説明

マッサージ用器具

【課題】顔の表面を挟み込みながら、顔の皮膚を持ち上げてマッサージすることが可能で、しかも使い勝手のよいマッサージ用器具を提供する。
【解決手段】手で把持する本体1と、本体1の上部に設けられた一対の支軸2と、各支軸2に回転自在に支持された一対の球状部材3とを備える。一対の支軸2は、本体1を上部が上になるように鉛直姿勢とした状態において、各支軸2同士が所定角度αを成し、かつ、鉛直方向Vに対する各支軸2の角度βが鋭角となるように、斜め下方向に傾いて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の各部位をマッサージするマッサージ用器具に関し、主として、顔のマッサージに用いるマッサージ用器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、本体を手で把持して身体の各部位に対しマッサージを行うハンディタイプのマッサージ用器具等が、各種提案されている(例えば、特許文献1〜6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3159255号公報
【特許文献2】実用新案登録第3154366号公報
【特許文献3】実用新案登録第3151598号公報
【特許文献4】実用新案登録第3131494号公報
【特許文献5】特許第4461363号公報
【特許文献6】特許第3082065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顔に対する効果的なマッサージの方法としては、両手の手のひらで顔の表面(皮膚)を挟んだ状態のまま、手のひらを顔の表面で滑らせて、頭頂部側へ顔を持ち上げていく(引っ張り上げていく)方法がある。この方法は、術者の手のひらを用いるため、従来、マッサージ師等による手技でのみ実現されてきた。
【0005】
一方、上記特許文献1〜3で提案されている器具などは、ローラや球体等の回転部材を1つまたは複数設けて、この回転部材で顔の表面を単に撫でたり、回転部材を所定の角度で顔の輪郭に当ててマッサージしたりするようなものである。また、特許文献4で提案されているマッサージ具は、本体から左右に枝分かれした一対のローラで、顔を両側から挟み込みながらマッサージを行うものである。さらに、特許文献5や特許文献6で提案されている器具は、主として顔以外の部位に適用されるものである。
【0006】
このため、特許文献1〜6で提案されているマッサージ用器具等では、顔の表面を挟み込みながら、顔の皮膚を持ち上げてマッサージすることが困難である。よって、上述した手技のような顔のマッサージ効果を得ることが出来ない。
【0007】
また、仮に、特許文献6に記載されているような、2つのローラを左右の腕の先端部に外広がりに取り付けた構造を転用して、顔の表面の挟み込みが可能なマッサージ用器具を実現したとしても、ローラを設けた側が上になるようにマッサージ用器具を鉛直姿勢にすると、当該ローラを支持する腕が斜め上方向を向いた状態となる。このため、ローラを設けた側が下になるように、上下を逆にしてマッサージ用器具を持ち直さなければ、当該ローラを顔の表面に的確に当てることが難しく、使い勝手が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するものであって、その目的とするところは、顔の表面を挟み込みながら、顔の皮膚を持ち上げてマッサージすることが可能で、しかも使い勝手のよいマッサージ用器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のマッサージ用器具は、手で把持する本体と、本体の上部に設けられた一対の支軸と、各支軸に回転自在に支持された一対の球状部材とを備えている。 そして、一対の支軸は、本体を上部が上になるように鉛直姿勢とした状態において、各支軸同士が所定角度αを成し、かつ、鉛直方向に対する各支軸の角度βが鋭角となるように、斜め下方向に傾いて設けられている。
【0010】
このようにすることで、球状部材が上になるように本体を把持した状態で、斜め下方向を向いた一対の球状部材を、顔の表面に的確に当てることが出来る。そして、本体を下から上へ押し上げることにより、顔の表面で回転する一対の球状部材によって、顔の表面を挟み込みながら、顔の皮膚を持ち上げてマッサージすることが出来る。また、球状部材が下になるように、上下を逆にしてマッサージ用器具を把持し直す必要が無いため、使用者の使い勝手が良くなる。
