説明

ミスト発生装置

【課題】殺菌性が高く常温に近い温度のミストを連続的に放出することができるミスト発生装置を提供すること。
【解決手段】美顔器1は、液体供給路3から供給された液体からミストを生成するミスト発生部30と、電気分解により液体溜り部21の液体に亜鉛イオンを溶出させる亜鉛電極27と、液体溜り部21に貯留された液体を加熱するヒータ22とを備え、ミスト発生部30にて生成されたミストを放出口2cから放出する。この美顔器1は、ヒータ22により加熱された液体を通過させることで冷却する冷却部23を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミネラルを含んだミストを放出することができるミスト発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体からミスト生成して放出するミスト発生装置は、人体に向けて用いられることで、人体を洗浄するための装置や、肌に潤いを与える等の美容効果を目的とした装置として広く用いられている。このようなミスト発生装置において、ミストを生成するための液体に種々の処理を施すものが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ミスト化する液体に金属イオンを添加する装置が提案されている。このミスト装置では、金属で形成された一対の電極間に電圧を印加して電気分解を行い、液体中に金属イオンを溶出させている。このため、ミスト発生装置からは金属イオンを含むミストが放出されるため、ミストを人体に向けて放出させることで肌を抗菌する等の効果を得ることができる。更に、このミスト装置では、金属イオンが添加された液体に加熱処理を施すことで、ミストの殺菌性の向上を図っている。
【特許文献1】特開2007−68586号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の技術であると、ミストの殺菌性を向上させるため液体の加熱温度を高くすると、液体を殺菌するための温度は常温よりもはるかに高温となるため、放出されるミストの温度が高くなり過ぎてしまい、人体の肌に好適な温度ではなくなってしまう虞があった。また、ミストを常温に近づけるためには加熱処理後の液体を冷却する必要があるが、例えば加熱後の液体を貯留して冷却処理を行うと、ミストの放出が中断されてしまうため、連続使用ができないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、殺菌性が高く常温に近い温度のミストを連続的に放出することができるミスト発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体供給路から供給された液体からミストを生成するミスト発生部と、電気分解により前記液体供給路の液体にミネラルを溶出させる少なくとも一対の電極と、前記液体供給路中の液体を加熱する加熱部と、を備え、前記ミスト発生部にて生成されたミストを放出するミスト発生装置において、前記加熱部により加熱された液体または前記放出口から放出される前のミストを通過させて冷却する冷却部を備えたことを要旨とする。
【0007】
この発明では、加熱部により加熱された液体または放出口から放出される前のミストが冷却部を通過することで冷却されるため、液体を加熱することでミストの殺菌性を高めるとともに、加熱後の液体により生成され放出されるミストの温度を常温に近づけて人体に好適な温度とすることができる。また、加熱された液体またはミストは冷却部を通過して冷却されるため、冷却のために液体またはミストを滞留させて冷却のための処理を行う必要がなく、常温に近づけられたミストが連続的に放出される。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミスト発生装置において、前記一対の電極を前記冷却部に設けたことを要旨とする。この発明では、冷却部を通過する液体に対して、電気分解により連続的にミネラルを溶出することができるために、液体のミネラル濃度を常時一定に保つことができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のミスト発生装置において、前記一対の電極は少なくとも亜鉛またはマグネシウムのいずれかを含むことを要旨とする。この発明では、一対の電極は少なくとも亜鉛またはマグネシウムのいずれかを含むため、放出口から放出されるミストは亜鉛イオンまたはマグネシウムイオンを含むものとなるため、ミストを人体に向けて放出することで肌を良好な状態とすることができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうち少なくとも何れか1項に記載のミスト発生装置において、前記液体供給路を介して前記ミスト発生部に供給する液体を貯留するタンクと、前記タンク内に設けられ前記タンク内の液体に電解質を溶出させる電解助剤と、を備えたことを要旨とする。