説明

マッサージ機

【課題】人体の各部位に対する押圧力を一定に保ちつつ、柔らかなマッサージを行うことができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】少なくとも座部と、この座部3の後側に設けられた脊もたれ部と、この脊もたれ部内に昇降自在に設けられ、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子9を含むマッサージユニットを備えた機械本体ユニット10とを備えたマッサージ機。前記マッサージユニットは、前記機械本体ユニット10の左右のフレーム10aの下部において左右方向に固設された揺動軸11に揺動自在に取り付けられており、前記機械本体ユニット10の左右のフレーム10aの上部に固設された、断面略コの字状のエアーセルベース14には、前記マッサージユニットを揺動軸11廻りに前方に揺動させるエアーセル15の後端が固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマッサージ機に関する。さらに詳しくは、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットが前後動自在にされているマッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を用いたマッサージ機においては、マッサージ効果を高めるために種々の工夫がなされている。
例えば、使用者の好みに応じて強いマッサージ又は弱いマッサージを受けることができるように、単に前記施療子の駆動力に強弱をつけるだけではなく、施療子を人体に対して前進又は後退可能とし、人体への押圧力を調整自在にしたものがある。しかしながら、従来例では、施療子の人体への押圧力を当該施療子の人体側への突出量で調節しているため、使用者の座り方や体形等により押圧力が変化してしまい、充分なマッサージ効果を得ることができなかった。
そこで、前記施療子が取り付けられた揉み用軸、及び回転駆動することにより前記施療子を前後動させる前後用軸それぞれの回転角度、並びに施療子を前後動させる駆動源の電流値に基づいて、前記施療子の押圧力を算出し、この算出値に応じて当該施療子を前後動させて、押圧力を一定に制御するマッサージ機が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平5−161683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載のマッサージ機によれば、マッサージする部位の変更や使用者の座り方等による押圧力の変動を抑え、押圧力を一定に保つことができるものの、施療子の動き(揉み動作及び/又は叩き動作)がダイレクトに人体に作用するため、人間の手による揉みや叩きに近い、柔らかくソフトな感じのマッサージを提供することができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、人体の各部位に対する押圧力を一定に保ちつつ、柔らかなマッサージを行うことができるマッサージ機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマッサージ機は、少なくとも座部と、この座部の後側に設けられた脊もたれ部と、この脊もたれ部内に昇降自在に設けられ、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットを備えた機械本体ユニットとを備えたマッサージ機であって、
前記マッサージユニットは、前記機械本体ユニットの左右のフレームの下部において左右方向に固設された揺動軸に揺動自在に取り付けられており、
前記機械本体ユニットの左右のフレームの上部に固設されたエアーセルベースには、前記マッサージユニットを揺動軸廻りに前方に揺動させるエアーセルの後端が固定されており、
前記エアーセルの前端は、前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板に当接しており、且つ
前記エアーセルにエアーを供給するエアー回路中に、前記エアーセル内の圧力を所定圧に保つリリーフ弁が配設されていることを特徴としている。
【0007】
本発明のマッサージ機では、人体に対し揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットの背部にエアーセルが接続されており、このエアーセルにエアーを供給することで、前記マッサージユニットを前進させることができる。また、エアー回路にはエアーセル内の圧力を所定圧に保つリリーフ弁が配設されているので、マッサージする部位が変更される等施療子を後ろ方向に押圧する力が作用すると、前記リリーフ弁からエアーが抜けてエアーセル内の圧力は一定に保たれる。したがって、マッサージする部位にかかわらず人体への押圧力を一定に保つことができる。さらに、エアーセル自体が一種のクッションとして機能するので、前記施療子による揉み動作及び/又は叩き動作を行った際に、人体への揉みや叩きを柔らかくすることができる。その結果、人間によるマッサージに近い柔らかな感触を得ることができる。
【0008】
