説明

マッサージ指圧具およびマッサージ方法

【課題】岩塩に含有されるミネラル成分の効能を効率的に引き出すべく、被術者のツボを指圧しながら岩塩のミネラル成分を被術者の皮膚表層に浸透させ得るマッサージ指圧具およびマッサージ方を提供する。
【解決手段】本発明のマッサージ指圧具は、塊状岩塩を片手で握れる大きさに成形したものであり、特にその立体形状が略ハート型で丸みを帯びた形状に成形している。また本発明のマッサージ方法は、被術者の皮膚表面にマッサージオイルを塗布し、片手で握れる大きさに成形された塊状岩塩を所定温度に温めたものを皮膚に押し当てて、塊状岩塩に含有されるミネラル成分をマッサージオイル中に溶かしながらマッサージを行うものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、岩塩を用いたマッサージ指圧具およびそれを用いたマッサージ方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
体に塩を塗って軽くマッサージすると、皮膚の老廃物が除去されて、新陳代謝を促進し、血液を浄化し、血液の循環を良くする。皮膚を引き締めたり、発汗などの作用もあり、塩をマッサージ剤として用い、全身に塗布する美容・健康法が知られている。また、このような塩塗りマッサージに用いる塩としては、ミネラル成分が豊富にバランスよく含まれている自然塩が適している(特許文献1)。
【0003】
また、岩塩、天日塩などの自然塩を精製し、水分を除去して乾燥をした精製塩を微粉化して得られた粉末塩と芳香性成分としてのアロマテラピー成分の混合物とを含有することを特徴とする塩マッサージ剤が知られている(特許文献2)。
ここで、岩塩とは、幾億年前地球の地殻変動で海水が海草等と一緒に山脈の中に固までき、厚さ数百メートルの膨大な岩塩層として産出されるもので、各種のミネラル成分と栄養素を含んでいる化石塩である。この岩塩に含まれているミネラル成分は、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、鉄、銅、リン、亜鉛、マンガン、イオウ、塩素、ケイ素、フッ素等で、これら成分には様々な効能があることが知られている。
【0004】
また、かかる岩塩を用いて、壁面と床とを構築し、岩塩壁面と岩塩床とより加熱雰囲気のもと、岩塩に含まれる成分を発散させて温浴者が温浴でき、岩塩床の凹凸によるマッサージ効果を受けることができるサウナ浴室が知られている(特許文献3)。
【0005】
この他、岩塩に多く含まれるミネラル成分に着目して、入浴剤として利用できる各種岩塩が販売されている(非特許文献1,非特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】特開平9−136827号公報
【特許文献2】実願2001−6164号公報
【特許文献3】特開2005−270344号公報
【非特許文献1】天然ヒマラヤ岩塩に関するURLアドレス”http://www.sen-ichi.com/himaraya.html”
【非特許文献2】モンゴル岩塩に関するURLアドレス”http://www.hikarij.com/ganen.htm”
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように従来の岩塩の利用は、専らサウナ欲もしくは入浴剤としての利用を目的としたものであった。
近年流行となっているストーンセラピーやストーンマッサージでは、熱を保ちやすい岩石(例えば、火山岩の一つである玄武岩など)を用いており、成分が溶け出す岩石を利用するストーンセラピーやストーンマッサージは報告がない。
本発明者は、鍼灸師・美容セラピストであり、現にエステサロンを経営するものであり、長年の経験に基づき、岩塩の新規な利用方法の知見を得たものである。
本発明は、岩塩に含有されるミネラル成分の効能を効率的に引き出すべく、被術者のツボを指圧しながら岩塩のミネラル成分を被術者の皮膚表層に浸透させ得るマッサージ指圧具およびマッサージ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のマッサージ指圧具は、塊状岩塩を片手で握れる大きさに成形したものであることを特徴とする。
塊状岩塩を片手で握れる大きさに成形することにより、マッサージの施術者はそれを片手で持ち、被術者の皮膚表面に片手で押し当てながら指圧を行い、かつ、塊状岩塩に含まれる豊富なミネラル成分を被術者の皮膚表面上層に浸透されることが可能となる。
