説明

マルチレイヤ基板構造を用いた発光センサ

本発明では、マルチレイヤ構造を有する、例えば発光バイオセンサのような発光センサ(2)が提供される。マルチレイヤ構造は、 第1の材料で構成された少なくとも一つの第1の層(2a)と、第2の材料(2b)で構成された第2の層とを有する。前記第1の材料は、発光プローブに対して第1の結合能力を有し、前記第2の材料は、発光プローブに対して第2の結合能力を有し、第1の結合能力は、第2の結合能力とは異なっている。本発明による発光センサ(2)では、励起と検出の組み合わせ効率が最も高くなる位置に、好適な結合サイトが提供されるため、本発明による発光センサ(2)は、高い感度を示す。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光バイオセンサまたは発光化学センサのような発光センサであって、例えば、マルチレイヤワイヤグリッドのようなマルチレイヤ基板構造を有し、例えばワイヤグリッド等の前記マルチレイヤ基板構造の特定位置に結合サイトを提供する発光センサに関する。また、本発明は、そのような発光センサを製造する方法に関する。本発明による発光センサは、高い感度を示す。
【背景技術】
【0002】
物理的な特性または物理的な事象の測定に、センサは、広く使用されている。センサは、電気的、光学的または聴覚的な信号として、測定結果の有効な読み値を出力し、例えばデジタル信号を出力する。そのような信号は、他の装置により、有益な情報に変換することが可能なデータである。センサの特定の例は、バイオセンサである。バイオセンサは、対象物の有無を検出する(すなわち定性的な)装置、または対象物の量を測定する(すなわち定量的な)装置であり、対象物は、例えば、これに限られるものではないが、分子、タンパク質、ウィルス、バクテリア、原虫、細胞成分、細胞膜、胞子、DNA、RNAのようなヌクレオチド等の、例えば血液、血清、血漿、唾液等の流体中の物質である。また対象分子は、「検体」とも呼ばれる。ほぼ全ての場合、バイオセンサは、検体を捕獲するため、特定の認識素子を有する表面を使用する。従って、センサ装置の表面は、特定の分子の付着により改質され、これにより、流体中に存在する対象分子の結合に適するようになる。
【0003】
特定の分子に対する検体の最適な結合効率を得るためには、表面積を大きくして、拡散長さを短くすることが極めて望ましい。そのため、大面積化と迅速な結合速度を組み合わせたバイオセンサの基板として、ミクロまたはナノのレベルの多孔質基板(膜)が提案されている。特に、検体濃度が低い場合(例えば、1nM未満または1pM未満の場合)、拡散速度は、バイオセンサ検定の全体的な特性に重要な役割を果たす。
【0004】
結合された検体の量は、発光により検出されても良い。この場合、検体自身が発光ラベルを運搬しても良く、または蛍光ラベル化された第2の認識素子を有する追加の培養(incubation)が実施されても良い。
【0005】
結合検体の量の検出操作は、いくつかの要因、例えば発光プローブの散乱、白色化、基板のバックグラウンド蛍光、および励起光の不十分な除去によって妨害され得る。また、結合ラベルと溶液中のラベルを識別するため、一つの洗浄ステップ(または複数の洗浄ステップ)を実施して、未結合ラベルを除去することが必要となる。
【0006】
流体の内部で作動するサブ波長の空間解像を有する発光センサでは、光は、サブ波長の開口またはスリットで反射する。これらは、極めて小さく、光で見ることができないためである。これにより、開口またはスリットの内部に一過性のフィールドが得られ、このフィールドは、そこに存在する発光の励起に使用される。発光センサは、センサの第1の側から励起放射線により照射される。生じた発光は、センサの第1の側とは反対の側の開口またはスリットから、すなわちセンサが照射される側とは反対の側から放出され、励起と発光の放射線を分離した状態で、そこで検出される。また、開口またはスリットの励起側に生じたバックグラウンド発光は、この効果(反射)により抑制される。
【0007】
しかしながら、スリットまたは開口を有する発光センサでは、発光プローブが結合されることが好ましい表面の特定の位置を検出する際に問題が生じる。換言すれば、励起と検出の組み合わせ効率が最大となるような位置に、好適な結合サイトを配置し、提供することは難しく、このため高い感度を得ることは難しい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、光出力が改良された、発光バイオセンサまたは発光化学センサ等の発光センサを提供すること、およびそのような発光センサを製造する方法を提供することである。本発明の利点は、発光センサが高い感度を有することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の目的は、本発明による方法および装置により達成される。
【0010】
本発明の特定のおよび好適な態様は、独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴、および他の従属請求項の特徴と適性に組み合わされても良く、これらは、請求項に明確に記載されているものに限られない。
【0011】
本発明では、穴、ピンホール、ギャップ、スリットまたは基板に設けられた他の開口のような開口を備える第1の多孔質マルチレイヤ基板構造を有する、例えば発光バイオセンサまたは発光化学センサのような発光センサであって、
前記マルチレイヤ基板構造は、第1の材料で構成された少なくとも一つの第1の層と、第2の材料で構成された少なくとも一つの第2の層とを有し、
