説明

マルチモード無線通信装置に対するWLAN及びWWAN通信サービスの管理

メッシュネットワーク通信システムは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)コントローラに接続された複数のアクセスポイントを含む。ここで、複数のアクセスポイントのうちの少なくとも1つは、マルチモード無線通信装置から送信された上り方向(RL)無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)信号を受信する検知用アクセスポイント(DAP)である。DAPは、傍受したRL−WWAN信号に基づいてWLANコントローラに対して上り方向(RL)情報を転送する。RL情報に基づいて、WLANコントローラは1または複数の対象アクセスポイント識別子と関連付けられた1または複数の装置識別子を含む装置−アクセスポイント相関リスト(装置−AP相関リスト)を作成し、WWAN通信システムに送信する。装置識別子は、対象アクセスポイント識別子によって識別された対象アクセスポイントに最も近接したマルチモード無線通信装置を一意に識別する。WWANシステムは、装置−AP相関リストを適用してWWANシステムからメッシュネットワークにおけるアクセスポイントへのハンドオフを効率的に管理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して無線通信システムに関し、より具体的には、マルチモード無線通信装置に対する無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)及び無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)サービスの管理に関する。
【背景技術】
【0002】
無線ローカルエリアネットワーク(WLANs)及び無線ワイドエリアネットワーク(WWANs)は、携帯装置に無線通信サービスを提供している。一般的に、WLANsは、WWANsがサービスを提供する地理的エリアよりも狭い地理的サービスエリアにおいて、サービスを提供する。WWANsの例としては、2.5G(cdma2000等)や3G(UMTS、WiMax等)及びその他の技術に準拠して動作するシステムが挙げられる。これらシステムにおいてWWANの各基地局は、一般的には、マイル単位で測定されるサイズのサービスエリアをカバーするように設計されている。WWANという用語は、主に、多様な技術からなるこのグループを、一般的に各基地局が100〜1000フィート程度のより小さなサービスエリアを有するWLANから区別するために用いられる。WLANにおける基地局は、一般的にはアクセスポイントと呼ばれる。アクセスポイントは、WWANを介して有線又は無線により、インターネット、イントラネット、又は他のネットワークに接続可能である。WLANsの例として、Wi−FiやIEEE802.11標準規格に準拠した他の無線プロトコル等の技術を用いるシステムが挙げられる。一般的にWLANsは、非ユビキタス的適用範囲を犠牲にして、WWANsよりも高い帯域のサービスを提供する。一方、WWANsは、帯域及び/又は容量を犠牲にして、より広いカバーエリアを提供する。より高い全体的な機能と継続的な接続を無線ユーザに提供するために、マルチモードモード及びデュアルモードの携帯通信装置が開発されてきた。それにより、通信装置は、最も望ましいトレードオフを提供する特定のタイプのネットワークにアクセスすることが可能となった。マルチモードの無線通信装置は、複数のネットワーク内デの通信に適切な構成要素及び機能を含む。例えば、デュアルモードの携帯通信装置は、WWAN及びWLAN内において通信可能である。
【0003】
WLANは、いくつかのアクセスポイントが1または複数のWLANコントローラによって管理されるメッシュネットワーク内に構成されることが多い。WLANコントローラは、システム全体の機能を管理し制御する。また、アクセスポイントは、通信設定や受信通知(ハンドシェーキング)等のローカル機能及び移動装置用ビーコンの確立を管理し制御する。
【0004】
残念ながら、携帯通信装置とアクセスポイントとの間の接続状態を管理する従来の技術には以下の点において限界がある。つまり、ネットワーク間でハンドオフを行うために新規のネットワークとのサービスを確立する際に、GPSの位置情報を必要とすること、又は、携帯通信装置が実行するサーチメカニズムが非効率的であるという点である。例えば、いくつかの従来型システムにおいては、代替ネットワークを検知するために、移動通信装置を周期的に代替ネットワークチャネルに同調させなければならない。しかし、代替ネットワークを検知する成功率は限られており、これにより著しく電力を消費してしまう。従来移動通信装置は、メッシュネットワークが利用可能か否かを判断するために、継続的又は少なくとも周期的にメッシュネットワークを探索しなければならない。
【0005】
従って、マルチモード携帯通信装置に対するWLAN及びWWANサービスを管理する装置、システム、及び方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
メッシュネットワーク通信システムは、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)コントローラに接続された複数のアクセスポイントを含む。ここで、複数のアクセスポイントのうち少なくとも1つは、マルチモード無線通信装置から送信された上り方向(RL)無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)信号を受信する検知用アクセスポイント(DAP)である。DAPは、傍受したRL−WWAN信号に基づいて、上り方向(RL)情報をWLANコントローラに転送する。RL情報に基づいて、WLANコントローラは、1または複数の対象アクセスポイント識別子と関連付けられた1または複数の装置識別子を含む装置−アクセスポイント相関リスト(装置−AP相関リスト)を作成し、WWAN通信システムに送信する。装置識別子は、対象アクセスポイント識別子によって識別された対象アクセスポイントに最も近接したマルチモード無線通信装置を一意に識別する。WWANシステムは、装置−AP相関リストを適用してWWANシステムからメッシュネットワークにおけるアクセスポイントへのハンドオフを効率的に管理する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】図1Aは、本発明の実施の形態によるメッシュネットワーク通信システム及び無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)通信システムを含む通信ネットワーク配置のブロック図である。
【図1B】図1Bは、代表的な装置−アクセスポイント相関リスト(装置−AP相関リスト)を有するメッシュネットワーク通信システムのブロック図である。
【図2】図2は、アクセスポイントが上り方向WWAN信号を通信装置から受信する場合の通信ネットワーク配置のブロック図である。
【図3】図3は、実施の形態によりWLANコントローラにおいて行われるマルチモード無線通信装置に対する無線サービスの管理方法のフローチャートである。
【図4】図4は、実施の形態により周辺のアクセスポイントにおいて行われる方法のフローチャートである。
【図5】図5は、WWANシステムがIEEE802.16標準規格に準拠して動作する場合の、周辺のアクセスポイントにおいてWWAN−FLチャネルを傍受する方法のフローチャートである。
【図6】図6は、WWANシステムがIEEE802.16標準規格に準拠して動作する場合の、WWAN−RLチャネルの代表的な傍受のフローチャートである。
【図7】図7は、WWANシステムがIEEE802.16標準規格に準拠して動作する場合の、WLANコントローラにおいて行われる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1Aは、メッシュネットワーク通信システム102及びWWAN通信システム104を含む通信システム配置100のブロック図である。メッシュネットワーク通信システム102は、バックホール108を介してWLANコントローラ106に接続された複数の無線アクセスポイントを含む。以下にさらに詳細に論じるように、マルチモード無線通信装置(通信装置)110は、システム102、104の両方において通信可能な無線装置である。複数のアクセスポイントは、通信装置110からWWAN通信システム104に送信されたRL−WWAN信号114を傍受し受信する検知用アクセスポイント(DAP)112等の複数のDAPを含む。DAP112は、上り方向(RL)情報116をWLANコントローラ106に送信する。ここでRL情報116は、受信したRL−WWAN信号114に基づく。WLANコントローラ106は、装置−アクセスポイント相関リスト(装置−AP相関リスト)118を含むメッセージを、RL情報114、及び、状況によっては他の要因に基づいて送信する。装置−AP相関リスト118は、マルチモード無線通信装置がアクセスポイントに最も近接していることを示すために、少なくとも1つのアクセスポイントを少なくとも1つのマルチモード無線通信装置と関連付けるデータを含む任意のタイプのメッセージである。例えば、装置−AP相関リスト118は、装置識別子のリストと関連付けられたアクセスポイント識別子のリストを含んでもよい。ここで、各アクセスポイント識別子は、装置識別子によって識別された少なくとも1つのマルチモード無線通信装置に対して、少なくとも可能性として、WLANサービスを提供できるアクセスポイントを一意に識別する。従って、WLANコントローラが、マルチモード無線通信装置があるアクセスポイントのサービスエリアに在圏する可能性があると判断した場合、そのアクセスポイントのアクセスポイント識別子は、装置−AP相関リスト118に含まれ、サービスエリア内の当該マルチモード通信装置の装置識別子と関連付けられる。実施の形態において、WWAN通信システム104は、装置−AP相関リスト118を利用して、もう1つのマルチモード無線通信装置をメッシュネットワーク通信システムにハンドオフすべきか否かを判断し、そのハンドオフ用に好ましいアクセスポイントを識別する。状況によっては、装置近接メッセージをWWAN通信システムに送信して、通信装置110と1または複数のアクセスポイントとの距離を示してもよい。そのような技術の例が、参照することにより組み込まれる関連出願に記載されている。
