説明

メス型コネクタ、オス型コネクタ、接続構造、送液回路、および医療用容器

【課題】液密性を損なうことなく、コスト低減、メス型コネクタとオス型コネクタとの接続操作性の向上、および、メス型コネクタへの送液チューブの接続作業性の向上を可能とする、メス型コネクタ、オス型コネクタ、接続構造、メス型コネクタを含む送液回路、およびオス型コネクタを含む医療用容器を提供する。
【解決手段】メス型コネクタ125は、メス型コネクタ125がオス型コネクタ120に接続された状態で係合壁517の係合爪124に面する面が、第1傾斜面522bと、第2傾斜面522aと、第1傾斜面と第2傾斜面との間において両者に連続する第1段差面522cと、を含む階段構造をしており、係合爪124は、メス型コネクタがオス型コネクタに接続された状態で、第1傾斜面に対向する第3傾斜面124bと、第2傾斜面に対向する第4傾斜面124aと、第1段差面に対向する第2段差面124cとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メス型コネクタ、オス型コネクタ、接続構造、メス型コネクタを含む送液回路、および、オス型コネクタを含む医療用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
経口によらずに患者に栄養や薬剤を投与する方法として経腸栄養療法や静脈栄養療法が知られている。経腸栄養療法では、患者の鼻腔から胃又は十二指腸にまで通されたチューブ(一般に「経鼻チューブ」と呼ばれる)又は患者の腹に形成された胃ろう(胃ろうを形成する施術を「Percutaneous Endoscopic Gastrostomy」と呼ぶ)に挿入されたチューブ(一般に「PEGチューブ」と呼ばれる)を介して栄養剤、流動食、又は薬剤などの液状物(一般に「経腸栄養剤」と呼ばれる)が投与される。また、静脈栄養療法では、患者の静脈に挿入された輸液ラインを介してブドウ糖などの栄養成分や薬剤成分を含む液状物(一般に「輸液」と呼ばれる)が投与される。
【0003】
経鼻チューブを介した経腸栄養療法について説明する。患者に投与される液状物は医療用容器に収納される。医療用容器の下端には、液状物が流出するオス型コネクタが設けられている。医療用容器内の液状物は、一般に経腸栄養供給セット及び経鼻チューブを介して患者に投与される。経腸栄養供給セットを構成するチューブの一端には、オス型コネクタと接続されるメス型コネクタが接続されている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のメス型コネクタは、図32に示されるように、液状物が流出する管状部972を有するオス型コネクタ900に接続されるメス型コネクタ1000であって、上記管状部972の外周面に装着されるアダプタ1010と、アダプタ1010に外装されるハンドル1020とを備える。アダプタ1010は、その一端に開口を有する筒状部1012を有し、筒状部1012は開口から管状部972が挿入される挿入部1019を含み、挿入部1019は可撓性及び弾性を有する。ハンドル1020は、挿入部1019よりも高い剛性を有する。メス型コネクタ1000のオス型コネクタ900への接続は、下記のようにして行われる。
【0005】
まず、図32に示されるように、オス型コネクタ900の管状部972をアダプタ1010の挿入部1019内に深く挿入した後、更にハンドル1020をオス型コネクタ900に対して矢印1002の向きに押し込んで、ハンドル1020の渡り部1032(図33参照)の上面をオス型コネクタ900の台座982の下面に当接させる。この状態で、オス型コネクタ900に対してハンドル1020を中心軸1011の周りに時計方向に回転させる。オス型コネクタ900の台座982の外周面に形成された一対の係合爪984は、ハンドル1020の一対の円弧状壁1031の通過領域1033を通過し、係合領域1034に至り、凹部1037に収納される。オス型コネクタ900の係合爪984が非通過領域1035の係合領域1034側端に当接した後は、オス型コネクタ900に対してハンドル1020をこれ以上回転することはできない。この状態で、ハンドル1020から手を離すと、弾性変形していたアダプタ1010のフランジ部1013の弾性回復力によってハンドル1020が矢印1002とは反対の向きに僅かに移動し、オス型コネクタ900の係合爪984のロック突起986(図34参照)がハンドル1020のロック凹部1038に嵌入し、且つ、オス型コネクタ900の係合爪984の係合片985とハンドル1020の係合壁1036とが係合する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2008/152871
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、アダプタ1010は、例えば、天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料から形成され、ハンドル1020は、アダプタ1010よりも高い硬度を有する材料(例えば、ポリプロピレン樹脂等)から形成され、これらは別々に形成される。そのため、特許文献1に記載のメス型コネクタの製造にあたり、2種の材料および組み立て工程を要し、コスト高となるという問題があった。
【0008】
また、アダプタ1010が可撓性及び弾性を有する材料から形成されているので、アダプタ1010内に可撓性を有する送液チューブ1007を挿入する接続作業がしづらいという問題があった。
【0009】
これらの問題を解決するために、アダプタとハンドルとを、特許文献1においてハンドルの材料として用いられていた材料(例えば、ポリプロピレン樹脂等)を用いて共通の金型内で同時に成形しかつ一体化させる、いわゆる一体成形により形成することが考えられる。しかし、この場合、オス型コネクタ900の管状部972の、アダプタ1010の挿入部1019内への挿入抵抗が大きくなる。また、管状部972の挿入部1019内への挿入が十分に行えないと、係合爪984を、図33に示される通過領域1033を通過させ係合領域1034に至らしめるため行われる回転操作が、係合爪984の円弧状壁1031に対する摺動抵抗が極めて大きくなることにより、極めて行い難くなる。
【0010】
上記挿入抵抗および摺動抵抗は、例えば、挿入部1019の内径を大きくし、または、挿入部1019の内径を矢印1002の方向に沿って漸次大きくすることにより、管状部972の挿入部1019に対する摺動面積を減して、管状部972の挿入部1019内への挿入を容易にすれば、小さくすることができる。ところが、この場合、メス型コネクタとオス型コネクタとの接続操作性は向上する反面、管状部972の外周面と挿入部1019の内周面とが接することにより保持される液密性が損なわれるという問題が生じる。
【0011】
そこで、本発明は、上記液密性を損なうことなく、コスト低減、メス型コネクタとオス型コネクタとの接続操作性の向上、および、メス型コネクタへの送液チューブの接続作業性の向上を可能とする、メス型コネクタ、オス型コネクタ、接続構造、メス型コネクタを含む送液回路、およびオス型コネクタを含む医療用容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のメス型コネクタは、
液状物が流出する管状部を有するオス型コネクタに接続されるメス型コネクタであって、
前記オス型コネクタは、
一方の主面の中央に前記管状部が突出して設けられた台座と、
前記台座の外周面から外方向に突出した係合爪と、を含み、
前記メス型コネクタは、
前記管状部に接続されうる筒状部と、
前記筒状部の一端に連結された底部と、
その一端が前記メス型コネクタの前記底部を介して前記筒状部に連結され、前記オス型コネクタに前記メス型コネクタが接続されたときにその内部が前記管状部内と連通し、送液チューブが接続されうる送液チューブ接続部と、
少なくともその一部が前記筒状部の前記送液チューブ接続部側の反対側に突出するように設けられた鍔部と、を含み、
前記筒状部の中心軸に対向する前記鍔部の内周面は、その長手方向が周方向に沿っており内方に突出した係合壁を備え、前記係合壁が設けられることによって前記係合壁よりも中心軸に対して後退した、前記係合壁よりも前記筒状部側の前記鍔部の前記内周面の一部が、前記係合爪が収納される凹部を構成しており、
前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で前記係合壁の前記係合爪に面する面が、前記メス型コネクタと前記オス型コネクタとの接続操作時に前記係合壁に対する前記係合爪の摺動方向に沿って前記係合爪が上る傾斜面を含む。
【0013】
本発明のオス型コネクタは、
メス型コネクタに接続され、液状物が流出する管状部を有するオス型コネクタであって、
前記オス型コネクタは、
一方の主面の中央に前記管状部が突出して設けられた台座と、
前記台座の外周面から外方向に突出した係合爪と、を含み、
前記メス型コネクタは、
前記管状部に接続されうる筒状部と、
前記筒状部の一端に連結された底部と、
その一端が前記メス型コネクタの前記底部を介して前記筒状部に連結され、前記オス型コネクタに前記メス型コネクタが接続されたときにその内部が前記管状部内と連通し、送液チューブが接続されうる送液チューブ接続部と、
少なくともその一部が前記筒状部の前記送液チューブ接続部側の反対側に突出するように設けられた鍔部と、を含み、
前記筒状部の中心軸に対向する前記鍔部の内周面は、その長手方向が周方向に沿っており内方に突出した係合壁を備え、前記係合壁が設けられることによって前記係合壁よりも中心軸に対して後退した、前記係合壁よりも前記筒状部側の前記鍔部の前記内周面の一部が、前記係合爪が収納される凹部を構成しており、
前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で前記係合爪の前記係合壁に向かい合う面が、前記メス型コネクタと前記オス型コネクタとの接続操作時に前記係合爪に対する前記係合壁の摺動方向に沿って前記係合壁が上る傾斜面を含む。
【0014】
本発明の第1の接続構造は、
上記本発明のメス型コネクタと、液状物が流出する管状部を有するオス型コネクタとの接続構造であって、
前記オス型コネクタは、
一方の主面の中央に前記管状部が突出して設けられた台座と、
前記台座の外周面から外方向に突出した係合爪と、を含み、
前記係合爪が前記メス型コネクタの前記凹部内に収納されることにより、前記係合爪と前記メス型コネクタの前記係合壁とが係合される。
【0015】
本発明の第2の接続構造は、
上記本発明のオス型コネクタと、メス型コネクタとの接続構造であって、
前記メス型コネクタは、
前記管状部に接続されうる筒状部と、
前記筒状部の一端に連結された底部と、
