ミリスチン酸を含む組成物およびその使用
本明細書中の教唆は、ミリスチン酸を含む抗菌性および抗炎症性医薬組成物に関する。本明細書中のさらなる実施形態は、炎症および/または細菌感染を予防または治療するために、それを必要とする患者に十分な量のミリスチン酸組成物を投与する方法に関する。セチル化ミリスチン酸を含む1−TDCなどのミリスチン酸は、感染および炎症の治療において他のセチル化脂肪酸よりも優れていることが証明されている。本明細書中で提供する組成物および方法はさらに、さらなる抗炎症性、抗菌性、および送達剤とともに使用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月2日付で提出された、標題「ミリスチン酸を含む組成物およびその使用」の米国特許仮出願番号第61/309,816号(その全開示は参照により本明細書中に組み込まれる)の恩恵を主張する。
【0002】
本発明の分野は、抗菌性および抗炎症性組成物ならびにそれを必要とする患者において炎症および/または細菌感染を予防または治療するために、患者に前記組成物を投与する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
歯周炎は、特定の微生物に対する宿主反応の結果として起こる局所的炎症であり、最終的には組織破壊や全身性合併症に至る。一旦、歯周炎症が開始すると、感染が抑制され、損傷が限定されるまで、炎症事象のカスケードは増幅されたループへと進行し得る。一般に、宿主反応の初期作用は、後にさらに特別な機序により置換され、この機序は、最終的に、感染の治療の観点から冗長になる。したがって、宿主の反応を制限し、炎症が発展して歯周病になるのを防止することは重要である。多くの分子が宿主防御機構の開始および発展に関与することが示されていて、炎症反応の制御における対抗制御的分子の重要性が検討されている。
【0004】
脂肪酸は、慢性炎症性疾患を制御する種々の酵素プロセスを調節することが示されている。加えて、脂肪酸は、細胞膜中のアラキドン酸の量を減少させて、シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼによりエイコサノイド産生を減少させることができることが示されている。アラキドン酸副生成物とそれらのロイコトリエンおよびプロスタグランジンとの関わりをあわせると、炎症制御に至る。これら機構は、歯周炎症の発症において重要な役割を果たすことが示されている。さらに、歯肉上皮を通しての脂肪酸の高い上皮透過能力は、局所適用が歯周炎症の治療に有利であり得ることを示唆する。
【0005】
異なるセチル化脂肪酸は、炎症の異なる段階に関与する。以前のインビボデータに基づいて、炎症の潜在的な抑制はセチル化脂肪酸の局所適用により媒介され得ることが認められた。近年、セチル化一不飽和脂肪酸のブレンドを含む新規一不飽和脂肪酸混合物である1−テトラデカノール複合体(1−TDC)は、内皮活性化を阻害し、サイトカインに対する組織反応性を低下させることが示されている。暫定的結果から、1−TDCは、COX経路による血小板凝集の阻害を意味する可能性がある、トロンボキサンシンターゼ受容体の阻害により、ヒト組換え胚腎臓(HEK)−293細胞におけるトロンボキサンA2産生を有意に阻害することが明らかになった。したがって、1−TDCなどのセチル化脂肪酸およびミリスチン酸(MA)などの非セチル化脂肪酸の抗菌特性および抗炎症特性を調査するためにさらなる研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の方法および組成物が開示される。それを必要とする患者において炎症性疾患を治療する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、治療有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が炎症性疾患を治療するために有効である方法。
【0007】
それを必要とする患者において炎症性疾患を予防する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、予防量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が炎症性疾患を予防するために有効である方法。
【0008】
それを必要とする患者において細菌感染を治療する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、治療有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、細菌感染を治療するために有効である方法。
【0009】
薬剤的に許容されるビヒクルおよびそれを必要とする患者において炎症性疾患を治療するために有効な量のミリスチン酸を含む組成物。
【0010】
薬剤的に許容されるビヒクルおよびそれを必要とする患者において細菌感染を治療するために有効な量のミリスチン酸を含む組成物。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、必ずしも一定の縮尺である必要はなく、それよりも、本発明の実施形態の種々の態様および特徴の説明が強調されることはいうまでもない。図中:
【0012】
【図1】他の化合物と比較した、ミリスチン酸の抗菌効力を示す棒グラフである。
【図2】ピー・ジンジバリス(P. gingivalis)に対するミリスチン酸の抗菌活性が用量依存性であることを証明する折れ線グラフである。
【図3】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、およびミリスチン酸パルミチルを、6時間にわたって単球により媒介されるTNF−α、IL−12、IL−1β、IL−8、IL−6、およびMCP−1放出を阻害するそれらの能力の面で比較する折れ線グラフを表す。
【図4】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24時間にわたって単球により媒介されるTNF−α、IL−12、IL−1β、IL−8、IL−6、およびMCP−1放出を阻害するそれらの能力の面で比較する折れ線グラフを表す。
【図5】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、48時間にわたって単球により媒介されるTNF−α、IL−12、IL−1β、IL−8、IL−6、およびMCP−1放出を阻害するそれらの能力の面で比較する折れ線グラフを表す。
【図6】6時間および24時間にわたって単球により媒介されるサイトカイン放出を阻害する1−TDCの能力を比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図7】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24時間および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIFN−γ放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図8】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIL−2放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図9】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIL−10放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図10】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIL−4放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図11】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIL−5放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【0013】
本発明の実施形態を後述する。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されず、むしろ当業者には明らかな修飾やその同等物も含まれることは明らかである。
【0014】
本明細書中の教唆は、ミリスチン酸の医薬組成物ならびにそれを必要とする患者において炎症および/または細菌感染を予防および治療する方法に関する。本明細書中の組成物および方法は、好ましくは、感染および炎症の両方を伴う状態、例えば歯周炎を予防または治療するために用いることができる。歯肉炎(歯肉の炎症)は通常、歯周炎(歯肉疾患)に先行するので、本明細書中の教唆を用いて、この状態も予防または治療することができる。
【0015】
テトラデカン酸としても知られるミリスチン酸(MA)は、分子式CH3(CH2)12COOHを有する飽和脂肪酸である。「ミリスチン酸」という用語は、本明細書中で用いられる場合、特に「セチル化ミリスチン酸」として表示されない限り、明らかにセチル化(セチルアルコールでエステル化)されていない。セチル化ミリスチン酸は、セチル化一不飽和脂肪酸の特許を取得したブレンドである1−TDC(Imagenetix, Inc(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手可能)内で見出される化合物である。1−TDCは、米国特許第7,612,111号(Spencerら)で開示され、その全体として参照により本明細書中に組み込まれる。2−TDCは、脂肪酸がセチル化されていないことを除いて1−TDCに類似している一不飽和脂肪酸の特許を取得したブレンドである。後述の実施例で証明されているように、ミリスチン酸は、1−TDCや、1−TDC中で見出されるセチル化脂肪酸よりも、細菌感染の制御および炎症の軽減に関して優れた機能を発揮した。
【0016】
本明細書中で提供される好ましい組成物および方法は、薬剤的に許容される担体中に成分としてミリスチン酸を含む。本明細書中で用いられるミリスチン酸は:例えば、ナツメグ、パーム油、ヤシ油、バター脂肪などを非排他的に含む任意の好適な供給源から誘導することができる。
【0017】
本明細書中で提供される方法および組成物は、主に、歯周炎に関連する炎症および感染の予防および治療に関するが、細菌感染に対する宿主の一般的な反応は炎症であるので、任意の好適な細菌感染もまた、本明細書中の教唆を用いて予防または治療することができる。さらに具体的な実施形態によると、本明細書中の教唆を用いて、歯周炎に関連する細菌、例えば、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタン(Aggregatibacter actinomycetemcomitan)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、または任意の他の嫌気性グラム陰性病原菌による感染を予防または治療することができる。本明細書中の教唆を用いることができる他の病原性グラム陰性菌の例は、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、大腸菌(Escherichia coli)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、腸チフス菌(Salmonella typhi)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、およびペスト菌(Yersinia pestis)である。さらに他の実施形態において、本明細書中の組成物を用いて、それを必要とする患者においてグラム陽性菌による感染を予防および治療することができる。細菌感染をミリスチン酸で予防する方法は、非排他的に、軟膏を開放創上に塗布すること、外科手術などの医療処置前の患者に対する投与、および免疫不全にかかっている患者に対する投与を含む。
【0018】
