ミスト発生装置
【課題】本発明は、製造コストを増加させることなく、シャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができると共に、使用者に不便を感じさせることがないミスト発生装置を提供することを目的とした。
【解決手段】ミスト発生装置1は、噴射部15を有したフロント部材7と、湯水をフロント部材7側に流すリア部材8と、噴射部15に対して近接・離反方向に移動して噴射部15に導入される湯水の流入方向を切り換える閉塞部材9とを備えている。閉塞部材9が噴射部から離反した状態では、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部15からシャワー流を噴射し、閉塞部材9が噴射部15に近接した状態では、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部15からミスト流を噴射する。
【解決手段】ミスト発生装置1は、噴射部15を有したフロント部材7と、湯水をフロント部材7側に流すリア部材8と、噴射部15に対して近接・離反方向に移動して噴射部15に導入される湯水の流入方向を切り換える閉塞部材9とを備えている。閉塞部材9が噴射部から離反した状態では、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部15からシャワー流を噴射し、閉塞部材9が噴射部15に近接した状態では、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部15からミスト流を噴射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を霧状に発生させることができるミスト発生装置に関するものであり、特にシャワー流とミスト流とを切り換えることができるミスト発生装置である。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭の浴室内において、入浴者の心をリラックスさせたり、肌の潤いを高めて心身の健康増進に役立たせることができるミスト発生装置が知られている。
また、浴室で用いられるミスト発生装置には、浴室暖房装置に設けられたもの(据え付け型)や、浴室の混合栓に接続できるもの(混合栓接続型)等がある。最近では、大掛かりな設置工事を必要とせず、比較的安価に購入できる混合栓接続型のものが人気である。例えば、その技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のミスト発生装置は、シャワー装置の併用を可能とした装置であって、混合栓側から供給される湯水を導入する導入部と、ミストを噴射するミスト噴射部と、シャワー装置側に湯水を供給する吐出部と、装置内に供給された湯水の流れをミスト噴射部側かシャワー装置側のいずれかに切り換えることができる切換手段とを備えた構成とされている。即ち、特許文献1では、ミスト発生装置とシャワー発生装置が別々であり、ミスト装置自体にシャワーを噴射する機能は備えられていない。そして、特許文献1におけるミスト噴射部には、ミスト発生ノズル部材(以下、単にノズル部材とも称す)が取り付けられている。
【0004】
ところで、浴室内において、ミストによるサウナ効果、暖房効果、あるいはシャワー効果を十分に得るためには、ミストを一定量以上発生させる必要がある。また、1つのミスト噴射部から発生可能なミストの量には限界がある。そのため、ミストの量を増加させようとすれば、ミスト噴射部を数多く配置させる必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1のようなミスト発生装置では、ミストの量を増加させるために、ノズル部材を数多く配置させる必要があり、一般的に高価とされるノズル部材の数を増やせばミスト発生装置の製造コストが増加するという不満があった。
また、ノズル部材を用いたミスト発生装置は、ノズル部材の数を増やすほど装置全体が大型化するため、浴室内を圧迫してしまう懸念があった。
【0006】
そこで、特許文献2では、ノズル部材を使用することなく、シャワー噴射部とミスト噴射部を1つのシャワーヘッド本体(以下、ヘッド本体とも称す)に一体的に形成し、切換手段によりヘッド本体に導入された湯水の流れを切り換える構成を有したミスト発生装置が開示されている。具体的には、特許文献2のミスト発生装置は、ヘッド本体において、シャワー噴射部とミスト噴射部が背中合わせに設けられており、シャワーの噴射方向とミストの噴射方向が180度異なる位置関係とされた構成である。即ち、特許文献2では、シャワー用とミスト用の異なる構造の噴射部をそれぞれ備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−79527号公報
【特許文献2】特開平11−267059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2のミスト発生装置は、ミスト噴射部とシャワー噴射部のそれぞれに対して、専用の空間や部材を要し、さらに構造が繁雑となるため、製造コストが増加する問題がある。
また、使用時において、予期せぬ方向から湯水が噴射される場合があり、使用者に不快感を与える懸念があった。即ち、特許文献2では、湯水の温度を確認しようと一方の噴射部を下方に向けて噴射する際に、切換手段の切り換えが不十分であったり、切り換え状態の確認を怠ると、他方の噴射部から湯水が噴射して使用者が思いもよらず常温又は低温の水を浴びてしまう不具合があった。
【0009】
また、特許文献2のミスト発生装置は、シャワー噴射部とミスト噴射部が180度回転させた位置関係であるため、シャワー機能とミスト機能を連続的に使用する場合は、ヘッド本体を捻る必要があり、これに伴ってミスト発生装置に接続された湯水供給ホースも捻れ、その際に生じるホースの反力が使用者の負担となって使用感を損ねてしまう不満があった。
【0010】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、製造コストを増加させることなく、シャワーヘッド本体にシャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができると共に、使用者に不便を感じさせることがないミスト発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、供給された湯水をミスト噴射又シャワー噴射可能なミスト発生装置であって、湯水を噴射する噴射部を有したフロント部材と、フロント部材と対となって外郭を形成し供給された湯水をフロント部材側に流すリア部材と、噴射部に対して近接・離反方向に移動して噴射部に導入される湯水の流路を第1経路又は第2経路に切り換える閉塞部材とを備え、閉塞部材が噴射部から離反した状態となれば、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部からシャワー噴射し、閉塞部材が噴射部に近接した状態となれば、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部からミスト噴射することを特徴とするミスト発生装置である。
【0012】
本発明のミスト発生装置は、フロント部材に設けられた噴射部に対して、閉塞部材を近接・離反方向に移動させて、噴射部に対する閉塞部材の位置によって、シャワー噴射とミスト噴射を切り換えることが可能な構成とされている。即ち、閉塞部材を噴射部に対して近接状態にしたり、噴射部から閉塞部材を離して両者の間隔を空けた状態にして、噴射部における湯水の流れ方(直進的又は旋回)を変更することで、シャワーとミストを切り換えることができる。従って、本発明によれば、簡単な構造でシャワー機能とミスト機能を一体的に備えた装置にできるため、製造コストの増加を招かない。
【0013】
また、本発明によれば、同一の噴射部からシャワー噴射とミスト噴射を発生させることができる。これにより、シャワーとミストの切り換え状態に関わらず、シャワーの噴射方向やミストの噴射方向が変化することがないため、使用者が不快感を感じるという懸念がない。さらに、シャワーとミストを切り換えた際に、噴射部の向きを変える必要が無いため、「手首を捻る」必要がなく使用感が損なわれることもない。
従って、本発明によれば、製造コストを増加させることなく、シャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができ、さらに使用者に不便を感じさせることがない。
【0014】
請求項2に記載の発明は、フロント部材には、噴射部における湯水の流れ方向上流側の壁面から突出した凸部を有し、噴射部と第1経路と第2経路は、前記凸部の位置に設けられており、前記凸部に閉塞部材が当接すると、湯水は第2経路を介して噴射部に導入されることを特徴する請求項1に記載のミスト発生装置である。
【0015】
かかる構成によれば、フロント部材の壁面から突出した凸部の位置に噴射部と第1経路と第2経路が設けられているため、例えば、閉塞部材が複数の噴射部に近接した状態であっても、フロント部材と閉塞部材との間に凸部の突出長さ分の間隔が形成される。即ち、閉塞部材が凸部に当接した状態であっても、供給された湯水は、その間隔に流入し得るため、例えば、凸部の外側面に第2経路への導入口を設けた構成にすれば、その導入口から噴射部に対して湯水を導入することができる。
【0016】
さらに、凸部における閉塞部材が当接する当接面に第1経路への導入口を設ければ、閉塞部材が凸部に当接した際にその導入口が閉鎖されるため、凸部に閉塞部材が当接した状態においては、噴射部には第2経路のみから湯水が導入される。
従って、本発明によれば、閉塞部材が当接する凸部の位置に噴射部と第1経路と第2経路を設けたため、シャワーとミストの切り換えを容易にできる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記閉塞部材は、供給される湯水の水圧によって、噴射部に対して近接・離反することを特徴とする請求項1又は2に記載のミスト発生装置である。
【0018】
かかる構成によれば、供給される湯水の水圧によって閉塞部材がフロント部材側に押圧されるため、複数の閉塞部材を備えた場合であっても、1つの部材であって複数の噴射部を閉塞できる程度の大きさの閉塞部材を備えた場合であっても、閉塞部材を均等且つ確実に十分な力で押圧できる。これにより、噴射部におけるシール性を確実に向上させることができるため、確実にミストを噴射させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記閉塞部材を噴射部に対して近接方向に付勢する弾性体を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0020】
かかる構成によれば、閉塞部材をバネなどの弾性体を用いてフロント部材側に付勢するため、噴射部におけるシール性を向上させることができるため、確実にミストを噴射させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、フロント部材には、噴射部における湯水の流れ方向上流側の壁面から突出した凸部を複数有し、噴射部と第1経路と第2経路は、前記凸部の位置に設けられており、凸部の一部又は全部が連結されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0022】
かかる構成によれば、フロント部材の壁面から突出した複数の凸部の一部又は全部が連結されているため、噴射部をより密集させて配置することができる。これにより、装置全体をコンパクト化しつつ、一定以上のミストの噴射量を確保することができる。なお、連結する凸部同士においては、噴射部、第1経路、及び第2経路が重なり合わないようにすることが望ましい。
【0023】
請求項6に記載の発明は、フロント部材は、噴射部を有した外殻部材と、前記外殻部材とリア部材との間に位置し外郭部材と湯水が流入する空間を形成する中間部材を備え、外殻部材と中間部材との間には閉塞部材が位置し、中間部材には、閉塞部材よりフロント部材側に湯水を供給するシャワー流路と、閉塞部材よりリア部材側に湯水を供給するミスト流路とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0024】
かかる構成によれば、フロント部材における外郭部材と中間部材との間の空間に閉塞部材が配され、中間部材に設けられたシャワー流路により、湯水は閉塞部材とフロント部材との間に供給され、中間部材に設けられたミスト流路により、湯水は閉塞部材とリア部材との間に供給されるため、シャワー流路とミスト流路とを切り換えることで、閉塞部材を容易に移動させることができる。
