説明

マルチルーメンカニューレ

本出願は、血流を血液ポンプレシピエントに提供するための方法及び材料に関する。例えば、哺乳動物の循環系に接続し、血液ポンプ(12)(例えば、補助装置)と共に使用することができる、カニューレ(11)を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2009年5月20日に出願された「マルチルーメンカニューレ(multi-lumen cannula)」という表題の米国特許出願公開第12/469,328号の優先権と最大限の利益を主張する。
【0002】
(背景)
1. 技術分野
本明細書は、血流を血液ポンプレシピエントに提供するための方法及び材料に関する。例えば、哺乳動物の循環系に接続し、血液ポンプ(例えば、補助装置)と共に使用することができる、カニューレを提供する。
【背景技術】
【0003】
2. 背景情報
機械的循環補助(MCS)は、電気的又は空気的に駆動された血液ポンプを用いて心不全の心臓において血流を改善する方法である。心室補助装置(VAD)は、レシピエント自身の心臓と連動して、身体全体にわたって十分な血液を送るように作用する移植可能な血液ポンプである。心不全は、心臓の右側に影響を及ぼし、心臓の肺へ血液を送り出す能力を制限するか、又は、心臓の左側に影響を及ぼし、十分な酸素が豊富な血液を身体の残部に送ることができなくなる。多くの場合、心臓の両側が影響を受ける。VADは、生体臓器に一定の血流を送達することによって、レシピエントが心臓移植を待つ間に短期的なMCSを提供する、又は、移植の候補でないレシピエントに恒久的なMCSを提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(概要)
本明細書は、血液ポンプレシピエントに血流を提供するための方法及び材料に関する。例えば、本明細書は、哺乳動物の循環系に接続し、血液ポンプ(例えば、補助装置)と共に使用することができるカニューレを提供する。場合によっては、本明細書で提供されるカニューレは、単一の挿入部位を必要とし得る偏心性のマルチルーメン構造を有し得る。例えば、腎形状のルーメンのノッチにおいて入れ子にされた円形状のルーメン及び薄く柔軟な隔壁を特徴とするカニューレを提供する。本明細書で提供されるカニューレは、有益な流体力学によって血流通路を提供し、また、血液ポンプ配置に関連する複雑性を低減すことができる。
【0005】
一般に、血液ポンプと使用するカニューレを説明する。該カニューレは、近位領域と、遠位領域と、該近位領域と遠位領域の間に位置する中間領域とを有するハウジングを含む。該ハウジングは、第1のルーメンと第2のルーメンを区画形成する。該第1のルーメンは、(a)該ハウジングの近位領域内に位置し、血液ポンプと係合するように適合する近位端と、(b)該ハウジングの遠位領域内に位置し、心血管系内に配置されるように適合する遠位端とを含む。該第2のルーメンは、(a)該ハウジングの近位領域内に位置し、血液ポンプと係合するように適合する近位端と、(b)該ハウジングの中間領域内に位置し、心血管系内に配置されるように適合する遠位端とを具備する。該第1及び第2のルーメンのうちの一つは、中間領域において一般に腎形の断面形状を有する。
【0006】
別の態様において、本明細書は、上述のようなカニューレを哺乳動物の心臓に移植する方法を説明する。該方法は、哺乳動物の心臓若しくは血管への穿孔と、カニューレの心室への挿入とを実質的に含む、又はこれらから成り、その結果、該カニューレの遠位領域が哺乳動物の血管内に配置され、該カニューレの中間領域が哺乳動物の心室内に配置される。該方法には、血液ポンプのカニューレの近位領域への接続が含まれ得る。血液ポンプは、該カニューレの該第2のルーメンを通じて心臓から血液を受け、該カニューレの該第1のルーメンを通じて血管に血液を送ることができる。該第1のルーメンの遠位端は大動脈に配置され、該第2のルーメンの遠位端は左心室に配置され得る。別の態様において、該第1のルーメンの遠位端は肺動脈に配置され、該第2のルーメンの遠位端は右心室に配置され得る。
【0007】
別の態様において、本明細書は、哺乳動物に血流を提供するシステムを説明する。該システムは、上述のようなカニューレと血液ポンプとを実質的に含む、又はこれらから成る。該カニューレの該第1のルーメンの近位端は血液ポンプの流入部(inflow)に接続され、該カニューレの該第2のルーメンの近位端は血液ポンプの流出部(outflow)に接続され得る。
【0008】
別途規定しない限り、本明細書において、すべての専門的及び科学的用語は、本発明が関連する当業者によって一般に理解されるものと、同じ意味を有する。本明細書に記載のものに類似した又はこれと同等の方法及び材料を用いて、本発明を実施することができるが、適切な方法及び材料は後述する。すべての出版物、特許出願、特許、及び、本明細書において言及される他の引用文献は、それらの全体において引用により本明細書中に組み込まれている。不一致の場合は、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法及び実施例は、説明のためだけのものであり、限定されることを意図しない。
【0009】
本発明の一以上の実施態様の詳細は、添付の図面及び以下の説明において示される。本発明の他の特徴、目的及び利点は、説明、図面及び特許請求の範囲から明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、カニューレの一つの例示的な実施態様のハウジングの斜視図である。