好ましい実施形態は、炎症および感染を治療および予防する組成物および方法に関するが、本明細書中の教唆は、患者における炎症と関連する任意の好適な障害を治療するためにも用いることができる。そのような障害としては、非排他的に:挫創、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、再潅流傷害、関節リウマチ、移植片拒絶、および血管炎が挙げられる。さらに具体的には、好ましい組成物および方法は、以下の炎症誘発性サイトカイン:IL−1β、IL−6、IL−12、IL−8、MCP−1(単球により媒介される放出)およびIL−2(Tリンパ球により媒介される放出)の1以上の過剰刺激により特徴づけられる炎症性疾患を、前記サイトカインの1以上を抑制することにより予防および/または治療することに関する。さらに好ましい組成物および方法は、以下の抗炎症性サイトカイン:IL−10、IL−5、およびIL−4(Tリンパ球により媒介される放出)の1以上の抑制により特徴づけられる炎症性疾患を、前記サイトカインの1以上を活性化することにより予防および/または治療することに関する。
【0019】
一般に、患者はまず、有害な炎症および/または感染にかかりやすいか、またはかかっているかのいずれかであると診断される可能性がある。炎症および感染にかかりやすい患者は、検査および/または患者の危険因子の評価により判定することができる。例えば、歯周炎にかかりやすい人は、以下の非排他的危険因子:歯肉炎、遺伝、不健康な歯の習慣、喫煙、糖尿病、高齢、免疫の低下、例えば白血病またはHIV/AIDSで起こるものなど、栄養不足、ある薬物治療、ホルモン変化、例えば妊娠に関連するもの、薬物乱用、歯科修復物不適合、および社会経済的地位の低さの1以上を含む可能性がある。
【0020】
それを必要とする患者に、次いで炎症および/または感染を予防するかまたは治療するかのいずれかの十分な量でミリスチン酸を含む薬剤的に許容される組成物を投与することができる。炎症および/または感染の予防および治療は、以下の1以上を含み得る:細菌感染の予防、感染性細菌の殺滅、炎症誘発性経路の抑制、および抗炎症性経路の活性化または刺激。本明細書中のミリスチン酸組成物は、必要とする患者における炎症および/または感染の治療または予防のための組成物の使用を指示する説明書、投与量、および効能情報を含めてパッケージすることができる。
【0021】
さらなる実施形態によれば、本明細書中で提供されるミリスチン酸組成物および使用法を、非排他的に:例えば、ミリスチン酸ナトリウム、クロルヘキシジンなどを含む他の抗炎症性剤および/または他の抗生物質とともに使用することができる。さらに具体的には、ミリスチン酸組成物を、TNF−αまたはIFN−γ放出の抑制で知られている薬剤、例えば、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸、ミリスチン酸パルミチル、オレイン酸パルミチル、およびミリストオレイン酸パルミチルとともに用いることができる。
【0022】
本明細書中で記載されるミリスチン酸の組成物は、医薬組成物として処方することができ、ヒト患者などのほ乳動物宿主に、選択された投与経路に適した種々の形態で、すなわち、経口もしくは非経口、静脈内、筋肉内、局所または皮下経路により、投与することができる。
【0023】
そのような組成物を種々の経路によりインビボで全身投与することができる。例えば、これらを、不活性希釈剤または同化可能な可食担体などの薬剤的に許容される賦形剤と組み合わせて、経口投与することができる。これらをハードもしくはソフトシェルゼラチンカプセル中に封入してもよいし、または圧縮して錠剤にしてもよいし、または患者の食事の食品と直接組み合わせてもよい。経口投与のために、活性成分(複数可)を1以上の賦形剤と組み合わせることができ、そして摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハなどの形態で用いることができる。本明細書中の医薬組成物は、口腔ケア組成物、例えば、少なくとも最低有効量のミリスチン酸を含む治療用マウスリンス、練り歯磨き、ゲル、歯磨き粉、チューインガム、ミント、マウススプレー、溶解性ストリップ、およびロゼンジを容易に含み得る。
【0024】
そのような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有していなければならない。組成物および製剤のパーセンテージは、もちろん、様々であり得、好都合には、所与の単位投与形態の重量の約2%〜約60%であり得る。そのような有用な組成物中の活性成分の量は、有効な投与量レベルが得られるようなものである。
【0025】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどは、以下のもの:トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどのバインダー;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびスクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパルテームなどの甘味料を含有してもよいか、またはペパーミント、冬緑油、もしくはチェリー香味料などの矯味矯臭剤を添加してもよい。単位投与形態がカプセルである場合、これは、上記種類の材料に加えて、液体担体、例えば、植物油またはポリエチレングリコールを含有し得る。種々の他の材料が、コーティングとして、または他の方法で固体単位投与形態の物理的形状を修飾するために存在してもよい。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルを、ゼラチン、ワックス、シェラックまたは糖などでコーティングすることができる。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、糖、例えばスクロースもしくはフルクトース、または人工甘味料、例えば、スクラロースもしくはアスパルテームを甘味料として、メチルおよびプロピルパラベンを防腐剤として、色素および香味料、例えばチェリーもしくはオレンジフレーバーを含有し得る。もちろん、任意の単位投与形態の調製で用いられる任意の材料は、用いられる量で、薬剤的に許容されなければならず、実質的に無毒でなければならない。加えて、活性化合物を持続放出製剤およびデバイス中に組み込むことができる。
【0026】
組成物はさらに、注入または注射により静脈内または腹腔内投与することもできる。ミリスチン酸、その塩および他の活性成分の溶液を、場合によって非毒性界面活性剤と混合した水中で調製することができる。分散液はさらに、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびそれらの混合物中ならびに油中で調製することもできる。通常の保存および使用条件下で、これらの製剤は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有する。
【0027】
注射または注入に適した医薬品の剤形は、場合によってリポソームに封入された、滅菌注射可能または注入可能な溶液または分散液の即時調製のために適応させることができる活性成分を含む滅菌水溶液または分散液または滅菌粉末を含み得る。全ての場合において、最終的な投与形態は、製造および保存条件下で、無菌、流動性、そして安定でなければならない。液体担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステル、およびそれらの好適な混合物を含む溶媒または液体分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成によるか、分散液の場合は必要とされる粒子サイズの維持によるか、または界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、緩衝液または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中で使用することによりもたらすことができる。
【0028】
滅菌注射液は、種々の上記の他の成分を含む適切な溶媒中に必要な量でミリスチン酸を組み込み、必要に応じて、続いてフィルター滅菌することにより調製することができる。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、これにより、活性成分の粉末とあらかじめ無菌ろ過された溶液中に存在する任意のさらなる所望の成分との粉末が得られる。局所投与のために、ミリスチン酸および他の活性成分を純粋な形態で、すなわち、それらが液体である場合に適用することができる。しかし、一般的に、それらを皮膚に、固体であっても液体であってもよい、皮膚科学的に許容される担体と組み合わせて、組成物または処方として投与することが望ましい。
【0029】
有用な固体担体としては、タルク、クレイ、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナなどの微粉末固体が挙げられる。有用な液体担体としては、水、アルコールもしくはグリコールまたは水−アルコール/グリコールブレンド、油、例えば植物油、オリーブ油などが挙げられ、これらに、本発明の化合物を有効な量で、場合によって非毒性界面活性剤を使用して、溶解または分散させることができる。アジュバント、例えば芳香剤およびさらなる抗菌剤を添加して、所定の使用のために特性を最適化することができる。結果として得られる液体組成物は、吸収性パッドから適用することができるか、絆創膏および他の包帯材を含浸させるために用いることができるか、またはポンプタイプもしくはエアロゾル噴霧器を用いて患部上に噴霧することができる。
【0030】
増粘剤、例えば合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪族アルコール、修飾セルロースまたは修飾無機物質も液体担体とともに用いて、皮膚に直接、または使用者の口の内部に適用するための塗布可能なペースト、ゲル、軟膏、セッケンなどを形成することができる。
【0031】
局所適用のためのミリスチン酸を調製して、クリームまたは溶液として使用することができる。いくつかの実施形態において、ミリスチン酸をエマルジョンの形態にし、このエマルジョンを治療部位に適用する。
【0032】
ミリスチン酸の有用な投薬量は、動物モデルにおいてそのインビトロ活性とインビボ活性とを比較することにより決定することができる。マウス、および他の動物における有効投薬量をヒトに外挿するための方法は、例えば、当該技術分野で公知である。一般的に、液体組成物中のミリスチン酸の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは約0.5〜10重量%である。クリーム、ゲル、または粉末などの半固体または固体組成物中の濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜2.5重量%である。
【0033】
単独または他の薬剤とともに使用するために必要なミリスチン酸、またはその活性塩もしくは誘導体の量は、選択された特定の塩だけでなく、投与経路、治療される状態の特質ならびに患者の年齢および状態で変化し、最終的に、主治医または臨床医の判断による。
【0034】
しかし、一般的に、ミリスチン酸の好適な用量は、1日につき約0.5〜約100mg/kg、例えば約1〜約75mg/kg体重、または1日につき受容者の体重1キログラムあたり1.5〜約50mg、または約2〜約30mg/kg/日、または約2.5〜約15mg/kg/日の範囲であり得る。
【0035】
ミリスチン酸は、好都合には;例えば、単位投与形態あたり、5〜1000mg、好都合には10〜750mg、最も好都合には50〜500mgの活性成分を含有する単位投与形態で投与することができる。
【0036】
ミリスチン酸を投与して、約0.5〜約75μΜ、好ましくは約1〜50μΜ、最も好ましくは約2〜約30μΜの活性化合物のピーク血漿濃度を達成することができる。これは、場合によって生理食塩水中0.05〜5%の活性成分溶液の静脈内注射により達成することができるか、または約1〜100mgの活性成分を含有するボーラスとして経口投与することができる。望ましい血中濃度は、約0.01〜5.0mg/kg/hrを提供する連続注入によるか、または約0.4〜15mg/kgの活性成分(複数可)を含有する断続的注入により維持することができる。
【0037】
望ましい用量は、好都合には、1回量で、または適切な間隔で投与される分割用量として、例えば、1日につき2、3、4またはそれ以上の分割用量として提示することができる。分割用量それ自体をさらに分割して、例えば、多数の個別の大まかに間隔を開けた投与にすることができ;例えば、通気器から複数回吸入するか、または眼中に数滴適用することによる。
【0038】
本発明は、本明細書中で記載されるものの他に、そしてそれらを越えた他の特定の形態で実現することができる。前述の実施形態は、したがって、限定的であると言うよりはむしろ全ての点で例示的であると考えられるべきであり、本発明の範囲は、前述の記載よりはむしろ、添付の請求の範囲およびそれらの同等物によってのみ規定され、限定される。
