説明

マーケティングデータ収集分析システム、サーバシステム及びマーケティングデータ収集分析プログラム

【課題】 POSデータの分析から消費者の併売傾向を数量的に的確に把握し、販売促進に反映させることができるマーケティングデータ収集分析技術を提供する。
【解決手段】 クライアント400と、これにネットワーク500を通じて接続されたサーバ100から構成されるマーケティングデータ収集分析システムであって、サーバ100は、会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を保持する会員顧客データベース1005と、サービス提供を申し込んだユーザーに関連する情報を保持するユーザーデータベース1007と、小売店ごとのPOSデータを保存するPOSデータベース1009とを備え、与えられる併売データ分析指令に対して会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、該当するデータを抽出し、抽出した抽出データを該当ユーザークライアント400に配信するシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーケティングデータ収集分析を行うためのマーケティングデータ収集分析システム、サーバシステム、及び、コンピュータにマーケティングデータ収集分析を行わせるためのマーケティングデータ収集分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特開2002−24295号公報(特許文献1)に記載されているようなマーケティングデータ収集分析システムが知られている。この従来のシステムは、顧客ごとの商品購入情報を収集し、その情報に基づく所望の分析結果と集計結果を販売拠点等が容易に、かつ迅速に取得し、利用することができるようにするものである。
【0003】
そして従来から一般に、POSデータをサーバに登録し、データマイニングによって販売店舗ごとの消費傾向、また天候、季節、イベントに依存する購買変動を分析し、将来の商品仕入れに反映させることも広く行われている。
【0004】
しかしながら、従来のマーケティングデータ収集分析技術では、大量にPOSデータを収集し、分析することで一般性を出そうとするあまり、きめ細かなデータマイニングが出来ない問題点があった。例えば、夏の暑い日に酒店やスーパーマーケットでは、缶ビールと共に袋入りピーナツを顧客が同時買いする傾向にあるので、気温が高い日には缶ビール売り場の近くに袋入りピーナツを積み上げと置くと顧客にとって便利であり、同時買いをいっそう促進させることができ、売上げの増加につながることは予想される。しかしながら、このような提案をPOSデータの分析から導出することは容易ではない。通常、天候情報やイベント情報がPOSデータと共に保存されることは少ないためである。
【特許文献1】特開2002−24295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来の技術的課題に鑑みてなされたもので、POSデータの分析から消費者の併売傾向を数量的に的確に把握し、販売促進に反映させることができるマーケティングデータ収集分析技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ユーザークライアントと、これにネットワークを通じて接続されたサーバから構成されるマーケティングデータ収集分析システムであって、前記サーバは、会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を保持する会員顧客データベースと、サービス提供を申し込んだ会員に関連する情報を保持するユーザーデータベースと、小売店ごとのPOSデータを保存するPOSデータベースと、与えられる併売データ分析指令に対して前記会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、カレンダー情報と同時購入商品とに強い相関が見られる同時購入商品について、当該同時購入商品の組み合わせとカレンダー情報とを関連付けて抽出するデータ分析手段と、前記データ分析手段の抽出した抽出データを該当ユーザークライアントに配信する抽出データ配信手段とを備え、前記ユーザークライアントは、前記サーバの配信する抽出データを受信して表示する抽出データ表示手段を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2の発明は、ユーザークライアントとネットワークを通じて接続されたサーバシステムであって、会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を保持する会員顧客データベースと、サービス提供を申し込んだ会員に関連する情報を保持するユーザーデータベースと、小