説明

マルチアームロボット遠隔手術におけるツール状態および通信のためのインディケータ

【課題】マルチアームロボット遠隔手術におけるツール状態および通信のための好適なインディケータを提供すること。
【解決手段】医療用および/またはロボットのデバイス、システムおよび方法は、マルチアームの遠隔ロボットまたは遠隔手術システムの各マニプレータアセンブリ(8、10)に関連するインディケータ(20)を提供し得る。例示的なインディケータは、関連する手術器具(28)を動かすマニプレータに取り付けられたマルチカラーの発光ダイオード(LED)(56)を備え、インディケータが任意の種々様々な信号を表示することを可能にする。本発明は、遠隔手術システムおよび/または遠隔手術チームのメンバー(A、O)の間の通信を容易にする追加のユーザインタフェースを提供し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本米国特許出願は、発明者DAVID MINTZらによって2005年6月30日に出願された、名称「INDICATOR FOR TOOL STATE AND COMMUNICATION IN MULTI−ARM ROBOTIC TELESURGERY」の米国仮特許出願第60/695,611号の利益を主張する。
【0002】
(連邦から支援された研究または開発の下で行なわれた発明に対する権利に関する声明)
適用されない。
【0003】
(コンパクトディスクによって提出された「配列表」、表またはコンピュータプログラムリスティング付録に対する参照)
適用されない。
【背景技術】
【0004】
(発明の背景)
本発明は、一般的に、医療および/またはロボットのデバイス、システムおよび方法に関する。例示的な実施形態において、本発明は、1つ以上の特定のマニプレータまたは類似のものの識別のために、マニプレータアセンブリまたはロボットシステムのその他のコンポーネントの状態を通信するための1つ以上のロボットマニプレータアセンブリに関係するインディケータを提供する。インディケータは、ロボットシステムと、例えば、外科アシスタント、システムオペレータまたは類似のものとの間の追加のユーザインタフェースを提供し得る。
【0005】
最小侵襲医療技術は、診断または外科的手順の間に損傷される無関係の組織の量を減少させ、それによって、患者の回復時間、苦痛および有害な副作用を減らすことを意図する。最小侵襲手術の1つの効果は、例えば、手術後の病院での回復時間を減少させ得る。標準の手術の平均の入院期間は、典型的には、類似の最小侵襲手術の平均入院期間より大幅に長いので、最小侵襲技術の使用の増加は、毎年、数百万ドルの病院費用を節約し得る。手術の多くは、毎年、数百万ドルの病院費用を節約し得る。毎年、米国で行なわれる手術の多くは、最小侵襲方法で行なわれる可能性があり得るが、最小侵襲手術器具およびそれらを習得するために伴う追加の手術の訓練における制約により、現在の手術の一部だけがこれらの有利な技術を用いている。
【0006】
最小侵襲ロボット手術または遠隔手術システムは、外科医の器用さを増加させ、従来の最小侵襲技術の制約のいくつかを避けるために開発された。遠隔手術において、外科医は、手術器具の動きを操作するために、器具を直接に手でつかんで動かすよりはむしろ、ある形式の遠隔制御、例えば、サーボ機構または類似のものを用いる。遠隔手術システムにおいて、外科医は、手術ワークステーションにおいて手術部位の画像が提供され得る。外科医は、ディスプレイ上で手術部位の二次元または三次元の画像を見ながら、サーボ機構で動作される器具の動きを次々に制御するマスタ制御デバイスを操作することによって、患者に対して外科的手順を実施する。
【0007】
遠隔手術に用いられるサーボ機構は、2つのマスタコントローラ(外科医の手の各々に対して1つ)からの入力をしばしば受諾し、各々に手術用器具が取り付けられる2つ以上のロボットアームまたはマニプレータを含み得る。マスタコントローラと関連するロボットアームおよび器具アセンブリとの間の動作上の通信は、典型的には、制御システムを介して達成される。制御システムは、典型的には、例えば力フィードバックまたは類似の場合において、マスタコントローラからの入力コマンドを関連するロボットアームおよび器具アセンブリに中継し、器具およびアームアセンブリから関連するマスタコントローラに戻す少なくとも1つのプロセッサ含む。ロボット手術システムの一例は、カリフォルニア州Mountain ViewのIntuitive Surgical Inc.から入手可能なDA VINCI(登録商標)システムである。
【0008】
遠隔手術チームを編成する人物の役割および相互作用は、従来の手術とは異なり得る。遠隔手術は内部の手術部位でしばしば行なわれるので、先導する外科医(またはその他のロボットシステムオペレータ)の指示の下で働く人物の少なくとも一部は、進行中の組織の操作に直接アクセスしたり、または該操作の直接的な視覚化を有し得ない。例えば、外科医が手術手順の異なる段階の間において、異なる手術器具の使用を所望し得るとき、手術室内の手術アシスタントは、マニプレータから第1の手術器具(電気外科メスなど)を取り外し、異なる手術器具(ニードルホルダなど)に取り替え得る。同様に、アシスタントは、手順中に手術器具の再配置を行ない得、その結果、器具は、第1の最小侵襲のアクセス部位から手順に取りかかるよりはむしろ、第2の異なるアクセス部位から内部の手術部位に進行する。より複雑なロボットシステム(およびチーム相互作用)もまた、用いられ得る。例えば、手術はしばしば、3つ以上のツールを用いて実施されるので、入力デバイスが1人以上の追加の外科医に提供され、追加の外科医のそれぞれは、少なくとも1つの手術用器具をロボットによって(例えば)制御する。
【0009】
新しい遠隔手術システム、デバイスおよび方法は、非常に効果的で有利であることが判明しているが、なおもさらなる改良が望ましい。一般的に、特に遠隔手術手順を実行するための改良されたロボットデバイスおよび/または手術デバイス、システムおよび方法を提供することが望ましくあり得る。また、遠隔手術チームのメンバー間に通信し、および遠隔手術の能力をより十分に利用し、患者の成果の向上に効率の改良を提供するように、遠隔手術装置とインタフェースするための改良された技術を提供することも望ましくあり得る。外科医または他のシステムオペレータの不要な中断および注意散漫を避けること、および遠隔手術チームの調和した活動における遅延および/またはミスを避けることは、特に有益であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の概要)
