナ装置907、磁気ディスク装置920と接続され、これらのハードウェアデバイスを制御する。磁気ディスク装置920の代わりに、光ディスク装置、メモリカード読み書き装置などの記憶装置でもよい。
【0054】
RAM914は、揮発性メモリの一例である。ROM913、FDD904、CDD905、磁気ディスク装置920の記憶媒体は、不揮発性メモリの一例である。これらは、記憶装置あるいは記憶部の一例である。
【0055】
通信ボード915、キーボード902、スキャナ装置907、FDD904、表示装置901などは、入力部、入力装置の一例である。また、入力装置としてタッチパネル等を備えていてもよい。また、通信ボード915、表示装置901、プリンタ装置906などは、出力部、出力装置の一例である。
【0056】
通信ボード915は、電話回線網を介してファクシミリ機932、電話器931(携帯電話を含む)に接続されている。また、通信ボード915は、LAN942等に接続されている。通信ボード915は、LAN942に限らず、インターネット940、ISDN等のWAN(ワイドエリアネットワーク)などに接続されていても構わない。インターネット940或いはISDN等のWANに接続されている場合、ゲートウェイ941は不用となる。
【0057】
磁気ディスク装置920には、オペレーティングシステム921(OS)、ウィンドウシステム922、プログラム群923、ファイル群924が記憶されている。プログラム群923のプログラムは、CPU911、オペレーティングシステム921、ウィンドウシステム922により実行される。
【0058】
上記プログラム群923には、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」、「〜手段」として説明する機能を実行するプログラムが記憶されている。プログラムは、CPU911により読み出され実行される。ファイル群924には、以下に述べる実施の形態の説明において、「〜の判定結果」、「〜の計算結果」、「〜の処理結果」として説明する情報やデータや信号値や変数値やパラメータが、「〜ファイル」、「〜データベース」、「〜データ」の各項目として記憶されている。「〜ファイル」、「〜データベース」、「〜データ」は、ディスクやメモリなどの記録媒体に記憶される。ディスクやメモリなどの記憶媒体に記憶された情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、読み書き回路を介してCPU911によりメインメモリやキャッシュメモリに読み出され、抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示などのCPUの動作に用いられる。抽出・検索・参照・比較・演算・計算・処理・出力・印刷・表示のCPUの動作の間、情報やデータや信号値や変数値やパラメータは、メインメモリやキャッシュメモリやバッファメモリに一時的に記憶される。
【0059】
また、以下に述べる実施の形態の説明において説明するフローチャートの矢印の部分は主としてデータや信号の入出力を示し、データや信号値は、RAM914のメモリ、FDD904のフレキシブルディスク、CDD905のコンパクトディスク、磁気ディスク装置920の磁気ディスク、その他光ディスク、ミニディスク、DVD(Digital・Versatile・Disk)等の記録媒体に記録される。また、データや信号は、バス912や信号線やケーブルその他の伝送媒体によりオンライン伝送される。
【0060】
また、以下に述べる実施の形態の説明において「〜部」として説明するものは、「〜回路」、「〜装置」、「〜機器」、「手段」であってもよく、また、「〜ステップ」、「〜手順」、「〜処理」であってもよい。すなわち、「〜部」として説明するものは、ROM913に記憶されたファームウェアで実現されていても構わない。或いは、ソフトウェアのみ、或いは、素子・デバイス・基板・配線などのハードウェアのみ、或いは、ソフトウェアとハードウェアとの組み合わせ、さらには、ファームウェアとの組み合わせで実施されても構わない。ファームウェアとソフトウェアは、プログラムとして、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等の記録媒体に記憶される。プログラムはCPU911により読み出され、CPU911により実行される。すなわち、プログラムは、以下に述べる「〜部」としてコンピュータを機能させるものである。あるいは、以下に述べる「〜部」の手順や方法をコンピュータに実行させるものである。
【0061】
図5は、本実施の形態に係るバックアップシステム800の稼働情報生成記憶処理の動作フローを示す図である。図6は、実施の形態1に係るバックアップシステム800の稼働情報生成記憶処理により生成された稼働状況テーブル151の一例を示す図である。図5、図6を用いて、バックアップシステム800の備えるユーザPC100の稼働情報生成記憶処理(稼働情報生成記憶方法)について説明する。
【0062】
<稼働情報生成ステップ>
S110において、稼働情報生成部101は、自ユーザPC100の電源の入切状態が時系列に記録された稼働状況テーブル151(マスタ端末電源入切情報、バックアップ端末電源入切情報の一例)を処理装置により生成する。
【0063】
稼働情報生成部101は、自ユーザPC100の電源の入切状態に応じて予め設定された状態対応値(マスタ端末状態対応値、バックアップ端末状態対応値の一例)を記憶装置に記憶しているものとする。状態対応値とは、例えば、ある時間帯について、電源が継続してオフなら「−1」、電源が継続してオンなら「+1」、電源がオンからオフへあるいはオフからオンへ切り替わった場合は「0」とする。
