説明

マンホール蓋の開閉方法及びその開閉装置、この開閉装置の組立方法

【課題】マンホール蓋の持ち上げ作業、持ち上げたマンホール蓋の反転作業、反転したマンホール蓋の移動作業を人力によっても一連に、簡単容易に行なえるようにする。
【解決手段】開閉すべきマンホール蓋Cによって施蓋してある開口部外側に配置する移動可能な本体ベース1と、マンホール蓋Cに着脱自在に連結する連繋支持シャフト15を下端に有し、後部の上下部位にガイドローラー35を備えて成るガイド手段30を設けたリフト部材10と、本体ベース1の後部上に立脚状に連結固定して、ガイドローラー35に噛み合うことでリフト部材10自体を昇降させるよう、昇降機構51を備えたガイドポスト45を有する昇降操作部材40とを備えて成る。本体ベース1の内方にリフト部材10を配置した後、昇降操作部材40の下部を本体ベース1に連結固定し、ガイドポスト45をガイド手段30のガイドローラー35に噛み合わせることで組み立てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相当に重量があるマンホール蓋の開閉作業において、マンホール蓋をマンホール開口部の開閉設置箇所から持ち上げる作業、持ち上げたマンホール蓋を反転させる作業、反転したマンホール蓋を移動させる作業等を一連化させて行なうために使用されるマンホール蓋の開閉方法及びその開閉装置、この開閉装置の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、重量が例えば163kg程度を有するマンホール蓋を、これが設置されているマンホール開口部の開閉設置箇所から取り外し、持ち上げてから移動させるには、人力では極めて困難であるために様々な機械的構成によるマンホール蓋開閉装置が提供されている。例えば特許文献1に開示されているように、マンホール蓋に引っ掛け部材を介して着脱可能に連結される連結部材を台車にリンク部材で連結し、このリンク部材をアクチュエータによって水平に押し上げるマンホール蓋の押上装置が存在する。
【0003】
また、特許文献2に開示されているように、外フレームに対し内フレームを枢支部の廻りにジャッキで揺動させ、該枢支部を支点とし、ジャッキ位置を力点とし、内フレームに取り付けられているフック手段位置を荷重の作用点とすることで内フレームのテコ作用によってマンホール蓋を略水平に吊上げてから移動可能にしたマンホール蓋の開閉装置が存在する。
【0004】
さらに、特許文献3に開示されているように、フックをマンホール蓋の鍵穴に係合してから把手を倒すことによって車輪を支点としたテコの原理によってマンホール蓋を略水平状態に開閉するマンホール蓋操作用具が存在する。
【0005】
さらにまた、特許文献4に開示されているように、車輪によって移動可能とした油圧式ジャッキ本体に固定されている横長の支持部材の長孔からフック棒を貫通垂下させ、このフック棒の先端フック部をマンホール蓋の鍵穴に係合してからジャッキで水平に引き上げて移動させるマンホール蓋の開閉装置が存在する。
【特許文献1】実開平6−32412号公報
【特許文献2】実公昭58−3883号公報
【特許文献3】実開平6−49533号公報
【特許文献4】特開平7−279189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来の開閉装置の例においては、マンホール開閉作業において、マンホール蓋を開閉設置箇所における開口部から、開口部周縁の隙間をシールしている固着材(シール剤)を片側から剥離しながら持ち上げる作業、持ち上げたマンホール蓋を反転させる作業、反転したマンホール蓋を移動させる作業等を一連化させて行なうためのマンホール蓋の開閉装置は存在しない。
【0007】
すなわち、殆どのマンホール蓋の開閉装置はマンホール蓋を水平に持ち上げるため、マンホール蓋とこのマンホール蓋周縁の設置開口部との間に充填シールされている固着材を剥離するには、マンホール蓋全体を引き上げる過大な引き上げ力を要するから、開閉作業自体が非常に困難となっている。
【0008】
また、従来のマンホール蓋の開閉装置では、マンホール蓋を水平に持ち上げた状態のままの姿勢で水平移動させるだけで、マンホール蓋を持ち上げてから反転できないため、マンホール蓋の裏面の点検もしくは清掃等が行い難い。また従来では中蓋をした状態で上蓋を反転できないため、開閉時にはマンホール蓋の設置開口部内へゴミ等を落下させる危険性がある等の諸々の問題点を有していた。しかも、これらのマンホール蓋の持ち上げ、反転等を作業員が人力で行うには、相当な体力を必要とし、またそのために無理な姿勢が強いられることで肉体障害の一因ともなっている。
【0009】
そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、マンホール蓋の開閉作業において、マンホール蓋を開閉設置箇所からマンホール蓋周縁のシール剤等を剥離しながら持ち上げる作業、持ち上げたマンホール蓋を反転させる作業、反転したマンホール蓋を移動させる作業等を一連に行なうことができるようにする。またマンホール蓋の持ち上げ作業においては、マンホール蓋と設置開口部との間にシールされているシール剤を片側から剥離しながら容易に引き剥がし持ち上げることができるようにする。さらにマンホール蓋の反転によってマンホール蓋の裏面の点検もしくは清掃等も容易に行え、しかも中蓋をした状態で上蓋を反転できることで、開閉時にマンホール蓋の設置開口部内へのゴミ等の落下を未然に防止できるようにする。そしてまた作業現場に容易に搬入でき、組立解体が自在で、しかも動力源を要せず人力で簡単に作業できるものとしたマンホール蓋の開閉方法及びその開閉装置、この開閉装置の組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するため、本発明に係るマンホール蓋の開閉方法にあっては、開閉すべきマンホール蓋が施蓋されているマンホール開口部外側に移動可能な本体ベース1を配置する第1工程と、本体ベース1に昇降自在に連結支持してあるリフト部材10の連繋支持シャフト15をマンホール蓋Cに固定する第2工程と、本体ベース1に設けてある昇降機構51によってリフト部材10をガイド手段30を介して案内して持ち上げる第3工程と、マンホール蓋Cを本体ベース1の移動によって所定箇所に移動させる第4工程と、本体ベース1の移動によってマンホール蓋Cを施蓋位置に再度位置決め準備する第5工程と、リフト部材10の下降によってマンホール蓋Cをマンホール開口部に位置決め固定する第6工程と、マンホール蓋Cから連繋支持シャフト15を解放する第7工程とから成ることを特徴とする。