前記マッサージユニットの揺動を検知する検知手段を設けることができる。この検知手段により、マッサージユニット、すなわち施療子の前進又は後退を検知することができ、これを利用してマッサージユニットを下部位置から上昇させることで、人体の肩位置を検出することができる。具体的には、施療子が腰の位置にあるとき、当該施療子は腰により前方への移動が制限される(エアーセルはやや収縮した状態にある)が、マッサージユニットを上昇させ、施療子が肩位置にくると、当該施療子は遮蔽物がなくなるため前方に移動する(エアーセルは膨張した状態にある)。この場合に、施療子が最も前進した状態となったときに、前記検知手段がオン信号を出すように設定しておくと、腰(このとき検知手段の信号はオフである)から上にマッサージユニットを上昇させていき、検知手段がオン信号を出した時点で前記施療子が肩位置に達したものと判断することができる。
【0009】
前記マッサージユニットの左右のフレームの上部において左右方向に設けられた回転軸にピニオンが固設されており、前記マッサージユニットの上部には、前記ピニオンと噛み合うラックが、当該マッサージユニットの前後方向に沿って固設されているのが好ましい。前記エアーセルに加えて、機械的駆動力を用いてマッサージユニットを前後動させることにより、マッサージに強弱をつけることができる。前記リリーフ弁の設定圧を可変としエアーセル内の圧力を調整することで、施療子の人体に対する押圧力をある程度変えることはできるが、エアーセルによる揺動範囲は機構上大きくとるのが難しい。これに対し、ラックとピニオンを用いると大きな揺動範囲を実現することができ、マッサージに大きな強弱をつけることができる。
【0010】
一端が前記機械本体ユニットの左右の各フレームに固定され、他端が前記マッサージユニットの左右の各フレームに固定され、当該マッサージユニットを後退方向に付勢するスプリングを設けることができる。スプリングを用いることで、迅速にマッサージユニットを後退位置に戻すことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のマッサージ機によれば、人体の各部位に対する押圧力を一定に保ちつつ、柔らかなマッサージを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態に係るマッサージ機を詳細に説明する。なお、各図においては、特定の部品又は部分を見易くするために、他の部品等の図示を省略している場合がある。
図1は本発明の一実施の形態に係るマッサージ機の全体斜視図であり、このマッサージ機1は、脚体2により支持された座部3と、この座部3の後側に設けられた脊もたれ部4と、座部3の前方下側に設けられたフットレスト5と、座部3の左右両側に設けられた肘掛け部6と、一方の肘掛け部6に取り付けられた支持部7とを備えている。前記支持部7には、コントローラ8が脱着可能に取り付けられており、また脊もたれ部4は座部3に対してリクライニングが可能である。なお、本明細書において、前記脊もたれ部4の幅方向を「左右方向」、高さ方向を「上下方向」、奥行き方向を「前後方向」といい、また脊もたれ部4を正面から見て左側を「左側」、同じく右側を「右側」という。
【0013】
前記脊もたれ部4の内部には、「揉み」や「叩き」の動作をする施療子9を備えたマッサージユニットを含む機械本体ユニット10が内蔵されている。この機械本体ユニット10は、脊もたれ部4の内部において左右一対のガイド溝30aを有するガイドレール30に沿って昇降自在に設けられている。機械本体ユニット10には、図3〜4に示されるように、前記マッサージユニットを前後動させるための進退用モータ31、施療子9の幅を変えて揉み位置(揉み幅)を変更するための揉み位置変更用モータ32、施療子9に叩き動作をさせるための叩き用モータ33、及び施療子9に揉み動作をさせるための揉み用モータ34が配設されている。揉み位置変更用モータ32は機械本体ユニット10の左側下方において、その出力軸が左右方向に沿って配置されている。マッサージユニットの構成部品である叩き用モータ33は、当該マッサージユニットの右側下方において、その出力軸が前後方向に沿って配置されており、また揉み用モータ34は、同じく中央やや下方において、その出力軸が上下方向に沿って配置されている。これら進退用モータ31、揉み位置変更用モータ32、叩き用モータ33、及び揉み用モータ34の出力は、図4に示されるように、それぞれベルト31a、32a、33a、34aやプーリ、ウォームギア等の動力伝達手段を介して所定の部位に伝達される。そして、揉み位置変更用モータ32の出力は、前記ベルト32a、プーリ、及びマッサージユニットの下部において左右方向に沿って配設されたネジ棒(図示せず)に伝達され当該ネジ棒を回転させる。このネジ棒には、センターを境として右と左とで逆方向のネジが切られており、左右のネジ部のそれぞれに当該ネジ部と螺合するナット部が配設されている。ネジ棒を正転又は逆転させることで、一対のナット部を互いに接近又は離間させることができる。そして、このナット部の動きを利用して、マッサージユニットの前後方向に沿って配設されたシャフト廻りに揺動自在(シャフトを中心に時計方向又は反時計方向に揺動自在)にされている施療子9の位置を変更させている。