この発明では、タンクに電解質を溶出させる電解助剤が設けられているため、導電率が極めて低い精製水であっても、タンクに注入されると電気分解が可能な水質とされる。このため、不純物の少ない精製水を使用してミストを発生させることが可能となる。また、予めタンクに電解助剤が設けられているため、精製水を使用する度に電解助剤を添加する必要がない。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のミスト発生装置において、前記電解助剤を前記タンクが前記液体供給路に接続されると前記タンク内の液体に接触しない位置に設けたことを要旨とする。この発明では、タンクに設けられた電解助剤は、タンクが液体供給路に接続されるとタンク内の液体に接触しない位置に設けられているため、一旦タンクがミスト発生装置に設置されると電解助剤が液体に溶解せず、電気分解前の液体の導電率が一定となる。このため、電気分解により溶出するミネラルイオンの濃度をほぼ一定に保つことができ、ミネラルイオン濃度が安定したミストを発生させることができる。また、タンクをミスト発生装置に設置すると電解助剤が液体に溶解しなくなるため、電解助剤の消耗が必要最小限に抑えられる。このため、電解助剤を補充する回数を抑えながら繰り返しタンクに液体を注入して使用することができる。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のうち何れか1項に記載のミスト発生装置において、前記放出口から放出されるミストよりも高温のミストを生成して放出する温ミスト発生部を備えたことを要旨とする。この発明では、放出口から放出される冷却されたミストよりも高温のミストを放出する温ミスト発生部を備えているため、高温のミストを人体に向けて放出させることで、肌を弛緩させ肌の吸収率を高めることができる。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のミスト発生装置において、前記ミスト発生部で生成されたミストの放出と、前記温ミスト発生部で生成されたミストの放出と、を交互に行う制御手段を備えたことを要旨とする。この発明では、冷却されたミストと高温のミストとが交互に放出される、即ち温度差のあるミストが交互に放出されるため、人体に向けて両ミストを交互に放出させることで、肌付近の末梢の血管は緊張と収縮とを繰り返し、鍛練されることとなる。このため、血液循環の改善を図ることができる。また、高温のミストを人体に向けて放出させ、肌を弛緩させることで肌の吸収率を高めた状態で、ミネラルイオンを含む冷却されたミストを人体に向けて放出させることで、ミネラルイオンの肌への浸透性を高めることができる。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のミスト発生装置において、前記制御手段は、前記ミスト発生部で生成されたミストを放出させることでミストの放出を終了し、その放出のときのみ前記一対の電極に電圧を印加し液体にミネラルを溶出させることを要旨とする。この発明では、冷却されたミストと高温のミストとが交互に放出されて肌に刺激が与えられ吸収率が高くなった状態で、高温のミストにより肌が弛緩された後、ミネラルイオンを含む冷却されたミストが放出されるため、ミネラルイオンは効率よく肌に浸透することとなる。このため、一対の電極のミネラルは効率よく使用されることとなり、電極の消耗が抑えられ、電極サイズの小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0015】
従って、上記記載の発明によれば、殺菌性が高く常温に近い温度のミストを連続的に放出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、ミスト発生装置しての美顔器1の本体部2は液体供給路3を介してミストを生成するための液体が貯留された液体貯留部4に接続されている。
【0017】
液体貯留部4のタンクホルダ11にはタンク12が装着される。タンク12は、図示しない止水ピンが設けられた蓋部12aにより開口部が閉止され、その蓋部12aが下側となるようにタンクホルダ11に設置されている。タンクホルダ11には、止水ピンに対応する形状の突出ピン(図示略)が設けられている。タンク12は液体が注入された状態でタンクホルダ11に設置されることで、止水ピンが突出ピンにより押し込まれて水密性が解除され液体を流出させるものであり、タンクホルダ11にはタンク12から流出した液体が貯留される。