そして、第2工程には、連繋支持シャフト15の端部開口にジャッキ部材20のジャッキフォーク22を嵌め込み、ジャッキ部材20による持ち上げによってマンホール蓋C周囲のシール剤を引き剥がし、マンホール開口部からマンホール蓋Cを縁切りすることを含むことができる。
第4工程あるいは第5工程には、マンホール蓋Cの清掃、マンホール内の点検を含むことができる。
更には第4工程あるいは第5工程には、持ち上げたマンホール蓋Cを連繋支持シャフト15を回転中心として反転させ、また反転復帰させることを含むことができる。
また、本発明に係るマンホール蓋の開閉装置にあっては、開閉すべきマンホール蓋Cが施蓋されているマンホール開口部外側に配置される移動可能な本体ベース1と、マンホール蓋Cに着脱自在に連結される連繋支持シャフト15を下端に有し、後部の上下部位にガイドローラー35を備えて成るガイド手段30を設けたリフト部材10と、本体ベース1の後部上に立脚状に連結固定され、ガイドローラー35に噛み合うことでリフト部材10自体を昇降させるよう、昇降機構51を備えたガイドポスト45を有する昇降操作部材40とを備えて成ることを特徴とする。
本体ベース1は、平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈し、奥部位に昇降操作部材40、リフト部材10を位置決め連繋させる支持台座5を設けて成る。
リフト部材10は、本体ベース1内に位置決め配置されるよう平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈するベースフレーム11に、マンホール蓋Cに連結される連繋支持シャフト15、昇降操作部材40に沿ってリフト部材10自体を昇降させるときのガイド手段30を設けて成る。
連繋支持シャフト15は、ベースフレーム11に連結した支持アーム16相互間に揺転自在に支承してあり、マンホール蓋Cにおける取付孔C1位置に対応する連繋孔15Aを開穿し、この連繋孔15Aには、取付孔C1内で係止する取付ボルト部材15Bが貫挿され、連繋支持シャフト15の上面に当接して取付ボルト部材15Bにねじ止めされるナット部材15Cによって取付ボルト部材15Bを介して、連繋支持シャフト15がマンホール蓋Cに連繋されるようにしている。
連繋支持シャフト15には、少なくともいずれか一方の端部開口にジャッキ部材20が着脱できるようにしてあり、より具体的は、このジャッキ部材20は、油圧部を内蔵したジャッキ本体21の下端にジャッキフォーク22を連結し、油圧を供給するよう揺動操作するハンドル23をジャッキ本体21の上部に連繋して成る。
ベースフレーム11は、平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈する第1フレーム12と、この第1フレーム12の左右部上に端部が固定され、奥部側が上方に位置するように側方から見て奥部側に至るに伴い次第に傾斜立ち上がっていて、平面でほぼコ字形を呈する第2フレーム13と、下位置の第1フレーム12の奥部と上位置の第2フレーム13の奥部の上下間で連結配置したガイド柱14とから成る。
昇降操作部材40は、リフト部材10に連結させる連結部41と、リフト部材10におけるガイド手段30に噛み合い、リフト部材10自体を昇降案内させるガイドポスト45と、リフト部材10に連繋してリフト部材10を昇降させる昇降機構51とを備えて成る。
リフト部材10におけるガイド手段30は、ガイドポスト45に対する下位置ではガイドポスト45の前後部に配される前後部のガイドローラー35を回転自在に支承した下部案内体31と、同じくガイドポスト45に対する上位置ではガイドポスト45の後部に配される後部のガイドローラー35を回転自在に支承した上部案内体32とをガイド柱14の上下部に設けて成る。
上下部の案内体31,32は、リフト部材10のガイド柱14に固定した軸支プレート33にローラーシャフト34を固定すると共に、ガイドポスト45に固定した断面で山形状のガイドプレート46に当接案内されるほぼ鼓型を呈するガイドローラー35をカラー36を介してローラーシャフト34に支承して成る。
昇降機構51は、ガイドポスト45の上部に固定されていて、リフト部材10に着脱自在に連繋される牽引索52を引き出しあるいは巻き取る巻取ドラム53と、この巻取ドラム53を回転操作するハンドル55とを少なくとも備えて成る。
更に本発明に係るマンホール蓋の開閉装置の組立方法にあっては、上記の本体ベース1、リフト部材10、昇降操作部材40を備えて成るマンホール蓋の開閉装置において、本体ベース1の左右側部相互間にリフト部材10の左右側部を位置合わせして、ガイド手段30下部を本体ベース1後部に設けた支持台座5上に載せ、次に昇降操作部材40における連結支柱43を本体ベース1の支持台座5における連結筒7に嵌め合わせると共に、ガイドポスト45をガイドローラー35に噛み合わせることで、本体ベース1上に昇降操作部材40を立脚配置し、また、昇降機構51における牽引索52をリフト部材10に連繋することで、昇降操作部材40の昇降操作によってリフト部材10を昇降できるようにすることを特徴とする。
【0011】
以上のように構成された本発明に係るマンホール蓋の開閉方法及び開閉装置、この開閉装置の組立方法にあって、本体ベース1にリフト部材10を組み合わせ、また本体ベース1に立脚固定した昇降操作部材40に昇降案内されるように昇降操作部材40をリフト部材10に組み合わせることで、リフト部材10に連繋したマンホール蓋Cを昇降操作部材40の操作でマンホールの開口部から持ち上げでき、マンホール蓋C自体の清掃、マンホール内の点検作業等のための内外の出入りを円滑にさせる。
