説明

マッサージ用器具

【課題】気体の流れによってユーザの身体をマッサージするマッサージ用器具を提供する。
【解決手段】マッサージ用器具1は、本体部11と、本体部11とユーザの頭部との間に配置される緩衝材12と、使用時にユーザの髪の毛の吸い込みを防止するメッシュ材13と、吸引される空気の通路を確保するためのフレーム14と、本体部11の外縁付近に設けられた孔を開閉可能に塞ぐスライド板15とを備えている。本体部11は、合成樹脂製でありヘルメット形状を有しており、頭頂部に設けられた第1の開口部O1に電気掃除機の吸い込み口が接続され、その反対側に設けられた第2の開口部O2にユーザの頭部が挿入される。その状態で電気掃除機が作動すると、本体部11の外縁付近からマッサージ用器具1の内部に吸い込まれた空気がユーザの頭部表面を流れるとともに、その低圧となった空気により頭部表面が吸引され、マッサージ効果がもたらされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの身体の所定の部位をマッサージするマッサージ用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
吸引式のマッサージ用器具の一例としては、電気掃除機の吸い込み口を当該マッサージ用器具に接続して、当該マッサージ用器具の開口部が接触するユーザの身体の所定の部位を吸引するものが開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−246224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にかかる吸引式のマッサージ用器具は、吸引によりユーザの身体表面を持ち上げることによりマッサージ効果をもたらすものである。
【0005】
本発明の発明者は、ユーザの身体表面の気体に流れを生じさせることによって、異なるマッサージ効果がもたらされることに思い至った。
【0006】
そこで、本発明は、気体の流れによってユーザの身体をマッサージするマッサージ用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的に鑑みて想到されたものであり、
気体を吸引する吸引器の吸い込み口を接続可能な第1の開口部と、使用時にユーザの身体の所定の部位に対向する、もしくは前記所定の部位を挿入可能とする第2の開口部とを有する本体部
を備え、
前記所定の部位に対向する位置に配置された状態、もしくは前記所定の部位を挿入した状態において、前記ユーザの身体との間に、前記所定の部位の表面を流れた後に前記吸引器に吸引される気体を取り込むための隙間が生じる構造を有し、
前記所定の部位の表面を流れる気体により前記所定の部位のマッサージを行うことを可能とする
マッサージ用器具
を提供する(第1の実施態様)。
【0008】
また、上記の第1の実施態様において、
前記所定の部位に対向する位置に配置された状態、もしくは前記所定の部位を挿入した状態における前記ユーザの身体と接する位置に緩衝材が配置されている
構成を採用してもよい(第2の実施態様)。
【0009】
また、上記の第1または2の実施態様において、
前記所定の部位に対向する位置に配置された状態、もしくは前記所定の部位を挿入した状態における前記ユーザの身体と前記本体部との間の位置に、前記ユーザの身体と前記本体部との間に気体の通路を確保するためのフレームが配置されている
構成を採用してもよい(第3の実施態様)。
【0010】
また、上記の第1乃至3のいずれかの実施態様において、
前記本体部はヘルメット形状を有し、
前記所定の部位は前記ユーザの頭部である
構成を採用してもよい(第4の実施態様)。
【0011】
また、上記の第1乃至3のいずれかの実施態様において、
前記本体部はブーツ形状を有し、
前記所定の部位は前記ユーザの足である
構成を採用してもよい(第5の実施態様)。
【0012】
また、上記の第1乃至3のいずれかの実施態様において、
前記本体部は蓋を取り外した弁当箱形状を有し、
前記第2の開口部は、前記本体部を弁当箱に見立てた場合の蓋で塞がれる開口部であり、
前記第2の開口部は、使用時に前記ユーザの身体の平坦な部位に対向する
構成を採用してもよい(第6の実施態様)。
【0013】
また、上記の第1乃至6のいずれかの実施態様において、