【0039】
以下の実施例は、本発明の化合物およびそのような化合物の使用の例であるが、本発明はこれに限定されるものではないと理解される。
【0040】
実施例I
以下の実験は、ミリスチン酸の抗菌活性を証明し、その効果を他の薬剤(例えば、1−TDC)および対照と比較する。ピー・ジンジバリスA7436を血液パロモマイシン加寒天板上で培養し、次いでシェドラーブロスに移した。すべての培養物を37℃にて嫌気性条件下で増殖させた。1−TDCおよびMAを実験の実施で用いることができる水性媒体中に溶解させるために、以下の成分を使用した:エタノール(EtOH)およびメチル−β−シクロデキストリン(Sigma−Aldrich(ミズーリ州セントルイス))。さらに具体的には、750.0mgのメチル−β−シクロデキストリンを5.0mLのナノ純水中に溶解させて、150.0mg/ml(MBC)の濃度にした。MBC溶液を冷蔵庫中4℃の温度で保存し、使用前に室温に戻した。滅菌試験管中、90.0mgを3.0mLのETOH、2.4mLのMBC、および24.6mLのSB中に溶解させることにより、MAを調製した。全混合物を30℃の熱浴中に30分間入れた。MAの最終濃度は3.0mg/mlであった。
【0041】
2×l07細胞を5mLの培養管に移し、1−TDCもしくはMA(1.0mg/ml、0.7mg/mL、0.5mg/mL、0.3mg/mL、0.1mg/mL)または対応するビヒクル濃度のいずれかで処理した。負の対照をさらなるシェドラーブロスで処理した。管を嫌気性ジャー中37℃にて4〜72時間の間のいくつかの時点でインキュベートした。成長に最適の時間は24時間で見いだされ、その後の実験は24時間で実施した。
【0042】
インキュベーション後、ピー・ジンジバリス細胞の生存度を評価した。1mLの各試料を取り出し、遠心沈殿させた。細菌を1mLの0.85%NaCl溶液中に再懸濁させた。標準曲線を作製するために、ビヒクルまたは化合物で処理しなかった細菌の半分を1時間熱殺菌し、次いで生細胞と既知割合(0%、25%、50%、75%および100%生存)で混合した。100%生細胞を負の対照として使用した。生存度を評価するために、蛍光ベースのキットを使用した。Live/Dead BacLight Bacterial Viability Kit(Invitrogen L7012)により、高度に正確で高感度の方法で、生菌と死菌との識別が可能になる。本アッセイにおいて、SYTO−9グリーンおよびヨウ化プロピジウム(PI)色素を1:1の比で混合し、全試料に添加した(1mLの細胞について3μl)。試料を次いで室温で15分間インキュベートした。
【0043】
試料を次いでフローサイトメーター(FACScan)にかけた。データ収集および分析は、BD Cellquest Pro v5.2ソフトウェアを用いて実施した。SYTO−9は全細胞を着色し(緑)、一方、PIは損傷を受けた膜を有する細胞のみを着色した(赤)。したがって、PIおよびSYTO−9両方の存在下で、死細胞においてSYTO−9着色が減少した。ソフトウェアを用いて、生細胞および死細胞を表す2つの異なる領域が明確に見られた。標準曲線を用いて、報告されたパーセンテージの信頼性を検証した。標準曲線の決定係数は0.9より大きかった。これらの確立された領域から、実験試料の生存率(%)を決定した。
【0044】
ピー・ジンジバリスに対する1−TDCおよびMAの抗菌特性を試験し、セチルアルコール、ミリスチン酸ナトリウムおよび正の対照クロルヘキシジン(CHX)(0.04%)と比較した。図1は、前述の化合物で処理した場合の死菌(ピー・ジンジバリス)のパーセンテージを示す。図示するように、ミリスチン酸はミリスチン酸ナトリウムとともに、クロルヘキシジンで見られるのに匹敵する抗菌能力レベルを示した。しかし、1−TDCはピー・ジンジバリスに対して20%を越える致死効果を示さなかった。図2で示すように、結果は、ミリスチン酸の抗菌活性が用量依存性であり、0.1mg/mlの用量およびさらに高い用量(例えば、1mg/ml)で劇的に増加することを示す。
【0045】
実施例II
1−TDCなどのセチル化脂肪酸およびミリスチン酸などの非セチル化脂肪酸の抗炎症効果を測定するために、単球からのサイトカイン放出を測定し、評価した。ヒト一次単球は、薬物治療を受けておらず、疾患、および歯周または歯肉炎症にかかっていない健常者(n=7)から提供された。対象者のうちの誰も喫煙者ではなく、全対象者は24〜51歳の年齢範囲の白色人種起源であった。全患者試料は、ボストン大学医療センターで施設内倫理委員会の承認後に得た。
【0046】
新鮮な末梢静脈血(約72ml)をヘパリン添加(10U/mL)ガラス管中に静脈穿刺により得た。単球を、フィコール・ハイパック密度勾配遠心分離法を用いて単離し、他の単核細胞(例えば、リンパ球)から2時間以上にわたる付着性により分離した。純粋な細胞培養物を種々の用量(10−5〜10−9M)の種々の種類の脂肪酸、例えば1−TDCおよびミリスチン酸で30分間処理した。化合物を水性製剤中に溶解させるために使用したビヒクル(5%エチルアルコール)を負の対照として使用し、一方、デキサメタゾン(1nM)を正の対照として使用した。試験化合物とともにインキュベーションした後、試料の半分を、細胞サイトカイン放出のアクチベーターとして大腸菌(E. coli)由来のLPS(100ng/mL)で種々の時点にわたって(24時間)37℃にて5%CO2下で処理した。上清を集め、分析するまで−80℃で保存した。各試料を3回繰り返して調製した。サイトカイン放出(IL−1β、TNF−α、IL−6、IL−12、IL−8、およびMCP−1)を、Luminex 100 Platformを用いるxMAP多重化技術により分析した。データは、LPSにより媒介される細胞活性化のビヒクル効果に対する%阻害として提示した。デキサメタゾン阻害は100%阻害と見なした。
【0047】
サイトカイン放出データを6、24、および48時間の時点で単球/マクロファージについて集めた(図3〜5)。各実験を少なくとも3回繰り返し、データを、LPSにより媒介される細胞活性化のビヒクル効果に対する阻害のパーセンテージとして提示した。少なくとも10%阻害は、これらの化合物の潜在的な影響を表す有意な阻害効果と見なされる。
【0048】
種々の化合物(すなわち、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル(CM)、ミリスチン酸(MA)、ミリスチン酸パルミチル(PM)、オレイン酸パルミチル(PO)、およびミリストオレイン酸パルミチル(PMO))の単球により媒介されるサイトカイン放出に対する阻害可能性を、様々な濃度で試験し、そして下記表1および表2に示す。表1は、ミリスチン酸セチルがTNF−αを6時間もの早い時期に阻害することを示す。強力な化学遊走物質であり、好中球によって主に放出されるIL−8も、高レベルで、6時間で検出され、試験したすべての化合物によって有意に阻害された。これもまた単球の強力なケモカインであるMCP−1は、1−TDCおよびミリスチン酸セチルによって阻害された。他の試験された化合物はいずれも、6時間で単球により媒介されるサイトカイン放出の強力な阻害剤ではなかった。
【表1】
【0049】
下記表2は、試験した化合物の24時間阻害可能性を示す。この時点で、オレイン酸パルミチルおよびミリストオレイン酸パルミチルは、TNF−αおよびIL−1β放出の両方を有意かつ完全に阻害した。TNF−αに対するミリスチン酸セチルの阻害は、24時間マークで継続した。1−TDC、2−TDC、およびミリスチン酸パルミチルもTNF−α放出をブロックしたが、阻害はミリスチン酸セチルと比べて弱かった。TNF−αに加えて、ミリスチン酸セチルはさらに、IL−8およびMCP−1放出を阻害した。すべての試験した化合物はIL−8放出を阻害したが、2−TDCは、さらに、単球により放出される強力な炎症誘発性サイトカインであるIL−6およびMCP−1をブロックした。ミリスチン酸はTNF−αを除くすべてのサイトカインを24時間マークで有意にブロックした。TNF−αが唯一の例外で、ミリスチン酸は、図4で示されるように、すべての他のサイトカインを有意かつ用量依存的に阻害した。
【表2】
【0050】
図3〜5では、試験した化合物の用量反応および比較分析を観察することができる。図3は、検出されたすべてのメディエーターについての6時間反応を示し、一方、図4および5は、それぞれ、すべての化合物およびそれらの有効濃度の同じ炎症性メディエーターに対する24時間および48時間阻害プロフィールを示す。48時間結果は、24時間で検出されたすべての化合物の阻害可能性は、同じように継続したが、効果は、観察期間の最後で下降または減弱したことを示した。
【0051】
6時間および24時間で単球により媒介されるサイトカイン放出に対する1−TDCの阻害効果を図6、パネルAおよびBにそれぞれ示す。結果は、1−TDCが24時間でTNF−αの放出を、6時間および24時間の両方でIL−8の放出を有意に阻害することを示した。6時間でのIL−8に対する1−TDCの阻害効果は用量依存性であったが、IL−8およびTNF−α阻害について24時間で1−TDCの種々の用量間で有意な差はなかった。MCP−1は、6時間でのみ1−TDCにより有意に阻害された。20%を越える阻害はIL−1β、IL−6、およびIL−12について検出されなかった(データは不掲載)。これらの結果は、ピー・ジンジバリスにより誘発される炎症性変化が局所的1−TDC治療により減少するという以前のインビボ結果を支持した。
【0052】
実施例III
1−TDCなどのセチル化脂肪酸および例えばミリスチン酸などの非セチル化脂肪酸の抗炎症効果を測定するために、Tリンパ球からのサイトカイン放出を測定し、評価した。さらに具体的には、以下の化合物を試験した:1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル(CM)、ミリスチン酸(MA)、ミリスチン酸パルミチル(PM)、オレイン酸パルミチル(PO)、およびミリストオレイン酸パルミチル(PMO)。この実験のために、末梢血単核細胞を既知薬剤使用がなされていない健常なドナー(n=8)からフィコール・ハイパック密度勾配遠心分離法により単離した。一次Tリンパ球を他の単核細胞(例えば、単球)から磁気細胞分類(Dynal, Invitrogen)を用いた負の選択により分離し、そして純粋な細胞培養物を種々の用量の試験化合物で30分間処理した。試験した用量は、10−5〜10−9Mであった。化合物を水性製剤中に溶解させるために使用したビヒクルを負の対照として使用し、一方、デキサメタゾン(1nM)を正の対照として使用した。試験化合物とともにインキュベーションした後、試料の半分を、細胞サイトカイン放出のアクチベーターとしてCD3およびCD28抗体でコーティングされたDynaBeads(Dynal, Invitrogen)で処理した。細胞を種々の時点にわたり37℃にて5%CO2下でインキュベートした。上清を24および48時間に集め、分析するまで−80℃で保存した。各試料を3回繰り返して調製した。サイトカイン放出を、Luminex 100 platformを用いたxMAP多重化技術により分析した。この方法により、この実験で提案される全てのサイトカインの同時分析が可能になった。
【0053】
以下のTリンパ球関連サイトカイン:IFN−γ、IL−2、IL−10、IL−5、およびIL−4を評価した。これらの分子のうち、IFN−γおよびIL−2はTヘルパー1(Thl)細胞から放出される伝統的なサイトカインであると考えられ、「炎症誘発性」活性化を表し、一方、IL−10、IL−4、およびIL−5は、T−ヘルパー2(Th2)細胞から放出され、「抗炎症性」であると考えられる。ThlおよびTh2によるサイトカイン間のパラダイムシフトは、これらのサイトカインのうちのどれが増加するかによって多少の差はあるが炎症過程を示す。このシフトの妥当性は異なる疾患および/または感染で疑問視されるが、炎症の進行におけるT細胞の中心的役割は、依然としてリンパ球のこれらのサブセットによるサイトカイン放出に関して評価される。
【0054】
データを24時間および48時間の時点の全体を通して、Tリンパ球により媒介される放出について集めた。全ての試験した化合物についてのリンパ球反応を図7〜11に示す。各実験を少なくとも3回繰り返し、データをLPSにより媒介される細胞活性化のビヒクル効果に対する%阻害として提示した。少なくとも10%阻害が、これらの化合物の潜在的な影響を示す阻害効果と考えられる。
【0055】
