説明

マルチウェル装置

【課題】毛管現象及び二次汚染を減少あるいは排除する、レシーバプレートにおけるマルチウェル装置を提供することである。
【解決手段】フィルタープレートの各ウェルの外壁とレシーバプレートの各ウェルの内壁との間の間隙が各ウェル間あるいは各ウェル内における毛管作用及び二次汚染を低減あるいは排除すると共に液体がウェルから排斥される恐れを減少させるべく拡大される。実施例ではフィルタープレートの各ウェル20を受けるレシーバプレートの各ウェル21の直径が拡大され、それにより各ウェル21の内壁と相当するウェル20の外壁との間の間隙122が大きくされ、かくしてこの間隙における毛管作用が防止され、流体の毛管吸引が減少されあるいは排除される。レシーバプレートの各ウェルのこの部分は図5に示されるように実質的に四角形断面を有することが好ましいが、ティアドロップ形状を含むその他の形状とすることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチウェル型のレシーバプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤の生体利用率は、腸を覆う細胞を通しての血流中への薬剤の吸収性を含む数多くの要因の影響を受ける。胃腸での薬剤吸収性を予測するためには、透過性測定法や、脂質充填膜を、腸の皮膜組織を含む様々の細胞形式からなる脂質二重層に擬似させるPAMPA(Parallel Artificial Membrane Permeability Assay)として知られる測定法を含む数多くの異なる生体外測定オプションを入手することが可能である。こうした非細胞ベースの透過性測定法は自動化互換性があり、所要時間が比較的短く(4〜24時間)、安価でしかも直感的である。これらの測定法は、有望な薬剤成分の受動的な経皮透過性を判定するために用いられることが多くなっている。薬剤の大半は腸の被膜組織を通しての受動拡散により血流中に入る。脂溶性バリヤを通過する受動輸送量を測定する透過性測定法は結局、既存の測定法による人間の薬剤吸収量と相関される。
【0003】
薬品開発プロセスでは、経口投与薬剤の受動吸収量を予測する方法が重要となってきている。分子の経口吸収性はその分子が有力な開発候補であるかどうかを決定する最も重要な一面である。Caco−2細胞を用いるような細胞ベースの透過性測定法は薬剤吸収量測定のためのモデルとして一般に使用されているものの労働集約的でありしかも薬剤開発プロセスではしばしばプロセス後半に実施される。この問題は、Kansy及びFallerが説明及び提示する、高速で、低コストで、しかも自動化し易い、成分受動透過性測定法により解決されるが、こうした透過性測定法やPAMPA法では何れも、細胞膜の自動輸送性を模擬するための人工膜が用いられる。別の研究者によりKansyの測定法の変形例が提示され、この方法によれば、特定ターゲット(例えば、血液脳関門)あるいは分子クラスとの相関性が改善されることもあるが、元となる測定法は概ねそのままである。
【0004】
透過性測定法で使用される装置には、その各底部に膜バリヤを固定した一つ以上のウェルを収納するフィルタープレートと、このフィルタープレートを入れ子関係下に受ける形態を有するレシーバプレートとが含まれる。フィルターウェルとレシーバプレートのウェルとには試薬と緩衝剤とが、薬剤輸送量データを正確に分析し得る特定割合下において配置される。フィルタープレートは、フィルタープレートの膜がレシーバプレートのウェル内に挿通され得、レシーバプレートのウェル内の媒体がフィルタープレートのウェル内の媒体と等しいあるいはそれに近い高さとなるような形態を有することが望ましい。これにより、静水力学的な均衡が創出されて圧力差が最小化され、膜を通る拡散が非制御下あるいは強制下のものとなる。しかしながら膜は、培養、振動、混合の各操作を含む実験中には少なくともレシーバプレート内の液体と接触する状態に維持される。細胞培養法(例えば、Caco−2法)及び非細胞ベースのスクリーニング法(例えば、PAMPA法)はこの態様下において説明される。これらの装置には、Caco−2法と比較してスループットがずっと高い、従ってそうした高いスループットを実現するための大きな膜面積が要求される非細胞ベースの用途も有る。
【0005】
輸送アセンブリ内でUV光あるいは可視光リーダーを用いての直接読み取りによる分析が実施される。従って、レシーバプレートはUV光及び可視光を伝達させ得るものであることが望ましい。このプロトコルでは媒体を攪拌するための振動手段あるいはその他も必要とされる。装置は手動操作され得、あるいはプレート自動処理装置により操作され得る。後者の場合、装置は、プレートの寸法形状及び外壁の輪郭に対して適用されるANS/SBSマイクロプレート基準に適合するべきである。これらの基準は各ウェルの中心と、プレートの外側に関するウェル列の位置との間の距離を標準化し、かくしてウェル配列をも制限する。
