説明

マッサージ機

【課題】複数の熱源を有するマッサージ機において部品点数を抑えることができるマッサージ機を提供する。
【解決手段】各PTCヒータ30a,30bに対して電力供給可能とするオン状態とPTCヒータ30a,30bへの電力供給を不能とするオフ状態とに切替えるスイッチ素子52が備えられるとともに、1つのスイッチ素子52にて複数のPTCヒータ30a,30bを同時にオン状態若しくはオフ状態とに切替え可能に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源を用いて使用者に対して温熱施療を行うマッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば背もたれ部に揉み玉を有するマッサージ機構を組み込んだ椅子型のマッサージ機は、背中のつぼや経絡に揉み玉を当てて所定の動作をさせ、血行を促進させることで肩や背中の凝りを解消させるものであって、従来より提案されており、このようなマッサージ機は一般家庭・公的施設等にも多く普及している。
【0003】
また、近年のマッサージ機では、マッサージ機構に熱源を収容する熱伝達手段を設けることで揉み玉の押圧動作によるマッサージに加えて温熱療法を行うものが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
このようなマッサージ機では、熱源の温度を好適に制御するために、各熱源の温度を計測するサーミスタ等の温度センサが設けられている。そして、例えば温度センサにて得られる温度情報が予め設定された上限温度及び下限温度間となるように、各熱源と同数個設けられるスイッチ素子(特許文献1では遮断装置)にて電力供給するオン状態と電力供給を遮断するオフ状態とが適宜切替えられるよう制御部で制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−284338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような温熱施療を行うマッサージ機では、複数の熱源と同数個のスイッチ素子が設けられているため、部品点数増加傾向にあり、この改善が望まれている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数の熱源を有するマッサージ機において部品点数を抑えることができるマッサージ機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、使用者に対して熱を付与する複数の熱源と、該熱源の温度を計測する計測部と、該計測部の温度情報により前記熱源を制御する制御手段とを備え、前記熱源を前記制御手段により制御して前記使用者に対して温熱施療を行うマッサージ機であって、前記制御手段は、前記熱源に対して電力供給可能とするオン状態と前記熱源への電力供給を不能とするオフ状態とに切替える切替手段を備え、前記切替手段は、1つの切替素子にて前記複数の熱源を同時にオン状態若しくはオフ状態とに切替え可能に構成されたことをその要旨とする。
【0008】
この発明では、制御手段は、熱源に対して電力供給可能とするオン状態と熱源への電力供給を不能とするオフ状態とに切替える切替手段が備えられるとともに、切替手段は、1つの切替素子にて複数の熱源を同時にオン状態若しくはオフ状態とに切替え可能に構成される。このように、1つの切替素子からなる切替手段にて熱源への電力供給を制御することができるため、熱源と同数個の切替手段(切替素子)を設ける場合と比較して部品点数を抑えることができる。また、部品点数を抑えることで、製造コストを抑えることも可能となる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマッサージ機において、前記使用者が着座可能な座部と、該座部の後部に設けられるとともに複数の施療子を有するマッサージ機構が収容される背もたれ部とを備えるものであり、前記熱源は、前記各施療子にそれぞれ設けられたことをその要旨とする。
【0010】
この発明では、使用者が着座可能な座部と、この座部の後部に設けられるとともに複数の施療子を有したマッサージ機構が収容される背もたれ部とが備えられる。熱源は、各施療子にそれぞれ設けられる。このような構成とすることで、熱源による温熱施療に加えて施療子を有するマッサージ機構による揉み等のマッサージを使用者に付与することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のマッサージ機において、前記各施療子は、前記使用者の身体を押圧する揉み玉と、前記マッサージ機構のアームと接続されるとともに前記熱源を収容して前記使用者に前記熱源からの熱を伝達可能な熱伝達手段とをそれぞれ備え、前記各熱伝達手段は、それぞれ同材質の部材にて構成されたことをその要旨とする。
