説明

マッサージアーム

【課題】
マッサージ要素を備えたマッサージアームによりマッサージされる人の体に施されたマッサージ効果をさらに改善する。
【解決手段】
マッサージチェアその他の着席/横臥用の家具に装着されるマッサージユニットに使用するマッサージ要素(2)を備えており、少なくとも第1の周波数範囲内で第1の振動を生じさせる1本のシャフトに連結され、マッサージ要素(2)がマッサージされる人の体に作用する少なくとも1つの接触面を有するマッサージアーム(1)であって、第1の周波数範囲より高い第2の周波数範囲内で、前記第1の振動運動に重畳させて第2の振動運動を生じさせる振動発生装置(8)を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッサージチェアその他の着席/横臥用の家具に装着されるマッサージユニットに使用するマッサージ要素を備えており、少なくとも1本のシャフトに対して連結されると共にマッサージ要素に対して関節式に連結された場合に、第一の周波数範囲内で第一の振動を引き起こし、駆動装置によってマッサージユニット内を移動可能に配されたマッサージアームに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマッサージアームは、様々な実施形態のものが知られている。
マッサージユニットは通例、マッサージキャリッジからなり、そのマッサージキャリッジは、マッサージチェアの背もたれに組み込んだり、または他の家具のマッサージユニットが装備される部品に組み込むことができ、そして、駆動装置によってフレームに沿って往復運動させることができる。
一般に、マッサージキャリッジは2本のモータ駆動のシャフトを有し、そのシャフトによって、夫々のマッサージ要素に設けられた2本のマッサージアームの振動が引き起こされる。
このために、各マッサージアームは、保持アームと突出アームからなり、保持アームが自由端にマッサージ要素を配した一方のシャフトに関節式に連結され、突出アームがその一端側で保持アームを動作させる第2のシャフトに関節式に連結された構成とするのが好都合である。
振動を引き起こすために、両方のシャフトの端部は偏心領域を有することができ、その偏心領域上に保持アーム及び突出アームが取り付けられる。
この場合に、保持アームに接続されるシャフトの両端に形成された偏心領域がそのシャフトに対して角度付けられ、シャフトが回転するときに、マッサージ要素を支持する保持アームが、角度付けられた偏心領域の軸及び当該シャフトの交点を通って延長される本質的に水平な軸の周りを旋回運動するようになっている。
このマッサージ要素の運動によって引き起こされるマッサージ動作は、「揉み」と呼ばれる。
【0003】
突出アームに連結されたシャフトは、保持アームに連結されたシャフトの偏心振動が作用したとき、フレームに垂直な向きの振動成分を有する突出アームによってマッサージ要素の本質的に鉛直方向の動きが引き起こされるように動作する。
この運動で加えられたマッサージ動作は、「たたき」とも呼ばれる。
【0004】
この種のマッサージアームは、例えば国際公開第WO97/37627号より知られている。上記の揉み及びたたきの技法は、マッサージ師の人手によるマッサージをほぼ擬似的に行うためのものである。
【特許文献1】国際公開第WO97/37627号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、マッサージ要素を備えたマッサージアームによりマッサージされる人の体に施されたマッサージ効果をさらに改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、この目的は、上述の種類のマッサージ要素を備えたマッサージアームに関して、可動シャフトによってマッサージアームに伝達されて第1の振動運動に重ね合わせられ、第1の振動運動より高い周波数範囲を有する第2の振動運動を引き起こすための振動発生装置を提供することによって解決される。
【0007】
第2の周波数範囲は、15〜100Hzの範囲にあるのが好ましい。マッサージアーム及び/又はマッサージ要素に直接作用する、追加の振動発生装置の利点は、マッサージされる人の筋肉に対して、リラックスさせ、引きつり(cramp)を軽減する効果がある。
【0008】
振動システムを備えるマッサージ装置は周知である。
例えばそれらは、複数の固定式に固定された振動ユニットを備えるマットの形を有する、あるいは問題のゾーンに的を絞った治療を可能にする手持ち式のユニットとして設計される。
しかし、こういった振動システムでは、療法士のマッサージ効果、具体的には筋肉の揉み運動を実現することができない。経絡の活性化は不十分であり、患者の背中などの広い領域にわたる均一な治療は不可能である。
