説明

マルチワイヤー配線板の製造方法

【目的】布線性に優れたマルチワイヤー配線板の製造法を提供すること。
【構成】屈曲点間距離が0.64mm以下の絶縁電線を、他の絶縁電線よりも先に布線すること。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、必要な配線に絶縁電線を用いた配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のマルチワイヤー配線板の絶縁電線布線順序は、コンピュータにより設計された順番に配線するだけで、配線の順序に優先順位は存在しなかった。布線性を改善するものとして、特開昭60−187096号公報に示されているように、直角方向布線を基本布線格子より移動させることにより4交点を避ける方法がある。また、配線板の構造から接続信頼性を向上させるものとして、特開昭63−195号公報に示されるように、絶縁電線をスルーホールを用いずに表面パターンと接続することで、熱応力を加えず接続信頼性を向上させる方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特開昭60−187096号公報に示される方法は、クロストークを低減しながら4重交点を防ぐ布線方法であり、絶縁電線の破断を防ぐものである。一方、特開昭63−195号公報の方法では、金属箔と絶縁電線を溶接する際に、絶縁電線の絶縁層を化学的に削除する必要があり、量産性に欠け、また布線性が向上するものではない。本発明は、布線性の向上を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、絶縁電線の布線性を調査してきた結果、図2に示すようなパターンが最も布線性が悪いことがわかってきた。つまり、絶縁電線の屈曲点間距離が0.64mm以下で、その間に少なくとも絶縁電線が1本存在する場合に布線性が最も低下することである。この場合に、0.64mmの次に短い絶縁電線の屈曲点間距離は1.27mmとなるが、その長さでは布線性は全く低下しないことも分かった。これらの知見から本発明をなすことができた。すなわち、本発明のマルチワイヤー配線板の製造法は、布線性を改善するために、図1のように屈曲点間距離が0.64mm以下の絶縁電線を、他の絶縁電線よりも先に布線することを特徴とする。
【0005】
【作用】本発明により、屈曲点間距離0.64mm以下の絶縁電線の下に他の絶縁電線が存在しないようにすることで、布線性を大幅に向上させたマルチワイヤー配線板を得ることができる。
【0006】
【実施例】このマルチワイヤー配線板の製造工程について簡単に説明すると、絶縁板上に形成された銅箔をエッチングにより電源層、グランド層を形成し、その両面にプリプレグを重ねて加熱加圧して、さらにその両面に接着剤層を形成し、NC制御布線機を用いて絶縁電線を布線する。その時、屈曲点間距離0.64mm以下の絶縁電線を他の絶縁電線より先に布線する。そしてプリプレグを両面に重ね、加熱加圧した後、NCドリルマシンで穴あけを行い、無電解めっきにより穴内を金属化してスルーホールを形成し、絶縁電線とスルーホールの電気的接続を行う。
【0007】
【発明の効果】本発明により、図2に示すように、屈曲点間距離0.64mm以下に少なくとも1本の他の絶縁電線が存在した場合、布線浮き不良率は5%であったが、本発明による図1のように、屈曲点間距離25mm以下の絶縁電線の下に他の絶縁電線が存在しない場合、布線浮き不良率は、1%へ向上した。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示すマルチワイヤー配線板の平面図である。
【図2】従来のマルチワイヤー配線板の平面図である。
【符号の説明】
1.絶縁電線 2.絶縁電線
3.スルーホール 4.スルーホール
5.スルーホール 6.スルーホール
7.屈曲点間距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】絶縁基板上に形成された接着剤層上に絶縁電線を布線し、接続を必要とする個所に絶縁電線を切断するように穴を開け、前記穴内を金属化してスルーホールを形成し、絶縁電線とスルーホールを電気的に接続するマルチワイヤー配線板の製造方法において、屈曲部間の距離が0.64mm以下の部分を有する絶縁電線を他の絶縁電線よりも先に布線することを特徴とするマルチワイヤー配線板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平6−125179
【公開日】平成6年(1994)5月6日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−274224
【出願日】平成4年(1992)10月13日
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)