説明

マーカーとしてサッカリドを使用する摂取可能な製品の真正性の認証

サッカリドでマークされた摂取可能な製品のバッチから意図的に摂取可能な製品の真正性の認証を測定する方法が提供される。摂取可能な製品は、例えば食品、飲料品または医薬品である。前記方法は、試験される摂取可能な製品のサンプルを同定する工程;及びサッカリド特異的結合タンパク質を使用して、サッカリドのマークされた存在についてサンプルを試験する工程を含み、サッカリドのマークされた存在の予測されない変化を試験が示さなかった際に、摂取可能な製品は真正であると認証される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、摂取可能な製品、特に食品、飲料品、及び医薬品の安全性と抗偽造の分野に関する。製品中のサッカリドマーカーの存在は、サッカリドに対する特異的結合親和性を有する結合タンパク質との相互作用により確認される。
【背景技術】
【0002】
製品の偽造は、一年間に5000億ドル以上のコストを伴う成長している産業である。コストに加えて、偽造製品は、消費者の健康と安全性に有害であり得る。偽造食品、飲料品、及び医薬品の摂取は、悲劇的な結果を有し得る。例えば、偽造酒中のメタノールの存在により、毎年数千の死亡が生じている。
【0003】
偽造製品の成分は、真正製品のものと同じまたは異なっても良い。成分が同じであったとしても、それらは粗悪な性質を有しているかもしれず、または不純物を含んでいるかもしれない。製品の不純物混入は、製品を希釈によるように変更する場合である。そのような問題の例は、製品を増量して課税を避けるために、粗悪な製品でボトルを詰め替えたり希釈したりする酒産業に存在する。
【0004】
蛍光的にラベルされた抗体の使用、製品に対する光放射性化学種の添加、真正のブランドプロファイルの記憶に対するスペクトルスキャン、タンパク質電気泳動、赤外線分析、ガスクロマトグラフィー、pH、及びラマン分光分析等を含む真正製品に対する努力が存在している。
【0005】
Green等に対する米国特許出願第2006/0035288号は、二種類以上のマーカーを飲料品または食品に添加し、マーカーの存在を後にアッセイにより測定する偽造飲料及び食料の検出方法に関する。マーカー物質としてのハプテンの使用は、1989年8月9日に印刷されたShell Internationaleに対する欧州特許出願第0327163号、1998年7月7日に発行したGarner等に対する米国特許第5,776,713号、及び1995年7月4日に発行したGarner等に対する米国特許第5,429,952号によって引用されている。勾配側方流動装置は、1998年1月20日に発行した米国特許第5,710,005号、及び2000年10月31日に発行した米国特許第6,140,134号において、Rittenburg, J.H.によって記載されている。Rittenburg等に対して2000年5月30日に発行した米国特許第6,068,981号は、検出可能な形態で体組織または流体中に通過する経口的に摂取した製品のマーキングに関する。Rittenburg等に対して1999年8月24日に発行した米国特許第5,942,444号は、プリント分子、プリント分子類似体、または分子的に印をつけた分子を使用する製品のマーキングに関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第2006/0035288号
【特許文献2】欧州特許出願第0327163号
【特許文献3】米国特許第5,776,713号
【特許文献4】米国特許第5,429,952号
【特許文献5】米国特許第5,710,005号
【特許文献6】米国特許第6,140,134号
【特許文献7】米国特許第6,068,981号
【特許文献8】米国特許第5,942,444号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
摂取可能な製品を本物であると認証するための迅速でコスト的に有利であり実施可能な方法が、摂取可能な製品を生産する産業において特に必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの特徴点では、摂取可能な製品の真正性を測定する方法は以下の工程を含む:真正であると認証する摂取可能な製品を同定する工程;摂取可能な製品の生産バッチに等級分けされたサッカリドを導入し、サッカリドでマークされた製品のバッチを形成する工程;サッカリドでマークされた摂取可能な製品のバッチから意図的に接種可能な製品のサンプルを同定する工程;及びサッカリド特異的な結合タンパク質を使用して、サッカリドのマークされた存在についてサンプルを試験する工程。サッカリドのマークされた存在の予測されない変化を試験が示した際に、摂取可能な製品は真正ではなく、サッカリドのマークされた存在の予測されない変化を試験が示さなかった際に、摂取可能な製品は真正である。
【0009】
本発明の使用品は以下の特徴の一つ以上を含むことができる。サッカリドはモノサッカリドであることができる。モノサッカリドは、エリスロース、エリスルロース、トレオース、アラビノース、リクソース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、サイコース、ソルボース、タガトース、及びタロースからなる群から選択されて良い。サッカリドはジサッカリドまたはオリゴサッカリドであることもできる。サッカリドは誘導化サッカリドであることもできる。誘導化サッカリドは、デオキシ誘導化サッカリド、メチル誘導化サッカリド、アセチル誘導化サッカリド、アミン誘導化サッカリド、及びリン酸誘導化サッカリドからなる群から選択されて良い。サッカリドはポリサッカリドであることもできる。
【0010】