即ち、シャワー流路から空間に湯水が供給されると、その湯水は外郭部材と閉塞部材との間(下流側空間)に流入するため、下流側空間の水圧が上昇して閉塞部材がその水圧により中間部材側に押される。これにより、閉塞部材が噴射部に対して離反する方向に移動するため、湯水は噴射部に対して直進的に流れてシャワー流が噴射される。一方、ミスト流路から空間に湯水が供給されると、その湯水は閉塞部材と中間部材との間(上流側空間)に流入するため、上流側空間の水圧が上昇して閉塞部材が水圧により外郭部材側に押される。これにより、閉塞部材が噴射部に対して近接する方向に移動するため、湯水は噴射部に対して旋回しながら流れてミスト流が噴射される。
従って、本発明によれば、シャワー流路とミスト流路のいずれかに切り換えて、閉塞部材に作用する水圧の作用方向を変化させることで、閉塞部材を噴射部に対して近接・離反方向に移動させることができるため、湯水を空間に供給することによって、確実にミスト流又はシャワー流を噴射することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、フロント部材は、リア部材との重ね合わせ面に対して摺動回転可能であって、フロント部材を回転させた所定の位置においては、シャワー流路とミスト流路のうちの一方の流路が閉鎖されると共に他方の流路が開放されることを特徴とする請求項6に記載のミスト発生装置である。
【0026】
かかる構成によれば、フロント部材をリア部材に対して相対的に摺動回転させることで、シャワー流路とミスト流路を切り換えることができるため、一旦切り換えた流路の固定性が高い。つまり、ボタン式等であれば、シャワーやミストの最中に、不意にボタンを操作してしまい、流路が切り替わってしまうという不具合が考えられるが、本発明では、フロント部材をリア部材に対して相対的に摺動回転させなければ、流路が切り替わることがないため、そのような不具合が起き得ない。
【0027】
ここで、閉塞部材を複数の噴射部に跨る程度の大きさとする場合、部品点数を減少させることができるため、製造及び組み立てが容易となる。しかしながら、閉塞部材に生じる成型ムラなどにより、全ての噴射部を均等に且つ確実にシールすることができなくなる場合が生じ得る。これにより、噴射部の一部において湯水が旋回することがなくなり、その噴射部からはミスト噴射を発生させることができなくなるという問題が発生していた。
そこで、請求項8に記載の発明では、閉塞部材は、フロント部材及びリア部材と比較して軟質の合成樹脂又は弾性材であり、且つ複数の噴射部に跨って配される程度の大きさであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のミスト発生装置とした。
【0028】
かかる構成によれば、閉塞部材が複数の噴射部に跨って配される程度大きさであると共に、フロント部材及びリア部材よりも軟質の合成樹脂又は弾性材が採用されるため、成型ムラ等で閉塞部材に若干凹凸があったとしても、その凹凸の不具合を材質でカバーできる。即ち、成型ムラによって凹凸が形成された閉塞部材で、噴射部を覆った場合であっても、外力により閉塞部材が変形してシール性の不具合をカバーすることができる。これにより、1つの閉塞部材で複数の噴射部を覆った場合に、複数の噴射部のうちの一部からミスト噴射が発生しなくなるという不具合が発生することがない。
【発明の効果】
【0029】
本発明のミスト発生装置では、フロント部材とリア部材との間に配置した閉塞部材を噴射部に対して近接・離反させてシャワー噴射とミスト噴射を切り換えることができるため、構造を簡易なものとすることができると共に、同一の噴射部からミスト噴射やシャワー噴射を発生させることができる。これにより、製造コストを増加させることなく、シャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができ、さらに利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るミスト発生装置の設置状態を示す説明図である。
【図2】図1のミスト発生装置の分解斜視図である。
【図3】図1と異なる角度から見たミスト発生装置の分解斜視図である。
【図4】凸部を示す斜視図である。
【図5】凸部を示す平面図である。
【図6】図5の凸部のB−B断面図である。
【図7】湯水がミスト用流路形成部とミスト用貫通孔を通過する場合の中間部材とリア部材との関係を示す概念図である。
【図8】湯水がシャワー用流路形成部とシャワー用貫通孔を通過する場合の中間部材とリア部材との関係を示す概念図である。
【図9】図1のシャワー発生装置を示すA−A方向の断面斜視図である。
【図10】図1のミスト発生装置を示すシャワー噴射時におけるA−A断面図である。
【図11】図1のミスト発生装置を示すミスト噴射時におけるA−A断面図である。
【図12】別の実施形態に係るミスト発生装置を示す断面図である。(弾性体)
【図13】(a)は、1本の噴射部供給流路が設けられた凸部を示す平面図で、(b)は、3本の噴射部供給流路が設けられた凸部を示す平面図である。
【図14】別の実施形態のミスト発生装置を示す斜視図である。(基本セット)
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本実施形態に係るミスト発生装置1について説明する。
本実施形態のミスト発生装置1は、図1に示すように、浴室10内において、図示しない熱源機から供給された湯水を流す湯水供給配管11に接続されており、供給された湯水をシャワー流又はミスト流に切り換えて外部に噴射可能な装置である。
【0032】
ミスト発生装置1は、図2に示すように、湯水をミスト流やシャワー流として噴射する噴射部15(図3)を有するフロント部材7と、フロント部材7と一体的に組み合わさって装置の外郭の一部を形成するリア部材8と、噴射部15に導入される湯水の流入方向の切り換えを可能とする閉塞部材9と、湯水供給配管11を通過した湯水をリア部材8に流すと共に使用者が把持することができる把持部材13とによって構成されている。
【0033】
フロント部材7は、PPS(Polyphenylene sulfide)を含んだ合成樹脂を用いて成型されたもので、図3に示すように、噴射部15が設けられ装置の外郭の一部を形成する外郭部材35と、外郭部材35とリア部材8との間に位置し異なる2流路を備えた中間部材36とにより構成されている。
【0034】
外郭部材35は、ほぼ円形の板状体であり、一方の壁面側が外郭部材35の厚み方向(他方の壁面側)に窪んだ外郭側凹部43が設けられている(以下、外郭側凹部43が設けられた壁面を有凹壁面と称す)。外郭側凹部43は、窪み形状がほぼ円柱状である。また、外郭側凹部43には、図2に示すように、外郭部材35の壁面であって凹部の底部から垂直方向に突出したほぼ円柱状の凸部14が複数(本実施形態では33個)設けられている。いずれの凸部14も、壁面からの突出長さが等しく形成されている。
【0035】
凸部14には、単独で存在する独立凸部47が3個と、複数の凸部14が連結した連結凸部48が10組ある。本実施形態では、連結凸部48として、2つの凸部14が連結したものが2組と、3つの凸部14が連結したものが7組と、5つの凸部14が連結したものが1組ある。そして、これらの凸部14は、外郭部材35の中心には配置されず、密度が均等になるようにドーナツ状に配置されている。なお、この凸部14が配されない中心の面積は、後述するシャワー流路形成部51の下流側配管部51bの外径を基準とした面積程度とされている。
【0036】
また、凸部14の位置には、図4〜6に示すように、外郭側凹部43の窪み方向に延びた流路状の噴射部15と、噴射部15に湯水を供給する直進流路17と、直進流路17と連通した旋回流形成溝16が設けられている。
【0037】
噴射部15は、図6に示すように、円錐状流路19と噴射流路18とが連通して形成されている。具体的には、有凹壁面側(一方の壁面側)に円錐状流路19が位置し、他方の壁面側(以下、吐出壁面側とも称す)に噴射流路18が位置する。即ち、円錐状流路19と噴射流路18は、外郭部材35の厚み方向中途で連通しており、双方の流路が外郭部材35における同一の壁面側に位置することはない。
【0038】
円錐状流路19は、上流側で後述する直進流路17と連通しており、外郭部材35の有凹壁面側から噴射流路18との連通部に向かってテーパー状に内径が狭くなる流路である。即ち、円錐状流路19は、湯水の流れ方向下流側に向かって次第に流量が制限されるため、流速が加速される箇所である。また、円錐状流路19においては、湯水を流路の軸線方向に交差するように流すことで(実際には流路断面の接線方向に流す)、湯水の旋回流を効率的に発生させることができる箇所である。なお、円錐状流路19は後述する直進流路17と噴射流路18との間に位置し、いずれの境界においても流路が連続しており、その境界部においては、円錐状流路19と直進流路17との内径の大きさと、円錐状流路19と噴射流路18との内径の大きさはほぼ等しい。
【0039】
噴射流路18は、流路形状が円柱状であり、湯水の流れ方向のいずれの箇所においても流路断面の内径の大きさがほぼ等しい流路である。即ち、噴射流路18に導入された湯水は、流路抵抗を無視すれば、流速をほぼ等速にして下流側に流れる箇所である。また、前記したように、噴射流路18の内径は、円錐状流路19における最下流部の内径の大きさとほぼ同じである。
【0040】
直進流路17は、外郭部材35の有凹壁面側(一方の壁面側)に位置し流路形状が円柱状の流路で、流路長さが凸部14の突出長さにほぼ等しい。即ち、直進流路17は、凸部14の天面を貫通した開口17aを流路始端とし、噴射部15に連通した境界を流路終端としている。即ち、開口17aを介して直進流路17を通過する経路(第1経路)は、湯水を真っ直ぐに噴射部15に対して流すことができる。なお、その内径の大きさは、噴射部15における円錐状流路19の最上流部の内径の大きさとほぼ同じであり、円錐状流路19の最下流で連通した噴射流路18の内径の大きさより大きい。
【0041】
旋回流形成溝16は、凸部14の天面側に開放された溝型流路であり、凸部14の外側面を貫通した始端側溝型開口(流路始端)16aと、直進流路17の内側面を貫通した終端側溝型開口(流路終端)16bを有している。そして、旋回流形成溝16は、流路方向が直進流路17の流路断面の接線方向に延びるように設けられている。
【0042】
また、旋回流形成溝16は、1つの噴射部15に対して2本ずつ設けられている。そして、その2本の旋回流形成溝16は、直進流路17の流路断面に対する接線方向が維持されつつ、互いに平行であり、且つずれた位置関係に配されている。換言すると、2本の旋回流形成溝16は、直進流路17に導入した湯水を同じ方向に旋回させることができる位置関係である。これにより、各旋回流形成溝16から直進流路17に導入されて旋回する湯水が、互いに衝突し合うことがない。具体的には、いずれの終端側溝型開口16bを介して直進流路17に湯水が導入されたとしても、その湯水は直進流路17の内壁に沿って同一方向に旋回しながら噴射部15に流入される。即ち、旋回流形成溝16と直進流路17を通過する経路(第2経路)は、噴射部15に導入する湯水を旋回させることができる。
【0043】
中間部材36は、図2、3に示すように、ほぼ円形のフランジ部50と、シャワー用流路形成部51と、ミスト用流路形成部52とを備えた部材である。
フランジ部50は、図3に示すように、一方の壁面側(以下、下流壁面側とも称す)に、外郭部材35の外郭側凹部43に嵌り込むリング状に突出したフロント側装着部53が設けられている。フロント側装着部53には、外周壁を沿うように図示しないリング状のゴムパッキンが装着される。即ち、フロント側装着部53の外径の大きさは、外郭側凹部43の内径の大きさより若干小さく形成されている。
【0044】
また、フロント側装着部53は、壁面からの突出長さが外郭部材35の外郭側凹部43の窪み深さとほぼ同じである。即ち、外郭側凹部43にフロント側装着部53が嵌り込んだ状態においては、フロント側装着部53の突端部が対向する壁面に当接する。具体的には、外郭側凹部43にフロント側装着部53が嵌り込んだ状態においては、フロント側装着部53の突端部は外郭側凹部43の底部の壁面に当接する。
【0045】
また、フランジ部50には、図2に示すように、他方の壁面側(以下、上流壁面側とも称す)に、後述するリア部材8のリア側被装着部21に嵌り込むリング状に突出したリア側装着部20が設けられている。リア側装着部20にも、外周壁を沿うように図示しないリング状のゴムパッキンが装着されるため、リア側装着部20の外径の大きさがリア側被装着部21の内径の大きさより若干小さく形成されている。
【0046】
シャワー用流路形成部51は、フランジ部50のほぼ中心を厚み方向(上流壁面から下流壁面方向)に貫通し、フランジ部50における上流壁面と下流壁面の双方から配管が突出した流路である。即ち、シャワー用流路形成部51は、上流側配管部51aと、下流側配管部51bと、両者の間に位置し両者を連通させるシャワー用フランジ流路部(図示しない)を備えている。
上流側配管部51aは、フランジ部50の上流壁面から垂直に突出しており、配管の側壁を貫通した2つの導入口61と、突端面に流路内部まで貫通しないネジ等が螺合される雌ネジ部62と、突端面近傍の外側壁であって導入口61より突端面側の位置に図示しないリング状のゴムパッキンが装着される外周溝63が設けられている。
