説明

マルチウインドウ表示装置

【課題】複数のアプリケーションソフトに対応したウィンドウを表示画面に表示するのにあたり、互いに重ならないようにあらかじめ設定された所定の表示エリアに配列するマルチウインドウ表示装置を提供すること。
【解決手段】複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウを表示画面に表示するように構成されたマルチウインドウ表示装置において、前記複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウを、互いに重ならないようにあらかじめ設定された所定の表示エリアに配列するウインドウ画面位置制御手段を設けたことを特徴とするもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチウインドウ表示装置に関し、詳しくは、より高度なプロセス制御システムの運転が行えるマルチウインドウ表示装置に関するものである。
【0002】
従来から、たとえば特許文献1に記載されているように、コンピュータで構築された電子化ビジネスシステムと電子化製造システムとを統合することが提案されている。
【0003】
図3は、特許文献1に開示されている電子化ビジネスシステムを電子化製造システムと統合するための従来の技術例を示すブロック図である。図3のシステムでは、電子化ビジネスシステム100を使用してビジネス機能を電子化する。電子化ビジネスシステム100は、オーダスケジューリング、インベントリ・トラッキング、品質管理などを含む機能を処理実行する電子化システムとして構築されている。
【0004】
代表的な電子化ビジネスシステム100は、受信した顧客オーダに基づく各製品のオーダスケジューリング、製品インベントリーおよび原材料インベントリに関するコンパイリング情報およびその他の情報などの機能を処理実行することができる。インベントリ・トラッキングは、主として消費された材料(または製造に向けられた材料)および製造された製品に関する通信に基づいて処理実行される。またインベントリ・トラッキングは、出荷部から出荷された製品および入荷部に到着した材料に関するレポートに基づいて処理実行される。
【0005】
電子化製造システム200はオプションプロセス情報システム201(以下プロセス情報システム201という)と、リアルタイムプロセス制御システム202(以下プロセス制御システム202という)とを含む。プロセス情報システム201は、製造プロセスの監視や運転操作にあたるオペレータの作業を支援する。プロセス情報システム201は少なくとも1つのプロセス制御システム202に対するインタフェースとして機能し、プロセス情報システム201の機能階層の一部は多重プロセス制御システム202に対する標準インタフェースとして機能する。
【0006】
これら電子化ビジネスシステム100と電子化製造システム200は、ヒューマンインタフェース300を介して結合されている。
【0007】
ヒューマンインタフェース300は、たとえば電子化ビジネスシステム100から製品のワークオーダを受ける。このワークオーダはスケジューリング要求(たとえば納入時期)と結合されている。したがってオペレータは、ヒューマンインタフェース300を操作してこのワークオーダ情報を電子化製造システム200に伝送する。
【0008】
一方、ヒューマンインタフェース300は、たとえば製造データを、プロセス情報システム201から間接に、または反応器および押出器などの製造装置のインタフェースとしてのプロセス制御システム202から直接に検索する。オペレータはヒューマンインタフェース300を操作してこれらのデータを電子化ビジネスシステム100中の更新インベントリ情報の中に入力する。
【0009】
図4は、従来のヒューマンインタフェース300におけるマルチウインドウ表示装置の一例を示すブロック図である。図4において、パソコン310には液晶モニタ320が接続されている。パソコン310内の補助記憶装置311には、複数のアプリケーションソフト312a〜312dがインストールされている。
【0010】
オペレータは、必要に応じてこれらのアプリケーションソフト312a〜312dを起動し、各アプリケーションソフト312a〜312dに対応したウィンドウ321a〜321dを液晶モニタ320の表示画面に並べて表示する。
【0011】
このとき、オペレータは、これらのウィンドウ321a〜321dが互いに重ならないように、手動で個々のウィンドウを移動させるとともに、個々のウィンドウ321a〜321dの大きさを適宜変更する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表平9−503325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、図4の構成によれば、オペレータは、アプリケーションソフト312a〜312dを起動した後、各アプリケーションソフト312a〜312dに対応したウィンドウ321a〜321dを液晶モニタ320の表示画面に並べて表示するのにあたり、個々のウィンドウ321a〜321dの位置と大きさを調整しなければならず、これらの調整工数が必要になる。
【0014】
また、連続運転される製造プロセスの監視や運転操作は、交代制のオペレータにより行われるが、オペレータが交代する毎に液晶モニタ320の表示画面上におけるウィンドウ321a〜321dの位置と大きさが変わってしまうことがあり、場合によっては重要な表示内容を見過ごしてしまう恐れがある。
【0015】
本発明は、このような従来の問題点に着目したものであり、その目的は、複数のアプリケーションソフトに対応したウィンドウを表示画面に表示するのにあたり、互いに重ならないようにあらかじめ設定された所定の表示エリアに配列するマルチウインドウ表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
このような課題を達成する請求項1の発明は、
複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウを表示画面に表示するように構成されたマルチウインドウ表示装置において、
前記複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウを、互いに重ならないようにあらかじめ設定された所定の表示エリアに配列するウインドウ画面位置制御手段を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明は、請求項1に記載のマルチウインドウ表示装置において、
前記複数のアプリケーションソフトは、プロセス制御システムの保全管理、生産管理、品質管理および作業手順書のうちの少なくとも2つを含むことを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載のマルチウインドウ表示装置において、