平面でコ字形を呈する本体ベース1とリフト部材10のベースフレーム11とが組み合わせられ、本体ベース1の後部に昇降操作部材40を立脚状に組み合わせて成ることで、所定のマンホール開口部等のマンホール蓋Cを囲繞するように外方に配置でき、持ち上げ作業、反転作業を行わせ、また移動させる。
リフト部材10の連繋支持シャフト15は、マンホール蓋Cの取付孔C1に係止して連繋孔15Aに貫挿した取付ボルト部材15Bにナット部材15Cをねじ止めすることで、マンホール蓋Cを連結支持する。連結支持時で、昇降操作部材40による持ち上げ作用によって開口部上方にマンホール蓋Cを持ち上げ、所定の高さの上方位置では、支持アーム16に揺転自在に支承した連繋支持シャフト15を回転中心の軸として揺転させることでマンホール蓋Cを反転させる。このマンホール蓋Cの反転操作は、マンホール開口部位置でも、マンホール開口部から離れた場所でもいずれでも行え、それを任意に選択させる。
また、連繋支持シャフト15の端部開口にジャッキフォーク22を嵌め込むことで連繋支持シャフト15に連繋されたジャッキ部材20は、これのハンドル23操作で連繋支持シャフト15自体を持ち上げ、例えばマンホール蓋Cの周囲のシール剤等を例えば片側ずつでも剥離してマンホール蓋Cを縁切りし、これの持ち上げ作業を円滑にさせる。
昇降操作部材40における昇降機構51のハンドル55操作は、牽引索52を引き出しあるいは巻き取らせて牽引索52端に連結したリフト部材10を昇降させる。リフト部材10の昇降に際し、ベースフレーム11における第1フレーム12、第2フレーム13の奥部の上下相互間はガイド柱14によって固定されて一体化されていることと相俟ち、ガイド柱14に配した上下部の案内体31,32はガイドポスト45によって昇降案内されるとき、ガイドポスト45に対して上下位置で噛み合うため、安定性を良好にし、持ち上げたマンホール蓋C等の重量によっても大きくは傾斜されない。
ガイドポスト45に噛み合って上下方向に沿って移動案内される案内体31,32は、ガイドポスト45に固定したガイドプレート46にほぼ鼓型のガイドローラー35がしっくりと当接係合して安定的に噛み合い、ガイドポスト45に沿ったリフト部材10自体の昇降案内を円滑にさせる。
本体ベース1に対するリフト部材10の位置決め組み合わせ、リフト部材10のガイド手段30にガイドポスト45を噛み合わせての昇降操作部材40の本体ベース1に対する立脚配置、更に昇降機構51の牽引索52のリフト部材10との連繋は、本体ベース1、リフト部材10、昇降操作部材40の3部材を現場においても簡単に組立させる。また、これらの解体は、それぞれの部材に簡単に纏めさせ、全体をコンパクトにさせ、現場からの撤去、現場での搬出入等を容易にさせる。
【発明の効果】
【0012】
上述した本発明によれば、マンホール蓋Cの開閉作業において、マンホール蓋Cを開口設置箇所から固着シール用のシール剤等を剥離しながら持ち上げる作業、持ち上げたマンホール蓋Cを反転させる作業、反転したマンホール蓋Cを移動させる作業等を一連に行なうことができる。またマンホール蓋Cの持ち上げ作業においては、昇降操作部材40の昇降機構51のハンドル55操作で、現場における他の動力源を要せずに人力によって容易に行うことができる。さらにマンホール蓋Cの反転によってマンホール蓋Cの裏面の点検もしくは清掃等も簡単になり、しかも中蓋をした状態で上蓋を反転できることで、開閉時にマンホール蓋Cの設置開口部内へのゴミ等の落下を未然に防止できる。そればかりでなく、本体ベース1、リフト部材10、昇降操作部材40等に分離解体でき、コンパクトに纏められることで、現場への搬入、現場での組立、現場からの撤去移動その他も簡単であり、作業能率を大きく向上できる。
【0013】
すなわちこれは本発明が、開閉すべきマンホール蓋Cが施蓋されているマンホール開口部外側に配置される移動可能な本体ベース1と、マンホール蓋Cに着脱自在に連結される連繋支持シャフト15を下端に有し、後部の上下部位にガイドローラー35を備えて成るガイド手段30を設けたリフト部材10と、本体ベース1の後部上に立脚状に連結固定され、ガイドローラー35に噛み合うことでリフト部材10自体を昇降させるよう、昇降機構51を備えたガイドポスト45を有する昇降操作部材40とを備えて成るからである。これによって、マンホール蓋Cの持ち上げ、持ち上げ後の反転、移動作業等を簡単にし、迅速化を図り、施工性の改善、安全性の向上が得られ、分離解体・組立による搬入、撤去の容易性等をも実現でき、作業効率を高める等の利点がある。
【0014】
また、本体ベース1及びこれに組み合わせられるリフト部材10のベースフレーム11は、平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈しているから、開閉すべきマンホール蓋Cの外側に配置でき、ベースフレーム11の連繋支持シャフト15をマンホール蓋Cに簡単に連結固定できる。そのため、本体ベース1を台座として、この本体ベース1に立脚させた昇降操作部材40の昇降作動によって、リフト部材10を介してマンホール蓋Cを簡単に昇降でき、また所定の高さ位置でマンホール蓋Cを反転できる。
【0015】
リフト部材10の連繋支持シャフト15は、この連繋支持シャフト15を取付孔C1との係止による取付ボルト部材15B、ナット部材15Cを介するねじ止めでマンホール蓋Cに連結でき、また連繋支持シャフト15自体はベースフレーム11に連結した支持アーム16相互間に揺転自在に支承してあるから、マンホール蓋Cを連結した連繋支持シャフト15を回転中心の軸として揺転でき、マンホール蓋Cを持ち上げた状態で反転できる。そのため、マンホール蓋C裏面の清掃をも簡単に行え、本体ベース1の移動によってそのまま他所に移動でき、マンホール等を開放できる。また、移動自在な本体ベース1によって、マンホール蓋Cを開放するときの通気口の位置がずれていてもマンホール蓋Cに対する連繋支持シャフト15の取付調整や、マンホール蓋Cを閉めるときの上蓋飛散防止用のチェーンと中蓋カンヌキの位置調整も容易に行える。さらに、マンホール蓋Cの大小等の数種類の規格に対応可能で、汎用性の高いマンホール蓋C開閉用の工具となる。