【0047】
導入口61は、湯水が導入される開口で、開口形状がほぼ円形であり、2つの開口とも同じ開口径を有している。また、一方の導入口61を、開口に対して内側垂直方向に覗くと、一方の導入口61の開口と他方の導入口61の開口がほぼ重なる位置関係である。即ち、導入口61の一方の開口は、他方の開口に対して、上流側配管部51aの外周方向に180度離れた位置に配されている。なお、導入口61の開口径は、後述するリア部材8のシャワー用貫通孔70の内径とほぼ同じ大きさにされている。
雌ネジ部62は、上流側配管部51aの突端面のほぼ中心にあり、後述するリア部材8とネジ等を用いて接続される部分である。
外周溝63は、リング状に形成された溝で、図示しないゴムパッキンの一部が上流側配管部51aの外周面より若干外側にはみ出る程度の深さとされている。
【0048】
また、下流側配管部51bは、フランジ部50の下流壁面から垂直に突出しており、壁面からの突出長さがフロント側装着部53の突出長さよりも短く、突端面に湯水が排出される排出開口65が設けられている。
即ち、シャワー用流路形成部51に導入される湯水は、導入口61から上流側配管部51aに流入し、図示しないシャワー用フランジ流路部を介して下流側配管部51bに流れて排出開口65から排出される。
【0049】
ミスト用流路形成部52は、2箇所あり、フランジ部50の厚み方向(上流壁面から下流壁面方向)に貫通し、フランジ部50の直径上であってシャワー用流路形成部51を挟むような位置に設けられている。具体的には、ミスト用流路形成部52は、シャワー用流路形成部51の導入口61に対して、90度ずれた位置に配されている。即ち、2箇所のミスト用流路形成部52を結んだ仮想線Lと、シャワー用流路形成部51の2つの導入口61を結んだ仮想線Mは、立体的に直交する関係である。
【0050】
ミスト用流路形成部52は、上流壁面側の壁面から垂直方向に突出した突出流路部52aと、下流壁面側における中間部材36の厚み方向に円錐状に窪んだ窪み部52bと、両者の間に位置し両者を連通させるミスト用フランジ流路部(図示しない)とにより構成されている。
【0051】
突出流路部52aは、配管状の流路であり、突出長さがリア側装着部20の突出長さと同じで、突端部に湯水が導入される導入口68が設けられている。導入口68の内径の大きさは、後述するリア部材8のミスト用開口67と開口形状とほぼ同じ大きさにされている。
窪み部52bは、湯水の流れ方向下流側(下流壁面側)に向かってテーパー状に内径が拡げられた流路である。
即ち、ミスト用流路形成部52に導入される湯水は、導入口68から突出流路部52aに流入し、図示しないミスト用フランジ流路部を介して窪み部52bから排出される。
【0052】
また、本実施形態では、突出流路部52aを囲繞するように突出保持部66が設けられている。突出保持部66は、突出流路部52aから一定間隔を空けて配されており、その間隔に図示しないリング状のゴムパッキンを配して保持する部分である。また、突出保持部66は、壁面からの突出長さが突出流路部52aの突出長さと同じ大きさにされている。なお、図示しないゴムパッキンは、突出保持部66と突出流路部52aの突端部よりも外側に若干突出させる必要があるため、突出保持部66と突出流路部52aとの間の深さがゴムパッキンの部材厚より小さくされている。
【0053】
リア部材8は、PPS(Polyphenylene sulfide)を含んだ合成樹脂を用いて成型されたもので、図2に示すように、フロント部材7とほぼ同じ大きさの円形体である。
リア部材8は、一方の壁面側(以下、装着壁面側とも称す)にフロント部材7のリア側装着部20が嵌め込まれる壁面から突出したリング状のリア側被装着部21が設けられ、他方の壁面側(以下、接続壁面側とも称す)に後述する把持部材13と接続される接続部55が設けられ、さらにリア部材8の厚み方向(装着壁面側から接続壁面側方向)に貫通したシャワー用貫通孔70及びミスト用貫通孔67が設けられている。
【0054】
リア側被装着部21は、内径の大きさがフロント部材7のリア側装着部20に図示しないゴムパッキンを装着した状態の外径の大きさと同じあるいは若干小さくされている。また、リア側被装着部21は、壁面からの突出長さがフロント部材7のリア側装着部20の突出長さとほぼ同じである。即ち、リア側被装着部21にリア側装着部20が嵌り込んだ状態においては、互いの突端部が対向する壁面に当接する。具体的には、リア側被装着部21にリア側装着部20が嵌り込んだ状態においては、リア側被装着部21の突端部は中間部材36の壁面に当接し、リア側装着部20の突端部はリア部材8の壁面に当接する。
【0055】
シャワー用貫通孔70及びミスト用貫通孔67は、流路断面が円形で、リア側被装着部21の内側領域内に配されている。そして、シャワー用貫通孔70がリア部材8の中心に位置し、ミスト用貫通孔67がシャワー用貫通孔70からずれた位置に配されている。具体的には、シャワー用貫通孔70は、図7、8に示すように、リア部材8とフロント部材7の中心を一致させた状態において、常に重なり合う位置関係である。一方、ミスト用貫通孔67は、図7、8に示すように、リア部材8とフロント部材7の中心を一致させた状態において、ミスト用流路形成部52と同じ円周上にあり、ミスト用貫通孔67とミスト用流路形成部材52を重ね合わせた際に双方の開口がほぼ重なり合う位置関係である。
【0056】
シャワー用貫通孔70は、内径の大きさがシャワー用流路形成部51における上流側配管部51aの外径の大きさと同じあるいは若干大きくされており、上流側配管部51aが挿入される部分である。即ち、シャワー用貫通孔70は、上流側配管部51aを保持する保持部として機能し、シャワー用貫通孔70に挿入された上流側配管部51aに湯水が流れる。従って、シャワー用貫通孔70には、実質的に湯水の流れはない。
一方、ミスト用貫通孔67は、内径の大きさがミスト用流路形成部52における突出流路部52aの内径の大きさと同じあるいは若干大きくされている。
【0057】
接続部55は、図2に示すように、リア部材8の接続壁面側からシャワー用貫通孔70とミスト用貫通孔67を覆い、双方の貫通孔に湯水を送ることができる共通流路74を備えた部分であり、共通流路74の上流側で後述する把持部材13を接続するものである。そのため、接続部55の上流側には、リア部材8の装着壁面側まで貫通したネジ孔72が設けられおり、このネジ孔72にネジ等の接続手段が挿通されて後述する把持部材13が確実に固定される。なお、このネジ孔72は、リア部材8上であってリア側被装着部21の外側の領域あたる箇所にある。
【0058】
また、接続部55における下流側には、ネジ等の接続手段が挿通可能なネジ孔71が設けられている。具体的には、このネジ孔71は、シャワー用貫通孔70の中心にあたる箇所にある。即ち、シャワー用貫通孔70にシャワー用流路形成部51の上流側配管部51aを挿通して雌ネジ部62をネジ孔71に合わせた状態で、ネジ孔71にネジ等を挿通して、リア部材8に対してフロント部材7を保持することができる。本実施形態では、このネジ等を用いてフロント部材7を保持しつつも、フロント部材7をリア部材8に対して相対回転可能な構成としている。
【0059】
閉塞部材9は、フロント部材7やリア部材8に使用された材質より軟質の合成樹脂やゴム等の弾性体が採用されている。閉塞部材9は、ほぼ円形の板体であって、フロント部材7における全ての噴射部15を覆うことができる程度の面積を有していると共に、閉塞部材9の中心に厚み方向に貫通した貫通孔56を有する。また、閉塞部材9の厚みは、中間部材36の下流側配管部51bの突出長さよりも小さい値である。即ち、閉塞部材9は、ほぼドーナツ形状の板体である。
貫通孔56は、開口径の大きさがフロント部材7における中間部材36の下流側配管部51bの外径の大きさとほぼ等しく、下流側配管部51bが挿通される。そして、閉塞部材9は、下流側配管51bの突出長さよりも小さい値の厚みを有しているため、下流側配管51bの突出長さの領域内で移動する。即ち、下流側配管51bは、閉塞部材9がフロント部材7における噴射部15に対して近接・離反する際のガイドとしての機能を果たす。
【0060】
把持部材13は、湯水を流す流路であると共に、浴室内に固定された保持具80に保持させたり、使用者が実際に握る部分で、リア部材8と湯水供給配管11とを繋ぐものである。即ち、把持部材13の下流側にはリア接続部75が設けられ、上流側に配管接続部76が設けられている。なお、リア接続部75には、リア部材8の貫通孔72に挿通されたネジ等が係合する溝状の被係合部77と、図示しないリング状のゴムパッキンが装着される外周溝79が設けられている。外周溝79は、被係合部77よりも下流側に位置する。
【0061】
次に、ミスト発生装置1の組み立て構造について説明する。
本実施形態のミスト発生装置1は、図1、2に示すように、把持部材13の配管接続部76が湯水供給配管11と接続されており、その把持部材13にリア部材8とフロント部材7が接続されて形成されている。具体的には、図9に示すように、リア部材8は、把持部材13のリア接続部75に接続部55が接続されている。この状態においては、図9に示すように、リア部材8のネジ孔72と、把持部材13の被係合部77の位置が一致しており、リア部材8の装着壁面側からネジ孔72に挿通されたネジが、被係合部77に係合されている。なお、把持部材13における外周溝79には、図示しないゴムパッキンが装着されており、そのゴムパッキンが把持部材13とリア部材8の接続部55によって挟持されている。
【0062】
また、リア部材8は、装着壁面側のリア側被装着部21にフロント部材7における中間部材36のリア側装着部20が、図示しないゴムパッキンを装着した状態で嵌め込まれている。これにより、リア側装着部20とリア部材8と中間部材36によって囲まれたリア側空間29(図10)が形成される。リア部材8のシャワー用貫通孔70には、中間部材36における上流側配管部51aが図示しないゴムパッキンを装着した状態で挿通されている。そして、上流側配管部51aにおける導入口61が、リア部材8の接続部55における共通流路74と連通し得る位置に配されている。具体的には、上流側配管51aは、シャワー用貫通孔70に対して相対的に回転可能に挿通されており、上流側配管部51aを配管の周方向に所定の位置まで回転させると、導入口61が共通流路74と連通することができる配置である。なお、2つの導入口61のうち、一方の導入口61が共通流路74と連通した状態となれば、同時に他方の導入口61が共通流路74と連通した状態となることはない。
【0063】
さらに、上流側配管部51aとシャワー用貫通孔70の軸線がほぼ一致しているとすれば、その軸線を中心に、リア部材8のミスト用貫通孔67と中間部材36のミスト用流路形成部52が同一の円周上に存在する。即ち、図7、8に示すように、ミスト用流路形成部52の位置は、前記軸線を中心に、中間部材36をリア部材8に対して摺動回転すれば、ミスト用貫通孔67に連通することができる配置である。なお、1つのミスト用貫通孔67(固定側の貫通孔)に対して、2つのミスト用流路形成部52(回転移動側の流路)があるため、一方のミスト用流路形成部52がミスト用貫通孔67と連通した状態となれば、同時に他方のミスト用流路形成部52がミスト用貫通孔67と連通した状態となることはない。
また、ミスト用流路形成部52の突出流路部52aと突出保持部66との間には、図示しないゴムパッキンが配されている。
【0064】
そして、中間部材36には、下流壁面側において、外郭部材35が組み付けられている。即ち、外郭部材35の外郭側凹部43に対して、図示しないゴムパッキンが装着された状態の中間部材36のフロント側装着部53が嵌め込まれている。これにより、外郭部材35と中間部材36との間に湯水が流入するフロント側空間24が形成される。
また、中間部材36におけるシャワー用流路形成部51の排出開口65は、凸部14の天面より下流側に閉塞部材9の厚みより小さい間隔を空けた配置とされている。即ち、フロント側空間24においては、シャワー用流路形成部51の排出開口65は下流側に位置し、ミスト用流路形成部52の排出側は上流側に位置している。
【0065】
なお、本実施形態では、外郭部材35と中間部材36との組み付けに、外郭側凹部43にフロント側装着部53を嵌合させて組み付ける手段に加えて、外郭部材35の外郭側凹部43側の壁面であって外郭側凹部43より外側の領域に、厚み方向に貫通しないネジ孔(図示しない)を設け、中間部材36に前記ネジ孔に対応する位置に厚み方向に貫通したネジ孔(図示しない)を設け、双方のネジ孔の位置を合わせてネジ等で締め付ける手段が併用されている。
【0066】
また、本実施形態では、外郭部材35と中間部材36との間に、閉塞部材9を配置させて、噴射部15に導入される湯水の流入方向を切り換えて、湯水をシャワー流又はミスト流として噴射させるノズル機能を作用させる構成が形成されている。
