説明

メタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプおよびその製造方法

本発明は、例えば摩擦材料、流体シーリング材、および紙をはじめとする製品での強化材として使用するためのメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプに関する。本発明はさらに、かかるパルプの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば摩擦材料、流体シーリング材、および紙をはじめとする製品での強化材として使用するためのメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプに関する。本発明はさらに、かかるパルプの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化材および非繊維強化材は、摩擦製品、シーリング製品および他のプラスチックまたはゴム製品に長年使用されてきた。かかる強化材は典型的には、高い耐摩耗性および耐熱性を示さなければならない。
【0003】
アスベスト繊維が強化材として歴史的に使用されてきたが、それらの健康上のリスクのために、代替品が製造されまたは提案されてきた。しかしながら、これらの代替品の多くは、色々な点でアスベストほどにうまく機能しない。
【0004】
非特許文献1は、可変の長さのフィブリル化ケブラー(KEVLAR)(登録商標)銘柄パラ−アラミド繊維から製造されるパルプの製造および様々な用途での強化材としてのかかるパルプの使用を開示している。この刊行物は、ケブラー(KEVLAR)(登録商標)銘柄パラ−アラミド繊維から製造されたパルプが単独で、またはノメックス(NOMEX)(登録商標)銘柄メタ−アラミド、木材パルプ、綿および他の天然セルロース、レーヨン、ポリエステル、ポリオレフィン、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、アスベストおよび他の鉱物、ガラス繊維および他のセラミックス、スチールおよび他の金属、ならびにカーボンなどの他の材料と組み合わせてシート製品に使用できることを開示している。この刊行物はまた、アスベスト容量の残りが充填剤または他の繊維で置き換えられて、アスベスト容量の一部に置き換わるための摩擦材料での、単独での、またはケブラー(KEVLAR)(登録商標)銘柄パラ−アラミド短ステープルと合わせたケブラー(KEVLAR)(登録商標)銘柄パラ−アラミド繊維からのパルプの使用を開示している。
【0005】
特許文献1(ホイネス(Hoiness)に付与された)は、熱硬化性または熱可塑性マトリックス樹脂、繊維強化材、および実質的にフィブリルを含まないアラミド粒子でできた複合摩擦またはガスケット材料を開示している。ポリ(p−フェニレンテレフタルアミド)およびポリ(m−フェニレンイソフタルアミド)が好ましい繊維強化材であり、繊維はフロックまたはパルプの形態にあることができる。
【0006】
プロボスト(Provost)に付与された特許文献2は、紙または板紙の製造に好適な、アラミドフィブリドおよびアラミドフロックの水性懸濁液の調製方法を開示している。この開示は、メタ−アラミドフロックおよびメタ−アラミドフィブリドの懸濁液がメタ−アラミドフロックへの損傷なしに一緒に精製され得ることを教示している。メタ−アラミドフロックはまた、フィブリル化せず、パラ−アラミドフロックが精製されるときにするようにパルプを形成しない。
【0007】
特許文献3(クサカ(Kusaka)らへの)は、摩擦改良剤、バインダーおよび(a)乾燥アラミドパルプと(b)湿潤アラミドパルプ、木材パルプまたはアクリルパルプとの混合物でできた繊維強化材から製造される摩擦材料を開示している。乾燥アラミドパルプは、「乾式フィブリル化法」によって得られるアラミドパルプと定義される。乾式フィブリル化法は、パルプを製造するために回転カッターとスクリーンとの間でアラミド繊維をドライミリングすることである。湿式アラミドパルプは、「湿式フィブリル化法」によって得られるアラミドパルプと定義される。湿式フィブリル化法は、フィブリル化繊維を形成するために2つの回転ディスク間で水中にて短いアラミド繊維をミリングし、次にフィブリル化繊維、すなわちパルプを脱水することである。特許文献3はさらに、先ず、一定の比でフィブリル化する複数タイプの有機繊維を混合し、次に、混合物をフィブリル化してパルプを生成することによる繊維の混合フィブリル化法を開示している。
【0008】
流体シールおよび摩擦用途などの製品でうまく機能しかつ低コストの代替強化材を提供することが継続的に必要とされている。多数の開示がより低コストの代替強化材を提案しているにもかかわらず、これらの提案された製品の多くは、使用中に十分に機能しない、現在市販の製品よりかなりコストがかかるか、または他の負の属性を有する。従って、他の商業的に入手可能な強化材に匹敵するかまたはそれより高価でない、高い耐摩耗性および耐熱性を示す強化材が依然として必要とされている。
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,811,042号明細書
【特許文献2】米国特許第4,472,241号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0022961号明細書
【非特許文献1】1980年2月に公表された研究開示(Research Disclosure)74−75
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、
(a)(1)0.2〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2マイクロメートル以下の厚さを有し、そして原料中の全固形分の10〜90重量パーセントである未乾燥メタ−アラミドフィブリド、
(2)原料中の全固形分の10〜90重量パーセントであり、そして10cm以下の平均長さを有するパラ−アラミド繊維、および
(3)全原料の95〜99重量パーセントである水
を含むパルプ原料を組み合わせる工程と、
(b)原料をほぼ均一なスラリーへ混合する工程と、
(c)スラリーを同時に、
(1)0.1〜0.5mmの平均最大寸法を有する、フィブリルを含まない精製メタ−アラミドフィブリドへメタ−アラミドフィブリドを剪断し、および/またはパルプ状にする(masticating)こと、
(2)パラ−アラミド繊維を不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること、および
(3)精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させること
によって共精製する工程と、
(d)精製スラリーから水を除去する工程と
を含んでなり、
それによって、パラ−アラミド繊維状構造物が精製メタ−アラミドフィブリドの少なくとも一部と接触し、そしてその周りに部分的に巻き付けられた状態でメタ−およびパラ−アラミドパルプを生成する
強化材として使用するためのメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプの製造方法に関する。
【0011】
本発明はさらに、
(a)水と以下の群:
(1)0.2〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2マイクロメートル以下の厚さを有し、そしてパルプ中の全固形分の10〜90重量パーセントである未乾燥メタ−アラミドフィブリド、および
(2)パルプ中の全固形分の10〜90重量パーセントであり、そして10cm以下の平均長さを有するパラ−アラミド繊維
の第1材料とを含む原料を組み合わせる工程と、
(b)原料をほぼ均一な懸濁液へ混合する工程と、
(c)混合懸濁液を、
(1)メタ−アラミドフィブリドの少なくとも一部を剪断し、および/またはパルプ状にすること、または
(2)パラ−アラミド繊維の少なくとも一部を不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること
によって精製する工程と、
