説明

ミニディスク記録再生装置

【課題】ミニディスクを挿入してから再生を開始するまでに要する時間を短縮することができるミニディスク記録再生装置を提供する。
【解決手段】ミニディスク記録再生装置は、オーディオエリア5に記録されたオーディオデータを読み出すためのピックアップと、ピックアップによってオーディオエリア5から読み出されたオーディオデータを再生するための音声信号処理器とを具備しており、ピックアップは、TOCエリア2に記録された固有データを読み出すことなくUTOCエリア4に記録された管理情報を読み出した後、オーディオエリア5に記録されたオーディオデータを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ミニディスク(MD)記録再生装置の起動方法に関し、特に、レコーダブルディスクの記録再生において電源の投入あるいはディスクの挿入から、再生あるいは記録開始までの起動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
信号をデジタル信号の状態で記録再生するディスク媒体として、ミニディスク、すなわち、MDが知られている。このミニディスクにおいては、カートリッジの内部に光磁気ディスクが収納されており、その光磁気ディスク上に形成された1本のらせん状のトラックにデジタル信号が記録再生される。
【0003】
図9は従来のミニディスク記録再生装置90の構成を示すブロック図であり、図10はミニディスク記録再生装置90によってデジタル信号が記録再生されるミニディスク91の構成を説明するための模式図である。
【0004】
ミニディスク91には、内周側にTOCエリア92がドーナッツ形状に配置されている。TOCエリア92に形成されたトラックには、ミニディスク91に固有な固有データが記録されている。固有データは、例えばミニディスク91の記録時間を示すデータと、記録時にこのミニディスク91に書き込みを行うために必要なレーザーパワーを示す情報等とを含んでいる。このTOCエリア92に記録された固有データは編集することができない。従って、ユーザーはこのTOCエリア92への書き込みはできない。
【0005】
TOCエリア92の外側に隣接して、レコーダブルエリア93が配置されている。レコーダブルエリア93には、グルーブによって構成されるトラックが形成されている。レコーダブルエリア93は、TOCエリア92の外側に隣接して配置されたUTOCエリア94とUTOCエリア94の外側に配置されたオーディオエリア95とオーディオエリア95の外側に配置されたリードアウトエリア96とを含んでいる。
【0006】
オーディオエリア95に形成されたトラックには、オーディオデータが記録されている。ミニディスクの場合、オーディオデータはATRACに従って圧縮されたデータである。
【0007】
UTOCエリア94に形成されたトラックには、オーディオエリア95に記録されたオーディオデータを管理するための管理情報が記録されている。管理情報は、ユーザーが記録を行ったときに使用されたクラスタの情報とオーディオエリア95に記録されたオーディオデータによって表される曲の曲名等のデータとを含んでいる。リードアウトエリア96は、トラックの終了を表すものである。
【0008】
ミニディスク記録再生装置90は、光学ピックアップ97を備えている。光学ピックアップ97は、ミニディスク91に配置されたオーディオエリア95に記録されたオーディオデータを読み出すために設けられており、図示しない駆動回路によってミニディスク91の半径方向に沿って移動自在に設けられている。
【0009】
ミニディスク記録再生装置90には、音声信号処理部98が設けられている。音声信号処理部98は、光学ピックアップ97によって読み出されたオーディオデータを処理するために設けられている。
【0010】
ミニディスク記録再生装置90は、メモリ99を備えている。メモリ99は、光学ピックアップ97によって読み出されたオーディオデータを格納する。
【0011】
再生時には、光学ピックアップ97はミニディスク91にレーザー光を照射し、その反射光に基づいて、ミニディスク91に記録されたオーディオデータを読み取る。ミニディスクの場合、オーディオデータはATRACに従って、圧縮されたデータである。読み取られたオーディオデータは、音声信号処理部98に入力される。そしてオーディオデータは、圧縮されたままの状態でメモリー99へと格納される。