売店ごとのPOSデータを保存するPOSデータベースと、与えられる併売データ分析指令に対して前記会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、カレンダー情報と同時購入商品とに強い相関が見られる同時購入商品について、当該同時購入商品の組み合わせとカレンダー情報とを関連付けて抽出するデータ分析手段と、前記データ分析手段の抽出した抽出データを該当ユーザークライアントに配信する抽出データ配信手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2のサーバシステムにおいて、前記データ分析手段は、前記併売データ分析指令に対して、日単位、週間単位、季節単位、若しくは年単位にてその期間の売上げ個数が期間の平均売上げ個数に対して突出した数値を示す2種類以上の商品であって、同じ会員顧客が共に購入した商品の組み合わせを抽出し、前記抽出データ配信手段は、前記データ分析手段の抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、当該期間のカレンダー情報と共に配信することを特徴とするものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2のサーバシステムにおいて、前記データ分析手段は、前記併売データ分析指令に対して、日単位、週間単位、季節単位、若しくは年単位にてその期間の売上げ個数が期間の平均売上げ個数に対して突出した数値を示す2種類以上の商品であって、同じ会員顧客が共に購入した商品の組み合わせを抽出すると共に、同時購入した会員顧客の年齢層をも分析し、前記抽出データ配信手段は、前記データ分析手段の抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、同時購入した会員顧客の年齢層、当該日のカレンダー情報及び前記同時購入商品の組み合わせの情報を共に配信することを特徴とするものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4のサーバシステムにおいて、前記データ分析手段は、前記同時購入した会員顧客の年齢層に加えて性別をも分析し、前記抽出データ配信手段は、前記データ分析手段の抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、同時購入した会員顧客の年齢層及び性別、当該日のカレンダー情報及び前記同時購入商品の組み合わせの情報を共に配信することを特徴とするものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3〜5のサーバシステムにおいて、前記カレンダー情報は、該当期間の日付と共に該当期間のイベント情報若しくは天候情報であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7の発明は、ユーザークライアントとネットワークを通じて接続されたサーバシステムに搭載するマーケティングデータ収集分析プログラムであって、会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を会員顧客データベースに登録するステップと、サービス提供を申し込んだ会員に関連する情報をユーザーデータベースに登録するステップと、小売店ごとのPOSデータをPOSデータベースに登録するステップと、与えられる併売データ分析指令に対して前記会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、カレンダー情報と同時購入商品とに強い相関が見られる同時購入商品について、当該同時購入商品の組み合わせとカレンダー情報とを関連付けて抽出するデータ分析ステップと、前記データ分析ステップにて抽出された抽出データを該当ユーザークライアントに配信する抽出データ配信ステップとをコンピュータに実行させるものである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7のマーケティングデータ収集分析プログラムにおいて、前記データ分析ステップでは、前記併売データ分析指令に対して、日単位、週間単位、季節単位、若しくは年単位にてその期間の売上げ個数が期間の平均売上げ個数に対して突出した数値を示す2種類以上の商品であって、同じ会員顧客が共に購入した商品の組み合わせを抽出し、前記抽出データ配信ステップでは、前記データ分析ステップにて抽出された2種類以上の商品の組み合わせについて、当該期間のカレンダー情報と共に配信することを特徴とするものである。
【0014】
