説明

マークの検出方法および装置

【課題】マークを形成している蛍光特性の異なる複数の蛍光体物質の種類を比較的簡単な構成で検出できる技術を提供する。
【解決手段】蛍光体物質をもって任意の媒体上に形成されたマーク2に対して断続的に光3を照射して、当該マーク2から放出される蛍光4を検出し、前記照射光3の照射停止時における蛍光4の強度に予め設定した低下率を掛けて得られた値と、検出した蛍光4の残光強度の大小関係を比較し、その残光時間の違いからマーク2を形成している蛍光体物質の種類を特定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードや各種プリペイドカード、紙幣、各種印刷物などに設ける各種マークを光学的に検出する技術に関し、特に検出用のマークが赤外領域で発光する蛍光体物質をもって形成されたものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のマーク検出方法として、赤外波長領域で発光する蛍光体物質を用いてマークを形成する一方、このマークに照射される光と発生される蛍光の発光中心波長が異なることを利用し、光学フィルタを用いて蛍光成分のみを入射光中から分離することによって、マークの有無を判定する方法が知られている(例えば特許文献1、特許文献2参照)。また、蛍光体物質で形成したマーク上に光を間欠的に照射し、照射光の停止期間中にマークから発生する残光の有無を検出することによって、マークの形成位置を検知する方法および装置が知られている(例えば特許文献3参照)。この残光を利用する方法においては、さらに波形変化について複数の計測点を設け、その変化を総合的に判断することで、複数の蛍光体物質の種類を検出する方法も知られている(例えば特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】特公昭54−22326号公報
【特許文献2】特公昭61−18231号公報
【特許文献3】特開平5−20512号公報
【特許文献4】特開平8−235301号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した光学フィルタを用いて反射光と蛍光とを分離する方法(特許文献1、特許文献2)にあっては、両光の発光中心波長が接近するとともに反射光の強度に比して蛍光の強度は極めて弱いために両光を的確に分離することが技術的に難しく、ともすると反射光の成分が大量に残って検出精度の低下をもたらす問題があった。
【0005】
一方、上記した残光のみを利用する方法(特許文献3)にあっては、反射光の強度が問題とならずに蛍光のみを有効に分離して検出できる反面、検出器の光入射面にゴミが付着するなどして検出感度が低下すると、マークから発生される残光の絶対値も低下する結果、残光の検出精度が低下するおそれがある。
【0006】
また、複数の計測点で波形変化をとらえてそれを総合的に判定する方法(特許文献4)にあっては、一つの波形変化について複数点での計測処理を行う必要があるために一つの波形単位での処理負荷が高く、つまりは処理時間が掛かってしまい、高速応答性を求められる場合においては問題となってくるおそれがある。
【0007】
本発明は、これらの点に鑑みてなされたもので、マークを形成している蛍光特性の異なる複数の蛍光体物質の種類を比較的簡単な構成で検出する方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上述したような問題に対して考察を行った結果、例えば図2に示すように、個々の蛍光体物質の発光および残光を示すその波形特性は一定であり、蛍光体物質の濃度が変化しても蛍光強度の絶対値が変わるだけで残光の相対変化率は変わらないこと、従って、個々の蛍光体物質の光照射停止時における蛍光強度(D1:通常は、光照射停止時に個々の蛍光の最大出力値が得られるように光の照射時間や蛍光体物質を選定するので、個々の蛍光体物質の光照射停止時における蛍光(残光)の発光強度はその蛍光の最大出力値と考えてよい)と、それにある低下率かけて得られた残光出力値(Dn)に到達するまでの時間(図1ではT1からTnまでの時間)の2つを求めることで蛍光体物質の種類を識別できること、を知見した。
【0009】
このような知見に基づき、本発明は、図1に示すごとく、蛍光体物質をもって任意の媒体1上に形成されたマーク2に対して光3を照射し、そのマーク2から発生される蛍光(残光)を検出してマークを形成している蛍光体物質の種類を検出する方法において、次のように構成したことを特徴とする。
【0010】