本発明は、一般的に、医療用および/またはロボットのデバイス、システムおよび方法に関する。本発明の例示的実施形態は、マルチアーム遠隔手術システムの各マニプレータアセンブリ(および、従って、各手術器具)に関連する視覚のインディケータを提供する。例示的なインディケータは、マルチカラー発光ダイオード(LED)を備え、インディケータが、色、点滅などの組み合わせによって任意の種々様々な信号を表示することを可能にする。適切なインディケータ信号の辞書編集法を確立し、用いることによって、インディケータは、例えば、
−マニプレータおよび手術器具が、先導する外科医の入力移動コマンドに従っているかどうか、
−手術器具の移動が抑制されているかどうか(例えば、マニプレータがクラッチモードであって、手動の移動が可能であるとき)、
−手術用器具が、その意図された使用寿命であるか、その近くか、またはそれを越えているかどうか、
−第2の外科医が手術器具の制御を有しているかどうか、
−障害が、手術用器具のロボットの移動を妨げているか、
および/または類似のこと
を識別し得る。
【0011】
外科医はまた、オプションで、取り外され取り替えられるべき関連する手術器具を識別するように、インディケータのうちの1つ以上からの信号を開始し得る。外科医はしばしば、進行中の外科手順に没頭したままであり、例えば、どの器具が、外科医の右手によって以前に制御されていて、現段階で取り替えられるべきかを決定することは難しくあり得るので、そのようなインディケータは、遠隔手術システムおよび/または遠隔手術チームのメンバー間の通信を大幅に容易にし得、効率を増加させ、患者の成果を向上する可能性があり得る。識別可能な信号は、選択されたインディケータから近くの人物に出力される。
【0012】
第1の局面において、本発明は、第1のロボットコマンドに応答して、第1のマニプレータアセンブリの第1のエンドエフェクタを移動させることを含むロボットによる方法を提供する。第1のマニプレータアセンブリは第1のインディケータを有する。第2のマニプレータアセンブリの第2のエンドエフェクタは、第2のロボットコマンドに応答して、移動される。第2のマニプレータアセンブリは第2のインディケータを有する。コマンドはプロセッサから送信され、コマンドは、第1のインディケータおよび/または第2のインディケータに選択可能に向けられる。
【0013】
多くの実施形態において、エンドエフェクタは手術用器具の動作する端部を含む。識別可能な信号を受信する人物は、しばしば、手術室内のロボット手術チームのメンバーであり、プロセッサはマスタ/スレーブ遠隔手術コントローラとして働く。そのような実施形態において、移動コマンドは、システムオペレータによって入力され得、システムオペレータはまた、マニプレータアセンブリのどれが第1の信号を出力すべきかを選択し得る。このことは、システムオペレータが、例えば特定の手術器具に関してアシスタントと通信している間に、ディスプレイに示されたエンドエフェクタの移動に専念し続けることを可能にする。例えば、アシスタントに、「今前後に小刻みに動いているアームの電気外科メスをニードルドライバに取り替えろ」と言うよりはむしろ、外科医は、その代わりに、単にニードルドライバを要求し、適切なマニプレータアセンブリのインディケータを起動し得る。オプションで、プロセッサは、マニプレータに取り付けられたツールがその意図された使用寿命に達したかまたはそれを越えたときなどに、適切なインディケータおよびマニプレータアセンブリを選択し得る。
【0014】
インディケータは、しばしば、視覚インディケータを含み、第1の信号は、点滅または類似のことなどの視覚パターン、識別可能な色、または他の識別可能な視覚信号を含む。例示的な手術システムにおいて、インディケータの各々は、複数の発光ダイオード(LED)を含む。種々の色、トーンまたは言語の信号を生成する可聴インディケータなどを生成する能力のある任意の種々様々な光源を含む様々な代替のインディケータも用いられ得る。好ましくは、複数の別々に識別可能な信号は、各インディケータから出力され得、それによって、関連するマニプレータアセンブリに関するアシスタントまたは類似の人物への通信をユーザインタフェースに提供する。
【0015】
典型的には、各マニプレータアセンブリは、ツールホルダを可動に支持するマニプレータと、ツールホルダに解除可能に取付けられたツールとを含む。ツールは一般的に、エンドエフェクタを含む。第1の識別可能な信号は、例えば、ツールの状態、どの特定のマニプレータアセンブリが特定の入力デバイスに動作するように関連しているか、すべてのマニプレータアセンブリの全体の状況または状態、選択されたマニプレータアセンブリの1つ以上のコンポーネントの識別、または類似のことを指示し得る。各識別可能な信号の意味を説明する一部のリストまたは辞書編集法は、信号を受信する人物によってしばしば提供されるかまたは知られており、その人物は、しばしば、信号が出力されるマニプレータアセンブリを再構成するなど、信号に応答して措置をとる。再構成は、マニプレータアセンブリのツールを異なる(または同じ)エンドエフェクタを有する別のツールに取り替えること、エンドエフェクタのマスタ/スレーブ移動を起動または抑制するようにマニプレータアセンブリのモードを変更すること、または類似のことを含み得る。
【0016】
容易に識別可能な信号のタイプまたはグループを含むことは、しばしば有益である。例えば、第1の信号が黄色を含む場合、黄色は、関連するマニプレータアセンブリが機能を果たせるままであるが、現在または今後注意が必要であるという警告を通信し得る。赤色を含む信号は、ロボットシステムチェーンに沿ってエンドエフェクタの移動を中断するために十分な障害を通信し得る。
【0017】
様々な改良は、マニプレータセンブリインディケータを使用することによってインプリメントされ得る。例えば、移動コマンドを入力しているシステムオペレータは、第1の識別可能な信号に対応する、オペレータのディスプレイにおけるグラフィカルなインディシアから利益を得る。従って、ツールがその寿命の終わりなどに近づいていることをインディケータをフラッシュすることによって指示するとき、同じ情報は、オペレータのディスプレイ画面上のアイコンの単純なフラッシングによって、ディスプレイに示されるように器具のエンドエフェクタのフラッシュする色をスーパーインポーズすることによって、または類似のことによって、システムオペレータに通信され得る。一部の実施形態において、現在取り付けられているツールまたはエンドエフェクタのどれが取り替えられるべきであるかを指示することの他に、プロセッサはまた、ツールトレイ上の適切な位置においてLEDをフラッシュすること、または類似のことなどによって、現在所望されている新しいツールに関連した別のインディケータに電圧を加え得る。
【0018】