【0012】
メモリー99に格納されたオーディオデータの量が所定の一定量を超えると、音声信号処理部98はメモリー99から圧縮されたオーディオデータを取り出し、圧縮されたオーディオデータを伸長する。伸長されたオーディオデータは、音声データとして出力される。
【0013】
また、記録時において、音声信号処理部98に音声データが入力されると、入力された音声データはATRACに従って圧縮されて、メモリー99へ格納される。メモリー99に格納された圧縮データは、ミニディスク91に間欠的に記録される。なお、光学ピックアップ97は、ディスクの最内周から最外周まで移動自在である。
【0014】
従来のミニディスク記録再生装置90では、再生あるいは記録のためにミニディスク91を装置にセットすると、もしくは、ミニディスク91を挿入した状態で電源が投入されると、そのミニディスク91のTOCエリア92に記録された固有データおよびUTOCエリア94に記録された管理情報を読み出し、これに基づいてミニディスクの再生および記録を行う。(例えば、特開2000−339708号公報(特許文献1)参照)。
【0015】
図11は従来のミニディスク記録再生装置90の動作を示すフローチャートであり、図12R>2は従来のミニディスク記録再生装置90の動作を説明するための模式図である。以下、従来のミニディスク記録再生装置90での再生あるいは記録開始までの動作について、図1111および図12を参照して説明する。
【0016】
まず、ミニディスク記録再生装置90の電源を投入するか、ミニディスク記録再生装置90にミニディスク91を挿入することで、処理を開始する(図11におけるステップS91)。このとき、ピックアップ97の位置は、図12における位置P91に示すようにミニディスク91の最内周にある。
【0017】
次に、ミニディスク91に記録された各種信号を読み出すために、ミニディスク記録再生装置90のフォーカス、トラッキングおよびスピンドルの各サーボをオンにする(ステップS92)。前記の各サーボがオンして、ミニディスク91に記録された各種信号を読み取ることができる状態になった後で、ミニディスク91に配置されたTOCエリア92の上へピックアップ97が移動する(ステップS93)。このとき、ピックアップ97は図1212に示す位置P92にある。
【0018】
移動完了後、TOCエリア92に記録された固有データをピックアップ97が読み出す(ステップS94)。その後、ピックアップ97をUTOCエリア94の先頭へと移動させる(ステップS95)。
【0019】
しかしながら、TOCエリア92とレコーダブルエリア93とではミニディスクの物理的な構造が異なるため、ピックアップ97が横断するトラックの本数を正確にカウントすることができない。このため、一度で正確にUTOCエリア94へと移動することはできない。そのため、通常はピックアップ97が横断するトラック本数を多めにして、ピックアップ97をオーディオエリア95(図12に示す位置P93)まで移動させる。
【0020】
その後、UTOCエリア94の先頭(図12に示す位置P94)へとピックアップ97を移動する。オーディオエリア95とUTOCエリア94とは共にレコーダブルエリア93に含まれているので同一の構造である。このため、正確な移動が可能である。
【0021】
UTOCエリア94の先頭へピックアップ97が移動した後、UTOCエリア94に記録された管理情報を読み出す(ステップS96)。その後、ピックアップ97を、再生あるいは記録を開始するトラックの先頭(図12に示す位置P95)へ移動させ、再生あるいは記録を開始する(ステップS97)。
【0022】
【特許文献1】
特開2000−339708号公報
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来のミニディスク記録再生装置90では、ミニディスク91に配置されたTOCエリア92に記録された固有データとUTOCエリア94に記録された管理情報とを順番に読み出してから、再生あるいは記録を開始する。このため、ユーザーがミニディスク91をミニディスク記録再生装置90に挿入してからすぐにオーディオデータを再生しようとしても、音声が出るまでには時間がかかるという問題がある。
【0024】