【0064】
稼働情報生成部101は、1日を所定の時間単位で分割した複数の時間帯の各時間帯に、自ユーザPC100の電源の入切状態に応じて予め設定された状態対応値を自ユーザPC100の当該時間帯の電源の入切状態に応じて対応付けた情報を稼働状況テーブル151として生成する。
【0065】
<稼働情報記憶ステップ>
S120において、稼働情報記憶部150は、稼働情報生成部101により生成された稼働状況テーブル151を記憶装置により記憶する。
【0066】
図6は、ユーザPC100a(マスタ端末装置)の稼働情報生成部101により生成された稼働状況テーブル151aとユーザPC100b(バックアップ端末装置)の稼働情報生成部101により生成された稼働状況テーブル151bを示している。
【0067】
稼働状況テーブル151aの単位時間帯T1では、1時から2時まで電源がオフ(−1)の状態であることを示している。稼働状況テーブル151aの単位時間帯T2では、8時から9時までの間に電源がオフからオンに切り替わった(0)状態であることを示している。稼働状況テーブル151bの単位時間帯T3では、21時から22時まで電源がオン(+1)の状態であることを示している。
【0068】
図6に示すように、稼働状況テーブル151は、1日を1時間単位で分割して24の単位時間帯とし、各単位時間帯にその単位時間帯の自ユーザPC100の電源の入切状態を示す状態対応値を対応付けたテーブルである。単位時間は1時間でなくてもよく、2時間でも30分でもよい。
【0069】
図6に示すように、稼働状況テーブル151aの単位時間帯T1では、1時から2時まで電源がオフ(−1)の状態であることを示している。稼働状況テーブル151aの単位時間帯T2では、8時から9時までの間に電源がオフからオンに切り替わった(0)状態であることを示している。稼働状況テーブル151bの単位時間帯T3では、21時から22時まで電源がオン(+1)の状態であることを示している。
【0070】
バックアップシステム800のデータ格納処理では、例えば、データ格納処理を実行する場合には、前日に稼働情報生成部101により生成された稼働状況テーブル151を使用するとしてもよい。
【0071】
また、バックアップシステム800のユーザPC100では、例えば、過去1ヶ月分の平日の稼働状況テーブル151を記憶装置に蓄積しているものとする。そして、稼働情報生成部101は、所定のタイミングで過去1ヶ月分の稼働状況テーブル151の平均を処理装置により算出し、算出した稼働状況テーブル151の平均値をデータ格納処理で使用する稼働状況テーブル151として記憶装置に記憶するとしてもよい。
【0072】
あるいは、バックアップシステム800は、例えば、データ格納処理が起動された場合には、まず、稼働情報生成部101により過去1ヶ月分の稼働状況テーブル151の平均を処理装置により算出してデータ格納処理で使用する稼働状況テーブル151とするとしてもよい。
【0073】
稼働状況テーブル151を所定の期間保持するのは、平日分でなくてもよく、毎日、あるいは月曜日から土曜日でもよい。また、蓄積しておくのは過去分は1ヶ月でなくとも2ヶ月でも3週間でもよく、バックアップシステム800を利用する態様により柔軟に設定可能とする。
【0074】
図7は、実施の形態1に係るバックアップシステム800のユーザPC100a(マスタ端末装置)のデータ格納要求送信処理の動作フローを示す図である。
【0075】
<データ格納要求生成ステップ>
S210において、データ格納要求送信部112は、稼働情報記憶部150に記憶されている稼働状況テーブル151aを読み出す。データ格納要求送信部112は、読み出した稼働状況テーブル151aとユーザPC100aの端末識別情報1123aとを含むデータ格納要求1121を生成する。データ格納要求送信部112は、バックアップシステム800に接続された他のユーザPC100b,100c,100d,・・・,100nに、生成したデータ格納要求1121をブロードキャスト送信する。
【0076】
ユーザPC100aは、自ユーザPC100aが送信したデータ格納要求1121を受信した自ユーザPC100a以外の他のユーザPC100から返信される類似度1221を判定するためのスレッショルド1124を予め記憶装置に記憶しているものとする(図1参照)。スレッショルド1124は、バックアップシステム800として予め設定され、ユーザPC100の各々の記憶装置に記憶されている。あるいは、ユーザPC100毎に、異なるスレッショルド1124を記憶しているとしてもよい。
【0077】
つまり、データ格納要求送信部112aは、読み出した稼働状況テーブル151aと端末識別情報1123aとスレッショルド1124とを含むデータ格納要求1121を生成し、LAN200(ネットワーク)(他のユーザPC100b,100c,100d,・・・,100n)にブロードキャスト送信する。
【0078】
図8は、本実施の形態1に係るバックアップシステム800のユーザPC100b,100c,・・・,100n(バックアップ端末装置)のデータ格納要求受信処理の動作フローを示す図である。
【0079】
<データ格納要求受信ステップ>
S310において、データ格納要求受信部121は、マスタ端末装置であるユーザPC100aからブロードキャスト送信されたデータ格納要求1121を受信する。
【0080】
<類似度算出ステップ>