【0009】
マッサージアーム及び/又はマッサージ要素に直接作用する振動発生装置として、例えば、駆動シャフトに偏心荷重を備える小型電動モータを用いることができる。
また、金属コアあるいは電機子を備えたコイルを用い、交流電圧によって振動させるようにセットさせることも可能である。
【0010】
振動発生装置によって発振される第2の振動運動は、20〜70Hzの周波数範囲内にあることが好ましい。特に好ましい実施例では、第2の周波数範囲は20〜40Hzである。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、偏心荷重を備える電気モータなどの振動発生装置を、マッサージされる人の体に作用するマッサージ要素の接触面の近くのマッサージ要素上に固定式に配置するのが得策である。
【0012】
ここで公知のマッサージ要素は、通常、少なくとも1つのマッサージ体を備え、その表面がマッサージされる人に接触する面を構成している。
この場合、振動発生装置はマッサージ体に配することができる。
【0013】
特に、一または複数のマッサージ体は、マッサージ体に面するマッサージ要素の側面にドーム形にデザインされている。
その結果、1つまたは複数のドーム形のマッサージ体に、マッサージ要素の反対側から振動発生装置を設置することができる。
【0014】
また、マッサージ体を従来のようにローラ形状に設計することもでき、この場合、ローラに振動発生装置を設置すればよい。
【0015】
マッサージアームに伝達された振動が関節式連結部を介してマッサージ要素に伝達されるように、振動発生装置をマッサージアームに取り付けてもよい。
【0016】
振動発生装置によってより高い周波数の振動運動が引き起こされるので、マッサージアームとマッサージ要素の間の関節式連結部は、できる限り可撓性を有するように設計されるべきである。関節式連結部は、ボールソケット継手として設計されるのが好ましい。
【0017】
ただし、1本(好ましくは水平)または複数の回転軸のまわりに、マッサージアームに関連してマッサージ要素の回転運動を可能にする他の適当な関節式連結部を選択することもできる。
具体的には、接合部が、交差式に配置された2本の回転軸を備えてもよい。
【0018】
振動を制動するために、ゴム連結部などの振動ダンパを介してマッサージ要素をマッサージアーム上に取り付けることも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。
図1はドーム形のマッサージ体の中に振動発生装置が配されたマッサージ要素を備えるマッサージアームを示す側面図、図2は振動発生装置が配されたハウジングを示す第2の実施例の正面方向端面図、図3は図1の実施例におけるマッサージアームとマッサージ要素との間の関節式連結部の他の形態を示す側面図、図4は図2の実施例における関節式連結部の他の形態を示す正面方向端面図である。
【0020】
図1からわかるように、マッサージアーム1は、複数の軸の周りのマッサージ要素2の旋回運動を可能にする接合部3によって、マッサージ要素2に連結される。
【0021】
図には、マッサージアーム1の保持アーム4だけが示されている。上記保持アーム4は、モータ駆動のシャフトの軸受5に自在に取り付けられる(図示せず)。取り付けは、図1の作図面に平行な保持アーム4の偏心振動も、図1の図面に垂直な保持アーム4の旋回も引き起こされるような方向に、シャフトに対して角度を付けて配置されたシャフトの偏心端部上で行われる。
【0022】
突出アーム(図示せず)が、保持アーム4の中間部分に結合され、第2のシャフト(同様に図示せず)に関節式に連結される。第2のシャフトのモータ駆動による動きによって、突出アームに振動運動がやはり引き起こされ、その突出アームによって、保持アーム4に、基本的にマッサージ要素2に平行に動く、おそらくはマッサージ要素2に垂直な成分を有する上記の振動運動が引き起こされる。この振動運動は保持アーム4の偏心運動に重ね合わせられるといわゆる「たたき」動作となり、基本的に図1の作図面に垂直な鉛直面における保持アーム4の旋回によって、いわゆる「揉み」運動が生じる。
【0023】
上記の振動運動及び偏心運動は、最大15Hzまでの周波数範囲にあり、療法士の人手によるマッサージのマッサージ効果を擬似的にもたらす。その結果、処置される体表面が大きな領域にわたって一様にマッサージされ、関連する筋肉が動かされ、経絡が活性化される。
【0024】