【0012】
この発明では、各施療子には、使用者の身体を押圧する揉み玉と、マッサージ機構のアームと接続されるとともに熱源を収容して使用者に熱源からの熱を伝達可能な熱伝達手段とがそれぞれ備えられる。この各熱伝達手段は、それぞれ同材質の部材にて構成される。このため、各熱伝達手段による熱伝導率を略同一とすることができるため、各熱伝達手段による熱伝達率のばらつきを抑えることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機において、前記制御手段には、第1規定温度と、該第1規定温度よりも低い第2規定温度とが設定され、前記制御手段は、前記計測部による温度情報が前記各熱源間において異なる場合に、前記各熱源の少なくとも1つが前記第2規定温度側から前記第1規定温度以上に達したら前記切替手段にて前記各熱源をオフ状態とし、前記各熱源の他の1つが前記第1規定温度側から前記第2規定温度以下に達したら前記切替手段にて前記各熱源をオン状態となるよう制御するよう構成されたことをその要旨とする。
【0014】
この発明では、制御部には、第1規定温度と、この第1規定温度よりも低い第2規定温度とが設定される。また、制御部は、計測部による温度情報が各熱源間において異なる場合において、各熱源の少なくとも1つが第2規定温度側から第1規定温度以上に達したら切替手段にて各熱源をオフ状態とし、各熱源の他の1つが第1規定温度側から第2規定温度以下に達したら切替手段にて各熱源をオン状態となるよう制御するよう構成される。このような構成とすることで、温度情報のばらつきや各熱源の特性のばらつきが生じても第1規定温度及び第2規定温度間で各熱源を制御することが可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ機において、前記制御手段には、第1規定温度と、該第1規定温度よりも低い第2規定温度とが設定され、前記制御手段は、前記各熱源の温度情報が前記第2規定温度側から前記第1規定温度以上に達したら前記切替手段にて前記各熱源をオフ状態とし、前記各熱源の温度情報が前記第1規定温度側から前記第2規定温度以下に達したら前記切替手段にて前記各熱源をオン状態となるように制御した際に、前記規定温度以上に達しない熱源がある場合には、その熱源に係る温度情報を参照しないで制御することをその要旨とする。
【0016】
この発明では、制御手段には、第1規定温度と、この第1規定温度よりも低い第2規定温度とが設定される。制御手段は、各熱源の温度情報が第2規定温度側から第1規定温度以上に達したら切替手段にて各熱源をオフ状態、各熱源の温度情報が第1規定温度側から第2規定温度以下に達したら切替手段にて各熱源をオン状態となるように制御した際に、第2規定温度以上に達しない熱源がある場合には、その熱源に係る温度情報を参照しないで熱源を制御する。このような構成とすることで、例えば第2規定温度以上に達しない熱源において経年劣化等による熱源の特性変化や、計測部による各熱源の温度計測位置の位置ずれ等の不良が発生しても熱源の駆動を制御することが可能となる。また、温度情報の高い熱源に合わせて駆動制御を行うことで熱源への過剰な電力供給を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の熱源を有するマッサージ機において部品点数を抑えることができるマッサージ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態におけるマッサージ機の概略構成図。
【図2】施療子の正面図。
【図3】施療子の分解斜視図。
【図4】施療子の断面図。
【図5】PTCヒータの温度制御について説明するためのブロック図。
【図6】PTCヒータの温度制御について説明するためのグラフ。
【図7】PTCヒータの温度制御について説明するためのグラフ。
【図8】PTCヒータの温度制御について説明するためのグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ機の概略構成を示す。図1に示すように、マッサージ機10の脚部11は図示しない床面に載置されるとともに、その脚部11の上部には使用者が着座可能な座部12が固定されている。その座部12の後部には、使用者が背中をもたれ掛けさせるための背もたれ部13が傾動可能に設けられるとともに、座部12の前部には使用者の脚を載せることができるオットマン14が傾動可能に設けられている。また、使用者の腕を置くための肘掛け部15が背もたれ部13から座部12の両側前方にかけて設けられている。