すなわち、その強さが略一定の光3を断続的に照射する工程と、この光(照射光)3の照射位置から放出される光4と略同一波長の光成分を選択的に取り込む工程と、取り込んだ光を電気信号に変換する工程と、変換された電気信号のうち、光の照射停止時における信号強度(D1)に対して、予め設定した低下率を掛け、得られた信号強度(Dn)を比較値として設定する工程と、前記照射位置から放出される光4の信号強度が前記信号強度(Dn)と一致するまでの前記光照射停止時からの時間(Tn)を検出する工程と、検出すべき1または複数の種類の蛍光体物質について、光照射停止後の蛍光(残光)の減衰過程におけるそれぞれの時間範囲の大小関係を予め設定しておく工程10と、前記検出された時間(Tn)と前記予め設定された時間範囲の大小関係とを互いに比較し、当該大小関係が一致する蛍光体物質の種類を特定する工程とを備えている。
【0011】
具体的には、光3を断続的に照射する工程においてPWM(Pulse Width
Modulation)処理を施し、光4の入力によって電気信号に変換された値をPWM処理部に帰して光3の照射強度を調節し、該電気信号に変換された値を一定にする構成とするのが好ましい。このような処理により、検出対象たる蛍光体物質の光照射停止時における発光強度(上述したように通常は蛍光の最大出力値(D1))の外乱による変動(図2ではD1の縦軸方向の変動)を抑制して安定した測定が行えようようになるからである。
【0012】
また、上記したマークの検出方法を実施する装置は、その強さが略一定の光3を断続的に照射する光照射手段5と、この光(照射光)3の照射位置から放出される光4と略同一波長の光成分を選択的に取り込む光学的濾波手段6と、取り込んだ光を電気信号に変換する光電変換手段7と、変換された電気信号のうち前記照射光3の照射停止時における電気信号の強度(D1)に対して予め設定した低下率を掛け、得られた信号強度(Dn)を比較値として設定する比較値設定手段8と、前記照射位置から放出される光4の信号強度が前記信号強度(Dn)と一致するまでの前記光照射停止時からの時間(Tn)を検出する時間検出手段9と、検出すべき1または複数の種類の蛍光体物質について、前記光照射停止後の蛍光(残光)に関するそれぞれの時間範囲の大小関係を予め設定しておく蛍光情報記憶手段10と、前記時間検出手段によって検出された時間(Tn)と前記蛍光情報記憶手段における時間範囲の大小関係とを互いに比較し、当該大小関係が一致する蛍光体物質の種類を特定する蛍光体物質特定手段11とを備えている。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、上記のごとく、蛍光体物質によって形成されたマークに強さが略一定の光3を断続的に照射し、その光照射停止時におけるマーク2からの入射光4を示す電気信号が、照射光3の停止時(光照射停止時)の信号強度(D1)に所定の低下率を掛けたもの(比較値としての信号強度(Dn))と一致するまでの時間を検出し、検出すべき種類の蛍光体物質について予め設定しておいた時間の大小関係と比較するだけのものであるため、比較的簡単な構成で蛍光体物質の検出が行える。
【0014】
本発明では、光照射停止直後からの蛍光体物質の発光(残光)が、光照射停止時における蛍光強度に一定の低下率をかけて得られたレベルに達するまでの時間を検出し、その検出された蛍光体物質の時間の大小関係を判定することで蛍光体物質の種類を識別する。したがって、検出器の光入射面にゴミ等が付着した場合であっても前記光照射光停止時の信号強度(D1)、すなわち光照射停止時の残光強度の絶対値が変化するたけであり、複数の蛍光体物質における前記時間の大小関係までは変動しない。これにより、検出器の光入射面にゴミ等の付着による検出感度の低下の問題を解消でき、マークを形成している蛍光体物質を確実に特定することができる。また、本発明では、従来技術のように一つの波形変化について複数点での計測処理を行う必要がないため、比較的短時間で蛍光体物質の特定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図3に、本発明に係るマーク検出装置の全体構成の一例を示す。このマーク検出装置は、蛍光体物質をもってカード(本発明における媒体1を構成する)20上に形成されたマーク21の当該蛍光体物質の種類を検出するものであって、信号発生部30と、カード20の走行部40と、そのカード走行部40によって移行されるカード20に対する光照射部24と、光が照射された位置から放出される光23を取り込んで電気信号に変換する光電変換部27と、変換された電気信号中からマーク21を構成する蛍光体物質に対応した信号S1を出力するマーク検出部50と、検出した信号S1からカード20上の蛍光体物質を特定するデータ処理部54と、特定した結果を表示する表示部55とを備えている。
【0016】