請求項9の発明は、請求項7のマーケティングデータ収集分析プログラムにおいて、前記データ分析ステップでは、前記併売データ分析指令に対して、日単位、週間単位、季節単位、若しくは年単位にてその期間の売上げ個数が期間の平均売上げ個数に対して突出した数値を示す2種類以上の商品であって、同じ会員顧客が共に購入した商品の組み合わせを抽出すると共に、同時購入した会員顧客の年齢層をも分析し、前記抽出データ配信ステップでは、前記データ分析ステップにて抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、同時購入した会員顧客の年齢層、当該日のカレンダー情報及び前記同時購入商品の組み合わせの情報を共に配信することを特徴とするものである。
【0015】
請求項10の発明は、請求項9のマーケティングデータ収集分析プログラムにおいて、前記データ分析ステップでは、前記同時購入した会員顧客の年齢層に加えて性別をも分析し、前記抽出データ配信ステップでは、前記データ分析ステップにて抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、同時購入した会員顧客の年齢層及び性別、当該日のカレンダー情報及び前記同時購入商品の組み合わせの情報を共に配信することを特徴とするものである。
【0016】
請求項11の発明は、請求項8〜10のマーケティングデータ収集分析プログラムにおいて、前記カレンダー情報は、該当日のイベント情報若しくは天候情報であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、サーバが会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を保持する会員顧客データベースと、サービス提供を申し込んだ会員に関連する情報を保持するユーザーデータベースと、小売店ごとのPOSデータを保存するPOSデータベースとを管理し、データ分析手段が与えられる併売データ分析指令に対して会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、該当するデータを抽出し、抽出データ配信手段がこの抽出されたデータを該当ユーザークライアントに配信し、ユーザークライアントはサーバから配信されてきた抽出データを受信して併売状況を示す抽出データを表示出力して登録会員に提示することができ、POSデータから顧客の併売傾向を分析して抽出することができ、例えば、併売傾向の強い商品群については同じ販売スペースあるいは互いに近い距離にある販売スペースに展示することを提案することで販売促進に役立てることができる。
【0018】
本発明によれば、また、ある商品を購買した会員顧客の年代、性別をもカレンダー上のイベントと共に分析し、例えば、このイベントには若い女性用にある商品と別のある商品とを並べて展示するように提案したり、別のイベントでは年配の男性用に別のある商品とさらに別のある商品とを並べて展示するように提案したりすることができ、例えば、天候やイベントをも考慮した上で、併売傾向の強い商品群については同じ販売スペースあるいは互いに近い距離にある販売スペースに展示することを提案することで販売促進に役立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の1つの実施の形態のマーケティングデータ収集分析システムのシステム構成を示している。このマーケティングデータ収集分析システムは、マーケティングデータの収集分析サービスを提供するASPサーバシステム100、このASPサーバシステム100とサービス契約を締結し、POSデータを預ける本社クライアント200、POSデータを収集し、本社クライアント200に送信する店舗クライアント300、ASPサーバシステム100とサービス契約を締結し、マーケティングデータ分析結果の配信を受けるユーザークライアント400(以下、必要な場合、400A,400B,400C,…と識別する)、そして、これらのクライアント間、またサーバ・クライアント間のデータ伝送のためのネットワーク500から構成されている。尚、ネットワーク500は共通のものであっても分離されているものであっても構わない。また専用回線を使用するネットワーク、インターネットを利用するもの、電話回線を利用するもの、特に問われず、データ秘匿の要求とデータ伝送速度の要求に応じて選択されるものである。ただし、以下では説明の便宜のために、本社クライアント200・店舗クライアント300・ASPサーバシステム100間は高速大容量の光ネットワーク510にて接続され、またASPサーバシステム100・ユーザークライアント400間はインターネット520にて接続されているものとして説明する。各コンピュータには、ネットワーク500との接続のためにルータ161,162,210,310,410それぞれが設置されている。
【0020】