【0020】
背もたれ部13は、背もたれ部本体13aと、この背もたれ部本体13aの前面を覆うカバー部13bとで構成される。背もたれ部本体13aは、前面が開口された硬質樹脂材料からなる図示しない本体ケース内に、背もたれ部13の上下方向に沿って図示しないガイドレールが設けられるとともにこのガイドレールに沿って上下方向に移動可能にマッサージ機構20が組み付けられている。マッサージ機構20には、図示しない各種駆動モータが備えられるとともに、これら各種駆動モータの駆動によってマッサージ機構20の上下動や、このマッサージ機構20に備えられる一対の施療子21による所定の施療動作が行われるようになっている。
【0021】
図2に示すように、一対の施療子21は、一対のアーム22(1つのみ図示)と、アーム22のそれぞれに設けられるヒータユニット23と、ヒータユニット23に接続される揉み玉24と、この揉み玉24をヒータユニット23とで挟持する固定部材25とを有している。なお、この固定部材25は熱伝導性の高いアルミニウムにて構成されている。
【0022】
図3及び図4に示すように、各ヒータユニット23は、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータ30a,30bが第1ケース部材31及び第2ケース部材32に挟持されて構成され、一対のアーム22の幅方向内側にそれぞれに設けられている。なお、各PTCヒータ30a,30bを収容する熱伝達手段としての各ケース部材31,32は、熱伝導性及び剛性の高い材質としてアルミニウムを採用している。
【0023】
幅方向外側の第1ケース部材31は、アーム22にねじ33a,33bにて固定されている。また第1ケース部材31の幅方向内側の内表面は、図3及び図4に示すように、PTCヒータ30a,30bとの対応位置の当接部31aが幅方向内側に突出するように形成されている。また、各PTCヒータ30a,30bは、図5に示すようにそれぞれ電源50に対して接続(並列接続)されるとともに、制御部51にて駆動(動作)される1つのスイッチ素子52にて各PTCヒータ30a,30bの電力供給の有無が決定されるようになっている。
【0024】
第2ケース部材32は、幅方向外側の内表面の前記PTCヒータ30a,30bとの対応位置に、例えば高熱伝導率且つ弾性を有するシリコン系の材質からなるゴムパッド41が設けられている。図4に示すように第1ケース部材31の当接部31a及び第2ケース部材32のゴムパッド41にて、PTCヒータ30a,30bが挟持されるようになっている。この時、ゴムパッド41は当接部31aとでPTCヒータ30a,30bを挟持した際にその圧力に応じて弾性変形するように構成されている。つまり、PTCヒータ30a,30bは第2ケース部材32に圧接されており、効率よく第2ケース部材32側に熱を伝達可能に構成されている。
【0025】
第2ケース部材32は、使用者の身体をカバー部13bを介して当接する当接部32aが使用者側に凸となるように湾曲形状に形成されている。また、この当接部32aは、第1ケース部材31の略厚み(幅方向長さ)程度、幅方向外側に延出するように形成されており、第2ケース部材32側にPTCヒータ30a,30bの熱を集約させ、当接部32a以外への熱の拡散を極力抑えた設計がなされている。なお、第1ケース部材31及び第2ケース部材32は当接部32a以外の部分が極力PTCヒータ30a,30bの形状に倣った形状とすることが望ましい。
【0026】
また、第2ケース部材32の幅方向内側には、左側及び右側サーミスタ42a,42bがねじ32bにて固定されるとともに、これらサーミスタ42a,42bは図5に示すように前記制御部51に電気的に接続されている。このため、PTCヒータ30a,30bの熱がヒータユニット23の外殻である第2ケース部材32に伝達され、その熱の温度をサーミスタ42a,42bにて監視することができるようになっている。
【0027】
第2ケース部材32には、幅方向内側に突出する延出部32cが形成されるとともに、その延出方向先端には略四角形状の係合凸部32dが形成されている。第2ケース部材32の延出部32cには、略円筒状の固定部材25の円筒部25aが外嵌されるとともに、延出部32cに形成されているねじ孔32eにねじ46が螺合されて固定部材25の抜け止めがなされている。