(d)精製懸濁液、(a)(1および2)の群の第2材料、および、必要に応じて、水濃度を全原料の95〜99重量パーセントに上げるための水を含む原料を組み合わせる工程と、
(e)必要に応じて、原料を混合してほぼ均一なスラリーを形成する工程と、
(f)スラリーを同時に、
(1)未乾燥メタ−アラミドフィブリドの全てまたは実質的に全てが0.1〜0.5mmの平均最大寸法を有する、フィブリルを含まないメタ−アラミド精製フィブリドへサイズ減少させられるように、0.2〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2マイクロメートル以下の厚さを有する任意の残存する未乾燥メタ−アラミドフィブリドの少なくとも一部を剪断し、および/またはパルプ状にすること、および
(2)パラ−アラミド繊維の全てまたは実質的に全てが不規則形状のフィブリル化繊維状構造物に変換されるように、パラ−アラミド繊維の少なくとも一部をフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること、および
(3)精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させること
によって共精製する工程と、
(g)精製スラリーから水を除去する工程と
を含んでなり、
それによって、パラ−アラミド繊維状構造物がメタ−アラミド精製フィブリドの少なくとも一部と接触し、そしてその周りに部分的に巻き付けられた状態でメタ−およびパラ−アラミドパルプを生成する
強化材として使用するためのメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプの製造方法に関する。
【0012】
本発明はさらに、本発明の方法で製造されるアラミドパルプおよびこのパルプを含んでなる紙に関する。
【0013】
さらに、本発明は、摩擦改良剤、バインダー、充填剤、および本発明の方法で製造されたアラミドパルプを含んでなる摩擦材料、ならびにバインダー、充填剤、および本発明の方法で製造されたアラミドパルプを含んでなるガスケットなどの流体シーリング材に関する。
【0014】
本発明は、次の通り説明される添付の図面に関連してそれについての以下の詳細な説明からさらに十分に理解することができる。
【0015】
用語解説
本発明が説明される前に、特に明記されない限り本開示の全体にわたって同じ意味を有する幾つかの用語を以下の用語解説で定義することは有用である。
【0016】
物体の「最大寸法」は、物体における2つの互いに最遠位点間の直線距離を意味する。
【0017】
物体の「アスペクト比」は、最大寸法を含有する任意の平面におけるこの物体の最大幅で割られた、物体の最大寸法を意味し、ここで最大幅は最大寸法に垂直である。
【0018】
「繊維」は、長さ対その長さに垂直のその断面積を横切る幅の高い比を有する比較的可撓性の物質の単位を意味する。本明細書では、用語「繊維」は、用語「フィラメント」または「エンド」と同じ意味で用いられる。本明細書に記載されるフィラメントの断面は、任意の形状であることができるが、典型的には円形または豆形である。パッケージで糸巻きへ紡績される繊維は、連続繊維または連続フィラメントまたは連続フィラメント糸と呼ばれる。繊維は、ステープルファイバーと呼ばれる短い長さへ切断することができる。繊維は、フロックと呼ばれるさらにより小さい長さへ切断することができる。糸、マルチフィラメント糸またはトウは複数の繊維を含んでなる。糸はより合わせるおよび/または撚ることができる。
【0019】
「フィブリド」は、非顆粒の繊維状またはフィルム様粒子を意味する。好ましくは、それらは320℃超の融点または分解点を有する。フィブリドは繊維ではないが、それらは、それらがウェブによって連結された繊維様領域を有するという点において繊維状である。フィブリドは、5:1〜10:1のアスペクト比と共に0.2〜1mmの平均長さを有する。フィブリドウェブの厚さ寸法は1または2マイクロメートル未満であり、典型的にはマイクロメートルの何分の1のオーダーにある。フィブリドは、乾燥される前に、湿ったまま使用することができ、製品の他の原料または構成成分の回りに物理的に絡まったバインダーとして沈着させることができる。フィブリドは、ポリマー溶液を単一段階で沈澱させ、そして剪断する米国特許第3,018,091号明細書に開示されているタイプのフィブリル化装置の使用をはじめとする任意の方法によって製造することができる。
【0020】
「フィブリル」は、マイクロメートルの何分の1から数マイクロメートルほどの小さい直径を有し、そして約10〜100マイクロメートルの長さを有する小さな繊維を意味する。フィブリルは一般に、4〜50マイクロメートルの直径を有するより大きい繊維の本幹から伸びる。フィブリルは、隣接材料を巻き込み、そして捕捉するためのホックまたはファスナーの役割を果たす。一部の繊維はフィブリル化するが、他はフィブリル化しないかまたは効果的にフィブリル化せず、本定義の目的のためにはかかる繊維はフィブリル化しない。ポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)繊維は研摩時に容易にフィブリル化し、フィブリルを生成する。ポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)繊維はフィブリル化しない。
【0021】
「フィブリル化繊維状構造物」は、それから伸びるスタークおよびフィブリルを有する材料の粒子であって、スタークが一般に円柱状で、約10〜50マイクロメートル直径であり、そしてフィブリルがスタークに付いたわずかマイクロメートルの何分の1または数マイクロメートル直径で、約10〜100マイクロメートル長さの髪様部材である粒子を意味する。
【0022】
「紙」は、フォアドリニール(Fourdrinier)機または傾斜ワイヤ機などの、抄紙機で製造できる平らなシートを意味する。
【0023】
「フロック」は、ステープルファイバーより短い、短い長さの繊維を意味する。フロックの長さは約0.5〜約15mm、4〜50マイクロメートルの直径であり、好ましくは1〜12mmの長さおよび8〜40マイクロメートルの直径を有する。約1mm未満であるフロックは、それが使用される材料の強度を有意に増加させない。約15mmより大きいフロックまたは繊維は、個々の繊維が交絡した状態になるかもしれず、そして材料またはスラリーの全体にわたって十分に、均一に分配され得ないので、しばしばうまく機能しない。米国特許第3,063,966号明細書、同第3,133,138号明細書、同第3,767,756号明細書、および同第3,869,430号明細書に記載されている方法によって製造されるものなど、アラミドフロックは、それほどまたは全くフィブリル化せずにアラミド繊維を短い長さへ切断することによって製造される。
【0024】
「算術」平均長さは、次式からの計算された長さを意味する。
【0025】
【数1】

【0026】
「長さ加重平均」長さは、次式からの計算された長さを意味する。
【0027】
【数2】

【0028】
「重量加重平均」長さは、次式からの計算された長さを意味する。
【0029】
【数3】

【0030】
物体の「最大寸法」は、物体における2つの互いに最遠位点間の直線距離を意味する。
【0031】
「ステープルファイバー」は、フィラメントを15cm以下、好ましくは3〜15cm、最も好ましくは3〜8cmの長さへ切断することによって製造することができる。ステープルファイバーは真っ直ぐである(すなわち、捲縮していない)ことができ、または捲縮して、任意の捲縮(または繰り返し屈曲)頻度で、その長さに沿って鋸歯形状の捲縮を有することができる。繊維は、コートされていない、コートされた、または別の方法で前処理された(例えば、前延伸されたもしくは熱処理された)形態で存在することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明は、例えば繊維材料、流体シーリング材、および紙をはじめとする製品での強化材として使用するためのメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプの製造方法に関する。