本マッサージ指圧具は、従来利用されてきたような、岩塩をタイルのように壁面や床に敷き並べてサウナ材として利用すること、若しくは、細かく小石状にして入浴剤として利用することとは、塊状岩塩を片手で握れる大きさに成形してマッサージ指圧具として利用する点で異なる。また、本マッサージ指圧具は、ストーンセラピーやストーンマッサージで用いるストーンと比べて、岩塩を用いているので、その含有されるミネラル成分を皮膚に浸透させながらマッサージ指圧を行える点で異なる。
【0009】
ここで、本発明のマッサージ指圧具の塊状岩塩は、その立体形状が略ハート型で丸みを帯びた形状に成形してあることが好ましい。
塊状岩塩の立体形状を略ハート型で丸みを帯びた形状に成形することで、被術者の皮膚表面に痛みなく、また、マッサージの施術者がハート型の形状を利用した指圧を施すことが可能となる。
ハート型の形状を利用した指圧とは、被術者の体形やマッサージを行う部位に応じて、適した凹凸形状(立体的なハート型の形状には様々な凹凸が存在)の部位を選択して、被術者の体に押し当てて指圧するという意味である。また、塊状岩塩の立体形状をハート型にすることにより、ハート型の窪みの部分に人差し指ないしは中指をひっかけて、片手でしっかりと塊状岩塩を掴むことができ、被術者の体に押し当てることが可能である。
【0010】
また、本発明のマッサージ方法は、被術者の皮膚表面にマッサージオイルを塗布し、片手で握れる大きさに成形された塊状岩塩を所定温度に温めたものを皮膚に擦りながら押し当てて、塊状岩塩に含有されるミネラル成分をマッサージオイル中に溶かしながらマッサージを行うことを特徴とする。
ここで、マッサージオイルには、例えば、マッサージ後のぬめり感(べた付き感)が少なく、拭取りの利便性に優れたスクラワンオイルを用いる。被術者の皮膚表面にマッサージオイルを塗布した後、片手で握れる大きさに成形された塊状岩塩を40〜60度ぐらいに温めたものを皮膚に押し当てる。具体的には、塊状岩塩を軽く擦るように扱う。
マッサージオイルを塗布した皮膚に塊状岩塩を擦りながら押し当てることにより、塊状岩塩に含有されるミネラル成分がマッサージオイル中に溶け込んでいく。被術者は、皮膚に海草パックや泥パックを施したかのような感じを受ける。すなわち、被術者は、塊状岩塩を押し当てている部位のみならず、その周囲にわたり、温かさの広がりを感じるのである。
【0011】
ここで、本発明のマッサージ方法における塊状岩塩を温める方法としては、所定温度に加熱されたマッサージオイル中に浸けることによって塊状岩塩を温めることが好ましい。
上述した塊状岩塩を所定温度に加熱されたマッサージオイル中に浸けることによって、塊状岩塩の大きさのバラツキや水分量のバラツキがある場合でも、所望する一定温度に温めることができるのである。また、マッサージオイル中に浸けるため、岩塩内のミネラル成分の溶け出しを最小限にすることが可能となる。
塊状岩塩を温める方法としては、電子レンジ内に載置してマイクロ波によって短時間(数十秒から1分)で温めることも可能である。
【0012】
また、本発明のマッサージ方法におけるマッサージオイルは、枇杷葉から抽出されたエキスを含有するものであることが好ましい。
枇杷葉の成分としては、ブドウ糖、蔗糖、果糖、マルトース、澱粉、デキストリン、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アミグダリン、タンニン、サポニン等があり、鎮痛作用や血液浄化作用があることが知られている。かかる枇杷葉を一両日浸けたマッサージオイルを用いることで、ほのかな芳香と上記の効能を被術者に与えることができるのである。
【0013】
また、本発明のマッサージ方法は、片手で握れる大きさに成形された塊状岩塩を所定温度に加熱されたマッサージオイル中に浸けたものを被術者の皮膚に擦りながら押し当てて、塊状岩塩に含有されるミネラル成分をマッサージオイル中に溶かしながらマッサージを行うことを特徴とする。
塊状岩塩をマッサージオイル中に浸けたものを被術者の皮膚に擦りながら押し当てることにより、塊状岩塩の周囲のマッサージオイルが被術者の皮膚表面に塗布されるため、被術者の皮膚表面にマッサージオイルを塗布する工程を割愛できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマッサージ指圧具およびマッサージ方法によれば、岩塩に含有されるミネラル成分の効能を効率的に引き出すべく、被術者のツボを指圧しながら岩塩のミネラル成分を被術者の皮膚表層に浸透させ得る効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明のマッサージ指圧具およびマッサージ方法の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の塊状岩塩の外観形状の一実施例を示している。本塊状岩塩は片手で握れる大きさであって、図1に示されるように略ハート型で丸みを帯びた立体形状を有している。岩塩はアンデス産もしくはヒマラヤ産のものを用いる。アンデス産の岩塩は、鮮やかなピンク色を呈し、視覚的印象も好ましいものである。またヒマラヤ産の岩塩も鮮やかなピンク色を呈するものがある。