即ち、フロント側空間24において、閉塞部材9の貫通孔56に中間部材36の下流側配管部51bを配し、閉塞部材9が外郭部材35の凸部14と対向するように配置されている。具体的には、閉塞部材9は、中間部材36の下流壁面と外郭部材35の凸部14の突端面との間に位置する。
【0067】
次に、ミスト発生装置1の作用について説明する。
ミスト発生装置1は、使用者によって浴室10内の混合栓5が操作され、適温の湯水が湯水供給配管11から装置の内部に導入されると、フロント側空間24に対する流路の切り換え状態によって、各噴射部15における湯水の流入方向を切り換えてシャワー流又はミスト流として外部に噴射するものである。
【0068】
まず、シャワー流を噴射する場合について説明する。
シャワー流を噴射部15から噴射させる場合、フロント部材7の上流側配管部51aにおける導入口61を、リア部材8の接続部55における共通流路74と連通させる必要がある。即ち、フロント部材7をリア部材8に対して相対的に摺動回転させて、図10に示すように、導入口61と共通流路74とが連通する位置にフロント部材7を調整する。本実施形態では、フロント部材7又はリア部材8のいずれかに、導入口61が共通流路74と連通状態の位置であることを表示する表示部(図示しない)が設けられている。
【0069】
そして、この状態で、湯水供給配管11から装置の内部に湯水が導入されると、その湯水は把持部材13を介して、リア部材8の接続部55に導入される。接続部55においては、共通流路74と中間部材36の導入口61が使用者によって連通状態とされているため、湯水はその導入口61からシャワー用流路形成部51に導入される。
なお、このとき、リア部材8のミスト用貫通孔67は、リア部材8と中間部材36の間に形成されたリア側空間29と連通した状態であるが、ミスト用流路形成部52の上流側はリア部材8の装着壁面によって閉鎖された状態となるため、リア側空間29に導入された湯水は噴射部15に向かって流れることはない。
【0070】
そして、シャワー用流路形成部51に導入された湯水は、外郭側凹部43の中心に向かって流れ、フロント側空間24に流入する。より詳細に説明すると、シャワー用流路形成部51は、下流側配管部51bの排出開口65が凸部14の近傍まで近接しているため、下流側配管部51bからフロント側空間24に吐出された湯水は、外郭部材35の壁面に衝突してフロント側空間24内に拡がるように流れる。これにより、フロント側空間24が水圧により高圧となり、閉塞部材9が水圧により移動する。即ち、閉塞部材9は、中間部材36側に移動し、中間部材36の下流壁面を押圧した状態となる。換言すると、閉塞部材9によって、ミスト用流路形成部52の下流側を閉鎖した状態となる。
【0071】
そのため、この状態におけるフロント側空間24に導入された湯水は、開口17aから直進流路17に導入される。即ち、第1経路から噴射部15に湯水が導入されるため、直進流路17において湯水は旋回することなく真っ直ぐに流れる。そして、噴射部15においても湯水の旋回流が発生することはないから、湯水はシャワー流として外部に噴射される。即ち、本実施形態では、リア部材8の共通流路74とフロント部材7における中間部材36の導入口61を連通させて、閉塞部材9を水圧により中間部材36の下流壁面側に移動させることで、噴射部15からシャワー流を噴射させることができる。
【0072】
続いて、ミスト流を噴射する場合について説明する。
ミスト流を噴射部15から噴射させる場合、フロント部材7の突出流路部52aを、リア部材8のミスト用貫通孔67と連通させる必要がある。即ち、フロント部材7をリア部材8に対して相対的に摺動回転させて、図11に示すように、突出流路部52aとミスト用貫通孔67とが連通する位置にフロント部材7を調整する。本実施形態では、フロント部材7又はリア部材8のいずれかに、突出流路部52aとミスト用貫通孔67とが連通状態の位置であることを前記した表示部(図示しない)によって表示する。
【0073】
そして、この状態で、湯水供給配管11からミスト発生装置の内部に湯水が導入されると、その湯水は把持部材13を介して、リア部材8の接続部55に導入される。接続部55においては、ミスト用貫通孔67とフロント部材7の突出流路部52aとが使用者によって連通状態にされているため、湯水は、共通流路74からミスト用貫通孔67を介してミスト用流路形成部52に導入される。
なお、このとき、中間部材36の導入口61の位置が、接続部55の共通流路74に対して、シャワー用流路形成部51の周方向に90度ずれた位置とされているため、共通流路74に流入した湯水が上流側配管部51aの導入口61に導入されることはない。
【0074】
そして、ミスト用流路形成部52に導入された湯水は、フロント側空間24に流入する。より詳細に説明すると、ミスト用流路形成部52の排出側は、閉塞部材9の移動領域よりも下流側に位置するため、窪み部52bからフロント側空間24に吐出された湯水は、閉塞部材9の上流側の面に衝突してフロント側空間24内に拡がるように流れる。これにより、閉塞部材9は外郭部材35側に移動する。
【0075】
そして、閉塞部材9によって、外郭部材35に設けられた凸部14の天面が押圧された状態となる。換言すると、凸部14の天面に設けられた直進流路17の開口17aが閉鎖された状態となる。即ち、第1経路が閉鎖された状態となるため、フロント側空間24に導入された湯水は、凸部14に設けられた旋回流形成溝16から直進流路17(第2経路)に導入される。従って、直進流路17では湯水の旋回流が形成される。
【0076】
そして、第2経路を介して噴射部15に導入されると、円錐状流路19において、徐々に旋回の範囲が狭くされながら吐出側に向かって進行するため、進行するにしたがってさらに旋回流の旋回速度が増す。そして、旋回速度が高速となった湯水が外部に吐出されると、旋回により生じた遠心力により拡散してミスト流が発生する。即ち、本実施形態では、リア部材8のミスト用貫通孔67とフロント部材7における中間部材36のミスト用流路形成部52を連通させて、閉塞部材9を水圧により凸部14の天面に当接させることで、第1経路が閉鎖されて噴射部15からミスト流を噴射させることができる。
【0077】
本実施形態のミスト発生装置1によれば、フロント部材7をリア部材8に対して摺動回転させて、フロント側空間24に導入する湯水の流路を変更することができ、さらにフロント側空間24に導入された湯水の水圧によって閉塞部材9を噴射部15に対して近接・離反するように移動させて、噴射部15に導入する湯水の経路を切り換えることができる。これにより、同一の噴射部15からシャワー流とミスト流を噴射することができるため、従来技術のように、流路の切り換え状態によって、予期せぬ方向から湯水が噴射されることがない上、噴射流を切り換えた際に「手首を捻る」必要がないため、使用感を損ねることがない。また、噴射部を機能毎に用意する必要がないため、構造が単純なものとなり、結果的に製造コストを抑えることができる。従って、本発明のミスト発生装置1によれば、製造コストを増加させることなく、シャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができると共に、使用者に不便を感じさせることがない。
【0078】
上記実施形態では、閉塞部材9が水圧によって噴射部15に対して近接・離反する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図12に示すように、閉塞部材9と中間部材36との間にバネなどの弾性体87を配置させた構成であっても構わない。これにより、ミスト噴射の際に、閉塞部材9をより強く凸部14に当接させることができるため、シール性が向上し、ミスト流の噴射をより確実なものとすることができる。なお、弾性体87の付勢力は、シャワー噴射の際にフロント側空間24に生じる水圧により動き得る程度のものとする。これにより、閉塞部材9と外郭部材35との間に湯水が導入された際に、閉塞部材9は噴射部15に対して離反する方向に移動できるため、シャワー噴射を確実に発生させることができる。また、他の構成として、中間部材36に図示しない突入・退出機構を設け、シャワー時には突入・退出機構を突入状態として弾性体を強制的に外郭部材35側に移動させ、ミスト時には突入・退出機構を退出状態として弾性体の規制状態を解除するようなものであっても構わない。これにより、弾性体における閉塞部材9への付勢状態を変更することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、1つの閉塞部材9で全ての噴射部15を覆うことができる構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複数の閉塞部材を用いて全ての噴射部15を覆う構成であっても構わない。例えば、凸部14毎に閉塞部材を配したり、独立凸部47や連結凸部48毎に閉塞部材を配した構成であっても構わない。
【0080】
上記実施形態では、フロント部材7に独立凸部47と連結凸部48を混合して配した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、独立凸部47のみや、連結凸部48のみを配した構成であっても構わない。なお、連結凸部48のみをフロント部材7に配する場合は、特に組み合わせの個数はこだわらない。
【0081】
上記実施形態では、2本の旋回流形成溝16を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、図13に示すように、1本であっても、3本以上であっても構わない。特に、旋回流形成溝16を複数本設ける場合においては、噴射部15に導入される湯水の流れが同じ方向となるように設計する必要がある。
【0082】
上記実施形態では、フロント部材7とリア部材8と把持部材13の1セットのみで構成したミスト発生装置1を示したが、例えば、図14に示すように、フロント部材7とリア部材8の基本セット85を複数備え、その基本セット85を筐体86により保持されたような構成としたミスト発生装置83であっても構わない。これにより、シャワー流の噴射範囲やミスト流の噴射範囲を拡大することができる。
【0083】
上記実施形態のミスト発生装置1は、浴室10内の混合栓5から延びた湯水供給配管11に接続された構成を示したが、混合栓5より湯水の流れ方向上流側で分岐させた配管に接続した構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0084】
1、83 ミスト発生装置
7 フロント部材
8 リア部材
9 閉塞部材
14 凸部
15 噴射部
16 旋回流形成溝
17 直進流路
18 噴射流路
19 円錐状流路
24 フロント側空間(空間)
35 外郭部材
36 中間部材
51 ミスト用流路形成部(ミスト流路)
52 シャワー用流路形成部(シャワー流路)
87 弾性体
【技術分野】
【0001】
本発明は、湯水を霧状に発生させることができるミスト発生装置に関するものであり、特にシャワー流とミスト流とを切り換えることができるミスト発生装置である。
【背景技術】
【0002】
従来より、家庭の浴室内において、入浴者の心をリラックスさせたり、肌の潤いを高めて心身の健康増進に役立たせることができるミスト発生装置が知られている。
また、浴室で用いられるミスト発生装置には、浴室暖房装置に設けられたもの(据え付け型)や、浴室の混合栓に接続できるもの(混合栓接続型)等がある。最近では、大掛かりな設置工事を必要とせず、比較的安価に購入できる混合栓接続型のものが人気である。例えば、その技術が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のミスト発生装置は、シャワー装置の併用を可能とした装置であって、混合栓側から供給される湯水を導入する導入部と、ミストを噴射するミスト噴射部と、シャワー装置側に湯水を供給する吐出部と、装置内に供給された湯水の流れをミスト噴射部側かシャワー装置側のいずれかに切り換えることができる切換手段とを備えた構成とされている。即ち、特許文献1では、ミスト発生装置とシャワー発生装置が別々であり、ミスト装置自体にシャワーを噴射する機能は備えられていない。そして、特許文献1におけるミスト噴射部には、ミスト発生ノズル部材(以下、単にノズル部材とも称す)が取り付けられている。
【0004】
ところで、浴室内において、ミストによるサウナ効果、暖房効果、あるいはシャワー効果を十分に得るためには、ミストを一定量以上発生させる必要がある。また、1つのミスト噴射部から発生可能なミストの量には限界がある。そのため、ミストの量を増加させようとすれば、ミスト噴射部を数多く配置させる必要がある。
【0005】
しかしながら、特許文献1のようなミスト発生装置では、ミストの量を増加させるために、ノズル部材を数多く配置させる必要があり、一般的に高価とされるノズル部材の数を増やせばミスト発生装置の製造コストが増加するという不満があった。
また、ノズル部材を用いたミスト発生装置は、ノズル部材の数を増やすほど装置全体が大型化するため、浴室内を圧迫してしまう懸念があった。
