説明

マッサージ機

【課題】マッサージ機のマッサージ効果を高くする。
【課題を解決する手段】マッサージ機に乗った人のマッサージをおこないたい部位を検出し、所望の部位を正確にマッサージすることができるようにした。
また、マッサージ機に腕支持部(1)を設け、マッサージを受ける姿勢で腕を腕支持部(1)に載せると、肩関節周囲の筋肉をリラックスさせるてマッサージをおこなうことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の部位を正確にマッサージすることにより、また、肩関節周囲の筋肉を全てリラックスできる姿位にしてマッサージすることにより、マッサージ効果を高くマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マッサージ機は、物理的な力を人体に作用させ、筋肉の凝りをほぐし、血流を改善し、痛みをとるのに用いられる。
マッサージ機には、図4に示すような液圧マッサージ機や、図5に示すような機械式マッサージ機などがある。
図4の液圧マッサージ機は、槽23に柔軟な膜22を張設し、槽に水を満たし、槽内の水をポンプ25で循環させ、パイプ24を介してノズル21から膜22に向けて噴流を発生させ、噴流の水圧でマッサージをおこなうものである。図には記載していないが、装置には制御部が設けられており、ノズルの位置(身長方向及び体幅方向)や噴流の強さなどを制御し、マッサージをおこなう(例えば特許文献1)。
【0003】
図5の機械式マッサージ機は、マッサージ機構3を身長方向に移動させながら、ローラ14で人体に押圧を与え、マッサージをおこなう(例えば特許文献2)。
以下に、図により従来の技術を説明する。
【特許文献1】特開平8−252293
【特許文献2】特開2001−224646
【0004】
図4は特許文献1に記載された液圧マッサージ機を判りやすく単純な図に書き換えたもので、ノズルを身長方向と体幅方向に移動させ、ポンプ25でノズル21から膜22に向けて水を噴出し、全身を、又は所望の部分を、水圧でマッサージする。
図5は、マッサージ機後部3を身長方向に移動させながら、ローラ14で人体に押圧を与え、マッサージをおこなうものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図4のような液圧式マッサージ機では、図6(A)のように、頭をマットの端部に置き、仰臥位になり、身長を入力して、マッサージをおこなう。人が正しい位置に乗っていると、入力した身長データから、マッサージしたい部位m(この図の場合は頭部を除く全身)が決定され、ノズルは、首筋のあたりから、足先まで、Mの範囲を移動し、全身をマッサージすることができる。このとき、mとMは一致する。
しかし、マッサージを受ける人の位置が、マット上でずれると、マッサージできない部分ができたり、マッサージしたくない部分をマッサージすることも有る。
【0006】
図7(B)は所定の位置からd1だけ下方にずれてマッサージ機に乗ったときの図である。図のPとEは、施療子の可動端部で、Dはその範囲である。
この状態で身長を入力すると、図6(A)と同様、ノズルはPからMの範囲を移動しマッサージする。しかし人はd1だけ下方にずれて乗っているので、本来ならマッサージをしたくない頭部からPまでのd1の範囲もノズルは移動し、マッサージをおこなう。このため、不快感が生じたり、エネルギー及び時間の両面から無駄となる。
一方、下肢では、領域Mから外れた部分はノズルが移動しないため、マッサージしない。この部分はマッサージをおこないたいが、マッサージしないため、効果が得られないことになる。
【0007】
図5の装置には、人体を検出するセンサ22が設けられており、治療の前に全身をスキャンして、人体部だけをマッサージできるようにしている。しかし、治療前に全ての人にスキャンをおこなわなければならず、手間がかかる。
液体中にこの手段を設けるのは適しないため(錆や故障の問題、膜22が撓むのでセンサ部が破損する恐れも有る)、液圧マッサージにはこの方式は採用されていない。
このように、従来のマッサージ装置では、所定の位置に正確に乗らないといけないという拘束があり、乗る位置を正しくするようにベッド上で移動しなければならず、その調節に手間がかかる。乗る位置がずれると、マッサージしたい部分を正確にマッサージすることができないし、マッサージをしたく無い部分をマッサージをして不快感が生じることも有る。このようなことはマッサージ効果の低下につながる。