【0028】
円筒部25aの内側面における軸方向端部側は、第2ケース部材32の外表面から幅方向内側に突出する延出部32cの係合凸部32dが係合する略四角形状の係合孔25cが形成されている。そして、この係合凸部32dと係合孔25cとが回転方向で係合するため、固定部材25の回り止めがなされている。
【0029】
また、固定部材25を構成する円筒部25aの外周面には2つの軸受24a,24bにて回転可能に支持される揉み玉24が設けられている。この時、この円筒部25aの軸方向端部側において外径が拡径される拡径部25bが揉み玉24よりも幅方向内側に突出するように構成されており、この拡径部25bにて揉み玉24の幅方向(軸方向)への抜け止めがなされている。また、揉み玉24は、第2ケース部材32の延出部32cの軸中心から同ケース部材32の当接部32aまでの距離より僅かに(例えば3mm程度)大きい半径となるように構成されている。このため、揉み玉24が使用者の身体とカバー部13bを介して当接する際に、揉み玉24が接触圧によって変形するため、剛体で構成される第2ケース部材32の当接部32aが使用者に対して軽接触して極力熱のみを好適に伝達させる構成となっている。
【0030】
次に本実施形態のマッサージ機10のPTCヒータ30a,30bの駆動制御について図5〜図8を用いて説明する。
制御部51は、図示しない電源スイッチがオン状態に動作され、例えば温熱施療を含むマッサージコースが図示しない操作器にて操作されると、マッサージ機構20の前記モータを駆動させるとともに、スイッチ素子52をオン状態に動作させてPTCヒータ30a、30bに電源50からの電力を供給する。これに加えて、制御部51は、左側及び右側のサーミスタ42a,42bにてPTCヒータ30a,30bの熱が伝達される第2ケース部材32の温度を監視する。
【0031】
制御部51は、所定時間経過後に左側及び右側のサーミスタ42a,42bからの温度情報が上限温度T1を超えると、スイッチ素子52をオフ状態としてPTCヒータ30a,30bへの電源50からの電力供給を停止する。その後、制御部51は、左側及び右側のサーミスタ42a,42bからの温度情報が下限温度T2を下回ると、スイッチ素子52をオフ状態としてPTCヒータ30a,30bに再び電力を供給する。つまり、制御部51は、前記マッサージコースにおいて、左側及び右側のサーミスタ42a,42bからの温度情報が上限温度T1及び下限温度T2内となる態様でPTCヒータ30a,30bへの電力供給を1つのスイッチ素子52の動作により制御している。スイッチ素子52を1つしか用いていないため、部品点数の増加を抑えることができるとともに製造コストも抑えることができる。
【0032】
また、図7に示すように例えば各PTCヒータ30a,30bに同電力を供給しているにも関わらず、左側サーミスタ42aの温度情報と比較して右側サーミスタ42bの温度情報が低い場合、左右のPTCヒータ30a,30bやサーミスタ42a,42bの特性のばらつきなどの理由が考えられる。このため本実施形態では制御部51において左側サーミスタ42aから得られる上限温度T1の温度情報を基にしてスイッチ素子52をオフ状態としてPTCヒータ30a,30bへの電源50からの電力供給を停止する。更に、制御部51は右側サーミスタ42bから得られる下限温度T2の温度情報を基にしてスイッチ素子52をオン状態としてPTCヒータ30a,30bに電源50からの電力を供給する。つまり、上限温度T1の場合には温度情報の高い左側サーミスタ42aを基準として制御するとともに、下限温度T2の場合には温度情報の低い右側サーミスタ42bを基準として制御するようになっている。このため、各PTCヒータ30a,30bを図6の構成より狭い範囲で制御することができるようになっている。
【0033】
また、図8に示すように例えば左右のPTCヒータ30a,30bやサーミスタ42a,42bの経年劣化などの理由から右側PTCヒータ30bの温度を計測する右側サーミスタ42bの温度情報が下限温度T2を上回らない場合、制御部51は左側サーミスタ42aの温度情報に基づいてスイッチ素子52を適宜動作させて各PTCヒータ30a,30bの温度を制御するようになっている。
