説明

ミストサウナユニット

【課題】広い設置スペースを必要とせず、使い勝手にも優れたミストサウナユニットを提供する。
【解決手段】ミストサウナユニット10は、周囲から区画された略直方体形状のサウナ室SRと、サウナ室SRを形成する4つの壁体12,13,14などのうちの正面側の壁体に開設された開閉扉付きの出入り口と、壁体12,13などの内面に外周縁の一部を当接させた状態で配置された腰掛け部17と、右側の壁体14の内面に設けられた複数のミストノズル18及びシャワーノズル19と、を備えている。壁体14の内面には湯水混合栓27が配置され、二つの壁体13,14に挟まれた角部分には複数のコーナ棚29が上下に配置され、壁体13の内面には鏡30が設けられている。別途設けたミスト発生装置から供給されるミストが複数のミストノズル18からサウナ室SR内へ吹き出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般の戸建住宅、マンション、アパートあるいはサウナ施設などに設置して使用することのできるミストサウナユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
乾式サウナに入ると、発汗作用が促進され、体内の老廃物が汗とともに排出されるため新陳代謝が良くなり、疲れもとれ、交感神経が刺激されることにより、爽快な気分になるなどのメリットがある。そこで、一般家庭において使用することのできる乾式サウナが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
しかしながら、乾式サウナの温度は80〜100℃程度の高温であるため、室内に入ると、血圧や心拍数が急激に上昇し、身体は大きな負担を受ける。また、皮膚への熱刺激も強く、頭髪が乾燥して痛みやすい。さらに、乾式サウナの場合、ムッとした暑さや息苦しさを避けることができないなどの短所がある。
【0004】
これに対し、ミストサウナは、お湯を細かい粒子にし、熱風とともに噴霧することにより、40℃程度のミストで室内を満たし、その中で半身浴したり、浴槽に腰掛けたり、顔にミストを浴びたりするものである。乾式サウナのように高温にならず、ミストを浴びるため、皮膚や髪が乾燥しないという長所がある。このため、一般家庭において使用できるミストサウナ設備が提案されている(例えば、特許文献2,3参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−233803号公報
【特許文献2】特開平11−117549号公報
【特許文献3】特開2006−61402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2記載の「浴室ユニット」は、浴槽、洗い場及びミストサウナ用ノズルを備えたものであるため、ミストサウナを利用する前後に、入浴したり、身体を洗ったりすることができるが、広い設置スペースが必要であり、日本の住宅事情に合致しない面がある。
【0007】
一方、特許文献3に記載された、浴槽や洗い場などが省略された「静電霧化装置付きサウナ室」は比較的小型であるため、広い設置スペースを必要とせず、日本の住宅事情にも合致する。しかしながら、ミストサウナ使用後、身体から吹き出した汗などを流したい場合、このサウナ室とは別の設備に移動して、シャワーを浴びたり、入浴したりする必要があるため、使い勝手が悪い。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、広い設置スペースを必要とせず、使い勝手にも優れたミストサウナユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のミストサウナユニットは、略直方体形状のサウナ室と、前記サウナ室を形成する壁体のいずれかに設けられた開閉扉付きの出入り口と、少なくとも一つの前記壁体の内面に外周縁の一部を当接させた状態で配置された腰掛け部と、前記壁体のいずれかに設けられたミストノズル及びシャワーノズルと、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このような構成とすれば、開閉扉付きの出入口を有する略直方体形状のサウナ室内に、腰掛け部、ミストノズル及びシャワーノズルという、必要且つ十分な部材のみを備えた簡素な構造となるため、比較的容易に小型化を図ることが可能となり、広い設置スペースを必要としない。また、ミストサウナ使用後、身体から吹き出した汗などは、他の場所へ移動することなく、当該サウナ室内のシャワーノズルを使用して流すことができるため、使い勝手も優れている。
【0011】
ここで、前記開閉扉の少なくとも一部に透光部を設ければ、開閉扉の透光部を通して外部からサウナ室内の人の気配を感知することができるため、使用中であるか否かの判断が容易となり、利便性が向上する。また、サウナ室内に居るときの閉塞感を軽減することもできる。
【0012】
また、前記壁体の少なくとも一部に透光部を設ければ、サウナ室内に居るときの開放感が高まるため、サウナ使用中、快適に過ごすことができる。なお、透光部を透明にすれば、サウナ室周辺の様子やサウナ室外の景色などが見えるため、開放感を更に高めることができる。
【0013】