【0016】
また、リフト部材10によって持ち上げたマンホール蓋Cは、マンホール開口部上方位置のその場でも、あるいは本体ベース1によって移動した後の所定箇所でもいずれでも反転でき、その清掃を容易にする。マンホール蓋Cを取り外し、開放したマンホールは、本体ベース1によってマンホール蓋Cを他の所定箇所に一時的にでも保管している間、作業員が簡単に出入りでき、マンホール内部等の点検を行うことができる。
【0017】
連繋支持シャフト15のいずれか一方の端部にジャッキ部材20を着脱できるようにしてあるため、このジャッキ部材20の油圧駆動による持ち上げ力で、例えばマンホール蓋Cの周囲がシール剤等で固着され、また塵埃等が詰まっていても、これらを剥離して縁切りし、片側ずつでも持ち上げできる。そのため、昇降操作部材40を人力で操作するときでは、マンホール蓋Cを持ち上げる昇降機構51の昇降力で十分となり、特別な動力源を要せず、作業員の人力でも十分に対応可能にしている。
【0018】
昇降操作部材40は、連結部41を介してリフト部材10に立脚状に固定された状態で、ガイド手段30に噛み合うガイドポスト45によってリフト部材10と組み合わせられるから、昇降操作部材40における昇降機構51の昇降操作は本体ベース1、昇降操作部材40に対してリフト部材10によってマンホール蓋Cを昇降できる。また、これらの本体ベース1、リフト部材10、昇降操作部材40の各部材の組合せは、これらの各部材1,10,40が重量的には嵩張らずに構成できることと相俟ち、作業現場で作業員が特別な工具類を用いずとも簡単に行え、また分解も自在であるから、現場への搬入、現場での組立・解体撤去、搬出等も簡単であり、不使用時ではコンパクトに纏められることで邪魔にもならない。
【0019】
昇降操作部材40におけるガイドポスト45は、このガイドポスト45に対する下位置ではガイドポスト45の前後部に配される前後部のガイドローラー35を回転自在に支承した下部案内体31と、同じくガイドポスト45に対する上位置ではガイドポスト45の後部に配される後部のガイドローラー35を回転自在に支承した上部案内体32とをガイド柱14の上下部に設けて成るガイド手段30と組み合わせられている。そのため、ガイドポスト45に沿ってこれに噛み合い昇降するガイド手段30を介して、昇降操作部材40に対してリフト部材10を円滑に昇降できる。
【0020】
しかも、上下部の案内体31,32は、リフト部材10のガイド柱14に固定した軸支プレート33にローラーシャフト34を固定すると共に、ガイドポスト45に固定した断面で山形状のガイドプレート46に当接案内されるほぼ鼓型を呈するガイドローラー35をカラー36を介してローラーシャフト34に支承して成るから、ガイドローラー35によるガイドポスト45との噛み合いはしっくりとし、ガイド手段30はガイドポスト45から外れることがないから、リフト部材10をスムーズに昇降案内させる。
【0021】
昇降機構51は、リフト部材10に着脱自在に連繋される牽引索52を引き出しあるいは巻き取る巻取ドラム53を回転操作するハンドル55を備えているから、このハンドル55を作業員の人力で操作でき、現場においても特別な動力源を要せずに簡単に作業を実施できる。
【0022】
本体ベース1、リフト部材10、昇降操作部材40から成る本発明に係る開閉装置は、本体ベース1に対するリフト部材10の位置決め組み合わせ、リフト部材10のガイド手段30にガイドポスト45を噛み合わせての昇降操作部材40の本体ベース1に対する立脚配置、更に昇降機構51の牽引索52のリフト部材10との連繋で組み立てることができる。これらの本体ベース1、リフト部材10、昇降操作部材40の3部材の組み合わせは現場においても作業員の人力、手作業で簡単に組立ることができ、特別な動力、治具その他を要しない。また、これらの解体は、それぞれの部材に簡単に纏めさせ、全体をコンパクトにさせ、現場からの撤去、現場での搬出入等を容易にさせ、作業の効率性を大きく向上できる。
【0023】
尚、上記の課題を解決するための手段、発明の効果の項夫々において付記した符号は、図面中に記載した構成各部を示す部分との参照を容易にするためのものである。本発明は、図面中の符号によって示された構造・形状等に限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の一形態を説明する。図において示される符号1は、マンホール蓋Cの持ち上げ作業、反転作業、移動作業等を一連化して行なうことが可能な本発明に係るマンホール蓋Cの開閉装置を構成する本体ベースである。この本体ベース1は、平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈し、所定径のパイプ材を適宜に折曲することで形成され、図示例のように開放されている左右端部位、奥部における左右部位それぞれに移動用の自在車(キャスター)2を付設してある。この本体ベース1における左右側部相互間の幅員は、開閉すべきマンホール、ハンドホール等の如き配線埋設ボックスの開口部を閉塞しているマンホール蓋Cの両サイド外方に位置するように、マンホール蓋Cの外径・外形幅等に比し小さくはなく、マンホール蓋Cに相対的に位置決めするときのマンホール蓋Cの幅員に比し十分に余裕があるようにしてある(図1参照)。
【0025】
また、本体ベース1には、その奥部位の左右に、後述するリフト部材10、昇降操作部材40それぞれを組合せ、組み立てるための支持台座5が設けられている。この支持台座5は、図8に示すように奥部枠底面に配置された支持プレート6と、この支持プレート6に立脚状に固定された後述の昇降操作部材40連結のための筒状の連結筒7と、同じく支持プレート6上に形成した昇降操作部材40及び後述のリフト部材10を位置決めさせるための連繋部8とを備えている。連結筒7は、これの内部に昇降操作部材40の連結支柱43下端が例えば嵌め入れられ、本体ベース1自体の奥部枠に連結し、支持プレート6上面にも固着される支持片9によってしっかりと固着支持されている。連繋部8は、昇降操作部材40のガイドポスト45下端が嵌め込まれる柱状部8Aと、リフト部材10のガイドローラー35が当接する断面で山形状を呈するストッパー部8Bとを有する。なお、支持プレート6底面には自在車2が配置されている。