【0033】
I.本発明方法の第1実施形態
第1実施形態では、メタ−およびパラ−アラミドパルプの製造方法は以下の工程を含んでなる。第1に、パルプ原料が容器中で一緒に組み合わせられるかまたは加えられる。第2に、組み合わせられたパルプ原料がほぼ均一なスラリーへ混合される。第3に、スラリーが同時に精製されるまたは共精製される。第4に、水が精製スラリーから除去される。
【0034】
組み合わせ工程
組み合わせ工程で、パルプ原料は好ましくはコンテナまたは容器に一緒に加えられる。パルプ原料には、(1)メタ−アラミドフィブリド、(2)パラ−アラミド繊維、(3)場合により他の少量の添加剤、および(4)水が含まれる。
【0035】
メタ−アラミドフィブリド
メタ−アラミドフィブリドは、原料中の全固形分の10〜90重量%、好ましくは原料中の全固形分の25〜60重量%、最も好ましくは原料中の全固形分の25〜55重量%の濃度に加えられる。メタ−アラミドフィブリドは、好ましくは約1mm以下、より好ましくは約0.2〜1mmの平均最大寸法を有する。メタ−アラミドフィブリドは実質的にまたは完全にフィブリルを含まず、5:1〜10:1のアスペクト比(最大寸法対最小寸法の比)、および1マイクロメートル以下の厚さを有する。より好ましくは、メタ−アラミドフィブリドは0.1〜0.5マイクロメートルの厚さを有する。
【0036】
パラ−アラミド繊維
パラ−アラミド繊維は、原料中の全固形分の10〜90重量%、好ましくは原料中の全固形分の40〜75重量%、最も好ましくは原料中の全固形分の40〜55重量%の濃度に加えられる。パラ−アラミド繊維は、好ましくは10デシテックス以下、より好ましくは0.5〜10デシテックス、最も好ましくは0.8〜2.5デシテックスの線密度を有する。パラ−アラミド繊維はまた、好ましくは10cm以下のその縦軸に沿った平均長さ、より好ましくは0.65〜2.5cmの平均長さ、最も好ましくは0.65〜1.25cmの平均長さを有する。
【0037】
ポリマー
本発明に使用されるアラミドフィブリドおよびアラミド繊維の製造での使用に好適なポリマーは、合成芳香族ポリアミドである。本ポリマーは、繊維へ造形されるために繊維形成分子量のものでなければならない。ポリマーは、アミド(−CONH−)結合の少なくとも85%が2つの芳香環に直接結合している、主に芳香族であるポリアミドホモポリマー、コポリマー、およびそれらの混合物を含むことができる。環は置換されていないかまたは置換されていることができる。ポリマーは、2つの環または基が分子鎖に沿って互いにメタ位にあるときメタ−アラミドである。ポリマーは、2つの環が分子鎖に沿って互いにパラ位にあるときパラ−アラミドである。好ましくはコポリマーは、10パーセント以下の他のジアミンがポリマーの形成に使用される第一ジアミンに置き換わっているか、または10パーセント以下の他の二酸塩化物がポリマーの形成に使用される第一二酸塩化物に置き換わっている。添加物をアラミドと一緒に使用することができ、13重量パーセントほどに多くまでの他のポリマー材料をアラミドとブレンドするまたは結合させることができることが分かった。好ましいパラ−アラミドは、ポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)(PPD−T)およびそのコポリマーである。好ましいメタ−アラミドは、ポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)(MPD−I)およびそのコポリマーである。
【0038】
任意の他の添加剤
他の添加剤は場合により、それらが混合工程でスラリー中に懸濁されたままであり、そして上に挙げた必須固体原料への精製工程の影響を有意に変えない限り添加することができる。好適な添加剤には、顔料、染料、酸化防止剤、難燃性化合物、ならびに他の加工助剤および分散助剤が含まれる。好ましくは、パルプ原料には、アスベストは含まれない。言い換えれば、生じたパルプは、アスベストを含まないまたはアスベストなしである。
【0039】

水は、全原料の95〜99重量%、好ましくは全原料の97〜99重量%の濃度に加えられる。さらに、水は最初に加えることができる。次に他の原料を、組み合わせられた原料を同時に混合しながら水への分散を最適化するための速度で加えることができる。
【0040】
混合工程
混合工程で、原料はほぼ均一なスラリーへ混合される。「ほぼ均一な」とは、スラリーのランダムサンプルが、組み合わせ工程での全原料と同じ重量%プラスまたはマイナス10重量パーセント、好ましくは5重量パーセント、最も好ましくは2重量パーセントの濃度の出発原料のそれぞれを含有することを意味する。例えば、全混合物中の固形分の濃度が50重量%メタ−アラミドフィブリド・プラス・50重量%パラ−アラミド繊維である場合、混合工程でのほぼ均一な混合物は、スラリーの各ランダムサンプルが(1)50重量%プラスまたはマイナス10重量%、好ましくは5重量%、最も好ましくは2重量%のメタ−アラミドフィブリドの濃度、および(2)50重量%プラスまたはマイナス10重量%、好ましくは5重量%、最も好ましくは2重量%のパラ−アラミド繊維の濃度を有することを意味する。混合は、回転羽根を含有する任意の容器で行うことができる。混合は、原料が加えられた後にか、または原料が加えられているかもしくは組み合わせられている間に起こり得る。
【0041】
精製工程
精製工程で、パルプ原料は、次の通り同時に共精製され、変換されまたは改質される。メタ−アラミドフィブリドは、0.1〜0.5mmの平均最大寸法を有する、フィブリルを含まない精製メタ−アラミドフィブリドへ剪断されるおよび/またはパルプ状にされる。パラ−アラミドフロックは、スタークおよびフィブリルを有する不規則形状の繊維状構造物へフィブリル化され、切断され、パルプ状にされる。全固形分は、精製スラリーがほぼ均一であるように分散される。「ほぼ均一な」は上に定義された通りである。精製工程は好ましくは、混合スラリーを1つもしくはそれ以上のディスクリファイナーに通すこと、またはスラリーを単一リファイナーにリサイクルバックすることを含んでなる。用語「ディスクリファイナー」とは、互いに回転し、それによってディスク間の剪断作用により原料を精製する1つもしくはそれ以上のペアのディスクを含有するリファイナーを意味する。1つの好適なタイプのディスクリファイナーでは、精製されているスラリーは、互いに狭い間隔で配置された円形回転子ディスクと固定子ディスクとの間にポンプ送液される。各ディスクは、少なくとも部分的に放射状に伸びる表面溝付きの、他のディスクと対面する表面を有する。用いることができる好ましいディスクリファイナーは米国特許第4,472,241号明細書に開示されている。
【0042】
好ましい実施形態では、ディスクリファイナーについてのプレートギャップ設定値は、最大0.18mmであり、好ましくはギャップ設定値は、約0.05mmの実用的な最小設定値までの、0.13mm以下である。
【0043】
均一な分散および十分な精製のために必要な場合、混合スラリーを2回以上ディスクリファイナーにまたは一連の少なくとも2つのディスクリファイナーに通すことができる。混合スラリーが単一のリファイナーで精製されるとき、生じたスラリーは不十分に精製され、不均一に分散される傾向がある。完全にもしくは実質的に1つの固体原料、もしくは他のもの、または両方の集合体または凝集体は、分散形態ではなくほぼ均一な分散系を形成することができる。かかる集合体または凝集体は、混合スラリーがリファイナーに2回以上通されるかまたは2つ以上のリファイナーに通されるときにバラバラになり、スラリー中に分散されるより大きな傾向を有する。場合により、精製されるスラリーをスクリーンに通して長い繊維または塊を分離してもよく、それらは、受け入れられる長さまたは濃度へ切断されるまで1つもしくはそれ以上のリファイナーにリサイクルされてもよい。
【0044】
多数の原料を含有するほぼ均一なスラリーは、本方法のこの工程で共精製されるので、任意の1タイプのパルプ原料(例えば、パラ−アラミド繊維)は、全ての他のタイプのパルプ原料(例えば、メタ−アラミドフィブリド)の存在下に、それらの他の原料もまた精製されながらパルプへ精製される。パルプ原料のこの共精製は、パルプおよびフィブリドを単に混ぜ合わせることによって生成されるパルプブレンドより優れているパルプを形成する。パルプおよびフィブリドを一緒に加え、次にそれらを単に混ぜ合わせても、本発明に従ってパルプ原料のパルプへの共精製によって生成されたパルプのほぼ均一な、密接に結び付いた繊維状構成成分を形成しない。