S320において、類似度算出部122は、記憶装置より自ユーザPC100bの稼働状況テーブル151bを読み出す。類似度算出部122は、データ格納要求受信部121により受信したデータ格納要求1121に含まれるマスタ端末装置であるユーザPC100aの稼働状況テーブル151aを読み出す。類似度算出部122は、稼働状況テーブル151a(マスタ端末稼働情報)と稼働状況テーブル151b(バックアップ端末稼働情報)との各単位時間帯に設定されている各状態設定値同士を処理装置により乗算する。類似度算出部122は、乗算した単位時間帯毎の各乗算値を加算して類似度1221b(返信用類似度)として記憶装置に記憶する(S330)。
【0081】
図9は、本実施の形態に係る類似度算出部の類似度算出方法を示す図である。例えば、単位時間帯T4(7:00〜8:00)の稼働状況テーブル151aの状態設定値は「−1」であり、単位時間帯T4(7:00〜8:00)の稼働状況テーブル151bの状態設定値は「−1」である。したがって、この状態設定値同士を乗算したT4の乗算値は「1」である(−1×(−1)=1)。このように各単位時間帯の乗算値を求め、求めた各単位時間帯の乗算値を加算した結果「18」を類似度(返信用類似度)とする。
【0082】
つまり、ユーザPC100aから送られてきた稼働状況テーブル151aをユーザPC100bで評価する場合、まず、ユーザPC100bにおいて同じ時刻帯(単位時間帯)の値をかけ算する。これにより、ユーザPC100aとユーザPC100bとが同じ状態(稼働状況、電源の状態)なら「1」、異なる状態なら「−1」、状態の遷移がある場合は「0」という結果(ポイント、乗算値)が得られる。1日(0:00〜24:00)のポイント(乗算値)を合算した「18」が図9の場合の類似度1221bで、この「18」をユーザPC100aに返信する返信用類似度である。
【0083】
<類似度送信ステップ>
S340において、類似度送信部123は、類似度算出部122により算出された類似度1221bと、データ格納要求1121に含まれているスレッショルド1124とを処理装置により比較する。
【0084】
類似度1221bがスレッショルド1124以上の場合は、類似度送信部123は、データ格納要求1121に含まれている端末識別情報1123a(マスタ端末装置であるユーザPC100aの端末識別情報)に基づいて、類似度1221bをマスタ端末装置であるユーザPC100aに送信する。類似度送信部123は、送信する類似度1221bに自ユーザPC100bの端末識別情報1123bを付与して、マスタ端末装置であるユーザPC100aに送信する。
【0085】
類似度1221bがスレッショルド1124未満の場合は、類似度送信部123は、何もしないで処理を終了する。
【0086】
つまり、ユーザPC100b(バックアップ端末装置)は、ブロードキャストで配信されたバックアップのリクエスト(データ格納要求1121)を受信すると、ユーザPC100a(マスタ端末装置)の稼働状況テーブル151aと自己の稼働状況テーブル151bとから、両ユーザPCが同時に電源が同じ状態である割合(類似度)を計算し、計算した割合(類似度)をユーザPC100a(マスタ端末装置)に返信する。ユーザPC100b(バックアップ端末装置)は、バックアップのリクエスト(データ格納要求1121)にスレッショルド1124が設定されている場合は、計算した割合(類似度)がスレッショルド1124未満の時は不要なトラフィックを避けるために返信しない。
【0087】
図10は、実施の形態1に係るバックアップシステム800のユーザPC100a(マスタ端末装置)のデータ格納指示送信処理の動作フローを示す図である。以下の処理は、マスタ端末装置(リクエストを出した側)であるユーザPC100aで実行される処理である。
【0088】
<類似度受信ステップ>
S410において、類似度受信部113は、ユーザPC100b,100c,100d,・・・,100nから送信される類似度1221b,1221c,1221d,・・・,1221nを受信する。上述したように、ユーザPC100b,100c,100d,・・・,100nの各々では、算出された類似度1221がスレッショルド1124未満の場合にはユーザPC100aに類似度1221を送信しない。つまり、リクエストを出した側であるユーザPC100a(マスタ端末装置)は、回答(類似度の受信)のあったユーザPC100の範囲(中)から、データ格納端末装置300を選択して、データ格納端末装置300に実際のバックアップリクエスト(データ格納指示)を送付してバックアップを行う。
【0089】
<データ格納端末選択ステップ>
S420において、データ格納端末選択部114は、類似度受信部113により受信された類似度1221に基づいて、バックアップ用の格納対象データ141を格納する端末装置であるデータ格納端末装置300を自ユーザPC100a以外のユーザPC100b,100c,100d,・・・,100nから処理装置を用いて選択する。
【0090】
上述したように、類似度1221は、値が大きいほど自ユーザPC100aとの稼働状況が類似していることを意味するものである。したがって、データ格納端末選択部114は、受信した類似度1221から値の大きい順に所定の個数(選択個数)の類似度1221を選択し、選択した類似度1221に対応するユーザPC100をデータ格納端末装置300として選択する。
【0091】
バックアップシステム800では、バックアップデータ(格納対象データ141)を格納するために選択するデータ格納端末装置の選択個数を予めシステムとして記憶装置に記憶しておくとしてもよい。あるいは、ユーザPC100毎に選択すべきデータ格納端末装置の選択個数を記憶装置に記憶するとしてもよい。
【0092】