ASPサーバシステム100は、マーケティングデータ収集分析サービスを提供する業者により構築されたシステムであり、ネットワーク接続、ウェブ管理、アプリケーションの提供のためのWEBサーバ110、POSデータを管理するPOSデータ管理サーバ120、サービス利用ユーザーの管理のためのユーザー管理サーバ130、マーケティングデータ収集分析のためのデータ収集用サーバ140、そして本実施の形態での特徴となるデータ分析を実行するデータ分析用サーバ150が含まれる。また、これらのサーバ群は大容量データ記憶装置を備え、ユーザー管理データベース、ユーザーデータベース、POSデータベースを管理している。
【0021】
ASPサーバシステム100は図2に示す機能構成であり、外部のネットワーク500と接続してクライアント通信するための通信制御部1001、会員会員顧客データ収集処理部1002、POSデータ収集処理部1003、ユーザーデータ収集処理部1004、これらの各データ収集処理部1002〜1004にて収集される会員顧客データ、POSデータ、ユーザーデータそれぞれを登録管理する会員顧客データベース1005、POSデータベース1006、ユーザーデータベース1007、そして、データ分析条件を入力する分析条件入力部1008、入力された分析条件に応じて該当データベース1005〜1007を検索し、検索条件に一致するデータを抽出する購入データ分析処理部1009、この購入データ分析処理部1009の分析結果をレポート形式に編集し、出力するレポート作成処理部1010、そして購入データ分析処理部1009の分析データを保存する分析データ保存部1011を備えている。
【0022】
次に、上記構成のマーケティングデータ収集分析システムによるマーケティングデータ収集分析処理について説明する。会員顧客データ収集処理部1002が顧客カード登録書類の記載事項に基づき入力される顧客情報、例えば、顧客ごとのIDと共に、性別、年代層、居住地域、趣味、職業程度の情報を会員顧客データベース1005に登録する。ユーザーデータ収集処理部1004が入力されるサービス提供を受けるためにユーザー登録したユーザー企業、店等のユーザー情報、例えば、ユーザーごとのIDと共に、所在地、提供を受けるサービスの範囲、ネットワーク接続に必要なその他の情報をユーザーデータベース1007に登録する。
【0023】
POSデータ収集処理部1003は、ユーザー登録されている本社クライアント200から店舗ごとのPOSデータの送信を受け、各社別にPOSデータベース1006に登録する。このPOSデータベース1006へのPOSデータの登録は、例えば、日次単位にて行われ、蓄積されていく。そして、顧客カードを利用して購買した顧客については、その顧客IDも含まれている。
【0024】
本実施の形態によるマーケティングデータ収集分析システムでは、ユーザーである事業所からユーザークライアント410を通じてASPサーバシステム100にアクセスがあり、分析条件入力部1008がマーケティングデータ分析依頼を受け付け、購入データ分析処理部1009に対してその資格に応じて蓄積POSデータを検索してデータ分析を実行し、抽出結果をレポート作成処理部1010が当該ユーザークライアント410に返信するサービスを提供する。該サービスには、例えば、図3の画面例に示すように、「年代別分析」、「併売分析」、そして「ブランドスイッチ分析」があり、「年代別分析」では、「年代別購入状況」、「年代別購買推移」、「年代別単品ランキング」の分析、また、「年代別プライスライン分析」ができる。「併売分析」では、「併売分析」、「併売推移分析」ができる。そして「ブランドスイッチ分析」では、「流入分析」、「流出分析」ができる。
【0025】
年代別分析は次の通りである。「年代別購入状況」の要求があった場合、一定期間、例えば、1ヶ月間あるいは1年間という指定された期間について、ユーザーの取扱商品ごと、期間ごとに購入者の会員顧客IDから特定した年代別の累積販売数量を求め、その結果を表にして出力する(ステップS1〜S3)。図7は年代別購入状況の出力例を示している。図8は、年代別購入状況の、さらに年代別購入者構成比の出力例を示している。
【0026】
同様に、「年代別購買推移」の要求があれば、指定商品について、指定年代の一定期間ごと、例えば、1週間ごと、1ヶ月ごとの購買数を累算し、指定期間と対応させた表やグラフにして出力する(ステップS4〜S6)。図9は、年代別購買推移の出力例を示している。また、「年代別単品ランキング」の分析要求があれば、1週間、1ヶ月あるいは1年間という指定期間の間に年代別に購買数が最大の商品を抽出し、年代層と対照した表にして出力する(ステップS7〜S9)。図10は、年代別単品ランキングの出力例を示している。
【0027】