【0009】
複数のアクセスポイントには、また、RL情報116をWLANコントローラ106に送信しない1または複数の非検知用アクセスポイント(NDAPs)120が含まれる。状況によっては、NDAPは、RL−WWAN信号を受信し、RL情報114を送信可能であってもよいが、RL情報114を送信できないように構成されている。また、NDAPのうちのいくつかが、RL−WWAN信号を受信不可能であってもよい。本実施の形態において、DAPの能力を有するアクセスポイントは、DAP又はNDAPとなるように動的に構成されている。以下にさらに詳細に論じるように、そのような動的配置は、条件が変化する場合に有益である。例えば、アクセスポイントをDAP又はNDAPとして再構築することは、WWANサービスエリアの拡張及び収縮に応じて適切かつ効率的に成り得る。
【0010】
どのアクセスポイントが特定のメッシュネットワーク通信システム102においてDAPとして動作するかの判断は、任意の数の要素を含む任意の適切な基準に基づいて決めてもよい。いくつかの適切な要素の例としては、建物の場所、建物の入口、建物の出口、地理的特徴等の物理的特徴、WWAN及びWLANサービスエリアの特徴、ネットワーク容量、及び、通信装置のトラフィック量が含まれる。本願とともに現在申請中の「メッシュネットワークにおけるマルチモード携帯通信装置の検知」と題する関連特許出願で論じているように、DAPを選択する代表的方法は、アクセスポイントサービスエリアと基準エリアとの関係に基づいている。関連出願において論じているように、DAPとなるように選択されたアクセスポイントは、少なくとも部分的に基準エリアと重なるDAPサービスエリアを持ち、基準エリアと重なる部分を少なくとも有する他のアクセスポイントのサービスエリアに完全には囲まれていない。つまり、本実施の形態においてDAPサービスエリアは、他のDAPサービスエリアに囲まれてはいない。
【0011】
図1Bは、代表的な装置−AP相関リスト118を有するメッシュネットワーク通信システム102のブロック図である。簡潔かつ明瞭にするために、図1Bでは4つのアクセスポイント112、122、120、124のみを示す。メッシュネットワーク通信システム102を形成するためのDAP及びNDAPの数はいくつであってもよい。アクセスポイント112、122、120、124は、メッシュネットワークサービスエリア内のWLANサービスエリア内にWLANサービスを提供して、全体としてメッシュネットワークサービスエリアを形成する。アクセスポイントは、WLANサービスをDAPサービスエリア内に提供する複数の検知用アクセスポイント(DAP)112、122、124と、WLANサービスをNDAPサービスエリア内に提供する非検知用アクセスポイント(NDAP)120を少なくとも1つ含む。
【0012】
無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)通信装置104は、WWANサービスをWWANサービスエリア(図示せず)内のWWAN装置に提供する。マルチモード無線通信装置110、126、128、130は、システム102、104の両方において動作可能であり、WWANサービス及びWLANサービスを受信可能である。上述したように、このWWANという用語は、主に、多様な技術を有するこのグループを、一般的にその各基地局が約100〜1000フィートの小さなサービスエリアを有するWLANから区別するために用いられる。従って、WWAN通信システム104は、WLANよりも比較的大きな地理的エリアに無線通信サービスを提供するシステムである。WWANシステム104の例としては、セルラシステム設備等のWWAN設備に接続された少なくとも1つの基地局を通してセルラ通信サービスを提供するセルラ通信システムがある。
【0013】
アクセスポイント112、120、122、124は、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)サービスを提供可能であり、WLANコントローラ106と通信可能な装置である。アクセスポイントは、本実施の形態においては、無線バックホール108を介してWLANコントローラ106に接続された固定アクセスポイントであるが、アクセスポイントは、状況によっては有線バックホール108を介してWLANコントローラ106に接続されてもよい。適切なバックホール108は、IEEE802.11(a)標準規格に準拠して動作するバックホールである。各アクセスポイントは、アクセスポイントの適切な範囲内の通信装置110にWLANサービスを提供する。WLANサービスを提供するのに好適な技術の例には、WiFi等のWLANプロトコル、又は、IEEE802.11標準規格によって規定されるプロトコルに準拠した動作が含まれる。
【0014】
WLANコントローラ106は、メッシュネットワーク通信システム102内の通信を管理かつ制御可能な装置である。本実施の形態において、WLANコントローラ106は、計算を行ったり、WWAN通信システム104及びアクセスポイント112、120、122、124との通信を行ったり、メッシュネットワーク通信システム102の全体的な機能性を促進したりためのハードウェア及びソフトウェアを含む。代表的なメッシュネットワーク通信システム102は、データ及び管理プロトコルの処理が、WLANコントローラ及びアクセスポイントを介して分散される、分割メディアアクセス制御(MAC)アーキテクチャを利用する。WLANコントローラ106は、システムレベルにおけるデータ及び管理プロトコルの処理を一般的に提供し、アクセスポイントは、移動装置とのハンドシェーキングやビーコンの提供等のローカル機能を管理する。WLANコントローラからWWAN通信システム104に送信されたメッセージは、有線及び/又は無線通信方法の何れの組み合わせを用いて送信されてもよい。本実施の形態において、WLANコントローラ106は、基幹ネットワークにおけるアクセスゲートウェイに接続され、WLANコントローラ106内のネットワークインターフェースの一部であってもよいアクセスルータ又はIPネットワークの何れか一方を介して、パケット交換データ技術を用いてメッセージを送信する。状況によっては、PSTNを介してWLANコントローラ106からメッセージを送信することも可能である。また別の状況では、送信機を用いて無線によりメッセージを基地局に送信し、その後、WWAN設備に転送してもよい。状況によっては、WLANコントローラ106は、割り当てられたコントローラの、メッシュネットワーク通信システム102に対する応答性を有するアクセスポイントであってもよい。
【0015】
マルチモード無線通信装置110は、少なくとも1つのWLANシステムと少なくとも1つのWWANシステム104と通信可能なタイプの通信装置である。アクセス端末と呼ばれることもあるマルチモード無線通信装置110は、無線モデム、携帯情報端末、デュアルモードの携帯電話又は同様な装置であってもよい。
【0016】
従って、アクセスポイント112、120、122、124は、メッシュネットワーク通信システム102のWLANへの通信を促進し、WWAN通信システム104は、WWANへの通信を促進する。ここで通信装置110は、両方のネットワークにおいて通信可能である。リソースが特定のネットワークにおいて利用可能であり、信号の質が適切であれば、通信装置110は、何れか一方のネットワークによって提供される無線サービスにアクセス可能である。本実施の形態において、通信装置110は、ある一定の条件下では両方のネットワークに同時にアクセス可能である。しかしながら、状況によって、通信装置110は、ある与えられた時間において一方のネットワークにのみにアクセス可能であってもよい。他の状況において、通信装置110は、WWANネットワークの制御チャネルにのみアクセスできるが、WLANネットワークに対しては全アクセス権を持ってもよく、その逆の場合も同様であってもよい。WWAN通信システム104のカバーエリアは、低質のエリア又はWWANサービスが利用できないエリアを含んでもよい。その一方で、これらのエリアは、WLANシステムの適用が良好であってもよい。このような状況が起こりうるのは、WLANのカバー範囲がオフィスや住宅等の建物内にあり、また、WWANのカバー範囲が一般的に建物のエリアにおいて利用可能であるが、壁やその他信号の障害となるもののため建物内において不足している場合である。他にも利点はあるが、本実施の形態に従った無線サービスの管理により、通信装置110に提供される無線サービスの質が最大となる。