摂取可能な製品の真正性を測定する方法は、サッカリドでマークしたバッチを実装する工程を含むことができる。生産バッチへの等級分けされたサッカリドの導入工程は、実装の直前に実施してよい。試験は側方流動装置を使用して実施してよい。サッカリドはマルトースであっても良く、試験は指標部材に接合したマルトース結合タンパク質の使用を含むことができる。マルトース結合タンパク質は、貯蔵、熱、またはアルコール濃縮に安定であってよい。試験はディップスティックを使用して実施してよい。試験はマルトース結合タンパク質に対する結合特異性を有する抗体の使用を含んでよい。試験はポータブル装置を使用するフィールド試験を含んでよい。サンプルは試験の前に希釈することができる。サンプルは試験の前にサッカリドを濃縮するために抽出されても良い。
【0011】
摂取可能な製品の真正性の測定方法は、製品の生産バッチに検出可能なコマーカーを導入する工程を含むことができる。検出可能なコマーカーは、発色剤、ビタミン、または添加剤を含むことができる。添加剤は、m−フェノキシ安息香酸、エリスロシン、4−アミノナフタレン-1-スルホン酸、アマラント、ドフコールブラウン、4−アミノ−1,1−アゾベンゼン−3,4’−ジスルホン酸、モーダントイエロー7、4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル−3−ブテン−2−オン、バニリン、エチル−4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸、7−アミノ−4−メチルクマリン、クロモトロープFB、ポンソー4R、ポンソーS、ビエベリッチスカーレット、トロパエリンO、クルクミン、コニフェリルアルコール、ヘキシルバニレート、及びアセトバニロンからなる群から選択されて良い。
【0012】
摂取可能な製品の真正性を測定する方法では、サッカリドのマークされた存在の予測されない変化は、サッカリドの実質的な不在を含むことができる。摂取可能な製品は、食品、飲料品、及び医薬品からなる群から選択されて良い。等級分けされたサッカリドは、食品、飲料品、及び医薬品グレードのサッカリドからなる群から選択されて良い。
【0013】
本発明の別の特徴点では、摂取可能な製品の真正性を測定する方法は以下の工程を含む:真正であると認証される摂取可能な製品を同定する工程;摂取可能な製品の生産バッチに、第一の等級分けされたサッカリドと第二の等級分けされたサッカリドを既知の割合で導入し、サッカリドで二重にマークされた製品のバッチを形成する工程;サッカリドで二重にマークされた摂取可能な製品のバッチから意図的に摂取可能な製品のサンプルを同定する工程;第一のサッカリドに特異的な結合タンパク質と第二のサッカリドに特異的な結合タンパク質を使用して、第一のサッカリドと第二のサッカリドのマークされた存在についてサンプルを試験する工程。第一の若しくは第二のサッカリドのマークされた存在、またはその割合の予測されない変化を試験が示した際に、摂取可能な製品は真正ではなく、第一の若しくは第二のサッカリドのマークされた存在、またはその割合の予測されない変化を試験が示さなかった際に、摂取可能な製品は真正である。
【0014】
本発明の更なる特徴点は、液体試験サンプルにおいてサッカリドのマークされた存在をアッセイするための勾配側方流動検出装置である。前記装置は、試験サンプルアプライ領域:指標部材に固定化した、サッカリドに対する結合特異性を有するサッカリド特異的結合タンパク質を可逆的に保持する領域;及び結合タンパク質がサッカリドと比較してより低い結合親和性を有するサッカリドの類似体、またはサッカリド特異的結合タンパク質に特異的なサッカリドのいずれかを固定した領域を含む。
【0015】
本発明の一つの特徴点は、そこに緊密に閉じ込めた容器を受け取るように適応されたキャリアと、サンプルを受け取る側方流動固相支持体を含む第一の容器とを実装された組み合わせで含むキットを含む。固相の支持体は、ラベルした移動可能なサッカリド結合タンパク質、固定化サッカリド類似体、及びサッカリド結合タンパク質に対する結合親和性を有する固定した抗体を含む。試験キットは、希釈バイアルと希釈液を有する容器を含んで良い。試験キットは更に、イオン交換カラムとゲル濾過カラムを有する容器を含んで良い。
【0016】
真正性のための摂取可能な製品の試験においてここに記載される実施態様のいずれかの使用は、本発明の一つの特徴点である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1A及び図1Bは、試験サンプル20におけるマーカー10の存在の分析のための側方流動装置システム2を示す。図1Aの試験サンプル20はマーカー10を含み、マーカー結合タンパク質38はマーカー10で飽和してTライン90で結合に利用可能でないため、Tライン90で結合は観察されない。
【図2】図2A及び図2Bは、試験サンプル20におけるマーカー10の存在の分析のための側方流動装置システム2を示す。図2Aの試験サンプル20はマーカーを含まず、マーカー0結合タンパク質38はTライン90で蹴る号に利用可能であるため、Tライン90で結合が観察される。
【図3】図3は、サッカリド結合タンパク質38とサッカリドマーカー10との間の高度に特異的な結合を表す。
【図4】図4は、サッカリド結合タンパク質38とゲル36との間の結合を表す。
【図5】図5は、ゲル上に固定化されたサッカリド結合タンパク質を表す。
【図6】図6は、試験サンプルの清浄化と、カラム32を使用する試験サンプル中に存在するマーカーの濃縮の方法を表す。
【図7】図7は、マーカーと混在物が第一のフリット34をほぼ完全に通過した図6の方法を表す。
【図8】図8は、混在物が第二のフリット34に亘るカラムから溶出されている図7の方法を表す。
【図9】図9は、混在物24除去と、溶出の準備ができた清浄化して濃縮したマーカーを表す。
【図10】図10は、MAXISORP(登録商標)プレートに対するアミロース結合の度合いとpHの関係を表す。
【0018】
ここに参照される図面の符号は、明細書の最後に記載してある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施態様は、サッカリド特異的結合タンパク質試験システムと共に、摂取可能な製品には通常存在しない製品中のサッカリドマーカーを使用する、摂取可能な製品の真正性の認証を提供する。
