説明

マンホール蓋

【課題】本発明は、配管の内圧を開放自在としつつ、歩行者等にとって安全なマンホール蓋を提供する。
【解決手段】マンホール蓋1Aは、弁体2Aと蓋本体5Aからなり、弁体2Aの下面から差し出した複数の作動軸3Aが、該蓋本体5Aに設けられた複数の軸穴8Aにそれぞれ挿通される。さらに該蓋本体5Aに高段部6を設定し、該高段部6の上面にパッキン10を配置した。このため、該弁体2Aは該蓋本体5Aに対して上下動可能となって配管の内圧を開放でき、かつ蓋本体5Aに対して中心軸線CL回りで回転不能となるため歩行者等が該弁体2Aを踏んでも安全である。さらに、雨天時に地表面GLを流れる土砂等が該パッキン10に付着しないため、通常時に弁体2Aとパッキン10との間に土砂等が噛むことがなく、確実に臭気漏れを防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設したますから立ち上がる立上り管を閉鎖するために使用するマンホール蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、地中に埋設した雨水ます又は排水ますから立ち上がる立上り管を閉鎖するマンホール蓋はよく知られている。また、ジェット空気噴流を用いた下水配管の清掃の際に該蓋が吹き飛ぶことを回避するために、該蓋を排気孔が設けられた蓋体と該排気孔を閉鎖する覆部材とで構成し、清掃時の空気圧力で該覆部材が上昇して該排気孔が開放されるようにしたものは既に提案されている(特許文献1参照。)。また、大雨で増水したとき等に生ずる配管の内圧上昇によりマンホールの開口部からマンホールが吹き飛ぶことを回避するために、水抜き穴を設けた底蓋に、該底蓋の上面を覆う上蓋を上下動可能に取り付けたものも既に提案されている(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−20585号公報
【特許文献2】特開平9−137461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来構成において、歩行者等が覆部材あるいは上蓋を踏みつけた場合に、該覆部材あるいは上蓋が、蓋体あるいは底蓋に対して不意に回転してしまい、歩行者等の転倒を引き起こすおそれがあった。
そこで、本発明は、上記問題を解決することができるマンホール蓋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、上下に貫通する通気孔が中央部に一個又は複数個設けられている蓋本体と、該蓋本体上に被着される弁体とからなるマンホール蓋であって、該弁体の下面から複数の作動軸を差し出し、該作動軸を該蓋本体に複数設けた軸穴にそれぞれ上下摺動可能に挿通することによって該弁体を該蓋本体に対して上下動可能とし、該弁体の最下位置で該弁体の下面は該通気孔を閉鎖し、該弁体が最下位置から上昇すると該蓋本体から離開することを特徴とするマンホール蓋である。
【0006】
また、本発明は、上下に貫通する通気孔が中央部に一個又は複数個設けられている蓋本体と、該蓋本体上に被着されて該蓋本体の通気孔を閉鎖する弁体とからなるマンホール蓋であって、該弁体の下面から、横断面形状を非真円形状とした作動軸を差し出し、該作動軸の外形に対応した形状の軸穴を該蓋本体に設け、該弁体の作動軸を該蓋本体の該軸穴に上下摺動可能に挿通することによって該弁体を該蓋本体に対して上下動可能とし、該弁体の最下位置で該弁体の下面は該通気孔を閉鎖し、該弁体が最下位置から上昇すると該蓋本体から離開することを特徴とするマンホール蓋である。
【0007】
上記構成にあって、通常時において弁体は最下位置にある。そして、該蓋本体に接続されている配管の内圧が高まると、該弁体が該内圧によって該蓋本体に対して上昇し、該弁体と該蓋本体とが離開する。そうすると、通気孔が開放され、該蓋本体の通気孔と、該弁体と該蓋本体との間に形成された空間とを介して、配管内と外界とが連通することとなり、該配管内の圧力が外界へ開放される。さらに、該作動軸を複数設け、あるいは該作動軸の横断面形状を非真円形状としたため、該弁体が該蓋本体に対して中心軸線回りに回転不能となる。かくして、歩行者等が該弁体を踏んだ場合も該弁体が不意に回転せず、安全である。