別の局面において、本発明は、ロボット移動コマンドをシステムオペレータから入力デバイスに入力することを含む手術ロボット方法を提供する。マニプレータアセンブリの手術エンドエフェクタはロボットコマンドに応答して移動する。システムオペレータは、コマンドを入力しながら、ディスプレイ上でエンドエフェクタの移動を見る。識別可能な視覚信号は、マニプレータアセンブリの視覚インディケータから近くの人物に送信される。応答して、該人物はマニプレータアセンブリを手動で再構成する。
【0019】
さらに別の局面において、本発明は、第1のインディケータおよび第1のエンドエフェクタを有する第1のマニプレータアセンブリを備えている手術ロボットシステムを提供する。第1のエンドエフェクタは第1の移動コマンドに応答して可動である。第2のマニプレータアセンブリは、第2のインディケータおよび第2のエンドエフェクタを有する。第2のエンドエフェクタは第2の移動コマンドに応答して可動である。プロセッサは第1および第2のインディケータに結合され、インディケータの少なくとも1つに近くの人物によって識別され得る第1の信号を選択的に出力させる。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
ロボットによる方法であって、
第1のロボットコマンドに応答して第1のマニプレータアセンブリの第1のエンドエフェクタを移動させることであって、該第1のマニプレータアセンブリは第1のインディケータを有する、ことと、
第2のロボットコマンドに応答して第2のマニプレータアセンブリの第2のエンドエフェクタを移動することであって、該第2のマニプレータアセンブリは第2のインディケータを有する、ことと、
コマンドをプロセッサから該第1のインディケータまたは該第2インディケータに選択的に送信することと、
第1の識別可能な信号を、該選択されたインディケータから該第1および第2のマニプレータアセンブリの近くの人物に出力することと
を包含する、方法。
(項目2)
前記第1および第2のエンドエフェクタは、手術用エンドエフェクタを備え、前記人物は、患者および前記第1および第2のマニプレータアセンブリと共に手術室内にいる、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目3)
前記プロセッサはマスタ/スレーブ遠隔手術コントローラを備えている、項目2に記載のロボットによる方法。
(項目4)
前記移動コマンドは、システムオペレータによって入力され、少なくとも前記第1のインディケータおよび前記第2のインディケータの中から選択されたインディケータを、該システムオペレータごとに選択することにより、前記第1の信号が該システムオペレータの選択を前記人物に通信する、ことをさらに包含する、項目2に記載のロボットによる方法。
(項目5)
前記システムオペレータは、前記移動コマンドを入力しながら、ディスプレイ上で前記エンドエフェクタの移動を見て、前記第1の識別可能な信号は、該システムオペレータが該ディスプレイから目を離さずにマニプレータアセンブリを識別することを可能にする、項目4に記載のロボットによる方法。
(項目6)
前記移動コマンドはシステムオペレータによって入力され、前記プロセッサは、該システムオペレータからの入力と無関係に、前記選択されたインディケータを選択する、項目2に記載のロボットによる方法。
(項目7)
前記インディケータは視覚インディケータを備え、前記第1の識別可能な信号は視覚パターンまたは色のうちの少なくとも1つを備えている、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目8)
前記第1および第2の視覚インディケータの各々は複数の発光ダイオード(LED)を備え、前記第1の識別可能な信号は点滅するパターンおよび前記色を備えている、項目7に記載のロボットによる方法。
(項目9)
複数の別々に識別可能な信号を表示することであって、各識別可能な信号は関連するインディケータから送信される、ことと、関連するマニプレータアセンブリに関する前記人物に通信を提供することとをさらに包含する、項目7に記載のロボットによる方法。
(項目10)
各マニプレータアセンブリは、
ツールホルダを可動に支持するマニプレータと、
該ツールホルダに解除可能に取付け可能で、前記エンドエフェクタを有するツールとを備え、前記第1の識別可能な信号は、
前記選択されたマニプレータアセンブリの該ツールの状態、
該選択されたマニプレータアセンブリの該ツールと第1の入力デバイスとの間の動作上の関連、
該マニプレータアセンブリの状態、
ロボットシステムの状態であって、該ロボットシステムは該マニプレータアセンブリ、入力デバイスおよび該プロセッサを含む、ロボットシステムの状態、
もしくは、該選択されたマニプレータアセンブリの少なくとも1つのコンポーネントの識別
を指示する、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目11)
前記第1の識別可能な信号は、前記選択されたマニプレータアセンブリの前記ツールの前記状態を、前記人物に通信する、項目10に記載のロボットによる方法。
(項目12)
前記選択されたマニプレータアセンブリの前記ツールは電気外科用器具を備え、前記第1の識別可能な信号によって前記人物に通信される該選択されたマニプレータアセンブリの該ツールの前記状態は、電気外科的に電圧が加えられた状態を包含する、項目10に記載のロボットによる方法。
(項目13)
前記第1の識別可能な信号は前記人物に前記ロボットシステムの前記状態を通信する、項目10に記載のロボットによる方法。
(項目14)
前記第1の識別可能な信号によって前記人物に通信された前記ロボットシステムの該状態は、低バッテリ状態またはイメージング状態の損失を含む、項目13に記載のロボットによる方法。
(項目15)
前記人物によって、および前記第1の識別可能な信号に応答して、前記選択されたインディケータの前記マニプレータアセンブリを手動で再構成することをさらに包含する、項目10に記載のロボットによる方法。
(項目16)
前記手動の再構成は、第3のエンドエフェクタを有する別のツールを用いた、前記選択されたマニプレータアセンブリの前記ツールの配置を含む、項目15に記載のロボットによる方法。
(項目17)
前記第1の識別可能な信号は、黄色を含み、関連するマニプレータアセンブリがエンドエフェクタの移動が可能である間に、前記選択されたインディケータの該関連するマニプレータアセンブリに関する前記人物に警告を通信する、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目18)
前記第1の識別可能な信号は、赤色を含み、前記関連するマニプレータアセンブリがロボットのエンドエフェクタの移動を提供しないように、前記選択されたインディケータの該マニプレータアセンブリに関するロボットシステムの障害を前記人物に通信する、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目19)