本発明の目的は、ミニディスクを挿入してから再生を開始するまでに要する時間を短縮することができるミニディスク記録再生装置を提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るミニディスク記録再生装置は、ミニディスクに記録されたオーディオデータを記録再生するためのミニディスク記録再生装置であって、前記ミニディスクには、前記オーディオデータが記録されたオーディオエリアと前記オーディオデータの管理情報が記録されたUTOCエリアと前記ミニディスクに固有な固有データが記録されたTOCエリアとが配置されており、前記オーディオエリアに記録された前記オーディオデータを読み出すためのピックアップと、前記ピックアップによって前記オーディオエリアから読み出された前記オーディオデータを再生するための音声信号処理器とを具備しており、前記ピックアップは、前記TOCエリアに記録された前記固有データを読み出すことなく前記UTOCエリアに記録された前記管理情報を読み出した後、前記オーディオエリアに記録された前記オーディオデータを読み出すことを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】
本実施の形態に係るミニディスク記録再生装置では、ピックアップは、TOCエリアに記録された固有データを読み出すことなくUTOCエリアに記録された管理情報を読み出した後、オーディオエリアに記録されたオーディオデータを読み出す。このため、オーディオエリアに記録されたオーディオデータの再生を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【0027】
前記音声信号処理器は、前記ピックアップによって前記UTOCエリアから読み出された前記管理情報に基づいて前記オーディオデータを再生することが好ましい。
【0028】
前記オーディオエリアは、ドーナッツ型の形状をしており、前記UTOCエリアは、前記オーディオエリアの内側に配置されていることが好ましい
前記TOCエリアは、前記UTOCエリアの内側に配置されていることが好ましい
前記オーディオエリアに記録された前記オーディオデータは、圧縮されており、前記音声信号処理器は、前記圧縮されたオーディオデータを伸長することが好ましい。
【0029】
前記ピックアップによって読み出された前記圧縮されたオーディオデータを格納するためのメモリをさらに具備しており、前記音声信号処理器は、前記メモリに格納された前記圧縮されたオーディオデータを伸長することが好ましい。
【0030】
前記ピックアップは、前記オーディオエリアの上へ移動した後、前記UTOCエリアの上へ移動して、前記管理情報を読み出すことが好ましい。
【0031】
前記ピックアップは、前記ピックアップによって読み出された前記オーディオデータを前記音声信号処理器が再生している間に、前記TOCエリアに記録された前記固有データを読み出すことが好ましい。
【0032】
前記ピックアップによって読み出された前記圧縮されたオーディオデータを格納するためのメモリをさらに具備しており、前記ピックアップは、前記メモリに格納された前記圧縮されたオーディオデータの量が所定値以上である間に、前記TOCエリアに記録された前記固有データを読み出すことが好ましい。
【0033】
記録開始時に前記TOCエリアに記録された前記固有データの読み込みを行ったかどうかを判定し、前記固有データの読み込みを行っている場合はそのまま記録を実行し、前記固有データの読み込みを行っていない場合は前記ミニディスクへオーディオデータを記録する前に一度だけ、前記TOCエリアに記録された前記固有データを読み込んでから記録を実行することが好ましい。
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0035】
(実施の形態1)
図1は実施の形態1に係るミニディスク記録再生装置100の構成を示すブロック図である。ミニディスク記録再生装置100は、ミニディスク1に記録されたオーディオデータを記録再生する。
【0036】
図2はミニディスク記録再生装置100によって記録再生されるミニディスク1の構成を説明するための模式図である。
【0037】
ミニディスク1には、内周側にTOCエリア2がドーナッツ形状に配置されている。TOCエリア2に形成されたトラックには、ミニディスク1に固有な固有データが記録されている。固有データは、例えばミニディスク1の記録時間を示すデータと、記録時にこのミニディスク1に書き込みを行うために必要なレーザーパワーを示す情報等とを含んでいる。このTOCエリア2に記録された固有データは編集することができない。従って、ユーザーはこのTOCエリア2への書き込みはできない。