さらに、「年代別プライスライン分析」の要求があれば、どの年代の男性、女性あるいは男女全てがどのようなプライスラインを形成するかを分析する(ステップS10〜S12)。この場合、プライスライン分析ボタンを選択操作したので、品種を指定し、期間を指定し、年代や性別を指定し、価格帯を指定し、検索開始ボタンを操作することで図6に示すような結果を得ることができる。図6は、某スーパーの11月の女性の購買実績から出力したグラフである。この分析は小売業者のバイヤーが、ある品種の売場作りをするための資料として有効に利用できる。通常同一品種の中で、3〜5本程度のプライスラインを作ると、顧客が購入し易いというセオリーがある。図6のケースでは、全ての年代が支持していない11,000円台のブーツの品揃えを充実させたところで、売上が増大しないことは容易に予想ができる。また、当然、この小売業者に商品を納入している卸・メーカーの担当者は、図6のプライスライン分析グラフを見ることで、希望小売価格15,000円の商品をこの小売店に提案することは避けようというプランを立てることができる。
【0028】
「併売分析」の要求があった場合、図11のフローチャートに示すように、購入データ分析処理部1009が購入データ分析処理部1009は、指定された期間ごと、例えば、日次ごと、1週間ごと、1ヶ月ごとに通常よりもよく売れた商品群を抽出する(ステップS21)。この「よく売れた」という意味は、通常の同等期間の販売数量に対して一定割合、例えば、25%あるいは50%以上多く売れた商品に着目することである。よく売れた商品群の中で、同じ会員顧客によって同時購入されている商品の組み合わせ群を抽出する(ステップS22)。例えば、同じIDの会員顧客によりビールとピーナッツとが同時に購入されているとか、長ネギと牛肉ロースと糸こんにゃくとが同時に購入されているといったものである。
【0029】
次に、同時購入されている商品の組み合わせ群について、購入者群のIDから年代別の分析を実行する。ビールとピーナッツとの組み合わせが40歳代、50歳代に多く売れている、また、50歳代〜70歳以上に長ネギと牛肉ロースと糸こんにゃくと組み合わせが多く受けている(ステップS23)。続いて、カレンダー情報を参照し、同時併売の商品群の売上げが多かった期間のイベント、暦、天候について抽出する。例えば、札幌ドーム球場で○○○対×××のプロ野球が開催された日であった、札幌でも特に記録的な最高温度になった日であった、特に帰省者が多い特定の日であった等を抽出し、このカレンダー情報と購入者層と併売商品群を結合させる(ステップS24)。
【0030】
そして、レポート作成処理部1010は、購入データ分析処理部1009が抽出した併売に関連するデータからレポートを作成して要求元のユーザークライアント400に送信する(ステップS25)。このレポートには、例えば、「8月xx日、xxxxの開催日には、ビールとピーナッツとの組み合わせが40歳代、50歳代に多く売れました。その売上数量は、xxxであり、通常期のx倍でした。」、「8月yy日、yyyyの日には、長ネギと牛肉ロースと糸こんにゃくとの組み合わせが、50歳代〜70歳以上の年代層に多く売れました。その売上数量は、yyyであり、通常期のy倍でした。」といったレポートを作成して要求元のユーザークライアント400に送信する。
【0031】
また、「併売推移分析」の要求があれば、一定期間ごとの併売実績を抽出し、期間ごとの推移としてレポートする。例えば、ビールとそのつまみであるピーナッツとの併売実績を、6月1日から9月30日まで、日次、週ごとあるいは月ごとに集計し、グラフや表にしてレポートする(ステップS26〜S28)。
【0032】
尚、上記の実施の形態では年代別についてのみ述べたが、会員顧客IDから抽出できる性別も年代と共に属性情報として指定すれば、10歳代の女子あるいは男子、20歳代の女性あるいは男性、30歳代の女性あるいは男性というように年代と共に性別をも検索のキーにすることで、よりきめ細かな年代別分析や併売分析も可能である。
【0033】
また、「ブランドスイッチ分析」では、ある商品を新規に市場に投入したときに消費者はどのように行動するかの流入分析、流出分析ができる。小売業者もメーカーも、自社や競合他社の新製品の売れ行き動向が気になるところである。例えば通常、スーパーのデイリー食品売場には品種「納豆」と定義して分類管理している商品(単品それぞれにJANコードが割り当てられている)が、5〜20種類程度ある。この分析メニューでは、某メーカーが、新製品「臭わない納豆」を市場に投入したとき、消費者がどのような購買行動をとるのか、分析することができる。図12は、某メーカーが10月1日に市場に新商品の臭わない納豆を投入したときの流入分析・流出分析の方法を示している。期間Aに「臭わない納豆」を買った人が何人いるのか調べる。ここでは、仮に100人であったとする。次に、その100人が、期間Bに品種「納豆」の中で何を買っていたのかを調べる。同様にその100人が、期間Cに品種「納豆」の中で、何を買っていたのかも調べる。