【0008】
また、離開した該弁体と該蓋本体との間で該弁体の外周縁に沿って形成される排気口の面積が、該蓋本体の通気孔の総開口面積よりも大きくなるように該弁体の作動軸長が設定されている構成が望ましい。
【0009】
かかる構成とすると、該蓋本体に接続される配管の内圧が高まった際に適正な距離だけ該弁体が該蓋本体から離開するため、該配管内の圧力が円滑に外界へ開放される。
【0010】
また、該蓋本体中央部には、該蓋本体周縁よりも高位に設定されている高段部が設けられ、該高段部に該通気孔が配置されており、また該高段部の上面には環状のパッキンが該通気孔を囲繞するように配置され、上下動自在な該弁体が最下位置にある場合に、該蓋本体の高段部と該弁体との間に該パッキンが介装されて該弁体の下面が該通気孔を閉鎖する構成が望ましい。
【0011】
また、該蓋本体中央部には、該蓋本体周縁よりも高位に設定されている周壁部が環状に設けられ、該周壁部より内側の領域に該通気孔が配置されており、また該蓋本体の周壁部の上面には環状のパッキンが該通気孔を囲繞するように配置され、上下動自在な該弁体が最下位置にある場合に、該蓋本体の周壁部と該弁体との間に該パッキンが介装されて該弁体の下面が該通気孔を閉鎖する構成が望ましい。
【0012】
上記のように高段部あるいは周壁部を設け、該高段部と弁体あるいは該周壁部と弁体との間にそれぞれパッキンを配置することにより、第一に、該蓋本体と該弁体との間から配管内の臭気が外界へ漏れることがない。また第二に、該パッキンは地表面に対して高い位置に配置されることとなり、雨天時に該地表面を流れる雨水に該パッキンが浸って土砂等が付着してしまうことがなくなる。かくして、通常時に弁体とパッキンとの間に土砂等が噛んでしまうことを回避できるようになり、弁体と蓋本体との間で常に適正な密着が確保されるため、さらに確実に臭気漏れを防止できる。また第三に、該高段部又は該周壁部が地表面の雨水を堰き止めて前記通気孔を介して配管内へ雨水が浸入することを阻止するため、大雨等で増水した際に配管の処理能力が飽和して家庭内排水設備等から下水が噴出してしまうなどの問題がない。
【0013】
また、該弁体が最下位置にある場合に、該弁体の下面は、該蓋本体上面に対して、通気孔以外の部分で面接触している構成が望ましい。
【0014】
かかる構成とすると、通常時において該弁体が該蓋本体に対してより確実に固定されることとなり、マンホール蓋全体として強度が増す。
【0015】
さらに、該蓋本体における高段部又は周壁部から周縁までの上面が、該周縁に向かって下降する傾斜面とされている構成が望ましい。
【0016】
かかる構成とすると、該蓋本体の上面に土砂等を含む雨水が浸入しても、該雨水は該傾斜面に沿って地表面へ向かって流れるため、該上面に土砂等が残留してしまうことを防止できる。したがって、該弁体が最下位置にある場合に、該弁体と該蓋本体との間に土砂等が噛んで隙間が生じ、そこから臭気が漏れ出てしまう、ということを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のマンホール蓋は、配管の内圧を開放することができ、また弁体が蓋本体に対して回転しないため、歩行者等にとって安全である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一実施例に係るマンホール蓋の一部切欠平面図。
【図2】図1aのA−A線断面図であり、a)は通常時を示し、b)は圧力開放時を示す。
【図3】a)は、離開した弁体と蓋本体との間に形成される排気口の面積Xを示す説明図、b)は蓋本体の通気孔の総開口面積Yを示す説明図。
【図4】第二実施例に係るマンホール蓋の断面図であり、a)は通常時を示し、b)は圧力開放時を示す。
【図5】第三実施例に係るマンホール蓋の断面図であり、a)は通常時を示し、b)は圧力開放時を示す。