前記第1の材料は、前記開口に存在する発光プローブに対して第1の結合能力を示し、前記第2の材料は、前記開口に存在する、例えば傾向プローブのような発光プローブに対して第2の結合能力を示し、前記第1の結合能力は、前記第2の結合能力よりも強いことを特徴とする発光センサが提供される。
【0012】
本発明によるセンサの利点は、励起と検出の組み合わせ効率が最大となる位置に、好適な結合サイトが提供されることであり、これにより高い効率が得られる。
【0013】
発光プローブ、例えば蛍光プローブは、センサを照射する励起放射線源と近接して配置されることが好ましく、センサの第1の側に配置されることが好ましい。その位置では、励起効率が最大となるためである。本発明の実施例では、発光放射線の検出は、第1の側とは反対側の、センサの第2の側で実施されても良い。ただし、あまり好ましくはないが、他の実施例では、発光放射線の検出は、センサの同じ第1の側で実施しても良い。
【0014】
本発明の実施例では、マルチレイヤ基板構造は、スリットと、少なくとも一つの第1の層および一つの第2の層とを有する。
【0015】
本発明の他の実施例では、マルチレイヤ基板構造は、ピンホールと、一つの第1の層および一つの第2の層とを有しても良い。
【0016】
本発明の実施例では、第1の層は、第2の層の上部に配置され、センサを照射するための励起放射線源が配置されるセンサの側と近接させても良い。
【0017】
本発明の実施例では、マルチレイヤ基板構造は、別の第2の層を有しても良く、この場合、第1の層は、第2の層と前記別の第2の層の間に挟まれる。前記別の第2の層は、発光プローブに対する結合能力が第1の層の材料よりも弱い材料で構成されても良い。
【0018】
本発明の実施例では、さらにセンサは、第2の基板構造を有しても良く、この第2の基板構造は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対する結合能力が、第1の層の第1の結合能力よりも弱い材料で構成され、第1のマルチレイヤ基板構造の上部に配置される。第2の基板構造の材料は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して、実質的に結合能力を示さないことが好ましい。
【0019】
本発明の実施例では、前記第1のマルチレイヤ基板構造は、第1の平面にあり、第1の方向に延伸するスリットを有し、前記第2の基板構造は、第2の平面にあり、第2の方向に延伸するスリットを有しても良い。前記第1の平面は、前記第2の平面と実質的に平行であり、前記第1の方向は、前記第2の方向と実質的に垂直であっても良い。
【0020】
本発明の実施例では、発光センサは、発光バイオセンサまたは発光化学センサであっても良い。特に、発光センサは、蛍光バイオセンサのような蛍光センサであっても良い。
【0021】
本発明による実施例では、センサのマルチレイヤ基板構造に存在する開口は、サブ波長の寸法を有する。
【0022】
本発明の実施例による発光センサは、さらに、当該センサに照射する励起放射線源と、発生した発光放射線を検出する検出器とを有し、前記励起放射線源は、当該センサの第1の側に配置され、前記検出器は、当該センサの第2の側に配置され、前記第1および第2の側は、相互に反対側にある。この構成は、透過測定モードでの実施に使用しても良い。あるいは、励起放射線源および検出器は、センサの同じ側に設置しても良い。この構成は、反射測定モードでの実施に使用しても良い。
【0023】
本発明のさらに別の実施例では、前述の実施例に記載のマルチレイヤ基板構造は、さらに、少なくとも一つの層を有し、この層は、発光センサが被検流体と接触している場合、発光センサと該センサが接する流体との間で、いかなる反応も生じないような化学組成を有しても良い。
【0024】
さらに、本発明では、例えば蛍光プローブのような発光プローブを検出するための、例えば、発光バイオセンサまたは発光化学センサ等の発光センサを製造する方法であって、前記センサは、第1の多孔質マルチレイヤ基板構造を有する方法が提供される。当該方法は、発光プローブに対して第1の結合能力を示す第1の材料で構成された少なくとも一つの第1の層を提供するステップと、前記少なくとも一つの第1の層上に、第2の材料で構成された少なくとも一つの第2の層を提供するステップであって、前記第2の材料は、発光プローブに対して、前記第1の結合能力よりも弱い、第2の結合能力を示すステップと、前記少なくとも一つの第1の層および前記少なくとも一つの第2の層を貫通する、少なくとも一つの開口を提供するステップと、を有する。
【0025】
本発明による当該方法では、励起と検出の組み合わせ効率が最大となる位置に、好適な結合を提供する、例えば発光バイオセンサまたは発光化学センサ等のような発光センサが得られ、これにより高い効率が得られる。
【0026】
本発明の実施例では、少なくとも一つの第1の層を提供するステップと、少なくとも一つの第2の層を提供するステップとは、一つの第1の層と2つの第2の層とを提供するステップを有し、第1の層は、2つの第2の層の間に挟まれる。
【0027】
前記第1のマルチレイヤ基板構造は、第1の平面にある、第1の方向に延伸するスリットを有しても良い。本発明の実施例では、当該方法は、さらに、前記第1のマルチレイヤ基板構造の上部に、第2の基板構造を提供するステップを有し、前記第2の基板構造は、第2の平面にあり、第2の方向に延伸するスリットを有し、前記第1の平面は、前記第2の平面と実質的に平行であり、前記第1の方向は、前記第2の方向と実質的に垂直である。
【0028】