【図2】図2は、図1で示したハウジングの中間領域の断面図である。
【図3】図3は、血液ポンプに接続したカニューレの正面図である。
【図4】図4は、ルーメンの幾何学的な関係を表す概略図である。
【図5】図5は、ヒトの右心室に挿入されたカニューレによって移植されたポンプを表す。 種々の図面における同類の参照記号は同類の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書は、血流を血液ポンプレシピエントに提供する方法及び材料に関する。例えば、本明細書は、哺乳動物の循環系に接続し、血液ポンプ(例えば補助装置)と共に使用することができる、カニューレを提供する。場合によっては、本明細書で提供されるカニューレは、単一の挿入部位を必要とする偏心性のマルチルーメン構造を有し得る。例えば、カニューレは、腎形状のルーメンのノッチにおいて入れ子にされた円形状のルーメンを特徴とし、薄く柔軟な隔壁を特徴とし得る。
【0012】
図1に関して、血液ポンプと使用するカニューレ11は、近位領域18と、遠位領域32と、領域18と領域32の間に位置する中間領域26とを有する単一のハウジング10から構成され得る。ハウジング10は、第1のルーメン14と第2のルーメン16とを区画形成することができる。第1のルーメン14は、ハウジング10の近位領域18内に位置する近位端24と、ハウジング10の遠位領域32内に位置する遠位端34とを有し得る。第2のルーメン16は、近位領域18内に位置する近位端25と、中間領域26内に位置する遠位端35とを有し得る。
【0013】
近位端24及び25は、着脱可能に血液ポンプを係合するように適合することができる。本明細書において、「着脱可能に血液ポンプを係合するように適合」とは、循環系からカニューレ11を取り除く必要なしに、血液ポンプの互換性を可能にする特徴をいう。例えば、近位端24及び25は、追加の管、堅固な継手又はコネクタを介する血液ポンプへの接続を可能にするように構成され得る。場合によっては、近位端24及び25には、血液ポンプへの接続に適する任意の長さ又は直径の追加の管が含まれ得る。場合によっては、追加の管は、該追加の管の連結を可能にするように該追加の管が圧縮され、折り重ねられた領域である複数のセグメントを有し得る。例えば、該管の構造は、柔軟な飲用ストローの構造に類似しているが、飲用ストローのそれより丸い内面を提供する。他の一例において、該管は、管セグメントが血管グラフの波形、一対の蛇腹の渦巻き又は段ボール内部の溝に類似するように構成されてもよい。場合によっては、追加の管は、一端で近位端24又は25と係合し、他端で血液ポンプと係合するように、両端で広がってもよい。場合によっては、追加の管は、血液ポンプへの接続のため、別々の堅固な継手に接着される又は圧縮されてもよい。
【0014】
場合によっては、近位端24及び25の着脱可能な係合は、信頼性の高い接続が可能である適切な形状のコネクタによって達成することができる。例えば、適切なコネクタは、動作時に流体がシステムから洩出するのを防ぐように、流体密封の封止を形成するために固く締めることができるスクリューリングであり得る(例えば、米国特許出願公開第2006/0074271号参照)。他の適切なコネクタには、ひねって固定するコネクタ、ボルトで固定されたフランジ、環状鉤、圧縮継手、スナップ式又は単純なねじ接続のコネクタが含まれ得る。適切なコネクタは、血液ポンプが移植された後に緩むのを防ぐ適切な係止具を備え得る。種々のコネクタは、循環系からカニューレを取り除く必要なしで、血液ポンプの互換性を可能にするようにサイズ設定され得る。場合によっては、近位端24及び25は、種々の係合手段によって血液ポンプを係合するように適合され得る。例えば、近位端24が血液ポンプの流出口と係合するように適合する場合、近位端25は、血液ポンプの流入口と係合するように適合することができる。
【0015】
さらに、幾つかの実施態様において、カニューレ又はカニューレ構造は、恒久的にポンプに取り付けられてもよい。例えば、カニューレの流入又は流出部は、ポンプハウジングと一体化され得る。
【0016】
遠位端34及び35は、心血管系内に配置されるように適合され得る。場合によっては、遠位端34及び35は、カニューレの中間領域を二又に分けるか、あるいは分岐することができる。本明細書において、「心血管系内に配置されるように適合」とは、血液ポンプレシピエントの心臓又は脈管系にカニューレ11を挿入するのを可能にし、ルーメン14及び16を通じて適切な血流を提供する特徴をいう。場合によっては、遠位端34及び35は、ルーメン14及び16と一致して単一の開口を有し得る。場合によっては、遠位端34及び35は、流入又は流出ルーメンとしてルーメン14及び16を使用するように適合する弁を有し得る。例えば、遠位端34及び35の弁は、尖っていない形状、先細りの形状、又はスプーン型であり得る。
【0017】
場合によっては、心血管系において遠位端34の配置を可能にする特徴は、心血管系において遠位端35の配置を可能にする特徴と異なり得る。例えば、遠位端34は、心血管組織内で操作を可能にするために柔軟であり、一方、遠位端35は、堅固であり得る。場合によっては、遠位端35は、流入ルーメンとして使用されるように適合され、遠位端34は、流出ルーメンとして使用されるように適合され得る。場合によっては、遠位端34は、ルーメン14を横断し遠位領域32に沿って開口を有し得る。適切な開口は、例えば、血流を可能にする幾つかのスリットであり得る。