【0011】
上記マッサージ用器具において、角度αは、60°≦α≦90°の範囲の角度であることが望ましく、角度βは、55°≦β≦70°の範囲の角度であることが望ましい。
【0012】
上記マッサージ用器具において、一対の球状部材の間隔dは、19mm≦d≦21mmの範囲の距離であることが望ましい。
【0013】
角度α、βや間隔dを上記のように設定することで、一対の球状部材を、良好な状態で肌に当てることが出来るため、マッサージ効果を高めることが出来る。
【0014】
上記マッサージ用器具において、本体の下部に、一部が本体から露出した状態で回転自在に保持されたマッサージ用の球体を備えてもよい。
【0015】
上記マッサージ用器具において、本体の一方または他方の端部に、本体から突出する身体部位押圧用の突出部材を備えてもよい。
【0016】
このようなマッサージ用の球体や、身体部位押圧用の突出部材を設けることで、顔のマッサージに加えて、腕や足等へのマッサージや、肩等への指圧も行うことが出来る。このため、1台のマッサージ用器具で、美顔効果以外にも、痩身効果や肩こりをほぐす等の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、顔の表面を挟み込みながら、顔の皮膚を持ち上げてマッサージすることが可能で、しかも使い勝手のよいマッサージ用器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態であるマッサージ用器具の正面図である。
【図2】図1に示したマッサージ用器具の背面図である。
【図3】図1に示したマッサージ用器具の平面図である。
【図4】図1に示したマッサージ用器具の底面図である。
【図5】図1に示したマッサージ用器具の右側面図である。
【図6】球状部材の取付け角度を説明するための図である。
【図7】図1に示したマッサージ用器具の使用例を示した図である。
【図8】マッサージ用の球体の保持構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。以下の図では、 同一部分または対応する部分に同一符号を付してある。また、各図において、矢印Xは、マッサージ用器具100の長さ方向を示している(以下、「長さ方向X」と記載)。矢印Yは、マッサージ用器具100の幅方向を示している(以下、「幅方向Y」と記載)。矢印Zは、マッサージ用器具100の厚み方向を示している(以下、「厚み方向Z」と記載)。矢印Vは、鉛直方向を示している(以下、「鉛直方向V」と記載)。
【0020】
図1,図2,図5では、マッサージ用器具100の長さ方向Xと、鉛直方向Vが同一方向である。すなわち、図1,図2,図5は、マッサージ用器具100の鉛直姿勢の状態を示した図である。また、これらの図においては、後述する本体1の上部1aが上になり、本体1の下部1bが下になっている。
【0021】
マッサージ用器具100は、手で把持する本体1と、本体1の上部1aに設けられた一対の支軸2と、一対の支軸2に回転自在に支持された一対の球状部材3を備えている。
【0022】
このマッサージ用器具100は、主に、顔のマッサージ用として使用される(図7参照)。マッサージ用器具100を用いて顔のマッサージを行う場合は、本体1の上部1aが上になるように手で把持し、顔の表面(皮膚)を挟み込むように、一対の球状部材3を顔の表面、例えば、顎の輪郭JLに沿って当てる。そして、本体1の下部1bから上部1aへ向かう方向へ当該本体1を動かし、一対の球状部材3を顔の表面で回転させることで、顔のマッサージを行う。
【0023】
ここで、上述の本体1は、例えば、ウォールナット等の木材を加工した棒状の把持部材から成る。
【0024】
球状部材3は、磁性粉やマイナスイオン発生物質を含む球体から成る。球状部材3から発生する磁気やマイナスイオンの作用によって、顔のマッサージを通して美顔効果をより高めることができる。顔の表面に当たる球状部材3の面積をより多くするために、当該球状部材3は、30〔mm〕(ミリメートル)の直径を有している。尚、球状部材3の材質としては、セラミックス、合成樹脂、金属、木材など、各種のものを用いることができる。
【0025】