【0045】
除去工程
次に水が精製スラリーから除去され、幾つかの実施形態では、生じたパルプは60総重量%以下の水、好ましくは4〜60総重量%の水を有する。水は、水平フィルターなどの脱水デバイスにパルプを集めることによって除去することができ、必要に応じて、パルプ・フィルターケーキを加圧するまたは圧搾することによってさらなる水を除去することができる。脱水パルプは、場合により次に所望の含水率まで乾燥することができる、および/または包装するもしくはロールに巻き取ることができる。幾つかの実施形態では、存在する約60総重量%以下、好ましくは4〜60総重量%の水が所望量の水である。しかしながら、幾つかの実施形態では、パルプはより多くの水を保持することができ、その結果、75総重量%水ほどにより多い量の総水が存在するであろう。
【0046】
図1および2
これより、本方法は図1および2に関連して説明される。この詳細な説明の全体にわたって、類似の参照文字は図面の全ての図で類似の要素を意味する。
【0047】
図1について言及すると、本発明に従って「湿潤」アラミドパルプを製造する湿式法の実施形態のブロック図がある。パルプ原料1がコンテナ2に加えられる。コンテナ2は、洗濯機のミキサーに類似の内部ミキサーを備えている。ミキサーは、原料を水中へ分散させてほぼ均一なスラリーを生成する。混合スラリーは、スラリーを精製する第1リファイナー3に移される。次に、場合により、精製スラリーは、第2リファイナー4に、そして場合により次に第3リファイナー5に移すことができる。3つのリファイナーが例示されているが、所望の均一性および精製の程度に依存して任意の数のリファイナーを用いることができる。一連のリファイナーの最後のリファイナーの後で、精製スラリーは場合によりフィルターまたはソーター6に移され、それは、選ばれたメッシュまたはスクリーン・サイズより下の分散固形分入りスラリーを通過させ、そして選ばれたメッシュまたはスクリーン・サイズより大きい分散固形分をライン7によってなど1つもしくはそれ以上のリファイナーへまたはこの再循環スラリーを精製するために役立つリファイナー8へバック再循環させ、再循環スラリーから精製スラリーはフィルターまたはソーター6に再び通される。好適に精製されたスラリーは、フィルターまたはソーター6から水平水真空フィルター9を通過し、それは、パルプが全原料の75重量%以下の水濃度を有するように水を除去する。スラリーは、1つもしくはそれ以上のポンプ10を用いるなど、任意の従来法および装置によって次から次へと移すことができる。次にパルプは、パルプが全原料の60重量%以下の水濃度を有するまでより多くの水を除去する乾燥機11に搬送される。次に精製パルプは梱包機12で包装される。
【0048】
図2について言及すると、本発明に従って「乾燥」アラミドパルプを製造する乾式法の実施形態のブロック図がある。この乾式法は、水平水真空フィルター9の後を除いて湿式法と同じものである。このフィルターの後、パルプは、パルプが所望濃度の水を有するまでより多くの水を除去するプレス13を通り抜ける。次にパルプは、パルプを毛羽立てるための毛羽立機14、次により多くの水を除去するための乾燥機11を通り抜ける。次に、パルプは回転子15に通され、梱包機12で包装される。
【0049】
II.本発明方法の第2実施形態
第2実施形態では、メタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプの製造方法は、次の相違点以外は上記の本方法の第1実施形態と同じものである。パルプ原料を全て一度に一緒に組み合わせる代わりに、原料を段階的に加えることができる。例えば、全原料に必要とされる水の一部または全てを、(i)メタ−アラミドフィブリドか(ii)パラ−アラミドフロックかのどちらかと組み合わせることができる。これらの原料は、第1のほぼ均一な懸濁液へ混合される。次に懸濁液は精製される。懸濁液がメタ−アラミドフィブリドを含む場合、精製は、メタ−アラミドフィブリドを剪断することおよび/またはパルプ状にすることを含む。懸濁液がパラ−アラミド繊維を含む場合、精製は、不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へパラ−アラミド繊維の少なくとも一部をフィブリル化すること、切断することおよびパルプ状にすることを含む。次に、より多くの水が、含水率を全原料の95〜99重量%まで上げるために、必要に応じて、加えられる。以前に加えられなかった、(i)メタ−アラミドフィブリドまたは(ii)パラ−アラミド繊維の他の原料がここで加えられる。水が加えられる場合、この他の原料は、追加の水の前に、その後に、またはそれと共に加えることができる。次に、全原料は、ほぼ均一なスラリーを形成するために、必要に応じて、混合される。スラリーは次に、一緒に、すなわち、同時に共精製される。メタ−アラミドフィブリドが第1精製工程で精製される場合、この共精製工程は、メタ−アラミドフィブリドの全てまたは実質的に全てが0.1〜0.5mmの平均最大寸法を有する、フィブリルを含まないメタ−アラミドフィブリドへ変換されるように、メタ−アラミドフィブリドの少なくとも一部を追加剪断することおよび/またはパルプ状にすることを含む。パラ−アラミド繊維が第1精製工程で精製される場合、この第2精製工程は、パラ−アラミド繊維の全てまたは実質的に全てが不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へ変換されるように、パラ−アラミド繊維の少なくとも一部をフィブリル化すること、切断することおよびパルプ状にすることを含む。この共精製工程はまた、精製スラリーがほぼ均一であるように全ての固形分を分散させることを含む。次に、水が、本方法の第1実施形態におけるように除去される。両方法とも、メタ−アラミドフィブリドを含む同じまたは実質的に同じパラ−アラミドパルプを製造する。
【0050】
本発明のパルプ
本発明の方法によって製造された、生じた生成物は、製品での強化材として使用するためのメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプである。本パルプは、(a)フィブリルを含まない精製メタ−アラミドフィブリド、(b)不規則形状のパラ−アラミドフィブリル化繊維状構造物、(c)場合により他の少量の添加剤、および(d)水を含んでなる。
【0051】
パルプ中の別個の固体原料成分の濃度は、当然ながら、本パルプを製造するのに使用される相当する固体原料について予め記載された濃度に対応する。好ましくは、フィブリルを含まない精製メタ−アラミドフィブリドおよび不規則形状のパラ−アラミドフィブリル化繊維状構造物は、1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する。
【0052】
不規則形状のパラ−アラミドフィブリル化繊維状構造物はスタークおよびフィブリルを有する。フィブリルは重要であり、パルプおよび最終製品で隣接粒子に付着し、そしてそれを保持し、それによって最終製品に完全性を提供するためのホックまたはファスナーまたは触手の役割を果たす。パラ−アラミドフィブリル化繊維状構造物は、好ましくは5mm以下、より好ましくは0.1〜5mm、最も好ましくは0.1〜3mmの平均最大寸法を有する。パラ−アラミド繊維状構造物は、メタ−アラミドフィブリドの少なくとも一部と接触し、そしてその周りに部分的に巻き付けられる。
【0053】
パラ−アラミドフィブリル化繊維状構造物が精製メタ−アラミドフィブリドと接触し、そしてその周りに部分的に巻き付けられる場合、2つの構成成分は2つ以上のポイントで接触することができ、それらは、構成成分間の全体湾曲経路に沿って互いに連続的に接触することができるが、そうする必要はない。例えば、パラ−アラミド繊維状構造物上のおよびそれに沿ったフィブリルは、パラ−アラミド繊維状構造物がメタ−アラミドフィブリドの周りに部分的に巻き付く場合、メタ−アラミドフィブリドと接触し、そしてその周りに部分的な繭を形成することができる。好ましくは、パラ−アラミド繊維状構造物は、メタ−アラミドフィブリドの少なくとも25%、好ましくは50%、最も好ましくは75%と接触し、そしてその周りに部分的に巻き付けられる。