【0018】
場合によっては、遠位端34にはセンサが含まれ得る。例えば、適切なセンサには、圧力センサ又はサーミスタが含まれ得る。当業者に周知である多くの種々のカニューレ先端形状が存在する。これらの先端形状のいずれもが使用されてもよい。本明細書内の記載の特定の先端形状は、限定されることを意図せず、単に説明のために提供される。
【0019】
さらに、図1を参照して、ハウジング10の領域18、32及び26は、血液ポンプと使用する任意の適切なサイズ又は形状を有し得る。例えば、いずれかの領域18、32及び26の長さは、カニューレ11の用途による。カニューレ11の適切な使用により、任意の年齢及び大きさの血液ポンプレシピエントに、レシピエントの心臓及び血液ポンプを接続するために必要な任意の長さで、血流を提供することができる。例えば、カニューレ11は、平均的成人に移植され得る。場合によっては、遠位領域32は、平均的成人用で約3 cmから約12 cmの長さであり得る。例えば、カニューレ11が平均的成人の腹腔に移植された血液ポンプと共に用いられる場合、中間領域26は、約5cmから約20cm(又は、例えばカニューレが大腿部に挿入される場合、最長約50cmまで)の長さであり得る。例えば、カニューレ11は小児の身体に移植され得る。場合によっては、カニューレ11が小児の身体に移植される場合、近位領域18の長さは約5cm未満であり得る。場合によっては、カニューレ11が小児に移植される場合、中間領域26の長さは約5cm未満であり得る。場合によっては、カニューレ11が小児に移植される場合、遠位領域32の長さは約3cm未満であり得る。
【0020】
カニューレ11の適切な使用により、任意の血液ポンプと連動して血流を提供することができる。例えば、カニューレ11が、外部の血液ポンプ又は移植された血液ポンプと共に使用され得る。場合によっては、カニューレ11が外部の血液ポンプに取り付けられる場合、近位領域18は、長さ20cmより大きくなり得る。場合によっては、カニューレ11が移植されたVADと共に使用される場合、近位領域18は、長さ約5cmから約20cmであり得る。例えば、中間領域26は、レシピエントの脚部において移植された血液ポンプと使用するものでは20cmより長くなり得る。
【0021】
カニューレ11の適切な使用は、カニューレ11の外科的又は経皮的配置を必要とし得る。例えば、遠位領域32は、心臓(心尖)の最も低い表面部分を通じて外科的に挿入され、大動脈弁全体に拡張されるか、又は後退するように大動脈弁を交差させることによって末梢動脈から配置され得る。場合によっては、遠位領域32の長さは、カニューレ11を心血管系に接続するのに外科医が用いるアプローチによる。例えば、特定の外科的配置において、遠位領域32は、長さ12cmより大きい。
【0022】
場合によっては、ハウジング10は、中間領域26及び近位領域18にルーメン14及び16を収容し、遠位領域32にルーメン14を収容する単一の外壁28を有し得る。外壁28の直径は、特定のレシピエントの血流の必要条件による。例えば、カニューレ11が小児に移植される場合、外壁28の直径は約5mm未満であり得る。カニューレ11が平均的成人、例えばレシピエントに配置される場合、外壁28の直径は約5mmから約22mmであり得る。例えば、カニューレ11が身体の大きな成人のレシピエントに配置される場合、外壁28の直径は22mmより大きい。
【0023】
場合によっては、ハウジング10は、ハウジングの三つの領域と関連した外壁を有し得る。例えば、二又に分けられたハウジングは、三つの領域(例えば、第1の分岐領域、第2の分岐領域、及び、分岐前のハウジング上の第3の領域)を有する。第1の分岐領域は第1の外壁20を有し、第2の分岐領域は第2の外壁22を有し、ハウジングの第3の領域は外壁28を有する。外壁28は、中間領域26及び遠位領域32を包囲し得る。場合によっては、第1の外壁20は近位領域18にルーメン14を収容し、第2の外壁22は近位領域18にルーメン16を収容することができる。場合によっては、ハウジング10は、フォーク30を有し得る。例えば、フォーク30は、外壁28を外壁20及び22に分割することによって、中間領域26及び近位領域18からの変化を提供し得る。
【0024】
単一の外壁28は、カニューレ11に使用する適切なサイズ又は形状を有し得る。例えば、外壁28は、一般に円筒状であり得る(例えば、楕円形、円形、又は、八角形、九角形若しくは十角形等の凸多角形の断面形状を有する円筒を含む)。場合によっては、外壁28の形状は、カニューレ11の柔軟性に関与し得る。例えば、外壁28は、堅固であるか、又は柔軟であり得る。場合によっては、近位領域18を収容する外壁28は、血液ポンプを係合するように適合し得る。例えば、外壁28は、血液ポンプのコネクタによって保持される弁を有する別々の堅固な継手上へ接着されるか又は圧縮され得る。場合によっては、外壁28は、遠位端35が、中間領域26のルーメン14に独立して配置されるように分岐され得る。
【0025】
