説明

マンホールの側面孔に対するゴム輪圧着用治具

【課題】 本発明は、1種にて大小各種径のゴム輪をマンホールの側面孔に圧接嵌めすることのできる拡径具を新規に提供することを解決しようとする課題とするものである。
【解決手段】 本発明はマンホールの側面孔にゴム輪を圧接嵌めするための油圧ジャッキ,手動のネジ拡径具において、該ジャッキ,ネジ拡径具の中間両側に外側に張出す張出し支点を設け、該張出し支点より油圧またはネジにて進退するロッド端に旋回動自在に枢着する二股アームの先端に連結して拡径作動する拡径アームを設けて、前記ゴム輪の内側の有端リングの重なり端近くに設ける掛止部を押し拡径することにより、マンホールの側面孔の大小に対応して用意される大小径の各ゴム輪を一種づつの油圧ジャッキ,手動のネジ拡径具にて圧接嵌め可能としたことを特徴とするマンホールの側面孔に対するゴム輪圧着用治具にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンホールの側面孔に対するゴム輪圧着用の治具、詳しくはマンホールの大きさ等によって大小する側面孔に対応した大小各径のゴム輪を油圧式または手動式の1種の拡径具にて圧着嵌めを可能とするゴム輪の圧着用治具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の技術は特許第3026068号にて発表されている。該公報は油圧ジャッキの開閉アームの先端に押し開き用の有端リングを取付けていて、油圧ジャッキの作動により有端リングを拡径して内側のゴム輪に当てた内面リングの重なり端部を離し開きし、この離し開きした端部間を嵌着し掛止固定することでゴム輪をマンホールの側面孔に圧接させて嵌付けするようにしている。
【特許文献1】特許第3026068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような拡径用の治具は、開閉アームにて附属の有端リングを拡径して内面リングの重なり端部を離し開きする要領のため、油圧ジャッキの拡径具はゴム輪に適合する有端リングの大きさごとに多種を用意しなければならないという課題があった。また油圧ジャッキは拡径圧の反作用を受けるために底座をもってしっかり固定しなければならない手間を要するという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、マンホールの側面孔にゴム輪を圧接嵌めするための油圧ジャッキ式,手動ネジ式の拡径具において、該油圧ジャッキ式,手動ネジ式の拡径具の中間両側に外側に張出す張出し支点を設け、該張出し支点より油圧またはネジにて進退するロッド端に旋回動自在に枢着する二股アームの先端に連結して拡径作動する拡径アームを設けて、前記ゴム輪の内側の有端リングの重なり端近くに設ける掛止部を押し拡径することにより、マンホールの側面孔の大小に対応して用意される大小径の各ゴム輪を一種の油圧ジャッキ式または手動ネジ式の拡径具にて圧接嵌め可能とするようにして、かかる課題を解決したのである。
【発明の効果】
【0005】
本発明は以上のようにして、油圧ジャッキ式または手動ネジ式の拡径具にて直接有端リングの重なり端部を拡径することと、油圧ジャッキ式,手動ネジ式の拡径具の中間より両側に張出した張出し支点を設け、この張出し支点より油圧またはネジにて進退するロッド端に旋回動自在に枢着する二股アームの先端に連結する2本の拡径アームを設けたことにより、油圧ジャッキ式,手動ネジ式の拡径具の拡径時の反作用を2つの張出し支点に集中させて本体に反動が生じないようにしたので、油圧ジャッキまたは手動ネジの本体部分の押え固定の手間を要することなしに安定して拡径作業をすすめることができるという効果を生ずる。
【0006】
横開き型の拡径具により、既に接続管が挿入されている狭い空間における拡径作業も容易に行うことができるという効果を生ずる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
油圧ジャッキ式または手動ネジ式の拡径具は、中間の両側に張出し部を設け、その先端に張出し支点を設け、該支点より油圧またはネジにて進退するロッド端に旋回動自在に枢着する二股アームの先端間に連結する2本の拡径アームを設け、両拡径アームの先端の押爪をゴム輪の内面に当てた有端リングの重なり端部の外側内面に設ける掛止部に当て掛けして拡径作動をすることによりゴム輪をマンホールの側面孔に圧接嵌めするようにしたのである。
【実施例1】
【0008】
図1に示すように油圧ジャッキ式の拡径具1は中間のピストン部2の両側に張出し部分3,3を設け、その先端に張出し支点3a,3bを設けて、該張出し支点3a,3bよりピストン作動にて進退するロッド2a端に旋回動自在に枢着2bする二股アーム4a,4bの先端との間に拡径アーム5a,5bを取付けてなる。6は押爪である。
【0009】
マンホール7の側面孔7aに仮嵌めするゴム輪8の内面に端部間を重ね合わせた重なり端部9a,9bのある有端リング9を当接し、図2,図3(a)および図4(a)に示すように、この重なり端部9a,9b近くに設ける掛止部10a,10bに拡径アーム5a,5bの先端の押爪6を当て掛けてロッド2aを伸張して図3(b),図4(b)に示すように拡径し、重なり部分9a,9b間を一旦押し離して向き合わせてから徐々に油圧を解いて、図3(c)に示すように重なり部分9a,9bの先端間を嵌着し掛止固定することによって、ゴム輪8をマンホール7の側面孔7aに圧接嵌めするのである。拡径具1はさらに縮径作動して拡径アーム5a,5bを閉じ作動して有端リング9内から外すことができることとなる。以上の要領により、図5に示すようにマンホール7の大小する側面孔7aに取付ける大小各径のゴム輪8用の各有端リング9を1種の拡径具1をもって拡径し掛止することができることとなる。なお、中間のピストン部2の両側の張出し部分3,3に張出し支点3a,3bを設け、ピストン作動にて進退するロッド2a端に旋回動自在に枢着2bする二股アーム4a,4bの先端との間に拡径アーム5a,5bを取付け、且つ押爪6,6を掛止部10a,10bに当て掛けするようにしたので、拡径アーム5a,5bの拡径圧の反作用は張出し支点3a,3bに集中してロッド2aの伸張に対するキックバックが油圧ジャッキ方向に生じないようにしたので、拡径具本体は固定の手間を要せずして簡易迅速に作業をすることができることとなる。
