説明

マンホール継手

【課題】 簡単な構造でマンホール継手を補強することができ、埋め戻し時に底部に空洞が生じても変形を抑えることができる合成樹脂製のマンホール継手を提供する。
【解決手段】 管状の継手本体12の一端にマンホール13に設けられた接続口14に挿入して接合する挿入部15を、継手本体12の他端に配管接続部となる受口17を有するマンホール継手11であって、前記継手本体12の外周に、該継手本体12の外径より僅かに大きな内径を有し、かつ、継手本体12と同一材料で形成した補強リング18を装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンホール継手に関し、詳しくは、マンホール壁に設けられた接続口と地中に埋設される配管とを接続するための合成樹脂製のマンホール継手に関する。
【背景技術】
【0002】
地中に埋設される配管(埋設管)とマンホールとは、通常、マンホール継手を使用して接続されている。マンホール継手は、一般的に、一端にマンホール壁に設けられた接続口に挿入して接合する挿入部を有するとともに、他端に埋設管を接続するための配管接続部、例えば受口を有している。
【0003】
配管接続後のマンホールや埋設管の周囲は、土砂での埋め戻しが行われるが、マンホール継手の部分は、マンホール際での埋め戻し作業であることから、作業性が悪く、継手本体の底部に空洞が発生してしまうことがある。底部に空洞が発生すると、合成樹脂製のマンホール継手の場合は、上部からの土圧によって継手本体が変形してしまうことがあり、最悪の場合には、検査基準に外れてやり直し作業となることもあった。このため、マンホール継手の先端部を覆うようにコンクリートを打設することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−336277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の方法では、マンホール継手部分を確実に補強することはできるものの、コンクリートを打設する手間がかかり、施工コストも上昇するという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、簡単な構造でマンホール継手を補強することができ、埋め戻し時に底部に空洞が生じても変形を抑えることができる合成樹脂製のマンホール継手を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のマンホール継手は、管状の継手本体の一端にマンホール壁に設けられた接続口に挿入して接合する挿入部を、継手本体の他端に配管接続部を有するマンホール継手において、前記継手本体の外周に、該継手本体の外径より僅かに大きな内径を有し、かつ、継手本体と同一材料で形成した補強リングを装着したことを特徴とし、さらに、前記補強リングを装着した継手本体の挿入部側外周面に砂付き加工を施したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明のマンホール継手によれば、マンホール継手の管本体部を補強リングで補強するので、埋め戻し時に管本体部の底部に多少の空洞が発生しても、管本体部が上部からの土圧で変形することを抑えることができる。また、継手本体の挿入部側外周面に砂付き加工を施すことにより、コンクリート製マンホールに接続する際のモルタルとの接着強度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1及び図2は、本発明のマンホール継手の一形態例を示すもので、図1はマンホール継手をマンホールに接続した状態を示す正面図、図2は分解斜視図である。また、図3乃至図5は、マンホール継手に装着する補強リングの他の形状例を示す一部断面正面図又は正面図である。
【0009】
本形態例に示すマンホール継手11は、継手本体12の一端に、マンホール13の周壁に設けられた接続口14に挿入接合される挿入部15を有するとともに、継手本体12の他端に、下水管等の配管(埋設管)16を接続するための配管接続部である受口17を有している。さらに、継手本体12の中央部には、補強リング18が装着されている。この補強リング18は、継手本体12に嵌めた状態で所定位置に移動できるように、継手本体12の外径より僅かに大きな内径を有し、かつ、継手本体12と同一材料で形成されている。マンホール継手11における継手本体12及び補強リング18は、任意の合成樹脂材料で形成することが可能であるが、通常は、埋設管16と同じ材料、例えば、塩化ビニル、ポリエチレン、FRP等の合成樹脂で形成されている。
【0010】
継手本体12に対する補強リング18の装着位置は、継手本体12の口径や長さに応じて適当に設定することができるが、通常は、土圧が作用しない挿入部15と、埋設管16の接合によって強度が向上している受口17との中間部で、埋め戻し作業が困難なマンホール13側に寄った位置が最適である。この補強リング18は、継手本体12の所定位置で接着等の適宜な固定手段で固定される。
【0011】
また、継手本体12の挿入部15側の外周面には、砂付き加工19が施されている。この砂付き加工19は、前記補強リング18を装着した後に、補強リング18を装着した位置よりも挿入部15側の継手本体12外周面に施される。このような砂付き加工19を施しておくことにより、コンクリート製のマンホール13にマンホール継手11を接合する際のモルタル20との接着強度を高めることができる。
【0012】
上述のように形成した合成樹脂製のマンホール継手11は、管台や砂利、砕石等の基礎21によって底部を支持した状態で、マンホール13の接続口14に挿入部15を挿入し、接続口14と挿入部15との間にモルタル20を充填して接合固定される。他方の受口17には、埋設管16の差口が挿入されて接合される。
【0013】
マンホール13にマンホール継手11を介して埋設管16を接合した後、マンホール13の周囲やマンホール継手11、埋設管16を土砂等で埋め戻す。このとき、マンホール継手11の底部に土砂が十分に入り込まずに空洞が発生したとしても、継手本体12が補強リング18によって補強されているので、マンホール継手11の上部に埋め戻された土圧によって継手本体12が変形することを抑えることができる。
【0014】
また、補強リング18の軸線方向の長さ及び肉厚は、継手本体12の長さや肉厚、接続口14への挿入部15の挿入量等の条件に応じて設定すればよく、例えば、図3に示す補強リング18aは、前記形態例に示した補強リング18に比べて、長さは同じで厚肉に形成し、補強効果を向上させるようにしている。また、図4に示す補強リング18bは、前記補強リング18に比べて肉厚は同じで長さを長く形成している。さらに、図5に示す補強リング18cは、前記補強リング18に比べて長さも長くし、肉厚も厚く形成している。
【0015】
図3乃至図5の補強リング18a、18b、18cに示すように、管用継手11に対する補強リングの装着位置も任意に設定できる。さらに、長さの短い補強リングを複数個装着することもできる。なお、配管接続部の構造は任意であり、前記受口形状の他、適宜な継手を介在させて埋設管を接続する構造であってもよい。また、マンホールの材質はコンクリートに限るものではなく、合成樹脂製マンホールであってもよく、合成樹脂製マンホールに使用するマンホール継手では、砂付き加工を省略できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のマンホール継手をマンホールに接続した状態の一形態例を示す正面図である。
【図2】マンホール継手の分解斜視図である。
【図3】マンホール継手に装着する補強リングの他の形状例を示す一部断面正面図である。
【図4】補強リングの更に他の形状例を示す正面図である。
【図5】補強リングの更に他の形状例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0017】
11…マンホール継手、12…継手本体、13…マンホール、14…接続口、15…挿入部、16…埋設管、17…受口、18,18a,18b,18c…補強リング、19…砂付き加工、20…モルタル、21…基礎

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の継手本体の一端にマンホール壁に設けられた接続口に挿入して接合する挿入部を、継手本体の他端に配管接続部を有する合成樹脂製のマンホール継手において、前記継手本体の外周に、該継手本体の外径より僅かに大きな内径を有し、かつ、継手本体と同一材料で形成した補強リングを装着したことを特徴とするマンホール継手。
【請求項2】
前記補強リングを装着した継手本体の挿入部側外周面に砂付き加工を施したことを特徴とする請求項1記載のマンホール継手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−104790(P2006−104790A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293658(P2004−293658)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000006172)三菱樹脂株式会社 (1,977)
【Fターム(参考)】