信号発生部30は、少なくとも光照射部24で使用する駆動信号S6と、データ処理部54で使用する複数のタイミング信号Stnを作成するものであって、クロック信号S5の発生回路31と、発生されたクロック信号S5からの制御信号を作成する制御信号発生回路32とから構成される。
【0017】
クロック信号発生回路31は、例えば0.5μs程度の一定時間間隔をもってパルス上のクロック信号S5を連続して発生するものである。制御信号発生回路32では、例えば、図2に示すように4000個のクロック信号S5が入力される毎にその信号レベルを切り替えることにより、約2msの時間間隔をもってそのレベルがロー(L)とハイ(H)間で変わる矩形波状の駆動信号S6が形成されるようにした。また、制御信号発生回路32では、駆動信号S6の立ち上がり時から、n番目のクロック信号が入力されることにより、駆動信号S6と同期した複数のタイミング信号Stn(n=1、2、3、・・・)が形成されるようにしている。
【0018】
カード走行部40は、カード20の挿入時期に対応してモータ駆動回路41で回転駆動されるローラ42によってカード20の両側縁を支持しながら、例えば毎秒400mm程度までの一定速度で水平移行させることにより、カード20の上面側に蛍光体物質をもって形成されたマーク21が、光照射部24と光電変換部27の下方位置を通過するようにしている。このモータ駆動回路41の動作時期に関するデータはデータ処理部54に送られ、マーク内容を判定するためのデータ処理の必要時期を知らせる。
【0019】
光照射部24は、本発明における光照射手段5(図1参照)を構成するもので、上記した信号発生部30から出力される駆動信号S6を電力増幅する発光源駆動回路26と、この発光源駆動回路26による通電によって所定の光22を発生する発光源25とから構成される。また、光電変換部27の出力変動に応じて、発光源駆動回路26の出力信号に対してPWM処理を行い、光電変換部27での出力が一定になるよう光22のパルス幅を制御する機能を備えている。
【0020】
発光源25は、図4に示すように、発光中心波長が800nm付近の近赤外線を発生する発光ダイオードのなどの発光素子19と、その発光面に、該発光の波長の光を選択的に通す光学フィルタ18を備えたものである。
【0021】
このカード20上における光照射位置から放出される光23を電気信号に変換する光電変換部27は、入射した光を電流の変化に変換する検出器28と、電流変化を電圧変化に変換したのち所定の大きさに増幅する増幅回路29とから構成される。
【0022】
検出器28は、赤外域に受光感度を有するフォトダイオードなどの受光素子17の受光面上に、マーク21から発生される光23の波長の光を選択的に通す光学フィルタ16を備えた構成である。なお、図3および図4に示した例では、光学的フィルタ16が本発明における光学的濾波手段6(図1参照)を構成しており、光電変換部27から光学的フィルタ16を除いた部分が本発明における光電変換手段7(図1参照)を構成している。
【0023】
増幅回路29は、検出器28が受光した光に相当する出力を増幅し、その増幅した電気信号S2を連続的にマーク検出部50に送る。
【0024】
マーク検出部50は、図3および図5に示すように、光電変換部28からの信号に基づいて後述する比較値Vcを設定する比較値設定回路51と、光電変換部27の信号と比較値Vcの信号とを比較する比較回路52と、マーク21を構成する蛍光体物質に対応した信号S1を出力する判定回路53とから構成される。
【0025】
比較値設定回路51は、本発明における比較値設定手段8(図1参照)を構成するもので、光電変換部27から送られる電気信号S2を光照射部24の駆動信号S6の立下り時期と同期して取り込み(すなわち、断続的に照射される光の照射停止時における電気信号S2を取り込み)、と同時に取込みを終了し(図5に示すステップST2〜ST4)、該信号に予めステップST1で設定した低下率を掛けて得られた値を比較値Vcとして比較回路52に送り(ステップST5、ST6)、以降、順次駆動信号S6の立下り時期に同期した取り込み、及び、比較値Vcの出力を繰り返し行う。
【0026】
比較回路52は、光電変換部27から送られる電気信号S2と、比較値設定回路51から送られる電気信号Vcを比較し(ステップST7〜ST9)、該信号S2が比較値Vcを下回る時期に対応して判定回路53に所定の信号S3を送り(ステップST10)、マーク検出終了を知らせる。
【0027】
判定回路53は、光照射部24の駆動信号S6の立下り時期(光照射停止時、すなわち図5に示すステップST12で「S6<H」となった時)からクロック信号S5の検出を開始し(ステップST11〜ST13)、比較回路52から電気信号S3が送られてきた時期にクロック信号S5の検出を終了し(ステップST14、ST15)、該クロックカウント数を、マーク21を構成する蛍光体物質に対応した信号S1としてデータ処理部54に送る(ステップST16)。なお、図3および図4の図示例では、比較回路52および判定回路53が本発明における時間検出手段9(図1参照)を構成している。