【0020】
ここで使用される用語「真正性の認証」は、摂取可能な製品における製品内のサッカリドマーカーの予測されない変化した存在を検出することを意味し、ここで予測されない変化した存在は、例えば偽造、加減、希釈、または混ぜ物によるものであることができる。
【0021】
マーカーサッカリドの「マークされた存在」は、実装されたものとして摂取可能な製品の生産バッチにおいてサッカリドのいずれかの味覚可能な特性であり、たとえばサッカリドの濃度、またはサッカリドに対する特異性を有するサッカリド結合タンパク質の結合親和性定数を含んでよい。「マークされた存在の変化」は、ここに示される方法を使用して試験される予測された「マークされた存在」からの変位である。例えばマーカーは経時的にゆっくりと予測可能に分解されて良く、この分解は予測できるため、例えば真正であることが既知の製品のサンプルとの比較により、試験方法で考慮される。サッカリドマーカーの分解は、製品が手荒く扱われているかどうかの測定(例えば熱安定性)において所望されて良い。ある実施態様では、サッカリドの実質的な不在は、サッカリドのマークされた存在の変化を示してよい。試験される摂取可能な製品のサンプルは、例えば試験のためにディップスティックが使用される場合、それ自体実装された単位で存在しても良く、または製品の実装単位から除去される製品のサンプルであっても良い。
【0022】
摂取可能な製品:「摂取可能な製品」は、例えば摂取、嗜好、または医学的必要の目的のため一般的に経口的に採られるまたは投与される食品、飲料品、医薬品である。ここで使用されるように、飲料は、ビール、ワイン、リカー、及び蒸留スピリットを含む発酵して蒸留されたアルコール飲料を含む。例えば、ジン、ブランデー、ウイスキー、ラム、テキーラ、ウォッカ、及びフレーバーリカーのような透明且つ着色されたスピリットの真正の認証も、本発明の実施態様において企図される。
【0023】
製品中のサッカリドマーカー:ここで使用される製品中の「サッカリドマーカー」は、摂取可能な製品中に通常は存在せず、生産の間でバッチボリュームに導入された、非抗原性のモノサッカリド、ジサッカリド、オリゴサッカリド、ポリサッカリド、またはその誘導体である。摂取可能な製品は、天然の存在により、またはフィラー若しくは味の制御剤としての添加により、マーカーとして使用されるサッカリド以外のサッカリドを含んでも良い。そのような「他のサッカリド」の存在は、そのような「他のサッカリド」由来の干渉を除去するために、ここでに示された真正性の認証の試験のために使用されるサッカリドマーカーの選択において考慮される。本発明の一つの実施態様では、サッカリドマーカーは無色無臭であり、例えば生産、実装、貯蔵、及び輸送の直面する条件の後に検出可能である摂取可能な物質において十分安定である。別の実施態様では、サッカリドマーカーは、摂取可能な製品の感覚刺激性に対してほとんどまたは全く影響を有さず、即ち企図される使用レベルで全くまたはほとんど風味を有さない。例えば、スクロース及びラクトースは、それぞれ〜10mMと〜30mMの味覚閾値を有し、一般的に糖のオリゴマーは、モノマーまたはダイマーよりも味を有さない。
【0024】
サッカリドはまた、「糖」または「炭水化物」とも称され、DまたはL立体異性形態を有し、あるいはαまたはβアノマー形態を有する。サッカリドはエネルギー源または代謝産物であっても無くてもよい。
【0025】
マーカーモノサッカリドは4、5、6、7、8、または9の炭素糖であってよい。例示的な4炭素糖は、例えばエリスロース、エリスルロース、及びトレオースを含む。例示的な5炭素糖は、例えばアラビノース、リクソース、リブロース、リボース、キシロース、及びキシルロースを含む。例示的な6炭素糖は、例えばアロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、サイコース、ソルボース、タガトース、及びタロースを含む。
【0026】
デオキシ、メチル化、アセチル化、アミン、リン酸化誘導体を含むサッカリドの誘導体も、マーカーとしての使用のためここで企図される。例えばラムノースは6−デオキシ−1−マンノースであり、フコースはマンノースのメチル化誘導体である。シアル酸はN−アセチルノイラミネートである。
【0027】
約10までの糖残基を有するジサッカリド及びオリゴサッカリドも、マーカーとしてここでの使用のために企図される;マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、及びセロビオースはジサッカリドの例である。マルトトリオース、マルトヘプタノース、オリゴマルトース、ラフィノース、メリトース、スタチオース、及びベルバスコース(それぞれトリ、テトラ、及びペンタ)はオリゴサッカリドの例である。ポリサッカリドは例えばセルロース及びアミロースを含む。
【0028】
更なるサッカリドマーカーは、以下の表1によって提供される。
【0029】
マーカーサッカリドは、サッカリド特異的結合タンパク質に導入されるいずれかの変更を考慮して化学的に変更できる。サッカリドの生化学的アッセイは一般的に既知であり、例えばマルトースのアッセイはマルトースをグルコースへ変換する結合システムを含み、グルコースはグルコースオキシダーゼまたはNAD結合システムを使用してアッセイされる。
【0030】
食品または飲料品については、等級分けされたサッカリドは、一般的に安全として考慮される(GRAS)サッカリドである。医薬品については、等級分けされたサッカリドは医薬グレードのサッカリドである。
【0031】
摂取可能な製品は、二つ以上のサッカリドマーカーを使用することによって真正性が認証されても良い。例えば、第一の等級分けされたサッカリドと第二の等級分けされたサッカリドを既知の割合で、摂取可能な製品の生産バッチに導入し、サッカリドで二重にマークされた製品のバッチを形成する。二重マーキング法を使用して、第一と第二のサッカリドの割合は、更なる真正性を認証するパラメーターとして提供される。そのような方法は、バッチの分類のために有用である。