【0017】
本実施の形態により、メッシュネットワーク通信システム102は、少なくとも可能性として、WLANサービスを通信装置110、126、128、130に提供できるアクセスポイントを識別する情報をWWANシステム104に提供する。WLANコントローラ106は、マルチモード通信装置110、126、128、130が送信し、1または複数のDAPアクセスポイント112、122、124において受信した上り方向WWAN信号を評価する。通信装置110、126、128、130の1または複数のDAPアクセスポイント112、120、124に対する計算した又は推定した近接性に、少なくとも部分的に基づいて、メッシュネットワーク通信システム102は、装置−AP相関リスト118をWWAN通信システム104に送信する。図1Bの代表的な装置−AP相関リスト118には、複数のアクセスポイント識別子(APID)132、134、136及び複数の装置識別子(DID)138、140、142、144が含まれる。各APIDは、アクセスポイントを一意に識別し、DIDは、通信装置110、126、128、130を一意に識別する。各APIDは、DIDによって識別された通信装置がAPIDによって識別された関連アクセスポイントに最も近接していることを示すもう一つのDIDと関連付けられている。本実施の形態において、装置−AP相関リスト118は、識別されたアクセスポイントが、WLANサービスを1または複数の対応する通信装置に提供するために利用可能であることも示す。数ある方法のいずれかによってAPIDとDIDとの相関を示してもよい。好適な技術の例として、APIDとDIDとをデータファイル内の特定の場所に記憶することが含まれる。そのようなファイルは、例えば、APIDのリストと対応するDIDのリストを持つ表で表してもよい。
【0018】
そのため、装置−AP相関リスト118は、データファイル、メッセージ、又は、アクセスポイントとアクセスポイントに最も近接した対応する通信装置との相関を示す他のタイプの通信のうちの何れでもよい。WLANコントローラ106は、DAP112、122、124から受信した上り方向情報116、146、148に基づいて装置−AP相関リスト118を作成する。上り方向信号情報116、146、148は、受信したRL−WWAN信号114、150、152、154に関連する多くの測定した、又は、計算したパラメータのうちの何れかに基づいてもよく、又は、何れかを含んでもよい。本実施の形態において、伝送時間、受信時間、及び受信電力が、WLANコントローラ106に送信されるRL信号情報116、146、148に含まれる。WLANコントローラ106は、その情報を評価してWWAN通信システム104に送信する装置−AP相関リスト118を作成する。しかしながら、実施の際には、RL−WWAN信号の評価のうちの少なくともいくつかを、RL−WWAN信号を受信するアクセスポイントが行ってもよい。例えば、DAPは、信号伝送時間と信号受信時間との時間差に等しいタイムオフセットを計算することもできる。
【0019】
図1Bに示した例において、DAP112は、通信装置110からWWAN−RL信号114を受信する。別のDAP122は、WWAN−RL信号114及び別の通信装置126から別のWWAN−RL信号150を受信する。第3のDAP124は、第3の通信装置128が送信したWWAN−RL信号152及び第4の通信装置130が送信したWWAN−RL信号154を傍受する。上述したように、WWAN−RL信号は、通信装置からWWAN基地局に対して送信される。簡潔かつ明瞭にするために、基地局及び、通信装置と基地局との間の通信は、図1Bでは省略している。WWAN−RL信号114及び上り方向信号1150に基づいて、DAP112は上り方向情報116を作成する。別のDAP122は、通信装置126から受信したWWAN−RL信号150に基づいて上り方向情報146を作成する。上り方向情報148は、WWAN−RL信号152、154に基づく。WLANコントローラ106は、RL情報116、146、148を処理して、通信装置110、126、128、130のそれぞれのDAP112、122、124のうち少なくとも1つに対する近接性を少なくとも推定する。本実施の形態において、WLANコントローラ106は、通信装置にWLANサービスを提供することがなんとかできそうなDAPを識別する。そのような対象アクセスポイントの識別及び決定は、いくつかの要因及びパラメータに基づいてもよい。例えば、通信装置のDAPに対する推定近接性に加え、WLANはDAPの容量を見積もり、あるアクセスポイントがサービスを通信装置に提供すべきか否かが判断される。場合によっては、一つの通信装置にサービスを提供する対象アクセスポイントとして複数のDAPを識別してもよい。従って、それらの対象アクセスポイントは、サービスを対象通信装置に提供できる見込みのあるアクセスポイント候補である。本実施の形態において、WWANシステム104は、WWANシステム104からあるDAPへのハンドオフ手続きを開始する否かの最終決定を行う。従って、WWANシステム104は、ある特定の対象DAPがWLANサービスを通信装置に提供すべきでないと判断してもよい。例えば、通信装置のサービス品質(QoS)要件により、WWANシステム104がハンドオフを起動することを防止することもできる。
【0020】
引き続き図1Bの例に関して、WLANコントローラ106は、アクセスポイント112のアクセスポイント識別子(APID1)132を通信装置110の装置識別子(DID1)138と関連付けるために、上り方向情報116、146、148に基づいて装置−AP相関リスト118を作成する。従って、この例については、WLANコントローラ106は、通信装置110がDAP112に最も近接した対象通信装置であり、DAP112が対象通信装置110に関連付けられる対象DAP112であると判断していたことになる。
【0021】
この例において、WLANコントローラ106は、上り方向146情報を評価して、別のDAP122が対象通信装置110に関連付けられる対象DAP122であると判断する。さらに、WLANコントローラ106は、DAP122が別の通信装置126に最も近接した対象DAP122であると判断する。従って、DAP122のアクセスポイント識別子(APID2)を通信装置110の装置識別子(DID1)138と別の通信装置140の装置識別子(DID2)140とに関連付けることによって、対象DAP122は2つの通信装置110、126と関連付けられる。状況によっては、1つのDAP122から受信した上り方向情報146を用いて、別のDAP112が特定の対象通信装置110に関連付けられるべきか否かを判断してもよい。例えば、WLANコントローラ106は、DAP122で受信したWWAN−RL信号114に関連する上り方向情報146に基づいて対象通信装置110の対象DAP112に対する近接性を計算、又は、推定してもよい。
【0022】
また、この例において、DAP124は、DAP124から受信した上り方向情報148に基づいて、別の2つの通信装置128、130に対して、少なくとも可能性として、WLANサービスを提供できる対象DAP112であると判断される。従って、装置−AP相関リストは、アクセスポイント識別子(APID3)136を通信装置識別子(DID3)142と通信識別子(DID4)144に関連付ける。
【0023】
アクセスポイント識別子及び装置識別子は、特定の実施に基づく数あるフォーマット又は形式のものでよい。好適なフォーマットの例としては、メッシュネットワークにおいて用いる従来型の技術を含む。例えば、電子シリアル番号(ESN)を装置識別子として用いてもよい。
【0024】
WWAN通信システム104は、装置−AP相関リスト118を評価して、装置−AP相関リスト118に応じて、1または複数の対象通信装置110、126、128、130に対するWLAN無線サービスの取得手続きを実行又は開始してもよい。その取得により、状況によっては通信装置110がWWANからメッシュネットワーク102へハンドオフしたり、通信装置110が2つのネットワークから同時に無線サービスを受け取ったりしてもよい。さらに、ユーザデータがメッシュネットワーク102上でしか交換されないとしても、通信装置110は、WWANシステム104の登録を維持してもよい。本実施の形態において、装置−AP相関リスト118は、IPネットワークまたはアクセスルータを介してWWANにおけるアクセスゲートウェイに送信される。しかしながら、状況によっては、装置−AP相関リスト118は、無線リンクを介して送信されてもよい。例えば、WLANコントローラ106がWWAN送信機を含む場合、メッセージは上り方向WWAN信号として送信されうる。
【0025】
そのため、WWAN通信システム104が無線通信サービスを通信装置110に提供している場合、DAPアクセスポイント112、122、124は、通信装置110がWWAN上り方向信号を送信するために用いるWWAN上り方向チャネルを少なくとも周期的に傍受する。上述したように、アクセスポイント112、122、124は、複数のマルチモード通信装置110を検知するための手続きを採用する。DAPアクセスポイント112、122で受信したWWAN上り方向信号に基づいて、DAPアクセスポイント112、122、124は、RL信号情報116、146、148をWLANコントローラ106に送信する。このRL信号情報116、146、148に基づいて、WLANコントローラ106は、WWANシステム104に送信される装置−AP相関リストを作成する。