その一端が前記メス型コネクタの前記底部を介して前記筒状部に連結され、前記オス型コネクタに前記メス型コネクタが接続されたときにその内部が前記管状部内と連通し、送液チューブが接続されうる送液チューブ接続部と、
少なくともその一部が前記筒状部の前記送液チューブ接続部側の反対側に突出するように設けられた鍔部と、を含み、
前記筒状部の中心軸に対向する前記鍔部の内周面は、その長手方向が周方向に沿っており内方に突出した係合壁を備え、前記係合壁が設けられることによって前記係合壁よりも中心軸に対して後退した、前記係合壁よりも前記筒状部側の前記鍔部の前記内周面の一部が、前記係合爪が収納される凹部を構成しており、
前記オス型コネクタの前記係合爪が前記凹部内に収納されることにより、前記係合爪と前記係合壁とが係合される。
【0016】
本発明の別のオス型コネクタは、
メス型コネクタに接続され、液状物が流出する管状部を有する第オス型コネクタであって、
前記オス型コネクタは、
一方の主面の中央に前記管状部が突出して設けられた台座と、
前記台座の前記一方の主面から前記管状部側に突出し前記管状部の周囲に配置された鍔部と、を含み
前記メス型コネクタは、
前記管状部が挿入されうる挿入部と、
前記挿入部に連結され、前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続されたときにその内部が前記管状部内と連通し、送液チューブが接続されうる送液チューブ接続部と、
前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で前記台座に対向するフランジ部と、
前記フランジ部の外周面から外方向に突出した係合爪と、を含み、
前記オス型コネクタの前記管状部の中心軸に対向する前記鍔部の内周面は、その長手方向が周方向に沿っており内方に突出した係合壁を備え、前記係合壁が設けられることによって前記係合壁よりも中心軸に対して後退した、前記係合壁よりも前記台座側の前記鍔部の前記内周面の一部が、前記係合爪が収納される収納部を構成しており、
前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で前記係合壁の前記係合爪に面する面が、前記メス型コネクタと前記オス型コネクタとの接続操作時に前記係合壁に対する前記係合爪の摺動方向に沿って前記係合爪が上る傾斜面を含む。
【0017】
本発明の送液回路は、本発明のメス型コネクタと、前記メス型コネクタの前記送液チューブ接続部に接続された送液チューブとを含む。
【0018】
本発明の医療用容器は、
液状物の出入りを可能とする中空円筒状のポートを有する容器本体部と、
本発明のオス型コネクタと、を含み、
前記オス型コネクタは、その成形の際に前記ポートに一体化されているか、または、接続手段により着脱可能に前記ポートに接続されている。
【0019】
尚、本願においては、本発明のメス型コネクタの一例に接続されるオス型コネクタは、本発明に係るオス型コネクタではないものが含まれ、当該オス型コネクタは本発明のオス型コネクタとの区別のために、以下「オス型コネクタQ」と称することとする。この「オス型コネクタQ」に接続される上記本発明のメス型コネクタは、以下「メス型コネクタA」と称することとする。オス型コネクタQとメス型コネクタAとの接続構造が、上記第1の接続構造である。
【0020】
また、本願は、本発明のメス型コネクタAに接続されうる本発明のオス型コネクタCも開示している。
【0021】
また、本発明のオス型コネクタPに接続されるメス型コネクタは、上記「オス型コネクタQ」に接続される「メス型コネクタA」との区別のために、以下「メス型コネクタB」と称することとする。この「メス型コネクタB」に接続される上記本発明のオス型コネクタは、「オス型コネクタQ」との区別のために、以下「オス型コネクタP」と称することとする。オス型コネクタPとメス型コネクタBとの接続構造が、上記第2の接続構造である。
【0022】
また、本願は、オス型コネクタQおよび本発明のオス型コネクタPとは別の本発明のオス型コネクタEを開示しており、このオス型コネクタEに接続されるメス型コネクタを、他のメス型コネクタとの区別のために「メス型コネクタD」と称することとする。
【発明の効果】
【0023】
本発明のメス型コネクタAは、オス型コネクタQまたはオス型コネクタCに接続された状態で、係合壁の係合爪に面する面が、メス型コネクタAとオス型コネクタQまたはオス型コネクタCとの接続操作時における係合壁に対する係合爪の摺動方向に沿って係合爪が上る勾配の傾斜面を含んでいる。また、本発明のオス型コネクタPは、メス型コネクタBがオス型コネクタPに接続された状態で係合爪の係合壁に向かい合う面が、メス型コネクタBとオス型コネクタPとの接続操作時における係合爪に対する係合壁の摺動方向に沿って係合壁が上る勾配の傾斜面を含んでいる。また、本発明のオス型コネクタEは、メス型コネクタDがオス型コネクタEに接続された状態でオス型コネクタEの係合壁のメス型コネクタDの係合爪に面する面が、メス型コネクタDとオス型コネクタEとの接続操作時に係合壁に対する係合爪の摺動方向に沿って係合爪が上る傾斜面を含む。
【0024】
そのため、管状部の筒状部内のより深い箇所への挿入、または、筒状部の管状部内のより深い箇所への挿入による、管状部と筒状部との接続が楽に行え、且つ、液密性も確保できる。また、管状部と筒状部との接続が楽に行えるので、係合爪の係合壁に対する摺動抵抗を小さくすることもできる。
【0025】
さらに、本発明のメス型コネクタA、メス型コネクタB、および、メス型コネクタDは、天然ゴムまたは合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されているので、送液チューブ接続部への送液チューブの接続作業が行い易くなり、特に、送液チューブの送液チューブ接続部への機械による接続が容易になる。よって、コスト低減も行える。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1A】図1Aは、本発明のメス型コネクタAの一例(メス型コネクタ15)が接続されうるオス型コネクタQの一例(オス型コネクタ10)を備えた医療用容器の一例の概略構成を示した正面図である。
【図1B】図1Bは、図1Aに示された医療用容器の底面図である。
【図2A】図2Aは、図1Aの医療用容器の一部拡大斜視図である。
【図2B】図2Bは、図1Aの医療用容器の一部拡大正面図である。
【図2C】図2Cは、図1Aの医療用容器の一部拡大下面図である(ただし、容器本体部は省略している)。
【図3A】図3Aは、メス型コネクタ15の概略構成を示した斜視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aに示されたメス型コネクタ15の平面図である。
【図3C】図3Cは、図3Aに示されたメス型コネクタ15の正面図である。
【図3D】図3Dは、図3Aに示されたメス型コネクタ15のA―A'断面図である。
【図3E】図3Eは、図3Aに示されたメス型コネクタ15のB―B'断面図である。
【図4】図4は、図2Aに示されたオス型コネクタ10と図3Aに示されたメス型コネクタ15との接続の様子を説明する断面図である。
【図5A】図5Aは、図2Aに示されたオス型コネクタ10と図3Aに示されたメス型コネクタ15との接続の様子を説明する斜視図である。
【図5B】図5Bは、図2Aに示されたオス型コネクタ10と図3Aに示されたメス型コネクタ15との接続の様子を説明する斜視図である。
【図6】図6は、図2Aに示されたオス型コネクタ10と図3Aに示されたメス型コネクタ15とが接続された状態を説明する断面図である。
【図7A】図7Aは、メス型コネクタBの一例(メス型コネクタ35)が接続される本発明のオス型コネクタPの一例(オス型コネクタ30)を含む医療用容器の一例の概略構成を示された正面図である。
【図7B】図7Bは、図7Aに示された医療用容器の底面図である。
【図8A】図8Aは、図7Aの医療用容器の一部拡大斜視図である。
【図8B】図8Bは、図7Aの医療用容器の一部拡大正面図である。
【図8C】図8Cは、図7Aの医療用容器の一部拡大下面図である(ただし、容器本体部は省略している)。
【図9A】図9Aは、図7Aに示されたオス型コネクタ30に接続されるメス型コネクタ35の概略構成を示した斜視図である。
【図9B】図9Bは、図9Aに示されたメス型コネクタ35の平面図である。
【図9C】図9Cは、図9Aに示されたメス型コネクタ35の正面図である。
【図9D】図9Dは、図9Aに示されたメス型コネクタ35のA―A'断面図である。
【図9E】図9Eは、図9Aに示されたメス型コネクタ35のB―B'断面図である。
【図10】図10は、図8Aに示されたオス型コネクタ30と図9Aに示されたメス型コネクタ35との接続の様子を説明する断面図である。
【図11A】図11Aは、図8Aに示されたオス型コネクタ30と図9Aに示されたメス型コネクタ35との接続の様子を説明する斜視図である。
【図11B】図11Bは、図8Aに示したオス型コネクタ30と図9Aに示したメス型コネクタ35との接続の様子を説明する斜視図である。
【図12】図12は、図8Aに示されたオス型コネクタ30と図9Aに示されたメス型コネクタ35とが接続された状態を説明する断面図である。
【図13】図13は、本発明のオス型コネクタPの他の一例(オス型コネクタ60)を含む医療用容器の概略構成を示した分解図である。
【図14】図14は、メス型コネクタ15、または、メス型コネクタ35を含む送液回路を含む経腸栄養供給セットの一例の概略構成を示した正面図である。
【図15】図15は、本発明のオス型コネクタPの他の一例(オス型コネクタ70)を含む医療用容器の一例の概略構成を示した正面図である。
【図16】図16は、図8Aおよび図8Bに示されたオス型コネクタ30にキャップが装着された様子を示した断面図である。
【図17A】図17Aは、図16に示されたキャップの概略構成を示した斜視図である。
【図17B】図17Bは、図17Aに示されたキャップの平面図である。
【図17C】図17Cは、図17Aに示されたキャップの正面図である。
【図17D】図17Dは、図17Aに示されたキャップのA-A'断面図である。
【図18A】図18Aは、本発明のメス型コネクタAの一例(メス型コネクタ125)が接続されうる本発明のオス型コネクタCの一例(オス型コネクタ120)を備えた医療用容器の一例の概略構成を示した正面図である。
【図18B】図18Bは、図18Aに示された医療用容器の底面図である。
【図19A】図19Aは、図18Aの医療用容器の一部拡大斜視図である。
【図19B】図19Bは、図18Aの医療用容器の一部拡大正面図である。
【図19C】図19Cは、図18Aの医療用容器の一部拡大下面図である(ただし、容器本体部は省略している)。