本システムにおける流入、流出分析では、その100人のうち何人が、(i)Cの期間に馴染みの納豆に戻ってしまうのか、(ii)それとも別の何という納豆商品に流れてしまうのか、(iii)それとも「臭わない納豆」を買い続けてくれるのか、を分析し、分かり易く出力し、提示することができる。これにより、このサービスを利用するメーカーや卸業者の視点に立つと、新製品を投入した直後にある程度の販売実績が出ることはごく普通の現象であり、より正確に把握したい事実は、その現象が「試し買い=トライアル」で、すぐに客が離れてしまうのか(流出してしまうのか)それとも「真のブランドスイッチ」なのかを判断材料を取得することができる。例えば、その100人が、期間C、またそれ以降も「臭わない納豆」をずっと買い続けていれば、「ブランドスイッチをしてもらえた」と検証できるし、反対に、期間Cでは期間Aほどには「臭わない納豆」を購入しなくなっていれば、新商品を試し買いしただけと判断することができる。
【0034】
この流入分析、流出分析は図13のフローチャートによる。図3の画面において「流入分析」ボタンの選択の後(ステップS41)、単品と期間を指定して検索開始の操作をし(ステップS42)、その結果を送信する(ステップS43,S44)。ユーザーがさらに、この結果を基に、抽出した消費者である会員客群についてBの期間を指定し、再度検索開始をかけることでその期間以前にどのような商品を購入していた消費者が新商品を購入したかの分析ができる(ステップS45,S46)。ユーザーは、このデータに基づき上述したような分析を行うことで、ブランドスイッチ分析ができる(ステップS47)。
【0035】
図3の画面において、「ブランドスイッチ分析」の中の「流出分析」は、上述した「流入分析」と逆の分析であり、ある時期Bに新製品を投入した場合にその商品を購入した会員顧客である消費者が次の時期Cにはどれほどその商品を購入しなくなったか、また別のどんな商品を購入するようになったかを分析する。その場合、図13のフローチャートに示すように、ブランドスイッチ分析の中の「流出分析」ボタンを選択し(ステップS48)、ある商品の基準となる購入時期、例えばBの期間を指定して検索開始の操作をする(ステップS42)。以降は、流入分析と同様の手順により、ある時期Bにある商品を購入していた消費者が、別のある時期、例えばCの期間にはどれほどその商品を購入しなくなっているか、また別のどんな商品を購入するようになったかを分析することができる(ステップS43〜S47)。この流出分析の処理フローは入力分析の処理フローとほぼ同様であるが、指定期間が異なることになる。
【0036】
このようにして本実施の形態のマーケティングデータ収集分析システムでは、サーバが会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を保持する会員顧客データベースと、サービス提供を申し込んだユーザーに関連する情報を保持するユーザーデータベースと、小売店ごとのPOSデータを保存するPOSデータベースとを管理し、データ分析手段が与えられる併売データ分析指令に対して会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、該当するデータを抽出し、抽出データ配信手段がこの抽出されたデータを該当ユーザークライアントに配信し、ユーザークライアントはサーバから配信されてきた抽出データを受信して併売状況を示す抽出データを表示出力してユーザーに提示することができ、POSデータから顧客の併売傾向を分析して抽出することができ、例えば、併売傾向の強い商品群については同じ販売スペースあるいは互いに近い距離にある販売スペースに展示することを提案することで販売促進に役立てることができる。
【0037】
また、本実施の形態のマーケティングデータ収集分析システムによれば、購買した会員顧客の年代、性別をもカレンダー上のイベントと共に分析し、例えば、このイベントには若い女性用にある商品と別のある商品とを並べて展示するように提案したり、別のイベントでは年配の男性用に別のある商品とさらに別のある商品とを並べて展示するように提案したりすることができ、例えば、天候やイベントをも考慮した上で、併売傾向の強い商品群については同じ販売スペースあるいは互いに近い距離にある販売スペースに展示することを提案することで販売促進に役立てることができる。
【0038】
尚、上記実施の形態ではハードウェアシステムの構成を例示して説明したが、本発明の動作を可能にするマーケティングデータ収集分析プログラムを適切な規模のコンピュータに組み込み、それを実行することで上記のシステムを構築することができるので、ハードウェアシステムに限定されるものではなく、それに組み込むマーケティングデータ収集分析プログラムも本発明の技術的範囲とする。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の1つの実施の形態のマーケティングデータ収集分析システムのシステム構成を示すブロック図。