図7は、ミリストオレイン酸パルミチルを除いて、試験した化合物のそれぞれがTリンパ球によるIFN−γ放出を活性化する能力を有し、この効果は時間とともに増加することを示す。ミリストオレイン酸パルミチル(24時間マークおよび48時間マークの両方)ならびにオレイン酸パルミチル(24時間マーク)は、Tリンパ球によるIFN−γ産生を阻害する。2−TDCは48時間で最高のIFN−γ活性化を有していたが、この効果は用量依存性変化を示さない。一方、1−TDC、ミリスチン酸セチル、およびミリスチン酸パルミチルは、T細胞IFN−γ放出に対して用量依存性活性化を示した。
【0056】
図8は、試験した化合物のTリンパ球IL−2産生に対する影響を表す。IFN−γ結果と比較すると、IL−2産生に対する試験した化合物の影響は、細胞を種々の用量の異なる一不飽和脂肪酸で処理した場合、かなり低かった。興味深いことに、ミリスチン酸をはじめとする、IFN−γ放出を活性化した試験した化合物はIL−2産生を阻害し、一方、IFN−γ阻害剤は、IL−2放出を24時間にわたって活性化した。48時間にわたって、試験した化合物はすべてヒトTリンパ球によるIL−2の生成を抑制した。
【0057】
図9は、Tリンパ球によるIL−10生成に対する試験した化合物の影響を示す。ミリストオレイン酸パルミチルおよびオレイン酸パルミチルを除いて、すべての試験した化合物は「抗炎症性」サイトカインIL−10の著しいTリンパ球放出をもたらした。最低用量の試験した化合物(10−9M)でさえもIL−10産生を増大させたので、この活性化効果は強力であり、増加は長時間にわたって安定であった。ミリスチン酸セチルは、他の試験した化合物と比べてIL−10産生の最も強力なアクチベーターであった。
【0058】
図10は、ヒトT細胞により放出される別の周知の抗炎症性サイトカインであるIL−4に対する、試験した化合物の影響を示す。IL−4についての結果は、試験した化合物のほとんどはIL−4生成の強力なアクチベーターであったので、IL−10で見られる結果と類似していた。しかし、ベースラインを越える倍数変化およびビヒクル標準化はIL−10結果より少なかった。ミリスチン酸セチルは、IL−4生成に関して試験した最強の化合物であることが示された。
【0059】
図11は、ヒトT細胞により放出される別の周知の炎症性サイトカインであるIL−5に対する、試験した化合物の影響を表す。IL−5結果は、炎症の制御におけるセチル化一不飽和脂肪酸の主な標的として、抗炎症性サイトカインのTh2により媒介される生成に関して、図9および10で示される結果と一致していた。ここでも、ミリスチン酸セチルは、IL−5放出の最も強力なアクチベーターであることが示された。ミリスチン酸は、T細胞によるIFN−γ放出を活性化する能力を有することが示され、この効果は時間とともに増加した。
【0060】
これらの実施例は、ミリスチン酸が、抗炎症性サイトカインを抑制し、かつ炎症誘発性サイトカインを活性化することにより、抗菌剤および抗炎症剤の両方として優れた作用をすることができることを示す。ミリスチン酸は、したがって、細菌により、特にピー・ジンジバリスにより開始される炎症性疾患の予防および治療において有用性を有する。
実施例IV
【0061】
15匹のニュージーランドシロウサギを3群:(1)治療なし(5匹)、(2)プラセボ治療(5匹)、および(3)ミリスチン酸治療(5匹)に分ける。全ての動物において、ピー・ジンジバリスを1日おきに6週間にわたって適用することにより、歯周病を確立する。6週で、ピー・ジンジバリス適用を中止し、ミリスチン酸およびプラセボ剤の局所使用を2回目の6週間で開始し、この時点で動物を屠殺する。形態学的、放射線学的、および組織学的評価を実施する。組織学的切片を、記述的組織学および破骨細胞活性のためにヘマトキシン−エオシン、および酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)で着色する。加えて、オステオカルシン着色を使用して、骨芽細胞活性を検出する。
【0062】
ミリスチン酸製剤の局所送達は、歯肉炎症の進行およびピー・ジンジバリスにより誘発される骨破壊を停止させる。ミリスチン酸で処置された動物も、歯周炎症のために失われた軟および骨組織を再形成する。これらの結果を、組織形態計測的評価と比較し、この場合、ミリスチン酸での治療は、プラセボ治療群および非治療群と比較して組織および骨レベルの有意な変化をもたらす。ヘマトキシン−エオシンで着色した部分は、炎症性変化の完全な逆転を示し、一方、プラセボ治療群および非治療群は歯周炎症の進行を示す。ミリスチン酸は破骨活性を有意に抑制し、結果として造骨活性を増大させ、このことは新しい骨形成を示唆する。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年3月2日付で提出された、標題「ミリスチン酸を含む組成物およびその使用」の米国特許仮出願番号第61/309,816号(その全開示は参照により本明細書中に組み込まれる)の恩恵を主張する。
【0002】
本発明の分野は、抗菌性および抗炎症性組成物ならびにそれを必要とする患者において炎症および/または細菌感染を予防または治療するために、患者に前記組成物を投与する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
歯周炎は、特定の微生物に対する宿主反応の結果として起こる局所的炎症であり、最終的には組織破壊や全身性合併症に至る。一旦、歯周炎症が開始すると、感染が抑制され、損傷が限定されるまで、炎症事象のカスケードは増幅されたループへと進行し得る。一般に、宿主反応の初期作用は、後にさらに特別な機序により置換され、この機序は、最終的に、感染の治療の観点から冗長になる。したがって、宿主の反応を制限し、炎症が発展して歯周病になるのを防止することは重要である。多くの分子が宿主防御機構の開始および発展に関与することが示されていて、炎症反応の制御における対抗制御的分子の重要性が検討されている。
【0004】
脂肪酸は、慢性炎症性疾患を制御する種々の酵素プロセスを調節することが示されている。加えて、脂肪酸は、細胞膜中のアラキドン酸の量を減少させて、シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼによりエイコサノイド産生を減少させることができることが示されている。アラキドン酸副生成物とそれらのロイコトリエンおよびプロスタグランジンとの関わりをあわせると、炎症制御に至る。これら機構は、歯周炎症の発症において重要な役割を果たすことが示されている。さらに、歯肉上皮を通しての脂肪酸の高い上皮透過能力は、局所適用が歯周炎症の治療に有利であり得ることを示唆する。
【0005】
異なるセチル化脂肪酸は、炎症の異なる段階に関与する。以前のインビボデータに基づいて、炎症の潜在的な抑制はセチル化脂肪酸の局所適用により媒介され得ることが認められた。近年、セチル化一不飽和脂肪酸のブレンドを含む新規一不飽和脂肪酸混合物である1−テトラデカノール複合体(1−TDC)は、内皮活性化を阻害し、サイトカインに対する組織反応性を低下させることが示されている。暫定的結果から、1−TDCは、COX経路による血小板凝集の阻害を意味する可能性がある、トロンボキサンシンターゼ受容体の阻害により、ヒト組換え胚腎臓(HEK)−293細胞におけるトロンボキサンA2産生を有意に阻害することが明らかになった。したがって、1−TDCなどのセチル化脂肪酸およびミリスチン酸(MA)などの非セチル化脂肪酸の抗菌特性および抗炎症特性を調査するためにさらなる研究が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以下の方法および組成物が開示される。それを必要とする患者において炎症性疾患を治療する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、治療有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が炎症性疾患を治療するために有効である方法。
【0007】
それを必要とする患者において炎症性疾患を予防する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、予防量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が炎症性疾患を予防するために有効である方法。
【0008】
それを必要とする患者において細菌感染を治療する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、治療有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、細菌感染を治療するために有効である方法。
【0009】
薬剤的に許容されるビヒクルおよびそれを必要とする患者において炎症性疾患を治療するために有効な量のミリスチン酸を含む組成物。
【0010】
薬剤的に許容されるビヒクルおよびそれを必要とする患者において細菌感染を治療するために有効な量のミリスチン酸を含む組成物。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、必ずしも一定の縮尺である必要はなく、それよりも、本発明の実施形態の種々の態様および特徴の説明が強調されることはいうまでもない。図中:
【0012】
【図1】他の化合物と比較した、ミリスチン酸の抗菌効力を示す棒グラフである。
【図2】ピー・ジンジバリス(P. gingivalis)に対するミリスチン酸の抗菌活性が用量依存性であることを証明する折れ線グラフである。
【図3】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、およびミリスチン酸パルミチルを、6時間にわたって単球により媒介されるTNF−α、IL−12、IL−1β、IL−8、IL−6、およびMCP−1放出を阻害するそれらの能力の面で比較する折れ線グラフを表す。
【図4】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24時間にわたって単球により媒介されるTNF−α、IL−12、IL−1β、IL−8、IL−6、およびMCP−1放出を阻害するそれらの能力の面で比較する折れ線グラフを表す。
【図5】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、48時間にわたって単球により媒介されるTNF−α、IL−12、IL−1β、IL−8、IL−6、およびMCP−1放出を阻害するそれらの能力の面で比較する折れ線グラフを表す。
【図6】6時間および24時間にわたって単球により媒介されるサイトカイン放出を阻害する1−TDCの能力を比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図7】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24時間および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIFN−γ放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図8】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIL−2放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図9】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIL−10放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図10】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIL−4放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【図11】ミリスチン酸、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、オレイン酸パルミチル、ミリストオレイン酸パルミチル、およびミリスチン酸パルミチルを、24および48時間にわたってTリンパ球により媒介されるIL−5放出を活性化するそれらの能力の面で比較する2つの折れ線グラフを表す。
【0013】
本発明の実施形態を後述する。しかし、本発明はこれらの実施形態に限定されず、むしろ当業者には明らかな修飾やその同等物も含まれることは明らかである。
【0014】
本明細書中の教唆は、ミリスチン酸の医薬組成物ならびにそれを必要とする患者において炎症および/または細菌感染を予防および治療する方法に関する。本明細書中の組成物および方法は、好ましくは、感染および炎症の両方を伴う状態、例えば歯周炎を予防または治療するために用いることができる。歯肉炎(歯肉の炎症)は通常、歯周炎(歯肉疾患)に先行するので、本明細書中の教唆を用いて、この状態も予防または治療することができる。