吸込仕事率が500ワットである前記吸引器を用いた海抜0メートルにおける使用時において、前記本体部と前記ユーザの身体との間の空間における気圧が1007ヘクトパスカル以下となる
構成を採用してもよい(第7の実施態様)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の実施態様にかかるマッサージ用器具によれば、気体を吸引する吸引器を第1の開口部に接続し、第2の開口部をユーザの身体の所定の部位に対向させた場合、もしくは第2の開口部にユーザの身体の所定の部位を挿入した場合に、吸引される気体の流れによって当該所定の部位のマッサージを行うことができる。より具体的には、大気圧よりも低い圧力の気体が上述のユーザの身体の所定の部位の表面を流れることにより、当該ユーザの血行の促進を図ることができるとともに、当該ユーザに心地良さがもたらされる。
【0015】
また、本発明の第2の実施態様にかかるマッサージ用器具によれば、当該マッサージ用器具とユーザの身体とが接する位置に緩衝材が配置されているので、使用時に当該ユーザの身体における当該マッサージ用器具と接する位置が痛くなるようなことがない。
【0016】
また、本発明の第3の実施態様にかかるマッサージ用器具によれば、ユーザの身体と上述の本体部との間に気体の通路を確保するためのフレームが配置されているので、当該ユーザの身体の一部が当該気体の通路を塞いで気体の流れが滞ってしまうようなことがない。
【0017】
また、本発明の第4の実施態様にかかるマッサージ用器具は、上述の本体部がヘルメット形状を有するので、ユーザの頭部をマッサージするのに好適である。
【0018】
また、本発明の第5の実施態様にかかるマッサージ用器具は、上述の本体部がブーツ形状を有するので、ユーザの足をマッサージするのに好適である。
【0019】
また、本発明の第6の実施態様にかかるマッサージ用器具は、上述の本体部が蓋を取り外した弁当箱形状を有するので、背中等のユーザの身体の概ね平坦な部位をマッサージするのに好適である。
【0020】
また、本発明の第7の実施態様にかかるマッサージ用器具によれば、吸引仕事率が500ワットである上述の吸引器を用いた海抜0メートルにおける使用時において、上述の本体部とユーザの身体との間の空間における気圧が1007ヘクトパスカル以下となるので、気体の流れによるマッサージ効果と相まって身体表面が吸引されることによるマッサージ効果ももたらされ、より効果的に身体の所定の部位の血行促進が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかるマッサージ用器具の断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態の一変形例にかかるマッサージ用器具の断面図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態の一変形例にかかるマッサージ用器具の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施形態)
以下、本発明の一具体例である実施形態を、図面を用いて説明する。なお、本実施形態は、本発明をヘルメット形状のマッサージ用器具1に適用したものである。
【0023】
図1は、ユーザの頭に取り付けた状態のマッサージ用器具1を当該ユーザの身体の上下方向と平行でありかつ当該身体の左右方向に平行な平面で切った場合の断面図である。マッサージ用器具1は、本体部11と、本体部11とユーザの頭部との間に配置される緩衝材12と、電気掃除機の吸い込み口にユーザの髪の毛が吸い込まれることを防止するためのメッシュ材13と、吸引される空気の通路を確保するためのフレーム14と、本体部11の外縁付近に設けられた孔(緩衝材12に設けられた孔と連続し、マッサージ用器具1の内外に通じる)を開閉可能に塞ぐスライド板15とを備えている。
【0024】
本体部11は、合成樹脂製でありヘルメット形状を有しており、電気掃除機の吸い込み口を接続可能な第1の開口部O1とユーザの頭部を挿入することが可能な第2の開口部O2とを有している。
【0025】
なお、本実施形態においては、図1に示されるように、本体部11が上述のヘルメット形状の頂部付近から電気掃除機の吸い込み口が接続される側に延伸するパイプ状の接続部を有し、当該接続部の先端付近に第1の開口部O1が設けられる構成を採用している。
【0026】