【図2】上記実施の形態におけるASPサーバシステムの機能構成を示すブロック図。
【図3】上記実施の形態において、ユーザークライアントに表示する年代別分析要求のメニュー画面を示す説明図。
【図4】上記実施の形態において、ASPサーバシステムの実行する年代別分析処理のフローチャートの前半部分。
【図5】上記実施の形態において、ASPサーバシステムの実行する年代別分析処理のフローチャートの後半部分。
【図6】上記実施の形態によるプライスライン分析結果のグラフ。
【図7】上記実施の形態による年代別購入状況分析の結果の出力例の説明図。
【図8】上記実施の形態による年代別購入状況分析の結果の他の出力例の説明図。
【図9】上記実施の形態による年代別購買推移分析の結果の出力例の説明図。
【図10】上記実施の形態による年代別単品ランキング分析の結果の出力例の説明図。
【図11】上記実施の形態において、ASPサーバシステムの実行する併売分析処理のフローチャート。
【図12】上記実施の形態によって実行されるブランドスイッチ分析の説明図。
【図13】上記実施の形態において、ASPサーバシステムの実行するブランドスイッチ分析処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0040】
100 ASPサーバ
110 WEBサーバ
120 POSサーバ
130 会員サーバ
140 データ収集用サーバ140
150 データ分析用サーバ
161,162 ルータ
200 本社クライアント
210 ルータ
300 店舗サーバ
310 ルータ
400 会員サーバ
410 ルータ
1001 通信制御部
1002 会員顧客データ収集処理部
1003 POSデータ収集処理部
1004 ユーザーデータ収集処理部
1005 会員顧客データベース
1006 POSデータベース
1007 ユーザーデータベース
1008 分析条件入力部
1009 購入データ分析処理部
1010 レポート作成処理部
1011 分析データ保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザークライアントと、これにネットワークを通じて接続されたサーバから構成されるマーケティングデータ収集分析システムであって、
前記サーバは、会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を保持する会員顧客データベースと、サービス提供を申し込んだユーザーに関連する情報を保持するユーザーデータベースと、小売店ごとのPOSデータを保存するPOSデータベースと、与えられる併売データ分析指令に対して前記会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、カレンダー情報と同時購入商品とに強い相関が見られる同時購入商品について、当該同時購入商品の組み合わせとカレンダー情報とを関連付けて抽出するデータ分析手段と、前記データ分析手段の抽出した抽出データを該当ユーザークライアントに配信する抽出データ配信手段とを備え、
前記ユーザークライアントは、前記サーバの配信する抽出データを受信して表示する抽出データ表示手段を備えたことを特徴とするマーケティングデータ収集分析システム。
【請求項2】
ユーザークライアントとネットワークを通じて接続されたサーバシステムであって、
会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を保持する会員顧客データベースと、
サービス提供を申し込んだユーザーに関連する情報を保持するユーザーデータベースと、
小売店ごとのPOSデータを保存するPOSデータベースと、
与えられる併売データ分析指令に対して前記会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、カレンダー情報と同時購入商品とに強い相関が見られる同時購入商品について、当該同時購入商品の組み合わせとカレンダー情報とを関連付けて抽出するデータ分析手段と、
前記データ分析手段の抽出した抽出データを該当ユーザークライアントに配信する抽出データ配信手段とを備えたことを特徴とするサーバシステム。
【請求項3】
前記データ分析手段は、前記併売データ分析指令に対して、日単位、週間単位、季節単位、若しくは年単位にてその期間の売上げ個数が期間の平均売上げ個数に対して突出した数値を示す2種類以上の商品であって、同じ会員顧客が共に購入した商品の組み合わせを抽出し、
前記抽出データ配信手段は、前記データ分析手段の抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、当該期間のカレンダー情報と共に配信することを特徴とする請求項2に記載のサーバシステム。
【請求項4】