【0054】
メタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプは、100〜700ml、好ましくは250〜450mlの、その排水特性の尺度である、TAPPI試験T227om−92によって測定されるようなカナダ標準ろ水度(CSF)を有する。
【0055】
パルプの表面積はフィブリル化の程度の尺度であり、本パルプから製造される製品の間隙率に影響を及ぼす。好ましくは、本発明のパルプの表面積は、グラム当たり12〜50平方メートルである。
【0056】
強化材ならびに摩擦材料およびシーリング材の全体にわたって実質的に均一に分散された、メタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプは、メタ−およびパラ−アラミドポリマーの高温特性ならびにパラ−アラミドポリマーのフィブリル化性向のおかげで、強化の多くの部位および増加した耐摩耗性を提供すると考えられる。それ故、共精製されるとき、アラミド材料は、摩擦材料またはシーリング材で、一部のパラ−アラミド繊維状構造物がメタ−アラミド粒子に常に近接しているような密な接触にあり、その結果運転の応力および摩耗は常に共有される。
【0057】
流体シーリング材
本発明はさらに、流体シーリング材およびシーリング材の製造方法に関する。シーリング材は、流体および/またはガスの排出を防ぐためのバリアにまたはバリアとして使用され、2つのアイテムが接合されている場所で汚染物質の進入を防ぐために使用される。シーリング材のための例示的な使用はガスケットにある。シーリング材は、バインダーと、場合により少なくとも1つの充填剤と、本発明のメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプを含んでなる繊維強化材とを含んでなる。好適なバインダーには、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ネオプレン、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、およびそれらの混合物が含まれる。バインダーは、全ての他の出発原料と共に加えることができる。バインダーは典型的には、乾燥原料が混ぜ合わせられる、ガスケット製造方法の第1工程に加えられる。他の原料には、場合により未硬化ゴム粒子とバインダーに充填剤およびパルプの表面をコートさせるためのゴム溶剤または溶剤中のゴムの溶液とが含まれる。好適な充填剤には、硫酸バリウム、粘土、タルク、およびそれらの混合物が含まれる。
【0058】
シーリング材の好適な製造方法は、例えば、ビーター添加法もしくはガスケットが材料のスラリーから製造される湿式法であり、またはカレンダー掛けと呼ばれるものかまたは原料がエラストマー溶液もしくはゴム溶液で組み合わせられる乾式法による。
【0059】
摩擦材料
本発明のパルプは摩擦材料で強化材として使用することができる。「摩擦材料」とは、運動のエネルギーを止めるまたは移動させるための摩擦係数、高温での安定性、耐摩耗性、騒音および振動減衰特性などのようなそれらの摩擦特性のために使用される材料を意味する。摩擦材料に例示的な使用には、ブレーキパッド、ブレーキブロック、乾式クラッチフェーシング、クラッチフェイスセグメント、ブレーキパッドバッキング/絶縁層、自動変速機紙、および摩擦紙が含まれる。
【0060】
この新たな使用を考慮して、本発明はさらに、摩擦材料および摩擦材料の製造方法に関する。具体的には、本摩擦材料は、摩擦改良剤、場合により少なくとも1つの充填剤、バインダー、および本発明のメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプを含んでなる繊維強化材を含んでなる。好適な摩擦改良剤は、鉄、銅および亜鉛などの金属粉末;マグネシウムおよびアルミニウムの酸化物などの研磨材;合成および天然グラファイト、ならびにモリブデンおよびジルコニウムの硫化物などの滑剤;ならびに合成ゴムおよびカシューナッツ殻樹脂粒子などの有機摩擦改良剤である。好適なバインダーは、フェノール樹脂(すなわち、ストレート(100%)のフェノール樹脂およびゴムまたはエポキシで変性された様々なフェノール樹脂)、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂、ならびにそれらの混合物などの熱硬化性樹脂である。好適な充填剤には、バライト、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、タルク、様々な粘土、およびそれらの混合物が含まれる。
【0061】
摩擦材料を製造するための実際の工程は、所望の摩擦材料のタイプに依存して変わることができる。例えば、成形摩擦部品の製造方法は一般に、金型で所望の原料を組み合わせる工程と、部品を硬化させる工程と、必要に応じて部品を造形し、熱処理し、そして研削する工程とを含む。自動変速機および摩擦紙は一般に、所望の原料をスラリーで組み合わせ、従来の製紙法を用いて抄紙機で製紙することによって製造することができる。
【0062】
紙での構成部品としてのその使用、またはフィルター材料としてのその使用をはじめとする、本パルプの多くの他の用途が可能である。紙またはフィルター材料として使用されるとき、典型的には本発明のパルプは、バインダーと組み合わせられ、シートまたは紙製品は従来法によって製造される。
【0063】
試験方法
以下の試験方法を以下の実施例で用いた。
【0064】
カナダ標準ろ水度(CSF)は、水が粒子のスラリーまたは分散系から排出する容易さの周知の尺度である。ろ水度はTAPPI試験方法T227によって測定する。この試験の実施から得られたデータは、指定条件下に水性スラリーから排出する水のミリリットルを表す、カナダ標準ろ水度数として表現される。大きな数は、高いろ水度および水が排出する高い傾向を示唆する。低い数は、分散系がゆっくり排水する傾向を示唆する。フィブリルのより大きい数は、水が形成紙マットを通って排出する速度を低下させるので、ろ水度はパルプのフィブリル化の程度に反比例する。
【0065】
繊維長さ(算術平均長さ、重量加重平均長さ、および長さ加重平均長さ)は、オプテスト・イクイップメント社(OpTest Equipment Inc.)によって製造された繊維品質分析計(Fiber Quality Analyzer)を用いてTAPPI試験方法T271に従って測定した。
【0066】
温度:全ての温度は、度摂氏(℃)単位で測定する。
【0067】
デニールは、ASTM D1577に従って測定し、9000メートルの繊維のグラム単位の重量として表されるような繊維の線密度である。デニールは、独国ミュンヘンのテクステクノ(Textechno of Munich,Germany)製の振動計(Vibroscope)で測定する。デニールの(10/9)倍はデシテックス(dtex)に等しい。
【実施例】
【0068】
これより、本発明を以下の具体的な実施例によって例示する。全ての部および百分率は、特に明記しない限り重量による。本発明の方法に従って製造した実施例は数値によって示す。比較例は文字によって示す。
【0069】
実施例1
本実施例では、本発明のパルプを、パラ−アラミド繊維およびメタ−アラミドフィブリドの供給原料から製造した。パラ−アラミド繊維は、約0.16テックスの線密度および約6.7mmの切断長を有するポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)フロック(商標ケブラー(KEVLAR)(登録商標)49でイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)によって販売される)であった。メタ−アラミドフィブリドは、米国特許第3,756,908号明細書に記載されているようにポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)から製造し、約488mlのCSF、約0.40mmの算術平均長さ、約0.77mmの長さ加重平均長さ、および約1.19mmの重量加重平均長さを有した。