本発明の前述のおよび他の特徴、特性ならびに利点は、添付図面を参照した以下の詳細な説明により明らかとなろう。図面は、本発明の原理を示す一例として示されている。この記載は、一例として示されるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。以下に示す参照図番号は、添付図面に対応する。
【0029】
異なる図において、同一のまたは類似の素子には同じ参照符号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
特定の実施例およびいくつかの図面を参照して、本発明を説明する。ただし本発明は、これらに限定されるものではなく、特許請求の範囲にのみ限定される。請求項内のいかなる参照符号も、本発明の範囲を限定するものと解してはならない。添付図面は、概略的なものであり、限定的なものではない。図面において、いくつかの素子の寸法は、誇張して示されており、説明用のため、スケールは示されていない。明細書および特許請求の範囲において使用される「有する」という用語は、他の素子またはステップを排斥するものではない。単数名詞を参照する際に使用される「一つの」、「その」という無定冠詞または定冠詞は、特に記載がない限り、それが複数存在することを含む。
【0031】
また、明細書および特許請求の範囲の第1、第2、第3等の用語は、同様の素子を識別するために使用されており、必ずしも一連の順番または時間的な順番にはなっていない。使用用語は、適当な条件下で相互置換可能であり、本願に記載された本発明の実施例は、本願に記載され示されたもの以外の手順で操作することが可能であることを理解する必要がある。
【0032】
また、明細書および特許請求における、上、底部、上側、下側等の用語は、説明目的に使用されたものであり、必ずしも相対的な位置を表しているとは限られない。使用用語は、特定の条件下で相互置換可能であり、本願に記載された本発明の実施例は、本願に記載され示されたもの以外の手順で操作することが可能であることを理解する必要がある。
【0033】
本発明では、多孔質なマルチレイヤ基板構造を有する、例えば発光バイオセンサまたは発光化学センサのような発光センサ、およびそのような発光センサの製造方法が提供される。以降の記載は、スリット構造を有する基板を有する実施例、すなわち多孔質基板を構成する実施例を参照して示す。しかしながら、本発明は、これに限られるものではなく、例えばホール、ピンホール、ギャップ、または基板に形成された他の開口のような、開口構造の場合にも使用され得ることを理解する必要がある。基板材料に要求される主な仕様は、励起放射線に対して透明ではないことであり、すなわち開口またはスリットの間の材料が、励起放射線に対して透明ではないことである。本発明によるセンサ装置は、少なくとも一つの開口またはスリットを有し、この開口またはスリットには、媒質が充填される。センサは、媒質に浸漬される必要はない。また媒質は、例えば、センサの上部、および少なくとも一つの開口またはスリットに、スプレー塗布されても良く、あるいは開口またはスリットは、いかなる他の適当な方法で、媒質で充填されても良く、例えば液体媒質の場合は、マイクロピペットにより充填されても良い。スリットを充填する媒質は、液体であっても気体であっても良く、少なくとも一つの被検出発光粒子を有する真空状態であっても良い。
【0034】
例えば発光バイオセンサまたは発光化学センサのような、本発明による発光センサは、マルチレイヤ基板構造2を有し、この構造2は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対する結合特性の異なる、少なくとも2つの種類の材料を有する。本発明では、異なる種類の材料は、同じ材料の2つの表面を有し、これらの表面は、異なる表面処理により、異なる種類の材料が得られるように提供され、あるいは、少なくとも発光プローブに対する結合能力に関して、少なくとも異なる特性を有する材料で提供される。発光プローブに対する結合能力とは、材料の発光プローブを結合する能力、換言すれば、発光プローブに対する材料の結合力または結合可能性を意味する。そのような材料は、一つの材料が発光プローブに対して第1の結合能力を有し、他の材料が発光プローブに対して第2の結合能力を有し、第1の結合能力は、第2の結合能力よりも高いものである必要がある。例えば、第1の材料と結合する、蛍光プローブのような発光プローブの数が、第2の材料に結合する例えば蛍光プローブのような発光プローブに比べて10倍多い場合、これは、発光センサの感度の1桁の改良につながる。2つの材料において、結合される例えば蛍光プローブのような発光プローブの数の差が大きくなると、感度はさらに改善される。従って、第1の材料と第2の材料の間の結合能力の差が10倍など、比較的小さな差異であっても、発光センサの感度としては、相当の改善が得られる。特に、第1と第2の材料間の結合能力の差異は、できる限り高いことが好ましい。第1の材料は、発光プローブに対して高い結合能力を示し、第2の材料は、発光プローブに対して実質的に結合能力を示さないことが最も好ましい。
【0035】
本発明のこれらの実施例による多孔質マルチレイヤ基板構造2を用いることにより、例えばワイヤグリッドのような多孔質マルチレイヤ基板構造内で、特定の深さで、例えば蛍光プローブのような発光プローブの結合を得ることが可能となる。全体の記載を通して、ワイヤグリッドは、スリットを有する基板の一例である。本発明のこれらの実施例による発光センサは、従来の発光センサに比べて高い感度を有する。
【0036】