【図20A】図20Aは、図18Aに示されたオス型コネクタ120に接続されるメス型コネクタ125の概略構成を示した斜視図である。
【図20B】図20Bは、図20Aに示されたメス型コネクタ125の平面図である。
【図20C】図20Cは、図20Aに示されたメス型コネクタ125の正面図である。
【図20D】図20Dは、図20Aに示されたメス型コネクタ125のA―A'断面図である。
【図20E】図20Eは、図20Aに示されたメス型コネクタ125のB―B'断面図である。
【図21】図21は、図19Aに示されたオス型コネクタ120と図20Aに示されたメス型コネクタ125との接続の様子を説明する断面図である。
【図22A】図22Aは、図19Aに示されたオス型コネクタ120と図20Aに示されたメス型コネクタ125との接続の様子を説明する斜視図である。
【図22B】図22Bは、図19Aに示されたオス型コネクタ120と図20Aに示されたメス型コネクタ125との接続の様子を説明する斜視図である。
【図23】図23は、図19Aに示されたオス型コネクタ120と図20Aに示されたメス型コネクタ125とが接続された状態を説明する断面図である。
【図24】図24は、本発明のメス型コネクタ他の一例を説明する断面図である。
【図25】図25は、図24に示されためメス型コネクタに接続される本発明のオス型コネクタの他の一例の正面図である。
【図26A】図26Aは、メス型コネクタDの一例(メス型コネクタ85)が接続されうる本発明のオス型コネクタEの一例(オス型コネクタ180)を備えた医療用容器の一例の概略構成を示した正面図である。
【図26B】図26Bは、図26Aに示された医療用容器の底面図である。
【図27A】図27Aは、図26Aの医療用容器の一部拡大斜視図である。
【図27B】図27Bは、図26Aの医療用容器の一部拡大正面図である。
【図27C】図27Cは、図26Aの医療用容器の一部拡大下面図である(ただし、容器本体部は省略している)。
【図28A】図28Aは、図26Aに示されたオス型コネクタ180に接続されるメス型コネクタ85の概略構成を示した斜視図である。
【図28B】図28Bは、図28Aに示されたメス型コネクタ85の平面図である。
【図28C】図28Cは、図28Aに示されたメス型コネクタ85Aの正面図である。
【図28D】図28Dは、図28Aに示されたメス型コネクタ85のA―A'断面図である。
【図28E】図28Eは、図28Aに示されたメス型コネクタ85のB―B'断面図である。
【図29】図29は、図27Aに示されたオス型コネクタ180と図28Aに示されたメス型コネクタ85との接続の様子を説明する断面図である。
【図30A】図30Aは、図27Aに示されたオス型コネクタ180と図28Aに示されたメス型コネクタ85との接続の様子を説明する斜視図である。
【図30B】図30Bは、図27Aに示されたオス型コネクタ180と図28Aに示されたメス型コネクタ85との接続の様子を説明する斜視図である。
【図31】図31は、図27Aに示されたオス型コネクタ180と図28Aに示されたメス型コネクタ85とが接続された状態を説明する断面図である。
【図32】図32は、従来のメス型コネクタの一例と従来のメス型コネクタの一例の概略構成を示した断面図である。
【図33】図33は、従来のメス型コネクタのハンドルの一例の斜視図である。
【図34】図34は、従来のオス型コネクタの一例の概略構成を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の上記メス型コネクタAの好ましい一例は、メス型コネクタAがオス型コネクタQまたはオス型コネクタCに接続された状態で、筒状部の外周面が管状部の内周面に接する。そして、メス型コネクタAは、その内周面の少なくとも一部が管状部の外周面に接し、その一端が底部を介して筒状部に連結された、中径筒状部をさらに含む。この場合、中径筒状部が、管状部を筒状部側に押さえつけるように作用し、メス型コネクタAとオス型コネクタQまたはオス型コネクタCとの接続構造の液密性がさらに向上する。
【0028】
本発明のメス型コネクタAの好ましい一例は、中径筒状部との間に空間が形成されるように中径筒状部の周囲に配置され、その一端が底部を介して中径筒状部に連結された大径筒状部をさらに含む。大径筒状部の厚みは、中径筒状部のそれよりも厚い。鍔部は、大径筒状部を介して中径筒状部に連結されている。この場合、中径筒状部の厚みを薄くして中径筒状部に若干の撓み性を付与することにより管状部を中径筒状部と筒状部との間に挿入する際の挿入抵抗を小さくでき、且つ、メス型コネクタAの強度を確保できる。
【0029】
本発明のメス型コネクタAの好ましい一例は、中径筒状部と大径筒状部の間に配置され、中径筒状部と大径筒状部とを部分的に連結する架橋部をさらに含む。この場合、その厚みが比較的薄い中径筒状部の強度を高めることができる。また、架橋部の数を調整することにより、その厚みが比較的薄い中径筒状部の撓み性の確保と中径筒状部の強度の保持とを両立できる。
【0030】
本発明のメス型コネクタAの好ましい一例は、大径筒状部の外周面から外方に突出した把持部をさらに含む。この場合、メス型コネクタAの回転操作が行い易くなる。
【0031】
オス型コネクタQの係合爪が、係合片と、係合片の管状部側の面の反対面に形成された第1ロック突起とを含む場合、本発明のメス型コネクタAの好ましい一例では、メス型コネクタAがオス型コネクタQに接続された状態で係合壁の係合爪に面する面が、傾斜面に繋がっており、傾斜面を摺動した第1ロック突起が収納される第1ロック凹部を含んでいる。この場合、係合爪と係合壁とが十分に係合したことが、第1ロック突起が第1ロック凹部内に収納された瞬間に手に伝わる振動によって、確認できる。
【0032】
本発明のメス型コネクタAの好ましい一例では、オス型コネクタQまたはオス型コネクタCの係止爪が、メス型コネクタAとオス型コネクタQまたはオス型コネクタCとの接続操作時に傾斜面を摺動し前記傾斜面に平行な平面を有する。この場合、摺動に伴う係止爪の上記傾斜面に接する部分が削られる等の劣化が抑制される。
【0033】
本発明のメス型コネクタAの好ましい一例では、前記傾斜面を第1傾斜面とすると、前記係合壁の前記係合爪に面する面は、前記第1傾斜面と、第2傾斜面と、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間において両者に連続する第1段差面と、を含む階段構造をしており、オス型コネクタCの前記係合爪は、前記メス型コネクタAが前記オス型コネクタCに接続された状態で、前記第1傾斜面に対向する第3傾斜面と、前記第2傾斜面に対向する第4傾斜面と、前記第1段差面に対向する第2段差面とを含む。この場合、係合壁と係止爪との接触面積が大きいいので、係合操作時にメス型コネクタAの回転方向と逆方法に働く応力が分散され、応力集中に伴う係合壁および/または係止爪の破損等を抑制できる。この形態のメス型コネクタAに接続される本発明のオス型コネクタCは、管状部と、一方の主面の中央に前記管状部が突出して設けられた台座と、台座の外周面から外方向に突出した係合爪と、を含み、係合爪は、メス型コネクタAがオス型コネクタCに接続された状態で、第1傾斜面に対向する第3傾斜面と、第2傾斜面に対向する第4傾斜面と、第1段差面に対向する第2段差面とを含む。
【0034】
メス型コネクタBが本発明のオス型コネクタPに接続された状態でメス型コネクタBの係合壁の係合爪に面する面が第2ロック突起を備える場合、本発明のオス型コネクタPの好ましい一例では、その係合爪は、傾斜面を摺動した第2ロック突起が収納される第2ロック凹部を含んでいる。この場合、係合爪と係合壁とが十分に係合したことが、第2ロック突起が第2ロック凹部内に収納された瞬間に手に伝わる振動によって、確認できる。
【0035】
オス型コネクタPは、メス型コネクタBと接続されていない状態の時に、オス型コネクタPの管状部の開口がキャップによって塞がれていてもよい。
【0036】
上記キャップは、例えば、メス型コネクタBの筒状部、底部、および鍔部と同一構造の部材を含み、メス型コネクタBの送液チューブ接続部に代えて、キャップがオス型コネクタPに装着された際に、オス型コネクタPの管状部の開口を塞ぐ封止底部を備えている。
【0037】
以下、本発明を、経鼻チューブを介した経腸栄養療法における好適な実施の形態を示しながら詳細に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0038】
(実施形態1)
図1Aは、本発明のメス型コネクタAの一例(メス型コネクタ15)が接続されうるオス型コネクタQの一例(オス型コネクタ10)を含む医療用容器の一例(医療用容器100)の概略構成を示した正面図であり、図1Bは、図1Aに示した医療用容器の下面図である。図2Aは、図1Aの医療用容器の一部拡大斜視図であり、図2Bは、図1Aの医療用容器の一部拡大正面図であり、図2Cは、図1Aの医療用容器の一部拡大下面図である(ただし、容器本体部は省略している)。図2Aにおいて、一点鎖線111はオス型コネクタ10の中心軸である。中心軸111の方向を上下方向とし、図2Aの紙面上側(医療用容器100の容器本体部101側)を「上側」、紙面下側(メス型コネクタ15が接続される側)を「下側」と呼ぶことにする。
【0039】
医療用容器100は、液状物が充填され、液状物の出入りを可能とする中空円筒状のポート102を有する容器本体部101と、オス型コネクタ10とを含む。図1Aに示された例では、オス型コネクタ10は、その成形の際にポート102に一体化されている。オス型コネクタ10は、比較的高い硬度を有する材料からなり、特に制限はないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂等を用いて形成される。
【0040】
オス型コネクタ10について、JIS−K7202に基づいて測定される硬度は、R40〜R140であると好ましく、R50〜R100であるとより好ましい。
【0041】
オス型コネクタ10は、台座12を有する。台座12には、その一方の主面の中央から下方に向かって突出した管状部11が設けられている。管状部11および台座12には、容器本体部101内の液状物が流出する貫通孔13が形成されている。台座12には、その外周面から外方向に突出した1対の係合爪14が形成されている。1対の係合爪14は、例えば、中心軸111に対して対称位置に、且つ、中心軸111に対して放射方向に突出している。
【0042】
図2Bに示されるように、各係合爪14は、ほぼ水平方向に沿って延びた係合片14aと、係合片14aの一端に上方向に突出して形成された第1ロック突起14bとを備える。図2Aに示されるように、台座12の下面12aは平面であり、この下面12aと一対の係合爪14の下面14cは、同一平面内にある。図2Cに示されるように、台座12の外径はDM21、一対の係合爪14の頂部間距離はDM22(DM22>DM21)である。