【0070】
メタ−アラミドフィブリドを、高度に攪拌される混合タンク中で水に約5分間分散させ、次にパラ−アラミド繊維を加えて50重量%パラ−アラミド繊維および50重量%メタ−アラミドフィブリドの固形分濃度を作り、さらに10分間混合して約156リットルの総容量のおよび約1.5重量%の全原料濃度の均一なポンプ送液可能なスラリーを形成した。スラリーを次に、約43リットル毎分の流れで約27分の時間、0.13mmプレートギャップ設定値を用いるスプラウト−ワルドロン(Sprout−Waldron)12インチ・シングルディスクリファイナー(Single Disc Refiner)を通して再循環させ、共精製した。
【0071】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0072】
実施例2
パルプを実施例1と同様に、ただし75重量%パラ−アラミド繊維および25重量%メタ−アラミドフィブリドの固形分濃度で製造した。
【0073】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0074】
実施例3
パルプを実施例1と同様に、ただし25重量%パラ−アラミド繊維および75重量%メタ−アラミドフィブリドの固形分濃度で製造した。
【0075】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0076】
実施例4
本発明のパルプを、パラ−アラミド繊維、メタ−アラミドフィブリド、および炭素繊維の供給原料から製造した。パラ−アラミド繊維は、約0.16テックスの線密度および約0.67mmの切断長を有するポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)フロック(商標ケブラー(KEVLAR)(登録商標)49でイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)によって販売される)であった。メタ−アラミドフィブリドは、実施例1と同じように製造した。炭素繊維は、東邦テナックス・アメリカ社(Toho Tenax America,Inc.)によって販売されるPAN−ベースのフォータフィル(FORTAFIL)(登録商標)150炭素繊維(約3mm長さ)であった。
【0077】
メタ−アラミドフィブリドを、高度に攪拌される混合タンク中で水に約5分間分散させ、次にパラ−アラミド繊維を加え、さらに10分間混合して約117リットルの総容量のおよび約1.4重量%の全原料濃度の均一なポンプ送液可能なスラリーを形成した。スラリーを次に、約43リットル毎分の流れで約22.5分の時間、0.13mmプレートギャップ設定値を用いるスプラウト−ワルドロン12インチ・シングルディスクリファイナーを通して再循環させ、共精製した。その後、炭素繊維をタンクに加え、さらに5分間混合して50重量%のパラ−アラミド、25重量%のメタ−アラミドフィブリド、および25重量%の炭素繊維の固形分濃度の、約156リットルの総容量のおよび約2重量%の全原料濃度の均一なポンプ送液可能なスラリーを形成した。スラリーを次に、1分間同じ設定値で同じリファイナーを通して再循環させ、共精製した。
【0078】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0079】
実施例5
パルプを実施例4と同様に、ただし炭素繊維の添加後に3分の再循環および共精製ありで製造した。
【0080】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0081】
実施例6
本発明のパルプを、パラ−アラミド繊維、メタ−アラミドフィブリド、およびガラス繊維の供給原料から製造した。パラ−アラミド繊維は、約0.16テックスの線密度および約0.67mmの切断長を有するポリ(パラ−フェニレンテレフタルアミド)フロック(商標ケブラー(KEVLAR)(登録商標)49でイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)によって販売される)であった。メタ−アラミドフィブリドは、実施例1に記載したようにポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)から製造した。ガラス繊維は、ジョーンズ・マンビル社(Johns Manville Co)によって供給される直径約6.5マイクロメートルおよび長さ約6.4mmのE−ガラス繊維であった。
【0082】
メタ−アラミドフィブリドを、高度に攪拌される混合タンク中で水に約5分間分散させ、次にパラ−アラミド繊維をフィブリドに加え、さらに10分間混合して約117リットルの総容量のおよび約1.4重量%の全原料濃度の均一なポンプ送液可能なスラリーを形成した。スラリーを次に、約43リットル毎分の流れで約22.5分の時間、0.13mmプレートギャップ設定値を用いるスプラウト−ワルドロン12インチ・シングルディスクリファイナーを通して再循環させ、共精製した。その後、ガラス繊維をタンクに加え、さらに5分間混合して50重量%のパラ−アラミド、25重量%のメタ−アラミドフィブリド、および25重量%の炭素繊維の固形分濃度の、約156リットルの総容量のおよび約1.4重量%の全原料濃度の均一なポンプ送液可能なスラリーを形成した。スラリーを次に、3分間同じ設定値で同じリファイナーを通して再循環させ、共精製した。
【0083】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0084】
実施例7
パルプを実施例6と同様に、ただしガラス繊維の添加後に5分の再循環および共精製ありで製造した。
【0085】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0086】
実施例8
パルプを実施例7と同様に製造したが、使用したガラス繊維は、ジョーンズ・マンビル社(Johns Manville Co)によって供給される、約3マイクロメートルの平均直径の210Xホウケイ酸ガラス繊維タイプ253であった。
【0087】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0088】
実施例9
実施例1で製造した5g(乾燥重量の)のパルプを0.5グラムのメタ−アラミドフロックおよび約2500g水と共に、TAPPI 205の付属書Aに記載されるような標準パルプ粉砕機に入れ、3分間かき混ぜた。分散系を約21×21cmのハンドシート金型に注ぎ込み、追加の5000gの水と混合した。生じたスラリーは次の重量パーセントの固体材料を有した:
50/50パラ−アラミド繊維/メタ−アラミドフィブリドパルプ 90.9%
メタ−アラミドフロック 9.1%。
【0089】
ウェット−レイド・シートを形成した。シートを2片の吸取紙の間に入れ、麺棒で手動により平らに置き(hand couch)、ハンドシート乾燥機中190℃で乾燥させた。
【0090】
乾燥シートを、離型剤モノ−コート(Mono−Coat)(登録商標)327W(ケム−トレンド社(Chem−Trend Inc.)によって販売される)で処理したアルミ箔で両面をカバーし、温度327℃および圧力3.5MPaでホットプレスにて2分間圧縮した。
【0091】
最終紙の組成および特性を表2に示す。
【0092】
比較例A
パルプを実施例1と同じ方法で製造したが、パルプ供給原料は100%のケブラー(KEVLAR)(登録商標)繊維でできていた。
【0093】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0094】
比較例B
パルプを実施例1と同じ方法で製造したが、パルプ供給原料は100%のメタ−アラミドフィブリドでできていた。
【0095】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0096】
比較例C