【0034】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)PTCヒータ30a,30bに対して電力供給可能とするオン状態とPTCヒータ30a,30bへの電力供給を不能とするオフ状態とに切替えるスイッチ素子52が備えられるとともに、1つのスイッチ素子52にて複数のPTCヒータ30a,30bを同時にオン状態若しくはオフ状態とに切替え可能に構成される。このように、1つの素子からなるスイッチ素子52にてPTCヒータ30a,30bへの電力供給を制御することができるため、PTCヒータ30a,30bと同数個のスイッチ素子を設ける場合と比較して部品点数を抑えることができる。また、部品点数を抑えることで、製造コストを抑えることも可能となる。
【0035】
(2)使用者が着座可能な座部12と、この座部12の後部に設けられるとともに複数の施療子21を有したマッサージ機構20が収容される背もたれ部13とが備えられる。複数のPTCヒータ30a,30bは、各施療子21にそれぞれ設けられる。このような構成とすることで、PTCヒータ30a,30bによる温熱施療に加えて施療子21を有するマッサージ機構20による揉み等のマッサージを使用者に付与することができる。
【0036】
(3)各施療子21には、使用者の身体を押圧する揉み玉24と、マッサージ機構20のアーム22と接続されるとともにPTCヒータ30a,30bを収容して使用者にPTCヒータ30a,30bからの熱を伝達可能な複数の第1及び第2ケース部材31,32とがそれぞれ備えられる。この第1及び第2ケース部材31,32は、それぞれ同材質の部材にて構成される。このため、左右に一対設けられる施療子21のそれぞれに備えられる第1及び第2ケース部材31,32による熱伝導率を略同一とすることができるため、各第1及び第2ケース部材31,32による熱伝達率のばらつきを抑えることができる。
【0037】
(4)制御部51には、上限温度T1と、この上限温度T1よりも低い下限温度T2とが設定される。また、制御部51は、各サーミスタ42a,42bによる温度情報が各PTCヒータ30a,30b間において異なる場合において、各PTCヒータ30a,30bの1つ(左側PTCヒータ42a)が下限温度T2側から上限温度T1以上に達したらスイッチ素子52にて各PTCヒータ30a,30bをオフ状態とする。さらに制御部51は、各PTCヒータ30a,30bの1つ(右側PTCヒータ42b)が上限温度T1側から下限温度T2以下に達したらスイッチ素子52にて各PTCヒータ30a,30bをオン状態となるよう制御するよう構成される。つまり、サーミスタ42a,42bの温度情報のばらつきや各PTCヒータ30a,30bの特性のばらつきが生じても少なくとも1つのPTCヒータ30a,30bの温度が上限温度T1以上若しくは下限温度T2以下に達した場合にその動作を反転する方向に切替えることで制御部51及びスイッチ素子52にてPTCヒータ30a,30bの駆動制御を行うことができる。
【0038】
(5)制御部51は、各PTCヒータ30a,30bの温度情報が下限温度T2側から上限温度T1以上に達したらスイッチ素子52にて各ヒータ30a,30bをオフ状態、各ヒータ30a,30bの温度情報が上限温度T1側から下限温度T2以下に達したらスイッチ素子52にて各ヒータ30a,30bをオン状態となるように制御する。この時、下限温度T2以上に達しない右側PTCヒータ30bがある場合には、その熱源に係る温度情報を参照しないで各ヒータ30a,30bを制御する。このような構成とすることで、例えば下限温度T2以上に達しない右側PTCヒータ30bにおいて例えば経年劣化等によるPTCヒータ30bの特性変化や、サーミスタ42a,42bによる各PTCヒータ30a,30bの温度計測位置の位置ずれ等の不良が発生してもPTCヒータ30a,30bの駆動を制御することが可能となる。また、温度情報の高いPTCヒータ30aに合わせて駆動制御を行うことで下限温度T2以上に達しない右側サーミスタ42bへの過剰な電力供給を抑えることが可能となる。
【0039】
なお、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、PTCヒータ30a,30bを2つ設ける構成としたが、3つ以上設ける構成を採用してもよい。
【0040】
・上記実施形態では、第1ケース部材31及び第2ケース部材32の材料としてアルミニウムを採用したが、その他の材料にて各ケース部材31,32を採用してもよい。他の材料であっても左右のPTCヒータ30a,30bを収容する第1ケース部材31及び第2ケース部材32は同一の材料にて構成することが望ましい。
【0041】
・上記実施形態では、背もたれ部13内に施療子21を有するマッサージ機構20を設ける構成としたが、設けない構成であってもよい。