データ格納端末選択部114は、選択すべきデータ格納端末装置の選択個数を記憶装置から読み出す。データ格納端末選択部114は、受信した類似度1221の値の大きい順に、選択すべきデータ格納端末装置の選択個数と同一の数の類似度1221を処理装置により抽出する。データ格納端末選択部114は、抽出した類似度1221に付与されている端末識別情報1123の示すユーザPC100をデータ格納端末装置として処理装置により選択する。データ格納端末選択部114は、選択すべきデータ格納端末装置の選択個数が受信した類似度1221の数より大きい場合は、受信した類似度1221に対応する全てのユーザPC100をデータ格納端末装置として選択する。
【0093】
例えば、選択すべきデータ格納端末装置の選択個数として「2」が予め記憶装置に記憶されているものとする。また、ユーザPC100a(マスタ端末装置)が受信した類似度1221から大きい順に2つ抽出された類似度1221が、類似度1221b(ユーザPC100bが送信した類似度)と類似度1221d(ユーザPC100dが送信した類似度)であるとする。この場合、データ格納端末選択部114は、類似度1221bに付与されている端末識別情報1123bの示すユーザPC100bと、類似度1221dに付与されている端末識別情報1123dの示すユーザPC100dとを、データ格納端末装置として選択する。
【0094】
あるいは、バックアップ端末装置(ユーザPC100b,100c,100d,・・・,100n)は、類似度1221、端末識別情報1123とともにデータを格納可能なデータ格納装置160の空き容量を、マスタ端末装置(ユーザPC100a)に返信する。そして、マスタ端末装置(ユーザPC100a)のデータ格納端末選択部114は、データ格納端末装置300として選択したバックアップ端末装置の空き容量の合計が格納対象データ141を格納できる容量になるまで、バックアップ端末装置からデータ格納端末装置300を選択するとしてもよい。マスタ端末装置(ユーザPC100a)のデータ格納端末選択部114は、データ格納端末装置300として選択したバックアップ端末装置の空き容量の合計が格納対象データ141を格納できる容量より小さい場合には、「バックアップ不可能」等のメッセージを自ユーザPC100aの表示装置等に表示することもできる。これにより、利用者は、異なるメディアにバックアップする等の対処が可能となる。
【0095】
<データ格納指示送信ステップ>
S430において、データ格納指示送信部115は、データ格納端末選択部114により選択されたデータ格納端末装置(ユーザPC100b、ユーザPC100d)に格納対象データ141の格納を指示するデータ格納指示1122(バックアップリクエスト)を送信する。
【0096】
まず、データ格納指示送信部115は、格納対象データ141と自ユーザPC100aの端末識別情報1123aとを含むデータ格納指示1122を処理装置により生成する。データ格納指示送信部115は、例えば、自ユーザPC100aの情報(IPアドレス、マシン名など)、アカウント情報、パスワード、データ格納方式情報等を自ユーザPC100aの端末識別情報1123aとしてデータ格納指示1122を生成する。データ格納指示送信部115は、生成したデータ格納指示1122をデータ格納端末装置(ユーザPC100b、ユーザPC100d)に送信する。
【0097】
マスタ端末装置のバックアップ時には、最低限1つの相手先PC(データ格納端末装置300)が存在すればよい。データ漏えい等のリスクを下げるためには、格納対象データ141を分割して2以上のユーザPC100にバックアップすることも可能である。
【0098】
例えば、ユーザPC100aのデータ格納指示送信部115は、格納対象データ141を2つの格納対象データ1411、格納対象データ1412に分割して、それぞれの格納を指示するデータ格納指示1122−1、データ格納指示1122−2を生成する。例えば、ユーザPC100aのデータ格納指示送信部115は、データ格納指示1122−1をユーザPC100bに送信し、データ格納指示1122−2をユーザPC100dに送信する。ユーザPC100bでは、格納対象データ1411を後述するようにデータ格納装置160bへ格納し、ユーザPC100dでは、格納対象データ1412を後述するようにデータ格納装置160dへ格納する。
【0099】
また、可用性を上げるために、ユーザPC100aは、ひとつの格納対象データ141を2以上のユーザPC100にバックアップすることも可能である。
【0100】
格納対象データ141aと同一のデータを2カ所にバックアップしているのか、あるいは、格納対象データ141aを2つに分けてバックアップしているのか等についてのデータ格納方式情報は、端末識別情報1123aに含まれているものとする。
【0101】
また、ユーザPC100a(マスタ端末装置)では、格納対象データ141aがどのバックアップ端末にどのような格納方式で格納されているかを記憶装置に記憶しておくものとする。
【0102】
図11は、本実施の形態に係るバックアップシステム800のユーザPC100b(バックアップ端末装置)のデータ格納指示送信処理の動作フローを示す図である。以下の処理は、例えば、バックアップ端末装置であるユーザPC100b,100dで実行される処理である。
【0103】
<データ格納指示受信ステップ>
S510において、データ格納指示受信部131は、マスタ端末装置であるユーザPC100aから送信されたデータ格納指示1122を受信する。
【0104】
<格納対象データ格納ステップ>