【0043】
図3Aは、オス型コネクタ10に接続されるメス型コネクタ15の一例の概略構成を示した斜視図であり、図3Bは、図3Aに示したメス型コネクタ15の平面図であり、図3Cは、図3Aに示したメス型コネクタ15の正面図であり、図3Dは、図3Aに示したメス型コネクタ15のA―A'断面図であり、図3Eは、図3Aに示したメス型コネクタ15のB―B'断面図である。
【0044】
図3A〜図3Eに示されるように、メス型コネクタ15は、底部16と、筒状部18と、中径筒状部17と、大径筒状部19と、送液チューブ接続部20と、鍔部21と、把持部22とを備える。一点鎖線151は筒状部18の中心軸であり、これはメス型コネクタ15、筒状部18、中径筒状部17、大径筒状部19、および送液チューブ接続部20の中心軸と一致する。中心軸151の方向を上下方向とし、図3Aの紙面上側(後述するオス型コネクタ10に接続される側)を「上側」、紙面下側を「下側」(送液チューブが接続される側)と呼ぶことにする。
【0045】
図3Eに示されるように、筒状部18は、底部16の送液チューブ接続部20側の面の反対面から突出して設けられている。筒状部18は、その一端が底部16によって送液チューブ接続部20に連結されている。筒状部18の外径は、管状部11の内径と等しいか、僅かに小さい。そのため、筒状部18は、メス型コネクタ15とオス型コネクタ10とが接続された状態の時にその外周面18a(図3B参照)が管状部11の内周面に密着する。したがって、オス型コネクタ10とメス型コネクタ15とを液状物の漏れを生ずることなく確実に接続できる。
【0046】
中径筒状部17は、筒状部18の周囲に配置されており、底部16によってその一端が筒状部18に連結されている。中径筒状部17の内周面17aと筒状部18の外周面18aとの間には、環状の空間112(図3B参照)が存在する。中径筒状部17は、メス型コネクタ15とオス型コネクタ10とが接続された状態の時に、その内周面17a(図3B等参照)が管状部11の外周面に接し、管状部11を筒状部18側に押さえつけるように作用する。メス型コネクタ15において、中径筒状部17は、必ずしも要しないが、中径筒状部17を備えることにより、液状物の漏れの発生をより確実に抑制できる。中径筒状部17の内周面17aと管状部11の外周面11a(図2A等参照)との密着性を向上させる観点から、中径筒状部17の内径は下側(底部16側)から上側(中径筒状部17の先端側)に向かって漸次僅かに小さくなっていてもよい。
【0047】
大径筒状部19は、中径筒状部17の周囲で且つ中径筒状部17と離れて配置されている。大径筒状部19は、底部16によってその一端が筒状部18および中径筒状部17に連結されている。大径筒状部19は、中径筒状部17と鍔部21との間に配置されてこれらを連結している。大径筒状部19の厚みW1は、中径筒状部17の厚みW2よりも厚い(図3E参照)。メス型コネクタ15において、鍔部21は、中径筒状部17に直接連結されていてもよく、大径筒状部19は、必ずしも要しないが、大径筒状部19を備えることにより、後述の理由により、液密性を高めながら、筒状部18を管状部11内に挿入する際の挿入抵抗を小さくでき且つメス型コネクタ15の強度も確保できる。
【0048】
上述のとおり、中径筒状部17の内径が下側から上側に向かって漸次小さくなっていると、中径筒状部17の内周面17aと管状部11の外周面11aとの密着性が向上し、液密性が向上する。しかし、密着性の向上に伴い、管状部11を中径筒状部17内に挿入する際の挿入抵抗が大きくなる。また、オス型コネクタ10の係合爪14とメス型コネクタ15の鍔部21とを係合させるために行われるメス型コネクタ15および/またはオス型コネクタ10の回転操作の際に生じる、上記挿入抵抗も大きくなる。例えば、中径筒状部17の厚みW2を薄くして、中径筒状部17に若干の撓み性を与えることにより、上記挿入抵抗を小さくできる。しかし、その反面、中径筒状部17の強度が低下する。薄い中径筒状部17に直接鍔部21が連結されていると、上記回転操作に対するメス型コネクタ15の耐久性が小さくなる。
【0049】
メス型コネクタ15が、底部16により中径筒状部17および筒状部18に連結され、厚みが筒状部18よりも厚い大径筒状部19を有していれば、上記挿入抵抗を小さくするために中径筒状部17の厚みW2を薄くしても、メス型コネクタ15の強度を確保できる。また、メス型コネクタ15がある程度の大きさを有していると、把持し易く、回転操作も行い易くなる。このような観点からも、メス型コネクタ15が大径筒状部19を有していると好ましい。
【0050】
メス型コネクタ15は、中径筒状部17と大径筒状部19の間に設けられ、中心軸151に対して放射方向に延びて中径筒状部17の外周面と大径筒状部19の内周面とを部分的に連結する架橋部191(図3B参照)を複数有していると好ましい。メス型コネクタ15が複数の架橋部191を有していると、中径筒状部17の強度がさらに向上する。架橋部191の数は、中径筒状部17の撓み性の確保と中径筒状部17の強度の保持とが両立されるように、メス型コネクタ15の材料等に応じて適宜選択される。複数の架橋部191が、周方向に沿って等間隔に配置され、すなわち、中径筒状部17と大径筒状部19の間の空間113(図3B参照)が、周方向に沿って等間隔に分割されていると、中径筒状部17の撓み性の確保、および中径筒状部17の強度保持の観点からより好ましい。
【0051】
大径筒状部19の周囲に、大径筒状部19の外周面19aから外方向(中心軸151に直交する方向)に突出した、一対の把持部22が形成されている。係合爪14を鍔部21に係合させるために行われる回転操作の際、メス型コネクタ15についてはこの一対の把持部22を持って上記回転操作が行われる。一対の把持部22は、必ずしも要しないが、メス型コネクタ15が一対の把持部22を備えることにより、上記回転操作が行い易くなる。
【0052】
各把持部22は、把持し易しく且つ回転操作が行い易いという理由から、周方向に隣り合う鍔部21の間に配置されていると好ましく、周方向に隣り合う鍔部21の各々からの距離が等距離となるように配置されているとより好ましい。各把持部22の形状について特に制限はないが、把持し易しく且つ回転操作が行い易いという理由から、図3Aに示されるように、各把持部22の1対の主面221,223が、上下方向(中心軸151の方向を上下方向とする。)と平行であると好ましい。また、1対の主面221,223の少なくとも一方には、滑り止めのためのリブ22aが複数形成されているとより好ましく、リブ22aの長手方向は上下方向と平行であるとさらに好ましい。
【0053】
大径筒状部19の周囲で且つこれより上側に、一対の鍔部21が形成されている。一対の鍔部21は中心軸151に対して対称である。鍔部21は、中心軸151を中心軸とする円筒面にほぼ沿った円弧状壁212と、中心軸151に垂直な方向に延びて円弧状壁212の下端と大径筒状部19の上端とを繋ぐ渡り部213とを有する。
【0054】
円弧状壁212は、中心軸151に対向する内周面の形状の相違により、通過領域214と、係合領域215と、非通過領域216(図3B参照)とを含む。通過領域214の内周面は直径DF21の円筒面の一部であり、非通過領域216の内周面は直径DF23(DF23<DF22)の円筒面の一部である。通過領域214と非通過領域216との間の係合領域215は、その上端に、通過領域214の上端と非通過領域216の上端とを繋ぐように周方向に延在する係合壁217を備える。係合壁217の中心軸151に対向する内周面は、直径DF22(DF22<DF21)の円筒面の一部である。係合領域215は、係合壁217を備えることによって、係合壁217と渡り部213との間の領域が凹状に陥没している。すなわち、係合壁217と渡り部213との間の領域は、中心軸に対して係合壁217よりも相対的に後退して、凹部218を構成している。係合領域215に対して周方向に隣接する非通過領域216は、凹部218に対して相対的に突出した凸部221を含んでいる。係合壁217の非通過領域216側の下面(係合壁217の凹部218側の面の非通過領域216側端部、係合壁217の渡り部213に面する面の非通過領域216側端部)には、凹状に窪んだ第1ロック凹部219が形成されている。渡り部213のうちの係合壁217と向かい合う部分には、渡り部213の厚み方向に貫通する貫通孔220(図3E参照)が形成されているが、貫通孔220はなくてもよい。
【0055】
係合壁217の凹部218側の面(渡り部213に面する面)のうちの、第1ロック凹部219が形成された部分よりも凸部221から遠い部分、具体的には、係合壁215の凹部218側の面の凸部221から遠い一端から第1ロック凹部219に達するまでの領域は、傾斜面222を含んでいる。傾斜面222は、凸部221から遠い一端から第1ロック凹部219へ向かって、渡り部213(渡り部213に貫通孔220が形成されている場合は、渡り部213と同一平面内の面であって、傾斜面222と向かい合う仮想の面)との距離が狭くなるように漸次傾斜している。
【0056】
次に、メス型コネクタ15のオス型コネクタ10への接続方法を説明する。図4に示されるように、メス型コネクタ15の筒状部18と中径筒状部17との間の空間にオス型コネクタ10の管状部11を挿入する。次いで、例えば、メス型コネクタ15を中心軸の周りに少し回転させれば、図5Aに示されるように、係合爪14の第1ロック突起14bは、係合壁217の傾斜面222に接する。
【0057】
次いで、把持部22を把持して、オス型コネクタ10に対してメス型コネクタ15を中心軸の周りに回転させる。このメス型コネクタ15の回転に伴い、図5Aおよび図5Bに示されるように、第1ロック突起14bが、傾斜面222に押さえつけられながら傾斜面222上を摺動し、係合爪14は、係合壁217に対する係合爪14の摺動方向に沿って傾斜面222を上る。即ち、係合壁217の係合爪14に面する面は、メス型コネクタ15とオス型コネクタ10との接続操作時に係合壁217に対する係合爪217の摺動方向に沿って係合爪14が上る傾斜面222を含む。そのため、例えば、メス型コネクタ15の回転操作に伴って、オス型コネクタ10の管状部11がメス型コネクタ15の筒状部18と中径筒状部17との間に押し込まれるように作用する力(オス型コネクタ10とメス型コネクタ15とが相互に近づく力)が、オス型コネクタ10およびメス型コネクタ15に付与される。故に、係合爪14が凹部218内に収納されるとともに、管状部11が筒状部18と中径筒状部17との間へより深く挿入され、図6に示された状態になる。
【0058】