・上記実施形態では、本発明を椅子型のマッサージ機10に適用したが、使用者が寝た姿勢で使用するマッサージ機やその他のマッサージ機に適用してもよい。
【0042】
・上記実施形態では、座部12の前部にオットマン14を設ける構成としたが、オットマン14を省略した構成を採用してもよい。
・上記実施形態では、ヒータユニット23の熱源としてPTCヒータ30a,30bを用いた構成を採用したが、これ以外の熱源を採用してもよい。
【0043】
・上記実施形態では、特に言及していないが、オットマン14や座部12等にエアバッグ等のマッサージ手段を設けてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…マッサージ機、12…座部、13…背もたれ部、20…マッサージ機構、21…施療子、22…アーム、24…揉み玉、30a…左側PTCヒータ、30b…右側PTCヒータ、31…第1ケース部材(熱伝達手段)、32…第2ケース部材(熱伝達手段)、42a…左側サーミスタ(計測部)、42b…右側サーミスタ(計測部)、51…制御部(制御手段)、52…切替スイッチ(制御手段及び切替手段及び切替素子)、T1…上限温度(第1規定温度)、T2…下限温度(第2規定温度)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者に対して熱を付与する複数の熱源と、該熱源の温度を計測する計測部と、該計測部の温度情報により前記熱源を制御する制御手段とを備え、
前記熱源を前記制御手段により制御して前記使用者に対して温熱施療を行うマッサージ機であって、
前記制御手段は、前記熱源に対して電力供給可能とするオン状態と前記熱源への電力供給を不能とするオフ状態とに切替える切替手段を備え、
前記切替手段は、1つの切替素子にて前記複数の熱源を同時にオン状態若しくはオフ状態とに切替え可能に構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ機において、
前記使用者が着座可能な座部と、該座部の後部に設けられるとともに複数の施療子を有するマッサージ機構が収容される背もたれ部とを備えるものであり、
前記熱源は、前記各施療子にそれぞれ設けられたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項3】
請求項2に記載のマッサージ機において、
前記各施療子は、前記使用者の身体を押圧する揉み玉と、前記マッサージ機構のアームと接続されるとともに前記熱源を収容して前記使用者に前記熱源からの熱を伝達可能な熱伝達手段とをそれぞれ備え、
前記各熱伝達手段は、それぞれ同材質の部材にて構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記制御手段には、第1規定温度と、該第1規定温度よりも低い第2規定温度とが設定され、
前記制御手段は、前記計測部による温度情報が前記各熱源間において異なる場合に、前記各熱源の少なくとも1つが前記第2規定温度側から前記第1規定温度以上に達したら前記切替手段にて前記各熱源をオフ状態とし、前記各熱源の他の1つが前記第1規定温度側から前記第2規定温度以下に達したら前記切替手段にて前記各熱源をオン状態となるよう制御するよう構成されたことを特徴とするマッサージ機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のマッサージ機において、
前記制御手段には、第1規定温度と、該第1規定温度よりも低い第2規定温度とが設定され、
前記制御手段は、前記各熱源の温度情報が前記第2規定温度側から前記第1規定温度以上に達したら前記切替手段にて前記各熱源をオフ状態とし、前記各熱源の温度情報が前記第1規定温度側から前記第2規定温度以下に達したら前記切替手段にて前記各熱源をオン状態となるように制御した際に、前記規定温度以上に達しない熱源がある場合には、その熱源に係る温度情報を参照しないで制御することを特徴とするマッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−172643(P2011−172643A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−37166(P2010−37166)
【出願日】平成22年2月23日(2010.2.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】