【0026】
本体ベース1にはリフト部材10が組み合わせられる。このリフト部材10は、本体ベース1内に位置決め配置されるベースフレーム11に、マンホール蓋Cに連結される連繋支持シャフト15、昇降操作部材40に沿ってリフト部材10自体を昇降させるときのガイド手段30を設けて成る。
【0027】
ベースフレーム11は、本体ベース1における左右側部相互間の空隙部分内に位置決めされる。図示のように、平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈する第1フレーム12と、この第1フレーム12の左右部上に端部が固定され、奥部側が上方に位置するように側方から見て奥部側に至るに伴い次第に傾斜立ち上がっていて、平面でほぼコ字形を呈する第2フレーム13と、下位置の第1フレーム12の奥部と上位置の第2フレーム13の奥部の上下間で連結配置したガイド柱14とから成る。第1フレーム12、第2フレーム13は所定径のパイプ材を折曲して形成され、ガイド柱14はフレーム12,13それぞれの奥部の左右で連結された例えば角筒材としてある。
【0028】
このベースフレーム11における第1フレーム12の左右側部の前端部には、この前端部に垂れ下がり状に連結した支持アーム16相互間に、マンホール蓋Cを取り付け、引き上げるための角筒状の連繋支持シャフト15を揺転自在に支承してある。この連繋支持シャフト15自体は、左右の支持アーム16内側面に固着してある例えば円形パイプ材の外側に嵌め合わすことでこの円形パイプ材が支軸となって揺転するようにしてある。また連繋支持シャフト15における左右近傍部位には、マンホール蓋Cにおける取付孔C1位置に対応するよう長孔(スリット)状となっている連繋孔15Aを開穿してある。この連繋孔15Aは、取付孔C1内で係止するように下端に係止部を形成してある取付ボルト部材15Bが貫挿され、マンホール蓋Cの取付孔C1に対する係止後で連繋支持シャフト15の上面に当接するよう取付ボルト部材15Bにねじ止めされるナット部材15Cによって取付ボルト部材15Bを介して、連繋支持シャフト15がマンホール蓋Cに連繋されるようにしている(図7参照)。
【0029】
また、連繋支持シャフト15の端部開口にはジャッキ部材20が着脱自在に連結される。このジャッキ部材20は、マンホール等の開口部を閉塞しているマンホール蓋Cが、マンホール等の内部への異物等の侵入を防止すべく開口部内周縁とシール剤等によって止着されているとき等である場合、このシール剤から強制的に剥離してマンホール蓋Cを解放するものとしてある。すなわち図7に示すように、このジャッキ部材20は、油圧部を内蔵したジャッキ本体21の下端にジャッキフォーク22を連結し、油圧を供給するよう揺動操作するハンドル23をジャッキ本体21の上部に連繋して成る。そして、少なくともいずれか一方の前記支持アーム16の外方からジャッキフォーク22を例えば円形パイプ材内に挿入することで連繋支持シャフト15の端部開口に嵌め入れる。その後のジャッキ操作で連繋支持シャフト15のいずれか一方を持ち上げ、この持ち上げた連繋支持シャフト15によってマンホール蓋Cをマンホール等の開口部から、その片側ずつでも強制的に引き剥がして縁切りする。
【0030】
なお、図中符号25は、ベースフレーム11における第1フレーム12の左右側部のいずれか一方に水平方向で揺動自在にして前後に付設したストッパーである。このストッパー25は、連繋支持シャフト15によってマンホール蓋C持ち上げたとき、また反転後でマンホール蓋Cの揺転、ぶれ等を防止すべく、第1フレーム12内方に水平方向で揺動突出させてマンホール蓋Cに係止するものとしてある。
【0031】
そしてこのリフト部材10における前記ガイド柱14には、ガイド手段30が設けられている。このガイド手段30は、後述の昇降操作部材40におけるガイドポスト45に噛み合い、このガイドポスト45に沿って案内されることでリフト部材10自体を昇降案内させる。ガイド手段30自体は図示のように、ガイドポスト45に対する下位置ではガイドポスト45の前後部に配される前後部のガイドローラー35を回転自在に支承した下部案内体31と、同じくガイドポスト45に対する上位置ではガイドポスト45の後部に配される後部のガイドローラー35を回転自在に支承した上部案内体32とをガイド柱14の上下部に設けて成る。
【0032】
これらの上下部の案内体31,32は図5に示すように、リフト部材10の外方側でリフト部材10の後方側に突出させてガイド柱14に固定した軸支プレート33にローラーシャフト34を固定すると共に、内方が小径となるように左右で対となる裁頭円錐型のほぼ鼓型を呈するガイドローラー35をカラー36を介してローラーシャフト33に支承することで形成してある。なお、後述のガイドポスト45には、これの前後に断面で山形状のガイドプレート46を固定してガイドローラー35との当接案内が円滑になるように配慮してある。
【0033】
上下部の案内体31,32の相違は、後部側のガイドローラー35があるか否かであり、基本的には異ならない。ただ、後述するようにマンホール蓋Cを持ち上げたときの重量バランスを維持するために、上部案内体32では後部側のガイドローラー35のみとしてあるも、前部のガイドローラー35も設けることは可能である。
【0034】
また、リフト部材10の後部には、昇降操作部材40の昇降動作でリフト部材10を昇降させるべく、昇降操作部材40の牽引索52のフック54に連繋係合させるための係合部38が、例えば第2フレーム13の奥部中央部位に付設してある。
【0035】