【0032】
1995年7月4日に発行した米国特許第5,429,952号においてGarner等によって示されたもののような検出可能なコマーカーを摂取可能な製品に添加しても良い(当該特許は完全にここに参考として取り込まれる)。検出可能なコマーカーは、ここに示されるもののようなサッカリドマーカーと組合わせて添加しても良い。そのような組み合わせの使用は、摂取可能な製品の真正性の認証のための更なるパラメーターを加える。検出可能なコマーカーは、発色剤、ビタミン、及び添加剤を含む。例示的な検出可能なコマーカーは、m−フェノキシ安息香酸、エリスロシン、4−アミノナフタレン-1-スルホン酸、アマラント、ドフコールブラウン、4−アミノ−1,1−アゾベンゼン−3,4’−ジスルホン酸、モーダントイエロー7、4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル−3−ブテン−2−オン、バニリン、エチル−4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸、7−アミノ−4−メチルクマリン、クロモトロープFB、ポンソー4R、ポンソーS、ビエベリッチスカーレット、トロパエリンO、クルクミン、コニフェリルアルコール、ヘキシルバニレート、及びアセトバニロンを含む。そのようなコマーカーの検出は、以前に参考として取り込まれたGarnerの特許によって示されている。
【0033】
摂取可能な製品への製品内マーカーの導入:マーカーサッカリドを、一つの実施態様では100ppm未満、別の実施態様では50ppm未満、第三の実施態様では10ppm未満、第四の実施態様では1ppm未満の使用濃度で、製品の生産バッチに導入する。一つの実施態様では、マーカーサッカリドを実装の直前に生産バッチに導入する。カラメルまたは他の味覚のような香味剤または着色調節剤と共に、摂取可能な製品にサッカリドマーカーを添加しても良い。サッカリドマーカーは、生産バッチへの添加を容易にするために濃縮物として製造されても良い。
【0034】
サッカリド結合タンパク質:サッカリドマーカーの検出は、サッカリドマーカーに対する結合親和性と特異性を有するサッカリド結合タンパク質を使用して実施される。例えば、マーカーとして使用されるマルトースは、マルトース結合タンパク質を使用して検出される。サッカリドとその特異的サッカリド結合タンパク質との結合は、例えばイオン強度、温度、pH等の適切な条件下で、サッカリドとその結合タンパク質を接触させた際に、特異的な結合が生じて、相互作用を促進するのに有効な条件化で安定な複合体を形成すること意味する。
【0035】
本発明の実施態様のサッカリド結合タンパク質は、上記されたサッカリドに対する結合親和性と特異性を有する結合タンパク質を含み、それによって結合ペアを形成し、例えばアラビノースと大腸菌由来のアラビノース結合タンパク質、リボースと大腸菌由来のリボース結合タンパク質、キシロースとThermoanaerobacter由来のキシロース結合タンパク質、L−キシルロースとL−キシルロース結合タンパク質、D−アロースと大腸菌由来のD−アロース結合タンパク質、フルクトースとフルクトース結合タンパク質、ガラクトースとガラクトース結合タンパク質、グルコースとグルコース結合タンパク質、マンノースとマンノース結合タンパク質、ラムロースとラムロース結合レクチン、フコースとフコース結合タンパク質、マルトースとマルトース結合タンパク質、マルトースとLamBマルトース輸送タンパク質、スクロースとスクロース結合タンパク質、ラクトースとラクトース結合タンパク質、トレハロース/マルトース結合タンパク質、及びマルトトリオースとマルトトリオース結合タンパク質が挙げられる。
【0036】
組換え大腸菌マルトース結合タンパク質は、371アミノ酸の41kDa成熟ポリペプチドである(前駆体はシグナル配列を含む)。マルトース結合タンパク質は、興味ある標的タンパク質に対するマルトース結合タンパク質の融合物を構築することにより、他の組換えタンパク質の可溶性を補助するためにタンパク質発現において使用されている。精製を容易にするために、C末端6×ヒスチジンタグを含むマルトース結合タンパク質構築物が使用されて良い。精製はまた、成熟マルトース結合タンパク質を過剰発現し、アミロース樹脂に対する結合親和性を発揮する構築物を使用して達成されても良い。結合タンパク質は、生産システムのボリューム当たり良好なタンパク質収率のための細菌発現系を使用して生産される。
【0037】
MBP発現ベクターの例は、C末端6ヒスチジンタグをコードするNovagen社製の市販品のpET26aベクターに基づく。マルトース結合タンパク質は、ペリプラズムに侵入する際にバクテリアによって除去されるN末端ペリプラズム指向性シグナル配列を有する。MBPのアミノ酸配列は以下の通りである:
【化1】

【0038】
pMAL−p2Eベクター(pET26bに基づく)を有する大腸菌BL−21(DE3)細胞系を、約0.7の混濁度(OD600)に発酵槽においてM9最小培地で生育させ、その時点で培養物を1mMの最終濃度にIPTGで誘導した。細胞を回収し、連続細胞スピリッターを通過させた。AKTA Purifier100と「Niキレーティング5ml(Direct Laod)v1」プログラムを使用して、5mlのNiキレーティングハイトラップカラムに搭載して、可溶分画を精製した。溶出したタンパク質分画をS-75 16/60セファロースゲル濾過カラムを通過させ、精製したMBPを回収した。
【0039】
上記記載のヒスチジンタグのようなタグによって提供される効率の良い精製に加えて、市販の抗体のための結合部位を提供するエピトープである短いペプチド配列を含むように、サッカリド結合タンパク質を加工しても良い。上記記載のヒスチジンタグはそのようなエピトープである。組換えサッカリド結合タンパク質に加工してよい更なるエピトープタグは、FLAG(登録商標)、(M1、M2、またはM5モノクローナル抗体を使用して検出される)HA、c−Myc(抗c−Mycアガロースアフィニティーゲルまたは抗c−MycHRPを使用して検出される)、VSV−G(抗VSV−Gポリクローナル抗体を使用して検出される)、V5及びHSVを含む。そのようなエピトープに対する抗体は、例えばSigma Aldrich(St. Louis, MO)から入手されて良い。