外壁20及び22は、適切なサイズ及び形状を有し得る。例えば、外壁20及び22の長さは、近位領域18の長さと同じであり得る。血液ポンプ上の流入口及び流出口が十分近い場合、外壁20及び22は、例えば、長さ約5cm未満であり得る。場合によっては、外壁20及び22は、近位領域18の連結を可能にするように近位領域18が圧縮され、折り重ねられた領域である複数のセグメントを有し得る。場合によっては、外壁20又は22は一端で広がり得る。場合によっては、外壁20及び22は、外壁28で考察したように、血液ポンプを係合するために適合し得る。
【0026】
カニューレ11の製造に適切な任意の材料を、外壁28、20及び22を構成するのに用いることができる。例としては、シリコーンゴム、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリエーテルポリエステル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルブロックアミド、及びポリプロピレンオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、外壁28、20及び22は、全体的又は部分的に一つの材料又は材料の組合せから形成され得る。場合によっては、外壁28、20及び22は、種々の材料から製造され得る。
【0027】
場合によっては、ハウジング10の表面は、血液ポンプレシピエントの身体においてカニューレ11の性能を最適化するために処理され得る。例えば、ハウジング10の表面は、テキスチャが付与されるか、又はコーティングされ得る。場合によっては、外壁28、20及び22と、ルーメン14及び16の表面とは、テキスチャが付与されたシリコーン層で処理され得る。場合によっては、外壁28、20及び22は、摩滅によって粗くなり得る。場合によっては、外壁28、20及び22と、ルーメン14及び16の表面とは、抗血栓剤(例えば、ヘパリン若しくはヘパラン硫酸)、抗凝血剤(例えば、ビスヒドロキシ-クマリン、若しくはワルファリン)又は抗血小板剤(例えば、チクロピジン若しくはクロピドグレル)でコーティングされ得る。場合によっては、ハウジング10の表面は、テキスチャが付与された表面とコーティングされた表面の組合せを有し得る。例えば、ハウジング10は、外壁28、20及び22上でテキスチャが付与された表面を特徴とし、ルーメン14及び16においてコーティングされた表面を特徴とし得る。
【0028】
図2を参照すると、中間領域26の断面は、ルーメン36及び37を区画形成することができる。ルーメン36及び37は、ルーメン14及び16の断面を表し得る。例えば、ルーメン14の断面形状が一般に円形の場合、ルーメン16の断面形状は一般に腎形であり得る。場合によっては、ルーメン14の断面形状が一般に腎形の形状の場合、ルーメン16の断面は一般に円形の形状を有し得る。
【0029】
ルーメン36及び37は、血流に通路を提供するのに適切な任意のサイズ及び形状を有し得る。場合によっては、ルーメン36は、一般に円形の断面形状(例えば、円形、楕円形、又は、十角形、十二角形及び十四角形等の凸多角形)を有し得る。場合によっては、ルーメン37は、一般に腎形又は腎臓等の断面形状を有し得る。例えば、ルーメン37はノッチを特徴とし、円形であるか又はおおよそ円形であり得る。場合によっては、ルーメン37の断面形状は、相互に対称形であり得る。例えば、ルーメン37の半分の反射画像がルーメン37のもう片方であるような長手方向の平面が存在し得る。
【0030】
ルーメン37のサイズ及び形状は、血流を可能にする任意のサイズ及び形状であり得る。場合によっては、ルーメン37は、丸みを帯びたコーナを有し得る。例えば、該丸みを帯びたコーナの半径は、ルーメン37内に内接し得る最大の円の半径の約10パーセントより大きくなり得る。場合によっては、ルーメン37の幅は、中間領域26の断面の直径による。例えば、ルーメン37に内接し得る最大の円の直径、及び、中間領域26の最小直径は、約0.2から約0.6の比で互いに関係し得る。他の例では、ルーメン37に内接し得る最大の円の直径、及び、ルーメン36の最小内径は、約0.25から約1.5の比で互いに関係し得る。これらの寸法を生じる幾何学的な関係を図4に表し、以下に詳細に説明する。
【0031】
中間領域26の断面図には、ルーメン36及び37の間に位置する隔壁38が含まれ得る。場合によっては、隔壁38は、ルーメン37の凸面44、及び、ルーメン36の凹面48を形成するように構成される。場合によっては、隔壁38は、壁の張力によって隔壁38全体に生じる圧力を支持するように構成され得る。場合によっては、非常に薄い隔壁38が作製され得る。例えば、隔壁38は、厚さ約0.1 mmから約2.0 mmであり得る。場合によっては、隔壁38は、柔軟であり得る。例えば、隔壁38の形状は、平坦な隔壁と比較して、方向性のある柔軟性を示し得る。例えば、隔壁38により、隔壁38の平面においてカニューレ11が屈曲することができる。幾つかの実施態様において、隔壁38は、二つのルーメン間に任意の材料を含むように区画形成されてもよい。
【0032】
中間領域26は、展性ワイヤ42を有し得る。場合によっては、展性ワイヤ42は、中間領域26に通され得る。例えば、展性ワイヤ42は、ルーメン14及び16に隣接して位置し得る。場合によっては、展性ワイヤ42は、外科医が心臓を通じて血液ポンプレシピエントの脈管系へ遠位端34を操作することができるように、遠位領域32に沿って拡張し得る。
【0033】