【0006】
そこで、特許文献2では、ノズル部材を使用することなく、シャワー噴射部とミスト噴射部を1つのシャワーヘッド本体(以下、ヘッド本体とも称す)に一体的に形成し、切換手段によりヘッド本体に導入された湯水の流れを切り換える構成を有したミスト発生装置が開示されている。具体的には、特許文献2のミスト発生装置は、ヘッド本体において、シャワー噴射部とミスト噴射部が背中合わせに設けられており、シャワーの噴射方向とミストの噴射方向が180度異なる位置関係とされた構成である。即ち、特許文献2では、シャワー用とミスト用の異なる構造の噴射部をそれぞれ備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−79527号公報
【特許文献2】特開平11−267059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2のミスト発生装置は、ミスト噴射部とシャワー噴射部のそれぞれに対して、専用の空間や部材を要し、さらに構造が繁雑となるため、製造コストが増加する問題がある。
また、使用時において、予期せぬ方向から湯水が噴射される場合があり、使用者に不快感を与える懸念があった。即ち、特許文献2では、湯水の温度を確認しようと一方の噴射部を下方に向けて噴射する際に、切換手段の切り換えが不十分であったり、切り換え状態の確認を怠ると、他方の噴射部から湯水が噴射して使用者が思いもよらず常温又は低温の水を浴びてしまう不具合があった。
【0009】
また、特許文献2のミスト発生装置は、シャワー噴射部とミスト噴射部が180度回転させた位置関係であるため、シャワー機能とミスト機能を連続的に使用する場合は、ヘッド本体を捻る必要があり、これに伴ってミスト発生装置に接続された湯水供給ホースも捻れ、その際に生じるホースの反力が使用者の負担となって使用感を損ねてしまう不満があった。
【0010】
そこで、本発明では、従来技術の問題に鑑み、製造コストを増加させることなく、シャワーヘッド本体にシャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができると共に、使用者に不便を感じさせることがないミスト発生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、供給された湯水をミスト噴射又シャワー噴射可能なミスト発生装置であって、湯水を噴射する噴射部を有したフロント部材と、フロント部材と対となって外郭を形成し供給された湯水をフロント部材側に流すリア部材と、噴射部に対して近接・離反方向に移動して噴射部に導入される湯水の流路を第1経路又は第2経路に切り換える閉塞部材とを備え、閉塞部材が噴射部から離反した状態となれば、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部からシャワー噴射し、閉塞部材が噴射部に近接した状態となれば、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部からミスト噴射することを特徴とするミスト発生装置である。
【0012】
本発明のミスト発生装置は、フロント部材に設けられた噴射部に対して、閉塞部材を近接・離反方向に移動させて、噴射部に対する閉塞部材の位置によって、シャワー噴射とミスト噴射を切り換えることが可能な構成とされている。即ち、閉塞部材を噴射部に対して近接状態にしたり、噴射部から閉塞部材を離して両者の間隔を空けた状態にして、噴射部における湯水の流れ方(直進的又は旋回)を変更することで、シャワーとミストを切り換えることができる。従って、本発明によれば、簡単な構造でシャワー機能とミスト機能を一体的に備えた装置にできるため、製造コストの増加を招かない。
【0013】
また、本発明によれば、同一の噴射部からシャワー噴射とミスト噴射を発生させることができる。これにより、シャワーとミストの切り換え状態に関わらず、シャワーの噴射方向やミストの噴射方向が変化することがないため、使用者が不快感を感じるという懸念がない。さらに、シャワーとミストを切り換えた際に、噴射部の向きを変える必要が無いため、「手首を捻る」必要がなく使用感が損なわれることもない。
従って、本発明によれば、製造コストを増加させることなく、シャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができ、さらに使用者に不便を感じさせることがない。
【0014】
請求項2に記載の発明は、フロント部材には、噴射部における湯水の流れ方向上流側の壁面から突出した凸部を有し、噴射部と第1経路と第2経路は、前記凸部の位置に設けられており、前記凸部に閉塞部材が当接すると、湯水は第2経路を介して噴射部に導入されることを特徴する請求項1に記載のミスト発生装置である。
【0015】
かかる構成によれば、フロント部材の壁面から突出した凸部の位置に噴射部と第1経路と第2経路が設けられているため、例えば、閉塞部材が複数の噴射部に近接した状態であっても、フロント部材と閉塞部材との間に凸部の突出長さ分の間隔が形成される。即ち、閉塞部材が凸部に当接した状態であっても、供給された湯水は、その間隔に流入し得るため、例えば、凸部の外側面に第2経路への導入口を設けた構成にすれば、その導入口から噴射部に対して湯水を導入することができる。
【0016】
さらに、凸部における閉塞部材が当接する当接面に第1経路への導入口を設ければ、閉塞部材が凸部に当接した際にその導入口が閉鎖されるため、凸部に閉塞部材が当接した状態においては、噴射部には第2経路のみから湯水が導入される。
従って、本発明によれば、閉塞部材が当接する凸部の位置に噴射部と第1経路と第2経路を設けたため、シャワーとミストの切り換えを容易にできる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記閉塞部材は、供給される湯水の水圧によって、噴射部に対して近接・離反することを特徴とする請求項1又は2に記載のミスト発生装置である。
【0018】
かかる構成によれば、供給される湯水の水圧によって閉塞部材がフロント部材側に押圧されるため、複数の閉塞部材を備えた場合であっても、1つの部材であって複数の噴射部を閉塞できる程度の大きさの閉塞部材を備えた場合であっても、閉塞部材を均等且つ確実に十分な力で押圧できる。これにより、噴射部におけるシール性を確実に向上させることができるため、確実にミストを噴射させることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、前記閉塞部材を噴射部に対して近接方向に付勢する弾性体を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0020】
かかる構成によれば、閉塞部材をバネなどの弾性体を用いてフロント部材側に付勢するため、噴射部におけるシール性を向上させることができるため、確実にミストを噴射させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、フロント部材には、噴射部における湯水の流れ方向上流側の壁面から突出した凸部を複数有し、噴射部と第1経路と第2経路は、前記凸部の位置に設けられており、凸部の一部又は全部が連結されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0022】
かかる構成によれば、フロント部材の壁面から突出した複数の凸部の一部又は全部が連結されているため、噴射部をより密集させて配置することができる。これにより、装置全体をコンパクト化しつつ、一定以上のミストの噴射量を確保することができる。なお、連結する凸部同士においては、噴射部、第1経路、及び第2経路が重なり合わないようにすることが望ましい。
【0023】
請求項6に記載の発明は、フロント部材は、噴射部を有した外殻部材と、前記外殻部材とリア部材との間に位置し外郭部材と湯水が流入する空間を形成する中間部材を備え、外殻部材と中間部材との間には閉塞部材が位置し、中間部材には、閉塞部材よりフロント部材側に湯水を供給するシャワー流路と、閉塞部材よりリア部材側に湯水を供給するミスト流路とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト発生装置である。
【0024】
かかる構成によれば、フロント部材における外郭部材と中間部材との間の空間に閉塞部材が配され、中間部材に設けられたシャワー流路により、湯水は閉塞部材とフロント部材との間に供給され、中間部材に設けられたミスト流路により、湯水は閉塞部材とリア部材との間に供給されるため、シャワー流路とミスト流路とを切り換えることで、閉塞部材を容易に移動させることができる。
即ち、シャワー流路から空間に湯水が供給されると、その湯水は外郭部材と閉塞部材との間(下流側空間)に流入するため、下流側空間の水圧が上昇して閉塞部材がその水圧により中間部材側に押される。これにより、閉塞部材が噴射部に対して離反する方向に移動するため、湯水は噴射部に対して直進的に流れてシャワー流が噴射される。一方、ミスト流路から空間に湯水が供給されると、その湯水は閉塞部材と中間部材との間(上流側空間)に流入するため、上流側空間の水圧が上昇して閉塞部材が水圧により外郭部材側に押される。これにより、閉塞部材が噴射部に対して近接する方向に移動するため、湯水は噴射部に対して旋回しながら流れてミスト流が噴射される。
従って、本発明によれば、シャワー流路とミスト流路のいずれかに切り換えて、閉塞部材に作用する水圧の作用方向を変化させることで、閉塞部材を噴射部に対して近接・離反方向に移動させることができるため、湯水を空間に供給することによって、確実にミスト流又はシャワー流を噴射することができる。
【0025】
請求項7に記載の発明は、フロント部材は、リア部材との重ね合わせ面に対して摺動回転可能であって、フロント部材を回転させた所定の位置においては、シャワー流路とミスト流路のうちの一方の流路が閉鎖されると共に他方の流路が開放されることを特徴とする請求項6に記載のミスト発生装置である。
【0026】
かかる構成によれば、フロント部材をリア部材に対して相対的に摺動回転させることで、シャワー流路とミスト流路を切り換えることができるため、一旦切り換えた流路の固定性が高い。つまり、ボタン式等であれば、シャワーやミストの最中に、不意にボタンを操作してしまい、流路が切り替わってしまうという不具合が考えられるが、本発明では、フロント部材をリア部材に対して相対的に摺動回転させなければ、流路が切り替わることがないため、そのような不具合が起き得ない。
【0027】
ここで、閉塞部材を複数の噴射部に跨る程度の大きさとする場合、部品点数を減少させることができるため、製造及び組み立てが容易となる。しかしながら、閉塞部材に生じる成型ムラなどにより、全ての噴射部を均等に且つ確実にシールすることができなくなる場合が生じ得る。これにより、噴射部の一部において湯水が旋回することがなくなり、その噴射部からはミスト噴射を発生させることができなくなるという問題が発生していた。
そこで、請求項8に記載の発明では、閉塞部材は、フロント部材及びリア部材と比較して軟質の合成樹脂又は弾性材であり、且つ複数の噴射部に跨って配される程度の大きさであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のミスト発生装置とした。
【0028】
かかる構成によれば、閉塞部材が複数の噴射部に跨って配される程度大きさであると共に、フロント部材及びリア部材よりも軟質の合成樹脂又は弾性材が採用されるため、成型ムラ等で閉塞部材に若干凹凸があったとしても、その凹凸の不具合を材質でカバーできる。即ち、成型ムラによって凹凸が形成された閉塞部材で、噴射部を覆った場合であっても、外力により閉塞部材が変形してシール性の不具合をカバーすることができる。これにより、1つの閉塞部材で複数の噴射部を覆った場合に、複数の噴射部のうちの一部からミスト噴射が発生しなくなるという不具合が発生することがない。
【発明の効果】
【0029】
本発明のミスト発生装置では、フロント部材とリア部材との間に配置した閉塞部材を噴射部に対して近接・離反させてシャワー噴射とミスト噴射を切り換えることができるため、構造を簡易なものとすることができると共に、同一の噴射部からミスト噴射やシャワー噴射を発生させることができる。これにより、製造コストを増加させることなく、シャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができ、さらに利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係るミスト発生装置の設置状態を示す説明図である。
【図2】図1のミスト発生装置の分解斜視図である。
【図3】図1と異なる角度から見たミスト発生装置の分解斜視図である。
【図4】凸部を示す斜視図である。
【図5】凸部を示す平面図である。
【図6】図5の凸部のB−B断面図である。
【図7】湯水がミスト用流路形成部とミスト用貫通孔を通過する場合の中間部材とリア部材との関係を示す概念図である。