したがって、オス型コネクタ10およびメス型コネクタ15がともに、天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されていても、筒状部18の管状部11内のより深い箇所への挿入が楽に行え、且つ、管状部11の内周面と筒状部18の外周面とが密着することによる高い液密性も確保できる。また、筒状部18の管状部11内のより深い箇所への挿入が楽に行えるので、係合爪14の傾斜面222に対する摺動抵抗を小さくすることもできる。さらに、メス型コネクタ15が天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されているので、メス型コネクタ15の送液チューブ接続部20への可撓性を有する送液チューブの接続作業が行い易くなり、特に、送液チューブの送液チューブ接続部への機械による接続が容易になる。よって、コスト低減も行える。
【0059】
メス型コネクタ15には、係合爪14が収納される凹部218に隣接して凸部221(図3A参照)が設けられているので、オス型コネクタ10の係合爪14を凹部218内に侵入させ、更に凸部221に当接するまで移動させれば、係合爪14と係合壁217とを確実に係合させることができる。
【0060】
また、オス型コネクタ10の係合爪14がメス型コネクタ15の凸部221に当接することにより、オス型コネクタ10に対するメス型コネクタ15の回転が規制されることが好ましい。これにより、オス型コネクタ10に対してメス型コネクタ15を、回転が規制されるまで回転させるという簡単な操作により、係合爪14と係合壁217とを確実に係合させることができる。
【0061】
オス型コネクタ10について、JIS−K7202に基づいて測定される硬度は、係合爪14と係合壁217との係合操作の際に係合爪14が削られにくいという理由から、R40〜R140であると好ましく、R50〜R100であるとより好ましい。
【0062】
メス型コネクタ15について、JIS−K7202に基づいて測定される硬度は、送液チューブ接続部への可撓性を有する送液チューブの接続作業性の向上の観点から、R40〜R140であると好ましく、R50〜R100であるとより好ましい。
【0063】
(実施形態2)
図7Aは、メス型コネクタBの一例(メス型コネクタ35)が接続される本発明のオス型コネクタPの一例(オス型コネクタ30)を含む医療用容器の一例(医療用容器300)の概略構成を示した正面図であり、図7Bは、図7Aに示した医療用容器の下面図である。図8Aは、図7Aの医療用容器の一部拡大斜視図であり、図8Bは、図8Aの医療用容器の一部拡大正面図であり、図8Cは、図7Aの医療用容器の一部の拡大下面図である(ただし、容器本体部は省略している)。図8Aにおいて、一点鎖線333はオス型コネクタ30の中心軸である。中心軸333の方向を上下方向とし、図8Aの紙面上側(医療用容器300の容器本体部301側)を「上側」、紙面下側(メス型コネクタ35が接続される側)を「下側」と呼ぶことにする。
【0064】
医療用容器300は、液状物が充填され、液状物の出入りを可能とする中空円筒状のポート302を有する容器本体部301と、オス型コネクタ30とを含む。図7Aに示された例では、オス型コネクタ30は、その成形の際にポート302に一体化されている。オス型コネクタ30の材料、および硬度は、(実施形態1)において説明した医療用容器100のそれと同じでよい。
【0065】
オス型コネクタ30は、台座32を有する。台座32には、その一方の主面の中央から下方に向かって突出した管状部31が設けられている。管状部31および台座32には、容器本体部301内の液状物が流出する貫通孔33が形成されている。台座32には、その外周面から外方向に突出した1対の係合爪34が形成されている。1対の係合爪34は、例えば、中心軸333に対して対称位置に、且つ、中心軸333に対して放射方向に突出している。
【0066】
図8Bに示されるように、各係合爪34の上面(管状部31側の面の反対面)は、傾斜面34aと凹状に窪んだ部分(第2ロック凹部34b)とを含む。傾斜面34aは、係合爪34の上面の台座部32の周方向両端のうちの第2ロック凹部34bから離れた一端(図8Bの紙面左側の端)から第2ロック凹部34bに向かって高くなっており、すなわち、上記一端よりも他端の方が高くなるような傾斜面である。各係合爪34の厚みは、図8Bに示されるように、左側端から第2ロック凹部34bに向かって徐々に厚くなっている。図8Aに示されるように、台座32の下面32a(図8A参照)は平面である。この下面32aと一対の係合爪34の下面34cは、同一平面内にある。台座32の外径はDM31、一対の係合爪34の頂部間距離はDM32(DM32>DM31)である。
【0067】
図9Aは、本発明のオス型コネクタ30の一例に接続されるメス型コネクタ35の一例の概略構成を示した斜視図であり、図9Bは、図9Aに示したメス型コネクタ35の平面図であり、図9Cは、図9Aに示したメス型コネクタ35の正面図であり、図9Dは、図9Aに示したメス型コネクタ35のA―A'断面図であり、図9Eは、図9Aに示したメス型コネクタ35のB―B'断面図である。
【0068】
図9A〜図9Eに示されるように、メス型コネクタ35は、底部36と、筒状部38と、中径筒状部37と、大径筒状部39と、送液チューブ接続部40と、鍔部41と、把持部42とを備える。一点鎖線351は筒状部38の中心軸であり、これはメス型コネクタ35、中径筒状部37、大径筒状部39、および送液チューブ接続部40の中心軸と一致する。中心軸351の方向を上下方向とし、図9Aの紙面上側(オス型コネクタ30に接続される側)を「上側」、紙面下側を「下側」(送液チューブが接続される側)と呼ぶことにする。
【0069】
メス型コネクタ35は、鍔部41における円弧状壁412の形状が異なること以外は、(実施形態1)で説明したメス型コネクタ15と同様の構造をしている。
【0070】
円弧状壁412は、中心軸351に対向する内周面の形状の相違により、通過領域414と、係合領域415と、非通過領域416とを含む(図9B参照)。通過領域414の内周面は直径DF41の円筒面の一部であり、非通過領域416の内周面は直径DF43(DF43<DF42)の円筒面の一部である。通過領域414と非通過領域416との間の係合領域415は、その上端に、通過領域414の上端と非通過領域416の上端とを繋ぐように周方向に延在する係合壁417を備える。係合壁417の中心軸351に対向する内周面は、直径DF42(DF42<DF41)の円筒面の一部である。係合領域415は、係合壁417を備えることによって、係合壁417と渡り部413との間の領域が凹状に陥没している。すなわち、係合壁417と渡り部413との間の領域は、中心軸351に対して係合壁417よりも相対的に後退しており、凹部418を構成している。係合領域415に対して周方向に隣接する非通過領域416は、凹部418に対して相対的に突出した凸部421を含んでいる。係合壁417の通過領域414側の下面(係合壁417の凹部418側の面の通過領域414側端部、係合壁417の渡り部413に面する面の通過領域414側端部)には、下方に突出した第2ロック突起419が形成されている。渡り部413のうちの係合壁417と向かい合う部分には、渡り部413の厚み方向に貫通する貫通孔420が形成されているが、貫通孔420はなくてもよい。
【0071】
係合壁417の凹部418側の面(渡り部413に面する面)のうちの、第2ロック突起419が形成された部分よりも凸部421に近い部分、具体的には、凸部421に近い一端(係合壁417の非通過領域416側端)から第2ロック突起419に達するまでの領域422は、ほぼ水平または水平である。
【0072】
次に、メス型コネクタ35のオス型コネクタ30への接続方法を説明する。図10に示されるように、メス型コネクタ35の筒状部38と中径筒状部37との間の空間にオス型コネクタ30の管状部31を挿入する。次いで、例えば、メス型コネクタ35を中心軸351の周りに少し回転させれば、図11Aに示されるように係合壁417の第2ロック突起419が、係合爪34の傾斜面34aに接する。
【0073】
次いで、把持部42を把持して、例えば、オス型コネクタ30に対してメス型コネクタ35を中心軸の周りに回転させる。このメス型コネクタ35の回転に伴い、第2ロック突起419が、傾斜面34aに押さえつけられながら傾斜面34a上を摺動し、係合爪34に対する係合壁417の摺動方向に沿って傾斜面34aを上る。即ち、係合爪34の係合壁417に向かい合う面が、メス型コネクタ35とオス型コネクタ30との接続操作時に係合爪34に対する係合壁417の摺動方向に沿って係合壁417が上る傾斜面34aを含む。そのため、オス型コネクタ30の管状部31がメス型コネクタ35の筒状部38と中径筒状部37との間に押し込まれるように作用する力(オス型コネクタ30とメス型コネクタ35とが相互に近づく力)が、オス型コネクタ30およびメス型コネクタ35に付与される。故に、係合爪34が凹部418内に収納されるとともに、管状部31が筒状部38と中径筒状部37との間へより深く挿入され、係合壁417の第2ロック突起419が係合爪34の第2ロック凹部34b内に収納されることにより、オス型コネクタ30およびメス型コネクタ35は、図12に示された状態になる。
【0074】
したがって、オス型コネクタ30およびメス型コネクタ35がともに、天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されていても、筒状部38の管状部31内のより深い箇所への挿入が楽に行え、且つ、管状部31の内周面と筒状部38の外周面とが密着することによる高い液密性も確保できる。また、筒状部38の管状部31内のより深い箇所への挿入が楽に行えるので、係合爪34の傾斜面34aに対する第2ロック突起419の摺動抵抗を小さくすることもできる。さらに、メス型コネクタ35が天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されているので、メス型コネクタ35の送液チューブ接続部40への可撓性を有する送液チューブの接続作業が行い易くなり且つコスト低減も行える。メス型コネクタ35およびオス型コネクタ30の材料および硬度は、(実施形態1)において説明したメス型コネクタ15およびオス型コネクタ10のそれらと同じでよい。
【0075】
メス型コネクタ35には、係合爪34が収納される凹部418に隣接して凸部421が設けられているので、オス型コネクタ30の係合爪34を凹部418内に侵入させ、更に凸部421に当接するまで移動させれば、係合爪34と係合壁417とを確実に係合させることができる。
【0076】