例えばSS 303又はSS 304ステンレス鋼等の医療グレードのステンレス鋼を含む、任意の適切な材料を、展性ワイヤ42を構成するように用いることができる。また、ステンレス鋼以外の他の展性材料もワイヤの構成に用いてもよい。場合によっては、展性ワイヤ42は、ハウジング10が配置の間レシピエントにおいて操作される間、その形状を保ちつつ、所望の構成に手で容易にワイヤを形作ることができる直径を有し得る。例えば、展性ワイヤ42は、ASTM D747標準試験法に規定されるように、約28×106 psiの剛性を有し得る。場合によっては、展性ワイヤ42の適切な直径は、ハウジング10及びワイヤ材料のサイズによる。場合によっては、展性ワイヤ42の直径は、約0.36 mm(0.014インチ)から約1.6 mm(0.063インチ)までであり得る。幾つかの実施態様において、展性ワイヤ42は、いかなる特定の断面も必要としない。例えば、ワイヤ42は、コイルとして形成されてもよい。
【0034】
図2をさらに参照すると、中間領域26は、第3のルーメン40及び第4のルーメン43を区画形成することができる。場合によっては、ルーメン40及び43は、ルーメン37の丸みを帯びたコーナによって区画形成される領域の下で、ルーメン36及び外壁28の間に位置し得る。例えば、ルーメン40は、ルーメン36の一方の側に位置し、ルーメン43は、ルーメン36の反対側に位置し得る。場合によっては、ルーメン40及び43は、卵形、円形及び多角形を含む、一般に円形の断面形状を有し得る。場合によっては、ルーメン40の断面形状は、ルーメン43の断面形状と異なり得る。場合によっては、ルーメン40及び43の中心は、その直径に沿ってルーメン36を横断し、ルーメン37の両側軸に対して垂直である軸上に位置し得る。
【0035】
ルーメン40及び43は、カニューレ11において適切な機能を実行することができる。場合によっては、ルーメン40及び43は、構造の剛性を最小化するために用いることができる。例えば、ルーメン40及び43は、中間領域26の剛性を低減するために中空であり得る。場合によっては、ルーメン40は、循環系への局所的アクセスを提供するのに用いることができる。例えば、ルーメン40には流体口が含まれ得る。中間領域26に配置された流体口は、圧力測定、血液サンプリング、又は流体投与のために循環系への局所的アクセスを提供することができる。場合によっては、中間領域又はルーメン40は、循環系に流体を送達するために適合するか、又は、ユーザが、血液ポンプレシピエントから血液を抜くのを可能にする流体口を有し得る。
【0036】
特定の場合において、中間領域及び/又はルーメン40は、センサを循環系に導入するために利用され得る。例えば、ルーメン40は、特に、プローブ又はセンサを収容するために中間領域26に位置し得る。センサの適切な位置は、プローブ又はセンサの型によって決定され得る。例えば、適切なプローブ又はセンサは、機械的、圧電、光ファイバ、超音波、又はマイクロエレクトロメカニカルプローブ若しくはセンサであり得る。場合によっては、プローブ又はセンサは、単一のプローブ又はセンサ、あるいは、プローブ又はセンサの組合せであり得る。場合によっては、プローブ又はセンサは、血流又は温度に関するリアルタイム情報を提供するために用いることができる。例えば、プローブ又はセンサは、圧力変換器、フローセンサ、又はサーミスタであり得る。特定の場合において、中間領域は、センサ又はセンサ導線、センサワイヤ、又はセンサに取り付けられた電極の経路を定めるために適合することができる。
【0037】
幾つかの実施態様において、特定のセンサでは直接血液の接触が必要でないので、センサは流体口に配置されない。かかる場合、ルーメン40は、センサ及びワイヤを収容し得る。続いて説明される図3を参照すると、センサの位置は、カニューレ11に沿ったいずれの場所でもよい。例えば、センサは、遠位端35と関連する位置に配置されてもよい。センサの位置は、センサの型、及び何が測定されるかによる。
【0038】
図3は、血液ポンプ12と使用するカニューレ11の例示的な実施態様を表す。血液ポンプ12は、機械的循環補助を提供するために利用可能な任意の数の血液ポンプの1つであり得る。例えば、血液ポンプは、血液ポンプレシピエントに移植されるか、又は移植可能であり得る。場合によっては、血液ポンプは、心肺バイパスポンプ等の外部のポンプであり得る。血液ポンプは、心室補助装置(VAD)であり得る。例えば、カニューレの配置によって、血液ポンプは、左心室補助装置(LVAD)又は右心室補助装置(RVAD)であり得る。さらに、血液ポンプは、両心室補助装置(BiVAD)として用いることができる。場合によっては、血液ポンプは、連続流血液ポンプ、又は拍動流血液ポンプであり得る。
【0039】
図4を参照すると、ルーメン36のサイズ及びルーメン37の形状及びサイズは、カニューレ11と関連する流れ特性を決定することができる。場合によっては、ルーメン37の形状は、中間領域26及びルーメン36のサイズによって制限され得る。
【0040】
図4で示すように、ルーメン36は半径(R1)52を有し、中間領域26の断面は半径(R2)54を有し、ルーメン37の丸みを帯びたコーナに内接する円50は、半径(R3)56を有する。ルーメン36の中心、中間領域26及び円50の頂点による三角形58(t)は、角度α60、β及びγと、側部a、b及びcとを有する。三角形58の領域(At)は、基本的な三角法の関係式を用いて説明され得る:
(余弦の法則)
【数1】

