説明

ミラーステー用カバー部材の排水構造

【課題】アウトサイドミラーを支持する支持ステーを囲繞するカバー部材の上面壁に雨水を導く凹部を形成し、ガイド部材によって雨水をドリップレール内に導き、乗降口を通過する乗員、乗客に滴がかからないようにして、低コストで商品性の向上を図るミラーステー用カバー部材を提供することを目的とする。
【解決手段】LHアウトサイドミラー3を支持するミラ―ステー33を囲繞するミラーステーカバー5の上面壁中央部を陥没させた雨水の貯溜部514と、貯溜部514の周囲を形成する突条515の車体側一部分を貯溜部514の底面512まで切下げた流出部511と、乗降用開口部の上縁部に沿ったドリップモール6と、ドリップモール6と流出部511との間に雨水をドリップモール6に導くガイド部材13を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の前部外側面に装着されるアウトサイドミラー取付用ステーを囲繞してその外観を向上させるカバー部材の排水構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、特に観光バス等においては、車両の性能と共に、外観の見栄え等を重視する傾向が図られてきている。図1に示されるように、バスの車体1の前部で、乗降用ドア2の上側のアウトレットグリル4部に左側アウトサイドミラー3(以後、LHサイドミラーと記載する)が装着されている。アウトレットグリル4の上縁には車体前後方向全域に天井からの雨水を受けるルーフ用ドリップレール10が配設される構造となっている。
【0003】
図6に従来技術におけるLHサイドミラー03の取付部に相当する図1のZ部拡大図を示す。
アウトレットグリル04の下縁にはアウトレットグリル04に吹付けた雨水を受けるドリップモール06が配設されている。ルーフ用ドリップレール05及び、ドリップモール06で受けた雨水は車体01のフロントピラーに沿って上下方向に配設されたピラードリップレール08を介して地上に流される。LHサイドミラー03はアウトレットグリル04の下部で且つ、ドリップモール06の上側に装着されている。
【0004】
図7は図6のD−D断面を示し、LHサイドミラー03の車体01への取付構造として表されている。LHサイドミラー03は車体01の左側側面近傍の路上と車体01の後方を映し出すバックミラー031と、車体01の前面近傍の路上を映し出すフロントアンダーミラー032と、バックミラー031及び、フロントアンッダーミラー032を支持する断面形状が矩形で車体01に取付けられるミラーステー033と、ミラーステー033を覆う上側ミラーステーカバー034と、該上側ミラーステーカバー034とでミラーステー033を囲繞する下側ミラーステーカバー035とから構成されている。
【0005】
ミラーステー033は車体01のミラーステー033は車体01の補強フレーム11に固定され、上下方向の下側が車幅方向外側へ傾斜した傾斜面を取付面040とした取付ブラケット039に固定されている。取付ブラケット039にはミラーステー033を取付けるためのボルト036が貫通する孔と、該孔に対応したステー取付ブラケット039の裏側にボルト036が螺合するナット038が溶接されている。
尚、バックミラー031及び、フロントアンダーミラー032は安全性向上のため広範囲の視界を確保するため大型化してきており、重量が重くなってきている。
そのため、車体1のドア開口部上部で車両前後方向に配設され、上下に間隔を有した対の補強フレーム011にステー取付ブラケット039を固定した構造としている。
尚、シールプレート012はステー取付ブラケット039の外周形状に対向する部分が切抜かれた切欠き部を有している。ステー取付ブラケット039は切欠き部を貫通して、補強フレーム011に直接溶着されている。切欠き部内周部も補強フレーム011に全周溶接されている。
また、図7に示すように、断面矩形状のミラーステー033の縦壁面が略垂直になるように取付ける必要がある。
ミラーステー033の取付部構造は、ミラーステー033を貫通した取付パイプ037の軸線が取付面040に対し直角になるように、ミラーステー033の縦壁に対し取付パイプ037を傾斜してミラーステー033に固着されている。