【0038】
TOCエリア2の外側に隣接してレコーダブルエリア3が配置されている。レコーダブルエリア3には、グルーブによって構成されるトラックが形成されている。レコーダブルエリア3は、TOCエリア2の外側に隣接して配置されたUTOCエリア4とUTOCエリア4の外側に配置されたオーディオエリア5とオーディオエリア5の外側に配置されたリードアウトエリア6とを含んでいる。
【0039】
オーディオエリア5に形成されたトラックには、オーディオデータが記録されている。ミニディスクの場合、オーディオデータはATRACに従って圧縮されたデータである。
【0040】
UTOCエリア4に形成されたトラックには、オーディオエリア5に記録されたオーディオデータを管理するための管理情報が記録されている。管理情報は、ユーザーが記録を行ったときに使用されたクラスタの情報とオーディオエリア5に記録されたオーディオデータによって表される曲の曲名等のデータとを含んでいる。リードアウトエリア6は、トラックの終了を表すものである。
【0041】
ミニディスク記録再生装置100は、光学ピックアップ7を備えている。光学ピックアップ7は、ミニディスク1のオーディオエリア5に記録されたオーディオデータを読み出すために設けられており、駆動回路10によってミニディスク1の半径方向に沿って移動自在に設けられている。
【0042】
ミニディスク記録再生装置100には、音声信号処理部8が設けられている。音声信号処理部8は、光学ピックアップ7によって読み出されたオーディオデータを処理するために設けられている。
【0043】
ミニディスク記録再生装置100は、メモリ9を備えている。メモリ9は、光学ピックアップ7によって読み出されたオーディオデータを格納する。
【0044】
再生時には、光学ピックアップ7はミニディスク1にレーザー光を照射し、その反射光に基づいて、ミニディスク1に記録されているオーディオデータを読み取る。ミニディスクの場合、オーディオデータはATRACに従って、圧縮されたデータである。読み取られたオーディオデータは音声信号処理部8に入力される。そしてオーディオデータは、圧縮されたままの状態でメモリ9へと格納される。
【0045】
メモリ9に格納されたオーディオデータが所定の一定量を超えてから、音声信号処理部8はメモリ9からオーディオデータを取り出し、圧縮データを伸長する。伸長されたオーディオデータは、音声データとして出力される。
【0046】
また、記録時には、音声信号処理部8に音声データが入力される。そして、入力された音声データはATRACに従って圧縮され、メモリ9へ格納される。メモリ9に格納された圧縮データは、ミニディスク1に間欠的に記録される。なお、光学ピックアップ7は、駆動装置10によって駆動され、ディスクの最内周から最外周まで移動自在である。
【0047】
図3はミニディスク記録再生装置100の動作を示すフローチャートであり、図4はミニディスク記録再生装置100の動作を説明するための模式図である。
【0048】
まず、ミニディスク記録再生装置100に電源を投入するか、ミニディスク1を挿入することで、処理を開始する(図3におけるステップS1)。このとき、光学ピックアップ7は、図4の位置P1に示すようにミニディスク1の最内周に位置しているものとする。ただし、本発明は、これに限定されない。光学ピックアップ7は、必ずしもミニディスク1の最内周に位置する必要はない。
【0049】
次に、ミニディスク1に記録された信号を読み出すため、フォーカス、トラッキングおよびスピンドルの各サーボをオンにする(ステップS2)。各サーボがオンして、ミニディスク1に記録された信号を読み取ることができる状態になってから、光学ピックアップ7をUTOCエリア4の先頭へと移動させる(ステップS3)。ただし、従来例と同様に、移動するトラック本数を多めして、ピックアップ7をオーディオエリア5における位置P2まで移動させる。
【0050】
その後、UTOCエリア4の先頭の位置P3へとピックアップ7を移動する。UTOCエリア4の先頭の位置P3へアクセスした後、UTOCエリア4に記録された管理データを読み出す(ステップS4)。そして、ピックアップ7を、再生を開始するオーディオエリア5のトラックの先頭の位置P4へ移動させ、ミニディスク1から読み出したオーディオデータのメモリー9への取り込みを始め、再生を開始する(ステップS5)。
