説明

マンホール用鉄蓋

【課題】 鉄蓋が受枠から突出しても、除雪板が半球状突起に当たって、鉄蓋にこれを受枠内に押し下げる力が作用するので、除雪板の引っ掛かりを確実に防止することができる。
【解決手段】 上部コーナー部の少なくとも1部に形成された溝1Aと、溝1Aに、その長手方向に沿って間隔をあけて設けられた半球状突起1Bとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マンホール用鉄蓋、特に、除雪車による除雪作業時の除雪板の鉄蓋への引っ掛かりを確実に防止することができるマンホール用鉄蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5に示すように、マンホール用鉄蓋11は、道路12に埋設された受枠13内に嵌め込まれる。路面12Aと受枠13の上面13Aと鉄蓋11の上面11Aとは、それぞれ同一レベルになるように構築されている。
【0003】
しかしながら、地盤沈下等により路面12Aが下降すると、受枠13の上部が路面12Aから露出する。この現象は、特に、融雪用パイプが路面下に埋設され、地下水をこのパイプに流している降雪地帯において多く発生し、以下のような問題があった。
【0004】
受枠13の上部が路面12Aから露出すると、除雪車による除雪作業時に除雪板が露出した受枠13に引っ掛かって、受枠13や鉄蓋11の損傷事故の原因となる。
【0005】
そこで、図5に示すように、除雪板を逃がすために、受枠13の上部コーナー部を円弧状に形成して、露出した受枠13への除雪板の引っ掛かりを防止することが行われている。
【0006】
ところで、マンホール用鉄蓋11は、取り扱いにより生じる錆の発生や土砂等の侵入によって、受枠13に対して上昇したり斜めに嵌まり込んだり、あるいは、取り扱いにより生じる錆の発生や土砂等の侵入がなくても、鉄蓋11が受枠13に斜めに嵌め込まれることがある。
【0007】
このように、鉄蓋11が受枠13に対して上昇したり斜めに嵌まり込んでも、受枠13の場合と同様な問題が発生する。
【0008】
そこで、この問題を解決するマンホール用鉄蓋が特許第2686583号公報(特許文献1)に開示されている。図6に示すように、この従来鉄蓋14は、上部コーナー部を一定の条件下でカットし(図中、外周端カット部として示す。)、傾斜面14Aを形成したものである。すなわち、この従来鉄蓋14は、その上面が受枠15の上面と同じ高さに、または低くなるように受枠15内に嵌め込まれるマンホール用鉄蓋であって、鉄蓋14の上部コーナー部を、外周端より1.5mm以上内側から外側に向って下降傾斜させ、この外周端から外周面に沿って1.5mm以上下側に到達させて、上部コーナー部に傾斜面14Aを形成したものである。
【0009】
【特許文献1】特許第2686583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記従来鉄蓋14によれば、鉄蓋14の上部コーナー部に傾斜面14Aが形成されているので、鉄蓋14が受枠15から突出するように受枠15内に嵌め込まれても、図7に示すように、除雪板16が逃げて、除雪板16が鉄蓋14に引っ掛かることを防止できるといった効果がもたらされる。
【0011】
しかしながら、除雪板16が逃げても、図7に示すように、鉄蓋14は元のままで斜めに受枠15内に嵌まり込むことになって、車が走行したときに振動や騒音の原因となる。鉄蓋14が受枠15内に斜めに嵌まり込む現象は、この鉄蓋14上を車が走行することによりさらに助長され、鉄蓋14は、さらに斜めになる。
【0012】
従って、この発明の目的は、鉄蓋が受枠から突出しても、除雪板により鉄蓋が押し下げられて、受枠内に完全に嵌まり込み、この結果、除雪板の鉄蓋への引っ掛かりを確実に防止することができるマンホール用鉄蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、下記を特徴とするものである。
【0014】
請求項1記載の発明は、上部コーナー部の少なくとも1部に形成された溝と、前記溝に、その長手方向に沿って間隔をあけて設けられた半球状突起とを有することに特徴を有するものである。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、突起の高さは、鉄蓋の上面レベルと等しいことに特徴を有するものである。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、突起の高さは2〜5mmであることに特徴を有するものである。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1から3の何れか1つに記載の発明において、突起は、10〜20mm間隔で形成されていることに特徴を有するものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、鉄蓋の上部コーナー部全周に亘って溝を形成し、この溝に、その長手方向に沿って間隔をあけて半球状突起を設けることによって、鉄蓋が受枠から突出しても、除雪板が半球状に当たって、鉄蓋にこれを受枠内に押し下げる力が作用するので、除雪板の鉄蓋への引っ掛かりを確実に防止することができる。しかも、前記突起は、半球状に形成されているので、除雪板がどの方向から突起に当たっても上記作用が生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、この発明のマンホール用鉄蓋の一実施態様を、図面を参照しながら説明する。なお、この例は、円形状鉄蓋であるが、角形鉄蓋であっても良い。