これは、断面矩形状のミラーステー033の縦壁面が略垂直になるように配置されることにより、ミラーステー033の先端部に取付けられたバックミラー031が車両前方視において、車幅方向へ傾斜しないようになっている。
【0006】
ミラーステー033はボルト036によって、ステー取付ブラケット039に固定された後に、上側ミラーステーカバー034をミラーステー33にネジ(図示省略)にて固定し、次に、下側ミラーステーカバー035をミラーステー033にネジ(図示省略)にて固定する構造となっている。(ミラーステーカバーの取付順序は特に問わない)
尚、図6のGがネジの取付位置を示している。
【0007】
ところが、図7に示すように、上側ミラーステーカバー034の上面は車幅方向外側に下方へ傾斜しているため、上側ミラーステーカバー034に降った雨水が下方へ落下(図7の破線矢印イ)していく。
更に、上側ミラーステーカバー034及び、下側ミラーステーカバー035の車体側壁面と、取付ブラケット039の取付面040及びアウトレットグリル04の外表面との間には隙間があり、上側ミラーステーカバー034に降った雨水の一部と、アウトレットグリル04の外表面に付着及び吹付けた雨水は取付ブラケット039の取付面040を伝わって下方へ落下(図8の破線矢印ロ)していく。
ミラーステー033の取付部は乗降用ドア02の上方に位置するため、乗降口を通過する乗員、乗客に雨水の滴が被水する不具合を有している。
【0008】
また、別の先行技術として特開2007―22358号公報(特許文献1)が開示されている。特許文献1の図1及び図2によると、ステーアーム5,6を覆うカバー12を車外側カバー13と、車内側から覆う車内側カバー14とからなる2分割構造としたカバー構造が開示されている。
また、図6によると、ミラーステー4の基端を固定する固定具8がフロントピラー(自動車1のボデー)に固定している構成が開示されている。
この場合、前記に記述した、乗降客、乗員への雨水の滴があたる不具合は少ないが、大型化して重量の重いバックミラーをフロントピラーに取付けるには、フロントピラーに多くの補強材を追加する必要があり、補強材費、補強材の加工費、重量等が必要となり、構成が複雑でコストが高くなる懸念を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007―22358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、アウトサイドミラーを支持する支持ステーを囲繞するカバー部材の上面壁に雨水を導く凹部を形成し、ガイド部材によって雨水をドリップレール内に導き、乗降口を通過する乗員、乗客に滴がかからないようにして、低コストで商品性の向上を図るミラーステー用カバー部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明はかかる目的を達成するもので、車体前部の乗降用開口部上方の外側面に装着され、アウトサイドミラーを支持するミラ―ステーを囲繞する筒状のミラーステー用カバー部材の排水構造において、前記ミラーステー用カバー部材の上面壁の中央部を陥没させた雨水の貯溜部と、前記貯溜部周囲を形成する突条の前記外側面側の一部分を前記貯溜部の底面まで切下げ、雨水を流出させる流出部と、前記乗降用開口部の上縁部に沿って配設された排水用のドリップモールと、該ドリップモールと前記流出部との間に介装され、前記流出部からの雨水を前記ドリップモールに導くガイド部材とを備えたことを特徴とする。
【0012】
かかる発明によれば、ミラーステー用カバー部材の上面壁に溜まった雨水は流出部からガイド部材を介してドリップモールに導かれるので、ミラーステー用カバー部材から落下する水滴により、乗降口を通過中の乗客、乗員への被水が防止でき、車両の商品性を向上させることが可能となる。
【0013】