(正弦の法則)
【数2】

そこで:
【数3】

三角形側部からカニューレに関して:
【数4】

【数5】

領域は次式によって定められる:
【数6】

【0041】
さらに単純化する(余分の角度を保持しない)と:
【数7】

ルーメン37の周囲(S0)は、次式によって決定され得る:
【数8】

ルーメン37(Ao)の領域は、次式によって定められる:
【数9】

【0042】
半径56(R3)及び角度α60の関係は、余弦の法則から明らかになる:
【数10】

以下のように展開して:
【数11】

導き出されたものを単純化し、再配置すると:
【数12】

R2=1で、40°から140°の角度α60の半径56及び半径R1の値を、以下の表1において記載する。
【表1】

【0043】
直管において非圧縮性の完全に拡張された定常流と仮定すると、ナビエ-ストークス方程式は、ポアソンの方程式に単純化され得る。
【数13】

X = x/R2
Y = y/R2
W = w/Vref
とする。
ここで、R2 54は中間領域26の半径であり、Vrefは半径R2の円形パイプの平均流速である。
参照としてポアズイユの流れを用い:
【数14】

ポアソン方程式に置き換えると無次元の形状を提供する:
【数15】

壁剪断速度では:
【数16】

ここで、nは壁に垂直な方向である。無次元の形状において:
【数17】

これは以下のように単純化される:
【数18】

【0044】
適切な境界方程式で数値的に(1)を解くと、速度Wの無次元化された値が得られ、そこから無次元の流速Q*、壁剪断速度dW/dn、領域A*を算出することができる。寸法の値は、以下の変換関係式によって求めることができる:
【数19】

【0045】
ルーメン36及び37によって区画形成された断面を有する導管の流体力学の解は、次のように寸法のユニットに変換され得る:
1 Poise = 1 gm/cm-sec
1 cP = 0.01 Poise = 0.01 gm/cm-sec
1 Pa = 1 N/m2 = 1 kg-m/sec2-m2 = 10 gm/cm-sec2
1 mmHg = 0.1333223684211 kPa = 1333.223684211 gm/cm-sec2
1litre/min = 1000 cm3/min = 16.67 cm3/sec
【0046】
したがって、圧力勾配(P/z)をmmHg/cm、剪断速度(γ)をsec-1、粘度(μ)をcP、速度(w)をcm/sec、流速(Q)をl/min、寸法x及びyをcm、直径(D)、半径(r)をcm、及び、領域(A)をcm2で表す場合、ポアソンの方程式は、次のように寸法の形状において表すことができ:
【数20】

【数21】

となる。
【0047】
無次元の値から実際の値への変換では:
壁剪断速度の計算の因子
【数22】

は、
【数23】

である。
流速計算は、
【数24】

となる。
面積計算は、
A=A*R22cm2
であるように、中間領域26の半径(R2)54の実際の値による。
速度計算は、剪断速度と同じ因子を有する。
【数25】

ポアズイユの流れでは、
【数26】

であり、
平均流速Vave
【数27】

であり、
最大速度Vmaxは、
Vmax=2Vave
であり、
半径rの剪断速度γは、
【数28】

である。
【0048】
したがって、
【数29】

であり、
【数30】

となり、
【数31】

であり、
【数32】

となる。
最大速度は、方程式(12)を用いて、
【数33】

となる。
【0049】
偏心性の環状の流れでは、偏心性の環状の流れの理論式は、ホワイトによって定められ(Viscous Fluid Flow, 1974, McGraw-Hill, ISBN 0-07-069710, 方程式3.50)、本明細書で再現される。流速Qは:
【数34】

であり、
【数35】

であり、ここで、aはR2 54に等しく、bは他の方程式のR1 52に等しい。
【0050】
この方程式において、b=0の場合、c=aであり、M=0となることに留意のこと。これは、ポアズイユ方程式に還元される。方程式において結果として生じる定数は、上述の(12)と同じであるので、流速は:
【数36】

となる。
【0051】
対応するポアズイユの流れQrefによってQを割り、a=a'R2、b=b'R2、c=c'R2、M=M'R22とすると、Qは、同様に無次元の形状において表すことができる。これにより:
【数37】