【図6】第四実施例に係るマンホール蓋の断面図であり、a)は通常時を示し、b)は圧力開放時を示す。
【図7】第五実施例に係るマンホール蓋の断面図であり、a)は通常時を示し、b)は圧力開放時を示す。
【図8】弁体の作動軸の横断面形状を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るマンホール蓋の実施例を、添付図面に従って説明する。
【0020】
<第一実施例>
図1,図2に示すように、第一実施例に係るマンホール蓋1Aは、ほぼ円盤状の蓋本体5Aと、該蓋本体5A上に被着されているほぼ円盤状の弁体2Aとからなる。
【0021】
図2aに示すようなマンホール蓋1Aの施工完了状態においては、該蓋本体5Aは、地中に埋設された雨水ます又は排水ます(図示省略)から立ち上がる立上り管41の上端に被着された蓋枠40内に収められ、該蓋枠40の上端縁、すなわち蓋本体5Aの周縁が地表面GLと一致する配置とされている。
また、該蓋枠40と該蓋本体5Aとは該蓋枠40内で金属性のチェーン(図示省略)によって連結されていると共に、該蓋枠40と該蓋本体5Aとの間には、該蓋本体5Aの下部外周に周設されたパッキンリング11が介装され、立上り管41内の臭気が外界に漏れ出ることを阻止している。
【0022】
また、上記蓋本体5Aの中央部には、該蓋本体5Aの周縁(すなわち地表面GL)よりも高位に設定されている高段部6が設けられている。具体的に該高段部6の高さh(図2b参照)は、該蓋本体5A周縁、すなわち地表面GLから10mmの高さとなるように設定されている。さらに、該蓋本体5Aにおける高段部6から周縁までの上面15は、該周縁に向かって下降する傾斜面とされている。
【0023】
さらに上記高段部6には、上下に貫通する通気孔7が4個設けられている。また、該高段部6の上面には、通気孔7を囲繞するように環状のパッキン10が配設されている。そして、該パッキン10の上縁を含む水平面により、いわゆる止水面16が構成されている。
【0024】
また、上記蓋本体5Aの中心部には、上下方向に貫通した4個(2個以上)の軸穴8A,8A,8A,8Aが配置されており、各軸穴8A,8A,8A,8Aに、弁体2Aの下面中心部から差し出されている4個(2個以上)の作動軸3A,3A,3A,3Aが上下摺動可能に挿通されている。そして、各作動軸3Aが各軸穴8A内で上昇すると、該弁体2Aが蓋本体5Aに対して離開する(図2b参照)。なお、各作動軸3Aの下端部には、該作動軸3Aの外径より径大なストッパー部4が設けられており、該作動軸3Aはストッパー部4が軸穴8Aの下端縁に当接する位置まで上昇可能とされている。
【0025】
上記のように弁体2Aは、作動軸3A,3A,3A,3Aが上下摺動するのに伴い蓋枠本体5Aに対して上下動するが、通常時において該弁体2Aは最下位置α(図2a参照)にあり、該最下位置αでは、該弁体2Aの下面22が通気孔7以外の部分で蓋本体5Aの上面15と面接触している。また、最下位置αにある該弁体2Aの下面22と高段部6の上面との間にはパッキン10が介装され、この状態で該下面22が通気孔7の上端を閉鎖している。このため、該弁体2Aと該蓋本体5Aとの間から立上り管41内の臭気が外界に漏れ出ることがない。
【0026】
上記構成にあって、該蓋本体5Aに接続されている立上り管41の内圧Pが大雨等に起因して高まると、図2bに示すように、該蓋本体5Aに被着されている弁体2Aがその内圧によって該蓋本体5Aに対して上昇し、該弁体2Aと蓋本体5Aとが離開する。このように該弁体2Aが離開位置βとなると、通気孔7が開放され、該蓋本体5Aの通気孔7と、該弁体2A及び該蓋本体5Aの間の空間と、外界とが各々連通し、かかる連通路を介して該立上り管41内の圧力が外界へ開放される。
【0027】
また、該マンホール蓋1Aは、弁体2Aに複数の作動軸3A及び軸穴8Aを設け、該弁体2Aが該蓋本体5Aに対して中心軸線CL回りに回転しない構成としたため、歩行者等が該弁体2Aを踏んだ場合も不意に回転せず安全である。
【0028】