【0015】
テトラデカン酸としても知られるミリスチン酸(MA)は、分子式CH3(CH2)12COOHを有する飽和脂肪酸である。「ミリスチン酸」という用語は、本明細書中で用いられる場合、特に「セチル化ミリスチン酸」として表示されない限り、明らかにセチル化(セチルアルコールでエステル化)されていない。セチル化ミリスチン酸は、セチル化一不飽和脂肪酸の特許を取得したブレンドである1−TDC(Imagenetix, Inc(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手可能)内で見出される化合物である。1−TDCは、米国特許第7,612,111号(Spencerら)で開示され、その全体として参照により本明細書中に組み込まれる。2−TDCは、脂肪酸がセチル化されていないことを除いて1−TDCに類似している一不飽和脂肪酸の特許を取得したブレンドである。後述の実施例で証明されているように、ミリスチン酸は、1−TDCや、1−TDC中で見出されるセチル化脂肪酸よりも、細菌感染の制御および炎症の軽減に関して優れた機能を発揮した。
【0016】
本明細書中で提供される好ましい組成物および方法は、薬剤的に許容される担体中に成分としてミリスチン酸を含む。本明細書中で用いられるミリスチン酸は:例えば、ナツメグ、パーム油、ヤシ油、バター脂肪などを非排他的に含む任意の好適な供給源から誘導することができる。
【0017】
本明細書中で提供される方法および組成物は、主に、歯周炎に関連する炎症および感染の予防および治療に関するが、細菌感染に対する宿主の一般的な反応は炎症であるので、任意の好適な細菌感染もまた、本明細書中の教唆を用いて予防または治療することができる。さらに具体的な実施形態によると、本明細書中の教唆を用いて、歯周炎に関連する細菌、例えば、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、アグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタン(Aggregatibacter actinomycetemcomitan)、フソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、または任意の他の嫌気性グラム陰性病原菌による感染を予防または治療することができる。本明細書中の教唆を用いることができる他の病原性グラム陰性菌の例は、バクテロイデス・フラジリス(Bacteroides fragilis)、ブルセラ・アボルタス(Brucella abortus)、大腸菌(Escherichia coli)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、腸チフス菌(Salmonella typhi)、志賀赤痢菌(Shigella dysenteriae)、およびペスト菌(Yersinia pestis)である。さらに他の実施形態において、本明細書中の組成物を用いて、それを必要とする患者においてグラム陽性菌による感染を予防および治療することができる。細菌感染をミリスチン酸で予防する方法は、非排他的に、軟膏を開放創上に塗布すること、外科手術などの医療処置前の患者に対する投与、および免疫不全にかかっている患者に対する投与を含む。
【0018】
好ましい実施形態は、炎症および感染を治療および予防する組成物および方法に関するが、本明細書中の教唆は、患者における炎症と関連する任意の好適な障害を治療するためにも用いることができる。そのような障害としては、非排他的に:挫創、喘息、自己免疫疾患、慢性炎症、慢性前立腺炎、糸球体腎炎、過敏症、炎症性腸疾患、骨盤内炎症性疾患、再潅流傷害、関節リウマチ、移植片拒絶、および血管炎が挙げられる。さらに具体的には、好ましい組成物および方法は、以下の炎症誘発性サイトカイン:IL−1β、IL−6、IL−12、IL−8、MCP−1(単球により媒介される放出)およびIL−2(Tリンパ球により媒介される放出)の1以上の過剰刺激により特徴づけられる炎症性疾患を、前記サイトカインの1以上を抑制することにより予防および/または治療することに関する。さらに好ましい組成物および方法は、以下の抗炎症性サイトカイン:IL−10、IL−5、およびIL−4(Tリンパ球により媒介される放出)の1以上の抑制により特徴づけられる炎症性疾患を、前記サイトカインの1以上を活性化することにより予防および/または治療することに関する。
【0019】
一般に、患者はまず、有害な炎症および/または感染にかかりやすいか、またはかかっているかのいずれかであると診断される可能性がある。炎症および感染にかかりやすい患者は、検査および/または患者の危険因子の評価により判定することができる。例えば、歯周炎にかかりやすい人は、以下の非排他的危険因子:歯肉炎、遺伝、不健康な歯の習慣、喫煙、糖尿病、高齢、免疫の低下、例えば白血病またはHIV/AIDSで起こるものなど、栄養不足、ある薬物治療、ホルモン変化、例えば妊娠に関連するもの、薬物乱用、歯科修復物不適合、および社会経済的地位の低さの1以上を含む可能性がある。
【0020】
それを必要とする患者に、次いで炎症および/または感染を予防するかまたは治療するかのいずれかの十分な量でミリスチン酸を含む薬剤的に許容される組成物を投与することができる。炎症および/または感染の予防および治療は、以下の1以上を含み得る:細菌感染の予防、感染性細菌の殺滅、炎症誘発性経路の抑制、および抗炎症性経路の活性化または刺激。本明細書中のミリスチン酸組成物は、必要とする患者における炎症および/または感染の治療または予防のための組成物の使用を指示する説明書、投与量、および効能情報を含めてパッケージすることができる。
【0021】
さらなる実施形態によれば、本明細書中で提供されるミリスチン酸組成物および使用法を、非排他的に:例えば、ミリスチン酸ナトリウム、クロルヘキシジンなどを含む他の抗炎症性剤および/または他の抗生物質とともに使用することができる。さらに具体的には、ミリスチン酸組成物を、TNF−αまたはIFN−γ放出の抑制で知られている薬剤、例えば、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸、ミリスチン酸パルミチル、オレイン酸パルミチル、およびミリストオレイン酸パルミチルとともに用いることができる。
【0022】
本明細書中で記載されるミリスチン酸の組成物は、医薬組成物として処方することができ、ヒト患者などのほ乳動物宿主に、選択された投与経路に適した種々の形態で、すなわち、経口もしくは非経口、静脈内、筋肉内、局所または皮下経路により、投与することができる。
【0023】
そのような組成物を種々の経路によりインビボで全身投与することができる。例えば、これらを、不活性希釈剤または同化可能な可食担体などの薬剤的に許容される賦形剤と組み合わせて、経口投与することができる。これらをハードもしくはソフトシェルゼラチンカプセル中に封入してもよいし、または圧縮して錠剤にしてもよいし、または患者の食事の食品と直接組み合わせてもよい。経口投与のために、活性成分(複数可)を1以上の賦形剤と組み合わせることができ、そして摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウェハなどの形態で用いることができる。本明細書中の医薬組成物は、口腔ケア組成物、例えば、少なくとも最低有効量のミリスチン酸を含む治療用マウスリンス、練り歯磨き、ゲル、歯磨き粉、チューインガム、ミント、マウススプレー、溶解性ストリップ、およびロゼンジを容易に含み得る。
【0024】
そのような組成物および製剤は、少なくとも0.1%の活性化合物を含有していなければならない。組成物および製剤のパーセンテージは、もちろん、様々であり得、好都合には、所与の単位投与形態の重量の約2%〜約60%であり得る。そのような有用な組成物中の活性成分の量は、有効な投与量レベルが得られるようなものである。
【0025】
錠剤、トローチ、ピル、カプセルなどは、以下のもの:トラガカントゴム、アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどのバインダー;リン酸二カルシウムなどの賦形剤;コーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびスクロース、フルクトース、ラクトースもしくはアスパルテームなどの甘味料を含有してもよいか、またはペパーミント、冬緑油、もしくはチェリー香味料などの矯味矯臭剤を添加してもよい。単位投与形態がカプセルである場合、これは、上記種類の材料に加えて、液体担体、例えば、植物油またはポリエチレングリコールを含有し得る。種々の他の材料が、コーティングとして、または他の方法で固体単位投与形態の物理的形状を修飾するために存在してもよい。例えば、錠剤、ピル、またはカプセルを、ゼラチン、ワックス、シェラックまたは糖などでコーティングすることができる。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、糖、例えばスクロースもしくはフルクトース、または人工甘味料、例えば、スクラロースもしくはアスパルテームを甘味料として、メチルおよびプロピルパラベンを防腐剤として、色素および香味料、例えばチェリーもしくはオレンジフレーバーを含有し得る。もちろん、任意の単位投与形態の調製で用いられる任意の材料は、用いられる量で、薬剤的に許容されなければならず、実質的に無毒でなければならない。加えて、活性化合物を持続放出製剤およびデバイス中に組み込むことができる。
【0026】
組成物はさらに、注入または注射により静脈内または腹腔内投与することもできる。ミリスチン酸、その塩および他の活性成分の溶液を、場合によって非毒性界面活性剤と混合した水中で調製することができる。分散液はさらに、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチン、およびそれらの混合物中ならびに油中で調製することもできる。通常の保存および使用条件下で、これらの製剤は、微生物の成長を防止するための防腐剤を含有する。
【0027】
注射または注入に適した医薬品の剤形は、場合によってリポソームに封入された、滅菌注射可能または注入可能な溶液または分散液の即時調製のために適応させることができる活性成分を含む滅菌水溶液または分散液または滅菌粉末を含み得る。全ての場合において、最終的な投与形態は、製造および保存条件下で、無菌、流動性、そして安定でなければならない。液体担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど)、植物油、非毒性グリセリルエステル、およびそれらの好適な混合物を含む溶媒または液体分散媒であり得る。適切な流動性は、例えば、リポソームの形成によるか、分散液の場合は必要とされる粒子サイズの維持によるか、または界面活性剤の使用により、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖、緩衝液または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射可能な組成物の持続的吸収は、吸収遅延剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物中で使用することによりもたらすことができる。
【0028】
滅菌注射液は、種々の上記の他の成分を含む適切な溶媒中に必要な量でミリスチン酸を組み込み、必要に応じて、続いてフィルター滅菌することにより調製することができる。滅菌注射液の調製のための滅菌粉末の場合、好ましい調製法は、真空乾燥および凍結乾燥技術であり、これにより、活性成分の粉末とあらかじめ無菌ろ過された溶液中に存在する任意のさらなる所望の成分との粉末が得られる。局所投与のために、ミリスチン酸および他の活性成分を純粋な形態で、すなわち、それらが液体である場合に適用することができる。しかし、一般的に、それらを皮膚に、固体であっても液体であってもよい、皮膚科学的に許容される担体と組み合わせて、組成物または処方として投与することが望ましい。
【0029】
有用な固体担体としては、タルク、クレイ、微結晶性セルロース、シリカ、アルミナなどの微粉末固体が挙げられる。有用な液体担体としては、水、アルコールもしくはグリコールまたは水−アルコール/グリコールブレンド、油、例えば植物油、オリーブ油などが挙げられ、これらに、本発明の化合物を有効な量で、場合によって非毒性界面活性剤を使用して、溶解または分散させることができる。アジュバント、例えば芳香剤およびさらなる抗菌剤を添加して、所定の使用のために特性を最適化することができる。結果として得られる液体組成物は、吸収性パッドから適用することができるか、絆創膏および他の包帯材を含浸させるために用いることができるか、またはポンプタイプもしくはエアロゾル噴霧器を用いて患部上に噴霧することができる。