一方、前記開閉扉が、前記サウナ室内へ屏風状に折り曲げて開放可能な構成とすれば、開閉扉を開くとき、壁体から当該開閉扉が突出する部分が減少し、出入口付近の扉開放用スペースを減少することができるため、設置スペースの削減に有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、広い設置スペースを必要とせず、使い勝手にも優れたミストサウナユニットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第1実施形態であるミストサウナユニットを示す一部省略斜視図、図2は図1に示すミストサウナユニットの平面図、図3は図1のA−A線における断面図、図4は図1のB−B線における断面図、図5は図2のC−C線における断面図、図6は図2のD−D線における断面図、図7は図2のE−E線における断面図である。
【0016】
図1〜図7に示すように、本実施形態のミストサウナユニット10は、周囲から区画された略直方体形状のサウナ室SRと、サウナ室SRを形成する4つの壁体11,12,13,14のうちの正面側の壁体11に開設された開閉扉15付きの出入口16と、壁体11,12,13の内面に外周縁の一部を当接させた状態で配置された腰掛け部17と、右側の壁体14の内面に設けられた複数のミストノズル18及びシャワーノズル19と、を備えている。二つの壁体13,14に挟まれた角部分には複数のコーナ棚29が上下に配置され、壁体13の内面には鏡30が設けられている。
【0017】
複数のミストノズル18は取付部材28により垂直方向に直列配置され、外部に設けられたミスト発生装置(図示せず)から供給されるミストをサウナ室SR内へ吹き出す機能を有する。取付部材28の下部近傍に、ミストの吹き出し、停止を行うためのスイッチ18aが設けられている。また、外部から供給される湯水を混合して吐出する湯水混合栓27が壁体14の内面に設けられ、湯水混合栓27から延設されたホース19aの先端にシャワーノズル19が接続されている。
【0018】
湯水混合栓27の片端部には温度調節ハンドル27aが設けられ、他端部には切替レバー27bが設けられている。温度調節ハンドル27aを回転操作することにより、湯水混合栓27またはシャワーノズル19から吐出する湯水の温度を設定することができる。また、切替レバー27bを操作することにより、湯水の吐出・停止と、湯水の吐出先の切替(湯水混合栓27またはシャワーノズル19の切替)と、を行うことができる。
【0019】
ミストサウナユニット10は、その底部20に設けられた伸縮可能な複数の支持脚21を介して設置面G上に載置され、底部20の壁体14寄りの部分には排水口25及び排水器具26が設けられている。排水器具26には、排水設備に繋がる排水管(図示せず)などを接続することができる。天井部22には、サウナ室SR内を照明するためのダウンライト23と、サウナ室SR内を換気するための換気グリル24と、が設けられている。
【0020】
開閉扉15を外側からサウナ室SR内に向かって押したり、開閉扉15内面に設けられた取っ手15bをサウナ室SR内側へ引いたりすると、開閉扉15は蝶番部15cを中心にしてサウナ室SR内へ屏風状に折り曲がり、出入口16が開放され、逆の操作をすると出入口16が閉止される。また、開閉扉15には、半透明ガラスで形成された複数の透光部15aが設けられている。
【0021】
図3,図4に示すように、腰掛け部17の占有スペースは底部20全体の面積の半分以下であり、腰掛け部17の前縁部17aは滑らかな曲面で形成され、前縁部17a全体が出入口16より壁体12寄りに位置している。また、腰掛け部17の高さは一般成人男性の腰より低い位置に設定されているが、これに限定するものではない。
【0022】
ミストサウナユニット10を使用する場合、開閉扉15を開放して出入口16からサウナ室SR内へ入った後、開閉扉15を閉じる。この後、必要であれば、シャワーノズル19を使用してシャワーを浴びることができる。次に、壁体14内面のスイッチ18aを操作すると、ミストノズル18からサウナ室SR内へミストが吹き出すので、使用者は腰掛け部17に腰を下ろしたり、任意の姿勢をとったりして、時間を過ごす。この後、所定時間が経過したら、スイッチ18aを操作して、ミストノズル18からのミスト吹き出しを停止する。そして、シャワーノズル19を使用してシャワーを浴びたり、湯水混合栓27から吐出される湯水を用いて身体を洗ったりすれば、身体から吹き出した汗などを洗い落とすことができる。このとき、シャワーノズル19や湯水混合栓27などから吐出された湯水は、底部20上面に開口する排水口25に集まり、排水器具26を通過して、所定の排水設備へ排出される。
【0023】
ミストサウナユニット10は、開閉扉15付きの出入口16を有する略直方体形状のサウナ室SR内に、腰掛け部17、ミストノズル18及びシャワーノズル19という、必要且つ十分な部材のみを備えた簡素な構造であるため、比較的小型であり、広い設置スペースを必要としない。また、ミストサウナ使用後、身体から吹き出した汗などは、他の場所へ移動することなく、当該サウナ室SR内のシャワーノズル19や湯水混合栓27を使用して洗い流すことができるため、使い勝手も良好である。また、シャワーノズル19から放出される湯水を利用してサウナ室SR内の清掃をすることもできるため、サウナ室SR内を清潔に保つことができる。
【0024】
また、開閉扉15には複数の透光部15aを設けているため、外部に居る人が透光部15aを通してサウナ室SR内の人の気配を感知することができる。このため、ミストサウナユニット10が使用中であるか否かが簡単に分かり、利便性に優れている。また、透光部15aを設けたことにより、サウナ室SR内に居る人の閉塞感が軽減されるため、使用中は快適に過ごすことができる。