支軸2の一端は、球状部材3に形成されている嵌入孔(図示省略)に嵌入され、当該球状部材3を回転自在に支持する。支軸2の他端は、本体1の上部1aに形成されている嵌入孔(図示省略)に嵌入され、当該本体1に対して抜脱不能に固定される。詳しくは、支軸2は、マッサージ用器具100の鉛直姿勢状態において、斜め下方向に傾いて設けられている(図1,図2,図5参照)。
【0026】
さらに詳しくは、図6に示すように、一対の支軸2は、各支軸2同士が所定角度α(図6の(b)参照)を成し、かつ、各支軸2が厚み方向Zに対して左右対称に末広がり状態となるように、本体1に設けられている。なお、上記の角度αは、各支軸2を含む平面上での角度である。また、一対の球状部材3は、Y方向に間隔dを隔てて離間している。
【0027】
ここで、球状部材3を顔の表面に的確に当てるとともに、顔の皮膚を挟み込みやすくするための角度αは、60°≦α≦90°の範囲の角度である。より望ましくは、角度αは、65°≦α≦70°の範囲の角度であり、最も望ましい角度α(最適値)は、α=68°である。
【0028】
また、球状部材3を顔の表面に的確に当てるとともに、顔の皮膚を挟み込みやすくするための球状部材3の間隔dは、19〔mm〕≦d≦21〔mm〕の範囲の距離である。最も望ましい間隔dの値は、d=20〔mm〕である。
【0029】
また、各支軸2は、長さ方向X、つまり、鉛直方向Vに対する角度β(図6の(c)参照)が鋭角となるように(すなわち、β<90°)、下向きに傾いている。
【0030】
ここで、球状部材3を顔の表面に的確に当てるとともに、顔の皮膚を挟み込みやすくするための角度βは、55°≦β≦70°の範囲の角度である。より望ましくは、角度βは、58°≦β≦62°の範囲の角度であり、最も望ましい角度β(最適値)は、β=60°である。
【0031】
このように、各支軸2は、図6の(b)および図6の(c)に図示された方向にそれぞれ傾くことで、図6の(a)に図示された方向、つまり、斜め下方向に傾いている。
【0032】
上述の球状部材3の他に、マッサージ用器具100は、本体1の下部1bに、マッサージ用の球体6を備えている(図1、図5参照)。この球体6は、一部が本体1から露出した状態で回転自在に保持されている。このため、本体1を手で把持し、球体6を足や腕などの表面に当てて転動させることで、身体の各部位のマッサージを行うことが出来る。
【0033】
ここで、本体1の下部1bにおける球体6の保持構造については、以下のとおりである。
【0034】
本体1の下部1bには、球体6を収容するためのケース61(図8の(b)参照)が埋設されている。このケース61には、蓋62が着脱自在に取り付けられる。そして、蓋62の中央部には、球体6の直径よりも若干短い孔径の貫通孔63が設けられている。このため、ケース61内に球体6を収容し、蓋62でケース61を閉蓋すると、球体6は、貫通孔63から一部が露出した状態で、ケース61内で回転自在に保持される(図8の(a)参照)。
【0035】
尚、上述した球体6は、例えば、天然石を球体状に成形したものである。また、球体6の直径は、例えば、30〔mm〕である。
【0036】
さらに、マッサージ用器具100は、本体1の下部1b側の端部1dに、突出部材7を備えている(図1、図4参照)。この突出部材7は、例えば、球状部材3を、直径10〔mm〕程度にまで小型にしたものであり、一部が本体1の端部1dから露出した状態で、当該本体1に固定されている。このため、本体1を手で把持し、突出部材7を経穴(つぼ)等の体表の特定の部位に押し当てることで、身体の局所的なマッサージを行うことが出来る。
【0037】
本実施形態では、上記のように、本体1に設けられた一対の支軸2は、マッサージ用器具100の鉛直姿勢状態において、各支軸2同士が所定角度αを成し、かつ、鉛直方向Vに対する各支軸2の角度βが鋭角となるように、斜め下方向に傾いて設けられている(図6の(a)参照)。そして、角度α,βおよび間隔dは、球状部材3を顔の表面に的確に当てるとともに、顔の皮膚を挟み込みやすくするための最適値に設定されている。
【0038】
このため、球状部材3が上になるように本体1を把持した状態で、球状部材3を顔の表面に的確に当てることが出来る。そして、本体1の下部1bから上部1aへ向かう方向へ当該本体1を動かすと、顔の表面で回転する一対の球状部材3によって、顔の表面を挟み込みながら、顔の皮膚を持ち上げてマッサージすることが出来る。また、このような操作を行うにあたって、球状部材3が下になるようにマッサージ用器具100を把持し直す必要が無いため、使用者の使い勝手が良くなる。