基板材料において、開口構造は、少なくとも一つの開口を有し、例えば少なくとも一つの穴、ギャップ、または例えば少なくとも一つのスリットのような他の種類の開口が存在する。前記少なくとも一つの開口は、いかなる適当な形状であっても良く、例えば正方形、円形、楕円形、矩形、多角形等であっても良い。また、開口は、2次元または3次元的に延在しても良い。従って、以降の開口の次元に関する記載は、開口の最小次元であると仮定する。基板は、例えば穴のような開口の配列を有しても良い。開口の配列は、例えば穴のような開口の周期的な配列であっても良く、すなわち隣接する開口の中心間距離は、等しくなっていても良い。しかしながら、これは、必ずしも必要ではない。隣接する開口間の距離は、異なっていても良く、周期配列が形成されていなくても良い。
【0037】
本発明による発光センサの態様は、図1の断面図に示されている。多孔質マルチレイヤ基板構造2には、励起ビーム1が放射される。本発明の実施例では、多孔質マルチレイヤ基板構造2は、材質の異なる少なくとも第1の層と第2の層とを有する:第1の層は、発光プローブに対して第1の結合能力を示す第1の材料と、発光プローブに対して第2の結合能力を示す第2の材料とを有する。第1の結合能力は、第2の結合のよりも高く、あるいはその逆である。
【0038】
本発明では、多孔質マルチレイヤ基板構造2は、開口を有し、その中には、例えば蛍光プローブのような発光プローブがあり、これらは、表面に結合され、主として、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して高い結合能力を示す層に結合される。開口は、内面壁を有しても良く、この壁には、例えば蛍光プローブのような発光プローブが結合される。内面壁、特に、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して高い結合能力を示す第1の材料からなる内面壁は、表面に固定された配位子を有し、この配位子は、検体とも呼ばれる1または2以上の関心対象を認識する。これにより、例えばバイオセンサまたは発光化学センサのようなセンサの感度が改善される。2以上の検体を検出する必要がある場合、センサは、異なる配位子の配列を有しても良い。適当な配位子の例は、タンパク質、抗体、アプタマー、ペプチド、オリゴヌクレオチド、糖類、レクチン等である。配位子は、少なくとも一つの開口の内面壁、特に、例えば適当な表面化学現象を介して、発光プローブに対して高い結合能力を示す第1の材料の内面壁に固定されても良い。表面化学現象の選択は、内面壁の化学的な組成にのみ依存する。
【0039】
励起ビーム1による照射の際、開口内の、例えば蛍光プローブのような発光プローブは、例えば蛍光放射線のような発光放射線3を放射し、この放射線は、開口から出て、検出器4により収集される。本発明の実施例では、検出器4は、例えば、電荷結合装置(CCD)または相補型金属酸化物半導体(CMOS)検出器であっても良い。あるいは、小さな画像のみが得られる走査方法が使用されても良い。光は、ある時間の間、光ダイオードに収集され、最適な信号対ノイズ比が得られる。これにより、センサの感度が実質的に向上する。
【0040】
開口構造の寸法が、入射放射線、すなわち励起放射線の波長の半分よりも小さい場合、ほとんどの光は、開口構造を透過しない。一般に、放射線が開口に入らないようにするためには、一過性の波が必要であり、これは、回折限界を超える空間周波数を有する波である。これは、所与の波長λ、および開口を満たす媒質、すなわちセンサが浸漬される媒質の屈折率nにおいて、開口の最小寸法が、λ/(2n)よりも小さいことを意味する。従って、浸漬フィールドの回折限界よりも広い幅を持つ開口を有する開口構造を使用した場合、一過性のフィールドは、開口に侵入することができる。
【0041】
これに限られるものではないが、開口は、サブ波長の寸法を有することが好ましく、すなわち、マルチレイヤ基板構造2内の開口は、励起放射線1の波長よりも小さな寸法であって、好ましくは開口を充填する媒質において、一過性の波の励起のため、励起放射線の波長の50%未満の波長を有することが好ましい。これは、開口を充填する媒質において、波長の40%未満であることがさらに好ましく、20%未満であることが最も好ましい。開口を充填する媒体とは、調査対象の流体または被検出対象分子内の流体を意味する。媒質は、液体または気体のような流体であっても良い。本発明の実施例では、流体は、発光センサを流体中に浸漬させることにより、または例えばピペットにより開口に流体を設置することにより、開口に適用されても良い。
【0042】
サブ波長の幅の開口、または前述の実施例に示したような最小寸法の開口を有する多孔質基板を用いたバイオセンサにおいて生じる問題は、開口内で生じた、例えば蛍光放射線のような発光放射線が、開口から放出される前に、著しく抑制されてしまうことである。
【0043】
図1には、センサの第1の側から発光センサに照射され、センサの第2の側から発光放射線を検出する一例を示す。第1および第2の側は、相互に対向している。しかしながら、これは一例に過ぎず、励起放射線によるセンサへの照射およびセンサから放射される発光放射線の検出は、例えば図7に示すように、センサの同一の側から実施されても良いことを理解する必要がある。
【0044】