前記第1の識別可能な信号は、ロボットのエンドエフェクタの移動を可能にするように、前記人物が前記選択されたインディケータの前記マニプレータアセンブリに関する措置をとるべきであることを該人物に通信する、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目20)
前記システムは複数のシステムオペレータによる操作のための複数の入力デバイスを含み、前記第1の識別可能な信号は、第1のシステムオペレータに関連する第1の入力デバイスが、マスタ/スレーブ支持を達成するように前記選択されたインディケータの前記マニプレータアセンブリに動作するように関連付けられることを前記人物に通信する、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目21)
エンドエフクタの移動コマンドを入力デバイスに入力し、ディスプレイ上で該エンドエフェクタの移動を見るシステムオペレータに対して、前記第1の識別可能な信号に対応する図形のインディシアを該ディスプレイ上に表示することをさらに包含する、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目22)
別のエンドエフェクタに関連するインディケータに選択的に活性化することをさらに包含し、前記人物は前記第1の信号を出力する前記マニプレータアセンブリの前記エンドエフェクタをもう一方のエンドエフェクタに取り替える、項目1に記載のロボットによる方法。
(項目23)
前記もう一方のエンドエフェクタに関連する前記インディケータはツールラックに含まれ、該ツールラックは複数の異なるツールラックエンドエフェクタおよび複数のツールラックインディケータを備え、各ツールラックエンドエフェクタはツールラックインディケータに関連付けられ、該もう一方のエンドエフェクタは前記プロセッサから該ツールラックへの信号に応答して該複数のツールラックエンドエフェクタから選択される、項目22に記載のロボットによる方法。
(項目24)
手術用ロボットによる方法であって、
システムオペレータから入力デバイスにロボットの移動コマンドを入力することと、
該コマンドに応答してマニプレータアセンブリの手術用エンドエフェクタを移動することと、
該システムオペレータによって、該コマンドを入力する一方、該エンドエフェクタの該移動をディスプレイ上で見ることと、
該マニプレータアセンブリの視覚インディケータから該マニプレータアセンブリの近くの人物に識別可能な視覚信号を送信することと、
該視覚インディケータに応答して、該人物によって該マニプレータアセンブリを手動的に再構成することと
を包含する、方法。
(項目25)
ロボットシステムであって、
第1のインディケータおよび第1のエンドエフェクタを有する第1のマニプレータアセンブリであって、該第1のエンドエフェクタは第1の移動コマンドに応答して可動である、第1のマニプレータアセンブリと、
第2のインディケータおよび第2のエンドエフェクタを有する第2のマニプレータアセンブリであって、該第2のエンドエフェクタは第2の移動コマンドに応答して可動である、第2のマニプレータアセンブリと、
該第1のインディケータおよび該第2のインディケータに結合されたプロセッサであって、該プロセッサは、該第1のインディケータまたは該第2のインディケータのうちの少なくとも1つが近くの人物によって識別可能な第1の信号を選択的に出力させる、プロセッサと
を備えている、ロボットシステム。
(項目26)
前記プロセッサに結合されたツールラックであって、該ツールラックは複数の種々のツールラックエンドエフェクタおよび複数のツールラックインディケータを備え、各ツールラックエンドエフェクタはツールラックインディケータに関連する、ツールラックをさらに備え、その他のエンドエフェクタは、該プロセッサから該ツールラックに送信される信号に応答して該複数のツールラックエンドエフェクタの中から選択される、項目25に記載のロボットシステム。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、使用中のロボット手術システムを例示する、手術室の部分の略平面図であって、該ロボット手術システムは、手術手順を入力するためのマスタ手術コンソールまたはワークステーション、および患者の手術部位に、手術エンドエフェクタを有する手術器具を自動的に動かすロボットマニプレータを含む。
【図2】図2は、例示的なマニプレータシステムの斜視図であり、該例示的なマニプレータシステムは、2つの患者側ロボットマニプレータおよび1つの内視鏡またはカメラロボットマニプレータが、手術に対して事前構成されることを可能にする位置決めリンケージまたはセットアップジョイントを含む。
【図3】図3は、図1のシステムにおいて使用するための例示的な可動な係合部のある手術器具の斜視図である。
【図4】図4は、複数の位置決めリンケージであって、その各々はマニプレータアセンブリを支持する、複数の位置決めリンケージを含む代替のマニプレータシステムの上からの斜視図である。
【図5】図5は、図4のマニプレータシステムにおいて使用するための例示的なマニプレータの斜視図である。
【図6】図6は、図5のマニプレータの一部分の詳細図であって、ツールホルダおよび視覚信号を出力する隣接するインディケータを示す。
【図7】図7は、図6のインディケータを単独で示す。
【図8】図8は、複数のシステムオペレータによる使用のための代替のロボットシステムおよび方法の実施形態の略ブロック図である。
【図9】図9は、関連するインディケータからの識別可能な信号に応答して、マニプレータアセンブリを再構成する方法を概略的に記述するフローチャートである。
【図10−1】図10は、別々に識別可能な視覚信号のリストであって、該別々の識別可能な信号は、次いで、その関連する意味と共に、図6のインディケータによって生成され得る。
【図10−2】図10は、別々に識別可能な視覚信号のリストであって、該別々の識別可能な信号は、次いで、その関連する意味と共に、図6のインディケータによって生成され得る。
【図10−3】図10は、別々に識別可能な視覚信号のリストであって、該別々の識別可能な信号は、次いで、その関連する意味と共に、図6のインディケータによって生成され得る。
【図11】図11は、色を例示し、該色は、これらの色の一般的な意味と共に、図6のインディケータによって生成され得る。
【図12】図12は、インディケータ信号の色および関連する一般的な意味のリストである。
【図13】図13は、インディケータ信号および関連する特定の意味のリストである。