また、該マンホール蓋1Aにあっては、該蓋本体5Aに高段部6を設定して該高段部6の上面にパッキン10を配置し、該パッキン10を地表面GLより上記高さhだけ高位に設定したため、地表面GLを流れる土砂等が該パッキン10に付着してしまうことがなく、通常時に弁体2Aと該パッキン10との間に土砂等が噛んでしまうことがない。また、該高段部6が地表面GLの雨水を堰き止めて止水面16から通気孔7内へ雨水が浸入することを阻止するため、大雨等の際でも配管の処理能力が低下しない。
【0029】
また、該蓋本体5Aにおける高段部6から周縁までの上面15は、該周縁に向かって下降する傾斜面とされているため、該上面15に土砂等を含む雨水が浸入しても、該雨水は地表面GLへ向かって流れて該上面15には土砂等が残留してしまうことがない。かくして、該弁体2Aと該蓋本体5Aとの間の密着性が確実に確保でき、通常時に臭気漏れが生じない。
【0030】
さらに、上記マンホール蓋1Aは、通常時、すなわち弁体2Aが最下位置αにある場合に(図2a参照)、弁体2Aと蓋本体5Aとが通気孔7以外の部分で面接触しているため、該弁体2Aが該蓋本体5Aに対して確実に固定されることとなってマンホール蓋1A全体として充分な強度が確保される。
【0031】
また、該弁体2Aの作動軸3Aの長さは、次のような条件で設定されている。すなわち、該弁体2Aと該蓋本体5Aとが離開した状態にあって、該弁体2Aと該蓋本体5Aとの間で該弁体2Aの外周縁に沿って帯状に形成される鉛直方向に沿った排気口20の面積X(図3a参照)が、該蓋本体5Aの通気孔7の総開口面積Y(本実施例では4個の通気孔7の各開口面積を合計した面積であり、図3b参照)よりも大きくなるように該弁体2Aの作動軸3の長さが設定される。かかる構成とすると、該蓋本体5Aに接続される立上り管41の内圧が高まっても、適正な距離だけ作動軸3Aが上昇して弁体2Aと蓋本体5Aとが充分な距離をあけて離開し、該立上り管41内の圧力が円滑に外界へ開放される。
【0032】
なお、該弁体2Aの上面21を周縁に向かって下降する傾斜面としたため、歩行者等が該マンホール蓋1Aに足を引っ掛けて転倒するおそれがない。
【0033】
<第二実施例>
第二実施例に係るマンホール蓋1Bを、図4に従って説明する。なお、図1,2に示す第一実施例と共通する部分については説明を省略する。
【0034】
マンホール蓋1Bは、弁体2Bと蓋本体5Bとで構成されている。また、上記蓋本体5Bの中央部には、該蓋本体5Bの周縁(すなわち地表面GL)よりも高位に設定されている周壁部36が環状に設けられている。さらに、該周壁部36の上面には、通気孔7を囲繞するように環状のパッキン10が配置されている。なお、該蓋本体5Bにおける上面15は、地表面GLと同じ高さの水平面とされている。
【0035】
さらに上記周壁部36より内側の領域には、通気孔7が設けられている。また、弁体2Bの4つの作動軸3A、3A,3A,3Aの各下端部には、作動軸3Aの外径より径大なストッパー部31がそれぞれ設けられている。
【0036】
そして、図4aに示すように、該弁体2Bの最下位置αでは、該弁体2Bの下面22が通気孔7以外の部分で該蓋本体5Bの上面15と面接触し、かつ該周壁部36の上面にあるパッキン10が弁体2Bと蓋本体5Bとの間に介装されて通気孔7が閉鎖される。
【0037】
上記構成にあって、立上り管41の内圧Pが高まると、図4bに示すように、弁体2Bが上昇し、該弁体2Bと該蓋本体5Bとが離開する。そうすると、該蓋本体5Bの通気孔7と、該弁体2B及び該蓋本体5Bの間の空間と、外界とが各々連通し、かかる連通路を介して該立上り管41内の圧力が外界へ開放される。
【0038】
さらに、該実施例においては、該蓋本体5Bに周壁部36を設定して該周壁部36の上面にパッキン10を配置し、該パッキン10を地表面GLより高位に設定したため、地表面GLを流れる土砂等が該パッキン10に付着してしまうことがなくなり、該弁体2Bと該パッキン10との間に土砂等が噛んでしまって臭気漏れの原因となることがない。また、該周壁部36が、地表面GLの雨水を堰き止めて止水面16から通気孔7へ雨水が浸入することを阻止するため、大雨等の際でも配管の処理能力が低下しない。