【0051】
以上のように実施の形態1によれば、ミニディスク記録再生装置100にミニディスク1を挿入してから再生を開始するまでの処理において、従来の装置と比較して、TOCエリア2へのアクセス、およびTOCエリア2に記録された固有データを読み出す処理が省略されている。このため、その処理の時間だけ、従来の装置よりも、ミニディスク1を挿入してからオーディオデータの再生を開始するまでに要する時間を短縮することができる。
【0052】
(実施の形態2)
実施の形態2は、前述した実施の形態1においてオーディオデータの再生を開始(図1に示すステップS5)した後で、オーディオデータの再生中にTOCエリア2に記録された固有データを読み出す処理を追加したものである。
【0053】
図5は実施の形態2に係るミニディスク記録再生装置の動作を示すフローチャートであり、図6は実施の形態2に係るミニディスク記録再生装置の動作を説明するための模式図である。実施の形態2に係るミニディスク記録再生装置は、実施の形態1において前述したミニディスク記録再生装置100と同様に構成されている。実施の形態1において前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
【0054】
図5に示すフローチャートにおいて、ステップS1〜ステップS5は、図3を参照して前述したステップS1〜ステップS5と同一である。図6に示す位置P1〜位置P4は、図4R>4を参照して前述した位置P1〜位置P4と同一である。このように、実施の形態2においては、ミニディスク記録再生装置にミニディスクを挿入してから、ミニディスクから読み出したデータをメモリー9に取り込み、オーディオデータの再生を開始するまでの処理は、実施の形態1と同一である。
【0055】
オーディオデータの再生中に、ミニディスク1から読み出したデータはメモリー9へと蓄えられる(ステップS6)。ミニディスク1から読み出したデータは圧縮されたデータであるので、オーディオデータの再生中、ピックアップ7は常にミニディスク1上のトラックを追従している必要はない。従って、メモリー9にデータが蓄えられている間は、ピックアップ7は自由に動いても良い。
【0056】
実施の形態2においては、メモリー9に蓄えられているデータの量が所定値以上である間を利用して、TOCエリア2に記録された固有データを読み出す。
【0057】
オーディオデータを再生している間、メモリー9内のデータの残量をチェックする(ステップS7)。データの残量が所定値よりも少ない場合は(ステップS7においてNO)、データの残量が十分になるまで待機するために、ステップS6へ戻る。データの残量が所定値以上になった場合には(ステップS7においてYES)、ピックアップ7を現在の再生アドレスからTOCエリア2の先頭の位置P5へ移動させる(ステップS8)。
【0058】
TOCエリア2の先頭の位置P5へ移動完了後、TOCエリア2に記録された固有データを読み込む(ステップS9)。TOCエリア2に記録された固有データの読み込みが完了した後、ピックアップ7を再生アドレス(位置P6)へと復帰させ、ミニディスク1からのオーディオデータの読み込みを再開する(ステップS10)。
【0059】
なお、メモリー9に格納されたデータの残量がゼロになると、音飛びが発生するため、図5R>5に示すステップS8からステップS10までの処理は、メモリー9内のデータ残量がゼロになる前に完了するようにしなければならない。
【0060】
以上のように実施の形態2によれば、ミニディスク1を挿入してからオーディオデータの再生を開始するまでに要する時間を、前述した実施の形態1による効果と同様に従来の装置よりも短縮できることに加えて、記録時に必要となるTOCエリアの固有データの読み込みも可能になるため、再生終了直後に記録要求があった場合でも、TOCエリアに記録された固有データを読み込む必要がなく、すぐに記録を開始することができる。
【0061】
(実施の形態3)
実施の形態3は、前述した実施の形態1においてUTOCエリアの管理データの読み込み(図3に示すステップS4)が完了した後で、あるいは、オーディオデータの再生を開始した(図3に示すステップS5)後で、記録動作を行うときの処理に関している。
【0062】