【0040】
マルトース結合タンパク質は1μMのマルトースに対するKdを有し、約400ppbの濃度である約10μMで飽和する。マルトース結合タンパク質はまた、約120ppbに等しいKdでマルトトリオースにも結合する。それ故、ここでの方法の感度は約120ppbである。マルトースに対するMBPの親和性は、報告された110nMまで増大できる(Telmer及びShilton (2003) JBC 278(36): 34555-34567参照)。
【0041】
サッカリド結合タンパク質は、結合親和性に対して負の作用を有しても良い厳しい環境下で機能するように十分に安定でなければならない。タンパク質が曝露されて良い条件は、例えば一定期間の貯蔵、凍結乾燥、湿度、熱、スピリットで見出される高アルコール濃度、及び酸性、塩基性、または摂取可能な製品に存在する他の条件を含む。側方流動装置で使用されるサッカリド結合タンパク質の更なる特性は、検出装置に可逆的に密着している。
【0042】
サッカリド結合タンパク質の安定性は、好熱性生物由来の結合タンパク質を得るような方法を使用して、マーカーに対するタンパク質の結合親和性または選択性を促進するために、サイトディレクトミュータジェネシスのようなミュータジェネシスを使用して、特定の安定な天然タンパク質を使用して、または低濃度のサッカリドエネルギー源で生物を培養し、そこからサッカリド特異的結合タンパク質を単離する(結合タンパク質はサッカリドエネルギー源に対する結合特異性を有する)ような「強制進化」アプローチを使用して準備される。例えば、高感度検出システムは、より大きい結合親和性を有する結合タンパク質について選択するためのマルトース結合タンパク質のミュータジェネシスによって、あるいは例えば非常に低用量のマルトース上での連続的培養でクローンを増殖させるために選択することによって得られる。結合親和性、特異性、またはタンパク質安定性を増大するために、Asn-38、Asp-40、Lys-41、Glu-70、Trp-88、Ala-89、Asp-91、Asp-92、Glu-137、Glu-179、Tyr-181、Phe-284、Met-356、Trp-366、及びArg-370のような結合部位の周辺のアミノ酸は、ミュータジェネシスのための候補である。更に、Telmer及びShilton (2003) Id.におけるようなリガンド結合クレフトの反対の界面のアミノ酸もミュータジェネシスのために提供される。
【0043】
本発明の実施態様の一つの利点は、結合タンパク質が細菌、酵母、細胞系、または植物から生産されるため、システムの生産と開発のために生きた動物システムが必要とされないことである。
【0044】
表1は、サッカリドとサッカリド結合タンパク質ペアのリストを提供する。
【0045】
【表1A】

【0046】
【表1B】

【0047】
製品内サッカリドマーカーの検出:サッカリドの検出は、低い紫外線と吸光度のため、または結合生化学的アッセイの必要性のため、標準的なシステムを使用して一般的に問題が多い。一般的に、製品内サッカリドマーカーの検出は、サッカリド結合タンパク質と、結合タンパク質に対する特異的結合親和性を有する抗体を使用して実施される。
【0048】
製品は、試験のためのサンプルを取り出すことによって、または製品中にディップスティックを挿入することによって試験されて良い。試験のために取り出したサンプルは希釈され、濃縮され、または試験の前に混在物を除去するように処理されて良い。試験サンプルの濃縮、及び試験サンプルからの混在物の除去は、例えば図3〜図9に示されたセファロースカラムを使用して達成されて良い。マーカー10に対する結合親和性を有するサッカリド特異的結合タンパク質38はセファロースゲル36に固定化され、固定化結合タンパク質46を形成する。固定化結合タンパク質46は、所々にゲルに固定され、マーカーと、マーカーが結合し、それ故濃縮されるセファロース空間内への混在物の拡散を可能にするフリット34の間のカラム32内に配置される。混在物24はカラムから排出され、単離されて濃縮されたサッカリドは、変性剤またはカオトロピズム剤を使用して溶出されて良い。濃縮サッカリドの更なる分析は、当業者に既知の化学的または生化学的方法を使用して実施できる。
【0049】
真正性の認証のためのポータブル装置:ポータブル試験装置は、例えばここに示されるような側方流動装置、ディップスティック、ミクロタイタープレート、ビーズ、粒子、膜、または小分子のための免疫アッセイ型の装置を含んでよい。適切な材料は、例えば樹脂、ラテックス、PVC、ナイロン、ニトロセロロース、またはポリビニリデンジフルオリド(PVDF)を含むものを含む。
【0050】
Rittenburgに対して1998年1月20日に発行した米国特許第5,710,005号(参考としてここに完全に取り込まれる)に記載されたもののような勾配側方流動装置は、本発明の実施態様における使用のためここで企図される。
【0051】
図1Aは勾配側方流動装置の模式図であり、図2Bは前記装置の上面図を示す。矢印110は側方流動の方向を示す。前記装置は、試験サンプルがアプライされる試験サンプルアプライ位置70を含む(例えばSchleicher及びSchuell, Keene, N.H.社製の吸収性グレード470ペーパー)。保持位置80は、例えば疎水性ポリスチレンによって試験サンプルアプライパッドから分離されたポリエステルのパッド(例えばAhlstrom Filtration, Mt. Holly Spring, Pa)であって良く、指標部材に固定化されたサッカリド結合タンパク質を保持するためのものである(例えばコロイド状金ビーズ)。Tライン90は、一つの実施態様ではニトロセルロース膜の断片であって良い試験領域である(例えば、15ミクロンの迅速流動ニトロセルロース;Millipore Corporation, Bedford, Mass)。Tライン位置はTライン分子を結合して固定化する。任意のコントロール位置100は、図1A及び図1BでCラインとして示されており、Cライン分子を固定化したニトロセルロース膜の断片であってよい。吸収パッド120は過剰なサンプルのためのシンクとして機能する。側方流動装置の吸収位置は、例えば背部接着プラスチックのストリップに沿って所々で配向して固定化される。