【0030】
増粘剤、例えば合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪族アルコール、修飾セルロースまたは修飾無機物質も液体担体とともに用いて、皮膚に直接、または使用者の口の内部に適用するための塗布可能なペースト、ゲル、軟膏、セッケンなどを形成することができる。
【0031】
局所適用のためのミリスチン酸を調製して、クリームまたは溶液として使用することができる。いくつかの実施形態において、ミリスチン酸をエマルジョンの形態にし、このエマルジョンを治療部位に適用する。
【0032】
ミリスチン酸の有用な投薬量は、動物モデルにおいてそのインビトロ活性とインビボ活性とを比較することにより決定することができる。マウス、および他の動物における有効投薬量をヒトに外挿するための方法は、例えば、当該技術分野で公知である。一般的に、液体組成物中のミリスチン酸の濃度は、約0.1〜25重量%、好ましくは約0.5〜10重量%である。クリーム、ゲル、または粉末などの半固体または固体組成物中の濃度は、約0.1〜5重量%、好ましくは約0.5〜2.5重量%である。
【0033】
単独または他の薬剤とともに使用するために必要なミリスチン酸、またはその活性塩もしくは誘導体の量は、選択された特定の塩だけでなく、投与経路、治療される状態の特質ならびに患者の年齢および状態で変化し、最終的に、主治医または臨床医の判断による。
【0034】
しかし、一般的に、ミリスチン酸の好適な用量は、1日につき約0.5〜約100mg/kg、例えば約1〜約75mg/kg体重、または1日につき受容者の体重1キログラムあたり1.5〜約50mg、または約2〜約30mg/kg/日、または約2.5〜約15mg/kg/日の範囲であり得る。
【0035】
ミリスチン酸は、好都合には;例えば、単位投与形態あたり、5〜1000mg、好都合には10〜750mg、最も好都合には50〜500mgの活性成分を含有する単位投与形態で投与することができる。
【0036】
ミリスチン酸を投与して、約0.5〜約75μΜ、好ましくは約1〜50μΜ、最も好ましくは約2〜約30μΜの活性化合物のピーク血漿濃度を達成することができる。これは、場合によって生理食塩水中0.05〜5%の活性成分溶液の静脈内注射により達成することができるか、または約1〜100mgの活性成分を含有するボーラスとして経口投与することができる。望ましい血中濃度は、約0.01〜5.0mg/kg/hrを提供する連続注入によるか、または約0.4〜15mg/kgの活性成分(複数可)を含有する断続的注入により維持することができる。
【0037】
望ましい用量は、好都合には、1回量で、または適切な間隔で投与される分割用量として、例えば、1日につき2、3、4またはそれ以上の分割用量として提示することができる。分割用量それ自体をさらに分割して、例えば、多数の個別の大まかに間隔を開けた投与にすることができ;例えば、通気器から複数回吸入するか、または眼中に数滴適用することによる。
【0038】
本発明は、本明細書中で記載されるものの他に、そしてそれらを越えた他の特定の形態で実現することができる。前述の実施形態は、したがって、限定的であると言うよりはむしろ全ての点で例示的であると考えられるべきであり、本発明の範囲は、前述の記載よりはむしろ、添付の請求の範囲およびそれらの同等物によってのみ規定され、限定される。
【0039】
以下の実施例は、本発明の化合物およびそのような化合物の使用の例であるが、本発明はこれに限定されるものではないと理解される。
【0040】
実施例I
以下の実験は、ミリスチン酸の抗菌活性を証明し、その効果を他の薬剤(例えば、1−TDC)および対照と比較する。ピー・ジンジバリスA7436を血液パロモマイシン加寒天板上で培養し、次いでシェドラーブロスに移した。すべての培養物を37℃にて嫌気性条件下で増殖させた。1−TDCおよびMAを実験の実施で用いることができる水性媒体中に溶解させるために、以下の成分を使用した:エタノール(EtOH)およびメチル−β−シクロデキストリン(Sigma−Aldrich(ミズーリ州セントルイス))。さらに具体的には、750.0mgのメチル−β−シクロデキストリンを5.0mLのナノ純水中に溶解させて、150.0mg/ml(MBC)の濃度にした。MBC溶液を冷蔵庫中4℃の温度で保存し、使用前に室温に戻した。滅菌試験管中、90.0mgを3.0mLのETOH、2.4mLのMBC、および24.6mLのSB中に溶解させることにより、MAを調製した。全混合物を30℃の熱浴中に30分間入れた。MAの最終濃度は3.0mg/mlであった。
【0041】
2×l07細胞を5mLの培養管に移し、1−TDCもしくはMA(1.0mg/ml、0.7mg/mL、0.5mg/mL、0.3mg/mL、0.1mg/mL)または対応するビヒクル濃度のいずれかで処理した。負の対照をさらなるシェドラーブロスで処理した。管を嫌気性ジャー中37℃にて4〜72時間の間のいくつかの時点でインキュベートした。成長に最適の時間は24時間で見いだされ、その後の実験は24時間で実施した。
【0042】
インキュベーション後、ピー・ジンジバリス細胞の生存度を評価した。1mLの各試料を取り出し、遠心沈殿させた。細菌を1mLの0.85%NaCl溶液中に再懸濁させた。標準曲線を作製するために、ビヒクルまたは化合物で処理しなかった細菌の半分を1時間熱殺菌し、次いで生細胞と既知割合(0%、25%、50%、75%および100%生存)で混合した。100%生細胞を負の対照として使用した。生存度を評価するために、蛍光ベースのキットを使用した。Live/Dead BacLight Bacterial Viability Kit(Invitrogen L7012)により、高度に正確で高感度の方法で、生菌と死菌との識別が可能になる。本アッセイにおいて、SYTO−9グリーンおよびヨウ化プロピジウム(PI)色素を1:1の比で混合し、全試料に添加した(1mLの細胞について3μl)。試料を次いで室温で15分間インキュベートした。
【0043】
試料を次いでフローサイトメーター(FACScan)にかけた。データ収集および分析は、BD Cellquest Pro v5.2ソフトウェアを用いて実施した。SYTO−9は全細胞を着色し(緑)、一方、PIは損傷を受けた膜を有する細胞のみを着色した(赤)。したがって、PIおよびSYTO−9両方の存在下で、死細胞においてSYTO−9着色が減少した。ソフトウェアを用いて、生細胞および死細胞を表す2つの異なる領域が明確に見られた。標準曲線を用いて、報告されたパーセンテージの信頼性を検証した。標準曲線の決定係数は0.9より大きかった。これらの確立された領域から、実験試料の生存率(%)を決定した。
【0044】
ピー・ジンジバリスに対する1−TDCおよびMAの抗菌特性を試験し、セチルアルコール、ミリスチン酸ナトリウムおよび正の対照クロルヘキシジン(CHX)(0.04%)と比較した。図1は、前述の化合物で処理した場合の死菌(ピー・ジンジバリス)のパーセンテージを示す。図示するように、ミリスチン酸はミリスチン酸ナトリウムとともに、クロルヘキシジンで見られるのに匹敵する抗菌能力レベルを示した。しかし、1−TDCはピー・ジンジバリスに対して20%を越える致死効果を示さなかった。図2で示すように、結果は、ミリスチン酸の抗菌活性が用量依存性であり、0.1mg/mlの用量およびさらに高い用量(例えば、1mg/ml)で劇的に増加することを示す。
【0045】
実施例II
1−TDCなどのセチル化脂肪酸およびミリスチン酸などの非セチル化脂肪酸の抗炎症効果を測定するために、単球からのサイトカイン放出を測定し、評価した。ヒト一次単球は、薬物治療を受けておらず、疾患、および歯周または歯肉炎症にかかっていない健常者(n=7)から提供された。対象者のうちの誰も喫煙者ではなく、全対象者は24〜51歳の年齢範囲の白色人種起源であった。全患者試料は、ボストン大学医療センターで施設内倫理委員会の承認後に得た。
【0046】
新鮮な末梢静脈血(約72ml)をヘパリン添加(10U/mL)ガラス管中に静脈穿刺により得た。単球を、フィコール・ハイパック密度勾配遠心分離法を用いて単離し、他の単核細胞(例えば、リンパ球)から2時間以上にわたる付着性により分離した。純粋な細胞培養物を種々の用量(10−5〜10−9M)の種々の種類の脂肪酸、例えば1−TDCおよびミリスチン酸で30分間処理した。化合物を水性製剤中に溶解させるために使用したビヒクル(5%エチルアルコール)を負の対照として使用し、一方、デキサメタゾン(1nM)を正の対照として使用した。試験化合物とともにインキュベーションした後、試料の半分を、細胞サイトカイン放出のアクチベーターとして大腸菌(E. coli)由来のLPS(100ng/mL)で種々の時点にわたって(24時間)37℃にて5%CO2下で処理した。上清を集め、分析するまで−80℃で保存した。各試料を3回繰り返して調製した。サイトカイン放出(IL−1β、TNF−α、IL−6、IL−12、IL−8、およびMCP−1)を、Luminex 100 Platformを用いるxMAP多重化技術により分析した。データは、LPSにより媒介される細胞活性化のビヒクル効果に対する%阻害として提示した。デキサメタゾン阻害は100%阻害と見なした。
【0047】
サイトカイン放出データを6、24、および48時間の時点で単球/マクロファージについて集めた(図3〜5)。各実験を少なくとも3回繰り返し、データを、LPSにより媒介される細胞活性化のビヒクル効果に対する阻害のパーセンテージとして提示した。少なくとも10%阻害は、これらの化合物の潜在的な影響を表す有意な阻害効果と見なされる。
【0048】
種々の化合物(すなわち、1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル(CM)、ミリスチン酸(MA)、ミリスチン酸パルミチル(PM)、オレイン酸パルミチル(PO)、およびミリストオレイン酸パルミチル(PMO))の単球により媒介されるサイトカイン放出に対する阻害可能性を、様々な濃度で試験し、そして下記表1および表2に示す。表1は、ミリスチン酸セチルがTNF−αを6時間もの早い時期に阻害することを示す。強力な化学遊走物質であり、好中球によって主に放出されるIL−8も、高レベルで、6時間で検出され、試験したすべての化合物によって有意に阻害された。これもまた単球の強力なケモカインであるMCP−1は、1−TDCおよびミリスチン酸セチルによって阻害された。他の試験された化合物はいずれも、6時間で単球により媒介されるサイトカイン放出の強力な阻害剤ではなかった。
【表1】
【0049】
下記表2は、試験した化合物の24時間阻害可能性を示す。この時点で、オレイン酸パルミチルおよびミリストオレイン酸パルミチルは、TNF−αおよびIL−1β放出の両方を有意かつ完全に阻害した。TNF−αに対するミリスチン酸セチルの阻害は、24時間マークで継続した。1−TDC、2−TDC、およびミリスチン酸パルミチルもTNF−α放出をブロックしたが、阻害はミリスチン酸セチルと比べて弱かった。TNF−αに加えて、ミリスチン酸セチルはさらに、IL−8およびMCP−1放出を阻害した。すべての試験した化合物はIL−8放出を阻害したが、2−TDCは、さらに、単球により放出される強力な炎症誘発性サイトカインであるIL−6およびMCP−1をブロックした。ミリスチン酸はTNF−αを除くすべてのサイトカインを24時間マークで有意にブロックした。TNF−αが唯一の例外で、ミリスチン酸は、図4で示されるように、すべての他のサイトカインを有意かつ用量依存的に阻害した。
【表2】
【0050】
図3〜5では、試験した化合物の用量反応および比較分析を観察することができる。図3は、検出されたすべてのメディエーターについての6時間反応を示し、一方、図4および5は、それぞれ、すべての化合物およびそれらの有効濃度の同じ炎症性メディエーターに対する24時間および48時間阻害プロフィールを示す。48時間結果は、24時間で検出されたすべての化合物の阻害可能性は、同じように継続したが、効果は、観察期間の最後で下降または減弱したことを示した。
【0051】