また、叩き用モータ33及び揉み用モータ34の出力は、偏心プーリや偏心リンク等によって偏心回動や揺動に変換され、前記施療子9に揉みや叩きといったマッサージ動作を行わせる。かかる揉み及び叩きのための機構としては、通常用いられているものを適宜採用することができるので、それらについての詳細な説明は省略する。
なお、図2において、36、37及び38は、それぞれ断面コの字状のガイドレール30の後壁内面を摺動する第1ローラ、同じく前壁内面を摺動する第2ローラ及び同じく側壁内面を摺動する第3ローラであり、これら3種類のローラでガイドすることにより機械本体ユニット10をスムーズに昇降させることができる。この機械本体ユニット10は、ガイドレール30の下部に固定された昇降用モータ(図示せず)により昇降させられる。具体的には、前記昇降用モータの回転により、前記機械本体ユニット10の左右方向に沿って配設された昇降用シャフトが回転させられ、この昇降用シャフトに固設されているワイヤドラムが回転をする。このワイヤドラムには、ガイドレール30の上端に設けられたローラを介して、その端部が前記機械本体ユニット10に固定された上昇用ワイヤと、その端部が前記機械本体ユニット10に固定された下降用ワイヤとが巻回されており、前記ワイヤドラムを正転又は逆転させることで、機械本体ユニット10を上昇又は下降させることができるようになっている。
【0014】
本発明の特徴は、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットをエアーセルを用いて揺動させるように構成していることである。
以下、このマッサージユニットを揺動させる機構について詳細に説明する。
図2に示されるように、前記機械本体ユニット10の左右のフレーム10aの下部には、左右方向に延びる揺動軸11がボルト12により固設されており、この揺動軸11にマッサージユニット(図6参照)の左右のフレーム13が揺動自在に取り付けられている。また、前記機械本体ユニット10の左右のフレーム10aの上部には、水平断面が略コの字状のエアーセルベース14が固設されている。このエアーセルベース14は金属製プレートを折り曲げ加工又はプレス加工することで作製することができ、その側部14aの開口側端部に形成された取付部14bが前記フレーム10aにボルトで固定されている。エアーセルベース14の後部14cには前記マッサージユニットを揺動軸11廻りに前方に揺動させるエアーセル15の後端が固定されており、一方、このエアーセル15の前端は前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板16に当接している。
【0015】
前記あて板16は略矩形状を呈しており、金属又は合成樹脂製プレートで作製することができる。このあて板16は、マッサージユニットの左右のフレーム13の上部に形成されたフランジ部13a(図5〜6参照)にボルトで固定されている。あて板16の左右方向の寸法(幅)は、前記エアーセルベース14の左右方向の内法寸法よりやや小さくされており(図5参照)、これによりあて板16は、前記エアーセルベース14内を前後方向に移動できるようになっている。なお、17はゴム等の弾性体からなるクッション体であり、あて板16の左右上端付近に配設されている。本実施の形態におけるクッション体17は、筒状の小径部17aと、この小径部17aの一端に形成された大径部17bと、前記小径部17aが嵌まる大きさの開口を有する環状体17cとで構成されており、前記小径部17aと大径部17bとは一体に形成されている。あて板16の左右上端付近に形成された孔(図示せず)に、前記小径部17aを後方から挿入し、ついで前記孔から突出した小径部17aを環状体17cの開口に嵌めるようにして当該環状体17cをあて板16及び小径部17aに固定することで、前記クッション体17をあて板16の左右上端付近に配設することができる。クッション体17の前面(主として環状体17cの表面)は、前記エアーセルベース14の側部14aの開口側端部に形成されたストッパ18に当接し、一方、クッション体17の後面(大径部17bの表面)はエアーセルベース14の後部14cの内面に当接して、あて板16の前後動に伴う騒音又は振動を低減させる役割を果たしている。
【0016】
エアーセルベース14の後部14cの外面には、図4に示されるように、前記エアーセル15にエアーポンプ(図示せず)からのエアーを供給するための供給口19が設けられており、この供給口19の一端の接続部19aにエアーチューブ20が接続され、このエアーチューブ20を介して前記エアーセル15内にエアーが供給される。このエアー供給回路としては、例えば図7に示されるように、エアーポンプPの吐出口とエアーセル15の供給口19とを結ぶエアーの経路中に電磁弁SVが配設され、且つこの電磁弁SVと供給口19の間にリリーフ弁RVが配設されたものを採用することができる。なお、図7に例示されるエアー供給回路において、エアーセル15に供給するエアーの圧力を調整するためのレギュレータを前記電磁弁SVと供給口19の間に設けることができる。
【0017】