また、上述の電気掃除機は、気体を吸い込むことが可能な機器(吸引器)であれば電気掃除機以外の機器であってもよい。
【0027】
本体部11は、例として、一般的な人間の頭部の大きさを考慮して、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ、およびLLサイズの4種類の大きさのものが用意されている。
【0028】
第1の開口部O1と上述の電気掃除機の吸い込み口との接続が行われる部分は、それらの隙間から空気を吸い込まないように密封される必要がある。そこから空気を吸い込んでしまうと、後述するようなマッサージ用器具1の効果が減少してしまうからである。
【0029】
本体部11の外縁付近は、図1に示されるように内側に屈曲もしくは湾曲しており、当該屈曲もしくは湾曲した本体部11の外縁付近の内側に、リング形状を有するウレタンフォームである緩衝材12が固着されている。すなわち、緩衝材12は、本体部11における第2の開口部O2の外縁付近から内側に向かって延伸するように配置される。このような緩衝材12が設けられていることにより、マッサージ用器具1の使用時に当該マッサージ用器具1がユーザの頭部にしっかりと取り付けられていても当該ユーザの頭部が痛くなるようなことがない。
【0030】
図1に示されるように、本体部11の外縁付近と緩衝材12にはマッサージ用器具1の外部から内部へと空気を取り込むための複数の孔が設けられている。このような孔が設けられていない状態で吸引を行うと、徐々に上述の電気掃除機の吸い込み口付近の圧力が低くなり、最終的には当該電気掃除機が自動停止する原因となる。
【0031】
それらの複数の孔を塞ぐように、本体部11の外縁付近の外側にスライド板15が設けられている。ユーザはスライド板15をスライドさせることにより、本体部11および緩衝材12に設けられた孔を通ってマッサージ用器具1の外部から内部へ流れる気体の流量を調整することができる。
【0032】
緩衝材12の内部には、当該緩衝材12の長手方向に垂直な断面の中心付近を貫通し、当該緩衝材12の内部を一周する合成樹脂製のベルトが設けられている。当該ベルトの両端部の各々には歯部が互いに対向する位置となるようなラックが設けられている。そして、当該両端部の各々に設けられたラックに挟まれる位置に当該ラックの歯部に噛み合うような平歯車が設けられ、当該平歯車はユーザが指で回すことができるダイヤルに連結されている。
【0033】
したがって、ユーザが上述のダイヤルを回すことにより、上述のベルトの長さを5センチメートル程度の範囲で調節することができ、結果として、緩衝材12を介してマッサージ用器具1をユーザの頭部にしっかりと固定することができる。
【0034】
メッシュ材13は、図1に示されるように、本体部11の内側における上述のヘルメット形状の頂部付近に設けられる。また、メッシュ材13は、例えばセルロースから作られたスポンジ体であり、ユーザの身体に触れても当該身体を傷つけることがない構成となっている。
【0035】
フレーム14は、合成樹脂製であり、図1に示されるように、マッサージ用器具1の使用時にユーザの頭部と接触し、ユーザの頭部が必要以上に本体部11の内部に入り込まないようにする。その結果として、フレーム14は、上述のように、吸引される空気の流れが滞らないように当該空気の通路を確保する役割を果たす。したがって、フレーム14は、概ね工事現場で用いられるようなヘルメットに採用されているものと同様の構造を有しており、吸引される空気の流れを妨げないように複数の孔(通路)を有している。
【0036】
以上のような構成を有するマッサージ用器具1の使用方法の一例を、以下に説明する。
【0037】
先ずユーザは、上述したSサイズ、Mサイズ、Lサイズ、およびLLサイズのマッサージ用器具1の中から、自分の頭の大きさに合ったものを用意して、第1の開口部O1に電気掃除機の吸い込み口を接続する。
【0038】
次に、ユーザは、床に仰向けになった状態で寝てマッサージ用器具1を頭部に取り付ける。この際、上述のダイヤルを回してマッサージ用器具1をしっかりと当該頭部に固定する。
【0039】
その後、電気掃除機のスイッチをオンにする。そうすると、徐々に本体部11とユーザの頭部との間を流れる空気の圧力が減少していく。この時の大気圧よりも低い圧力の空気の流れによって、ユーザは心地良さを感じることができるとともに、頭部の表面が吸引されて血行が促進される。
【0040】