また、図2−1と図2−2は、ハート型の立体形状を有する塊状岩塩を両手で持ち、被術者の体に擦りながら押し当ててマッサージをする様子を示している。被術者の体形やマッサージの部位に応じて、図2−1と図2−2に示されるように、塊状岩塩の持ち方を適宜変更し、皮膚に押し当てる箇所を変更する。
【0017】
図3は、本発明の塊状岩塩を用いたマッサージ方法の作業工程のフロー図を示している。図3に示すように、本発明のマッサージ方法は、先ず被術者の皮膚表面にマッサージオイルを塗布する。塗布するマッサージオイルは、ぬめり感(べた付き感)が少なく、拭取りの利便性に優れたスクラワンオイルを用いている。
このスクラワンオイルは、使用前の一両日、枇杷葉を漬け込んだものである。これにより該スクラワンオイルは、枇杷葉から抽出されたエキスを含有し、かつ、枇杷葉の芳香を有するものとなる。
【0018】
次に、上述した片手で握れる大きさに成形された塊状岩塩を約50度に温めたものを被術者の皮膚に擦りながら押し当てる。塊状岩塩は、電気ヒータで約50度に温度調整したスクラワンオイルに浸けることにより温める。
塊状岩塩に含有されるミネラル成分がマッサージオイル中に微量ずつ溶け出すために、被術者は、皮膚に海草パックや泥パックを施したかのような感じを受けることになる。被術者は、塊状岩塩を押し当てている部位のみならず、その周囲にわたり、温かさの広がりを感じるようになる。
【0019】
図4は、塊状岩塩を用いたマッサージ方法の一実施例を示す工程を示している。先ず、塊状岩塩を所定温度に加熱されたマッサージオイル中に浸ける(ステップS01)。次に、マッサージオイル中に浸け所定温度に加熱された塊状岩塩を被術者の皮膚に擦りながら押し当てる(ステップS02)。そして、塊状岩塩に含有されるミネラル成分を被術者の皮膚表面のマッサージオイル中に溶かしながらマッサージを行うのである(ステップS03)。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、エステサロン、リラクゼーションサロンにおいて実施されるボディーマッサージに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の塊状岩塩の外観形状の一実施例
【図2−1】ハート型の立体形状を有する塊状岩塩を両手で持ち、被術者の体に擦りながら押し当ててマッサージをする様子(1)
【図2−2】ハート型の立体形状を有する塊状岩塩を両手で持ち、被術者の体に擦りながら押し当ててマッサージをする様子(2)
【図3】ハート型の立体形状を有する塊状岩塩を両手で持ち、被術者の手首からひじにかけての部分を押し当ててマッサージをする様子
【図4】塊状岩塩を用いたマッサージ方法の一実施例を示す工程
【符号の説明】
【0022】
1 塊状岩塩
2 マッサージオイル
3 被術者の体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊状岩塩を片手で握れる大きさに成形したものであることを特徴とするマッサージ指圧具。
【請求項2】
前記塊状岩塩の立体形状が略ハート型で丸みを帯びた形状に成形してあることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ指圧具。
【請求項3】
被術者の皮膚表面にマッサージオイルを塗布し、片手で握れる大きさに成形された塊状岩塩を所定温度に温めたものを皮膚に擦りながら押し当てて、前記塊状岩塩に含有されるミネラル成分を前記マッサージオイル中に溶かしながらマッサージを行うことを特徴とするマッサージ方法。
【請求項4】
片手で握れる大きさに成形された塊状岩塩を所定温度に加熱されたマッサージオイル中に浸けたものを被術者の皮膚に擦りながら押し当てて、前記塊状岩塩に含有されるミネラル成分を前記マッサージオイル中に溶かしながらマッサージを行うことを特徴とするマッサージ方法。
【請求項5】
所定温度に加熱されたマッサージオイル中に浸けることによって、前記塊状岩塩を温めることを特徴とする請求項3に記載のマッサージ方法。
【請求項6】
前記マッサージオイルは、枇杷葉から抽出されたエキスを含有するものであることを特徴とする請求項3又は4に記載のマッサージ方法。

【図4】
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【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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