本発明による第1の実施例では、多孔質マルチレイヤ基板構造の概念は、スリット5を有する、例えば発光バイオセンサまたは発光化学センサのような発光センサに採用される。図2には、そのようなスリット5を有する多孔質マルチレイヤ基板構造2の一部を示す。これは、本発明の第1の実施例による発光センサのワイヤグリッドを形成する。図の多孔質マルチレイヤ基板構造2は、第1の層2aを有し、この層は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して、第1の結合能力を示す第1の材料を有する。多孔質マルチレイヤ基板構造2は、さらに第2の層2bを有し、この層は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して、第2の結合能力を示す第2の材料を有し、第2の結合能力は、第1の結合能力よりも弱い。マルチレイヤ基板構造2は、以下のようにして構成される。まず、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して第1の結合能力を有する、第1の材料からなる第1の層2aが提供される。次に、第1の層の上に、第2の層2bが形成される。第2の層は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して第2の結合能力を有する、第2の材料で構成される。これは、当業者に知られた、いかなる適当な成膜技術により実施されても良い。本発明では、第1の結合能力は、第2の結合よりも高く、あるいはその逆である。第1および第2の層の間の結合能力の差異は、少なくとも10倍であることが好ましく、できるだけ大きいことがより好ましい。また、第1の材料は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して高い結合能力を示し、第2の材料は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して実質的に結合能力を示さないこと、またはその逆が最も好ましい。次のステップでは、マルチレイヤ基板構造2を貫通する、少なくとも一つのスリット5が提供され、すなわちこれは、第1の層2aおよび第2の層2bを貫通する。この処理は、当業者に知られたいかなる適当な従来の技術を用いてなされても良く、例えばエッチング技術により行われる。
【0045】
この実施例では、励起ビーム1(図2には示されていないが図1には示されている)は、多孔質マルチレイヤ基板構造2の上部から侵入すると仮定している。この場合、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対する好適な結合サイトは、多孔質マルチレイヤ基板構造2の、励起放射線1が生じる側である。すなわち、示された例では、多孔質マルチレイヤ基板構造2の上側であり、ここでは、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して最大の結合能力を示すようにして、材料が設置される。しかしながら、励起ビーム1が多孔質マルチレイヤ基板構造2の下側から到達する場合、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して高い第1の結合能力を示す第1の層2aは、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して低い第2の結合能力を示す第2の層2bの下側に配置することが好ましく、この場合、図2に示す構成の逆になる。
【0046】
既に示したように、図2に示す例では、第1の層2aは、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して高い第1の結合能力を有する材料を有しても良い。一方、第2の層2bは、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して第2の低い結合能力を示す材料を有する。この方法では、例えば蛍光プローブのような発光プローブは、マルチレイヤ基板構造2の上側半分に結合されることが好ましく、すなわち、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して高い結合能力を示す材料を有する第1の層2aに結合される。
【0047】
図2に示す透過測定モードの例では、スリット5は、上部から照射され、検出器は、マルチレイヤ基板構造2の底部で、例えば蛍光放射線のような発光放射線を収集する。励起放射線は、スリット5により抑制されるため、最大励起強度は、スリット5の上部で得られる。しかしながら、スリット5の上部で生じた発光放射線は、それが、検出器の設置されたスリット5の底部に到達する前に、実質的に抑制される。
【0048】
図3には、図1および2に示したようなワイヤグリッドセンサにおける、励起効率と発光検出効率の組み合わせ効果を示す。この場合、センサは、上部から放射され、検出器は、マルチレイヤ基板構造2の底部で、例えば蛍光放射線のような発光放射線を収集する。図3からわかるように、励起効率(参照符号6で示されたグラフ)は、スリット5の入口(x軸の左側)で最も高くなっている。また、発光検出効率(参照符号7で示されたグラフ)は、常時、50%よりも高くなっており、スリット5の出口(x軸の右側)で最大となることがわかる。例えば蛍光プローブのような発光プローブの位置では、励起効率(曲線6)および発光検出効率(曲線7)の効果を掛け合わせることにより、好ましい結合が得られ、これは、組み合わせ効率曲線(図3において参照符号8で示されている)により示されている。組み合わせ効率曲線8は、励起効率曲線6より僅かに低くなっているが、これとほぼ等しい。
【0049】