【0052】
真正性の認証を欠く試験産物の分析に引き続き、視覚的な反応製品は、図2A及び図2Bに示され、以下に記載されるような試験位置90並びにコントロール領域100で明らかである。図1A及び図1Bに示された真正試験サンプルの分析に引き続き、視覚的な反応製品は、以下に記載のコントロール領域100のみで明らかである。
【0053】
移動性指標部材とサッカリド結合タンパク質:図1A及び図1Bに示されているように、側方流動装置を使用するサッカリドマーカーの存在の試験では、例えばサッカリド結合タンパク質40は指標部材30に固定化され、共に接合体は側方流動110の方向に移動する。指標部材の例は、コロイド状金属(例えばコロイド状金)、炭素、シリカ、ラテックス(例えば着色ラテックスビーズ)、色素、染色粒子、顔料、金属ゾル粒子(例えば金または銀金属ゾル粒子)、セイヨウワサビぺルオキシダーゼ及びアルカリホスファターゼのような酵素、フルオレセイン及びローダミンのようなフルオロホア、染料カプセル化リポソーム、化学発光物質、クロモホアのような着色粒子を含む。シグナリング物質は、着色ラテックスビーズのような視覚化可能な物質であって良く、または着色生成物を生産する反応における微粒子であって良く、または蛍光若しくは化学発光化合物に接合した抗体であっても良い。反応生成物は肉眼で見た場合に視覚可能であっても良く、例えば紫外光のような特別な光源に曝露された際に見えるものでも良い。
【0054】
Tライン分子:側方流動装置について、「Tライン」は試験ラインであり、即ちサッカリドマーカーまたはサッカリドマーカー類似体をそこに結合した固定化分子を有する装置表面の領域である。サッカリド結合タンパク質に対するより低い結合親和性を有するサッカリド類似体は、サッカリド結合タンパク質からマーカーサッカリドを引き離さないであろう。他方で、マーカーサッカリドが試験サンプル中に予測されない変化した存在を有するのであれば、試験サンプルに結合していないまたは緩く結合したサッカリド結合タンパク質は、Tラインのサッカリド類似体に結合し、試験サンプル中のマーカーの予測されない変化した存在を示すであろう。例えばマルトースマーカーの存在のための試験では、Tライン分子はアミロースに結合した「A」樹脂であっても良い。アミロースは、マルトースよりもタイトではなくマルトース結合タンパク質によって結合される。それ故、試験サンプルからマルトースが不在であれば、マルトース結合タンパク質はアミロース樹脂を結合し、それによって負の結果でありマルトースの不在を示すTラインでの検出可能なシグナルを生ずる。一つの実施態様では、サッカリド結合タンパク質に対するサッカリドマーカーと比較したTライン分子の親和性の差異が、少なくとも一桁のオーダーであり、例えばMBPはマルトースに対して10μMのKで飽和し、アミロースに対して>100μMのKを有する。
【0055】
側方流動装置試験システムでは、サッカリド結合タンパク質と相互作用する試験サンプル中のサッカリドマーカーの濃度は、試験ソーンで後に会合するようになった結合タンパク質または指標物質の量によって測定される。測定可能な反応生成物を生ずる試験ゾーン内の反応は、サッカリドマーカーの濃度を示す。
【0056】
Cライン分子:Cラインまたはコントロールライン分子は、サッカリド結合タンパク質に対する特異的結合親和性を有する固定化抗体である。サッカリド結合タンパク質が上述のようなエピトープを有する場合、そのようなエピトープに対する結合特異性と親和性を有する市販の抗体、あと江波M1、M2、またはM5モノクローナル抗体、抗HA、抗c−Myc、抗VSV−Gポリクローナル抗体、抗V5、及び抗HSVが使用されて良い。そのような抗体は、例えばSigma Aldrich(St. Louis, MO)から得ることができる。マルトース輸送タンパク質に対する特異性を有する抗LamBモノクローナル抗体は、マルトース側方流動試験装置について使用されて良い。
【0057】
コントロールライン分子は、サッカリド特異的結合タンパク質/指標部材接合体を結合し、それ故サッカリドマーカーが試験サンプル中に存在するかしないかについて側方流動装置においてポジティブな結果を与える。そのようなコントロールは、アッセイが正確に作動していることを示す。
【0058】
キット:本発明の実施態様に係る試験キットは、ディップスティックまたは上記記載の側方流動装置を含む。本発明の一つの実施態様では、キットは実装された組合わせで、そこに緊密に閉じ込めた容器手段を受け取るように適応したキャリア手段を含み、第一の容器手段は、上述のようなラベルした移動性サッカリド結合タンパク質、固定化Tライン分子、及び固定化Cライン分子を有するサンプル受容側方流動固相支持体を含む。試験キットの別の実施態様では、容器手段は、希釈バイアル及び/または希釈液を提供する。試験キットのまた別の実施態様では、容器手段は、イオン交換樹脂またはクロマトグラフィー媒体、例えばセファロースまたはシリカのような、サンプルを濃縮し、または混在物を除去するためのカラムを含んでよい。封入物であれラベルであれ、使用のためのガイドラインを示す印刷された説明書もキット内に含まれてよい。
【実施例】
【0059】
実施例1:この実験は、MBPタンパク質分子の安定性と活性に対するpHの効果を調べるためのものである。図10は、セイヨウワサビペルオキシダーゼ基質TMB(ピースカタログ#34024)を使用するMAXISORP(登録商標)(NUNC, Rochester, NY)に対するアミロースの結合とpHの関係の分析を提供する。TMB(3,3',5,5'テトラメチルベンジジン)は、過酸化水素で酸化された際に(HRPによって触媒される)370nmと652nmでメジャーな吸光度を有する青色を生ずるクロモゲンである。反応を停止するための硫酸とリン酸の添加は、450nmで吸収する黄色に生成物を変化し、青色生成物より大きな感度を提供する。