前記複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウのうちの特定画面を他の画面よりも大きく表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
これらにより、複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウは、互いに重なることなく所定の表示エリアに配列表示されるのでオペレータの視認性が改善でき、高度なプロセス制御システムの運転に適したマルチウインドウ表示装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明の他の実施例を示す表示画面例図である。
【図3】従来の技術例を示すブロック図である。
【図4】従来のヒューマンインタフェース300におけるマルチウインドウ表示装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明について、図面を用いて説明する。図1は、本発明に係るマルチウインドウ表示装置の一実施例を示すブロック図である。図1において、パソコン330には液晶モニタ340が接続されている。
【0022】
パソコン330内の補助記憶装置331には、プロセス制御システムに関連した複数のアプリケーションソフト332a〜332dがインストールされていて、たとえば、
アプリケーションソフト332a:保全管理ソフト
アプリケーションソフト332b:生産管理ソフト
アプリケーションソフト332c:品質管理ソフト
アプリケーションソフト332d:作業手順書
とする。
【0023】
そして、パソコン330内の補助記憶装置331には、これら複数のアプリケーションソフト332a〜332dに対応したウィンドウ341a〜341dを液晶モニタ340の表示画面に並べて表示するのにあたり、互いに重ならないようにあらかじめ設定された所定の表示エリアに配列するウインドウ画面位置制御手段としてのアプリケーションソフト333もインストールされている。
【0024】
アプリケーションソフト333は、これら複数のアプリケーションソフト332a〜332dに対応したウィンドウ341a〜341dに対してそれぞれID番号を付与するとともに液晶モニタ340の表示画面上における表示エリアを具体的に指定するたとえば以下に示すようなテーブルとして構成されている。
アプリケーションソフトウィンドウ ID 表示エリア
保全管理ソフトウィンドウ341a 1 左上
生産管理ソフトウィンドウ341b 2 右上
品質管理ソフトウィンドウ341c 3 左下
作業手順書ウィンドウ341d 4 右下
【0025】
これら複数のアプリケーションソフト332a〜332dが起動されると、各アプリケーションソフト332a〜332dに対応したウィンドウ341a〜341dは、ウインドウ画面位置制御手段としてのアプリケーションソフト333のテーブル設定にしたがって、液晶モニタ340の表示画面上の所定の表示エリアに、互いに重ならないようにして配列表示される。
【0026】
すなわち、図1の実施例では、プロセス制御システムにおける保全管理ソフト332aに対応したウィンドウ341aは左上に表示され、生産管理ソフト332bに対応したウィンドウ341bは右上に表示され、品質管理ソフト332cに対応したウィンドウ341cは左下に表示され、作業手順書332dに対応したウィンドウ341dは右下に表示される。
【0027】
なお、上記実施例では、液晶モニタ340の表示画面上に4種類のアプリケーションソフト332a〜332dに対応したウィンドウ341a〜341dを大きさの等しい4分割画面として表示する例を示したが、アプリケーションソフトの種類は4種類を増減してもよく、分割画面の大きさはたとえば図2に示すように指定された特定のアプリケーションソフトのウィンドウを他のアプリケーションソフトよりも大きく分割表示するようにしてもよい。
【0028】
図2において、(A)は保全管理ソフト332aに対応したウィンドウ341aを液晶モニタ320の表示画面の上領域に横長に大きく表示して生産管理ソフト332bと品質管理ソフト332cと作業手順書332dに対応したウィンドウ341b〜341dを下領域の横方向に3分割表示した例を示し、(B)は保全管理ソフト332aに対応したウィンドウ341aを液晶モニタ340の表示画面の右領域に大きく表示して生産管理ソフト332bと品質管理ソフト332cと作業手順書332dに対応したウィンドウ341b〜341dをを左領域の縦方向に3分割表示した例を示している。
【0029】
これにより、注目画面のウィンドウ(たとえば保全管理ソフト)を他の画面のウィンドウ(たとえば生産管理ソフト、品質管理ソフトおよび作業手順書)よりも大きく強調して表示でき、オペレータの監視作業を効率よく遂行できる。
【0030】
以上説明したように、本発明によれば、複数のアプリケーションソフトに対応したウィンドウを表示画面に表示するのにあたり、互いに重ならないようにあらかじめ設定された所定の表示エリアに配列できることからオペレータの視認性を改善でき、高度なプロセス制御システムの運転に適したマルチウインドウ表示装置を実現できる。
【符号の説明】
【0031】
300 ヒューマンインタフェース
330 パソコン
331 補助記憶装置
332 アプリケーションソフト
333 ウインドウ画面位置制御アプリケーションソフト
340 液晶モニタ
341 ウィンドウ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウを表示画面に表示するように構成されたマルチウインドウ表示装置において、
前記複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウを、互いに重ならないようにあらかじめ設定された所定の表示エリアに配列するウインドウ画面位置制御手段を設けたことを特徴とするマルチウインドウ表示装置。
【請求項2】
前記複数のアプリケーションソフトは、プロセス制御システムの保全管理、生産管理、品質管理および作業手順書のうちの少なくとも2つを含むことを特徴とする請求項1に記載のマルチウインドウ表示装置。
【請求項3】
前記複数のアプリケーションソフトに対応した各ウィンドウのうちの特定画面を他の画面よりも大きく表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマルチウインドウ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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