従って、励起と発光検出の組み合わせ効率から、例えば蛍光プローブのような発光プローブが効率的に励起されるかどうかに関する情報を、得られた発光が検出器に効率的に到達するかどうかに関する情報と組み合わせて得ることができる。この効果により、組み合わせ効率が最も大きくなるスリット5の位置が得られ、さらには、例えば蛍光プローブのような発光プローブがこれらの位置に好適に結合される。示された例では、組み合わせ効率は、スリット5の入口で最大となるため、例えば蛍光プローブのような発光プローブは、この位置に結合されることが好ましい。従って、図2に示された例では、発光放射線が検出される効率は、スリット5の入口、従って励起放射線源と最近接の位置で最大となる。
【0050】
本発明による第2の実施例では、マルチレイヤ基板構造の概念は、例えばバイオセンサのようなセンサに適用され、このセンサは、本発明の第1の実施例のようなスリット5の代わりに、例えばピンホールのような開口9を有する。ピンホールのような開口9を有する、例えば発光バイオセンサのような発光センサの場合、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対する好適な結合サイトは、励起放射線1の抑制と蛍光放射線のような発光放射線3の抑制との間の均衡に依存する。従って、例えば蛍光プローブのような発光プローブの好適な結合サイトを定めることは難しいが、通常の場合、マルチレイヤ基板構造2は、結合材料が開口9の上部、すなわち励起放射線1の側(図4参照)か、中間地点のどこかのいずれか(図5参照)となるようにされる。この場合、マルチレイヤ基板構造2は、例えば、3つの層を有しても良く、すなわち例えば蛍光プローブのような発光プローブに対する第1の結合能力を有する材料からなる一つの層2aであって、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して第2の結合能力を有する材料の2つの層2bに挟まれた層を有する。ここで第2の結合能力は、第1の結合能力よりも弱い。本発明の実施例、および図5に示した例の場合は、2つの層2bは、いずれも同じ厚さを有する。しかしながら、本発明の他の実施例では、2つの層2bは、異なる厚さを有しても良い。
【0051】
第2の実施例によるマルチレイヤ基板構造2は、前述の第1の実施例によるマルチレイヤ基板構造2と同様の方法で形成されも良い。図4に示すマルチレイヤ基板構造2における、第1の実施例で示した方法との差異は、スリット5の代わりに、マルチレイヤ基板構造2を貫通するピンホール9が設けられていることである。図5に示したマルチレイヤ基板構造2の場合、第1の層2aは、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して第1の結合能力を有する第1の材料で提供される。次に、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して、第1の結合能力よりも低い第2の結合能力を示す第2の材料の第2の層2bが、第1の層2aの第1の側、および第1の側とは反対の第2の側に設けられる。次のステップでは、第1の層2aおよび第2の層2bを貫通するように、ピンホール9が設けられる。
【0052】
本発明の第3の実施例では、基板として、本発明による第1の実施例で示したようなマルチレイヤワイヤグリッド2が使用され、ダブルワイヤグリッドセンサが形成される。ワイヤグリッドとは、スリット5を有する基板を意味する。この実施例では、発光センサは、底部ワイヤグリッド2と、上部ワイヤグリッド10とを有しても良い。底部ワイヤグリッド2は、少なくとも一つの層2aと第2の層2bとを有しても良い。図6に示す例では第1の層2aで示されている、底部ワイヤグリッド2の上側部分は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して高い結合能力を示す第1の材料を有し、第2の層2bは、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して、実質的に結合能力を示さない第2の材料を有しても良い。底部ワイヤグリッド2の上部には、上部ワイヤグリッド10が設置され、この上部ワイヤグリッド10は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して実質的に結合能力を示さない材料から構成される。上部ワイヤグリッド10を構成する材料は、第2の層2bの材料と同一であっても良い。ただし、本発明の他の実施例では、上部ワイヤグリッド10の材料は、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して結合能力を示さない、別の材料であっても良い。上部ワイヤグリッド10は、そのスリット5が、底部ワイヤグリッド2に設置されたスリット5の平面と実質的に平行な平面にあり、底部ワイヤグリッド2のスリット5延伸する方向と実質的に垂直な方向に延伸するように、配置されても良い。
【0053】
第3の実施例によるセンサのマルチレイヤ基板構造2は、第1の実施例と同様の方法で構成される。ただし、この実施例では、さらにマルチレイヤ基板構造2の上部に、上部ワイヤグリッド10が設けられる。これは、適当な技術により、マルチレイヤ基板構造2の上部に、上部ワイヤグリッド10を構成するのに適した材料の層を提供し、その後、上部ワイヤグリッド10を構成するため、層内にスリット5が提供することにより行われる。
【0054】
前述の実施例では、透過モードで検出が行われることを想定している。これは、例えば励起光のような励起放射線により、センサの第1の側からセンサが照射され、例えば蛍光放射線のような発光放射線が、第1の側とは反対側のセンサの第2の側から検出されることを意味する。
【0055】