【0060】
450nmでの吸光度を測定し、その結果が表2及び3に提供される。
【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
アミロースを欠きブロッキング溶液(PBS+乾燥低脂肪乳パウダー、Marvel)でブロックされたネガティブコントロールも実施した。図10に示されるように、MBPは比較的広範囲のpH、即ちpH6.0〜pH9.5に亘り安定である。それ故MBPは、そのような範囲内のpHを有する試験サンプルにおいて安定で活性であると予測される。そのようは範囲外のいずれかの試験サンプルについては、緩衝溶液で希釈を実施する。
【0064】
検出と定量の更なる方法は、例えばマススペクトロメトリー、ELISA法、カラム結合阻害実験、またはHPLCを使用して得ることができる。
【0065】
実施例2:50μMのサッカリドマーカーマルトースは、アミロースでのMBPの結合の90%で干渉するのに十分であることが、更なる実験で示された;5mMのマルトースでは、アミロースに対するMBPの結合は、<20%の実験室エタノールにおいて95%に阻害された。例えばウォッカは、緩衝液で1:1に希釈された際、約20%のエタノール濃度を有する。ELISA実験により、アミロース−MBPの結合の50%の阻害が、5−10μMのマルトースで誘導できることが示される。
【0066】
ここで引用される参考文献は、それらが例示的な方法またはここに示されるものを補う他の詳細を提供する範囲で、参考として特定的に取り込まれる。
【0067】
当業者は、本明細書の開示に照らし、ここに開示される実施態様の明白な変更が、本発明の精神と範囲から離れることなくなすことができることを予測するであろう。ここに開示された全ての実施態様は、本明細書の開示に照らし、過度の実験の必要なくなすことができて実施できる。本発明の完全な範囲は、ここでの開示とその同等な実施態様において示されている。本明細書は、本発明が授与された保護の完全な範囲を過度に狭めるものと考慮されるべきではない。
【0068】
ここで使用され、他に示すところが無ければ、「一つ」の用語は、「一の」、「少なくとも一つ」、または「一つまたは複数」と考慮される。
【符号の説明】
【0069】
2:側方流動装置(LFD);側方流動装置システム;勾配側方流動装置
10:サッカリドマーカー;マーカー
20:試験サンプル
22:マーカーと混在物とを含むリガンド
24:混在物
30:指標部材
32:カラム
34:カラムフリット;第一のフリット;第二のフリット
36:ゲル
38:サッカリド特異的結合タンパク質;大分子;マーカー結合タンパク質
40:指標部材に結合したサッカリド特異的結合タンパク質の接合体
42:サッカリドと指標部材に結合したサッカリド特異的結合タンパク質
44:サッカリドマーカーに結合したサッカリド特異的結合タンパク質
46:ゲルに固定化されたサッカリド特異的結合タンパク質
47:ゲルに固定化されサッカリドマーカーに結合したサッカリド特異的結合タンパク質
50:サッカリドまたはサッカリド類似体に結合したTライン分子
60:サッカリド特異的結合タンパク質に対する抗体
70:LFD試験サンプルアプライ位置
80:移動可能な接合体40を保持するためのLFD位置
90:装置に結合したTライン分子のためのLFD位置
100:装置に結合したCライン抗体のためのLFD位置
110:側方流動の方向
120:シンクとして機能する吸収パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)真正性を認証する摂取可能な製品を同定する工程;
(b)摂取可能な製品の生産バッチに等級分けされたサッカリドを導入し、摂取可能な製品のサッカリドでマークしたバッチを形成する工程;
(c)サッカリドでマークした製品のバッチから意図的に摂取可能な製品のサンプルを同定する工程
(d)サッカリド特異的結合タンパク質を使用してサッカリドのマークされた存在についてサンプルを試験する工程
を含む、摂取可能な製品の真正性の認証を測定する方法であって、
(i)サッカリドのマークされた存在の予測されない変化を試験が示した際、摂取可能な製品は真正性が認証されず;及び
(ii)サッカリドのマークされた存在の予測されない変化を試験が示さなかった際、摂取可能な製品は真正性が認証される、方法。
【請求項2】
サッカリドがモノサッカリドであり、モノサッカリドがエリスロース、エリスルロース、トレオース、アラビノース、リクソース、リブロース、リボース、キシロース、キシルロース、アロース、アルトロース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、サイコース、ソルボース、タガトース、及びタロースからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サッカリドがジサッカリドまたはオリゴサッカリドである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
サッカリドが誘導化サッカリドであり、誘導化サッカリドがデオキシ誘導化サッカリド、メチル誘導化サッカリド、アセチル誘導化サッカリド、アミン誘導化サッカリド、及びリン酸誘導化サッカリドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
サッカリドがポリサッカリドである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
サッカリドでマークされたバッチを実装する工程を更に含み、生産バッチへの等級分けされたサッカリドの導入が実装の直前で生じる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