本体ベース1に組み合わせたリフト部材10を昇降させるために、本体ベース1とリフト部材10とに組み合わせられる昇降操作部材40がある。この昇降操作部材40は、リフト部材10に連結させる連結部41と、リフト部材10におけるガイド手段30に噛み合い、リフト部材10自体を昇降案内させるガイドポスト45と、リフト部材10に連繋してリフト部材10を昇降させるウインチの如き昇降機構51とを備えて成る。
【0036】
連結部41は、ガイドポストにおける左右の立脚部分の下部相互間に横架された下部フレームバー42に、本体ベース1における支持台座5の連結筒7に例えば嵌め入れられる連結支柱43を固定して成る。図示にあっての下部フレームバー42、連結支柱43は所定径のパイプ材にて形成されているも、これに限定されず、また連結支柱43の連結筒7内に対する嵌め入れは、内外で逆となるように連結支柱43内に連結筒7が嵌め入れられるものであっても良い。
【0037】
ガイドポスト45は図示のように、左右の立脚部分を上部で連結することで門字状の一体型にした例えば所定径のパイプ材にて折曲して形成されている。そして左右の立脚部分は、リフト部材10におけるガイド手段30の上下部の案内体31,32に噛み合わせられ、また連結支柱43が連結筒7に嵌め合わせられることで、昇降操作部材40は本体ベース1上に立脚状に組み合わせられて支持される。
【0038】
このガイドポスト45における左右の立脚部分の前後には、上下部の案内体31,32の鼓型のガイドローラー35ががたつくことなく、しっくりと当接して円滑に昇降案内されるように、断面で山形状を呈するガイドプレート46が固着されている(図5参照)。このガイドプレート46は例えばアングル材(山形鋼材)にて構成されている。
【0039】
昇降機構51は、門字形のガイドポスト45の上部に固定されており、リフト部材10に着脱自在に連繋されるワイヤの如き牽引索52を引き出しあるいは巻き取る巻取ドラム53と、この巻取ドラム53を回転操作するハンドル55とを少なくとも備える。また、この昇降機構51にはストッパー手段56を付設することもできるし、むしろ、安全上の逆転防止等のためにこのストッパー手段56を設けることが望ましい。
【0040】
巻取ドラム53は、ガイドポスト45に固定してあるドラム枠に回転自在に支承したドラム体に牽引索52の末端を固定し、リフト部材10における係合部38に着脱自在に係合するフック54を牽引索52の先端に連結し、ドラム枠外に配したハンドル55によってドラム体を回転するようにして成る。また、ストッパー手段56はハンドル55を回転操作してリフト部材10を上昇させたとき、持ち上げるマンホール蓋Cの重量等で下降落下するのを、ハンドル55回転を強制的に停止させることで阻止するもので、例えば解除操作が可能な一方向クラッチ構造としてある。
【0041】
なお、図中符号57は移動操作取っ手であり、昇降操作部材40におけるガイドポスト45の左右の立脚部分の上部相互間に横架された上部フレームバー48に、昇降操作部材40の後方に突出するように左右で固着形成してある。例えば所定径のパイプ材にて形成され、組立後の本発明マンホール蓋の開閉装置の移動作業等のために作業員の手指等によって握持され、操作される。
【0042】
ストッパー手段56とは別に安全停止手段60を設けてある。この安全停止手段60は、図4、図6に示すように昇降させたリフト部材10をその昇降位置で昇降操作部材40に関連付けて停止させておくのである。すなわちリフト部材10に設けてあるガイド柱材61と、昇降操作部材40に設けてあるストッパー柱材63と、それぞれの柱材に同位置で貫挿させる係合停止ピン材65とから成る。
【0043】
ガイド柱材61は、リフト部材10における第1フレーム12の奥部、第2フレーム13の奥部相互間で鉛直方向に沿って固定されており、例えばプレート状に形成され、前後方向で貫通したパイプ材製の挿通部62を設けてある。ストッパー柱材63は、昇降操作部材40におけるガイドポスト45の上部枠部分と下部フレームバー42との相互間で鉛直方向に沿って固定されており、例えば所定肉厚・幅員の中空状の扁平角パイプ材にて形成されていて、上下に所定間隔毎にパイプ材製の挿通孔64を開穿形成してある。そして持ち上げられたリフト部材10における挿通部62に対して、その挿通部62位置にある所定の挿通孔64を選択して、両者62,64に係合停止ピン材65を挿通させることで、昇降操作部材40に対して昇降させたリフト部材10を位置決め停止させるようにしている。この停止位置等は、例えばリフト部材10にてマンホール蓋Cを持ち上げときで、マンホール蓋Cをハンドホールその他のマンホールの開口部から引き剥がし、若干持ち上げ、必要に応じ移動させるに足りる上方位置であり、更に上昇させて反転させるに足りる上位置である等、特に限定されるものではない。
【0044】
次にこれの組立、使用の一例を説明する。本発明のマンホール蓋の開閉装置は、作業現場においては各部材1,10,40毎に分離解体されている状態で搬入され、現場において組立使用される。先ず、本体ベース1を、開口すべきハンドホール等の開口部の外側に位置させて搬入することで仮置きする(図9参照)。次いで、この本体ベース1に対してリフト部材10を位置合わせ組み立てる。すなわち本体ベース1における左右側部相互間の内部にリフト部材10の左右側部を位置合わせすると共に、リフト部材10のガイド手段30下部を本体ベース1の支持台座5上に載せる(図10参照)。その後、昇降操作部材40の連結支柱43を本体ベース1の連結筒7に嵌め入れることで昇降操作部材40を本体ベース1に組み合わせる。一方、昇降操作部材40のガイドポスト45をリフト部材10のガイド手段30における上部案内体32のガイドローラー35に、同じく下部案内体31の前後のガイドローラー35間に噛み合わせるように組み合わせることで、昇降操作部材40をリフト部材10に立脚状にして組み合わせる。そして、昇降操作部材40の昇降機構51における巻取ドラム53から引き出した牽引索52のフック54をリフト部材10の係合部38に係合し、昇降機構51の操作でリフト部材10を昇降できるようにしておく(図11参照)。