【図8】湯水がシャワー用流路形成部とシャワー用貫通孔を通過する場合の中間部材とリア部材との関係を示す概念図である。
【図9】図1のシャワー発生装置を示すA−A方向の断面斜視図である。
【図10】図1のミスト発生装置を示すシャワー噴射時におけるA−A断面図である。
【図11】図1のミスト発生装置を示すミスト噴射時におけるA−A断面図である。
【図12】別の実施形態に係るミスト発生装置を示す断面図である。(弾性体)
【図13】(a)は、1本の噴射部供給流路が設けられた凸部を示す平面図で、(b)は、3本の噴射部供給流路が設けられた凸部を示す平面図である。
【図14】別の実施形態のミスト発生装置を示す斜視図である。(基本セット)
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本実施形態に係るミスト発生装置1について説明する。
本実施形態のミスト発生装置1は、図1に示すように、浴室10内において、図示しない熱源機から供給された湯水を流す湯水供給配管11に接続されており、供給された湯水をシャワー流又はミスト流に切り換えて外部に噴射可能な装置である。
【0032】
ミスト発生装置1は、図2に示すように、湯水をミスト流やシャワー流として噴射する噴射部15(図3)を有するフロント部材7と、フロント部材7と一体的に組み合わさって装置の外郭の一部を形成するリア部材8と、噴射部15に導入される湯水の流入方向の切り換えを可能とする閉塞部材9と、湯水供給配管11を通過した湯水をリア部材8に流すと共に使用者が把持することができる把持部材13とによって構成されている。
【0033】
フロント部材7は、PPS(Polyphenylene sulfide)を含んだ合成樹脂を用いて成型されたもので、図3に示すように、噴射部15が設けられ装置の外郭の一部を形成する外郭部材35と、外郭部材35とリア部材8との間に位置し異なる2流路を備えた中間部材36とにより構成されている。
【0034】
外郭部材35は、ほぼ円形の板状体であり、一方の壁面側が外郭部材35の厚み方向(他方の壁面側)に窪んだ外郭側凹部43が設けられている(以下、外郭側凹部43が設けられた壁面を有凹壁面と称す)。外郭側凹部43は、窪み形状がほぼ円柱状である。また、外郭側凹部43には、図2に示すように、外郭部材35の壁面であって凹部の底部から垂直方向に突出したほぼ円柱状の凸部14が複数(本実施形態では33個)設けられている。いずれの凸部14も、壁面からの突出長さが等しく形成されている。
【0035】
凸部14には、単独で存在する独立凸部47が3個と、複数の凸部14が連結した連結凸部48が10組ある。本実施形態では、連結凸部48として、2つの凸部14が連結したものが2組と、3つの凸部14が連結したものが7組と、5つの凸部14が連結したものが1組ある。そして、これらの凸部14は、外郭部材35の中心には配置されず、密度が均等になるようにドーナツ状に配置されている。なお、この凸部14が配されない中心の面積は、後述するシャワー流路形成部51の下流側配管部51bの外径を基準とした面積程度とされている。
【0036】
また、凸部14の位置には、図4〜6に示すように、外郭側凹部43の窪み方向に延びた流路状の噴射部15と、噴射部15に湯水を供給する直進流路17と、直進流路17と連通した旋回流形成溝16が設けられている。
【0037】
噴射部15は、図6に示すように、円錐状流路19と噴射流路18とが連通して形成されている。具体的には、有凹壁面側(一方の壁面側)に円錐状流路19が位置し、他方の壁面側(以下、吐出壁面側とも称す)に噴射流路18が位置する。即ち、円錐状流路19と噴射流路18は、外郭部材35の厚み方向中途で連通しており、双方の流路が外郭部材35における同一の壁面側に位置することはない。
【0038】
円錐状流路19は、上流側で後述する直進流路17と連通しており、外郭部材35の有凹壁面側から噴射流路18との連通部に向かってテーパー状に内径が狭くなる流路である。即ち、円錐状流路19は、湯水の流れ方向下流側に向かって次第に流量が制限されるため、流速が加速される箇所である。また、円錐状流路19においては、湯水を流路の軸線方向に交差するように流すことで(実際には流路断面の接線方向に流す)、湯水の旋回流を効率的に発生させることができる箇所である。なお、円錐状流路19は後述する直進流路17と噴射流路18との間に位置し、いずれの境界においても流路が連続しており、その境界部においては、円錐状流路19と直進流路17との内径の大きさと、円錐状流路19と噴射流路18との内径の大きさはほぼ等しい。
【0039】
噴射流路18は、流路形状が円柱状であり、湯水の流れ方向のいずれの箇所においても流路断面の内径の大きさがほぼ等しい流路である。即ち、噴射流路18に導入された湯水は、流路抵抗を無視すれば、流速をほぼ等速にして下流側に流れる箇所である。また、前記したように、噴射流路18の内径は、円錐状流路19における最下流部の内径の大きさとほぼ同じである。
【0040】
直進流路17は、外郭部材35の有凹壁面側(一方の壁面側)に位置し流路形状が円柱状の流路で、流路長さが凸部14の突出長さにほぼ等しい。即ち、直進流路17は、凸部14の天面を貫通した開口17aを流路始端とし、噴射部15に連通した境界を流路終端としている。即ち、開口17aを介して直進流路17を通過する経路(第1経路)は、湯水を真っ直ぐに噴射部15に対して流すことができる。なお、その内径の大きさは、噴射部15における円錐状流路19の最上流部の内径の大きさとほぼ同じであり、円錐状流路19の最下流で連通した噴射流路18の内径の大きさより大きい。
【0041】
旋回流形成溝16は、凸部14の天面側に開放された溝型流路であり、凸部14の外側面を貫通した始端側溝型開口(流路始端)16aと、直進流路17の内側面を貫通した終端側溝型開口(流路終端)16bを有している。そして、旋回流形成溝16は、流路方向が直進流路17の流路断面の接線方向に延びるように設けられている。
【0042】
また、旋回流形成溝16は、1つの噴射部15に対して2本ずつ設けられている。そして、その2本の旋回流形成溝16は、直進流路17の流路断面に対する接線方向が維持されつつ、互いに平行であり、且つずれた位置関係に配されている。換言すると、2本の旋回流形成溝16は、直進流路17に導入した湯水を同じ方向に旋回させることができる位置関係である。これにより、各旋回流形成溝16から直進流路17に導入されて旋回する湯水が、互いに衝突し合うことがない。具体的には、いずれの終端側溝型開口16bを介して直進流路17に湯水が導入されたとしても、その湯水は直進流路17の内壁に沿って同一方向に旋回しながら噴射部15に流入される。即ち、旋回流形成溝16と直進流路17を通過する経路(第2経路)は、噴射部15に導入する湯水を旋回させることができる。
【0043】
中間部材36は、図2、3に示すように、ほぼ円形のフランジ部50と、シャワー用流路形成部51と、ミスト用流路形成部52とを備えた部材である。
フランジ部50は、図3に示すように、一方の壁面側(以下、下流壁面側とも称す)に、外郭部材35の外郭側凹部43に嵌り込むリング状に突出したフロント側装着部53が設けられている。フロント側装着部53には、外周壁を沿うように図示しないリング状のゴムパッキンが装着される。即ち、フロント側装着部53の外径の大きさは、外郭側凹部43の内径の大きさより若干小さく形成されている。
【0044】
また、フロント側装着部53は、壁面からの突出長さが外郭部材35の外郭側凹部43の窪み深さとほぼ同じである。即ち、外郭側凹部43にフロント側装着部53が嵌り込んだ状態においては、フロント側装着部53の突端部が対向する壁面に当接する。具体的には、外郭側凹部43にフロント側装着部53が嵌り込んだ状態においては、フロント側装着部53の突端部は外郭側凹部43の底部の壁面に当接する。
【0045】
また、フランジ部50には、図2に示すように、他方の壁面側(以下、上流壁面側とも称す)に、後述するリア部材8のリア側被装着部21に嵌り込むリング状に突出したリア側装着部20が設けられている。リア側装着部20にも、外周壁を沿うように図示しないリング状のゴムパッキンが装着されるため、リア側装着部20の外径の大きさがリア側被装着部21の内径の大きさより若干小さく形成されている。
【0046】
シャワー用流路形成部51は、フランジ部50のほぼ中心を厚み方向(上流壁面から下流壁面方向)に貫通し、フランジ部50における上流壁面と下流壁面の双方から配管が突出した流路である。即ち、シャワー用流路形成部51は、上流側配管部51aと、下流側配管部51bと、両者の間に位置し両者を連通させるシャワー用フランジ流路部(図示しない)を備えている。
上流側配管部51aは、フランジ部50の上流壁面から垂直に突出しており、配管の側壁を貫通した2つの導入口61と、突端面に流路内部まで貫通しないネジ等が螺合される雌ネジ部62と、突端面近傍の外側壁であって導入口61より突端面側の位置に図示しないリング状のゴムパッキンが装着される外周溝63が設けられている。
【0047】
導入口61は、湯水が導入される開口で、開口形状がほぼ円形であり、2つの開口とも同じ開口径を有している。また、一方の導入口61を、開口に対して内側垂直方向に覗くと、一方の導入口61の開口と他方の導入口61の開口がほぼ重なる位置関係である。即ち、導入口61の一方の開口は、他方の開口に対して、上流側配管部51aの外周方向に180度離れた位置に配されている。なお、導入口61の開口径は、後述するリア部材8のシャワー用貫通孔70の内径とほぼ同じ大きさにされている。
雌ネジ部62は、上流側配管部51aの突端面のほぼ中心にあり、後述するリア部材8とネジ等を用いて接続される部分である。
外周溝63は、リング状に形成された溝で、図示しないゴムパッキンの一部が上流側配管部51aの外周面より若干外側にはみ出る程度の深さとされている。
【0048】
また、下流側配管部51bは、フランジ部50の下流壁面から垂直に突出しており、壁面からの突出長さがフロント側装着部53の突出長さよりも短く、突端面に湯水が排出される排出開口65が設けられている。
即ち、シャワー用流路形成部51に導入される湯水は、導入口61から上流側配管部51aに流入し、図示しないシャワー用フランジ流路部を介して下流側配管部51bに流れて排出開口65から排出される。
【0049】
ミスト用流路形成部52は、2箇所あり、フランジ部50の厚み方向(上流壁面から下流壁面方向)に貫通し、フランジ部50の直径上であってシャワー用流路形成部51を挟むような位置に設けられている。具体的には、ミスト用流路形成部52は、シャワー用流路形成部51の導入口61に対して、90度ずれた位置に配されている。即ち、2箇所のミスト用流路形成部52を結んだ仮想線Lと、シャワー用流路形成部51の2つの導入口61を結んだ仮想線Mは、立体的に直交する関係である。
【0050】
ミスト用流路形成部52は、上流壁面側の壁面から垂直方向に突出した突出流路部52aと、下流壁面側における中間部材36の厚み方向に円錐状に窪んだ窪み部52bと、両者の間に位置し両者を連通させるミスト用フランジ流路部(図示しない)とにより構成されている。
【0051】
突出流路部52aは、配管状の流路であり、突出長さがリア側装着部20の突出長さと同じで、突端部に湯水が導入される導入口68が設けられている。導入口68の内径の大きさは、後述するリア部材8のミスト用開口67と開口形状とほぼ同じ大きさにされている。
窪み部52bは、湯水の流れ方向下流側(下流壁面側)に向かってテーパー状に内径が拡げられた流路である。
即ち、ミスト用流路形成部52に導入される湯水は、導入口68から突出流路部52aに流入し、図示しないミスト用フランジ流路部を介して窪み部52bから排出される。
【0052】
また、本実施形態では、突出流路部52aを囲繞するように突出保持部66が設けられている。突出保持部66は、突出流路部52aから一定間隔を空けて配されており、その間隔に図示しないリング状のゴムパッキンを配して保持する部分である。また、突出保持部66は、壁面からの突出長さが突出流路部52aの突出長さと同じ大きさにされている。なお、図示しないゴムパッキンは、突出保持部66と突出流路部52aの突端部よりも外側に若干突出させる必要があるため、突出保持部66と突出流路部52aとの間の深さがゴムパッキンの部材厚より小さくされている。
【0053】
リア部材8は、PPS(Polyphenylene sulfide)を含んだ合成樹脂を用いて成型されたもので、図2に示すように、フロント部材7とほぼ同じ大きさの円形体である。
リア部材8は、一方の壁面側(以下、装着壁面側とも称す)にフロント部材7のリア側装着部20が嵌め込まれる壁面から突出したリング状のリア側被装着部21が設けられ、他方の壁面側(以下、接続壁面側とも称す)に後述する把持部材13と接続される接続部55が設けられ、さらにリア部材8の厚み方向(装着壁面側から接続壁面側方向)に貫通したシャワー用貫通孔70及びミスト用貫通孔67が設けられている。
【0054】