マッサージユニットの右側のフレーム13の外側面には、リミットスイッチ21が取り付けられており、このリミットスイッチ21に対応して、機械本体ユニット10の右側のフレーム10aには、ブラケット22が前方に突設されている。前記リミットスイッチ21とブラケット22は、マッサージユニットがエアーセル15により最も前進させられたときに、当該ブラケット22の底面が前記リミットスイッチ21のレバー21a(図5参照)を押圧してスイッチオンとなるように位置決めされている。
【0018】
図2において、23は、一端が前記機械本体ユニット10の左右の各フレーム10aに固定され、他端が前記マッサージユニットの左右の各フレーム13に固定され、当該マッサージユニットを後退方向に付勢するスプリングである。エアーセル15のエアーが排気されると、マッサージユニットは元の位置にもどるが、スプリング23の戻り力を利用することで、迅速にマッサージユニットを後退位置に戻すことができる。
【0019】
つぎに、前述したマッサージユニットの揺動動作について説明する。
まず、エアーポンプPを駆動させた後に電磁弁SVに通電して弁を開状態にすると、前記供給口19からエアーセル15内にエアーが供給され、これにより、エアーセル15が膨張し、当該エアーセル15の前端に当接しているあて板16を前方に押し出す。そして、その上端に前記あて板16が固定されているマッサージユニットが、揺動軸11を中心として前方に押し出される(揺動する)。
【0020】
さらにエアーが供給され、マッサージユニットが前方に揺動すると、やがて前記ブラケット22の底面がリミットスイッチ21のレバー21aを押し下げて、スイッチオンの状態となり、このオン信号を受けて、前記電磁弁SVが非通電となり弁を閉状態にする。リミットスイッチ21がスイッチオンの状態になるのと同時、又はその直後に前記クッション体17がストッパ18に当接するように、クッション体17とストッパ18の位置決めがされている。
【0021】
マッサージユニットが最も前方に揺動した状態で当該マッサージユニットに後ろ方向の負荷が作用すると、マッサージユニットは前記揺動軸11を中心として後方に揺動し、これによりエアーセル15が圧縮させられて内部の圧力が上昇するが、内部のエアー圧が所定圧を超えるとリリーフ弁が作用して内部のエアーを外部に放出するので、エアーセル15内を所定圧に保つことができる。換言すれば、前記所定圧は、マッサージする部位が変更された程度の負荷の変動でも、エアーを放出する程度の大きさに設定されている。例えば、腰から肩に向けてマッサージをする場合、背中の部分では腰に比べて施療子に作用する負荷が大きくなるが、背中の位置ではエアーセル15内のエアーを一部放出して、内部の圧力を腰の位置における内部の圧力と等しくなるようにしている。こうすることで、例えば背筋のラインに沿って一定の圧力で人体を押圧しつつマッサージを行うことができる。しかも、本発明では、エアーセル15自体が一種のクッションとして機能するので、前記施療子9による揉み動作及び/又は叩き動作を行った際に、人体への揉みや叩きを柔らかくすることができる。その結果、人間によるマッサージに近い感触を得ることができる。
なお、負荷形状が変化(マッサージする部位が変化)して、マッサージユニットが前方に揺動した場合に、施療子9による人体への押圧力が弱くならないように、前記リミットスイッチ21がオフになると、電磁弁SVに通電をして弁を開状態にし、エアーが供給されるようになっている。例えば、施療子9に作用する負荷が大きくなる背中の部分では、エアーセル15内のエアーを放出するが、放出したままの状態で施療子9への負荷が小さい腰部分に施療子9が移動すると、腰への当たり(押圧力)が弱くなってしまう。そこで、リミットスイッチ21がオフになると常にエアーを供給し続け、一定圧を超えた分をリリーフ弁RVにより排気することによって、背筋のラインに沿って一定の圧力で人体を押圧することができる。
【0022】
また、本発明では、前記リミットスイッチ21のようにマッサージユニットの揺動を検知する検知手段を設けることにより、マッサージユニット、すなわち施療子9の前進又は後退を検知することができ、これを利用してマッサージユニットを下部位置から上昇させることで、人体の肩位置を検出することができる。具体的には、エアーセル15に空気をいれた状態(エアーセル15を膨張させている状態)で施療子9が腰の位置にあるときに、使用者がマッサージ機に着座すると、当該施療子9は使用者の腰により後方へ押圧される(エアーセル15はやや収縮した状態になる)が、マッサージユニットを上昇させ、施療子9が肩位置にくると、当該施療子9は遮蔽物がなくなるため前方に移動する(エアーセルは膨張した状態にある)。この場合に、施療子9が最も前進した状態となったときに、前記リミットスイッチ21がオン信号を出すように設定しておくと、腰(このときリミットスイッチ21の信号はオフである)から上にマッサージユニットを上昇させていき、リミットスイッチ21がオン信号を出した時点で前記施療子9が肩位置に達したものと判断することができる。
【0023】