6時間および24時間で単球により媒介されるサイトカイン放出に対する1−TDCの阻害効果を図6、パネルAおよびBにそれぞれ示す。結果は、1−TDCが24時間でTNF−αの放出を、6時間および24時間の両方でIL−8の放出を有意に阻害することを示した。6時間でのIL−8に対する1−TDCの阻害効果は用量依存性であったが、IL−8およびTNF−α阻害について24時間で1−TDCの種々の用量間で有意な差はなかった。MCP−1は、6時間でのみ1−TDCにより有意に阻害された。20%を越える阻害はIL−1β、IL−6、およびIL−12について検出されなかった(データは不掲載)。これらの結果は、ピー・ジンジバリスにより誘発される炎症性変化が局所的1−TDC治療により減少するという以前のインビボ結果を支持した。
【0052】
実施例III
1−TDCなどのセチル化脂肪酸および例えばミリスチン酸などの非セチル化脂肪酸の抗炎症効果を測定するために、Tリンパ球からのサイトカイン放出を測定し、評価した。さらに具体的には、以下の化合物を試験した:1−TDC、2−TDC、ミリスチン酸セチル(CM)、ミリスチン酸(MA)、ミリスチン酸パルミチル(PM)、オレイン酸パルミチル(PO)、およびミリストオレイン酸パルミチル(PMO)。この実験のために、末梢血単核細胞を既知薬剤使用がなされていない健常なドナー(n=8)からフィコール・ハイパック密度勾配遠心分離法により単離した。一次Tリンパ球を他の単核細胞(例えば、単球)から磁気細胞分類(Dynal, Invitrogen)を用いた負の選択により分離し、そして純粋な細胞培養物を種々の用量の試験化合物で30分間処理した。試験した用量は、10−5〜10−9Mであった。化合物を水性製剤中に溶解させるために使用したビヒクルを負の対照として使用し、一方、デキサメタゾン(1nM)を正の対照として使用した。試験化合物とともにインキュベーションした後、試料の半分を、細胞サイトカイン放出のアクチベーターとしてCD3およびCD28抗体でコーティングされたDynaBeads(Dynal, Invitrogen)で処理した。細胞を種々の時点にわたり37℃にて5%CO2下でインキュベートした。上清を24および48時間に集め、分析するまで−80℃で保存した。各試料を3回繰り返して調製した。サイトカイン放出を、Luminex 100 platformを用いたxMAP多重化技術により分析した。この方法により、この実験で提案される全てのサイトカインの同時分析が可能になった。
【0053】
以下のTリンパ球関連サイトカイン:IFN−γ、IL−2、IL−10、IL−5、およびIL−4を評価した。これらの分子のうち、IFN−γおよびIL−2はTヘルパー1(Thl)細胞から放出される伝統的なサイトカインであると考えられ、「炎症誘発性」活性化を表し、一方、IL−10、IL−4、およびIL−5は、T−ヘルパー2(Th2)細胞から放出され、「抗炎症性」であると考えられる。ThlおよびTh2によるサイトカイン間のパラダイムシフトは、これらのサイトカインのうちのどれが増加するかによって多少の差はあるが炎症過程を示す。このシフトの妥当性は異なる疾患および/または感染で疑問視されるが、炎症の進行におけるT細胞の中心的役割は、依然としてリンパ球のこれらのサブセットによるサイトカイン放出に関して評価される。
【0054】
データを24時間および48時間の時点の全体を通して、Tリンパ球により媒介される放出について集めた。全ての試験した化合物についてのリンパ球反応を図7〜11に示す。各実験を少なくとも3回繰り返し、データをLPSにより媒介される細胞活性化のビヒクル効果に対する%阻害として提示した。少なくとも10%阻害が、これらの化合物の潜在的な影響を示す阻害効果と考えられる。
【0055】
図7は、ミリストオレイン酸パルミチルを除いて、試験した化合物のそれぞれがTリンパ球によるIFN−γ放出を活性化する能力を有し、この効果は時間とともに増加することを示す。ミリストオレイン酸パルミチル(24時間マークおよび48時間マークの両方)ならびにオレイン酸パルミチル(24時間マーク)は、Tリンパ球によるIFN−γ産生を阻害する。2−TDCは48時間で最高のIFN−γ活性化を有していたが、この効果は用量依存性変化を示さない。一方、1−TDC、ミリスチン酸セチル、およびミリスチン酸パルミチルは、T細胞IFN−γ放出に対して用量依存性活性化を示した。
【0056】
図8は、試験した化合物のTリンパ球IL−2産生に対する影響を表す。IFN−γ結果と比較すると、IL−2産生に対する試験した化合物の影響は、細胞を種々の用量の異なる一不飽和脂肪酸で処理した場合、かなり低かった。興味深いことに、ミリスチン酸をはじめとする、IFN−γ放出を活性化した試験した化合物はIL−2産生を阻害し、一方、IFN−γ阻害剤は、IL−2放出を24時間にわたって活性化した。48時間にわたって、試験した化合物はすべてヒトTリンパ球によるIL−2の生成を抑制した。
【0057】
図9は、Tリンパ球によるIL−10生成に対する試験した化合物の影響を示す。ミリストオレイン酸パルミチルおよびオレイン酸パルミチルを除いて、すべての試験した化合物は「抗炎症性」サイトカインIL−10の著しいTリンパ球放出をもたらした。最低用量の試験した化合物(10−9M)でさえもIL−10産生を増大させたので、この活性化効果は強力であり、増加は長時間にわたって安定であった。ミリスチン酸セチルは、他の試験した化合物と比べてIL−10産生の最も強力なアクチベーターであった。
【0058】
図10は、ヒトT細胞により放出される別の周知の抗炎症性サイトカインであるIL−4に対する、試験した化合物の影響を示す。IL−4についての結果は、試験した化合物のほとんどはIL−4生成の強力なアクチベーターであったので、IL−10で見られる結果と類似していた。しかし、ベースラインを越える倍数変化およびビヒクル標準化はIL−10結果より少なかった。ミリスチン酸セチルは、IL−4生成に関して試験した最強の化合物であることが示された。
【0059】
図11は、ヒトT細胞により放出される別の周知の炎症性サイトカインであるIL−5に対する、試験した化合物の影響を表す。IL−5結果は、炎症の制御におけるセチル化一不飽和脂肪酸の主な標的として、抗炎症性サイトカインのTh2により媒介される生成に関して、図9および10で示される結果と一致していた。ここでも、ミリスチン酸セチルは、IL−5放出の最も強力なアクチベーターであることが示された。ミリスチン酸は、T細胞によるIFN−γ放出を活性化する能力を有することが示され、この効果は時間とともに増加した。
【0060】
これらの実施例は、ミリスチン酸が、抗炎症性サイトカインを抑制し、かつ炎症誘発性サイトカインを活性化することにより、抗菌剤および抗炎症剤の両方として優れた作用をすることができることを示す。ミリスチン酸は、したがって、細菌により、特にピー・ジンジバリスにより開始される炎症性疾患の予防および治療において有用性を有する。
実施例IV
【0061】
15匹のニュージーランドシロウサギを3群:(1)治療なし(5匹)、(2)プラセボ治療(5匹)、および(3)ミリスチン酸治療(5匹)に分ける。全ての動物において、ピー・ジンジバリスを1日おきに6週間にわたって適用することにより、歯周病を確立する。6週で、ピー・ジンジバリス適用を中止し、ミリスチン酸およびプラセボ剤の局所使用を2回目の6週間で開始し、この時点で動物を屠殺する。形態学的、放射線学的、および組織学的評価を実施する。組織学的切片を、記述的組織学および破骨細胞活性のためにヘマトキシン−エオシン、および酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)で着色する。加えて、オステオカルシン着色を使用して、骨芽細胞活性を検出する。
【0062】
ミリスチン酸製剤の局所送達は、歯肉炎症の進行およびピー・ジンジバリスにより誘発される骨破壊を停止させる。ミリスチン酸で処置された動物も、歯周炎症のために失われた軟および骨組織を再形成する。これらの結果を、組織形態計測的評価と比較し、この場合、ミリスチン酸での治療は、プラセボ治療群および非治療群と比較して組織および骨レベルの有意な変化をもたらす。ヘマトキシン−エオシンで着色した部分は、炎症性変化の完全な逆転を示し、一方、プラセボ治療群および非治療群は歯周炎症の進行を示す。ミリスチン酸は破骨活性を有意に抑制し、結果として造骨活性を増大させ、このことは新しい骨形成を示唆する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする患者において炎症性疾患を治療する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、治療有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が、炎症性疾患を治療するために有効である、方法。
【請求項2】
それを必要とする患者が、投与前に、炎症性疾患にかかりやすいと認定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
それを必要とする患者が、細菌感染にもかかっている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ミリスチン酸の投与が、細菌感染の治療に有効である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
それを必要とする患者が、細菌感染にもかかりやすい、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ミリスチン酸の投与が、細菌感染の予防に有効である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
炎症性疾患が歯周炎である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ミリスチン酸が、それを必要とする患者において1以上の炎症誘発性サイトカインの放出の抑制に有効である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ミリスチン酸が:IL−1β、IL−6、IL−12、IL−8、およびMCP−1からなる群から選択される1以上の炎症誘発性サイトカインの単球により媒介される放出の抑制に有効である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ミリスチン酸が、炎症誘発性サイトカイン:IL−2のTリンパ球により媒介される放出の抑制に有効である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
ミリスチン酸が、それを必要とする患者において、1以上の抗炎症性サイトカインの放出の活性化に有効である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ミリスチン酸が:IL−10、IL−5、およびIL−4からなる群から選択される1以上の抗炎症性サイトカインのTリンパ球により媒介される放出の活性化に有効である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
それを必要とする患者において炎症性疾患を予防する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、予防量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が炎症性疾患の予防に有効である、方法。
【請求項14】
それを必要とする患者が、投与前に、炎症性疾患にかかりやすいと認定される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
それを必要とする患者が細菌感染にもかかりやすい、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記ミリスチン酸の投与が、細菌感染の予防に有効である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
炎症性疾患が歯周炎である、請求項13記載の方法。
【請求項18】
ミリスチン酸が、それを必要とする患者における1以上の炎症誘発性サイトカインの放出の抑制に有効である、請求項13記載の方法。
【請求項19】
ミリスチン酸が:IL−1β、IL−6、IL−12、IL−8、およびMCP−1からなる群から選択される1以上の炎症誘発性サイトカインの単球により媒介される放出の抑制に有効である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ミリスチン酸が、炎症誘発性サイトカイン:IL−2のTリンパ球により媒介される放出の抑制に有効である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
ミリスチン酸が、それを必要とする患者において1以上の抗炎症性サイトカインの放出の活性化に有効である、請求項13記載の方法。