また、本願発明において好ましくは、前記ガイド部材は前記ミラーステーを前記乗降用開口部上方の外側面に取付ける取付ブラケットであり、前記取付ブラケットの上面壁は車体中心側に向け下方へ傾斜し、前記上面壁の車幅方向外側縁部を前記カバー部材の前記車体外側面と対向する面で前記流出部の下方位置に開口された開口孔に遊嵌させて、前記流出部からの雨水が前記ブラケットを伝わり前記ドリップモールに導かれるようにようにするとよい。
【0014】
かかる発明によれば、支持ステーの取付面は重力方向に配設され、前記カバー部材の前記車体外側面と対向する面の前記流出部の下方位置に開口された開口孔に遊嵌させることにより、ミラーが支持されるミラーステーが取付けられる取付ブラケットをガイド部材として併用させることで、部品点数の増加が抑制でき、コストの上昇を防止する効果を有する。
【0015】
また、本願発明において好ましくは、前記ガイド部材は前記ミラーステーを前記乗降用開口部上方の外側面に取付けられると共に、上面壁が車体中心側に向け下方へ傾斜した取付ブラケットと,一端が前記取付ブラケットに固着され、他端が前記流出部の下方位置に開口された開口孔に嵌入すると共に、車体前後方向幅が前記流出部と同等又はそれ以上の幅を有した板状部材とで構成され、前記流出部からの雨水を前記板状部材及び前記取付ブラケットとを介して前記ドリップモールへ導くようにするとよい。
【0016】
かかる発明によれば、流出部の幅に対して、同等又はそれ以上の幅を有する板状部材にて、流出部からの雨水を受けて、取付ブラケットを介してドリップモールに導くようにしたので、乗降口を通過中の乗客、乗員に被水することが更に、効果的に防止でき、車両の商品性を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カバー部材の上面壁の凹部に溜まった雨水は流出部から、ガイド部材を介してドリップモールに導かれる構造としたので、乗降口を通過中の乗客、乗員に水滴が被水することが防止でき、車両の商品性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】LHサイドミラーを車体に装着した状態体の外観概略図を示す。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車体取付部である図1のZ部の拡大斜視図を示す。
【図3】図2のA−A断面を示す。
【図4】図2のB−B断面を示す。
【図5】本発明の第2実施形態に係る図2のC−C断面を示す。
【図6】従来技術に係る車体取付部である図1のZ部の拡大斜視図を示す。
【図7】図6のD−D断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。
但し、この第1実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態における車体1の前部で乗降用開口部を開閉する乗降用ドア2の上方に取付けられたLHサイドミラー3を示し、図2は図1のZ部(取付部)の拡大斜視図である。LHサイドミラー3の取付部は、乗降用ドア2の開口部の前側部分に取付けられている。
図3は図2のA−A断面を示す。
乗降用ドア2開口部の上方部分は開口部の補強のため、断面が角柱パイプの補強フレーム11が上下方向に間隔を有し、且つ補強フレーム11が車室内側に変位した状態で傾斜していると共に、車両前後方向に2本配設されている。補強フレーム11には車室内と車室外を仕切るシールプレート12が溶接で固着されている。
尚、シールプレート12はステー取付ブラケット13の外周形状に対向する部分が切抜かれ、ステー取付ブラケット13が貫通する切欠き部121を有している。切欠き部121の内周部は補強フレーム11に全周溶接されている。
補強フレーム11には、断面コ字状で、車両前後方向が閉塞された5面体のボックス状のガイド部材であるミラーステー33が取付けられる取付ブラケット13がシールプレート12の切欠き部121を貫通して溶接接合されている。取付ブラケット13は外側縁134の上下方向の下側が車幅方向外側へ傾斜した傾斜面を有し、該傾斜面をミラーステー33が取付けられる取付面131としている。取付ブラケット13にはミラーステー33を取付けるためのボルト35が貫通する孔と、該孔に対応した取付ブラケット13の裏側にボルト35が螺合するナット133が溶接されている。