その際、ユーザはスライド板15を閉じる方向にスライドさせ、本体部11および緩衝材12に設けられた孔からマッサージ用器具1の内部に吸い込まれる空気の流量を減らし、吸引力を強めたり、スライド板15を開く方向にスライドさせ、本体部11および緩衝材12に設けられた孔からマッサージ用器具1の内部に吸い込まれる空気の流量を増やし、吸引力を弱めたりして、最も心地よい状態に調節することができる。
【0041】
なお、本実施形態にかかるマッサージ用器具1においては、吸引仕事率が500ワットの電気掃除機を海抜0メートルの場所で使用することによって、本体部11とユーザの頭部との間を流れる空気の圧力を約1000ヘクトパスカルにすることができる。この圧力は海抜100メートルの高さにおける気圧とほぼ同じものである。
【0042】
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形可能である。
【0043】
例えば、本体部11とユーザの頭部との間には緩衝材12が設けられるものとしたが、特に問題がなければ、緩衝材12は設けられなくてもよい。その場合、例えばユーザの頭部にタオル等を巻き付けて緩衝材12の代わりにすることも考えられる。
【0044】
また、緩衝材12および本体部11の外縁付近には外部から内部へと空気を取り込むための複数の孔が設けられるものとしたが、複数の孔でなくとも空気を取り込むことができる1以上の隙間が設けられていればよい。なお、当該孔もしくは隙間の大きさはスライド板15により調整可能としたが、空気の流量および空気の圧力を調整する機構は上述したものに限られず、また使用上問題がなければそのような調整機構を備えていなくてもよい。
【0045】
例えば、マッサージ用器具1が空気の流量および空気の圧力を調整する機構を備えていない場合、ユーザの頭部にタオル等を巻き付け、その巻き付けるタオル等の巻き方、配置の仕方によって、空気の流量および空気の圧力を調節するようにしてもよい。
【0046】
また、上述の実施形態においては、マッサージ用器具1の外部から内部へ空気を吸い込む隙間として緩衝材12に孔を設ける構成が採用されているが、当該隙間の構成はこれに限られず、当該隙間が緩衝材12の一部、本体部11と緩衝材12との間、および緩衝材12とユーザの身体との間の少なくともいずれかに生じる構成が採用されてもよい。
【0047】
また、緩衝材12はリング形状を有するウレタンフォームであるとしたが、これは本発明を限定するものではない。したがって、緩衝材12は、リング形状以外の形状を有していてもよいし、またウレタンフォーム以外の素材によって作られていてもよい。
【0048】
また、緩衝材12の内部には合成樹脂製のベルトが設けられていて、当該ベルトの長さを調節することにより、マッサージ用器具1の使用時に緩衝材12を介してマッサージ用器具1がユーザの頭部にしっかりと固定されるものとしたが、マッサージ用器具1と身体との密着度を高めるための調整機構として他の構成のものが採用されてもよいし、特に問題がなければ当該調整機構は設けられなくてもよい。
【0049】
例えば、マッサージ用器具1が身体との密着度を高めるための調整機構を備えていない場合、ユーザの頭部にタオル等を巻き付け、その巻き付けるタオル等の巻き数等を調整することにより、マッサージ用器具1と身体との間の隙間を埋め、全体としてマッサージ用器具1の身体に対する密着度を調整してもよい。
【0050】
また、本体部11は合成樹脂製であるとしたが、これは本発明を限定するものではない。したがって、本体部11は、合成樹脂以外の金属等の素材によって作られていてもよい。
【0051】
また、本体部11はヘルメット形状を有するものとしたが、これは本発明を限定するものではない。したがって、本体部11は、後述する変形例に示されるように、ヘルメット形状以外の形状を有していてもよい。
【0052】
また、本体部11は、Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ、およびLLサイズの4種類の大きさのものが用意されているとしたが、これは本発明を限定するものではない。したがって、本体部11は、それら以外のサイズのものであってもよい。
【0053】
また、本体部11は上述のヘルメット形状の頂部付近から上述の電気掃除機の吸い込み口が接続される側に延伸するパイプ状の接続部を有し、当該接続部の先端付近に第1の開口部O1が設けられるものとしたが、特に問題がなければ当該接続部は無くてもよい。すなわち、本体部11は、第1の開口部O1に上述の電気掃除機の吸い込み口が接続されるためのいかなる構造を有していてもよい。