【0018】
タンク12内の底面12bには電解助剤13が取着されている。電解助剤13は、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の塩類や、イオン化傾向の高いアルミニウム、亜鉛等の金属で形成されている。電解助剤13は底面12bに取着されているため、タンク12がタンクホルダ11に設置された状態ではタンク12内の液体に接触しない。
【0019】
タンクホルダ11は、液体供給路3を介して、本体部2の下部に形成された液体溜り部21に接続されている。液体溜り部21には、液体供給路3を介してタンクホルダ11の液体が供給され、タンクホルダ11と同じ水位まで貯留されている。液体溜り部21には、液体溜り部21に貯留された液体を加熱する加熱部としてのヒータ22が設けられている。
【0020】
本体部2内には、筒状に形成された冷却部23が、本体部2の上下方向に沿って延びるとともに、その下端が液体溜り部21に貯留された液体内となるように固定されている。冷却部23の上端は、縮径されてテーパ状に形成されている。そして、冷却部23は、後述するベンチュリ効果により、液体溜り部21の液体を上端まで上昇させるようになっている。
【0021】
冷却部23の外周には、放射状に複数の冷却部を構成する放熱フィン24が設けられている。上記本体部2にはファン25及び駆動部26が収容されており、ファン25は駆動部26により駆動されることで冷却部23に向けて空気を送風する。そして、本体部2内部には、ファン25による空気流が冷却部23に向かうように送風供給路2aが形成されている。
【0022】
冷却部23の内面には、一対の亜鉛電極27が取着されている。亜鉛電極27は、美顔器1の非使用時に液体と触れない位置、例えば、冷却部23の上下方向中央に取着されている。この亜鉛電極27に電圧が印加されると、冷却部23内の液体に電気分解が起こり、亜鉛電極27間に電流が流れる。電気分解が起こることで、冷却部23中の液体に亜鉛イオンが溶出される。
【0023】
冷却部23の上部側方には、ミスト発生部30が配置されている。ミスト発生部30のエアポンプ31は本体部2の内部に形成された中段2bに設置されており、エアポンプ31からの空気流は、冷却部23の先端近傍に配置され筒状に形成された送風路32内に導かれる。送風路32の先端には径が漸減する細径部32aが形成されている。その細径部32aの前方(図において左方)には、放出口2cが本体部2に開口形成されている。その放出口2cの内径は、細径部32aの先端内径よりも大きく設定されている。そして、エアポンプ31から送風路32内に導かれ細径部32aから放出された空気は、冷却部23の先端上方を通過し、放出口2cから本体部2の外部へと放出される。
【0024】
上記のヒータ22、駆動部26、亜鉛電極27及びエアポンプ31は、制御手段としての制御装置35に接続されている。制御装置35は、ミスト発生部30でミストを生成しそのミストを放出口2cから放出させるように各部材を制御する。
【0025】
次に、上述した美顔器1の動作を説明する。
まず、タンクホルダ11に設置せず蓋部12aを上にした状態で、タンク12に精製水が注入される。すると、精製水がタンク12内の底部に設けられた電解助剤13に接触し、電解助剤13から電解質が溶け出し、導電率がほぼ0(μs/cm)である精製水の導電率が上がり、タンク12内の液体は通電可能な水質となる。
【0026】
その後、タンク12がタンクホルダ11に設置されると、タンク12内の液体が流出してタンクホルダ11に貯留される。すると、タンク12の水位は下がり、電解助剤13はタンク12内の液体に接触しなくなり、電解助剤13の液体への溶出は止まる。このため、タンク12が一旦タンクホルダ11に設置されると、タンク12内の液体の電解質濃度は変化しない。
【0027】
なお、仮に冷却部23に精製水が通水された状態で亜鉛電極27間に電圧を印加しても電気分解が起こりにくく電流は流れにくいが、一旦電流が流れ始めれば亜鉛電極27から亜鉛イオンが溶出し始めるので、電流が流れやすくなり電解反応は進むことになる。このため、溶けだす電解助剤13は少量でよく、電解開始のトリガーとなればよい。タンク12から流出した液体は、液体供給路3を通って液体溜り部21に供給され、液体溜り部21にはタンクホルダ11と同じ水位で液体が貯留される。
【0028】
その状態で、制御装置35は、エアポンプ31、ヒータ22及び駆動部26を駆動するとともに、亜鉛電極27に電圧を印加する。