【0045】
次に、リフト部材10における連繋支持シャフト15をマンホール蓋Cの取付孔C1に位置決めし、図7に示すように連繋孔15Aに挿通した取付ボルト部材15Bを取付孔C1に嵌め入れ係合し、ナット部材15Cにて固定する。固定後は、連繋支持シャフト15のいずれか一方の連繋支持シャフト15の端部開口にジャッキ部材20のジャッキフォーク22を嵌め入れ、そのハンドル23操作にて連繋支持シャフト15を持ち上げることで、マンホール蓋C周囲のシール剤、詰まっている塵埃等を強制的にでも引き剥がし、またこれを片側からでも順次に解放して縁切りする。こうしておいて、昇降操作部材40の昇降機構51のハンドル55を操作して牽引索52によって牽引し、リフト部材10を持ち上げることでマンホール蓋Cをも持ち上げる。所定位置まで持ち上げた後は、安全停止手段60にてリフト部材10の下降落下を阻止しておき、連繋支持シャフト15を揺転軸とした揺転作業によってマンホール蓋Cを反転することで(図2参照)、マンホール蓋Cの裏面の清掃等を可能にし、また反転作業とは別に本体ベース1の自在車2によって所定箇所にマンホール蓋Cを運搬する。マンホール蓋Cの反転後は、ストッパー25の水平面での揺動操作で、マンホール蓋Cの下方位置でマンホール蓋Cを支持することでマンホール蓋Cの逆方向の原位置への反転を阻止しておく。尚、マンホール蓋Cの反転、その反転復帰更には移動はいずれを先後とするかは任意であり、また、マンホール蓋Cの所定箇所への移動で開放したマンホールではこれの内外の作業員の出入りによってマンホール内部等の点検を行う。
【0046】
また、マンホール蓋C裏面の清掃後、更にはマンホール内等の保守点検作業等の終了後では、閉塞すべき開口部位置にマンホール蓋Cを本体ベース1にて運搬する一方、ストッパー25による反転停止を解放して正位置に復帰させ、閉蓋のために準備し位置決めする。位置決め後、昇降操作部材40による下降操作でマンホール蓋Cを開口部位置に下降させて嵌め合わせ、連繋支持シャフト15から解放、離反する。マンホール蓋Cの周囲をシール剤等でシールし、密閉する一方、本発明装置は、昇降操作部材40、リフト部材10を順次に本体ベース1から取り外し、それぞれの部材に解体、分離することでコンパクトにし、他の作業場所に搬送する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明を実施するための最良の形態における使用状態の概略斜視図である。
【図2】同じくマンホール蓋の昇降作業中の側面図である。
【図3】同じくその平面図である。
【図4】同じくその正面図である。
【図5】同じくその要部拡大平面図である。
【図6】同じく安全停止手段を示し、その(A)は側面図、(B)は平面図である。
【図7】同じくジャッキ部材を使用するときの側面図である。
【図8】同じく組立を示す分解概略斜視図である。
【図9】同じく組立手順を示し、その(A)は本体ベースにおける平面図、(B)はその側面図である。
【図10】同じくその(A)は本体ベースにリフト部材を組み合わせるときの平面図、(B)はその側面図である。
【図11】同じくその(A)は更に昇降操作部材を組み合わせるときの平面図、(B)はその側面図である。
【符号の説明】
【0048】
C…マンホール蓋 C1…取付孔
1…本体ベース 2…自在車
5…支持台座 6…支持プレート
7…連結筒 8…連繋部
8A…柱状部8 8B…ストッパー部
9…支持片
10…リフト部材 11…ベースフレーム
12…第1フレーム 13…第2フレーム
14…ガイド柱 15…連繋支持シャフト
15A…連繋孔 15B…取付ボルト部材
15C…ナット部材 16…支持アーム
20…ジャッキ部材 21…ジャッキ本体
22…ジャッキフォーク 23…ハンドル
25…ストッパー
30…ガイド手段 31…下部案内体
32…上部案内体 33…軸支プレート
34…ローラーシャフト 35…ガイドローラー
36…カラー 38…係合部
40…昇降操作部材 41…連結部
42…下部フレームバー 43…連結支柱
45…ガイドポスト 46…ガイドプレート
48…上部フレームバー
51…昇降機構 52…牽引索
53…巻取ドラム 54…フック
55…ハンドル 56…ストッパー手段
57…移動操作取っ手
60…安全停止手段 61…ガイド柱材
62…挿通部 63…ストッパー柱材
64…挿通孔 65…係合停止ピン材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉すべきマンホール蓋が施蓋されているマンホール開口部外側に移動可能な本体ベースを配置する第1工程と、本体ベースに昇降自在に連結支持してあるリフト部材の連繋支持シャフトをマンホール蓋に固定する第2工程と、本体ベースに設けてある昇降機構によってリフト部材をガイド手段を介して案内して持ち上げる第3工程と、マンホール蓋を本体ベースの移動によって所定箇所に移動させる第4工程と、本体ベースの移動によってマンホール蓋を施蓋位置に再度位置決め準備する第5工程と、リフト部材の下降によってマンホール蓋をマンホール開口部に位置決め固定する第6工程と、マンホール蓋から連繋支持シャフトを解放する第7工程とから成ることを特徴としたマンホール蓋の開閉方法。
【請求項2】
第2工程には、連繋支持シャフトの端部開口にジャッキ部材のジャッキフォークを嵌め込み、ジャッキ部材による持ち上げによってマンホール蓋周囲のシール剤を引き剥がし、マンホール開口部からマンホール蓋を縁切りすることを含む請求項1に記載のマンホール蓋の開閉方法。
【請求項3】
第4工程あるいは第5工程には、マンホール蓋の清掃、マンホール内の点検を含む請求項1または2に記載のマンホール蓋の開閉方法。
【請求項4】
第4工程あるいは第5工程には、持ち上げたマンホール蓋を連繋支持シャフトを回転中心として反転させ、また反転復帰させることを含む請求項1乃至3のいずれかに記載のマンホール蓋の開閉方法。
【請求項5】