また、オス型コネクタ30の係合爪34がメス型コネクタ35の凸部421に当接することにより、オス型コネクタ30に対するメス型コネクタ35の回転が規制されることが好ましい。これにより、オス型コネクタ30に対してメス型コネクタ35を、回転が規制されるまで回転させるという簡単な操作により、係合爪34と係合壁417とを確実に係止させることができる。
【0077】
(実施形態3)
(実施形態1)で説明されたメス型コネクタ15に接続されるオス型コネクタ10、および、(実施形態2)で説明されたオス型コネクタPの一例(オス型コネクタ30)は、各々、その成形の際に医療用容器のポートに一体化されている。しかし、これらのオス型コネクタは、接続手段により着脱可能にポートに接続されるものであってもよい。
【0078】
図13に示されるように、本発明のオス型コネクタPの一例であるオス型コネクタ60は、台座62と、台座62の一方の主面の中央から下方に向かって突出した管状部61と、台座62の管状部61側とは反対側に配置されたキャップ部68と、台座62の外周面から外方向に突出した1対の係合爪64とを含む。台座62と、管状部61と、係合爪64については、(実施形態2)で説明したオス型コネクタ30のそれと同構造でよい。キャップ部68の内周面には、上記接続手段として、ポート602の雄ネジ部602aと螺合する雌ネジ(図示せず)が形成されている。オス型コネクタ60の材料および硬度は、(実施形態2)において説明したオス型コネクタ30のそれと同じでよい。
【0079】
(実施形態4)
図14に示されるように、(実施形態1)で説明した本発明のメス型コネクタAの一例(メス型コネクタ15)、または、(実施形態2)で説明したメス型コネクタ35は、例えば、経腸栄養供給セット500等の経腸栄養供給セットを構成する送液回路50の部品として使用される。
【0080】
送液回路50は、例えば、メス型コネクタ15に接続された可撓性を有する送液チューブ51と、送液チューブ51を押圧して送液チューブ51内を流れる液状物の流量を調節するための流量調整器52、点滴筒53、コネクタ54、コネクタカバー55等を含む。しかし、本発明の送液回路は、図14に示された構成に限定されるものではなく、従来公知の経腸栄養供給セットが備える構成部品をさらに含んでいてもよい。
【0081】
(実施形態2)で説明した、メス型コネクタ35を含む送液回路も、従来公知の経腸栄養供給セットが備える構成部品を含んでいてもよい。
【0082】
(実施形態5)
図15に示されるように、本発明の医療用容器の一例では、容器本体部701が軟質プラスチックシートにて形成されていてもよい。医療用容器700を構成する本発明のオス型コネクタPの一例(オス型コネクタ70)については、(実施形態2)で説明した、本発明のオス型コネクタ30と同構成でよい。この場合、容器本体部701は、例えば、2枚の軟質プラスチックシートを重ね合わせて、それらの外周縁をヒートシール(熱接着)により相互に接合してなる袋状物である。ポート702およびオス型コネクタ70は容器本体部701を構成する上記軟質プラスチックシートに比べて相対的に硬い樹脂材料からなる。ポート702およびオス型コネクタ70の材料および硬度は、(実施形態2)において説明したオス型コネクタ30のそれと同じでよい。
【0083】
軟質プラスチックシートの材料について特に制限はなく、医療用容器に用いられる、従来公知の軟質プラスチックシートが使用できる。具体的には、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリプロピレン、ポリアミド、エチレン−メタクリレート共重合体等からなる単層シート、又は上記単層シートが積層された積層シートが挙げられる。積層シートの具体的層構成としては、例えば、ナイロン/ポリエチレン、ナイロン/ポリプロピレン,ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン,ポリプロピレン/ポリエチレン、ナイロン/ポリプロピレン/ポリエチレン等が挙げられる。
【0084】
(実施形態6)
図16に示されるように、(実施形態2)で説明した、本発明のオス型コネクタPの一例(オス型コネクタ30)は、メス型コネクタ35が接続されていない時、例えば、キャップ80が装着された状態で提供されていてもよい。
【0085】
図17A〜図17Dに示されているように、キャップ80と、(実施形態2)で説明したメス型コネクタ35との相違は、キャップ80が、送液チューブ接続部40(図9E等参照)を備えておらず、キャップ80がオス型コネクタ30に装着された際に、管状部31の開口を塞ぐ封止底部16aを備えている点である。その他の構造は(実施形態2)で説明したメス型コネクタ35と同じである。図17A〜図17Dにおいて、(実施形態2)で説明したメス型コネクタ35を構成する部材と同形状の部材については、メス型コネクタ35を構成する部材と同じ部材番号を付して、その説明を省略する。
【0086】
(実施形態7)
図18Aは、本発明のメス型コネクタAの一例(メス型コネクタ125)が接続されうる本発明のオス型コネクタCの一例(オス型コネクタ120)を含む医療用容器の一例(医療用容器1200)の概略構成を示した正面図であり、図18Bは、図18Aに示した医療用容器の下面図である。図19Aは、図18Aの医療用容器の一部拡大斜視図であり、図19Bは、図18Aの医療用容器の一部拡大正面図であり、図19Cは、図18Aの医療用容器の一部拡大下面図である(ただし、容器本体部は省略している)。図19Aにおいて、一点鎖線111はオス型コネクタ120の中心軸である。中心軸111の方向を上下方向とし、図19Aの紙面上側(医療用容器1200の容器本体部101側)を「上側」、紙面下側(メス型コネクタ125が接続される側)を「下側」と呼ぶことにする。
【0087】
図18A〜図19Cに示されるように、係止爪124の形状が異なること以外は(実施形態1)で説明されたオス型コネクタと同構成をしており、同一部材には同じ部材番号を付してその説明を省略する。
【0088】
図19A及び図19Bに示されるように、各係合爪124の容器本体部101側の面は、第4傾斜面124aと、第3傾斜面124bと、第4傾斜面124aと第3傾斜面124bとの間において両者に連続する第2段差面124cとを含む階段構造を有している。第4傾斜面124aは、係合爪124の容器本体部101側の面の長手方向(管状部11の周方向と同方向)の両端のうちの一方の端から上記面の中央部に向かってその高さが高くなっており、第3傾斜面124bは、係合爪124の容器本体部101側の面の長手方向(管状部11の周方向と同方向)の両端のうちの他方の端から上記面の中央部に向かってその高さが低くなっている。
【0089】
図20Aは、オス型コネクタ120に接続されるメス型コネクタ125の一例の概略構成を示した斜視図であり、図20Bは、図20Aに示したメス型コネクタ125の平面図であり、図20Cは、図20Aに示したメス型コネクタ125の正面図であり、図20Dは、図20Aに示したメス型コネクタ125のA―A'断面図であり、図20Eは、図20Aに示したメス型コネクタ125のB―B'断面図である。
【0090】
メス型コネクタ125は、円弧状壁512と渡り部513とを含む鍔部511の形状が異なること以外は、(実施形態1)で説明したメス型コネクタ15と同構造をしており、同一部材には同じ部材番号を付してその説明を省略する。
【0091】
メス型コネクタ125の円弧状壁512は、中心軸151に対向する内周面の形状の相違により、通過領域514と、係合領域515と、非通過領域516(図20B参照)とを含む。通過領域514の内周面は直径DF31の円筒面の一部であり、非通過領域516の内周面は直径DF33(DF33<DF31)の円筒面の一部である。通過領域514と非通過領域516との間の係合領域515は、その上端に、通過領域514の上端と非通過領域516の上端とを繋ぐように周方向に延在する係合壁517を備える。係合壁517の中心軸151に対向する内周面は、直径DF32(DF32<DF31、DF33=DF32)の円筒面の一部である。係合領域515は、係合壁517を備えることによって、係合壁517と渡り部513との間の領域が凹状に陥没している。すなわち、係合領域515における係合壁517と渡り部513との間の領域は、係合壁517よりも相対的に中心軸151に対して後退しており、係合爪124(図19B等参照)を収納可能とする収納部518を構成している。係合領域515に対して周方向に隣接する非通過領域516は、係合領域515における係合壁517よりも、中心軸151に対して相対的に突出した凸部521を含んでいる。渡り部513のうちの係合壁517と向かい合う部分には、渡り部513の厚み方向に貫通する貫通孔520(図20E参照)が形成されているが、貫通孔520はなくてもよい。
【0092】
係合壁517の渡り部513に面する面522(オス型コネクタ120とメス型コネクタ125とが係合した状態の時に係合壁515が係合爪124に面する面)は、第1傾斜面522bと、第2傾斜面522aと、第1傾斜面522bと第2傾斜面522aとの間において両者に連続する第1段差面522cとを含む階段構造をしている。面522は、第1傾斜面522bと第1段差面522cと第2傾斜面522aとを、通過領域214側からこの順で含む。メス型コネクタ125がオス型コネクタ120に接続された状態で、第1傾斜面522bは係合爪124の第3傾斜面124bに、第2傾斜面522aは係合爪124の第4傾斜面124aに、第1段差面522cは係合爪124の第2段差面124cに各々接する。このように、オス型コネクタ120の係止爪124が、メス型コネクタ125とオス型コネクタ120との接続操作時に傾斜面(第1傾斜面522b)を摺動する平行な平面(第4傾斜面124a)を有する場合、係合壁517の係合爪124に面する面が、メス型コネクタ125とオス型コネクタ120との接続操作時に係合壁517に対する係合爪124の摺動方向に沿って係合爪124が傾斜面(第1傾斜面522b)を上る際に、摺動に伴う係止爪124の傾斜面(第1傾斜面522b)に接する部分の劣化が抑制される。また、係合壁517と係止爪124との接触面積が、例えば、(実施形態1)で説明したオス型コネクタ10の係合爪14の第1ロック突起14bのそれよりも大きいいので、係合操作時にメス型コネクタ125の回転方向と逆方法に働く応力が分散され、応力集中に伴う係合壁517および/または係止爪124の破損等を抑制できる。
【0093】
次に、メス型コネクタ125のオス型コネクタ120への接続方法を説明する。図21に示されるように、メス型コネクタ125の筒状部18と中径筒状部17との間の空間、オス型コネクタ120の管状部11を挿入する。この状態で、例えば、メス型コネクタ125を中心軸の周りに少し回転させれば、図22Aに示されるように、係合爪124の第4傾斜面124aは、係合壁517の傾斜面(第1傾斜面522b)に接する。
【0094】