リア側被装着部21は、内径の大きさがフロント部材7のリア側装着部20に図示しないゴムパッキンを装着した状態の外径の大きさと同じあるいは若干小さくされている。また、リア側被装着部21は、壁面からの突出長さがフロント部材7のリア側装着部20の突出長さとほぼ同じである。即ち、リア側被装着部21にリア側装着部20が嵌り込んだ状態においては、互いの突端部が対向する壁面に当接する。具体的には、リア側被装着部21にリア側装着部20が嵌り込んだ状態においては、リア側被装着部21の突端部は中間部材36の壁面に当接し、リア側装着部20の突端部はリア部材8の壁面に当接する。
【0055】
シャワー用貫通孔70及びミスト用貫通孔67は、流路断面が円形で、リア側被装着部21の内側領域内に配されている。そして、シャワー用貫通孔70がリア部材8の中心に位置し、ミスト用貫通孔67がシャワー用貫通孔70からずれた位置に配されている。具体的には、シャワー用貫通孔70は、図7、8に示すように、リア部材8とフロント部材7の中心を一致させた状態において、常に重なり合う位置関係である。一方、ミスト用貫通孔67は、図7、8に示すように、リア部材8とフロント部材7の中心を一致させた状態において、ミスト用流路形成部52と同じ円周上にあり、ミスト用貫通孔67とミスト用流路形成部材52を重ね合わせた際に双方の開口がほぼ重なり合う位置関係である。
【0056】
シャワー用貫通孔70は、内径の大きさがシャワー用流路形成部51における上流側配管部51aの外径の大きさと同じあるいは若干大きくされており、上流側配管部51aが挿入される部分である。即ち、シャワー用貫通孔70は、上流側配管部51aを保持する保持部として機能し、シャワー用貫通孔70に挿入された上流側配管部51aに湯水が流れる。従って、シャワー用貫通孔70には、実質的に湯水の流れはない。
一方、ミスト用貫通孔67は、内径の大きさがミスト用流路形成部52における突出流路部52aの内径の大きさと同じあるいは若干大きくされている。
【0057】
接続部55は、図2に示すように、リア部材8の接続壁面側からシャワー用貫通孔70とミスト用貫通孔67を覆い、双方の貫通孔に湯水を送ることができる共通流路74を備えた部分であり、共通流路74の上流側で後述する把持部材13を接続するものである。そのため、接続部55の上流側には、リア部材8の装着壁面側まで貫通したネジ孔72が設けられおり、このネジ孔72にネジ等の接続手段が挿通されて後述する把持部材13が確実に固定される。なお、このネジ孔72は、リア部材8上であってリア側被装着部21の外側の領域あたる箇所にある。
【0058】
また、接続部55における下流側には、ネジ等の接続手段が挿通可能なネジ孔71が設けられている。具体的には、このネジ孔71は、シャワー用貫通孔70の中心にあたる箇所にある。即ち、シャワー用貫通孔70にシャワー用流路形成部51の上流側配管部51aを挿通して雌ネジ部62をネジ孔71に合わせた状態で、ネジ孔71にネジ等を挿通して、リア部材8に対してフロント部材7を保持することができる。本実施形態では、このネジ等を用いてフロント部材7を保持しつつも、フロント部材7をリア部材8に対して相対回転可能な構成としている。
【0059】
閉塞部材9は、フロント部材7やリア部材8に使用された材質より軟質の合成樹脂やゴム等の弾性体が採用されている。閉塞部材9は、ほぼ円形の板体であって、フロント部材7における全ての噴射部15を覆うことができる程度の面積を有していると共に、閉塞部材9の中心に厚み方向に貫通した貫通孔56を有する。また、閉塞部材9の厚みは、中間部材36の下流側配管部51bの突出長さよりも小さい値である。即ち、閉塞部材9は、ほぼドーナツ形状の板体である。
貫通孔56は、開口径の大きさがフロント部材7における中間部材36の下流側配管部51bの外径の大きさとほぼ等しく、下流側配管部51bが挿通される。そして、閉塞部材9は、下流側配管51bの突出長さよりも小さい値の厚みを有しているため、下流側配管51bの突出長さの領域内で移動する。即ち、下流側配管51bは、閉塞部材9がフロント部材7における噴射部15に対して近接・離反する際のガイドとしての機能を果たす。
【0060】
把持部材13は、湯水を流す流路であると共に、浴室内に固定された保持具80に保持させたり、使用者が実際に握る部分で、リア部材8と湯水供給配管11とを繋ぐものである。即ち、把持部材13の下流側にはリア接続部75が設けられ、上流側に配管接続部76が設けられている。なお、リア接続部75には、リア部材8の貫通孔72に挿通されたネジ等が係合する溝状の被係合部77と、図示しないリング状のゴムパッキンが装着される外周溝79が設けられている。外周溝79は、被係合部77よりも下流側に位置する。
【0061】
次に、ミスト発生装置1の組み立て構造について説明する。
本実施形態のミスト発生装置1は、図1、2に示すように、把持部材13の配管接続部76が湯水供給配管11と接続されており、その把持部材13にリア部材8とフロント部材7が接続されて形成されている。具体的には、図9に示すように、リア部材8は、把持部材13のリア接続部75に接続部55が接続されている。この状態においては、図9に示すように、リア部材8のネジ孔72と、把持部材13の被係合部77の位置が一致しており、リア部材8の装着壁面側からネジ孔72に挿通されたネジが、被係合部77に係合されている。なお、把持部材13における外周溝79には、図示しないゴムパッキンが装着されており、そのゴムパッキンが把持部材13とリア部材8の接続部55によって挟持されている。
【0062】
また、リア部材8は、装着壁面側のリア側被装着部21にフロント部材7における中間部材36のリア側装着部20が、図示しないゴムパッキンを装着した状態で嵌め込まれている。これにより、リア側装着部20とリア部材8と中間部材36によって囲まれたリア側空間29(図10)が形成される。リア部材8のシャワー用貫通孔70には、中間部材36における上流側配管部51aが図示しないゴムパッキンを装着した状態で挿通されている。そして、上流側配管部51aにおける導入口61が、リア部材8の接続部55における共通流路74と連通し得る位置に配されている。具体的には、上流側配管51aは、シャワー用貫通孔70に対して相対的に回転可能に挿通されており、上流側配管部51aを配管の周方向に所定の位置まで回転させると、導入口61が共通流路74と連通することができる配置である。なお、2つの導入口61のうち、一方の導入口61が共通流路74と連通した状態となれば、同時に他方の導入口61が共通流路74と連通した状態となることはない。
【0063】
さらに、上流側配管部51aとシャワー用貫通孔70の軸線がほぼ一致しているとすれば、その軸線を中心に、リア部材8のミスト用貫通孔67と中間部材36のミスト用流路形成部52が同一の円周上に存在する。即ち、図7、8に示すように、ミスト用流路形成部52の位置は、前記軸線を中心に、中間部材36をリア部材8に対して摺動回転すれば、ミスト用貫通孔67に連通することができる配置である。なお、1つのミスト用貫通孔67(固定側の貫通孔)に対して、2つのミスト用流路形成部52(回転移動側の流路)があるため、一方のミスト用流路形成部52がミスト用貫通孔67と連通した状態となれば、同時に他方のミスト用流路形成部52がミスト用貫通孔67と連通した状態となることはない。
また、ミスト用流路形成部52の突出流路部52aと突出保持部66との間には、図示しないゴムパッキンが配されている。
【0064】
そして、中間部材36には、下流壁面側において、外郭部材35が組み付けられている。即ち、外郭部材35の外郭側凹部43に対して、図示しないゴムパッキンが装着された状態の中間部材36のフロント側装着部53が嵌め込まれている。これにより、外郭部材35と中間部材36との間に湯水が流入するフロント側空間24が形成される。
また、中間部材36におけるシャワー用流路形成部51の排出開口65は、凸部14の天面より下流側に閉塞部材9の厚みより小さい間隔を空けた配置とされている。即ち、フロント側空間24においては、シャワー用流路形成部51の排出開口65は下流側に位置し、ミスト用流路形成部52の排出側は上流側に位置している。
【0065】
なお、本実施形態では、外郭部材35と中間部材36との組み付けに、外郭側凹部43にフロント側装着部53を嵌合させて組み付ける手段に加えて、外郭部材35の外郭側凹部43側の壁面であって外郭側凹部43より外側の領域に、厚み方向に貫通しないネジ孔(図示しない)を設け、中間部材36に前記ネジ孔に対応する位置に厚み方向に貫通したネジ孔(図示しない)を設け、双方のネジ孔の位置を合わせてネジ等で締め付ける手段が併用されている。
【0066】
また、本実施形態では、外郭部材35と中間部材36との間に、閉塞部材9を配置させて、噴射部15に導入される湯水の流入方向を切り換えて、湯水をシャワー流又はミスト流として噴射させるノズル機能を作用させる構成が形成されている。
即ち、フロント側空間24において、閉塞部材9の貫通孔56に中間部材36の下流側配管部51bを配し、閉塞部材9が外郭部材35の凸部14と対向するように配置されている。具体的には、閉塞部材9は、中間部材36の下流壁面と外郭部材35の凸部14の突端面との間に位置する。
【0067】
次に、ミスト発生装置1の作用について説明する。
ミスト発生装置1は、使用者によって浴室10内の混合栓5が操作され、適温の湯水が湯水供給配管11から装置の内部に導入されると、フロント側空間24に対する流路の切り換え状態によって、各噴射部15における湯水の流入方向を切り換えてシャワー流又はミスト流として外部に噴射するものである。
【0068】
まず、シャワー流を噴射する場合について説明する。
シャワー流を噴射部15から噴射させる場合、フロント部材7の上流側配管部51aにおける導入口61を、リア部材8の接続部55における共通流路74と連通させる必要がある。即ち、フロント部材7をリア部材8に対して相対的に摺動回転させて、図10に示すように、導入口61と共通流路74とが連通する位置にフロント部材7を調整する。本実施形態では、フロント部材7又はリア部材8のいずれかに、導入口61が共通流路74と連通状態の位置であることを表示する表示部(図示しない)が設けられている。
【0069】
そして、この状態で、湯水供給配管11から装置の内部に湯水が導入されると、その湯水は把持部材13を介して、リア部材8の接続部55に導入される。接続部55においては、共通流路74と中間部材36の導入口61が使用者によって連通状態とされているため、湯水はその導入口61からシャワー用流路形成部51に導入される。
なお、このとき、リア部材8のミスト用貫通孔67は、リア部材8と中間部材36の間に形成されたリア側空間29と連通した状態であるが、ミスト用流路形成部52の上流側はリア部材8の装着壁面によって閉鎖された状態となるため、リア側空間29に導入された湯水は噴射部15に向かって流れることはない。
【0070】
そして、シャワー用流路形成部51に導入された湯水は、外郭側凹部43の中心に向かって流れ、フロント側空間24に流入する。より詳細に説明すると、シャワー用流路形成部51は、下流側配管部51bの排出開口65が凸部14の近傍まで近接しているため、下流側配管部51bからフロント側空間24に吐出された湯水は、外郭部材35の壁面に衝突してフロント側空間24内に拡がるように流れる。これにより、フロント側空間24が水圧により高圧となり、閉塞部材9が水圧により移動する。即ち、閉塞部材9は、中間部材36側に移動し、中間部材36の下流壁面を押圧した状態となる。換言すると、閉塞部材9によって、ミスト用流路形成部52の下流側を閉鎖した状態となる。
【0071】
そのため、この状態におけるフロント側空間24に導入された湯水は、開口17aから直進流路17に導入される。即ち、第1経路から噴射部15に湯水が導入されるため、直進流路17において湯水は旋回することなく真っ直ぐに流れる。そして、噴射部15においても湯水の旋回流が発生することはないから、湯水はシャワー流として外部に噴射される。即ち、本実施形態では、リア部材8の共通流路74とフロント部材7における中間部材36の導入口61を連通させて、閉塞部材9を水圧により中間部材36の下流壁面側に移動させることで、噴射部15からシャワー流を噴射させることができる。
【0072】
続いて、ミスト流を噴射する場合について説明する。
ミスト流を噴射部15から噴射させる場合、フロント部材7の突出流路部52aを、リア部材8のミスト用貫通孔67と連通させる必要がある。即ち、フロント部材7をリア部材8に対して相対的に摺動回転させて、図11に示すように、突出流路部52aとミスト用貫通孔67とが連通する位置にフロント部材7を調整する。本実施形態では、フロント部材7又はリア部材8のいずれかに、突出流路部52aとミスト用貫通孔67とが連通状態の位置であることを前記した表示部(図示しない)によって表示する。
【0073】