【0020】
図1は、この発明のマンホール用鉄蓋を示す部分平面図、図2は、図1のA−A線断面図、図3は、半球状突起に除雪板が当たった状態を示す断面図、図4は、除雪板により鉄蓋が押し下げられた状態を示す断面図である。
【0021】
図1から図4に示されるように、この発明のマンホール用鉄蓋1は、上部コーナー部の少なくとも1部に形成された溝1Aと、溝1Aに、その長手方向に沿って間隔をあけて設けられた半球状突起1Bとを有しているものから構成されている。少なくとも1部に溝1Aを形成するとしたのは、溝1Aを形成すると強度低下の問題が生じるような上部コーナー部には、溝1Aを形成しないからである。半球状突起1Bの高さは、鉄蓋1の上面レベルと等しく、この発明の効果をもたらす上で2〜5mmの高さが好ましい。隣接する半球状突起1Bの間隔は、この発明の効果をもたらす上で10〜20mm間隔で形成するのが好ましい。なお、半球状突起1Bは、厳密に半球状でなくても、湾曲面が形成された突起であれば良い。
【0022】
このように、鉄蓋1の上部コーナー部の少なくとも1部に溝1Aを形成し、この溝1Aにその長手方向に沿って間隔をあけて半球状突起1Bを設けることによって、図3に示すように、鉄蓋1が受枠2から突出していても、除雪板16が半球状突起1Bに当たると、図4に示すように、除雪板16は、半球状突起1Bを滑りながら前進する。これによって、鉄蓋1には、これを受枠内に押し下げる力(力の方向を図中、矢印で示す。)が作用する。突起1Bが球面状に形成されているので、除雪板16がどの方向から突起1Bに当たっても、前記押し下げる力が生じる。この結果、鉄蓋1は、受枠2内に正規に嵌まり込んで、除雪板16の鉄蓋1への引っ掛かりは確実に防止される。
【0023】
以上のように、この発明によれば、鉄蓋の上部コーナー部全周に亘って溝を形成し、この溝に、その長手方向に沿って間隔をあけて半球状突起を設けることによって、鉄蓋が受枠から突出しても、除雪板が半球状突起に当たって、鉄蓋にこれを受枠内に押し下げる力が作用する。この結果、除雪板の鉄蓋への引っ掛かりを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明のマンホール用鉄蓋を示す部分平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】半球状突起に除雪板が当たった状態を示す断面図である。
【図4】除雪板により鉄蓋が押し下げられた状態を示す断面図である。
【図5】受枠内に嵌まり込んだ鉄蓋を示す断面図である。
【図6】従来鉄蓋による除雪板の逃げの状態を示す断面図である。
【図7】従来鉄蓋では除雪板の逃げにより、鉄蓋に押し下げ力が作用しない状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1:鉄蓋
1A:溝
1B:半球状突起
2:受枠
11:鉄蓋
11A:上面
12:道路
12A:路面
13:受枠
13A:上面
14:従来鉄蓋
14A:傾斜面
14B:側面
15:受枠
16:除雪板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部コーナー部の少なくとも1部に形成された溝と、前記溝に、その長手方向に沿って間隔をあけて設けられた半球状突起とを有することを特徴とするマンホール用鉄蓋。
【請求項2】
前記突起の高さは、鉄蓋の上面レベルと等しいことを特徴とする、請求項1記載のマンホール用鉄蓋。
【請求項3】
前記突起の高さは2〜5mmであることを特徴とする、請求項1または2記載のマンホール用鉄蓋。
【請求項4】
前記突起は、10〜20mm間隔で形成されていることを特徴とする、請求項1から3の何れか1つに記載のマンホール用鉄蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−257696(P2006−257696A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−74345(P2005−74345)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000231877)日本鋳鉄管株式会社 (48)
【Fターム(参考)】