しかしながら、あまり好適ではないが、本発明の他の実施例では、本発明は、反射モードでの検出にも適用される。これは、本発明によるセンサのマルチレイヤ基板構造2が、例えば励起光のような励起放射線1で、センサの第1の側から照射され、例えば蛍光放射線のような発光放射線3の検出が、センサの同じ第1の側で実施されることを意味する。これは、図7に示されている。
【0056】
透過モードでの検出に対する反射モードでの検出の利点は、例えば励起放射線のような発光放射線3が、スリット5または開口6を貫通して進行しなくても、より多くの放射線が検出器4に到達することである。透過モードでの検出の場合と同様に、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して適当な結合サイトは、マルチレイヤ基板構造2の上部であり、すなわちスリット5または開口6の入口である。これは、図3からも明らかである。反射モードでのマルチレイヤセンサの組み合わせ効率の効果は、図3に示した透過モードでのマルチレイヤセンサの場合の効果と同様である。
【0057】
しかしながら、反射モードの問題、およびこれが透過モードに比べて好ましくない理由は、このモードでは、励起放射線1および発光放射線が分離されないのに対して、透過モードでは、サブ波長スリット5または開口6の場合、励起放射線および発光放射線3が、検出が行われる際に分離されることである。従って、反射モードで検出が実施される場合、例えば干渉フィルタのようなフィルタが必要となる場合がある。
【0058】
本発明の実施例では、マルチレイヤ基板構造2の第1の層2aおよび第2の層2bを構成するために必要な、結合性材料および非結合性材料は、各種方法で得ることができる:
−例えば負に帯電されたDNAにおいて、材料が正に帯電されている場合、この電荷により、DNAに対して、このDNAを材料の方に誘引する力が生じ、分子が材料表面に結合する機会が増える。従って、これを利用して、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対してより大きな結合性を示す層2aを構成することにより、好適な結合が得られる。同様に、材料が負に帯電され、この電荷が、DNAに対して、このDNAを材料の方から遠ざけるように誘導すると、DNAは、この材料に結合されにくくなる。従って、負に帯電された材料は、DNAが材料に結合されることを抑制するため、そのような材料を使用して、層2bを構成することにより、例えば蛍光プローブのような発光プローブに対して、弱い結合能力を得ることができる。
−材料の「自然な」電荷を用いる代わりに、電気的な電圧で材料を帯電させることも可能である。このため、第1の材料を有する結合性の層または第1の層と、第2の材料を有する非結合性の層または第2の層との間に、導電性の材料層が挿入される。これにより、第1の材料または結合性の材料を正に帯電させ、第2の材料または非結合性の材料を負に帯電させることが可能となる。従って、適当な材料は、例えば導電性がある材料であり、本願の例では、例えば半導体または金属のような材料が使用できる。
−また、化学反応により好適な結合を得ることも可能である。例えば、いくつかの材料は、容易に酸化され、いくつかの材料は、酸化されにくい。この効果を用いて、これらの材料の一つに対して、好適な結合を得ても良い。
−いくつかの種類の生物分子の結合に適した材料は、刊行物「診断用バイオセンサポリマー」、アズマーニら(A. M. Asmani、N. Akmal)編、アメリカンケミカルソサイエティ(American Chemical Society)、1994年に示されている。
【0059】
本発明のさらに別の実施例では、前述の実施例に示したマルチレイヤ基板構造2は、少なくとも一つの層を有し、この層は、発光センサが被検流体と接している間、発光センサと、該センサと接する流体との間で、反応が生じないような化学的組成を有する。
【0060】
マルチレイヤ基板構造2は、前述の実施例のように、少なくとも一つの第1の層2aと、少なくとも一つの第2の層2bとを有し、このマルチレイヤ基板構造2の上部では、少なくとも一つの層は、この少なくとも一つの層とセンサに設けられた流体との間で、反応が生じないような化学的な構造を有するように配置されることが好ましい。
【0061】
他の実施例では、マルチレイヤ基板構造2は、前述の実施例のように、少なくとも一つの第1の層2aと、少なくとも一つの第2の層2bとを有し、センサの被検流体が設けられる側にある、少なくとも一つの第1の層2aの一つは、その層と提供流体との間で、実質的に反応が生じないような化学的構造を有する。
【0062】
好適実施例では、本発明による装置の特定の構成および配置、ならびに材料について説明したが、本発明の範囲および思想から逸脱しないで、形態および細部の各種変更または修正が可能であることを理解する必要がある。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施例による、透過測定モードで使用される発光センサの基本的な原理を示した図である。
【図2】本発明の第1の実施例による発光センサの概略的な斜視図を示した図である。
【図3】励起放射線と発光放射線の検出の組み合わせ効率を示した図である。
【図4】本発明の第2の実施例による発光センサの第1の実施の基本原理を示した図である。
【図5】本発明の第2の実施例による発光センサの第2の実施の基本原理を示した図である。
【図6】本発明の第1の実施例による発光センサの概略的な斜視図を示した図である。
【図7】本発明の実施例による、反射測定モードで使用される発光センサの基本原理を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を備える第1の多孔質マルチレイヤ基板構造を有する発光センサであって、