試験が側方流動装置を使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
サッカリドがマルトースであり、試験が指標部材に接合したマルトース結合タンパク質の使用を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
マルトース結合タンパク質が貯蔵、熱、またはアルコール濃度に対して安定化されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
試験がディップスティックを使用して実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
試験がマルトース結合タンパク質に対して結合特異性を有する抗体の使用を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
試験がポータブル装置を使用するフィールド試験である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
サンプルが試験の前に希釈される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
サンプルが抽出されて、試験の前にサッカリドを濃縮する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
製品の生産バッチに検出可能なコマーカーを導入する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
検出可能なコマーカーが発色剤、ビタミン、及び添加剤を含み、添加剤がm−フェノキシ安息香酸、エリスロシン、4−アミノナフタレン-1-スルホン酸、アマラント、ドフコールブラウン、4−アミノ−1,1−アゾベンゼン−3,4’−ジスルホン酸、モーダントイエロー7、4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル−3−ブテン−2−オン、バニリン、エチル−4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸、7−アミノ−4−メチルクマリン、クロモトロープFB、ポンソー4R、ポンソーS、ビエベリッチスカーレット、トロパエリンO、クルクミン、コニフェリルアルコール、ヘキシルバニレート、及びアセトバニロンからなる群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
サッカリドのマークされた存在の予測されない変化がサッカリドの実質的な不在を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
摂取可能な製品が食品、飲料品、及び医薬品からなる群から選択され、等級分けされたサッカリドが食品、飲料品、及び医薬品グレードのサッカリドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
(a)真正性を認証する摂取可能な製品を同定する工程;
(b)摂取可能な製品の生産バッチに第一の等級分けされたサッカリドと第二の等級分けされたサッカリドを既知の割合で導入し、サッカリドで二重にマークされた製品のバッチを形成する工程;
(c)サッカリドで二重にマークした製品のバッチから意図的に摂取可能な製品のサンプルを同定する工程
(d)第一のサッカリド特異的結合タンパク質と第二のサッカリド特異的結合タンパク質を使用して、第一のサッカリドと第二のサッカリドのマークされた存在についてサンプルを試験する工程
を含む、摂取可能な製品の真正性の認証を測定する方法であって、
(i)第一の若しくは第二のサッカリドのマークされた存在、またはその既知の割合の予測されない変化を試験が示した際、摂取可能な製品は真正性が認証されず;及び
(ii)第一の若しくは第二のサッカリドのマークされた存在、またはその既知の割合の予測されない変化を試験が示さなかった際、摂取可能な製品は真正性が認証される、方法。
【請求項20】
(a)試験サンプルアプライ領域;
(b)指標部材に固定化した、サッカリドに対する結合特異性を有するサッカリド特異的結合タンパク質を可逆的に保持する領域;
(c)結合タンパク質がサッカリドと比較してより低い結合親和性を有するサッカリドの類似体、あるいはサッカリド特異的結合タンパク質に特異的なサッカリドのいずれかを固定化している試験領域
を含む、液体試験サンプルにおけるサッカリドのマークされた存在をアッセイするための勾配側方流動検出装置。
【請求項21】
(a)そこに密封して閉じ込めた容器を受け取るように適応したキャリア;及び
(b)ラベルされた移動性サッカリド結合タンパク質、固定化サッカリド類似体、及びサッカリド結合タンパク質に対する結合親和性を有する固定化抗体を含む、サンプル受容側方流動固相支持体を含む第一の容器
を実装された組合わせで含むキット。
【請求項22】
希釈バイアルと希釈液を有する容器を更に含む、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
イオン交換カラムまたはゲル濾過カラムを含む容器を更に含む、請求項21に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−543062(P2009−543062A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518538(P2009−518538)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/072255
【国際公開番号】WO2008/002987
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(305035462)オーセンティックス インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】