パルプを実施例1と同じ方法で製造したが、メタ−アラミドフィブリドは、米国特許第3,756,908号明細書に記載されているように予備精製され、約64mlのCSF、約0.26mmの算術平均長さ、約0.47mmの長さ加重平均長さ、および約0.82mmの重量加重平均長さを有した。
【0097】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0098】
比較例D
比較例Aで製造したパルプを比較例Bで製造したパルプと1:1重量比で、標準パルプ粉砕機(TAPPI試験方法T205sp−95に記載される)を用いて5分間ブレンドした。
【0099】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0100】
比較例E
比較例Aで製造したパルプを、米国特許第3,756,908号明細書に記載されているように予備精製され、そして約64mlのCSF、約0.26mmの算術平均長さ、約0.47mmの長さ加重平均長さ、および約0.82mmの重量加重平均長さを有する、ポリ(メタ−フェニレンイソフタルアミド)からのメタ−アラミドフィブリドと1:1重量比で、標準パルプ粉砕機(TAPPI試験方法T205sp−95に記載される)を用いて5分間ブレンドした。
【0101】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0102】
比較例F
パルプを実施例5と同じ方法で、ただし炭素繊維の添加後5分の再循環および共精製ありで製造した。
【0103】
最終パルプの特性を表1に示す。
【0104】
比較例G
紙サンプルを実施例9におけるように、ただし比較例Eからのパルプを使用して製造した。
【0105】
紙組成および特性を表2に示す。
【0106】
実施例1〜3から理解できるように、パラ−アラミド繊維とメタ−アラミドフィブリドとの間の約50:50比が最良の精製(低いろ水度)パルプを与える。かかるパルプは、同じ条件で製造された100%パラ−アラミド繊維からのパルプ(比較例A)もしくは100%メタ−アラミドフィブリドからのパルプ(比較例B)または比較例AおよびBのパルプをブレンドすることによって製造されたパルプ(比較例D)より低いろ水度を有する。従って、先行技術に開示されなかった、幾つかの予期せぬ相乗効果がある。パラ−アラミド繊維はメタ−アラミドフィブリドの精製を、2つが共精製されるときに促進する。実施例1からのかかるパルプ精製の程度は、よく精製されたフィブリド(それらのための特別な精製法を用いて)とよく精製されたパラ−アラミド繊維とのブレンディングによって達成されるもの(比較例C)に非常に近い。しかしながら、共精製パルプは、一段階で、エネルギーおよび他のコスト要因を節約して製造された。さらに、共精製プロセスは、実施例9および比較例Gに関して後述されるように、より均一な複合構造物を生成した。
【0107】
実施例4〜8は、パラ−アラミド繊維、未乾燥メタ−アラミドフィブリドおよび幾らかのさらなる繊維を含んでなる供給原料の共精製によって生成されたパルプの製造および特性を実証する。使用される両タイプのさらなる繊維(炭素およびガラス)は脆い。それらの脆い性質は、それらが共精製プロセスの第2段階で加えられた理由である。かかる繊維は精製でフィブリル化せず、それ故、ろ水度はそれらの添加で増加し、次に精製でのそれらの長さの減少のために減少する。
【0108】
比較例Fは、炭素繊維を含有するパルプが比較的長い時間精製される場合、この繊維が破砕され、ろ水度が炭素繊維の添加なしのパルプについてと同じくらい低いことを示す。
【0109】
実施例9および比較例Gは、共精製パルプがブレンドパルプとは対照的に構成成分のより均一な分布を与え、それは、同じ条件で製造された紙について密度差をもたらす(共精製パルプをベースにする紙がより高い密度を有する)ことを実証する。構成成分のより均一な分布は、任意の最終用途(摩擦要素、ガスケット、構造用複合材料など)において最終複合構造物のより良好な性能を与えるはずである。
【0110】
実施例10
本発明のパルプを組み込んだディスクブレーキパッドを次の方法で製造する。7重量%カシューナッツ殻樹脂と、17重量%無機充填剤と、21重量%グラファイト、コークおよび滑剤と、18重量%無機研磨材と、16重量%軟質金属との混合物を含んでなる約20キログラムのアスベストを含有しないベース配合粉末を、50リットルのリトルフォード(Littleford)ミキサーで10〜20分間混ぜ合わせた。本ミキサーは、「星および棒」構造のブレード付きの2つの高速チョッパーとより遅い回転プラウとを有する。
【0111】
5キログラムの十分にブレンドされたベース配合粉末を次に、配合粉末とパルプとの組み合わせた重量を基準として3.8重量%の量の本発明のパルプ(50重量%パラ−アラミドおよび50重量%メタ−アラミドである共精製パルプ)と組み合わせる。パルプを次に、さらに5〜10分間混合することによってベース配合物中に分散させる。
【0112】
ブレーキパッド組成物を次に、前輪ディスクブレーキパッド用の単一キャビティ・スチール金型へ注ぎ込み、約5/8インチ(16mm)の標準厚さへ冷間プレスし、次に金型から取り出して200グラムのおおよその重量を有する予成形ブレーキパッドを形成する。12の複製予成形物を製造する。予成形物を次に、2つの多数キャビティ金型に入れ、商業プレスに入れ、フェノール系反応ガスを逃がすために定期的に圧力解除しながら、300°F(149℃)で約15分間プレス硬化させ(バインダーフェノールの架橋および反応)、これに、フェノール系バインダー架橋を完了させるための340°F(171℃)で4時間の軽く制約されたオーブン硬化が続く。硬化した成形パッドを次に、約半インチ(13mm)の所望の厚さに研削する。
【0113】
実施例11
本実施例は、どのようにして本発明のパルプをシーリング用途向けビーター添加ガスケットへ組み込むことができるかを例示する。水、ゴム、ラテックス、充填剤、化学薬品、および本発明のパルプを所望量で組み合わせてスラリーを形成する。本実施例では、パルプは、50重量%のメタ−アラミド非カレンダー掛け紙片プラス50重量%パラ−アラミド繊維でできている。循環網篩(抄紙機スクリーンまたはすき網などの)で、スラリーは、その含水量を大部分排出し、加熱トンネルで乾燥され、加熱カレンダーロールで加硫して約2.0mmの最大厚さを有する材料を形成する。
【0114】
かかるビーター添加ガスケット材料は一般に、同等の圧縮繊維材料ほどに良好なシール適性を有さず、中圧高温用途に最適である。ビーター添加ガスケットは、補助エンジンガスケットまたは、さらなる加工後に、シリンダーヘッドガスケットの製造に適用性を見いだす。本目的のためには、半完成製品は、スパイク付き金属シートの両面上へ積層され、スパイクによって適所に物理的に固定される。
【0115】
実施例12
本実施例は、どのようにして本発明のパルプをカレンダー掛け法によって製造されるガスケットへ組み込むことができるかを例示する。実施例4と同じ原料、マイナス水を十分に混ぜ合わせ、次に適切や溶剤を使用して調製されたゴム溶液とブレンドする。
【0116】
混合後に、配合物を次に回分でロールカレンダーへ一般に搬送する。カレンダーは、冷却される小さなロールと加熱される大きなロールとよりなる。配合物はフィードされ、2つのロールの回転運動によってカレンダーニップへ引き込まれる。配合物は、圧力に依存して、一般に約0.02mm厚さの層で熱い下方ロール周りに付着し、そして巻き付いて組立配合物層でできたガスケット材料を形成する。その際に、溶剤は蒸発し、エラストマーの加硫が始まる。溶剤の蒸発速度は、加熱ロールの速度に依存し、速度が速すぎる場合、溶剤は、配合物の次の層が付けられる前に十分に逃げることができず、ガスケット材料中に気泡をもたらす。速度が遅すぎる場合、材料は乾燥しすぎてガスケット材料の一連の層間の十分な接合を形成できず、層間剥離が起こり得る。
【0117】
いったん所望のガスケット材料厚さが達成されると、ロールを停止し、ガスケット材料をホットロールから切り取り、所望のサイズに切断するおよび/またはパンチで打ち抜く。さらなる加圧または加熱は全く必要とされず、材料はいつでもガスケットとして機能することができる。この方法で約7mm厚さまでのガスケットを製造することができる。しかしながら、この方法で製造されたほとんどのガスケットは、はるかにより薄く、普通は厚さが約3mm以下である。