【0006】
非細胞ベースのPAMPA形式の測定方法において用いられる従来からのレシーバプレートには、不透明な受容器プレート及び透明なポリスチレンレシーバプレートが含まれる。しかしながらこれらの装置では毛管現象、二次汚染、容積制御、蒸発、自動化適合性、そして液体回収が問題となる。二次汚染の主な原因は、2枚のプレートを相互に入れ子状態とした場合に特に培養及び装置の振動中においてフィルタープレート及びレシーバプレートの各ウェル間の小間隙に液体が吸引されることである。従来の装置では各レシーバプレートの断面は円形であり、従ってこのレシーバプレートと同中心状態に入れ子させたフィルタープレートの相当するウェルとの間には一様な毛管間隙が形成され、かくして毛管現象や二次汚染が発生する。これらの従来装置ではその断面もまた、ウェルの上部から底部に掛けて一様であり、かくして膜の下方に位置付けられるウェルの下方部分の容積が大きくなり、更には、ウェルの上方部分の一様な毛管間隙部分には少量の媒体しか保持され得ないため、装置の組み立て時にウェルの液体が排斥されてしまい、それが二次汚染の原因となる恐れもある。従来装置は、フィルタープレートとレシーバプレートとを自動組み立て及び自動分解する上で役立つ何らの特徴部分も備えていない。従来装置ではフィルタープレートはレシーバプレート内に、間隙部分がその間に形成されるように入れ子され、かくしてレシーバプレートの各ウェルから媒体を蒸発させる大気の開放通路が創出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
1)毛管現象及び二次汚染を減少あるいは排除するレシーバプレートを提供することである。
2)可視的読み取り装置を容易に収受するレシーバプレートを提供することである。
3)レシーバプレートにおける媒体容量条件を最小化するレシーバプレートを提供することである。
4)広汎なレシーバ容積を取り扱い可能であり、かくして媒体を液体との接触状態に維持し且つ媒体が装置の分解時にウェルから排斥されないレシーバプレートを提供することである。
5)フィルタープレートの自動組み立て及び自動分解を助成する特徴部分を有するレシーバプレートを提供することである。
6)フィルタープレートの各ウェルがレシーバプレートの各ウェルの内部で、実験中の変動が最小である状態下に中心付けされるように入れ子されるレシーバプレートを提供することである。
7)非加湿培養中の各ウェルからの媒体の蒸発の影響を最小化するレシーバプレートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従来技術における問題は、本発明の以下に説明するフィルタープレート及びレシーバプレートを含むマルチウェルアセンブリにより解決される。各プレートには、フィルタープレートをレシーバプレートに入れ子関係下に配置した場合にフィルタープレートの各ウェルがレシーバプレートの相当する各ウェル内に入れ子関係下に伸延される。レシーバプレートの各ウェルはウェルの高さに沿った非一様な断面を有し、この断面は、レシーバプレートとフィルタプレートとを入れ子関係下に配置した場合にフィルタープレートの各ウェルの外壁と、レシーバプレートの相当するウェルの内壁との間の間隙が増大するように選択される。この断面により非一様な間隙が創出され、かくして毛管現象や二次汚染が低減されるのみならず、フィルタープレートのウェル周囲の容積が増大され、ずっと大きな媒体容量変化が収受されるようになる。レシーバプレートのウェルの下方部分の断面はウェルの上方部分の断面と比較して小さく、かくしてウェルの高さ方向に沿った断面は非一様化される。ウェルの下方部分の断面が小さいことで実験上必要な媒体量が少なくなる。好ましい実施例ではレシーバプレートのウェルの断面は四角形断面から円形断面に移行する。レシーバプレートの各ウェルの、フィルタープレートのウェルを収受する部分は四角形あるいは実質的に四角形断面とされ、またレシーバプレートの各ウェルの、フィルタープレートをレシーバプレートと入れ子関係下に配置した場合にフィルタープレートの各ウェルの膜の直ぐ下方に位置決めされる部分の断面は円形あるいはその他の幾何学的断面とすることが好ましい。断面を四角形とすることにより、装置組み立て中に空気を逃出させるための大きな通路も提供される。四角形断面とすることにより、フィルタープレートの各ウェルが円形であることやウェル間隔に関するANSI/SBS規格に基づき、隣り合うウェル間の利用可能スペースが最大化される。かくして、上方部分の断面が最大化され、下方部分の断面が最小化され、上方部分と下方部分との間に漸進的に変化する移行断面部分を有するマルチ断面のウェルが提供される。