図からやはりわかるように、マッサージ要素2は、表面が人の体に作用するマッサージ体7が保持アーム4と反対側に位置する、平坦な手のひら形の支持部品6からなる。対応する開口が、ドーム形のマッサージ体7を収容するために支持部品6に設けられている。振動発生装置8が、開口の1つを通過してドーム形のマッサージ体7内に延び、支持部品6に固定式に固定される。
【0025】
図1に示すように、振動発生装置8は電気モータ9からなり、電気モータ9の駆動シャフトが不平衡部10を備える。不平衡部10の回転によって周波数範囲15〜100Hzの振動運動が引き起こされ、その振動運動が保持アーム4の振動運動及び偏心運動に重ね合わせられ、それによってマッサージ要素2のたたき及び揉み運動に至る。これによって、引きつりを軽減する振動による比較的遅い揉みとたたきの理想的組合せがもたらされる。
【0026】
図2に示す実施例では、振動発生装置は、接合部3の近くで保持アーム4に固定式に連結される。
【0027】
振動発生装置8は、接合部3の近くで保持アーム4に横方向に固定されたハウジング11内に配されている。この場合、振動発生装置8はやはり電気モータ9からなり、電気モータ9の駆動シャフトに偏心荷重10が取り付けられる。マッサージ要素2の方を向いている保持アーム4の端部で引き起こされた振動は、接合部3を介してマッサージ要素2に伝達される。
【0028】
図1及び図2からわかるように、マッサージアーム1をマッサージ要素2に連結する接合部3は、保持アーム4に位置するボールヘッド12を備えるボールソケット継手と、マッサージ体7と反対側の支持部品6の側部に位置するボールソケット13とからなる。ボールヘッド12は、マッサージアーム1に対して垂直に延び、ボールソケット13の向かい合う開口15と係合する、2本の向かい合うピン14を有する。ピン14及び開口15は、マッサージ要素2が保持アーム4の長手方向に延びる軸の周りを回転するのを妨げる。
【0029】
開口15は、図2の作画面に垂直な鉛直面におけるマッサージアーム1とマッサージ要素2の間の関節式連結部の旋回角度が所定の範囲に制限されるように、保持アーム4の長手方向に細長い設計のものである。これによって、この図2の作画面におけるマッサージ要素2の回転が妨げられ、図1の作図面における回転も妨げられる。
【0030】
図2から特にわかるように、ボールソケット13は、ボールソケット13の縁部の方に開いている、ボールヘッド12の円筒形の伸張部17をその中で旋回できるU字形の溝16を備える。溝16は、図1の作画面に平行かつ図2の作画面に垂直なマッサージアーム1の面で、マッサージアーム1をマッサージ要素2に対してその面内に畳み込むことができるように、その面内に位置する。
【0031】
ボールヘッド12と保持アーム4の間の連結は、マッサージ要素の保持/駆動装置への振動の伝達を概ね妨げるために、ゴム製の台または別の振動ダンパを有してもよい。
【0032】
図3に示す実施例は図1に示すものと異なり、接合部3が、交差式に配置された2本の軸18及び19を備える。この関節式連結部は、他の部分は図2による実施例に対応する図4に示す実施例にも見られる。
【0033】
軸18を形成する関節式連結部は、マッサージアーム1の保持アーム4の、マッサージ要素2の方を向いている端部上にある蝶番要素20と、軸19を形成する関節式連結部を介してマッサージ要素2に連結されるフォーク形の蝶番要素21とを有する。中間領域に突出するアーム(図示せず)を結合できる保持アーム4の側部上に、蝶番要素20は突出部22を備え、突出部22は、保持アーム4に対して反時計回りの方向でマッサージ要素2の旋回角度を制限するように、蝶番要素21上の止め具23と相互に作用する。もう一方の時計回りの旋回方向には、マッサージ要素2は、保持アーム4と接触するまで制限なく旋回することができる。
【0034】
軸19の周りの旋回式連結は、上記の蝶番要素21と、マッサージ要素2の支持部品6に取り付けられた蝶番要素24によって形成される。蝶番要素24は、軸19に対して垂直に延び、両側部が傾斜している2つのリム25を有する。
蝶番要素21の細くなった領域26が、このリム25同士の間に位置する。
狭小領域26は、保持アーム4の縦軸に対して垂直に延び、僅かなクリアランスをもってリム25の上方に位置する肩により、もう一つの蝶番要素21から離され、その幅は、概算で、リム25の外側同士の間の距離に相当します。
したがって、リム25の傾けられた側面は、肩について停止面として機能し、また、軸19のまわりに旋回する間、マッサージ要素2の回転角を両方向とも制限しています。
【0035】