図7は実施の形態3に係るミニディスク記録再生装置の動作を示すフローチャートであり、図8は実施の形態3に係るミニディスク記録再生装置の動作を説明するための模式図である。実施の形態3に係るミニディスク記録再生装置は、実施の形態1において前述したミニディスク記録再生装置100と同様に構成されている。実施の形態1において前述した構成要素と同一の構成要素には同一の参照符号を付している。従って、これらの構成要素の詳細な説明は省略する。
【0063】
実施の形態3では、ミニディスク記録再生装置100にミニディスク1を挿入した後、UTOCエリア4に記録された管理データの読み込みを完了するまでは、前述した実施の形態1と同一の処理を行い(図3に示すステップS1〜ステップS4)、すぐに記録要求がされたものとして説明する。
【0064】
ミニディスクではディスクにデータを圧縮して記録するため、ユーザーから記録の要求があると、音声入力データを音声信号処理部8によって取り込み、取り込んだ音声入力データの圧縮を開始する(ステップS31)。そして、圧縮された音声入力データはメモリー9に取り込まれる。
【0065】
次に、TOCエリア2に記録された固有データを読み込んだことがあるか否かを判定する(ステップS32)。TOCエリア2に記録された固有データを未だ読みこんでいない場合には(ステップS32においてNO)、記録時に必要となるレーザーパワーを示す情報がわからないので、実際にディスクに情報を記録することはできない。そのため、メモリー9に圧縮データを取り込んでいる期間を利用して、TOCエリア2に記録された固有データを読み込む。
【0066】
まず、ピックアップ7を記録開始アドレス(図8に示す位置P7)から、TOCエリア2の先頭の位置P8へ移動させる(ステップS33)。TOCエリア2の先頭の位置P8へ移動した後、TOCエリア2に記録された固有データを読み込む(ステップS34)。TOCエリア2に記録された固有データの読み込みを完了した後、再びピックアップ7を記録開始アドレスを表す位置P9へ移動(ステップS35)させ、メモリー9に格納されているデータのミニディスク1への記録を開始する(ステップS36)。
【0067】
ただし、前述したTOCエリア2の固有データの読み込みの処理は、メモリー9が満杯になるまでに終えなければならない。TOCエリア2に記録された固有データを既に読み込んでいる場合は(ステップS32においてYES)、再度TOCエリア2の固有データを読み込む必要はないので、図7に示すステップS33〜ステップS35の処理は必要なく、そのまま記録を開始する(ステップS36)。
【0068】
以上のように実施の形態3によれば、前述した実施の形態1による効果と同様にミニディスクを挿入してからオーディオデータの再生開始までに要する時間を従来の装置よりも短縮できることに加えて、TOCエリア2に記録された固有データを未だ読み込んでない時に記録開始の要求があっても、正常に記録動作を行うことが可能である。
【0069】
従来のミニディスク記録再生装置では、ミニディスクを挿入してから、再生および記録するまでの処理は共通であるため、開発の効率は良かった。これに対して実施の形態1〜実施の形態3に係るミニディスク記録再生装置では、再生時と記録時とで若干フローを別のものにするため、従来の方法と比較して開発の効率は少し悪くなるけれども、それ以上に、製品化時において、ミニディスクを挿入してからオーディオデータの再生を開始するまでに要する時間の短縮に顕著な効果がある。
【0070】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、ミニディスクを挿入してから再生を開始するまでに要する時間を短縮することができるミニディスク記録再生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係るミニディスク記録再生装置の構成を示すブロック図
【図2】実施の形態1に係るミニディスク記録再生装置によって記録再生されるミニディスクの構成を説明するための模式図
【図3】実施の形態1に係るミニディスク記録再生装置の動作を示すフローチャート
【図4】実施の形態1に係るミニディスク記録再生装置の動作を説明するための模式図
【図5】実施の形態2に係るミニディスク記録再生装置の動作を示すフローチャート
【図6】実施の形態2に係るミニディスク記録再生装置の動作を説明するための模式図
【図7】実施の形態3に係るミニディスク記録再生装置の動作を示すフローチャート
【図8】実施の形態3に係るミニディスク記録再生装置の動作を説明するための模式図