【請求項22】
ミリスチン酸が:IL−10、IL−5、およびIL−4からなる群から選択される1以上の抗炎症性サイトカインのTリンパ球により媒介される放出の活性化に有効である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
それを必要とする患者において細菌感染を治療する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、治療有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が、細菌感染を治療するために有効である、方法。
【請求項24】
それを必要とする患者が、投与前に、細菌感染にかかりやすいと認定される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
細菌感染が歯周炎である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
ミリスチン酸が:ポルフィロモナス・ジンジバリス、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、およびフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)からなる群から選択される1以上の細菌による感染を治療するのに有効である、請求項23記載の方法。
【請求項27】
細菌がポルフィロモナス・ジンジバリスである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ミリスチン酸が、1以上のグラム陰性菌による感染の治療において有効である、請求項23記載の方法。
【請求項29】
それを必要とする患者において細菌感染を予防する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、予防有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が、細菌感染の予防に有効である、方法。
【請求項30】
それを必要とする患者が、投与前に、細菌感染にかかりやすいと認定される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
細菌感染が歯周炎である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
ミリスチン酸が:ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、およびフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)からなる群から選択される1以上の細菌による感染の予防に有効である、請求項29記載の方法。
【請求項33】
細菌がポルフィロモナス・ジンジバリスである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
ミリスチン酸が1以上のグラム陰性菌の感染を予防するのに有効である、請求項29記載の方法。
【請求項35】
薬剤的に許容されるビヒクルと、それを必要とする患者において炎症性疾患を治療するために有効な量のミリスチン酸とを含む組成物。
【請求項36】
請求項35記載の組成物を含むパッケージされた医薬キットであって、炎症性疾患を治療するための指示書を含む、キット。
【請求項37】
薬剤的に許容されるビヒクルと、それを必要とする患者において細菌感染を治療するために有効な量のミリスチン酸とを含む組成物。
【請求項38】
請求項37の組成物を含むパッケージされた医薬キットであって、細菌感染を治療するための指示書を含む、キット。
【請求項1】
それを必要とする患者において炎症性疾患を治療する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、治療有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が、炎症性疾患を治療するために有効である、方法。
【請求項2】
それを必要とする患者が、投与前に、炎症性疾患にかかりやすいと認定される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
それを必要とする患者が、細菌感染にもかかっている、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記ミリスチン酸の投与が、細菌感染の治療に有効である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
それを必要とする患者が、細菌感染にもかかりやすい、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記ミリスチン酸の投与が、細菌感染の予防に有効である、請求項5記載の方法。
【請求項7】
炎症性疾患が歯周炎である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ミリスチン酸が、それを必要とする患者において1以上の炎症誘発性サイトカインの放出の抑制に有効である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
ミリスチン酸が:IL−1β、IL−6、IL−12、IL−8、およびMCP−1からなる群から選択される1以上の炎症誘発性サイトカインの単球により媒介される放出の抑制に有効である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
ミリスチン酸が、炎症誘発性サイトカイン:IL−2のTリンパ球により媒介される放出の抑制に有効である、請求項8記載の方法。
【請求項11】
ミリスチン酸が、それを必要とする患者において、1以上の抗炎症性サイトカインの放出の活性化に有効である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ミリスチン酸が:IL−10、IL−5、およびIL−4からなる群から選択される1以上の抗炎症性サイトカインのTリンパ球により媒介される放出の活性化に有効である、請求項11記載の方法。
【請求項13】
それを必要とする患者において炎症性疾患を予防する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、予防量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が炎症性疾患の予防に有効である、方法。
【請求項14】
それを必要とする患者が、投与前に、炎症性疾患にかかりやすいと認定される、請求項13記載の方法。
【請求項15】
それを必要とする患者が細菌感染にもかかりやすい、請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記ミリスチン酸の投与が、細菌感染の予防に有効である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
炎症性疾患が歯周炎である、請求項13記載の方法。
【請求項18】
ミリスチン酸が、それを必要とする患者における1以上の炎症誘発性サイトカインの放出の抑制に有効である、請求項13記載の方法。
【請求項19】
ミリスチン酸が:IL−1β、IL−6、IL−12、IL−8、およびMCP−1からなる群から選択される1以上の炎症誘発性サイトカインの単球により媒介される放出の抑制に有効である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ミリスチン酸が、炎症誘発性サイトカイン:IL−2のTリンパ球により媒介される放出の抑制に有効である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
ミリスチン酸が、それを必要とする患者において1以上の抗炎症性サイトカインの放出の活性化に有効である、請求項13記載の方法。
【請求項22】
ミリスチン酸が:IL−10、IL−5、およびIL−4からなる群から選択される1以上の抗炎症性サイトカインのTリンパ球により媒介される放出の活性化に有効である、請求項21記載の方法。
【請求項23】
それを必要とする患者において細菌感染を治療する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、治療有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が、細菌感染を治療するために有効である、方法。
【請求項24】
それを必要とする患者が、投与前に、細菌感染にかかりやすいと認定される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
細菌感染が歯周炎である、請求項23記載の方法。
【請求項26】
ミリスチン酸が:ポルフィロモナス・ジンジバリス、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、およびフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)からなる群から選択される1以上の細菌による感染を治療するのに有効である、請求項23記載の方法。
【請求項27】
細菌がポルフィロモナス・ジンジバリスである、請求項26記載の方法。
【請求項28】
ミリスチン酸が、1以上のグラム陰性菌による感染の治療において有効である、請求項23記載の方法。
【請求項29】
それを必要とする患者において細菌感染を予防する方法であって:薬剤的に許容されるビヒクル中、予防有効量のミリスチン酸を提供し;前記ミリスチン酸を前記患者に投与することを含み、前記投与が、細菌感染の予防に有効である、方法。
【請求項30】
それを必要とする患者が、投与前に、細菌感染にかかりやすいと認定される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
細菌感染が歯周炎である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
ミリスチン酸が:ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、およびフソバクテリウム・ヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)からなる群から選択される1以上の細菌による感染の予防に有効である、請求項29記載の方法。
【請求項33】
細菌がポルフィロモナス・ジンジバリスである、請求項32記載の方法。
【請求項34】
ミリスチン酸が1以上のグラム陰性菌の感染を予防するのに有効である、請求項29記載の方法。
【請求項35】
薬剤的に許容されるビヒクルと、それを必要とする患者において炎症性疾患を治療するために有効な量のミリスチン酸とを含む組成物。
【請求項36】
請求項35記載の組成物を含むパッケージされた医薬キットであって、炎症性疾患を治療するための指示書を含む、キット。
【請求項37】
薬剤的に許容されるビヒクルと、それを必要とする患者において細菌感染を治療するために有効な量のミリスチン酸とを含む組成物。
【請求項38】
請求項37の組成物を含むパッケージされた医薬キットであって、細菌感染を治療するための指示書を含む、キット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2013−521302(P2013−521302A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556200(P2012−556200)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/026807
【国際公開番号】WO2011/109472
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512228532)イマジネティクス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【国際出願番号】PCT/US2011/026807
【国際公開番号】WO2011/109472
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(512228532)イマジネティクス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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