次いで、例えば、把持部22を把持して、オス型コネクタ120に対してメス型コネクタ125を中心軸151の周りに回転させる。このメス型コネクタ125の回転に伴い、図22Aおよび図22Bに示されるように、第4傾斜面124aが、第1傾斜面522bに押さえつけられながら第1傾斜面522b上を摺動し、係合爪124は、係合壁517に対する係合爪124の摺動方向に沿って第1傾斜面522bを上る。そのため、例えば、メス型コネクタ125の回転操作に伴い、オス型コネクタ120の管状部11がメス型コネクタ125の筒状部18と中径筒状部17との間に押し込まれるように作用する力が、オス型コネクタ120およびメス型コネクタ125に付与される。故に、係合爪124が収納部518部内に収納されるとともに、管状部11が筒状部18と中径筒状部17との間へより深く挿入され、図23に示された状態になる。第4傾斜面124aが第1傾斜面522bの頂部をこえると、係合爪124は、この図において上側に若干移動し、第4傾斜面124aは第2傾斜面522aと接することとなる。第4傾斜面124aが第1段差面522cを乗り越えると、メス型コネクタ125とオス型コネクタ120の接続は容易に解除されない。
【0095】
したがって、オス型コネクタ120およびメス型コネクタ125がともに、天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されていても、筒状部18の管状部11内のより深い箇所への挿入が楽に行え、且つ、高い液密性も確保できる。また、係合爪124の第1傾斜面522bに対する摺動抵抗を小さくすることもできる。さらに、メス型コネクタ125が天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されているので、メス型コネクタ125の送液チューブ接続部20への可撓性を有する送液チューブの接続作業が行い易くなり、特に、送液チューブの送液チューブ接続部への機械による接続が容易になる。よって、コスト低減も行える。
【0096】
メス型コネクタ125には、係合爪124が収納される収納部518に隣接して凸部521(図20A参照)が設けられているので、オス型コネクタ120の係合爪124を収納部518内に侵入させ、更に凸部521に当接するまで移動させれば、係合爪124と係合壁517とを確実に係合させることができる。これにより、オス型コネクタ120に対してメス型コネクタ125を、回転が規制されるまで回転させるという簡単な操作により、係合爪124と係合壁517とを確実に係合させることができる。
【0097】
尚、図24に示されるように、本実施形態のメス型コネクタの係合壁の渡り部側の面は、第2傾斜面522aに代えて、第1段差面522cの第1傾斜面522b側の反対側に連続する水平面522dを含んでいてもよい。また、図25に示されるように、オス型コネクタ120の係止爪124の管状部側の面の反対面は、第3傾斜面に代えて、第2段差面124Cの第4傾斜面124a側の反対側に連続する水平面124dを含んでいてもよい。
【0098】
尚、図22Aおよび図22B等を用いて説明した、メス型コネクタ125およびオス型コネクタ120については、メス型コネクタ125がオス型コネクタ120に接続された状態で、第1傾斜面522bは係合爪124の第3傾斜面124bに、第2傾斜面522aは係合爪124の第4傾斜面124aに、第1段差面522cは係合爪124の第2段差面124cに各々接している。しかし、本実施形態は、例えば、第2段差面124cと第1段差面522cの傾斜角度が相互に異なることによって、メス型コネクタ125がオス型コネクタ120に接続された状態で第2段差面124cと第1段差面522cとが接しない場合も含む。また、例えば、第2段差面124cと第1段差面522cの段差の高さが相互に異なることにより、メス型コネクタ125がオス型コネクタ120に接続された状態で、第1傾斜面522bと第3傾斜面124bとが接しない場合、または、第2傾斜面522aと第4傾斜面124aとが接しない場合も含む。
【0099】
(実施形態8)
図26Aは、メス型コネクタDの一例(メス型コネクタ85)が接続されうる本発明のオス型コネクタEの一例(オス型コネクタ180)を含む医療用容器の一例(医療用容器800)の概略構成を示した正面図であり、図26Bは、図26Aに示した医療用容器の下面図である。図27Aは、図26Aの医療用容器の一部拡大斜視図であり、図27Bは、図26Aの医療用容器の一部拡大正面図であり、図27Cは、図26Aの医療用容器の一部拡大下面図である(ただし、容器本体部は省略している)。図27Aにおいて、一点鎖線181はオス型コネクタ180の中心軸である。中心軸181の方向を上下方向とし、図27Aの紙面上側(医療用容器800の容器本体部801側)を「上側」、紙面下側(メス型コネクタ85が接続される側)を「下側」と呼ぶことにする。
【0100】
医療用容器800は、液状物が充填され、液状物の出入りを可能とする中空円筒状のポート802を有する容器本体部801と、オス型コネクタ180とを含む。図26Aに示された例では、オス型コネクタ180は、その成形の際にポート802に一体化されている。オス型コネクタ180の材料、および硬度は、(実施形態1)において説明した医療用容器100のそれと同じでよい。
【0101】
オス型コネクタ180は、台座82を有する。台座82には、その一方の主面の中央から下方に向かって突出した管状部81が設けられている。管状部81および台座82には、容器本体部801内の液状物が流出する貫通孔83が形成されている。台座82には、その一方の主面から管状部81側に突出し、管状部81の周囲に配置された1対の鍔部84が設けられている。1対の鍔部84は、例えば、中心軸181に対して対称位置に形成されている。
【0102】
図27Aに示されるように、鍔部84は、中心軸181を中心軸とする円筒面にほぼ沿った円弧状壁812と、中心軸181に垂直な方向に延びて円弧状壁812の下端と台座82とを繋ぐ渡り部813とを有する。
【0103】
円弧状壁812は、図27Cに示されるように、中心軸に対向する内周面の形状の相違により、通過領域814と、係合領域815と、非通過領域816とを含む。通過領域814の内周面は直径DM41の円筒面の一部であり、非通過領域816の内周面は直径DM43(DM43<DM41)の円筒面の一部である。通過領域814と非通過領域816との間の係合領域815は、その上端に、通過領域814の上端と非通過領域816の上端とを繋ぐように周方向に延在する係合壁817(図27A参照)を備える。係合壁817の中心軸181に対向する内周面は、直径DM42(DM42<DM41)の円筒面の一部である。係合領域815は、係合壁817を備えることによって、係合壁817と渡り部813との間の領域が中心軸181に対して凹状に陥没している。すなわち、係合壁817と渡り部813との間の領域は、中心軸181に対して係合壁817よりも相対的に後退して、後述するメス型コネクタの係合爪827を収納するための収納部818(図27A参照)を構成している。
【0104】
係合領域815に対して周方向に隣接する非通過領域816は、中心軸181に向って収納部818よりも相対的に突出している。係合壁817の非通過領域816側の下面(係合壁817の凹部818側の面の非通過領域816側端部、係合壁817の渡り部813に面する面の非通過領域816側端部)には、凹状に窪んだ第3ロック凹部819が形成されている。
【0105】
係合爪827が収納部818に収納された状態の時に、円弧状壁812のうちの係合爪827と向かい合う部分には、円弧状壁812の厚み方向に貫通する貫通孔820(図27A参照)が形成されている。この場合、係合爪827が収納部818に収納されたこを確認し易いという理由から好ましいが、係合爪827が収納部818内に収納されるかぎり、円弧状壁812に上記貫通孔820は形成されていなくてもよい。
【0106】
係合壁817の収納部818側の面(渡り部813に面する面)のうちの、第3ロック凹部819が形成された部分よりも非通過領域816の係合領域側端から遠い部分、具体的には、係合壁817の収納部818側の面の、非通過領域816の係合領域側端から遠い一端から第3ロック凹部819に達するまでの領域は、傾斜面822(図27B参照)を含んでいる。傾斜面822は、非通過領域816の係合領域815側端から遠い一端から第3ロック凹部819へ向かって、渡り部813との距離が小さくなるように漸次傾斜している。
【0107】
図28Aは、オス型コネクタ180に接続されるメス型コネクタ85の一例の概略構成を示した斜視図であり、図28Bは、図28Aに示したメス型コネクタ85の平面図であり、図28Cは、図28Aに示したメス型コネクタ85の正面図であり、図28Dは、図28Aに示したメス型コネクタ85のA―A'断面図であり、図28Eは、図28Aに示したメス型コネクタ85のB―B'断面図である。
【0108】
図28A〜図28Eに示されるように、メス型コネクタ85は、挿入部823と、送液チューブ接続部824と、フランジ部825と、把持部826、係合爪827とを備える。一点鎖線181は挿入部823の中心軸であり、これはメス型コネクタ85、および送液チューブ接続部824の中心軸と一致する。中心軸181の方向を上下方向とし、図28Aの紙面上側(オス型コネクタ180に接続される側)を「上側」、紙面下側(送液チューブが接続される側)を「下側」と呼ぶことにする。
【0109】
挿入部823には、オス型コネクタ180の管状部81が挿入される。挿入部823の内径は管状部81の外径と等しいか、僅かに小さい。そのため、挿入部823は、メス型コネクタ85とオス型コネクタ180とが接続された状態の時にその内周面823aが管状部81の外周面81a(図27A等参照)に密着する。したがって、オス型コネクタ180とメス型コネクタ85とを液状物の漏れを生ずることなく確実に接続できる。
【0110】
挿入部823は、チューブ接続部824と連結されている。チューブ接続部824は、オス型コネクタ180とメス型コネクタ85とが接続された状態の時に、その内部がオス型コネクタ180の管状部81と連通し、チューブ接続部824の挿入部823側の反対側は送液チューブが接続されうる。
【0111】
フランジ部825は、挿入部823の管状部81が挿入される側の端部から外方に向って延びるように形成されており、その平面形状は環状である。フランジ部825は、オス型コネクタ180とメス型コネクタ85とが接続された状態の時に、オス型コネクタ180の台座82に対向する。
【0112】