【0026】
状況によっては、WLANコントローラ106は、DAP112又はNDAP120として動作するようにアクセスポイントを動的に割り当てる。動的アクセスポイントの割り当ての例は、本出願とともに現在申請中の「メッシュネットワークにおけるマルチモード携帯通信装置の検知」と題する関連特許出願に説明されている。
【0027】
図2は、DAPアクセスポイント112が通信装置110から上り方向(RL)WWAN信号114を受信する場合の、通信ネットワーク配置100のブロック図である。従って、単一のアクセスポイント112及び単一の通信装置110について図2を参照して論じる。その原理は、通信装置110及びアクセスポイント112がいくつある場合にも当てはまる。
【0028】
WWAN設備は、インターネットプロトコル(IP)ネットワーク228又は公衆交換電話網(PSTN)等のグローバルネットワークに接続された1または複数の基幹ネットワークを含んでもよい。本実施の形態において、WWAN通信システム104はパケット交換通信技術により動作する。そのようなシステムにおいて、通信設備はパケット交換基幹ネットワークであり、IPシグナリングを用いたWLANとのインターフェース用のアクセスゲートウェイを含む。しかしながら、WWAN通信システム104は、状況によっては、回路交換通信に従って動作することもある。WWAN通信システム104は、多くのプロトコル及びスキームの何れを用いても動作可能である。符号分割多元接続(CDMA)標準規格のいくつかの例として、cdma20001x、1xEV−DO、及びW−CDMAがある。状況によっては、WWAN通信システム104は、例えば、OFDMに基づく標準規格やGSM標準規格等、他の標準規格に合わせて動作することもある。以下に論じる実施形態において、WWANシステム104は、しばしばWiMaxと称されるIEEE802.16(e)標準規格に準拠して動作するOFDMシステムである。WWAN通信システム104に関して記載されたブロックの様々な機能及び動作は、装置、回路、構成要素等の個数がいくつあっても実施可能である。複数の機能ブロックを単一の装置に統合してもよく、単一の装置において行うと記載された複数の機能を複数の装置において実行してもよい。例えば、WWAN設備234の機能の、少なくとも一部を、ある状況下においては、基地局236、基地局コントローラ、MSC等によって実行してもよい。
【0029】
DAPアクセスポイント112は、WWANシステム104と通信するためのWWANインターフェース201及びWLANサービスをマルチモード無線通信装置110等の1または複数の通信装置に提供するためのWLANインターフェース203を含む。DAPアクセスポイント112は、WWANインターフェース201及びWLANインターフェース203に連結されたコントローラ204をさらに含む。コントローラ204は、本明細書に説明した制御機能とともに他の機能を有し、DAPアクセスポイント112の全体の動作を容易にする。コントローラ204は、例えば、1または複数のRAM及び/又はROMメモリ装置を含んでもよいメモリ206と連結される、又は、それを含む。WLANインターフェース203は、上り方向WLAN信号210を受信するためのWLAN受信機208及びWLAN信号214を送信するためのWLAN送信機212を含む。信号210、212は、WLANプロトコルに従って送受信される。好適なWLANプロトコルの例には、IEEE802.11プロトコル及びワイヤレスフィデリティ(WiFi)に準拠したプロトコルがある。状況によっては、アクセスポイント102は、ワイヤを介してアクセスポイント102に接続された装置と通信するための有線LANインターフェース(図示せず)も含んでよい。
【0030】
WWANインターフェース201には、少なくともWWAN−RL信号114を検出するための適切な、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのうち少なくとも一つを含む任意の組み合わせが含まれる。本実施の形態において、WWANインターフェース201は、マルチモード無線通信装置110から送信された上り方向WWAN信号114を受信するように構成可能なWWAN受信機216を含む。本実施の形態において、WWAN受信機216は、上り方向WWAN信号114を受信するための上り方向WWAN受信機220、及び、基地局142からWWAN下り方向信号222を受信するための下り方向WWAN受信機224として構成可能である。状況によっては、2つの別個のWWAN受信機を用いて、WWAN上り方向受信機220及び下り方向受信機224を実現してもよい。下り方向受信機224を用いて、基地局から送信された上り方向スケジューリング情報等の上り方向制御情報を手に入れる。また、実施の際には、WWAN下り方向信号222を受信する能力は省略してもよい。状況によっては、少なくともいくつかのWWANスケジューリング情報を、WWANシステム104から有線のリンクを介してWLANコントローラ106によって受信し、DAP112に転送してもよい。
【0031】
ネットワークインターフェース218は、WLANコントローラ106におけるアクセスポイント(AP)インターフェース225とメッセージを交換する。本実施の形態においてバックホール108は、802.11(a)標準規格に準拠して動作する無線バックホールであり、ネットワークインターフェース218及びAPインターフェース225は、802.11(a)トランシーバである。場合によっては、バックホール108には、インターネット、マイクロ波二点間リンク、光ファイバーケーブル、又は、他の有線又は無線の通信媒体等のパケット交換有線ネットワークを含んでもよい。
【0032】
他の情報に加えて、メモリ206は、メッシュネットワーク通信システム102の使用を認められた各通信装置110に対応する通信装置識別値(装置識別子)を記憶する。装置識別子は、電子シリアル番号(ESN)又は他の独自データを含んでもよい。数ある技術のうちの何れかを用いてアクセスポイント112において装置識別子を記憶してもよい。識別値を記憶する好適な方法の例としては、アクセスポイント112をインストールする際に行われる初期化手続きの間に装置識別子を記憶する方法が含まれる。しかしながら、場合によっては、装置識別子を定期的に更新してもよい。
【0033】
アクセスポイント112は、メッシュネットワーク102から現在WLANサービスを受けていない通信装置110から送信された上り方向WWAN信号114を含んでいる可能性のある上り方向WWANチャネルを傍受する。上り方向WWAN受信機220は、上り方向WWAN信号114を受信するように同調、又は、構成される。受信した1または複数のWWAN−RL信号114に基づいて、コントローラ204はRL情報メッセージ116を作成する。上述したように、RL情報116には、WLANコントローラ106に通信装置110のDAPアクセスポイント112に対する近接性を計算させる、又は、少なくとも推定させる情報が含まれる。本実施の形態において、RL信号情報には、受信したRL−WWAN信号の電力レベル及びタイミング情報が含まれる。この情報の好適な内容の例としては、受信したRL−WWAN信号114の受信時間、送信時間、及び受信電力レベルを送信することが含まれる。タイミング情報用の好適な形式の例には、RL信号における基準点と時間基準との差を示す時間オフセットを含む。送信時間が、WLANコントローラ106によって提供される、又は、基地局142によって下り方向上で送信されたRL制御情報を傍受することにより、アクセスポイント112によって決まる場合、状況によっては、タイミングオフセットは、信号の受信時間と信号の送信時間の時間差であってもよい。状況によっては、コントローラ204が、通信装置110のアクセスポイント112に対する近接性を計算、又は、推定してもよい。そのため、状況によっては、RL情報116が通信装置110のアクセスポイント112に対する近接性であってもよい。
【0034】
WLANコントローラ106は、メッシュネットワーク通信システム102のシステムレベルの機能を管理し、本明細書で論じている管理機能を実行し、かつ、メッシュネットワークの機能全体を容易にするためのハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのうち少なくとも一つを含む任意の組み合わせを含む。WLANコントローラ106に関して記載したブロックの様々な機能及び動作を実施するにあたって、装置、回路、構成要素等の数はいくつでもよい。複数の機能ブロックを単一の装置に統合してもよいし、単一のブロックにおいて行うと記載した機能をいくつかの装置において実行してもよい。例えば、WWANインターフェース227の機能のうち少なくともいくつかは、ネットワークインターフェース226によって行われる。WLANコントローラは、アクセスポイント112、120、122、124と通信するためのAPインターフェース225及びインターネットプロトコル(IP)ネットワーク228に接続するためのネットワークインターフェース226を含む。WWANインターフェース229は、WWAN通信システム104におけるアクセスゲートウェイ230とメッセージを交換する。状況によっては、WWANインターフェース229は、IPネットワーク228を介してWWANシステム104と通信してもよい。そのため、ネットワークインターフェース226は、パケットデータ通信を提供し、インターネット及びWWAN設備234におけるアクセスゲートウェイ230へのアクセスを容易にする。