【0054】
また、第1の開口部O1と上述の電気掃除機の吸い込み口との接続が行われる部分は、空気が隙間から吸い込まれないように密封される必要があるとしたが、どうしても密封できない場合には、当該隙間の上から粘着テープを貼る等して空気の吸い込みを防止してもよい。
【0055】
また、メッシュ材13は、本体部11の内側における上述のヘルメット形状の頂部付近に設けられるものとしたが、それ以外の位置に設けられて髪の毛の吸い込みを防止してもよい。また、特に問題がなければ、メッシュ材13は設けられなくてもよい。
【0056】
また、メッシュ材13は、例えばセルロースから作られたスポンジ体であるとしたが、ユーザの身体に触れても当該身体を傷つけることがなく気体を通過させるものであれば、それ以外の素材もしくは構成が採用されてもよい。
【0057】
また、マッサージ用器具1は、吸引される空気の通路を確保するためのフレーム14を有するものとしたが、特に問題がなければフレーム14は無くてもよい。
【0058】
また、フレーム14は、吸引される空気の流れを妨げないように複数の孔(通路)を有するものとしたが、空気の流れを妨げない構造であればいかなる構造を有していてもよい。また、フレーム14以外の構造が用いられて、吸引される空気の通路が確保されてもよい。
【0059】
また、本実施形態にかかるマッサージ用器具1は、ユーザが床に仰向けになった状態で使用することを想定しているため、マッサージ用器具1を使用しながらユーザが眠ってしまうことも考えられる。そのような場合、マッサージ用器具1の長時間の連続使用を防止するために、タイマー等を使って電気掃除機のスイッチをオフにしてもよい。
【0060】
また、本実施形態にかかるマッサージ用器具1においては、吸引仕事率が500ワットの電気掃除機を海抜0メートルの場所で使用することによって、本体部11とユーザの頭部との間を流れる空気の圧力を約1000ヘクトパスカルにすることができるものとしたが、これは本発明を限定するものではない。つまり、特に問題がなければ、本体部11とユーザの頭部との間を流れる空気の圧力の大きさが上述した大きさの範囲外であってもよい。
【0061】
ただし、発明者が試みた範囲では、吸引仕事率が500ワットの電気掃除機を海抜0メートルの場所で使用した場合に、本体部11とユーザの頭部との間を流れる空気の圧力が1007ヘクトパスカル以下(海抜50メートルの高さにおける気圧とほぼ同じ圧力以下)となる構成を採用すれば、高いマッサージ効果が得られる。
【0062】
また、本実施形態にかかるマッサージ用器具1が吸引するのは空気であるものとしたが、空気以外の気体、例えば水蒸気等を吸引してもよい。
【0063】
以下、上述の実施形態の変形例について説明する。なお、以下の説明においては、上述の実施形態との差異を中心に記述する。
【0064】
(変形例1)
【0065】
本変形例においては、本体部11がブーツ形状を有する構成を採用する。第1の開口部O1は上述のブーツの先端付近に設けられ、第2の開口部O2はユーザが足を挿入する入口付近に設けられている。
【0066】
図2は、ユーザの足に取り付けた状態のマッサージ用器具1を、ユーザの足の裏に接する平面に垂直でかつ長手方向に平行な平面で切った場合の断面図である。
【0067】
このような構成を有するマッサージ用器具1によれば、ユーザは、大気圧よりも低い圧力の空気が足の表面上を足首の上付近からつま先に向かって流れることによって、気持ちの良い状態で当該ユーザの足の血行促進を図ることができる。
【0068】
なお、上述の実施形態で用いられたようなフレーム14の構造を本変形例においても使用すれば、吸引される空気の流れによって足の裏の表面や足の側面を十分にマッサージすることが可能となる。ただしこの場合、強度上の理由から、立った状態でマッサージ用器具1に足を挿入する等の行為は控えた方がよい。フレーム14は、吸引される空気の通路を確保することを目的として設けられるものであり、かつ複数の孔(通路)を有しているので、ユーザの体重を支えるような強度が無いからである。
【0069】
(変形例2)
本変形例においては、本体部11が蓋を取り外した弁当箱形状を有する構成を採用する。第1の開口部O1は本体部11のユーザの身体に対向しない側に設けられ、第2の開口部O2は本体部11を弁当箱に見立てた場合の蓋で塞がれる開口部であり本体部11のユーザの身体に対向する側に設けられる。