取付ブラケット13の車幅方向外側面は断面矩形状のミラーステー33が取付けられる取付面131となっており、該取付面131はシールプレート12の傾斜に沿って下側が車幅方向外側へ傾斜した状態で配置されている。
また、取付ブラケット13の上壁面132は取付面131と略直角に屈曲しており、車体中心側が下方へ傾斜した状態になっている。
【0021】
一方、ミラーステー33の取付部構造は断面矩形状のミラーステー33の縦壁面が略垂直になるように車体1に取付けられる必要がある。
従って、断面矩形状のミラーステー33の縦壁面を貫通した取付パイプ34の軸線が取付面131に対し直角になるように、取付パイプ34をミラーステー33の縦壁に対し傾斜して貫通して、ミラーステー33に固着されている。
これは、断面矩形状のミラーステー33の縦壁面が略垂直になるように配置されることにより、ミラーステー33の先端部に取付けられたバックミラー53が車両前方視において、車幅方向へ傾斜しないようになっている。車体1の左側路面及び後方をドライバーが確認しやすいようにするためである。
取付面131にはミラーステー33を斜めに貫通したパイプ34の端部が当接されている。ミラーステー33はボルト35をパイプ34に通し、取付ブラケット13に固着されているナット133に螺合して車体に取付けられる。
【0022】
ミラーステー33はミラーステーカバー5によって囲繞されている。ミラーステーカバー5は上側ミラーステーカバー51と下側ミラーステーカバー52とによって構成され、上側ミラーステーカバー51は上側から図示されていないボルトによってミラーステー33の上面に固定される。513は上側ミラーステーカバー51の上面壁が変形するのを防止する補強部である。(ボルトの位置は図2のボルト取付孔516,517である。)
また、下側ミラーステーカバー52は下側から図示されていないボルトによってミラーステー33の下面に固定される。
【0023】
図3及び図4に示すように、ミラーステーカバー5の車体1と対向する面には取付ブラケット13の取付面131を含む外側縁部が遊嵌する開口部521が設けられている。開口部521は上側ミラーステーカバー51と下側ミラーステーカバー52とにより構成されている。
上側ミラーステーカバー51の上面壁には中央部が陥没した雨水の貯溜部514(図2参照)が形成されている。貯溜部514の周囲を形成する突条515にはアウトレットグリル4側(車体側)の一部で、取付ブラケット13の車両前後方向幅と略同等か、又は、それより小さい幅で、貯溜部514の底部512まで切下げた雨水の流出部511が配設されている。
ミラーステーカバー5とシールプレート12との間には、アウトレットグリル4が介装されており、アウトレットグリル4は取付ブラケット13と対向する部分を切欠いて、該切欠き部41と取付ブラケット13の外周部との間に隙間を有して外嵌している。
【0024】
ミラーステーカバー5の貯溜部514に集められた雨水は、図3に破線で示すように、流出部511から上側ミラーステーカバー51とアウトレットグリル4との隙間から、ガイド部材である取付ブラケット13の上面壁132に落下する。取付ブラケット13の上面壁132は車体中心側が下方へ傾斜した状態になっているので、落下した雨水の大部分は車体中心側に流れ、取付ブラケット13の前後壁と、該前後壁部分とシールプレート12との接合部分を伝わって、ドリップモール6に導かれる。ドリップモール6に導かれた雨水はドリップモール6の車両前部のフロントピラー側部にフロントピラーに沿って車両の上下方向に配設されているピラードリップ14に導かれて地上に排水される。
【0025】
また、取付ブラケット13の取付面131を伝わった雨水は下側ミラーステーカバー5の内部を前方に流れ、乗降用開口部の前端縁より前方に位置する排水孔(図示省略)から地上に排水される。
【0026】
一方、アウトレットグリル4の取付ブラケット13を外嵌していない部分が被水した雨水は、直接ドリップモール6に導かれ、取付ブラケット13を外嵌している部分は上側ミラーステーカバー51とアウトレットグリル4との隙間から、ガイド部材である取付ブラケット13の上面壁132に落下して、流出部511からの雨水と同じようにドリップモール6に導かれて排水される。