本発明のマルチウェルアセンブリによれば、フィルタープレートとレシーバプレートとを正しい入れ子関係下に位置決めする再現性が改善され、かくしてフィルタープレートの各ウェルはレシーバプレートの各ウェルから偏心されることがなくなる。本発明によれば、導入特徴部分により自動組み立て及び自動分解を改善するための手段も提供される。更には、フィルタープレートとレシーバプレートとの間の表面間の平坦状態での接触が提供されることにより、レシーバプレートの各ウェルからの媒体の蒸発が低減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来の、入れ子状態でのレシーバプレート及びフィルタープレートの各ウェルを示す平面図である。
【図2】従来の、入れ子状態でのレシーバプレート及びフィルタープレートの各ウェルを示す断面図である。
【図3】本発明の、入れ子状態でのレシーバプレート及びフィルタープレートの各ウェルを示す平面図である。
【図4】本発明の、入れ子状態でのレシーバプレート及びフィルタープレートの各ウェルを示す斜視図である。
【図5】本発明に従うレシーバプレートの斜視図である。
【図6】本発明の、入れ子状態でのレシーバプレート及びフィルタープレートにおけるフィルタープレート支持リブ及びフィルタープレート位置決め用リブを示す斜視図である。
【図7】本発明の、入れ子状態でのレシーバプレート及びフィルタープレートの位置決め用リブを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び図2を参照するに、従来のフィルタープレートが示され、各ウェル20’が従来のレシーバプレートの各ウェル21’に入れ子されている。ウェル20’は一様な円形断面を有しウェル21’も同様に一様な円形断面を有している。各ウェル20’の外径は各ウェル21’の内径よりも若干小さくされており、それによって各ウェル20’は図2に示されるようにレシーバプレートの各ウェル21’に入れ子され得るようになっている。ウェル20’の外壁と相当するウェル21’との間には毛管小間隙24が形成され、ウェル20’の内壁と、各ウェル21’を分離する壁22’との間にも毛管小間隙が形成される。これらの毛管小間隙によって流体は排斥及び毛管吸引されるようになり、図2に毛管通路26として示すようにレシーバプレートの一つのウェルの流体がこの毛管小間隙内を移動して別のウェルに移動し、結局、二次汚染が生じる。
【0011】
図3及び図4には本発明の好ましい実施例が示され、本実施例ではフィルタープレートの各ウェルの外壁と、レシーバプレートの各ウェルの内壁との間の間隙が、各ウェル間あるいは各ウェル内における毛管作用及び二次汚染を低減あるいは排除すると共に液体がウェルから排斥される恐れを減少させるべく拡大されている。図示される実施例ではフィルタープレートの各ウェル20を受けるレシーバプレートの各ウェル21の直径が拡大され、それにより各ウェル21の内壁と相当するウェル20の外壁との間の間隙122が大きくされる。これによりこの間隙における毛管作用が防止され、流体の毛管吸引が減少されあるいは排除される。レシーバプレートの各ウェルのこの部分は図5に示されるように実質的に四角形断面を有することが好ましいがティアドロップ形状を含むその他の形状とすることも本発明の範囲内のものとする。このように直径を拡大することによりウェルのフィルタープレートをレシーバプレートに入れ子配置した場合に空気を逃出させるための通路も提供され、そうでない場合は各プレートを組み立てる際に膜の下方に捕捉されていたであろう気泡がフィルタープレートの各ウェルとレシーバプレートの各ウェルとの間の間隙から排出され得るようになる。
【0012】
レシーバプレートの上方部分は四角形断面を有するが、入れ子状態でのフィルタープレートの各ウェル20の外壁とレシーバプレートの各ウェル21の内壁との間の4つの角部位置での好適な最大間隙寸法は、選択される角部半径に依存するが0.039インチ(約0.9ミリ)であり、最小間隙寸法は約0.010インチ(約0.254ミリ)である。この最小間隙寸法はANSI/SBS規格による列間基準及びフィルタープレートの各ウェル21’の外径とによるものである。
【0013】