QndはQrefへ正規化することによって得られるので、Qndの制限値が1とすると、Q*に対する関係式はQ*=πQndである。
【0052】
また、本明細書は、哺乳動物の心臓にマルチルーメンカニューレを移植する方法も提供する。場合によっては、流出ルーメンの遠位端は、肺動脈又は大動脈等の血管に配置され得る。場合によっては、流入ルーメンの遠位端は、左心室又は右心房等の心室に配置され得る。
【0053】
例えば、LVADによって使われる場合、カニューレの遠位領域は、心臓(心尖)の最も低い表面部分における単一の穿刺部位を通じて挿入され、大動脈弁で拡張され得る。心尖への穿刺は、任意の適切な方法(例えば、カニューレ挿入、切開又は心筋の切除)によって達成することができる。場合によっては、該第2のルーメンの遠位端が左心室にあり、該第1のルーメンの遠位端が大動脈にあるように、カニューレは配置され得る。本明細書で提供されるカニューレは、吻合術によって心臓に接続され得る。例えば、カニューレが心臓の所望の位置にあれば、カニューレは、縫合によって心筋に固定され得る。右心補助のために、類似した配置を使用することができる。
【0054】
図5に示す実施態様を参照すると、カニューレ11は、ポンプ12と連動してレシピエントの心臓62の右側補助を提供するように心血管系に挿入され得る。例えば、カニューレ11は、レシピエントの右心室64からの血液の流入通路、及び、肺動脈68へのポンプ12を出た血液の流出通路を提供することができる。場合によっては、ポンプ12は、レシピエントの腹腔に配置され、駆動系76によって外部の電力供給に接続され得る。勿論、図5に示さないが、カニューレ11を挿入して、(例えば、左心室からの血液が血液ポンプに案内され、大動脈にポンプで送り込まれるように)心臓62に左側補助を提供してもよい。
【0055】
マルチルーメンカニューレの外科的配置の他の構成を利用することができる。例えば、マルチルーメンカニューレは、後退するように大動脈弁を交差させることによって、末梢動脈から配置され得る。場合によっては、右心室補助は、順行するようにカニューレを、両方の右側の弁上を横断させることによって、同様に達成され得る。場合によっては、経中隔的アプローチ(transceptal approach)を、該第2のルーメンの遠位端を左心房又は左心室に配置し、該第1のルーメンの遠位端を大動脈に配置することによって、利用することができる。
【0056】
本発明は、特許請求の範囲に記載される発明の範囲を限定しない次の実施例においてさらに説明される。
【実施例】
【0057】
(実施例1):流れ特性
図4で説明した形状のための流れ特性を、無次元化された形状において算出し、血液を送るのに予想される一般的な範囲における寸法の値に変換した。半径52がR1=0.3125 cmで、角度60がα=80である図4に示した構成を用いて、圧力勾配をmmHg/cm、粘度をcP、流速をl/min、速度をcm/sec、すべての寸法の測定値をcm、cm2で表した。ユニットの長さ当たりの圧力勾配を任意に選択し、結果は、血液ポンプ及び生理的構成の能力に適切に適合するように、線形に変化し得る。
ここで、粘度μ= 4cP、
圧力勾配P/z = 0.01 mmHg/cm、
R2 54 = 0.5 cmである。
【0058】
無次元の値は、有限要素法等の数値的な方法を使用して算出し、ルーメン37の実際の値は、次のように決定した:
【数38】

対応するルーメン36のデータは、12から14の方程式を用いて次のとおりであった:
【数39】

【0059】
実際の値を、流速、壁剪断速度、速度及び全体の圧力勾配に対するルーメン形状における変化の関係を決定するために、ルーメン36及び37の種々の構成で算出した。
【0060】
R2=1での流量のデータを、表2に示した。これらのデータは、流速が漸近的に増加し、α60が90°より大きい場合、増加はわずかであったことを示す。これにより、断面領域ではわずかな増加が、カニューレのその領域においては低い流速が生じることを決定した。流速度は、R1 52が増加すると、ゼロの方へ漸近的に減少した。
【表2】

【0061】
最大剪断速度(表3)は、R1 52が増加すると、線形に減少した。最小壁剪断速度(表4)は、α60が増加するとゼロの方へ漸近的に減少した。R356がゼロの方へ減少した場合(α60が180へ増加すると)、R356の弧形によって結合された領域の流速もゼロに減少する。したがって、壁剪断速度はゼロに減少した。
【表3】

【表4】

【0062】
最大速度(表5)は、角度α60で有意には変化せず、R1 52が増加すると、ほぼ線形に減少した。
【表5】

【0063】
(実施例2):圧力勾配の決定
本明細書で提供されるカニューレの考えられる最小の圧力勾配を次のように決定した。ルーメン36及び37による返流の圧力勾配を、種々の値の角度α60及びR152で計算した(表6)。最小圧力勾配は、R2 = 1.0, R1 ≒0.6 から0.625、及び角度α≒90°で生じた。
【表6】