開閉すべきマンホール蓋が施蓋されているマンホール開口部外側に配置される移動可能な本体ベースと、マンホール蓋に着脱自在に連結される連繋支持シャフトを下端に有し、後部の上下部位にガイドローラーを備えて成るガイド手段を設けたリフト部材と、本体ベースの後部上に立脚状に連結固定され、ガイドローラーに噛み合うことでリフト部材自体を昇降させるよう、昇降機構を備えたガイドポストを有する昇降操作部材とを備えて成ることを特徴とするマンホール蓋の開閉装置。
【請求項6】
本体ベースは、平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈し、奥部位に昇降操作部材、リフト部材を位置決め連繋させる支持台座を設けて成る請求項5に記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項7】
リフト部材は、本体ベース内に位置決め配置されるよう平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈するベースフレームに、マンホール蓋に連結される連繋支持シャフト、昇降操作部材に沿ってリフト部材自体を昇降させるときのガイド手段を設けて成る請求項5または6に記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項8】
連繋支持シャフトは、ベースフレームに連結した支持アーム相互間に揺転自在に支承してあり、マンホール蓋における取付孔位置に対応する連繋孔を開穿し、この連繋孔には、取付孔内で係止する取付ボルト部材が貫挿され、連繋支持シャフトの上面に当接して取付ボルト部材にねじ止めされるナット部材によって取付ボルト部材を介して、連繋支持シャフトがマンホール蓋に連繋されるようにしている請求項5乃至7のいずれかに記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項9】
連繋支持シャフトには、少なくともいずれか一方の端部開口にジャッキ部材が着脱できるようにしてあり、このジャッキ部材は、油圧部を内蔵したジャッキ本体の下端にジャッキフォークを連結し、油圧を供給するよう揺動操作するハンドルをジャッキ本体の上部に連繋して成る請求項5乃至8のいずれかに記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項10】
ベースフレームは、平面からみて前方が開放されたほぼコ字形を呈する第1フレームと、この第1フレームの左右部上に端部が固定され、奥部側が上方に位置するように側方から見て奥部側に至るに伴い次第に傾斜立ち上がっていて、平面でほぼコ字形を呈する第2フレームと、下位置の第1フレームの奥部と上位置の第2フレームの奥部の上下間で連結配置したガイド柱とから成る請求項5乃至9のいずれかに記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項11】
昇降操作部材は、リフト部材に連結させる連結部と、リフト部材におけるガイド手段に噛み合い、リフト部材自体を昇降案内させるガイドポストと、リフト部材に連繋してリフト部材を昇降させる昇降機構とを備えて成る請求項5乃至10のいずれかに記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項12】
リフト部材におけるガイド手段は、ガイドポストに対する下位置ではガイドポストの前後部に配される前後部のガイドローラーを回転自在に支承した下部案内体と、同じくガイドポストに対する上位置ではガイドポストの後部に配される後部のガイドローラーを回転自在に支承した上部案内体とをガイド柱の上下部に設けて成る請求項5乃至11のいずれかに記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項13】
上下部の案内体は、リフト部材のガイド柱に固定した軸支プレートにローラーシャフトを固定すると共に、ガイドポストに固定した断面で山形状のガイドプレートに当接案内されるほぼ鼓型を呈するガイドローラーをカラーを介してローラーシャフトに支承して成る請求項12に記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項14】
昇降機構は、ガイドポストの上部に固定されていて、リフト部材に着脱自在に連繋される牽引索を引き出しあるいは巻き取る巻取ドラムと、この巻取ドラムを回転操作するハンドルとを少なくとも備えて成る請求項5乃至13のいずれかに記載のマンホール蓋の開閉装置。
【請求項15】
開閉すべきマンホール蓋が施蓋されているマンホール開口部外側に配置される移動可能な本体ベースと、マンホール蓋に着脱自在に連結される連繋支持シャフトを下端に有し、後部の上下部位にガイドローラーを備えて成るガイド手段を設けたリフト部材と、本体ベースの後部上に立脚状に連結固定され、ガイドローラーに噛み合うことでリフト部材自体を昇降させるよう、昇降機構を備えたガイドポストを有する昇降操作部材とを備えて成るマンホール蓋の開閉装置の組立方法であって、本体ベースの左右側部相互間にリフト部材の左右側部を位置合わせして、ガイド手段下部を本体ベース後部に設けた支持台座上に載せ、次に昇降操作部材における連結支柱を本体ベースの支持台座における連結筒に嵌め合わせると共に、ガイドポストをガイドローラーに噛み合わせることで、本体ベース上に昇降操作部材を立脚配置し、また、昇降機構における牽引索をリフト部材に連繋することで、昇降操作部材の昇降操作によってリフト部材を昇降できるようにすることを特徴としたマンホール蓋の開閉装置の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−95411(P2008−95411A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279486(P2006−279486)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(000141060)株式会社関電工 (115)
【出願人】(000151184)株式会社土井製作所 (21)
【Fターム(参考)】