【0035】
他の情報に加えて、メモリ231は、メッシュネットワーク通信システム102の使用を認められた各通信システム110に対応する装置識別子を記憶する。さらに、アクセスポイントに対応するアクセスポイント識別子も、メモリ231に維持される。
【0036】
WLANコントローラ106は、RL情報116、146、148をDAP112からAPインターフェース225を介して受信する。プロセッサ232は、通信装置110のDAP112への近接性を、RL情報116に基づいて特定する。他のRL情報146を他のDAP122から受信すると、プロセッサ232は、通信装置110の他のDAP122への近接性を特定する。状況によっては、プロセッサ232は、1または複数の他のDAP122から受信したRL情報146に基づいてDAP112のうちの1つへの近接性を特定してもよい。
【0037】
本実施の形態において、近接性を用いて通信装置110が1または複数のアクセスポイント112、122の範囲に在圏するか否か、そして、メッシュネットワーク通信システム102からWLANサービスを受信可能か否かが判断される。WLANコントローラ106のプロセッサ232は、電力レベル及びタイミング以外の要因に基づいて装置−AP相関リスト118を作成し、送信するか否かを判断してもよい。例えば、要因には、WWAN−RL信号の電力レベルのみを含んでもよいし、着信しているRL信号を復号するWWAN−RL受信機220の能力のみに基づくものであってもよい。装置−AP相関リスト118は、WWANシステム104を提供して、WLANネットワーク取得手続きを通信のために行うべきか否かをより効率的に判断する。そのため、装置−AP相関リスト118を作成するための判断及びその内容は、近接性に加えて他の基準に基づいてもよい。アクセスポイントがWLANサービスを提供すべきか否かを判断するために多くの基準のうちの何れの基準が用いられてもよい。ここで、この基準には、アクセスポイント112の容量、メッシュネットワーク通信ネットワーク102の容量、通信装置110の要件のうち少なくとも1つに関する条件を含んでも良い。プロセッサ232は、WWAN−RL信号を用いて、通信装置110がDAPサービスエリア132、134及びメッシュネットワークサービスエリア126に在圏するか否かを判断する。通信装置110がアクセスポイント112のWLANサービスエリアに在圏するか否かを判断するために用いられる基準は、WWANのタイプによって決まる。 いくつかの技術のうちの何れかを用いて、WWAN−RL信号に基づいて通信装置110の近接性が特定されてもよい。以下にさらに詳細に論じる本実施の形態において、基地局から通信装置110に送信された下り方向WWAN信号は、アクセスポイント112、122、124のうち一つによって傍受され、電力レベル情報を決定するために復号される。その情報は、WLANコントローラ106へ転送される。ここでは、WWAN−RL信号の受信電力と送信電力との差及び信号伝搬時間に基づいて、WLANコントローラ106は、通信装置110とWWAN−RL信号114を受信するアクセスポイント112との距離を特定する。状況によって、WLANコントローラ106は、また、WWAN−RL信号の到着時間及び伝送時間の差のみに基づいて距離を特定してもよい。他の例において、受信電力レベルが閾値よりも大きく、伝送電力レベルに関する情報がない場合に、WLANコントローラ106は、通信装置110が装置−AP相関リスト118におけるAPIDを含むほど十分に近いと判断してもよい。近接性を特定するのに好適な技術の他の例として、複数のアンテナ又はスマートアンテナを利用して、通信装置110のアクセスポイント112に対する近接性を通信装置110から送信された上り方向WWAN信号に基づいて判断することを含む。例えば、ビーム形成アンテナは、距離情報を提供して、コントローラが、通信装置110がWLANサービスエリアに在圏するか否かを判断できるようにしてもよい。さらに、WLANコントローラは、他のアクセスポイント122から受信したタイミング及び/又は電力情報を用いて、DAP112への近接性を特定してもよい。他の技術又は技術の組み合わせを用いてもよい。
【0038】
本実施の形態において、WWAN設備234は、少なくとも1つのアクセスゲートウェイ230を含むパケット交換基幹ネットワークを含む。WWANインターフェース227及びネットワークインターフェース226は、有線及び無線接続の任意の組み合わせを用いてアクセスゲートウェイ230に接続されてもよい。好適な接続の例としては、T1ライン、光ケーブル、同軸ケーブル、及び二点間マイクロ波がある。アクセスゲートウェイ230は、WLANコントローラ106がWWAN設備234と通信できるようにする通信インターフェースである。
【0039】
動作の間、電力レベルに関する情報は、各通信装置110に対応する電力制御情報を含むWWAN−FL信号を傍受することで決定される。本実施の形態において、情報は、WWAN−FL信号において送信されたUL−MAPから抽出される。コントローラプロセッサ232は、記憶された各識別値と関連付けられた各通信装置の現在の電力レベルを維持する。状況によっては、他の情報が、上り方向WWAN信号の伝送電力を決定するために要求されてもよい。また、信号タイミング情報が、WWAN−RL信号のWWAN−RL信号伝搬時間、すなわち、通信装置110の近接性を計算するために用いられることが可能な下り方向WWAN信号から抽出してもよい。状況によっては、伝搬時間、伝搬損失、及び他のパラメータの組み合わせを用いて近接性が特定されてもよい。
【0040】
通信装置110のアクセスポイント112に対する近接性が特定された後、プロセッサ232は、アクセスポイント112、122、124の何れかがWLANサービスを通信装置110に提供しなければならないか否かを判断する。プロセッサ232は、近接性及び他の要因に基づいて、装置−AP相関リスト118を作成する。装置−AP相関リスト118を含むメッセージは、WWANインターフェース227を介して、あるいはネットワークインターフェース226とIPネットワーク228とを介してWWAN通信システム104に送信される。
【0041】
装置−AP相関リスト118は、基幹ネットワークによるWLANコントローラ106の識別を支援するセキュリティプロトコルを含んでもよい。WWAN設備は、装置−AP相関リスト118を評価して、必要であれば、どの通信装置がWLANサービスを取得すべきであると指示されるべきかを判断する。状況によっては、WWAN設備(基幹ネットワーク)234は、通信装置110が、WLANシステムを探索すべきであることを示す指示を通信装置110に対して送信する。その指示に応じて、通信装置110は、WLANインターフェースをアクティブにし、WLANインターフェースを同調させ、周知の技術に従ってWLAN信号を探索する。他の状況においては、WWAN設備(基幹ネットワーク)234は、通信装置110が、相関性リスト118において通信装置に関連付けられた特定のアクセスポイント112を探索すべきであることを示す指示を、通信装置110に対して送信する。他の状況においては、WWAN設備(基幹ネットワーク)234は、通信装置110に、利用可能な任意のアクセスポイントからWLANサービスを取得するよう指示してもよい。さらに、WWAN設備は、複数の対象DAP及び関連通信装置に関するパラメータを評価して、DAPサービスを提供するために好ましいDAPを選択してもよい。数ある技術やアルゴリズムのうちの何れかを用いて、装置−AP相関リスト118及び他の要因に含まれる情報やパラメータに基づいて、メッシュネットワーク通信システム102へのハンドオフが効率的に管理されてもよい。
【0042】
図3は、本実施の形態によるWLANコントローラ106において行われる装置−AP相関リスト118の作成方法のフローチャートである。この方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのうち少なくとも一つを含む任意の組み合わせによって行ってもよい。以下に論じるステップの順序は変更してもよく、状況によっては、1または複数のステップを同時に行ってもよい。本実施の形態において、WLANコントローラ106におけるプロセッサ232において符号化を実行することによりその方法を少なくとも部分的に実施する。
【0043】
ステップ302において、上り方向(RL)情報116(146)が1または複数のDAP110(112)から受信される。アクセスポイントインターフェース225は、DAP112、122、124が送信したRL情報116、146、148を含む信号を受信し、復号する。本実施の形態において、RL情報116は、プロセッサ232に転送され、信号タイミング及び電力情報を含む。
【0044】
ステップ304において、少なくとも1つのDAP112に対する、通信装置110の近接性が計算される。本実施の形態において、RL情報116、146、148を提供する各DAP112、122、124に対する通信装置の近接性が計算される。1つのDAP122によって提供されたRL情報146を用いて、通信装置110の別のDAP112に対する近接性が計算されてもよい。近接性の計算は、受信したWWAN−RL信号の任意の数のパラメータ及び特徴及び他の要素に基づいてもよい。好適なRL情報パラメータの例としては、信号電力レベル及びDAP112における伝送時間と受信時間とのタイミングオフセットに関するパラメータがある。他の関連要素には、伝送電力レベル、1または複数のWWAN基地局の位置、及びタイムスタンプ、電力レベル表示、及び、電力制御表示等のWWAN−RL信号やWWAN−FL信号から抽出した情報が含まれてもよい。特定の要素及び計算技術は、WWAN通信システム104のタイプによって決まる。OFDMに基づくシステムIEEE802.16に好適なDAP112においてRL情報を取得する一般的な技術を以下の図6を用いて論じる。