【0039】
また、本実施形態では、本体1の下部1bに、一部が本体1から露出した状態で回転自在に保持されたマッサージ用の球体6を備えているため、本体1を手で把持し、球体6を足や腕などの表面に当てて転動させることで、顔以外の身体の各部位のマッサージも行うことが出来る。なお、球体6を収容したケース61の蓋62は、着脱自在となっているので、蓋62を取り外して球体6を交換することができる。
【0040】
さらに、本実施形態では、本体1の下部1b側の端部1dに、球状部材3を小形にした突出部材7を備えている。このため、突出部材7を経穴(つぼ)等の体表の特定の部位に押し当てることで、身体の局所的なマッサージも行うことが出来る。
【0041】
本発明は、上述した以外にも種々の実施形態を採用することができる。たとえば、上記実施形態では、本体1の材質としてウォールナット等の木材を用いたが、木材の代わりに合成樹脂、あるいは、金属を用いてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、球状部材3を、直径が30〔mm〕の球体としたが、球状部材3の大きさ(直径)は、これに限定されない。例えば、球状部材3の直径は25〔mm〕や、35〔mm〕などであってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、マッサージ用の球体6を、球状の天然石としたが、これに限らず、球状部材3と同じ材質のものを用いても良いし、その他の材質から成る球体を用いても良い。
【0044】
さらに、上記実施形態では、本体1の下部1b側の端部1dに、経穴(つぼ)等の体表の特定の部位に押し当てる突出部材7を設けたが、この突出部材7は、本体1の上部1a側の端部1cに設けても良い。
【符号の説明】
【0045】
1 本体
1a 本体の上部
1b 本体の下部
1c 本体の上部側の端部
1d 本体の下部側の端部
2 支軸
3 球状部材
6 マッサージ用の球体
7 突出部材
100 マッサージ用器具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で把持する本体と、
前記本体の上部に設けられた一対の支軸と、
前記各支軸に回転自在に支持された一対の球状部材と、を備え、
前記一対の支軸は、前記本体を前記上部が上になるように鉛直姿勢とした状態において、各支軸同士が所定角度αを成し、かつ、鉛直方向に対する各支軸の角度βが鋭角となるように、斜め下方向に傾いて設けられている、
ことを特徴とするマッサージ用器具。
【請求項2】
請求項1に記載のマッサージ用器具において、
前記角度αは、60°≦α≦90°の範囲の角度であり、前記角度βは、55°≦β≦70°の範囲の角度であることを特徴とするマッサージ用器具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のマッサージ用器具において、
前記一対の球状部材の間隔dが、19mm≦d≦21mmの範囲の距離であることを特徴とするマッサージ用器具。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のマッサージ用器具において、
前記本体の下部に、一部が本体から露出した状態で回転自在に保持されたマッサージ用の球体を備えていることを特徴とするマッサージ用器具。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のマッサージ用器具において、
前記本体の一方または他方の端部に、本体から突出する身体部位押圧用の突出部材を備えていることを特徴とするマッサージ用器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−161517(P2012−161517A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25015(P2011−25015)
【出願日】平成23年2月8日(2011.2.8)
【特許番号】特許第4916580号(P4916580)
【特許公報発行日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(505351566)ルーヴルドージャパン株式会社 (3)
【Fターム(参考)】