【実施例2】
【0010】
図6乃至図8は側面孔7a内に既に接続管20が挿嵌されている狭い空間においてゴム輪8を有端リング9により圧接嵌めするための拡径作業用の実施例を示し、図6(a)(b)に示すように前記の拡径アーム5a,5bの先端を延長する要領にてアダプター11a,11bを取付けたものである。12はアダプター11a,11bの先端に横向きに設けた押爪である。図7(a)(b)に示すように拡径具1の本体はマンホール7の外または内の広い空間内に横置きして、アダプター11a,11b部分のみを有端リング9の内側に入れて掛止部10a,10bの内端に押爪12を当て掛けて拡径してゴム輪8を側面孔7aに圧接嵌めするようにしたのである。なおアダプター11a,11bはネジ止めまたはワンタッチ挿着機構によって拡径アーム5a,5bに取付け取外しするようにすることもできる。
【実施例3】
【0011】
図9は手動ネジ式の拡径具13の例を示すもので、ネジ軸14の螺合部の両側に張出部分15,15を設けて、その両側下に設けた張出し支点16a,16bと進退するネジ軸14端に旋回動自在に枢着14aする二股アーム17a,17bの先端間に拡径用のアーム18a,18bを取付けたのである。19は押爪である。
【0012】
油圧ピストンにかわるネジ軸14の正逆回転操作によりネジ軸14の先端(回転自由のロッド)を進退させることによって、拡径用アーム18a,18bを開閉するようにしたほかは前例に同じである。さらに図10に示すようにアダプター11a,11bを固定取付け、または取外し自在に装着して横開き型にすることができる点も同様である。手動ネジ式によれば、油圧ポンプ(図示してない)等の設備を不要とし、総じて小さく軽量となるので持ち運びに便利で、特に狭い場所での作業に適したものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は以上のようにして、側面孔の大きさ、すなわちゴム輪の大小径にかかわらず1種の拡径具でもってあらゆる大きさのゴム輪の内側圧接嵌めを可能とするので、水密性にすぐれたこの種のゴム輪の普及に広く貢献することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は油圧ジャッキ式の拡径具の正面図、(b)は同、側面図、(c)はロッドの伸張により拡径用アームを拡げた状態を示す正面図
【図2】押爪を掛止部に当て掛けした準備状態を示す使用時の正面図
【図3】(a)は同、拡大正面図、(b)は拡径した状態の拡大正面図
【図4】有端リングの動作を示す部分平面図で、(a)端部間が重なった準備段階、(b)は拡径された状態、(c)は拡径を解いた戻り圧で端部間を嵌合掛止した状態
【図5】1種の拡径具により、(a)は大径の有端リングを拡径している状態の作業図、(b)は小径の有端リングを拡径している状態の作業図
【図6】横開き用のアダプターを設けた例を示すもので、(a)は正面図、(b)は拡径した状態の正面図、(c)は側面図
【図7】(a)(b)はこの種の代表的なゴム輪形状2種の取付けに際して、拡径具本体をマンホールの外または内に横置きして、長く薄形をしたアダプターによって狭い空間で拡径作業をしている状態を示す部分側面図
【図8】同、有端リング部分の正面断面図
【図9】手動ネジ式の拡径具を示すもので、(a)は閉じた状態、(b)は拡径した状態の正面図
【図10】同、横開き用のアダプターを設けた例を示す各正面図
【符号の説明】
【0015】
1は油圧ジャッキ式の拡径具
2はピストン部
3,3は張出し部分
3a,3bは張出し支点
4a,4bは二股アーム
5a,5bは拡径アーム
6は押爪
7はマンホール
7aは側面孔
8はゴム輪
8aは中間部
8bは接続管取付部
9は有端リング
9a,9bは重なり端部
10a,10bは掛止部
11a,11bはアダプター
12は押爪
13は手動ネジ式の拡径具
14はネジ軸
15,15は張出し部分
16a,16bは張出し支点
17a,17bは二股アーム
18a,18bは拡径アーム
19は押爪
20は接続管
21は締付けバンド(拡径作業終了後)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンホールの側面孔にゴム輪を圧接嵌めするための油圧ジャッキ式,手動ネジ式の拡径具において、該油圧ジャッキ式またはネジ式の拡径具の中間両側に外側に張出す張出し支点を設け、該張出し支点より油圧またはネジにて進退するロッド端に旋回動自在に枢着する二股アームの先端に連結して拡径作動する拡径アームを設けて、前記ゴム輪の内側の有端リングの重なり端近くに設ける掛止部を押し拡径することにより、マンホールの側面孔の大小に対応して用意される大小径の各ゴム輪を一種の拡径具にて圧接嵌め可能としたことを特徴とするマンホールの側面孔に対するゴム輪圧着用治具。
【請求項2】
ゴム輪圧着用の治具は油圧ジャッキ式,手動ネジ式の拡径具ともに縦開き型と横開き型の2種づつにて構成する請求項1記載のマンホールの側面孔に対するゴム輪圧着用治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−37389(P2006−37389A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215718(P2004−215718)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000146582)株式会社信明産業 (17)
【Fターム(参考)】