制御装置35がエアポンプ31を駆動することで、エアポンプ31からの空気流は送風路32を通って放出口2cに向かう。このとき、送風路32において細径部32a側の開口は送風路32よりも充分小さい径とされるとともに放出口2cよりも充分小さい径とされているため、細径部32aは気体流路中の絞り部となりこの部分に負圧が発生する。このため、液体溜り部21に貯留された液体が冷却部23を通って吸い上げられ。すると、エアポンプ31から送られてくる空気流と冷却部23の上端開口から吸引された液体とが混合され、ミストとなって放出口2cから放出される。このように、本実施形態のミスト発生部30は、ベンチュリ方式とされている。なお、放出口2cから放出されるミストの発生量は0.4(cc/min)から2.0(cc/min)であることが望ましく、更には0.8(cc/min)から1.6(cc/min)であることが望ましい。
【0029】
また、制御装置35は、液体溜り部21に貯留された液体を殺菌する程度の温度まで上昇させるようにヒータ22を駆動する。具体的には、液体溜り部21の液体の温度は、ヒータ22により、70(℃)から100(℃)まで加熱されることが望ましく、更には80(℃)から90(℃)まで加熱されることが望ましい。上記ミスト発生部30により生成されるミストの平均粒径は数十(μm)程度であり、わずかではあるが肺にまで到達するような数ミクロンの粒径のミストも含んでいるが、ヒータ22により液体が加熱殺菌されることで、雑菌の体内への侵入が防止される。
【0030】
また、制御装置35が駆動部26を駆動することで、ファン25が回転し、本体部2の内部において送風供給路2aを介して冷却部23に向けて空気が送風される。このため、液体溜り部21にて加熱された液体は、冷却部23を通過することで冷却されるとともに、ファン25からの風により放熱フィン24の熱が効率よく放熱され、ほぼ常温まで温度低下することとなる。
【0031】
また、制御装置35が亜鉛電極27に電圧を印加することで、電気分解により陽極側の亜鉛電極27から冷却部23中の液体に亜鉛イオンが溶出される。このため、放出口2cから放出されるミストには亜鉛イオンが含まれることとなる。なお、液体中の亜鉛イオンの濃度は、100(ppm)以上であることが望ましく、更には1000(ppm)以上であることが望ましい。ファン25の空気流量は30(l/min)から70(l/min)であることが望ましく、更には40(l/min)から60(l/min)であることが望ましい。なお、放出口2cから放出されるミストの量は、エアポンプ31の流量制御、稼働及び停止の時間制御、及び放出口2cの口径により制御される。
【0032】
なお、本実施形態では、電解制御方法として定電圧制御を採用している。電圧を印加する液体の水質は、精製水に電解助剤13が微量に溶け出した状態でほぼ一定であるため、亜鉛電極27に一定電圧を印加することによりほぼ一定の電流が流れることとなる。このため、制御装置35は、一定時間の電解を行うことで、一定濃度の亜鉛イオンを溶出させることが可能である。
【0033】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)美顔器1では、ヒータ22により加熱された液体は冷却部23を通過することで冷却されるため、液体を加熱することでミストの殺菌性を高めるとともに、加熱後の液体により生成され放出されるミストの温度を常温に近づけて人体に好適な温度とすることができる。また、美顔器1では、加熱された液体は冷却部23を通過して冷却されるため、冷却のために液体を滞留させて冷却のための処理を行う必要がなく、常温に近づけられたミストが連続的に放出される。
【0034】
(2)美顔器1では、亜鉛電極27は冷却部23に設けられているため、冷却部23を通過する液体に対して、電気分解により連続的にミネラルを溶出することができるために、液体のミネラル濃度を常時一定に保つことができる。
【0035】
(3)美顔器1では、亜鉛電極27から冷却部23内の液体に亜鉛イオンが溶出されるため、放出口2cから放出されるミストは亜鉛イオンを含むものとなるため、ミストが人体に向けて放出されると亜鉛イオンが肌に浸透する。亜鉛イオンには、肌内部にて内因性タンパク質であるチロシナーゼ活性を阻害し活性酵素を消去するメタロチオネインを誘導生成する性質がある。チロシナーゼはチロシンからメラニンを生成する過程で働く酵素であるため、亜鉛イオンにより肌内部でメタロチオネインが生成されることで、肌内部でのメラニンの生成が抑制され、ひいては肌におけるシミの発生が抑制される。
【0036】