【0045】
ステップ306において、装置−AP相関リスト118が作成される。装置−AP相関リスト118は、通信装置110、126、128、130のDAP112、122、124に対する近接性のみに基づいているが、状況によっては他の要因を考慮してもよい。他の要因の例には、アクセスポイント110、122、124の容量、メッシュネットワークの容量、通信装置110、122、126、128が要求する要求帯域、WWANサービスの現在の費用、および通信装置の推定動作が含まれる。
【0046】
ステップ308において、装置−AP相関リスト118がWWAN通信システム104に送信される。本実施の形態において、リスト118を含むメッセージは、ネットワークインターフェース226を用いるIPネットワーク228を介して、あるいはバックホール接続を介してWWANインターフェース227によって、WWAN通信システム104におけるアクセスゲートウェイ230に送信される。上述したように、装置−AP相関リスト118は、他の表示や情報が含まれてもよいが、少なくとも、通信装置110がアクセスポイント112、122、124の範囲に在圏する可能性があることを示す。WLANコントローラ106は、他の技術を用いてリスト118を送信してもよい。例えば、状況によっては、WWAN−RLチャネルを介してリスト118を基地局236に送信してもよい。WWANシステム104は、リスト118の内容に基づいて、WLANサービスの取得や、WLANサービスの探索、又は、アクセスポイント110へのハンドオフを開始してもよい。
【0047】
図4は、本実施の形態によりDAP112において行われるマルチモード無線通信装置110に対する無線サービスの管理方法のフローチャートである。この方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアのうち少なくとも一つを含む任意の組み合わせによって行われてもよい。以下に論じるステップの順序は変更してもよく、状況によっては、1または複数のステップが同時に行われてもよい。本実施の形態において、DAP112のコントローラ204における符号化を実行することによりその方法を少なくとも部分的に実施する。
【0048】
ステップ402において、DAP112は、WLANコントローラ106からユーザリストを受信する。アクセスポイント110は、ユーザリストをメモリ206に保持する。ユーザリストに対する変更は、WLANコントローラ106からバックホール108を介してアクセスポイント112に送信されたメッセージに含まれる。状況によっては、新規のユーザリストが送信されてもよいし、他の状況においては、ユーザリストに対する変更のみが送信されてもよい。メッセージは、バックホール108を介したWLANコントローラ106とDAP112、122との間の通信に好適な任意のプロトコル及び技術によって送信される。
【0049】
ステップ404において、DAP112は、WWAN−FLチャネルを傍受し、受信したWWAN−FL信号222を復号する。下り方向(FL)受信機224は、基地局からユーザリストに含まれる任意の通信装置に送信されたFL信号を含む可能性のあるFLチャネルに同調される。傍受されたFL信号は、上り方向スケジューリング情報を決定するために復号、評価される。状況によっては、FL信号中の少なくともいくつかの情報を、有線リンクを介してWLANコントローラ106において受信し、DAP112に転送してもよい。
【0050】
ステップ406において、他のアクセスポイントによって決定された上り方向スケジューリング情報がWLANコントローラ106から受信される。他のアクセスポイント112が上り方向スケジューリング情報をすでに取得してWLANコントローラ106に転送していた場合、WLANコントローラ106は、上り方向スケジューリング情報を他の全てのDAPに転送する。DAP112は、ユーザリストにある関連付けられた通信装置を含む情報をメモリ206に記憶する。
【0051】
ステップ408において、DAP112は、FL−WWAN信号から抽出した上り方向スケジューリング情報をWLANコントローラ106に送信する。コントローラ204は、必要であれば、記憶したスケジューリング情報と、FL−WWAN信号から得たスケジューリング情報とを比較し、新規のスケジューリング情報が記憶した情報と異なる場合、スケジューリング情報をWLANコントローラ106に送信する。
【0052】
ステップ410において、WWAN上り方向(RL)チャネルが傍受され、WWAN−RL信号がDAP112において受信されたか否かが判断される。WWANインターフェースにおけるRL−WWAN受信機220は、少なくとも周期的にWWAN上り方向(RL)チャネルを傍受する。本実施の形態において、WWAN−RL受信機220を同調させて、ユーザリストの通信装置110のうちの何れかから送信された何れかのWWAN−RL信号202が復号される。DAP112は、ユーザリストにはない通信装置110を検知可能であるが、識別情報なしでは信号を復号できない。しかしながら、状況によっては、WWAN−RL受信機220は、全てのRLチャネルを傍受するように構成されてもよい。WWAN−RL信号が受信された場合、ステップ412に進む。そうでなければ、ステップ402に戻る。
【0053】
ステップ412において、受信したWWAN−RL信号114の特徴が測定される。本実施の形態において、受信した信号の受信時間及び電力レベルが、測定され、記憶される。信号の他の特徴が測定されてもよい。他の特徴の例には、信号雑音測定が含まれる。
【0054】
ステップ414において、RL情報メッセージ116が作成される。1または複数のRL−WWAN信号の特徴は、対応する通信装置の識別子と関連付けられ、バックホールを介してWLANコントローラ106へ送信するのに好適なメッセージ内でフォーマットされる。本実施の形態において、信号受信時間及び信号電力レベルは、RL情報メッセージ116内でフォーマットされる。
【0055】
ステップ416において、RL情報がWLANコントローラ106に送信される。WLANコントローラは、RL情報メッセージをバックホールに接続されたネットワークインターフェース218を介して送信する。WLANコントローラ106は、APインターフェース225を介してRL情報メッセージ116を受信する。ステップ402に戻り、下り方向及び上り方向WWANチャネルの傍受が継続される。
【0056】
図5は、WWANシステム104がOFDM技術に準拠して動作している場合の、DAP112におけるWWAN−FLチャネルを傍受する方法のフローチャートである。一般的な方法は、IEEE802.16(e)プロトコルに準拠して動作するOFDMAシステム内で動作する。図5を参照して説明した方法は、DAP112が上り方向WWANチャネルを傍受することを可能とする情報を取得するのに好適な技術の例である。上述したように、DAP112は、あるスケジューリング情報及び識別情報を、WLANコントローラ106を介して取得してもよい。図5及び図6を参照して論じたように、下り方向(FL)WWAN信号及びWWAN−FLチャネルは、下り方向(DL)信号及び下り方向(DL)チャネルと呼ばれ、OFDMA基地局から通信装置110への通信に対応する。OFDMA基地局は、アクセスノード(AN)と呼ばれることもある。図5及び図6を参照して論じたように、上り方向(RL)WWAN信号及びWWAN−RLチャネルは上り方向(UL)信号及び上り方向(UL)チャネルと呼ばれ、通信装置110からOFDMA基地局への通信に対応する。周知のように、IEEE802.16(e)標準規格(WiMax)は、時分割多重(TDD)又は周波数分割多重(FDD)方式において動作可能である。本実施の形態において、システムはTDDモードで動作する。当業者であれば、本明細書の教示を適用してそのシステムをFDDモードで実施することは容易であろう。TDDモードでは、各フレームが下り方向(DL)サブフレーム及び上り方向(UL)サブフレームに分割される。DLサブフレームには、プリアンブル、制御情報、及び他の一斉配信メッセージやパケットが含まれる。制御情報には、DLとULのMAPが含まれる。各通信装置110には、データパケットを受信するためのそれぞれの周波数の特定のセットが割り当てられる。また、各通信装置106には、ULで送信するための周波数セットも割り当てられる。
【0057】
ステップ502において、コントローラ204は、DLフレームの開始を位置付ける。フレームの開始位置が見つかった場合、ステップ504に進む。そうでなければ、ステップ502を繰り返す。
【0058】
ステップ504において、WWAN−FL受信機224は、DLサブフレームのプリアンブルを用いて着信信号を取得し、着信信号に同期させる。そのため、WWAN−FL受信機224は、一般的な方法においてDL受信機の機能を実行する。
【0059】
ステップ506において、フレーム制御ヘッダ(FCH)が復号され、DLデータバースト長及び符号化方式が決定される。代表的な方法において、FCHバーストにはプリアンブルが続く。IEEE802.16標準規格に準拠して動作するネットワークにおいて、上り方向マップ(UL−MAP)は、バーストの開始時間及び通信装置106毎のULチャネルの周波数を定義するメディアアクセス制御(MAC)メッセージである。