【0070】
図3は、ユーザの背中に押し当てた(対向させた)状態のマッサージ用器具1を、当該背中に接する平面に垂直でありかつ当該ユーザの身体の上下方向に平行な平面で切った場合の断面図である。
【0071】
このような構成を有するマッサージ用器具1によれば、ユーザは、大気圧よりも低い圧力の空気が背中の表面上を流れることによって、気持ちの良い状態で当該ユーザの背中の血行促進を図ることができる。
【0072】
なお、本変形例にかかるマッサージ用器具1が使用される身体の部位はユーザの背中に限られず、胸や腹等の当該ユーザの身体における概ね平坦な部位のいずれに使用されてもよい。
【0073】
さらに、本変形例にかかるマッサージ用器具1のサイズは上述したものに限られず、例えば小型化すれば、肩、首、肘、膝などの平坦でない部位に対しても使用可能となり便利である。
【0074】
なお、スライド板15を用いた調整やタオル等の巻き方等により、使用時におけるマッサージ用器具1内の圧力がかなり低圧になる場合には、長時間の使用が健康上好ましくない場合もあるため、連続的にではなく休み休みマッサージ用器具1の使用を行うことが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明にかかるマッサージ用器具1は、ユーザの頭部、足、もしくは背中に限られず、身体の概ねあらゆる部分の血行促進を図るために用いられ、その結果としてユーザの健康が改善もしくは増進されることが期待される。
【符号の説明】
【0076】
1…マッサージ用器具、11…本体部、12…緩衝材、13…メッシュ材、14…フレーム、15…スライド板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体を吸引する吸引器の吸い込み口を接続可能な第1の開口部と、使用時にユーザの身体の所定の部位に対向する、もしくは前記所定の部位を挿入可能とする第2の開口部とを有する本体部
を備え、
前記所定の部位に対向する位置に配置された状態、もしくは前記所定の部位を挿入した状態において、前記ユーザの身体との間に、前記所定の部位の表面を流れた後に前記吸引器に吸引される気体を取り込むための隙間が生じる構造を有し、
前記所定の部位の表面を流れる気体により前記所定の部位のマッサージを行うことを可能とする
マッサージ用器具。
【請求項2】
前記所定の部位に対向する位置に配置された状態、もしくは前記所定の部位を挿入した状態における前記ユーザの身体と接する位置に緩衝材が配置されている
請求項1に記載のマッサージ用器具。
【請求項3】
前記所定の部位に対向する位置に配置された状態、もしくは前記所定の部位を挿入した状態における前記ユーザの身体と前記本体部との間の位置に、前記ユーザの身体と前記本体部との間に気体の通路を確保するためのフレームが配置されている
請求項1または2に記載のマッサージ用器具。
【請求項4】
前記本体部はヘルメット形状を有し、
前記所定の部位は前記ユーザの頭部である
請求項1乃至3のいずれかに記載のマッサージ用器具。
【請求項5】
前記本体部はブーツ形状を有し、
前記所定の部位は前記ユーザの足である
請求項1乃至3のいずれかに記載のマッサージ用器具。
【請求項6】
前記本体部は蓋を取り外した弁当箱形状を有し、
前記第2の開口部は、前記本体部を弁当箱に見立てた場合の蓋で塞がれる開口部であり、
前記第2の開口部は、使用時に前記ユーザの身体の平坦な部位に対向する
請求項1乃至3のいずれかに記載のマッサージ用器具。
【請求項7】
吸込仕事率が500ワットである前記吸引器を用いた海抜0メートルにおける使用時において、前記本体部と前記ユーザの身体との間の空間における気圧が1007ヘクトパスカル以下となる
請求項1乃至6のいずれかに記載のマッサージ用器具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2011−78523(P2011−78523A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232402(P2009−232402)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(509278874)
【Fターム(参考)】