(4)美顔器1では、タンク12に電解質を溶出させる電解助剤13が設けられているため、導電率が極めて低い精製水であっても、タンク12に注入されると電気分解が可能な水質とされる。このため、不純物の少ない精製水を使用してミストを発生させることが可能となる。また、予めタンク12に電解助剤13が設けられているため、精製水を使用する度に電解助剤を添加する必要がない。
【0037】
(5)美顔器1では、タンク12に設けられた電解助剤13は、タンク12が液体供給路3に接続されると、即ちタンクホルダ11に設置されると、タンク12内の液体に接触しない位置に設けられているため、一旦タンク12が美顔器1に設置されると電解助剤13が液体に溶解せず、電気分解前の液体の導電率が一定となる。このため、電気分解により溶出する亜鉛イオンの濃度をほぼ一定に保つことができ、亜鉛イオン濃度が安定したミストを発生させることができる。また、タンク12を美顔器1に設置すると電解助剤13が液体に溶解しなくなるため、電解助剤13の消耗が必要最小限に抑えられる。このため、電解助剤13を補充する回数を抑えながら繰り返しタンク12に液体を注入して使用することができる。
【0038】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。尚、第1の実施形態と同様の構成部分については、同一符号を付しその説明を省略する。
【0039】
図2に示すように、本実施形態のミスト発生装置としての美顔器40は、上記第1実施形態の美顔器1の構成に加えて、放出口2cから放出されるミストよりも高温のミストを生成して放出する温ミスト発生部41を備えている。また、本実施形態の美顔器40では、亜鉛電極27が冷却部23ではなく液体溜り部21の底面に設置されている。
【0040】
図2に示すように、温ミスト発生部41は、液体供給路3aを介して液体供給路3に接続され、タンクホルダ11に接続されている。温ミスト発生部41の本体部42は、上下方向に延びる略筒状に形成されており、下端は液体供給路3aに接続され、上端部は直角方向に屈曲されて放出口43が形成されている。本体部42の下端に液体供給路3aが接続されることで、本体部42にはタンクホルダ11と同じ水位で液体が貯留されている。
【0041】
本体部42の内部において放出口43付近に隔壁44が設けられることで、本体部42の下側には温ミスト発生室45が形成されている。なお、隔壁44には、開口44aが形成されている。そして、温ミスト発生室45には、貯留された液体に接触する位置にヒータ46が設置されている。
【0042】
上記のヒータ46は、ヒータ22、駆動部26、亜鉛電極27及びエアポンプ31とともに制御装置47に接続されている。制御装置47は、放出口2c及び放出口43からミストを放出させるように各部材を制御する。
【0043】
次に、上述した美顔器40の動作を説明する。
本実施形態では、制御装置47は、亜鉛電極27に電圧を印加することで、液体溜り部21に貯留された液体の電気分解を行い、陽極側の亜鉛電極27から液体中に亜鉛イオンを溶出させる。
【0044】
また、制御装置47がエアポンプ31を駆動することで、液体溜り部21にて生成された亜鉛イオンを含む液体が冷却部23にて冷却されながら吸引され、ミスト発生部30にてミストとされ放出口2cから放出される。
【0045】
また、制御装置47は、ヒータ46を駆動することで、温ミスト発生室45に貯留された液体を加熱沸騰させてミストを発生させる。温ミスト発生室45内にて生成されたミストは開口44aを介して放出口43から放出される。
【0046】
制御装置47は、ミスト発生部30で生成された常温に近い温度のミストの放出と、温ミスト発生部41で生成された高温のミストの放出とを交互に行う。また、制御装置47は、放出口2cからのミストの放出と放出口43からのミストの放出とを複数回交互に行った後、放出口2cからのミストの放出にてミストの放出を終了するものであり、最後の放出口2cからのミストの放出のときのみ亜鉛電極27に電圧を印加して放出口2cから亜鉛イオンを含むミストを放出させる。
【0047】
具体的には、制御装置47は、温ミスト発生部41のヒータ46を一定時間駆動して放出口43からミストを放出させた後、ヒータ46の駆動を停止するとともに、エアポンプ31、ヒータ22及び駆動部26を一定時間駆動して放出口2cからミストを放出させる。その後、エアポンプ31、ヒータ22及び駆動部26の駆動を停止するとともに、ヒータ46を駆動する。この繰り返しにより、制御装置47は放出口43からのミストの放出と放出口2cからのミストの放出とを交互に行う。そして、制御装置47は、放出口2cからミストを放出させることでミストの放出を終了するが、最後に放出口2cからミストを放出させるときのみ、エアポンプ31、ヒータ22及び駆動部26を駆動するとともに、亜鉛電極27に電圧を印加して液体溜り部21に貯留された液体に亜鉛イオンを溶出させる。