【0027】
第1実施形態によると、雨水を貯留する貯溜部514を設け、ミラーステーカバー5に設けた開口部521に取付ブラケット13の取付面131を含む外側縁部が嵌入した構造になっているので、該貯溜部514の流出部511から流出した雨水は、取付ブラケット13の上面壁132が雨水の流れのガイド(上面壁132の車体中心側が下方へ傾斜している)となり、確実にドリップモール6に雨水を導くので、乗降口を通過する乗客、乗員がミラーステーカバー5からの雨水を被水するのを確実に防止できる。
また、取付ブラケット13をガイド部材として兼用させたので、部品の増加を防ぎ、コスト上昇を抑制できる効果を有する。
【0028】
(第2実施形態)
図5に基づいて説明する。図5は第2図のC−C断面を示す。
尚、車体1へのミラーステー33を、ミラーステー33にミラーステーカバー9を取付る構造は第1実施形態と同じなので説明を省略する。
また、第1実施形態と同じ部材については同一の符号を付す。
【0029】
ミラーステーカバー9は上側ミラーステーカバー91と下側ミラーステーカバー92とで構成されている。上側ミラーステーカバー91の上壁面には中央部が陥没した雨水の貯溜部914(図2参照)が形成されている。貯溜部914の周囲を形成する突条915(第1実施形態の符号315相当)のアウトレットグリル4側(車体側)の一部で、取付ブラケット13の車両前後方向幅と略同等か、又は、それより小さい幅で、貯溜部914の底部912まで切下げた雨水の流出部911が配設されている。
【0030】
ミラーステーカバー9の取付ブラケット13と対向する壁面には流出部911の下方部で取付ブラケット13のミラーステー33が取付けられる取付面131に対向した部分で、且つ車両前後方向幅が流出部63よりより大きい開口部921が設けられている。
尚、開口部921は上側ミラーステーカバー91と下側ミラーステーカバー92とで構成されている。
取付ブラケット13と開口部921間にはガイド板8が介装されている。ガイド板8は一端が取付ブラケット13の上壁面132に固着され、他端がミラーステーカバー9の開口部921を貫通してミラーステーカバー9の内部に位置している。
【0031】
また、ガイド板8は車両前後方向の前後の両端縁及び、他端側の端縁が上方へ屈曲したフランジ部を有している。(他端側の端縁のフランジ81のみ図示)
更に、ガイド板8は車両前後方向幅が流出部911と略同等又は、大きくなっている。
また、ミラーステーカバー9とシールプレート12との間には、アウトレットグリル4が介装されており、取付ブラケット13の外周部とガイド板8が貫通する部分を切欠いて、該切欠き部41と取付ブラケット13及び、ガイド板8との間に隙間を有して外嵌している。
【0032】
ガイド板8にフランジ部81を設けることにより、走行中または、車両が若干傾斜(特に左側が下方へ傾斜)した路面に停車した時に、雨水がミラーステーカバー9内に多く流入するのを防止するためである。
ミラーステーカバー9内に多く流入すると、ミラーステーカバー9の先端側8(乗降口より前方位置)に設けた排水孔(図示省略)からの水滴が、風の向き等により、フロントガラス7又は、乗降口に風にのって流され視界不良、乗客乗員への被水等の不具合を防止できる。
【0033】
ミラーステーカバー9の貯溜部914に集められた雨水は、図5に破線で示すように、流出部911から上側ミラーステーカバー91とアウトレットグリル4との隙間から、ガイド板8に流れ、ガイド板8から取付ブラケット13の上面壁132に導入される。取付ブラケット13の上面壁132は車体中心側が下方へ傾斜した状態になっているので、落下した雨水の大部分は車体中心側に流れ、取付ブラケット13の前後壁と、該前後壁部分のシールプレート12を伝わって、ドリップモール6に導かれる。ドリップモール6に導かれた雨水はドリップモール6の車両前部のフロントピラー側部にフロントピラーに沿って車両の上下方向に配設されているピラードリップ(図示省略)に導かれて地上に排水される。
従って、第2実施形態におけるガイド部材はガイド板8と取付ブラケット13とによって構成している。