前記データ分析手段は、前記併売データ分析指令に対して、日単位、週間単位、季節単位、若しくは年単位にてその期間の売上げ個数が期間の平均売上げ個数に対して突出した数値を示す2種類以上の商品であって、同じ会員顧客が共に購入した商品の組み合わせを抽出すると共に、同時購入した会員顧客の年齢層をも分析し、
前記抽出データ配信手段は、前記データ分析手段の抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、同時購入した会員顧客の年齢層、当該日のカレンダー情報及び前記同時購入商品の組み合わせの情報を共に配信することを特徴とする請求項2に記載のサーバシステム。
【請求項5】
前記データ分析手段は、前記同時購入した会員顧客の年齢層に加えて性別をも分析し、
前記抽出データ配信手段は、前記データ分析手段の抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、同時購入した会員顧客の年齢層及び性別、当該日のカレンダー情報及び前記同時購入商品の組み合わせの情報を共に配信することを特徴とする請求項4に記載のサーバシステム。
【請求項6】
前記カレンダー情報は、該当期間の日付と共に該当期間のイベント情報若しくは天候情報であることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のサーバシステム。
【請求項7】
ユーザークライアントとネットワークを通じて接続されたサーバシステムに搭載するマーケティングデータ収集分析プログラムであって、
会員顧客個々の少なくとも年齢、性別を含む属性を会員顧客データベースに登録するステップと、
サービス提供を申し込んだユーザーに関連する情報をユーザーデータベースに登録するステップと、
小売店ごとのPOSデータをPOSデータベースに登録するステップと、
与えられる併売データ分析指令に対して前記会員顧客データベースとPOSデータベースを検索し、カレンダー情報と同時購入商品とに強い相関が見られる同時購入商品について、当該同時購入商品の組み合わせとカレンダー情報とを関連付けて抽出するデータ分析ステップと、
前記データ分析ステップにて抽出された抽出データを該当ユーザークライアントに配信する抽出データ配信ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするマーケティングデータ収集分析プログラム。
【請求項8】
前記データ分析ステップでは、前記併売データ分析指令に対して、日単位、週間単位、季節単位、若しくは年単位にてその期間の売上げ個数が期間の平均売上げ個数に対して突出した数値を示す2種類以上の商品であって、同じ会員顧客が共に購入した商品の組み合わせを抽出し、
前記抽出データ配信ステップでは、前記データ分析ステップにて抽出された2種類以上の商品の組み合わせについて、当該期間のカレンダー情報と共に配信することを特徴とする請求項7に記載のマーケティングデータ収集分析プログラム。
【請求項9】
前記データ分析ステップでは、前記併売データ分析指令に対して、日単位、週間単位、季節単位、若しくは年単位にてその期間の売上げ個数が期間の平均売上げ個数に対して突出した数値を示す2種類以上の商品であって、同じ会員顧客が共に購入した商品の組み合わせを抽出すると共に、同時購入した会員顧客の年齢層をも分析し、
前記抽出データ配信ステップでは、前記データ分析ステップにて抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、同時購入した会員顧客の年齢層、当該日のカレンダー情報及び前記同時購入商品の組み合わせの情報を共に配信することを特徴とする請求項7に記載のマーケティングデータ収集分析プログラム。
【請求項10】
前記データ分析ステップでは、前記同時購入した会員顧客の年齢層に加えて性別をも分析し、
前記抽出データ配信ステップでは、前記データ分析ステップにて抽出した2種類以上の商品の組み合わせについて、同時購入した会員顧客の年齢層及び性別、当該日のカレンダー情報及び前記同時購入商品の組み合わせの情報を共に配信することを特徴とする請求項9に記載のマーケティングデータ収集分析プログラム。
【請求項11】
前記カレンダー情報は、該当日のイベント情報若しくは天候情報であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載のマーケティングデータ収集分析プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図11】
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【図13】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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