図28Aに示されるように、係合爪827は、フランジ部825の外周面から外方向に突出すように形成されている。各係合爪827は、係合片827aと、係合片827aの一端に下方向に突出して形成された第3ロック突起827bとを備える。図28Aに示されるように、フランジ部825の上面825aは平面であり、この上面825aと一対の係合爪827の上面827cは、同一平面内にある。図28Bに示されるように、フランジ部825の外径はDF51、一対の係合爪287の頂部間距離はDF52(DM52>DM51)である。
【0113】
各把持部826は、把持し易しく且つ回転操作が行い易いやすければ、その形状および形成位置等について特に制限はない。
【0114】
次に、メス型コネクタ85のオス型コネクタ180への接続方法を説明する。図29に示されるように、メス型コネクタ85の挿入部823内へオス型コネクタ180の管状部81を挿入する。この状態で、例えば、メス型コネクタ85を中心軸181の周りに少し回転させれば、図30Aに示されるように、係合爪827の第3ロック突起827bは、係合壁817(図27A参照)の傾斜面822に接する。
【0115】
次いで、把持部826を把持して、例えば、オス型コネクタ180に対してメス型コネクタ85を中心軸181の周りに回転させる。このメス型コネクタ85の回転に伴い、図30Aおよび図30Bに示されるように、第3ロック突起827bが、傾斜面822に押さえつけられながら傾斜面822上を摺動し、係合爪827は、係合壁817に対する係合爪827の摺動方向に沿って傾斜面822を上る。即ち、係合壁817の係合爪827に面する面は、メス型コネクタ85とオス型コネクタ180との接続操作時に係合壁817に対する係合爪827の摺動方向に沿って係合爪827が上る傾斜面822を含む。そのため、例えば、メス型コネクタ85の回転操作に伴って、オス型コネクタ180の管状部81がメス型コネクタ85の挿入部823内に押し込まれるように作用する力(オス型コネクタ180とメス型コネクタ85とが相互に近づく力)が、オス型コネクタ180およびメス型コネクタ85に付与され、第3ロック突起827bは傾斜面822を超えると第3ロック凹部819と係合する。故に、係合爪827が収納部818部内に収納されるとともに、管状部81が挿入部823内へより深く挿入され、図30に示された状態になる。
【0116】
したがって、オス型コネクタ180およびメス型コネクタ85がともに、天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されていても、管状部81の挿入部823内のより深い箇所への挿入が楽に行え、且つ、高い液密性も確保できる。また、係合爪827の傾斜面822に対する摺動抵抗を小さくすることもできる。さらに、メス型コネクタ85が天然ゴム、または合成ゴム等の可撓性及び弾性を有する材料よりも高い硬度を有する材料で形成されているので、メス型コネクタ85の送液チューブ接続部824への可撓性を有する送液チューブの接続作業が行い易くなり、特に、送液チューブの送液チューブ接続部824への機械による接続が容易になる。よって、コスト低減も行える。
【0117】
オス型コネクタ180には、係合爪827が収納される収納部818に隣接して、収納部818よりも中心軸181側へ突出した非通過領域816(図20A参照)が設けられているので、メス型コネクタ85の係合爪827を収納部818内に侵入させ、更に非通過領域816の係合領域815に面する面に当接するまで移動させれば、係合爪827と係合壁817とを確実に係合させることができる。これにより、オス型コネクタ180に対してメス型コネクタ85を、回転が規制されるまで回転させるという簡単な操作により、係合爪827と係合壁817とを確実に係合させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明では、経腸栄養法のみならず静脈栄養法においても好適に使用されるメス型コネクタ、オス型コネクタ、送液回路、医療用容器等を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状物が流出する管状部を有する第オス型コネクタに接続されるメス型コネクタであって、
前記オス型コネクタは、
一方の主面の中央に前記管状部が突出して設けられた台座と、
前記台座の外周面から外方向に突出した係合爪と、を含み、
前記メス型コネクタは、
前記管状部に接続されうる筒状部と、
前記筒状部の一端に連結された底部と、
その一端が前記メス型コネクタの前記底部を介して前記筒状部に連結され、前記オス型コネクタに接続されたときにその内部が前記管状部内と連通し送液チューブが接続されうる送液チューブ接続部と、
少なくともその一部が前記筒状部の前記送液チューブ接続部側の反対側に突出するように設けられた鍔部と、を含み、
前記筒状部の中心軸に対向する前記鍔部の内周面は、その長手方向が周方向に沿っており内方に突出した係合壁を備え、前記係合壁が設けられることによって前記係合壁よりも中心軸に対して後退した、前記係合壁よりも前記筒状部側の前記鍔部の前記内周面の一部が、前記係合爪が収納される凹部を構成しており、
前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で前記係合壁の前記係合爪に面する面が、前記メス型コネクタと前記オス型コネクタとの接続操作時に前記係合壁に対する前記係合爪の摺動方向に沿って前記係合爪が上る傾斜面を含み、
前記傾斜面を第1傾斜面とすると、
前記係合壁の前記係合爪に面する面は、前記第1傾斜面と、第2傾斜面と、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面との間において両者に連続する第1段差面と、を含む階段構造をしており、
前記係合爪は、前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で、前記第1傾斜面に対向する第3傾斜面と、前記第2傾斜面に対向する第4傾斜面と、前記第1段差面に対向する第2段差面とを含む、メス型コネクタ。
【請求項2】
前記メス型コネクタは、前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で、
前記筒状部の外周面が前記管状部の内周面に接し、
前記メス型コネクタは、その内周面の少なくとも一部が前記管状部の外周面に接し、その一端が前記底部を介して前記筒状部に連結された、中径筒状部をさらに含む請求項1に記載のメス型コネクタ。
【請求項3】
前記メス型コネクタは、前記中径筒状部との間に空間が形成されるように前記中径筒状部の周囲に配置され、その一端が前記底部を介して前記中径筒状部に連結された大径筒状部をさらに含み、
前記大径筒状部の厚みは、前記中径筒状部のそれよりも厚く、
前記鍔部は、前記大径筒状部を介して前記中径筒状部に連結されている請求項2に記載のメス型コネクタ。
【請求項4】
前記メス型コネクタは、前記中径筒状部と前記大径筒状部の間に配置され、前記中径筒状部と前記大径筒状部とを部分的に連結する架橋部をさらに含む請求項3に記載のメス型コネクタ。
【請求項5】
前記メス型コネクタは、前記大径筒状部の外周面から外方に突出した把持部をさらに含む、請求項3または4に記載のメス型コネクタ。
【請求項6】
請求項1に記載のメス型コネクタに接続されるオス型コネクタであって、
前記オス型コネクタは、
一方の主面の中央に前記管状部が突出して設けられた台座と、
前記台座の外周面から外方向に突出した係合爪と、を含み、
前記係合爪は、前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で、前記第1傾斜面に対向する第3傾斜面と、前記第2傾斜面に対向する第4傾斜面と、前記第1段差面に対向する第2段差面とを含むオス型コネクタ。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかの項に記載のメス型コネクタと、液状物が流出する管状部を有するオス型コネクタとの接続構造であって、
前記オス型コネクタは、
一方の主面の中央に前記管状部が突出して設けられた台座と、
前記台座の外周面から外方向に突出した係合爪と、を含み、
前記係合爪は、前記メス型コネクタが前記オス型コネクタに接続された状態で、前記第1傾斜面に対向する第3傾斜面と、前記第2傾斜面に対向する第4傾斜面と、前記第1段差面に対向する第2段差面とを含み、
前記係合爪が前記メス型コネクタの前記凹部内に収納されることにより、前記係合爪と前記メス型コネクタの前記係合壁とが係合される、接続構造。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかの項に記載のメス型コネクタと、前記メス型コネクタの前記送液チューブ接続部に接続された送液チューブとを含む送液回路。
【請求項9】
液状物の出入りを可能とする中空円筒状のポートを有する容器本体部と、
請求項6に記載のオス型コネクタと、を含み、
前記オス型コネクタは、その成形の際に前記ポートに一体化されているか、または、接続手段により着脱可能に前記ポートに接続されている、医療用容器。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図17D】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図21】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27A】
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【図27B】
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【図27C】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図28E】
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【図29】
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【図30A】
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【図30B】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2013−10018(P2013−10018A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−228296(P2012−228296)
【出願日】平成24年10月15日(2012.10.15)
【分割の表示】特願2010−541645(P2010−541645)の分割
【原出願日】平成22年6月4日(2010.6.4)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】