【0039】
<第三実施例>
第三実施例に係るマンホール蓋1Cを、図5に従って説明する。なお、図1,2に示す第一実施例又は図4に示す第二実施例と共通する部分については説明を省略する。
マンホール蓋1Cは、弁体2Cと蓋本体5Cとで構成されている。また、該弁体2Cの上面21は水平面とされ、かつ周縁には、下方に向けて延出された環状突部23が形成されている。そして、図5aに示すように、該弁体2Cの最下位置αでは、該弁体2Cの環状突部23の下端が地表面GLに当接すると共に、該弁体2Cの下面中央が該蓋本体5Cの高段部6の上面と面接触して該通気孔7の上端が閉鎖されている。
【0040】
上記構成にあって、立上り管41の内圧Pが高まると、図5bに示すように、弁体2Cと該蓋本体5Cとが離開して環状突部23の下端が地表面GLから離れ、これにより該蓋本体5Cの通気孔7と、該弁体2C及び該蓋本体5Cの間の空間と、外界とが連通する。そして、かかる連通路を介して該立上り管41内の圧力が外界へ開放される。
【0041】
〈第四実施例〉
第四実施例に係るマンホール蓋1Dを、図6に従って説明する。なお、図1,2に示す第一実施例、図4に示す第二実施例、又は図5に示す第三実施例と共通する部分については説明を省略する。
マンホール蓋1Dは、弁体2Dと蓋本体5Dとで構成され、該蓋本体5Dには高段部6又は周壁部36が設けられていない。かかる構成においても、該弁体2Dは該蓋本体5Dに対して回転不能に上下動可能であり、該弁体2Dの最下位置α(図6a参照)で該弁体2Dの下面22は通気孔7を閉鎖し、該弁体2Dが最下位置αから上昇すると該蓋本体5Dから離開する(図6b参照)。
【0042】
〈第五実施例〉
第五実施例に係るマンホール蓋1Eを、図7に従って説明する。なお、図1,2に示す第一実施例、図4に示す第二実施例、図5に示す第三実施例、又は図6に示す第四実施例と共通する部分については説明を省略する。
マンホール蓋1Eは、弁体2Eと蓋本体5Eとで構成され、該弁体2Eの下面中央から単一の作動軸3Bが差し出され、該蓋本体5Eには該作動軸3Bが挿通される単一の軸穴8Bが設けられている。
【0043】
さらに、図8aに示すように、該作動軸3Bの横断面形状は非真円形状とされており、具体的には十字形状としている。そして、該作動軸3Bが挿通される軸穴8Bも該作動軸3Bの十字形状に対応した形状とされている。かかる構成とすることにより、該弁体2Eが該蓋本体5Eに対して中心軸線CL回りに回転しないため、歩行者等が該弁体2Eを踏んだ場合も不意に回転せず安全である。なお、作動軸3Bの横断面形状がその他の形状とされた構成でもよく、例えば図8bに示すように、横断面形状を両端部円形の略長方形状とした作動軸3Cが、該形状に対応した軸穴8Cに挿通される構成としてもよい。また図8cに示すように、横断面形状を矩形状とした作動軸3Dが、該形状に対応した軸穴8Dに挿通される構成としてもよい。また図8dに示すように、横断面形状を三角形状とした作動軸3Eが、該形状に対応した軸穴8Eに挿通される構成としてもよい。
【0044】
上記構成とすることにより、作動軸3B〜3Eが軸穴8B〜8E内で回転しないため、弁体2Eが蓋本体5Eに対して中心軸線CL回りに回転しない。このため、歩行者等が該弁体2Eを踏んだ場合にも不意に該弁体2Eが回転してしまうことがなく、安全である。なお、回転防止のための作動軸3B〜3Eの横断面形状は、非真円形状である限りその他の形状でもよい。
【0045】