【0064】
(別の実施態様)
本発明がその詳細な説明と共に説明されたが、前述の説明が説明するための意図を有し、添付の特許請求の範囲によって規定される発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきある。他の態様、利点及び改良は、次の特許請求の範囲の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液ポンプと使用するカニューレであり、前記カニューレが、近位領域と、遠位領域と前記近位領域と遠位領域の間に位置する中間領域とを有するハウジングを具備し、前記ハウジングが第1のルーメンと第2のルーメンとを区画形成し、前記第1のルーメンが、(a)前記ハウジングの前記近位領域内に位置し、前記血液ポンプと係合するように適合する近位端と、(b)前記ハウジングの前記遠位領域内に位置し、心血管系内に配置されるように適合する遠位端と、を具備し、前記第2のルーメンが、(a)前記ハウジングの前記近位領域内に位置し、前記血液ポンプと係合するように適合する近位端と、(b)前記ハウジングの前記中間領域内に位置し、前記心血管系内に配置されるように適合する遠位端と、を具備し、かつ、前記第1のルーメン及び第2のルーメンのうちの一つが、前記中間領域において一般に腎形の断面形状を有する、前記カニューレ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記中間領域が、前記第1のルーメン及び第2のルーメンを収容する単一の外壁を含む、請求項1記載のカニューレ。
【請求項3】
前記単一の外壁が柔軟である、請求項2記載のカニューレ。
【請求項4】
前記ハウジングが、前記第1のルーメン及び第2のルーメンを収容する前記中間領域における単一の外壁と、前記第1のルーメンを収容する前記近位領域における第1の外壁と、前記第2のルーメンを収容する前記近位領域における第2の外壁とを具備する、請求項1記載のカニューレ。
【請求項5】
前記第1のルーメン又は第2のルーメンのうちの一つが、一般に円形の断面形状を有する、請求項1記載のカニューレ。
【請求項6】
前記中間領域が、前記一般に腎形の断面形状の凸状表面と、前記一般に円形の断面形状の凹状表面とを形成するように構成された隔壁を含む、請求項5記載のカニューレ。
【請求項7】
前記隔壁が柔軟である、請求項6記載のカニューレ。
【請求項8】
前記第1のルーメン及び第2のルーメンの前記遠位端が、前記ハウジングの前記中間領域から二又に分かれる、請求項1記載のカニューレ。
【請求項9】
前記中間領域が少なくとも一つの展性ワイヤを含む、請求項1記載のカニューレ。
【請求項10】
前記中間領域がセンサ、センサ導線又は流体口を含む、請求項1記載のカニューレ。
【請求項11】
前記センサが、圧力変換器、サーミスタ、超音波プローブ又はこれらの組合せである、請求項10記載のカニューレ。
【請求項12】
前記中間領域が、第3のルーメン又は第4のルーメンを含む、請求項1記載のカニューレ。
【請求項13】
前記第3のルーメン又は第の4ルーメンが、流体口を具備する、請求項12記載のカニューレ。
【請求項14】
哺乳動物の心臓にカニューレを移植する方法であり、前記方法は、
(a)前記哺乳動物の心臓又は血管へ穿刺することと、
(b)心室にカニューレを挿入すること、とを含み、
前記カニューレが、近位領域と、遠位領域と、前記近位領域と遠位領域の間に位置する中間領域とを有するハウジングを具備し、前記ハウジングが第1のルーメンと第2のルーメンとを区画形成し、前記第1のルーメンが、(a)前記ハウジングの前記近位領域内に位置し、血液ポンプと係合するように適合する近位端と、(b)前記ハウジングの前記遠位領域内に位置し、心血管系内に配置されるように適合する遠位端とを具備し、前記第2のルーメンが、(a)前記ハウジングの前記近位領域内に位置し、前記血液ポンプと係合するように適合する近位端と、(b)前記ハウジングの中間領域内に位置し、前記心血管系内に配置されるように適合する遠位端と、を具備し、前記第1のルーメン及び第2のルーメンのうちの一つが、前記中間領域において一般に腎形の断面形状を有し、かつ、前記遠位領域が前記哺乳動物の血管内に配置され、前記中間領域が前記哺乳動物の心室内に配置される、前記方法。
【請求項15】
前記方法が、血液ポンプを前記カニューレの前記近位領域に接続することを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記血液ポンプが、前記第2のルーメンを通じて前記心臓から血液を受け、前記第1のルーメンを通じて前記血管へ血液を送る、請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記第1のルーメンの前記遠位端が、大動脈に配置され、前記第2のルーメンの前記遠位端が、左心室に配置される、請求項16記載の方法。
【請求項18】
前記第1のルーメンの前記遠位端が、肺動脈に配置され、前記第2のルーメンの前記遠位端が、右心室に配置される、請求項16記載の方法。
【請求項19】
哺乳動物に血流を提供するシステムであり、該システムは、
(i)カニューレであって、前記カニューレが、近位領域と、遠位領域と、前記近位領域と遠位領域の間に位置する中間領域とを有するハウジングを具備し、前記ハウジングが第1のルーメンと第2のルーメンとを区画形成し、前記第1のルーメンが、(a)前記ハウジングの前記近位領域内に位置し、血液ポンプと係合するように適合する近位端と、(b)前記ハウジングの前記遠位領域内に位置し、心血管系内に配置されるように適合する遠位端と、を具備し、前記第2のルーメンが、(a)前記ハウジングの前記近位領域内に位置し、前記血液ポンプと係合するように適合する近位端と、(b)前記ハウジングの前記中間領域内に位置し、前記心血管系内に配置されるように適合する遠位端と、を具備し、かつ、前記第1のルーメン及び第2のルーメンのうちの一つが、前記中間領域において一般に腎形の断面形状を有するカニューレと、
(ii)血液ポンプと、
を含む、前記システム。
【請求項20】
前記第1のルーメンの前記近位端が、前記血液ポンプの流入部に接続され、前記第2のルーメンの前記近位端が、前記血液ポンプの流出部に接続される、請求項19記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−527322(P2012−527322A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511994(P2012−511994)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/US2010/035424
【国際公開番号】WO2010/135437
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(510286835)ソラテック コーポレーション (4)
【氏名又は名称原語表記】Thoratec Corporation
【住所又は居所原語表記】6035 Stoneridge Drive Pleasanton, California 94588 United States of America
【Fターム(参考)】