【0060】
ステップ508において、UL−MAPは復号される。従って、受信したDL信号から、コントローラ204がUL信号のタイミング及び通信装置110に割り当てられた伝搬周波数を決定することを可能とするUL−MAPにおける情報が得られる。また、UL−MAPには、基地局(アクセスノード)からDL信号を受信している通信装置に対応するユーザ識別(ID)情報が含まれる。
【0061】
ステップ510において、アクセスポイント110においてユーザリスト512に載っている1または複数の通信装置が、UL−MAPに含まれるか否かが判断される。ユーザリスト512には、アクセスポイント110にサポートされている通信装置を一意に識別する識別情報が含まれる。例えば、IEEE802.16(e)標準規格では、装置を識別するために製造者が発行したX.509デジタル証明書が用いられる。本実施の形態において、ユーザリストは、WLANコントローラ106によって提供され、適時更新される。しかしながら、ユーザリスト512は、DAP112を設置する際にプログラムされてもよいし、ユーザIDを追加又は削除するように変更されてもよい。ユーザリストに載っているユーザIDがUL−MAPに含まれていない場合、ステップ502に戻る。そうでなければ、ステップ514に進む。状況によっては、UL−MAPは、具体的な識別番号を含まなくてもよく、通信装置110の同一性を判定するために用いることができる間接的な識別情報を含んでもよい。
【0062】
ステップ514において、識別されたユーザの全てに対する制御情報は、UL−MAP又は他の制御メッセージから抽出される。制御情報は、RL伝送電力レベル及び通信装置110から送信されたWWAN−RL信号に対するRL伝送時間を含む伝送RL制御情報である。識別された通信装置に対応するタイミング情報は、復号したUL−MAPから抽出されメモリに記憶される。制御情報及びスケジューリング情報は、上述したようにWLANコントローラ106に転送される。
【0063】
図6は、WWANシステム104がIEEE802.16(e)等のOFDMAに基づくシステムに準拠して動作する場合の、無線リソースの管理の代表的方法に関するフローチャートである。その代表的方法は、DAP112によって行われ、WWAN−RLチャネルの傍受、受信したWWAN−RL信号に基づくWLANコントローラ106への上り方向情報116の送信を含む。上述したように、図6を参照して、WWAN−RL信号及びWWAN−RLチャネルは、UL信号及びULチャネルと呼ばれる。アクセスポイント110は、図5を参照して論じた方法によって決められた情報、又はアクセスゲートウェイ230から受信した情報を用いて、UL−WWANチャネルを傍受し、上り方向情報116をWLANコントローラ106に送信する。従って、ステップ602〜604は、図4を参照してすでに論じたステップ404及び412を行うための代表的な技術である。
【0064】
ステップ602において、WWAN受信機220は、ULマップによって示されるULサブキャリア周波数に同調される。アクセスゲートウェイから受信した、あるいは、ステップ514で抽出されたULサブキャリア周波数を用いがWWAN−RL受信機220の同調に使用される。状況によっては、単一の受信機が、上り方向と下り方向の両方の周波数に同調されてもよい。本実施の形態において、WWANインターフェース201は、UL及びDL信号を同時に受信可能である。
【0065】
ステップ604において、受信したUL−WWAN信号の特徴が測定される。本実施の形態において、コントローラ204は、受信したUL信号の電力レベル及び受信時間を決定する。状況によっては、受信時間又は電力レベルのみが決定されることもある。周知の技術により、受信したUL−WWAN信号の電力が測定され、メモリ206に記憶される。受信時間は、システム時間と比較して決定され、メモリに記憶される。信号の特徴から、通信装置110のDAP112及び他のDAP122に対する近接性に関する情報が得られる場合には、信号の他の特徴が決定されてもよい。本実施の形態においては、コストを最小限に抑えるために、識別情報を用いて通信装置110のみを識別し、信号の復号は行わない。しかしながら、実行の際には、識別情報を用いてWWAN−RL信号を復号してもよい。
【0066】
図7は、WWANシステム104がIEEE802.16(e)等のOFDMAに基づいたシステムに準拠して動作する場合の、WLANコントローラ106において実施される無線リソースの管理の代表的な方法のフローチャートである。この代表的方法には、DAP112、122,124から受信したRL情報を用いて装置−AP相関リスト118を作成することが含まれる。
【0067】
ステップ702において、WLANコントローラ106は、通信装置110、126、128、130の近接性を、1または複数のDAP112、122、124から受信した上り方向情報116、146、148に基づいて計算する。UL信号の特徴に基づいて、プロセッサ232は、各アクセスポイントから各通信装置への距離を特定する。UL−MAPから特定したWWAN−UL信号の伝送時間及び受信時間を用いて、プロセッサ232は、信号の伝搬時間を計算する。信号の伝搬減衰は、伝送電力と受信電力との差を計算することにより決定される。プロセッサ232は、伝搬パラメータのどちらか一方又はその両方を用いて、通信装置のアクセスポイントに対する近接性を計算する。例えば、距離は、伝搬時間に光速を掛けて決定してもよい。また、距離は、伝搬損失をアンテナに対する距離関数毎の公知の伝搬損失と比較して計算されることもできる。距離の値は平均化してもよいし、近接性を求めるために処理してもよい。さらに、プロセッサ232は、他のアクセスポイントから受信した上り方向情報を用いてアクセスポイントへの近接性を特定してもよい。
【0068】
ステップ704において、各通信装置110の最も近いDAPに対する近接性が閾値より低いか否かが判断される。そのため、閾値は、最大近接値であり、いつくかの要因の何れかに基づくものであってもよい。さらに、場合によって閾値は、動的であってもよい。本実施の形態において閾値は、DAPがWLANサービスを通信装置に対して提供可能である、通信装置とDAPとの間の距離の最大値である。近接性が閾値より低い場合、ステップ706に進む。そうでなければ、新規RL情報を受信した時にステップ702に戻る手続きを含むステップ710に進む。
【0069】
ステップ706において、各DAPがWLANサービスを1または複数の通信装置に対してWLANサービスを提供可能であるか否かが判断される。この判断は、通信装置のDAPに対する近接性のみに基づいてもよいが、状況によっては、他の要因を考慮してもよい。他の要因の例には、DAPの容量、メッシュネットワーク通信システム102の容量、通信装置110が要求する要求帯域、WWANサービスの現在の費用、通信装置110の推定動作が含まれる。WLANコントローラが、DAPは利用可能であると判断した場合、DAPは対象アクセスポイントであると見なされる。ステップ710において、対応する装置識別子(DID)を有する適切なアクセスポイント識別子(APID)が、装置−AP相関リストに追加される。WLANサービスを提供可能なアクセスポイントがない場合、ステップ708に進み、そうでなければ、ステップ710へ進む。
【0070】
ステップ710において、対象アクセスポイントに対応する各アクセスポイント識別子がリスト118に追加され、対象通信装置に対応する装置識別子と関連付けられる。上述したように、数ある技術のうちの何れかを用いてリスト118が作成されてもよい。
【0071】
ステップ714において、装置−AP相関リスト118がWWANサービスプロバイダに送信される。メッセージには、WWANシステム104が、解釈し、WWANシステム104が、対象通信装置にハンドオフを行わせるように、又は、WLANサービスを探索させるように効率的に指示することを可能とする情報が含まれる。WLANシステム104から通信装置110への指示により、対象DAPが探索されることになる。状況によっては、この取得によりWWANシステムからWLANシステムへのハンドオフが起こることになる。他の状況においては、サービスが、WWANシステム104から維持されてもよいし、通信装置が、WWAN通信チャネルを介して送信されるユーザデータがない場合でも、WWANシステム104に登録されたままでよい。
【0072】
そのため、マルチモード無線通信装置に対するWWANサービス及びWLANサービスは、WWANシステムに装置−AP相関リストを提供することで効率的に管理される。WWANシステムは、必要であれば、どの対象通信装置がWLANサービスを取得すべきであるかを判断できる。さらに、WWANシステムは、どの対象アクセスポイントが特定の対象通信装置に対してWLANサービスを提供すべきであるかを効率的に判断できる。
【0073】
当業者であれば、これらの教示に照らして本発明の他の実施形態及び補正を容易に考えつくことは明らかである。上記記述は、説明用であり限定するものではない。本発明は、上述した明細書及び添付の図と合わせて見た場合に、そのような実施形態や補正の全てが含まれている以下の請求項によってのみ限定されるべきである。よって、本発明の範囲は上記の説明を参照にして特定されるべきではなく、添付の請求項およびそれらの同等物の全範囲を参照して特定されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュネットワークサービスエリア内に無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)サービスを提供するメッシュネットワーク通信システムであって、