レシーバプレートの各ウェルにおける流体の吸引作用は、組み立て状態においてフィルタープレートの各ウェルが入れ子される部分よりも下方の(例えば、フィルタープレートの各ウェルの番号30で示す有効膜面積部分よりも下方の)部分では問題とならないことから、レシーバプレートの各ウェルのこの部分の直径、従って容積はフィルタープレートの各ウェルを受け且つ収受する部分における直径及び容積よりも小さくすることができる。従って、本発明の好ましい実施例では、レシーバプレートの各ウェル21は、フィルタープレートの各ウェル20を受ける範囲の大直径部分からフィルタープレートの各ウェル20が入れ子される範囲よりも下方の範囲の小直径部分への移行部分を有する。この移行部分の形状は特定形状に限定されるものではなくティアドロップ形状を含み得るものであるが、液体回収性を改善し、また実験で使用する媒体量を制御するために円形断面とすることが好ましい。詳しくは、仮にフィルタープレートの各ウェルを受ける部分からフィルタープレートの各ウェルが入れ子される部分よりも下方の部分までを四角形断面とすると、プレートを傾斜させ得ない自動除去操作においてピペットにより単一位置から液体が抜き取られる場合に未回収の媒体、特に液体がウェルの各角部位置に捕捉されることになる。媒体が有効膜面積部分の直ぐ下方にあることのみが必要とされることから、レシーバプレートの各ウェルの下方部分の直径はフィルタープレートの各ウェル20の外径と実質的に同一とすることが可能であり、また、この下方部分の直径は流体が障害を受けること無くフィルタープレートの各ウェルと相当するレシーバプレートの各ウェルとの間の膜を通してレシーバプレートのウェルの下方部分に移動し得るよう、有効膜面積部分の直径と同じ直径とすることが好ましい。プレート底部から膜の全表面が見えるよう、レシーバプレートのウェルには有効膜面積よりも小さい部分がないことが好ましい。
【0014】
大直径部分から小直径部分への移行部分は、係止されるあるいは未回収の媒体を低減させるために一様化することが好ましい。図示された実施例では移行部分は図3に示されるように四角形のウェルの各角部に沿って切断した場合の断面図において傾斜移行壁部分32とされる。この傾斜移行壁部分の角度は(垂直軸から測定して)図2に示すように側壁に沿って切断した断面位置での0°から、移行部分の半径及び高さによって決まる最大角度へと変化される。創出される最大角度は移行部分の上方及び下方の各部分の形状により決定されるが、適正排出の点からはこの最大角度は垂直軸線から測定して70°未満であることが望ましい。
【0015】
フィルタープレートの各ウェルをレシーバプレートの各ウェル内に偏心状態で入れ子させると各ウェル間の間隙寸法が変化して吸引が許容されるようになることから、二次汚染を回避する上では各プレートのウェルを正しく且つ再現自在に配置することが重要である。同様に、各ウェルの位置は液体の撥ね、こぼれや吸引を防止するために、手動及び自動の各操作、混合そして振動中は実験を通して適性に維持されるべきである。本発明の一実施例ではレシーバプレート10の各ウェル列の外側周囲部分に沿って面取り部分35を設けることにより、特に自動操作中における適正配置が助成される。面取り部分はフィルタープレートの各ウェルの外側周囲部分をレシーバプレートの各ウェル21内に正しく入れ子させるためのガイド部分として機能する。ウェル列の外側周囲部分に沿って面取り部分を設けたことで様々の形態のフィルタープレートを、例えこのフィルタープレートがそうしたガイド部分と干渉するスカート部分を有し、仮にこのスカート部分がウェル列の外側周囲部分に沿ってではなくむしろレシーバプレートの外側縁部に沿って位置決めされるものであっても然るべくガイドすることが可能である。
【0016】
フィルタープレート及びレシーバプレートのアセンブリを更にガイドするための位置決めリブあるいは位置決め支柱40を、フィルタープレートの相当するウェルの相当するウェル支持リブ或はウェル支持支柱41と合致する状態下にレシーバプレートの一つ以上、好ましくは少なくとも2つのウェルに設け得る。位置決めリブには、取り扱い、混合、振動の各操作中にフィルタープレートが移動あるいはズレたりしないように維持するための手段も設けられる。図7に最も良く示されるように、位置決めリブ40はレシーバプレート10の角部のウェル21Aと、このウェルに隣り合うウェル21Bとに設けられる。位置決めリブ40はウェル列に向けて伸延し且つレシーバプレートの上面よりも若干低い平頂部を有することが好ましい。位置決めリブ40は、好ましくは約45°傾斜された面取り部分40Aと、ウェル壁の頂部と直交する直線あるいは直交部分40Bとを含む側壁において終端する。面取り部分の導入部及び傾斜合致面とが、フィルタープレートの相当するウェルにおける相当するウェル支持リブ41を案内する。位置決めリブ40は角部の各ウェル位置に好ましく位置付けられるが、位置決めリブ40をプレート内のウェルの外壁あるいは各ウェルの壁同志の間の間隙(この場合、位置決めリブ40はフィルタープレートの各ウェル間に、面取り部分の導入部及び傾斜合致面が各側方に位置付けられる状態下に嵌着される)を含むプレート内の任意の位置に設けることも本発明の範囲内のものとする。リブあるいは支柱あるいはピン特徴部分は、フィルタープレート20’の外壁を使用して位置手段を提供することもできる。