【0034】
一方アウトレットグリル4が被水した雨水はガイド板8のない部分については直接ドリップモール6に導かれ、ガイド板8の有る部分は上側ミラーステーカバー91とアウトレットグリル4との隙間から、ガイド部材を構成するガイド板8と取付ブラケット13の上面壁132に導かれ、流出部911からの雨水と合流してドリップモール6に導かれる。
【0035】
流出部911の幅に対して、同等又はそれ以上の幅を有するガイド板8にて、流出部911からの雨水を受けて、取付ブラケット13を介してドリップモール6に導くようにしたので、乗降口を通過中の乗客、乗員に被水することが更に、効果的に防止でき、車両1の商品性を向上させることが可能となる。
また、車両が若干傾斜(特に左側が下方へ傾斜)した路面に停車した時に、ガイド板8にフランジ部81を設けることにより、ミラーステーカバー9内に流入する雨水を抑制して、ミラーステーカバー9の先端側(乗降口より前方位置)に設けた排水孔(図示省略)からの水滴の排水をなくすことにより、風等の影響によって滴による視界及び、乗降時における乗客、乗員への被水等の不具合を防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
車両乗降口の上方に装着されるアウトサイドミラー取付用ステーからの水滴が、乗降口を通過する乗員、乗客への被水を防止するサイドミラーステー等に用いることに適している。
【符号の説明】
【0037】
1 車体
2 乗降用ドア
3 LHサイドミラー
4 アウトレットグリル
5、9 ミラーステーカバー
6 ドリップモール
8 ガイド板
12 シールプレート
13 取付ブラケット
33 ミラーステー
51、91 上側ミラーステーカバー
52,92 下側ミラーステーカバー
53 バックミラー
511、911 流出部
512、912 底部
514、914 貯溜部
515、915 突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部の乗降用開口部上方の外側面に装着され、アウトサイドミラーを支持するミラ―ステーを囲繞する筒状のミラーステー用カバー部材の排水構造において、前記ミラーステー用カバー部材の上面壁の中央部を陥没させた雨水の貯溜部と、前記貯溜部周囲を形成する突条の前記外側面側の一部分を前記貯溜部の底面まで切下げ、雨水を流出させる流出部と、前記乗降用開口部の上縁部に沿って配設された排水用のドリップモールと、該ドリップモールと前記流出部との間に介装され、前記流出部からの雨水を前記ドリップモールに導くガイド部材とを備えたことを特徴とするミラーステー用カバー部材の排水構造。
【請求項2】
前記ガイド部材は前記ミラーステーを前記乗降用開口部上方の外側面に取付ける取付ブラケットであり、前記取付ブラケットの上面壁は車体中心側に向け下方へ傾斜し、前記上面壁の車幅方向外側縁部を前記カバー部材の前記車体外側面と対向する面で前記流出部の下方位置に開口された開口孔に遊嵌させて、前記流出部からの雨水が前記ブラケットを伝わり前記ドリップモールに導かれるようにしたことを特徴とする請求項1記載のミラーステー用カバー部材の排水構造。
【請求項3】
前記ガイド部材は前記ミラーステーを前記乗降用開口部上方の外側面に取付けられると共に、上面壁が車体中心側に向け下方へ傾斜した取付ブラケットと,一端が前記取付ブラケットに固着され、他端が前記流出部の下方位置に開口された開口孔に嵌入すると共に、車体前後方向幅が前記流出部と同等又はそれ以上の幅を有した板状部材とで構成され、前記流出部からの雨水を前記板状部材及び、前記取付ブラケットとを介して前記ドリップモールへ導くようにしたことを特徴とする請求項1記載のミラーステー用カバー部材の排水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−162031(P2011−162031A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26152(P2010−26152)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】