【図14】図14は、遠隔手術システムのためのインディケータ信号の意味に対する例示的なクイックリファレンスガイドを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(発明の詳細な説明)
本発明は、一般的に、改良されたロボットおよび/または医療デバイス、システムおよび方法を提供する。本発明の実施形態は、遠隔手術に特によく適しており、手術システムオペレータ、アシスタント、遠隔手術チームの任意の他のメンバー、および/または遠隔手術システムの間の通信を強化し得るユーザインタフェースの追加の形式をしばしば提供する。本発明の他の実施形態は、特に、複数のマニプレータを有するロボットシステムを用いる他の遠隔またはロボットの環境における使用によく適している。
【0022】
図1〜図3は、最小侵襲ロボット手術を実施するためのロボット手術システム1のコンポーネントを例示する。システム1は米国特許第6,246,200号においてより詳細に記述されているシステムに類似しており、該米国特許の全開示は本明細書に参考として援用される。システムオペレータO(一般的に外科医)は、手術台Tに横たわる患者Pに対して最小侵襲外科的手順を実施する。システムオペレータOは、外科医のコンソール3において1つ以上の入力デバイスまたはマスタ2を操作する。外科医の入力コマンドに応答して、コンソール3のコンピュータプロセッサ4は内視鏡手術器具またはツール5の動きを指示し、患者側のロボットマニプレータシステム6(この例ではカート積載のシステム)を介して器具のサーボ機構の動作をもたらす。
【0023】
典型的には、マニプレータシステム6は少なくとも3つのロボットマニプレータアセンブリを含む。2つのリンケージ7(この例ではカートの両側に取り付けてある)は、外科的手順の少なくとも一部の間中、固定された場所において一般的にマニプレータ8のベースを支持するリンケージ7を用いてマニプレータ8を支持し位置させる。マニプレータ8は、組織のロボット操作のための手術ツール5を動かす。1つの追加のリンケージ9(この例ではカートの中央に取り付けられている)は、内部の手術部位の画像(好ましくは、立体の)をキャプチャするための内視鏡/カメラプローブ11の動きを制御するマニプレータ10を支持し、位置させる。患者側システムの位置決めリンケージ7、9の固定可能な部分は、本明細書において時々「セットアップアーム」という。
【0024】
内部の手術部位の画像は、外科医のコンソール3の立体ディスプレイ12によってオペレータOに示される。内部の手術部位は、同時に、支援ディスプレイ14によってアシスタントAに示される。アシスタントAは外科的手順の前またはその最中に手助けし得る。手術の前に、アシスタントAは、典型的には、システムの少なくとも一部を無菌のドレープでカバーする。システムのそのようなドレーピングは、無菌のアダプタ、カニューレ、および/または類似のものをマニプレータ8に取り付けることと、1つ以上のマニプレータを手動で接合可能なクラッチモードなどに切り替え、および該モードなどから切り替えることを含み得る。アシスタントAはまた、セットアップリンケージアーム7、9を用いて患者Pに対してマニプレータアセンブリ8および10を事前に位置決めすること、ツール5を1つ以上の手術マニプレータから代替の手術ツールまたは器具5’に交換すること、関連するロボットを用いない医療器具および装置を動作すること、関連するツールが異なるアパーチャなどを通って内部の手術部位にアクセスするようにマニプレータアセンブリを手動で動かすこと、を助ける。これらの活動の一部またはすべては、本明細書に記述されるインディケータを介してフィードバックをアシスタントAに提供することによって容易化され得、インディケータは、マニプレータアセンブリの状態、マニプレータアセンブリに取り付けられたツールの状態、および/またはロボット手術システムの状態に関して、しばしばアシスタントにフィードバックを提供する。
【0025】
一般的な条件において、リンケージ7、9は、主として患者側のシステム6のセットアップ時に用いられ、典型的には外科的手順の少なくとも一部の間、一定の構成のままである。マニプレータ8、10は各々、外科医のコンソール3の指示の下で活動するように連結される被動リンケージ(driven linkage)を備えている。セットアップアームの1つ以上の継手はオプションとして駆動され、ロボットによって制御され得るが、セットアップアームの少なくとも一部は、アシスタントAによる手動的な位置決めのために構成され得る。セットアップ継手、マニプレータおよびツールの各々関連した組み合わせは、本明細書において用いられる場合に、用語「マニプレータアセンブリ」内に包含される。但し、一部のマニプレータアセンブリはセットアップ継手を含まない場合があり、マニプレータアセンブリは常時ツールを含まない。
【0026】
便宜上、組織を操作するために用いられる手術ツールを支持しているマニプレータ8などのマニプレータは時々、患者側のマニプレータ(PSM)という。一方、内視鏡11などの画像キャプチャデバイスまたはデータ収集デバイスを制御するマニプレータ10は、内視鏡−カメラマニプレータ(ECM)と呼ばれ得る。マニプレータは、種々様々な器具、ツール、画像キャプチャデバイスおよび手術に有用な類似のものを、オプションとして作動、操作および制御し得る。
【0027】
図1および図2で分かり得るように、インディケータ20は各マニプレータアセンブリに配置されている。例示的な実施形態において、インディケータ20は、マニプレータとその取り付けられたツール5との間のインタフェースの近くに、マニプレータ8、10の上に配置される。代替の実施形態において、インディケータ20は、代わりに、セットアップ継手7、9、ツール5、マニプレータ8、10上の他の場所、または類似のものの上に配置され得、特定のインディケータによって生成された信号が、アシスタントAによって見られるときに、信号が特定のツールに容易に関係付けられ得るように、インディケータはツールの十分近くにあることが好ましい。図1において、追加のインディケータ20はラックまたは追加のツール5’を支持する他の構造に示され、各インディケータは再び特定のツール(またはツールのタイプ)に関係付けされる。
【0028】
図1で分かり得るように、システムオペレータOは主として、ワークステーション3の環境およびワークステーション3との相互作用に専念する。システムオペレータはディスプレイ12によって提供される画像を見て、入力デバイス2を操作し、例示的な実施形態においてプロセッサ4は、エンドエフェクタの画像がシステムオペレータOの手による入力デバイスの動きに追従するように、ツール5のエンドエフェクタの動きを関連づける。
【0029】