【0017】
レシーバプレートの各ウェル、特にはレシーバプレートの周辺位置のウェルからの媒体の蒸発量を減少させるために、フィルタープレート及びレシーバプレートは相互に平坦状態で接触する表面部分を有する形態のものであることが好ましい。かくして、レシーバプレートの面取り部分35の導入部の周囲表面部分50は平坦あるいは平面(図5)とされ、同様に、フィルタープレートの前記周囲表面部分50に座置される相当する周囲表面部分51も平坦あるいは平面とされる。これによりフィルタープレートをレシーバプレートに入れ子関係下に配置すると有効な面シールが創出され、フィルタープレートの各ウェルはレシーバプレートの各ウェル内に吊下され、かくして外部環境との連通が排除される。フィルタープレートとレシーバプレートとが密着する部分に空気間隙が無く且つ環境との接触量が最小となることを保障するためのその他の手段が設けられる。そうした手段の一つは、レシーバプレートの周囲部分に沿った隆起ビードである。この隆起ビードにエラストマー性材料を重ね被覆してガスケット形式のシールとして作用させることができる。
【符号の説明】
【0018】
10 レシーバプレート
20、21 ウェル
21A 角部のウェル
35 面取り部分
40 位置決めリブ
41 ウェル支持支柱
50、51 周囲表面部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウェルを有するフィルタープレートと、複数のウェルを有し各ウェルが底部を有するレシーバプレートとを含むマルチウェル装置であって、レシーバプレートがフィルタープレートを入れ子関係下に受けるようになっており、該入れ子関係に於いてフィルタープレートの各ウェルがレシーバプレートのウェル内の、該レシーバプレートのウェルの底部から離間した位置に伸延し、かくしてレシーバプレートの各ウェル内に、フィルタープレートのウェルによる占有部分としての第1部分と、フィルタープレートのウェルにより占有されない部分としての第2部分とが確定され、前記第1部分の直径が第2部分の直径よりも大きく、前記第1部分が実質的に四角形断面を有し、第2部分が実質的に円形断面を有するマルチウェル装置。
【請求項2】
ウェル列を有するフィルタープレートと、ウェル列を有するレシーバプレートとを含み、レシーバプレートの各ウェルがフィルタープレートのウェルの一つを入れ子関係下に受けるようになっており、前記レシーバプレートがウェル列の各ウェルの周囲部分に沿って形成した面取り部分を有しているマルチウェル装置。
【請求項3】
フィルタープレートの各ウェルが、ウェル底部に位置付けた膜を含み、各膜が有効膜面積部分を有し、フィルタープレートのウェルにより専有されない第2部分が、流体が各膜の有効膜面積部分を通して該第2部分に障害無く移行し得るような直径を有する請求項1のマルチウェル装置。
【請求項4】
フィルタープレート及びレシーバプレートの各ウェルが壁を有し、第1部分の直径が、入れ子されたフィルタープレートのウェルの壁と、相当するレシーバプレートのウェルの壁との間に、毛管作用を阻害するに十分な大きさの間隙を創出するに十分な寸法を有する請求項1のマルチウェル装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−2424(P2010−2424A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198093(P2009−198093)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【分割の表示】特願2006−136441(P2006−136441)の分割
【原出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(390019585)ミリポア・コーポレイション (212)
【氏名又は名称原語表記】MILLIPORE CORPORATION
【Fターム(参考)】