【0025】
さらに、開閉扉15はサウナ室SR内へ屏風状に折り曲げて開放する方式であるため、開閉扉15を開くとき、当該開閉扉15が壁体11から外側へ突出する部分が少なく、出入口16付近の扉開放用スペースを減少することができる。このため、ミストサウナユニット10の設置スペースの削減に有効である。
【0026】
ミストサウナユニット10は、底部20、腰掛け部17などを含む部分が一体成形されるとともに複数の支持脚21を有する下部ユニット10aの外周に設けられた周溝部10bに4つの壁体11,12,13,14の下縁部11b,12b,13b,14bを嵌め込んで起立状態に固定し、これらの壁体11,12,13,14の上縁部11a,12a,13a,14aに天井部22などを取り付けた構造であるため、組立は容易である。また、給湯水設備、排水設備及びミスト発生装置(図示せず)があれば比較的簡単に設置することができるため、戸建て住宅、マンションあるいはアパートなどに広く採用することができる。
【0027】
次に、図8,図9に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。図8は本発明の第2実施形態であるミストサウナユニットを示す一部省略斜視図、図9は図8のF−F線における断面図である。なお、図8,図9に示すミストサウナユニットにおいて図1〜図7と同じ符号を付している部分は前述したミストサウナユニット10の構成部分と同じ構造、機能を有する部分であり説明を省略する。
【0028】
図8,9に示すように、本実施形態のミストサウナユニット50においては、正面側の壁体51の一部及び開閉扉55の一部に透明ガラスを嵌め込むことにより、それぞれ透光部51a,55aが設けられている。開閉扉55のレバー55bを操作してロックを解除すると、開閉扉55は、蝶番部55cを中心にして、サウナ室SR内側に向かって回動可能となる。
【0029】
ミストサウナユニット50においては、正面側の壁体51及び開閉扉55にそれぞれ透明な透光部51a,55aが設けられているため、サウナ室SR内の開放感が良好であり、サウナ使用中、快適に過ごすことができる。また、サウナ室SR内から透光部51a,55aを通して外部が見えるため、屋外の様子やテレビなどが見える場所に設置すれば、景色やTV番組などを楽しみながらサウナを使用することもできる。その他の部分の構造、機能などについては前述したミストサウナユニット10と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のミストサウナユニットは、一般の戸建住宅、マンション、アパートあるいはサウナ施設などにおけるミストサウナ室として広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1実施形態であるミストサウナユニットを示す一部省略斜視図である。
【図2】図1に示すミストサウナユニットの平面図である。
【図3】図1のA−A線における断面図である。
【図4】図1のB−B線における断面図である。
【図5】図2のC−C線における断面図である。
【図6】図2のD−D線における断面図である。
【図7】図2のE−E線における断面図である。
【図8】本発明の第2実施形態であるミストサウナユニットを示す一部省略斜視図である。
【図9】図8のF−F線における断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10,50 ミストサウナユニット
10a 下部ユニット
10b 周溝部
11,12,13,14 壁体
11a,12a,13a,14a 上縁部
11b,12b,13b,14b 下縁部
15,55 開閉扉
15a,51a,55a 透光部
15b 取っ手
15c 蝶番部
16,56 出入口
17 腰掛け部
17a 前縁部
18 ミストノズル
18a スイッチ
19 シャワーノズル
19a ホース
20 底部
21 支持脚
22 天井部
23 ダウンライト
24 換気グリル
25 排水口
26 排水器具
27 湯水混合栓
27a 温度調節ハンドル
27b 切替レバー
28 取付部材
G 設置面
SR サウナ室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体形状のサウナ室と、前記サウナ室を形成する壁体のいずれかに設けられた開閉扉付きの出入り口と、少なくとも一つの前記壁体の内面に外周縁の一部を当接させた状態で配置された腰掛け部と、前記壁体のいずれかに設けられたミストノズル及びシャワーノズルと、を備えたことを特徴とするミストサウナユニット。
【請求項2】
前記開閉扉の少なくとも一部に透光部を設けた請求項1記載のミストサウナユニット
【請求項3】
前記壁体の少なくとも一部に透光部を設けた請求項1または2記載のミストサウナユニット。
【請求項4】
前記開閉扉が、前記サウナ室内へ屏風状に折り曲げて開放可能である請求項1〜3のいずれかに記載のミストサウナユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−172058(P2009−172058A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11861(P2008−11861)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(599004896)株式会社小笠原 (3)
【Fターム(参考)】