S520において、格納対象データ格納部132は、データ格納指示受信部131により受信したデータ格納指示1122に含まれる格納対象データ141、端末識別情報1123a(マスタ端末装置であるユーザPC100aの端末識別情報)を処理装置により読み出す。端末識別情報1123aには、例えば、ユーザPC100aの情報(IPアドレス、マシン名など)、アカウント情報、パスワード、データ格納方式情報等が含まれる。パスワードは、例えば、格納したデータを保護するため、格納対象データ141にパスワードによる保護をかける場合等に使用するものである。
【0105】
格納対象データ格納部132は、格納対象データ141と端末識別情報1123aとを対応付けてデータ格納装置160(記憶装置)に格納する。セキュリティを高めるためには、格納時にデータを暗号化する。また、RAID(レイド:Redundant・Arrays・of・Inexpensive・Disks)の技術を応用して、パリティデータを別に格納するなどの応用も容易に実現できる。
【0106】
以上のように、本実施の形態のバックアップシステム800によれば、全体を統括する高価なサーバが存在しない状態でクライアントPC(ユーザPC100)だけでバックアップを可能としたので、低価格で小規模の環境でも電子データのバックアップが可能になる。
【0107】
また、本実施の形態のバックアップシステム800によれば、自ユーザPC(マスタ端末装置)とバックアップ先のPC(バックアップ端末装置)との稼働状況を比較して、バックアップ先に適したユーザPCを選択する方式としたので、特定のユーザPCにバックアップが偏り、その結果として可用性が低くなることを避けることができる。
【0108】
また、本実施の形態のバックアップシステム800によれば、自ユーザPCと相手側のユーザPCの利用状況(稼働状況テーブル151)から、電源がオンの可能性が高いユーザPCをデータ格納端末装置300として選択することができるので、特定のユーザPCにバックアップが集中することを避けることができ、結果として可用性を高めることができる。
【0109】
本実施の形態において説明したバックアップシステム800のバックアップ端末選択処理は、稼働状況テーブル151を用いることにより、自ユーザPC100aと稼働状況が類似のユーザPC100を最適なデータのバックアップ先(バックアップ端末装置300)として選択する手法であった。上記バックアップ端末選択処理の手法は、例えば、仮想化技術を用いて処理の単位を複数のサーバ間で移動するシステムに応用することができる。仮想化技術を用いて処理の単位を複数のサーバ間で移動させるシステムでは、稼働状況が似ていない相手先サーバに移動するほうが、処理の効率を上げることができる。したがって、ので、バックアップ端末選択処理において、類似度1221の低い方から選択していくことにより、仮想化技術を用いて処理の単位を複数のサーバ間で移動するシステムにも利用可能である。
【0110】
本実施の形態では、データ格納端末装置を選択するために用いる「ユーザPC100の稼働状況を示す稼働情報」として稼働状況テーブル151を用いる方式について説明した。ここで、「ユーザPC100の稼働状況を示す稼働情報」の他の例について説明する。以下、マスタ端末装置をユーザPC100aとし、バックアップ端末装置をユーザPC100bとして説明する。
【0111】
ユーザPC間の物理的距離を「ユーザPC100の稼働状況を示す稼働情報」とする場合について説明する。稼働情報として、ユーザPC100間の物理的距離を用いることができる。この場合、ユーザPC100aは、データ格納要求1121として自ユーザPC100aの物理的位置をLAN200(ネットワーク)の他のユーザPC100にブロードキャストする。
【0112】
ユーザPC100bは、ユーザPC100aの物理的位置を含むデータ格納要求1121を受信すると、記憶装置に記憶されている自ユーザPC100bの物理的位置に基づいてユーザPC100aとユーザPC100bとの間の物理的距離を類似度1221bとしてユーザPC100aへ送信する。
【0113】
あるいは、「ユーザPC100の稼働状況を示す稼働情報」として、ユーザPC100間の論理的距離、ユーザPC100の負荷の高低、ユーザPC100の性能情報、ユーザPC100のデータ格納装置空き容量(絶対値、割合)、ユーザPC100のデータの増加率統計情報(例、MB/日)、既バックアップPC数、既バックアップデータ量(サイズ、数)、導入後年数等を用いることもできる。
【0114】
また、実施の形態1で説明した稼働状況テーブル151と、ユーザPC100間の物理的距離、ユーザPC100間の論理的距離、ユーザPC100の負荷の高低、ユーザPC100の性能情報、ユーザPC100のデータ格納装置空き容量(絶対値、割合)、ユーザPC100のデータの増加率統計情報(例、MB/日)、既バックアップPC数、既バックアップデータ量(サイズ、数)、導入後年数のうちの少なくとも何れかの情報とを組み合わせることにより、バックアップに最適なユーザPC100、あるいはバックアップに最適なユーザPC100の組み合わせを選択することも可能である。
【0115】
特に、バックアップシステム800において、「ユーザPC100の稼働状況を示す稼働情報」としてデータの増加率統計情報(例、MB/日)を使うと、データ利用の頻度の低いユーザPC100をデータ格納端末装置300として選択可能となる。また、バックアップシステム800において、「ユーザPC100の稼働状況を示す稼働情報」として既バックアップPC数、既バックアップデータ量を使うと、特定のPCにバックアップが集中することを防ぐことができる。
【0116】
実施の形態2.