【0048】
次に、本実施形態の特徴的な作用効果を記載する。
(1)美顔器40では、放出口2cから溶出される冷却されたミストよりも高温のミストを放出する温ミスト発生部41を備えているため、高温のミストを人体に向けて放出させることで、肌を弛緩させ肌の吸収率を高めることができる。
【0049】
(2)美顔器40では、放出口2cからの冷却されたミストの放出と、放出口43からの高温のミストの放出とが交互に行われる、即ち温度差のあるミストが交互に放出されるため、人体に向けて両ミストを交互に放出させることで、肌付近の末梢の血管は緊張と収縮とを繰り返し、鍛練されることとなる。このため、血液循環の改善を図ることができる。
【0050】
(3)美顔器40では、冷却されたミストと高温のミストとが交互に放出されて肌に刺激が与えられ吸収率が高くなった状態で、高温のミストにより肌が弛緩された後、放出口2cから亜鉛イオンを含む冷却されたミストが放出されるため、亜鉛イオンは効率よく肌に浸透することとなる。このため、亜鉛電極27の亜鉛は効率よく使用されることとなり、亜鉛電極27の消耗が抑えられ、電極サイズの小型化を図ることができる。
【0051】
(4)美顔器40では、亜鉛電極27に電圧を印加することによる亜鉛イオンの電解溶出が液体溜り部21に貯留された液体に対して行われるため、高濃度の亜鉛イオンを容易に電解溶出させることができ、比較的簡単な構造の美顔器を提供することができる。
【0052】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記各実施形態では、ミスト発生部30によりミストを発生させる方法がベンチュリ方式である場合を説明したが、例えば超音波方式や放電式等の他の態様でミストを発生させてもよい。例えば、図3に示すように、ミスト発生装置としての美顔器50の本体部51の下方に形成された液体溜り部21にはミスト発生部としての超音波素子52が設けられており、この超音波素子52は制御装置53に接続されている。本体部51は液体溜り部21の上方に放出口54が形成されており、液体溜り部21から放出口54にかけて径が漸減する略円錐状の冷却部としての放熱部55が形成されている。また、本体部51内部には、ファン25による空気流が放熱部55に向かうように送風供給路56が形成されている。
【0053】
制御装置53が超音波素子52を駆動することで、液体溜り部21からミストが生成される。このミストは、ファン25から放熱部55に送られる空気と混ざり合って冷却されるとともに、放出口54に向けて集められ、放出口54から放出される。この構成であると、液体がミスト化されてから冷却されるため、液体が冷却されるよりも効率よく放熱され冷却される。
【0054】
また、液体溜り部21には亜鉛電極27が設けられており、この亜鉛電極27に電圧が印加されることで、亜鉛電極27の亜鉛が液体に溶出される。これにより、液体溜り部21からは亜鉛イオンを含むミストが生成される。この構成であると、超音波素子52を駆動するのみの簡易な構成で、ミストを発生させることができる。また、超音波素子52によりミストを生成するためミストの粒径を小さくすることができる。このため、ミストをムラなく人体に吹きつけ、肌全体に万遍なく刺激を与えることができる。
【0055】
・上記各実施形態では、亜鉛電極27に一定電圧を印加すると液体に一定の電流が流れるものとして制御したが、電圧印加時の電流値を検知し、その電流値に基づいて予測される亜鉛イオンの濃度に応じて電解時間を変更するように制御してもよい。その場合も、ミスト中の亜鉛イオン濃度を一定とすることができる。
【0056】
・上記各実施形態では、冷却部として放熱フィン24を設けたが、冷却部を他の態様としてもよい。例えば、放熱フィン24の代わりに、冷却部23の外周にペルチェ素子や冷却管を設けてもよい。
【0057】
・上記各実施形態では、亜鉛電極27を設けたが、電極をマグネシウム等の他の素材で形成してもよい。亜鉛電極27に代えてマグネシウム電極を設けると、電極間に電圧を印加することで液体中にマグネシウムイオンが溶出される。その場合、ミストが人体に向けて放出されるとマグネシウムイオンが肌に浸透する。マグネシウムイオンには、肌に浸透することで肌の表皮において角質層の下層にある顆粒層にある細胞間脂質(水分を保持する性質を持つ)を角質層に運ぶ働きがあるため、マグネシウムイオンにより細胞間脂質が角質層に運ばれることで、肌の保湿性が高まり、肌が潤う。
【0058】