前記メッシュネットワーク通信システム内にWLANサービスを提供するように構成され、複数の検知用アクセスポイント(DAP)を含む複数のアクセスポイントであって、前記複数の検知用アクセスポイント(DAP)はマルチモード無線通信装置が送信した上り方向(RL)無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)信号を受信するように構成される前記複数のアクセスポイントと、
バックホールを介して前記複数のアクセスポイントに接続され、対象アクセスポイント識別子と関連付けられた装置識別子を含む装置−アクセスポイント相関リスト(装置−AP相関リスト)を無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)に送信するように構成されたWLANコントローラと、を含み、
前記装置識別子は、前記対象アクセスポイント識別子によって識別された対象アクセスポイントに最も近接した対象マルチモード無線通信装置を、前記RL−WWAN信号に基づいて一意に識別するメッシュネットワーク通信システム。
【請求項2】
前記WLANコントローラは、
前記複数のDAPから、前記RL−WWAN信号に基づく上り方向情報を受信するように構成されたアクセスポイントインターフェースと、
前記上り方向情報に基づいて、前記マルチモード通信装置から前記対象マルチモード無線通信装置を識別するように構成されたプロセッサと、を含む請求項1のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、さらに、前記対象マルチモード無線通信装置の前記対象アクセスポイントへの前記近接性を前記上り方向情報に基づいて推定し、前記対象マルチモード無線通信装置が対象アクセスポイントサービスエリアに在圏することを前記近接性に基づいて判断するように構成される請求項2のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサは、さらに、1または複数のDAPにおいて受信した1または複数のWWAN信号の受信電力レベルに基づいて前記近接性を推定するように構成される請求項3のシステム。
【請求項5】
前記DAPのうちの少なくとも1つは、前記対象マルチモード無線通信装置のための制御データを含む下り方向WWAN信号を受信するように構成された下り方向WWAN受信機をさらに含み、前記プロセッサは、さらに、少なくとも部分的に前記制御データ及び前記1または複数のWWAN信号の前記受信電力レベルに基づいて、前記装置−AP相関リストを作成するように構成される請求項4のシステム。
【請求項6】
前記プロセッサは、さらに、前記対象マルチモード無線通信装置が前記対象アクセスポイントサービスエリアに在圏するという前記判断に基づいて、前記装置識別子の前記対象アクセスポイント識別子に対する相関を示す前記装置−AP相関リストを作成するように構成される請求項3のシステム。
【請求項7】
前記対象アクセスポイントは、DAPである請求項1のシステム。
【請求項8】
前記装置−AP相関リストは、複数の対象アクセスポイント識別子と複数の装置識別子を含み、各対象アクセスポイント識別子は、少なくとも1つの装置識別子に関連付けられる請求項1のシステム。
【請求項9】
前記装置−AP相関リストは、複数の対象アクセスポイント識別子及び複数の装置識別子を含み、前記対象アクセスポイント識別子の少なくとも1つは複数の対象アクセスポイント識別子に関連付けられる請求項1のシステム。
【請求項10】
前記DAPはそれぞれ、WWAN上り方向受信機を含む請求項1のシステム。
【請求項11】
前記WLANコントローラは、アクセスポイントである請求項1のシステム。
【請求項12】
メッシュネットワークサービスエリア内に無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)サービスを提供するメッシュネットワークを形成する複数のアクセスポイントと通信するように構成されたWLANコントローラであって、
マルチモード無線通信装置が送信し、検知用アクセスポイント(DAP)サービスエリア内にWLANサービスを提供する1または複数のDAPにおいて受信した上り方向無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)信号に関する上り方向情報を受信するように構成されたアクセスポイントインターフェースと、
無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)に対して、対象アクセスポイント識別子と関連付けられた装置識別子を含む装置−アクセスポイント相関リスト(装置−AP相関リスト)を送信するように構成されたWWANインターフェースと、を含み、
前記装置識別子は、前記対象アクセスポイント識別子によって識別された対象アクセスポイントに最も近接した対象マルチモード無線通信装置を、前記RL−WWAN信号に基づいて一意に識別するWLANコントローラ。
【請求項13】
前記対象マルチモード無線通信装置を前記上り方向情報に基づいて識別するように構成されたプロセッサをさらに含む請求項12のWLANコントローラ。
【請求項14】
前記プロセッサは、さらに、前記対象マルチモード無線通信装置の前記対象アクセスポイントに対する前記近接性を前記上り方向情報に基づいて推定し、前記対象マルチモード無線通信装置は、対象アクセスポイントサービスエリアに在圏することを前記近接性に基づいて判断するように構成される請求項13のWLANコントローラ。
【請求項15】
前記プロセッサは、さらに、1または複数のDAPで受信した1または複数のWWAN信号の受信電力レベルに基づいて前記近接性を推定するように構成される請求項14のWLANコントローラ。
【請求項16】
前記プロセッサは、さらに、上り方向制御データ及び前記受信電力レベルに少なくとも部分的に基づいて前記装置−AP相関リストを作成するように構成される請求項15のWLANコントローラ。
【請求項17】
前記上り方向制御データを、下り方向(FL)WWAN受信機を有するDAPで受信する請求項16のWLANコントローラ。
【請求項18】
前記プロセッサは、さらに、前記対象マルチモード無線通信装置が前記対象アクセスポイントサービスエリアに在圏するという前記判断に基づいて、前記装置識別子の前記対象アクセスポイント識別子に対する相関を示す前記装置−AP相関リストを作成するように構成される請求項15のWLANコントローラ。
【請求項19】
前記装置−AP相関リストは、複数の対象アクセスポイント識別子と複数の装置識別子を含み、各対象アクセスポイント識別子は、少なくとも1つの装置識別子に関連付けられる請求項12のWLANコントローラ。
【請求項20】
前記装置−AP相関リストは、複数の対象アクセスポイント識別子と複数の装置識別子を含み、前記対象アクセスポイント識別子の少なくとも1つは、複数の対象アクセスポイント識別子と関連付けられる請求項12のWLANコントローラ。
【請求項21】
前記WLANコントローラは、アクセスポイントである請求項1のWLANコントローラ。
【請求項22】
無線ワイドエリアネットワーク(WWAN)システムであって、
メッシュネットワークを形成する複数のアクセスポイントに接続されている無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)コントローラから装置−アクセスポイント相関リスト(装置−AP相関リスト)を受信するように構成されたアクセスゲートウェイを含み、
前記装置−AP相関リストは、対象アクセスポイント識別子と関連付けられた装置識別子を含み、
前記装置識別子は、前記対象アクセスポイント識別子によって識別された対象アクセスポイントに最も近接した対象マルチモード無線通信装置を、アクセスポイントにおいて受信したRL−WWAN信号に基づいて一意に識別するWWANシステム。
【請求項23】
前記装置−AP相関リストに応じて、前記WWANシステムから前記メッシュネットワークへの前記対象マルチモード無線通信装置によるハンドオフ手続きを開始するように構成されたプロセッサをさらに含む請求項22のWWANシステム。
【請求項24】
前記装置−AP相関リストは、複数の対象アクセスポイント識別子と複数の装置識別子を含み、前記対象アクセスポイント識別子の少なくとも1つは、複数の対象アクセスポイント識別子と関連付けられ、前記プロセッサは、前記複数の対象アクセスポイント識別子のうちの1つへのハンドオフ手続きを開始するように構成される請求項23のWWANシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−512056(P2010−512056A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539365(P2009−539365)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/024743
【国際公開番号】WO2008/066929
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】