【図9】従来のミニディスク記録再生装置の構成を示すブロック図
【図10】従来のミニディスク記録再生装置によって記録再生されるミニディスクの構成を説明するための模式図
【図11】従来のミニディスク記録再生装置の動作を示すフローチャート
【図12】従来のミニディスク記録再生装置の動作を説明するための模式図
【符号の説明】
1 ミニディスク
2 TOCエリア
4 UTOCエリア
5 オーディオエリア
7 ピックアップ
8 音声信号処理部
9 メモリ
100 ミニディスク記録再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミニディスクに記録されたオーディオデータを記録再生するためのミニディスク記録再生装置であって、
前記ミニディスクには、前記オーディオデータが記録されたオーディオエリアと前記オーディオデータの管理情報が記録されたUTOCエリアと前記ミニディスクに固有な固有データが記録されたTOCエリアとが配置されており、
前記オーディオエリアに記録された前記オーディオデータを読み出すためのピックアップと、
前記ピックアップによって前記オーディオエリアから読み出された前記オーディオデータを再生するための音声信号処理器とを具備しており、
前記ピックアップは、前記TOCエリアに記録された前記固有データを読み出すことなく前記UTOCエリアに記録された前記管理情報を読み出した後、前記オーディオエリアに記録された前記オーディオデータを読み出すことを特徴とするミニディスク記録再生装置。
【請求項2】
前記音声信号処理器は、前記ピックアップによって前記UTOCエリアから読み出された前記管理情報に基づいて前記オーディオデータを再生する、請求項1記載のミニディスク記録再生装置。
【請求項3】
前記オーディオエリアは、ドーナッツ型の形状をしており、前記UTOCエリアは、前記オーディオエリアの内側に配置されている、請求項1記載のミニディスク記録再生装置。
【請求項4】
前記TOCエリアは、前記UTOCエリアの内側に配置されている、請求項1記載のミニディスク記録再生装置。
【請求項5】
前記オーディオエリアに記録された前記オーディオデータは、圧縮されており、
前記音声信号処理器は、前記圧縮されたオーディオデータを伸長する、請求項1記載のミニディスク記録再生装置。
【請求項6】
前記ピックアップによって読み出された前記圧縮されたオーディオデータを格納するためのメモリをさらに具備しており、
前記音声信号処理器は、前記メモリに格納された前記圧縮されたオーディオデータを伸長する、請求項5記載のミニディスク記録再生装置。
【請求項7】
前記ピックアップは、前記オーディオエリアの上へ移動した後、前記UTOCエリアの上へ移動して、前記管理情報を読み出す、請求項1記載のミニディスク記録再生装置。
【請求項8】
前記ピックアップは、前記ピックアップによって読み出された前記オーディオデータを前記音声信号処理器が再生している間に、前記TOCエリアに記録された前記固有データを読み出す、請求項1記載のミニディスク記録再生装置。
【請求項9】
前記ピックアップによって読み出された前記圧縮されたオーディオデータを格納するためのメモリをさらに具備しており、
前記ピックアップは、前記メモリに格納された前記圧縮されたオーディオデータの量が所定値以上である間に、前記TOCエリアに記録された前記固有データを読み出す、請求項1記載のミニディスク記録再生装置。
【請求項10】
記録開始時に前記TOCエリアに記録された前記固有データの読み込みを行ったかどうかを判定し、前記固有データの読み込みを行っている場合はそのまま記録を実行し、前記固有データの読み込みを行っていない場合は前記ミニディスクへオーディオデータを記録する前に一度だけ、前記TOCエリアに記録された前記固有データを読み込んでから記録を実行する、請求項1記載のミニディスク記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2004−272960(P2004−272960A)
【公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−59143(P2003−59143)
【出願日】平成15年3月5日(2003.3.5)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】