本発明は、第一実施例から第五実施例の形態に限定されることはなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。例えば、高段部6又は周壁部36における地表面GLからの高さhは適宜設定できるが、上記のような土砂等付着防止又は雨水浸入防止の機能を考慮すれば10mm以上に設定するのが好ましい。また例えば、弁体2A〜2Eや蓋本体5A〜5Eの平面形状は適宜変更することができる。また、弁体2A〜2Eの作動軸3A〜3Eの長さは設置環境に合わせて適宜設定することができる。さらに、該作動軸3A〜3Eに設けられるストッパー部4,31は、該作動軸3A〜3Eと一体的に形成されてもよいし、別部品で構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、配管の内圧が高まっても適正に圧力を開放でき、また歩行者等にとって安全なマンホール蓋であり、産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0047】
1A〜1E マンホール蓋
2A〜2E 弁体
3A〜3E 作動軸
5A〜5E 蓋本体
6 高段部
7 通気孔
8A〜8E 軸穴
10 パッキン
20 排気口
36 周壁部
X 排気口の面積
Y 通気孔の総開口面積

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下に貫通する通気孔が中央部に一個又は複数個設けられている蓋本体と、
該蓋本体上に被着される弁体とからなるマンホール蓋であって、
該弁体の下面から複数の作動軸を差し出し、該作動軸を該蓋本体に複数設けた軸穴にそれぞれ上下摺動可能に挿通することによって該弁体を該蓋本体に対して上下動可能とし、
該弁体の最下位置で該弁体の下面は該通気孔を閉鎖し、該弁体が最下位置から上昇すると該蓋本体から離開することを特徴とするマンホール蓋。
【請求項2】
上下に貫通する通気孔が中央部に一個又は複数個設けられている蓋本体と、
該蓋本体上に被着されて該蓋本体の通気孔を閉鎖する弁体とからなるマンホール蓋であって、
該弁体の下面から、横断面形状を非真円形状とした作動軸を差し出し、該作動軸の外形に対応した形状の軸穴を該蓋本体に設け、該弁体の作動軸を該蓋本体の該軸穴に上下摺動可能に挿通することによって該弁体を該蓋本体に対して上下動可能とし、
該弁体の最下位置で該弁体の下面は該通気孔を閉鎖し、該弁体が最下位置から上昇すると該蓋本体から離開することを特徴とするマンホール蓋。
【請求項3】
離開した該弁体と該蓋本体との間で該弁体の外周縁に沿って形成される排気口の面積が、該蓋本体の通気孔の総開口面積よりも大きくなるように該弁体の作動軸長が設定されている請求項1又は請求項2記載のマンホール蓋。
【請求項4】
該蓋本体中央部には、該蓋本体周縁よりも高位に設定されている高段部が設けられ、該高段部に該通気孔が配置されており、また該高段部の上面には環状のパッキンが該通気孔を囲繞するように配置され、
上下動自在な該弁体が最下位置にある場合に、該蓋本体の高段部と該弁体との間に該パッキンが介装されて該弁体の下面が該通気孔を閉鎖する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマンホール蓋。
【請求項5】
該蓋本体中央部には、該蓋本体周縁よりも高位に設定されている周壁部が環状に設けられ、該周壁部より内側の領域に該通気孔が配置されており、また該蓋本体の周壁部の上面には環状のパッキンが該通気孔を囲繞するように配置され、
上下動自在な該弁体が最下位置にある場合に、該蓋本体の周壁部と該弁体との間に該パッキンが介装されて該弁体の下面が該通気孔を閉鎖する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のマンホール蓋。
【請求項6】
該弁体が最下位置にある場合に、該弁体の下面は、該蓋本体上面に対して、通気孔以外の部分で面接触している請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のマンホール蓋。
【請求項7】
該蓋本体における高段部又は周壁部から周縁までの上面が、該周縁に向かって下降する傾斜面とされている請求項4乃至請求項6のいずれか1項に記載のマンホール蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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