そして、この状態で、湯水供給配管11からミスト発生装置の内部に湯水が導入されると、その湯水は把持部材13を介して、リア部材8の接続部55に導入される。接続部55においては、ミスト用貫通孔67とフロント部材7の突出流路部52aとが使用者によって連通状態にされているため、湯水は、共通流路74からミスト用貫通孔67を介してミスト用流路形成部52に導入される。
なお、このとき、中間部材36の導入口61の位置が、接続部55の共通流路74に対して、シャワー用流路形成部51の周方向に90度ずれた位置とされているため、共通流路74に流入した湯水が上流側配管部51aの導入口61に導入されることはない。
【0074】
そして、ミスト用流路形成部52に導入された湯水は、フロント側空間24に流入する。より詳細に説明すると、ミスト用流路形成部52の排出側は、閉塞部材9の移動領域よりも下流側に位置するため、窪み部52bからフロント側空間24に吐出された湯水は、閉塞部材9の上流側の面に衝突してフロント側空間24内に拡がるように流れる。これにより、閉塞部材9は外郭部材35側に移動する。
【0075】
そして、閉塞部材9によって、外郭部材35に設けられた凸部14の天面が押圧された状態となる。換言すると、凸部14の天面に設けられた直進流路17の開口17aが閉鎖された状態となる。即ち、第1経路が閉鎖された状態となるため、フロント側空間24に導入された湯水は、凸部14に設けられた旋回流形成溝16から直進流路17(第2経路)に導入される。従って、直進流路17では湯水の旋回流が形成される。
【0076】
そして、第2経路を介して噴射部15に導入されると、円錐状流路19において、徐々に旋回の範囲が狭くされながら吐出側に向かって進行するため、進行するにしたがってさらに旋回流の旋回速度が増す。そして、旋回速度が高速となった湯水が外部に吐出されると、旋回により生じた遠心力により拡散してミスト流が発生する。即ち、本実施形態では、リア部材8のミスト用貫通孔67とフロント部材7における中間部材36のミスト用流路形成部52を連通させて、閉塞部材9を水圧により凸部14の天面に当接させることで、第1経路が閉鎖されて噴射部15からミスト流を噴射させることができる。
【0077】
本実施形態のミスト発生装置1によれば、フロント部材7をリア部材8に対して摺動回転させて、フロント側空間24に導入する湯水の流路を変更することができ、さらにフロント側空間24に導入された湯水の水圧によって閉塞部材9を噴射部15に対して近接・離反するように移動させて、噴射部15に導入する湯水の経路を切り換えることができる。これにより、同一の噴射部15からシャワー流とミスト流を噴射することができるため、従来技術のように、流路の切り換え状態によって、予期せぬ方向から湯水が噴射されることがない上、噴射流を切り換えた際に「手首を捻る」必要がないため、使用感を損ねることがない。また、噴射部を機能毎に用意する必要がないため、構造が単純なものとなり、結果的に製造コストを抑えることができる。従って、本発明のミスト発生装置1によれば、製造コストを増加させることなく、シャワー機能とミスト機能を一体的に備えることができると共に、使用者に不便を感じさせることがない。
【0078】
上記実施形態では、閉塞部材9が水圧によって噴射部15に対して近接・離反する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、図12に示すように、閉塞部材9と中間部材36との間にバネなどの弾性体87を配置させた構成であっても構わない。これにより、ミスト噴射の際に、閉塞部材9をより強く凸部14に当接させることができるため、シール性が向上し、ミスト流の噴射をより確実なものとすることができる。なお、弾性体87の付勢力は、シャワー噴射の際にフロント側空間24に生じる水圧により動き得る程度のものとする。これにより、閉塞部材9と外郭部材35との間に湯水が導入された際に、閉塞部材9は噴射部15に対して離反する方向に移動できるため、シャワー噴射を確実に発生させることができる。また、他の構成として、中間部材36に図示しない突入・退出機構を設け、シャワー時には突入・退出機構を突入状態として弾性体を強制的に外郭部材35側に移動させ、ミスト時には突入・退出機構を退出状態として弾性体の規制状態を解除するようなものであっても構わない。これにより、弾性体における閉塞部材9への付勢状態を変更することができる。
【0079】
また、上記実施形態では、1つの閉塞部材9で全ての噴射部15を覆うことができる構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、複数の閉塞部材を用いて全ての噴射部15を覆う構成であっても構わない。例えば、凸部14毎に閉塞部材を配したり、独立凸部47や連結凸部48毎に閉塞部材を配した構成であっても構わない。
【0080】
上記実施形態では、フロント部材7に独立凸部47と連結凸部48を混合して配した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、独立凸部47のみや、連結凸部48のみを配した構成であっても構わない。なお、連結凸部48のみをフロント部材7に配する場合は、特に組み合わせの個数はこだわらない。
【0081】
上記実施形態では、2本の旋回流形成溝16を設けた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、図13に示すように、1本であっても、3本以上であっても構わない。特に、旋回流形成溝16を複数本設ける場合においては、噴射部15に導入される湯水の流れが同じ方向となるように設計する必要がある。
【0082】
上記実施形態では、フロント部材7とリア部材8と把持部材13の1セットのみで構成したミスト発生装置1を示したが、例えば、図14に示すように、フロント部材7とリア部材8の基本セット85を複数備え、その基本セット85を筐体86により保持されたような構成としたミスト発生装置83であっても構わない。これにより、シャワー流の噴射範囲やミスト流の噴射範囲を拡大することができる。
【0083】
上記実施形態のミスト発生装置1は、浴室10内の混合栓5から延びた湯水供給配管11に接続された構成を示したが、混合栓5より湯水の流れ方向上流側で分岐させた配管に接続した構成であっても構わない。
【符号の説明】
【0084】
1、83 ミスト発生装置
7 フロント部材
8 リア部材
9 閉塞部材
14 凸部
15 噴射部
16 旋回流形成溝
17 直進流路
18 噴射流路
19 円錐状流路
24 フロント側空間(空間)
35 外郭部材
36 中間部材
51 ミスト用流路形成部(ミスト流路)
52 シャワー用流路形成部(シャワー流路)
87 弾性体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給された湯水をミスト噴射又シャワー噴射可能なミスト発生装置であって、
湯水を噴射する噴射部を有したフロント部材と、フロント部材と対となって外郭を形成し供給された湯水をフロント部材側に流すリア部材と、噴射部に対して近接・離反方向に移動して噴射部に導入される湯水の流路を第1経路又は第2経路に切り換える閉塞部材とを備え、
閉塞部材が噴射部から離反した状態となれば、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部からシャワー噴射し、閉塞部材が噴射部に近接した状態となれば、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部からミスト噴射することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
フロント部材には、噴射部における湯水の流れ方向上流側の壁面から突出した凸部を有し、
噴射部と第1経路と第2経路は、前記凸部の位置に設けられており、
前記凸部に閉塞部材が当接すると、湯水は第2経路を介して噴射部に導入されることを特徴する請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記閉塞部材は、供給される湯水の水圧によって、噴射部に対して近接・離反することを特徴とする請求項1又は2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記閉塞部材を噴射部に対して近接方向に付勢する弾性体を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項5】
フロント部材には、噴射部における湯水の流れ方向上流側の壁面から突出した凸部を複数有し、
噴射部と第1経路と第2経路は、前記凸部の位置に設けられており、
凸部の一部又は全部が連結されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項6】
フロント部材は、噴射部を有した外殻部材と、前記外殻部材とリア部材との間に位置し外郭部材と湯水が流入する空間を形成する中間部材を備え、外殻部材と中間部材との間には閉塞部材が位置し、
中間部材には、閉塞部材よりフロント部材側に湯水を供給するシャワー流路と、閉塞部材よりリア部材側に湯水を供給するミスト流路とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項7】
フロント部材は、リア部材との重ね合わせ面に対して摺動回転可能であって、
フロント部材を回転させた所定の位置においては、シャワー流路とミスト流路のうちの一方の流路が閉鎖されると共に他方の流路が開放されることを特徴とする請求項6に記載のミスト発生装置。
【請求項8】
閉塞部材は、フロント部材及びリア部材と比較して軟質の合成樹脂又は弾性材であり、複数の噴射部に跨って配される程度の大きさであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項1】
供給された湯水をミスト噴射又シャワー噴射可能なミスト発生装置であって、
湯水を噴射する噴射部を有したフロント部材と、フロント部材と対となって外郭を形成し供給された湯水をフロント部材側に流すリア部材と、噴射部に対して近接・離反方向に移動して噴射部に導入される湯水の流路を第1経路又は第2経路に切り換える閉塞部材とを備え、
閉塞部材が噴射部から離反した状態となれば、供給された湯水は第1経路を介して直進的に流れて噴射部からシャワー噴射し、閉塞部材が噴射部に近接した状態となれば、供給された湯水は第2経路を介して旋回しながら流れて噴射部からミスト噴射することを特徴とするミスト発生装置。
【請求項2】
フロント部材には、噴射部における湯水の流れ方向上流側の壁面から突出した凸部を有し、
噴射部と第1経路と第2経路は、前記凸部の位置に設けられており、
前記凸部に閉塞部材が当接すると、湯水は第2経路を介して噴射部に導入されることを特徴する請求項1に記載のミスト発生装置。
【請求項3】
前記閉塞部材は、供給される湯水の水圧によって、噴射部に対して近接・離反することを特徴とする請求項1又は2に記載のミスト発生装置。
【請求項4】
前記閉塞部材を噴射部に対して近接方向に付勢する弾性体を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項5】
フロント部材には、噴射部における湯水の流れ方向上流側の壁面から突出した凸部を複数有し、
噴射部と第1経路と第2経路は、前記凸部の位置に設けられており、
凸部の一部又は全部が連結されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項6】
フロント部材は、噴射部を有した外殻部材と、前記外殻部材とリア部材との間に位置し外郭部材と湯水が流入する空間を形成する中間部材を備え、外殻部材と中間部材との間には閉塞部材が位置し、
中間部材には、閉塞部材よりフロント部材側に湯水を供給するシャワー流路と、閉塞部材よりリア部材側に湯水を供給するミスト流路とが設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のミスト発生装置。
【請求項7】
フロント部材は、リア部材との重ね合わせ面に対して摺動回転可能であって、
フロント部材を回転させた所定の位置においては、シャワー流路とミスト流路のうちの一方の流路が閉鎖されると共に他方の流路が開放されることを特徴とする請求項6に記載のミスト発生装置。
【請求項8】
閉塞部材は、フロント部材及びリア部材と比較して軟質の合成樹脂又は弾性材であり、複数の噴射部に跨って配される程度の大きさであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のミスト発生装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−5707(P2012−5707A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145506(P2010−145506)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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