・上記各実施形態では、タンク12の電解助剤13は、タンク12がタンクホルダ11に設置されるとタンク12内の液体に接触しない位置に設けたが、電解助剤13をタンク12がタンクホルダ11に設置されてもタンク12内の液体に接触する位置に設けてもよい。また、タンク12に電解助剤13を設けなくてもよい。その場合、タンク12に液体を供給する度にタンク12内に電解助剤を添加してもよいし、精製水よりも導電率の高い液体をタンク12内に供給してもよい。要は、タンク12内の液体が亜鉛電極27による電気分解が開始される程度の電解質を含む水質とされればよい。
【0059】
・上記各実施形態では、ミスト発生装置として美顔器について説明しているが、ミスト発生装置は美顔器に限定されず、身体の一部、例えば手や足に向けてミストを放出させる装置であってもよい。
【0060】
・上記各実施形態では、美顔器1,40,50に一対の亜鉛電極27がそれぞれ設けられたものとしたが、液体供給路3に電極を複数設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1実施形態の美顔器の概略構成図である。
【図2】第2実施形態の美顔器の概略構成図である。
【図3】別例の美顔器の概略構成図である。
【符号の説明】
【0062】
1,40,50…ミスト発生装置としての美顔器、2c,43,54…放出口、3,3a…液体供給路、12…タンク、13…電解助剤、21…液体供給路を構成する液体溜り部、22…加熱部を構成するヒータ、23…冷却部、24…冷却部を構成する放熱フィン、25…冷却部を構成するファン、27…一対の電極を構成する亜鉛電極、30…ミスト発生部、31…ミスト発生部を構成するエアポンプ、32…ミスト発生部を構成する送風路、35,47,53…制御手段を構成する制御手段、41…温ミスト発生部、52…ミスト発生部としての超音波素子、55…冷却部としての放熱部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体供給路から供給された液体からミストを生成するミスト発生部と、
電気分解により前記液体供給路の液体にミネラルを溶出させる少なくとも一対の電極と、
前記液体供給路中の液体を加熱する加熱部と、
を備え、
前記ミスト発生部にて生成されたミストを放出口から放出するミスト発生装置において、
前記加熱部により加熱された液体または前記放出口から放出される前のミストを通過させて冷却する冷却部を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
請求項1に記載のミスト発生装置において、
前記一対の電極を前記冷却部に設けたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のミスト発生装置において、
前記一対の電極は少なくとも亜鉛またはマグネシウムのいずれかを含むことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうち少なくとも何れか1項に記載のミスト発生装置において、
前記液体供給路を介して前記ミスト発生部に供給する液体を貯留するタンクと、前記タンク内に設けられ前記タンク内の液体に電解質を溶出させる電解助剤と、を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項5】
請求項4に記載のミスト発生装置において、
前記電解助剤を前記タンクが前記液体供給路に接続されると前記タンク内の液体に接触しない位置に設けたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうち何れか1項に記載のミスト発生装置において、
前記放出口から放出されるミストよりも高温のミストを生成して放出する温ミスト発生部を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項7】
請求項6に記載のミスト発生装置において、
前記ミスト発生部で生成されたミストの放出と、前記温ミスト発生部で生成されたミストの放出と、を交互に行う制御手段を備えたことを特徴とするミスト発生装置。
【請求項8】
請求項7に記載のミスト発生装置において、
前記制御手段は、前記ミスト発生部で生成されたミストを放出させることでミストの放出を終了し、その放出のときのみ前記一対の電極に電圧を印加し液体にミネラルを溶出させることを特徴とするミスト発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−50304(P2009−50304A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217198(P2007−217198)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】