システムオペレータOが内部の手術部位から注意を移すことを必要とするような手術中のシステムオペレータOの注意をそらすことを避けることが有利であり得る。アシスタントAがツール5を代わりのツール5’に交換するときでさえ、システムオペレータは、別のツールで組織を操作し続け得るか、出血および/または同様なものをモニタリングするために手術部位を見続けることを望み得る。それにもかかわらず、どのツール5が代わりのツールに交換されるべきかに関して、システムオペレータがアシスタントAと明確に伝え合うことが困難であり得る。特に、内視鏡11が任意の便利な向きにあり得るように、システムオペレータOの右手に関係したツールは、特にアシスタントによって見られるように、しばしば内視鏡の右に配置されない。
【0030】
アシスタントAによって交換されるツール5を明快に識別するために、システムオペレータOは、特定のツール5に関係したマニプレータアセンブリ上のインディケータ20がアシスタントによって見られ得る、視覚的に識別可能な信号を生成するように、ワークステーション3にコマンドを入力し得る(例えば、入力デバイス2のボタンを押すこと、フットペダル(foot peddle)を作動すること、音声コマンドを入力することまたは類似のことを行なうことによって)。信号の対応するグラフィカル表示、適切なアイコンの提示、手術部位にテキストをスーパーインポーズすること、適切なエンドエフェクタの画像にフォールスカラーをスーパーインポーズする画像処理を用いること、または類似のことを行うなど、が、ディスプレイ12においてシステムオペレータOに提供され得る。インディケータ20上の信号に応答して、アシスタントAは識別されたツール5を取り外し、交換し得る。オプションで各代替のツール5’はまた、関係するインディケータ20を有し得、システムオペレータOのためにどの代替ツールがロボットシステムに取り付けられるべきかを示すように、プロセッサが信号を送信することを可能にする。
【0031】
遠隔手術システム1におけるインディケータ20の多数の追加の使用法がある。例えば、アシスタントAは、外科的手順の準備をするとき、外科的手順の異なる段階に対してマニプレータシステム6を再構成するとき、ツールを取り外し代わりのツール5’に交換するとき、などに、しばしば手動でツール5および内視鏡11の位置を定める。アシスタントAによるマニプレータアセンブリのそのような手動の再構成中に、マニプレータアセンブリは、マスタ/スレーブ遠隔手術中に使用されるモードとは異なるモードにされ得、手動で再配置可能なモードは時々クラッチ(clutch)モードという。マニプレータアセンブリは、マニプレータ8上のボタン(またはマニプレータアセンブリに対する他のコンポーネント)を押すことなどの入力に応答して、組織操作モードとクラッチモードを変更し得、アシスタントAがマニプレータモードを変更することを可能にする。マニプレータがクラッチモードであるときはいつでもインディケータ20を用いて適切な視覚的に識別可能な信号を生成することによって、アシスタントAは、エラーを避け、外科的手順の効率を向上させ得る。
【0032】
例えば、マニプレータにどのツールも取り付けられていないとき、ツール5とマニプレータ8との間に無菌のアダプタまたはインタフェースが適切に取り付けられていないとき、マニプレータに取り付けられた器具がそのマニプレータと互換性がない場合、器具がその使用寿命の限界に達した場合、および/または類似の場合、インディケータ20はまた、関連する識別可能信号を示し得る。これらの信号のいくつかに関して、システムオペレータOは信号の生成を開始し得、信号が生成されるべき関連するマニプレータアセンブリを指定し得る。他の場合においてプロセッサ4は、信号を開始し、および/または、どのマニプレータアセンブリが指示されるべきであるかを指示し得る。例えば停電の場合、ロボットシステム1は、バックアップバッテリを用いて動作を継続し得る。アシスタントAに停電が発生したことを指示するために、すべてのマニプレータにあるインディケータ20は点滅し得、オプションで、警告として黄色のライトで点滅する。バッテリの電力が消耗して、ロボットシステム1がツールのロボットによる動作を提供し続けることがもはや行い得なくなると、すべてのインディケータ20は赤で点滅し、それによってシステム障害を指示する。種々様々な代替の信号はまた、提供され得、それらのいくつかは図10〜図14の例示的な辞書編集法によって指示される。
【0033】
図4は、連結された手術のツールまたは器具5の斜視図を例示する。ツール5は、マニプレータのツールホルダとインタフェースする近位筐体24を有し、マニプレータのツールホルダは、一般的に、無菌のアダプタまたはインタフェースを介するクイックリリースマウント係合(quick release mounting engagement)を提供する。ツール5は、近位筐体24に対してエンドエフェクタ28を支持する細長いシャフト23を含む。近位筐体24は、マニプレータ8とエンドエフェクタ28との間で駆動信号または駆動動作を受け、送信する駆動機構を含む。近位筐体24はまた、ツールのタイプを識別すること、ツールの残りの使用寿命を指示すること、および/または同様なことを行なうように、プロセッサ4への送信のための信号を生成し得る回路網を含む。例示的な回路網は、DallasTM部品などのメモリを含み得、ツール5のメモリとプロセッサ4との間で情報を送信する方法は、2004年5月4日に出願の名称「Tool Memory−Based Software Upgrades for Robotic Surgery」の出願第10/839,727号に記述され得、該出願の全開示は本明細書に参考として援用される。連結されたリスト29は、エンドエフェクタ28とシャフト23との間に、動作の2つの自由度を提供し得、シャフトは、患者の体内において3つの方向の自由度をエンドエフェクタ28に提供するように、シャフトの軸の回りに近位筐体24に対して回転可能であり得る。ジョー(jaw)の開閉または類似のことなどのようなエンドエフェクタ28の作動に対する制御は、遠位の末端の合計4つの自由度に対する追加の自由度を表し得る。一部の実施形態において、インディケータ20は筐体24に取り付けられ得る。
【0034】