【0028】
データ処理部54は、本発明における蛍光情報記憶手段10(図1参照)および蛍光物質特定手段11(図1参照)を構成するもので、判定回路53から送られる電気信号S1と、蛍光体を判定するための前記タイミング信号Stnとを比較する。この比較においては、予め特定すべき蛍光体に対し、個々の判定条件を設定しておき、送られてくる電気信号S1が設定した条件を満足する場合に蛍光体を特定する。
【0029】
さらに、上記の比較結果をカウントし、所定の回数連続して同様の結果が得られた時点でそれぞれの蛍光体を表す信号Soutn(n=A、B、・・・)として表示回路55に送る。
【0030】
表示部55は、データ処理部54から送られてくる電気信号Soutnに基づき、LEDなどで目視識別可能な色として、あるいは音などにより、当該蛍光体の種類を識別可能な情報形式で外部に表示する。
【実施例】
【0031】
以下、ICカード形状の紙基材(カード)上に形成されたマークを読み取るマーク検出装置に本発明を適用した実施例について説明する。この実施例に係るマーク検出装置の全体構成は上記図3ないし図5に示したものと同様であるので、以下の説明ではこれらの図を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例に限らず、各種の物品上に設けられた文字や図形を含む各種形状のマーク情報を検出する装置においても、略同様に実施できることは勿論である。
【0032】
カード20上に形成されるマーク21は、例えば赤外線領域の光(照射光)22の照射に対応して、照射光22の中心波長とは異なる波長の蛍光23を発生する蛍光体物質で構成されるものであって、マーク21に照射光22が十分に当るよう、マーク21の直径は照射光22の直径よりも大きめのものとしている。マークの形状は、この実施例では円形としたが、これに限られないことは言うまでもない。
【0033】
マーク21を構成する蛍光体物質としては、例えばネオジム(Nd)、イッテルビウム(Yb)、ユーロピウム(Eu)、ツリウム(Tm)、プラセオジム(Pr)、ジスプロシウム(Dy)等の希土類元素単体、もしくはそれらの混合物を発光中心とし、それらの発光中心が燐酸塩、モリブデン酸塩、タングステン酸塩等の酸化物が母体に含まれる蛍光体粉末により形成することが好ましい。しかし、任意波長の光22を照射することにより残光性を有する蛍光23を発生するものであれば、その材料を適宜変更して実施できることは勿論である。
【0034】
本実施例では、Ca(Nd0.1〜0.23Yb0.01〜0.04 MoO4 や、La(Nd0.01〜1.0Yb0.01〜1.0)PO4 のような蛍光体を含む蛍光塗料をオフセット印刷して形成することにより、例えば波長が800nm付近の赤外線領域の励起光を照射した時、1000nm付近の波長でピーク値をもつ赤外領域の蛍光23を発生するとともに、光照射を停止しても、90から10%の減衰時間が100〜2000μs程度の残光を発生するように構成している。
【0035】
本実施例では、光電変換部27の出力変動に応じて、発光源駆動回路26にPWM処理を施すことにより、マークからの蛍光23を一定出力で得られる構成としている。
【0036】
本実施例では、表1に示すような特性を有する3種類の蛍光体物質A、蛍光体物質B、蛍光体物質Cを使用して、図6に示すように、カード20上にそれぞれ一定の間隔をあけてオフセット印刷により各マーク21を形成し、このカード20をカード走行部40に通し、蛍光体の種類を判定した。
【0037】
【表1】

【0038】
この実施例では、比較値設定回路51における低下率を50%とした。このため、比較値VcとしてはS2の50%に相当する出力の信号が比較回路52に送られる。
【0039】
比較回路52においては、S2信号がS6の立下り時期と比較して、50%出力に相当するレベルを下回った時、判定回路53に信号S3を送り、判定回路53においては、S6立下り時期からの時間Tnに相当するクロックカウント数を信号S1としてデータ処理部54に送る。
【0040】
ここで、本実施例に用いた蛍光体物質の残光特性に合わせて、データ処理部54に予め設定する時間信号Stnの割当て、その判定条件及び時間としては、表2の通りとした。また、蛍光体物質を特定する際の連続カウント数は4回とした。
【0041】
【表2】

【0042】