なお、本実施の形態では、前記マッサージユニットの左右のフレーム13の上部において左右方向に設けられた回転軸24にピニオン25が固設されており、また前記マッサージユニットの上部には、前記ピニオン25と噛み合う扇状のラック26が、当該マッサージユニットの前後方向に沿って固設されている。前記進退用モータ31の回転力は、ベルト31a、減速機構27を介して回転軸24に伝達され、この回転軸24に固設されたピニオン25を回転させる。そして、ピニオン25が回転すると、当該ピニオン25と噛み合っているラック26が前後方向に移動し、これによりマッサージユニットが前進又は後退する。この進退用モータ31による機械的な揺動の揺動軸と、前記エアーセル15による揺動の揺動軸11とは同軸である。
このように、前記エアーセル15に加えて、機械的駆動力を用いてマッサージユニットを前後動させることにより、マッサージに強弱をつけることができる。前記リリーフ弁RVの設定圧を可変としエアーセル15内の圧力を調整することで、施療子9の人体に対する押圧力をある程度変えることはできるが、エアーセル15による揺動範囲は機構上大きくとるのが難しい。これに対し、ラック26とピニオン25を用いると大きな揺動範囲を実現することができ、マッサージに大きな強弱をつけることができる。
【0024】
また、本実施の形態では、マッサージユニットの前進又は後退を検知する手段として、リミットスイッチとブラケットを用いているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、例えば光センサや磁気センサ等他の検知手段を用いることもできる。また、前記リリーフ弁として、設定圧を変えることができる可変タイプのものを用いると、エアーセル内の圧力を調整することができ、これにより施療子の人体に対する押圧力を変えることができる。さらに、前述した実施の形態では、ラックとピニオンを用いて機械本体ユニット10を前後動させているが、本発明はかかる手段に限定されるものではなく、例えば送りネジとコマからなる機構や、流体圧シリンダ等を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のマッサージ機の一実施の形態の全体斜視図である。
【図2】本発明のマッサージ機における機械本体ユニットの一例の右前方斜視図である。
【図3】本発明のマッサージ機における機械本体ユニットの一例の左上方斜視図である。
【図4】本発明のマッサージ機における機械本体ユニットの一例の左後方斜視図である。
【図5】図2に示される機械本体ユニットからフレームを取り除いた状態を示す図である。
【図6】図2に示される機械本体ユニットにおけるマッサージユニットを示す図である。
【図7】本発明におけるエアーセルのエアー回路の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0026】
1マッサージ機
9施療子
10機械本体ユニット
11揺動軸
14エアーセルベース
15エアーセル
16あて板
21リミットスイッチ
22ブラケット
23スプリング
25ピニオン
26ラック
RVリリーフ弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも座部と、この座部の後側に設けられた脊もたれ部と、この脊もたれ部内に昇降自在に設けられ、揉み動作及び/又は叩き動作を行うことができる施療子を含むマッサージユニットを備えた機械本体ユニットとを備えたマッサージ機であって、
前記マッサージユニットは、前記機械本体ユニットの左右のフレームの下部において左右方向に固設された揺動軸に揺動自在に取り付けられており、
前記機械本体ユニットの左右のフレームの上部に固設されたエアーセルベースには、前記マッサージユニットを揺動軸廻りに前方に揺動させるエアーセルの後端が固定されており、
前記エアーセルの前端は、前記マッサージユニットの上部に設けられたあて板に当接しており、且つ
前記エアーセルにエアーを供給するエアー回路中に、前記エアーセル内の圧力を所定圧に保つリリーフ弁が配設されていることを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
前記マッサージユニットの揺動を検知する検知手段が設けられている請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】
前記マッサージユニットの左右のフレームの上部において左右方向に設けられた回転軸にピニオンが固設されており、前記マッサージユニットの上部には、前記ピニオンと噛み合うラックが、当該マッサージユニットの前後方向に沿って固設されている請求項1〜2のいずれかに記載のマッサージ機。
【請求項4】
一端が前記機械本体ユニットの左右の各フレームに固定され、他端が前記マッサージユニットの左右の各フレームに固定され、当該マッサージユニットを後退方向に付勢するスプリングが設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−158834(P2006−158834A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358039(P2004−358039)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】