一方、人は、立位で生活しているため、首筋から肩、背部にかけての凝りや痛みなどは多い。このような症状を見ると、肩関節周囲の筋群の一部に負担がかかり、障害が発生していることが多い。このような症状をそのままにしてマッサージしても、多少は効果が得られるが、その効果には限界が有る。
【0008】
このような症状をより効果的に治療するためには、一部の筋肉への負担をなくし、肩関節周囲の全ての筋群がリラックスできる状態にして治療する方法が有る。肩関節周囲の全ての筋群がリラックスする状態をゼロポジションといい、臨床医学ではすでに応用されている。
ゼロポジションは、腕を水平にし、体側から前方に30〜45度前方に内旋し、この状態でさらに60度(垂直位から約150度)挙上した関節の状態を言う。ゼロポジションは肩関節の修復等に広く使用されている。
【課題を解決するための手段】
【請求項1】
【0009】
この課題を解決するために、請求項1記載の発明では、マッサージ機のフレーム4又はマット5に目盛り2を付け、マッサージ機に乗った人のマッサージをしたい部位又は範囲の目盛りを読み取り、読み取った目盛りデータをマッサージ機の制御部に取り込み、制御部で施療子の位置を制御して、マッサージしたい部位をマッサージするようにした。
【0010】
請求項2記載の発明では、請求項1記載のマッサージ機において、目盛り(2)にタッチセンサやキースイッチ等のセンサを用い、センサ出力を自動的に制御部に取り込むようにした。
【0011】
請求項3記載の発明では、請求項1記載のマッサージ機において、距離センサやカメラを用い、非接触でマッサージ機上のマッサージを受ける人の位置を検出し、検出した位置情報を自動的に制御部に取り込むようにした。
【0012】
請求項4記載の発明では、マッサージ機に腕支持部(1)を設け、マッサージを受ける姿勢で腕を腕支持部(1)に載せると、肩関節周囲の筋肉をリラックスさせるてマッサージをおこなうことができるようにした。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明により、任意の位置にマッサージ機に乗っても、マッサージしたい部位を正確にマッサージすることができる。
【0014】
請求項2記載の発明により、請求項1記載の発明を、少ない手順で、間違いなく実行することができる。
【0015】
請求項3記載の発明により、請求項1又は請求項2に記載した発明を、より少ない手順で、間違いなく実行することができる。
【0016】
請求項4記載の発明により、肩関節周囲筋を適切な状態にしてマッサージをおこなうので、より効果の高い治療をおこなうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例1】
【0017】
図1(A)はベッド型マッサージ機の側面図、(B)は平面図である。ベッドのフレーム4には、請求項1記載の発明の目盛り2が付けている。目盛り2は身長方向のベッド上の位置を表すもので、この例では、フレーム4の上面の両側に目盛りをつけている。しかし、片側でもよいし、フレームの側方につけてもよいし、マット5につけてもよい。
目盛り2‘は、ベッド上の幅方向の位置を指定するのに用いる。
【0018】
図2(A)のPは、頭部の位置を決定するために用いる位置である。施療子の可動範囲の端部をあらわす。
マッサージを受ける人は、図2(A)のように、Pと首筋が一致するようにして、仰臥位になると、頭部はマッサージしないで、首筋から下をマッサージすることができる。
この状態で、踵の位置を、ベッドのフレームに付けた目盛りで読み取って、その数値Qを、図には記載していないが、装置の制御部に入力すると、身長Hに対して、マッサージ領域Mが決定される。治療を開始すると、PからQまでの範囲Mで施療子が移動し、この間のマッサージをおこなう。
Dは施療子の全可動範囲である。
【0019】
図2(A)は全身をマッサージする場合の本発明の装置の使用法を示すが、本発明は、体の一部をマッサージする場合にも適用できる。図2(B)は体の一部をマッサージする場合の設定法を示す。
施療子はPからベッドの下端までの範囲Dの間で移動でき、この間に目盛りを設けている。例えば腰部のみをマッサージしたい場合は、マッサージしたい領域の両端の目盛りP‘とQを読み取って制御部に入力する。この数値が入力されると、制御部で施療子の移動範囲をP’とQを決定し、その間で施療子を作動させ、領域M内でマッサージをおこなう。