本実施の形態では、バックアップシステム800において、バックアップされているデータを復元するデータ復元処理(リストア)について説明する。図12は、本実施の形態に係るバックアップシステム800におけるデータ復元処理を示すシーケンス図である。
【0117】
本実施の形態におけるバックアップシステム800のバックアップ方法(データ格納方法)は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0118】
上述したように、格納対象データ格納部132は、格納対象データ141aと端末識別情報1123aとを対応付けてデータ格納装置160b(記憶装置)に格納する。端末識別情報1123aには、例えば、ユーザPC100aの情報(IPアドレス、マシン名など)、アカウント情報、パスワード、データ格納方式情報等が含まれる。
【0119】
図12に示すように、ユーザPC100aがデータ復元処理(リストア)を実行するユーザPCであるものとし、ユーザPC100b,100dのデータ格納装置160b,160dにユーザPC100aの格納対象データ141aに対応するバックアップデータ161b,161dがバックアップされているものとする。
【0120】
上述したように、バックアップデータ161bとバックアップデータ161dとは、それぞれが格納対象データ141aと同一のデータである場合もある。あるいは、バックアップデータ161bとバックアップデータ161dとを合わせてひとつの格納対象データ141aを構成するものである場合もある。
【0121】
格納対象データ141aと同一のデータを2カ所にバックアップしているのか、あるいは、格納対象データ141aを2つに分けてバックアップしているのか等についてのデータ格納方式情報は、端末識別情報1123aに含まれているものとする。
【0122】
まず、ユーザPC100aにおいてバックアップデータ161の格納先がわかるケースについて説明する。例えば、パソコン(ユーザPC100a)自体は正常に動作しているが、操作ミス等で特定のデータのみを削除してしまった場合などが、格納先がわかるケースに相当する。上述したように、ユーザPC100a(マスタ端末装置)では、格納対象データ141aがどのバックアップ端末にどのような格納方式で格納されているかを記憶装置に記憶してある。
【0123】
格納先がわかるケースでは、ユーザPC100aは、ユーザPC100b,100d(相手先のPC)にデータ復元要求1125(リストアのリクエスト)を送信する。相手先のPCが電源オフの場合には、リストア失敗とする。
【0124】
バックアップデータをリストアする時に、バックアップ先のPCの電源が入っていない場合はWakeOnLan機能にて電源を強制的に入れる事もできるが、一般的ではない。ユーザPC100aには、リストア失敗となった時点で、どのユーザPC100が電源オフで失敗になったか分かるので、利用者は対象ユーザPCの電源をオンにしてもらう等の対処が可能である。なお、上述したように、バックアップシステム800において、同一データの格納先を複数確保するバックアップ方法をとることにより、可用性を上げることができる。
【0125】
次に、ユーザPC100aにおいてバックアップデータの格納先がわからないケースについて説明する。格納先がわからないケースは、例えば、パソコン(ユーザPC100a)自体の故障ですべてのデータが消えてしまったなどに相当する。
【0126】
格納先が分からないケースについて、図12を用いて説明する。ユーザPC100aは、取得可能な自ユーザPC100aの端末識別情報1123a(ユーザPC100aの情報(IPアドレス、PC名等))、アカウント情報、パスワード、データ格納方式情報などを含むデータ復元要求1125a(リストアのリクエスト)をLAN200にブロードキャストする。
【0127】
ユーザPC100a以外のユーザPC100b,100c,100d,・・・,100nは、ユーザPC100aからデータ復元要求1125を受信すると、データ格納装置160に記憶されているバックアップデータに対応する端末識別情報1123を処理装置により検索する。
【0128】
例えば、ユーザPC100bは、データ復元要求1125に含まれる端末識別情報1123a(ユーザPC100aの情報(IPアドレス、PC名等)、アカウント情報、パスワード、データ格納方式情報等)に対応するバックアップデータ161bを、復元データ1222bとしてデータ格納装置160から処理装置により抽出する。ユーザPC100bは、復元データ1222bをユーザPC100aに送信する。同様に、ユーザPC100dは、復元データ1222dをユーザPC100aに送信する。対応するバックアップデータ161を抽出できないユーザPC100c等は何もしない。
【0129】
ユーザPC100aは、ユーザPC100bより送信された復元データ1222bと、ユーザPC100dより送信された復元データ1222dとを受信し、復元データ1222bと復元データ1222dとに基づいてデータを復元する。
【0130】
以上のように、本実施の形態に係るバックアップシステム800によれば、端末識別情報1123(バックアップに関する情報)もバックアップデータ161(格納対象データ141)と同時にバックアップするので、「ユーザPC」(マスタ端末装置)が故障して、データがすべて消えた場合でもリストアをすることができる。
【符号の説明】
【0131】
100 ユーザPC、101 稼働情報生成部、110 データ格納処理部、112 データ格納要求送信部、113 類似度受信部、114 データ格納端末選択部、115 データ格納指示送信部、120 データ格納要求受信処理部、121 データ格納要求受信部、122 類似度算出部、123 類似度送信部、130 データ格納指示受信処理部、131 データ格納指示受信部、132 格納対象データ格納部、140 格納対象データ記憶部、141 格納対象データ、150 稼働情報記憶部、151 稼働状況テーブル、160 データ格納装置、161 バックアップデータ、200 LAN、300 データ格納端末装置、800 バックアップシステム、901 表示装置、902 キーボード、903 マウス、904 FDD、905 CDD、906 プリンタ装置、907 スキャナ装置、910 システムユニット、911 CPU、912 バス、913 ROM、914 RAM、915 通信ボード、920 磁気ディスク装置、921 OS、922 ウィンドウシステム、923 プログラム群、924 ファイル群、931 電話器、932 ファクシミリ機、940 インターネット、941 ゲートウェイ、942 LAN、1121 データ格納要求、1122 データ格納指示、1123 端末識別情報、1124 スレッショルド、1125 データ復元要求、1221 類似度、1222 復元データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバックアップ端末装置とネットワークを介して接続されるマスタ端末装置において、
前記マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を記憶するマスタ端末稼働情報記憶部と、
前記マスタ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記マスタ端末稼働情報を前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置に送信する端末稼働情報送信部と、
前記端末稼働情報送信部により送信された前記マスタ端末稼働情報を受信した前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置から、当該バックアップ端末装置の稼働状況と前記マスタ端末稼働情報が示す前記マスタ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す選択用類似度を受信する類似度受信部と、
前記類似度受信部により受信した前記選択用類似度に基づいて、前記マスタ端末装置が保有するバックアップ用の格納対象データを格納するデータ格納端末装置を前記複数のバックアップ端末装置から処理装置を用いて選択するデータ格納端末選択部と、
前記データ格納端末選択部により選択された前記データ格納端末装置に対して、前記格納対象データを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を送信するデータ格納指示送信部と
を備えることを特徴とするマスタ端末装置。
【請求項2】
前記マスタ端末稼働情報記憶部は、
前記マスタ端末装置の電源の入切状態が時系列に記録された電源入切情報を、前記マスタ端末稼働情報として記憶することを特徴とする請求項1に記載のマスタ端末装置。
【請求項3】
前記複数のバックアップ端末装置の何れかのバックアップ端末装置が送信したバックアップ端末稼働情報であって、送信元のバックアップ端末装置の稼働状況を示すバックアップ端末稼働情報を受信する稼働情報受信部と、
前記稼働情報受信部により受信した前記バックアップ端末稼働情報と前記マスタ端末稼働情報記憶部に記憶されているマスタ端末稼働情報とに基づいて、前記バックアップ端末稼働情報が示す前記送信元のバックアップ端末装置の稼働状況と前記マスタ端末稼働情報が示すマスタ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す返信用類似度を処理装置により算出する類似度算出部と、
前記類似度算出部により算出された前記返信用類似度を前記送信元のバックアップ端末装置に送信する類似度送信部と
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のマスタ端末装置。
【請求項4】
格納すべき格納対象データを有するマスタ端末装置とネットワークを介して接続されるバックアップ端末装置において、
前記バックアップ端末装置の稼働状況を示すバックアップ端末稼働情報を記憶するバックアップ端末稼働情報記憶部と、
前記マスタ端末装置から送信される前記マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を受信する端末稼働情報受信部と、
前記端末稼働情報受信部により受信した前記マスタ端末稼働情報と、前記バックアップ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記バックアップ端末稼働情報とに基づいて、前記マスタ端末稼働情報が示す前記マスタ端末装置の稼働状況と、前記バックアップ端末稼働情報が示す前記バックアップ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す返信用類似度を処理装置により算出する類似度算出部と、
前記類似度算出部により算出された前記返信用類似度を前記マスタ端末装置に送信する類似度送信部と
を備えることを特徴とするバックアップ端末装置。
【請求項5】
前記端末稼働情報受信部は、
前記マスタ端末装置の電源の入切状態が時系列に記録されたマスタ端末電源入切情報を前記マスタ端末稼働情報として受信し、
前記バックアップ端末稼働情報記憶部は、
前記バックアップ端末装置の電源の入切状態が時系列に記録されたバックアップ端末電源入切情報を前記バックアップ端末稼働情報として記憶し、
前記類似度算出部は、
前記マスタ端末電源入切情報と前記バックアップ端末電源入切情報とに基づいて、前記返信用類似度を算出することを特徴とする請求項4に記載のバックアップ端末装置。
【請求項6】
前記端末稼働情報受信部は、
1日を所定の時間単位で分割した複数の時間帯の各時間帯に、前記マスタ端末装置の電源の入切状態に応じて予め設定されたマスタ端末状態対応値を前記マスタ端末装置の当該時間帯の電源の入切状態に応じて対応付けて記録した前記マスタ端末電源入切情報を受信し、
前記バックアップ端末稼働情報記憶部は、
前記複数の時間帯の各時間帯に、前記バックアップ端末装置の電源の入切状態に応じて予め設定されたバックアップ端末状態対応値を前記バックアップ端末装置の当該時間帯の電源の入切状態に応じて対応付けて記録した前記バックアップ端末電源入切情報を受信し、
前記類似度算出部は、
前記複数の時間帯の各時間帯について、前記マスタ端末電源入切情報に記録されている前記マスタ端末状態対応値と前記バックアップ端末電源入切情報に記録されている前記バックアップ端末状態対応値とを乗算し、乗算して得られた各乗算結果値を加算した値を前記返信用類似度とすることを特徴とする請求項5に記載のバックアップ端末装置。
【請求項7】
前記バックアップ端末装置は、さらに、
前記マスタ端末装置から前記マスタ端末装置を識別するためのマスタ端末識別情報と前記格納対象データとを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を受信するデータ格納指示受信部と、