前記マルチレイヤ基板構造は、第1の材料で構成された少なくとも一つの第1の層と、第2の材料で構成された少なくとも一つの第2の層とを有し、
前記第1の材料は、前記開口に存在する発光プローブに対して第1の結合能力を示し、前記第2の材料は、前記開口に存在する発光プローブに対して第2の結合能力を示し、前記第2の結合能力は、前記第1の結合能力よりも弱い、発光センサ。
【請求項2】
前記マルチレイヤ基板構造は、スリットと、一つの第1の層および一つの第2の層とを有することを特徴とする請求項1に記載の発光センサ。
【請求項3】
前記第1の層は、前記第2の層の上部に配置され、当該センサに照射する励起放射線源が配置される当該センサの側に最近接であることを特徴とする請求項2に記載の発光センサ。
【請求項4】
前記マルチレイヤ基板構造は、ピンホールと、一つの第1の層および一つの第2の層とを有することを特徴とする請求項1に記載の発光センサ。
【請求項5】
前記第1の層は、前記第2の層の上部に配置され、当該センサに照射する励起放射線源が設置される当該センサの側に最近接であることを特徴とする請求項4に記載の発光センサ。
【請求項6】
前記マルチレイヤ基板構造は、別の第2の層を有し、前記第1の層は、前記第2の層と前記別の第2の層との間に挟まれていることを特徴とする請求項4に記載の発光センサ。
【請求項7】
当該センサは、さらに、第2の基板構造を有し、
該第2の基板構造は、発光プローブに対して実質的に結合能力を示さない材料で構成され、
第2のマルチレイヤ基板構造は、前記第1のマルチレイヤ基板構造の上部に配置されることを特徴とする請求項1に記載の発光センサ。
【請求項8】
前記第1のマルチレイヤ基板構造は、第1の平面にあり、第1の方向に延伸するスリットを有し、
前記第2の基板構造は、第2の平面にあり、第2の方向に延伸するスリットを有し、
前記第1の平面は、前記第2の平面と実質的に平行であり、
前記第1の方向は、前記第2の方向と実質的に垂直であることを特徴とする請求項7に記載の発光センサ。
【請求項9】
前記開口は、サブ波長の寸法を有することを特徴とする請求項1に記載の発光センサ。
【請求項10】
さらに、当該センサに照射する励起放射線源と、発光放射線を検出する検出器とを有し、
前記励起放射線源は、当該センサの第1の側に配置され、
前記検出器は、当該センサの第2の側に配置され、
前記第1および第2の側は、相互に反対側にあることを特徴とする請求項1に記載の発光センサ。
【請求項11】
さらに、当該センサに照射する励起放射線源と、発光放射線を検出する検出器とを有し、
前記励起放射線源および前記検出器は、当該センサの同じ側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の発光センサ。
【請求項12】
当該発光センサが被検流体と接している際、当該発光センサと当該センサに接する流体との間で反応が生じないような化学組成を有する、少なくとも一つの層を有することを特徴とする請求項1に記載の発光センサ。
【請求項13】
発光プローブを検出する発光センサを製造する方法であって、
前記センサは、第1の多孔質マルチレイヤ基板構造を有し、
当該方法は、
発光プローブに対して第1の結合能力を示す第1の材料で構成された少なくとも一つの第1の層を提供するステップと、
前記少なくとも一つの第1の層上に、第2の材料で構成された少なくとも一つの第2の層を提供するステップであって、前記第2の材料は、発光プローブに対して、前記第1の結合能力よりも弱い、第2の結合能力を示すステップと、
前記少なくとも一つの第1の層および前記少なくとも一つの第2の層を貫通する、少なくとも一つの開口を提供するステップと、
を有する方法。
【請求項14】
少なくとも一つの第1の層を提供するステップ、および少なくとも一つの第2の層を提供するステップは、一つの第1の層と、2つの第2の層とを提供するステップを有し、
前記一つの第1の層は、前記2つの第2の層の間に挟まれることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のマルチレイヤ基板構造は、第1の平面にある、第1の方向に延伸するスリットを有し、
当該方法は、さらに、前記第1のマルチレイヤ基板構造の上部に、第2の基板構造を提供するステップを有し、前記第2の基板構造は、第2の平面にあり、第2の方向に延伸するスリットを有し、
前記第1の平面は、前記第2の平面と実質的に平行であり、前記第1の方向は、前記第2の方向と実質的に垂直であることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項16】
当該センサは、発光バイオセンサであることを特徴とする請求項1に記載の発光センサ。
【請求項17】
前記発光バイオセンサは、蛍光バイオセンサであることを特徴とする請求項16に記載の発光センサ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−543023(P2009−543023A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−522107(P2008−522107)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【国際出願番号】PCT/IB2006/052300
【国際公開番号】WO2007/010428
【国際公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】