図4に示す実施例では、振動発生装置8は、図2による実施例と同様に、マッサージ要素2の方に向いている保持アーム4の端部のハウジング11内に取り付けられる。振動発生装置8の設計は、図2に関して述べたものに対応する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】ドーム形のマッサージ体の中に振動発生装置が配されたマッサージ要素を備えるマッサージアームを示す側面図。
【図2】振動発生装置が配されたハウジングを示す第2の実施例の正面方向端面図。
【図3】図1の実施例におけるマッサージアームとマッサージ要素との間の関節式連結部の他の形態を示す側面図。
【図4】図2の実施例における関節式連結部の他の形態を示す正面方向端面図。
【符号の説明】
【0037】
1 マッサージアーム
2 マッサージ要素
3 接合部
4 保持アーム
5 軸受
6 支持部品
7 マッサージ体
8 振動発生装置
9 電気モータ
10 不平衡
11 ハウジング
12 ボールヘッド
13 ボールソケット
14 ピン
15 開口
16 溝
17 伸張部
18 軸
19 軸
20 蝶番要素
21 蝶番要素
22 突出部
23 止め具
24 蝶番要素
25 リム
26 狭小領域



【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージチェアその他の着席/横臥用の家具に装着されるマッサージユニットに使用するマッサージ要素(2)を備えており、少なくとも第1の周波数範囲内で第1の振動を生じさせる1本のシャフトに連結され、前記マッサージ要素(2)がマッサージされる人の体に作用する少なくとも1つの接触面を有するマッサージアーム(1)であって、
第1の周波数範囲より高い第2の周波数範囲内で、前記第1の振動運動に重畳させて第2の振動運動を生じさせる振動発生装置(8)を備えたことを特徴とするマッサージアーム(1)。
【請求項2】
前記第2の周波数範囲が15〜100Hzである請求項1記載のマッサージアーム(1)。
【請求項3】
前記第2の周波数範囲が20〜70Hzである請求項2記載のマッサージアーム(1)。
【請求項4】
前記第2の周波数範囲が20〜40Hzである請求項2記載のマッサージアーム(1)。
【請求項5】
前記振動発生装置(8)が前記マッサージ要素(2)上に配置される請求項1乃至4いずれか記載のマッサージアーム(1)。
【請求項6】
前記振動発生装置(8)が、前記マッサージ要素(2)の接触面の近くに配置される請求項5記載のマッサージアーム(1)。
【請求項7】
マッサージ要素(2)がマッサージされる人の体に作用する接触面を備えた少なくとも1つのマッサージ体を有する場合に、振動発生装置(8)がマッサージ体(7)の隣に配置される請求項6記載のマッサージアーム。
【請求項8】
マッサージ要素(2)がマッサージされる人の体に作用する接触面を備えた少なくとも1つのマッサージ体を有する場合に、振動発生装置(8)がマッサージ体(7)内に挿入される請求項6記載のマッサージアーム(1)。
【請求項9】
前記振動発生装置(8)が前記マッサージアーム(1)に装着された請求項1乃至4いずれか記載のマッサージアーム(1)。
【請求項10】
前記振動発生装置(8)が電気モータ(9)を有し、電気モータ(9)の駆動シャフトが偏心荷重(10)を備える請求項1乃至9いずれか記載のマッサージアーム(1)。
【請求項11】
前記マッサージアーム(1)と前記マッサージ要素(2)の間の関節式連結部が、ボールソケット継手で成る請求項1乃至10いずれか記載のマッサージアーム(1)。
【請求項12】
前記マッサージアーム(1)と前記マッサージ要素(2)の間の関節式連結部が、交差式に配置された旋回軸(18、19)を備えて成る請求項1乃至10いずれか記載のマッサージアーム(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−532158(P2007−532158A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506651(P2007−506651)
【出願日】平成17年4月7日(2005.4.7)
【国際出願番号】PCT/DE2005/000617
【国際公開番号】WO2005/097037
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(505045780)オーキン ゲセルシャフト フュア アントリーブステクニク エムベーハー (7)
【氏名又は名称原語表記】OKIN Gesellschaft fur Antriebstechnik mbH
【住所又は居所原語表記】Marie−Juchacz−Str. 2, Gummersbach, 51645, Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】