データ処理部54においては、送られてきた信号S1と判定条件に合わせた各Stnとの比較を順次行い、判定条件を満足した時点で判定処理を終了させ、特定した蛍光体物質の特定回数を1カウント増やし、一時的に記憶しておく。以降、順次送られてくる信号S1を判定し、連続して4回同じ蛍光体物質としてカウントした場合に、表示部55に、特定した蛍光体物質の信号Soutを送る。
【0043】
本実施例における表示部55の出力表示方法としては、蛍光体物質Aを検出した場合に緑色LEDを点灯させ、蛍光体物質Bを検出した場合に橙色LEDを点灯させ、蛍光体物質Cを検出した場合に赤色LEDを点灯するものとし、蛍光体物質の特定結果を目視にて確認可能なものとした。
【0044】
本実施例においては、3種類の蛍光体物質をカード走行部に通し、判定した結果、上記割り当てた通りのLEDが点灯した。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の基本的な構成を示す概略図である。
【図2】マークの検出状態を示す波形図である。
【図3】マーク検出装置の全体構成の一例を示すブロック図である。
【図4】マークに対する光の照射および検知状態を示す説明図である。
【図5】マーク検出部における処理動作を示すフローチャートである。
【図6】実施例で使用した3種類の蛍光体により形成されたマークの配置パターンを示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
1、20 媒体(20 カード)
2、21 マーク
3、22 照射光
4、23 蛍光
5、24 光照射手段(24 光照射部)
6、16 光学的濾波手段(16 光学フィルタ)
7、27 光電変換手段(27 光電変換部)
8、51 比較値設定手段(51 比較値設定回路)
9、52、53 時間検出手段(52 比較回路、53 判定回路)
10 蛍光情報記憶手段
11、54 蛍光体物質特定手段(54 データ処理部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光体物質をもって任意の媒体上に形成されたマークに対して光を照射し、マークから放出される蛍光を検知してマークを形成している前記蛍光体物質の種類を検出する方法であって、
その強さが略一定の光を断続的に照射する工程と、
この照射光の照射位置から放出される光と略同一波長の光成分を選択的に取り込む工程と、
取り込んだ光を電気信号に変換する工程と、
変換された電気信号のうち前記照射光の照射停止時における電気信号の強度(D1)に対して予め設定した低下率を掛け、得られた信号強度(Dn)を比較値として設定する工程と、
前記照射位置から放出される光の信号強度が前記信号強度(Dn)と一致するまでの前記光照射停止時からの時間(Tn)を検出する工程と、
検出すべき1または複数の種類の蛍光体物質について、光照射停止後の蛍光(残光)の減衰過程におけるそれぞれの時間範囲の大小関係を予め設定しておく工程と、
前記検出された時間(Tn)と前記予め設定された時間範囲の大小関係とを互いに比較し、当該大小関係が一致する蛍光体物質の種類を特定する工程とを備えたマーク検出方法。
【請求項2】
蛍光体物質をもって任意の媒体上に形成されたマークに対して光を照射し、マークから放出される蛍光を検知してマークの形成された前記蛍光体物質の種類を検出する装置であって、
その強さが略一定の光を断続的に照射する光照射手段と、
この照射光の照射位置から放出される光と略同一波長の光成分を選択的に取り込む光学的濾波手段と、
取り込んだ光を電気信号に変換する光電変換手段と、
変換された電気信号のうち前記照射光の照射停止時における電気信号の強度(D1)に対して予め設定した低下率を掛け、得られた信号強度(Dn)を比較値として設定する比較値設定手段と、
前記照射位置から放出される光の信号強度が前記信号強度(Dn)と一致するまでの前記光照射停止時からの時間(Tn)を検出する時間検出手段と、
検出すべき1または複数の種類の蛍光体物質について、光照射停止後の蛍光(残光)の減衰過程におけるそれぞれの時間範囲の大小関係を予め設定しておく蛍光情報記憶手段と、
前記時間検出手段によって検出された時間(Tn)と前記蛍光情報記憶手段における時間範囲の大小関係とを互いに比較し、当該大小関係が一致する蛍光体物質の種類を特定する蛍光体物質特定手段とを備えたマーク検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−134386(P2009−134386A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−308319(P2007−308319)
【出願日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】