ここで、図4を参照すると、手術室の天井に取り付けられ得る代替のモジュラマニプレータサポートアセンブリ30の上からの斜視図が提供される。モジュラマニプレータサポート30は、患者の体の所望の手術切開部位のセットに対してロボットマニプレータシステムを整列させ、支持する。モジュラマニプレータサポート30は、一般的に、方向合わせプラットフォーム36および方向合わせプラットフォームに結合可能な複数の設定可能なセットアップリンケージアーム38、40、42、44を含む。各アームは、関連するマニプレータ32、34を可動に支持し、関連するマニプレータ32、34は、同様に、関連するツールまたは画像キャプチャデバイスを可動に支持する。方向合わせプラットフォーム36はまた、アシスタントディスプレイ104をサポートし、アシスタントディスプレイ104は、セットアップ、器具変更、手順を見ることなどのために用いられ得る。モジュラマニプレータサポートアセンブリ30の任意のコンポーネントの構造および使用法は、マニプレータシステム6に関して上記されたものと類似しており、2005年1月24日に出願の名称「Modulator Manipulator Support For Robotic Surgery」の同時係属中の米国特許出願第11/043,688号(代理人整理番号017516−009900US)においてより十分に記述され、該出願の全開示は本明細書に参考として援用される。一般的に、上記されるように、モジュレータマニプレータサポート30の各マニプレータ32、34は、インディケータ20を含み得る。
【0035】
マニプレータ32は図5により詳細に示され、図5はまたツールホルダ52の近くにインディケータ20を示す。例示的なインディケータ20は、図6により詳細に、および図7に単独で(内部のコンポーネントのいくつかは点線で概略的に示される)示される。例示的なインディケータ20は、一般的に、透明および/または半透明のポリマーボディ54を備え、該ポリマーボディ54に一対の発光ダイオード(LED)アレイ56が取り付けられる。LED56は、赤色LED、青色LEDおよび緑色LEDを含む。例示的なLEDは、____にある____から市販されており、一方、例示的なポリマーボディは、____などの材料を含み得る。(貴LEDサプライヤの名称と場所、および、適切である場合貴タワーキャップの材料を指定されたい)。各アレイのLEDは、任意の複数の照度レベルおよび輝度レベルに独立して電圧を加えられ得、図11に概略的に例示されるように、インディケータ20が種々様々な色で信号を生成することを可能にする。さらに、インディケータ20からの照度の全体のレベルは変動され得、点滅ならびに照明オンおよびオフ、2つの異なる色を交互にすること、2つの異なる照度レベルを交互にすること、2つの異なる色を同時に表示すること、または類似のことを行なうことによって、パターンはカバー信号に付加され得る。点滅の速度はまた、より複雑な変調パターン(長いおよび短い点滅、モールス符号など)において、制御または変更され得る。
【0036】
様々な色は、信号において様々な照度レベルおよび様々な変調パターンと組み合わされ得るので、非常に多くの数の独立に識別可能な信号が生成され得、その数は、しばしば3つより多い別々に識別可能な信号であり、典型的には10個より多い別々に識別可能な信号であり、オプションとしては、100個より多い別々に識別可能な信号である。識別可能な信号の解釈は、図10に含まれるものなどの、信号とその意味とを関連付けるリストによって容易になされ得る。一部の実施形態において、インディケータ20によって出力される、より限定された数の信号を有する比較的単純な信号方式は、アシスタントディスプレイ114または類似のものから出力される補足的なテキストまたはグラフィックに組み合わされ得る。従って、アシスタントは、1つ以上の信号に応答してアシスタントディスプレイ上において追加の情報を捜すべきであることを知り得る。
【0037】
インディケータ20によって生成される信号の解釈を容易にするために、任意の種々様々な信号規約が確立され、および/または用いられ得る。例えば、図11を参照して理解され得るように、黄色を含む信号は一般的に警告を指示し得る。オプションで、マニュプレータアセンブリは、そのインディケータ20がそのような黄色の警告信号を表示している間、機能し続け得るが、アシスタントは、ある措置が勧められ得ることを理解し得る。警告信号の特定な措置または意味は、点滅する黄色の照明パターンに差し込まれる他の色、点滅の速度または類似のことなどの信号の他の局面に依存し得る。赤を含む信号は、マニプレータアセンブリの動作を現在において妨げ得るか、またはすぐに妨げ得る、現在または切迫した障害を指示し得る。緑は、オプションで通常の動作が進行中であることを指示し得、青は、器具またはツールが係合されていること、および/またはガイド付ツール変更が進行中または要求されていることを指示し得る。紫は、第2の外科医またはシステムオペレータがマニプレータアセンブリを活発に制御、または類似のことを行なっていることを指示し得る。ゆっくり点滅するライトは、一般的に、速く点滅するインディケータ20より緊急性の少ない状態を指示し得る。これらの可能性のある規約の一部は、図11にグラフィカルに例示されている。
【0038】
ここで図8を参照すると、いくらかより複雑なシステム60の略ブロック図が提供される。インディケータ20によって提供される追加のユーザインタフェースを利用するように修正され得る例示的な協働の遠隔手術システムは、米国特許第6,659,939号に、より詳細に記述され、該特許の全開示は本明細書に参考として援用される。図8の例示的なシステムにおいて、第1のシステムオペレータO1は、第1の入力デバイス2に入力を提供する。プロセッサ4は、第1の入力デバイス2から、例えば、マニプレータAおよびマニプレータDなどの任意の複数のマニプレータアセンブリに、移動コマンドを選択的に結合する。第2のシステムオペレータO2は、マニプレータ32のマニプレータアセンブリBの移動を達成するように、第2の入力デバイス2に移動コマンドを入力する。
【0039】
第2のシステムオペレータO2がマニプレータアセンブリBに取り付けられたツール5を代替のツール5’、例えば、ツールFに取り替えることを望む場合、システムオペレータは、アシスタントAのマニプレータアセンブリにツールFを取り付けるようアシスタントAに口頭で指示し得る。マニプレータアセンブリBのインディケータ20は、第2のシステムオペレータO2による適切な入力に応答して信号を生成し、マニプレータアセンブリが取り替えられるべきツールがどれかをアシスタントAに明確に指示する。
【0040】
