説明

マンホール蓋

【課題】蓋本体の加工の手間を必要とせず、かつICタグを設けていない既存のマンホール蓋を、ICタグ付きのマンホール蓋に容易に変更できる。
【解決手段】マンホール蓋表面に、蓋開放用操作具を挿入するための操作用凹所が形成されており、操作具不使用時に操作用凹所内にカバー部材3が嵌着される。カバー部材3内にはその表面から所定の厚みを残した先端閉鎖の収納凹部33が形成され、当該収納凹部33の閉鎖端面33aに、マンホール識別情報を含む必要情報を保持し当該必要情報を離隔的に読み出し可能なICタグ5が接合されて封入材35で封入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマンホール蓋に関し、特に、ICタグ等の通信手段を備えたマンホール蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
マンホールの管理を行うために、当該マンホールの識別情報や位置情報、あるいはマンホール内の配管・配線情報等をマンホール蓋に設けたICタグのメモリ内に記憶させ、これを必要に応じて読み出しあるいは書き込んでマンホールの管理作業を効率的に行うようにしたものが、例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2007−13507
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記文献に記載のマンホール蓋では、蓋本体の中央上面に設置穴を穿設してこの中にICタグを固着し、その周囲に樹脂等の充填材を充填して上記設置穴を塞ぐ構造となっている。しかし、このような構造では、蓋本体に穴開け加工を施す必要があるため、ICタグの設置に手間を要するとともに、既存のマンホール蓋には適用が困難であるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、蓋本体の加工の手間を必要とせず、かつ通信手段を設けていない既存のマンホール蓋を、通信手段付きのマンホール蓋に容易に変更できるマンホール蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明では、表面に蓋開放用操作具(2)を挿入するための操作用凹所(11)を形成するとともに、操作具不使用時に操作用凹所(11)内に嵌着されるカバー部材(3)を設けたマンホール蓋(1)において、マンホール識別情報を含む必要情報を保持し当該必要情報を離隔的に読み出し可能な通信手段(5)をカバー部材(3)内に埋設したものである。
【0006】
本発明においては、通信手段を設けたマンホール蓋のカバー部材に通信具を近づけることによって、当該通信手段に保持されたマンホール識別情報等の管理情報を読み出して、目的とするマンホールに関係する種々の作業を効率的に行うことができる。そして、通信手段をカバー部材内に埋設しているから、マンホール蓋の蓋本体には何ら加工を施す必要がなく、通信手段設置の手間を軽減することができる。また、通信手段を設けた新たなカバー部材を既存のカバー部材と交換するだけで、従来のマンホール蓋を通信手段付きのものに容易に変更することができる。
【0007】
上記通信手段としてはICタグ(5)を使用でき、この場合は、上記カバー部材(3)内にその表面から所定の厚みを残した先端閉鎖の収納凹部(33)を形成して、当該収納凹部(33)の閉鎖端面(33a)にICタグ(5)を接合し封入材(35)で封入する構造とすることができる。
【0008】
なお、上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明のマンホール蓋によれば、通信手段を設置するのに蓋本体の加工の手間を必要としないとともに、通信手段を設けていない既存のマンホール蓋を、通信手段付きのマンホール蓋に容易に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1にはマンホール蓋1を開放する際の様子を示し、当該マンホール蓋1には径方向の対称位置に操作用凹所11,12が形成されている。そして、これら凹所11,12に図に示すように、適宜、蓋開放用操作具2の先端を挿入して、マンホール蓋1の旋回や持ち上げを行うことによってこれを開放する。凹所11,12は図2に示すように、一方の凹所11が平面視で相対的に大きな長方形をなし、他方の凹所12は引っ掛け用の架橋部121を中央に位置させてその両側に延びる相対的に小さな長方形となっている。各凹所11,12内には不使用時にはゴム製のカバー部材3,4が嵌着されてその内部空間を埋め、マンホール蓋1の蓋表面を面一にするとともに凹所11,12内への砂泥の侵入を防止している。
【0011】
本実施形態では凹所11内に嵌着される相対的に大きなカバー部材3を使用して、その中に通信手段としてのICタグを埋設する。すなわち、カバー部材3は図3に示すように、上記凹所11の空間形状に沿って略L字形に屈曲させられた一定厚のゴム体で、ゴム体中には、基端がゴム体底面31に開口し、先端がゴム体頂面32近くに至る先端閉鎖の円筒状収納凹部33が形成されている。この場合、収納凹部33の先端とカバー部材3の頂面32の間には4〜5mmの厚みのゴム層34が残るようにしてある。このゴム層34の厚みを薄くしすぎると耐久性が損なわれ、一方、厚くしすぎると後述するICタグ通信具(リーダ/ライタ)との通信に障害を生じるからである。
【0012】
上記収納凹部33内にはICタグ5が挿入されている。ICタグ5は外径15mm程度の、いわゆるコインタグを使用しており、これを接着剤で収納凹部33先端の閉鎖端面33aに接合した後、収納凹部33内に樹脂材35を満たして封入する。上記ICタグ5内には、マンホールの識別情報、当該マンホールの位置情報、マンホール内の配線・配管情報等の管理情報が記憶されている。なお、ICタグ5の封入はゴム材によって行っても良い。
【0013】
このようなICタグ5を埋設したカバー部材は、蓋開放用操作具2を使用しない通常時にはマンホール蓋の操作用凹所内に嵌着されている。そこで、カバー部材3にICタグ通信具を近づけて、当該ICタグ5のメモリ内に記憶された、上記マンホール蓋1を覆着したマンホールの管理情報を読み出し、ないし当該管理情報を上記メモリ内に書き込んで、当該マンホールに関係する種々の作業を効率的に行うことができる。
【0014】
このように、本実施形態によれば、ICタグ5をカバー部材3内に埋設してこれをマンホール蓋1の操作用凹所11内に装着するだけで、マンホール蓋1の蓋本体には何ら加工を施すことなくICタグ5を設置することができ、ICタグ設置の手間を軽減することができる。また、ICタグ5を埋設した新たなカバー部材3を既存のカバー部材と交換するだけで、従来のマンホール蓋をICタグつきのものに容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明を適用するマンホール蓋の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明を適用するマンホール蓋の一例を示す要部拡大斜視図である。
【図3】ICタグを設置したカバー部材の断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1…マンホール蓋、11…操作用凹所、2…蓋開放用操作具、3…カバー部材、33…収納凹部、33a…閉鎖端面、35…樹脂材(封入材)、5…ICタグ(通信手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に蓋開放用操作具を挿入するための操作用凹所を形成するとともに、操作具不使用時に前記操作用凹所内に嵌着されるカバー部材を設けたマンホール蓋において、マンホール識別情報を含む必要情報を保持し当該必要情報を離隔的に読み出し可能な通信手段を前記カバー部材内に埋設したことを特徴とするマンホール蓋。
【請求項2】
前記通信手段はICタグであり、前記カバー部材内にその表面から所定の厚みを残した先端閉鎖の収納凹部を形成して、前記収納凹部の閉鎖端面に前記ICタグを接合し封入材で封入した請求項1に記載のマンホール蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−127395(P2009−127395A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306787(P2007−306787)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【出願人】(000213286)シーキューブ株式会社 (13)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(507391591)竹内工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】