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明に従って「湿潤」アラミドパルプの湿式製造方法を行うための装置のブロック図である。
【図2】本発明に従って「乾燥」アラミドパルプの乾式製造方法を行うための装置のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(1)0.2〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2マイクロメートル以下の厚さを有し、そして原料中の全固形分の10〜90重量パーセントである未乾燥メタ−アラミドフィブリド、
(2)原料中の全固形分の10〜90重量パーセントであり、そして10cm以下の平均長さを有するパラ−アラミド繊維、および
(3)全原料の95〜99重量パーセントである水
を含むパルプ原料を組み合わせる工程と、
(b)原料をほぼ均一なスラリーへ混合する工程と、
(c)スラリーを同時に、
(1)0.1〜0.5mmの平均最大寸法を有する、フィブリルを含まない精製メタ−アラミドフィブリドへメタ−アラミドフィブリドを剪断し、および/またはパルプ状にすること、
(2)パラ−アラミド繊維を不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること、および
(3)精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させること
によって共精製する工程と、
(d)精製スラリーから水を除去する工程と
を含んでなり、
それによって、パラ−アラミド繊維状構造物が精製メタ−アラミドフィブリドの少なくとも一部と接触し、そしてその周りに部分的に巻き付けられた状態でメタ−およびパラ−アラミドパルプを生成する
強化材として使用するためのメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプの製造方法。
【請求項2】
組み合わせ工程において、未乾燥メタ−アラミドフィブリドが全固形分の25〜60重量パーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
組み合わせ工程において、不規則形状のパラ−アラミド繊維状構造物が全固形分の40〜75重量パーセントである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
除去工程後に、パルプが100〜700mlのカナダ標準ろ水度(CSF)を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
精製工程が混合スラリーを一連のディスクリファイナーに通すことを含んでなる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
除去工程後に、メタ−アラミド精製フィブリドおよびパルプ状にされた不規則形状のパラ−アラミド繊維状構造物が1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(a)水と以下の群:
(1)0.2〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1の最大寸法対最小寸法の比、および2マイクロメートル以下の厚さを有し、そしてパルプ中の全固形分の10〜90重量パーセントである未乾燥メタ−アラミドフィブリド、および
(2)パルプ中の全固形分の10〜90重量パーセントであり、そして10cm以下の平均長さを有するパラ−アラミド繊維
の第1材料とを含む原料を組み合わせる工程と、
(b)原料をほぼ均一な懸濁液へ混合する工程と、
(c)混合懸濁液を、
(1)メタ−アラミドフィブリドの少なくとも一部を剪断し、および/またはパルプ状にすること、または
(2)パラ−アラミド繊維の少なくとも一部を不規則形状のフィブリル化繊維状構造物へフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること
によって精製する工程と、
(d)精製懸濁液、(a)(1および2)の群の第2材料、および、必要に応じて、水濃度を全原料の95〜99重量パーセントに上げるための水を含む原料を組み合わせる工程と、
(e)必要に応じて、原料を混合してほぼ均一なスラリーを形成する工程と、
(f)スラリーを同時に、
(1)未乾燥メタ−アラミドフィブリドの全てまたは実質的に全てが0.1〜0.5mmの平均最大寸法を有する、フィブリルを含まないメタ−アラミド精製フィブリドへサイズ減少させられるように、0.2〜1mmの平均最大寸法、5:1〜10:1のアスペクト比、および2マイクロメートル以下の厚さを有する任意の残存する未乾燥メタ−アラミドフィブリドの少なくとも一部を剪断し、および/またはパルプ状にすること、および
(2)パラ−アラミド繊維の全てまたは実質的に全てが不規則形状のフィブリル化繊維状構造物に変換されるように、パラ−アラミド繊維の少なくとも一部をフィブリル化し、切断し、そしてパルプ状にすること、および
(3)精製スラリーがほぼ均一であるように全固形分を分散させること
によって共精製する工程と、
(g)精製スラリーから水を除去する工程と
を含んでなり、
それによって、パラ−アラミド繊維状構造物がメタ−アラミド精製フィブリドの少なくとも一部と接触し、そしてその周りに部分的に巻き付けられた状態でメタ−およびパラ−アラミドパルプを生成する
強化材として使用するためのメタ−アラミドフィブリドを含むパラ−アラミドパルプの製造方法。
【請求項8】
除去工程後に、メタ−アラミド精製フィブリドが全固形分の約25〜60重量パーセントである請求項7に記載の方法。
【請求項9】
除去工程後に、不規則形状のパラ−アラミド繊維状構造物が全固形分の40〜75重量パーセントである請求項7に記載の方法。
【請求項10】
第1精製工程が混合懸濁液を第1ディスクリファイナーに通すことを含んでなり、そして第2精製工程が混合スラリーを第2ディスクリファイナーに通すことを含んでなる請求項7に記載の方法。
【請求項11】
除去工程後に、メタ−アラミド精製フィブリドおよび不規則形状のパラ−アラミド繊維状構造物が1.3mm以下の長さ加重平均長さを有する請求項7に記載の方法。
【請求項12】
請求項1に記載の方法で製造されるアラミドパルプ。
【請求項13】
請求項1に記載の方法で製造されるアラミドパルプを含んでなる紙。
【請求項14】
金属粉末、研磨剤、滑剤、有機摩擦改良剤、およびそれらの混合物よりなる群から選択される摩擦改良剤と、
熱硬化性樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂およびポリイミド樹脂、ならびにそれらの混合物よりなる群から選択されるバインダーと、
硫酸バリウム、白亜、粘土、他の無機粉末およびそれらの混合物よりなる群から選択される充填剤と、
請求項1に記載の方法で製造されるパルプと
を含んでなる摩擦材料。
【請求項15】
ニトリルゴム、ブタジエンゴム、ネオプレン、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリル−ブタジエンゴム、およびそれらの混合物よりなる群から選択されるバインダーと、
硫酸バリウム、白亜、粘土、他の無機粉末およびそれらの混合物よりなる群から選択される充填剤と、
請求項1に記載の方法で製造されるパルプと
を含んでなる流体シーリング材。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−521615(P2009−521615A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547400(P2008−547400)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/048254
【国際公開番号】WO2007/075575
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】