上に指摘されたように、追加のインディケータはオプションで、代替のツール5’の各々に関連され得、それによってどの代替のツールがマニプレータに取り付けられるべきかに関するアシスタントに対する口頭の指示のどの必要性にも先行する。その目的のために、代替のツール5’は、しばしば、代替のツール5’の回路網とプロセッサとの間の通信を提供するように、プロセッサ4に結合されたツールラック62に含まれ得る。このことは、プロセッサがツールからの識別情報を読み取ることを可能にし得、それによって、プロセッサが、どの代替のツールまたはツールタイプが使用可能、および/またはマニプレータシステムへの取り付けに適切であるかを決定することが可能になる。LEDまたは他のインディケータは、ツールラックに含まれる各代替のツール5’に関連し得、プロセッサ4は、1つ以上のツールに関連する1つ以上のインディケータを活性化させるように、ツールラックに信号を送信し得る。従ってシステムオペレータO1は、取り付けられているツール5(たとえば、マニプレータBのツールB)を異なるタイプのツールと取り替えたいという希望をプロセッサ4に指示する場合、使用可能なツールおよび/またはツールタイプのリストがシステムオペレータに表示され得る。システムオペレータの選択に応答して(例えば、ツールFに対応するツールタイプ)、ツールBおよびツールFに関連するインディケータ20が起動され得、これらの2つのツールが取り替えられるべきであることをアシスタントAに指示する。
【0041】
プロセッサ4は典型的には、データ処理ハードウェアおよびソフトウェアを含み、ソフトウェアは典型的には、機械読み取り可能コードを含む。機械読み取り可能コードは、本明細書に記述される方法の一部または全てをインプリメントするためにソフトウェアプログラミング命令を実施する。プロセッサ4は図8の単純化した該略図に単一のブロックとして示されているが、プロセッサは、多数のデータ処理回路を含み得、処理の少なくとも一部はオプションで入力デバイス1の近辺で実行され、一部はマニプレータBの近辺で実行などをされる。任意の種々様々な集中データ処理アーキテクチャまたは分散データ処理アーキテクチャが用いられ得る。同様に、プログラミングコードは多数の別々のプログラムまたはサブルーチンとしてインプリメントされ得るか、または本明細書に記述されるロボットシステムの多数の他の局面に統合され得る。
【0042】
ここで図9を参照すると、フローチャート70は、本発明の実施形態をインプリメントする方法を概略的に例示する。方法70は、マニプレータ、ツール、システム、または類似のものの、状態の変化から始まる。例えば、アシスタントはマニプレータのクラッチモードボタンを作動させ得、ツールはその使用寿命の終わりに達成し得、マニプレータ障害が検出され得ること、またはその他の類似のことである。他の実施形態において、システムオペレータは、新しいツール74を要求することによって方法70を開始し、またはある他の方法で、どの1つ以上のマニプレータアセンブリがアシスタントまたはある他の人物によって知覚される信号を生成すべきかを指示し得る。
【0043】
信号が状態の変化またはシステムオペレータによって開始されるかどうかに関わらず、プロセッサは典型的には、1つ以上のマニプレータアセンブリ76に適切なコマンドを送信し、応答して、そのマニプレータアセンブリのインディケータは視覚信号78を表示する。オプションで、対応するグラフィックシステムオペレータディスプレイ80に示され得、それによってシステムオペレータが内部の手術部位に専念し続けることを可能にする。
【0044】
視覚信号に応答して、アシスタントなどのもう一方の人物は、オプションでマニプレータアセンブリ82を再構成し得る。例えば、アシスタントは、ツール(そのエンドエフェクタと共に)を取り外して取り替え得るか、またはエンドエフェクタを所望の位置に動かすように、マニプレータリンケージを手動で再位置させ得る。一部の実施形態において、アシスタントは、1つ以上の視覚信号に応答してマニプレータアセンブリを単にモニタリングし得、そのような措置が適切であることを指示するように、視覚信号が変化した場合、オプションで適切な措置をとることを準備し得る。
【0045】
図10〜図14は、本明細書に記述される例示的なマルチカラーLEDインディケータによって生成され得る様々な信号の意味を示す。図10は、マニプレータユーザインタフェース(「UI」)としてインディケータを用いるための可能性のある辞書編集法を示し、一方、図11はインディケータからの信号色のいくつかの一般的な意味を例示する。図12は、各マニプレータアセンブリに含まれる2つの3色のLEDインディケータ20の代替の一般的な意味を示す。十分な輝度を有するこれらの色信号または他の色信号を、患者から離れているツール挿入軸に沿ったマニプレータアセンブリの位置にある透明または半透明のプラスチックキャップを介して送信することによって、信号は広い領域にわたり容易に識別可能であり得る。各LEDアレイの赤色、緑色および青色エレメントは独立して制御され得る輝度を有し、また、インディケータの2つのLEDアレイは独立して制御され得るので、種々様々な識別可能な信号色が生成され得る。
【0046】
図13は、マニプレータアセンブリインディケータからのいくつかの特定な信号に関連し得るシステム、マニプレータアセンブリおよび/またはツールの状態を特に識別する。図6および図7を参照して理解され得るように、同時の点滅はマニプレータアセンブリの単一のインディケータ内の両方のLEDアレイの点滅を包含する。交互の点滅は、位相のずれた点滅を有する2つのLEDアレイを活性化することを包含し、その結果、一方のLEDアレイがオンのとき、他方はオフである。なおもさらなる追加の信号は、インディケータによって生成され得、代わりの情報を通信する。例えば、信号(緑の速い点滅など)は、マニプレータシステムに最近取り付けられたかまたは取り付けられたばかりであるコンポーネント(カニューレ、無菌アダプタ、ツールまたは手術用器具、または類似のもの)が有効であり受諾されたことを示し得る。代わりの信号は、ツール変更がシステムオペレータによって要求されること、活性化可能な器具(電気メス器具または類似のもの)が、システムオペレータによって作動されることなどを示し得る。種々の信号特性はオプションで、回復可能な障害および回復不能な障害に関連づけされ得る。従って、種々様々な、なおもさらなる代わりの信号が含まれ得る。
【0047】
理解の明確さのためおよび例として、ある程度詳細に記述されたが、様々な変更、改造および修正は、当業者にとって明らかである。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10−1】
image rotate

【図10−2】
image rotate

【図10−3】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−66775(P2013−66775A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−7009(P2013−7009)
【出願日】平成25年1月18日(2013.1.18)
【分割の表示】特願2008−519585(P2008−519585)の分割
【原出願日】平成18年6月28日(2006.6.28)
【出願人】(506410453)インテュイティブ サージカル, インコーポレイテッド (32)
【Fターム(参考)】