前記データ格納指示受信部により受信された前記データ格納指示情報に基づいて、前記マスタ端末識別情報と前記格納対象データとを対応付けて記憶装置に格納する格納対象データ格納部と
を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載のバックアップ端末装置。
【請求項8】
記憶装置を備える複数のバックアップ端末装置とマスタ端末装置とがネットワークを介して接続されるデータ格納システムにおいて、
前記マスタ端末装置は、
前記マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を記憶するマスタ端末稼働情報記憶部と、
前記マスタ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記マスタ端末稼働情報を前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置に送信する端末稼働情報送信部とを備え、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置は、
当該バックアップ端末装置の稼働状況を示すバックアップ端末稼働情報を記憶するバックアップ端末稼働情報記憶部と、
前記端末稼働情報送信部により送信された前記マスタ端末稼働情報を受信する端末稼働情報受信部と、
前記端末稼働情報受信部により受信された前記マスタ端末稼働情報と、前記バックアップ端末稼働情報記憶部に記憶されている前記バックアップ端末稼働情報とに基づいて、前記マスタ端末装置の稼働状況と当該バックアップ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す類似度を処理装置により算出する類似度算出部と、
前記類似度算出部により算出された前記類似度を前記マスタ端末装置に送信する類似度送信部とを備え、
前記マスタ端末は、さらに、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置から送信された前記類似度を受信する類似度受信部と、
前記類似度受信部により受信した前記類似度に基づいてマスタ端末装置の保有するバックアップ用の格納対象データを格納するデータ格納端末装置を前記複数のバックアップ端末装置から処理装置を用いて選択するデータ格納端末選択部と、
前記データ格納端末選択部により選択された前記データ格納端末装置に対して前記格納対象データを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を送信するデータ格納指示送信部とを備え、
前記複数のバックアップ端末の各バックアップ端末は、さらに、
前記データ格納指示送信部により送信された前記データ格納指示情報を受信するデータ格納指示受信部と、
前記データ格納指示受信部により受信された前記データ格納指示情報に含まれる前記格納対象データを記憶装置に格納する格納対象データ格納部と
を備えることを特徴とするデータ格納システム。
【請求項9】
記憶装置を備える複数のバックアップ端末装置とマスタ端末装置とがネットワークを介して接続されるデータ格納システムのデータ格納方法において、
前記マスタ端末装置が、前記マスタ端末装置の稼働状況を示すマスタ端末稼働情報を前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置に送信する端末稼働情報送信ステップと、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置が、前記端末稼働情報送信ステップにより送信された前記マスタ端末稼働情報を受信する端末稼働情報受信ステップと、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置が、前記端末稼働情報受信ステップにより受信された前記マスタ端末稼働情報と、当該バックアップ端末装置の稼働状況を示すバックアップ端末稼働情報とに基づいて、前記マスタ端末装置の稼働状況と当該バックアップ端末装置の稼働状況との類似の度合いを示す類似度を処理装置により算出する類似度算出ステップと、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置が、前記類似度算出ステップにより算出された前記類似度を前記マスタ端末装置に送信する類似度送信部と、
前記マスタ端末が、前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置から送信された前記類似度を受信する類似度受信ステップと、
前記マスタ端末装置が、前記類似度受信ステップにより受信した前記類似度に基づいてマスタ端末装置の保有するバックアップ用の格納対象データを格納するデータ格納端末装置を前記複数のバックアップ端末装置から処理装置を用いて選択するデータ格納端末選択ステップと、
前記マスタ端末装置が、前記データ格納端末選択ステップにより選択された前記データ格納端末装置に対して前記格納対象データを含むとともに前記格納対象データの格納を指示するデータ格納指示情報を送信するデータ格納指示送信ステップと、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置が、前記データ格納指示送信ステップにより送信された前記データ格納指示情報を受信するデータ格納指示受信ステップと、
前記複数のバックアップ端末装置の各バックアップ端末装置が、前記データ格納指示受信ステップにより受信された前記データ格納指示情報に含まれる前記格納対象データを記憶装置に格納する格納対象データ格納ステップと
を備えることを特徴とするデータ格納システムのデータ格納方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−164164(P2012−164164A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−24475(P2011−24475)
【出願日】平成23年2月7日(2011.2.7)
【出願人】(501158538)三菱電機インフォメーションテクノロジー株式会社 (28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】