これを利用すると、施療子の可動端部Pや可動範囲Dに関係なく、どの位置に乗っても、マッサージしたい部分を指定して施療子を制御し、所望の部位を正しくマッサージすることができる。
【0020】
フレームの幅方向の目盛り2‘は、ベッドの幅方向に偏って乗ったり、体の幅方向の一部のみをマッサージしたいときに利用する。
目盛り2‘の数値を指定すると、施療子の、幅方向の可動域内で、指定された位置よりも右側だけを、又は左側だけを、マッサージするように、施療子の位置を制御する。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の、図1の目盛り2や2‘の代わりに、タッチセンサやスイッチ等をを配置し、図2(A)のように所定の位置に乗って、Qの位置のセンサをタッチすると、そのセンサの出力が位置情報として制御部に取り込まれ、マッサージ範囲Mを決定し、施療子を範囲M内で作動させ、マッサージをおこなう。センサは、マッサージ機におけるマッサージ範囲を設定できるものであれば、どのようなセンサを用いてもよい。
請求項2記載の発明は、図2(B)に示すようなマッサージ範囲を、非接触で自動的の認識できる、距離センサやカメラにより位置情報を検出し、検出された位置情報からマッサージ範囲Mを決定し、範囲M内で施療子を作動させ、マッサージをおこなうようにした。
【0022】
請求項4記載の発明は、マッサージ機に腕支持部1を設け、マッサージを受ける姿勢で腕を腕支持部1に載せると、肩関節周囲の筋肉をリラックスさせるてマッサージをおこなうことができるようにしたマッサージ機である。
図3(A)に、本請求項記載の発明の腕支持部1に腕を乗せている様子の写真を示す。腕を挙上して、腕支持部1に乗せている。このときの腕の位置は、肩関節がゼロポジションになるように、腕支持部1は設計している。ゼロポジションとは、棘上筋や小円筋、棘下筋などの全ての肩関節周囲筋に負荷がかからず、リラックスした状態になっている。このため、肩関節やその周囲筋の治療に、この姿位が使用されている。
この状態でマッサージをおこなうと、全ての関係筋肉に無理がかからない状態で治療をおこなうので、血液等の循環にも適し、マッサージ効果も高くなり、コリや痛みに効果が高い。
腕支持部1は、肩のゼロポジションが取れれば良いので、細かな形状などは問わない。また、マッサージ機に載置するタイプにしてもよいし、マッサージ機のフレーム等を整形したマッサージ機との一体型でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例である。
【図2】請求項1記載の発明の実施例である。
【図3】(A)は請求項4記載の発明の実施例である。(B)は肩関節のゼロポジションの図である。
【図4】従来の液圧マッサージ機の例である。
【図5】従来の機械的マッサージ機の例である。
【図6】従来の椅子式マッサージ機の例である。
【図7】マッサージ機の任意の位置に乗ったときの様子を示す。
【符号の説明】
【0024】
1:槽腕支持部 2:膜目盛り
P:施療子の可動域の上端部のマーカ
P‘,Q:マッサージ領域の境界
D:施療子の最大可動域 M:マッサージ領域
H:身長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マッサージ機のフレーム(4)又はマット(5)に目盛り(2)を付け、マッサージ機に乗った人のマッサージをしたい部位又は範囲の目盛りを読み取り、読み取った目盛りデータをマッサージ機の制御部に取り込み、制御部で施療子の位置を制御して、マッサージしたい部位をマッサージするようにしたマッサージ機。
【請求項2】
目盛り(2)にタッチセンサやキースイッチ等のセンサを用い、センサ出力を自動的に制御部に取り込むようにした、請求項1記載のマッサージ機。
【請求項3】
距離センサやカメラを用い、非接触でマッサージ機上のマッサージを受ける人の位置を検出し、検出した位置情報を自動的に制御部に取り込むようにした、請求項1記載のマッサージ機。
【請求項4】
マッサージ機に腕支持部(1)を設け、マッサージを受ける姿勢で腕を腕支持部(1)に載せると、肩関節周囲の筋肉をリラックスさせるてマッサージをおこなうことができるようにしたマッサージ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate